JP2016502663A - パラフィン包埋サンプルを処理するためのシステム及び方法 - Google Patents

パラフィン包埋サンプルを処理するためのシステム及び方法 Download PDF

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Abstract

例えば組織構成要素からパラフィンが分離するように及び/又はパラフィンからその他の生体分子が分離するように、パラフィン包埋サンプルを処理するための方法及び装置。非溶媒の水溶液を含む容器内に保持されている間、サンプルは集束型音響エネルギーに曝露され得る。分離したパラフィンは、液体内に乳化してもよく、そうでなければサンプルから分離してもよい。【選択図】図1

Description

音響エネルギーによりサンプルを処理するためのシステム及び方法を一般に開示する。
組織サンプル、例えば生検又はその他の技法により採取されたサンプル等は、サンプルの長期保存が可能となるように、一般的にホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)される。理想的には、長期保存により、後続する分析、例えば組織病理検査や核酸に基づく診断を行う能力が保たれるように、サンプル中のDNA、RNA、タンパク質又はその他の物質の分解は比較的少ないまま、サンプルの完全性が維持される。かかるFFPE処理では、サンプルは、核酸間、タンパク質間、及び/又は核酸とタンパク質との間で架橋を形成するホルマリン溶液(例えば、10%ホルマリン溶液は、3.7%のホルムアルデヒド及び1.0〜1.5%のメタノールを含み得る)中で一般的に固定化される。その後、サンプルは、例えばこれをアルコール中に配置することにより脱水され、次にキシレン等の溶媒にサンプルを曝露することによりアルコールが「取り除かれる」。サンプルは、次にパラフィンに包埋され、サンプル中のキシレンと置き換わるパラフィンによりサンプルは取り囲まれる。次に、パラフィン包埋サンプルは、数日、数ヶ月、数年の長期間保管可能である。
核酸物質(例えば、DNA及び/若しくはRNA)並びに/又はプロテオミック物質(例えばタンパク質)をFFPEサンプルから回収するには、パラフィンをサンプルから分離しなければならない。これは、パラフィン担持サンプルをキシレン、ヘプタン若しくはリモネン等の有機溶媒中に配置してパラフィンを溶解することにより、又はサンプルを鉱物油若しくは水性バッファー中で加熱することにより一般的に行われる。
本発明者らは、パラフィン除去期間中にサンプルを溶媒に曝露すると、核酸及び/又はプロテオーム物質に損傷を引き起こす傾向を有する、さもなければFFPEサンプルから回収される良質な核酸及び/又はプロテオミック物質の収率が低下する傾向を有することを見出した。さらに、サンプルは、このとき危険な有機溶媒廃棄物内にあり、適切な廃棄はより解決が難しい。本発明の1つの態様に基づけば、パラフィンは、非溶媒の溶液を用いて、例えばパラフィン分離プロセス期間中にサンプルを溶媒に曝露せずにFFPEサンプルから分離可能である。代わりに、非溶媒の溶液、例えば水及び界面活性剤を含む溶液が、適する集束型音響エネルギーと共に、サンプルからパラフィンを分離するのに利用可能である。かかるパラフィン分離は、サンプルを比較的高温に曝露することなく実施可能であり、例えばパラフィンは、サンプルの温度を5〜60℃未満(例えば、1〜30℃、約20℃、約7℃)に維持しつつ、サンプルから好適に分離可能である。このパラフィン分離技法により、核酸物質の収率は、代表的なプロセスで認められる収率の少なくとも2〜4倍高まることが判明した。いくつかの実施形態では、パラフィンは、比較的迅速に、例えば3分以下でサンプルから分離可能である。また、いくつかの実施形態では、サンプルは、パラフィン分離プロセス期間中に再水和可能であり、生体物質の収率も改善することが判明した。
本発明の別の態様では、核酸物質を精製するために調製物中の架橋物質を消化するプロセスが増強される。1つの実施形態では、FFPEサンプルは、FFPEプロセスにより形成された架橋を消化することにより、核酸物質の遊離を増強するのに役立つように、適する集束型音響エネルギーと共にプロテイナーゼK酵素又はその他のプロテアーゼに比較的短時間、例えば30秒以下曝露され得る。いくつかの実施形態では、プロテアーゼは、音響処理期間中に酵素活性が増強するようにグリセロールと併用可能である。
本発明の1つの態様では、パラフィン包埋サンプルを処理する方法は、パラフィン包埋組織サンプルを供給する工程を含み、サンプルは、予めホルマリン固定されパラフィンに包埋され、サンプルに付着したパラフィンを有する。非溶媒の水溶液は、パラフィン包埋サンプルと共に容器内に供給され、パラフィンは、サンプルからパラフィンを分離するために容器内のサンプルと非溶媒の溶液とを音響エネルギーに曝露することにより、パラフィン包埋サンプルから分離される。生体分子、例えば、核酸、タンパク質及び/又はその他の構成要素等は、パラフィン分離後、例えば生体分子を含有する液体を容器からピペッティングすることにより、サンプルの水性部分から回収可能である。所望の場合には、例えば、追加処理(例えば、核酸の断片化)するために、及び/又は生体分子の全体的な回収率を増強するために、サンプルはさらなる集束型音響処理にかけられ得る。
分離プロセスは、核酸物質及び/又はプロテオーム物質がサンプルから回収できるように、十分量のパラフィンをサンプルから分離するのに十分な時間にわたって、サンプルを集束型音響エネルギーに曝露する工程を含み得る。例えばサンプルに当初付着していたパラフィンの90%、95%、98%以上が、例えば、パラフィンを乳化することによりサンプルから分離可能である。容器内の液体は水性であるので、パラフィンの分離には、サンプルを集束型音響エネルギーに曝露させつつ、サンプルを再水和する工程も含まれ得る。分離は、温度が約5〜60℃の液体の浴槽に容器を置いたままで実施可能であり、例えば浴槽の温度は、約40℃、又は約20℃、又は約7℃であり得る。したがって、分離は、サンプルの温度を、約60℃未満、例えば、約45℃未満、約20℃未満、約10℃未満に維持しつつ実施可能である。
生体分子の回収は、様々な異なるプロセス、例えばサンプルからパラフィンを分離した後に、容器内の非溶媒の水溶液及びサンプルに、プロテアーゼ又はその他の酵素(例えば、DNAase、RNase)を添加する工程等を含み得る。処理したサンプル及び酵素含有溶液は、酵素がサンプルと混合するのを増強するために集束型音響エネルギーに何秒か、例えば10〜30秒(以上)曝露可能であり、こうして酵素活性が増強される。
混合されたサンプルは、次に組織を消化するために、適する時間(例えば、15分間、1時間、2時間、3時間)、然るべき温度で、酵素と共にインキュベートされる。サンプル物質中の架橋は、80〜90℃で長時間、例えば1時間以上、又は1時間未満(例えば、15分)追加のインキュベーションを行うことにより元に戻すことができる。また、サンプルは、サンプルから遊離した核酸物質を剪断してより小さな断片にするのに適する集束型音響エネルギーに曝露可能である。例えば、サンプルを集束型音響エネルギーに曝露した後の核酸物質の大部分の断片は、50〜1000bpのサイズを有し得る。核酸断片サイズは、集束型音響エネルギーが生成する際のパラメーターにより調整可能である。酵素処理及び/又は核酸の断片化は、分離したパラフィン及びサンプルを含有する容器内で、回収工程の一環として実施可能である。架橋を元に戻した後、サンプルは、集束型音響エネルギーの短時間バーストによる処理にかけられ、より高い核酸回収率を実現する。
本発明の別の態様では、音響処理デバイスは、ホルマリン固定パラフィン包埋組織サンプル及び非溶媒の水溶液を保持する容器と、サンプルが容器内にあり且つ音響エネルギー源と分かれている間、音響エネルギーをサンプルに供給する音響エネルギー源とを備える。容器ホルダーは、少なくとも部分的に音響エネルギーの集束帯内の場所において容器を支持することができ、また、システム制御回路は、パラフィンをサンプルから分離するのに適する集束型音響エネルギーにサンプルを曝露してサンプルの生体分子を回収できるように、音響エネルギー源を制御することができる。いくつかの実施形態では、音響エネルギー源は、容器とは間隔が置かれ且つその外部に位置し、また、音響エネルギーは、約100キロヘルツ〜約100メガヘルツの周波数及び約2センチメートル未満の幅の集束帯を有し、この場合、音響エネルギーの少なくとも一部が容器外部に伝播するように構成される。さらに、パラフィンの分離、組織サンプルの再水和、酵素混合、及び組織サンプル消化を1つの容器に統合することにより、プロセスは、容易に自動化可能である。例えば、容器がスプリットセプタムを有するキャップを備える場合、酵素(例えば、プロテアーゼ、DNAase、RNase等)は、パラフィンの分離後、キャップを除去せずに添加することができる。
本発明のその他の長所及び新規の特徴は、添付の図面及び特許請求の範囲と共に検討すれば、以下に示す種々の非限定的な実施形態の詳細な説明から明らかとなる。
本発明の態様を下記の図面を参照しながら記載するが、図面においては、数字の参照が要素に対応する。
本発明の1つ又は複数の態様を組み込んだ音響処理システムのブロック概略図を示す図である。 パラフィン包埋サンプルを処理する方法の工程を示す図である。 いくつかの実施形態に基づく収集ツールの斜視図を表す図である。 核酸サイズ分布をいくつかの例について示す図である。 核酸サイズ分布をいくつかの例について示す図である。 核酸回収率をいくつかの例について説明する図である。 組織切片の蛍光顕微鏡写真をいくつかの例について示す図である。
構成要素の構成及び構造の詳細が、以下の記載にて開示され又は図面にて説明されるが、本発明の態様はその応用においてかかる詳細内容に限定されない。その他の実施形態も採用可能であり、本発明の態様は、様々な方法で実践可能又は実施可能である。また、本発明の態様は、単独で又は任意の適する相互の組み合わせで利用可能である。したがって、本明細書で用いられる表現及び用語は、説明するためのものであり、限定とみなすべきではない。
上記のように、化学的、生化学的及び音響的処理プロセスは、標的分子を、DNA、RNA、タンパク質等のサンプル物質から回収することを最終目的として、パラフィンをFFPEサンプルから分離する、及び/又はサンプル物質中の架橋タンパク質を消化するのに有用であり得る。さらに、かかるシステムは、例えばDNA断片の塩基対の長さが1,000又は10,000個の塩基対から、3k塩基対の長さの又はこれより小さな断片に短縮するように、DNA/RNAを剪断するのに、本発明の態様と共に利用可能である。かかる音響処理システム及び制御装置の例は、Covaris of Woburn、Mass出願の米国特許第6,948,843号及び同第6,719,449号に記載されている。
いくつかの実施形態では、本発明の態様は、FFPEサンプルからのパラフィン分離、不要な物質を消化してDNA/RNAをサンプルから遊離させるプロテアーゼ処理若しくはその他の処理、及び/又は核酸物質を所望のサイズ範囲に断片化する剪断工程を、すべて単一の容器内で溶媒を使用せずに非溶媒の水溶液を用いて可能にし得る。単一の容器(例えば、Covaris microTUBE)内で溶媒を使用せずに実施されるこの一連の工程は、核酸物質収率の改善及びサンプル汚染の可能性の低減を可能にするが、従来の技法では単純には可能ではない。
本発明の別の態様では、パラフィンをサンプルから分離する際の音響エネルギーの使用効率、酵素活性及び/又は核酸物質の断片化の増強は、例えば、サンプル中に取り込まれた気体、又は取り込みに利用可能な気体の量を低減することにより増強され得る。いくつかの実施形態では、サンプルに取り込まれる気体は、サンプルに隣接したヘッドスペースのサイズを低減する、さもなければ制御することにより低減し得る。サンプルに提供されるヘッドスペースの容積及び/又は表面積を低減することにより、サンプル中への取り込みに利用可能な気体の量、又は気体が取り込まれ得る速度は、低減可能である。これは、音響処理期間中のサンプル内バブル形成、及び/又はキャビテーションバブル崩壊による気体の干渉を低減するのに役立つと考えられ、サンプル容器の外で反射される又はキャビテーションバブル圧力の上昇により吸収されるのではなく、サンプルを処理するのに用いられる音響エネルギーの量を増加させるのに役立つ。
図1は、本発明の1つ若しくは複数の態様を組み込んだ又はこれと共に用いられる音響処理システム100のブロック概略図を示す。本明細書に記載する実施形態は、ほとんどの又はすべての本発明の態様を含み得るが、本発明の態様は、単独で又は本発明のその他の態様との任意の適する組み合わせで利用可能であると理解すべきである。この説明的な実施形態では、音響処理システム100は、混合を引き起こすのに適する音場を生成する(例えば、集束帯17において)能力を有する音響トランスジューサー14(例えば、1つ又は複数の圧電素子を含む)を備え、かかる混合は、例えばキャビテーション及び/又は容器4に収納されたサンプル1内のその他の効果により引き起こされる。音響トランスジューサー14は、集束帯17が約2センチメートル以下の幅を有するように、約100キロヘルツ〜約100メガヘルツの周波数範囲の音響エネルギーを生み出し得る。音響エネルギーの集束帯17は、任意の適する形状、例えば球状、楕円体、桿状又はカラム状等であり得、且つサンプル1に位置し得る。図1に示す通り、集束帯17は、サンプルボリュームより大きくても、サンプルボリュームよりも小さくてもよく、例えば、集束帯17は、容器4内に全体的に収まることができる。米国特許第6,948,843号及び同第6,719,449号を、音響トランスジューサーの構成と操作及びその制御に関する詳細内容について、本明細書において参考として援用する。
容器4は、任意の適するサイズ又はその他の構造を有し得る、例えばガラス管、プラスチック容器、マイクロタイタープレート内のウェル、バイアル等であってよく、容器ホルダー12により所定の場所で支持され得る。本実施形態では、容器4は、スクリューキャップを有する6×16mmのガラス管又はプラスチック管(容積、約150マイクロリットル)であるが、容器4は、任意の適する形状、サイズ、材料又はその他の特徴を有し得るものと理解すべきである。例えば、容器4は、底が平らでキャップ9を受け入れるネジ式のトップエンドを有する円筒形の管であり得る、サンプルを保持する依存性の可撓性袋状部分を含む円筒形のカラーを備え得る、マルチウェルプレート内の単一のウェルであり得る、立方体の形をした容器であり得る、又は任意のその他の適する構造であり得る。容器4は、ガラス、プラスチック、金属、複合物及び/又は任意の適する材料の組み合わせから形成可能であり、任意の適するプロセス、例えば成型、機械加工、スタンピング及び/又はプロセスの併用等により形成可能である。
音響処理システム100は、音響エネルギーをトランスジューサー14から容器4に伝達する媒体16(例えば、水又はその他の液体、気体、ゲル、固体、半固体、及び/又はかかる構成要素の組み合わせ等)を保持する能力を有するカップリング媒体容器15も備え得る。媒体16が固体又は半固体を含む実施形態では、容器15は不要である、又は媒体16そのものの一部が、容器15としての機能、例えば媒体16の液体又は気体の部分を保持する機能を有し得る。例えば、1つの実施形態では、トランスジューサー14は、固体のカップリング媒体16(例えば、シリカ材料等)に取り付け可能であり、またこれは、媒体16の開口部又はその他の特徴により、少なくとも部分的に形成可能である容器ホルダー12にも取り付けられる。したがって、トランスジューサー14、媒体16及びホルダー12は、所望の場合には、単一の一体型部品として形成可能である。いくつかの実施形態では、音場は制御可能であり、音響トランスジューサー14は移動可能であり、及び/又は容器4は、サンプルが集束帯17との関係において所望の場所に位置するように移動可能である(例えば、容器4を支持するホルダー12、例えばラック、トレー、プラットフォーム等を移動することにより)。これに加えて又はこれに代えてに、トランスジューサー14は、集束帯17がサンプル1又は容器4との関係において好適に位置するように、集束帯17を形成することができる。
音響トランスジューサー14を制御するために、音響処理システム100は、音響トランスジューサー14の操作を含むシステム100の様々な機能を制御するシステム制御回路10を備え得る。例えば、システム制御回路10は、トランスフォーマーをワインディングする際の負荷電流を制御する制御シグナルを提供し得る。負荷電流に基づき、トランスフォーマーは、音響トランスジューサー14に連結しているマッチングネットワークにドライブシグナルを出力することができ、トランスジューサー14に対して適するシグナルを提供して所望の音響エネルギーを生み出すことができる。下記にてより詳細に議論されるように、システム制御回路10は、様々なその他の音響処理システム100機能、例えば容器4及び/又は音響トランスジューサー14の位置決め(制御回路10をホルダー12と結ぶ破線は、例えばロボット、ガントリー、スクリュードライブ又はその他の構造を含む、ホルダー12を移動させるための任意選択的な位置決めシステムを模式的に表す)、オペレーターインプット(例えば、システムオペレーションコマンド等)の取得、情報(例えば、目視可能ディスプレイスクリーン、表示灯、電子データ形式のサンプル処理状態情報等)の出力等を制御することができる。
この説明的な実施形態では、サンプル1には、固体材料2、例えばホルマリン固定パラフィン包埋された組織サンプル(すなわちFFPEサンプル)等が含まれ、このサンプル1は液体3、例えば非溶媒の水溶液と共に容器4に収納される。非溶媒の溶液3は、界面活性剤、例えば0.25%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)溶液と共に水を含み得るが、その他の溶液も可能である。
サンプルは、任意の適する容積及び/又は質量を有することができ、例えばサンプルは、ニードル生検等により採取された組織サンプルであるより大きなサンプル片からミクロトームスライスされたFFPE組織のいわゆる「スクロール」、「コア」又は片であり得る。例えば、サンプルのコアは、より大きな組織サンプルのシートから打ち抜くことができる。いくつかの実施形態では、ミクロトームにより切り出されたサンプルは、約7〜25マイクロメートルの厚さ及び20mm以下の長さを有し得る。サンプルは、任意の適する厚さ、例えば約0.5mm〜約20mm(例えば、1〜10mm又は1〜5mmの厚さ)を有し得る。サンプルは、然るべき容積を有し得る。例えば、サンプルは、約4立方ミリメトール以下の容積を有するようにサイズ調整可能である。もちろん、用途又は関係するサンプルに応じて、その他の容積、例えば、10立方ミリメトール未満、20立方ミリメトール未満、50立方ミリメトール未満、100立方ミリメトール未満、又は500立方ミリメトール未満等も利用可能である。いくつかの実施形態では、サンプルは、直径約0.5mm〜約5mm(例えば、直径1〜3mm)であり得る。
本発明の態様に基づき、音響処理前に、容器4のヘッドスペース6を好適に規定すべく、注意が払われ得る。すなわち、界面5(又は容器4内の液体3の最高液面)は、界面5直上の気体領域として示されるヘッドスペース6によりキャップ9から分けられし得る。ヘッドスペース6の容積を適正に設定することにより、パラフィン分離、プロテアーゼ処理及び/又は核酸断片化プロセスの効率は、増強され得る。事例として、混合、例えばサンプル1中での溶解、抽出、透過処理、触媒、分解、流動化、加熱、粒子崩壊、分子結合の切断及び/又は破壊を引き起こすのに適する、集束帯17における音響エネルギー電力レベルによっては、サンプル1(固体物質2及び/又は液体物質3を含む)の一部を界面5から飛び散らせ、さもなければ排除することも可能である。場合によっては、排除されたサンプル1は、サンプル1の本体容積に戻る可能性があるが、その他の場合では、排除されたサンプル1は、界面5上部の容器4に接着し得る、さもなければサンプル1本体に戻ることができない。いずれの場合にも、排除されたサンプル1は、集束帯17に短時間、滞留し得る。
これに加えて又はこれに代えて、音響エネルギーは、例えば界面5における液体の動きに起因して、ヘッドスペース6内の気体の一部を溶解すること等により、及び/又はヘッドスペース気体のバブルをサンプル中に捕捉することにより、ヘッドスペース6内の気体を液体3内に閉じ込めることができる。液体3中の気体は、例えば集束帯17に又はその近傍にある気体バブルが音響エネルギーを反射してサンプル1から遠ざける等により、及び/又は溶解した気体が音響エネルギーにより創出されたキャビテーションバブル内の圧力を増加させ、こうしてキャビテーションバブルが崩壊する速度又は力が低下することにより、音響エネルギーを妨害する可能性がある。キャビテーションバブルが崩壊すると、これによりかなりの動力学的エネルギーがサンプル物質に移動し、当該物質の溶解、剪断、さもなければ機械的作用が引き起こされると考えられている。かかるバブル内の圧力が高まると、サンプル中の溶解した気体は、キャビテーションバブル崩壊により放出されるエネルギーを低減し、音響処理の効率を減じる可能性がある。したがって、ヘッドスペースサイズ(界面5において存在する容積及び/又は表面積)を制御するにことにより、音響処理工程の効率は向上し得る。この説明的な実施形態では、液体3は、界面5がキャップ9から約l〜2mm以内にくるように、容器内に供給され得る。しかし、液体3の容積の20%、液体容積の10%、液体容積の5%、又は液体容積の0%を占めるヘッドスペースを含む、その他のヘッドスペースサイズも可能である。図1に示す通り、キャップ9は、ヘッドスペース制御メンバー13、例えば界面5に対して制御可能に位置決め可能なキャップ9の下方部分等を有し得る、又はヘッドスペース6は、容器4を好適に満たすことにより制御可能である。キャップ9は、音響エネルギーをサンプル1に向かって反射するのに役立つ金属製又はセラミック製の構成要素(例えば、厚さ約1mmのディスク)、又は界面5の近傍に位置するその他の比較的硬質な表面も備え得る。これは、音響処理の効率を増強するのに役立つ可能性がある。
容器4内のサンプル1及び液体3と共に、容器4は、音響処理期間中に容器4を支持するのに役立つホルダー12と関連し得る。図1に示す通り、ホルダー12は、任意の適する構造、例えば容器4に対して固定されたリング状の要素12等を採用することができる。図1の実施形態では、ホルダー12は、容器4のほぼ中間に置かれるが、ホルダー12は、容器の底部又は最上部の近傍等の任意の適する状態で容器4に対して位置決め可能であり、容器の1つの側面及び/又は任意のその他の然るべき位置から延在する。ホルダー12は、容器4と共に一体的に成型される、接着剤、締結具、溶接等で容器4に取り付けられる等、容器4に永久に固定され得る、又は容器に脱着可能に取り付け可能である。例えば、いくつかの実施形態では、容器ホルダー12は、図1に示すようなリングメンバーと、容器4とホルダー12との間に緊密な摩擦適合を設けるようにリングメンバーと容器4との間に位置する、1つ又は複数のO−リング(図示せず)又はその他の摩擦増強要素を備え得る。かかる構造は、単一ホルダー12上で容器4を交換する際、及び/又はホルダー12に対して容器4の位置を調節する際に、有用であり得る。
容器ホルダー12は必ずしも必要ではないが、容器ホルダー12は、容器4及び容器内のサンプルが音場に対して既知の場所に位置する、例えば音響エネルギーの集束帯17内に少なくとも部分的に位置するように、音響処理デバイスと相互作用するように機能し得る。また、ホルダー12は、図1に示すようなデバイスに限定されず、むしろ容器4を集束帯17との関係において保持する及び/又は移動するためのラック、スロット、トレー、グリッパー要素、クランプ、ボックス又は任意のその他の適する構造を備え得る。
容器4と共に及びサンプル1を音響トランスジューサー14に対して好適に位置決めすれば、サンプル1の音響処理を実施して、サンプル1からパラフィンを分離することができる。このプロセス期間中、カップリング媒体16は、比較的低い温度、例えば5〜60℃に維持可能であるが、これ以下又は以上の温度も可能である。したがって、サンプル1は、パラフィン分離期間中、比較的低い温度に維持可能であり、例えば、サンプル1の温度は、処理期間中5〜60℃を上回ることはなく、また場合によっては、パラフィンの融解温度未満に留めることができる。その結果、パラフィンは、パラフィンのバルク融解を引き起こさずに、サンプル物質から分離可能である。音響処理システム100がCovaris S220又はE220モデルである一実施形態では、音響処理は、10%のデューティーファクター、175ワットのピーク放射電力、1バースト当たり200サイクルを用いて、約150〜450秒間(例えば、300秒間)適用され得る。もちろん、その他のデューティーサイクル、ピーク電力、1バースト当たりのサイクル数、及び/又は時間も利用可能である。例えば、音響処理システムは、任意の適する一連のパラメーター、例えば10〜30%のデューティーサイクル、50〜450ワットのピーク放射電力、1バースト当たり100〜300サイクル等に基づき、適する時間(例えば、10〜450秒の間)、集束型音響エネルギーを生成し得る。上記範囲外の集束型音響パラメーターも採用され得るものと理解することができる。
カップリング媒体16は水であり得るが、これは、パラフィン分離処理期間中、46℃、20℃、7℃の温度、又は別の適する温度に保持され得る。また、液体は非溶媒の水溶液であるので、サンプル1は、パラフィン分離期間中に再水和され得る。分離プロセス期間中、サンプルを集束型音響エネルギーに曝露しつつ、パラフィンの乳化、さもなければサンプルの組織部分からの分離により、液体3は、乳白色(例えば、ミルキーホワイト)に見える傾向を有する。この外観は、組織サンプルから剥ぎ取られたパラフィンが分かれて小さい液滴(例えば、直径約0.1〜10ミクロン)となることに起因する。
パラフィン分離プロセスが終了すると、生体分子又は組織サンプルのその他の部分は、例えば容器からサンプル部分を遠心分離及び/又はピペッティングすることにより、容器から回収可能であり、回収されたサンプル部分は、例えば核酸、タンパク質又はサンプルのその他の構成要素を回収するために、別の容器又はホルダー内でその後処理可能である。本発明の1つの態様では、サンプルのさらなる処理、例えばプロテアーゼ消化、核酸断片化、遠心分離及び/又はその他のプロセス等が、同一の容器内で実施可能である。例えば核酸精製プロトコールの一環として、複数のプロセスを単一の容器内で実施すれば、全体的なプロセスを単純化するだけでなく、移動ロス及びサンプルが何らかの原因で汚染される確率も低減する。
1つの説明的な実施形態では、パラフィン分離が完了した後、プロテアーゼ、例えばプロテイナーゼK又はトリプシン等が、容器から分離したパラフィンを除去して又は除去しないで、容器に添加され得る。当業者にとって公知であるように、プロテアーゼは、所望の核酸、タンパク質断片、又はその他の生体分子を回収するための前駆体として、タンパク質を消化するように機能し得る。本発明の態様に基づき、プロテアーゼを含有する容器は、プロテアーゼの混合及び/又は活性を増強するために音響エネルギーで処理可能である。1つの実施形態では、サンプルをプロテアーゼと共にインキュベートして、サンプル中のタンパク質をさらに加水分解する前に、音響処理を30秒以下(例えば10秒)行えば、かかる処理はプロテアーゼをサンプルと好適に混合させる働きを有し得る。また、プロテアーゼと共にグリセロール材料を含めると、プロテアーゼ作用の駆動体として酵素活性及び音響エネルギー効果をさらに増強すると考えられる。この混合処理は、サンプルと共に5〜46℃の温度で、例えばカップリング媒体16と共に、約46℃、約20℃、約7℃で実施可能であるが、その他の温度も可能である。
タンパク質消化後、ホルムアルデヒド架橋を元に戻すために、サンプルは、プロテアーゼと共に80〜90℃で、例えば約80℃でインキュベート可能である。このインキュベートは、任意の種類の音響処理を行いながら又は行わないで実施可能である。インキュベーション後、核酸、タンパク質又はその他の生体分子は、例えば処理された懸濁物質を容器から遠心分離しピペッティングすることにより、容器から回収可能である。回収された生体分子は、要望に応じて任意の適するさらなる処理、例えば市販の技法及び機器を用いたDNA精製処理等にかけられ得る。
サンプル内の生体分子は、インキュベーション直後に、さらなる音響処理を行わないで回収可能であるが、いくつかの実施形態では、サンプルは、追加の音響処理にかけられ得る。例えば、サンプル内の核酸が所望のサイズ範囲にさらに断片化されるのが望ましい場合もある。したがって、プロテアーゼインキュベーションを行い架橋を元に戻した後のDNA出発物質は、約7〜50kbp以上の好ましいサイズを有するDNAセグメントを含み得る。又は、いくつかの実施形態では、集束型音響エネルギーの急速なバーストにより、所望の生体分子(複数可)についてより高い回収率を実現し得る。
核酸物質(例えば、DNA、RNA)を剪断するために、追加の集束型音響処理が、例えば10%のデューティーファクター、175ワットのピーク強度電力、及び1バースト当たり200サイクルを採用するCovaris S2 AFA機械を用いて、約7〜8分間提供され得る。処理後、サンプル1中の大部分(全部でなければ)の核酸断片は、約200bpのサイズに短縮され得る。すなわち、かなり狭い範囲の最終核酸断片サイズが生産可能であり、例えばほとんどの核酸断片は、約50bp〜約500bpのサイズに収まる可能性があり、生産する核酸断片サイズの範囲は、音響処理特性を調節することにより調節可能である。
上記で議論したように、架橋を元に戻した(例えば、80〜90℃で)後、全体的な核酸回収率の増加を実現するために、サンプルは短時間、集束型音響エネルギーに曝露され得る。例えば、10%のデューティーファクター、105ワットのピーク放射電力、及び1バースト当たり200サイクルに設定されたCovaris S220又はE220システム(又は、10%のデューティーファクター、及び1バースト当たり200サイクルに設定されたCovaris S2又はE210システム;20%のデューティーファクター、75ワットのピーク放射電力、及び1バースト当たり200サイクルに設定されたCovaris M220システム;及び30%のデューティーファクター、300ワットのピーク放射電力、及び1バースト当たり200サイクルに設定されたCovaris LE220システム)から生成される音響エネルギーにより、20℃で10秒間処理されたサンプルでは、音響エネルギーが提供されない場合と比較して、これよりもサンプルからの核酸収率はより高くなり得る。
当業者は、本明細書に記載する処理工程の様々な組み合わせも採用可能であると認識する。例えば、本明細書に記載するように、パラフィン分離後にサンプルに適用される集束型音響エネルギーの量及び処理パラメーター並びにその他の工程(例えば、消化、架橋の逆戻し等)に応じて、全体的な核酸回収量の増加が実現するように、核酸はさらに断片化され得る又は処理され得る。したがって、本明細書に記載する核酸を抽出する方法は、DNA/RNA入手可能性、再現性並びに次世代シーケンシング及びその他の分子分析アプリケーションとの統合化について、その増強を実現する可能性がある。
議論した通り、パラフィンを分離し、酵素消化を行い、架橋を元に戻した後、核酸サンプルはさらに断片化され、次に抽出され得る。例えば、かかる断片化は、次世代シーケンシング分析法で有用であり得る。したがって、サンプルの核酸断片サイズは、集束型音響処理のパラメーターに基づき、任意の適する範囲(例えば、200〜400bp)に調整可能である。例えば、約200bpの標的核酸サイズを実現するには、10%のデューティーファクター、175ワットのピーク放射電力、1バースト当たり200サイクルに設定されたCovaris E−及びS−シリーズ集束型超音波発生装置から生成される集束型音響エネルギーに、サンプルを20℃で約300秒間曝露するのが適切と考えられる。同一の一般的処理条件下で300bpの標的核酸サイズを実現するには、適する処理時間は約110秒であり得る;及び400bpの標的核酸サイズの場合、適する処理時間は、約80秒であり得る。
いくつかの実施形態では、議論されたように、パラフィンを分離し、酵素消化を行い、架橋を元に戻した後、核酸サンプルは、核酸の「遊離」を目的として、集束型音響処理の短時間バースト処理にかけてもよく、驚くべきことに、それによって核酸回収率の増加を実現した。かかる短時間バーストは、集束型音響処理が提供されない場合と比較して、これよりも多くの核酸回収量を実現し得る。また、この短時間バーストは、サンプルがより長い時間、集束型音響処理、例えば上記で議論したような、核酸断片サイズを調整するのに用いられる音響処理の量等に曝露された場合と比較して、これよりも多くの生体分子回収率も実現可能である。したがって、いくつかの実施形態では、サンプルは、10%のデューティーファクター、105ワットのピーク放射電力、1バースト当たり200サイクルに設定されたCovaris E220、又はS−220システムから生成される追加の集束型音響エネルギーに、20℃で約10秒間、処理にかけられ得る。追加の集束型音響エネルギーの短時間バーストは、生体分子回収率を増強するのに適するその他の時間範囲に収まる可能性がある。例えば、集束型音響エネルギーの短時間バーストは、1秒〜30秒、5秒〜20秒、10秒〜15秒等の時間、生じる可能性がある。集束型音響エネルギーへの曝露が短時間であってもなお、かかる曝露は、サンプル内の核酸を、例えば約2.0kbpより大きい、約2.5kbpより大きい、又は約3.0kbpより大きいサイズに若干断片化する原因となり得る。
いくつかの実施形態では、パラフィンを分離し、酵素消化を行い、架橋を元に戻した後、核酸サンプルは、集束型音響エネルギーにさらに曝露しなくても抽出可能である。その結果、サンプルから抽出される核酸の断片サイズは、サンプルが任意の追加の集束型音響エネルギーに曝露された場合と比較して、これよりも大型であり得る。例えば、回収したら、ゲノムサイズの核酸断片が抽出可能である。
図2は、パラフィン包埋サンプル、例えばホルマリン固定パラフィン包埋サンプル等を処理する方法内の工程を示すフロー図である。工程S10では、パラフィン包埋サンプルが容器内に供給される。本実施形態では、サンプルはFFPEサンプルであるが、サンプルは必ずしもホルマリン固定される必要はなく、むしろ単にパラフィン包埋され得る、例えばサンプルはパラフィンの塊に囲まれ得る、さもなければパラフィンをサンプルに付着させ得る。サンプルは、筋肉、結合組織、骨、種子等を問わず、動物又は植物の組織等の任意の適する種類のサンプルであり得る。サンプルは、任意の適する方法で、例えば外科的技法、生検針等により捕集可能であり、また、サンプルの全部又は一部が、容器内に供給可能である。例えば、組織サンプルはパラフィンに包埋可能であり、また、サンプルのスライス又はその他の片は、ミクロトーム又はその他の技法によって、より大きな片から切り出され、容器内に配置可能である。いくつかの実施形態では、過剰のパラフィンは、容器内に配置する前にサンプルから除去され得る、例えば、過剰のパラフィン部分は、サンプルを容器内に配置する前に切除又は破棄され得る。サンプルは、任意の適するサイズ及び/又は形状を有することができ、例えば「スクロール」又は組織の比較的薄い、平坦な片(カール状又はロール状であっても、なくてもよい)であり得、また任意の適する容積を有し得る。1つの説明的な実施形態では、「スクロール」は、厚さが約5〜25ミクロンで、長さ及び幅が約10〜30mmであり得る。いくつかの実施形態では、サンプルは、適するサイズ、容積及び厚さを有する、組織のより大きなシートから打ち抜かれた「コア」であり得る。一実施形態では、「コア」は、直径1〜3mm及び厚さ1〜10mmを有し得る。もちろん、サンプルは、その他の様式で構成可能であり、またその他の適する形状、例えば円筒形、球状の、不規則な、複数の分かれた部分等を有し得る。
サンプルを保持し、またサンプル物質からパラフィンを分離するのに適するサンプルの音響処理が可能となるように容器が構成される限り、容器は任意の適する構造、形状、容積等を有し得る。いくつかの実施形態では、容器は、キャップ又はカバー付きのガラス製又はプラスチック製の管であり、また約10〜100マイクロリットル以上の容積を有し得る。1つの実施形態では、容器は容積が150マイクロリットルの6×16mmの管である。容器は、容器内のヘッドスペースを制御可能にする機構を有することができ、例えば可動式のメンバーは、容器内の液体の上面又は界面に対して位置するように構成され得る。ヘッドスペース容積及び/又は高さを適切に調節すれば、より効率的なサンプルの音響処理が可能となり得るが、但し必ずしも必要とされない。
工程S20では、非溶媒の液体が、サンプルと共に容器に供給される。液体は水性であり得るが、またSDS等の界面活性物質を約0.25%の濃度で含んでもよく、但しその他の適する濃度又は物質も利用可能である。液体は、サンプルに付着したパラフィンの適切な乳化を可能にするような、十分な容積(容器の選択された容積と整合する)で供給することができる。したがって、液体の容積は、適切なパラフィン分離を可能にするのにふさわしい十分大きな容量であるべきであり、サンプルの容積の約1〜10倍以上であり得る。また、液体は、例えば容器のキャップから約1〜2mm以内となるように、要望に応じて容器のヘッドスペースを制御する量で、容器に供給され得る。例えば、液体は、液体の界面が、好適には容器のキャップ又はその他のヘッドスペース制御要素に近づくように供給され得る。液体と共に供給される水は、好ましくは蒸留済みであり、さもなければ好適にはパラフィン分離及び/又は後続する処理を妨害する材料を含まない、例えば分子生物学グレード水であるべきである。サンプル及び液体は、5〜60℃(例えば、5〜10℃、15〜25℃)等の適する温度で供給され得る。
工程S30では、パラフィンは、容器内のサンプル及び液体を適する音響エネルギーに曝露することによりサンプルから分離する。1つの実施形態では、サンプルは、サンプルを均質にし、またサンプルからパラフィンを分離するのに十分な集束型音響エネルギーに曝露される。サンプルは、十分量のパラフィンをサンプルから分離して、核酸及び/又はプロテオーム物質をサンプルから回収できるようにするのに十分な時間、集束型音響エネルギーに曝露され得るが、例えば、いくつかの実施形態では、音響エネルギーは、約100〜200秒間、例えば150秒間等、サンプルに適用され得る。いくつかの実施形態では、音響エネルギーは、約100キロヘルツ〜約100メガヘルツの周波数を有し、また幅が約2センチメートル未満の集束帯を有する。音響エネルギーは、容器とは間隔が置かれ且つその外部にある音響エネルギー源に由来し得るが、例えば、音響エネルギーは、音響エネルギーの少なくとも一部分が容器外部に伝播するように、カップリング媒体を通過して容器に至ることができる。音響エネルギーのピーク放射電力レベルは、約175ワットであり得るが、但しその他の電力レベル、例えば100〜400ワット等も利用可能である。
このプロセス期間中、サンプルに付着したパラフィンの90%、95%、98%以上が分離可能であり、サンプルの乳化、さもなければ液体中への分散が生じ得る。いくつかの実施形態では、パラフィンの分離は、パラフィンの融解温度未満の温度で生じ得るが、例えば容器は、約5〜50℃、例えば約7℃、20℃、40℃又は46℃等の温度の液体(例えば、水ベースの音響カップリング媒体等)の浴槽内に置かれ得る。したがって、いくつかの例では、パラフィンは、サンプルの温度が約55℃よりも低く留まる間に、サンプルから分離し得る。いくつかの実施形態では、乳化後のパラフィンの平均粒子サイズは、0.1〜10ミクロンである。
工程S40では、サンプルの生体分子は、パラフィンを実質的に含まない容器から回収され得る。この回収は、任意の適する方法、例えば、容器内の材料を物理的に掴み、材料を取り出すこと、液体及びサンプル物質を容器からピペッティングすること、サンプル物質を液体から濾過すること、サンプル物質を容器内のパラフィン及び/又はその他の物質から分けるために容器を遠心分離すること等により実施され得る。上記で議論したように、サンプル中のタンパク質又はその他の物質を消化する工程、核酸を剪断又は断片化する工程、パラフィン分離後の追加の音響処理、試薬又はその他の物質を容器に添加する工程等を含む追加のプロセスが、生体分子をサンプルから回収する際に関係し得る。
例えば、プロテアーゼは、パラフィンをサンプルから分離した後、容器内の非溶媒の水溶液及びサンプルに添加され得る。いくつかの実施形態では、プロテアーゼはプロテイナーゼK又はトリプシンであり得るが、これは、分離したパラフィンを除去しないで容器に添加され得る。また又はこれに代えて、プロテイナーゼK又はトリプシンの添加後、サンプルは、サンプルとプロテアーゼとを混合するように構成された音響エネルギー、例えば集束型音響エネルギーに再度曝露されてよく、こうしてプロテイナーゼK又はトリプシンの活性を増強する。例えば、サンプル及びプロテイナーゼK又はトリプシンは、プロテアーゼとサンプルとを混合するために、集束型音響エネルギーに10〜30秒(以上)曝露され得る。音響処理後、サンプルは、プロテイナーゼK又はトリプシンと共に適する時間(例えば、15分〜1時間、又は1時間以上)、プロテイナーゼKの場合、例えば約56℃等でインキュベートされ得る。いくつかの実施形態では、DNAサンプルとプロテイナーゼK又はトリプシンとのインキュベーションが約1時間実施される。いくつかの実施形態では、RNAサンプルとプロテイナーゼK又はトリプシンとのインキュベーションが約15分間実施される。
議論したように、サンプルは、パラフィン分離後に、任意の適する酵素処理にかけられ得る。例えば、プロテアーゼ処理に加えてDNAサンプルを処理する際には、サンプルは、残存RNAを除去するためにRNase消化の対象となり得る。また反対に、RNAサンプルを処理する際には、サンプルは、残存DNAを除去するためにDNAase消化の対象となり得る。
サンプルの追加インキュベーションが、サンプル物質中の架橋を元に戻すために、適する時間、例えば1時間以上にわたり、又は1時間未満(例えば、15分)、約80℃又は90℃等の適する温度で実施され得る。いくつかの実施形態では、約80〜90℃の温度でDNAサンプルの架橋を元に戻す工程は、約1時間実施され得る。いくつかの実施形態では、約80〜90℃の温度でRNAサンプルの架橋を元に戻す工程は、約15分間実施され得る。
サンプル中の核酸が断片化され、サンプルから回収される場合には、サンプル(例えば、パラフィン分離及び/若しくはプロテアーゼ消化で用いた同一の容器及び液体内、又は別の容器内の)は、DNA又はRNA断片を所望のサイズ範囲に剪断するために、音響処理にかけられ得る。例えば、上記で議論したように、サンプルを然るべき量の集束型音響エネルギーに曝露した後、核酸物質は、大部分の断片が50〜500bpのサイズを有するように断片化され得る。またやはり上記で議論したように、サンプルは、集束型音響エネルギーの短時間バーストに曝露され得るが、その結果、核酸の若干の断片化(例えば、1500〜5000bp)が引き起こされ、サンプルがより長い時間、集束型音響エネルギーに曝露された場合、又は集束型音響エネルギーを全く適用しなかった場合と比較して、これよりなおも高い回収率が得られる。
その後、断片化された核酸は、例えば、容器(又はその内容物)を遠心分離し、核酸を容器からピペッティングし、パラフィン(存在する場合)及び/又は容器内のその他の物質を除くことにより回収され得る。サンプルの水相中に存在する回収された核酸は、次に精製され得る、さもなければ、例えば公知の精製技法を用いて処理され得る。例えば、サンプルは、グアニジンを通常含有するカオトロピック塩の溶液に添加可能であり、また、エタノールが核酸物質に添加可能であり、そしてボルテックスにより混合可能である。用いられる塩溶液及びエタノールの容積は、サンプルの液体容積に一般的に比例する。ボルテックスで混合した後、容器は、室温又はその他の適する温度で遠心分離(例えば、10,000×gで2分)され得る。遠心分離後、パラフィン粒子が容器内に存在する場合には、白色の浮動層を液体最上部に形成する。容器は、遠心機ローター内では同一のアングルで維持可能であり、また、容器から核酸を含有する液体を回収するのにピペットが用いられる。
液体は、次に適する精製カラム(例えば、シリカメンブレンカラム)に、結合バッファーと共に移動可能であり、その後水中に溶出される。一般的に、容器からいくらかのパラフィン粒子が移動するのはいずれも許容され、移動しても核酸精製が妨害されることはない。
さらに、いくつかの事例では、後続する処理用として、顕微鏡のスライドから組織切片を収集するのにツールが利用可能である。図3は、スライド上に乗せた組織サンプル(例えば、FFPEサンプル)と嵌合する収集部分210、及びツールを適切に操作するためのハンドル220を有する収集ツール200の説明的な実施形態を示す。例えば、収集ツール200は、スライドから組織サンプルを削り取り、取り出すように、顕微鏡スライドの表面に沿ってしかるべく押し付け可能である。
使用期間中、ユーザーは、収集部分の端部212がスライド表面上に乗せた組織サンプル近傍に乗せられるように、収集ツール200の位置を決めることができる。ユーザーは、次にハンドル220を握り、比較的鋭利な端部212がサンプル下部に割り込んだ状態となり、スライド表面から凹所214内にサンプルを持ち上げるように、ツールをスライド表面に沿って押すことができる。より多くのサンプルがスライドから持ち上げられ、凹所214内に集まると、サンプルは、凹所により規定される全体形状に一致する。例えば、組織サンプルが凹所214内に集まると、サンプルは棒状の形状に褶曲する。
収集が適正に行われたら、サンプルは、例えば処理/分析用の容器/管内に容易に移される。すなわち、ユーザーは、褶曲した組織サンプルがその中に滑り込み可能なように、処理容器の開口部の上でツールを転倒させることができる。
凹所214は、長さL、幅W、及び深さDの任意の適する寸法を有し得る。いくつかの実施形態では、凹所は、1mm〜50mm又は1mm〜30mm(例えば、5〜20mm)の長さLを有する。いくつかの実施形態では、凹所は、0.5mm〜10mm、又は1mm〜5mm(例えば、1〜3mm)の幅Wを有する。いくつかの実施形態では、凹所は、0.5mm〜10mm、又は1mm〜5mm(例えば、1〜3mm)の深さDを有する。凹所の寸法は、その他の然るべき範囲に収まり得ると認識され得る。
収集ツールは、任意の適する材料を含み得る。いくつかの実施形態では、ツールは、医学グレード材料、例えば医療機器グレードのポリカーボネート等から作製される。例えば、Makrolon2458は、ツールを形成するのに用いられる、適する材料であり得る。かかる材料は、端部の鋭利性を維持するように、比較的低い粘度を有し得る(例えば、加熱したときに)。材料は、適する硬度、例えば75Mスケールのロックウェル硬度も有し得る。したがって、ツールは、そうでなければサンプルが接着し得るスライドから、サンプルを持ち上げて取り出す際に、損傷を与えることなく、多数回使用に適し得る。
収集ツールは、生物学的試料を取り扱うのに利用可能であるので、ツールそのものは、例えばオートクレーブ、酸化エチレン(EtO)及び/又は蒸気滅菌による標準的洗浄に適し得る。ツールは、その他の方法によっても洗浄又は滅菌処理可能である。
いくつかの実施形態では、収集ツール200は、スライドの温度を上げるスライドウォーマーと共に用いられる。したがって、スライドウォーマーは、温度が低かった場合と比較して、これよりも容易に組織サンプルをスライドから分けることができる。
上記のように、システム制御回路10は、制御、コミュニケーション及び/又はその他の望ましい機能を実施する任意の適する構成要素を含み得る。例えば、システム制御回路10は、データ処理機能の実施、データ及び/又は操作の説明を保管する1つ又は複数のメモリー(例えば、揮発性及び/又は不揮発性のメモリー、例えば光学ディスクとディスクドライブ、半導体メモリー、磁気テープ又はディスクメモリー等を含む)、コミュニケーションバス又は有線若しくは無線コミュニケーションのためのその他のコミュニケーションデバイス(例えば、様々なワイヤー、スイッチ、コネクター、イーサーネットコミュニケーションデバイス、WLANコミュニケーションデバイス等を含む)、ソフトウェア又はコンピューター実行可能なその他の説明(例えば、上記のような負荷電流制御回路及びその他の構成要素を制御することと関連する機能を実施するための説明を含む)、電力供給部又はその他の電源(例えば、電気コンセントに適合するプラグ、バッテリー、トランスフォーマー等)、リレー及び/又はその他のスイッチングデバイス、機械的リンク機構、1つ又は複数のセンサー又はデータインプットデバイス(例えば、温度及び/又は媒体16の存在を検出するセンサー、ビデオカメラ、又は容器4若しくはその他の構成要素に関する画像情報を取り込み、分析するその他のイメージングデバイス、音響トランスジューサー14及び/又は容器4の位置を示す位置センサー等)、ユーザーデータインプットデバイス(例えば、ボタン、ダイヤル、ノブ、キーボード、タッチスクリーン等)、情報表示デバイス(例えば、LCDディスプレー、表示灯、プリンター等)、及び/又は所望のインプット/アウトプット及び制御機能を提供するその他の構成要素に関する、1つ又は複数の一般目的用コンピューター、コンピューターネットワーク、1つ又は複数のマイクロプロセッサー等を含み得る。
実施例1
本発明の態様に基づくプロセスを用いたFFPEサンプルに由来する核酸(この場合DNA)の収率を、Promega ReliaPrep FFPE gDNA Miniprepシステムを用いて得られた収率と比較する比較試験を実施した。
0.25%のSDSを含有するバッファーを、サンプルからパラフィンを分離するのに用いた。Covaris microTUBEスクリューキャップ容器に、このバッファー106マイクロリットルを添加した。厚さ20マイクロメートル及び重量5mg未満のスクロール2片を同一のmicroTUBE容器に負荷した。
175W、10%のデューティーファクター、150秒、及び1バースト当たり200サイクル、41℃からなる第1の音響処理(Covaris E又はS-シリーズによる)を、サンプルからパラフィンを分離し、これを再水和するのに用いた。次に、プロテイナーゼK(20mg/ml)、20マイクロリットルを、同一のmicroTUBE容器に添加した。次に、短い音響処理(175W/10%のデューティーファクター/10秒/1バースト当たり200サイクル)を実施して、プロテイナーゼK及びサンプルを混合した。
次に、プロテイナーゼKにより組織を消化するために、サンプルを56℃で1時間インキュベートした。次に、80℃、1時間の別のインキュベーション工程を、核酸とタンパク質との間の架橋を元に戻すために実施した。
最後に、同一のmicroTUBE容器を用いて、サンプル又はパラフィンを移すことなく、次の遺伝子配列決定に適するサイズにDNAを断片化するために、音響処理(175W/10%のデューティーファクター/1バースト当たり200サイクル/430秒)を実施した。音響処理により、断片サイズは、200bpに中心を有し、また50〜500bpを含む分布に短縮した。
要するに、上記実施例により、DNA断片を精製、定量化した際、収率はPromegaシステムで得られた収率の2〜3倍であった。
実施例2
本発明の態様に基づくプロセスを用いて、FFPE腎臓組織サンプルから得られた10ミクロンの切片セクションに由来するRNAの収率を、従来型のPROMEGA ReliaPrep FFPE全RNA Miniprepシステムを用いて得られた収率と比較するために、実施例1に記載した試験と類似した試験を実施した。
FFPEサンプルについてRNA調製するためのプロトコールは、特定の処理条件が異なった点を除き、実施例1のDNAについて上記したものと実質的に同一であった。このプロトコールでは、RNAサンプルを、プロテイナーゼKと共に、56℃で15分間インキュベートし、タンパク質消化を可能にした。サンプルを80℃で15分間、さらにインキュベートし、RNAとタンパク質との間の架橋を元に戻すことを可能にした。次に、残存DNAをすべて除去するために、サンプルをDNAaseに曝露した。次に、RNAを精製カラムに結合させ、結合バッファーで洗浄した。RNA分子を、その後水50マイクロリットルに溶離した。
QUBIT RNA HSアッセイキットを用いて、RNA断片を精製及び定量した。集束型音響エネルギーを用いて処理した2つの異なるサンプルに由来するRNA回収率は、PROMEGAシステムを用いて処理した2つの比較サンプルと比較して、125%及び144%の収率であったことが判明した。
実施例3
Covaris FFPE DNA精製キットを用いて、FFPEサンプルからDNAを精製及び回収し、定量PCR(qPCR)を実施するために、これをマルチプレックスPCR準拠品質管理アッセイ法により試験した。溶媒に基づくパラフィン除去法を採用するQIAGEN QIAamp DNA FFPE組織キットを用いて得られた収率の2〜4倍上回る収率で、精製DNAを回収した。
厚さ約7〜25ミクロンのFFPE組織切片を切り出すのに、ミクロトームを用い、これから直径約1.2mm及び約12mgのFFPE組織コアを打ち抜いた。FFPE組織コアを、SDSバッファーと共にCovaris microTUBEスクリューキャップ容器に負荷した。
175W、10%のデューティーファクター、300秒、及び1バースト当たり200サイクル、20℃からなる第1回集束型音響処理(Covaris E又はS-シリーズによる)を、サンプルからパラフィンを分離し、同時に組織を再水和するのに用いた。集束型音響処理期間中、サンプルは乳化状態となり、乳白色の外観を呈した。
次に、プロテイナーゼK20マイクロリットルを、microTUBE容器内のサンプルに添加した。次に、プロテイナーゼK及びサンプルを共に混合するために、短時間の集束型音響処理(下記のパラメーターのCovaris S220又はE220システムを用いて:175W/10%のデューティーファクター/10秒/1バースト当たり200サイクル)を、20℃で実施した。
次に、プロテイナーゼKにより組織を消化するために、サンプルを56℃で1時間インキュベートした。核酸とタンパク質との間の架橋を元に戻すために、サンプルを80℃で1時間、さらにインキュベートした。
架橋を元に戻した後、サンプルを3つの異なるオプションにより処理した。図4〜5は、3つの異なるオプションのそれぞれにより処理したDNAサンプルについて、qPCRによる断片サイズ分布300、310を示す。図6は、各サンプルからのDNA回収量、並びにQIAGEN QIAamp DNA FFPE組織キットからのDNA回収量を示す。
第1の処理オプションでは、さらに音響処理を行わずにDNAサンプルを精製し、サンプルをqPCRにより分析した。DNAは追加の集束型音響処理に一切曝露されず、したがって断片化されなかったので、DNA断片のサイズは、追加の集束型音響処理にかけられたDNAサンプルと比較して、これよりも比較的大きめであった。図4は、第1のオプションにより処理されたサンプルに関するDNA断片サイズ分布302を示す。示す通り、DNA断片サイズの分布は、5000bpを超えた辺りにピークを有する。図6は、DNA回収量(すなわち、組織切片1mg当たり約0.60μg)は有意であり、QIAGEN QIAamp DNA FFPE組織キットの利用から得られたDNA回収量(すなわち、組織切片1mg当たり約0.20μg)より比較的多かった(約3倍)ことを示す。
第2の処理オプションでは、下記のパラメーターのCovaris S220又はE220システムを用いて、DNAサンプルを精製し、音響エネルギーの短時間バースト処理にかけた:105W/10%のデューティーファクター/10秒/1バースト当たり200サイクル、microTUBE内の温度20℃。この場合、追加の集束型音響処理は、若干程度のDNA断片化を引き起し、さらに全体的なDNA回収量も増強した。図4は、第2のオプションにより処理されたサンプルに関するDNA断片サイズ分布304を表し、分布のピークは2000bpを超えていることを示す。図6は、サンプルが追加の集束型音響処理に曝露されなかった第1の処理オプションを用いたときに観察されたDNA回収量よりさらに高いDNA回収量(すなわち、組織切片1mg当たり約0.75μg)が認められることを示す。集束型音響の短時間バーストに起因するDNA回収量は、QIAGEN QIAamp DNA FFPE組織キットの利用から得られたDNA回収量(すなわち、組織切片1mg当たり約0.20μg)のほぼ4倍高かった。
第3の処理オプションでは、集束型音響を用いてDNAサンプルを精製し、所望の断片サイズに断片化した。下記のパラメーター:175W/10%のデューティーファクター/1バースト当たり200サイクル、microTUBE内の温度20℃のCovaris S220又はE220システムを用いた場合、処理時間は所望の断片サイズに応じて変化する。すなわち、約300bpにピークを有するDNA断片サイズ分布を得るためには、図5の分布312から明らかのように、集束型音響処理は約110秒間継続する。また、約200bpにピークを有するDNA断片サイズ分布を得るには、図5の分布314から明らかなように、集束型音響処理は約300秒間継続する。図6は、断片化後のDNA回収量(すなわち、組織切片1mg当たり約0.45μg)は、QIAGEN QIAamp DNA FFPE組織キットの利用から得られたDNA回収量(すなわち、組織切片1mg当たり約0.20μg)よりも2倍を超えて高いことを示す。
まとめとして、上記実施例に基づく方法を用いてDNA断片を精製し、任意選択により断片化し、定量したとき、収率はQIAGENシステムから得られる収率よりかなり高かった(例えば、2〜4倍)。
実施例4
別の実施例では、集束型音響によるFFPE組織からのパラフィン分離を試験するのに蛍光顕微鏡検査を用いた。正常なヒト腎臓から得られたFFPE組織サンプルは、Cooperative Human Tissue Network、Eastern Division University of Pennsylvaniaより提供された。厚さ約25ミクロンのFFPEサンプルを切り出すのにミクロトームを用いた。
FFPE組織切片を、SDSバッファー、110マイクロリットルと共に、CovarisスクリューキャップmicroTUBEに配置した。サンプルを含有するmicroTUBEをCovaris S220集束型超音波発生装置に負荷し、次のパラメーター:10%のデューティーファクター、175WのPIP、1バースト当たり200サイクル、20℃で5分間に基づき、集束型音響エネルギーで処理した。集束型音響エネルギーは、組織を同時に再水和しつつ、組織サンプルからパラフィンを分離するように機能した。集束型音響プロセス期間中、サンプルは乳化され、乳白色の外観を呈した。
組織サンプルを1.5mLの微量遠心チューブにスピン移動し、水1mLで3回洗浄して、乳化されたワックス粒子を除去した。
遊離したパラフィンを洗浄後、サンプルを顕微鏡スライド上にマウントし、少なくとも30分間乾燥した。蛍光顕微鏡(蛍光及びEXI-BLUカメラを備えるOlympusモデルIX73)を、除去処理後に組織内に残存するパラフィンの自己蛍光を試験するのに用いた。図7は、パラフィン包埋組織、及び集束型音響を用いて処理した組織サンプルの蛍光画像500を示し、この場合、パラフィンは組織サンプルからすでに分離している。
集束型音響処理は、QIAGEN FFPE組織キットで観察された場合よりも効率的且つ効果的に、組織サンプルからパラフィンを分離できることが観察された。概して、組織内に残留するパラフィンの自己蛍光強度は、QIAGEN FFPE組織キットで処理したサンプルと比較して、これよりもCovarisシステムで処理したサンプルの方が1/3に低下し、且つより均質であった。例えば、蛍光強度は、QIAGEN FFPE組織キットで処理したサンプル中では、最大40%変化するのが観察された。対照的に、集束型音響で処理したサンプルの蛍光強度では、変化は20%未満であり、本質的により安定であることが観察された。組織サンプルからパラフィンを均一に分離すれば、より効率的な組織の再水和(例えば、プロテアーゼ等の酵素は組織の水和した部分のみを消化する)が可能となり、サンプル全体を代表する偏りのない消化及び核酸抽出を可能にする。
不定冠詞「a」及び「an」は、本明細書及び特許請求の範囲で用いる場合、明確に反対の記載のない限り、「少なくとも1つ」を意味するものと理解すべきである。
語句「及び/又は」は、本明細書及び特許請求の範囲で用いる場合、要素の「いずれか一方又は両方」がそのように併存する、すなわち、いくつかのケースにおいては併存的に存在し、その他のケースにおいては独立的に存在する要素を意味するものと理解すべきである。「及び/又は」を用いて列挙されている複数の要素も同様に、すなわち「1つ又は複数」の要素がそのように併存するものと、解釈すべきである。「及び/又は」の句により特に識別された要素以外のその他の要素は、特に識別された要素と関連する又は関連しないによらず、任意選択により存在し得る。
「を含む(including)」、「を含む(comprising)、「を有する(having)」、「を含有する(containing)」、「を伴う(involving)」、及び/又はその変化形を本明細書において使用する場合、それは、その後に列挙する事項及びその同義の事項並びに追加の事項を含むことを意味する。
また、明確に反対の記載のない限り、本明細書において主張される2以上の工程又は行為を含む任意の方法では、方法の工程又は行為の順序は、方法の工程又は行為を列挙する順番に必ずしも限定されないものと理解すべきである。
様々な説明的な実施形態を参照しながら本発明の態様を記載してきたが、かかる態様は記載した実施形態に限定されない。したがって、記載した実施形態の多くの代替形態、修飾形態及び変化形態が、当業者にとって明白であることは明らかである。したがって、本明細書に記載した実施形態は、限定を意図するものではなく、説明を意図したものである。様々な変更は、本発明の態様の精神から逸脱することなく、なし得る。

Claims (30)

  1. 予めホルマリン固定されパラフィンに包埋されたパラフィン包埋組織サンプルを、容器内に供給する工程と、
    非溶媒の溶液を、前記パラフィン包埋サンプルを伴った前記容器内に供給する工程と、
    前記容器内のサンプル及び非溶媒の溶液を、前記サンプルからパラフィンを分離するための音響エネルギーに曝露することにより、前記パラフィン包埋サンプルからパラフィンを分離する工程と、
    前記サンプルからパラフィンを分離した後の前記サンプルから生体分子を回収する工程と、
    を含む、パラフィン包埋サンプルを処理する方法。
  2. 前記分離する工程が、核酸及び/又はプロテオミック物質が前記サンプルから回収できるように、十分量のパラフィンを前記サンプルから分離するのに十分な時間にわたって前記サンプルを集束型音響エネルギーに曝露する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記分離する工程が、前記サンプルに付着したパラフィンの90%超を分離する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記分離する工程が、前記サンプルに付着したパラフィンの98%超を分離する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記分離する工程が、前記サンプルを集束型音響エネルギーに曝露している間、前記サンプルを再水和する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記分離する工程が、前記容器が約5〜60℃の温度の液体の浴槽内に置かれている間、前記サンプルを集束型音響エネルギーに曝露する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記浴槽の温度が約20℃である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記分離する工程が、前記サンプルの温度を約60℃未満に維持する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記サンプルは、厚さが5〜25ミクロンで、長さが25mm未満である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記サンプルは、直径が1〜3mmで、厚さが1〜10mmである、請求項1に記載の方法。
  11. 前記サンプルからパラフィンを分離した後、プロテアーゼを前記容器内の非溶媒の溶液及びサンプルに添加する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  12. プロテアーゼ含有溶液を前記サンプルと混合するために、前記サンプル及び前記プロテアーゼ含有溶液を集束型音響エネルギーに曝露する工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記サンプル及びプロテアーゼ含有溶液を集束型音響エネルギーに曝露する工程が、前記サンプルに由来する核酸物質をより小さな断片に断片化するのに適する集束型音響エネルギーに、前記サンプルを曝露する工程を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 核酸物質を断片化するために前記サンプルを集束型音響エネルギーに曝露した後の核酸物質の大部分の断片が、50〜1000bpのサイズを有する、請求項13に記載の方法。
  15. 前記容器が、回収工程期間中に、前記サンプルから分離したパラフィンを含有する、請求項13に記載の方法。
  16. 前記回収工程が、前記サンプル、分離したパラフィン並びに核酸及び/又はプロテオーム物質の非溶媒の溶液を前記容器からピペッティングする工程を含む、請求項14に記載の方法。
  17. 前記容器内のサンプルを、プロテアーゼ含有溶液と共に、前記サンプル中のホルムアルデヒド架橋を元に戻す温度でインキュベートする工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
  18. 前記温度が、80℃〜90℃である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記サンプルとプロテアーゼ含有溶液とを追加の集束型音響エネルギーに曝露する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
  20. 前記サンプルがDNAを含み、前記サンプルとプロテアーゼ含有溶液とを追加の集束型音響エネルギーに曝露する工程が、DNA回収量を増強し且つDNAを2.0kbpより大きな断片に断片化する、請求項17に記載の方法。
  21. 前記サンプル中の組織を消化するために、前記容器内のサンプルをプロテアーゼ含有溶液と共に、50〜60℃の温度でインキュベートする工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
  22. 前記回収工程が、内容物を前記容器から第2の容器に移すために、前記サンプル、分離したパラフィン並びに核酸及び/又はプロテオーム物質の非溶媒の溶液を含有する前記容器を遠心分離する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  23. 前記容器から回収された核酸物質を精製する工程をさらに含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記音響エネルギーが、約100キロヘルツ〜約100メガヘルツの周波数を有し、且つ約2センチメートル未満の幅の集束帯を有し、前記音響エネルギーが、前記容器とは間隔が置かれ且つ前記容器の外部にある音響エネルギー源に由来し、少なくとも前記音響エネルギーの一部分が、前記容器外部に伝播する、請求項1に記載の方法。
  25. 非溶媒の溶液を供給する工程は、溶液の最高液面が、前記容器に配置されたキャップから2mm以内にくるように前記容器内のヘッドスペースを規定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  26. 前記サンプルが、DNA又はRNAを含む核酸を含む、請求項1に記載の方法。
  27. パラフィン包埋組織サンプルを容器内に供給する工程が、前記容器に入れるため、組織サンプルを表面から除去する収集ツールを用いる工程を含む、請求項1に記載の方法。
  28. 前記収集ツールを用いる工程が、組織サンプルを表面から分けるために、前記収集ツールの端部を前記組織サンプルと表面との間に割り込ませる工程を含む、請求項27に記載の方法。
  29. 前記収集ツールを用いる工程が、その後サンプルを容器内に入れるために、前記組織サンプルを前記収集ツールの凹所内で、ある形状に成形する工程を含む、請求項28に記載の方法。
  30. サンプルを保持するように構成されており、ホルマリン固定パラフィン包埋組織サンプルと非溶媒の水溶液とを保持する、容器と、
    サンプルが前記容器内にあり且つ音響エネルギー源と分かれている間、音響エネルギーを前記サンプルに供給し、集束帯を有する、音響エネルギー源と、
    前記容器を支持するように構成されており、前記音響エネルギーの集束帯内に少なくとも部分的に前記容器が位置するように構成された、容器ホルダーと、
    パラフィンをサンプルから分離するのに適する集束型音響エネルギーに前記サンプルを曝露して前記サンプルの生体分子を回収できるように、前記音響エネルギー源を制御するために構成されたシステム制御回路と、
    を備える音響処理デバイス。
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FRANK THOMAS S.M.D.: "Compparison of Methods for Extracting DNA from Formalin-Fixes Paraffin Sections for Nonisotopic PCR,", DIAGNOSTIC MOLECULAR PATHOLOGY, JPN6017031974, September 1996 (1996-09-01), ISSN: 0003729069 *

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