JP2016219962A - 運用損失を考慮して障害予測結果を評価する装置、システム、プログラム及び方法 - Google Patents

運用損失を考慮して障害予測結果を評価する装置、システム、プログラム及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】事業システムの運用損失をも考慮して、障害発生の予測結果を評価することができる装置を提供する。【解決手段】本障害予測評価装置は、事業システムにおける障害の発生を予測する障害予測手段による予測結果としての複数の障害種別の各々について、正解障害種別毎に、障害種別が実際に予測障害種別として予測された回数に係る予測回数情報を取得する予測結果取得手段と、正解障害種別毎に、予測障害種別の各々について、当該予測障害種別の内容に従って対処又は放置した際に発生する運用損失に係る情報である運用損失情報を取得する運用損失取得手段と、正解障害種別と予測障害種別との組毎に、対応する当該予測回数情報を運用損失情報によって重み付けした値に基づいて、当該障害予測手段による予測結果の評価の指標となる評価値を算出する評価値算出手段とを有する。ここで、事業システムは、例えば通信ネットワークシステムであってもよい。【選択図】図3

Description

本発明は、事業システムでの障害の発生を予測する障害予測手段による予測結果を評価する技術に関する。
今日の通信サービス事業者やインターネット関連サービス事業者にとって、通信ネットワーク(NW)システムに設置されたNW設備等での障害の発生を予測することは、迅速な障害復旧を可能とするNW運用を実現するために重要となる。
実際、今日まで、様々な事業システムにおいて種々の障害予測技術が研究開発されている。例えば、特許文献1〜3に記載された技術では、分類学習アルゴリズムとしてナイーブベイズ(例えば非特許文献1参照)やサポートベクタマシン(例えば非特許文献2参照)、決定木(例えば非特許文献3参照)等の機械学習を利用し、監視設備が取得するデータに基づいて障害の発生を予測している。
ここで、これらの障害予測技術による予測結果が実際にどこまで有効であるかを評価し、対象となる通信NW等の事業システムにとってどのような障害予測手法を適用すべきかを判断することは非常に大事である。
このような発生し得る事象の予測結果の有効性を測る従来の指標としては、非特許文献4に記載されたAccuracy、F-measure、Precision及びRecall、即ち、
Figure 2016219962
が挙げられる。上式(1)において、kは事象種別を指定する指数であり、Kは全事象種別を含む集合である。また、Accuracyは予測全体の正解率を示し、F-measurekは事象種別k毎の予測性能を示す。さらに、Precisionkは、ある事象種別kであると予測された場合に正解もその事象種別kである割合を示し、Recallkは、ある事象種別kが正解である場合に予測結果もその事象種別kである割合を示す。このうち、F-measurekはPrecisionkとRecallkとの調和平均として算出される。
これらの指標は、上式(1)に示すように、TP(True Positive)、FP(False Positive)、FN(False Negative)及びTN(True Negative)から算出される。ここで、事象の予測結果の評価は事象種別k毎の正解率を把握することが基本となるため、TP、FP、FN及びTNは以下のように定義されてその値が取得される。
TPk:事象種別kが、正しく事象種別kと予測された件数
FPk:事象種別kでない障害が、誤って事象種別kと予測された件数
FNk:事象種別kが、誤って事象種別kでない障害と予測された件数
TNk:事象種別kでない障害が、正しく事象種別kではない障害と予測された件数
特開2012−128583号公報 特開2013−191672号公報 特開2013−13075号公報
Pedro Domingos及びMichael Pazzani、「On the Optimality of the Simple Bayesian Classifier under Zero-One Loss」、Machine learning、Vol.29、pp.103-130、1997年 Corinna Cortes及びVladimir Vapnik、「Support-Vector Networks」、Machine Learning、Vol.20、pp.273-297、1995年 Rokach, Lior及びMaimon, O.、「Data mining with decision trees: theory and applications」、World Scientific Pub Co Inc.、2007年 元田浩、津本周作、山口高平、及び沼尾正行、「IT Text データマイニングの基礎」、オーム社、2006年
しかしながら、例え、上述した従来のAccuracy、F-measurek、Precisionk及びRecallkといった指標を用いて障害予測技術による予測結果を評価したとしても、尚、事業システムの運用における、障害予測による現実的なメリット・デメリットを評価することは困難である。
実際、上述したAccuracy、F-measurek、Precisionk及びRecallkといった指標は、TPk、FPk、FNk及びTNkといった事象種別に係る予測結果の単純な総件数に基づいて算出される。一方、特許文献1〜3に記載された障害予測技術においては、その予測結果に、事業システムの運用コスト等の運用面での事情は何ら反映されない。従って、これらの指標による評価結果も、そのような運用面での事情を考慮したものとはなり得ない。
これに対し、実際の事業システムの運用においては、例えば障害の発生を予測した場合、故障した設備の交換に要するコストや、障害の発生した現地への出動等に要するコストも考慮した上で、この予測の結果を評価する必要がある。また、予測結果に基づいて障害に対応した際に、提供するサービスがどの程度劣化するかや、障害復旧にどれだけの時間が費やされるかといった運用上発生する損失の度合いも考慮可能であることも望まれる。しかしながら、そのような運用コストを含めた運用損失の観点から障害予測結果を評価することは、従来何ら提案されてこなかった。
そこで、本発明は、事業システムの運用損失をも考慮して、障害発生の予測結果を評価することができる装置、システム、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、事業システムにおける障害の発生を予測する障害予測手段による予測結果を評価する障害予測評価装置であって、
当該障害予測手段による予測結果としての複数の障害種別の各々について、予測した際に正解であった障害種別である正解障害種別毎に、当該障害種別が実際に予測障害種別として予測された回数に係る予測回数情報を取得する予測結果取得手段と、
当該正解障害種別毎に、当該予測障害種別の各々について、当該予測障害種別の内容に従って対処又は放置した際に発生する運用コストを含む運用損失に係る情報である運用損失情報を取得する運用損失取得手段と、
当該正解障害種別と当該予測障害種別との組毎に、1つの予測障害種別における当該正解障害種別毎に、又は1つの正解障害種別における当該予測障害種別毎に、対応する当該予測回数情報を当該運用損失情報によって重み付けした値に基づいて、当該障害予測手段による予測結果の評価の指標となる評価値を算出する評価値算出手段と
を有する障害予測評価装置が提供される。
ここで、本発明における障害発生予測対象である事業システムは、少なくとも1つの設備を備えており、
予測結果取得手段は、当該設備の交換又は修理が必要な障害である旨の障害種別、及び当該設備の交換又は修理が不要な障害である旨の障害種別についての当該予測回数情報を取得し、
運用損失取得手段は、当該設備の交換又は修理が不要な障害である旨の正解予測種別と、当該設備の交換又は修理が必要な障害である旨の予測障害種別とに対応する運用損失情報として、当該設備の交換又は修理に係るコスト分が加算された値を採用することも好ましい。
さらに、障害発生予測対象である事業システムは、障害発生時にその場で対応が必要となる少なくとも1つの現地を有し、
予測結果取得手段は、当該現地での対応が必要な障害である旨の障害種別、及び当該現地での対応が不要な障害である旨の障害種別についての当該予測回数情報を取得し、
運用損失取得手段は、当該現地での対応が不要な障害である旨の正解予測種別と、当該現地での対応が必要な障害である旨の予測障害種別とに対応する運用損失情報として、当該現地への出動コスト分が加算された値を採用することも好ましい。
さらにまた、障害発生予測対象である事業システムは、少なくとも1つの設備を備え、障害発生時にその場で対応が必要となり得る少なくとも1つの現地を有する通信ネットワークシステムであることも好ましい。
また、通信ネットワークシステムが障害発生予測対象である実施形態において、予測結果取得手段によって取得される予測回数情報を導出するための当該予測結果は、当該障害予測手段が、当該設備から又は予めネットワークに設置された監視設備から収集されるネットワークに係るアラーム情報と、当該正解障害種別とを教師データセットとして学習させて構築した学習器に対し、予測対象であるアラーム情報を入力することによって取得した予測結果であることも好ましい。
さらに、本発明による障害予測評価装置の一実施形態として、当該複数の障害種別は、(a)対処が不要な障害である旨の障害種別、
(b)遠隔リセットが必要な障害である旨の障害種別、
(c)事業システムにおける現地での対応が必要な障害である旨の障害種別、及び
(d)事業システムの有する設備の交換又は修理が必要な障害である旨の障害種別
からなる群から選択された少なくとも1つを含むことも好ましい。
さらにまた、本発明による障害予測評価装置の他の実施形態として、当該運用損失情報は、
(a)障害予測のない場合に必要となる運用コストと比較した運用コストの増減分、
(b)障害予測が外れる又は当たることによって生じるサービスの向上又は劣化の度合い、及び
(c)障害予測のない場合に必要となる障害復旧のための時間と比較した障害復旧時間の増減分
からなる群から選択された少なくとも1つを含むことも好ましい。
また、本発明において、当該運用損失情報は、対応する当該正解障害種別及び当該予測障害種別が一致する場合に負値又はゼロをとり且つ一致しない場合に正値又はゼロをとり、当該評価値は、負値としての絶対値が大きいほど、当該障害予測手段による予測結果の有効性がより高いとの評価を示すことも好ましい。
さらに、事業システムが少なくとも1つの設備を備えている実施形態において、評価値算出手段は、当該設備の交換又は修理が必要な障害である旨の予測障害種別における当該正解障害種別毎に、対応する当該予測回数情報を当該運用損失情報によって重み付けした値に基づいて、当該設備の交換又は修理が必要である旨の予測結果に対する有効性を評価する評価値を算出することも好ましい。
本発明によれば、また、少なくとも1つの設備を備えた通信ネットワークシステムにおける障害の発生を予測する障害予測手段と、この障害予測手段による予測結果を評価する障害予測評価装置とを備えた障害予測システムであって、障害予測評価装置は、
障害予測手段による予測結果としての複数の障害種別であって、当該設備の交換又は修理が必要な障害である旨の障害種別、及び当該設備の交換又は修理が不要な障害である旨の障害種別を含む複数の障害種別の各々について、予測した際に正解であった障害種別である正解障害種別毎に、当該障害種別が実際に予測障害種別として予測された回数に係る予測回数情報を取得する予測結果取得手段と、
当該正解障害種別毎に、当該予測障害種別の各々について、当該予測障害種別の内容に従って対処又は放置した際に発生する運用コストであって、設備の交換又は修理が不要な障害である旨の正解予測種別と、当該設備の交換又は修理が必要な障害である旨の予測障害種別とに対応しており当該設備の交換又は修理に係るコスト分が加算された値を有する運用コストを含む運用損失に係る情報である運用損失情報を取得する運用損失取得手段と、
当該正解障害種別と当該予測障害種別との組毎に、1つの予測障害種別における当該正解障害種別毎に、又は1つの正解障害種別における当該予測障害種別毎に、対応する当該予測回数情報を当該運用損失情報によって重み付けした値に基づいて、当該障害予測手段による予測結果の評価の指標となる評価値を算出する評価値算出手段と
を有する障害予測システムが提供される。
本発明によれば、さらに、事業システムにおける障害の発生を予測する障害予測手段による予測結果を評価する装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
当該障害予測手段による予測結果としての複数の障害種別の各々について、予測した際に正解であった障害種別である正解障害種別毎に、当該障害種別が実際に予測障害種別として予測された回数に係る予測回数情報を取得する予測結果取得手段と、
当該正解障害種別毎に、当該予測障害種別の各々について、当該予測障害種別の内容に従って対処又は放置した際に発生する運用コストを含む運用損失に係る情報である運用損失情報を取得する運用損失取得手段と、
当該正解障害種別と当該予測障害種別との組毎に、1つの予測障害種別における当該正解障害種別毎に、又は1つの正解障害種別における当該予測障害種別毎に、対応する当該予測回数情報を当該運用損失情報によって重み付けした値に基づいて、当該障害予測手段による予測結果の評価の指標となる評価値を算出する評価値算出手段と
してコンピュータを機能させる障害予測評価プログラムが提供される。
本発明によれば、さらにまた、事業システムにおける障害の発生を予測する障害予測手段による予測結果を評価する方法であって、
当該障害予測手段による予測結果としての複数の障害種別の各々について、予測した際に正解であった障害種別である正解障害種別毎に、当該障害種別が実際に予測障害種別として予測された回数に係る予測回数情報を取得するステップと、
当該正解障害種別毎に、当該予測障害種別の各々について、当該予測障害種別の内容に従って対処又は放置した際に発生する運用コストを含む運用損失に係る情報である運用損失情報を取得するステップと、
当該正解障害種別と当該予測障害種別との組毎に、1つの予測障害種別における当該正解障害種別毎に、又は1つの正解障害種別における当該予測障害種別毎に、対応する当該予測回数情報を当該運用損失情報によって重み付けした値に基づいて、当該障害予測手段による予測結果の評価の指標となる評価値を算出するステップと
を有する障害予測評価方法が提供される。
本発明の障害予測評価装置、システム、プログラム及び方法によれば、事業システムの運用損失をも考慮して、障害発生の予測結果を評価することができる。
本発明による障害予測評価装置を含む障害予測評価システムの一実施形態を示す模式図である。 障害予測装置の動作フェーズを概略的に説明するための模式図である。 本発明による障害予測評価装置の一実施形態における機能構成を示す機能ブロック図である。 障害種別テーブルの一実施形態を示すテーブル図である。 運用コストテーブルの一実施形態を示すテーブル図である。 本発明による障害予測評価処理の一実施例を説明するためのテーブル図である。 本発明による障害予測評価処理の一実施例を説明するためのテーブル図である。 本発明による障害予測評価処理の一実施例を説明するためのテーブル図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
[障害予測評価システム]
図1は、本発明による障害予測評価装置を含む障害予測評価システムの一実施形態を示す模式図である。
図1において、本実施形態の障害予測評価システムは、
(a)事業システムとしての通信ネットワーク(NW)システム3における障害の発生を予測する障害予測手段としての障害予測装置2と、
(b)障害予測装置2から出力される予測結果を評価する障害予測評価装置1と
を備えている。
通信NWシステム3は、事業者通信網であり、例えば、携帯電話通信網であるLTE(Long Term Evolution)やWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の無線系アクセスネットワークであってもよく、光ファイバ網等の固定系アクセスネットワークであってもよい。通信NWシステム3は、複数の通信設備31を備えており、さらに、ネットワークの状態を監視する監視設備32を備えていてもよい。監視設備32は、通信NWシステム3における様々な測定項目データや各種のアラームを通信設備31等から受信し、取りまとめて障害予測装置2に送信する。
障害予測装置2は、監視設備32や通信設備31から、通信NWシステム3における測定項目データやアラームを受信し、受信したこれらのデータに基づいて、通信NWシステム3における障害の発生の予測結果を生成し出力する。ここで、アラームは、通信NWシステム3の動作・運用における異常や不具合等に係る情報であり、例えば、NWリンクダウンエラーの情報や、信号同期処理エラーの情報等が挙げられる。
また、本実施形態において、障害予測装置2による予測結果は、予測される障害の種類である障害種別となる。障害種別としては、例えば、「対処が不要な障害」、「遠隔リセットが必要な障害」、「現地対応が必要な障害」、「設備交換が必要な障害」等が挙げられる。ここで、例えば、交換対象となり得る通信設備31が複数存在する場合、障害種別として、「設備Aの交換が必要な障害」、「設備Bの交換が必要な障害」、「設備A及び設備Cの交換が必要な障害」等、設備毎又は設備の組毎の種別が挙げられることも好ましい。
さらに、例えば、通信NWシステム3において障害時に対応の必要となる現地が複数存在する場合、障害種別として、「現地Dへの対応が必要な障害」、「現地Eへの対応が必要な障害」、「現地D及び現地Fへの対応が必要な障害」等、現地毎又は現地の組毎の種別が挙げられることも好ましい。
次いで、障害予測評価装置1は、障害予測装置2から、予測結果としての障害種別を受信する。ここで、障害予測評価装置1と障害予測装置2とは、有線又は無線のネットワークで、又は事象者通信網及びインターネットを介して通信接続されている。また、変更態様として、障害予測評価装置1と障害予測装置2とが、1つの装置に組み込まれていてもよい。
さらに、障害予測評価装置1は、1つの障害種別を取得した際、実際に正解であった障害種別である正解障害種別の情報も取得する。この正解障害種別は、例えば、事業者(NW運用者)が、通信NWシステム3における障害発生の実際の状況を、障害予測発生毎に又は対処を実施した後に調査して取りまとめ、記録しておくことによって取得することができる。また、この正解障害種別として、後に図2(A)で示す障害予測装置2の学習フェーズで使用される教師データとしての正解障害種別を用いてもよい。
障害予測評価装置1は、さらに、
(A)予測結果としての複数の障害種別の各々について、予測した際の正解障害種別毎に、当該障害種別が実際に予測障害種別として予測された回数に係る「予測回数情報」を取得し、
(B)正解障害種別毎に、予測障害種別の各々について、当該予測障害種別の内容に従って対処又は放置した際に発生する運用コストを含む運用損失に係る情報である「運用損失情報」を取得し、
(C)正解障害種別と予測障害種別との組毎に、対応する「予測回数情報」を「運用損失情報」によって重み付けした値に基づいて、障害予測装置2による予測結果の評価の指標となる「評価値」を算出する。
ここで、上記(B)における「運用損失情報」は、
(B1)障害予測のない場合に必要となる運用コストと比較した運用コスト(例えば金額)の増減分、
(B2)障害予測が外れる又は当たることによって生じるサービスの向上又は劣化の度合い、又は
(B3)障害予測のない場合に必要となる障害復旧のための時間と比較した障害復旧時間の増減分
とすることができる。さらには、上記(B1)〜(B3)から選択された2つ又は上記(B1)〜(B3)の全部を「運用損失情報」とすることも可能である。
このように、障害予測評価装置1によれば、通信NWシステム3に対する実際の運用に係る情報をも考慮して、障害予測装置2による予測結果を評価することができる。即ち、事業システムの運用における、障害予測による現実的なメリット・デメリットを評価することが可能となるのである。
また、このような運用損失を考慮した予測結果の評価を行うことによって、後述するように、予測結果に従い運用対処を実施した又は放置した場合に発生する運用コスト(金額)を算出することもできる。さらに、この算出された運用コストを評価指標として、障害予測装置2を評価することも可能となる。即ち、運用コストの観点から最適な障害予測装置(システム)を決定することもできるのである。さらにまた、予測結果毎の運用コスト面での重要度を考慮して障害予測装置(システム)を評価することも可能となる。
尚、上記(C)の「評価値」の算出においては、対応する「予測回数情報」を「運用損失情報」によって重み付けするのは、
(C1)正解障害種別と予測障害種別との組毎に
行われる以外にも、
(C2)1つの予測障害種別における正解障害種別毎に、又は
(C3)1つの正解障害種別における予測障害種別毎に
行われてもよい。(C1)〜(C3)の場合、後に詳述するように、それぞれAccuracy、Precision及びRecallに対応した評価値が算出される。このように、障害予測評価装置1によれば、所望の評価基準に対応した「評価値」を算出することも可能となるのである。
[障害予測装置]
図2は、障害予測装置2の動作フェーズを概略的に説明するための模式図である。障害予測装置2における動作フェーズとして、「動作フェーズ」、「学習器評価フェーズ」及び「予測フェーズ」が挙げられる。
図2(A)によれば、障害予測装置2の学習フェーズでは、
(a)過去に又は現時点で収集した通信設備31等から発生したアラームと、
(b)当該アラーム発生の際に実際に生じていた障害の種類である正解障害種別と
を教師データセットとし、上記(a)に係るアラーム群から生成された複数の教師データセットを障害予測装置2に入力して、機械学習の学習器を構築する。
ここで、構築される学習器は、学習方法(機械学習の種類、機械学習のパラメータ、教師データセットの形式等)により異なる。機械学習の種類としては、ナイーブベイズ、サポートベクタマシン(SVM)、又は決定木といった、教師有り学習を行うものならば種々のアルゴリズムが採用可能である。
次いで、図2(B)によれば、学習器評価フェーズでは、構築した学習器に対し、学習フェーズで教師データとして使用したアラーム群を入力し、試験的に、入力したアラーム毎の予測結果(障害種別)を出力させる。次に、出力された予測結果を、学習フェーズで教師データとして使用した障害種別データと比較し、例えば両者の一致率を算出して、構築した学習器の予測性能を評価する。ここで、評価結果が良くない場合(例えば一致率が所定の値を下回る場合)、学習器を再構築することも好ましい。
さらに、図2(C)によれば、予測フェーズでは、学習器評価フェーズでの処理を経た学習器に対し、予測対象のアラーム(群)を入力し、予測結果としての障害種別を出力させる。
以上説明したように、障害予測評価装置1によって取得される障害予測装置2からの予測結果は、障害予測装置2が、通信設備31や監視設備32等から収集されるネットワークに係るアラーム情報と、正解障害種別とを教師データセットとして学習させて構築した学習器に対し、予測対象であるアラーム情報を入力することによって出力した予測結果となっている。
[障害予測評価装置]
図3は、本発明による障害予測評価装置の一実施形態における機能構成を示す機能ブロック図である。
図3によれば、障害予測評価装置1は、通信インタフェース部101と、予測結果蓄積部102と、運用コスト蓄積部103と、評価結果蓄積部104と、プロセッサ・メモリとを有する。ここで、プロセッサ・メモリは、障害予測評価装置1に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって、障害予測装置2による予測結果の有効性を評価する機能を実現させる。
また、プロセッサ・メモリは、予測結果取得部111と、運用損失取得手段としての運用コスト取得部112と、評価値算出部113と、通信制御部121とを有する。ここで、運用コスト取得部112は、設備交換コスト算定部112aと、現地出動コスト算定部112bとを有する。さらに、評価値算出部113は、アキュラシ対応評価値算出部113aと、プレシジョン対応評価値算出部113bと、リコール対応評価値算出部113cとを有する。尚、図3における各機能構成部を矢印で接続した処理の流れは、本発明による障害予測評価方法の一実施形態としても理解される。
通信インタフェース部101は、障害予測装置2から、
(a)予測結果としての障害種別の情報と、当該予測結果の出力の際に正解であった障害種別の情報とを受信し、また、
(b)後述する評価値算出部113で算出された評価値を含む評価結果を、外部の通知先、例えば通信NWシステム3を管理する事業者の情報処理装置宛てに送信する。
通信制御部121は、通信インタフェース部101を介して受信した予測障害種別情報及び正解障害種別情報を予測結果取得部111に出力し、一方、予測障害種別及び正解障害種別として挙げられている障害種別が何であるかの情報を運用コスト取得部112に出力する。また、後述する評価値算出部113で算出された評価値を含む評価結果を外部に送信すべく通信インタフェース部101に出力する。
予測結果取得部111は、障害予測装置2による予測結果としての複数の障害種別の各々について、予測した際に正解であった障害種別である正解障害種別毎に、当該障害種別が実際に予測障害種別として予測された回数に係る予測回数情報を取得し、障害種別テーブル111tを生成する。生成された障害種別テーブル111tは、予測結果蓄積部102に蓄積されることも好ましい。
尚、予測結果取得部111は、予測障害種別に対応した正解障害種別情報を、装置1に設けられた(図示していない)入力インタフェース、例えばタッチパネルやキーボードを介した評価者による入力によって取得してもよい。
図4は、障害種別テーブル111tの一実施形態を示すテーブル図である。
図4によれば、障害種別テーブル111tにおいては、障害予測装置2から取得した予測結果としてのN個の予測障害種別が列項目として並び、予測時での実際の障害種別であるN個の正解障害種別が行項目として並んでいる。並べられた予測障害種別及び正解障害種別の各々には、「対処不要の障害」、「遠隔リセットが必要な障害」、「現地対応が必要な障害」及び「設備の交換(又は修理)が必要な障害」が含まれている。
また、テーブル111tの各欄におけるデータxij(i=1, 2, ・・・, N、j=1, 2, ・・・, N)は、当該欄の行項目及び列項目に対応する事態の発生した件数を示す。例えば、テーブル111tのA欄は、「設備交換が必要な障害」であると予測されたが、正解は「対処不要の障害」であったという予測失敗の事態に対応しており、A欄の値x1Nは、このような予測失敗事態の発生した件数を示す。一方、テーブル111tのB欄は、予測された「設備交換が必要な障害」が実際に正解であったという予測成功の事態に対応しており、B欄の値xNNは、このような予測成功事態の発生した件数を示す。
尚、予測障害種別及び正解障害種別は、テーブル111tに並べられたものに限定されない。予測障害種別及び正解障害種別が各々、「対処不要の障害」、「遠隔リセットが必要な障害」、「現地対応が必要な障害」及び「設備の交換(又は修理)が必要な障害」のうち少なくとも1つを含む形態であってもよく、また、上述したように設備毎若しくは設備の組毎の障害種別、又は現地毎若しくは現地の組毎の障害種別が個別に採用されることも好ましい。
また、テーブル111tの各欄におけるデータxijの単位は、件数でなく、例えばテーブル111t内における件数の割合であってもよい。但し、この単位を件数としておくことによって、後に算出する評価値を、例えば運用コスト額(金額)とし、意味を解釈し易い値とすることができる。
図3に戻って、運用コスト取得部112は、正解障害種別毎に、予測障害種別の各々について、当該予測障害種別の内容に従って対処又は放置した際に発生する運用コストに係る情報である運用コスト情報を取得し、運用コストテーブル112tを生成する。生成された運用コストテーブル112tは、運用コスト蓄積部103に蓄積されることも好ましい。
ここで、本実施形態では、障害種別テーブル111t(図4)において、設備の交換(又は修理)が必要な障害である旨の障害種別、及び設備の交換(又は修理)が不要な障害である旨の障害種別が、予測障害種別及び正解障害種別に挙げられており、これらに対応する予測回数情報が取得されている。このような実施形態において、運用コスト取得部112は、設備交換コスト算定部112aを有することも好ましい。
この設備交換コスト算定部112aは、設備の交換(又は修理)が不要な障害である旨の正解予測種別と、設備の交換(又は修理)が必要な障害である旨の予測障害種別とに対応する運用コスト情報として、当該設備の交換(又は修理)に係るコスト分が加算された値(例えば金額)を採用する。
さらに、本実施形態では、障害種別テーブル111t(図4)において、現地での対応が必要な障害である旨の障害種別、及び現地での対応が不要な障害である旨の障害種別が、予測障害種別及び正解障害種別に挙げられており、これらに対応する予測回数情報が取得されている。このような実施形態において、運用コスト取得部112は、現地出動コスト算定部112bを有することも好ましい。
この現地出動コスト算定部112bは、現地での対応が不要な障害である旨の正解予測種別と、現地での対応が必要な障害である旨の予測障害種別とに対応する運用コスト情報として、当該現地への出動コスト分が加算された値(例えば金額)を採用する。
図5は、運用コストテーブル112tの一実施形態を示すテーブル図である。
図5によれば、運用コストテーブル112tにおいては、列項目及び行項目として、それぞれ障害種別テーブル111t(図4)と同一のN個の予測障害種別及びN個の正解障害種別が並んでいる。
また、テーブル112t内の各欄におけるデータyij(i=1, 2, ・・・, N、j=1, 2, ・・・, N)は、当該欄の行項目及び列項目に対応する運用コストの増減分(例えば金額)を示す。
例えば、テーブル112tのC欄は、「設備交換が必要な障害」であると予測されたが、正解は「対処不要の障害」であったという予測失敗の事態に対応しており、C欄の値y1Nは、この誤った予測結果に従って本来は不要な設備交換を実施してしまうことによる運用コストの増加分(正の金額値)を示す。一方、テーブル112tのD欄は、予測された「設備交換が必要な障害」が実際に正解であったという予測成功の事態に対応しており、D欄の値yNNは、この正しい予測結果に従って必要な設備交換を実施することによる本来必要な運用コストの削減分(予測結果を得ていない状況で設備交換が必要であると判断するまでの調査費用分等)を示す。この場合、yNNは削減分として負の金額値となる。
このように、運用コスト(運用損失)情報は、対応する正解障害種別及び予測障害種別が一致する場合に負値(又はゼロ)をとり、一致しない場合に正値又(はゼロ)をとるように設定される。これにより、後に導出される評価値に対し、予測結果の有効性を評価する値としての方向性をつけることができる。
尚、本実施形態では、各予測結果に従い対応する対処を実施した(又は対応する放置処置をとった)場合に、本来必要となる運用コストと比較して、運用コストがどれだけ増大するか又は削減されるかの金額(yij)を予め見積もっておくことを前提とする。運用コスト増減分yijの決定方法として、例えば、以下の見積り方が採用可能である。
(a)正しい対処のみを実施した場合に省けた工数に基づく対処コストの低減分。
(b)誤って設備交換を実施した場合の、設備の値段及び設置費用に基づく設備コスト。
(c)誤って設備をベンダへ修理に出した場合の、ベンダとの契約に基づく修理コスト。
(d)誤って現地作業を実施した場合の、現地までの距離、赴く人数、作業量及び時間帯に基づく出動コスト。
(e)誤って必要な対処を省いた場合の、サービス影響時間及び影響人数に基づく損失コスト。
尚、運用コスト取得部112は、上記(a)〜(e)の情報を、装置1に設けられた(図示していない)入力インタフェース、例えばタッチパネルやキーボードを介した評価者による入力によって取得してもよい。
また、変更態様として、運用コストと共に又は運用コストに代わって、障害予測が外れる又は当たることによって生じるサービスの向上又は劣化の度合い、及び/又は障害予測のない場合に必要となる障害復旧のための時間と比較した障害復旧時間の増減分といった運用損失(運用リスク)を数値化、例えば金額化したものを用いて、運用コストテーブル112tと同様の形式の運用損失テーブルを生成し、予測結果の評価に使用することもできる。この場合、サービス品質や障害復旧時間をも考慮した障害予測結果の評価が可能となる。
図3に戻って、評価値算出部113は、
(C1)正解障害種別と予測障害種別との組毎に、
(C2)1つの予測障害種別における正解障害種別毎に、又は
(C3)1つの正解障害種別における予測障害種別毎に
対応する予測回数情報を運用損失情報によって重み付けして加算した値に基づいて、障害予測装置2による予測結果の評価の指標となる評価値を算出する。尚、算出された評価値は、評価対象となった装置2の学習器に付与された識別子、又は評価対象となった装置2の学習器における学習方法(機械学習の種類、機械学習のパラメータ、教師データセットの形式等)毎に付与された識別子と対応付けて評価結果蓄積部104に保存されることも好ましい。
具体的に、評価値算出部113では、障害種別テーブル111t(図4)のデータxijと運用コストテーブル112t(図5)のデータyijとを組み合わせて評価値を算出する。
ここで、評価値算出部113のアキュラシ対応評価値算出部113aは、上記(C1)の場合のAccuracy(アキュラシ)対応評価値Ea、即ち、
(2) Ea=Σi=1 NΣj=1 Nxijyij
を算出する。上式(2)において、Σi=1 Nはiについての1からNまでの総和であり、Σj=1 Nはjについての1からNまでの総和である。この評価値Eaは、障害種別テーブル111tにおいていわゆるAccuracyに対応する範囲を評価対象としたものであり、全ての予測結果に従って対応する対処を実施した(対応する放置処置をとった)場合に、本来必要となった運用コストと比較した際の運用コストの増大・削減分の総合計を示した値(金額)となる。
実際、運用コストの増減分yij(図5)は対応する当該正解障害種別及び当該予測障害種別が一致する場合に負値又はゼロをとり且つ一致しない場合に正値又はゼロをとるので、評価値Eaは、負値としての絶対値が大きいほど、障害予測装置2による予測結果の有効性がより高いとの評価を示すことになる。
また、評価値算出部113のプレシジョン対応評価値算出部113bは、上記(C2)の場合のPrecision(プレシジョン)対応評価値Epj、即ち、
(3) Epj=Σi=1 Nxijyij
を算出する。上式(3)において、Σi=1 Nはiについての1からNまでの総和である。この評価値Epjは、障害種別テーブル111tにおいていわゆるPrecisionに対応する範囲を評価対象としたものであり、1つの予測結果に従って対応する対処を実施した(対応する放置処置をとった)場合に、本来必要となった運用コストと比較した際の運用コストの増大・削減分の合計を示した値(金額)となる。
このプレシジョン対応評価値算出部113bによれば、例えば、「設備の交換(又は修理)が必要な障害」との予測障害種別に従って当該設備を交換(又は修理)した場合における、運用コストの増大・削減分の合計を示す評価値Epjが得られる。この場合、得られた評価値Epjの負値としての絶対値が大きいほど、「設備の交換(又は修理)が必要な障害」との予測結果における運用コストを考慮した有効性がより高いことになる。
さらに、評価値算出部113のリコール対応評価値算出部113cは、上記(C3)の場合のRecall(リコール)対応評価値Er、即ち、
(4) Eri=Σj=1 Nxijyij
を算出する。上式(4)において、Σj=1 Nはjについての1からNまでの総和である。この評価値Eriは、障害種別テーブル111tにおいていわゆるRecallに対応する範囲を評価対象としたものであり、1つの正解予測結果がある状況で、予測結果に従って対応する対処を実施した(対応する放置処置をとった)場合に、本来必要となった運用コストと比較した際の運用コストの増大・削減分の合計を示した値(金額)となる。
ここで、比較のため、非特許文献4に記載された従来の評価指標としてのAccuracy、Precision及びRecallを算出することを考える。これら従来の評価指標は、運用コストを何ら考慮せず、従って運用コストテーブル112t(図5)を用いることなく、障害種別テーブル111t(図4)のみで算出される。具体的に、Accuracyは、テーブル111tの対角成分が予測正解を示していることから、
(5) Accuracy=Σi=1 Nxii/Σi=1 NΣj=1 Nxij
との形で算出される。また、例えば、「設備交換が必要な障害」について着目すると、Precisionは、
(6) Precision=xNN/Σi=1 NxiN
となり、Recallは、
(7) Recall=xNN/Σj=1 NxNj
との形で算出される。
しかしながら、実際のNW運用では、障害種別毎に運用コスト面での重要度が異なる。このため、例えば1つの障害予測装置による予測結果のAccuracyが高いとしても、運用コストの観点から見ると、この障害予測装置又は予測結果は好適であるとは言えない場合が生じ得る。また、このことは上述したPrecisionやRecallによる評価にも当てはまる。
これに対し、障害予測評価装置1では、取得された障害発生の予測結果に従って対応する運用対処を実施した(又は対応する放置処置をとった)場合に、本来必要となる運用コストと比較してどれだけ運用コストが発生するか又は削減されるかの情報を予め設定することによって、運用コストをも考慮した障害予測結果の有効性の評価を実施する。これにより、事業システムでの現状の障害予測における運用コスト面から見たメリット・デメリットを評価することも可能となるのである。以下、従来の評価指標と比較した、本発明による障害予測評価の効果について、実施例を用いて説明する。
[障害予測処理の実施例]
図6、図7及び図8は、本発明による障害予測評価処理の一実施例を説明するためのテーブル図である。
図6〜8に示した実施例においては、最初に、ある学習対象データに対し、学習方法α及び学習方法βの互いに異なる学習方法によって5種類の障害種別について学習を行い、それぞれの方法で学習器を構築した。次いで、構築した学習器のそれぞれに対し、同じ予測対象データを入力して予測処理を複数回実施した。図6に、学習方法αで構築した学習器による予測結果を、障害種別テーブルの形で示す。また、図7に、学習方法βで構築した学習器による予測結果を、同じく障害種別テーブルの形で示す。ここで、図6及び図7のテーブルにおける各欄の数値は、該当する回数(単位:回)となっている。また、いずれのテーブルにおいても、予測及び正解障害種別には、個別の設備についての障害種別である「設備Aの交換が必要な障害」及び「設備Bの交換が必要な障害」が挙げられている。
さらに、図8に、本実施例の予測結果に従って対応する運用対処を実施した(対応する放置処置をとった)場合に、本来必要となる運用コストと比較してどれだけの運用コストが発生するか又は削減されるかをまとめたものを、運用コストテーブルの形で示す。ここで、図8のテーブルにおける各欄の数値は、該当する金額(単位:万円)となっている。
次いで、以上に示した障害種別テーブル(図6及び図7)及び運用コストテーブル(図8)の結果を用いて、学習方法α及びβのそれぞれに対する運用コストを考慮した評価値を、上式(2)を用いて導出した。また、比較のために従来の指標として学習方法α及びβのそれぞれに対するAccuracyを、上式(5)を用いて算出した。その結果、
学習方法αを用いた障害予測に対する評価として、
(8) Ea=−230(万円)
(9) Accuracy=0.805
が算出された。また、
学習方法βを用いた障害予測に対する評価として、
(10) Ea=−385(万円)
(11) Accuracy=0.791
が算出された。
ここで、学習方法αと学習方法βとを比較すると、従来の評価指標であるAccuracyが高いのは学習方法αである。しかしながら、本実施例の評価値Eaをもって評価すると、実際、学習方法βにおいて運用コストの削減額がより大きくなることが分かる。従って、運用コストを考慮した場合、学習方法βを用いた障害予測の方がより優れていると評価される。
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、事業システムに対する実際の運用に係る情報をも考慮して、この事業スステムにおける障害予測装置による障害発生の予測結果の有効性を評価することができる。即ち、事業システムの運用における、障害予測による現実的なメリット・デメリットを評価することが可能となるのである。
また、この場合、障害予測装置において使用された機械学習の種類、当該機械学習におけるパラメータ、又は用いた教師データセットの形式等に対して、直接、障害予測における有効性を評価することも可能となる。例えば、現状の事業システムにおいて如何なる種類の機械学習アルゴリズムを用いるのが有効であるか、といった課題に対する解答を得ることもできるのである。
さらに、運用損失として運用コストを考慮した予測結果の評価を行うことによって、予測結果に従い運用対処を実施した又は放置した場合に発生する具体的な運用コスト(金額)を算出することも可能となる。この場合、運用コストの観点から、最適な障害予測装置(システム)を決定してもよい。また、予測結果毎の運用コスト面での重要度を考慮して障害予測装置(システム)を評価することも可能となる。
尚、本発明による障害予測評価の手法は、上述したような通信NWシステムだけではなく、発電・送電システムや、水道等の配給システム、さらには各種生産・製造プラント等様々な事業システムにおける障害予測に対して適用可能である。
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
1 障害予測評価装置
101 通信インタフェース部
102 予測結果蓄積部
103 運用コスト蓄積部
104 評価結果蓄積部
111 測結果取得部
111t 障害種別テーブル
112 運用コスト取得部(運用損失取得手段)
112a 設備交換コスト算定部
112b 現地出動コスト算定部
112t 運用コストテーブル
113 評価値算出部
113a アキュラシ対応評価値算出部
113b プレシジョン対応評価値算出部
113c リコール対応評価値算出部
121 通信制御部
2 障害予測装置
3 通信ネットワークシステム

Claims (12)

  1. 事業システムにおける障害の発生を予測する障害予測手段による予測結果を評価する障害予測評価装置であって、
    当該障害予測手段による予測結果としての複数の障害種別の各々について、予測した際に正解であった障害種別である正解障害種別毎に、当該障害種別が実際に予測障害種別として予測された回数に係る予測回数情報を取得する予測結果取得手段と、
    当該正解障害種別毎に、当該予測障害種別の各々について、当該予測障害種別の内容に従って対処又は放置した際に発生する運用コストを含む運用損失に係る情報である運用損失情報を取得する運用損失取得手段と、
    当該正解障害種別と当該予測障害種別との組毎に、1つの予測障害種別における当該正解障害種別毎に、又は1つの正解障害種別における当該予測障害種別毎に、対応する当該予測回数情報を当該運用損失情報によって重み付けした値に基づいて、当該障害予測手段による予測結果の評価の指標となる評価値を算出する評価値算出手段と
    を有することを特徴とする障害予測評価装置。
  2. 前記事業システムは、少なくとも1つの設備を備えており、
    前記予測結果取得手段は、当該設備の交換又は修理が必要な障害である旨の障害種別、及び当該設備の交換又は修理が不要な障害である旨の障害種別についての当該予測回数情報を取得し、
    前記運用損失取得手段は、当該設備の交換又は修理が不要な障害である旨の正解予測種別と、当該設備の交換又は修理が必要な障害である旨の予測障害種別とに対応する運用損失情報として、当該設備の交換又は修理に係るコスト分が加算された値を採用する
    ことを特徴とする請求項1に記載の障害予測評価装置。
  3. 前記事業システムは、障害発生時にその場で対応が必要となる少なくとも1つの現地を有し、
    前記予測結果取得手段は、当該現地での対応が必要な障害である旨の障害種別、及び当該現地での対応が不要な障害である旨の障害種別についての当該予測回数情報を取得し、
    前記運用損失取得手段は、当該現地での対応が不要な障害である旨の正解予測種別と、当該現地での対応が必要な障害である旨の予測障害種別とに対応する運用損失情報として、当該現地への出動コスト分が加算された値を採用する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の障害予測評価装置。
  4. 前記事業システムは、少なくとも1つの設備を備え、障害発生時にその場で対応が必要となり得る少なくとも1つの現地を有する通信ネットワークシステムであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の障害予測評価装置。
  5. 前記予測結果取得手段によって取得される予測回数情報を導出するための当該予測結果は、当該障害予測手段が、当該設備から又は予めネットワークに設置された監視設備から収集されるネットワークに係るアラーム情報と、当該正解障害種別とを教師データセットとして学習させて構築した学習器に対し、予測対象であるアラーム情報を入力することによって取得した予測結果であることを特徴とする請求項4に記載の障害予測評価装置。
  6. 当該複数の障害種別は、対処が不要な障害である旨の障害種別、遠隔リセットが必要な障害である旨の障害種別、前記事業システムにおける現地での対応が必要な障害である旨の障害種別、及び前記事業システムの有する設備の交換又は修理が必要な障害である旨の障害種別からなる群から選択された少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の障害予測評価装置。
  7. 当該運用損失情報は、障害予測のない場合に必要となる運用コストと比較した運用コストの増減分、障害予測が外れる又は当たることによって生じるサービスの向上又は劣化の度合い、及び障害予測のない場合に必要となる障害復旧のための時間と比較した障害復旧時間の増減分からなる群から選択された少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の障害予測評価装置。
  8. 当該運用損失情報は、対応する当該正解障害種別及び当該予測障害種別が一致する場合に負値又はゼロをとり且つ一致しない場合に正値又はゼロをとり、当該評価値は、負値としての絶対値が大きいほど、当該障害予測手段による予測結果の有効性がより高いとの評価を示すことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の障害予測評価装置。
  9. 前記評価値算出手段は、当該設備の交換又は修理が必要な障害である旨の予測障害種別における当該正解障害種別毎に、対応する当該予測回数情報を当該運用損失情報によって重み付けした値に基づいて、当該設備の交換又は修理が必要である旨の予測結果に対する有効性を評価する評価値を算出することを特徴とする請求項2に記載の障害予測評価装置。
  10. 少なくとも1つの設備を備えた通信ネットワークシステムにおける障害の発生を予測する障害予測手段と、前記障害予測手段による予測結果を評価する障害予測評価装置とを備えた障害予測システムであって、前記障害予測評価装置は、
    前記障害予測手段による予測結果としての複数の障害種別であって、当該設備の交換又は修理が必要な障害である旨の障害種別、及び当該設備の交換又は修理が不要な障害である旨の障害種別を含む複数の障害種別の各々について、予測した際に正解であった障害種別である正解障害種別毎に、当該障害種別が実際に予測障害種別として予測された回数に係る予測回数情報を取得する予測結果取得手段と、
    当該正解障害種別毎に、当該予測障害種別の各々について、当該予測障害種別の内容に従って対処又は放置した際に発生する運用コストであって、設備の交換又は修理が不要な障害である旨の正解予測種別と、当該設備の交換又は修理が必要な障害である旨の予測障害種別とに対応しており当該設備の交換又は修理に係るコスト分が加算された値を有する運用コストを含む運用損失に係る情報である運用損失情報を取得する運用損失取得手段と、
    当該正解障害種別と当該予測障害種別との組毎に、1つの予測障害種別における当該正解障害種別毎に、又は1つの正解障害種別における当該予測障害種別毎に、対応する当該予測回数情報を当該運用損失情報によって重み付けした値に基づいて、当該障害予測手段による予測結果の評価の指標となる評価値を算出する評価値算出手段と
    を有することを特徴とする障害予測システム。
  11. 事業システムにおける障害の発生を予測する障害予測手段による予測結果を評価する装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
    当該障害予測手段による予測結果としての複数の障害種別の各々について、予測した際に正解であった障害種別である正解障害種別毎に、当該障害種別が実際に予測障害種別として予測された回数に係る予測回数情報を取得する予測結果取得手段と、
    当該正解障害種別毎に、当該予測障害種別の各々について、当該予測障害種別の内容に従って対処又は放置した際に発生する運用コストを含む運用損失に係る情報である運用損失情報を取得する運用損失取得手段と、
    当該正解障害種別と当該予測障害種別との組毎に、1つの予測障害種別における当該正解障害種別毎に、又は1つの正解障害種別における当該予測障害種別毎に、対応する当該予測回数情報を当該運用損失情報によって重み付けした値に基づいて、当該障害予測手段による予測結果の評価の指標となる評価値を算出する評価値算出手段と
    してコンピュータを機能させることを特徴とする障害予測評価プログラム。
  12. 事業システムにおける障害の発生を予測する障害予測手段による予測結果を評価する方法であって、
    当該障害予測手段による予測結果としての複数の障害種別の各々について、予測した際に正解であった障害種別である正解障害種別毎に、当該障害種別が実際に予測障害種別として予測された回数に係る予測回数情報を取得するステップと、
    当該正解障害種別毎に、当該予測障害種別の各々について、当該予測障害種別の内容に従って対処又は放置した際に発生する運用コストを含む運用損失に係る情報である運用損失情報を取得するステップと、
    当該正解障害種別と当該予測障害種別との組毎に、1つの予測障害種別における当該正解障害種別毎に、又は1つの正解障害種別における当該予測障害種別毎に、対応する当該予測回数情報を当該運用損失情報によって重み付けした値に基づいて、当該障害予測手段による予測結果の評価の指標となる評価値を算出するステップと
    を有することを特徴とする障害予測評価方法。
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