JP2016219797A - 光発電素子 - Google Patents

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隆介 内田
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Abstract

【課題】蓄電機能を有する光発電素子を提供する。【解決手段】本開示の一態様に係る光発電素子は、第1電極と、前記第1電極に対向する位置に配置された第2電極と、前記第1電極の前記第2電極と対向する面に設けられ、光増感剤を担持した多孔質酸化チタンを含む多孔質酸化チタン層と、前記多孔質酸化チタン層と前記第2電極との間に配置され、第1酸化還元物質を含む第1正孔輸送層と、前記第1正孔輸送層と前記第2電極との間に配置され、第2酸化還元物質を含む第2正孔輸送層とを備え、前記第2酸化還元物質の酸化還元電位が、前記第1酸化還元物質の酸化還元電位に比べて、0.5V以上卑である。【選択図】図1

Description

本開示は、光を電気に変換する光発電素子に関する。
近年、温度または光などを感知するセンサ素子等に、光発電素子が用いられている。光発電素子の一種である太陽電池においては、pn接合型の素子が実用化されている一方で、色素増感型の素子についても研究が進められている。
特許文献1に記載の色素増感型の光発電素子は、光が照射されると、半導体から発生した電荷が電荷輸送層を移動し、半導体が付着した第一電極を負極、第二電極を正極として、電気を外部に取り出すことができるものである。
この光発電素子は、光が遮られると電圧が即時に降下してしまうという課題がある。そのため、特許文献2のように電気的に蓄電池と接続した光発電素子が提案されている。しかしこれらのデバイスは、蓄電池及び発電池を搭載するため、厚さが厚くなるとともに、重量が重くなっていた。
特許第2664194号公報 特開2009−81046号公報
従来の光発電素子は、蓄電機能を有さない。
本開示の一態様に係る光発電素子は、第1電極と、前記第1電極に対向する位置に配置された第2電極と、前記第1電極の前記第2電極と対向する面に設けられ、光増感剤を担持した多孔質酸化チタンを含む多孔質酸化チタン層と、前記多孔質酸化チタン層と前記第2電極との間に配置され、第1酸化還元物質を含む第1正孔輸送層と、前記第1正孔輸送層と前記第2電極との間に配置され、第2酸化還元物質を含む第2正孔輸送層とを備え、前記第2酸化還元物質の酸化還元電位が、前記第1酸化還元物質の酸化還元電位に比べて、0.5V以上卑である。
本開示における光発電素子は、簡易な構成で、蓄電機能を有する。
本開示の第1の実施の形態における光発電素子を模式的に示す断面図。 第1の実施形態の光発電素子の変形例を模式的に示す断面図。 本開示の第2の実施の形態における光発電素子を模式的に示す断面図。 本開示の第3の実施の形態における光発電素子を模式的に示す断面図。
本開示は、以下の項目に記載の光発電素子を含む。
[項目1]
第1電極と、
前記第1電極に対向する位置に配置された第2電極と、
前記第1電極の前記第2電極と対向する面に設けられ、光増感剤を担持した多孔質酸化チタンを含む多孔質酸化チタン層と、
前記多孔質酸化チタン層と前記第2電極との間に配置され、第1酸化還元物質を含む第1正孔輸送層と、
前記第1正孔輸送層と前記第2電極との間に配置され、第2酸化還元物質を含む第2正孔輸送層とを備え、
前記第2酸化還元物質の酸化還元電位が、前記第1酸化還元物質の酸化還元電位に比べて、0.5V以上卑である、
光発電素子。
[項目2]
前記第1正孔輸送層が、液体である、項目1に記載の光発電素子。
[項目3]
前記第1酸化還元物質が、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルである、項目1または2に記載の光発電素子。
[項目4]
前記第2酸化還元物質の酸化還元電位が、25℃において、Ag/Ag+電極に対して−0.2Vから0Vである、項目1から3のいずれかに記載の光発電素子。
[項目5]
前記第1正孔輸送層と前記第2正孔輸送層との間に配置され、第3酸化還元物質を含む第3正孔輸送層をさらに備え、
前記第3酸化還元物質の酸化還元電位は、前記第1酸化還元物質の酸化還元電位よりも卑であり、かつ前記第2酸化還元物質の酸化還元電位よりも貴である、項目1から4のいずれかに記載の光発電素子。
[項目6]
前記第1電極と電気的に接続された第3電極と、
前記第3電極に接しており、第4酸化還元物質を含む電子蓄積層と、をさらに備える、項目1から5のいずれかに記載の光発電素子。
[項目7]
前記第1電極上に、前記多孔質酸化チタン層から離れて配置され、第4酸化還元物質を含む電子蓄積層をさらに備える、項目1から5のいずれかに記載の光発電素子。
以下、図面を参照しながら本開示による実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
本実施の形態に係る光発電素子100は、図1に示すように第1電極1と、多孔質酸化チタン層3と、第1酸化還元物質を含む第1正孔輸送層5と、第2酸化還元物質を含む第2正孔輸送層6と、第2電極2とを有している。第1電極1と、第2電極2とは、互いに対向して配置されている。多孔質酸化チタン層3は、第1電極1の第2電極2と対向する面に配置されている。多孔質酸化チタン層3は、光増感剤が担持された多孔質酸化チタンを含む。第2正孔輸送層6は、第1正孔輸送層5と、第2電極2との間に配置されている。また、第2正孔輸送層6に含まれる第2酸化還元物質の酸化還元電位は、第1正孔輸送層5に含まれる第1酸化還元物質の酸化還元電位に対して0.5V以上卑である。
また、光発電素子100は第1基板10および第2基板20を備えていてもよい。その場合、図1に示すように、第1電極1は第1基板10上に、第2電極2は第2基板20上に配置される。
次に本実施形態の光発電素子100の基本的な作用効果を説明する。
光発電素子100へ光が照射されると、多孔質酸化チタン層3に担持された光増感剤が光を吸収し、励起された電子と、正孔とが発生する。この励起された電子が多孔質酸化チタンに移動する。一方、光増感剤で生じた正孔は第1正孔輸送層5に移動する。さらに、正孔は第1正孔輸送層5から第2正孔輸送層6に高確率に移動する。多孔質酸化チタン層3は第1電極1に接続され、第2正孔輸送層6は第2電極2に接続されているので、光発電素子100は、第1電極1を負極、第2電極2を正極として、外部に電流を取り出すことができる。
第1正孔輸送層5の正孔が第2正孔輸送層6に高確率に移動する理由は、第2正孔輸送層6に含まれる第2酸化還元物質の酸化還元電位が、第1正孔輸送層5に含まれる第1酸化還元物質の酸化還元電位に比べて0.5V以上卑であるからである。光発電素子100は、電子を多孔質酸化チタン層3に、正孔を第2正孔輸送層6に、空間的に分離して蓄積することができる。つまり、光発電素子100は、電子と正孔との再結合を抑制することができる。したがって、光発電素子100は、別途蓄電池を接続することなく、光蓄電機能を有する。
多孔質酸化チタンに光増感剤が担持されている構成とすることにより、光増感剤の光電荷分離の界面を形成することができるため、光電変換効率を向上させることができる。
図2は、本実施形態に係る光発電素子の変形例を模式的に示す断面図である。図2に示す光発電素子101は、第1正孔輸送層5と第2正孔輸送層6との間に、第3正孔輸送層7が設けられている。第3正孔輸送層7に含まれる第3酸化還元物質の酸化還元電位は、第1酸化還元物質の酸化還元電位よりも卑であり、第2酸化還元物質の酸化還元電位よりも貴である。第3正孔輸送層7を設けた場合には、正孔は第1正孔輸送層5から、第3正孔輸送層7を介して、第2正孔輸送層6に移動する。これにより、光発電素子100に比べて、電子が蓄積する多孔質酸化チタン層3と第2正孔輸送層6とをより空間的に分離させることができるため、電子と正孔の再結合をさらに抑制することができる。
本実施形態の光発電素子100は、例えば以下の方法によって作製することができる。まず、第1基板10の表面に第1電極1を形成する。次に、第1電極1上に多孔質酸化チタン層3を塗布法などによって形成する。そして、光増感剤を含む溶液中に第1基板10を浸漬し、多孔質酸化チタンに光増感剤を担持させる。
また、第2基板20の表面に第2電極2を形成する。次に、第2電極2上に、ドロップキャスト法などによって第2正孔輸送層6を形成する。
そして、第2基板20の第2電極2上に、第2正孔輸送層6を囲むように封止剤を塗布した後、第1基板10と第2基板20とを貼り合わせる。次に、例えば、第1酸化還元物質を含む溶液を、封止剤に設けた封止孔に注入し、封止孔を封止することによって第1正孔輸送層5を形成する。以上の工程により、光発電素子100を得ることができる。
以下、光発電素子100の各構成要素について、具体的に説明する。
付随的な構成要素である第1基板10は、透光性を有する。第2基板20は、透光性を有さなくてもよい。第1基板10及び第2基板20の例としては、可視光を透過するガラス基板またはプラスチック基板(プラスチックフィルムを含む)である。
第1電極1は、導電性を有する。また、第1電極1は、透光性を有する。第1電極1は、第1基板10と一体であってもよい。その場合、第1電極1は、透光性を有する材料で形成する。例えば透明で導電性の金属酸化物である、インジウム−錫複合酸化物、アンチモンをドープした酸化錫、フッ素をドープした酸化錫等、あるいは上記化合物の複合物を用いることができる。また、第1電極1は、第1基板10上に配置してもよい。第1基板10上に、例えば、膜または複数の層として配置してもよい。その場合、第1電極1は上記のような透光性を有する材料で形成してもよい。
また、第1電極1は、透光性を有さない材料から形成することもできる。例えば、材料が存在しない部分を設けたパターンを有する電極として第1電極1を形成することで、透光性を確保することができる。パターンとしては、例えば線状(ストライプ状)、波線状、格子状(メッシュ状)、多数の微細な貫通孔が規則的または不規則に配列されたパンチングメタル状が挙げられる。透光性を有さない材料としては、金属、例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等、又は炭素、若しくは導電性の金属酸化物、が挙げられる。電子移動速度が速い化合物を第1電極1の材料として用いる場合は、表面での電子の漏れを防ぐため、つまり整流性を持たせるために、第1電極1を酸化シリコン、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどで被覆してもよい。
第1電極1の光透過率が高い程、多量の光を入射させることができ、発電効率を上昇させることができる。第1電極1の光透過率の範囲が50%以上であってもよく、80%以上であってもよい。さらに第1電極1の膜厚は、1〜100nmの範囲内にあってもよい。第1電極1の膜厚がこの範囲内であれば、均一な膜厚の電極膜を形成することができ、また光透過性が低下せず、十分な光を多孔質酸化チタン層3に入射させることができる。
第2電極2は、導電性を有する。第2電極2は、第2基板20と一体であってもよい。また、第2電極2は、光発電素子100の正極として効率よく作用するために、第2正孔輸送層6に含まれる還元体に電子を与える触媒作用を有する素材を使用してもよい。第2電極2の材料としては、例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属、又はグラファイト、カーボンナノチューブ、白金を担持したカーボン等の炭素材料、若しくはインジウム−錫複合酸化物、アンチモンをドープした酸化錫、フッ素をドープした酸化錫等の導電性の金属酸化物、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などを挙げることができる。これらのうち、第2電極2の材料は、白金、グラファイト、及びポリエチレンジオキシチオフェンからなる群から選択されてもよい。
多孔質酸化チタン層3の膜厚は、0.01〜100μmの範囲内であってもよい。この範囲内であれば、十分な光電変換効果が得られ、また、可視光及び近赤外光に対する良好な透過性が得られる。多孔質酸化チタン層3の膜厚の範囲は0.5〜50μmであってもよく、1〜20μmであってもよい。
多孔質酸化チタン層3は、以下のように形成する。酸化チタン粉末と有機溶剤などの有機バインダーとの混合溶液を、例えば、ドクターブレードまたはバーコータなどを使う塗布方法、スプレー法、ディップコーティング法、スクリーン印刷法、スピンコート法により第1電極1の表面に塗布する。その後、加熱焼成またはプレス機での加圧などにより有機バインダーを除去することによって、多孔質酸化チタン層3を形成することができる。
また、多孔質酸化チタン層3の表面粗さは、10以上であってもよい。ここで、表面粗さとは実効面積を投影面積で除した値である。投影面積とは、物体を真正面から光で照らしたときに、後ろにできる影の面積である。実効面積とは、物体の実際の表面積のことである。実効面積は、物体の投影面積および厚さから求められる体積と、物体を構成する材料の比表面積およびかさ密度とから計算することができる。表面粗さを10以上にすることにより、電荷分離界面の表面積を大きくるすことができるために、光電変換特性を向上させることができる。表面粗さは100〜2000であってもよい。
光増感剤としては、半導体超微粒子などの無機材料、または色素、顔料などの有機材料を用いることができる。効率よく光を吸収し、電荷を分離する観点から、光増感剤は色素であってもよい。色素としては、9−フェニルキサンテン系色素、クマリン系色素、アクリジン系色素、トリフェニルメタン系色素、テトラフェニルメタン系色素、キノン系色素、アゾ系色素、インジゴ系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素などが挙げられる。または、RuL2(H2O)2タイプのルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル錯体(ここで、Lは4,4’−ジカルボキシル−2,2’−ビピリジンを示す。)、または、ルテニウム−トリス(RuL3)、ルテニウム−ビス(RuL2)、オスニウム−トリス(OsL3)、オスニウム−ビス(OsL2)などのタイプの遷移金属錯体、または亜鉛−テトラ(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン、鉄−ヘキサシアニド錯体、フタロシアニンなどの色素が挙げられる。その他、例えば、「FPD・DSSC・光メモリーと機能性色素の最新技術と材料開発」((株)エヌ・ティー・エス)のDSSCの章にあるような色素も適用することができる。中でも多孔質酸化チタン層3上で会合性を有する色素は、密に充填して多孔質酸化チタン層3表面を覆うため、絶縁体層として機能する。光増感剤が絶縁体層として機能する場合、発生電子の整流性を電荷分離界面に付与することができ、電荷分離後の電荷の再結合を抑制することができる。そのため、光発電素子の変換効率をより向上させることができる。
多孔質酸化チタン層3に光増感剤を担持させる方法は、例えば、光増感剤を溶解または分散させた溶液に、多孔質酸化チタン層3を被着させた第1電極1を備えた第1基板10を浸漬させる方法が挙げられる。この溶液の溶媒としては、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミドなど光増感剤を溶解可能なものであれば全て使用できる。また、多孔質酸化チタン層3を光増感剤溶液に一定時間浸漬させている時に、加熱還流をしたり、超音波を印加したりすることもできる。さらに、多孔質酸化チタン層3に光増感剤を担持させた後、担持されずに残ってしまった光増感剤を取り除くために、アルコールで洗浄あるいは加熱還流してもよい。
光増感剤の多孔質酸化チタン層3における担持量は、1×10-10〜1×10-4mol/cm2の範囲内であればよく、0.1×10-8〜9.0×10-6mol/cm2の範囲であってもよい。この範囲内であれば、経済的且つ十分に光電変換効率の向上の効果を得ることができる。
第1正孔輸送層5および第2正孔輸送層6は、酸化還元物質を含んでいる。また、第1正孔輸送層5および第2正孔輸送層6は、液体層、または、固体層である。第1正孔輸送層が液体層であり、第2正孔輸送層6が固体層である場合には、多孔質酸化チタン層3上の光増感剤と第2正孔輸送層6との接触を防ぐために、第1正孔輸送層5中にセパレーターを設けてもよい。セパレーターとしては、例えばセルロース、多孔質プラスチックフィルム、またはプラスチックの不織布を用いることができる。
酸化還元物質とは、酸化還元反応において可逆的に酸化体および還元体の形で存在する物質を意味する。酸化体−還元体の対の例としては、塩素化合物−塩素、ヨウ素化合物−ヨウ素、臭素化合物−臭素、タリウムイオン(III)−タリウムイオン(I)、水銀イオン(II)−水銀イオン(I)、ルテニウムイオン(III)−ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)−銅イオン(I)、鉄イオン(III)−鉄イオン(II)、ニッケルイオン(III)−ニッケルイオン(II)、バナジウムイオン(III)−バナジウムイオン(II)、マンガン酸イオン−過マンガン酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定はされない。酸化還元物質として、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル(2,2,6,6−tetramethylpiperidine 1−oxyl、以下、TEMPOと略称する)、メチル基が複数(2〜10個)導入されたフェロセンまたはそのポリマー、フェノチアジン骨格を有するものまたはそのポリマーなどを用いることもできる。
第1正孔輸送層5、および、第2正孔輸送層6に含まれる酸化還元物質は、一定電圧での酸化還元特性を有するものであってもよい。例えば、充放電特性での1C(レート)において、その充放電の容量が50%まで低下したときに、電圧の低下が0.3V以内に収まるものは一定電圧での酸化還元特性を有しているといえる。こうした酸化還元物質を用いて光発電素子100を作製すれば、一定電圧での放電が可能となり、機器への安定な電力供給が可能である。一定電圧での酸化還元特性を有する酸化還元物質の例としては、例えば、酸化還元物質を側鎖もしくは主鎖に有するポリマー、ゲル化剤によってゲル化したものがあげられる。
一定電圧での酸化還元特性を有さない酸化還元物質の例としては、PEDOT−PSS、ポリピロールなどのドープ/脱ドープによる電荷の蓄積放電を行うもの、コバルト酸リチウムのように酸化物内へのインターカレートを行うもの、があげられる。
第1正孔輸送層5または第2正孔輸送層6が液体層である場合に、この液体層は、溶媒と、支持塩(支持電解質)と酸化還元物質とを含む。支持塩としては、例えば過塩素酸テトラブチルアンモニウム、六フッ化リン酸テトラエチルアンモニウム、イミダゾリウム塩またはピリジニウム塩などのアンモニウム塩、過塩素酸リチウムまたは四フッ化ホウ素カリウムなどのアルカリ金属塩などが挙げられる。
液体層の溶媒は、イオン伝導性に優れた化合物であってもよい。溶媒としては水性溶媒及び有機溶媒のいずれも使用できる。有機溶媒を用いると、酸化還元物質をより安定化することができる。有機溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン等のエステル化合物、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソシラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物、スルフォラン、ジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性化合物などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いることもでき、また、2種類以上を混合して併用することもできる。液体層の溶媒は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネ−ト化合物、γ―ブチロラクトン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、または吉草酸ニトリル等のニトリル化合物であってもよい。
また、液体層の溶媒として、イオン液体を単独で、もしくは他種の溶媒に混合して用いることもできる。その場合、酸化還元物質の安定化作用が特に向上する。イオン液体は揮発性がなく、難燃性が高いために安定性に優れる。さらに、イオン液体は支持塩としての性能をも持つので、イオン液体を溶媒として用いる場合には、支持塩は不要である。イオン液体としては、公知のイオン性液体全般を用いることができるが、例えば1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレートなどイミダゾリウム系、ピリジン系、脂環式アミン系、脂肪族アミン系、アゾニウムアミン系のイオン性液体、または欧州特許第718288号明細書、国際公開第95/18456号、電気化学第65巻11号923頁(1997年)、J. Electrochem. Soc. 143巻、10号、3099頁(1996年)、Inorg. Chem. 35巻、1168頁(1996年)に記載されたものを挙げることができる。
第1正孔輸送層5、または、第2正孔輸送層6が固体層の場合、以下のように形成する。酸化還元物質とバインダー、および溶媒との混合溶液を、例えば、ドクターブレードまたはバーコータなどを使う方法、スプレー法、ディップコーティング法、スクリーン印刷法、スピンコート法を用いて、第1電極1または第2電極2に塗布する。その後、加熱焼成またはプレス機での加圧などにより溶媒を除去する。それによって、バインダーに酸化還元物質が保持された、固体層が形成される。バインダーの具体例としては、ゲル化電解質、あるいは高分子電解質を使用することができる。ゲル化電解質は、電解質溶液にゲル化剤を混合することによって得られる。ゲル化剤としては、ポリマー、ポリマー架橋反応によるゲル化剤、重合することができる多官能モノマーによるゲル化剤、オイルゲル化剤などが挙げられる。高分子電解質としては、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ化ビニリデン系重合体、ポリアクリル酸などのアクリル酸系重合体、ポリアクリロニトリルなどのアクリロニトリル系重合体およびポリエチレンオキシドなどのポリエーテル系重合体、あるいは構造中にアミド構造を有する化合物が挙げられる。
また、第1正孔輸送層5または第2正孔輸送層6を固体層とする場合には、固体層中に導電助剤を含んでいてもよい。酸化還元物質と導電助剤を混合することで、固体層の内部抵抗を低下させることができる。導電助剤としては、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維等が挙げられる。
第1正孔輸送層5に含まれる第1酸化還元物質の酸化還元電位は、多孔質酸化チタン層3の伝導帯の準位である−0.7V(vs. Ag/Ag+)(参照電極:ビー・エー・エス(株)製RE−7)よりも貴であるように構成される。
また、第2正孔輸送層6に含まれる第2酸化還元物質の酸化還元電位は、第1正孔輸送層5に含まれる第1酸化還元物質の酸化還元電位に対して0.5V以上卑になるように構成される。
第1正孔輸送層5に酸化還元物質であるTEMPOが含まれる場合には、TEMPOの酸化還元電位は+0.5V(vs. Ag/Ag+)であるので、第2正孔輸送層6に含まれる第2酸化還元物質の酸化還元電位が、−0.2〜0V(vs. Ag/Ag+)であってもよく、−0.1〜0V(vs. Ag/Ag+)であってもよい。光発電素子100の出力は、多孔質酸化チタン層3の伝導帯の準位と第2正孔輸送層6の酸化還元電位との差が大きいほど増加する。そのため、第2正孔輸送層6に含まれる第2酸化還元物質の酸化還元電位が−0.2〜0V(vs. Ag/Ag+)であれば、光発電素子100から取り出す電圧を小さくすることなく、正孔を第2正孔輸送層6に蓄積する効果を生じさせることができる。第2正孔輸送層6に含まれる第2酸化還元物質としては、メチル基が複数、例えば2〜10個導入されたフェロセン、およびそのポリマー化したもの、フェノチアジン骨格を有するものおよび、それをポリマー化したものなどがあげられる。
第2正孔輸送層6の厚さは特に指定されないが、0.1μm−1000μmであってもよく、1μm−100μm程度であってもよい。この範囲であれば、充電容量も維持しながら、第2正孔輸送層6の全域を発電に用いることができる。
(第2の実施の形態)
次に、本開示の第2の実施の形態に係る光発電素子200について、図3を参照して説明する。
本実施の形態に係る光発電素子200は、第1の実施の形態に係る光発電素子100と比べて、第3電極8および電子蓄積層9をさらに備える点と、第2電極の構成とが異なっている。
以下、光発電素子100について説明したものと同一の機能および構成を有する光発電素子200の構成要素については、共通する符号を付して説明を省略する。
図3に示すように、光発電素子200は、第1電極1と、第2電極22と、光増感剤が担持された多孔質酸化チタン層3と、第1正孔輸送層5と、第2正孔輸送層6と、第3電極8と、電子蓄積層9と、を備える。第3電極8は第1電極1と電気的に接続している。電子蓄積層9は、第4酸化還元物質を含み、第3電極8上に形成される。
光発電素子200は第1基板10および第2基板30を備えていてもよい。その場合、第1電極1は第1基板10上に、第3電極8は第2基板30上に配置される。
次に、本実施形態の光発電素子200の基本的な作用効果を説明する。
光発電素子200へ光が照射されると、多孔質酸化チタン層3に担持された光増感剤が光を吸収し、励起された電子と、正孔とが発生する。この励起された電子が多孔質酸化チタンに移動する。電子は多孔質酸化チタンから第1電極1、そして第1電極1と電気的に接続された第3電極8を経由して、電子蓄積層9に移動する。一方、光増感剤で生じた正孔は第1正孔輸送層5に移動する。さらに、正孔は第1正孔輸送層5から第2正孔輸送層6に高確率に移動する。電子蓄積層9は第3電極8に接続され、第2正孔輸送層6は第2電極22に接続されているので、光発電素子200は、第3電極8を負極、第2電極22を正極として、外部に電流を取り出すことができる。光発電素子200は、電子を電子蓄積層9に、正孔を第2正孔輸送層6に、空間的に分離して蓄積することができる。つまり、電子と正孔との再結合を抑制することができる。したがって、光発電素子200は、別途蓄電池を接続することなく、蓄電機能を有する。
本実施形態の光発電素子200は、例えば以下の方法によって作製することができる。まず、第1基板10の表面に第1電極1を形成する。次に、第1電極1上に多孔質酸化チタン層3を塗布法などによって形成する。そして、光増感剤を含む溶液中に第1基板10を浸漬し、多孔質酸化チタンに光増感剤を担持させる。
また、第2基板30の表面に第3電極8を形成する。次に、第3電極8上に、ドロップキャスト法などによって電子蓄積層9を形成する。
また、第2電極22上に、ドロップキャスト法などによって第2正孔輸送層6を形成する。
そして、第1基板10の第1電極1上に、多孔質酸化チタン層3を囲むように封止剤を塗布するとともに、第2基板30の第3電極8上に、電子蓄積層9を囲むように封止剤を塗布し、第2正孔輸送層6が多孔質酸化チタン層3と対向するように第2電極22を挟み込んで、第1基板10と第2基板30とを貼り合わせる。次に、例えば、第1酸化還元物質を含む溶液を、第1電極1と第2電極22との間に配置された封止剤に設けた封止孔に注入することにより第1正孔輸送層5を形成する。次に、液体層11の材料を、第2電極22と第3電極8との間に配置された封止剤に設けた封止孔に注入することにより液体層11を形成する。以上の工程により、光発電素子200を得ることができる。
以下、光発電素子200の各構成要素について、具体的に説明する。なお、光発電素子100と共通する要素については、説明を省略する。
付随的な構成要素である第2基板30は、第1基板10および第2基板20と同様の構成とすることができる。
第3電極8は、第2電極22と間隙を介して配置される。第3電極8は、第1電極1、または、第2電極2と同様の構成とすることができる。
電子蓄積層9は、第1正孔輸送層5または第2正孔輸送層6と同様の構成とすることができる。また、電子蓄積層9は、第2正孔輸送層6と空間的に離れた構造を有している。
第2電極22は、第2電極2の材料と同様のものから構成され、第1正孔輸送層5の溶媒を透過させることが可能な貫通孔を有する。このような第2電極22としては、例えば白金メッシュなどのメッシュ電極、グリッド電極、セパレーター上にスパッタ法または蒸着法によって金、白金などの導電層が形成された電極、導電材の多孔質体が挙げられる。
第2電極22と電子蓄積層9との間隙は、液体層11によって満たされる。液体層11は、溶媒と、溶媒中に溶解した支持塩および酸化還元物質とを含む。溶媒、支持塩、酸化還元物質は、第1正孔輸送層5および第2正孔輸送層6と同様の物質を用いることができる。
(第3の実施の形態)
次に、本開示の第3の実施の形態に係る光発電素子300について、図4を参照して説明する。
本実施の形態に係る光発電素子300は、電子蓄積層39をさらに備える点で第1の実施の形態に係る光発電素子100と異なっている。
以下、光発電素子100について説明したものと同一の機能および構成を有する光発電素子300の構成要素については、共通する符号を付して説明を省略する。
図4に示すように、光発電素子300は、第1電極1と、第2電極2と、光増感剤が担持された多孔質酸化チタン層3と、第1正孔輸送層5と、第2正孔輸送層6と、第4酸化還元物質を含む電子蓄積層39と、を備える。多孔質酸化チタン層3および電子蓄積層39は、第1電極1上に隙間を設けて配置される。
光発電素子300は、第1基板10と第2基板20とを備えていてもよい。その場合、第1基板10上に第1電極1が、第2基板20上に第2電極2が形成される。
次に、本実施形態の光発電素子300の基本的な作用効果を説明する。
光発電素子300へ光が照射されると、多孔質酸化チタン層3に担持された光増感剤が光を吸収し、励起された電子と、正孔とが発生する。この励起された電子が多孔質酸化チタンに移動する。電子は多孔質酸化チタンから、第1電極1を経由して電子蓄積層39に移動する。一方、光増感剤で生じた正孔は第1正孔輸送層5に移動する。さらに、正孔は第1正孔輸送層5から第2正孔輸送層6に高確率に移動する。電子蓄積層39は第1電極1に接続され、第2正孔輸送層6は第2電極2に接続されているので、光発電素子300は、第1電極1を負極、第2電極2を正極として、外部に電流を取り出すことができる。
光発電素子300は、電子を電子蓄積層39に、正孔を第2正孔輸送層6に、空間的に分離して蓄積することができる。つまり、電子と正孔の再結合を抑制することができる。したがって、光発電素子300は、別途蓄電池を接続することなく、蓄電機能を有する。
本実施形態の光発電素子300は、例えば以下の方法によって作製することができる。
まず、第1基板10の表面に第1電極1を形成する。次に、第1電極1上に多孔質酸化チタン層3を塗布法などによって形成する。また、第1電極1上に、多孔質酸化チタン層3と隙間を設けて、電子蓄積層39をドロップキャスト法などによって形成する。そして、光増感剤を含む溶液中に第1基板10を、電子蓄積層39が溶液に触れないように浸漬し、多孔質酸化チタンに光増感剤を担持させる。
また、第2基板20の表面に第2電極2を形成する。次に、第2電極2上に、ドロップキャスト法などによって第2正孔輸送層6を形成する。
そして、第2基板20の第2電極2上に、第2正孔輸送層6を囲むように封止剤を塗布した後、第1基板10と第2基板20とを貼り合わせる。次に、例えば、第1酸化還元物質を含む溶液を、封止剤に設けた封止孔に注入することにより第1正孔輸送層5を形成する。以上の工程により、光発電素子300を得ることができる。
電子蓄積層39は、第1正孔輸送層5または第2正孔輸送層6と同様の構成とすることができる。
以下、本開示の上記実施形態を実施例によって具体的に説明する。実施例1〜5および比較例1〜3の光発電素子を作製し、特性を評価した。評価結果は、表1にまとめて示す。
[実施例1]
図1に示した光発電素子100と同じ構成を有する光発電素子を作製した。各構成要素は以下の通りである。
第1電極1:フッ素ドープSnO2
第2電極2:フッ素ドープSnO2および白金
光増感剤:MD153(三菱製紙製)
第1酸化還元物質:TEMPO
第2酸化還元物質:ポリデカメチルフェロセン(PDMFc)
実施例1の光発電素子は、以下のようにして作製した。
第1電極1としてフッ素ドープSnO2層が形成されている、厚み1mmのガラス基板(旭硝子製)を第1基板10として用意した。第1電極1の表面抵抗は10Ω/□であった。第1電極1の表面に、スパッタ法により約10nm厚の酸化チタン層を付着させた。平均1次粒子径が20nmの高純度酸化チタン粉末をエチルセルロース中に分散させ、スクリーン印刷用のペーストを作製し、酸化チタン層の上に塗布して乾燥させた。得られた乾燥物を450℃で30分間、空気中で焼成することによって、第1電極1上に厚さ5μmの多孔質酸化チタン層3(チタンコート)を形成した。この多孔質酸化チタン層3の表面粗さは約250であった。
次に、この多孔質酸化チタン層3を設けた第1基板10を、[化1]で示される光増感色素(MD153(三菱製紙製))の濃度が0.3mMであるアセトニトリル−ブタノール1:1混合溶媒溶液中に浸漬した。そのまま室温で3時間暗所下で静置し、多孔質酸化チタン層3に光増感剤を担持させた。
また、フッ素ドープSnO2層が形成されている、厚み1mmのガラス基板(旭硝子製)を第2基板20として用意した。フッ素ドープSnO2層の表面抵抗は10Ω/□であった。フッ素ドープSnO2層の表面に、白金をスパッタ法により設けて第2電極2とした。そして、[化2]に示したPDMFc2mg、導電助剤である炭素繊維材料(昭和電工製)8mg、および、バインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)0.01mgをn−メチルピロリド(NMP)0.1mlと混合したスラリーを作製し、第2電極2の白金上にドロップキャスト法によって塗布し、第2正孔輸送層6を形成した。
そして、第1電極1と第2電極2とを貼り合わせた時に、封止剤が第1電極1の多孔質酸化チタン層3が形成された部分を囲むように、封止剤として熱溶融性接着剤(三井デュポンポリケミカル製)を第2電極2の上に配置した。第2基板20の上に第1基板10を重ね、加熱しながら加圧して貼り合わせた。なお封止剤には封止孔を設けた。また、光増感剤を担持した多孔質酸化チタン層3と第2正孔輸送層6との接触による短絡を防ぐ為、第1基板10と第2基板20との間にセルロース製のセパレーターを挿入した。
次に、第1正孔輸送層5として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムTFSIにTEMPOを10mM溶解した電解質溶液を調製し、この電解液を封止孔から注入した後に、紫外線硬化樹脂を用いて封止孔を封止した。
このようにして実施例1の光発電素子を得た。
Figure 2016219797

Figure 2016219797
[実施例2]
実施例1の光発電素子において、第1正孔輸送層5として、TEMPO溶液の代わりに、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムTFSIに2,2,6,6−テトラメチル−ヒドロキシピペリジン 1−オキシル(2,2,6,6−tetramethyl−hydroxypiperidine 1−oxyl、以下、TEMPOLと略称する)を10mM溶解した電解質溶液を使用することによって、実施例2の光発電素子を得た。
[実施例3]
実施例3の光発電素子では、実施例1の光発電素子において、第1正孔輸送層5として、TEMPO溶液の代わりにポリ−4−メタクリロイルオキシ−TEMPO(poly−4−methacryloyloxy−TEMPO、以下、PTMAと略称する)の固体層を使用した。第1正孔輸送層5は、PTMA2mg、導電助剤である炭素繊維材料(昭和電工製)8mg、および、バインダーであるPVDF0.01mgをNMP0.1mlと混合したスラリーを多孔質酸化チタン層3上にドロップキャスト法によって塗布することによって作製した。
[実施例4]
実施例4では、実施例1の光発電素子において、第1正孔輸送層5と第2正孔輸送層6との間に第3正孔輸送層7を設け、図2に示した光発電素子101と同じ構成を有する光発電素子を作製した。第3正孔輸送層7は、ポリビニルフェロセン(以下、PVFcと略称する)2mg、炭素繊維材料(昭和電工製)8mg、および、PVDF0.01mgをNMP0.1mlと混合したスラリーを、第2正孔輸送層6であるPDMFc層の上にドロップキャスト法によって塗布した。
[実施例5]
図4に示した光発電素子300と同じ構成を有する光発電素子を作製した。各構成要素は以下の通りである。
第1電極1:フッ素ドープSnO2
第2電極2:フッ素ドープSnO2および白金
光増感剤:MD153(三菱製紙製)
第1酸化還元物質:TEMPO
第2酸化還元物質:PDMFc
第4酸化還元物質:キノンポリマー
実施例1の光発電素子において、第1電極1上に、多孔質酸化チタン層3と隙間を設けて、電子蓄積層39を形成することにより、実施例5の光発電素子を作製した。電子蓄積層39は、[化3]に示したキノンポリマー2mg、導電助剤である炭素繊維材料(昭和電工製)8mg、および、バインダーであるPVDF0.01mgをNMP0.1mlと混合したスラリーを作製し、ドロップキャスト法を用いて形成した。
Figure 2016219797
[比較例1]
実施例1の光発電素子において、第2電極2上に第2正孔輸送層6を形成せず、第1電極1と第2電極2とを貼り合わせることにより、比較例1の光発電素子を作製した。
[比較例2]
実施例1の光発電素子において、第2正孔輸送層6中の酸化還元物質として、PDMFcの代わりに、PTMAを使用することにより、比較例2の光発電素子を作製した。
[比較例3]
実施例1の光発電素子において、第2正孔輸送層6中の酸化還元物質として、PDMFcの代わりに、PVFcを使用することにより、比較例3の光発電素子を作製した。
[評価方法]
変換効率・開放電圧の測定
光発電素子に、蛍光灯を用いて200lxの照度の光を照射し、電流−電圧特性を測定し、電流−電圧特性が安定した後の変換効率を求めた。また、光照射を停止して1分後の電流−電圧特性を測定し、光照射時の開放電圧に対する光照射停止一分後の開放電圧の割合から、電圧維持率を求めた。尚、本測定環境は太陽光に対しては約500分の1の明るさではあるが、当然、太陽光下でも適用でき、用途を限定するものではない。
電位差の測定
正孔輸送層の各層に含まれる酸化還元物質の絶対電位をAg/Ag+(参照電極:ビー・エー・エス(株)製RE−7)を基準として電気化学測定により求めた。実際に測定された代表的な値を表2に示す。また、各光発電素子における、第1正孔輸送層5中の第1酸化還元物質と第2正孔輸送層6中の第2酸化還元物質との酸化還元電位の差を、電位差として表1に示す。
正孔輸送層が液体層である場合には、以下の方法で測定を行った。測定する酸化還元物質と、支持塩であるLiTFSIをアセトニトリルに溶解させた。この溶液に、作用電極、カウンター電極として使用する白金電極2本と、Ag/Ag+の参照電極を入れ、ポテンショスタットを用いてサイクリックボルタンメトリー測定を行うことで、酸化還元物質の絶対電位を求めた。
正孔輸送層が固体層である場合には、以下の方法で測定を行った。測定する酸化還元物質と導電助剤とバインダーとの混合溶液を作用電極に塗布し、加熱焼成によりバインダー成分を除去することによって、酸化還元物質を作用電極に固定化した。そして、LiTFSIをアセトニトリルに溶解させた溶液に作用電極とカウンター電極、参照電極を入れ、ポテンショスタットを用いてサイクリックボルタンメトリー測定を行うことで、酸化還元物質の絶対電位を求めた。
尚、本測定は支持塩にLiTFSI、溶媒にアセトニトリルを使用したが、これに限定されるものではない。
Figure 2016219797

Figure 2016219797
表1の結果から、実施例1〜5の光発電素子では、光遮断から1分経過しても、90%の電圧が維持されていることがわかる。一方、比較例1〜3の光発電素子では、光遮断から1分で電圧が30〜0%まで低下してしまう。
このように、第2正孔輸送層6に含まれる第2酸化還元物質の酸化還元電位が、第1正孔輸送層5に含まれる第1酸化還元物質の酸化還元電位に比べて0.5V以上卑である構成とすることにより、光発電素子に蓄電機能を持たせることができる。そのため、暗所における電圧降下を抑制できる効果がある。
本開示における光発電素子は、連続駆動が必要なセンサ等の駆動電源として有用である。
1 第1電極
2 第2電極
3 多孔質酸化チタン層
5 第1正孔輸送層
6 第2正孔輸送層
8 第3電極
9 電子蓄積層
100 光発電素子

Claims (7)

  1. 第1電極と、
    前記第1電極に対向する位置に配置された第2電極と、
    前記第1電極の前記第2電極と対向する面に設けられ、光増感剤を担持した多孔質酸化チタンを含む多孔質酸化チタン層と、
    前記多孔質酸化チタン層と前記第2電極との間に配置され、第1酸化還元物質を含む第1正孔輸送層と、
    前記第1正孔輸送層と前記第2電極との間に配置され、第2酸化還元物質を含む第2正孔輸送層とを備え、
    前記第2酸化還元物質の酸化還元電位が、前記第1酸化還元物質の酸化還元電位に比べて、0.5V以上卑である、
    光発電素子。
  2. 前記第1正孔輸送層が、液体である、請求項1に記載の光発電素子。
  3. 前記第1酸化還元物質が、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルである、請求項1または2に記載の光発電素子。
  4. 前記第2酸化還元物質の酸化還元電位が、25℃において、Ag/Ag+電極に対して−0.2Vから0Vである、請求項1から3のいずれかに記載の光発電素子。
  5. 前記第1正孔輸送層と前記第2正孔輸送層との間に配置され、第3酸化還元物質を含む第3正孔輸送層をさらに備え、
    前記第3酸化還元物質の酸化還元電位は、前記第1酸化還元物質の酸化還元電位よりも卑であり、かつ前記第2酸化還元物質の酸化還元電位よりも貴である、請求項1から4のいずれかに記載の光発電素子。
  6. 前記第1電極と電気的に接続された第3電極と、
    前記第3電極に接しており、第4酸化還元物質を含む電子蓄積層と、をさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載の光発電素子。
  7. 前記第1電極上に、前記多孔質酸化チタン層から離れて配置され、第4酸化還元物質を含む電子蓄積層をさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載の光発電素子。
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WO2020111253A1 (ja) * 2018-11-30 2020-06-04 出光興産株式会社 化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、電子機器
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