JP2016219529A - フィルム製造装置 - Google Patents

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Hiroki Sato
裕樹 佐藤
小川 正則
Masanori Ogawa
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Abstract

【課題】所望の厚さを有するフィルムを、安定して、且つ安価に製造可能なフィルムの製造装置を提供すること。
【解決手段】フィルム製造装置10において、複数のロール12、14に支持されて連続走行せしめられる金属製エンドレスベルト16と、スロットダイ20、及びかかるスロットダイ20と一体的に設けられ、バックアップロール12の外周面に当接せしめられている当接部材78を有し、スロットダイ20の吐出口が金属製エンドレスベルト16の表面より所定の間隔にて離間せしめられてなる、金属製エンドレスベルト16上に液状のフィルム形成材料からなる塗膜22を形成するための塗工機24と、金属製エンドレスベルト16上の塗膜22を乾燥させ、固体状フィルム26とするための乾燥炉28と、金属製エンドレスベルト16より剥離された固体状フィルム26を巻取りロール30によって巻き取る巻取り機32とを備えて、構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、フィルム製造装置に係り、特に、コンデンサの誘電体等として好適に用いられ得るフィルムを有利に製造可能なフィルム製造装置に関するものである。
従来から、所望の厚さのフィルムを製造する手法の一つとして、樹脂材料を含む溶液を基材上に塗布(塗工)して塗膜を形成し、かかる塗膜を乾燥した後に基材から剥離して、樹脂フィルムを得る手法が知られている。例えば、特開2012−94603号公報(特許文献1)においては、フィルム原料液(PVDF溶液)を、基材としてのPETフィルム上に塗布して塗膜を形成し、その後、乾燥されてフィルム状になった塗膜をPET基材フィルムから剥離し、所望の誘電体フィルムを得ることが記載されている。なお、基材としてのPETフィルムは、誘電体フィルムの使用時に、かかる誘電体フィルムより剥離され、廃棄されることとなる。
一方、そのように基材上に溶液を塗工する方式の一つとして、ダイから溶液を吐出しながら、バックロールに巻き掛けられたベルト状基材の表面に溶液を塗工する方式、所謂スロットダイ方式が知られており、また、そのための装置も種々知られている。そこにおいて、製造されるフィルムの厚さは、形成される塗膜の厚さに依存することとなるのであり、更に、形成される塗膜の厚さは、ダイと基材との間の距離(塗工ギャップ)に依存することとなるのである。
そして、そのような塗工ギャップの調整は、作業者が所定のゲージ等を使用して、ダイと基材との間の距離を直接測定し、マニュアル操作で調整する他、例えば、特開2014−151301号公報(特許文献2)においては、ダイとバックロール又は長尺フィルムとの間の塗工ギャップをレーザ光を用いて非接触で測定すると共に、サーボモータを用いたねじ送り機構によりダイが取り付けられたフレームを駆動して、塗工ギャップを調整する塗工装置が、明らかにされている。
特開2012−94603号公報 特開2014−151301号公報
しかしながら、上述せるようなフィルムの製造手法にあっては、何れも、将来的には廃棄される基材が使用されていることに加え、得られたフィルムを使用する際に、基材とフィルムとを剥離せしめる必要があるところから、フィルムの製造及びそのようなフィルムを用いた製品の製造に係るコストが高騰してしまうという問題がある。
また、樹脂製の基材は剛性が低いため、乾燥工程における熱風の風速が制限される等、塗膜の乾燥を効率的に行なうことが困難になるという問題を内在している。更に、そのような樹脂製の基材は熱による変形(膨張乃至は収縮)が大きいため、基材上に形成された塗膜の乾燥工程において熱を加える場合に、基材が蛇行したり、塗膜の寸法が変化したりする等の恐れもある。
更にまた、上記特許文献2に開示の如き構造を有する塗工装置にあっては、塗工ギャップを測定する際の測定誤差や、かかる塗工ギャップを調整する際の機械的な誤差が生じる恐れがあると共に、塗工装置の稼働に伴なう振動やバックロールの傾斜等により、塗工ギャップを一定に維持することが困難となり、その結果、製造されるフィルムの厚さが不安定になってしまうという問題をも内在しているのである。
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、所望の厚さを有するフィルムを、安定して、且つ安価に製造可能なフィルムの製造装置を提供することにある。
そして、本発明にあっては、かかる課題を解決するために、バックアップロールを含む複数のロールに支持されており、それらロール上にて連続走行せしめられる金属製エンドレスベルトと、前記金属製エンドレスベルトの表面に液状のフィルム形成材料を吐出するためのスロットダイと、該スロットダイと一体的に設けられており、前記バックアップロールの外周面に当接せしめられている当接部材とを有しており、該スロットダイの吐出口が前記金属製エンドレスベルトの表面より所定の間隔にて離間せしめられる該スロットダイが配設されてなる、該金属製エンドレスベルト上に液状のフィルム形成材料からなる塗膜を形成するための塗工機と、前記金属製エンドレスベルト上に形成された塗膜を乾燥させ、固体状フィルムとするための乾燥炉と、前記金属製エンドレスベルトより剥離された前記固体状フィルムを、回転駆動する巻取りロールによって巻き取る巻取り機と、を有することを特徴とするフィルム製造装置を、その要旨とするものである。
なお、このような本発明に従うフィルム製造装置の望ましい態様の一つによれば、前記当接部材が弾性部材を介して前記塗工機に組み付けられており、該弾性部材の付勢力によって、前記当接部材が前記バックアップロールに当接せしめられている。
また、本発明に従うフィルム製造装置にあっては、好ましくは、前記金属製エンドレスベルトの走行速度と前記巻取りロールに巻き取られた前記固体状フィルムの量とから、該巻取りロールの回転駆動速度を演算し、かかる演算の結果に基づいて、該巻取りロールの回転駆動速度を変化させる制御手段を更に備えている。
このように、本発明に従うフィルム製造装置にあっては、バックアップロールを含む複数のロールに支持されて連続走行せしめられる金属製エンドレスベルト上に、液状のフィルム形成材料からなる塗膜を形成して、かかる塗膜を乾燥させることにより固体状フィルムが得られるところから、将来的に廃棄される基材が不要であると共に、得られた固体状フィルムをそのような基材から剥離することなく、直接使用することが出来るため、フィルムの製造及び得られたフィルムを用いた製品の製造に係るコストを有利に低減することが可能となるのである。
しかも、金属製エンドレスベルトは剛性に優れていることから、塗膜の乾燥工程における熱風の風速を十分に上げることが出来、以て、塗膜の乾燥を効率的に行なうことが可能になる。更に、金属製エンドレスベルトは熱による変形が小さいため、かかる金属製エンドレスベルト上に形成された塗膜の乾燥工程において熱を加えた場合に、金属製エンドレスベルトが蛇行したり、塗膜の寸法が変化したりすることを、有利に回避することが出来る利点もある。
また、金属製エンドレスベルト上に液状のフィルム形成材料からなる塗膜を形成するための塗工機が、金属製エンドレスベルトの表面に液状のフィルム形成材料を吐出するためのスロットダイと、かかるスロットダイと一体的に設けられており、バックアップロールの外周面に当接せしめられている当接部材とを有しており、スロットダイの吐出口が金属製エンドレスベルトの表面より所定の間隔にて離間せしめられるようにスロットダイが配設されてなるところから、塗工ギャップを一定に維持することが可能となっているのであり、以て、所望の厚さを有するフィルムを安定して製造することが出来ることとなるのである。
本発明に従うフィルム製造装置の一例を示す側面部分断面説明図である。 図1におけるA−A断面拡大説明図である。 図1におけるB方向矢視拡大部分断面説明図である。 図3におけるD−D断面説明図である。 図1に示されるフィルム製造装置における、巻取りロールの回転駆動速度について説明するための側面概略部分説明図である。 図1におけるC部拡大説明図である。 図1に示されるフィルム製造装置において、バックアップロールが傾斜した状態について示す、図3に対応する平面説明図である。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の代表的な実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従うフィルム製造装置の一例が、側面視の形態で示されている。そこにおいて、フィルム製造装置10は、バックアップロール12及び従動ロール14上にて連続走行せしめられる金属製エンドレスベルト16(以下、単にエンドレスベルト16とも称する)と、液状のフィルム形成材料(18)を吐出するためのスロットダイ20を有し、エンドレスベルト16上に液状のフィルム形成材料(18)からなる塗膜22を形成するための塗工機24と、エンドレスベルト16上に形成された塗膜22を乾燥させ、固体状フィルム26(以下、単にフィルム26とも称する)とするための乾燥炉28と、エンドレスベルト16より剥離されたフィルム26を巻取りロール30によって巻き取る巻取り機32と、を有しており、それらが架台34上の所定位置に配設されて構成されている。更に、フィルム製造装置10は、制御手段としてのコントローラ36を有しており、かかるコントローラ36が、バックアップロール12及び巻取りロール30を回転駆動せしめるための駆動モータ38及び40のそれぞれに接続されている。
具体的には、バックアップロール12は、所定の幅方向(図1における紙面垂直方向)寸法を有する円柱状形状を呈し、駆動モータ38によって所望の回転速度で回転駆動せしめられる。また、従動ロール14は、バックアップロール12と同等の幅方向寸法を有する円柱状形状を呈すると共に、バックアップロール12に対して水平方向(図1における左右方向)に所定距離、離間した位置に配置されており、且つその回転中心軸が、バックアップロール12の回転中心軸と平行になるように、自由回転可能に支持されている。そして、それらバックアップロール12及び従動ロール14にエンドレスベルト16が巻き掛けられており、バックアップロール12の回転駆動によって、かかるエンドレスベルト16が、バックアップロール12と従動ロール14との間で連続的に走行せしめられるようになっている。なお、以下、本実施形態においては、特に断らない限り、「幅方向」とは図1における紙面垂直方向を指し、また「水平方向」とは図1における左右方向を指し、更に「上下方向」とは図1における上下方向を指すものとする。
ここで、従動ロール14は、その幅方向両側に配設された2つ(図1においては1つのみ図示)のシリンダ42によって挟持されている。各シリンダ42は、それぞれ、水平方向(バックアップロール12と従動ロール14との対向方向)に伸縮可能なものであり、かかるシリンダ42の伸縮動作によって、従動ロール14が、バックアップロール14に対して接近又は離隔移動される。そのような従動ロール14の移動によって、バックアップロール12及び従動ロール14にて支持されているエンドレスベルト16に掛かるテンション(張力)の大きさを調節することが出来る。
また、それら2つのシリンダ42の伸縮動作により、エンドレスベルト16の幅方向の位置のズレ、所謂蛇行を修正することも可能である。即ち、図示しないセンサ等の公知の手段によって、エンドレスベルト16の蛇行を検知した場合に、各シリンダ42をそれぞれ適切に伸縮動作させて、従動ロール14を傾斜させることにより、エンドレスベルト16の蛇行を修正することが出来るのである。
上述のようにして、バックアップロール12及び従動ロール14に支持されて連続走行せしめられるエンドレスベルト16は、バックアップロール12及び従動ロール14の幅よりも小さい一定の幅方向寸法を備えると共に、その全長に亘って継ぎ目が存在しない無端ベルトであって、ここでは、表面が所望の表面粗さとなるように鏡面処理された金属製の無端ベルトが用いられている。なお、そのようなエンドレスベルトを構成する金属材料としては、公知の各種の金属材料、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、ニッケル等を用いることが出来る。本実施形態においては、剛性や耐傷性に優れ、且つ熱伝導率が低いところから、エンドレスベルト16はステンレスにて構成されている。
また、エンドレスベルト16の表面側には、製造されたフィルム26をスムーズに剥離させることを目的として、所定の離型処理が施されている。そのような離型処理には、従来から公知の各種の離型剤が用いられる。用いられ得る離型剤としては、例えば、シリコン系離型剤、フッ素系離型剤、パラフィンワックス、リン酸エステル類、脂肪酸誘導体、グリコール、タルク、及びマイカ、等を挙げることが出来る。なお、これらの離型剤は、単独で用いられていてもよく、二種以上が併用されていてもよい。これらの離型剤の中でも、高温でも溶け出し難く耐久性に優れるという点から、本発明においてはフッ素系離型剤が好ましく用いられる。
なお、本実施形態のエンドレスベルト16においては、図2に概略的に示されるように、上述したような離型剤を用いた離型処理により形成される離型剤膜44が、所定の接着層46を介して、エンドレスベルト16の金属部分48の表面側に形成されている。そのような接着層46は、金属材料及び離型剤(有機材料)の両方に対して接着性を発揮する特殊な材料、例えば、シランカップリング剤からなっている。即ち、エンドレスベルト16の金属部分48上に接着層46を形成することで、エンドレスベルト16における離型剤膜44の耐久性が向上せしめられている。
そして、フィルム製造装置10においては、エンドレスベルト16上に液状のフィルム形成材料18からなる塗膜22を形成するための塗工機24が配設されている。以下に、図3及び図4に基づいて、塗工機24の構造を詳細に説明する。
先ず、図3及び図4に示されているように、塗工機24は、バックアップロール12にて支持されたエンドレスベルト16の表面と対向して配置されるスロットダイ20を有している。図3に示されるように、スロットダイ20は、エンドレスベルト16の幅よりも小さい幅方向寸法を備え、その先端側(エンドレスベルト16と対向する側)の端部が、エンドレスベルト16の表面より所定の間隔(塗工ギャップ):d1にて離間せしめられるように、配設されている。そして、図4に示されるように、かかるスロットダイ20の先端部位には、スロットダイ20の幅方向略全長に亘って、スロットダイ20の先端面に開口する吐出口50が形成されており、そのような吐出口50から吐出される液状のフィルム形成材料18によって、バックアップロール12にて支持されたエンドレスベルト16の表面(離型剤膜44)上に、所望のフィルム26に対応した厚さ及び幅を有する塗膜22が形成される。
ここで用いられている液状のフィルム形成材料は、目的とするフィルムを構成する合成樹脂材料としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)を所定の溶媒に溶解乃至分散せしめてなる溶液である。なお、フィルム形成材料としては、これに限定されるものではなく、例えば、目的とするフィルムに応じた従来より公知の種々のフィルム形成材料が、適宜に選択されて、使用される。そのようなフィルム形成材料18は、図示しないフィルム形成材料供給機構により、適宜、スロットダイ20に供給され、エンドレスベルト16の表面に向かって、吐出口50から吐出されることとなる。
そのようなスロットダイ20は、図4に示されるように、第一可動プレート52(以下、単に第一プレート52とも称する)上に固定されたダイ架台54上に、固設されている。また、第一プレート52上には、水平方向に貫通する雌ネジ孔56が形成された調整ブロック58が固設されている。更に、第一プレート52の下面には、水平方向に直線的に延びる3本(図4においては1本のみ図示)の凹溝60が形成されている。
そして、第一プレート52の下側には、回転プレート62が配設されており、かかる回転プレート62の上面の第一プレート52の凹溝60、60、60に対応する位置には、水平方向に直線的に延びる3本(図4においては1本のみ図示)のガイドレール64が形成されている。即ち、第一プレート52の凹溝60、60、60と回転プレート62のガイドレール64、64、64とが、それぞれ互いに嵌合された状態で、第一プレート52が回転プレート62上に載置されている。
また、回転プレート62上には、調整ボルト66を回動可能且つ水平方向移動不可能な状態で保持するボルト保持部材68が固設されており、調整ボルト66の雄ネジ部70が、調整ブロック58の雌ネジ孔56に螺入されている。かくして、第一プレート52と回転プレート62とが、調整ボルト66を介して一体的に連結されている一方、かかる調整ボルト66を回動させることによって、所謂ネジ送り機構により、第一プレート52が、回転プレート62のガイドレール64、64、64に沿って、回転プレート62に対して相対的に水平方向に移動可能とされている。
ところで、塗工機24においては、図3に示されるように、回転プレート62上における、スロットダイ20の幅方向両側に、2つの当接ロール支持部材72、72が固設されており、それら当接ロール支持部材72、72のそれぞれに対して、軸部材74及び軸受76を介して、略円盤形状の当接ロール78が、自由回転可能な状態で取り付けられているのである。また、当接ロール78、78の回転中心軸は、バックアップロール12の回転中心軸と略平行とされており、それら当接ロール78、78が、バックアップロール12の外周面に当接せしめられているのである。これにより、当接ロール78、78は、バックアップロール12に接触した状態で、バックアップロール12の回転駆動に伴なって回転せしめられるようになっている。
また、スロットダイ20の吐出口50は、当接ロール78、78のバックアップロール12との接触部分を繋いだ直線と平行になるように配設されている。即ち、2つの当接ロール78、78とバックアップロール12の外周面との接触部分にて挟まれたスロットダイ20の吐出口50が、バックアップロール12の表面及びかかるバックアップロール12に支持されたエンドレスベルト16の表面と平行となるようにして、スロットダイ20が配設されているのである。
さらに、ここでは、スロットダイ20の吐出口50が、当接ロール78、78のバックアップロール12との接触部分(外周面)よりも所定の距離:d2だけ、バックアップロール12と離隔した位置に配設されている。なお、上述したように、第一プレート52と回転プレート62とが調整ボルト66を介して一体的に連結された状態において、第一プレート52上に固設されたスロットダイ20と、回転プレート62上に水平方向に移動不可能とされた当接ロール78、78とは、相対的に変位しないようになっている。
従って、図3に示されるように、スロットダイ20の吐出口50とエンドレスベルト16の表面との距離(塗工ギャップ):d1は、当接ロール78、78のバックアップロール12との接触部分とスロットダイ20の吐出口50との距離:d2から、エンドレスベルト16の厚さ:tを引いた値となる。これにより、2個の当接ロール78、78が、バックアップロール12の外周面に当接せしめられた状態において、スロットダイ20の吐出口50が、それら2個の当接ロール78、78のバックアップロール12との当接部位にて挟まれたエンドレスベルト16の表面に対して、所定の塗工ギャップ:d1だけ離間して配設されるようになっているのである。
そして、図4に示されるように、回転プレート62の下面には、円穴状の凹所80が形成されている。また、回転プレート62の下側には、第二移動プレート82(以下、第二プレート82とも称する)が配設されており、かかる第二プレート82の上面の回転プレート62の凹所80に対応する位置には、短円柱形状の凸部84が形成されている。ここでは、回転プレート62の凹所80と第二プレート82の凸部84が、ベアリング86を介して互いに嵌合された状態で、回転プレート62が第二プレート82上に載置されている。これにより、回転プレート62が、第二プレート82に対して、相対的に回転可能とされている。
また、第二プレート82の下面には、水平方向に直線的に延びる3本(図4においては1本のみ図示)の凹溝88が形成されており、第二プレート82の下側には、第三可動プレート90(以下、第三プレート90とも称する)が配設されている。かかる第三プレート90の上面の第二プレート82の凹溝88、88、88に対応する位置には、水平方向に直線的に延びる3本(図4においては1本のみ図示)のガイドレール92が形成されている。即ち、第二プレート82の凹溝88、88、88と第三プレート90のガイドレール92、92、92が、それぞれ互いに嵌合された状態で、第二プレート82が第三プレート90上に載置されており、第二プレート82は、第三プレート90のガイドレール92、92、92に沿って、第三プレート90に対して、相対的に水平方向に移動可能とされている。
ここで、図3に示されるように、第三プレート90上には、第二プレート82上に固設された当接ロール支持部材72、72と水平方向で対向する位置に、圧縮コイルばね保持部材(以下、単にばね保持部材とも称する)94、94が固設されている。それらばね保持部材94、94には、それぞれ、圧縮コイルばね96が、その中心にガイド棒98が挿通された状態で保持されており、それら圧縮コイルばね96、96の先端部が、当接ロール保持部材72、72に当接されている。
また、圧縮コイルばね96、96は、それぞれ、ばね保持部材94と当接ロール支持部材72との間で、所定の量だけ圧縮された状態で配設されており、当接ロール支持部材72、72が、圧縮コイルばね96、96によって、バックアップロール12側に押圧されている。即ち、当接ロール支持部材72、72に対して、圧縮コイルばね96、96から、バックアップロール12側への付勢力が及ぼされるようになっており、そのような圧縮コイルばね96、96の付勢力によって、当接ロール78、78が、バックアップロール12に当接せしめられているのである。
また、図4に示されるように、第三プレート90の下面には、水平方向に直線的に延びる3本(図4においては1本のみ図示)の凹溝100が形成されており、第三プレート90の下側には、ベースプレート102が配設されている。かかるべースプレート102の上面の第三プレート90の凹溝100、100、100に対応する位置には、水平方向に直線的に延びる3本(図4においては1本のみ図示)のガイドレール104が形成されている。即ち、第三プレート90の凹溝100、100、100とベースプレート102のガイドレール104、104、104が、それぞれ互いに嵌合された状態で、第三プレート90がベースプレート102上に載置されているのであり、第三プレート90は、ベースプレート102のガイドレール104、104、104に沿って、ベースプレート102に対して、相対的に水平方向に移動可能とされている。
そして、ベースプレート102上には、水平方向に伸縮動作するシリンダ106が固設されており、かかるシリンダ106の先端が第三プレート90に取り付けられている。即ち、このようなシリンダ106の伸縮動作により、第三プレート90が水平方向に移動されるようになっているのである。
上述の如き構造を備える塗工機24は、以下の様に動作して、所定の位置において配設されることとなる。
先ず、シリンダ106が収縮せしめられた状態で、調整ボルト66を操作して、第一プレート52を回転プレート62に対して相対移動させることで、スロットダイ20の水平方向位置、即ち、当接ロール78、78のバックアップロール12の外周面との接触部分とスロットダイ20の吐出口50との距離:d2を調整する。なお、かかる距離:d2は、所望の塗工ギャップ:d1が得られるように、エンドレスベルト16の厚さ:tを考慮して決定される。
次いで、収縮状態にあるシリンダ106を伸長動作せしめることにより、ベースプレート102のガイドレール104、104、104に沿って、第三プレート90を水平方向に移動させる。これにより、スロットダイ20や当接ロール78、78を含む第三プレート90上の構成部材が、第三プレート90と共に水平方向にバックアップロール12側へ移動されることとなる。
すると、当接ロール78、78とバックアップロール12の外周面とが当接する。かかる当接により、当接ロール78、78と相対的に水平方向移動不可能とされているスロットダイ20を含む第二プレート82上の構成部材は、水平方向への移動が停止する。その後、更に、シリンダ106を伸長動作せしめることにより、第三プレート90、及びばね保持部材94、94を含む第三プレート90上に固設された構成部材のみが水平方向に移動する。これにより、第二プレート82上に固設された当接ロール支持部材72、72と、第三プレート90上に固設されたばね保持部材94、94との間に挟まれることとなって、圧縮コイルばね96、96が圧縮される。このようにして、当接ロール78、78が、圧縮コイルばね96、96の付勢力によって、バックアップロール12に当接せしめられることとなるのである。
かくして、塗工機24において、スロットダイ20の吐出口50が、エンドレスベルト16の表面より所定の間隔:d1にて離間せしめられた位置に、配設されることとなる。このような状態で、バックアップロール12の回転駆動を開始すると共に、吐出口50から液状のフィルム形成材料18を吐出させることにより、エンドレスベルト16上に所望の塗膜22が形成されることとなるのである。
一方、図1に示されるように、そのような塗工機24の、エンドレスベルト16の走行方向前方には、エンドレスベルト16上に形成された塗膜22を乾燥させるための乾燥炉28が配設されている。なお、塗工機24と乾燥炉28との間には、ある程度の間隔が設けられている。これは、塗工機24によりフィルム形成材料18からなる塗膜22を形成した後、塗膜22が乾燥炉28に搬送されるまでの間に、液状のフィルム形成材料18の流動性により、塗膜22をエンドレスベルト16上で平坦化させるためである。このような塗工機24と乾燥炉28との間の間隔は、塗膜22の平坦化が不十分とならない範囲で、且つ乾燥炉28の熱により塗工機24においてフィルム形成材料18が乾燥固化しない範囲で、適宜に定められる。
本実施形態では、乾燥炉28が、第一乾燥室28a、第二乾燥室28b、及び第三乾燥室28cという、それぞれに区切られた3つの乾燥室から構成されている。それら第一乃至第三乾燥室28a〜28cは、それぞれ、送風ダクト108、2つの赤外線ヒータ110、110、及び排気ダクト112を備えており、各乾燥室28a〜28c内における塗膜22の乾燥は、送風ダクト108から熱風が吹き付けられると共に、エンドレスベルト16が赤外線ヒータ110、110によって加熱されることによって行なわれる。そして、そのような乾燥操作によって蒸発せしめられた溶剤及び吹き付けられた熱風は、排気ダクト112から各乾燥室28a〜28cの外部へ排出される。
ここで、各乾燥室28a〜28c内において送風ダクト108から吹き付けられる熱風の風速(設定値)は、エンドレスベルト16の蛇行が惹起されない範囲であって、塗膜22の厚さが著しく変化しない範囲で、適宜に設定される。本実施形態においては、乾燥炉28における塗膜22の乾燥(溶媒の除去)をより効率的に行なうために、熱風の風速が100m/s程度という比較的大きな風速とされている。
また、各乾燥室28a〜28cにおける塗膜22の加熱温度(設定温度)は、塗膜22を構成するフィルム形成材料18の熱による劣化が生じない範囲であって、熱収縮により塗膜22の寸法が著しく変化しない範囲で適宜に設定されることとなるが、ここでは、加熱温度が200℃程度という比較的高い温度とされている。なお、第一乃至第三乾燥室28a〜28cにおける加熱温度:Ta〜Tcは、何れも、同じ温度に設定されていてもよいが、各乾燥室毎に異なっていてもよい。例えば、それらの加熱温度:Ta〜Tcを、Ta<Tb>Tcとなるように設定することにより、塗膜22を乾燥炉28(第一乾燥室28a)へ導入する際や、塗膜22を乾燥炉28(第三乾燥室28c)から送出する際の、乾燥炉28の外部の温度(室温)との急激な温度変化を避けることが出来る。また、各乾燥室28a〜28cにおける加熱温度:Ta〜Tcや、各乾燥室28a〜28cにおける熱風の供給乃至排気を制御して、各乾燥室28a〜28c内の溶媒の濃度(vol%):Xa〜Xcを調整することにより、溶媒をより有利に除去すると共に、防災上の問題を有利に回避することも可能となる。
このようにして、乾燥炉28において、エンドレスベルト16上に形成された塗膜22が乾燥させられることにより、エンドレスベルト16上に固体状のフィルム26が形成される。
そして、図1に示されるように、そのような乾燥炉28の、エンドレスベルト16の走行方向前方には、エンドレスベルト16上に形成されたフィルム26を巻取りロール30によって巻き取る巻取り機32が配設されている。なお、乾燥炉28と巻取り機32(後述するエキスパンダローラ114)との間には、ある程度の間隔が設けられている。これは、乾燥炉28における塗膜22の乾燥後に形成されたフィルム26を、冷却するためである。
そのような巻取り機32における巻取りロール30は、バックアップロール12と、互いに平行な回転軸回りに回転可能に設置されており、駆動モータ40によって所定の回転駆動速度で回転駆動されるようになっている。これにより、エンドレスベルト16から剥離されたフィルム26が、巻取りロール30の回転駆動に伴なって、巻取りロール30によって巻き取られるようになっている。
ここで、本実施形態においては、巻取りロール30の回転駆動速度がコントローラ36により制御されている。即ち、バックアップロール12が駆動モータ38によって一定の速度(角速度)で回転駆動せしめられると、エンドレスベルト16は、バックアップロール12の回転速度に対応した速度で連続走行して、フィルム26がエンドレスベルト16の走行速度に対応して速度で巻取りロール30に向かって送り出される。一方、巻取りローラ30においては、そのようにして送り出されてくるフィルム26が巻き取られることにより、所謂巻き太りによって、駆動モータ40の回転駆動速度(角速度:ω)に対する巻取りロール30の最外周面(巻き取られたフィルム26)の走行速度が変化する。要するに、図5に示されるように、駆動モータ40の回転駆動速度:ωが一定だと、巻取り開始直後の巻き取られるフィルム26(図5において二点鎖線にて示す)の走行速度:Vaに対して、ある程度巻き取られた後のフィルム26の走行速度:Vbが、速くなってしまう(Va<Vb)のである。これにより、フィルム26の伸びや巻き締まりが生じる恐れがある。
従って、ここでは、コントローラ36によって、バックアップロール12の回転駆動速度から算出されるエンドレスベルト16の走行速度と、巻取りロール30に巻き取られたフィルム26の量(巻取りロール30の最外径)とから、巻取りロール30の適切な回転駆動速度:ωを演算し、かかる演算の結果に基づいて駆動モータ40を駆動せしめることにより、フィルム26の製造中において、巻き取られるフィルム26の走行速度(Va乃至はVb)が、常に一定となるように制御されるようになっているのである。
また、巻取り機32においては、図6に示されるように、エンドレスベルト16より剥離されたフィルム26が、巻取りロール30に巻き取られる前に、エキスパンダローラ114に巻き掛けられている。これにより、フィルム26の製造に伴なう巻取りロール30の最外径の変化にも関わらず、エンドレスベルト16からのフィルム26の剥離角度:θが一定に維持されるようになっている。なお、そのようなエキスパンダローラ114の上下方向の位置は、シリンダ116の伸縮移動により調整可能となっている。
さらに、エキスパンダローラ114には、その幅方向中央部から両端へとフィルム26の走行方向に向かって左右対称に展開するように所定の溝(図示せず)が設けられており、フィルム26の幅方向中央から端部に向かって、微小な力が連続して加わるようになっている。これにより、フィルム26に皺が発生したり、伸びが生じたりすることが、有利に防止され得る。加えて、エキスパンダローラ114に導電性を付与せしめることによって、フィルム26の帯電防止を図ることも可能である。
以上の説明から明らかなように、本実施形態のフィルム製造装置10においては、バックアップロール12及び従動ロール14に支持されて連続走行せしめられる金属製エンドレスベルト16上に、液状のフィルム形成材料18からなる塗膜22を形成して、かかる塗膜22を乾燥させることにより固体状フィルム26が得られるものである。このため、従来のフィルム製造装置において必要であった固体状フィルム26とほぼ同量の、PET製フィルム等からなる基材が不要となるのである。また、形成されたフィルム26をエンドレスベルト16から剥離して巻取りロール30によって巻き取るため、得られたフィルム26の使用に際しては、巻取りロール30に巻き取られたフィルム26をそのまま使用することが可能である。従って、フィルム26の製造及び得られたフィルム26を用いた製品の製造に係るコストを有利に低減することが可能となるのである。
しかも、金属製エンドレスベルト16は剛性に優れるところから、塗膜22の乾燥工程において、乾燥炉28内の熱風の風速を十分に上げることが出来る。即ち、そのように熱風の風速を上げても、エンドレスベルト16の揺動が有利に抑制されるのである。更に、金属製エンドレスベルト16は熱による変形が小さいため、エンドレスベルト16上に形成された塗膜22の乾燥工程において、熱風を吹き付けたり、赤外線ヒータ110によって加熱する等して熱を加えても、かかるエンドレスベルト16の熱変形によって、エンドレスベルト16が蛇行したり、塗膜22の寸法が変化したりすることが、有利に回避されることとなる。従って、塗膜22の乾燥を効率的に行なうことが可能となるのである。
また、エンドレスベルト16の表面に所定の離型処理が施されているところから、形成されたフィルム26がエンドレスベルト16より円滑に剥離されるようになっており、以て、エンドレスベルト16よりフィルム26を剥離せしめる際の、フィルム26の破れや皺の発生が有利に防止される。更に、エンドレスベルト16においては、離型剤からなる離型剤膜44が、接着層46を介して、金属部分48上に強固に固着されているところから、離型剤膜44の耐久性が向上させられている。即ち、エンドレスベルト16を連続走行せしめて、フィルム26の製造を繰り返し行なっても、離型剤(離型剤膜44)がエンドレスベルト16から脱落することが効果的に阻止されるため、長期間に亘って、フィルム26を円滑に剥離せしめることが出来るのである。
そして、塗工機24においては、エンドレスベルト16の表面に液状のフィルム形成材料18を吐出するためのスロットダイ20と、かかるスロットダイ20と一体的に設けられている当接部材としての当接ロール78、78とを有しており、そのような当接ロール78、78がバックアップロール12の外周面に当接せしめられている状態で、スロットダイ20の吐出口50がエンドレスベルト16の表面より所定の塗工ギャップ:d1を隔てて離間せしめられるようにスロットダイ20が配設されている。そのような構成を採用しているところから、塗工ギャップ:d1は一定に維持され、以て、所望の厚さを有するフィルム26を安定して製造することが出来るのである。
すなわち、ここでは、当接ロール78、78が、バックアップロール12の外周面に当接せしめられて水平方向に変位可能とされていると共に、かかる当接ロール78、78とスロットダイ20とが水平方向に一体的に移動可能とされているところから、スロットダイ20の吐出口50とバックアップロール12に支持されているエンドレスベルト16の表面との間の水平方向の距離(塗工ギャップ:d1)が、機械的に一定の大きさにて維持されるようになっている。その結果、塗膜22が、エンドレスベルト16の表面上に、一定の厚さで形成されることとなり、以て、所望の厚さを有するフィルム26を有利に安定して製造することが出来るようになっているのである。
また、本実施形態の塗工機24においては、当接ロール支持部材72、72にて支持された当接ロール78、78が、それぞれ、圧縮コイルばね96、96にてバックアップロール12側に付勢された状態で、バックアップロール12に当接せしめられている。従って、当接ロール78、78とバックアップロール12の外周面との当接状態が有利に維持されるようになっている。即ち、バックアップロール12の表面に凹凸部があっても、かかる凹凸部に追従するように当接ロール78、78が水平方向に移動することとなり、スロットダイ20とエンドレスベルト16表面との間の塗工ギャップ:d1を、常に一定の大きさに保つことが出来る。そして、それによって、塗膜22の厚さが変化してしまうようなことが、より効果的に防止され得るのである。
さらに、本実施形態の塗工機24においては、当接ローラ支持部材72、72にて支持された当接ローラ78、78が、それぞれ、圧縮コイルばね96、96にてバックアップロール12側に付勢された状態で、当接ローラ支持部材72、72が固設されている回転プレート62が、第二プレート82に対して、相対的に回動可能とされている。それ故、図7に示されるように、フィルム製造装置10の稼働に際して、バックアップロール12の一部が傾斜したり、バックアップロール12が一時的に傾斜した場合であっても、圧縮コイルばね96、96の弾性変形量が、それぞれ増減すると共に、回転プレート62が第二プレート82に対して相対的に回転移動することで、2つの当接ロール78、78が、何れも、バックアップロール12の外周面から離間することなく、転動することとなる。
これにより、回転プレート62に対して、調整ボルト66を介して連結されている第一プレート52上に固定的に配設されたスロットダイ20の傾きが変化させられて、2つの当接ローラ78、78のバックアップロール12との接触部分にて挟まれたスロットダイ20の吐出口50と、バックアップロール12及びエンドレスベルト16の表面との平行状態が保持される。かくして、スロットダイ20の吐出口50の、塗工ギャップ:d1を隔ててのエンドレスベルト16表面への平行状態が、安定的に維持されることとなるところから、バックアップロール12が傾斜した場合であっても、塗膜22を確実に形成することが可能ならしめられるのである。なお、図7においては、本実施形態の塗工機24の構造の理解を容易とするために、バックアップロール12の傾斜が誇張された大きさで示されていることが、理解されるべきである。
加えて、従来のフィルム製造装置においては、フィルムの製造に伴なって、所謂巻取りロールの巻き太りが生じることにより、かかる巻取りロールの回転速度とバックアップロールの回転速度(基材の走行速度)との関係が変化して、フィルムの伸びや巻き締まりが生じる恐れがある。これに対し、本実施形態のフィルム製造装置10においては、バックアップロール12の回転速度(エンドレスベルト16の走行速度)と巻取りロール30に巻き取られたフィルム26の量とから、巻取りロール30の適切な回転駆動速度(ω)を演算し、かかる演算の結果に基づいて、巻取りロール30の回転駆動速度を変化させるようになっているところから、そのようなフィルム26の伸びや巻き締まりの発生が、効果的に阻止されることとなる。
更にまた、エンドレスベルト16より剥離されたフィルム26が、エキスパンダローラ114に巻き掛けられていることにより、エンドレスベルト16からのフィルム26の剥離角度:θが有利に一定とされているところから、エンドレスベルト16よりフィルム26を剥離させるに際して生じる応力が略一定とされ、以て、かかるフィルム26を安定して巻き取ることが可能となっているのである。
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
例えば、バックアップロールの外周面に当接せしめられている当接部材は、例示のように、バックアップロールの回転駆動と共に転動するものに限られず、バックアップロールの外周面に対して摺動可能に当接せしめられるものであってもよい。また、かかる当接部材の形状も、略円盤形状に何等限られるものではない。
さらに、塗工機をバックアップロールに対して接近/離隔移動せしめる機構としては、シリンダ(106)に代えて、サーボモータを用いたネジ送り機構等の各種公知の機構を採用することが可能である。
また、スロットダイの形態も例示のものに何等限られず、公知の種々の形態のものが用いられ得る。なお、スロットダイの配設形態も、スロットダイの吐出口がエンドレスベルトと水平方向において対向する形態の他、スロットダイの吐出口がエンドレスベルトと上下方向において対向するように配設されていてもよい。加えて、ダイ架台に対して、スロットダイの吐出口からの溶液や溶媒の液ダレや、スロットダイの下方に配設される構成部材間の異物の挟み込みを防止することを目的として、ダストシールを設けることも出来る。
更にまた、塗工機において、塗工ギャップ(当接部材とスロットダイとの位置関係)を調整するための調整ボルトを、サーボモータ等により駆動するようにしてもよい。これにより、塗工ギャップを遠隔操作にて調整可能として、フィルム製造装置の稼働中に、随時、塗工ギャップを微調整することが可能となる。
また、乾燥炉における塗膜の乾燥方法は、例示の手法に限られず、公知の各種の手法を採用することが出来る。例えば、熱風の吹き付けと赤外線ヒータによる加熱とを併用せず、それら熱風の吹き付け及び赤外線ヒータによる加熱の何れかを単独で行なったり、他の手法と組み合わせて乾燥を行なってもよい。なお、乾燥炉は複数の乾燥室に区切られていなくてもよい。
さらに、乾燥炉にて塗膜を乾燥せしめた後、形成された固体状フィルムを冷却する機構を設けることも可能である。例えば、エンドレスベルト上に形成されたフィルムに対して冷風を吹き付けたり、エンドレスベルトを支持するロール(従動ロール14)を冷却して、かかるエンドレスベルトを介してフィルムを冷却する機構を設けることが出来る。
なお、フィルム製造装置において使用される巻取り機は、例示のものに限定されず、一般的に使用されているものを用いることも可能である。例えば、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントローラ法等を適用した巻取り機を用いて、フィルム巻き取ることも可能である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
10 フィルム製造装置 12 バックアップロール
14 従動ロール 16 金属製エンドレスベルト
18 フィルム形成材料 20 スロットダイ
22 塗膜 24 塗工機
26 固体状フィルム 28 乾燥炉
30 巻取りロール 32 巻取り機
36 コントローラ 38、40 駆動モータ
50 吐出口 72 当接ロール支持部材
78 当接ロール 94 弾性部材保持部材
96 圧縮コイルばね 114 エキスパンダローラ

Claims (3)

  1. バックアップロールを含む複数のロールに支持されており、それらロール上にて連続走行せしめられる金属製エンドレスベルトと、
    前記金属製エンドレスベルトの表面に液状のフィルム形成材料を吐出するためのスロットダイと、該スロットダイと一体的に設けられており、前記バックアップロールの外周面に当接せしめられている当接部材とを有しており、該スロットダイの吐出口が前記金属製エンドレスベルトの表面より所定の間隔にて離間せしめられる該スロットダイが配設されてなる、該金属製エンドレスベルト上に液状のフィルム形成材料からなる塗膜を形成するための塗工機と、
    前記金属製エンドレスベルト上に形成された塗膜を乾燥させ、固体状フィルムとするための乾燥炉と、
    前記金属製エンドレスベルトより剥離された前記固体状フィルムを、回転駆動する巻取りロールによって巻き取る巻取り機と、
    を有することを特徴とするフィルム製造装置。
  2. 前記当接部材が弾性部材を介して前記塗工機に組み付けられており、該弾性部材の付勢力によって、前記当接部材が前記バックアップロールに当接せしめられている請求項1に記載のフィルム製造装置。
  3. 前記金属製エンドレスベルトの走行速度と前記巻取りロールに巻き取られた前記固体状フィルムの量とから、該巻取りロールの回転駆動速度を演算し、かかる演算の結果に基づいて、該巻取りロールの回転駆動速度を変化させる制御手段を更に備える請求項1又は請求項2に記載のフィルム製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109036883A (zh) * 2018-06-01 2018-12-18 芜湖市亿仑电子有限公司 一种复合式电容器外壳烘干装置
KR102118167B1 (ko) * 2020-04-09 2020-06-02 김옥태 코팅 장치 및 그를 갖는 코팅 시스템

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