JP2016218225A - 撮像装置およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ボケ状態の異なる複数の画像を用いて撮像光学系の焦点検出を行う撮像装置において合焦精度を向上させること。【解決手段】撮像装置の焦点検出部130は、ボケ状態の異なる複数の画像輝度信号から複数の周波数帯域での成分を抽出して信号を得る回路部を備える。ボケ評価値生成部113は複数の周波数帯域ごとに複数の異なるデフォーカス量による信号差からボケ評価値を算出する。近似性/線形性判定部116は、複数の周波数帯域から最適な周波数帯域を選択し、選択された周波数帯域でのボケ評価値を用いて現在のフォーカス位置と合焦位置との差分を検出する。フォーカス駆動量決定部117は近似性/線形性判定部116の出力にしたがってフォーカスレンズ104の駆動量を決定し、フォーカス駆動部120を制御して撮像光学系の合焦動作を行う。【選択図】 図1
Description
本発明は、デジタルカメラなどの撮像装置における撮像光学系の焦点検出技術に関するものである。
撮像装置が備える焦点検出および焦点調節装置は、撮像光学系の合焦方向および合焦に至るレンズ駆動量を算出し、焦点状態(ピント状態)に応じて自動焦点調節を実行する。例えばコントラスト検出方式では撮像信号から指定範囲内の高周波成分が抽出され、画像のコントラスト値を評価値として合焦位置が検出される。最良の合焦位置までレンズ駆動を行ってコントラスト状態を監視する必要があるため、合焦に時間がかかる。レンズを移動すべき方向が判明しないと方向判別に時間がかかるので合焦までの時間が更にかかる。この他、撮像素子の焦点検出画素から取得される信号を用いて焦点検出を行う、いわゆる撮像面位相差検出方式がある。この場合、画素を特殊な形状にしなければならない。
近年、Depth From Defocus(以下、DFDと略記する)技術により、ボケ状態の異なる複数の画像から現時点でのデフォーカス量を検出可能である(特許文献1)。DFD法では、ボケ状態が異なる複数の入力画像の輝度情報が、ガウシアンフィルタ等で平滑処理された後に、ラプラシアンフィルタで2次元微分が行われる。フィルタ処理後の2画像の輝度値の差から評価値(以下、ボケ評価値という)が算出され、ボケ評価値を用いて現時点でのデフォーカス状態(フォーカス位置状態)が推測される。その際、予め理想ボケ状態から導き出されているデフォーカス量に対する、ボケ評価値の関係を表す参照テーブル(相関テーブルともいう)が使用される。相関テーブルは事前に作成されて、撮像装置内の記憶部にデータが記憶されている。実際の撮影時に得られるボケ評価値と、相関テーブルを用いて、ボケ評価値に対応するデフォーカス量が探索される。探索結果であるデフォーカス量に対応するレンズ位置へのフォーカスレンズ駆動により、高速な合焦動作が行われる。
DFD法にてガウシアンフィルタとラプラシアンフィルタを用いる場合、バンドパスフィルタ作用により特定の周波数帯域成分が抽出される。このため、焦点検出を行う際の、被写体状態や評価対象となる画像のボケ状態に応じて、各フィルタ特性(フィルタ係数)を最適化しなければならない。そのような最適な周波数帯域を瞬時に判断して適応するフィルタ特性を決定することは困難であった。
本発明の目的は、ボケ状態の異なる複数の画像を用いて撮像光学系の焦点検出を行う撮像装置において合焦精度を向上させることである。
本発明の目的は、ボケ状態の異なる複数の画像を用いて撮像光学系の焦点検出を行う撮像装置において合焦精度を向上させることである。
本発明に係る装置は、フォーカスレンズを含む撮像光学系を通して被写体を撮像する撮像素子を有する撮影装置であって、前記撮像素子の出力信号を処理し、ボケ状態の異なる複数の画像のデータから複数の周波数帯域での成分をそれぞれ抽出した信号を取得する信号処理手段と、前記信号処理手段から信号を取得してボケ状態を表す評価値を算出する算出手段と、前記複数の周波数帯域ごとに、複数のフォーカスレンズ位置と、それぞれのフォーカスレンズ位置にて前記算出手段が算出した複数の前記評価値との対応関係を判定して現在のフォーカスレンズ位置と合焦位置との差分を検出する焦点検出手段と、前記焦点検出手段の出力にしたがって前記フォーカスレンズの駆動量を決定する決定手段と、前記決定手段により決定された駆動量で前記フォーカスレンズを駆動する駆動手段を備える。前記焦点検出手段は、前記複数の周波数帯域から選択した周波数帯域にて検出された前記差分に信頼性があると判定した場合に当該差分を前記決定手段に出力する。
本発明によれば、ボケ状態の異なる複数の画像を用いて撮像光学系の焦点検出を行う撮像装置において合焦精度を向上させることができる。
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。本発明は、例えばデジタルカメラやビデオカメラのような、撮像素子を用いた撮像装置への適用に有用である。図1から図5を用いて各実施形態に共通する事項、および焦点検出の原理的な説明を行った後、図6および図7を用いて各実施形態で行う処理を説明する。
図1は本発明の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す。以下では、撮像素子を有する撮像装置の装置本体部と、撮像光学系を構成するレンズ部とが一体であるデジタルカメラの形態を例示して説明するが、レンズ装置を装置本体部に装着して使用する撮像装置の形態にも適用可能である。
撮像装置100は、静止画および動画の記録が可能であり、撮像光学系101を備える。撮像装置100において、第1の焦点検出方法は、コントラスト検出方式または撮像素子を用いた撮像面位相差検出方式による方法とする。また、第2の焦点検出方式はDFD方式を利用した方法とする。
光彩絞り102は、その開口径を調節することで撮影時の光量調節を行うとともに、静止画撮影時には露光秒時調節用シャッターとして機能する。フォーカスレンズ群(以下、単に「フォーカスレンズ」という)103は光軸方向に移動して焦点調節を行う。撮像素子104は、C−MOS(相補型金属酸化膜半導体)センサやCCD(電荷結合素子)センサで構成され、光電変換により画像信号を出力する。
撮像装置100は、静止画および動画の記録が可能であり、撮像光学系101を備える。撮像装置100において、第1の焦点検出方法は、コントラスト検出方式または撮像素子を用いた撮像面位相差検出方式による方法とする。また、第2の焦点検出方式はDFD方式を利用した方法とする。
光彩絞り102は、その開口径を調節することで撮影時の光量調節を行うとともに、静止画撮影時には露光秒時調節用シャッターとして機能する。フォーカスレンズ群(以下、単に「フォーカスレンズ」という)103は光軸方向に移動して焦点調節を行う。撮像素子104は、C−MOS(相補型金属酸化膜半導体)センサやCCD(電荷結合素子)センサで構成され、光電変換により画像信号を出力する。
画像信号抽出部105は、撮像素子104の出力する光電変換信号から画像信号を、A(アナログ)/D(デジタル)変換して抽出する。測光部106は、画像信号抽出部105により抽出された信号から、指定されている画像領域の測光評価を行う。露光量決定部107は、測光部106の測光結果に基づき、記録画像の適正な露光量を演算する。ゲイン調整部108は、記録画像が適正な露光状態となるように、撮像素子104の出力信号の強度を制御する。絞り制御部109は光彩絞り102の開口径の調整する命令を与える。そして再び、撮像素子104からの光電変換信号の変化に対して最適な露光量状態になるように、フィードバック制御が行われる。最適な露光量条件が決定された後で、記録用画像生成部124は画像信号から記録画像データを生成する。画像記録部125は、フラッシュメモリやハードディスク等の記録媒体に画像信号を記録する。
次に焦点検出および焦点検出結果に応じた合焦動作について説明する。
先ず、焦点検出領域範囲決定部(以下、範囲決定部という)110は、画像信号抽出部105によって得られた画像信号から、焦点検出領域の範囲を決定する。焦点検出領域として決定される撮影画像内の領域については、撮像装置が組み込まれているアルゴリズムにしたがって自動的に設定する方法、あるいは、撮影者の操作指示にしたがって焦点検出領域を指定する方法等で行われる。
先ず、焦点検出領域範囲決定部(以下、範囲決定部という)110は、画像信号抽出部105によって得られた画像信号から、焦点検出領域の範囲を決定する。焦点検出領域として決定される撮影画像内の領域については、撮像装置が組み込まれているアルゴリズムにしたがって自動的に設定する方法、あるいは、撮影者の操作指示にしたがって焦点検出領域を指定する方法等で行われる。
撮像装置100は第1および第2の焦点検出の機能を有する。焦点検出方法選択部(以下、方法選択部という)111は、例えば撮影環境の照度や被写体のコントラスト情報等を取得し、使用する焦点検出方法を決定する。第1の焦点検出が選択された場合、コントラスト検出方式または撮像面位相差方式の焦点検出が行われる。例えば、第1の焦点検出部121の検出方式がコントラスト検出方式である場合には、いわゆる山登り動作により被写体像のコントラスト状態が極大となる合焦位置が検出される。山登り動作では、第1の焦点検出部121の出力にしたがってフォーカス駆動量算出部119がフォーカス駆動量を算出してフォーカス駆動部120に出力する。撮像素子104の出力信号は画像信号抽出部105、範囲決定部110、方法選択部111を介して第1の焦点検出部121に入力され、コントラスト評価値が算出される。この処理が繰り返し実行されることで最終的に合焦位置が検出される。また、第1の焦点検出部121の方式が撮像面位相差方式である場合には、公知の方法で相関演算による位相差検出が行われて合焦位置が検出される。フォーカス駆動量算出部119は合焦状態(デフォーカス量がゼロまたはその近傍の状態)となるフォーカス駆動量を算出してフォーカス駆動部120に出力する。フォーカス駆動部120は、フォーカスレンズ103を合焦位置へ移動させて合焦制御を終える。
方法選択部111により第2の焦点検出が選択された場合、DFD方式を利用した焦点検出が行われる。以下に第2の焦点検出部130が行うDFD方式の焦点検出について概要を説明する。
先ず、範囲決定部110は処理対象となる画像範囲を決定し、当該範囲の画素信号が、図1に1点鎖線枠で囲んで示すDFD演算回路131に伝達される。DFD演算回路131内の処理に関しては後で詳述するが、デフォーカス状態(ボケ状態)の異なる一対の画像信号に対して、以下の処理が実行される。
・特定周波数帯域信号抽出部112にて、複数のBPF(バンドパスフィルタ)を用いて特定の周波数帯域での信号成分を抽出する処理。
・ボケ評価値生成部113にて、信号のエッジ強度演算を行った後の信号を積分し、一対の画像信号の積分結果の差をボケ評価値として出力する処理。
先ず、範囲決定部110は処理対象となる画像範囲を決定し、当該範囲の画素信号が、図1に1点鎖線枠で囲んで示すDFD演算回路131に伝達される。DFD演算回路131内の処理に関しては後で詳述するが、デフォーカス状態(ボケ状態)の異なる一対の画像信号に対して、以下の処理が実行される。
・特定周波数帯域信号抽出部112にて、複数のBPF(バンドパスフィルタ)を用いて特定の周波数帯域での信号成分を抽出する処理。
・ボケ評価値生成部113にて、信号のエッジ強度演算を行った後の信号を積分し、一対の画像信号の積分結果の差をボケ評価値として出力する処理。
次にボケ評価値記憶部114は、算出されたボケ評価値を記憶する。ボケ評価値数カウント部115は演算記憶されたボケ評価値数のカウント動作を行う。ボケ評価値数(カウント値)が規定数になった場合、近似性/線形性判定部(以下、単に判定部という)116は、ボケ評価値記憶部114から、複数のデフォーカス状態において周波数帯域ごとに計算を行って記憶された複数のボケ評価値を取得する。判定部116はボケ評価値と、フォーカス位置参照情報記憶部122の記憶情報とを周波数帯域ごとに照合する処理を行う。フォーカス位置参照情報とは、フォーカスレンズ位置とボケ評価値との対応関係を示す参照情報である(以下、単に「参照情報」という)。判定部116の詳細は後述するが、2つ以上のボケ評価値を用いて判定処理が行われる。なお、他の処理方法として3つ以上のボケ評価値を用いることで、周波数帯域ごとにボケ評価値変化の線形性(線形近似性)を判断する方法がある。その場合には、参照情報を使用しなくてもよい。その詳細については後述する。
他方、ボケ評価値が規定数得られなかった場合には、フォーカス駆動量設定部118により設定されるフォーカス駆動量にしたがってフォーカス駆動部120が制御される。フォーカス位置検出部123がフォーカスレンズ103の位置を検出しながら規定量のフォーカス駆動が行われる。
現時点の状態からフォーカスレンズ103が移動すると、異なる所定のデフォーカス状態に移行し、再び第2の焦点検出部130が処理を行い、新たなボケ評価値を算出する。そして規定数のカウント値(ボケ評価値数)が得られた場合、近似性または線形性の判定処理が行われる。最終的に合焦状態が得られる場合、フォーカス駆動量決定部117は合焦位置に対応するフォーカス駆動量を決定してフォーカス駆動部120に出力し、フォーカスレンズ103を移動させ、一連の合焦動作を終える。
次に第2の焦点検出部130の構成および動作に関して詳述する。図2を参照し、DFD演算回路131がボケ評価値を算出する処理について説明する。図2はボケ評価値を取得するために、図1の特定周波数帯域信号抽出部112とボケ評価値生成部113に関わる回路部200の詳細な構成を例示し、DFD演算回路131の要部を示す。ボケ評価値の算出には、デフォーカス量が所定量だけ異なる複数の画像信号が使用される。例えばデフォーカス量が異なる2つの画像信号を得るために、フォーカス状態が異なる設定を行って焦点検出用画像のデータを2回取得する必要がある。ここで2つの焦点検出用画像のうち、1回目に取得される第1の画像を「画像1」といい、2回目に取得される第2の画像を「画像2」という。画像1と画像2はDFD方式に用いるデフォーカス量が所定量異なる2つの画像とする。
以下では、説明を容易にするため、デフォーカス量の異なる画像1と画像2が事前に取得され、回路部200が並列に処理を行うものとする。図2に示す第1の処理回路(202、204、206、208)は画像1の処理を行い、第2の処理回路(203、205、207、209)は画像2の処理を行い、両者は並列に動作する。なお、第1の処理回路と第2の処理回路を共通の処理回路で構成する実施形態の場合には、画像1に対する第1の処理が終了した後に一時的に処理結果が記憶保持され、画像2に対する第2の処理が終了した時点で2つの処理結果を用いてその次の処理が行われる。
まず画像1の輝度信号を取得するために、図1の画像信号抽出部105は撮像素子104によって得られた画像信号にA/D変換を行い、範囲決定部110は焦点検出に使用する画像範囲を決定する。そして方法選択部111は第2の焦点検出を選択し、画像1の画像信号が回路部200に入力される。
回路部200への入力信号は、信号処理部201が輝度信号Yへ変換するとともに、低輝度成分を強調して高輝度成分を抑圧するガンマ補正処理が施される。ガンマ補正処理後の輝度信号Yは、3色の輝度信号と、これらに所定の重み付けを行って加算することにより得られるY信号を含む。3色の輝度信号とは、赤(R)の輝度信号(以下、RYと記す)、緑(G)の輝度信号(以下、GYと記す)、青(B)の輝度信号(以下、BYと記す)である。ただし、信号処理部201の出力信号である画像1の輝度信号Yについては、ノイズの低減や精度の向上を目的として、RY、GY、BY、Y信号のどれか一つを用いてもよいし、複数の信号を組み合わせて複数のボケ評価値を算出してもよい。
続いて、画像1に対してデフォーカス量が所定量異なる画像2の輝度信号を取得する処理が行われる。先ず、撮像素子104上に結像される像のボケ状態を変えるために、フォーカスレンズ103が所定の量だけ駆動される。このときに撮像された画像2の画像信号は、画像1の場合と同様の処理が行われて画像2の輝度信号Yが生成される。以下では、ガンマ補正された画像1および画像2の輝度信号Yを、それぞれ画像1の輝度信号202(G1)、画像2の輝度信号203(G2)と称する。輝度信号G1、G2についてはそれぞれ、範囲決定部110によって横方向にM画素で縦方向にN画素の範囲が抽出されて、より小さい範囲の領域に設定される。具体的には、焦点評価範囲の大きさを横方向にM画素で縦方向にN画素とする。MとNにはそれぞれ、後述するフィルタのタップ数(以下、Tapと記す)を考慮した項が加算される。つまり、横方向に「M+Tap」画素で、かつ縦方向に「N+Tap」画素で領域設定が行われる。信号G1、G2は横方向と縦方向に値をもつ、「M+Tap」行と「N+Tap」列の2次元の信号である。このため、以下では、各信号をG1(I,J)、G2(I,J)と表記する。但し、IとJは自然数の変数であり、変域はそれぞれI=1〜M+Tap、J=1〜N+Tapとする。
信号G1はBPF(バンドパスフィルタ)回路204に入力され、特定の周波数成分が抽出されることで信号S1が出力される。特定の周波数成分とは、複数の周波数帯域から選択される周波数帯域での信号成分である。例えば、3つ以上の周波数帯域ごとに信号成分を抽出する場合、第1の周波数帯域が低周波数帯域で、第2の周波数帯域が第1の周波数帯域よりも高い中間周波数帯域、第3の周波数帯域が第2の周波数帯域よりも高い周波数帯域である。特定の周波数成分の抽出には、被写体像のDC(直流)成分や高周波成分などを除去も含まれる。信号G1をBPF回路204に通す目的は、精度の良い焦点検出を行うことである。つまり、被写体像の空間周波数依存を無くすと同時に、被写体像の空間周波数成分に対して周波数帯域分離を行って、分離された信号から得られる最適な空間周波数帯域でのボケ評価値を用いることができる。
次にBPF回路204で行われる演算について説明する。
BPF回路204では、まず信号G1に対して、2次元フィルタ(BPF)の畳み込み演算を行う。畳み込み演算の結果をS1(I,J)と記すと、これは式(1)から求められる。
畳み込み演算の結果には、2次元フィルタ(BPF)のサイズによっては正確でないデータが一部出力される。このデータのことをフィルタのタップと呼び、行方向のタップの数(Tap)は「フィルタの行方向の要素数−1」で求められ、同様に列方向のTapは「フィルタの列方向の要素数−1」で求められる。
BPF回路204では、まず信号G1に対して、2次元フィルタ(BPF)の畳み込み演算を行う。畳み込み演算の結果をS1(I,J)と記すと、これは式(1)から求められる。
以上のことから、正しいデータのみを出力するために畳み込み演算の結果S1(I,J)からTap分の信号を除外した信号S1(i,j)が、BPF回路204の出力信号となる。但し、iとjは自然数の変数であり、変域はそれぞれi=1〜M、j=1〜Nとする。また、(1)式で使用するBPFの一例としては、(3)式に示す係数の2次元フィルタを用いればよい。但し、BPFの要素数と値については、抽出したい周波数帯域に応じて変更してもよい。
次に信号G2についても同様に、BPF回路205を通して(2)式の演算が行われる。演算結果の信号から、Tap分の信号を除外したS2(i,j)が出力される。そして、二乗演算回路206(207)と領域内積分回路208(209)をそれぞれ通して、周波数空間における画像信号のパワーが算出される。ここでパーシバルの定理と呼ばれる式を用いることで、実空間計算により周波数空間上の計算が可能となる。パーシバルの定理とは、関数の平方の総和(積分)が、そのフーリエ変換の平方の総和(積分)と等しいとする定理である。パーシバルの定理は一般に、下記の式(4)のように表される。これは波形S(x)が持つ全エネルギーの全実空間xについての総和(積分)と、その波形のエネルギーのフーリエ変換S(f)の全周波数成分fについての総和(積分)とが等しいことを意味する。
以下に、周波数空間における画像信号のパワーをPと称する。画像1のパワーをP1と記し、画像2のパワーをP2と記す。P1、P2を求めるために、二乗演算回路206,207は二乗演算を行う。具体的には、二乗演算回路206がBPF回路205の出力信号S1に対して、(5)式に示す二乗演算を行って信号T1(i,j)を生成する。同様に、二乗演算回路207は、BPF回路205の出力信号S2に対して、(6)式に示す二乗演算を行って信号T2(i,j)を生成する。
続いてP1、P2を求めるために、領域内積分回路208は二乗演算回路206の出力信号に対して、AF評価範囲である横方向M画素および縦方向N画素の領域において積分演算を行う。領域内積分回路208の出力信号P1は、(7)式により算出される。同様に、領域内積分回路209の出力信号P2は、(8)式により算出される。
積分領域については、主被写体の位置や主被写体以外の被写体の位置などに応じて領域を狭めるか、あるいは複数の領域に分けてもよい。
以上のように、二乗演算回路206と領域内積分回路208を介してP1が生成され、二乗演算回路207と領域内積分回路209を介してP2が生成される。
以上のように、二乗演算回路206と領域内積分回路208を介してP1が生成され、二乗演算回路207と領域内積分回路209を介してP2が生成される。
次に、各画像信号のパワーであるP1、P2の値と、P1、P2より算出されるボケ評価値(Cと記す)と、フォーカス位置との対応関係について、図3を参照して説明する。図3(A)は、画像信号のパワーとフォーカス位置(デフォーカス変化)との関係を示している。横軸はフォーカス位置を表し、縦軸は画像信号のパワーを表す。図3(B)は、ボケ評価値CとC*の関係を示している。横軸は図3(A)と同じスケールのフォーカス位置を表し、縦軸はボケ評価値を表す。ボケ評価値CとC*はそれぞれ、所定のデフォーカス量の変化を与えて取得されるP1、P2とP1*、P2*から得られるが、その詳細については後述する。
図3(A)には、3つの特性曲線HP1、HP2、HP3を例示する。特性曲線HP1、HP2、HP3は適応したBPF特性がそれぞれ相対的に低周波帯域、中間周波帯域、高周波帯域で得られた画像信号のパワーである事を示す。特性曲線HP1、HP2、HP3はいずれも被写体に焦点が合った合焦位置にてピークを有する山型の形状である。図3(B)は所定のデフォーカス変化によって算出されるボケ評価値Cの特性曲線を示しており、デフォーカス変化の中間位置を横軸位置とする。HC1、HC2、HC3はそれぞれHP1、HP2、HP3の特性曲線に対応する。
図3(A)は画像信号のパワーが合焦位置で最大値となることを示している。これは、合焦位置にて画像のコントラストが最も高くなり、画像信号のパワーも最強の状態となるためである。一方、合焦位置から無限側や至近側へのフォーカスレンズ駆動が行われた場合にはボケが大きくなり、P1、P2はそれぞれ図3(A)に示すP1*、P2*のように変化して徐々に小さい値となる。その理由は、画像のボケが強まると画像のコントラストが低くなるためである。
図2の差分演算回路210は、画像1と画像2の周波数空間における信号のパワーを比較する。差分演算回路210は、2つの画像のボケ具合の違いを評価するために、領域内積分回路208、209の各出力信号P1、P2に対して、差分「P2−P1」を演算する。ここで、2つの画像のボケ具合が大きく異なるときは、差分「P2−P1」が大きい値となり、2つの画像のボケ具合にあまり差がないときは、差分「P2−P1」は小さい値となる。和分(加算)演算回路211は、領域内積分回路208、209の各出力信号P1、P2の和「P1+P2」を演算する。これは、ボケ評価値の算出の際の規格化に用いられる。
ボケ評価値演算回路212は、差分演算回路210の出力である「P2−P1」を、和分演算回路211の出力である「P1+P2」で規格化することにより、(9)式のようにボケ評価値Cを算出する。
ボケ評価値Cを用いた焦点検出方法については後述する。
あるいは、(9)式の右辺の分母を変更した(10)式を用いてもよい。
(10)式では、右辺の分母が「(P1+P2)/2」に変更されており、P1とP2の平均値で規格化される。また、焦点検出を行い易くするために(10)式の右辺に所定の係数を乗算してもよい。
以上のように、画像信号からパワーPを算出してボケ評価値Cを取得する処理が実行される。
以上のように、画像信号からパワーPを算出してボケ評価値Cを取得する処理が実行される。
図3に戻ってボケ評価値特性を説明する。図3(B)に例示した、フォーカス位置におけるボケ評価値特性については、BPF特性ごと、つまり周波数帯域特性ごとに予め計算が行われ、計算後の参照情報は、図1のフォーカス位置参照情報記憶部122に記憶される。参照情報を得るために用いる被写体は、例えばエッジチャートのような全ての空間周波数を有する被写体である。被写体に対し、規定量のフォーカスレンズの移動を行いつつ、連続的なデフォーカス状態での撮影動作が行われる。そのときに得られる複数の画像からボケ評価値の参照情報を作成することができる。あるいは、仮想的なボケ強度変化をガウス分布で発生させて、その広がり変化については半値幅を連続的に変化させる方法がある。この場合、規定量のフォーカス移動量の変化によるデフォーカス変化に対応したボケ状態変化の強度分布が人工的に作成される。その強度分布特性からエッジチャート像に畳み込み積分を行うことで、人工的にエッジ像のボケ状態を発生させて、ボケ評価値を算出することができる。尚、参照情報を作成する際の合焦位置は、本実施形態のDFD方式では基本的に、デフォーカス量が同一であれば合焦位置がどの物体距離であってもボケ評価値特性は変化しないという前提で扱われる。合焦位置とは、撮影合焦画像でのフォーカス位置(フォーカスレンズ位置に相当)である。撮影画像で参照情報を作成する際には、撮影距離により撮像光学系の収差変動がある事を踏まえ、撮像光学系でのフォーカスレンズ103の移動範囲の中間位置付近を基準にすればよい。
次に図3(B)を参照して、近似性判定における参照情報とボケ評価値との対応関係を説明する。
画像信号を用いてボケ評価値を算出する際に得られる情報は、計算された画像信号の周波数帯域と一対の画像信号の取得時における相対的なフォーカス位置差、そしてそれぞれ算出されたボケ評価値である。これらの算出設定情報および算出結果情報を、参照情報と照合して近似性を判断することで、合焦動作を行うためのフォーカス駆動量が算出される。具体例を説明すると、図3(B)に示す枠R1で囲まれた範囲内に、それぞれ2点で一対の、算出されたボケ評価値を例示する。つまり、一対の星形、円形、三角形の各記号で示す位置が、フォーカス位置とボケ評価値をそれぞれ表している。この場合、算出されたボケ評価値は、フォーカス位置差がD1であるように設定され、周波数帯域ごとにそれぞれ計算されたボケ評価値である。
画像信号を用いてボケ評価値を算出する際に得られる情報は、計算された画像信号の周波数帯域と一対の画像信号の取得時における相対的なフォーカス位置差、そしてそれぞれ算出されたボケ評価値である。これらの算出設定情報および算出結果情報を、参照情報と照合して近似性を判断することで、合焦動作を行うためのフォーカス駆動量が算出される。具体例を説明すると、図3(B)に示す枠R1で囲まれた範囲内に、それぞれ2点で一対の、算出されたボケ評価値を例示する。つまり、一対の星形、円形、三角形の各記号で示す位置が、フォーカス位置とボケ評価値をそれぞれ表している。この場合、算出されたボケ評価値は、フォーカス位置差がD1であるように設定され、周波数帯域ごとにそれぞれ計算されたボケ評価値である。
図3(B)にてHC1〜HC3で例示した各曲線は、現在のフォーカス位置を求めるための参照情報を表す。参照情報は、フォーカス位置に対する、各周波数帯域でのボケ評価値の関係を示す情報である。図3(B)の例では、HC1がほぼ直線形状で、HC2とHC3はS字形状である。
フォーカス位置に関して、相対的なフォーカス位置差D1を保持しながら一対のボケ評価値が算出される。図3(B)にてフォーカス位置B1とB2との差分がフォーカス位置差D1である。一対の計算されたボケ評価値は、フォーカス位置の変化(横軸方向の変化)において各周波数帯域での曲線HC1〜HC3との近似性が評価される。判定部116は、例えば、星形で示す2つの位置と曲線HC1、円形で示す2つの位置と曲線HC2、三角形の記号で示す2つの位置と曲線HC3とで、それぞれに近似性を評価する。図3(B)にてフォーカス位置B2は、合焦位置から左方向に距離L1のオフセットをもつ状態を示す。曲線HC1と、一対の星形の記号で示した位置との間でボケ評価値が一致し、また曲線HC2と、一対の円形の記号で示した位置との間でボケ評価値が一致している。これに対し、曲線HC3と、一対の三角形の記号で示した位置とでは、ボケ評価値が一致していない。この場合、合焦位置からどのようなフォーカス位置にオフセットさせた状態でも、一対のボケ評価値は、参照情報に対して同時には一致しない。
フォーカス位置に関して、相対的なフォーカス位置差D1を保持しながら一対のボケ評価値が算出される。図3(B)にてフォーカス位置B1とB2との差分がフォーカス位置差D1である。一対の計算されたボケ評価値は、フォーカス位置の変化(横軸方向の変化)において各周波数帯域での曲線HC1〜HC3との近似性が評価される。判定部116は、例えば、星形で示す2つの位置と曲線HC1、円形で示す2つの位置と曲線HC2、三角形の記号で示す2つの位置と曲線HC3とで、それぞれに近似性を評価する。図3(B)にてフォーカス位置B2は、合焦位置から左方向に距離L1のオフセットをもつ状態を示す。曲線HC1と、一対の星形の記号で示した位置との間でボケ評価値が一致し、また曲線HC2と、一対の円形の記号で示した位置との間でボケ評価値が一致している。これに対し、曲線HC3と、一対の三角形の記号で示した位置とでは、ボケ評価値が一致していない。この場合、合焦位置からどのようなフォーカス位置にオフセットさせた状態でも、一対のボケ評価値は、参照情報に対して同時には一致しない。
図1の判定部116は、算出された一対のボケ評価値と、参照情報を表す参照曲線との近似性(一致度)を判定する。この場合、参照曲線との近似性が高いボケ評価値の中で、より高周波帯域での参照情報を扱うことが検出精度の向上に大きく寄与する。すなわち、低周波帯域でのフォーカス位置変化に対してボケ評価値の変化のロバスト性をなるべく廃して、精度の良いフォーカス位置情報を得ることができる。また、高周波帯域にて、あるフォーカス位置でボケ評価値の近似性が得られたとしても、その周波数帯域よりも相対的に低い周波数帯域では同じフォーカス位置で近似性が得られていない場合がある。この場合に判定部116は高周波帯域での結果を信頼できないとして除外する。尚、フォーカス位置情報については、ボケ評価値を取得した2点のうちで、どちらかの一方のフォーカス位置を基準として、当該位置から合焦位置までの距離が算定される。この距離は現時点から合焦位置に至るまでのフォーカス位置の相対差に相当する。フォーカス駆動量決定部117は判定部116の判定出力に応じてフォーカス駆動量を決定する。なお、図3(B)中ではB1かB2のどちらかのフォーカス位置を基準とすればよい。例えば、第2回目のボケ評価値を算出したフォーカス位置がB2であった場合に、B2を基準として合焦に至るまでのフォーカス位置差L1に対応する駆動量が決定される。
以上の処理により、合焦位置と現在のフォーカス位置との相対的な関係を見出すことができる。よって、合焦動作のためのフォーカスレンズ103の駆動量を高速で取得することができ、且つ合焦対象とする被写体に適した周波数帯域が選択されるので、精度の良い合焦動作を行うことができる。
以下では、更に合焦精度を高めるための処理について説明する。本処理では、異なる3つ以上のフォーカス位置にてそれぞれ算出されるボケ評価値を用いて線形近似処理が行われる。線形性が得られた周波数帯域にて計算されたボケ評価値を用いて、参照情報との照合を行い、合焦動作のためのフォーカスレンズ103の駆動量が算出される。実際に撮影される被写体像は、様々な空間周波数成分に関して更に様々な画像信号強度で構成される。このため、特に低照度や低コントラストの被写体像では高周波ノイズ成分の比率が大きくなり、高周波成分の画像信号のパワーを信頼できなくなってくる。図3を用いて具体的に説明する。
図3(A)に例示するHP1、HP2、HP3の特性曲線では、信号成分が高周波である程、一定のデフォーカス量に対しての画像信号パワーの強度が急激に低下する。つまり、特性曲線にて低パワーの裾野の広がりが早く表れる状態となる。そのため、式(9)や式(10)で表される分数式において、分子である「P1−P2」という差分値が小さくなってくる。分母を構成する「P1+P2」との関係において分母と分子の比率変化がフォーカス位置(あるいはデフォーカス量)の変化に対して変曲点として発生する。そのような現象の結果、特性曲線はボケ評価値の変化方向が反転するような曲がりを持った曲線になる。このように特定の周波数帯域でのボケ評価値の特性曲線において、ボケ評価値に曲がりを生じるような箇所(変曲点近傍)では画像信号成分のパワーは、図3(A)で示すように小さい。そのため、ノイズの影響を受け易く、信頼性が低い可能性がある。
これに対し、図3(B)に枠R2内に例示する3点での相対的なフォーカス位置にて計算されたボケ評価値を用いる判定処理において、図3(B)の2次元座標にて3点の関係に線形性が得られた場合を想定する。この場合、画像信号のパワーが大きい状態での周波数帯域が選択されていることとなる。そのため、ノイズの影響を受けない周波数帯域が選択されることになり、合焦動作のための高精度なフォーカスレンズ103の駆動量を得ることができる。
ところで、図3(B)にA1およびA2で示す範囲は、低周波なボケ評価値の特性曲線HC1が疑似的に線形性を有している箇所である。この場合、画像信号のパワーが小さいにも関わらず、線形性が有ると誤判断されてしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、このような誤判断の問題を避けるために、参照情報中で一番低周波であるHC1において、A1およびA2の範囲におけるボケ評価値の線形性成分の変化方向が、事前に計算される。具体的には、線形性成分の変化の方向として、近似された直線成分(HC1参照)の傾き方向が予め求められている。判定部116は参照情報を表す特性曲線に係る所定の周波数帯域よりも高周波帯域の状態でのボケ評価値群に関して線形性が有るか否かを判断する。この判断処理で、所定の周波数帯域よりも高周波帯域の状態でのボケ評価値群に関して線形性が有るという結果が得られた場合、判定部116は線形性成分の変化方向が低周波帯域で得られた方向と一致しているか否かを判断する。判断の結果、線形性成分の変化方向が低周波帯域で得られた方向と一致していない場合に、判定部116は演算結果の信頼性が無いか、または低いとして除外する。
図3(B)に枠R2の範囲内に例示する3点、つまり星形、円形、三角形の記号でそれぞれ示した位置は、相対的なフォーカス位置差をD2およびD3にそれぞれ設定してボケ評価値を算出した場合を示す。図3(B)にてフォーカス位置差D2およびD3は、HC2の線形範囲とHC3の線形範囲との間に入っている。星形の記号で示す3つの位置は低周波帯域での画像パワーに基づいて設定されたフォーカス位置で算出したボケ評価値を示し、HC1の参照情報と照合される。円形の記号で示す3つの位置は中間周波数帯域での画像パワーに基づいて設定されたフォーカス位置で算出したボケ評価値を示し、HC2の参照情報と照合される。三角形の記号で示す3つの位置は高周波帯域での画像パワーに基づいて設定されたフォーカス位置で算出したボケ評価値を示し、HC3の参照情報と照合される。図3(B)に示す例では、曲線HC1と星形の記号で示す3つの位置との関係において、3位置はHC1の線形範囲内に入っている。同様に、曲線HC2と円形の記号で示す3つの位置との関係について、3位置はHC2の線形範囲内に入っている。これに対し、高周波帯域での曲線HC3と三角形の記号で示す3つの位置との関係においては、3位置がHC3の線形範囲外である。したがって、枠R2の範囲内で、計算されるボケ評価値が線形性を有しており、且つ最も高周波帯域となる場合として、曲線HC2と円形の記号で示す3位置との参照関係に着目する。曲線HC2上での円形の記号で示す位置のうちで、最も合焦位置に近い位置がB3である。判定部116はフォーカス位置B3と合焦位置との差分であるL2を算出する。フォーカス駆動量決定部117がL2に相当する駆動量を決定してフォーカスレンズ103の駆動を行うことで合焦状態が得られる。
次に、判定部116が行う線形性の判断処理、および合焦動作を行うためのフォーカス駆動処理について、図4と図5を参照して説明する。図4のフローチャートは、3点で計算されたボケ評価値の相対的な線形性を判断して合焦駆動を行う処理を説明する図である。図5は線形性判断方法を説明するための図である。
図4の処理は、3点でのボケ評価値が算出された時点で開始する。判定部116は最も低周波帯域でのボケ評価値から線形性の判断を行う。S401で実行される線形性の判断処理について、図5を参照して具体的に説明する。図5の横軸はフォーカスレンズ位置を表し、縦軸はボケ評価値を表す。図5は、図3(B)の枠R2で示す範囲内にて、円形の記号で示した3つの位置(Sb1,Sb2,Sb3参照)でそれぞれ計算されたボケ評価値に対応している。図5中のB1〜B3は合焦位置を基準とする、3つの位置Sb1〜Sb3でのボケ評価値をそれぞれ示す。D2は位置Sb1と位置Sb2とのフォーカス位置差を示し、D3は位置Sb2と位置Sb3とのフォーカス位置差を示している。
点Sb1と点Sb3とで直線近似を行った場合に、両点の中間に位置する点Sb2において、ボケ評価値の許容量を所定の閾値(閾値1と記す)で表す。判定部116は、下記の(11)式を用いて、3つの位置の線形性について有無を判断する。
(11)式に示すように、フォーカス位置差とボケ評価値の差に基づき、左辺に示す絶対値が閾値1より小さい場合に、判定部116は、Sb1,Sb2,Sb3の3位置に関して線形性があると判断する。
S401では、最も低周波帯域でのボケ評価値から順次に線形性の判断処理が実行される。この場合、判定部116は判別された周波数帯域での参照情報を用いて線形性を判断する。複数の周波数帯域が判別されている場合には、判別された周波数帯域の内で最も高周波帯域での参照情報を用いると、参照により検出されるフォーカス位置の精度を高めることができる。その理由は、図3(B)から判るように周波数帯域が高周波である程、フォーカス位置の変化に対するボケ評価値変化が大きいからである。S402で判定部116は、3点の位置に関して線形性(線形近似性)があると判断した場合、S403に処理を進め、3点の位置に関して線形性(線形近似性)がないと判断した場合、S413に移行する。
S403で判定部116は、得られた線形成分の傾きを算出する。線形成分とは、S402で3点の位置に関して線形性があると判断された部分(線分)のことである。傾きとは、フォーカス位置変化に対するボケ評価値の変化の比率であり、傾き方向を表す。S405で判定部116は、線形成分が得られた周波数帯域が最も低周波帯域であるか否かを判断し、最も低周波帯域である場合にS406に進み、最も低周波帯域ではない場合、S407に移行する。S406で判定部116は、図3(B)のA1およびA2の範囲で示したような高周波帯域の疑似的な線形性帯域を判別するために、線形成分の傾き方向の情報を所定の記憶領域に記憶する。そしてS407に処理を進める。
S407にて判定部116は、現時点で取得されている線形成分の傾き方向と、S406で記憶されている線形成分の傾き方向とが一致しているか否かを判断する。傾き方向が一致している場合、判定部116は現在の周波数帯域での演算結果に信頼性があると判断し、S408に進み、現在の周波数帯域を示す情報を所定の記憶領域に記憶する。そしてS409に移行する。また、S407で傾き方向が一致していないと判断された場合、S410に移行する。
S409で判定部116は、全ての周波数帯域でのボケ評価値について線形性を判定したか否かを判断する。全ての周波数帯域での判定処理が終了していない場合にはS411に移行し、判定処理が終了した場合にはS410に進む。S411で判定部116は、次に高い周波帯域でのボケ評価値を判定対象とし、再びS401に戻って処理を続行する。
S410で判定部116は、線形性があると判定された内で最も高い周波数帯域でのボケ評価値の情報を用いてフォーカス位置を検出する。フォーカス位置の検出では参照情報を用いて、合焦位置とフォーカス位置との差分が算出される。あるいは、3位置でボケ評価値とフォーカス位置との関係に線形性がある場合、直線式(一次近似式)を使って、ボケ評価値がゼロとなる位置(合焦位置)でのフォーカス位置の切片を求めることができる。この方法では、参照情報を用いる必要は無い。
一例として、図5におけるSb3の位置で示したフォーカス位置を基準として合焦動作を行うためのフォーカスレンズ駆動量Lの算出処理について説明する。以下の式(12)からフォーカスレンズ駆動量Lを求めることができる。
合焦位置でのフォーカス位置の切片を求める方法、または参照情報を用いる方法のうち、いずれかの方法によって現在のフォーカス位置が検出される。次に図4のS412でフォーカス駆動量決定部117は判定部116の出力にしたがってフォーカスレンズ駆動量を決定する。フォーカス駆動部120は、決定されたフォーカスレンズ駆動量でフォーカスレンズ103の駆動処理を行い、一連の処理を終了する。
図4のS402で線形性(線形近似性)が無いと判断された場合には、S413に移行する。判定部116は線形性が無いと判断した帯域が、最も低周波の帯域であるか否かを判断する。最も低周波の帯域と判断された場合には、現在の状態が焦点検出を行えない状態である可能性がある。そこで、フォーカス位置を大きく変化させるためにS404へ移行し、サーチ駆動が行われる。サーチ駆動とはAF時の合焦方向を探索するために行われるフォーカスレンズの駆動である。尚、サーチ駆動を連続して行わねばならない場合には、一時的に焦点検出動作を止める制御を行ってもよい。S413にて、線形性が無いと判断した帯域に関して最も低周波の帯域ではないと判断された場合には、S410に移行して処理を行って一連の処理を終える。
以上説明した処理によって、DFD方式による第2の焦点検出の精度を高めることができる。
以上説明した処理によって、DFD方式による第2の焦点検出の精度を高めることができる。
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態では、2点以上の算出されたボケ評価値を用いて参照情報との近似性を判断し、合焦位置へのフォーカスレンズ駆動が行われる。図6は撮像装置100が行う焦点検出および焦点調節処理を例示するフローチャートである。
次に、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態では、2点以上の算出されたボケ評価値を用いて参照情報との近似性を判断し、合焦位置へのフォーカスレンズ駆動が行われる。図6は撮像装置100が行う焦点検出および焦点調節処理を例示するフローチャートである。
先ず、撮像光学系101を介して被写体像が撮像素子104の受光面上に結像している状態から開始する。S01では画像信号の取得処理が実行される。撮像素子104の出力信号は画像信号抽出部105が処理し、光電変換信号から画像信号を抽出する。次のS02で範囲決定部110は、画像信号抽出部105から画像信号を取得し、焦点検出範囲を決定する。S03で方法選択部111は、第2の焦点検出処理を行うか否かを判断する。第2の焦点検出処理を行う場合、S04に処理を進め、第1の焦点検出処理を行う場合にはS09に移行する。
S04で回路部200は、図2を用いて説明したように、DFD方式での第2の焦点検出処理を実行する。DFD演算処理により算出される各周波数帯域でのボケ評価値の情報E1は、ボケ評価値記憶部114に記憶される。次のS05で判定部116は、フォーカス位置参照情報記憶部122から参照情報E2を取得し、算出されたボケ評価値Cを用いて近似性の判断を行う。参照情報E2と、算出されたボケ評価値Cについて、周波数帯域ごとの参照処理が実行される。次のS06では、参照による照合の結果、判定部116は、参照情報E2と、算出されたボケ評価値Cに近似性があるかどうかを判断する。近似性があると判断されるのは、算出されたボケ評価値Cに近似する参照情報E2が見つかった場合であり、S07に処理を進める。また、参照情報E2と、算出されたボケ評価値Cに近似性がないと判断された場合にはS09に移行する。
S07でフォーカス駆動量決定部117は、判定部116の判定出力にしたがってフォーカス駆動量を決定し、フォーカス駆動部120に出力する。S08でフォーカス駆動部120は、S07で設定されたフォーカス駆動量にしたがって、合焦位置へフォーカスレンズ103を移動させる。そしてS09では、第1の焦点検出部121が第1の焦点検出処理を行う。第1の焦点検出方式はコントラスト検出方式または位相差検出方式である。第1の焦点検出部121は焦点検出結果の後、合焦状態の確認を行う。ここで合焦状態であると判断された場合には合焦動作を終えるが、さらに合焦処理が必要であれば、合焦状態の微調整が実行される。そして最終的に、一連の焦点検出および合焦動作を終える。
本実施形態によれば、DFD方式の焦点検出において、複数の周波数帯域で計算を行い、選択された好適な周波数帯域でのボケ評価値を使用する。参照情報を用いた近似性の判断処理を行うことで、精度の高い焦点検出を実現できる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態では、3点以上の算出されたボケ評価値を用いて線形性を判断する処理について説明する。ボケ評価値と、それらが計算されたフォーカス位置との関係において、座標上で示される複数点の線形性が判断される。線形性が得られた場合、その1次近似式から得られるフォーカス位置差に相当する駆動量を用いて合焦動作が行われる。図7のフローチャートを参照して、本実施形態における焦点検出および焦点調節処理を説明する。なお、図7に示すS01からS04、およびS07からS09の各処理については、図6の場合と同じであるので、同じステップ番号を割り当てることで、それらの詳細な説明を省略する。以下では第1実施形態との相違点であるS15およびS16を説明する。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態では、3点以上の算出されたボケ評価値を用いて線形性を判断する処理について説明する。ボケ評価値と、それらが計算されたフォーカス位置との関係において、座標上で示される複数点の線形性が判断される。線形性が得られた場合、その1次近似式から得られるフォーカス位置差に相当する駆動量を用いて合焦動作が行われる。図7のフローチャートを参照して、本実施形態における焦点検出および焦点調節処理を説明する。なお、図7に示すS01からS04、およびS07からS09の各処理については、図6の場合と同じであるので、同じステップ番号を割り当てることで、それらの詳細な説明を省略する。以下では第1実施形態との相違点であるS15およびS16を説明する。
図7にて、S04の次にS15に進み、判定部116は、図4および図5を用いて説明した、周波数帯域ごとの線形近似処理を行う。次のS16で判定部116は、算出されたボケ評価値に関して線形性が得られたか否かを判断する。3点以上のボケ評価値について線形性があると判断された場合、S07に処理を進め、線形性がないと判断された場合には、S09に移行する。DFD方式による第2の焦点検出が不能である被写体像については、S09に移行することで、第1の焦点検出方法での焦点検出および合焦処理が実行される。
本実施形態によれば、DFD方式の焦点検出にて、周波数帯域ごとの線形近似処理を行うことで、精度の高い焦点検出を実現できる。
なお、本実施形態および第1実施形態では、最初に第2の焦点検出処理が選択されて、合焦状態の最終確認を第1の焦点検出処理で行う構成としている。しかし、第1の焦点検出処理を有することは本発明の実施上必須でなく、第2の焦点検出処理後に最終的な合焦動作を行ってもよい。
なお、本実施形態および第1実施形態では、最初に第2の焦点検出処理が選択されて、合焦状態の最終確認を第1の焦点検出処理で行う構成としている。しかし、第1の焦点検出処理を有することは本発明の実施上必須でなく、第2の焦点検出処理後に最終的な合焦動作を行ってもよい。
100:撮像装置
101:撮像光学系
103:フォーカスレンズ群
130:第2の焦点検出部
131:DFD演算回路
101:撮像光学系
103:フォーカスレンズ群
130:第2の焦点検出部
131:DFD演算回路
Claims (8)
- フォーカスレンズを含む撮像光学系を通して被写体を撮像する撮像素子を有する撮影装置であって、
前記撮像素子の出力信号を処理し、ボケ状態の異なる複数の画像のデータから複数の周波数帯域での成分をそれぞれ抽出した信号を取得する信号処理手段と、
前記信号処理手段から信号を取得してボケ状態を表す評価値を算出する算出手段と、
前記複数の周波数帯域ごとに、複数のフォーカスレンズ位置と、それぞれのフォーカスレンズ位置にて前記算出手段が算出した複数の前記評価値との対応関係を判定して現在のフォーカスレンズ位置と合焦位置との差分を検出する焦点検出手段と、
前記焦点検出手段の出力にしたがって前記フォーカスレンズの駆動量を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された駆動量で前記フォーカスレンズを駆動する駆動手段を備え、
前記焦点検出手段は、前記複数の周波数帯域から選択した周波数帯域にて検出された前記差分に信頼性があると判定した場合に当該差分を前記決定手段に出力することを特徴とする撮像装置。 - 前記焦点検出手段は、
前記複数の周波数帯域ごとに、前記フォーカスレンズ位置と前記評価値との対応関係を示す参照情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から取得した参照情報と前記算出手段から取得した評価値を比較し、前記参照情報と前記評価値に近似性があるか否かにより信頼性を判定する判定手段と、を有し、
前記複数の周波数帯域から選択した周波数帯域にて前記判定手段により近似性があると判定された前記参照情報を用いて前記差分を検出することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。 - 前記複数の周波数帯域から選択した第1の周波数帯域にて前記判定手段によって前記参照情報と前記評価値に近似性があると判定され、かつ前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域にて前記判定手段によって前記参照情報と前記評価値に近似性があると判定された場合、前記第2の周波数帯域にて判定された前記参照情報を用いて前記差分が検出されることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
- 前記焦点検出手段は、
3つ以上のフォーカスレンズ位置にて前記算出手段がそれぞれ算出した3つ以上の前記評価値の情報を記憶する記憶手段と、
3つ以上の前記評価値を前記記憶手段から取得し、前記複数の周波数帯域ごとに、3つ以上の前記フォーカスレンズ位置と3つ以上の前記評価値との対応関係について相対的な線形性があるか否かにより信頼性を判定する判定手段と、を有し、
前記複数の周波数帯域から選択した周波数帯域にて前記判定手段により線形性があると判定された前記フォーカスレンズ位置および評価値を用いて前記差分を検出することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。 - 前記焦点検出手段は、前記複数の周波数帯域から選択した第1の周波数帯域にて前記判定手段により前記フォーカスレンズ位置および評価値に線形性があると判定された場合、線形性があると判定された線形成分の傾き方向の情報を記憶手段に記憶し、前記複数の周波数帯域から選択した第2の周波数帯域にて前記判定手段により前記フォーカスレンズ位置および評価値に線形性があると判定された場合、線形性があると判定された線形成分の傾き方向の情報と、前記記憶手段に記憶された傾き方向の情報とを比較し、傾き方向の情報が一致する場合、前記第2の周波数帯域を示す情報を記憶手段に記憶することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
- 前記焦点検出手段は、前記第2の周波数帯域にて前記判定手段により線形性があると判定された前記フォーカスレンズ位置および評価値を用いて前記差分を検出することを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
- 前記第2の周波数帯域は、前記第1の周波数帯域よりも高い周波数帯域であることを特徴とする請求項5または6に記載の撮像装置。
- フォーカスレンズを含む撮像光学系を通して被写体を撮像する撮像素子を有する撮影装置にて実行される制御方法であって、
前記撮像素子の出力信号を処理し、ボケ状態の異なる複数の画像のデータから複数の周波数帯域での成分をそれぞれ抽出した信号を取得する信号処理ステップと、
前記信号処理ステップで処理された信号を取得してボケ状態を表す評価値を算出する算出ステップと、
前記複数の周波数帯域ごとに、複数のフォーカスレンズ位置と、それぞれのフォーカスレンズ位置にて前記算出ステップで算出された複数の前記評価値との対応関係を判定して現在のフォーカスレンズ位置と合焦位置との差分を検出する焦点検出ステップと、
前記焦点検出ステップで検出された前記差分にしたがって前記フォーカスレンズの駆動量を決定する決定ステップと、
前記決定ステップにて決定された駆動量で前記フォーカスレンズを駆動する駆動ステップを有し、
前記焦点検出ステップでは、前記複数の周波数帯域から選択した周波数帯域にて検出された前記差分に信頼性があるか否かについて判定され、信頼性があると判定された前記差分が選択されることを特徴とする撮像装置の制御方法。
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JP2015102134A Pending JP2016218225A (ja) | 2015-05-19 | 2015-05-19 | 撮像装置およびその制御方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112292712A (zh) * | 2019-07-23 | 2021-01-29 | 深圳市大疆创新科技有限公司 | 装置、摄像装置、移动体、方法以及程序 |
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2015
- 2015-05-19 JP JP2015102134A patent/JP2016218225A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112292712A (zh) * | 2019-07-23 | 2021-01-29 | 深圳市大疆创新科技有限公司 | 装置、摄像装置、移动体、方法以及程序 |
JP2021018376A (ja) * | 2019-07-23 | 2021-02-15 | エスゼット ディージェイアイ テクノロジー カンパニー リミテッドSz Dji Technology Co.,Ltd | 装置、撮像装置、移動体、方法、及びプログラム |
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