JP2016216738A - 表面保護シート - Google Patents
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Abstract
Description
基材層と粘着剤層とを備える表面保護シートであって、
厚みが10〜200μmであり、
十点平均表面粗さRzが8.0μmである塗装鋼板に対する該粘着剤層の粘着力が0.05N/20mm以上であり、
該粘着剤層を構成する粘着剤に含まれる主成分が、ポリマーAが架橋されたポリマーPであり、
該ポリマーAが、(メタ)アクリレートモノマーを主成分とするモノマー組成物を重合して得られるアクリル系ポリマーであり、
該モノマー組成物がカルボキシル基含有モノマーを含み、
ポリマーAの重量平均分子量Mwが500000〜1000000であり、
ポリマーAの分散度Mw/Mnが8.0以下であり、
ポリマーPの酢酸エチルへの不溶分が99.0重量%以上である。
本発明の表面保護シートは、基材層と粘着剤層とを備える。図1は、本発明の好ましい実施形態による表面保護シートの概略断面図である。表面保護シート10は、基材層1と粘着剤層2を備える。本発明の表面保護シートは、必要に応じて、任意の適切な他の層をさらに有していてもよい(図示せず)。
基材層の厚みとしては、用途に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。基材層の厚みは、好ましくは5〜300μmであり、より好ましくは10〜250μmであり、さらに好ましくは15〜200μmであり、特に好ましくは20〜150μmである。
粘着剤層の厚みは、好ましくは1〜100μmであり、より好ましくは3〜50μmであり、さらに好ましくは5〜30μmであり、特に好ましくは5〜20μmである。
本発明の表面保護シートは、任意の適切な方法により製造することができる。このような製造方法としては、例えば、
(1)粘着剤の溶剤による溶液や熱溶融液を基材に塗布する方法、
(2)それに準じ、セパレータ状に塗布、形成した粘着剤層を移着する方法、
(3)粘着剤層の形成材料を基材上に押出して形成塗布する方法、
(4)基材と粘着剤層を二層または多層にて押出しする方法、
(5)基材上に粘着剤層を単層ラミネートする方法またはラミネート層とともに粘着剤層を二層ラミネートする方法、
(6)粘着剤層とフィルムやラミネート層等の基材形成材とを二層または多層ラミネートする方法、
などの、任意の適切な粘着シートの製造方法に準じて行うことができる。
本発明の表面保護シートは、表面の粗い塗装面に対しても良好に粘着し、且つ、目視での糊残りのみならず、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない。このため、本発明の表面保護シートは、任意の適切な用途に用い得るが、例えば、金属板、塗装板、アルミサッシ、樹脂板、化粧鋼板、塩化ビニルラミネート鋼板、ガラス板等の部材;偏光シート、液晶パネル等の光学部材;電子部材;などを運搬、加工または養生する際等に、それら部材の表面に貼り付けて該表面を保護する用途等に好ましく用いることができる。特に、金属板、樹脂板、ガラス板などの表面が親水性塗膜や表面処理により親水化された親水性部材や、反射防止をさせたい波長の1/4となる膜厚が形成された反射防止機能付き基板やナノレベルの凹凸構造による反射防止機能付き基板などの低汚染が求められる表面保護シートとして有用である。より具体的な用途としては、例えば、本発明の表面保護シートは、親水性塗装板の表面の保護や、低汚染が要求される基板の表面の保護や、反射防止膜を有する基板の保護や、太陽電池用カバーガラスの表面の保護に、好適に用いることができる。
親水性塗装鋼板(JFE鋼板製、A02Wアピアクリーンシロ)の表(おもて)面の表面粗さについて、光学式プロファイラーNT9100(Veeco社製)を使用して、Measurement Type:VSI(Infinite Scan)、Objective:2.5X、FOV:1.0X、Modulation Threshold:0.1%の条件で、n=3で測定した。測定後、Terms Removal:Tilt Only(Plane Fit)、Window Filtering:Noneにてデータ解析を行い、十点平均表面粗さRzを求めた。
粘着力の測定は、JIS Z0237(2000)に準じて行った。すなわち、十点平均表面粗さRzが8.0μmである塗装鋼板に、供試表面保護シートを線圧78.7N/cmにて貼付し、貼付から30分後にインストロン型引張試験機(島津製作所製、オートグラフ)にて、剥離角度180度、引張速度0.3m/minの条件で、粘着力を測定した。
重量平均分子量Mw、分散度Mw/Mnの測定は,ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC法)において行い、HLC−8120(東ソー社製)による内径6.0mm、長さ150mmのカラム(東ソー社製、TSKgel SuperHZM−H/HZ4000/HZ3000/HZ2000)を直列に接続して使用し、溶離液にテトラヒドロフランを用いて濃度1g/L、流量0.6ml/分、温度40℃、サンプル注入量20μlの条件で行い、検出器にはRI検出器を用いた。また分子量の検量線の作成には,TSK 標準ポリスチレン(東ソー社製)を用いた。
ポリマー(架橋反応後)約0.1gを採取し、平均孔径0.2μmの多孔質テトラフルオロエチレンシート(商品名「NTF1122」、日東電工株式会社製)に包んだ後、凧糸で縛り、その際の重量を測定し、該重量を浸漬前重量とした。なお、該浸漬前重量は、ポリマー(上記で採取したもの)と、テトラフルオロエチレンシートと、凧糸との総重量である。また、テトラフルオロエチレンシートと凧糸との合計重量も測定しておき、該重量を包袋重量とした。
次に、上記のポリマーをテトラフルオロエチレンシートで包み凧糸で縛ったもの(「サンプル」と称する)を、酢酸エチルで満たした50ml容器に入れ、23℃にて7日間静置した。
その後、容器からサンプル(酢酸エチル処理後)を取り出して、アルミニウム製カップに移し、130℃で2時間、乾燥機中で乾燥して酢酸エチルを除去した後、重量を測定し、該重量を浸漬後重量とした。
下記の式から溶剤不溶分を算出した。
溶剤不溶分(重量%)=(a−b)/(c−b)×100 (1)
なお、式(1)において、aは浸漬後重量であり、bは包袋重量であり、cは浸漬前重量である。
酢酸エチル可溶分は、酢酸エチルを真空乾燥機にて乾燥させた後、上記に記載のGPC法にて測定を行った。GPCによる測定結果より面積比は下記のように算出した。
面積比(%)=〔重量平均分子量2500以下の面積(溶離液含む)/全体(酢酸エチル可溶分)の面積〕×100
また、ポリマー(架橋反応後)の採取にあたっては、表面保護シートの粘着面より採取しても構わないし、別途表面保護シートに設けたものと同一のポリマーをシリコーンライナー等に塗布乾燥させたものから採取しても構わない。
得られた表面保護シートを貼り付けた親水性塗装鋼板(100×200×0.3mm)を南側曝露角度45度の屋外暴露台に取り付け、愛知県豊橋市の日東電工(株)屋上にて1ヶ月間曝露試験を行った。その後表面保護シートを剥離し、さらに1ヶ月間同様の曝露試験を行い、晴天時に雨筋汚染性(雨筋上の汚れ跡)を目視にて確認した。
雨筋汚染性の評価基準は下記の通りである。
○:雨筋跡が見られないもしくはわずかに認められる。
×:雨筋跡が残る。
ポリエチレン樹脂(東ソー製、ペトロセン183)100部に対して酸化チタン(堺化学工業社製、FTR−700)3部およびヒンダードアミン系光安定剤(BASF社製、キマソーブ2020)0.1部を配合した混合物を、インフレーション法にてダイス温度160℃となるように製膜し、厚みが55μmの基材1を得た。
プロピレン樹脂(プライムポリマー社製、プライムポリプロF−744NPT)100部に対して酸化チタン(堺化学工業社製、FTR−700)9部を配合した混合物をTダイ法にてダイス温度230℃となるように製膜し、厚みが50μmの基材2を得た。
冷却管、窒素導入管、温度計、および撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル97部およびアクリル酸3部の混合溶液、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.20部、酢酸エチル200部を入れ、60℃で12時間重合して、ポリマーA(1)の溶液を得た。得られたポリマーA(1)の重量平均分子量Mwは100万、分散度Mw/Mnは3.9であった。
アクリル酸ブチル95部およびアクリル酸5部の混合溶液、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.40部、酢酸エチル300部を使用した以外は、製造例3と同様に行い、ポリマーA(2)の溶液を得た。得られたポリマーA(2)の重量平均分子量Mwは60万、分散度Mw/Mnは4.0であった。
冷却管、窒素導入管、温度計、および撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル95部およびアクリル酸5部の混合溶液、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.20部、トルエン300部を入れ、60℃で重合率が90%になるまで重合を行った。重合率が90%となった時点で温度を90℃に昇温後2時間重合して、ポリマーA(3)の溶液を得た。得られたポリマーA(3)の重量平均分子量Mwは49万、分散度Mw/Mnは15.5であった。
アクリル酸ブチル56部、アクリル酸エチル40部、およびアクリル酸4部の混合溶液、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.20部、トルエン200部を使用した以外は、製造例5と同様に行い、ポリマーA(4)の溶液を得た。得られたポリマーA(4)の重量平均分子量Mwは130万、分散度Mw/Mnは8.1であった。
アクリル酸2−エチルヘキシル57部、酢酸ビニル40部、アクリル酸3部の混合溶液、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.15部、トルエン300部を使用した以外は、製造例3と同様に行い、ポリマーA(5)の溶液を得た。得られたポリマーA(5)の重量平均分子量Mwは46万、分散度Mw/Mnは11.5であった。
ポリマーA(1)の固形分100部に対してエポキシ系架橋剤2.0部(三菱瓦斯化学社製、TETRAD C)を添加した混合溶液を、片面にコロナ処理が施された基材1に、乾燥後の粘着剤層の厚みが15μmとなるように塗布し、表面保護シートを作製した。また、乾燥時の条件は85℃、5分とした。得られた表面保護シートをポリエチレンフィルムに貼合をし、40℃で2日間放置した。このようにして得られた、ポリマーA(1)が架橋されたポリマーP(1)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(1)を備える表面保護シート(1)の評価結果を表1に示した。
ポリマーA(2)の固形分100部に対してエポキシ系架橋剤4.0部(三菱瓦斯化学社製、TETRAD C)を添加した混合溶液を、片面にコロナ処理が施された厚さ25μmのポリエステルフィルム(東レ製、ルミラーS10)に、乾燥後の粘着剤層の厚みが10μmとなるように塗布し、表面保護シートを作製した。また、乾燥時の条件は85℃、5分とした。得られた表面保護シートをポリエチレンフィルムに貼合をし、40℃で2日間放置した。このようにして得られた、ポリマーA(2)が架橋されたポリマーP(2)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(2)を備える表面保護シート(2)の評価結果を表1に示した。
ポリマーA(1)の固形分100部に対してエポキシ系架橋剤2.0部(三菱瓦斯化学社製、TETRAD C)、イソシアネート架橋剤1.0部(日本ポリウレタン工業社製、コロネートL)を添加した混合溶液を、基材2に、乾燥後の粘着剤層の厚みが15μmとなるように塗布し、表面保護シートを作製した。また、乾燥時の条件は85℃、5分とした。得られた表面保護シートをポリエチレンフィルムに貼合をし、40℃で2日間放置した。このようにして得られた、ポリマーA(1)が架橋されたポリマーP(3)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(3)を備える表面保護シート(3)の評価結果を表1に示した。
ポリマーA(3)の固形分100部に対してエポキシ系架橋剤3.0部(三菱瓦斯化学社製、TETRAD C)を添加した混合溶液を、片面にコロナ処理が施された基材1に、乾燥後の粘着剤層の厚みが5μmとなるように塗布し、表面保護シートを作製した。また、乾燥時の条件は85℃、5分とした。得られた表面保護シートをポリエチレンフィルムに貼合をし、40℃で2日間放置した。このようにして得られた、ポリマーA(3)が架橋されたポリマーP(C1)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(C1)を備える表面保護シート(C1)の評価結果を表1に示した。
ポリマーA(4)の固形分100部に対してエポキシ系架橋剤5.0部(三菱瓦斯化学社製、TETRAD C)を添加した混合溶液を、片面にコロナ処理が施された基材1に、乾燥後の粘着剤層の厚みが8μmとなるように塗布し、表面保護シートを作製した。また、乾燥時の条件は85℃、5分とした。得られた表面保護シートをポリエチレンフィルムに貼合をし、40℃で2日間放置した。このようにして得られた、ポリマーA(4)が架橋されたポリマーP(C2)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(C2)を備える表面保護シート(C2)の評価結果を表1に示した。
ポリマーA(5)の固形分100部に対してエポキシ系架橋剤2.0部(三菱瓦斯化学社製、TETRAD C)を添加した混合溶液を、片面にコロナ処理が施された基材1に、乾燥後の粘着剤層の厚みが10μmとなるように塗布し、表面保護シートを作製した。また、乾燥時の条件は85℃、5分とした。得られた表面保護シートをポリエチレンフィルムに貼合をし、40℃で2日間放置した。このようにして得られた、ポリマーA(5)が架橋されたポリマーP(C3)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(C3)を備える表面保護シート(C3)の評価結果を表1に示した。
2 粘着剤層
10 表面保護シート
Claims (5)
- 基材層と粘着剤層とを備える表面保護シートであって、
厚みが10〜200μmであり、
十点平均表面粗さRzが8.0μmである塗装鋼板に対する該粘着剤層の粘着力が0.05N/20mm以上であり、
該粘着剤層を構成する粘着剤に含まれる主成分が、ポリマーAが架橋されたポリマーPであり、
該ポリマーAが、(メタ)アクリレートモノマーを主成分とするモノマー組成物を重合して得られるアクリル系ポリマーであり、
該モノマー組成物がカルボキシル基含有モノマーを含み、
ポリマーAの重量平均分子量Mwが500000〜1000000であり、
ポリマーAの分散度Mw/Mnが8.0以下であり、
ポリマーPの酢酸エチルへの不溶分が99.0重量%以上である、
表面保護シート。 - 親水性塗装板の表面の保護に用いる、請求項1に記載の表面保護シート。
- 低汚染が要求される基板の表面の保護に用いる、請求項1に記載の表面保護シート。
- 反射防止膜を有する基板の表面の保護に用いる、請求項1に記載の表面保護シート。
- 太陽電池用カバーガラスの表面の保護に用いる、請求項1に記載の表面保護シート。
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