JP2016216388A - 新規タンパク質 - Google Patents

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Abstract

【課題】ラクトバチルス ガセリ由来のタンパク質として、消化管由来物質に対して接着性を有する新規タンパク質を得ることを課題とする。
【解決手段】SDPであり、かつ、消化管由来物質であるフィブロネクチン、ムチンまたはCaco−2細胞等に接着性を有するラクトバチルス ガセリ由来の新規タンパク質を得た。
【選択図】なし

Description

この発明は新規タンパク質に関する。さらに、詳しくは、消化管由来物質に対して接着性を有するラクトバチルス ガセリ(Lactobacillus gasseri)由来の新規タンパク質に関する。更に詳しくは、SDP(Sortase−dependent Protein)であるタンパク質、即ちLPXTG(Lはロイシン、Pはプロリン、Xは任意のアミノ酸、Tはスレオニン、Gはグリシンを示す(以下、単にLPXTGと示す))モチーフを有するタンパク質に関する。
ラクトバチルス属、ラクトコッカス属等に代表される乳酸菌はグラム陽性細菌群であり、ヒトの腸管等に接着してプロバイオティクス効果、整腸効果や免疫調節効果等を示すことが知られている。
大腸や小腸の腸管表面には、腸管上皮細胞が産生するフィブロネクチンやムチン等が存在し、乳酸菌を含む様々な微生物、物質等の接着に作用している。ヒトの食中毒や肺炎等の感染症の起因菌として知られる黄色ブドウ球菌においても、フィブロネクチンに接着するタンパク質が報告されている(非特許文献1)。また、近年では、ヒト大腸上皮細胞由来の細胞株であるCaco−2細胞をモデルとして腸管上皮様の単層膜を形成させたものを用い、様々な物質の腸管への接着やそれによる効果について検討が行われている。
乳酸菌のプロバイオティクス効果等を効率的に得るには、腸管表面に存在する物質等を介した乳酸菌の大腸、小腸等の消化管への接着性を高めることが重要となる。
乳酸菌のようなグラム陽性細菌の表層タンパク質の中には、C末端領域にLPXTG配列を保有し、この配列を介して細胞壁に結合する細胞壁結合タンパク質(cell−wall−anchored protein;CWAP(以下、単にCWAPと示す))の存在が知られている。CWAPのうち細胞壁に共有結合しているものはソルテース(Sortase)により、LPXTG配列が特異的に切断されることによって細胞壁の表層に提示される(非特許文献2)。
このようなLPXTG配列に対するソルテース(Sortase)の作用を活かし、特許文献1ではLPXTG配列を有するタンパク質をソルテース(Sortase)の存在下で高分子多糖を含む固相担体に結合させる工程を含むタンパク質の固定化方法を開示している。
また、非特許文献3では、HIV−1由来のタンパク質とLPXTG型細胞壁アンカーの翻訳複合体を蓄積する遺伝子組換え乳酸菌(ラクトコッカス ラクティス)において、マウスの粘膜免疫および体液性免疫の反応を誘導したことを開示している。
しかし、これらの開示された技術はいずれも消化管由来物質に対する乳酸菌の接着性を高めることを目的とするものとは言えず、乳酸菌のプロバイオティクス効果、整腸効果や免疫調節効果等を高めるために、より有効な技術の開示が望まれていた。
特開2009−55837号公報
Christer S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86, 699−703, January 1989. 瀬脇 智満 YAKUGAKU ZASSHI 129(1) 1327−1332 (2009). Xin K. Q. et al., Blood, 102, 223−228 (2003).
この発明は、ラクトバチルス ガセリ由来のタンパク質として、消化管由来物質に対して接着性を有する新規タンパク質を得ることを課題とする。
本発明者らは、上記新規タンパク質を得るにあたり鋭意検討した結果、SDPであり、かつ、消化管由来物質であるフィブロネクチン、ムチンまたはCaco−2細胞等に接着性を有するラクトバチルス ガセリ由来の新規タンパク質を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は次のタンパク質、またはこのタンパク質を有する乳酸菌のスクリーニング方法等に関する。
〔1〕SDP(Sortase−dependent Protein)であり、かつ、消化管由来物質に対して接着性を有するラクトバチルス ガセリ由来のタンパク質。
〔2〕消化管由来物質がフィブロネクチン、ムチンまたはCaco−2細胞のいずれか一種以上である上記〔1〕に記載のタンパク質。
〔3〕配列表配列番号1〜4のいずれかに示される塩基配列によってコードされる上記〔1〕または〔2〕に記載のタンパク質。
〔4〕配列表配列番号1〜4のいずれかに示される塩基配列に85%以上の同一性を示す塩基配列によってコードされる上記〔1〕または〔2〕に記載のタンパク質。
本発明の新規タンパク質を乳酸菌に導入することにより、乳酸菌の消化管接着性を向上させることができる。また、本発明の新規タンパク質を有する乳酸菌をスクリーニングすることで、消化管接着性の高い乳酸菌を得ることが容易となる。
フィブロネクチンに対する接着性評価の結果を示した図である(実施例)。 ウシ顎下由来のムチンに対する接着性評価の結果を示した図である(実施例)。 ブタ胃由来のムチンに対する接着性評価の結果を示した図である(実施例)。 Caco−2細胞に対する接着性評価の結果を示した図である(実施例)。
この発明において「SDPであり、かつ、消化管由来物質に対して接着性を有するラクトバチルス ガセリ由来のタンパク質」とは、ラクトバチルス ガセリ由来のタンパク質であって、次のSDPであり、かつ、消化管由来物質に対して接着性を有するタンパク質のことをいう。
即ちLPXTGモチーフを有するタンパク質に関する。
ここで、Xで示されるアミノ酸は、タンパク質を構成する任意のアミノ酸であればいずれであっても良く、具体的には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシ、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジンからなる群から選択される。
このような本発明のタンパク質として、配列表配列番号1〜4のいずれかに示される塩基配列によってコードされるタンパク質が挙げられる。また、配列表配列番号1〜4のいずれかに示される塩基配列に85%以上の同一性を示す塩基配列によってコードされるタンパク質であっても良く、好ましくは90%以上の同一性、さらに好ましくは95%以上の同一性を示す塩基配列によってコードされるタンパク質であっても良い。
さらに、本発明のタンパク質は、配列表配列番号5〜8のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むタンパク質であっても良く、このアミノ酸配列のうち1個〜9個のアミノ酸が欠損、置換または付加されたアミノ酸配列を含むタンパク質であっても良い。
この発明において「消化管由来物質」とは、大腸、小腸等の消化器系器官から得られる細胞やそれを形質転換等したもの、またはこれらの細胞等から産生される物質のことをいう。この「消化管由来物質」は、これらの消化器系器官に乳酸菌が接着するにあたり、有効に作用する物質であることが好ましい。このような物質として、例えば、フィブロネクチン、ムチン、Caco−2細胞等が挙げられる。本発明のタンパク質は、これらの消化管由来物質のいずれか一種以上に接着性を有するものであれば良く、二種以上に接着性を有するものであることが好ましい。
以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが,本発明はこれらに限定されるものではない。
次の工程により、SDPであり、かつ、消化管由来物質に対して接着性を有するラクトバチルス ガセリ由来の新規タンパク質4種類を特定した。
SDPであり、かつ、接着性を有する新規タンパク質の候補は7種類想定した。7種類のタンパク質をコードする遺伝子を1種類ずつ個別に破壊したラクトバチルス ガセリを作成し、該ラクトバチルス ガセリと、遺伝子が破壊されていないラクトバチルス ガセリの消化管由来物質への付着の度合いを比較する事により、7種類のタンパク質それぞれについて、消化官由来物質に対する接着性を調べた。
上記で特定した、SDPであり、かつ、消化管由来物質に対して接着性を有するラクトバチルス ガセリ由来の新規タンパク質4種類(SDP No.2,No.3,No.8及びNo.10)について、それぞれコードする塩基配列を配列表配列番号1〜4に示した。また、配列番号1〜4の塩基配列に対応する各新規タンパク質のアミノ酸配列をそれぞれ配列表配列番号5〜8に示した。
本発明で特定した新規タンパク質4種類以外に候補とされた他のタンパク質3種類(SDP No.4,No.5及びNo.12)についても、このタンパク質の塩基配列をコードする塩基配列を配列表配列番号9〜11にそれぞれ示した。また、配列番号9〜11の塩基配列に対応する各タンパク質のアミノ酸配列をそれぞれ配列表配列番号12〜14に示した。
1.SDP遺伝子の破壊
1)遺伝子破壊用プラスミドの構築
SBT2055株からゲノムDNAを抽出し、これを鋳型として破壊対象であるSDPをコードする遺伝子の両端を一部含む約1kbの領域を、表1に示すプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase chain reaction;PCR(以下、単にPCRと示す))によって増幅した。次に、増幅した断片をPCRにて連結して約2kbの1つのDNA断片とした。取得した約2kbの断片を、環状DNA、pGhost6プラスミドベクター(Appligene社製)(約6.7kb)に連結し、大腸菌へ導入した。得られた組換え大腸菌からillustra plasmidPrep Mini Spin Kit(GE Healthcare, cat No.28−9042−70)を用いて製品添付のマニュアルに従って、前記約2kbのDNA断片を含むプラスミドDNAを抽出した。
Figure 2016216388
2)SBT2055株のコンピテントセルの調製
コンピテントセル(competent cells;形質転換受容性細胞)とは、外来DNA(プラスミド・ファージDNAなど)を細胞内に取り込める状態の細胞である。ラクトバチルス ガセリSBT2055(FERM BP−10953)を10mlのMRS液体培地で37℃、16時間静置し前培養した。その後、終濃度で0.5M スクロースおよび2% グリシン(Gly)を含有するMRS液体培地(40ml)に前培養液を1%量植菌し37℃にて静置培養した。O.D.600=0.21にて培養停止し、氷上で10min間静置した。遠心分離(2,300×g,10min,4℃)によって菌体を回収し、冷却した滅菌Milli−Q水(25ml)にて2回洗菌を行った。洗菌後のペレット状の菌体を5mlの50mM EDTAに懸濁し、氷上で5min静置した。ここに25mlの滅菌Milli−Q水(25ml)を添加し、遠心分離(2,300×g,10min,4℃)により菌体を回収した。続いて25mlの0.3M スクロースを用いて洗菌を行った。遠心分離(2,300×g,10min,4℃)により回収した菌体を100μlの0.3M スクロースに再懸濁し、これをコンピテントセルとした。
3)SBT2055株の形質転換体の作成
上記1.1)において調製した2〜3μgの遺伝子破壊用プラスミドを上記1.2)において調製した100μlのコンピテントセルと混合し、氷上で5min静置した。Gap間隔2mmのキュベットを使用し、Gene Pulser(Bio−rad)にてエレクトロポレーションを行った(1,500V,600Ω,10μF)。電気パルスを与えた後にMRS液体培地を添加し、28℃にて150minインキュベートした。続いて38℃にて150minインキュベートして菌懸濁液を得た後、50μg/mlエリスロマイシン(Em)含有MRS寒天培地に菌懸濁液100μlを塗抹して38℃、5日間嫌気培養し、SBT2055株の形質転換体を得た。
4)遺伝子破壊の誘導
上記1.3)において得たSBT2055株の形質転換体を10mlのMRS液体培地に植菌し、28℃にて1日間静置培養した。培養液を適宜希釈した後、菌懸濁液100μlをMRS寒天培地に塗抹し38℃にて3日間嫌気培養した。その結果、目的の遺伝子破壊株を取得した。
2.遺伝子破壊の確認
1)菌体の培養
上記1.4)において得た遺伝子破壊株からDNAとRNAを抽出する為に、以下の手順にて遺伝子破壊株の培養を行った。
DNA抽出のために、上記1.4)において得た遺伝子破壊株を10mlのMRS液体培地に植菌し、37℃にて16時間静置培養した。
さらに、RNA抽出のために、上記1.4)において得た遺伝子破壊株を10mlのMRS液体培地に植菌し、37℃にて16時間静置培養した。さらに、10ml MRS液体培地に1%量植菌し、同様に37℃にて16時間静置培養したものを定常期の菌体とした。また、上記の定常期の菌体を1.5mlのMRS液体培地に5%量植菌し、37℃にて4時間培養したものを対数期の菌体とした。
2)DNA・RNA抽出
DNA抽出は、DNeasy Blood&Tissue kit(QIAGEN, cat No.69504)を用いて、製品添付のマニュアルに従って行った。RNA抽出は、ジルコニアビーズ(製品名:Ez−Beads、製造会社:エーエムアール株式会社、販売会社:株式会社住化分析センター)とTrizolによる菌体破砕を行った後、RNeasy Mini Kit(QIAGEN, cat No.74104)を用いて、製品添付のマニュアルに従って行った。
3)DNAのシークエンス解析
上記2.2)にて抽出したゲノムDNAを鋳型にして、該当箇所をPCRにより増幅した。増幅には表2に示すプライマーを使用し、KOD−plus−neo(TOYOBO, cat No.KOD−401)を用いてサイクル条件、(1)94℃、2min、(2)98℃、10sec;60℃、30sec;68℃、1min 30sec、*30cycle、(3)68℃、2min、(4)4℃、∞、にて行った。取得した増幅断片はillustra GFX PCR Purification Kit(GEヘルスケア, cat No.28−9034−70)を用いて製品添付のマニュアルに従って精製し、シークエンス解析用の鋳型DNAとした。シークエンス解析用のプライマーには表3に示す配列を使用して実施したところ、ゲノムDNA上から該当の遺伝子が想定通りに削除されている事を確認した。
Figure 2016216388
Figure 2016216388
4)RNAの発現解析
上記2.2)にて抽出したRNA 1μgを使用し、QuantiTect Reverse Transcription Kit(QIAGEN,cat No.205311)を用いて製品添付のマニュアルに従ってcDNAを調製した。cDNAならびにRNA(コントロール)を5ng/μlに濃度調整し、表4に示すプライマーを用いて定量PCRにより該当するSDP遺伝子の発現有無を調べた。なお、内部標準としてグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(Glyceraldehyde−3−phosphate dehydrogenase;GAPDH(以下、単にGAPDHと示す))および乳酸脱水素酵素(Lactate dehydrogenase;LDH(以下、単にLDHと示す))をコードする遺伝子を使用し、次のプライマーを使用して試験した。GAPDH遺伝子(センス鎖,5’−ATGCTTTACAAAAGGAATTCGGC−3’(配列番号106));アンチセンス鎖,5’−ACCACCACGTACAGGACCATC−3’(配列番号107))、LDH遺伝子(センス鎖,5’−TTGGTCGTGAAGTTCGTGACC−3’(配列番号108);アンチセンス鎖,5’−CAATAACCTTTGCGCCGAAA−3’(配列番号109))。
その結果、いずれのSDP遺伝子も発現していないことを確認した。
Figure 2016216388
3.消化管由来物質に対する接着性の確認
A.フィブロネクチン(Fibronectin(以下、単にFnと示す場合がある))接着性試験
1)Fnコーティングスライドガラスの準備
8穴スライドガラス(品名:チャンバースライドII IWAKI)の表面をアルコール綿で洗浄した後、20μg/ml フィブロネクチン(ヒト血漿由来、Wako、cat No.063−05591)含有PBS(−)(日水製薬、cat No.05913)を150μl添加して、一晩静置することでFnをガラス上に固定化した。Fn溶液を破棄し、PBS(−)を用いて各ウェルを洗浄した。洗浄後、10mg/ml BSA(Wako, cat No. 019−23293)含有PBS(−)を150μlずつ各ウェルにのせ、室温で2時間静置することでブロッキングを行った。その後、BSA溶液を破棄し、PBS(−)で洗浄して、Fn接着性試験に使用した。
2)菌懸濁液の準備
上記1.2.の工程によって調製した各種供試菌を10mlのMRS液体培地を用いて37℃、16時間静置培養して賦活した。さらに、これを10mlのMRS液体培地に1%(v/v)量植菌し、37℃、16時間静置培養した。
菌懸濁液を3回PBS(−)で遠心洗浄(1,912×g、10分間、室温)した後に、O.D.600=0.5になるようにPBS(−)を用いて洗浄菌体を再懸濁した。
3)Fn接着性試験
Fnコーティングしたガラススライドに菌懸濁液を150μl/ウェルずつ添加し、室温で2時間、静置した。菌懸濁液を破棄し、脱イオン水を用いて洗浄した後に、37℃にてガラス表面を乾燥させた。1mg/mlのメチレンブルー(Merck)水溶液を150μl添加し、5分間静置して菌体を染色した。脱イオン水でメチレンブルー水溶液を洗浄除去した後に、再び37℃で乾燥させ、顕微鏡で観察して画像を撮影した。スライド上に残存した菌体が占有する面積を顕微鏡ならびにImage−J(画像解析ソフト、http://imagej.nih.gov/ij/)を用いて計算し、接着率(%)を導出した。
4)結果
図1に示されるように、各種供試菌のうちSDP3遺伝子(配列表配列番号2)の遺伝子破壊株Δ3、SDP8遺伝子(配列表配列番号3)の遺伝子破壊株Δ8、SDP10遺伝子(配列表配列番号4)の遺伝子破壊株Δ10及びSDP12遺伝子(配列表配列番号11)の遺伝子破壊株Δ12のいずれにおいても、SBT2055株に対してフィブロネクチンに対する接着性が有意に低下していた。特に遺伝子破壊株Δ3において、危険率p=0.007と顕著であった。
従って、この結果より、配列表配列番号2で示される塩基配列によってコードされるSDP3タンパク質が、フィブロネクチンに対して高い接着性を有するラクトバチルス ガセリ由来のタンパク質であることが確認できた。
B.ムチン接着性試験
1)6−Carboxyfluorescein diacetate(CFDA)による菌体の標識
上記1.2.の工程によって調製した各種供試菌を、MRS液体培地を用いて37℃、16時間静置培養した。得られた培養菌体を遠心分離(1,912×g,4℃,10min)により回収し、PBS(−)を用いて3回洗菌後、PBS(−)に再懸濁した。菌体懸濁液とその1/10量の1mM 6−Carboxyfluorescein diacetate(CFDA,Sigma,cat No.C5041)溶液を混合し、37℃で30分間インキュベートした。得られた菌体を遠心分離(17,800×g,室温,3min)により回収し、PBS(−)を用いて2回洗菌したものをCFDA標識菌体とした。
2)ムチン固定化プレートの作製
接着試験用ムチンとしてMucin from bovine submaxillary glands(Sigma−Aldrich,cat No.M3895)とMucin from porcine stomach(Sigma−Aldrich,cat No.M1778)の2種類を使用した。各々PBS(−)に3mg/mlの濃度で溶解し、無水マレイン酸プレート(Thermo SCIENTIFIC Prod# 15108、白色)に100μl添加した。室温にて静置(オーバーナイト)することでムチンを各ウェル内に固定化した。
3)ムチン接着性試験
O.D.600=5に調整した上記1)の供試菌をCFDA標識し、PBS(−)に懸濁した。上記2)にて調製したマイクロプレート内のムチン溶液を除去し、200μlの0.5M エタノールアミン(PBS(−)に溶解し、pH8.3に調整,wako, cat No. 011−17702)を各ウェルに添加して室温にて1時間静置することでブロッキングを行った。マイクロプレート内のエタノールアミン溶液を除去し、PBS(−)にて3回洗浄した。続いて、100μlのCFDA標識菌体を各ウェルに添加し、37℃にて1時間インキュベートした。マイクロプレート内の菌体懸濁液を廃棄し、200μlのPBS(−)で3回洗浄した。続いて、各ウェルに100μlの破砕液(1% SDS and 0.1N NaOH)を添加し、60℃で1時間破砕処理をした。冷蔵庫内で5分ほど静置して室温程度に戻した後、蛍光測定を実施した(Ex 495nm,Em 519nm)。接着率は各ウェルに添加したCFDA標識菌体が全て接着したと仮定した場合の蛍光強度を100%として、洗浄後にウェル内に残った菌体の蛍光強度から算出した。
4)結果
図2−1に示されるように、各種供試菌のうちSDP2遺伝子(配列表配列番号1)の遺伝子破壊株Δ2、SDP3遺伝子(配列表配列番号2)の遺伝子破壊株Δ3、SDP8遺伝子(配列表配列番号3)の遺伝子破壊株Δ8及びSDP10遺伝子(配列表配列番号4)の遺伝子破壊株Δ10のいずれにおいても、SBT2055株に対して牛顎下ムチンに対する接着性が有意に低下していた。特に遺伝子破壊株Δ2において、危険率p=0.011と顕著であった。
従って、この結果より、配列表配列番号1で示される塩基配列によってコードされるSDP2タンパク質が、牛顎下ムチンに対して高い接着性を有するラクトバチルス ガセリ由来のタンパク質であることが確認できた。
図2−2に示されように、各種供試菌のうちSDP4遺伝子(配列表配列番号9)の遺伝子破壊株Δ4、SDP8遺伝子(配列表配列番号3)の遺伝子破壊株Δ8及びSDP10遺伝子(配列表配列番号4)の遺伝子破壊株Δ10のいずれにおいても、SBT2055株に対してブタ胃ムチンに対する接着性が有意に低下していた。特に遺伝子破壊株Δ8において、危険率p=0.002と顕著であった。
従って、この結果より、配列表配列番号3で示される塩基配列によってコードされるSDP8タンパク質が、ブタ胃ムチンに対して高い接着性を有するラクトバチルス ガセリ由来のタンパク質であることが確認できた。
C.Caco−2細胞との接着試験
1)Caco−2細胞の培養
Caco−2細胞培養用の培地として、Minimum Essential Media(MEM, Gibco, cat. No. 11095−072)に10%(v/v)Fetal Bovine Serum, qualified, US origin(FBS, Gibco, cat No. 26140−079),1%(v/v)PenStrep(Penicillin−Streptomycin, Liquid, Gibco, cat. No. 15140−122),1mM Sodium Pyruvate(Gibco, cat No. 11360−070),1%(v/v)MEM Non−Essential Amino Acids Solution,100X(Gibco, cat No. 11140−050)を添加したMEM(+FBS)培地を準備した。接着細胞培養用の24穴マイクロプレートに2.5×10cells/ml濃度のCaco−2細胞を500μl播種し、5%CO環境下で37℃、3日間培養した。顕微鏡観察にてコンフルエントに達したことを確認し、MEM培地(−FBS)で細胞を洗浄した後、MEM(+FBS)を用いてさらに2週間培養を継続することで分化をさせた。この間2〜3日の間隔で培地交換を行った。
2)6−Carboxyfluorescein diacetate (CFDA)による菌体の標識
上記1.2.の工程によって調整した各種供試菌は10 mlのMRS液体培地に植菌し、37℃にて16時間静置培養した。供試菌の培養液を遠心分離(1,912×g,4℃,10min)により回収し、PBS(−)を用いて3回洗菌後、PBS(−)に再懸濁した。菌体懸濁液とその1/10量の1mM 6−Carboxyfluorescein diacetate(CFDA,Sigma,cat No.C5041)溶液を混合し、37℃で30分間インキュベートした。得られた菌体を遠心分離(17,800×g,室温,3min)により回収し、PBS(−)を用いて2回洗菌したものをCFDA標識菌体とした。
3)細胞接着試験
O.D.600=5に調整した供試菌を上記第3.2.項に従ってCFDA標識した。標識菌体をMEM, HEPES, no glutamine(Gibco, cat No. 12360−038)に再懸濁し、500μl/well量をアプライした。5%CO環境下で37℃、1時間静置した後、PBS(−)にて3回洗浄を行った。各ウェルに破砕液(1% SDS and 0.1N NaOH)を添加し、60℃で1時間静置した。冷蔵庫内で5分ほど静置して室温程度に戻した後、100μlを96穴マイクロプレート(蛍光分析用、黒色)に移し、蛍光測定を実施した(Ex 495nm,Em 519nm)。接着率は各ウェルに添加したCFDA標識菌体が全て接着したと仮定した場合の蛍光強度を100%として、洗浄後にウェル内に残った菌体の蛍光強度から算出した。
4)結果
図3に示されるように、各種供試菌のうちSDP4遺伝子(配列表配列番号9)の遺伝子破壊株Δ4、SDP5遺伝子(配列表配列番号10)の遺伝子破壊株Δ5、SDP8遺伝子(配列表配列番号3)の遺伝子破壊株Δ8、SDP10遺伝子(配列表配列番号4)の遺伝子破壊株Δ10及びSDP12遺伝子(配列表配列番号11)の遺伝子破壊株Δ12のいずれにおいても、SBT2055株に対してCaco−2細胞に対する接着性が有意に低下していた。特に遺伝子破壊株Δ10において、危険率p=0.000と顕著であった。
従って、この結果より、配列表配列番号4で示される塩基配列によってコードされるSDP10タンパク質が、Caco−2細胞に対して高い接着性を有するラクトバチルス ガセリ由来のタンパク質であることが確認できた。
上記A〜Cの接着性試験の結果より、配列表配列番号1〜4に示される塩基配列によってコードされるタンパク質はSDPであり、かつ、フィブロネクチン、ムチンまたはCaco−2細胞等の消化管由来物質に対して接着性を有するラクトバチルス ガセリ由来のタンパク質であることが確認できた。
本発明の新規タンパク質を乳酸菌に導入することにより、乳酸菌の消化管接着性を向上させることができる。また、本発明の新規タンパク質を有する乳酸菌をスクリーニングすることで、消化管接着性の高い乳酸菌を得ることが容易となる。

Claims (4)

  1. SDP(Sortase−dependent Protein)であり、かつ、消化管由来物質に対して接着性を有するラクトバチルス ガセリ由来のタンパク質。
  2. 消化管由来物質がフィブロネクチン、ムチンまたはCaco−2細胞のいずれか一種以上である請求項1に記載のタンパク質。
  3. 配列表配列番号1〜4のいずれかに示される塩基配列によってコードされる請求項1または2に記載のタンパク質。
  4. 配列表配列番号1〜4のいずれかに示される塩基配列に85%以上の同一性を示す塩基配列によってコードされる請求項1または2に記載のタンパク質。
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