JP2016215758A - 車両の空調制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンの冷却水を加熱する加熱器と冷却水の熱で空気を加熱するヒータコアとを備えた空調装置において冷却水の流量を適正に設定して燃費を向上させる。【解決手段】エンジン入口水温(エンジン21に流入する冷却水の温度)の目標値である目標エンジン入口水温を、加熱器23を備えていないシステムに比べて低めに設定し、エンジン入口水温を目標エンジン入口水温にするように、ヒータコア17を通過する空気の流量及び比熱と冷却水の比熱とに基づいて、加熱器23を通過する冷却水の流量を決定する。これにより、エンジン入口水温を目標エンジン入口水温付近に保つための冷却水流量を適正に設定して、暖房に必要な熱量を確保しながら、加熱器23を備えていないシステムに比べて、エンジン入口水温を低くして冷却水の流量を低減する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両の動力源であるエンジンの冷却水の熱で空気を加熱する放熱器を備えた車両の空調制御装置に関する発明である。
近年、低燃費、低排気エミッションの社会的要請から車両の動力源としてエンジンとモータとを搭載したハイブリッド車が注目されている。このようなハイブリッド車は、エンジンを停止してモータの動力で走行するEV走行を行うことで燃費を向上させるようにしたものがある。しかし、冬季等に暖房用の熱量(つまりエンジンの冷却水の熱量)を確保するためにエンジンを稼働する時間が長くなると、燃費が悪化する傾向がある。
そこで、例えば、特許文献1に記載されているように、エンジン以外に冷却水を加熱する加熱器を搭載して、暖房用の熱量を確保するためのエンジン稼働を少なくできるようにしたものがある。このものは、エンジンの冷却水の熱で空気を加熱する第1及び第2の放熱器(熱交換器)と、第2の放熱器に向かって流れる冷却水を加熱する加熱器と、第2の放熱器の下流側の冷却水から加熱器の上流側の冷却水に熱移動させる顕熱交換器とを備え、第1の放熱器よりも第2の放熱器を流れる冷却水の流量を少なくするようにしている。これにより、第2の放熱器での冷却水からの放熱量の割合を高めると共に、エンジン表面からの放熱量を低減することで、加熱器の消費エネルギを少なくして燃費を改善するようにしている。
特許第5407944号公報
しかし、上記特許文献1の技術では、二つの放熱器と顕熱交換器を設ける必要があるため、空調装置の構成部品が増大して、車両への搭載性が悪化すると共にコストが高くなるという欠点がある。また、冷却水の流量の設定方法が明らかではなく、燃費を十分に改善できない可能性がある。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、車両への搭載性向上や低コスト化の要求を満たしながら、冷却水の流量を適正に設定して燃費を向上させることができる車両の空調制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、車両の動力源であるエンジン(21)と該エンジンを通過した冷却水を加熱する加熱器(23)と該加熱器を通過した冷却水の熱で空気を加熱する一つの放熱器(17)との間で冷却水が循環する暖房用冷却水回路(22)を備えた車両の空調制御装置において、エンジンに流入する冷却水の温度(以下「エンジン入口水温」という)の目標値である目標エンジン入口水温を設定する入口水温設定部(37)と、エンジン入口水温を目標エンジン入口水温にするように、放熱器を通過する空気の流量及び比熱と冷却水の比熱とに基づいて、加熱器を通過する冷却水の流量を決定する決定部(37)とを備えた構成としたものである。
この構成では、エンジンとは別に冷却水を加熱する加熱器を備えているため、加熱器を備えていないシステムに比べて、エンジン入口水温を低くしても、暖房に必要な熱量を確保することができ、目標エンジン入口水温を低めに設定することができる。そして、エンジン入口水温を目標エンジン入口水温にするように、放熱器を通過する空気の流量及び比熱と冷却水の比熱とに基づいて、加熱器を通過する冷却水の流量を決定することで、エンジン入口水温を目標エンジン入口水温付近に保つための冷却水の流量を適正に設定することができる。
これにより、暖房に必要な熱量を確保しながら、加熱器を備えていないシステムに比べて、エンジン入口水温を低くして冷却水の流量を低減することが可能となる。その結果、エンジン停止のための目標暖房エンジン水温を低めに設定して暖房用の熱量を確保するためのエンジン稼働時間を短くすることができると共に、冷却水の熱で空気を効率良く加熱して、加熱器の消費エネルギを少なくすることができ、燃費を向上させることができる。また、二つの放熱器と顕熱交換器を設ける従来技術に比べて、空調装置の構成部品を削減することができるため、空調装置の車両への搭載性が向上すると共に空調装置を低コスト化することができる。
図1は本発明の実施例1におけるハイブリッド車の空調装置の概略構成を示す図である。 図2はハイブリッド車の空調装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。 図3は目標暖房エンジン水温を低めに設定した場合のエンジン出口水温の挙動を示すタイムチャートである。 図4は空調制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 図5は目標エンジン入口水温設定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 図6はエンジンの冷却水加熱特性を示す図である。 図7は冷却水流量下限値のマップの一例を概念的に示す図である。 図8は目標暖房エンジン水温のマップの一例を概念的に示す図である。 図9は予測したエンジン出口水温の挙動の一例を示すタイムチャートである。 図10はエンジン本体温度と冷却水流量と伝熱量との関係を示す図である。 図11はエンジン本体温度と最適流量との関係を示す図である。 図12は目標エンジン入口水温の補正値のマップの一例を概念的に示す図である。 図13は実施例4のハイブリッド車の空調装置の概略構成を示す図である。 図14はエンジン本体温度のマップの一例を概念的に示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を具体化した幾つかの実施例を説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図9に基づいて説明する。
まず、図1及び図2に基づいてハイブリッド車の空調装置の概略構成を説明する。
図1に示すように、空調用の空気通路を形成する空調ケース11内の上流部には、車室外の空気である外気を導入する外気導入路12と、車室内の空気である内気を導入する内気導入路13とが形成されている。外気導入路12には、外気温を検出する外気温センサ31が設けられている。一方、内気導入路13には、内気導入路13を開閉する内外気切替ドア14が設けられている。この内外気切替ドア14は、図示しないモータ等によって駆動される。
外気導入路12及び内気導入路13の下流側には、空気をエアコン吹出口の方向(つまり車室内の方向)へ送風するブロアファン15が配置され、このブロアファン15の下流側に、空気を冷却するための蒸発器16が配置されている。この蒸発器16と、図示しない圧縮器、凝縮器、気液分離器、膨張弁等により冷凍サイクルが構成されている。
空調ケース11内の蒸発器16の下流側には、空気を加熱するための放熱器であるヒータコア17が配置され、このヒータコア17の側方に、ヒータコア17をバイパスして空気を流すバイパス通路18が形成されている。
ヒータコア17及びバイパス通路18の上流側には、ヒータコア17を通過する温風とバイパス通路18を通過する冷風との風量割合を調節するエアミックスドア19が設けられている。ヒータコア17を通過した温風とバイパス通路18を通過した冷風は、ヒータコア17及びバイパス通路18の下流側の空気混合部20で混合されてエアコン吹出口の方向へ送風される。
エアミックスドア19は、図示しないモータ等によって駆動される。エアミックスドア19で、ヒータコア17を通過する温風とバイパス通路18を通過する冷風との風量割合を調節することで、車室内への吹出空気温度を調節するようになっている。車室内には、車室内温度を検出する車室内温度センサ32(図2参照)が設けられている。
また、車両の動力源として内燃機関であるエンジン21と図示しないモータジェネレータとが搭載されている。エンジン21の冷却水が循環する暖房用冷却水回路22には、エンジン21を通過した冷却水を加熱する一つの加熱器23と、この加熱器23を通過した冷却水の熱で空気を加熱する一つのヒータコア17が設けられている。
具体的には、エンジン21の冷却水通路(いわゆるウォータジャケット)の入口付近に、電動ウォータポンプ24が設けられている。また、エンジン21の冷却水通路の出口とヒータコア17の冷却水入口とが冷却水循環流路25によって接続され、この冷却水循環流路25の途中に、加熱器23が設けられている。更に、ヒータコア17の冷却水出口と電動ウォータポンプ24の吸入口とが冷却水循環流路26によって接続されている。これにより、エンジン21と加熱器23とヒータコア17との間で冷却水が循環する暖房用冷却水回路22が形成されている。
ヒータコア17は、冷却水と空気との間で熱交換して空気を加熱する。加熱器23は、ヒートポンプ27の熱交換器であり、冷却水と冷媒との間で熱交換して冷却水を加熱する。ヒートポンプ27は、電動コンプレッサ28で低温低圧のガス冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒にした後、加熱器23で高温高圧のガス冷媒から熱を放出させて高圧の液状冷媒にする。この後、膨張弁29で高圧の液状冷媒を減圧膨張させて低温低圧の液状冷媒にした後、室外熱交換器30で低温低圧の液状冷媒に熱を吸収させて低温低圧のガス冷媒にする。
冷却水循環流路25には、エンジン21から流出する冷却水の温度であるエンジン出口水温を検出するエンジン出口水温センサ33が設けられている。また、冷却水循環流路26には、エンジン21に流入する冷却水の温度であるエンジン入口水温を検出するエンジン入口水温センサ34が設けられている。更に、エンジン21には、エンジン本体(例えばシリンダブロック等)の温度を検出するエンジン温度センサ35が設けられている。
図2に示すように、上述した各種センサ31〜35の出力は、エアコンECU37に入力される。このエアコンECU37は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された空調制御用のプログラムを実行することで、空調装置(例えば、電動ウォータポンプ24、ブロアファン15、内外気切替ドア14、エアミックスドア19、電動コンプレッサ28等)を制御する。
ハイブリッドECU36は、車両全体を総合的に制御するコンピュータであり、エアコンECU37、エンジン21を制御するエンジンECU38、モータジェネレータを制御するMG−ECU39等との間で制御信号やデータ信号等を送受信し、各ECU37〜39によって車両の状態に応じて、空調装置、エンジン21、モータジェネレータ等を制御する。
ところで、ハイブリッド車は、エンジン21を停止してモータジェネレータの動力で走行するEV走行を行うことで燃費を向上させることができる。しかし、暖房要求が発生して高い水温目標が課せられると、エンジン21を停止し難くなり、燃費が低下する。この対策として、図3に示すように、エンジン停止のための目標暖房エンジン水温を低め(例えばエンジン暖機完了水温と同程度)に設定し、エンジン21以外の加熱器23で冷却水温をエンジン出口水温から目標暖房水温まで加熱することで、暖房用の熱量を確保するためのエンジン稼働時間を短くすることができる。このとき、エンジン21以外の加熱器23を備えていない車両と同様に冷却水の流量が多いと、加熱器23に膨大なエネルギが必要となり、実現が困難になるか又は実現できても膨大な電力消費により燃費改善できなくなる。暖房時の燃費改善ポイントは、目標暖房エンジン水温を低くしつつ、エンジン21以外の加熱器23の出力を小さくするように、加熱器23の出力と冷却水の流量を設定することである。冷却水の流量が多いときに大きな加熱エネルギが必要なのは、車室内を温める空気と熱を供給する冷却水の熱マス(比熱×流量)の差が大きい(つまり冷却水の熱マスの方が大きい)にも拘らず、目標車室内温度を実現するために冷却水の温度を目標空気温(目標暖房水温)まで高める必要があるためである。
そこで、本実施例1では、例えば冬季の低速走行時等のエンジン21の生成熱が比較的少ない場合に、エアコンECU37により後述する図4及び図5の各ルーチンを実行する。これにより、エンジン入口水温の目標値である目標エンジン入口水温を、加熱器23を備えていないシステムに比べて低めに設定し、エンジン入口水温を目標エンジン入口水温にするように、ヒータコア17を通過する空気の流量及び比熱と冷却水の比熱とに基づいて、加熱器23を通過する冷却水の流量を決定する。これにより、暖房に必要な熱量を確保しながら、加熱器23を備えていないシステムに比べて、エンジン入口水温を低くして冷却水の流量を低減する。
以下、本実施例1でエアコンECU37が実行する図4及び図5の各ルーチンの処理内容を説明する。
[空調制御ルーチン]
図4に示す空調制御ルーチンは、エアコンECU37により所定周期で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、エアコンの設定パネル等からの信号に基づいて目標車室内温度を取得する。更に、外気温センサ31で検出した外気温と車室内温度センサ32で検出した車室内温度を読み込む。
この後、ステップ102に進み、外気温と車室内温度と目標車室内温度とに基づいて目標ヒータコア入口水温(つまり目標暖房水温)をマップ又は数式等により算出する。ここで、目標ヒータコア入口水温は、ヒータコア17に流入する冷却水の温度であるヒータコア入口水温の目標値である。
この後、ステップ103に進み、車室内温度が所定値以上であるか否かを判定する。ここで、所定値は、例えば、車両のフロントガラス等のガラスが曇り易くなり始める温度(例えば20℃)に設定されている。この所定値は、予め設定した固定値としても良いが、外気温や湿度等に応じて変化させるようにしても良い。
このステップ103で、車室内温度が所定値よりも低いと判定された場合には、ステップ104に進み、エンジン入口水温センサ34で検出したエンジン入口水温と、エンジン温度センサ35で検出したエンジン本体温度と、エンジン出口水温センサ33で検出したエンジン出口水温を読み込む。
この後、ステップ105に進み、ブロアファン15の回転速度等に基づいてヒータコア17を通過する空気の流量をマップ又は数式等により算出する。また、外気温と車室内温度と内外気切替ドア14の開度等に基づいてヒータコア17に流入する空気の温度を推定し、その空気の温度に基づいて空気の比熱をマップ又は数式等により算出する。更に、エンジン出口水温等に基づいて冷却水の比熱をマップ又は数式等により算出し、電動ウォータポンプ24の回転速度等に基づいて冷却水の流量をマップ又は数式等により算出する。
この後、ステップ106に進み、後述する図5の目標エンジン入口水温設定ルーチンを実行することで、エンジン入口水温の目標値である目標エンジン入口水温を設定する。
この後、ステップ107に進み、エンジン入口水温を目標エンジン入口水温にするように、ヒータコア17を通過する空気の流量及び比熱と冷却水の比熱とに基づいて、加熱器23を通過する冷却水の流量と加熱器23の出力を決定する。このステップ107の処理が特許請求の範囲でいう決定部としての役割を果たす。
エンジン21の稼働率を下げるためには、エンジン入口水温を低めに保つことが必要である。本実施例1では、加熱器23の出力(つまり加熱器23の冷却水加熱量)を所定値に設定した場合に、暖房に必要な目標ヒータコア入口水温を実現しつつエンジン入口水温を低くするために必要な冷却水流量を算出する。
以下、本実施例1の冷却水流量の算出方法を説明する。
ヒータコア17の空気加熱量[kW]は、ヒータコア17を通過する空気流量Qa[kg/s]及び空気比熱Ca[kJ/kg/K] とΔ空気温[K] とを用いて、下記(1)式で表すことができる。ここで、Δ空気温[K] は、ヒータコア17から流出する空気の温度であるヒータコア出口空気温 [℃] とヒータコア17に流入する空気の温度であるヒータコア入口空気温 [℃] との差(=ヒータコア出口空気温−ヒータコア入口空気温)とする。
ヒータコア空気加熱量=Qa×Ca×Δ空気温 …(1)
ヒータコア17の放熱量[kw]は、ヒータコア17を通過する冷却水流量Qw[kg/s]及び冷却水比熱Cw[kJ/kg/K] とΔ水温[K] とを用いて、下記(2)式で表すことができる。ここで、Δ水温[K] は、ヒータコア17に流入する冷却水の温度であるヒータコア入口水温 [℃] とヒータコア17から流出する冷却水の温度であるヒータコア出口水温 [℃] との差(=ヒータコア入口水温−ヒータコア出口水温)とする。
ヒータコア放熱量=Qw×Cw×Δ水温 …(2)
ヒータコア入口水温 [℃] は、エンジン入口水温 [℃] と、エンジン21による冷却水の昇温分ΔT1[K]と、加熱器23による冷却水の昇温分ΔT2[K]とを用いて、下記(3)式で表すことができる。
ヒータコア入口水温=エンジン入口水温+ΔT1 +ΔT2 …(3)
昇温分ΔT1[K]は、エンジン21の冷却水加熱量H1[kW] を用いて、下記(4)式で表すことができる。
ΔT1 =H1 /(Qw×Cw) …(4)
昇温分ΔT2[K]は、加熱器23の冷却水加熱量H2[kW] を用いて、下記(5)式で表すことができる。
ΔT2 =H2 /(Qw×Cw) …(5)
上記(1)式と(2)式において、「ヒータコア空気加熱量=ヒータコア放熱量」とすることで、下記(6)式を得ることができる。
Qw=Qa×Ca×Δ空気温/(Cw×Δ水温) …(6)
また、「Δ水温=ヒータコア入口水温−ヒータコア出口水温」の関係と、上記(3)〜(5)式とを用いて、下記(7)式を得ることができる。
Δ水温=エンジン入口水温+(H1 +H2 )/(Qw×Cw)−ヒータコア出口水温
…(7)
上記(6)式と(7)式から、下記(8)式を得ることができる。
Qw={Qa×Ca×Δ空気温−(H1 +H2 )}
/{(エンジン入口水温−ヒータコア出口水温)×Cw}
…(8)
以下にエンジン入口水温を目標値(つまり目標エンジン入口水温)に保つための冷却水流量Qwを算出するための関係式をまとめる。
Qw={Qa×Ca×Δ空気温−(H1 +H2 )}
/{(エンジン入口水温−ヒータコア出口水温)×Cw}
…(A)
Qw<(H1 +H2 )/{Cw×(目標ヒータコア入口水温−エンジン入口水温)}
…(B)
H1 =f(Qw) …(C)
ここで、上記(B)式は、暖房に必要な目標ヒータコア入口水温を成立させるための条件である。
上記(A)〜(C)式を用いて、エンジン入口水温を目標エンジン入口水温にするように、加熱器23を通過する冷却水流量Qwを算出する。ここでは、空気流量Qa、空気比熱Ca、冷却水比熱Cw、Δ空気温、エンジン入口水温−ヒータコア出口水温、目標ヒータコア入口水温、エンジン入口水温、加熱器23の冷却水加熱量H2 を、それぞれ下記の数値とした場合について説明する。
空気流量Qa=0.09[kg/s]
空気比熱Ca=1.0[kJ/kg/K]
冷却水比熱Cw=3.7[kJ/kg/K]
Δ空気温=60[K]
エンジン入口水温−ヒータコア出口水温=2[K]
目標ヒータコア入口水温=60 [℃]
エンジン入口水温=目標エンジン入口水温(例えば40 [℃] )
加熱器23の冷却水加熱量H2 =5[kW]
まず、図6に示すエンジン21の冷却水加熱特性(冷却水流量Qwとエンジン21の冷却水加熱量H1 との関係)に基づいて、上記(C)式を下記の近似式で設定する。
H1 =-388.26 Qw3 +52.3Qw2 +16.07 Qw−0.3195 …(C)
そして、上記(A)式に各数値を代入して、下記(D)式を求める。
Qw={5.4 −(H1 +5 )}/−7.4 …(D)
更に、上記(C)式と(D)式から下記の方程式を得ることができる。
7.4 Qw+5.4 −(−388.26Qw3 +52.3Qw2 +16.07 Qw−0.3195+5 )=0
上記の方程式を解くと、下記の三つの解を得ることができる。
Qw=−0.134 ,0.0690 ,0.200
また、上記(B)式に各数値を代入して、下記(E)式を求める。
Qw<(−388.26Qw3 +52.3Qw2 +16.07 Qw−0.3195+5 )/(3.7 ×20)
…(E)
上記(E)式及びQw>0で規定される制約条件を満たす解として、上記の三つの解の中からQw=0.0690を最終的な解として選択する。
以上により、冷却水流量Qw=0.0690[kg/s]=4.14[L/min] を決定する。
エアコンECU37は、加熱器23を通過する冷却水の流量が、この冷却水流量Qwになるように電動ウォータポンプ24等を制御する。
一方、上記ステップ103で、車室内温度が所定値以上であると判定された場合には、ステップ108に進み、加熱器23を通過する冷却水の流量を車室内温度が所定値未満の場合よりも多くする。このステップ108の処理も特許請求の範囲でいう決定部としての役割を果たす。
冷却水の流量が少なくなると、ヒータコア出入口温度差(つまりヒータコア入口水温とヒータコア出口水温との差)が大きくなり、車室内の空気の吹出口の位置による温度差が大きくなる(例えば足元は60℃で顔付近は40℃になる)ことがある。これが原因で下記の二種類の課題が生じる可能性があるため、その対策として、ステップ108の処理を実施する。
車室内温度が高くなるにつれてガラスが曇り易くなる。安全上重要なフロントガラスの曇りを防止するためにデフロスタの吹出温度を高くするには、ヒータコア出入口温度差が問題となる。これはデフロスタ部の空気はヒータコア出口付近の冷却水で温めるからである。そこで、防曇性能を確保するために、車室内温度が高くなると冷却水の流量を多くすることで、ヒータコア出入口温度差を小さくして、デフロスタの吹出温度を高く保つ。
また、車室内温度が低いうちは大きな影響は出ないが、車室内温度が高くなるにつれて低温側の吹出温度が問題になる場合がある。そこで、燃費よりも快適性を優先する場合、車室内温度が高くなると冷却水の流量を多くすることで、ヒータコア出入口温度差を小さくして、全ての吹出温度を高く保つ。
具体的には、図7に示す冷却水流量下限値のマップを参照して、車室内温度に応じた冷却水流量下限値を算出し、冷却水流量が冷却水流量下限値よりも低い場合には、冷却水流量を冷却水流量下限値まで引き上げる。これにより、冷却水流量を車室内温度が所定値未満の場合よりも多めに設定する。冷却水流量下限値のマップは、車室内温度が高くなるほど冷却水流量下限値が大きくなるように設定されている。
この後、ステップ109に進み、加熱器23の出力と加熱器23を通過する冷却水の流量に応じて、エンジン出口水温の目標値である目標暖房エンジン水温を設定する。このステップ109の処理が特許請求の範囲でいう出口水温設定部としての役割を果たす。
具体的には、図8に示す目標暖房エンジン水温のマップを参照して、加熱器23の出力と冷却水流量に応じた目標暖房エンジン水温を算出する。目標暖房エンジン水温のマップは、加熱器23の出力が小さくなるほど目標暖房エンジン水温が高くなる(つまり目標暖房水温に近付く)ように設定されている。また、目標暖房エンジン水温のマップは、冷却水流量が比較的少ない低流量域以外の領域では、冷却水流量が多くなるほど目標暖房エンジン水温が高くなるように設定されているが、低流量域では、加熱器23の伝熱効率が低下するため、冷却水流量が少なくなるほど目標暖房エンジン水温が高くなるように設定されている。
[目標エンジン入口水温設定ルーチン]
図5に示す目標エンジン入口水温設定ルーチンは、前記図4の空調制御ルーチンのステップ106で実行されるサブルーチンであり、特許請求の範囲でいう入口水温設定部としての役割を果たす。本ルーチンでは、車両の走行予定経路における走行情報に基づいてエンジン21の負荷を予測し、その予測結果に基づいて目標エンジン入口水温を設定する。
例えば、郊外の道路や高速道路を走行する場合のように、車速や加速度が大きいと、暖房していても冷却水温が上がっていくが、渋滞の道路や信号待ちの多い道路を走行する場合のように、車速や加速度が小さいと、外気と暖房によって冷却水温が下がっていく。冷却水温が高くなれば、エンジン21以外の加熱器23の出力を絞って燃費改善できるが、低負荷の連続で冷却水温の低下が大きいと、エンジン21の強制稼働が必要となる場合があり、燃費が悪化する。そこで、低水温を予測した場合、その前に目標エンジン入口水温を上げておき、冷却水温の極端な低下を防ぐ。
本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201で、ナビゲーション装置からの情報、車載カメラからの情報、他車(例えば先行車両)から受信した情報等に基づいて、車両の走行予定経路における走行情報(例えば、渋滞状況、道路勾配、信号状況等)を取得する。
この後、ステップ202に進み、走行予定経路における走行情報に基づいて、現在値から所定距離(例えば5km)先までの車速の変化と道路勾配等を予測し、予測した車速の変化と道路勾配等に基づいて、所定距離先までのエンジン負荷の変化を予測する。
この後、ステップ203に進み、外気温と目標暖房水温(つまり目標ヒータコア入口水温)と所定距離先までの走行所要時間とに基づいて、所定距離先までの暖房負荷を予測する。
この後、ステップ204に進み、予測したエンジン負荷(つまり加熱側の負荷)と暖房負荷(つまり放熱側の負荷)に基づいて、所定距離先までのエンジン出口水温の変化を予測する(図9参照)。
この後、ステップ205に進み、予測したエンジン出口水温が高温側閾値(=現在の目標エンジン入口水温+所定値)以上になるか否かを判定する。
このステップ205で、予測したエンジン出口水温が高温側閾値以上になると判定された場合には、ステップ206に進み、予測したエンジン出口水温が高温側閾値以上になる高温側超過時期と高温側超過量(=予測したエンジン出口水温の最大値−高温側閾値)を予測する。予測した高温側超過時期と高温側超過量とに応じて目標エンジン入口水温を低温方向に補正する。これにより、将来にエンジン出口水温が極端に低くなる危険性を考慮不要となるため、現在の燃費向上のみを考慮して目標エンジン入口水温を低めに設定する。
一方、上記ステップ205で、予測したエンジン出口水温が高温側閾値以上にならないと判定された場合には、ステップ207に進み、予測したエンジン出口水温が低温側閾値(=現在の目標エンジン入口水温−所定値)以下になるか否かを判定する。
このステップ207で、予測したエンジン出口水温が低温側閾値以下になると判定された場合には、ステップ208に進み、予測したエンジン出口水温が低温側閾値以下になる低温側超過時期と低温側超過量(=低温側閾値−予測したエンジン出口水温の最小値)を予測する。予測した低温側超過時期と低温側超過量とに応じて目標エンジン入口水温を高温方向に補正する。これにより、エンジン出口水温が低くなり過ぎることを未然に防止する。
以上説明した本実施例1では、加熱器23を備えていないシステムに比べて目標エンジン入口水温を低めに設定し、エンジン入口水温を目標エンジン入口水温にするように、ヒータコア17を通過する空気の流量及び比熱と冷却水の比熱とに基づいて、加熱器23を通過する冷却水の流量を決定するようにしている。これにより、エンジン入口水温を目標エンジン入口水温付近に保つための冷却水流量を適正に設定することができ、暖房に必要な熱量を確保しながら、加熱器23を備えていないシステムに比べて、エンジン入口水温を低くして冷却水の流量を低減することができる。その結果、エンジン停止のための目標暖房エンジン水温を低めに設定して、暖房用の熱量を確保するためのエンジン稼働時間を短くすることができると共に、冷却水の熱で空気を効率良く加熱して、加熱器23の消費エネルギを少なくすることができ、燃費を向上させることができる。また、二つの放熱器と顕熱交換器を設ける従来技術に比べて、空調装置の構成部品を削減することができるため、空調装置の車両への搭載性が向上すると共に空調装置を低コスト化することができる。
また、本実施例1では、車両の走行予定経路における走行情報に基づいてエンジン負荷を予測し、その予測結果に基づいて目標エンジン入口水温を設定するようにしている。これにより、エンジン出口水温が高くなり過ぎることや低くなり過ぎることを未然に防止することができ、エンジン出口水温の低下によるエンジン21の強制稼働を抑制することができる。
また、本実施例1では、車室内温度が所定値以上の場合に、加熱器23を通過する冷却水の流量を車室内温度が所定値未満の場合よりも多くするようにしている。これにより、ヒータコア出入口温度差を小さくして、デフロスタの吹出温度を高く保つことができ、ガラスの防曇性能を確保することができると共に、全ての吹出温度を高く保つことができ、快適性を確保することができる。
また、本実施例1では、加熱器23の出力と加熱器23を通過する冷却水の流量に応じて、目標暖房エンジン水温を設定するようにしている。これにより、電力不足や部品保護等の理由から加熱器23の出力に制限が課せられた場合でも、目標暖房エンジン水温を高くして、冷却水温を目標暖房水温まで昇温させることが可能となる。
次に、本発明の実施例2を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分については説明を省略又は簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
前記実施例1では、図4のルーチンのステップ107で、加熱器23の出力を所定値に設定して、エンジン入口水温を目標エンジン入口水温にするように、ヒータコア17を通過する空気の流量及び比熱と冷却水の比熱とに基づいて、加熱器23を通過する冷却水の流量を決定するようにしている。
本実施例2においても、前記実施例1で説明した図4のルーチンを実行する。その際、本実施例2では、ステップ107で、エンジン入口水温を目標エンジン入口水温にする条件下で加熱器23の冷却水加熱量が最小になるように、ヒータコア17を通過する空気の流量及び比熱と冷却水の比熱とに基づいて、加熱器23の出力と加熱器23を通過する冷却水の流量を決定する。
以下、本実施例2の加熱器23の出力と冷却水流量の算出方法を説明する。
本実施例2では、加熱器23の冷却水加熱量H2 を変数とし、前記実施例1で説明した(A)〜(C)式を拘束条件として加熱器23の冷却水加熱量H2 を最小化するという次の最適化問題を解く。
Minimize:H2
Subject to:
Qw={Qa×Ca×Δ空気温−(H1 +H2 )}
/{(エンジン入口水温−ヒータコア出口水温)×Cw}
Qw<(H1 +H2 )/{Cw×(目標ヒータコア入口水温−エンジン入口水温)}
H1 =f(Qw)
具体的には、まず、前記実施例1と同じように、図6に示すエンジン21の冷却水加熱特性に基づいて、上記(C)式を下記の近似式で設定する。
H1 =-388.26 Qw3 +52.3Qw2 +16.07 Qw−0.3195 …(C)
そして、上記(A)式に各数値を代入して、下記(F)式を求める。
Qw={5.4 −(H1 +H2 )}/−7.4 …(F)
更に、上記(C)式と(F)式から下記(G)式を求める。
H2 =7.4 Qw+5.4 −(−388.26Qw3 +52.3Qw2 +16.07 Qw−0.3195)
…(G)
また、上記(B)式に各数値を代入して、下記(H)式を求める。
H2 >Qw×(3.7 ×20)−(−388.26Qw3 +52.3Qw2 +16.07 Qw−0.3195)
…(H)
上記(G),(H),(C)式を拘束条件として加熱器23の冷却水加熱量H2 を最小化するという次の最適化問題を解く。
Minimize:H2
Subject to:
H2 =7.4 Qw+5.4 −(−388.26Qw3 +52.3Qw2 +16.07 Qw−0.3195)
H2 >Qw×(3.7 ×20)−(−388.26Qw3 +52.3Qw2 +16.07 Qw−0.3195)
H1 =-388.26 Qw3 +52.3Qw2 +16.07 Qw−0.3195)
その結果、H2 =4.8 ,Qw=0.08を解として得ることができる。
以上により、加熱器23の出力H2 =4.8[kW] と冷却水流量Qw=0.08[kg/s]=4.5[L/min]を決定する。
尚、所定の演算周期で上述した方法により加熱器23の出力と冷却水流量を算出するようにしても良いが、予め上述した方法で各条件毎に算出した加熱器23の出力と冷却水流量をエアコンECU37のROMに記憶しておき、所定の演算周期で現在の条件に対応する加熱器23の出力と冷却水流量を呼び出すようにしても良い。
以上説明した本実施例2では、エンジン入口水温を目標エンジン入口水温にする条件下で加熱器23の冷却水加熱量が最小になるように、ヒータコア17を通過する空気の流量及び比熱と冷却水の比熱とに基づいて、加熱器23の出力と加熱器23を通過する冷却水の流量を決定するようにしている。これにより、エンジン入口水温を目標エンジン入口水温付近に保つことができる範囲内で加熱器23の冷却水加熱量を最小にすることができ、燃費向上効果を更に高めることができる。
次に、図10乃至図12を用いて本発明の実施例3を説明する。但し、前記実施例2と実質的に同一部分については説明を省略又は簡略化し、主として前記実施例2と異なる部分について説明する。
図10に示すように、エンジン負荷が大きくなってエンジン本体温度が高くなると、エンジン21と冷却水の温度差が大きくなるため、冷却水流量の低下によって伝達効率(熱交換効率)が低下したときに、エンジン21から冷却水への伝熱量低下の絶対値が大きくなる。伝熱量低下の絶対値が大きくなると、冷却水流量変化による燃費効果への影響が大きくなる。このため、図11に示すように、エンジン負荷が大きくエンジン本体温度が高い場合は、燃費が最も良くなる冷却水流量である最適流量が、エンジン負荷が小さくエンジン本体温度が低い場合よりも大きくなる。つまり、エンジン負荷やエンジン本体温度に応じて、エンジン21の冷却水加熱特性(図6参照)が変化して、最適流量が変化する。
そこで、本実施例3では、エンジン本体温度に応じて加熱器23の出力と加熱器23を通過する冷却水の流量を補正するようにしている。
具体的には、エアコンECU37は、図12に示す目標エンジン入口水温の補正値のマップを参照して、エンジン本体温度に応じた補正値を算出し、この補正値を用いて目標エンジン入口水温を補正することで、エンジン本体温度に応じて目標エンジン入口水温を補正する。この場合、例えば、エンジン本体温度が高いほど目標エンジン入口水温を高くする。そして、図4のルーチンのステップ107で加熱器23の出力と加熱器23を通過する冷却水の流量を算出する際に、この補正後の目標エンジン入口水温を用いることで、エンジン本体温度に応じて加熱器23の出力と加熱器23を通過する冷却水の流量を補正する。
以上説明した本実施例3では、エンジン本体温度に応じて加熱器23の出力と加熱器23を通過する冷却水の流量を補正するようにしている。これにより、エンジン本体温度に応じて、エンジン21の冷却水加熱特性が変化して最適流量が変化するのに対応して、冷却水流量を補正して、冷却水流量を最適流量に設定することができる。
尚、上記実施例3では、エンジン本体温度に応じて目標エンジン入口水温を補正するようにしたが、これに限定されず、例えば、エンジン負荷(例えばエンジン21の吸気圧や吸入空気量等)に応じて目標エンジン入口水温を補正することで、加熱器23の出力と加熱器23を通過する冷却水の流量を補正するようにしても良い。或は、エンジン本体温度の代用情報としてエンジンオイル温度やエンジンの冷却水加熱量に応じて目標エンジン入口水温を補正することで、加熱器23の出力と加熱器23を通過する冷却水の流量を補正するようにしても良い。更に、エンジン本体温度とエンジン負荷とエンジン出口水温のうちの二つ又は三つに応じて目標エンジン入口水温を補正することで、加熱器23の出力と加熱器23を通過する冷却水の流量を補正するようにしても良い。また、エンジン本体温度とエンジン負荷とエンジン出口水温のうちの少なくとも一つに応じてエンジン21の冷却水加熱特性(つまり上記(C)式)を補正することで、加熱器23の出力と加熱器23を通過する冷却水の流量を補正するようにしても良い。
次に、図13を用いて本発明の実施例4を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分については同一符号を付して説明を省略又は簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
本実施例4では、図13に示すように、暖房用冷却水回路22には、加熱器23とヒータコア17をバイパスして冷却水が流れるバイパス通路40が設けられている。このバイパス通路40は、冷却水循環流路25のうちの加熱器23の上流側と冷却水循環流路26のうちのヒータコア17の下流側とに接続されている。
また、冷却水循環流路25とバイパス通路40との接続部(つまり分岐部)には、電磁駆動式の流量調整弁41(例えば三方弁)が設けられている。この流量調整弁41で、加熱器23を通過する冷却水の流量Aとバイパス通路40を流れる冷却水の流量Bとの比率を調整することで、エンジン21を通過する冷却水の流量(A+B)と加熱器23を通過する冷却水の流量Aとの比率を調整できるようになっている。
エアコンECU37は、加熱器23を通過する冷却水の流量Aが、図4のルーチンのステップ107で算出した冷却水流量Qwになるように、電動ウォータポンプ24と流量調整弁41を制御する。
以上説明した本実施例4では、エンジン21を通過する冷却水の流量(A+B)と加熱器23を通過する冷却水の流量Aとを個別に制御することができる。これにより、加熱器23を通過する冷却水の流量を目標値(冷却水流量Qw)に制御しながら、エンジン21を通過する冷却水の流量を加熱器23を通過する冷却水の流量よりも多くして、エンジン21の伝熱効率を高く維持したり、エンジン21内部での局所加熱を回避したりすることができる。
尚、上記各実施例1〜4では、エンジン温度センサ35でエンジン本体温度を検出するようにしたが、エンジン温度センサ35を備えていないシステムの場合には、エンジン本体温度を推定するようにしても良い。この場合、例えば、図14に示すように、エンジン出入口水温差(つまりエンジン出口水温とエンジン入口水温との差)とエンジン21を通過する冷却水量とをパラメータとするエンジン本体温度のマップを予め作成して記憶しておく。このマップを参照して、エンジン出入口水温差とエンジン21を通過する冷却水量とに応じたエンジン本体温度を算出する。
また、上記各実施例1〜4では、エンジン入口水温センサ34でエンジン入口水温を検出するようにしたが、エンジン入口水温センサ34を備えていないシステムの場合には、エンジン入口水温を推定するようにしても良い。この場合、例えば、次のようにしてエンジン入口水温を推定(算出)する。
(a) 加熱器23の出力を、加熱器23の出力指令値と平均効率とを用いて次式により算出する。
加熱器出力=出力指令値×平均効率
(b) ヒータコア17の出力を、空気流量と空気比熱とヒータコア出口空気温とヒータコア入口空気温とを用いて次式により算出する。
ヒータコア出力=空気流量×空気比熱
×(ヒータコア出口空気温−ヒータコア入口空気温)
その際、空気流量は、ブロアファン15の指令値に基づいてマップ又は数式等により算出する。ヒータコア入口空気温は、外気温と車室内温度と内外気切替ドア14の開度とに基づいてマップ又は数式等により算出する。ヒータコア出口空気温は、ヒータコア入口空気温と加熱器23の出力と空気流量と空気比熱とを用いて次式により算出する。
ヒータコア出口空気温=ヒータコア入口空気温+加熱器出力/空気流量/空気比熱
(c) 暖房用冷却水回路22の配管放熱を、冷却水流量と冷却水温(例えばエンジン出口水温)とエンコパ内温度(つまりエンジンルーム内の温度)とに基づいてマップ又は数式等により算出する。その際、エンコパ内温度は、外気温と車速とエンジン本体温度とに基づいてマップ又は数式等により算出する。
このようにして、加熱器23の出力とヒータコア17の出力と配管放熱を算出した後、エンジン入口水温を、エンジン出口水温と加熱器23の出力とヒータコア17の出力と配管放熱と冷却水流量と冷却比熱とを用いて次式により算出する。
エンジン入口水温=エンジン出口水温
+(加熱器出力−ヒータコア出力−配管放熱)/冷却水流量/冷却比熱
また、上記各実施例1〜4では、エンジン21を通過した冷却水を加熱する加熱器として、ヒートポンプ27の加熱器(熱交換器)を用いるようにしたが、これに限定されず、例えば、PTCヒータ、シーズヒータ、燃焼式ヒータ、排気熱回収器等を用いるようにしても良い。
また、上記各実施例1〜4では、エンジン入口水温を目標エンジン入口水温にするように冷却水流量や加熱器出力を決定するようにしたが、エンジン出口水温を目標エンジン出口水温にするように冷却水流量や加熱器出力を決定するようにしても良い。
また、上記各実施例1〜4において、エアコンECU37が実行する機能の一部又は全部を、一つ或は複数のIC等によりハードウェア的に構成しても良い。
その他、本発明は、ハイブリッド車の空調装置に限定されず、プラグインハイブリッド車、レンジエクステンダ、アイドルストップ機能を搭載したエンジン車(ガソリン車やディーゼル車)等の空調装置に適用しても良い。
17…ヒータコア(放熱器)、21…エンジン、22…暖房用冷却水回路、23…加熱器、37…エアコンECU(入口水温設定部,決定部,出口水温設定部)

Claims (7)

  1. 車両の動力源であるエンジン(21)と該エンジンを通過した冷却水を加熱する加熱器(23)と該加熱器を通過した冷却水の熱で空気を加熱する一つの放熱器(17)との間で冷却水が循環する暖房用冷却水回路(22)を備えた車両の空調制御装置において、
    前記エンジンに流入する冷却水の温度(以下「エンジン入口水温」という)の目標値である目標エンジン入口水温を設定する入口水温設定部(37)と、
    前記エンジン入口水温を前記目標エンジン入口水温にするように、前記放熱器を通過する空気の流量及び比熱と冷却水の比熱とに基づいて、前記加熱器を通過する冷却水の流量を決定する決定部(37)と
    を備えていることを特徴とする車両の空調制御装置。
  2. 前記決定部は、前記エンジン入口水温を前記目標エンジン入口水温にする条件下で前記加熱器の冷却水加熱量が最小になるように、前記放熱器を通過する空気の流量及び比熱と冷却水の比熱とに基づいて、前記加熱器の出力と前記加熱器を通過する冷却水の流量を決定することを特徴とする請求項1に記載の車両の空調制御装置。
  3. 前記決定部は、前記エンジンの温度と前記エンジンの負荷と前記エンジンから流出する冷却水の温度のうちの少なくとも一つに応じて、前記加熱器の出力と前記加熱器を通過する冷却水の流量を補正することを特徴とする請求項2に記載の車両の空調制御装置。
  4. 前記入口水温設定部は、前記車両の走行予定経路における走行情報に基づいて前記エンジンの負荷を予測し、その予測結果に基づいて前記目標エンジン入口水温を設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両の空調制御装置。
  5. 前記決定部は、車室内温度が所定値以上の場合に、前記加熱器を通過する冷却水の流量を前記車室内温度が前記所定値未満の場合よりも多くすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両の空調制御装置。
  6. 前記加熱器の出力と前記加熱器を通過する冷却水の流量に応じて、前記エンジンから流出する冷却水の温度の目標値である目標暖房エンジン水温を設定する出口水温設定部(37)を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車両の空調制御装置。
  7. 前記エンジンを通過する冷却水の流量と前記加熱器を通過する冷却水の流量との比率を調整可能な流量調整弁(41)を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の車両の空調制御装置。
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