JP2016214019A - 電圧上昇抑制装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】より多くの分散型電源が自律的に電圧上昇抑制に貢献する電圧上昇抑制装置を提供する。
【解決手段】分散型電源が連系する電力系統において、電力系統と分散型電源との連系点での連系点電圧が予め設定された電圧閾値を超過した時点で、連系点電圧を電圧閾値以下に下げるように分散型電源の電力制御を行う電圧上昇抑制装置であって、記分散型電源が非発電状態であるか否かを判定する非発電時間帯判定部と、分散型電源が非発電状態である非発電時間帯における連系点電圧の計測値を統計処理した統計値に基づいて、分散型電源の連系点電圧の変動範囲の上限値を設定する統計処理部と、統計処理部で設定された変動範囲の上限値と、電力系統について予め設定された運用上限電圧値との比較を行って、値の小さい方を電圧閾値として設定する閾値更新部とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は分散型電源が連系する電力系統において、電力系統電圧の上昇を抑制する電圧上昇抑制装置に関する。
電力負荷に電力を送り届けるための二次送電系統や配電系統(以下、電力系統と総称)は、自系統より電圧階級の高い送電系統から降圧のための変電所を介して自系統の末端に向けて電力が流れる、いわゆる順潮流を前提として設計されている。
すなわち、オームの法則ΔV=I・Z(ΔVは2点間の電圧差、Iは2点間に流れる電流、Zは2点間のインピーダンス)に従って、末端方向に向かうにつれて系統電圧が徐々に降下することが前提となっている。
ところが電力系統に太陽光発電、風力発電および燃料電池などの各種の分散型電源が多数連系すると、それらで発生した余剰電力によって変電所方向に電力が逆流する、いわゆる逆潮流が生じる。この逆潮流によって、電力系統の末端方向に向かうにつれて電圧が上昇してしまう。
その結果、電力系統末端部付近の電圧は、電気事業法で定められた低圧受電101±6Vの範囲を守るために設定された運用上限電圧を超過する可能性がある。
実際には分散型電源には、運用上限電圧に達した時点で自ら発電出力を絞り込む出力抑制制御機能を備えることが義務付けられている。そのため、運用上限電圧を超過する可能性は低くなるが、分散型電源からすれば発電の機会を逸し、特に太陽光発電や風力発電では、自然エネルギーで発電した電力を無駄にすることになる。
これを回避するために、分散型電源の中には、発電した電力(有効電力)の出力抑制制御を開始する前に、電力系統から無効電力を吸収する方向に運転力率を調整する無効電力制御(進相運転と呼称)を実施する機構、すなわち電圧上昇抑制装置を兼ね備えた製品もある。これにより、分散型電源で発電した有効電力の逆潮流によって系統電圧は上昇するが、無効電力を順方向に流すことにより、電圧上昇が相殺されることとなる。
このような電圧上昇抑制装置を備えた分散型電源の多くでは、特許文献1に開示される分散型電源のように、運用上限電圧(低圧連系では電気事業法で定められた107V)を超過した時点で初めて無効電力制御を開始する。しかし運用上限電圧を超過するのは、当該電力系統の中でも末端付近のごく一部であるため、無効電力制御により電圧上昇抑制を実施する分散型電源も、全体のごく一部である。そのため、電圧上昇の抑制効果は極めて低いのが現状である。
そこで、特許文献2に開示されるように、運用上限電圧より低い電圧から、無効電力制御を開始する電圧上昇抑制装置を備えた分散型電源もある。例えば、低圧連系の分散型電源において、連系点電圧が、運用上限電圧である107Vを超過しないように、それより低い電圧閾値(例えば106.5V)の時点から無効電力制御を段階的に実施する。これによって、運用上限電圧107Vを超過していない近隣エリアの分散型電源の出力制御装置も電圧上昇の抑制に参加するため、より大きな効果が期待できる。
特開平8-280136号公報 特開2008−035640号公報
以上説明したように、分散型電源による発電に起因する電力系統の電圧上昇を回避すべく、分散型電源の電圧上昇抑制装置による無効電力制御が期待されている。しかし現状の無効電力制御は、系統電圧が運用上限電圧(例えば低圧連系では107V)に達した系統エリアの分散型電源の電圧上昇抑制装置か、当該エリアの電圧状態に近い近隣エリアの分散型電源の電圧上昇抑制装置のみが働くことになるため、電力系統全体の電圧上昇を抑制するには不十分となる。
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、より多くの分散型電源が自律的に電圧上昇抑制に貢献する電圧上昇抑制装置を提供することを目的とする。
本発明に係る電圧上昇抑制装置の態様は、分散型電源が連系する電力系統において、前記電力系統と前記分散型電源との連系点での連系点電圧が予め設定された電圧閾値を超過した時点で、前記連系点電圧を前記電圧閾値以下に下げるように前記分散型電源の電力制御を行う電圧上昇抑制装置であって、前記分散型電源が非発電状態であるか否かを判定する非発電時間帯判定部と、前記分散型電源が非発電状態である非発電時間帯における前記連系点電圧の計測値を統計処理した統計値に基づいて、前記分散型電源の前記連系点電圧の変動範囲の上限値を設定する統計処理部と、前記統計処理部で設定された前記変動範囲の上限値と、前記電力系統について予め設定された運用上限電圧値との比較を行って、値の小さい方を前記電圧閾値として設定する閾値更新部と、を備える。
本発明によれば、自律的に電圧上昇の抑制に貢献する電圧上昇抑制装置を得ることができる共に、電力制御の開始電圧である電圧閾値を適正に動的に設定できる。
本発明に係る実施の形態1の電圧上昇抑制装置の構成を示すブロック図である。 本発明に係る実施の形態1の電圧上昇抑制装置における非発電時間帯の判別および電圧記録の処理を説明するフローチャートである。 本発明に係る実施の形態1の電圧上昇抑制装置における統計処理および無効電力制御閾値更新の処理を説明するフローチャートである。 本発明に係る実施の形態1の電圧上昇抑制装置における無効電力制御量決定の処理を説明するフローチャートである。 無効電力制御の比例制御方式を説明する図である。 配電系統における電圧分布を示す図である。 配電系統の各連系点における、連系点電圧の頻度分布を示す図である。 本発明に係る実施の形態2の電圧上昇抑制装置の構成を示すブロック図である。 本発明に係る実施の形態2の電圧上昇抑制装置における非発電時間帯の判別および電圧記録の処理を説明するフローチャートである。 本発明に係る実施の形態3の電圧上昇抑制装置の構成を示すブロック図である。 本発明に係る実施の形態3の電圧上昇抑制装置における非発電時間帯の判別および電圧記録の処理を説明するフローチャートである。 本発明に係る実施の形態4の電圧上昇抑制装置の構成を示すブロック図である。 配電系統の発電時間帯と非発電時間帯での電圧分布の一例を示す図である。 本発明に係る実施の形態4の電圧上昇抑制装置における非発電時間帯の判別および電圧記録の処理を説明するフローチャートである。 本発明に係る実施の形態1の電圧上昇抑制装置における統計処理および無効電力制御閾値更新の処理を説明するフローチャートである。 発電時間帯の電圧変動範囲が、非発電時間帯の電圧変動範囲より下回る逆転現象の発生を防止する電圧分布の一例を示す図である。
<実施の形態1>
<装置構成>
図1は本発明に係る実施の形態1の電圧上昇抑制装置100の構成を示すブロック図であり、分散型電源の発電装置200および連系する電力系統300を併せて示している。
図1に示す発電装置200は、太陽光発電や燃料電池など直流回路で発電する分散型電源の場合は、直流電力を交流電力に変換する交流変換器(インバータ)に該当する。また、タービンやエンジンなど原動機による回転エネルギーから直流回路を介さずに直接高交流電力を出力する回転機系の分散型電源の場合は、無効電力量を調整する励磁制御部を備えた発電機に該当する。
なお、交流変換器系の分散型電源の場合は直流の発電回路、回転機系の分散型電源の場合は原動機を備えるが、本発明の本質に係る部分ではないため、図1では記載を省略している。
交流変換器系の分散型電源でも、回転機系の分散型電源でも、出力点(電力系統との連系点)に配置された電流センサー(電流計)CTおよび電圧センサー(電圧計)PTを用いて、それぞれ連系点電流および連系点電圧を検出している。なお、電流センサーCTは、変流器(Current Transformer)、電圧センサーは、変圧器(Potential Transformer)で構成されている。
電流センサーCTおよび電圧センサーPTでそれぞれ検出された連系点での電流および電圧は、電圧上昇抑制装置100の電力計測部1に入力されると共に、電圧は電圧計測部2に入力される。そして、電力計測部1では、電流および電圧の瞬時波形から、発電電力である有効電力を算出し、電圧計測部2では、電圧の瞬時波形から電圧実効値を算出する。
電力計測部1で算出した有効電力は、非発電時間帯判別部4に入力され、電圧計測部2で算出した電圧実効値は、無効電力制御量決定部3および電圧記録部5に入力される。
非発電時間帯判別部4では、電力計測部1から一定周期(例えば1分周期)で有効電力を取り込み、その値が微小である場合には発電装置200が非発電状態にあると判定して、その判定結果を電圧記録部5に出力する。
電圧記録部5では、非発電時間帯判別部4が非発電と判定した場合、電圧計測部2からその時点(判定時点)の電圧実効値を取り込み、電圧データベース(DB)8に記録する。
統計処理部7は、一定周期(例えば1日周期)で電圧DB8から所定期間(例えば1カ月)内の非発電時間帯の計測電圧を取り込み、その平均値と標準偏差を算出し、無効電力制御閾値更新部6に出力する。
無効電力制御閾値更新部6は、統計処理部7で算出された平均値と標準偏差に基づいて計測電圧の変動幅の上限値を算出する。この計測電圧の変動幅の上限値が、電力系統を管理する電力会社との事前協議で決定された運用上限電圧値より高ければ、当該運用上限電圧値を無効電力制御を開始する電圧閾値として採用し、また、計測電圧の変動幅の上限値が、運用下限電圧値より低ければ、当該運用上限電圧値を無効電力制御を開始する電圧閾値として採用し、無効電力制御量決定部3に登録する。
無効電力制御量決定部3は、電圧計測部2から一定周期で電圧実効値を取り込み、その電圧実効値が登録された電圧閾値より高ければ電圧を下げるべく無効電力制御を実施し、電圧実効値が閾値より低ければ、無効電力制御を解除するように発電装置200を制御する。
<動作>
次に、図2に示すフローチャートを用いて、非発電時間帯判別部4での非発電時間帯の判別動作および電圧記録部5の記録動作について説明する。非発電時間帯判別部4は、図2に示すように一定周期(例えば1分周期)で起動し、そのタイミングで電力計測部1から有効電力値を取り込む(ステップS1)。
次に、取り込んだ有効電力値が微小、例えば発電装置200の定格発電容量に対して所定値、例えば3%以下である場合には、発電装置200が非発電状態にあるものと判定して、判定結果を電圧記録部5に出力する(ステップS2)。一方、取り込んだ有効電力値が所定値を超える場合は発電装置200が発電状態にあるものと判定し、判定動作を終了する。
ここで、有効電力値がゼロの場合を非発電状態とせず、微小に観測される場合も非発電状態と判定するのは、電流センサーCTおよび電圧センサーPTが計測誤差を含んでいるためである。すなわち、通常は、これらのセンサーは、定格に対して1〜2%の誤差を含んでいるので、その点を考慮しての設定である。
非発電時間帯判別部4から発電装置200が非発電状態との判定結果を受けた電圧記録部5は、その時点(判定時点)の電圧実効値を電圧計測部2を介して取り込み(ステップS3)、電圧DB8に記録する(ステップS4)。
次に、図3に示すフローチャートを用いて、統計処理部7の動作および無効電力制御閾値更新部6の動作について説明する。統計処理部7は、一定周期(例えば1日周期)で起動し、そのタイミングで電圧DB8から所定期間(例えば1カ月)での非発電時間帯の計測電圧を取り込み(ステップS11)、統計値として平均値Vavと標準偏差Vσを算出する(ステップS12)。
統計処理部7は、算出した計測電圧の平均値Vavおよび標準偏差Vσを無効電力制御閾値更新部6に出力し、無効電力制御閾値更新部6では、計測電圧の平均値Vavおよび標準偏差Vσに基づいて変動幅上限値Vupを算出する(ステップS13)。
ここで、計測電圧の変動が正規分布に従うと仮定した場合、95%信頼区間での変動幅上限値を求めるには、Vup=Vav+2×Vσとすれば良い。なお、68%信頼区間での変動幅上限値を求めるには、Vup=Vav+1×Vσとすれば良く、99%信頼区間での変動幅上限値を求めるには、Vup=Vav+3×Vσとすれば良く、標準偏差Vσの係数に該当する正規分布の確率変数を変えることで変動幅上限値を変更することができる。なお、上記数式は確率変数をkとすることで一般化できる。
このように統計学的な信頼区間を考慮して電圧閾値を設定することで、電圧閾値に統計的な信頼性を含めることができる。
また、上記のような統計学的な信頼区間を考慮せず、単純に上述した所定期間における最大値を変動幅上限値Vupとして採用しても良い。
無効電力制御閾値更新部6では、算出した変動幅上限値Vupと電力系統を管理する電力会社との事前協議で決定された運用上限電圧Vlimとの比較を行い(ステップS14)、変動幅上限値Vupが運用上限電圧Vlim以上であれば、運用上限電圧Vlimを無効電力制御を開始する電圧閾値として設定し(ステップS16)、変動幅上限値Vupが運用上限電圧Vlimより低ければ、変動幅上限値Vupを電圧閾値として設定し(ステップS15)、その結果を無効電力制御量決定部3に登録して動作を終了する。
次に、図4に示すフローチャートを用いて、無効電力制御量決定部3の動作について説明する。無効電力制御量決定部3は、一定周期(例えば1秒周期)で起動し、そのタイミングで電圧計測部2を介して計測電圧の実効値を取り込む(ステップS21)。
そして、取り込んだ計測電圧と登録された電圧閾値との比較を行い(ステップS22)、取り込んだ計測電圧が電圧閾値よりも高ければ電圧を下げるべく発電装置200に対する無効電力制御を実施し(ステップS23)、取り込んだ計測電圧が電圧閾値以下であれば、発電装置200に対する無効電力制御を解除する(ステップS24)。
ここで、計測された連系点の電圧実効値と電圧閾値との偏差、すなわち電圧超過分がΔVovrである場合、それをゼロに縮小するための制御方式としては、既に多くの先行事例があるが、例えば図5に示されるように、超過電圧ΔVovrに所定の比例係数を掛けることで超過電圧ΔVovrに比例した無効電力制御量を得る比例制御方式、または、現在の無効電力制御量を加味しつつ次の無効電力制御量を決定するPI制御(比例積分制御)方式などが挙げられる。なお、本発明は、無効電力制御を開始する電圧閾値の設定方法を主眼とした発明であり、無効電力制御量の決定方法については上述した周知の方法を採用すれば良いので、詳述は省略する。
なお、制御のハンチング(無効電力制御の実施と解除の繰り返し)を避けるため、図4に示したフローにおいて、無効電力制御の実施の閾値と、無効電力制御の解除の閾値をそれぞれ別個に設定しておいても良い。この場合、無効電力制御の解除の閾値は、例えば、上述した電圧閾値よりも1V程度小さく設定するなど、任意に決定すれば良い。
<効果>
次に、図6を用いて本発明の効果について説明する。図6は、電力系統の一種である配電系統に、分散型電源の代表である太陽光発電装置が連系している構成を模式的に示すと共に、当該配電系統における電圧分布を示している。
図6の(a)部に示されるように、配電用変電所LRTに接続される高圧配電線HVCには、6.6kVの高電圧電力が供給され、高圧配電線HVCには、それぞれ柱上変圧器VT1およびVT2を介して低圧配電線LVC1およびLVC2が接続されている。低圧配電線LVC1およびLVC2には、柱上変圧器VT1およびVT2によって6.6kVから100Vまたは200Vに電圧変換された低電圧電力が供給される。低圧配電線LVC1には、太陽光発電装置Aを有する需要家TMAと、太陽光発電装置を有さない需要家TMが接続され、低圧配電線LVC2には、太陽光発電装置Bを有する需要家TMBと、太陽光発電装置Cを有する需要家TMCが接続されている。
太陽光発電装置A〜Cの非発電時は、高圧配電線HVCでは配電用変電所LRTから末端方向に向かって電力が流れ、低圧配電線LVC1およびLVC2では、それぞれ柱上変圧器VT1およびVT2から末端方向に向かって電力が流れるため、いずれの配電線でもオームの法則に従って、末端に向かうにつれて電圧が降下する。その一例を、図6の(b)部および(c)部に示す。
すなわち、図6の(b)部には、変電所からの距離に対する高圧側の電圧分布(6.7kV〜6.5kVの範囲で分布)を示し、図6の(c)部には、柱上変圧器からの距離に対する電圧分布(101V〜95Vの範囲で分布)を示している。なお、図6の(b)部における“X”部分が、図6の(a)部に示した柱上変圧器VT1およびVT2が接続された地域に該当し、図6の(c)部には、当該地域における低圧側の電圧分布を示している。また、図6の(c)部に“Y”で示されるように、柱上変圧器の変圧比で降圧した結果、101Vとなったことを示している。
このように、末端に向かうにつれて電圧が降下するので、各連系点での電圧分布(各電圧値の発生頻度で規定)は、例えば、図7に示すように連系点ごとに異なったものとなる。すなわち、図7に示されるように低圧配電線LVC1と太陽光発電装置Aとの連系点では、連系点電圧が101V近辺から平均値+2σ(標準偏差)を超える電圧の間で分布しており、また、低圧配電線LVC2と太陽光発電装置Bとの連系点では、連系点電圧が98V近辺から平均値+2σを超える電圧の間で分布しており、低圧配電線LVC2と太陽光発電装置Cとの連系点では、連系点電圧が95V近辺から平均値+2σ(標準偏差)を超える電圧の間で分布している。
このように太陽光発電の発電時には、各連系点の電圧は平均値+2σよりさらに上昇する可能性があるため、そのような場合には発電装置200に対する無効電力制御を実施することで、電力系統電圧が上昇することを抑制できる。
以上説明したように、本発明に係る実施の形態1の電圧上昇抑制装置100においては、分散型電源による電圧上昇が検出された時点で無効電力制御を開始するため、電力系統に連系する全ての分散型電源において電圧上昇を抑制することとなり、電力系統全体の電圧上昇を十分に抑制することができる。
また、無効電力制御を開始する電圧閾値は、連系点電圧を計測しながら統計的な信頼性を持たせた値として、随時に自動的に更新されるので、需要家や電力会社などの電力系統管理者が予め系統の電圧分布を解析して設定する必要がないという利点も有している。
なお、配電系統を想定する場合、現状は分散型電源の多くは太陽光発電であるため、自らの太陽光発電の発電電力が極めて小さい場合には、他の太陽光発電電力も同様と判断できる。
また、二次送電系統を想定する場合は、現状は風力発電が主体であるため、自からの風力発電の発電電力が極めて小さい場合には、他の風力発電電力も同様と判断できる。
そのため、自からの分散型電源の発電状態から、簡易的に電力系統全体の非発電時間帯の識別が可能である。
<実施の形態2>
<装置構成>
図8は本発明に係る実施の形態2の電圧上昇抑制装置100Aの構成を示すブロック図であり、分散型電源の発電装置200および連系する電力系統300を併せて示している。
図8に示す電圧上昇抑制装置100Aにおいては、非発電状態の判定には有効電力値ではなく電流値を用いている点で図1に示した電圧上昇抑制装置100とは異なっており、電力計測部1の代わりに電流計測部10を備えている。そして、電流センサーCTで検出された連系点での電流は、電圧上昇抑制装置100Aの電流計測部10に入力される。そして、電流計測部10では、電流の瞬時波形から電流実効値(発電電流)を算出する。
電流計測部10で算出した電流実効値は、非発電時間帯判別部4Aに入力され、非発電時間帯判別部4Aでは、電流計測部10から一定周期(例えば1分周期)で電流実効値を取り込み、その値が微小である場合には発電装置200が非発電状態にあると判定して、その判定結果を電圧記録部5に出力する。なお、電流計測部10および非発電時間帯判別部4A以外の構成は、図1に示した電圧上昇抑制装置100と同じであり、重複する説明は省略する。
<動作>
次に、図9に示すフローチャートを用いて、非発電時間帯判別部4Aでの非発電時間帯の判別動作および電圧記録部5の記録動作について説明する。非発電時間帯判別部4Aは、図9に示すように一定周期(例えば1分周期)で起動し、そのタイミングで電流計測部10から電流実効値を取り込む(ステップS31)。
次に、取り込んだ電流実効値が微小、発電装置200の定格電流容量に対して所定値、例えば5%以下である場合には、発電装置200が非発電状態にあるものと判定し(ステップS32)、判定結果を電圧記録部5に出力する。一方、取り込んだ電流実効値が所定値を超える場合は発電装置200が発電状態にあるものと判定し、判定動作を終了する。
ここで電流実効値がゼロの場合を非発電状態とせず、微小に観測される場合も非発電状態と判定するのは、電流センサーCTが計測誤差を含んでいるためである。すなわち、通常は、定格に対して1〜2%の誤差を含んでいるので、その点を考慮しての設定である。
また、電圧上昇抑制装置100Aを含めた分散型電源の補器電源によって非発電時も若干の電流が流れるという点を考慮しての設定である。すなわち、実施の形態1の電圧上昇抑制装置100では、電力の流れる方向が判る有効電力値を用いて非発電状態を判定していたので、非発電時に補器電源が消費している有効電力は予め除外することができたが、スカラー量であり流れる方向が判らない電流実効値を使用する場合は、非発電時に発電装置200が消費することで流れる電流を除外するために、発電有無の判定基準を有効電力値を用いる場合の判定基準(実施の形態1では3%)よりも大きく設定している。なお、補器電源としては、電力系統側の保守や、発電装置内の保守のための装置の電源なども挙げられる。
発電装置200が非発電状態との判定結果を受けた電圧記録部5は、その時点(判定時点)の電圧実効値を電圧計測部2を介して取り込み(ステップS33)、電圧DB8に記録する(ステップS34)。
<効果>
以上説明したように、本発明に係る実施の形態2の電圧上昇抑制装置100Aにおいては、非発電状態の判定に有効電力値ではなく電流値を用いるので、より簡易的な構成で、分散型電源による電圧上昇を検出することができる。
<実施の形態3>
<装置構成>
図10は本発明に係る実施の形態3の電圧上昇抑制装置100Bの構成を示すブロック図であり、分散型電源の発電装置200、連系する電力系統300および運転停止スケジュール記録部400を併せて示している。
図8に示す電圧上昇抑制装置100Bにおいては、非発電状態の判定に電力値や電流値を使用せず、非発電時間帯判別部4Bは運転停止スケジュール記録部400から与えられる運転停止スケジュールに基づいて非発電状態の判定を行う構成となっている。なお、電流計測部10を有さないことと、非発電時間帯判別部4B以外の構成は、図8に示した電圧上昇抑制装置100Aと同じであり、重複する説明は省略する。
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーにより発電を行う発電設備は出力が不安定であり、そのような発電設備に対しては、電力系統全体で軽負荷となるゴールデンウィークや正月前後などの連休期間中は、全て運転停止するスケジュール運転の導入が検討されている。
すなわち、発電容量500kW以上の太陽光発電事業者に対して、電力会社が年間30日までの範囲で自由に発電停止指令を指令(通告)するという制度が実施されているが、スケジュール運転ではなく、前日までの個別通告になっている。さらに、2015年1月以降は、指令対象が住宅用太陽光発電も含め、500kW未満の中小規模太陽光発電にも拡大され、軒数の多い中小規模太陽光発電に対しては、電力会社から個別に通告するのではなく、事前にカレンダーで運転停止する日をまとめて通告するスケジュール運転方式が使用されている。どの地域で、どれだけの期間の停止指令を出せるかについては、総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)新エネルギー小委員会で審議される。
なお、太陽光発電の出力抑制ルールについては、例えば、以下のホームページ、http://www.qool-shop.com/fit/newrule/entry175.html、http://hatsudenkakaku.info/entry96.html で公開されている。
このような制度が導入されたことに伴い、電力会社からは発電装置200に対する運転停止スケジュールとして、停止すべき日時が指定されることとなる。この運転停止スケジュールを運転停止スケジュール記録部400に記録され、発電装置200は転停止スケジュールを参照して、停止すべき日時には発電を停止する。
<動作>
次に、図11に示すフローチャートを用いて、非発電時間帯判別部4Bでの非発電時間帯の判別動作および電圧記録部5の記録動作について説明する。非発電時間帯判別部4Bは、図11に示すように一定周期(例えば1分周期)で起動し、そのタイミングで運転停止スケジュール記録部400から運転停止スケジュールを取り込む(ステップS41)。
次に、取り込んだ運転停止スケジュールで指定されている停止すべき日時の情報に基づいて、現在が運転停止期間に該当しているか否かを判定し(ステップS42)、現在が運転停止期間に該当している、すなわち非発電状態と判定した場合には、判定結果を電圧記録部5に出力する。一方、現在が運転停止期間ではないと判定した場合は判定動作を終了する。
発電装置200が非発電状態との判定結果を受けた電圧記録部5は、その時点(判定時点)の電圧実効値を電圧計測部2を介して取り込み(ステップS43)、電圧DB8に記録する(ステップS44)。
<効果>
以上説明したように、本発明に係る実施の形態3の電圧上昇抑制装置100Bにおいては、非発電状態の判定を発電装置200の運転停止スケジュールに基づいて行うので、電流計や電力計測部または電流計測部を省略することができ、より簡易的な構成で、分散型電源による電圧上昇を検出することができる。
<実施の形態4>
<装置構成>
図12は本発明に係る実施の形態4の電圧上昇抑制装置100Cの構成を示すブロック図であり、分散型電源の発電装置200および連系する電力系統300を併せて示している。
図12に示す電圧上昇抑制装置100Cにおいては、電力計測部1から得られる有効電力が所定値以下の場合は、非発電時間帯判別部4Cにおいて非発電時と判定し、その判定結果を出力する非発電時電圧記録部11と、非発電時の電圧実効値を記録する非発電時電圧DB13と、非発電時電圧DB13から、一定周期(例えば1日周期)で所定期間(例えば1カ月)内の非発電時間帯の計測電圧を取り込み、その平均値と標準偏差を算出し、無効電力制御閾値更新部6に出力する非発電時間帯統計処理部12(第1の統計処理部)とを備えている。
また、有効電力が所定値より大きい場合は、非発電時間帯判別部4Cにおいて発電時と判定し、その判定結果を出力する発電時電圧記録部21と、発電時の電圧実効値を記録する発電時電圧DB23と、発電時電圧DB23から、一定周期(例えば1日周期)で所定期間(例えば1カ月)内の発電時間帯の計測電圧を取り込み、その平均値と標準偏差を算出し、無効電力制御閾値更新部6に出力する発電時間帯統計処理部22(第2の統計処理部)とを備えている。その他の構成は、図1に示した電圧上昇抑制装置100と同じであり、重複する説明は省略する。
電力系統の中には、電力系統に流れる電力の大小に応じて、オンロードタップチェンジャーで変電所変圧器の変圧比を変更することで、電力系統の始端電圧(変電所送出電圧)を調整する場合がある。
すなわち、変圧器の順方向に通過電力が大きく、末端に向けての電圧降下が大きいと推定される場合には、始端電圧を高めにして、末端電圧が運用下限電圧を下回らないようにする。また変圧器の順方向の通過電力が小さいか、もしくは分散型電源からの逆潮流によって逆方向の通過電力が流れており、末端に向けての電圧降下が小さい、もしくは末端に向かうにつれて電圧上昇が発生していると推定される場合には、始端電圧を低めにして、末端電圧が運用上限を上回らないように調整している。
ところが、変電所変圧器の通過電力に応じて始点電圧を上下させると、発電時間帯の電圧変動範囲が、非発電時間帯の電圧変動範囲より下回るという逆転現象が発生する可能性がある。
この逆転現象について図13を用いて説明する。図13においては、配電用変電所LRTに接続される高圧配電線HVCと、高圧配電線HVCにおける電圧変動範囲を変電所からの距離を横軸に取って示しており、発電時間帯の電圧変動範囲は、上限値MX1と下限値MN1で挟まれた範囲となっており、非発電時間帯の電圧変動範囲は、上限値MX10と下限値MN10で挟まれた範囲となっている。
また、図13では、電力会社との事前協議で決定された運用上限電圧をULMとして破線で示し、運用下限電圧をDLMとして破線で示している。
なお、実施の形態1の電圧上昇抑制装置100の無効電力制御量決定部3に登録された変動幅上限値Vupを電圧閾値とした場合、非発電時間帯の上限値MX10は変動幅上限値Vupで規定されることとなる。
図13に示されるように、発電時間帯の電圧変動範囲は末端に向けて広がり、最終的には運用上限電圧ULMによって制限されることとなり、非発電時間帯の電圧変動範囲の上限値よりも高い電圧で推移しているが、配電用変電所LRTの近傍エリアNRでは、非発電時間帯の電圧変動範囲の上限値が、発電時間帯の電圧変動範囲の上限値よりも高い電圧範囲で推移している。
これは、発電時間帯では、電力系統の負荷が大きくとも、分散型電源の余剰電力によって一部が賄われるため、変電所変圧器の通過電力が小さくなり、実施の形態1の電圧上昇抑制装置100で設定された電圧閾値は、配電用変電所LRTの近傍エリアNRでは、発電時間帯の電圧変動範囲の上限値よりも高くなり、当該エリアの分散型電源は無効電力制御が実施されず、電圧上昇抑制が働かないこととなる。
そこで、実施の形態4に係る電圧上昇抑制装置100Cでは、非発電時間帯の計測電圧の変動幅と同様に、発電時間帯の計測電圧の変動幅も算出し、両変動幅の下限値間の偏差分(差分値)だけ電圧閾値を下方修正して、電圧閾値の修正値とする構成となっている。
<動作>
次に、図14に示すフローチャートを用いて、非発電時間帯判別部4Cでの非発電時間帯および発電時間帯の判別動作、非発電時電圧記録部11および発電時電圧記録部21での記録動作について説明する。非発電時間帯判別部4Cは、図14に示すように一定周期(例えば1分周期)で起動し、そのタイミングで電力計測部1から有効電力値を取り込む(ステップS51)。
次に、取り込んだ有効電力値が微小、例えば発電装置200の定格発電容量に対して所定値、例えば3%以下である場合には、発電装置200が非発電状態にあるものと判定して、判定結果を非発電時電圧記録部11に出力する(ステップS52)。ここで、有効電力値がゼロの場合を非発電状態としない理由は実施の形態1と同じである。
非発電時間帯判別部4Cでの判定結果が非発電状態であるとの判定結果を受けた非発電時電圧記録部11は、その時点(判定時点)の電圧実効値を電圧計測部2を介して取り込み(ステップS53)、非発電時電圧DB13に記録する(ステップS54)。
一方、ステップS52において、取り込んだ有効電力値が所定値を超える場合は発電装置200が発電状態にあるものと判定して、判定結果を発電時電圧記録部21に出力する。
非発電時間帯判別部4Cでの判定結果が発電状態であるとの判定結果を受けた発電時電圧記録部21は、その時点(判定時点)の電圧実効値を電圧計測部2を介して取り込み(ステップS55)、発電時電圧DB23に記録する(ステップS56)。
次に、図15に示すフローチャートを用いて、非発電時間帯統計処理部12、発電時間帯統計処理部22の動作および無効電力制御閾値更新部6の動作について説明する。
図15に示すように非発電時間帯統計処理部12は、一定周期(例えば1日周期)で起動し、そのタイミングで非発電時電圧DB13から所定期間(例えば1カ月)での非発電時間帯の計測電圧を取り込み(ステップS61)、その平均値Vav1と標準偏差Vσ1を算出する(ステップS62)。
非発電時間帯統計処理部12は、算出した計測電圧の平均値Vav1および標準偏差Vσ1を無効電力制御閾値更新部6に出力し、無効電力制御閾値更新部6では、計測電圧の平均値Vav1および標準偏差Vσ1に基づいて変動幅上限値Vup1を算出する(ステップS63)。
ここで、計測電圧の変動が正規分布に従うと仮定した場合、95%信頼区間での変動幅上限値を求めるには、Vup1=Vav1+2×Vσ1とすれば良い。なお、68%信頼区間での変動幅上限値を求めるには、Vup1=Vav1+1×Vσ1とすれば良く、99%信頼区間での変動幅上限値を求めるには、Vup1=Vav1+3×Vσ1とすれば良く、標準偏差Vσ1の係数に該当する正規分布の確率変数を変えることで変動幅上限値を変更することができる。なお、上記数式は確率変数をkとすることで一般化できる。
また、無効電力制御閾値更新部6では、計測電圧の平均値Vav1および標準偏差Vσ1に基づいて変動幅下限値Vlow1を算出する(ステップS64)。変動幅下限値Vlow1は、計測電圧の変動が正規分布に従うと仮定した場合、95%信頼区間での変動幅下限値を求めるには、Vlow1=Vav1−2×Vσ1とすれば良い。なお、68%信頼区間での変動幅下限値を求めるには、Vlow1=Vav1−1×Vσ1とすれば良く、99%信頼区間での変動幅下限値を求めるには、Vlow1=Vav1−3×Vσ1とすれば良く、標準偏差Vσ1の係数に該当する正規分布の確率変数を変えることで変動幅下限値を変更することができる。なお、上記数式は確率変数をkとすることで一般化できる。
このように統計学的な信頼区間を考慮して電圧閾値を設定することで、電圧閾値に統計的な信頼性を含めることができる。
また、発電時間帯統計処理部22は、一定周期(例えば1日周期)で起動し、そのタイミングで発電時電圧DB23から所定期間(例えば1カ月)での発電時間帯の計測電圧を取り込み(ステップS71)、その平均値Vav2と標準偏差Vσ2を算出する(ステップS72)。
発電時間帯統計処理部22は、算出した計測電圧の平均値Vav2および標準偏差Vσ2を無効電力制御閾値更新部6に出力し、無効電力制御閾値更新部6では、計測電圧の平均値Vav2および標準偏差Vσ2に基づいて変動幅上限値Vup2を算出する(ステップS73)。
ここで、計測電圧の変動が正規分布に従うと仮定した場合、95%信頼区間での変動幅上限値を求めるには、Vup2=Vav2+2×Vσ2とすれば良い。なお、68%信頼区間での変動幅上限値を求めるには、Vup2=Vav2+1×Vσ2とすれば良く、99%信頼区間での変動幅上限値を求めるには、Vup2=Vav2+3×Vσ2とすれば良く、標準偏差Vσ2の係数に該当する正規分布の確率変数を変えることで変動幅上限値を変更することができる。なお、上記数式は確率変数をkとすることで一般化できる。
また、無効電力制御閾値更新部6では、計測電圧の平均値Vav2および標準偏差Vσ2に基づいて変動幅下限値Vlow2を算出する(ステップS74)。変動幅下限値Vlow2は、計測電圧の変動が正規分布に従うと仮定した場合、95%信頼区間での変動幅下限値を求めるには、Vlow2=Vlow2−2×Vσ2とすれば良い。なお、68%信頼区間での変動幅下限値を求めるには、Vlow2=Vav2−1×Vσ2とすれば良く、99%信頼区間での変動幅下限値を求めるには、Vlow2=Vav2−3×Vσ2とすれば良く、標準偏差Vσ2の係数に該当する正規分布の確率変数を変えることで変動幅下限値を変更することができる。なお、上記数式は確率変数をkとすることで一般化できる。
無効電力制御閾値更新部6では、非発電時間帯統計処理部12で算出した変動幅上限値Vup1と電力系統を管理する電力会社との事前協議で決定された運用上限電圧Vlimとの比較を行い(ステップS65)、変動幅上限値Vup1が運用上限電圧Vlim以上であれば、運用上限電圧Vlimを無効電力制御を開始する電圧閾値として設定し(ステップS67)、その結果を無効電力制御量決定部3に登録して動作を終了する。一方、変動幅上限値Vup1が運用上限電圧Vlimより低ければ、変動幅上限値Vup1を電圧閾値として設定する。(ステップS66)。
その後、無効電力制御閾値更新部6では、電圧閾値として設定された変動幅上限値Vup1と、発電時間帯統計処理部22で算出した変動幅上限値Vup2との比較を行い(ステップS68)、変動幅上限値Vup1が変動幅上限値Vup2よりも大きい場合は、当該分散型電源では、電圧上昇抑制が働かないと判断して、電圧閾値Vup1を以下の数式(1)を用いて下方修正し、最終の電圧閾値Vup1とする。
Vup1=Vup1−(Vlow1−Vlow2)・・・(1)
図16には、上記のようにして修正された最終の電圧閾値Vup1を用いることで、発電時間帯の電圧変動範囲が、非発電時間帯の電圧変動範囲より下回るという逆転現象の発生を防止した例を示している。
図16においては、図13と対応させるために、高圧配電線HVCにおける電圧変動範囲を変電所からの距離を横軸に取って示しており、発電時間帯の電圧変動範囲は、上限値MX1と下限値MN1で挟まれた範囲となっており、非発電時間帯の電圧変動範囲は、実施の形態1の方法で設定された上限値MX10と下限値MN10で挟まれた範囲として示している。なお、図16においては、修正後の電圧閾値Vup1を太線で示しており、配電用変電所LRTの近傍エリアNRでは、電圧閾値Vup1は、発電時間帯の電圧変動範囲の上限値よりも低い電圧範囲で推移している。これは、上記数式(1)で示されるように、非発電時間帯での変動幅下限値Vlow1と発電時間帯での変動幅下限値Vlow2との偏差DEV分だけ電圧閾値Vup1を下方に修正した結果である。
なお、電圧閾値の補正に、非発電時間帯と発電時間帯の変動幅の下限値の偏差を用いる理由は、発電時間帯の中には、分散型電源での発電が比較的少ない瞬間での電圧が含まれるため、分散型電源による電圧上昇の影響が比較的少ない瞬間での電圧が取得できるためである。一方で、電圧閾値を下方修正する際に、発電時間帯の電圧変動幅の下限値と非発電時間帯の電圧変動幅の下限値との偏差を用いず、発電時間帯の電圧変動幅の平均値と非発電時間帯の電圧変動幅の平均値との偏差などを用いることも考えられる。しかし平均値や上限値では、分散型電源による電圧上昇分が大幅に加算されている可能性があるので、正確性にはやや欠けるが、このような可能性が低い場合には、電圧閾値の下方修正に用いることが否定されるものではない。
<効果>
以上説明したように、本発明に係る実施の形態4の電圧上昇抑制装置100Cにおいては、変電所変圧器で電力系統の電力増減に応じて始端電圧を上下させるような電力系統であっても、電圧閾値を適正に設定し、電力系統に連系するほぼ全ての分散型電源に対して電圧上昇の抑制機能を働かせることが可能となる。
また、変電所変圧器で電力系統の電力増減に応じて始端電圧を上下させるだけでは、分散型電源からの逆潮流が電力系統の設計時の想定より大きくなった場合には末端部の電圧上昇を抑えきれなくなる可能性があるが、本発明に係る実施の形態4の電圧上昇抑制装置100Cを併せて用いることで、末端部の電圧上昇を確実に抑えることができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
4,4A,4B,4C 非発電時間帯判定部、6 無効電力制御閾値更新部、7 統計処理部、12 非発電時間帯統計処理部、22 発電時間帯統計処理部。

Claims (8)

  1. 分散型電源が連系する電力系統において、前記電力系統と前記分散型電源との連系点での連系点電圧が予め設定された電圧閾値を超過した時点で、前記連系点電圧を前記電圧閾値以下に下げるように前記分散型電源の電力制御を行う電圧上昇抑制装置であって、
    前記分散型電源が非発電状態であるか否かを判定する非発電時間帯判定部と、
    前記分散型電源が非発電状態である非発電時間帯における前記連系点電圧の計測値を統計処理した統計値に基づいて、前記分散型電源の前記連系点電圧の変動範囲の上限値を設定する統計処理部と、
    前記統計処理部で設定された前記変動範囲の上限値と、前記電力系統について予め設定された運用上限電圧値との比較を行って、値の小さい方を前記電圧閾値として設定する閾値更新部と、を備える、電圧上昇抑制装置。
  2. 前記非発電時間帯判定部は、
    前記分散型電源の発電電力または発電電流が、前記分散型電源の発電容量に対する所定比率以下である場合に前記非発電時間帯であるものと判定し、
    前記発電電力は、
    前記連系点電圧の瞬時波形および前記連系点での連系点電流の瞬時波形に基づいて算出される有効電力で規定され、
    前記発電電流は、
    前記連系点電流の瞬時波形に基づいて算出される電流実効値で規定される、請求項1記載の電圧上昇抑制装置。
  3. 前記統計処理部は、
    前記非発電時間帯における前記連系点電圧を所定期間、一定周期で計測して蓄積された前記計測値に基づいて算出した平均値Vavおよび標準偏差Vσを前記統計値とし、
    前記変動範囲の上限値は、以下の数式(1)に基づいて設定され、
    上限値=Vav+k×Vσ・・・(1)
    前記数式(1)における係数kは正規分布における確率変数である、請求項1記載の電圧上昇抑制装置。
  4. 前記非発電時間帯判定部は、
    前記分散型電源を停止する停止日時の情報を含む運転停止スケジュールを取得し、現在が運転停止期間に該当している場合には、前記非発電時間帯であるものと判定する、請求項1記載の電圧上昇抑制装置。
  5. 前記分散型電源は、
    再生可能エネルギーにより発電を行う電源である、請求項4記載の電圧上昇抑制装置。
  6. 分散型電源が連系する電力系統において、前記電力系統と前記分散型電源との連系点での連系点電圧が予め設定された電圧閾値を超過した時点で、前記連系点電圧を前記電圧閾値以下に下げるように前記分散型電源の電力制御を行う電圧上昇抑制装置であって、
    前記分散型電源が非発電状態であるか発電状態であるかを判定する非発電時間帯判定部と、
    前記分散型電源が非発電状態である非発電時間帯における前記連系点電圧の計測値を統計処理した第1の統計値に基づいて、前記分散型電源の前記連系点電圧の変動範囲の第1の上限値および前記連系点電圧の変動範囲の第1の下限値を設定する第1の統計処理部と、
    前記第1の統計処理部で設定された前記変動範囲の第1の上限値と、前記電力系統について予め設定された運用上限電圧値との比較を行って、値の小さい方を前記電圧閾値として設定する閾値更新部と、
    前記分散型電源が発電状態である発電時間帯における前記連系点電圧の計測値を統計処理した第2の統計値に基づいて、前記分散型電源の前記連系点電圧の変動範囲の第2の上限値および前記連系点電圧の変動範囲の第2の下限値を設定する第2の統計処理部と、を備え、
    前記閾値更新部は、
    前記変動範囲の第1の上限値を前記電圧閾値として設定した場合であって、前記変動範囲の第1の上限値が前記変動範囲の第2の上限値を超える場合には、前記変動範囲の第1の下限値と前記変動範囲の第2の下限値との差分値を前記変動範囲の第1の上限値から減じた値を前記電圧閾値の修正値とする、電圧上昇抑制装置。
  7. 前記非発電時間帯判定部は、
    前記分散型電源の発電電力または発電電流が、前記分散型電源の発電容量に対する所定比率以下である場合に前記非発電時間帯であるものと判定し、前記所定比率を超える場合は前記発電時間帯であるものと判定し、
    前記発電電力は、
    前記連系点電圧の瞬時波形および前記連系点での連系点電流の瞬時波形に基づいて算出される有効電力で規定され、
    前記発電電流は、
    前記連系点電流の瞬時波形に基づいて算出される電流実効値で規定される、請求項6記載の電圧上昇抑制装置。
  8. 前記第1の統計処理部は、
    前記非発電時間帯における前記連系点電圧を所定期間、一定周期で計測して蓄積された前記計測値に基づいて算出した平均値Vav1および標準偏差Vσ1を前記第1の統計値とし、
    前記変動範囲の第1の上限値は、以下の数式(2)に基づいて設定され、
    上限値=Vav1+k×Vσ1・・・(2)、
    前記変動範囲の第1の下限値は、以下の数式(3)に基づいて設定され、
    下限値=Vav1−k×Vσ1・・・(3)、
    前記第2の統計処理部は、
    前記発電時間帯における前記連系点電圧を所定期間、一定周期で計測して蓄積された前記計測値に基づいて算出した平均値Vav2および標準偏差Vσ2を前記第2の統計値とし、
    前記変動範囲の第2の上限値は、以下の数式(4)に基づいて設定され、
    上限値=Vav2+k×Vσ2・・・(4)、
    前記変動範囲の第2の下限値は、以下の数式(5)に基づいて設定され、
    下限値=Vav2−k×Vσ2・・・(5)、
    前記数式(2)〜(5)における係数kは正規分布における確率変数である、請求項6記載の電圧上昇抑制装置。
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