以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺等は必ずしも一致しない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
(実施の形態1)
[構成]
まず、実施の形態1に係る光学デバイス駆動装置及びそれを用いた光学デバイス駆動システムの構成について、図1及び図2を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る光学デバイス駆動システム10の概略回路図である。
図1に示されるように、光学デバイス駆動システム10は、光学デバイス7と、光学デバイス7を駆動させる光学デバイス駆動装置1と、を備えるシステムである。
光学デバイス駆動装置1は、光学デバイス7を駆動させる装置であり、駆動回路2、制御部5及び検出部6を備える。
駆動回路2は、光学デバイス7を駆動させる回路である。具体的には、駆動回路2は、光学デバイス7に、高電圧及び低電圧を交互に周期的に印加する。本実施の形態では、駆動回路2は、100Hzから1kHz程度の周波数で高電圧及び低電圧を交互に印加する。駆動回路2は、電力回収部3、主回路部4及びインダクタ18を備える。
電力回収部3は、光学デバイス7に充電された電荷を回収し、回収した電荷を再び光学デバイス7に出力する回路部である。図1に示されるように、電力回収部3は、第一スイッチング素子11、第二スイッチング素子12、コンデンサ15、ダイオード16及び17を備える。
コンデンサ15は、光学デバイス7から回収された電荷を蓄える容量素子である。コンデンサ15の一方の電極はノードN1に接続されており、他方の電極は接地されている。コンデンサ15の容量は、光学デバイス7に充電された電荷を回収するために十分な容量である必要がある。一方、コンデンサ15の容量が大きいほど、電荷の回収に時間がかかるため、コンデンサ15の容量が必要以上に大きくない方がよい。本実施の形態ではコンデンサ15の容量は、0.1μF〜1μF程度である。
第一スイッチング素子11は、コンデンサ15の一方の電極に接続され、かつ、光学デバイス7に第一電位を出力するスイッチング素子である。より具体的には、コンデンサ15のノードN1に接続された電極の電位が比較的低い状態(すなわち、充電された電荷が少ない状態)にあるタイミングで、第一スイッチング素子11はオンされる。これにより、第一スイッチング素子11は、接地電位又は接地電位に近い電位である第一電位を光学デバイス7に出力する。本実施の形態では、光学デバイス7から光学デバイス駆動装置1に出力される電位(Vout)が第一電位より高い時に、第一スイッチング素子11をオンすることにより、光学デバイス7に蓄えられた電荷をコンデンサ15が回収できる。
第一スイッチング素子11は、制御部5によってオン及びオフ制御できるスイッチング素子であればよい。本実施の形態では、第一スイッチング素子11は、Nチャネル型のMOSFET(Metal−Oxide Semiconductor Field−Effect Transistor)である。第一スイッチング素子11のソース電極及びドレイン電極は、それぞれ、ノードN1、及び、ダイオード16のカソードに接続される。第一スイッチング素子11のゲート電極には、制御部5から制御信号が入力される。
第二スイッチング素子12は、コンデンサ15の一方の電極に接続され、かつ、光学デバイス7に第一電位より高い第二電位を出力するスイッチング素子である。より具体的には、コンデンサ15のノードN1と接続された電極の電位が比較的高い状態(すなわち、充電された電荷が多い状態)にあるタイミングで、第二スイッチング素子12はオンされる。これにより、第二スイッチング素子12は、第一電位より高い電位である第二電位を光学デバイス7に出力する。本実施の形態では、光学デバイス7から光学デバイス駆動装置1に出力される電位(Vout)が第二電位より低い時に、第二スイッチング素子12をオンすることにより、コンデンサ15に蓄えられた電荷を光学デバイス7に出力することができる。
第二スイッチング素子12は、制御部5によってオン及びオフ制御できるスイッチング素子であればよい。本実施の形態では、第一スイッチング素子11は、Nチャネル型のMOSFETである。第二スイッチング素子12のソース電極及びドレイン電極は、それぞれ、ダイオード16のカソード、及び、ノードN1に接続される。第二スイッチング素子12のゲート電極には、制御部5から制御信号が入力される。
ダイオード16は、第一スイッチング素子11に流れる電流の向きを規制する整流素子である。ダイオード16のカソード及びアノードは、それぞれ、第一スイッチング素子11のドレイン電極、及び、ノードN2に接続される。
ダイオード17は、第二スイッチング素子12に流れる電流の向きを規制する整流素子である。ダイオード17のカソード及びアノードは、それぞれ、ノードN2、及び、第二スイッチング素子12のソース電極に接続される。
主回路部4は、光学デバイス7を駆動させるための高電位及び低電位を出力する回路部である。主回路部4は、第三スイッチング素子13及び第四スイッチング素子14を備える。
第三スイッチング素子13は、光学デバイス7に第三電位を出力するスイッチング素子である。本実施の形態では、第三スイッチング素子13は、電源に接続され、オンされた時に電源の出力電位である第三電位VDDを光学デバイス7に出力する。
第三スイッチング素子13は、制御部5によってオン及びオフ制御できるスイッチング素子であればよい。本実施の形態では、第三スイッチング素子13は、Nチャネル型のMOSFETである。第三スイッチング素子13のソース電極及びドレイン電極は、それぞれ、ノードN3、及び、電源に接続される。第三スイッチング素子13のゲート電極には、制御部5から制御信号が入力される。
第四スイッチング素子14は、光学デバイス7に第三電位より低い第四電位を出力するスイッチング素子である。本実施の形態では、第四スイッチング素子14は、オンされた時に接地電位である第四電位を光学デバイス7に出力する。
第四スイッチング素子14は、制御部5によってオン及びオフ制御できるスイッチング素子であればよい。本実施の形態では、第四スイッチング素子14は、Nチャネル型のMOSFETである。第四スイッチング素子14のソース電極は接地され、ドレイン電極はノードN3に接続される。第四スイッチング素子14のゲート電極には、制御部5から制御信号が入力される。
インダクタ18は、電力回収部3と主回路部4との間に接続され、かつ、光学デバイス7及びコンデンサ15とともに共振回路を構成する素子である。インダクタ18は、光学デバイス7から光学デバイス駆動装置1に出力される電圧Voutの波形の立ち上がり又は立ち下り時における波形の周波数成分、及び、光学デバイスの容量成分に基づいて定められたインダクタンス値を有する。すなわち、インダクタ18、光学デバイス7及びコンデンサ15から構成される回路が、上記電圧波形の立ち上がり又は立ち下り変化時における波形の周波数成分において共振条件を満たすように、インダクタ18のインダクタンス値が定められる。これにより、光学デバイス7において、回路の共振周期の半分の時間で充電又は放電が完了する。インダクタ18は、インダクタンス値が固定されたインダクタであってもよいし、インダクタンス値可変型のインダクタであってもよい。
検出部6は、光学デバイス7から出力された電流又は電圧を検出し、検出電圧として出力する処理部である。検出部6は、光学デバイス7から出力される電圧Voutを検出し、電圧値を変換して制御部5に出力する。本実施の形態では、電圧Voutは最大50V程度にまで達する。検出部6は、この電圧Voutを、制御部5においてAD変換するために適した電圧である最大5V程度の検出電圧に変換し、当該検出電圧を制御部5に出力する。
制御部5は、検出部6から出力された検出電圧に応じて、駆動回路2の電圧出力を制御する処理部である。本実施の形態では、制御部5は、検出部6から出力された検出電圧をAD変換することによってデジタル信号を得る。このデジタル信号に基づいて、検出電圧の波形を取得し、当該波形に基づいて駆動回路2の各スイッチング素子を制御する。制御部5の動作の詳細については後述する。
光学デバイス7は、光学デバイス駆動装置1によって駆動されるデバイスである。本実施の形態では、光学デバイス7は、容量成分を有する。以下、光学デバイス7について図面を用いて説明する。
図2は、本実施の形態に係る光学デバイス7の概略断面図である。具体的には、図2の(a)は、光学デバイス7の層構造を模式的に示している。また、図2の(b)は、(a)のII−II線における断面を示している。
図2に示されるように、光学デバイス7は、第一基板50と、第二基板51と、第一電極20と、第二電極21と、光学調整層30と、シール材40とを備える。また、図2の(b)に示されるように、光学デバイス7は、パネル状に形成される。
光学デバイス7は、第一電極20及び第二電極21間に印加される電力に応じて、光透過状態及び光散乱状態の二つの光学状態を切り替えることができる。
具体的には、光学デバイス7は、光透過状態の場合、入射する光(例えば、可視光)を透過させる。例えば、光学デバイス7は、透明状態を実現することができる。
また、光学デバイス7は、光散乱状態の場合に、入射する光(例えば、可視光)を散乱させる。具体的には、光学デバイス7は、光散乱状態の場合に、光学調整層30内の屈折率差によって、可視光の一部を透過し、かつ、可視光の一部を散乱させる。以下、図2に示される光学デバイス7の各構成要素について詳細に説明する。
第一基板50及び第二基板51は、透光性を有し、可視光の少なくとも一部を透過させる。具体的には、第一基板50及び第二基板51は、透明(光透過率が充分に高い)な平板である。
本実施の形態では、図2に示すように、第一基板50及び第二基板51は、端部がずれて配置されている。端部は、シール材40に囲まれていない外側の部分であって、例えば、第一電極20及び第二電極21の各々への給電部に相当する。第一基板50及び第二基板51がずれて配置されていることで、例えば、給電部への配線の接続を容易に行うことができる。
第一基板50及び第二基板51は、例えば、同じ材料から形成される。第一基板50及び第二基板51としては、例えば、ソーダガラス、無アルカリガラス、高屈折率ガラスなどのガラス基板、又は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などの樹脂基板を利用することができる。ガラス基板は、透明性及び防湿性に優れているという利点がある。樹脂基板は、破壊時の飛散が少ないという利点がある。また、第一基板50及び第二基板51としては、可撓性を有するフレキシブル基板を用いてもよい。フレキシブル基板は、例えば、樹脂基板又は薄膜ガラスなどから形成される。
第一電極20及び第二電極21は、透光性を有し、可視光の少なくとも一部を透過させる。具体的には、第一電極20及び第二電極21は、透明な平板状の導電膜である。第一電極20及び第二電極21間に所定の電圧が印加された場合に、光学調整層30の光学特性が変化する。
第一電極20及び第二電極21は、図2に示すように、互いに対面して配置されている。具体的には、第一電極20は、第一基板50上に形成され、第二電極21は、第二基板51上に形成されている。例えば、第一電極20及び第二電極21はそれぞれ、スパッタリング法、蒸着法などによって第一基板50上及び第二基板51上に導電膜を形成し、形成した導電膜をパターニングすることで形成される。このとき、第一電極20及び第二電極21はそれぞれ、透光性を有するアンダーコート層を介して、第一基板50上及び第二基板51上に形成されてもよい。
第一電極20は、第一基板50の端部に、具体的には、シール材40の外側に設けられた給電部と電気的に接続されている。例えば、給電部は、第一電極20の一部であり、シール材40の外側に延設された部分である。第二電極21についても同様である。
第一電極20及び第二電極21は、例えば、同じ材料から形成される。第一電極20及び第二電極21としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)などの透明金属酸化物を用いることができる。
また、第一電極20及び第二電極21はそれぞれ、第一基板50及び第二基板51との可視光帯域における屈折率の差が所定の値より小さい材料から形成される。例えば、第一電極20と第一基板50との屈折率の差は、0.2以下であり、好ましくは、0.1以下である。これにより、第一電極20と第一基板50との界面での光の反射及び屈折を抑制し、光を効果的に透過させることができる。第二電極21と第二基板51とについても、同様である。また、第一電極20及び第二電極21は、互いに異なる材料から形成されてもよく、この場合、第一電極20及び第二電極21の屈折率の差も、所定の値より小さい材料を用いることが好ましい。
光学調整層30は、第一電極20と第二電極21との間に設けられている。図2に示すように、光学調整層30は、第一相31と、第二相32とを有する。本実施の形態では、光学調整層30は、ゲルである。
光学調整層30は、第一電極20及び第二電極21間に印加される電圧に応じて、光反射状態、光透過状態及び光散乱状態が切り替えられる。具体的には、光学調整層30は、以下の(1)及び(2)のように、第一相31及び第二相32が変化することで、二つの光学状態を実現する。
(1)光透過(透明):第一相31の屈折率と第二相32の屈折率とが略同じ場合
(2)光散乱:第一相31の屈折率と第二相32の屈折率とが異なる場合
本実施の形態では、第一電極20及び第二電極21間に電圧を印加する場合に上記光透過状態が実現され、電圧を印加しない場合に、上記光散乱状態が実現される。
以下、第一相31及び第二相32の詳細について説明する。
第一相31は、高分子材料からなる相である。第一相31に含まれる高分子材料としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、メルカプトエステル、セルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン(PS)、ポリ(4−ビニルピリジン)(P4VP)、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)(PDMAEMA)、エポキシ、又は、変性シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのシリコーン樹脂などを用いることができる。
第一相31の厚さ(すなわち、光学調整層30の厚さ)は、例えば、5μm以上1mm以下、好ましくは、10μm以上500μm以下である。これにより、透過率の低下の抑制、及び、材料コストの削減を実現することができる。また、充分な反射率を実現することができる。
第二相32は、第一相31中に分散されている。つまり、第二相32は、分散相に相当し、第一相31は、分散媒に相当する。第二相32は、可視光帯域の屈折率を変更可能な屈折率可変材料を含んでいる。
具体的には、屈折率可変材料は、液晶である。液晶としては、例えば、ネマティック液晶、コレステリック液晶、強誘電性液晶を用いることができるが、特に限定されない。液晶では、電界の変化によって分子配向が変わることで、屈折率が変更される。
本実施の形態では、第二相32に含まれる液晶が、第一相31に含まれる高分子材料中に分散されている。すなわち、光学調整層30は、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)に相当する。なお、光学調整層30は、ポリマーネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)でもよい。
このとき、第二相32の比誘電率は、第一相31の比誘電率と異なっていてもよい。これにより、第二相32が第一相31に溶解し混合するのを抑制することができる。例えば、第一相31の比誘電率は、30以上、好ましくは、40以上である場合に、第二相32の比誘電率は、20以下、好ましくは、15以下であればよい。これにより、第一相31と第二相32とを相分離することができる。
また、第二相32の比重は、第一相31の比重と略同じでもよい。これにより、第一相31及び第二相32のいずれかが沈降するのを抑制することができる。また、第二相32の屈折率の可変域に、第一相31の屈折率が含まれていてもよい。これにより、第一相31の屈折率と第二相32の屈折率とを同じにすることができ、外観上、光学調整層30を透明にすることができる。
シール材40は、光学調整層30を第一電極20と第二電極21との間に保持するために、第一基板50と第二基板51とを接着する部材である。シール材40は、光学調整層30の周に沿って、所定形状に形成される。
シール材40としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、又は、シリコーン樹脂などの光硬化性、熱硬化性又は二液硬化性の接着性樹脂を用いることができる。あるいは、シール材40としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの酸変性物からなる熱可塑性の接着性樹脂などを用いてもよい。
[動作概要]
続いて、本実施の形態に係る光学デバイス駆動装置1の動作の概要について図面を用いて説明する。
図3は、本実施の形態に係る光学デバイス駆動装置1の動作を示すタイミングチャートである。図3には、光学デバイス7から光学デバイス駆動装置1に出力される電圧Voutの波形と、第一スイッチング素子11、第二スイッチング素子12、第三スイッチング素子13及び第四スイッチング素子14の状態S11、S12、S13及びS14の波形とが示されている。以下、本タイミングチャートの各タイミングにおける光学デバイス駆動装置1の動作を説明する。
図3に示されるタイミングチャートの時刻t1まで、第一スイッチング素子11、第二スイッチング素子12及び第三スイッチング素子13はオフされており、第四スイッチング素子14はオンされている。すなわち、時刻t1までは、光学デバイス7には、光学デバイス駆動装置1から接地電位が出力されている。ここで、時刻t1までに、コンデンサ15は、充電されていると仮定する。なお、コンデンサ15が充電される動作については後述する。
続いて、時刻t1において、第二スイッチング素子12がオンされ、第四スイッチング素子14がオフされる。これにより、光学デバイス7とコンデンサ15とが、インダクタ18及びダイオード17及び第二スイッチング素子12を介して接続される。ここで、光学デバイス7は、時刻t1まで接地電位に維持されていたため、充電されていない状態である。また、コンデンサ15は充電された状態であり、コンデンサ15が接続されたノードN1は、接地電位より高電位である第二電位に維持されている。したがって、時刻t1において、ダイオード17のアノードがカソードより高電位となるため、ダイオード17が導通状態となる。つまり、第二スイッチング素子12は、ダイオード17及びインダクタ18を介して光学デバイス7に第二電位を出力する。これにより、コンデンサ15に蓄えられた電荷が、第二スイッチング素子12、ダイオード17及びインダクタ18を経由して、光学デバイス7に移動する。言い換えると、コンデンサ15から光学デバイス7に電流が流れ、光学デバイス7が充電される。
続いて、時刻t1から時刻t2までの期間において、コンデンサ15から光学デバイス7に電流が流れる。これに伴い、光学デバイス7に電荷が蓄えられるため、徐々に電圧Voutが上昇する。ここで、この期間における電圧Voutが、光学デバイス7、並びに、駆動回路2のコンデンサ15及びインダクタ18で構成される回路の共振波形を形成するように、駆動回路2の電圧出力の出力タイミングが調整される。本実施の形態では、時刻t1から時刻t2までの間隔を調整することにより、駆動回路2の電圧出力の出力タイミング、すなわち、各スイッチング素子の動作タイミングが調整される。
続いて、時刻t2において、第二スイッチング素子12はオフされ、第三スイッチング素子13がオンされる。第二スイッチング素子12がオフされることにより、コンデンサ15と光学デバイス7との電気的接続が断絶される。また、第三スイッチング素子13がオンされることにより、電源の出力電位である第三電位VDDを光学デバイス7に出力する。本実施の形態では、時刻t2までに、光学デバイス7が充電されることにより、時刻t2において、電圧Voutがほぼ第三電位VDDに等しくなるように、各スイッチング素子が制御される。これにより、第三スイッチング素子13に接続された電源から、光学デバイス7へ流れる電流量が抑制されるため、電源における消費電力を抑制できる。さらに、上述したように、時刻t1から時刻t2まで、電圧Voutが共振波形を形成するように上昇するため、ステップ状に上昇する場合より、電磁ノイズの発生を抑制することができる。
続いて、時刻t2から時刻t3までの期間において、電圧Voutがほぼ第三電位VDDに維持される。
続いて、時刻t3において、第三スイッチング素子13がオフされ、第一スイッチング素子11がオンされる。第三スイッチング素子13がオフされることにより、第三スイッチング素子13からの第三電位VDDの出力は停止される。また、第一スイッチング素子11がオンされることにより、光学デバイス7とコンデンサ15とが、インダクタ18及びダイオード16及び第一スイッチング素子11を介して接続される。ここで、光学デバイス7は、時刻t3まで第三電位VDDに維持されていたため、充電されている状態である。また、コンデンサ15はほぼすべての電荷を放電した状態であり、コンデンサ15が接続されたノードN1は、接地電位又はほぼ接地電位である第一電位に維持されている。したがって、時刻t3において、第一スイッチング素子11からダイオード16のカソードに第一電位が出力され、ダイオード16のアノードがカソードより高電位となるため、ダイオード16が導通状態となる。つまり、第一スイッチング素子11は、ダイオード16及びインダクタ18を介して光学デバイス7に第一電位を出力する。これにより、光学デバイス7に蓄えられた電荷が、インダクタ18、ダイオード16及び第一スイッチング素子11を経由して、コンデンサ15に移動する。言い換えると、光学デバイス7からコンデンサ15に電流が流れることにより、コンデンサ15が充電される。
続いて、時刻t3から時刻t4までの期間において、光学デバイス7からコンデンサ15に電流が流れる。これに伴い、光学デバイス7に蓄えられていた電荷が減少するため、徐々に電圧Voutが低下する。ここで、この期間における電圧Voutが、光学デバイス7、並びに、駆動回路2のコンデンサ15及びインダクタ18で構成される回路の共振波形を形成するように、駆動回路2の電圧出力の出力タイミングが調整される。本実施の形態では、時刻t3から時刻t4までの間隔を調整することにより、駆動回路2の電圧出力の出力タイミング、すなわち、各スイッチング素子の動作タイミングが調整される。
続いて、時刻t4において、第一スイッチング素子11がオフされ、第四スイッチング素子14がオンされる。第一スイッチング素子11がオフされることにより、コンデンサ15と光学デバイス7との電気的接続が断絶される。また、第四スイッチング素子14がオンされることにより、第四スイッチング素子14は、接地電位である第四電位を光学デバイス7に出力する。本実施の形態では、時刻t4までに、光学デバイス7からコンデンサ15への電荷の移動がほぼ完了させる。すなわち、時刻t4において、電圧Voutがほぼゼロに等しくなるように、各スイッチング素子が制御される。これにより、光学デバイス7に蓄積された電荷のほぼ全てが、コンデンサ15によって回収されるため、無効電力が抑制される。さらに、上述したように、時刻t3から時刻t4まで、電圧Voutが共振波形を形成するように低下するため、ステップ状に低下する場合より、電磁ノイズの発生を抑制することができる。
続いて、時刻t4から時刻t5までの期間において、電圧Voutがほぼゼロに維持される。
時刻t5以降においては、上述した時刻t1以降の動作と同様の動作を繰り返す。
[電圧出力タイミング調整]
続いて、光学デバイス駆動装置1において、図3に示されたようなタイミングチャートでの動作を実現するための、電圧出力タイミング調整動作について、図面を用いて説明する。まず、電圧Voutの立ち上がり時における電圧出力タイミング調整動作について説明する。
図4A、図4B及び図4Cは、それぞれ、本実施の形態に係る電圧Voutの立ち上がり時における波形の一例を示すグラフである。図4A、図4B及び図4Cのグラフにおいて、縦軸は、電圧Voutの電圧VDDに対する割合を示す。図4A及び図4Bは、それぞれ、制御部5による、各スイッチング素子のタイミング調整が必要な場合の立ち上がり波形の一例を示す。一方、図4Cは、制御部5による各スイッチング素子のタイミング調整後の立ち上がり波形を示す。図4A、図4B及び図4Cに示される波形は、制御部5において、検出電圧をAD変換することによって得られる。当該波形に基づいて、制御部5は各スイッチング素子の制御を行う。
図4Aに示される例では、時刻t11において、図3に示されるタイミングチャートの時刻t1における制御部5の制御と同様に各スイッチング素子が制御される。また、時刻t12において、図3に示されるタイミングチャートの時刻t2における制御部5の制御と同様に各スイッチング素子が制御される。
図4Aに示される例では、電圧Voutが電圧VDDの70%程度まで到達した時刻t12において、第二スイッチング素子12がオフされ、第三スイッチング素子13がオンされる。この場合、図4Aに示されるように、時刻t12から、電圧Voutが上ピーク(すなわち、電圧VDD)に到達する時刻t13までの期間において、第三スイッチング素子13が第三電位VDDを出力するため、急激に電圧Voutが上昇する。これにより、時刻t12から時刻t13において、電源から光学デバイス7に電流が流れるため、図3に示される波形の場合より、電源における電力消費が大きくなる。また、電圧Voutが急激に上昇するため、電磁ノイズの発生量が図3に示される例より大きくなる。
以下、制御部5において図4Aに示される波形が検出された場合に、制御部5が行う電圧出力タイミングの調整動作について説明する。図4Aに示されるグラフの時刻t11において、コンデンサ15が十分に充電されていると仮定する。この場合、図4Aに示される例では、コンデンサ15に蓄えられた電荷の70%程度が光学デバイス7に移動した時点において、第二スイッチング素子12がオフされたと考えられる。そのため、図4Aに示される波形が制御部5において検出された場合に、制御部5は、時刻t11から時刻t12までの期間を長くするように制御する。すなわち、第二スイッチング素子12のオン時間が長くなるように制御する。これにより、時刻t11においてコンデンサ15に蓄えられている電荷をできるだけ多く光学デバイス7に移動させる。本実施の形態では、第四スイッチング素子14がオフされ、第二スイッチング素子12がオンされるタイミング(図4Aの時刻t11に対応)がより早くなるように、制御部5が各スイッチング素子の制御タイミングを調整する。この場合の調整量は、図4Aの時刻t12から、波形の上ピークに到達するタイミング(図4Aの時刻t13に対応)までの時間Δtがゼロに近づくようにフィードバック制御される。なお、制御部5は、検出電圧の波形から上ピークに到達するタイミングである第一タイミング(図4Aでは時刻t13)を検出する。この第一タイミングである時刻t13と、各スイッチング素子を制御するタイミングである時刻t12とから、時間Δtを検出する。本実施の形態では、このようにして検出された時間Δtに応じて第二スイッチング素子12のオン時間を調整する。
図4Bに示される例は、図4Aに示される例と同様に、時刻t21において、図3に示されるタイミングチャートの時刻t1における制御部5の制御と同様に各スイッチング素子が制御される。また時刻t22において、図3に示されるタイミングチャートの時刻t2における制御部5の制御と同様に各スイッチング素子が制御される。図4Bに示される例では、図4Aに示される例と同様に、電圧Voutが電圧VDDのほぼ70%まで到達した時刻t22において、第二スイッチング素子12がオフされ、第三スイッチング素子13がオンされる。一方、図4Bに示される例では、図4Aに示される例と異なり、時刻t22以降に電圧Voutが一端電圧VDDより大きい値となる点において、図4Aの例と異なる。このような場合には、電圧Voutが電圧VDDに収束する時刻を上ピークに到達する時刻t23とする。図4Bに示される例でも、図4Aに示される例と同様に、第四スイッチング素子14がオフされ、第二スイッチング素子12がオンされるタイミング(図4Bの時刻t21に対応)がより早くなるように、制御部5が各スイッチング素子の制御タイミングを調整する。この場合の調整量は、図4Bの時刻t22から時刻t23までの時間Δtがゼロに近づくようにフィードバック制御される。なお、制御部5は、検出電圧の波形から上ピークに到達するタイミングである第一タイミング(図4Bでは時刻t23)を検出する。この第一タイミングである時刻t23と、各スイッチング素子を制御するタイミングである時刻t22とから、時間Δtを検出する。本実施の形態では、このようにして検出された時間Δtに応じて第二スイッチング素子12のオン時間を調整する。
以上のように制御部5が各スイッチング素子の制御タイミング調整を行うことにより、図4Cに示されるような、波形を得ることができる。図4Cに示される例では、時刻t31において、図3に示されるタイミングチャートの時刻t1における制御部5の制御と同様に各スイッチング素子が制御される。また、時刻t32において、図3に示されるタイミングチャートの時刻t2における制御部5の制御と同様に各スイッチング素子が制御される。図4Cに示されるように、電圧Voutが電圧VDDのほぼ100%まで到達した時刻t32において、第二スイッチング素子12がオフされ、第三スイッチング素子13がオンされる。これにより、電源における消費電力及び電磁ノイズを抑制することができる。
次に、電圧Voutの立ち下がり時における電圧出力タイミング調整動作について説明する。
図5A及び図5Bは、それぞれ、本実施の形態に係る電圧Voutの立ち下がり時における波形の一例を示すグラフである。図5A及び図5Bのグラフにおいて、縦軸は、電圧Voutの電圧VDDに対する割合を示す。図5Aは、制御部5による、各スイッチング素子のタイミング調整が必要な場合の立ち下がり波形の一例を示す。一方、図5Bは、制御部5による各スイッチング素子のタイミング調整後の立ち上がり波形を示す。図5A及び図5Bに示される波形は、制御部5において、検出電圧をAD変換することによって得られる。当該波形に基づいて、制御部5は各スイッチング素子の制御を行う。
図5Aに示される例では、時刻t41において、図3に示されるタイミングチャートの時刻t3における制御部5の制御と同様に各スイッチング素子が制御される。また、時刻t42において、図3に示されるタイミングチャートの時刻t4における制御部5の制御と同様に各スイッチング素子が制御される。
図5Aに示される例では、電圧Voutが電圧VDDの30%程度まで到達した時刻t42において、第一スイッチング素子11がオフされ、第四スイッチング素子14がオンされる。この場合、図5Aに示されるように、時刻t42から、電圧Voutが下ピーク(すなわち、電圧ゼロ)に到達する時刻t43までの期間において、第四スイッチング素子14が第四電位(接地電位)を出力するため、急激に電圧Voutが低下する。これにより、時刻t42から時刻t43において、光学デバイス7からアースに電流が流れるため、図3に示される波形の場合より、電源の電力消費が大きくなる。また、電圧Voutが急激に低下するため、電磁ノイズの発生量が図3に示される例より大きくなる。
以下、制御部5において図5Aに示される波形が検出された場合に、制御部5が行う電圧出力タイミングの調整動作について説明する。図5Aに示される例では、光学デバイス7に蓄えられた電荷の70%程度が光学デバイス7に移動した時点(すなわち、光学デバイス7に30%程度の電荷が残っている時点)において、第一スイッチング素子11がオフされたと考えられる。そのため、図5Aに示される波形が制御部5において検出された場合に、制御部5は、時刻t41から時刻t42までの期間を長くするように制御する。すなわち、第一スイッチング素子11のオン時間が長くなるように制御する。これにより、時刻t41において光学デバイス7に蓄えられている電荷をできるだけ多くコンデンサ15に移動させる。本実施の形態では、第一スイッチング素子11がオフされ、第四スイッチング素子14がオンされるタイミング(図5Aの時刻t42に対応)がより遅くなるように、制御部5が各スイッチング素子の制御タイミングを調整する。この場合の調整量は、図5Aの時刻t42から波形の下ピーク(ゼロ)に到達するタイミング(図5Aでは時刻t43)までの時間Δtがゼロに近づくようにフィードバック制御される。なお、制御部5は、検出電圧の波形から下ピークに到達するタイミングである第二タイミングを検出する。この第二タイミングである時刻t43と、各スイッチング素子を制御するタイミングである時刻t42とから、時間Δtを検出する。本実施の形態では、このようにして検出された時間Δtに応じて第一スイッチング素子11のオン時間を調整する。
以上のように制御部5が各スイッチング素子の制御タイミング調整を行うことにより、図5Bに示されるような、波形を得ることができる。図5Bに示される例では、時刻t51において、図3に示されるタイミングチャートの時刻t3における制御部5の制御と同様に各スイッチング素子が制御される。また、時刻t52において、図3に示されるタイミングチャートの時刻t4における制御部5の制御と同様に各スイッチング素子が制御される。図5Bに示されるように、電圧Voutが波形の下ピークであるほぼゼロに到達した時刻t52において、第一スイッチング素子11がオフされ、第四スイッチング素子14がオンされる。これにより、電源による消費電力及び電磁ノイズを抑制することができる。
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る光学デバイス駆動装置1は、光学デバイス7を駆動させる駆動回路2と、光学デバイス7から出力された電圧を検出し、検出電圧として出力する検出部6と、検出部6から出力された検出電圧に応じて、駆動回路2の電圧出力を制御する制御部5と、を備える。
これにより、光学デバイス駆動装置1は、光学デバイス7の駆動時に光学デバイス7から出力される電圧に基づいて、光学デバイス駆動装置1の電圧出力を制御することができる。すなわち、駆動対象である光学デバイス7の容量成分などの特性に応じて電圧出力を調整することができる。
また、光学デバイス駆動装置1において、制御部5は、駆動回路2の電圧出力を変化させる期間において、検出電圧が、光学デバイス7及び駆動回路2で構成される回路の共振波形を形成するように駆動回路2の電圧出力の出力タイミングを調整する。
これにより、光学デバイス7への電圧出力を変化させる際に、光学デバイス7及び駆動回路2で構成される回路において、共振が発生するため、光学デバイス7と駆動回路2との間で効率よく電力の授受を行うことができる。さらに、電圧出力の変化を緩やかにすることができるため、電磁ノイズの発生を抑制することができる。
また、光学デバイス駆動装置1において、駆動回路2は、光学デバイス7に蓄えられた電力を回収する電力回収部3と、光学デバイス7を駆動させる電位を出力する主回路部4と、を備える。
これにより、光学デバイス7において蓄えられた電力を、駆動回路2の電力回収部3において回収することができるため、無効電力を抑制することができる。
また、光学デバイス駆動装置1において、電力回収部3は、電荷を蓄えるコンデンサ15、コンデンサ15の一方の電極に接続され、かつ、光学デバイス7に第一電位を出力する第一スイッチング素子11、及び、コンデンサ15の当該一方の電極に接続され、かつ、光学デバイス7に第一電位より高い第二電位を出力する第二スイッチング素子12を備え、主回路部4は、光学デバイス7に第三電位を出力する第三スイッチング素子13、及び、光学デバイス7に第三電位より低い第四電位を出力する第四スイッチング素子14を備え、駆動回路2は、電力回収部3と主回路部4とを接続し、かつ、光学デバイス7及びコンデンサ15とともに共振回路を構成するインダクタ18をさらに備える。
これにより、光学デバイス7、コンデンサ15及びインダクタ18によって共振回路を構成することができる。
また、光学デバイス駆動装置1において、制御部5は、検出電圧の波形の立ち上がり時に、検出電圧が波形の上ピークに到達するタイミングである第一タイミングを検出し、かつ、制御部5は、第一タイミングに応じて第二スイッチング素子12のオン時間を調整する。
これにより、第一タイミングと、各スイッチング素子の制御タイミングとに基づいて、検出電圧の波形の立ち上がり時における無効電力の発生量に対応する量を検出することができる。したがって、当該無効電力の発生量に対応する量をゼロに近づけるように第二スイッチング素子12のオン時間を調整することによって、検出電圧の波形の立ち上がり時における無効電力を抑制することができる。また、これにより、電圧出力の変化を緩やかにすることができるため、電磁ノイズを抑制することができる。
また、光学デバイス駆動装置1において、制御部5は、検出電圧の波形の立ち下がり時に、検出電圧が波形の下ピークに到達するタイミングである第二タイミングを検出し、かつ、第二タイミングに応じて第一スイッチング素子11のオン時間を調整する。
これにより、第二タイミングと、各スイッチング素子の制御タイミングとに基づいて、検出電圧の波形の立ち下がり時における無効電力の発生量に対応する量を検出することができる。したがって、当該無効電力の発生量に対応する量をゼロに近づけるように第二スイッチング素子12のオン時間を調整することによって、検出電圧の波形の立ち下がり時における無効電力を抑制することができる。また、これにより、電圧出力の変化を緩やかにすることができるため、電磁ノイズを抑制することができる。
また、光学デバイス駆動装置1において、インダクタ18は、検出電圧の立ち上がり又は立ち下り時における波形の周波数成分、及び、光学デバイス7の容量成分に基づいて定められたインダクタンス値を有する。
これにより、光学デバイス7への電圧出力を変化させる際に、光学デバイス7及び駆動回路2で構成される回路において、共振が発生するようにインダクタ18のインダクタンスを定めることができる。
また、光学デバイス駆動装置1において、光学デバイス7は、液晶デバイスであってもよい。
また、光学デバイス駆動システム10は、光学デバイス駆動装置1と光学デバイス7とを備える。
これにより、光学デバイス駆動装置1と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る光学デバイス駆動システムについて説明する。本実施の形態においては、上記実施の形態1に係る光学デバイス7を、建造物、車両などの窓に適用する例を示す。具体的には、一対のガラス板を備える複層ガラスの内部に光学デバイス7を配置することで、当該複層ガラスを窓として利用することができる。
図6は、本実施の形態に係る光学デバイス7を備える複層ガラス100を示す断面図である。
本実施の形態に係る複層ガラス100は、図6に示されるように、光学デバイス7と、一対のガラス板110及びガラス板111と、離間材120と、電極配線130及び電極配線131とを備える。また、一対のガラス板110及びガラス板111と離間材120とによって、内部空間112が形成されている。また、内部空間112には、例えば、乾燥空気又は不活性ガスが充填されている。
なお、不活性ガスは、他の物質に対する化学反応などの反応性の低いガスである。例えば、不活性ガスは、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)若しくはクリプトン(Kr)などの希ガス、又は、窒素(N2)などである。なお、内部空間112は、大気圧より減圧されていてもよく、又は、大気圧に保たれていてもよい。
光学デバイス7は、内部空間112に配置されている。なお、内部空間112には、さらに、例えば、有機EL(Electro Luminescence)素子などの発光デバイスなどが配置されてもよい。これにより、複層ガラス100を、例えば照明、情報表示などの用途に利用可能な窓として利用することができる。
以下では、複層ガラス100が備える構成要素の各々について、詳細に説明する。
ガラス板110及びガラス板111は、透光性を有し、可視光の少なくとも一部を透過させる。ガラス板110及びガラス板111は、例えば、ソーダガラス、無アルカリガラスなどから形成される透明な平板である。ガラス板110及びガラス板111は、図6に示されるように、互いに対面して配置されている。具体的には、ガラス板110及びガラス板111は、互いの距離(内部空間112の厚さ)が略一定になるように、すなわち、平行に配置されている。ガラス板110とガラス板111との間の距離は、例えば12mmである。
また、ガラス板110及びガラス板111は、略同じ形状及び略同じ大きさを有し、平面視において互いに重なるように配置されている。なお、平面視とは、ガラス板110及びガラス板111の主面(面積が最大の面)を正面から見た場合を意味する。
離間材120は、一対のガラス板110及びガラス板111の周に沿って配置され、ガラス板110とガラス板111とを離間させる。具体的には、離間材120は、ガラス板110とガラス板111との間に配置されている。例えば、離間材120は、ガラス板110の周に沿った略矩形の枠体である。
離間材120は、例えば、スペーサと、接着剤とを備える。
スペーサは、ガラス板110とガラス板111との間を一定距離に保つ部材である。スペーサは、例えば、アルミニウム製の中空部材と、当該中空部材の内部に充填された粒状物質とを備える。中空部材は、例えば、略角筒状の枠体である。粒状物質としては、例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの乾燥剤を用いることができる。これにより、内部空間112に水分が浸入するのを抑制することができる。
接着剤は、ガラス板110及びガラス板111の各々にスペーサを接着する。接着剤は、間に隙間が形成されないようにスペーサとガラス板110及びガラス板111とを接着する。例えば、接着剤は、スペーサを挟むようにガラス板110及びガラス板111を配置した後、スペーサとガラス板110及びガラス板111の各々との間に接着材料を注入し、硬化することで形成される。
接着剤としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、又は、シリコーン樹脂などの光硬化性、熱硬化性又は二液硬化性の接着性樹脂を用いることができる。あるいは、接着剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの酸変性物からなる熱可塑性の接着性樹脂などを用いてもよい。
なお、離間材120は、粒状のスペーサを含有する接着剤でもよい。
電極配線130及び電極配線131は、光学デバイス7に電力を供給するための配線である。具体的には、電極配線130は、第一電極20に電力を供給するための配線である。電極配線131は、第二電極21に電力を供給するための配線である。例えば、電極配線130及び電極配線131は、それぞれ、光学デバイス駆動装置1及びアースに接続されて、周期的に変化する電圧を第一電極20及び第二電極21間に供給する。
電極配線130及び電極配線131は、例えば、図6に示されるように、離間材120を貫通するように設けられている。なお、同図では、電極配線130及び電極配線131は、離間材120の中央部分を貫通しているが、これに限らない。例えば、電極配線130及び電極配線131は、例えば、ガラス板110に沿って設けられ、離間材120とガラス板110との間を貫通してもよい。電極配線130及び電極配線131は、例えば、銀などの金属パターン、又は、リード線などである。
以上のように、本実施の形態に係る光学デバイス7を窓に利用することで、様々な利点が得られる。
例えば、光学デバイス7が光透過(透明)状態である場合、屋内の人物(住人など)は、屋外の様子、天気などの確認、及び、景観の鑑賞を行うことができる。このように、光学デバイス7は、いわゆる「窓」としての機能を実現することができる。
また、光学デバイス7が光散乱状態である場合、散乱の程度を調整することで調光を行うことができる。また、屋外から屋内を視認することができなくなるので、屋内に居る人のプライバシーを保護することができる。
(その他変形例等)
以上、本発明に係る光学デバイス駆動装置及び光学デバイス駆動システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態において、光学デバイス駆動装置1が駆動させる光学デバイス7として液晶デバイスを例示したが、光学デバイス7は、液晶デバイスに限定されない。容量成分を有する光学デバイスであればよい。例えば、光学デバイス7は、エレクトロクロミック材料を含むデバイスであってもよい。
また、上記実施の形態では、検出部6が電圧を検出する例を示したが、検出部6は、電流を検出してもよい。また、検出部6は、検出した電圧値を変換して制御部5に出力する構成を例示したが、検出部6は電圧値を必ずしも変換しなくてもよい。制御部5が検出部6から入力された検出電圧に基づいて、当該検出電圧の波形の上ピーク及び下ピークに到達するタイミングを検出できればよい。
なお、その他、上記の実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記の実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。