JP2016212076A - 硬x線光電子分光装置 - Google Patents

硬x線光電子分光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】X線源の真空と分析チャンバーの真空が分離する硬X線光電子分光装置を提供する。
【解決手段】硬X線光電子分光装置はX線源アナライザー試料マニピュレーター分析チャンバー及び真空排気系を備え、3次元空間において板状にされた試料が試料マニュピレーターによってZ軸の周りに回転自在に配置され、X線源は、ターゲットにおいて発生されたX線を回折反射させて単色化し特性X線だけを取り出す。ターゲットおよび試料とともにローランド円上に配置され前記ローランド円は試料表面と直交する配置をとり、試料は反射面によって回析反射したX線が試料の表面上で焦点位置に置かれるようにされ、かつ該試料表面に斜入射してその結果前記X線のスポットがY軸にほぼ平行に細長く線状に伸び前記アナライザーの入り口に設けられたスリットの開口が前記試料表面上X線スポットの細長く伸びた方向に平行にされる。
【選択図】図6

Description

本発明は硬X線光電子分光装置に関する。さらに詳しくは、実験室硬X線光電子分光装置におけるアナライザー、試料及びX線源の配置に関する。
[光電子分光法]
物質にエネルギーの高い光を照射すると電子が放出される。この現象は「光電子放出」と呼ばれ、アインシュタインが光の粒子性によってそのメカニズムを説明してノーベル賞を受賞している。図1に、固体中の電子のエネルギー状態を模式的に示す。簡潔のために、原子が横に2個結合しているように描かれている。図1において符号Anで示した丸は、固体中の原子核(正電荷を持つ)を表す。図1の縦軸はエネルギーを表す。各原子核は正電荷を持つので、負電荷をもつ電子を束縛する。いわば太陽の周りに惑星が回っているように電子がとらわれて、原子核の周りを、半径の異なる軌道で回っていると考えることができる。半径の小さな軌道の電子は原子核に強く束縛されていて、したがってエネルギー的には深い位置にある。
一方で一番浅いエネルギーの軌道を回る一群の電子の軌道半径は大きく、したがって隣の原子の電子の軌道と重なっている。図1では原子は2個しか描かれていないが、実際の固体はたくさんの原子からなっているので、この電子軌道の重なりは固体中に広がっている。この重なりが原子同士の結合力を作り出し、原子同士が結合して固体になっているのである。真空準位(真空中に電子を置いた時の最低のエネルギー)を原点にとると、それより高いエネルギーの電子は原子核の束縛から逃れ、自由になる。したがって、束縛されている電子に外から十分に高いエネルギーを与えてやれば、電子波が自由になって固体の表面から飛び出してくることが出来る。これが光電子放出である。
つぎに図2は、光電子放出を模式的に示した図である。固体に、ある光子エネルギーを持ったX線を照射すると、束縛された電子(EL)はそのエネルギーを受け取って矢印(AR)で示すように、高いエネルギー状態に移行する。この高いエネルギー状態に励起された電子は原子核の束縛から自由になっているので固体中を動き、表面に達したときそのエネルギーが真空準位よりも高ければ、表面から真空中に飛び出す。この現象を光電子放出という。これを電子エネルギー分析器(アナライザー)(1)によってエネルギー分析すると、図の右側に模式的に示したような光電子のエネルギー分布(スペクトル)(SP)が得られる。このスペクトル(SP)は固体内部での電子の束縛状態(左)のレプリカになっている。すなわち、光電子スペクトルによって試料固体の内部の電子の状態、あるいは化学結合状態が分かることになる。これを利用した電子状態および化学状態分析法を光電子分光法という。最近では放射光X線を使った高分解能の測定が世界中で行われている。また、実験室ではAlKα線(1.49keV)を励起源にした装置が市販されていて、研究開発だけでなく分析装置として非常に広く使われている。この分析手法を創始した功績でKai Siegbahngがノーベル賞を受賞している。
このように光電子分光法は非常に有用な分析手法であり、広く利用されているが、一つの大きな問題点を有している。X線を固体に照射すると内部へ侵入して光電子を発生させる。発生した場所が表面から浅いところであった場合には、光電子は図3(a)に示すように、擾乱を受けることなくそのまま表面から出てゆくことができる。この光電子は元の情報(エネルギーと運動量)を保持している。しかるに、深いところで発生した光電子の場合には表面に向かって動いている間に途中にある原子などに衝突して、散乱されてしまうのである。このとき自分の持っていたエネルギーや運動量などの、元の情報を失い、したがって光電子スペクトルの中では無意味なバックグラウンドになってしまうのである。従来のX線光電子分光法(XPS)では発生する光電子の運動エネルギー(真空準位を基準にして測った電子のエネルギー)が小さい。電子の運動エネルギーが小さいほど、表面に至るまでの散乱確率が大きくなり、したがって深いところの光電子が散乱を受けずに出てくることは不可能である。
図4に、いくつかの化合物における光電子が散乱を受けないで走ることのできる距離、すなわち平均自由行程、を光電子のエネルギーの関数として示している。AlKα線(1.49keV)励起では光電子のエネルギーは1.49keV以下であるので、平均自由行程は数nm程度以下である。表面からこの程度の深さしか、光電子スペクトルには意味のある寄与を与えない。つまり従来の光電子分光法は極めて表面敏感で、試料の表面清浄化ができない試料は汚ればかりを測定することになってしまう。
光電子の励起に用いる光子のエネルギーを大きくすると、光電子の運動エネルギーは大きくなり、図4でわかるように光電子の平均自由行程も大きくなる。たとえば6keVでは平均自由行程はAlKα線励起の場合の数倍になる。したがって表面の影響は相対的に小さくなってよりバルク敏感性が大きくなる。実際に放射光ビ−ムラインで6keV励起の光電子分光を行うと試料表面の自然酸化膜やその他の汚染はほとんど気にならないことが分かった。これが硬X線光電子分光法で、2003年に本発明者らは世界に先駆けて論文発表を行い(非特許文献1参照)、今では広く利用されている。
K. Kobayashi et al., Appl. Phys. Lett., Vol. 83, No. 5, 4、1005, 2003 "Development of the hard−X−ray angle Resolved X−ray Photoemission spectrometer for Laboratory use", M. Kobata, I. Pis, H. Iwai, H. Yamazui, T. Takahashi, M. Suzuki H. Mastuda, H, Daimon, and K. Kobayashi, ANALYTICAL SCIENCES 26 (2010) 227. "Development of a laboratory system hard X−ray photoelectron spectroscopy and its applications"K. Kobayashi、Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena 190 (2013) 210−221.
放射光を利用した硬X線光電子分光法は非常に強力な物質研究手段および分析手段として多くのユーザーを集めているが、ビームタイムを得るための競争率は非常に高く、一方で実験課題の募集は年に2回だけしか行われない。また放射光施設でしか実験が行えない。したがって実験室での硬X線光電子分光法が強く望まれていた。
実験室での硬X線光電子分光法のためのX線源(非特許文献2及び3参照)を実現したのが図5の(a)に示された装置である。この装置は図5(a)に示すようにCrターゲットを電子線で励起して得られるCrKα線(5.4keV)をGe結晶の422反射を利用して単色化、集光して試料に照射するX線源、試料からの光電子を効率的に集める電子レンズ系とそのエネルギー分布を分析するアナライザーから構成されている。この装置の特徴は図5に示すようにX線源(40)を一枚のフランジ(50)にマウントして、分析チャンバー(14)の中に含めていることである。このために非常にコンパクトな設計が可能となっている。しかし、分析チャンバーの大きさでX線源の大きさ(つまりX線分光結晶の大きさ)が制限されること、X線源の真空と分析チャンバーの真空が分離できないこと、の2点は大きな問題になる。実験室X線源の強度は放射光に比べるとはるかに弱いので、光電子信号強度を大きくするための様々な工夫が必要である。このためには試料に照射するX線フラックスおよびフラックス密度を大きくする必要があるが、X線を発生させるターゲットの冷却能力を超えて電子線出力を大きくすることはできない。したがって、ターゲットの冷却能力を大きくする工夫が肝要である。シミュレーションの結果、静止した水冷Crターゲットへの照射スポットを100ミクロンとしたとき、電子線照射出力が50Wを超えるとCrの昇華を無視できなくなる。これ以上電子線出力を増やすためには、高速で回転する水冷ターゲットを使う必要がある。X線源が分析チャンバー内に含まれる構造では、回転ターゲットを組み込むことは空間的にも、機構的にも制限が強く、不可能である。また、X線を分光し、試料上に集光する時にはできるだけ大きな立体角で分光結晶にX線を取り込むことが必要である。これもX線源(40)を一枚のフランジ(50)にマウントして、分析チャンバー(14)の中に含める構造では空間的な制限によって大幅改善は望めない。さらに最近では分析室の圧力を大気圧近くまで高くして、雰囲気を制御して光電子分光を行う、いわゆるNAP(Near Ambient Pressure photoelectron spectroscopy)あるいはHiPP(High Pressure Photoelectron spectroscopy)といわれる実験法が盛んに行われるようになってきている。この測定法では分析室にガスを導入するので、図5のX線源ではX線源もガスにさらされることになる。X線源に含まれる電子銃は高真空を必要とするので、ガス導入には耐えられない。
本発明者は鋭意検討した結果、叙上の問題(分析チャンバーの大きさでX線源の大きさ(つまりX線分光結晶の大きさ)が制限されること、X線源の真空と分析チャンバーの真空が分離できないこと)を解決することによって、従来の課題を解決することに成功した。
本発明は叙上の問題(分析チャンバーの大きさでX線源の大きさ(つまりX線分光結晶の大きさ)が制限されること、X線源の真空と分析チャンバーの真空が分離できないこと)を解決することを目的としている。
本発明の一態様に係る硬X線光電子分光装置は、添付の特許請求の範囲の記載に徴すれば、X線源(3)、アナライザー(6)、試料マニピュレーター(2)、分析チャンバー(14)及び真空排気系を備え、板状試料(5)の面に平行な一方向をZ軸に、それに直交する2つの方向をX軸およびY軸にとったXYZ直交座標軸系により定義される3次元空間において、試料(5)が前記試料マニュピレーター(2)によってZ軸の周りに回転自在に、もしくは治具によってあらかじめ決められた角度だけ回転させて配置され、
前記X線源(3)は、
電子を加速して収束する電子銃(3b)と、該収束電子銃(3b)によって加速され収束された電子が照射され、X線を発生するためのターゲット(7)と、
前記ターゲット(7)において発生されたX線を回折反射させて単色化し、特性X線だけを取り出すために、X−Y平面内ではX線回折のブラッグ(Bragg)条件を満足すると同時に、試料(5)上への集光収差を最小にするために、ターゲット(7)の電子線照射位置−分光結晶(9)の中心−試料(5)の中心がローランド円(後述する図9参照)上に配置された分光結晶アセンブリー(9)において、前記X線源(3)から試料(5)へのX線入射方向をY軸にとり、該分光結晶(9)がX−Y平面内ではロ−ランド円の2倍の半径を持つ円、望ましくは上記タ−ゲット(7)上の電子線照射位置と試料(5)の中心が分光結晶(9)の中心において、上記ローランド円(後述する図9参照)と接する楕円の2つの焦点の各々の上に位置し、Z軸方向には上記タ−ゲット(7)上の電子線照射位置と試料(5)の中心を結ぶ直線の周りに上記ロ−ランド円(後述する図9参照)に接する上記円もしくは楕円を回転して得られるトロイダル面を持った分光結晶アセンブリー(9)と、
これらを取り付けるための真空槽(14)を含み、
前記X線源(3)の回折反射による単色化のために使われる分光結晶アセンブリー(9)は、分光されたX線束が最小収差で試料(5)の表面上に集光するための条件を満たすため、前記ターゲット(7)および前記試料(5)とともにローランド円(後述する図9参照)上に配置され、
前記ローランド円(後述する図9参照)は試料(5)の表面と直交する配置をとり、
前記試料(5)は、前記反射面によって回析反射したX線が前記試料(5)の表面上で焦点を結ぶように置かれるようにされ、かつほぼX軸に垂直に、したがってY軸にほぼ平行におかれた該試料(5)の表面にY軸方向から斜入射して、その結果前記X線のスポットが試料(5)の表面上で(斜入射角だけずれて)ほぼY軸に平行に細長く線状に伸び、
前記アナライザー(6)の光軸をX軸に平行に、かつ入り口に設けられたスリット(6S)の開口が、前記X線の細長く伸びた方向に平行に配置される
ことを特徴とするものである。
そして、図6を参照すると、X線源(3)、アナライザー(6)、試料マニピュレーター(2)、分析チャンバー(14)及び真空排気系を備え、XYZ直交座標軸系により定義される3次元空間において、板状にされた試料(1)が前記試料マニピュレーター(2)によってZ軸の周りに回転自在に配置されている。本発明においてX線源とはタ−ゲット(7)、電子銃(3b)、分光結晶(9)および真空槽(14)を含む概念である。
前記X線源(3)は、
真空容器(3a)に収められた、電子を加速して収束する電子銃(3b)と、該収束電子銃(3b)によって加速され収束された電子ビーム(101)が照射され、同じく真空容器(7a)に収められたX線を発生するめのタ−ゲット(7)と、
前記ターゲット(7)において発生されたX線束(103)を回折反射させて単色化し、特性X線束(105)だけを取り出すためにX−Y面内にはターゲット(7)の中心と試料(5)の中心を焦点とする楕円、Z軸方向にはターゲット(7)の中心と試料(5)の中心を結ぶ線の周りに回転させた球面になるように形成されたトロイダル表面を持った分光結晶アセンブリー(9)と、
これらを取り付けるための真空容器(10)を含み、
前記アナライザー(6)は
その光学軸(11)がX線の入射方向に直角(すなわち図6においてはX軸方向)に配置され、前記試料(5)は、前記分光結晶アセンブリー(9)の表面によって回析反射したX線束(105)が真空隔壁を兼ねたX線窓(13)を通して、X線の焦点位置に置かれた前記試料(5)の表面に数度の角度で斜入射して、その結果、前記X線の照射領域は試料(5)表面上でX軸に平行に細長く線状に伸びて、光電子発生領域となり、アナライザー(6)の入力部の電子レンズ(8)で拡大されて、前記アナライザー(6)の入り口に設けられたスリット(6S)の開口(107)の位置に細長い像を結び、上記アナライザー(6)のスリット(6S)の開口(107)はその位置に投影された上記細長い光電子像に平行に配置されていて、このスリット(6S)を通過した光電子が、アナライザー(6)の半球電極部(10)でエネルギー分析されて、光電子検出部に達して検出されることを特徴としている。
上記の配置によって後述のごとく、光電子放出の収率を最大にし、かつアナライザー(6)における光電子捕集率を最も高くすることができる。実際には、後述するように、電子線照射によって発生する非偏光X線照射よる光電子放出の異方性および試料内での光電子の非弾性散乱による減衰を考慮すると、アナライザー(6)の配置はX−Y平面内にはX軸方向の周りに±36度の範囲内に、またX−Z平面内では±49度の範囲内に配置すれば、最適配置の65%程度の光電子信号強度を確保でき、実用に耐える。
また、光電子信号強度の試料表面からの脱出角依存性から深さ方向分析を行うことが可能であるが、この手法を適用する場合には最適配置、すなわちX線の入射方向をY軸に、アナライザー(6)の光軸をX方向に固定し、アナライザー(6)の入り口スリット(6S)の開口がY軸方向に平行になるように配置し、試料をY軸から数度程度の角度で配置してX線が試料(5)の表面に斜入射するようにし、さらにZ軸に垂直で、試料(5)の表面に平行なY´軸を付け加え、アナライザー(6)の光軸に対して、試料(5)上でY軸に平行に伸びたX線照射領域の形状をほとんど変化させないで試料(5)をこのY´軸の周りに回転させ、アナライザー(6)の光電子捕集率の試料回転による低下を防いで、脱出角依存性の測定が可能となる。
前記ターゲット(7)は、Crターゲットであることが好ましいが、AgLα線(2.98keV)、TiKα線(4.51keV)を利用する場合には、Ag、およびTiをターゲットに選ぶことが出来る。
前記分光結晶アセンブリー(9)がLiF、NaClなどのイオン結晶、石英、Ge、Si又はGaAsの半導体から成る群から選択される結晶からなることが好ましい。
CrKα線を使う場合には、前記分光結晶アセンブリー(9)の反射面は、Ge422反射面またはLi222反射面であることが好ましい。
前記電子銃において電子が20−30keVに加速され、100μm程度あるいはそれ以下に収束されることが好ましい。
本発明の第二の態様に係る硬X線光電子分光装置は、前記分析チャンバー(14)と前記X線源(3)が一体化され、分析チャンバー部(14a)とX線源(3a)が同一の構造体(20)内に配され、当該分析チャンバー部と当該X線源の真空領域が隔壁(12)によって仕切られ、該隔壁(12)に設けられたX線窓(13)を通してX線が分析チャンバー(14)に導かれるように構成されている。
さらに第三の態様ではX線源(3)が分析チャンバー(14)から真空的に切り離されていて、ターゲット部(7)を分析チャンバー(14)の外部に置く事ができることの利点を生かして、タ−ゲット(7)を回転対陰極化し、これを高出力集束電子銃(3a)で励起して、X線束の強度および密度を静止タ−ゲット(7)の場合よりも1桁高くするように構成されている。
前述の従来技術では、分析チャンバー(6)の大きさによって、X線源(3)の大きさ(つまりX線分光結晶の大きさ、およびタ−ゲット部機構の大きさ)が制限されるため高出力化に限界があることこと、X線源の真空と分析チャンバーの真空が分離できないこと、の2点は大きな問題になっていた。またNAP(Near Ambient Pressure photoelectron spectroscopy)あるいはHiPP(High Pressure Photoelectron spectroscopy)といわれる実験法では分析室にガスを導入するので、図5のX線源(3)ではX線源(3)もガスにさらされることになるが、X線源に含まれる電子銃は高真空を必要とするので、ガス導入には耐えられないという問題があった。
しかし、本発明の第一の態様に係る硬X線光電子分光装置によれば、X線源と分析チャンバーとを分離された構成となっているため、これらの問題点がすべて解決される。硬X線光電子分光法は光イオン化断面積が従来の光電子分光法に比べて小さくなるため、実用的には光電子も捕捉効率をできるだけ高めることが必須である。本発明の第一の態様に係る硬X線光電子分光装置においては、X線源と分析チャンバーの真空の分離とともに、光電子補足効率の最大化を同時に満足させることが出来る。
本発明の第二の態様に係る硬X線光電子分光装置によれば、前記分析チャンバー(14)と前記X線源(3)が一体化され、分析チャンバー部(14a)とX線源(3)が同一の構造体に配され、当該分析チャンバー部(14a)とX線源(3)の真空領域が隔壁(12)によって仕切られているという構成をとっているので、装置全体をコンパクトにすることと、X線源(3)と分析チャンバー部(14a)(光電子分析部)の真空領域を分離すること、光電子強度を最大にすることが、すべて満足されるという優れた効果を奏することができる。さらに、別の発明「X線発生装置および分析装置」(特許第5550082号、発明者小林啓介、山瑞拡路、岩井秀雄、小畠雅明)を適用して、エネルギーの異なる2つのX線を切り替えて利用できる配置を実現することが出来る。
本発明の第三の態様に係る硬X線光電子分光装置によれば、分光結晶アセンブリー(9)と電子銃(3b)・ターゲット(7)を分析チャンバー(14)の真空領域から切り離して外部に置いた構造において、高速回転する水冷ターゲット(7)を高出力収束電子銃(3b)によって励起し、静止ターゲット(7)を使った場合に得られる出力の10倍以上のフラックス強度およびフラックス密度を持った単色化CrKα線源を実現できる。
固体中の電子のエネルギー状態を模式的に示した説明図である。 光電子分光法の原理を示す図である。 光電子分光法の問題点を示す図である。 固体中での電子の平均自由工程を示すグラフである。 従来の光電子分光装置を示す説明図である。 本発明の実施形態1に係る光電子分光装置の構成を示す説明図である。 本発明に係る単色化X線源の原理と試料との位置関係を説明する説明図である。 (a)は光電子放出強度の角度依存性の説明図であり、(b)は光電子放出強度の角度依存性を踏まえた励起光入射方向と試料及びアナライザーの配置関係を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係る光電子分光装置における分析チャンバー部とX線源部を含む構造体を示す説明図であり、(a)はその正面図であり、(b)は側面図である。 平板状試料表面からの、s軌道状態からの非偏光X線励起による(a)X−Y平面内、(b)X−Z平面内における光電子放出強度の角度依存性を示している。矢印はX線の入射方向を示す。 非偏光X線源による硬X線光電子分光装置の配置図。 回転対陰極X線源を用いた硬X線光電子分光装置。
[実施形態1]
図6は本発明の実施形態1に係る光電子分光装置の構成を示す説明図であり、図7は本実施形態に係る単色化X線源の原理と試料との位置関係を説明する説明図である。図6及び図7を参照すると、X線は電子線(101)を加速させてターゲット(7)に照射して発生させる。たとえばCrのターゲット(以下、単にCrターゲットという)の場合には典型的には20−30keVに加速した電子を100ミクロン程度に収束させて照射する。するとCrターゲットからは5.4keVにピークを持つCrKα線と、Kβ線などのそれよりは強度の弱い幾本かのエネルギーの異なる輝線発光、および電子がターゲット(7)にぶつかるときに減速する過程で放射される連続スペクトルを持った制動輻射X線とが重なったX線束(制動輻射X線などを含む単色化前のX線束)(103)が発生する。
CrKα線は2〜3eV程度の広い幅を持ち、さらに近いエネルギーに、Kβ線などの複数の異なる輝線発光が含まれ、また、制動輻射X線は高エネルギー領域まで広がっていて、これをそのまま、光電子分光の励起源には使えない。そこで単結晶によるX線の回折を使って、単色化する。いろんな結晶で回折を起こさせられるが、入射および反射方向が結晶表面の法線方向から離れるに従い、分光されたX線のエネルギー幅が大きくなるので、回折角(2θ)は180度に近い方が有利である。また、できるだけ多くの単色化されたX線フラックスを得るためには分光結晶を大きくする必要がある。また分光器としての性能を考えると、欠陥や歪の少ない良い結晶が必要である。
以上の条件を満たす分光結晶の選択範囲は狭い。現実の問題として、市場で入手可能な、結晶性が良く、大面積のウェファー研磨が可能で安定した結晶はLiF、NaClなどのイオン結晶、Ge、Si、GaAs、InSbなどの半導体および石英、ZnOなどの酸化物ぐらいしかない。さらに分光されたX線のバンド幅ΔE、回折角θ、ローランド円(C)(後述する図9参照)の半径Rと結晶の回折方向の大きさxとの間には下式の関係がある。
ここでEはX線の光子のエネルギー、ΔEは分光されたX線のバンド幅である。分光したX線束(フラックス)をできるだけ大きくとるためには、結晶のサイズを大きくする必要がある。このためには回折角θができるだけ大きな回折反射を使うことが有利である。この条件を課すと、CrKα線の場合にはGe422(2θ=165.35)度)もしくはLiF222反射(2θ=162.05度)が適切で、それ以外には見当たらない。LiFは潮解性があるので扱いが難しく、本発明者らはGeを使うことにした。
浮遊帯溶融法によるGe単結晶インゴットから422面を切り出したウェファーを両面研磨して、エネルギー分散方向(回折方向)にはローランド条件を満足するターゲット(7)の位置と試料(5)の位置を焦点とする楕円がローランド円(C)(後述する図9参照)に接するように、それに垂直方向には上記楕円の2つの焦点(すなわち、ターゲット(7)と試料(5)の位置)を結ぶ直線の周りに上記楕円を回転させて得られる球面になるように研磨したトロイダル面をもったガラス基板に貼り付けて分光結晶アセンブリー(9)を製作する(図6参照)。これによってターゲット(7)から発生したCrKα線が422回折反射して試料位置に正しく集光するように決められる。このとき、エネルギー分散方向に垂直な方向の分光結晶のサイズは、X線バンド幅に影響しないので、空間が許す限りこの方向の結晶サイズを大きくし、X線フラックスをできるだけ大きくすることが合理的である。
次に問題となるのはX線(105)の試料(5)の内部への侵入深さである。従来のXPS(X線光電子分光法)に使われていたAlKα線の場合には、X線の物質による吸収が大きく、したがって試料内部深くまで侵入することをあまり考慮する必要はない。CrKα線では10ミクロン程度以上になる。したがって垂直入射の場合には試料の表面から深さ10ミクロンの領域に光電子が発生することになる。
しかしながら、このうち、試料(5)の表面から10nm程度領域の光電子のみが散乱なしに表面から出てきて光電子スペクトルを与える。したがって、ほとんどのX線は無駄になる。これを避けるためには、X線をできるだけ試料(5)の表面に対して斜入射で、X線をできるだけ表面近くで吸収させる配置にして測定する必要がある(図7参照)。実際に試料(5)の表面から測った入射角が全反射角に近づくにしたがって光電子強度は急に上昇する。
更に、光電子の放出強度の異方性を考慮する必要がある。硬X線光電子分光ではX線光子のエネルギーが高いため、従来の光電子分光法とは異なった異方性を示す(図8の(a)参照)。図8の(a)は直線偏光X線による光電子放出強度の角度依存性の説明図であり、(b)は光電子放出強度の角度依存性を踏まえた励起光入射方向と試料及びアナライザーの配置関係を示す模式図である。
光イオン化断面積は一般にs軌道状態では励起フォトンのエネルギーの増加につれて比較的緩やかに減少するが、p軌道、d軌道、f軌道からなる状態は急激に減少する。したがって、硬X線光電子分光においてはスペクトルへの寄与はs軌道状態が最も強い。s軌道状態からの非偏光X線励起による光イオン化断面積の異方性はX線の入射方向と放出される光電子の運動方向との間の角度をθとしたときに光電子発生強度を決める光イオン化断面積は図10(a)に示すようにX線入射方向に垂直な方向(θ=90度)に最大となる。したがって、図8の(b)に示すようにアナライザー(6)の軸(X軸、11)はX線の入射方向(Y軸、101)に直角に配置することにより、光電子発生効率を最大にすることが出来る。試料表面がZ軸を含むように配置し、Z軸の周りに数度回転させて、試料表面にX線が出来るだけすれすれに斜入射するように、配置すれば光電子は試料表面にほぼ垂直な方向に出射されてアナライザー(6)に捕捉される。試料(5)内での光電子の走行距離はこの時にほぼ最短になるので、光電子が受ける非弾性散乱が少なく、つまりアナライザー(6)に捕集される光電子信号はほぼ最大となる。請求項1ではこの特徴を規定したもので、先の出願(特願2015−96104)の記載内容に変更はない。
非偏光X線ではこの配置で、X軸と、X線の入射方向(Y軸)に垂直で試料(5)の面内に含まれる軸(Z軸)によって決まるX−Z平面内では、光イオン化断面積は角度依存性を持たない。しかし、アナライザー(6)を試料(6)の表面から角度φだけ傾けると光電子の試料(5)の表面に達するまでの走行距離は1/sinφだけ長くなり、したがって非弾性散乱による減衰が大きくなり、その結果アナライザー(6)に捕集される光電子の強度は図10(b)に示す角度依存性を持つ。以上から、光電子強度を最大にするためには、X線の入射方向をY軸とすれば、アナライザー(6)の光軸をX軸に、試料表面に含まれて前記X軸およびY軸に垂直なZ軸にとって、試料(5)をZ軸の周りにX線の広がり角の許す範囲で、できるだけ全反射に近い条件で配置することが必要となる。しかるに実用的には、この最適配置によって得られる強度の65%程度までの強度損失を許容できるので、図11に示すように、アナライザー(6)の光軸はX−Y平面内にはX軸方向の周りに±36度の範囲内に、またX−Z平面内では±49度の範囲内に配置すれば実用に耐えることが出来る(請求項7ではこの特徴を規定したものである)。一方でX線は上述したように試料(5)の表面にすれすれに斜入射するので、試料表面ではX線のスポットは入射方向に引き伸ばされた形状になる。この細長い領域全体から発生する光電子は半球アナライザー(6)の入り口につけられている電子レンズ(8)によって拡大されてアナライザー(6)の入り口スリット(6S)の開口部(107)に像を結ぶ設計になっている。光電子をアナライザー(6)に効率よく取り込むためには、スリット(6S)の開口(107)を光電子像の細長く伸びた方向に平行にする必要がある。図6を参照すると、光電子は電子レンズ(8)によって半球分析部(10)に導かれる。半球分析部(10)と電子レンズ(8)の間に入り口スリット(6S)が配される。
上述のごとく試料(5)からの光電子の脱出角(試料表面に垂直方向から測って)大きくなるにしたがって光電子強度が減衰することを利用して、光電子強度の脱出角依存性から試料の組成、化学結合状態の深さ方向分析をする手法がある。これを実験室硬X線光電子分光法に適用してZ軸の周りに試料を回転させた場合には、試料(5)へのX線の斜入射条件が破れて強度が脱出角度とともに信号強度が極端に減衰してしまう。この問題は、試料上で長く伸びたX線照射領域の長手方向に試料を回転させる軸(Y´軸)を設けて脱出角を変えることにより軽減することが出来る。
前記段落0032乃至段落0036において述べた事情は、部分的には放射光X線を利用した硬X線光電子分光の実験配置においてすでに考慮されている。しかるに本発明における実験室光源を用いた硬X線光電子分光放射光を利用した硬X線光電子分光には決定的な相違点があり、それが、実験室硬X線光電子分光装置の空間配置を一義的に決めてしまう、厳しい制限をもたらす。放射光ビームラインでは電子加速器における偏向電磁石から放射される連続スペクトル、あるいはウィグラー、もしくはアンジュレーターなどの偏向電磁石の間の直線部に配置される挿入光源から放射される幅の広いバンド状スペクトルをもつX線を分光器により単色化して取り出し、これを試料(5)に照射して光電子分光を行う。光速に近い速度でリング型の加速器の中を周回する電子が磁場によって曲げられたときに発生するX線は、強い相対論的効果のためにX線の進行方向に極めて狭い角度広がりを持つ(高輝度)。したがって放射光X線は、試料(5)に集光照射する時には集光ビームの広がりは極めて小さく、縦方向(図6のZ軸方向)と横方向(図6のY軸方向)の集束角には大きな差はない。また通常直線偏光アンジュレーターを使用するので、アンジュレーターから得られるX線の電場ベクトルはX線の進行方向に垂直な直線偏光になっている。
一方、実験室X線光源では、X線はターゲットからコサイン則にしたがって広がって放射される。また、放射光に比べて総X線束が桁違いに少ないので、この大きく広がったX線をできるだけ多く取り込む必要がある。このために、分光結晶の受け入れ角をできるだけ大きくしたいという要請がある。既述のごとく、エネルギー分散方向に分光結晶のサイズを大きくするとX線のバンド幅ΔEが大きくなる。一方でエネルギー分散方向に垂直な方向の分光結晶サイズは、空間の許す範囲で大きくすることは可能である。実際に、本発明の実施形態であるGe422反射を使ったローランド円(C)(後述する図9参照)の直径730mmではX線バンド幅の設計値を0.3eVとすると、エネルギー分散方向の分光結晶の大きさは50mmになる。一方で分析チャンバーにつけられるほかの装置類による空間的制限のために、それに垂直な方向には220mmの大きさになる。すなわち、これから得られる単色化されたX線束はエネルギー分散方向には4度、それに垂直方向には17度の角度幅をもって試料に入射することになる。すでに述べたように、光電子信号強度を最大にするために、X線をできるだけ試料(5)の表面へ斜入射させたい、という要請に対応するためには図6のごとくX線束が広がりの小さい方向からローランド円(C)(後述する図9参照)を含む平面(図6のX−Y面)に垂直におかれた試料(5)の表面にほぼ図6のY軸方向に近い角度で斜入射する配置を取らねばならない。もしも逆にローランド円(C)(後述する図9参照)を含む平面が試料(5)の表面に平行になるように配置すれば、X線束は17度という大きな広がり角を持って試料(5)に入射するので、大部分は斜入射条件を満足せず、信号強度の増加にはつながらず、無駄になってしまう。
また、実験室X線源は非偏光であるので、これらの条件を実験室において満足しようとするときには最適なX線源(3)−アナライザー(6)−試料(5)の相対的空間配置が一義的に決まる(図6参照)。すなわち、試料(5)−分光結晶(9)−ターゲット(7)の相対位置関係を決めているローランド円(後述する図9参照)と試料(5)の表面が直交するように配置し、X線源(図6参照)からのX線が試料(5)の面に対してできるだけ低い角度で、斜入射できるようにする。この配置によって、X線束の試料(5)への入射角はX線束の広がり幅4度の半分程度にまで小さくできる。この時、試料(5)上ではX線スポットはX線分光器のエネルギー分散方向に細長く伸びるので、アナライザー(6)は入口スリット(6S)がこの方向に平行になるように配置する。X線源(3)のターゲット部(7)および電子銃部(9)がアナライザー(6)の分析チャンバー(14)の外に位置するためにはローランド円(C)(後述する図9参照)と分光結晶アセンブリー(9)の大きさをターゲット(7)とX線源(3)の集光点の間の距離が分析チャンバー(14)の半径よりも大きくし、ターゲットを分析チャンバー(14)の外に置けるように設計することが必要である。前述のごとく、実験室X線源は非偏光であり、X−Z平面内ではX線による光イオン化断面積の角度依存性はないが、光電子の脱出深さが変化するので、アナライザー(6)の光軸を試料(5)の表面からφだけ傾けると光電子強度は図10(b)に示すごとくsinφにしたがって変化する。また光イオン化断面積はX−Y平面内で図10(a)にみられるごとく角度変化する。したがって、上記アナライザーの光軸配置をX−Z平面内で試料表面に垂直方向から±49度程度、またX−Y平面内では±36度程度ずらせても、強度は最適配置の65%程度の減少にとどまり、実用的には大きな損失にはならない。
分析チャンバー(真空槽)(14)は標準的には図6に示すような円筒形のものが使われるので、各構成要素の相対的配置は図6のように決まる。分析チャンバー(14)を球形のチャンバーとしても基本的に配置は同じことになる。配置を決めているもっとも重要なファクターは、X線分光器の結晶がエネルギー分散方向に対して小さく、それに垂直方向に対して長く伸びていることである。
この形状を取ることにより、できるだけX線フラックスを多く取り込むという目的が達成される(エネルギー分散方向に大きくするとX線の単色性が悪くなるので、それに垂直な方向だけを大きくしているからである)。もしX線強度を犠牲にして結晶の寸法をどちらも小さくすれば、この配置に対する制限はなくなるものの、実用性は低くなる。なおGe422の代わりにLiF222を使っても同じように相対配置は一義的に決まる。硬X線光電子分光法に使える特性X線はAg−Lα線(2.98keV)、Ti−Kα線(4.51keV)など、CrKα線以外にもあるが、分光結晶との組み合わせを考えたときに、得られるX線のバンド幅や、X線束の強度などを相対的に考慮すると、CrKα線の実用性が最も高い。
[実施形態2]
上記の空間配置に対する条件を満足させる、別の実施形態を次に説明する。
本発明者は、別の発明「X線発生装置および分析装置」(特許第5550082号、発明者小林啓介、山瑞拡路、岩井秀雄、小畠雅明)において、AlKα線とCrKα線を切り替えて利用する2重線源の配置を提案しているが、かかる知見を本実施形態において採用した。
本実施形態の装置を図9に示す。この実施形態では分析チャンバーとX線源を一体化した構造をとり、かつ分析チャンバー部とX線源の真空を隔壁で仕切り、該隔壁に設けたX線窓を通してX線を分析チャンバーに導く構造をとっている。
電子銃(3b)による電子線でターゲット(7)を照射して、X線を発生させる。ターゲット(7)の基板上にはAlおよびCrで被覆された領域があり、ターゲット(7)を平行移動させることにより、電子線が照射する領域をAlあるいはCr被覆部に選ぶことができる。これによってAlKα線もしくはCrKα線を選択して発生させることができる。各々のX線はAlKα線用の分光結晶(9a)あるいはCrKα線用の分光結晶(9b)によって単色化され試料(5)の表面に斜入射するように配置されている。このときAlKα線およびCrKα線用の分光器のローランド円はターゲット(7)の位置および試料(5)の位置の2点で交差するように設計されているので、どちらのX線を選んだ場合にも、X線の集光位置は変わらず、試料(5)やアナライザー(6)(図6参照)の位置を調整しなおす必要はない。ターゲット(7)を含むX線発生部(3b)−分光結晶部(9)(すなわちX線源部(3))と試料(5)の周りの空間(14a)の真空系(すなわち分析チャンバー部(14a))は、隔壁(12)によって分離されている。またCrKα線はこの隔壁(12)に設けられたX線透過窓(13)、を通して試料へ導かれ、図9の配置では試料表面に上方から斜入射し、試料表面で上下に長く伸びた照射領域を形成する。
この細長い領域から放出された光電子を効率よくアナライザーで受け取るために、アナライザー(6)の入り口スリット(6S)の開口部(107)は上下方向になるようにアナライザー(6)(図6及び7参照)を分析チャンバー部(14a)の開口部(ICF253フランジ)(16)に取り付ける。AlKα線に対しては試料(5)中でのX線照射領域は斜め方向に細長く伸びるため、アナライザー(6)(図6及び7参照)への光電子の取り込み効率は少し悪くなる。しかし、AlKα線はCrKα線に比べて、一般的に光イオン化断面積が十分に大きく、したがって十分に強い信号強度が得られる。また、AlKα線はエネルギーが低いため、試料内への侵入深さはCrKα線に比べてはるかに浅く、したがって光電子強度を大きくするためにX線を斜入射にする必要性は相対的に低い。試料へのX線入射角を大きくすると試料表面上でのX線スポットの伸びが短くなる。したがって、この問題は実用的には大きな影響はない。また、十分な光電子信号強度があれば、電子銃(3b)の出力を抑えてX線スポットのサイズを小さくすることで、スリット(6S)の開口部(107)の光電子取り込み効率を高めることも可能である。
実施形態2によれば、装置全体をコンパクトにすることと、X線源(3a)と分析チャンバー部(光電子分析部)(14a)の真空を分離すること、光電子強度を最大にすることが、すべて満足されるという優れた効果を奏することができる。これによってHiPP/NAPP測定装置への応用も可能となる。さらにX線分光器のローランド円(C)の大きさを実施形態1の半分に小さくすることができたので、必要な分光結晶(9)の面積は1/4になるので、大幅な価格の圧縮が行えるという利点もある。このような利点は分析チャンバー(14)とX線源(3)を一体化しつつ、真空を分離した設計によって実現される。
[実施形態3]
上記の空間配置に対する条件を満足させる、さらに別の実施形態を次に説明する。実施形態1ではX線強度を大きくとるために、分光結晶の受け入れ角を大きくとる構造を採用しているが、それには空間的な制限がある。さらにX線強度を大きくするためには、ターゲットを励起する電子銃(3b)の出力を高くすることが考えられる。ところが、電子線のエネルギーの大部分はターゲット(7)の膜内で熱になるので、ターゲット(7)の冷却能力を超えて電子線の出力を上げるとターゲット(7)の膜を損傷してしまう。電子線のターゲット(7)上でのスポット(フットプリント(FP))サイズを大きくすると、発生した熱の密度は低減するのでターゲット(7)の損傷を防げるが、電子線のターゲット(7)上でのスポットサイズは、そのまま試料(5)上でのX線スポット(フットプリント(FP))のサイズとなるので光電子スペクトルのエネルギー分解能と空間分解能を劣化させる。また、試料上でのスポット(フットプリント(FP))サイズが大きくなると、アナライザー(6)の電子レンズ(8)によって拡大されてアナライザー(6)の入口スリット(6S)に投影される光電子像が、スリット(6S)の開口よりも大きくなってしまい、その結果、アナライザー(6)により検出される光電子信号強度が低下する。
電子線のターゲット(7)上でのスポット(フットプリント(FP))サイズは100ミクロン以下に抑え、かつX線強度を高くしたいという要求にこたえるために、図12の符号αで囲まれた領域に着目すると、ターゲット(7)を回転対陰極としたX線源(3)を構成した。熱伝導度の良い材料、本実施例では内部に冷却水(7b)を設けた無酸素銅(Oxygen Free Cupper, OFC)製の円筒にCr薄膜を製膜したターゲット(7a)に冷却水(CW)を循環させる構造になっている。上記円筒状ターゲット(7)は磁気流体シールによって真空を封止(seal)し、また、メカニカルシールによって冷却水を封止(seal)しながら、同軸モーターによって6500rpmの高速回転できる構造になっている。円筒状ターゲット(7a)のCr薄膜を高出力収束電子銃によって加速電圧30keV、20mA、スポットサイズ100ミクロンで照射して、実施形態1の静止線源の約10倍強の単色化X線フラックスを安定に得ることが出来た。
回転対陰極型X線源はすでにX線回折装置などに多く使われていて、すでに公知の技術であるが、それらにおいては、直線状のフィラメントから発生した電子線を加速し、かつ簡単な構造の電極によって電子線を一次元方向に収束してターゲット上の細長い領域を照射し、長く伸びたX線発生領域に沿った方向から低い角度(典型的には6度)で取出す構造をとっている。この公知の方式では、簡単な構造の電子銃でX線の見かけ上のスポットサイズを小さくできるという利点があるが、一方でX線の利用率は低く、電子銃の出力を上げた割には得られるX線強度は小さく、本実施形態の目的には合わない。そこで本実施形態3における回転対陰極型のX線源では、これらの公知のものとは異なって電子線を2次元的に100ミクロン程度以下に収束できる収束レンズを備えた電子銃(3b)を装置して、タ−ゲットを照射して、100ミクロンサイズの高強度集光X線を発生させ、スループットの高い硬X線光電子分光を行うことができた。
前述の従来技術では分析チャンバーの大きさでX線源の大きさ(つまりX線分光結晶の大きさ、およびタ−ゲット機構の大きさと構造)が制限されること、X線源の真空と分析チャンバーの真空が分離できないこと、の2点は大きな問題になっていた。またNAP(Near Ambient Pressure photoelectron spectroscopy)あるいはHiPP(High Pressure Photoelectron spectroscopy)といわれる実験法では分析室にガスを導入するので、図5のX線源ではX線源もガスにさらされることになるが、X線源に含まれる電子銃は高真空を必要とするので、ガス導入には耐えられないという問題があった。しかし、本発明によれば、X線源と分析チャンバーとを分離することができるため、これらの問題点がすべて解決される。これによって、さまざまな固体物質だけでなく、気体や液体、固体−気体界面、固体−液体界面などへの光電子分光法の適用が可能となり、これによって基礎研究、開発研究、評価分析、生産管理などへの従来の枠を超えた応用が可能となり、産業上の利用可能性を大きく向上させることができる。
2・・・・・・・・試料マニュピレーター
3・・・・・・・・X線源
3a・・・・・・・真空容器
3b・・・・・・・電子銃(X線源の一要素)
5・・・・・・・・試料
6・・・・・・・・アナライザー
6S・・・・・・・スリット
7・・・・・・・・ターゲット(X線源の一要素)
7a・・・・・・・Cr薄膜からなる筒状体
7b・・・・・・・水路
8・・・・・・・・アナライザーの電子レンズ
9,9a,9b・・分光結晶アセンブリー(X線源の一要素)
10・・・・・・・半球分析器
11・・・・・・・アナライザーのX軸
12・・・・・・・隔壁
13・・・・・・・X線窓
14・・・・・・・分析チャンバー(真空槽)
14a・・・・・・分析チャンバー部
20・・・・・・・構造体
101・・・・・・電子ビーム
103・・・・・・単色化前のX線束(制動輻射X線などを含む)
105・・・・・・試料に侵入するX線
C・・・・・・・・ローランド円
FP・・・・・・・フットプリント

Claims (13)

  1. X線源、アナライザー、試料マニピュレーター、分析チャンバー及び真空排気系を備え、
    XYZ座標軸系により定義される3次元空間において、板状にされた試料が前記試料マニュピレーターによってX軸の周りに回転自在に配置され、
    前記X線源は、
    電子を加速して収束する電子銃と、該電子銃によって加速され収束された電子が照射され、X線を発生するめのターゲットと、
    前記ターゲットにおいて発生されたX線を回折反射させて単色化し、特性X線だけを取り出すために、X−Y平面内ではX線回折のブラッグ(Bragg)条件を満足すると同時に、試料上への集光収差を最小にするために、ターゲットの電子線照射位置−分光結晶の中心−試料中心がローランド円上に配置された分光結晶アセンブリーにおいて、望ましくは上記ターゲット上の電子線照射位置と試料中心が分光結晶の中心において、上記ローランド円と接する楕円の2つの焦点の各々の上に位置し、Z軸方向には上記ターゲット上の電子線照射位置と試料中心を結ぶ直線の周りに上記ローランド円に接する上記楕円を回転して得られるトロイダル面を持った分光結晶アセンブリーと、
    これらを取り付けるための真空容器を含み、
    前記X線源の回折反射による単色化のために使われる分光結晶アセンブリーは、分光されたX線束が最小収差で試料表面上に集光するための条件を満たすため、前記ターゲットおよび前記試料とともにローランド円上に配置され、
    前記ローランド円は試料表面と直交する配置をとり、
    前記アナライザーの軸はX線の入射方向に直角あるいはその周り±15度の範囲内に配置され、
    前記試料は、前記反射面によって回析反射したX線が前記試料の表面上で焦点位置に置かれるようにされ、かつ該試料表面に斜入射して、その結果前記X線のスポットがX軸に平行に細長く線状に伸び、
    前記アナライザーの入り口に設けられたスリットの開口が、前記X線の細長く伸びた方向に平行にされてなる
    ことを特徴とする硬X線光電子分光装置。
  2. 前記ターゲットは、Crターゲットであることを特徴とする請求項1に記載の硬X線光電子分光装置。
  3. 前記分光結晶アセンブリーがLiF又はNaClのイオン結晶、Ge、Si又はGaASの半導体から成る群から選択される1種の結晶からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬X線光電子分光装置。
  4. 前記分光結晶アセンブリーの反射面は、Ge422反射面またはLi222反射面であることを特徴とする請求項1に記載の硬X線光電子分光装置。
  5. 前記電子銃において電子が20−50keVに加速され、100μm或いはそれ以下に収束されることを特徴とする請求項1に記載の硬X線光電子分光装置。
  6. 前記分析チャンバーと前記X線源が一体化され、分析チャンバー部とX線源が同一の構造体に配され、当該分析チャンバー部と当該X線源の真空が隔壁によって仕切られ、該隔壁に設けられたX線窓を通してX線が分析チャンバーに導かれるように構成されてなることを特徴とする請求項1乃至5に記載の硬X線光電子分光装置。
  7. X線源、アナライザー、試料マニピュレーター、分析チャンバー及び真空排気系を備え、
    XYZ直交座標軸系により定義される3次元空間において、板状にされた試料が前記試料マニュピレーターによってZ軸の周りに回転自在に配置され、
    前記X線源は、
    電子を加速して収束する電子銃と、該電子銃によって加速され収束された電子が照射され、X線を発生するめのターゲットと、
    前記ターゲットにおいて発生されたX線を回折反射させて単色化し、特性X線だけを取り出すために、X−Y平面内ではX線回折のブラッグ(Bragg)条件を満足すると同時に、試料上への集光収差を最小にするために、ターゲットの電子線照射位置−分光結晶の中心−試料中心がローランド円上に配置された分光結晶アセンブリーにおいて、該分光結晶がX−Y平面内ではローランド円の2倍の半径を持つ円、望ましくは上記ターゲット上の電子線照射位置と試料中心が分光結晶の中心において、上記ローランド円と接する楕円の2つの焦点の各々の上に位置し、Z軸方向には上記タ−ゲット上の電子線照射位置と試料中心を結ぶ直線の周りに上記ローランド円に接する上記円もしくは楕円を回転して得られるトロイダル面を持った分光結晶アセンブリーと、
    これらを取り付けるための真空容器を含み、
    前記X線源の回折反射による単色化のために使われる分光結晶アセンブリーは、分光されたX線束が最小収差で試料表面上に集光するための条件を満たすため、前記ターゲットおよび前記試料とともにローランド円上に配置され、
    前記ローランド円は試料表面と直交する配置をとり、
    前記アナライザーの光軸はX線の入射方向(Y軸方向)に直角(X軸方向)、あるいは、その周りに、X−Y平面内では±36度、X−Z平面内でX軸に方向から±49度程度、の範囲に配置し、
    前記試料は、前記反射面によって回析反射したX線が前記試料の表面上で焦点位置に置かれるようにされ、かつ該試料表面に斜入射して、その結果前記X線のスポットがY軸にほぼ平行に(X軸にほぼ垂直に)細長く線状に伸び、
    前記アナライザーの入り口に設けられたスリットの開口が、前記試料表面上X線スポットの細長く伸びた方向に平行にされてなる
    ことを特徴とする硬X線光電子分光装置。
  8. 前記ターゲットは、Crターゲットであることを特徴とする請求項7に記載の硬X線光電子分光装置。
  9. 前記分光結晶アセンブリーがLiF又はNaClのイオン結晶、Ge、Si又はGaAsの半導体から成る群から選択される1種の結晶からなることを特徴とする請求項7又は8に記載の硬X線光電子分光装置。
  10. 前記分光結晶アセンブリーの反射面は、Ge422反射面またはLi222反射面であることを特徴とする請求項7に記載の硬X線光電子分光装置。
  11. 前記電子銃において電子が20−50keVに加速され、100μmあるいはそれ以下に収束されることを特徴とする請求項7に記載の硬X線光電子分光装置。
  12. 前記分析チャンバーと前記X線源が一体化され、分析チャンバー部とX線源部が同一の構造体に配され、当該分析チャンバー部と当該X線源部の真空が隔壁によって仕切られ、該隔壁に設けられたX線窓を通してX線が分析チャンバーに導かれるように構成されてなることを特徴とする請求項7乃至11のいずれかに記載の硬X線光電子分光装置。
  13. 前記X線源において、前記電子銃によって照射するタッゲットは高速回転する水冷対陰極で、発生したX線をターゲット表面から高い角度でとりだしても光源サイズを小さく保てることを特徴とする請求項11に記載の硬X線光電子分光装置。
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