JP2016209800A - 余剰汚泥減量化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被処理水とオゾンガスとの混合によって生じた泡を十分効率的に処理することができ、これにより、オゾンガスを含む泡に起因する不具合を十分に抑制できる余剰汚泥減量化装置を提供する。【解決手段】本開示に係る余剰汚泥減量化装置は、生物系汚泥を含む被処理水とオゾンガスとを接触させながら移送する流路と、流路の一部であって流路断面積が拡張している拡張部と、拡張部に設けられた消泡装置とを備える。【選択図】図3
Description
本開示は余剰汚泥減量化装置に関する。
従来、水の浄化法の一つとして活性汚泥法が知られている。その浄化原理は、処理対象の水に含まれる有機物を微生物が代謝することによって有機物が分解又は除去されるものである。活性汚泥法に使用される水処理装置は活性汚泥を収容する生物反応槽と、固液分離のための沈殿池とを備える。当該装置は、処理性能が高いことから公共の下水処理や工場の排水処理等の各分野で広く利用されている。
活性汚泥法においては、水処理に伴って微生物が増殖する。水処理に必要な量を超えて増殖した微生物は余剰汚泥と称され、産業廃棄物として処分される。大量の余剰汚泥を処分するには、十分な処理能力を有する最終処分場を確保する必要があるとともに、処分量に応じたコスト負担が生じる。したがって、余剰汚泥の発生量をできるだけ削減することが望まれている。特許文献1〜3は、オゾンを利用して汚泥を減量化する技術を開示する。
余剰汚泥を減量化するための従来の装置は、生物反応槽からの汚泥を収容する槽又は汚泥を移送する配管に対してオゾンを注入する機構を有する。汚泥とオゾンガスとが接触すると、汚泥を構成する微生物の細胞壁が破壊され、これにより汚泥が可溶化される。なお、汚泥が可溶化されることによって、微生物の体内に蓄積させていた成分(溶解性有機物)が細胞壁の破壊により外部に放出される。この成分を生物反応槽に供給することで、余剰汚泥を減量化することができる。
汚泥を含む被処理水とオゾンガスとの混合に伴って泡が発生する。この泡には汚泥の可溶化処理に使用されたオゾンガスが含まれている。オゾンは強い酸化力を持つため、オゾンガスを含む泡がポンプ等の機器に至ると、機器のパーツが腐食するおそれがある。
本開示は、被処理水とオゾンガスとの混合によって生じた泡を十分効率的に処理することができ、これにより、オゾンガスを含む泡に起因する不具合を十分に抑制できる余剰汚泥減量化装置を提供することを目的とする。
本開示の一側面に係る余剰汚泥減量化装置は、生物系汚泥を含む被処理水とオゾンガスとを接触させながら移送する流路と、流路の一部であって流路断面積が拡張している拡張部と、拡張部に設けられた消泡装置とを備える。
本開示によれば、被処理水とオゾンガスとの混合によって生じた泡を十分効率的に処理することができ、これにより、オゾンガスを含む泡に起因する不具合(例えば、付随する装置や周辺設備の腐食及び機能低下)を十分に抑制できる。
以下、本開示の複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面及び関連した記述は、本開示の実施形態を説明するために提供されたものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
<排水処理システム>
図1は汚泥とオゾンガスとを接触させる余剰汚泥減量化装置10を備えた排水処理システム100を模式的に示す構成図である。排水処理システム100は、必要に応じて設置される最初沈殿池1と、その下流側に配置される生物反応槽2と、その下流側に設置される最終沈殿池3と、最終沈殿池3から排出される汚泥の少なくとも一部を生物反応槽2に返送するための汚泥返送ラインL5aと、汚泥返送ラインL5aに設けられた余剰汚泥減量化装置10とを備える。以下、各構成について説明する。なお、ここでいう「ライン」とは流体を移送するための配管を意味する。ラインの途中には図示しないポンプ、バルブ、圧力計、温度計、流量計及び水位計などが適宜設置されている。
図1は汚泥とオゾンガスとを接触させる余剰汚泥減量化装置10を備えた排水処理システム100を模式的に示す構成図である。排水処理システム100は、必要に応じて設置される最初沈殿池1と、その下流側に配置される生物反応槽2と、その下流側に設置される最終沈殿池3と、最終沈殿池3から排出される汚泥の少なくとも一部を生物反応槽2に返送するための汚泥返送ラインL5aと、汚泥返送ラインL5aに設けられた余剰汚泥減量化装置10とを備える。以下、各構成について説明する。なお、ここでいう「ライン」とは流体を移送するための配管を意味する。ラインの途中には図示しないポンプ、バルブ、圧力計、温度計、流量計及び水位計などが適宜設置されている。
最初沈殿池1は、ラインL1を通じて供給される排水に含まれる小さなゴミなどを沈ませることによって、排水からゴミを除去するためのものである。なお、処理対象の排水に大きなゴミ及び砂などが含まれている場合は最初沈殿池1よりも上流側に沈砂池(不図示)を設置し、沈砂池においてこれらを除去すればよい。
生物反応槽2は、活性汚泥(生物系汚泥)を所定時間滞留させる槽本体2aと、槽本体2a内に空気を曝気する散気装置2bと、散気装置2bに空気を供給するブロア2cとを備える。生物反応槽2にはラインL2を通じて最初沈殿池1から上澄み水が供給される。この上澄み水のBOD(Biochemical oxygen demand)は100〜1000mg/L程度であればよく、100〜3000mg/L程度であってもよい。槽本体2aに収容された活性汚泥の代謝により、上澄み液に含まれる有機物及び窒素化合物(例えばアンモニア)などが二酸化炭素、水、窒素ガスなどに分解される。
最終沈殿池3には、ラインL3を通じて生物反応槽2から処理水と活性汚泥との混合液が供給される。最終沈殿池3は、処理水と、活性汚泥とを分離するためのものである。最終沈殿池3の上澄み水はラインL4を通じて排出され、河川や海などに放流される。この上澄み水のBOD(Biochemical oxygen demand)は1〜160mg/L程度であればよく、1〜2000mg/L程度であってもよい。なお、放流に先立って必要に応じて例えば塩素による処理が実施される場合もある。
最終沈殿池3の底部にはラインL5が接続されている。最終沈殿池3内において沈降した活性汚泥はラインL5を通じて排出される。ラインL5は途中で分岐しており、分岐した一方のラインが上述の汚泥返送ラインL5aである。汚泥返送ラインL5aを通じ、最終沈殿池3から排出される活性汚泥の少なくとも一部が生物反応槽2に戻される。他方、分岐した他方のラインは、余剰汚泥排出ラインL5bである。余剰汚泥は脱水処理などが施された後、例えば処分場へと搬送される。
余剰汚泥減量化装置10(以下、場合により単に「装置10」という。)は、汚泥返送ラインL5aで移送される活性汚泥をオゾンと接触させることにより活性汚泥の可溶化を進め、これを生物反応槽2に供給することによって余剰汚泥を減量化(余剰汚泥の発生量を低減化)するためのものである。装置10を稼働することなく排水処理システム100を操業した場合に発生する余剰汚泥量を100質量部とすると、装置10を稼働させることで、好ましくは100質量部以上、より好ましくは300質量部以上の活性汚泥を装置10に導入することができる。これにより、余剰汚泥(ラインL5bで移送される活性汚泥)の量を十分に少なくできる。
装置10は、図2に示すとおり、汚泥返送ラインL5aから分岐した分岐ラインL6の途中に設けられている。装置10は、活性汚泥とオゾンガスとを接触させる処理部12と、循環ライン(循環路)L7と、処理部12の下流側(処理部12の出口近傍)に設けられた消泡装置20とを備える。循環ラインL7は、処理部12の出口15の上流側近傍から分岐しており且つ分岐ラインL6の処理部12よりも上流側の位置に接続されている。更に、装置10は、循環ラインL7の途中に上流側から順に、キャビテーション発生器16とオゾンガス注入用のエジェクタ(ガス注入器)18とを備える。なお、循環ラインL7は、処理部12の出口15よりも下流側の分岐ラインL6から分岐していてもよく、処理部12の入口14の下流側近傍に接続されていてもよい。
装置10は、少なくとも、流路13及び消泡装置20を含む処理部12と、エジェクタ(ガス注入器)18を含む循環ラインL7とを共通のベース(不図示)に配置して構成されてもよい。これにより、装置の小型化により一層寄与することができる。図2における破線の四角は、共通のベースに配置されるべき構成を囲っている。なお、オゾンガス(オゾン含有ガス)は、例えば、空気又は酸素ガスを放電式のオゾン発生器(不図示)に供給することによって生成される。
処理部12は、分岐ラインL6を通じて供給される活性汚泥を含む懸濁水(被処理水)をオゾン処理する。処理部12は、図2に示すとおり、迂曲した流路13を有し、図示しない水位計、圧力計などを更に有してもよい。活性汚泥とオゾンガスとの混合流体が流路13内を流れることで、オゾンの酸化力によって活性汚泥を構成する微生物の細胞壁が破壊される。これにより活性汚泥の可溶化が進行する。流路13は、入口14と、入口14よりも高い位置に出口15とを有する。また、流路13は横方向(好ましくは略水平方向)に延びる経路13a,13bを有し且つ入口14から迂曲する経路を経て出口15に至る。流路13が略水平方向に延びる経路13a,13bを有するため、これらの経路において活性汚泥とオゾンガスとの混合流体に押し出し流れを生じさせることができる。これに加え、流路13内における気体及び泡の滞留を十分に抑制できるため、活性汚泥とオゾンガスとの接触効率を十分に高くできる。なお、本開示でいう「略水平方向」とは、水平方向とのなす角度が10°以下であることを意味し、この範囲内で流路13が上向きに傾いていてもよく、あるいは下向きに傾いていてもよい。流路13は、筒状の管(例えば円筒管)によって構成することができる。筒状の管としては市販されている配管を使用すればよい。配管は、金属製又は樹脂製の配管を用いてもよい。
流路13は、略水平方向に延びる第1の経路(第1の部分)13aと、第1の経路13aとは異なる方向に延びる第2の経路(第2の部分)13bと、第1の経路13aと第2の経路13bとをつなぐ折り返し部(曲がり部)13cとの組み合わせを複数有する。一つの組み合わせにおいて、第2の経路13bは、第1の経路13aよりも高い位置に設けられ且つ第1の経路13aに対して略平行に延びている。混合流体は第1の経路13aを図2に示す左向き矢印の方向に流れ、折り返し部13cでその向きが反転し、第2の経路13bを図2に示す右向き矢印の方向に流れる。混合流体は流路13内を通過することで、下方に位置する入口14から上方に位置する出口15まで移送される。折り返し部13cで流れの向きを反転させることで、活性汚泥とオゾンとを十分に混合することができる。本実施形態によれば、活性汚泥を含む被処理水にオゾンを十分に溶解させることができるため、過剰量のオゾンガスを流路13内に導入しなくてもよいという利点がある。なお、本開示における上方とは鉛直方向における上方を意味し、下方とは鉛直方向における下方を意味する。
オゾンガスを使用した従来の汚泥減量化技術においては、活性汚泥に対してオゾンガスを注入すると多量の泡が発生するため、泡の処理に十分な対策を講じる必要があった。これに対し、本実施形態においては、流路13内に混合流体の押し出し流れを形成することができる。このため、流路13内で一旦泡が生じたとしても泡と活性汚泥(微生物を含む懸濁液)とがともに迂曲した流路13内をある程度の時間をかけて流れることで、出口15に至る時点では泡の量は十分に低減している。このことは本発明者らが作製した試験プラントにおいて目視により確認されている。本実施形態によればオゾン処理に伴う泡の発生量を十分に抑制でき、泡の処理のための機構(消泡装置20)を簡易なものとすることができる(図3参照)。また、泡の処理によって生じる排オゾンガスを大気放散する量も十分に削減でき、このため、排オゾンガスを無害化するための機構も簡易なものとすることができる。
流路13において、入口14から出口15との鉛直方向の距離(入口14と出口15の高低差)は1.0〜1.5m程度であればよく、0.5〜3.0m程度であってもよい。流路13の流路断面積は6.0×10−4〜7.3×10−2m2程度であればよく、3.8×10−4〜2.0×10−1m2程度であってもよい。第1の経路13a及び第2の経路13bの長さはいずれも1.5〜3.0m程度であればよく、1.0〜4.0m程度であってもよい。処理部12を構成する流路13の流路断面は、後述の循環ラインL7の流路断面積よりも大きく且つ流路13は循環ラインL7よりも長いことが好ましい。流路13における混合流体の線速度は、活性汚泥とオゾンガスとの接触及び反応を十分に進行させる観点から、好ましくは0.05〜0.2m/秒であり、より好ましくは0.07〜0.15m/秒である。なお、流路13内の混合流体のpHはオゾンの自己分解を抑制する観点から、好ましくは3〜8であり、より好ましくは3〜6である。
循環ラインL7は、図2に示すとおり、処理部12の出口15の上流側近傍から分岐しており分岐ラインL6の処理部12よりも上流側の位置に接続されている。混合流体が循環ラインL7を繰り返し通過することで、キャビテーション発生器16及びエジェクタ18において活性汚泥に対して繰り返し衝撃力を加えることができる。これに加え、図示しないオゾン発生器によって製造できるオゾン含有ガスのオゾン濃度に制限がある場合でも、循環ラインL7を採用することで、混合流体に対するオゾン注入量を十分高くすることができる。なお、活性汚泥に対して十分な強度の衝撃力を加える観点から、循環ラインL7における混合流体の線速度は、好ましくは0.5〜2.0m/秒であり、より好ましくは0.8〜1.8m/秒である。
キャビテーション発生器16は、活性汚泥に対して衝撃力を加えるためのものである。循環ラインL7の流路断面を局所的に狭くすることによってベンチュリ効果により減圧箇所が形成される。これにより、循環ラインL7内においてキャビテーションを発生させることができる。キャビテーション発生器16の一例としてオリフィスが挙げられる。後述のエジェクタ18の使用により、活性汚泥に対して十分に衝撃力を加えることができるのであれば、キャビテーション発生器16は採用しなくてもよい。
エジェクタ18は循環ラインL7内の流体の流れを利用し、ベンチュリ効果によって減圧状態をつくり、これによって循環ラインL7内にオゾンガスを注入するためのものである。減圧状態をつくるため、例えばオリフィスを使用して循環ラインL7の流路断面を局所的に狭くすればよい。循環ラインL7内にオゾンガスを供給する機構はエジェクタ18に限定されず、例えば、通常の配管と、これの途中に設けられたガス流量コントローラとを使用して循環ラインL7内にオゾンガスを注入してもよい。
排出管L6aの最下流側は、汚泥返送ラインL5aに接続されている(図1及び図2)。排出管L6a内の処理液は微生物の体内に蓄積されていた成分(溶解性有機物)を豊富に含んでいる。この処理液は汚泥返送ラインL5aを通じて生物反応槽2に供給される。この処理液に含まれる溶解性有機物が生物反応槽2内の活性汚泥によって分解されることで、余剰汚泥が減量化される。なお、排出管L6aの先端側を汚泥返送ラインL5aに接続する代わりに生物反応槽2に接続してもよい。
消泡装置20は、流路13内を流れる流体に対して消泡処理を実施するためのものである。消泡装置20は流路13の最上段の経路に設置されている。すなわち、消泡装置20は、出口15の近傍であって循環ラインL7の接続部と同じ位置又は接続部よりも上流側に設置されている。ここでいう「近傍」とは出口15から2m以内の位置を意味する。流路13におけるこのような位置に消泡装置20を設けることで、当該位置でオゾンガスを含む泡Fを十分に低減できる。これにより、循環ラインL7に泡Fが混入することをより一層確実に抑制できる。また、流路13よりも下流側の流路(例えば排出管L6a)において、泡Fによる閉塞が生じたり、オゾンガスによる腐食が生じたりすることを十分に防止できる。以下、図3〜6を参照しながら、消泡装置20について説明する。
図3に示すように、消泡装置20は流路13の上側に設けられている。一方、循環ラインL7は消泡装置20よりも下流側において流路13の下側から分岐している。なお、循環ラインL7は排出管L6aの下側から分岐していてもよい。図3に示すように、循環ラインL7の基端側は消泡装置20の下流に位置する。循環ラインL7の基端側は、流路13の下側の内面から外面にかけて貫通するように設けられた排出口19に接続されている。つまり、循環ラインL7の基端側は流路13の下側から分岐するように流路13に接続されている。流路13の下側に設けられた排出口19を通じて循環ラインL7に混合流体を流入させることで、循環ラインL7に泡Fが混入することをより確実に抑制できる。このことは本発明者らが作製した試験プラントにおいて目視により確認されている。
消泡装置20は、流路13の上側に連結された本体部(拡張部)21と、本体部21内に配置されたインペラ25と、インペラ25を回転させるための電動機28とを備える。本実施形態においては、インペラ25と電動機28とによって消泡装置が構成されている。本体部21内には水平方向の断面形状が円形の空間21sが形成されている。図4に示すように、本体部21の上端側はプレート22によって閉鎖され、他方、本体部21の下端側は流路13と連通している。プレート22は、本体部21の上端側に設けられたフランジ21aに対して着脱自在であり、ボルト23によってフランジ21aに装着される。プレート22は、インペラ25のシャフト25aを通すための開口22aと、消泡処理によって液体から分離されたオゾン含有ガスを排出するための開口22b(図3及び図5参照)とを有する。なお、開口22aはその内面とシャフト25aの外面との間からオゾン含有ガスが漏れないようにシールされている。
流路13に本体部21を連結させたことで、流体が流れる空間が部分的に拡張している。このため、本体部21が設けられている箇所において混合流体の流速が下がり、泡Fをより確実に本体部21内に取り込むことができる。そして、本体部21内においてインペラ25を回転することによって消泡することができる。消泡装置20の内容積V1と消泡装置20が設けられた箇所の流路13の内容積V2との合計容積と、当該箇所の流路13の内容積V2との比(V1+V2)/V2は1.1〜2.0程度であればよく、1.2〜1.8程度であってもよい。この比が1.1以上であれば泡Fを消泡装置20内に十分確実に取り込むことができ、他方、2.0以下であれば消泡装置20のサイズが過度に大きくなることを抑制できる。
インペラ25は、羽を有し、この羽を回転駆動するように構成されたものである。より具体的には、インペラ25は、シャフト25aと、シャフト25aと直交する方向に拡がる円板25bと、円板25bの下面側に設けられた六枚の羽根25cとを備える。シャフト25aは電動機28の動力によって回転する。円板25bはシャフト25aの回転に伴って回転する。インペラ25の回転数は2000〜5000回転/分程度とすればよい。
円板25bの周縁と本体部21の内壁との隙間(図6における幅Wb)は1〜5mm程度であればよく、1〜3mm程度であってもよい。この隙間(幅Wb)が1mm以上であれば、円板25bの周縁が本体部21の内壁に接することを十分に防止でき、他方、5mm以下であれば泡Fがこの隙間を通じて開口22bに到達することを十分に抑制できる。
六枚の羽根25cは、円板25bの中心側から外側に放射状に延びている。羽根25cの先端と本体部21の内壁との隙間(図6における幅Wc)は2〜5mm程度であればよく、2〜4mm程度であってもよい。この隙間(幅Wc)が2mm以上であれば、羽根25cの先端が本体部21の内壁に接することを十分に防止でき、他方、5mm以下であれば羽根25cの回転によって十分確実に消泡できる。羽根25cの高さは10〜50mm程度であればよく、15〜35mm程度であってもよい。なお、羽根25cの枚数は六枚に限定されるものではない。
本実施形態においては、インペラ25を備えた消泡装置を例示したが、この代わりに化学的な手段を備えた消泡装置を採用してもよい。例えば、消泡装置として、拡張部に消泡剤を添加する機構を備えた装置を採用してもよい。なお、消泡処理によって流路13内の流体から分離されたオゾンガスは、オゾンガスを無害化するための設備に移送したり、汚泥の処理に再利用したりすればよい。
余剰汚泥減量化装置10によれば、流路13に設けられた消泡装置20により、流路13を流れる流体に対して消泡処理を実施できる。特に、流路13の空間は、消泡装置20の本体部21によって、流体が流れる方向に直交する方向に拡張(流路断面が部分的に拡張)している。このような構成により、拡張部(本体部21)の近傍を通過する流体の流速が遅くなり、オゾンガスを含む泡と被処理水との分離(気液分離)を促進することによって、泡に対して消泡処理をより確実に実施できる。例えば、オゾンガスを含む泡が多く残存している液体をポンプで移送すると、ポンプの空打ちが生じたり、ポンプのパーツがオゾンガスによって腐食したりするおそれがある。これに対し、ポンプで液体を移送するに先立って流路13内の流体に対して消泡処理を施すことで、これらの不具合を十分に抑制できる。
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態においては、図2に示す構成の流路13を有する装置10を例示したが、流路13の態様は鉛直方向に対して交差する方向に延びる経路を有し且つ入口14から迂曲して出口15に至るものであれば、これに限定されない。例えば、流路13は、図7〜10に示す態様であってもよい。これらの態様であれば、装置全体の十分なコンパクト化が図れる。
図7に示す態様は、略矩形の流路13Aが鉛直方向に多段状に設けられたものである。すなわち、図7に示す流路13は、略水平方向に延びる第1の経路13dと、第1の経路13dと略同じ高さに設けられ且つ第1の経路13dに対して略直交する方向に延びている第2の経路13eと、第2の経路13eと略同じ高さに設けられ且つ第2の経路13eに対して略直交する方向に延びている第3の経路13fと、第3の経路13fと略同じ高さに設けられ且つ第3の経路13fに対して略直交する方向に延びている第4の経路13gとを有し、これらを直列につなぐことによって、第1〜第4の経路13d〜13gは平面視において略矩形をなすように配置されている。そして、図7に示す流路13は、流路13Aのような略矩形の流路を上下方向に多段状に有する。図7に示す態様は四段の流路13Aを有する。図7中の矢印は混合流体の流れる方向を示す。これらの矢印で示されたとおり、上下方向で隣り合う流路13Aにおける混合流体の流れる方向は逆向きになるように構成されている。かかる構成を採用することにより、装置全体をコンパクトにできるという利点がある。なお、ここでは製造が容易であるという点から、略矩形の流路13Aを構成することを例示したが、流路13Aの形状は略矩形でなくてもよく、例えば、平面視で略三角形、角が略直角でない四角形(例えば平行四辺形(ひし形を含む)及び台形)、あるいは五角形以上の多角形であってもよい。
図8に示す態様は、U字状の経路が鉛直方向に多段状(三段)に設けられたものである。すなわち、図8に示す流路13は、略水平方向に配置された一段目のU字状の経路13hと、その上方であり且つ略水平方向に配置された二段目のU字状の経路13iと、その上方であり且つ略水平方向に配置された三段目のU字状の経路13jとを有し、これらが上向管13k,13lによって直列につながれている。図8中の矢印は混合流体の流れる方向を示す。これらの矢印で示されたとおり、上下方向で隣り合うU字状の経路における混合流体の流れる方向は逆向きになるように構成されている。かかる構成を採用することにより、装置全体をコンパクトにできるという利点がある。
図9に示す態様は、螺旋状の流路13が下方から上方に向けて延びたものである。螺旋状の流路13の接線の方向と水平方向とのなす角(図9における角度α)は好ましくは10°以下であり、より好ましくは0〜3°である。角度αが10°以下であれば、流路13内に混合流体の押し出し流れを十分に発生させることができ、混合流体に含まれる気体又は泡が液相よりも著しく早く出口15に至ることを抑制できる。図9中の矢印は混合流体の流れる方向を示す。
図10に示す態様は、略直方体形状の容器12aと、容器12aの互いに対向する内側面12b,12cをそれぞれ基端する複数の仕切り板12d,12eとによって流路13が構成されるものである。仕切り板12d,12eは下方から上方に向かって交互に設けられている。この場合、流路13の流路断面の形状は典型的には矩形である。図10中の矢印は混合流体の流れる方向を示す。10に示すとおり、流路13は、第1の経路13aと、第2の経路13bと、折り返し部13cとによって構成されている。
上記実施形態においては、汚泥返送ラインL5aから分岐した分岐ラインL6の途中に処理部12を設置する場合を例示したが、分岐ラインL6を採用せず、図11に示すように、汚泥返送ラインL5aに処理部12を設置してもよい。あるいは、生物反応槽2内の水が装置10に直接導入されるように構成してもよい。装置10に供給される被処理水の性状(例えばBOD、活性汚泥濃度など)に応じて、その供給量等の条件を適宜設定すればよい。
上記実施形態においては、公共下水又は工場排水を処理対象とし且つ余剰汚泥の減量化を目的とした水処理装置(装置10)を例示したが、本開示に係る水処理装置の処理対象及び目的はそれぞれこれに限定されるものではない。その処理対象は分解処理すべき有機物を含む水であればよく、具体例としては下水処理水(いわゆる中水)、工場排水の処理水及び水道水などが挙げられる。そして、本開示に係る水処理装置は、下水処理水又は工場排水の処理水の脱色、脱臭及び消毒などを目的としたものであってもよく、水道水のカビ臭を取り除く目的としたものであってもよい。
本開示によれば、被処理水とオゾンガスとの混合によって生じた泡を十分効率的に処理することができ、これにより、オゾンガスを含む泡に起因する不具合を十分に抑制できる余剰汚泥減量化装置が提供される。
L7…循環ライン(循環路)、10…余剰汚泥減量化装置、13…流路、13a…第1の経路(第1の部分)、13b…第2の経路(第2の部分)、13c…折り返し部(曲がり部)、13d…第1の経路、13e…第2の経路、13f…第3の経路、13g…第4の経路、19…排出口、20…消泡装置、21…本体部(拡張部)、25…インペラ、28…電動機。
Claims (6)
- 生物系汚泥を含む被処理水とオゾンガスとを接触させながら移送する流路と、
前記流路の一部であって流路断面積が拡張している拡張部と、
前記拡張部に設けられた消泡装置と、
を備える余剰汚泥減量化装置。 - 前記流路は、
横方向に延びている第1の部分と、
横方向に延びており、前記第1の部分と異なる方向に延びている第2の部分と、
前記第1の部分と前記第2の部分をつないでいる曲がり部と、
を有する、請求項1に記載の装置。 - 前記流路の上流側から下流側に向けて、前記第1の部分、前記曲がり部及び前記第2の部分はこの順序で配置されており、
前記第2の部分は前記第1の部分よりも高い位置にある、請求項2に記載の装置。 - 前記オゾンガスによる処理が施された処理水の少なくとも一部を前記流路から抜き出す排出口と、
前記排出口からの前記処理水を前記流路の上流側に戻す循環路と、
を更に備え、
前記排出口は、前記流路における前記拡張部が形成された位置又は当該位置よりも下流側に形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。 - 前記排出口は前記流路の下側に形成されている、請求項4に記載の装置。
- 前記消泡装置はインペラである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
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