本明細書で説明されるデバイス、システム、および方法は、限定するものではないが、血管造影法、IVUS、光干渉断層法(OCT)、近赤外分光法(NIR)、およびFFR(「血流予備量比」)などの他の標準的な診断法と比較して、少ない占有面積および低いコストで、撮像、精密な物理的測定、および組織性状診断を組み合わせる。本明細書で説明される技法は、さらに、いくつかの他の診断手法より多くの解剖学的な詳細を明らかにし、さまざまな使用法においていくつかの利点を提供することができる。
本明細書の開示は、血管内腔または断面積などの血管寸法を決定するためのデバイス、システム、および方法を提供する。本明細書で説明される血管内腔は、内腔を流れる流体として血液を有する動脈または静脈のような循環系の内腔を意味し、一般に血管と呼ぶ。本明細書で使用される「寸法」は、限定するものではないが、断面積、直径、半径、長軸/短軸、およびそれらの任意の派生物を含む。本開示の態様は、スタンドアロンシステムまたは方法として、またはより大きな診断用または治療用のデバイスまたは手技の一部として、適用されることができる。本開示の態様は、個別に、まとめて、または互いと組み合わせて理解できることを理解されたい。1つまたは複数の実施形態で説明される特徴は、本開示で別段の指定がない限り、他の実施形態に組み込まれることができる。
いくつかの実施形態では、システムおよび方法は、内腔のどこで断面積が最小になるかを決定する、したがってどこに閉塞が存在するかを特定するために、断面積を決定することができる。いくつかの実施形態では、本開示は、血管系のブロックされた領域内でのステントの正確な留置および膨張を提供し、ステント寸法の選択、留置、適用範囲(coverage)、および血管壁への適切な圧着付加を決定および確認するために追加の診断用具を使用する必要性は、最小限であるかまたは全くない。本明細書の実施形態は、動脈、他の血管、または他の内腔内でのステントの地理的な誤配置に対応することができる。なぜなら、血管造影図から、不正確かつ主観的な視覚的推定を行うことがあるからである。地理的な誤配置には、縦方向のミス(miss)および/または軸方向のミスを含むことができる。縦方向の誤配置の際、ステントは、遠位方向のあまりに遠くにまたは近位方向のあまりに遠くに置かれ、いくつかの例では、発見されていないプラークを残す。他の例では、ステント長さが、病変長を対象とするのに不十分なことがあり、同様に、発見されていないプラークを残す。さらに、バルーンが、近位方向のあまりに遠くで、または遠位方向のあまりに遠くで膨らまされた場合、バルーンによる膨張後に、血管の損傷がステントのエッジに生じることがある。軸方向のミスでは、ステント対動脈比は、0.9未満とすることができる。すなわち、ステントは、所望の動脈直径の少なくとも90%まで膨らまされない。別の形の軸方向のミスでは、ステント対動脈比は1.3より大きくすることができ、これは、ステントが所望の動脈直径の130%を超えて膨らまされることを意味する。
いくつかの実施形態では、断面積などの内腔パラメータを決定するステップは、血管系内の閉塞の場所の、また膨らまされたバルーンまたはステントの寸法を示すために、正確なリアルタイムの決定を可能にする。しかし、本明細書のシステムおよび方法は、以下で説明されるTAVI手技などの、身体の他の任意の適切な部分における他の任意の適切な手技に使用されることができる。
いくつかの実施形態では、閉塞の場所、または他の解剖学的対象領域が特定でき、この解剖学的対象領域に関連して他の診断デバイスの移動が追跡されることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、閉塞の場所に関連してステントカテーテルの移動が追跡できるように、閉塞が特定され、基準点を参照して登録される。他の公知の方法は、解剖学的対象領域を特定するために使用されることができる。
本開示の第1の態様では、血管内腔情報を決定する。これらの実施形態は、血管内腔または臓器(「内腔または臓器」は、本明細書では一般に、単に「内腔」と呼ばれる)内に位置付けされた励起要素の間に電流を通過させるステップを含み、内腔の1つまたは複数の断面積などの1つまたは複数の内腔パラメータを決定するために血管内腔内の複数のセンサすなわち感知要素を使用して1つまたは複数の応答電気信号(応答信号とも呼ばれる)を測定する。例示的な方法では、励起信号は複数の周波数信号であり、応答信号は、複数の周波数で同時に測定された応答電圧である(これは、本明細書では一般に「周波数ダイバーシティ」と呼ばれる)。複数の周波数にわたって測定された応答信号は、次に、1つまたは複数の断面積などの1つまたは複数の内腔パラメータを決定するために使用される。いくつかの実施形態では、細長い医療用デバイス上に配置された励起要素は、デバイスに沿って互いから等距離に離隔されず、この概念は、本明細書では一般に「空間ダイバーシティ」と呼ばれる。
本明細書で使用されるとき、以下の用語「細長い医療用デバイス」、「診断デバイス」、「デリバリーデバイス」、「ガイドワイヤ」、「カテーテル」は、限定するものではないが、同じまたは類似のデバイスを指すために互換的に使用されることができる。
本明細書の方法では、内腔パラメータを決定するために、血液、血管壁、脂肪組織、石灰化組織などの種々の身体要素の周波数に依存した特徴的な電気的性質を利用する。図2は、周波数範囲108にわたる種々の組織タイプのインピーダンスの大きさ106を示すグラフである。インピーダンスの大きさ(dB単位で測定されたVin/Iinの絶対値)対周波数(Hz)が、大動脈110、血液112、および脂肪(平均浸潤(average infiltrated))114に対して提供されている。Vinは電圧を表し、Iinは電流を表す。図示されている血液、組織(大動脈血管)、および脂肪に対するインピーダンスの大きさのプロット(dB単位で測定されたVin/Iinの絶対値)は、異なる周波数における励起(たとえば、正弦波電流(AC)または他の任意の波形)が対象ボリューム(たとえば1立方ミリメートル)全体に連続して適用されるとき、インピーダンスの大きさは、そのボリュームを占有する身体物質のタイプに応じて変化することを示す。
図3は、周波数範囲126にわたる種々の組織タイプのインピーダンス位相124(度単位)の一例のグラフである。線128は、100Hz〜100MHzの周波数範囲にわたる組織(たとえば大動脈血管)のインピーダンス位相(度単位で測定されたVin/Iinの角度)を表し、線130は、周波数範囲にわたる血液のインピーダンス位相(度単位で測定されたVin/Iinの角度)を表し、線132は、周波数範囲にわたる脂肪のインピーダンス位相(度単位で測定されたVin/Iinの角度)を表す。Vinは電圧を表し、Iinは電流を表す。図示されている血液、組織、および脂肪に対するインピーダンス位相のプロット(度単位で測定されたVin/Iinの角度)は、異なる周波数における励起(たとえば、正弦波電流(AC)または別の場所に記載される他の任意の波形)が対象ボリューム(たとえば1立方ミリメートル)全体に連続して適用されるとき、インピーダンス位相は、そのボリュームを占有する身体物質のタイプに依存することを示す。
励起要素を励起させるために使用される電気励起系列は、適切な周波数範囲に及ぶ複数の周波数により内腔を同時に励起させるように設計される。好ましくは、種々の身体要素(たとえば、血液、脂肪、プラーク、組織)が図2および図3に示される範囲などで周波数に依存したはっきり異なる電気特性を示す周波数範囲が選定される。これらの違いは、周波数に依存した測定された信号における一意の特性につながり、これは、内腔寸法の正確な評価で役に立つ。
図1は、血管内腔内にT1〜T4電極を有する例示的な細長い医療用デバイスの表現を示す。電流フィラメント54に沿って励起電極T1とT2の間を通過する電流が示されている。図示のように、フィラメントのうちのいくつかは、内腔内の血液のみを通過し、いくつかは、血液と血管壁の両方を通過する。脂肪組織または石灰化した脂肪組織などの追加の組織が内腔壁に堆積されることがあり、したがって、いくつかのフィラメントは、血液、内腔組織、脂肪組織、石灰化した脂肪組織などのうちの1つまたは複数を通過する。端子T1とT2の間の全電気電流は、個々の電流フィラメントすべての合計である。端子T1、T2、T3、およびT4は、この実施形態では電極であるが、電圧を測定するように適合される。これにより、3つの一意の電圧V1、V2、およびV3(たとえば、T1とT3の間、T3とT4の間、およびT4とT2の間の電圧)が形成される。3つの一意の電圧を測定する代替手段がある。たとえば、端子T2は共通基準として使用でき、3つの一意の電圧は、T1とT2の間、T3とT2の間、およびT4とT2の間で測定されることができる。この代替測定は、本質的には、すでに述べたV1、V2、およびV3を測定するステップの例の線形結合であり、これらは同じ情報を伝える。選定された電圧を測定する特定の方法は、実装形態の利便性および各タイプの測定に存在するノイズの度合いによって決まる。
図1から、電流線は電極近傍で混雑し、電極から離れて扇形に広がることは明白である。これにより、励起電極間で測定されるインピーダンス(2ポートインピーダンスとも呼ばれる)が効果的に増加する。測定された2ポートインピーダンスは、導電性媒体の円筒形部の抵抗またはインピーダンスを計算するのに使用される式によって決定されるインピーダンスよりかなり大きいであろう。後者のインピーダンスは、ρ*L/Aである(式中、ρは媒体の抵抗率、Lは円筒形部の長さ、Aは断面積である)。いくつかの例では、式によるインピーダンスより数倍大きな値が観測された。接触インピーダンスまたは電極の端部効果と呼ばれることもある余分なインピーダンスは、電極の幾何学的形状およびその中にある媒体の伝導率に応じて決まる。内腔の断面積が非常に大きな値まで増加する場合でも、2ポートインピーダンスは、ある一定の値を下回ることはない。接触インピーダンスの影響を軽減するため、励起電極から離れてより近くに離隔された電極を使用する4点インピーダンス測定が使用される。図1を参照すると、電気電流フィラメントは、電極T3とT4の間で軸とほとんど平行であることが分かる。4点測定は、電極T3とT4の間で行われる測定であり、励起が外側の電極T1とT2の間で生じる。これにより、電極の幾何学的形状の影響は低下するが、励起電極が非常に遠く離れて置かれない限り、完全には低下しない。さらに、血液の外側(壁および周囲組織)を通過する電流の量も、電極の幾何学的形状の影響を受け、これを4点測定により補償することはできない。したがって、本明細書の方法で説明される手法は、計算における電極の幾何学的形状の影響を含む。この方法では、インピーダンスを決定しようとしないが、代わりに断面積を決定するために対象領域内の種々の場所における電気電圧分布を使用する。これらの電圧分布は、電極の幾何学的形状と内腔寸法の両方の影響を受ける。以下で説明するように、電極の幾何学的形状を含む等価な電気モデルを構築することによって、これらの要因の両方が内腔の断面積の計算において自動的に考慮される。
励起電極の空間ダイバーシティによって、より正確で堅牢な推定された内腔パラメータが得られる。図1を参照すると、いくらかの電流は内腔を通過するが、いくらかの電流は内腔壁を通過する。電極が互いに近接して離隔される場合、電流の大部分は内腔を通過するが、電流の非常に少ない部分は壁を通過する。このような状況で、観測される電圧は、壁の境界、したがって内腔寸法の影響を受けにくくなる。一方、電極があまりに遠くに離れて離隔された場合、電流の大部分は壁を流れる。この状況では、電圧は、内腔のサイズの小さな変化の影響を受けにくくなる。いくつかの実施形態では、電流の約半分が内腔を流れ、残りが壁を流れる、最適な間隔が存在する。これにより、一般に、内腔寸法の変化に対する所望の感度が得られる。最適な間隔は、内腔寸法および組織の電気特性によって決まる。経験則として、組織の一般的な電気特性では、T1とT2の最適な間隔は内腔の直径にほぼ等しいことが経験的に分かっているが、間隔はこれに限定されるものではない。固定された電極間隔については、この間隔は、潜在的な内腔サイズの動作範囲全体に対して最適化されるべきである。この場合、この間隔は、感度が動作範囲全体にわたって妥当であるように、動作範囲の中央の値に対して最適化される。代替方法では、その間に異なる間隔を有する多数のセットの電極が設けられる。1つのセットは、予期される内腔寸法に応じて手技のために選定される。別法として、第1の測定は、デフォルトの電極のセットを使用して行われる。この測定に基づいて、第2のセットの電極は、内腔寸法のより正確な推定値を取得するために選定される。
図1の例示的な実施形態では、電極T3およびT4は、測定のためにのみ使用される。しかし、より多数の電極が使用可能である。図1に示される2つは、例にすぎない。これらの電極の位置は、励起電極T1とT2の間に均一に離隔されて概略的に示されている。代替実施形態では、測定用電極は、T1とT2の間で厳密に均一には離隔されないように、ジグザグに配置されることができる。この非対称性は、追加の内腔情報を提供することが分かっている。たとえば、たった1つの測定用電極(たとえばT3)が、T1とT2の間で使用され、T1とT2のちょうど中間に置かれるとき、T3とT2の間で測定される電圧は、T1とT2の間の電圧のちょうど半分となる。この電圧測定は、内腔寸法とは無関係であり、したがって余分な情報を提供しない。一方、単一の測定用電極(たとえばT3)がT1とT2の間の中央からやや外れて置かれる場合、T3とT2の間の電圧値は内腔寸法によって決まる。一般に、励起電極間で均一に離隔された多数の測定用電極がある場合、測定値の約半分は追加情報を提供しないが、ほぼ半分は追加情報を提供する。したがって、電極のやや歪んだ間隔が、最小数の測定用電極を使用しながら取得される情報を最大限にするために選定されることができる。
T1およびT2に対応する励起電極のサイズは、接触インピーダンスならびに機械的および解剖学的な制約を考慮して選定されなければならない。機械的な制約および解剖学的構造の巻き付き性により、血管は、サイズができる限り小さく保たれることを要求する。しかし、このサイズを小さくしすぎると、電極の接触インピーダンスは、電圧測定値に影響を及ぼす主要因となるであろう。接触インピーダンスはほとんど内腔寸法と無関係であるので、これにより、内腔寸法に対する電圧測定値の感度が低下する。実験に基づいて、適切な電極サイズは、約1〜2平方ミリメートルの外表面積を有するサイズであることが分かった。しかし、これは、この範囲に一致しないサイズが不適当であることを意味するものではない。内腔寸法推定の精度および機械的性質とのトレードオフがあるであろう。
図4は、ある周波数範囲にわたって心臓に提供されうる例示的な電流値のためのグラフを示す。たとえば、心臓を通る最大許容電流(ミリアンペア単位)は、周波数範囲にわたって変化することができる。心臓を通る最大許容電流は、図示のように電流が異常で非連続的に、異常で連続的に、または正常で連続的に印加されるかどうかによっても変化することができる。動作中の本明細書で説明する実施形態は、許容可能な安全性限界内で励起電流を使用するように設計される。いくつかの実施形態では、励起は、特定の周波数で、または特定のセットの周波数で、適用されることができる。いくつかの他の実施形態では、励起は、周波数範囲にわたって印加されることができる。いくつかの実施形態では、範囲は、40KHz〜10MHzとすることができる。一般に、周波数範囲は、対象領域の電気回路網の構成要素の電気的性質の最大の違いをもたらすように選定される。
血液、血管壁、脂肪組織、および石灰化組織はそれぞれ、周波数に依存した特徴的な電気的性質を有するので、印加される全電気電流ならびに3つの測定された電圧は、大きさ、位相、および周波数依存性が、血液および血管壁を流れる電流の相対的な部分によって決まる値を有する。全体的に、周波数に依存した測定値は、血液の周波数に依存した電気特性、血管の直径(DBLOOD)、壁の周波数に依存した電気特性、壁の厚さ(TWALL)、ならびに電極の幾何学的形状および間隔を含むいくつかの要因によって決まる。図1の例を参照すると、周波数範囲にわたるVI、V2、およびV3の値が決定される(または、測定される他の任意の数の電圧は電極の数に応じる)と、以下で説明する方法により高い精度を有するDBLOODを推定することが可能である。任意選択で、このプロセスでは、血液の電気特性も推定されることができる。これにより、ヘマトクリットなどの血液の物理的性質に関する追加の臨床上での価値が提供されうる。
内腔のサイズを決定するためのいくつかの従来技術による手法は、重大な欠陥を有する。たとえば、ある従来技術による手法では、2つの端子のみからなるデバイスを使用して内腔の直径を推定しようとする。この方法は、血液および壁の単純化した電気表現を使用し、測定のために第2の流体の注入を必要とする。単一周波数は、励起電流を端子に通過させるときに使用され、したがって、周波数範囲を励起しない。血液を通る電気経路は、単一の電気インピーダンスによって表される。壁を通る電気経路は、並列インピーダンスによって表される。方法は、最低でも2つの測定を行うことを必要とする−第1の測定は従来の条件によるものであり、第2の測定は、電気伝導率が血液の伝導率と明らかに異なる食塩水で血液を置換した後に行われる。この手法では、2つの仮定すなわち壁を通る並列電気経路のインピーダンスは2つの測定にわたって変化しない、および2つの測定値における「血液」経路のインピーダンスは媒体の伝導率に反比例する、がなされる。言い換えれば、インピーダンスZ=K/sigmaであり、式中、sigmaは血液または食塩水の伝導率、Kは、値が血管の直径および電極の幾何学的形状によって決まる定数である。Zの値は、血管の壁の電気特性によって決まらない。
上記で説明した従来技術による手法には、基本的問題がある。第1に、壁を通る並列経路は、単一タイプの組織から構成されない。図1で分かるように、血管壁を必要とする電気経路は、さまざまな度合いの血液および血管壁を通過する多数の電気電流フィラメントを有する。さらに、動脈の罹患部では、異なる形態(石灰化、石灰化してない、繊維状など)のさまざまな度合いのプラークがある。したがって、「並列経路」の全体インピーダンスは、健康な動脈では血液、罹患した動脈では他のプラーク組織の電気特性によっても決まる。したがって、第2の測定中に、血液が生理食塩水で置換されるので、並列経路では、インピーダンスが変化するであろう。第2の問題は、把握し難い(subtle)が、おそらく、より重要である。血液経路が壁の特性と無関係であるという仮定は不正確である。この問題の一例として、図5および図6は、2つの極端なケースの電気電流フィラメントを示す。図5に示される第1のケースは、血管の壁が絶縁性である(すなわち壁の伝導率が血液よりはるかに低い)ときに発生する。図6に示される第2のケースは、壁の導電性が高いときに発生する。この2つの図を比較すると、図6の第2のケースでは、電気電流フィラメントは、明確に異なる形状を有することが分かる。フィラメントは、電流伝導の大部分が生じる壁に向かって描かれている。その結果、電気電流を伝導する血液の量が減少し、「血液経路」のインピーダンスの効果的な増加をもたらす。
前のこの手法では、壁のコンダクタンスは同じままであるが、内腔内の媒体のコンダクタンスは変化する。しかし、その影響は、壁の伝導率が変化しても同じである(すなわち、相対コンダクタンスは重要な要因である)。非常に高い伝導率が、ある点を示すために使用されてきたが、その効果は、ほとんどの場合あまり目立たないが、それにもかかわらず、相対伝導率の中程度の変化によっても存在する。これらの所見を、電磁(EM)シミュレーションを使用して客観的に検証することは簡単である。
上記で記載した従来技術による手法の欠陥に加えて、前のこの手法は、励起の周波(すなわち周波数ダイバーシティ)を変化させず、空間ダイバーシティも利用しない。周波数ダイバーシティの欠如により、一般に、種々のタイプの組織の区別は不十分であるか、全くない。空間ダイバーシティの欠如により、堅牢さが損なわれる。同様に、電極の幾何学的形状の影響に対する感度が低下する。電流フィラメントは、電極近傍で混雑し、電極から離れて徐々に広がる。この影響は、ワイヤの軸に沿って複数の点に沿って電圧を測定することによって、本質的に記録される。
上記に記載したように、励起の周波数が変化するので、異なるタイプの組織(または、体内で見られる非組織)は、電圧および電流との関係において異なる特色(signature)を有する。たとえば、図2および図3に示すように、血管、血液、および脂肪組織はそれぞれ、電圧および電流において異なる特色を有する。いくつかの例示的な実施形態では、本明細書の方法およびシステムは、励起信号を複数の周波数で同時に提供し、励起信号の結果として電気応答を測定する(すなわち、周波数ダイバーシティ)。これらの方法およびシステムにより、測定を同時に行うことができ、それによって、収縮期相または拡張期相の間など、心拍動の同じ位相中に測定を行うことができる。これによって、心拍動の位相を考慮するために異なる時間に行った複数の測定値を重ね合わせることに関連する困難が克服される。本明細書で説明する方法を使用して行われるいくつかの例示的な測定としては、たとえば、内腔寸法、脂肪のような内腔の特定領域の性質、狭窄、ブロック、動脈、血圧、血流量、組織など、およびそれらの組み合わせがあるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、測定される信号は、電極などの複数のセンサ間で測定される電圧である。たとえば、図1を参照すると、複数の周波数を有する電気信号が端子T1およびT2を流れた後、電圧V1、V2、およびV3を周波数のそれぞれで測定するが、センサの数に基づいて任意の数の電圧を測定することができる。さらに、空間ダイバーシティに関して上記で説明したように、端子T1、T2、T3、およびT4は、内腔寸法の変化に対する測定の感度が最大になるように離隔される。次に、V1、V2、およびV3の周波数応答が、内腔直径などの内腔寸法を推定するために使用される。
1つまたは複数の内腔断面積が決定されている一実施形態では、内腔のエリアの電気経路は、メッシュ回路網を使用してモデル化される。このような一例が図7に示されている。2タイプの電気要素、すなわち血液要素および内腔壁要素はそれぞれ、組織の単位要素を表す。このようなメッシュ回路網は、電気を伝導する連続媒体に近いものである。近似誤差を減少させるため、より細かいメッシュを選定することができる。必要とされる精度と計算の複雑度とのトレードオフが存在する。近似が正確になるにつれて、必要とされる計算の複雑さが高くなる。その最も粗い(最も低い精度を有する)形では、メッシュは、血液に関して1つの要素および壁に関して1つの要素に減少する。これは、すでに試行された手法である。言うまでもなく、これは、あまりにも粗い近似である。
メッシュ回路網では、各血液要素のインピーダンスは、内腔断面積の線形関数であり、血液の伝導率に反比例する。代替の式では、血液要素のインピーダンスは、内腔寸法と無関係に保つことができるが、要素の数は内腔寸法に基づいて変化する。後者は、実際には不便である。なぜなら、電気回路網のトポロジが一定でなく、内腔寸法で許容される変化は、恣意的ではなく個別のステップであるからである。同様に、内腔壁要素は、壁の肉厚ならびに電気伝導率によって決まるインピーダンスを有する。解剖学的には、内腔壁は、複数の層を有することができる。より正確なモデルを確立するために、追加のタイプの要素をメッシュ回路網に追加することができる。たとえば、脂肪組織または石灰化組織に関連する要素がモデルに含まれる。さらに、モデリングの精度を向上させるために、3次元メッシュも構築されることができる。
このメッシュ回路網、ならびにある周波数範囲にわたって測定された電圧V1、V2、およびV3を仮定すると、内腔寸法は、以下のように、さらに図7Aに示すように、反復的に解かれる。電気電圧測定値VM1、VM2、およびVM3を取得した後、血液、組織、内腔寸法、および壁寸法の、特定の周波数に依存した電気モデルパラメータを仮定する。次に、仮定されたパラメータを使用して、等価な電気回路網を解き、電圧V1、V2、およびV3を取得する。次いで、モデル電圧を実際の観測された電圧と比較する。差が最小限でない場合、差に基づいてパラメータのすべてに補正を加え、解答ステップを繰り返す。差が最小限であるとき、内腔寸法は、収束した幾何学的パラメータに基づいて宣言することができる。これらのステップは、たとえば限定するものではないが、ガウスニュートン法、最急降下法、およびレーベンバーグ−マルカート法などの最小二乗フィッティング法などの標準的なフィッティング法を使用して実施されることができる。
内腔寸法が決定されている第2の実施形態では、血液および内腔壁を含む内腔領域が、電磁(EM)シミュレーションツールを使用してモデル化される。EMツールは、有限要素法(「FEM」)を使用して、内腔領域をより小さな要素(たとえば四面体形状を有する)に分解する。有限要素に分解する一例が図8に示されている。内腔領域内の身体物質の電気的性質および磁気的性質を仮定して、ツールは、電磁気学の基本的なマクスウェルの方程式を適用して、内腔領域全体のすべての電圧および電流を解く。メッシュ回路網について説明した方法に類似した反復的手法は、内腔寸法を決定するために使用されることができる。図7Aと図8Aの違いは、等価なEM FEMモデルを解いて所与のパラメータの電圧V1、V2、およびV3を得るステップである。
上記で説明した両方の反復的な方法では、内腔寸法は、電極の近くでほぼ一定であると合理的に仮定されている。一般的な電極の離隔距離は、数ミリメートル程度である。これは、内腔寸法が内腔の軸に沿って数ミリメートルにわたってほぼ一定であると仮定されていることを意味する。最も実際的な場合では、内腔寸法は、軸横断の数ミリメートル以内で大きく変化しない。これら数ミリメートル以内の変動の場合、推定される内腔寸法は、軸に沿った内腔寸法の局所平均となるであろう。局所平均は、2つの励起電極の中点値を表す。一般的な手技では、測定用電極は血管の長さを横断し、測定値は複数の箇所で得られる。したがって、内腔寸法は、血管の異なる領域について推定される。
上記で説明し、図7A、8A、および8Bに示されている反復的な方法では、内腔寸法に加えて、身体要素の電気的性質も決定されることに留意されたい。これらの性質としては、血液および壁の伝導率がある。これらの電気的性質は、ヘマトクリットなどの臨床パラメータおよび閉塞(たとえば、石灰化閉塞)がある場合はその特性を推測するために、出力としても使用可能である。
EM手法は、図7に示されるような回路網などのメッシュ電気回路網よりはるかに正確な内腔領域のためのモデルである。しかし、EM手法も、計算が非常に複雑である。EMモデルにおけるステップを解くには、一般に、大量の時間が必要となる。計算速度を向上させるため、修正された手法を採用することができる。この修正された手法では、EMツールは、幾何学的パラメータおよび周波数に依存した電気モデルパラメータの多数の可能なセットの電圧分布を計算するために、患者の体内で使用する前に、オフラインで使用される。EMシミュレーションが実行されるパラメータの値は、パラメータの動作範囲全体を対象とする。EMシミュレーションは、個別の(および思慮深く選定された)パラメータ値に対して行われ、ルックアップテーブルが作成される。明示的にシミュレートされないパラメータ値については、内挿が実行される。まれに、EMシミュレーションが実行された範囲外にパラメータ値がある場合がある。このような場合、内挿ではなく、外挿が行われる。外挿は、一般に、内挿より大きな誤差を有するが、このような場合には、内腔寸法推定の精度に影響を及ぼさないことが分かっている。したがって、測定が実際に行われる前でさえ、パラメータの任意の可能なセットに対応するEMシミュレーションの結果が入手可能となる。ルックアップテーブルの作成は、時間がかかる作業であるが、任意に大量のコンピューティングリソースを使用してオフラインで実行できる作業である。ルックアップテーブルが作成されたら、EMモデルの解答ステップは、計算がより簡単になる。所与のパラメータ値、すなわち内腔壁の幾何学的寸法、および周波数に依存した電気モデルパラメータに対して、対応する電圧V1、V2、およびV3がルックアップテーブルから読み出される。所与のパラメータ値のセットに対する電圧値を得るために内挿または外挿が必要とされることはありうる。このようにして得られた値V1、V2、およびV3は、仮に完全なEMシミュレーションが所与のパラメータ値のセットに対して実行した場合に得られるであろう値に等しい。図8Bは、電圧応答のルックアップテーブルを作成するための流れ図(図の左側の流れ図)およびルックアップ値を使用して内腔寸法を決定する方法(図の右側の流れ図)を示す。
パルスが周波数範囲内で同時に送達される実施形態では、測定が任意の周波数範囲にわたって行われることができる。測定は、任意の周波数範囲で行われることができ、種々の組織タイプに対して生じるプロットの形状はさまざまである。たとえば、図3の影付き領域134に示されるように、インピーダンスの大きさならびに/または大動脈、血液、および脂肪に対する位相曲線の形状が、周波数範囲にわたって変化する。測定は、任意の度合いの周波数ステップサイズを有する周波数範囲内で行われることができる。ステップサイズは、同じままであってもよいし、周波数範囲にわたって変化してもよい。いくつかの実施形態では、測定は、血液、脂肪、および他の組織タイプのインピーダンスの周波数特性がはっきりした違いを示す約40KHz〜約10MHzで行われる。
図2および図3に示されるインピーダンスの大きさおよび/またはインピーダンス位相は、スケーリングが可能とすることができる。たとえば、測定が1立方ミリメートルのある組織タイプに対して行われる場合、および測定が2立方ミリメートルの同じ組織タイプに対して行われる場合、周波数スペクトルにわたる同じ組織タイプに対する測定値は、何らかの係数を第1の測定の値に乗じたものになる。別の例では、第1の量のある組織タイプに対する第1のセットの測定により、ある周波数範囲にわたって特定の曲線が得られる場合、同じ周波数範囲にわたる第2の量の同じ組織タイプに対する第2のセットの測定により、第1の曲線をスケーリングしたものである曲線が得られることができる。組織の1つまたは複数の寸法の差から、第1のセットの測定値を乗じられる係数が導き出されることがある。
インピーダンスの大きさおよび/またはインピーダンス位相は、加算であることもできる。たとえば、第1の量の第1のタイプの組織に対して測定が行われ、第2の量の第2のタイプの組織に対して測定が行われ、第1のタイプの組織と第2のタイプの組織の組み合わせに対して測定が行われる場合、この組み合わせに対する測定値は、共に加えられた第1のセットの測定値と第2のセットの測定値を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のセットの測定値および第2のセットの測定値は、1つまたは複数の係数によって重み付けされることができる。別の例では、第1の組織タイプに対する第1のセットの測定により、ある周波数範囲にわたって特定の曲線が得られ、第2の組織タイプに対する第2のセットの測定により、同じ周波数範囲にわたって第2の曲線が得られる場合、第1の組織タイプおよび第2の組織タイプの組み合わせに対する第3のセットの測定により、同じ周波数範囲にわたって、第1の曲線を第1の係数倍したものに第2の曲線を第2の係数倍したものを足したものになりうる第3の曲線が得られることができる。この係数は、1であってもよいし、1より小さくてもよいし、1より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、スケーリングは、大きさでのみ行われ、位相では行われない。
いくつかの実施形態では、ある周波数範囲にわたって複数の組織タイプの組み合わせに対して行われたインピーダンスの大きさの測定とインピーダンス位相の測定の組み合わせに対して、そのインピーダンスの大きさの測定とインピーダンス位相の測定の組み合わせが得られる、特定の寸法の1セットの組織タイプがありうる。したがって、周波数範囲にわたって行われるインピーダンス測定は、種々の組織タイプの寸法を得ることができる。これらの寸法は、血管断面積などの内腔寸法を決定するために使用されることができる。したがって、単位電気的性質は、組み合わせの一意性を利用して環境の体積測定データに変換されることができる。
ある周波数範囲にわたって刺激が実行されるいくつかの実施形態では、擬似ランダム2進系列(「PRBS」)が使用され、いくつかの実施形態では、直交周波数分割多重(「OFDM」)系列が使用され、これらの両方について、以下でより詳細に説明する。
いくつかの実施形態では、励起信号は、血管系の標的領域内の複数の電極を介して送達される。図9は、例示的な方法10を示す。方法は、ステップ12において、単位元(すなわち1)に近い所定のピーク対二乗平均の平方根(rms)比(「PAR」)を有する複数の周波数のシーケンスパルスを生成するステップを含む。
励起のレベル(すなわち励起のエネルギー)は、対象エリアへのピーク容認電流の制約によって制限される。体内に与えることができる最大電流がImaxである状況を考えてみよう。安全に与えることができる電流のrms値はImax/PARであり、これは、PARが高い場合には低くなる。これにより、次は、電気励起に対応する内腔からの電気応答の信号対雑音比(「SNR」)が、比例して低くなる。SNRが低いほど、最終的な推定値の精度が不十分になる。
いくつかの実施形態では、電気ハードウェアは、制限された動的範囲を有する。受信チェーン(receive chain)設計は、ピーク信号のインスタンスをその動的範囲より低く保つようにその利得を調整しなければならない。高いPARを有する信号の場合、それは、受信チェーン設計における全体的な信号エネルギーの低下につながる。一例として、2というPARは、受信チェーンが、機能できたであろう信号強度より2倍低い信号強度で機能しており、最大6dBのSNR劣化を生じうることを意味する。
比較的高いPAR値を有する設計は、必ずしもシステムが機能することを防止しない。この設計は、潜在的には、SNRの低下によって、より不正確になりうる。低いPARを有することが好ましい。しかし、低いSNRで動作可能な、または非常に高い動的範囲(設計の複雑さおよびコストの上昇)を有することができるシステムは、PAR値が比較的高くても、依然として機能することができる。
いくつかの実施形態では、複数の周波数および所望のPARすなわち単位元に近いPARによる励起は、擬似ランダム系列を生成することによって構築される。いかなる理論にも拘束されるものではないが、fsのサンプリング時に生成される長さLの擬似ランダム系列が、fs/L刻みで0(DC周波数に対応する)〜fs/2のエイリアスされていない離散周波数音(discrete un−aliased tones of frequency)を含有することは公知である。個別の音の位相が−□〜+□にわたって均一に分散される間、各周波数(DCを除く)における電力は等分布される。
励起を達成する1つの例示的な方法では、低ノイズを有するデジタルアナログ変換器(「D/A」または「DAC」)を使用する。上記で述べた要件を有するD/Aは、当技術分野で公知であり、本明細書の開示により効果的に使用されることができる。D/Aサンプリングレートは、必要とされる励起の最大周波数の少なくとも2倍である必要がある。D/A変換器出力の基本形状は、2つの連続するサンプル間の時間差に等しい幅の方形パルスである。擬似ランダム系列を出力するD/A変換器は、所望の最大周波数(fH)の2倍でサンプリングされる場合、D/A変換器は、基本的な擬似ランダム系列の周波数形状と方形パルスの周波数形状の積(すなわちfsで第1のヌルを有する正弦関数)である周波数形状であることは、当業者には理解されよう。
基本的な方形形状を有する擬似ランダム系列に基づく励起の大きな利点は、そのPARが単位元であることである。これにより、信号の所与のピーク振幅に対するrms信号電力が最大限になる。電気ハードウェアの性能に関するさらなる利点がある。この実装形態におけるD/A変換器の出力は、2つのレベル(−AおよびA)のみを有し、ここでAは励起の振幅である。非線形性により、信号に対する利得誤差およびオフセット誤差が生成されるので、送信チェーン(transmit chain)の線形性は重要ではない。動的範囲および線形性の要件はあまり厳しくないので、受信チェーン設計も、より低いPARによって簡略化される。長方形パルス形状(持続時間ts=1/fs)に基づくこのような励起の別の大きな利点は、D/Aが単一ビット励起により励起され、複数のビットの同時切り換えに関連するデジタル雑音を最小限にできることである。長方形パルス形状に基づく手法の軽微なフォールバックは、正弦応答のロールオフ(fH=fs/2で最大約4dB)によって、より高い対象周波数でわずかに低下することであり、これに比例して、チャネル推定に関する情報のSNRが低下する。しかし、このチャネル推定に関するSNRの低下は、システム性能に影響を与えない。代替実装形態では、基本的なパルス形状をデルタ関数に近づけることが可能な場合があり、その場合、周波数特性は周波数にわたって平坦となる。しかし、これは、PARの増加に関連する。D/A変換器出力は、対象帯域の外側での帯域外放射を防ぐために効果的にフィルタリングされる必要がある。このフィルタリングは、対象領域に通過帯域を有する受動または能動のアナログフィルタを使用して達成されることができる。PARおよびPARの小さいが有意でない増加におけるフィルタリング結果は、依然として単位元にかなり近いままであろう。
他の実施形態では、励起系列は、繰り返し直交周波数分割多重(OFDM)系列として構築される。OFDM系列は、対象の低い周波数から始まり対象の高周波数までの全周波数の等しい振幅からなる。励起される周波数の数は、高周波数(fH)対低周波数(fL)比に比例するが、周波数間の間隔は、選定された対象の最低周波数(fL)と同じである。基本的なOFDM系列の持続時間は、その最低周波数と逆関係にある。OFDM系列のPARは、各周波数に対する位相の適切な選定によって単位元に近い低値になされることができる。いくつかの実施形態では、OFDM系列のPARは、1.4より低く保たれる。OFDMに基づいた系列は、数は2の累乗であるいくつかの離散音の合計であり、高速フーリエ変換(FFT)に基づいて効果的に処理回路を実施する明白な利点を提供する。
さらに他の実施形態では、励起系列は、系列の全体的なPARを最小にする方法による複数のコヒーレント正弦波の追加として構築されることができる。PARの最小化は、各正弦波の位相を適切に調整することによって達成されることができる。このような系列は、OFDM系列から1つまたは複数の音を適切に落とすことによって構築されることもできる。これらの系列は、電気ハードウェアがその容量制限により、または非線形性があまりにも高いために、周波数情報の大規模なセットを扱わないことがあり、互いとの非乗法的(non−multiplicative)関係を有する音の使用を要求する、完全なOFDM系列で特に有用であり、したがって、1つまたは複数の音の非線形的影響は別の音に影響を与えない。
体内への容認できるrms電流が単一周波数励起に対する周波数の関数であることは理解されるであろう。この容認できる電流レベルは最低でも10μAであり、周波数が1KHzを超えると直線的に増加する。この点に対する手法では、複数周波数励起に対する容認できる電流レベルについて説明していない。図4は、ある周波数範囲20にわたって心臓に提供されうる例示的な電流値18のためのグラフ16を示す。たとえば、心臓を通る最大許容電流(ミリA単位)は、周波数範囲にわたって変化することができる。心臓を通る最大許容電流は、電流が異常で非連続的に、異常で連続的に、または正常で連続的に印加されるかどうかによっても変化することができる。複数周波数励起系列に基づいて励起のためのrms電流の値を決定する1つの可能なやり方は、複合信号のrms電流を最低周波数に対応する容認できるrms電流に一致させることによるものとすることができる。
図9の例示的な方法10は、インビボで置かれた電極のセットにわたって複数の周波数のシーケンスパルスを送達するステップ14も含む。次に、電極の励起されたセットは、対象領域にわたって電流のパルスを送信する。対象領域の性質に応じて、電圧は、電極が位置付けされた内腔にわたって生じる。複数の周波数パルスからの各励起周波数に対応する1つの電圧がある。したがって、本明細書で説明する方法を使用して莫大な量の情報を同時に得ることができる。
励起時に、内腔にわたって生じた複数の電圧は、次に、複数の信号を同時に扱うことが可能な適切な測定用デバイスを使用して検出されることができる。上記で説明したように、励起の周波数が変化するので、異なるタイプの身体物質は、電圧および電流との関係において異なる特色を有する。たとえば限定するものではないが、血管、血液、および脂肪組織は、電圧および電流において異なる特色を有する。測定用デバイス(複数可)は、複数セットの情報を順次、並列に、またはグループで処理して結果を提供するように構成されることができる。
本明細書のシステムおよび方法は、同時に内腔の複数の測定を行う機能を提供する。測定は同時に行われるので、すべての測定は、収縮期相または拡張期相中など、心拍動の同じ位相中に行われる。これによって、心臓の位相を考慮するために異なる時間に行った複数の測定値を重ね合わせることに関連する困難が克服される。
本明細書で説明する使用方法は、ソフトウェアプログラムまたはアルゴリズムの形で効果的に行われることができる。したがって、別の態様では、本開示は、本明細書の方法を実行するアルゴリズム(複数可)を提供する。いくつかの実施形態では、ソフトウェアは、本明細書に説明する複数の周波数パルスを生成するように適合されたアルゴリズムステップを含む。ソフトウェアは、その場合、複数の周波数パルスによって1セットの電極を励起するように構成されてもよい。ソフトウェアは、その後で内腔からの処理されるべき複数の信号を受け取るように構成されることができる。さらに、アルゴリズムと共に使用されうる他の構成要素としては、たとえば限定するものではないが、適切な解像度を有するモニタなどのディスプレイモジュール、キーボード、マウスなどの入力モジュールなどがある。
さらに別の態様では、本開示は、本明細書で説明する方法を実行するように適合されたシステムを、アルゴリズムを含めて提供する。図10は、インビボで内腔内に置かれるように構成された少なくとも1セットの電極32を備える例示的なシステム30を示す。この1セットの電極は、複数の励起パルスによって励起されることが可能である。この複数の励起パルスは、適切な数のフリップフロップ34を使用することを必要とする擬似ランダムジェネレータを使用して利用可能となる。所望のフリップフロップの数は、いくつかある要因の中でも特に、生成されるべきパルスの複雑さによって決まる。擬似ランダムジェネレータによって実行されるべき完全系列は、入力モジュール36を使用して入力されることができる。この入力モジュールは、手動入力を受け付けるように構成されてもよいし、擬似ランダムジェネレータが実行する系列を自動的に生成するように構成されてもよい。本明細書において上記で言及したように、擬似ランダム系列の代わりに、当業者に公知であるようなOFDM系列の生成を目的とした関連するエレクトロニクスによりOFDM系列を使用することもできる。
システム30では、次に、生成された複数の励起パルスがD/A変換器38によって送信される。システムはフィルタ40をさらに備え、フィルタ40は、必要性、状況の要件、コンピューティング能力、コストなど、およびそれらの組み合わせなどの種々の要因に応じて、受動フィルタであってもよいし、能動フィルタであってもよい。1つの特定の実施形態では、フィルタは受動多段LCはしご型回路網を備える。適用例に応じて、いくつかの実施形態は、このようなフィルタを必要とすることなく機能することができる。
システムは、擬似ランダムジェネレータのための入力を処理するように適合された処理デバイス42をさらに備える。この処理デバイスはまた、複数の励起パルスを電極のセットに送信するように構成されることができる。システムは、電極のセットを有する擬似ランダムジェネレータを通信するための通信デバイス(図3に示されず)も含むことができる。異なる構成要素およびモジュール間の通信は、当業者に公知の任意の有線手段または無線手段によって達成されることができ、必要以上に実験を行わなくても正確な要件に到達することができる。
システム30は、内腔にわたって生じた電圧を検出するための検出器モジュール44も備え、これらの電圧については上記で説明した。次に、検出された信号は、さらなる処理を行うために処理デバイス42に供給されることができる。この信号は、内腔に関連する大量の情報を生じさせることができ、この情報は、信号、アルゴリズム、内腔特性などであるがこれらに限定されない入力に基づいて処理デバイスが決定するように構成される。したがって、本発明のシステムは、最終的な測定値に誤差を導入しうる異なる時点で得られるデータのまとめ(stitching)に頼ることなく、内腔の複数の同時測定を行うために使用されることができる。
(実施例1)
例示的な実装形態では、励起周波数帯域は、血液、組織、および脂肪の電気特性に基づいて40KHz(fL)から10MHz(fH)の間で選定された。16ビットD/A変換器は、fs(=20MHz)のサンプリングレートで動作するように選定された。選定されたD/A変換器は、オフセット2進系列(最低値は0x0000、最大値は0xFFFF)を受け入れる。変換器の最上位バイトは、単一のビット擬似ランダムパターンに従って切り換えられるが、次のビットは論理1に永久的に保持された。他のすべてのビットは論理0に保持された。したがって、D/A入力は、擬似ランダムジェネレータからの0または1に応じて0x4000と0xC000で切り換えられる。擬似ランダムジェネレータは、バックエンドエンティティにあり、9タップの擬似ランダム系列を表す、フロップと呼ばれる9個のDフリップフロップのチェーンからなる。得られる系列は、L=511(29−1)の長さを有する最大長の擬似ランダム系列である。この系列を生成するために使用される生成多項式は、
であり、これは、図11に示されるように、最後のタップの入力は第1のフロップと第5のフロップの排他的論理和をとった出力であることを示す。フロップ出力はすべて1に初期化され、(リセット条件)で開始される。励起系列に存在する音は、flの倍数である。
D/A変換器は、39.14KHzで分離された周波数を有する出力を生成した。出力は、帯域全体にわたってかなりの平坦度を保証する、通過帯域が39.14KHzより低い値で始まり10MHzより上で終わるバンドパスフィルタを通過した。特定の実装形態では、フィルタは、はしご型回路網受動多段LCを使用して設計される。最終的な複合信号の最小周波数は39.14KHzであるので、信号rms値は、391□Aより低く維持される。サンプリング周波数およびタップ長の選定は、最小動作周波数および最大動作周波数によって決まる。前に説明したように、サンプリング周波数は、励起において所望の最大周波数の少なくとも2倍であるが、タップ長(L)は、この関係を満たす最も近い整数である。
図12aは、本明細書で説明するように生成された9タップの擬似ランダム2進系列の時間領域波形(time domain waveform)を示す。波形は、391□aの振幅を有する。図12bは、時間領域の例示的な擬似ランダム2進系列の強調された一部分を示す。
図13は、生成された同じ9タップの擬似ランダム2進系列のパワースペクトル密度を示す。図14は、9タップの擬似ランダム2進系列のための位相角と周波数の間のプロットを示す。
(実施例2)
さらに別の実装形態では、図15に示すように、OFDM系列は、等しい振幅のNfreq(=256)の離散音を使用して構築され、それぞれは、ランダム位相にある。各音の位相角は、1.4より低いPARを得るように調整される。OFDM系列の構築は、すべての離散音をまとめて加算するだけで、または2Nfreq(=512)個の複素数の対称系列のIFFT(逆高速フーリエ変換)を実行することによって行われることができ、ここで、第1の256個の複素数は個別の音の振幅および位相に関連し、次のセットの256個の複素数は、逆の順序で配列された第1の256個の複素共役にすぎない(図15)。対象の最大周波数(fH)の2倍であるfs(=20MHz)でサンプリングされる、得られる時間領域信号が図16に示されている。この系列の最低周波数はfL(=fs/2Nfreq=39.0625KHz)である。時間領域OFDM系列は、最低周波数を同じに保つ適切なサイズのIFFT入力を使用してこれより高いサンプリングレートで生成されることもできる。サンプリングレートを向上させることにより、送信側のハードウェアの複雑さを増しながら、アンチエイリアスされたフィルタリングに関する要件が緩和される。図17は、図15の実装形態に対する例示的なOFDM周波数応答を示す。
図18に示すさらに別の実施形態では、カスタマイズされた系列が、PARを最小にするように適切な位相角で追加された複数のコヒーレント正弦波を使用して作成される。得られる系列は、任意の所与の周波数が他の任意の周波数と調和関係にある性質を持つことができる。同じものは、上記で説明したOFDMフレームワークでも構築でき、元の系列から音のセットを取り除くために1つまたは複数のIFFT入力がヌル化される。
上記で参照したように、いくつかの実施形態では、空間ダイバーシティも利用しているが、これは一般に、電極間の離隔距離の差を指す。たとえば、電圧測定は、互いからある一定の距離にある第1の電極と第2の電極の間で行われることができ、測定は、互いから第2の距離にある第1の電極と第2の電極の間で行われることができる。空間ダイバーシティの場合、第1の距離と第2の距離は異なる。他の実施形態では、任意の数の電極を使用することができ、上記で説明したように、任意の2つの電極の間の距離は、任意の2つの他の電極の間の距離と異なることができる。電極間の異なる間隔を使用することにより、同じ内腔寸法に対する異なる電圧測定値が提供される。共通の内腔寸法を解くためにすべてのこれらのセットの測定値を使用することにより、堅牢さが増加する。これには、2つの理由がある。第1に、最適な電極間隔は、測定される内腔の寸法によって決まる。さまざまな場合において寸法が同じでないので、このような空間ダイバーシティを使用することによって、少なくとも1セットの電極を最適またはほぼ最適に離隔することができる。第2に、測定値のいくつかが、その信頼性を低下させた他の要因の影響を受けることがある。このような要因のいくつかは、(1)特定の電極が壁と接触することによる異常な測定値、(2)測定用回路のグリッチによる、いくつかの電極に対する不正確な電圧測定値である。これらの場合、測定値のいくつかは、異常値と識別されて除かれ、内腔寸法をより正確に推定することができる。
上記のいくつかの実施形態では、方法は、少なくとも2つの電極にわたる励起パルスを提供すると説明されている。次に、システム全体に組み込み可能な例示的なデリバリーデバイスについて説明する。ただし、このデリバリーデバイスは、スタンドアロンデバイスとみなすことができる。図19は、診断要素の例示的な実施形態の図である。診断デバイス15は、離隔された少なくとも2セットの電極16および17が遠位端18近傍に配置された細長い医療用デバイスを含む。診断デバイス15は、インビボで血管系たとえば血管内の対象ボリューム19の近位に置かれるように構成され、第1のセットの電極は、励起および測定デバイス20から入力励起を受け取るように構成され、第2のセット(または第1のセット)の電極は、対象ボリューム19から本明細書では「応答」と呼ばれる電圧信号または「応答」電圧信号を受け取るように構成される。第2のセットの電極は、細長い医療用デバイスの近位端22にある励起および測定用デバイス20に応答電圧信号を送るように構成される。励起および測定用デバイス20は、応答電圧信号の関数である出力信号を受け取って測定し、この出力信号は、離隔された電極の間の電圧差を計算するために処理される。この電圧差は内腔寸法を示し、1つまたは複数の内腔寸法を計算するために使用される。対象ボリュームからの信号を測定するための1セットの電極について言及してきたが、デバイスは、任意の数の電極を有することができる。図1および本明細書の他の実施形態の例示的な実施形態の例示的な利点は、測定値を得るために流体が体腔に注入されることをシステムが必要としないことである。さらに、例示的な実施形態は、内腔パラメータを得るための直接的な方法を提供し、手技の簡単さおよび患者の快適さを増加させる。
図20は、図19の励起および測定用デバイス20の例示的な非限定的実施形態を示す。励起源24は、基準抵抗26を介して診断要素15の1セットの電極を励起させるために使用され、励起後に、電圧測定値VM1 28、VM2 29、VM3 23、およびVM4 25(特定の実施形態の説明では出力電圧とも呼ばれる)が、受け取られて測定される。これらの測定を行うための他のトポロジが可能であり、本明細書に含まれることは、当業者には理解されよう。図示のような電気測定などの測定は、2つ以上の電極の間で行うことができる。血管を通して診断要素を進めるので、2つの電極間の電圧分布は、周波数ダイバーシティによる所与の励起に対して、連続的に測定されることができる。以前に言及したように、電極間の電圧分布は、内腔または内腔を有する対象ボリュームの断面積を示し、これらの内腔寸法を決定するために使用される。
診断要素の離隔された電極は、図21に示される参照番号35〜48によって示される、細長い要素上の所定の位置に配列されることができる。電極のサイズおよび間隔は、最適な性能を達成するように設計される。電極は、インビボで体腔内に置くためにカテーテル上またはガイドワイヤ上に取り付けられることができる。いくつかの実施形態では、電極は導電材料から形成されることができる。たとえば、電極は、銅、銀、アルミニウム、金、もしくは任意の合金などの金属、めっき、またはそれらの組み合わせを含むことができる。電極は、ワイヤの露出された一部分を含むことができる。電極は、電気信号および/または電流を提供および/または受け取るためのエレクトロニクスと電気通信する任意の電気伝導性材料を含むことができる。
電極は、複数の電極を使用可能な図22に示される分散電極50として配列されることもできる。この分散電極は、一般に、分散電極構成を指し、この構成では、単一の電極が多数の電極に分割されていくつかの場所に置かれ、すべての電極が同じ端子に接続される。分散電極構成を達成するためのいくつかのやり方があり、図22は1つの非限定的な例である。この場合、いくつかの電極は、内部ワイヤにより短絡させることによって同じ励起源に接続され、したがって分散電極構成を達成する。
電極の追加の異なる構成が異なる態様で可能であり、いくつかの非限定的な例が本明細書で説明されている。1つの特定の例では、診断要素は、3つの離隔された電極を備え、別の例では、診断要素は、4つの離隔された電極を備える。代替実施形態では、任意の数の電極が使用されることができる。
さらに、電極間の間隔は、電極が取り付けられたガイドワイヤに関して非対称とすることができる。さらに別の例では、電極は、ワイヤを完全には取り囲まない。ワイヤの1セクタのみが電極によって覆われる。複数のこのような電極が、ワイヤの異なるセクタを覆って置かれる。特定の電極が、最も好ましいように選定される。たとえば、ワイヤが壁またはステントに接触している場合、壁またはステントから離れたワイヤのセクタを覆う電極を使用するほうが好ましい。いくつかの構成では、入力励起を送信するように適合された電極および応答信号を送るように適合された電極はあらかじめ決められていてもよいことに注目することができる。さらに、入力励起を送信するために複数対の電極を選択することが可能であり、同様に、複数対の電極が、応答電圧信号を送るために選択されることができる。
さらに別の例では、1対の電極のそれぞれの間の距離は、あらかじめ決められていなくてもよいが、各電極の場所は、任意の公知の技法によって決定論的である。いくつかの他の実施形態では、電極のそれぞれの間の距離は固定することができる。他の実施形態では、電極間の距離は変化させることができる。具体的な使用方法では、電極は、解剖学的特徴の近傍に位置付けされることができる。たとえば、電極は、血管などの体腔の近傍に位置付けされることができ、そこで、電極は、体腔の外面および/または内面と接触することができる。いくつかの実施形態では、電極は、体腔に接触しながら、または接触しないで、体腔内に位置付けされることができる。電極のそれぞれは、体腔に関して同様に位置付けされることができ(たとえば、すべての電極が体腔の外面と接触する)、または、種々の電極は、体腔に関して異なる位置を有することができる(たとえば、いくつかの電極は体腔内にあり、いくつかの電極は体腔の内表面と接触する)。
さらに、いくつかの実施形態では、ガイドワイヤは、診断要素と一体化することができる。ガイドワイヤは、離隔された複数の端子も備えることができる。特定の例では、その間にあるセパレータによって離隔された第1の端子および第2の端子が使用される。このセパレータは、ポリマーからなることができる。セパレータは、いくつかの実施形態では、第1の端子および第2の端子の周りの非導電性コーティングとすることができる。セパレータは、第1の端子を第2の端子から電気的に分離するおよび/または絶縁することができる。セパレータは、限定はしないが、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド、ペバックス、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル(PES)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS)、他の任意のポリマー、ゴム、薄肉の熱収縮性材料、または他の任意の電気的絶縁材料からなることができる。電気伝導性ワイヤは、特定の用途に対する電気的性質および機械的性質に基づいて選定された、銅、引き抜き充填管(drawn filled tube)(たとえば、Fort Wayne Metalsなど)ステンレス鋼、銀合金、タングステン、または他の任意の無毒性の電気的伝導性材料で作製されることができる。電気ワイヤは、押し出し、エナメルコーティング、スプレー、または浸漬コーティング加工を使用して、機械的性質がその用途に適している生体適合性絶縁性材料を用いてさらに絶縁されることができる。
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤは、第3の端子と、第4の端子と、ワイヤも備えることができる。離隔距離および/またはセパレータが、第1の端子、第2の端子、第3の端子、および/または第4の端子の間に設けられることができる。本発明の種々の実施形態では、個別の端子に接続された任意の数のワイヤが設けられることができる。当業者に理解されるように、複数のワイヤの間に電気絶縁を設けることができる。
別個の電気的伝導性ワイヤまたは導線は、追加として使用されてもよいし、ガイドワイヤと一体化されてもよく、遠位電極を近位端に接続するために使用される。これらの導線はまた、ガイドワイヤの内部または外部のどちらかに埋め込まれてもよい。場合によっては、ガイドワイヤはそれ自体を支持し、前述の導線のうちの1つとして用いられることができる。特定の非限定的な実施形態では、ガイドワイヤは、当業者にはよく理解されるであろうハイポチューブ構造を有することができる。1つの特定の非限定的な例では、1つの導線または複数の導線は、心線の外面上に巻き付けられ、外側のハイポチューブの内部またはポリマー材料(たとえば、熱収縮性ポリマーまたは押し出し加工されたポリマー)の内部に入れられることができる。
別の実施形態では、ガイドワイヤの表面は、ガイドワイヤの長さに沿って可変の剛性を提供するために、限定はしないが、レーザ切断されたパターンなどのパターンを有することができる。異なる長さでは、インビボで患者の体内に置かれているガイドワイヤの移動を簡単にするために異なる剛性レベルが必要とされる場合があり、これらの剛性要件は、ガイドワイヤの表面上で異なるパターンを提供することによって満たすことができることは、当業者には理解されよう。剛性は、ガイドワイヤの周りに異なる厚さのポリマージャケットを設けることによって変化させることもできる。ガイドワイヤは、所望の用途に応じて、円形のワイヤにすることもできるし、平坦なワイヤにすることもできる。
電極のワイヤとの付着は、限定はしないが、導線を配線するために電極内にスリットを設けること、電極を導線に圧着し、次にレーザ溶接を行うこと、電極をワイヤにはんだ付けまたはろう付けすることを含むさまざまな技法を使用することにより達成されることができる。別の例では、電極に穴を設けて導線を付着させることができる。電極は、溶接または接着などの手段によりハイポチューブに保持可能なコイルとして提供されることもできる。電極はまた、導線に取り付けられたリングまたはバンドとして提供されることができる。ガイドワイヤを使用する別の実施形態では、ガイドワイヤのコイル状セクション内の複数の電極は、必要な箇所にある非導電性コーティングを避けてコイルを血液に触れさせることによって実施されることができる。複数の電極を作製するため、多線巻を使用することができ、相互に絶縁された異なるワイヤを必要な箇所で露出させることができる。
さらに、いくつかの実施形態では、電極端子は、別個のワイヤに設けられることができ、このワイヤは、共通の支持ワイヤまたは能動ガイドワイヤを共有してもよいし、共有しなくてもよい。端子は、一直線に配列されることができる。他の実施形態では、端子は、ジグザグ形の構成で設けられもよいし、平面配置内部に設けられてもよいし、空間配置内に設けられてもよいし、互いと関連する他の任意の場所を有してもよい。端子のすべての組み合わせに関して、同じ電流値および電圧値に応答して、測定を行うことができる。
いくつかの実施形態では、電極はリードと呼ばれ、当技術分野で公知の他の心臓用リードと非常によく似た構成であるが、能動ガイドワイヤの一部であるように構成される。いくつかの実施形態は、3つ以上の電極を備える。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の電極は、能動ガイドワイヤ上のその遠位端において能動ガイドワイヤの円周の一部分に位置付けされる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の電極は、能動ガイドワイヤ上のその遠位端において能動ガイドワイヤの円周全体を包囲する。
他の実施形態では、セクタが離隔された(sectorially−spaced)電極が設けられることができる。セクタが離隔された電極は、能動ガイドワイヤを完全に周回するわけではない。これにより、閉塞の方位の図示が可能になり、すなわち断面積のみではなく、所与の断面内のプラークの空間的向きを決定することが実行可能になることができる。電極は能動ガイドワイヤの一部分のみを周回するので、測定される寸法の方向は、能動ガイドワイヤの、セクタが離隔された電極がある側にある。いくつかの実施形態では、セクタが離隔された電極はすべて、能動ガイドワイヤの同じ側に位置付けされることができる。あるいは、電極は、能動ガイドワイヤを囲む軸のさまざまな場所に設けられることができる。前に言及したように、本発明の他の実施形態は、ワイヤの他の巻きまたは編組(braiding)技法を提供することができる。
能動ガイドワイヤは、1つまたは複数のワイヤが巻き付けられた支持体を含むことができる。ワイヤは、任意の構成を有することができ、この構成には、前に説明した巻きまたは編組のタイプを含むことができる。能動ガイドワイヤのコアは、任意の直径を有してよい。いくつかの実施形態では、コアの直径は、コアの長さと同じままとすることができる。他の実施形態では、コアの直径は、コアの長さに沿って変化することができる。コアの直径がコアのセクションと同じままとすることができるセクションがある場合があり、コアの他のセクションによって異なることができる。いくつかの実施形態では、コアの直径は、能動ガイドワイヤの近位端に向かって大きくなることができ、能動ガイドワイヤの遠位端に向かって小さくなることができる。いくつかの実施形態では、標準的な直径が通常セクションで与えられることができ、より大きな直径がx支持セクションで与えられることができる。同様に、コアの断面形状およびサイズは、同じままであってもよいし、能動ガイドワイヤの長さに沿って変化してもよい。
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のワイヤが能動ガイドワイヤのコアに巻き付けられることができる。いくつかの実施形態では、前に説明したように、ワイヤは、コーティングが除去されて金属が露出されるセクションを有することができる。このような除去されたセクションは、能動ガイドワイヤの長さに沿って任意の場所に生じてよい。いくつかの実施形態では、能動ガイドワイヤは、可撓性ゾーンとステントゾーンとを有することができる。いくつかの例では、除去されたセクションは、ステントゾーンに設けられることができる。他の実施形態では、除去されたセクションは、可撓性ゾーンに設けられてもよいし、能動ガイドワイヤに沿って他のどこにでも設けられてよい。
いくつかの実施形態では、ワイヤは、変化する可撓度(degree of floppiness)を有するように包まれることができる。たとえば、標準的な構成は、ワイヤを剛性にする、すなわち可撓性でなくすることができる。中間の構成では、ワイヤは、わずかに可撓性であることができる。他の構成では、ワイヤは、可撓性または特別可撓性であるように巻かれることができる。ワイヤの巻きもしくは編組のタイプもしくは緊張またはワイヤもしくはコーティングの材料は、所望の可撓度を提供するように選択されることができる。
いくつかの実施形態では、能動ガイドワイヤの近位端は、PTFEなどのプラスチックまたは本明細書の別の場所で説明する他の任意のタイプのポリマーから形成されることができる。
いくつかの他の実施形態では、能動ガイドワイヤのセクションは、スプリングコイルを含むことができる。いくつかの実装形態では、スプリングコイルは、ワイヤの残りの部分と異なる材料から形成されることができる。一例では、スプリングコイルは、白金合金から形成されることができる。そのうえ、いくつかの実施形態では、能動ガイドワイヤは、親水性コーティングおよび/または疎水性コーティングを含むことができる。
図26〜34は、能動ガイドワイヤの例示的な実施形態を示す。図26は、絶縁された電極ワイヤ204(本明細書では、導体または導線とも呼ばれる)がその上で並列に走行するコアシャフト202を有する能動ガイドワイヤ200を示す。ジャケット206は、コアワイヤおよび導体アセンブリの上に配置され、所望の直径にリフローされる。図27に示される別の実施形態では、ガイドワイヤ208は、コア202の中空210から引き出された導線204を含み、コア202は、ジャケットまたは熱収縮(heat shrink)206によって覆われ、ジャケット206は、コアシャフトの表面にスリーブを付けたり、収縮させたり、押し出し加工したりすることができる。図28に示すガイドワイヤ212の別の実施形態では、導線204は、コアシャフト202に巻き付けられる。外側のジャケット206は、導線上で押し出し加工し、スリーブを付け、リフローされることができる。導線の遠位端は、電極端子に引き込まれて柔軟な移行(floppy transition)を先端で行う、より可撓性の高い材料で作製されることができる。
図29に示すガイドワイヤ214の別の実施形態には、中央コアシャフト202上で編まれた導線204がある。導線の近位端は、より硬くすることができ、遠位端は可撓性とすることができる。さらに、能動ガイドワイヤ全体は、近位端で硬く、遠位端で可撓性とすることができる。ジャケット206は、編まれた導線を他の実施形態を参照して説明した技法のいずれかによって覆うように設けられることができる。図30に示すガイドワイヤ216のさらに別の実施形態では、押し出しワイヤは、メインシャフトを作製する走行する導線204を内部に収納することができ、近位端および遠位端は、電極を取り付け可能な異なる構成を有することができる。図31に示すガイドワイヤ218のさらに別の実施形態では、内側の押し出しシャフト220は、導線204を収容するのに適した溝222を有することができる。外側のスリーブ206は、内側シャフト上で熱収縮されることができる。図32に示すさらに別の実施形態では、外側シャフト226は、剛性を得るために編むことができ、ポリマーは、外側シャフトの上にリフローされてジャケット206を形成することができる。導線204は、中央コア228から引き出されることができる。さらに別の実施形態230では、コイル232は、図33に示すように外側シャフト234にスリーブを付けられることができ、導線204は外側シャフトのコア236から引き出される。
いくつかの実施形態では、デバイスは、能動ガイドワイヤを含んでも含まなくてもよく、バルーンカテーテル内に設けられることができる。バルーンカテーテルを組み込んだ実施形態は、本明細書の別の場所で説明する態様のいくつかまたはすべてを有することができ、同じ測定を実行することができる。いくつかの実施形態では、電極は、バルーンの前、バルーンの後ろ、および/またはバルーンの上に設けられることができる。
図34は、本明細書で説明する診断要素を含む例示的なバルーンカテーテル238を示す。カテーテルの遠位端240は、その上に配置された4つの離隔された電極242と、バルーン内部の別のセットの電極244とを有する。カテーテルは、バルーンの内部のマーカ246も有する。バルーンの内側には2つの電極のみが示されているが、複数の電極が存在することができる。この例示的な非限定的構成では、遠位端電極は、内腔寸法を測定するのを支援し、バルーン内部の電極は、膨張プロセス中にバルーン直径を決定するのに役立つ。図面に示される距離x、y、zおよびa、b、c、dは、バルーンカテーテルの設計中にあらかじめ決定されることができる。別の実施形態では、電極は、バルーンの内部にのみ存在することができる。別の実施形態では、電極は、バルーンの外部にのみ存在することができる。
バルーンカテーテルは、寸法を増大させるために、バルーンの内部または外部でバルーン材料に配置されたリング電極も有することができる。いくつかの実施形態では、リングは導電材料から形成されることができる。導電性リングが伸張されると、その固有抵抗が増加することがある。これは、バルーンの増大した直径を測定するために使用されることができる。
カテーテルまたはガイドワイヤの遠位先端に置かれた電極およびこれらの電極を電気ハードウェアに接続する電気導体は、アンテナとして働き、励起の完全性および測定された電圧の完全性に影響を及ぼす環境からの望ましくない電磁妨害を検出することができる。いくつかの実施形態では、カテーテルまたはガイドワイヤの外側ジャケットは、電磁妨害に対するシールドとして使用されることができ、電気ハードウェアのGNDまたは任意の固定電圧源に接続される。金属のジャケットのみが、電磁シールドとして使用されることができる。いくつかの実施形態では、金属のジャケットは、カテーテルまたはガイドワイヤの長さ全体に沿って延びることができる。いくつかの他の実施形態では、金属のジャケットは、部分的なセクションのみを覆い、セクションの残りは、ポリマージャケットなどの非金属のジャケットによって覆われることができる。導電性構造は、導電性インクを使用することによって、または他の任意の手段によって、非金属のジャケット上でエッチングされることができる。導電性構造は、ジャケットの金属の部分と非金属の部分を分離する境界端部において金属のジャケットに電気的に接続されることができる。
本明細書で説明するデバイス、システム、および方法の実施形態により、専門家は、これらのカテーテルまたは能動ガイドワイヤまたはバルーンカテーテルを、類似の標準的なデバイスの感じおよび可操作度(manipulability)と比較して、感じ(feel)が変化せず(または、無視できる程度の変化である)、さらに、これらのデバイスを操作できなくなることなく(または、操作能力の喪失は無視できる程度である)、使用することができる。
プロトタイプの4電極デバイス(電気生理学的カテーテル)を作製し、電気ハードウェアに結合(嵌合)させた。この電気ハードウェアをコンピュータに結合した(標準)。電子基板は、データ収集エレクトロニクスと、パワーエレクトロニクスと、心電図(ECG)とを備えていた。3mmから80mmまで変化する直径(ノギスを使用して測定された)を有する複数のガラスチューブおよびプラスチックチューブには、チューブに挿入された種々の材料により作成された、シミュレートした病変(狭窄)を設けられた。病変を有するチューブを、種々の濃度を有する生理食塩水中に置いた。各シミュレートした病変を通して各チューブにデバイスを挿入し、デバイスは、手技中に、電子基板に伝えられる電極信号を生成した。電子基板は、この信号を、シミュレートした血管/病変に着座したデバイスの電極として生成された電極から受け取り、および/またはシミュレートした血管/病変内で移動し、これらの信号を電子基板のデータ収集モジュールに伝えた。この実施形態でのアルゴリズムを、デバイス電極からの信号を種々の血管測定値に変換するためにコンピュータ上で実施した。コンピュータ(そのアルゴリズム)は、直径および他の測定値をリアルタイムで決定し、同じプロットを作成した。実験の結果から、測定値(血管/病変の直径)の精度は、最大約50ミクロン(マイクロメートル)であることが示された。
次に第1のワイヤと第2のワイヤとを備える実施形態を参照すると、いくつかの実施形態では、信号および/または電流を受け取る、発する、または対象ボリュームに送るために、第1のワイヤの第1の端子(すなわち放出端子)は、第1の電極として適合されることができ、信号および/または電流は、第2のワイヤの第2の電極(すなわち受信端子)として適合された第2の端子によって捕捉される(すなわち検出される、および/または受け取られる)ことができる。
一実施形態では、ワイヤの近位端は、図23に示す測定用デバイスに接続される(すなわち結合される)。コネクタは、各ワイヤの近位端を測定用デバイスに接続するために使用されることができる。
図23は、診断デバイスの例示的な実施形態を示す。診断デバイス60は、診断要素10の少なくとも1つのセットの電極からの信号を受け取り、処理ユニット64を使用してその信号を測定値および/または他の解剖学的情報に変換する(および/または変える)ように適合された励起および測定用デバイス62を備える。いくつかの実施形態では、励起および測定用デバイス62は、1セットの電極から信号を受け取り、その信号を、ディスプレイデバイス66に表示される被験体の解剖学的特徴(対象の解剖学的特徴)の寸法の視覚的表現に変換することができる。ディスプレイデバイス66は、さまざまな形、寸法値、グラフ、または血管造影図に重ね合わされた視覚的表現で結果を示す。ディスプレイデバイスおよびプロセッサまたはプロセッサの一部は、ホストコンピュータに組み込むことができる。
信号は、データ収集モジュール(例示的な非限定的実施形態では処理ユニットと一体化される)を使用して解析されることができ、データ収集モジュールは、標準コンピュータの外部にあってもよいし、標準コンピュータの内部に組み込まれてもよい。処理ユニット64は、測定された出力電圧および電流の信号からのデータの、本明細書で説明する所望の解剖学的測定値または内腔寸法への変換を可能にするために1つまたは複数の信号処理アルゴリズムも組み込む。
処理ユニット64は、さらなる処理のためにECGキャプチャーユニット68とおよび血管造影図キャプチャーユニット70にも結合されることができる。処理ユニット64からの結果は、血管造影図キャプチャーユニットから得られた血管造影像上に重ね合わされることができる。ECGキャプチャーユニットからのECGデータは、血管造影像により内腔測定値を同期させるために例示的な実施形態で使用され、その例については以下で説明する。したがって、本明細書で説明するデバイス、システム、および方法は、寸法のみだけでなく撮像の出力を提供することができ、非限定的な例として、血管造影図または別のX線出力画像に画像をスーパインポーズすることができる。
図24は、X線画像上にスーパインポーズされた例示的な画像を示す。オーバレイ250は、血管256の血管造影写真254上に重ね合わされた(またはスーパインポーズされた)内腔プロファイルの2次元(2D)表現252を含む。以下で説明するように、測定法および処理法により、撮像されたときに位置情報を得ることができる1つまたは複数の放射線不透過性マーカを有するカテーテルまたはガイドワイヤなどの腔内器具の位置情報と内腔寸法情報(たとえば、断面積)を共記載することができる。これらの技法は、医学的手技中の診断ガイダンスに非常に有用である。いくつかの実施形態では、これらの測定は、3Dボリュームにおける内腔トラジェクトリを決定するために使用される。カラーコーディングは、たとえば健康な領域を緑色で、疑わしい領域を黄色で、警告領域を赤色で示すために提供されることができ、このような情報追加を提供するための他のやり方も使用することができる。これらの技法については、以下で、より十分に説明する。
いくつかの実施形態では、表現および血管造影写真が、ビデオディスプレイ上に提供されることができる。ビデオディスプレイは、たとえば、コンピュータモニタ、陰極線管、液晶ディスプレイ、発光ダイオードディスプレイ、タッチパッドまたはタッチスクリーンディスプレイ、および/または視覚的に認識される出力を出すための当技術分野で公知の他の手段などの、ユーザに認識されるやり方で情報が表示できるデバイスを含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、視覚的表現は、白黒であってもよいし、色を含んでもよい。いくつかの実施形態では、色または陰影は、血管寸法を示すことができる。
いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイスに表示される表現は、血管または内腔の長さに沿った血管寸法を含むことができる。いくつかの実施形態では、寸法には、血管直径、血管半径、血管円周、または血管断面積が含まれうる。寸法は、処理ユニットによってディスプレイユニット上に自動的に表示されることができる。あるいは、寸法は、ユーザ入力に応答して表示されることができる。ユーザ入力の例としては、限定はしないが、ディスプレイの一部分の上のカーソル(マウス、トラックボール、ジョイスティック、タッチスクリーン、矢印キー、遠隔制御装置などのポインティングデバイスによって制御されることができる)またはキーボード入力が含まれる。いくつかの実施形態では、寸法は、カーソルまたは他のユーザ入力の近傍に提供される。たとえば、ユーザが視覚的表現の一部分の上にマウスカーソルを位置付けするとき、その部分の寸法が示されることができる。他の実施形態では、すべての寸法は表示されることができる。
図25に示される1つの例示的な実施形態では、図23の測定および励起デバイス62が、ドングル74およびパーソナルコンピュータ(PC)76のようなホストコンピュータに組み込まれている。ドングル74は、信号を1つまたは複数の電極に送り、かつ1つまたは複数の電極から信号を受け取るように適合された信号調節モジュール78を備える電気ハードウェアを含む。各信号調節器は、80によって全体的に示される高精度回路(非限定的な例の場合:16ビットデータ収集[DAQ]回路、または18ビットDAQ)に結合されることができ、この回路は、デジタル信号をアナログ信号に変換し、レベル1の信号処理ユニット82に結合される。信号は、当技術分野で公知の任意の波形を含むことができる。たとえば、信号は、正弦波波形、矩形波形、三角波形、のこぎり形波形、パルス波形、またはこれらの他の任意の複合物を含むことができる。これらのデータ収集回路は、さらに、測定用デバイスによって測定された出力電圧をデジタル化し、このデジタル化された信号は、最初にレベル1の信号処理ユニット82によって処理されることができる。ここで、コンピュータもしくはホストコンピュータの任意の説明、または任意の特定のタイプの回路網デバイスとしては、限定はしないが、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、またはラップトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)が含まれうることに注目することができる。いくつかの実施形態では、複数のデバイスまたはプロセッサを使用することができる。いくつかの実施形態では、種々のコンピュータまたはプロセッサは、本明細書で説明するように、1つまたは複数のステップもしくは計算を実行するか、または任意のアルゴリズムを実行するために特別にプログラムされることができる。
信号処理ユニット82は、複数のセクションに分割することができ、いくつかはドングルとしてハードウェア上に常駐し、残りは、レベル2の信号処理ユニット84によって図25で示されているホストコンピュータ上に常駐する。この分割は必須ではなく、いくつかの実施形態では、信号処理ユニット82および84は、ホストコンピュータに完全に組み込まれてもよいし、信号処理ユニット82および84は、ドングルに完全に備えられてもよい。1つの例示的な実施形態では、信号プロセッサの第1のレベル(レベル1の信号処理ユニット)は、莫大な量のデータを削減することができ、処理の残りが行われるPCへの転送を可能にする。レベル1すなわち第1のレベルの信号処理ユニットは、出力信号を圧縮することができ、その結果、必須の情報は失われないが、データ内のノイズは減少され、したがってレベル2すなわち第2のレベルの信号処理ユニットに渡されるデータパケット(または処理されたデジタル信号)のサイズが減少する。1つの例示的な実施形態では、レベル1の信号処理ユニットは、デバイスの抵抗および結合の影響を取り除くことができる。
レベル2の信号プロセッサは、コンピュータの一部または電子基板自体の一部とすることができる。このレベル2のプロセッサは、対象の寸法的な側面(非限定的例の同じものの測定、組織性状診断、表示)を決定するアルゴリズムまたは技法または方法を実行することができる。レベル1およびレベル2のプロセッサは、説明した別個のレベル1およびレベル2のプロセッサの両方の機能を実行する単一のプロセッサに含まれることができる。また、少なくともプロセッサおよび/または調節器のうちの1つは、デバイス抵抗および結合の影響を(完全にとはいかないまでも、少なくとも部分的に)取り除くように構成および/またはプログラムされる。
1つの特定の例では、診断要素は、本明細書ではスマートガイドワイヤとも呼ばれる能動ガイドワイヤに組み込まれる。一例では、能動ガイドワイヤは、一定かつ不変の距離だけ離隔された遠位端に1対の電極リングを有することができる。別の例では、より多数の対の電極リングを設けることができる。本発明の方法は、軸外(off−axis)の能動ガイドワイヤ、血液および組織の性質の変化、患者間のばらつき(流量、温度、血液化学など)、および壁の非等方性組織(すなわち、局所的な脂質プール、血栓、石灰化など)に対応することができる。
図35は、本発明の一実施形態による血管系からのグラフ出力258の形をしたデータの一例を示す。血管系からのデータは、有限要素モデリング(FEM)法を使用して作成した。FEMは、任意の所与のモデルに対して非常に正確であり、モデルは、障害のモードおよび制限を評価するために任意に変更することができる。FEMでは、注意深く計算した組織の電気的性質を使用する。データは、モデルFEMによって作成され、本明細書で説明するデバイス、システム、および方法の実施形態で提供されたアルゴリズムによって分析される(誤差の定量化を可能とする)。拍動流も作成され、内腔寸法は、時間が経つにつれて変化する。デバイスを使用する内腔寸法は、心拍動あたり約150回で計算した。この例では、デバイス、システム、および方法への課題として実際のインビボ状況より4倍多いノイズを生成した。その結果は、最大2%の誤差(解決策対推定値)を示し、したがって安定した内腔の追跡を意味する。上側のプロットでは、上の線260は、内腔の長さ(時間の関数として測定した)にわたる血管の実際の既知の寸法(半径)とした。上側のプロットの下の線262は、内腔の長さ(x軸上の時間の関数として測定した)にわたる血管の計算された(または推定された)寸法(半径)であった。既知の寸法対システムにより計算された寸法の誤差は、下側のプロット264に示され、このプロットは、テストした実施形態に対して最大2%の誤差を示す。
本開示の最初の態様は、心臓血管の寸法を決定することに焦点を当てることができるが、方法は、身体の他の部分において、他のタイプの他の血管または臓器で使用可能であり、被験体の種々の解剖学的特徴に対する他の任意のタイプの治療または診断用途に適用されることができる。たとえば、方法およびシステムは、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)で使用することができる。TAVIは、生体弁がカテーテルを通して挿入され、罹患した自己(native)大動脈弁内に植え込む手技である。TAVIを成功させるために、2つの重要なステップとしては、大動脈起始部直径のサイズを決定し、それにより適切なステントサイズを選ぶステップ、および展開前に大動脈起始部に対する生体弁の正確な場所および向きを決定するステップがある。サイズの決定は、典型的には、手技前の心エコー画像診断(pre−procedural echocardiographic imaging study)(TEEまたは3Dエコーのどちらか)によって達成される。エコーは、エコー室で行われる別個の手技であり、熟練した操作者を必要とする。直径決定の精度は、画質ならびにエコー技師のスキルおよび経験によって制限される。現在、人工弁の位置は、血管造影により目測され(eyeballed angiographically)、訓練を積み熟練した操作者のみが正しい位置を判断することができる。位置の妥当性は、操作者とカテラボの経験豊かな看護師の合意によって決まる。弁が展開されると、誤って留置した場合に訂正する選択肢がほとんどまたは全くなく、そのうえ、臨床上の影響(clinical repercussions)は有害である。本明細書で説明する本技法の態様は、有利には、人工弁のサイズ決定、位置決め、および展開を支援できる現在の技法に組み込まれるガイダンスシステムを提供する。
一般的なTAVI手技は、大腿動脈アクセスによる標準的な直径0.035”または0.038”のJチップガイドワイヤによって大動脈弁を越えるステップから始まる。バルーン弁形成術は、一般的には、人工弁の展開の準備で狭窄大動脈弁を拡げるためにバルーンカテーテルによって実行される。次に、このステップに続いて、対象ゾーンで人工弁展開デリバリーカテーテル(prosthetic deployment delivery catheter)を摺動させ、人工弁を展開する。弁を展開したら、漏洩(逆流)および機能を確認する。
一実施形態では、本明細書のガイドワイヤおよび方法は、大動脈弁を超えて挿入され、それによって人工弁のサイズの決定に役立つので、大動脈システムの断面積を決定する。正確なサイズを決定するための別の実施形態では、バルーンカテーテルの内部に電極を置くステップを含む。バルーンが弁形成のために拡張されるので、バルーンの直径、したがって大動脈起始部のサイズを決定することができる。さらに別の実施形態では、電極は、弁形成術バルーンカテーテルの先端に置かれることができる。先端が弁を通過するので、電極は、断面積を測定することができる。さらに、電極は、留置の精度を向上させるために人工弁展開カテーテルの先端で(先端で)一体化されることもできる。
図36は、血管内腔寸法を測定する1つの方法の概要を提供する。この方法は、インビボで血管内の対象ボリュームの近位に置かれるように構成された少なくとも2セットの離隔された電極を提供するためのステップ268と、対象ボリュームに置かれた少なくとも1対の離隔された電極にわたって電気励起源から入力励起を受け取るためのステップ270と、少なくとも1セットの離隔された電極からの対象ボリュームから応答電圧信号を受け取るためのステップ272とを含む。方法は、測定用デバイスで出力信号を受け取るためのステップであって、出力信号が応答電圧信号の関数である、ステップ276と、少なくとも1セットの離隔された電極の間の電圧差の関数として出力信号を測定するためのステップ278と、電圧差を本明細書で説明してきた種々の技法によって1つまたは複数の内腔寸法測定値に変換するためのステップ280とをさらに含む。
したがって、本開示の一態様は、血管内腔寸法を提供する。これらの方法およびシステムは、スタンドアロンであってもよいし、大規模な医学的手技の一部であってよく、そのいくつかの例について以下で説明する。
本開示の別の態様は、対象の断面積などの内腔情報を決定し、対象エリアに対する診断デバイスの移動を追跡するためのシステムおよび方法を提供する。いくつかの実施形態は、特定の既知の基準点を参照して3次元で内腔トラジェクトリ情報を取得するステップと、同じ既知の基準点を参照して種々の診断および治療用デリバリーデバイス(ステントデリバリーシステム、IVUSカテーテル、OCTシステム、または上記で説明した他の診断デバイスなど)の位置を追跡するステップも含む。したがって、方法は、精密なガイダンスを解剖学的対象領域に提供するために使用されることができる。内腔の断面積を、したがって閉塞の領域などのパラメータを測定する診断デバイス(IVUSカテーテルなど)の3D位置を知ることによって、内腔を示す視覚的デバイス上でデバイスの3Dトラジェクトリに沿ってパラメータ(たとえば閉塞)をマークすることを可能にすることができる。次に、ステントデリバリーシステムは、マークされた領域に精密にガイドされ、ステントデリバリーシステムを対象の場所、この例では閉塞の場所に正確に置くことができる。
この態様は、血管系を通過する診断デバイスの3Dにおいて内腔トラジェクトリを取得するための方法も含み、さらに、こうしたデバイスを追跡してガイダンスシステムにより取得された位置情報を有する診断デバイスによって測定されたパラメータ情報をまとめる方法を含む。そのうえ、血管系内の対象点にあらゆる腔内治療デバイスをガイドするために記載のガイダンスシステムを使用する方法が開示されている。
一実施形態では、ある方法は、3Dボリューム内の内腔トラジェクトリを決定する。例示的な方法が図37に示されている。方法1は、インビボの内腔内で複数のマーカを位置付けるステップ2を含む。この複数のマーカは、有利には、インビボで挿入されるように構成された適切な腔内器具上に存在することができる。本明細書で使用される「腔内器具」は、内腔の測定もしくは観察を行う、または、このような測定器具もしくは観察器具、たとえば限定するものではないが、ワイヤ、ガイドワイヤ、カテーテルなどにガイダンスを提供するように適合された任意の器具を含む。この目的ための例示的なワイヤは、ステントを送達するために使用されるガイドワイヤである。他のこのような例示的なワイヤは、当業者には明らかであり、本開示の範囲内に含まれることが企図されている。その上に電極が配置された、上記で説明したガイドワイヤは、ステップ2で内腔内に配置できるマーカの例にすぎない。
各マーカは、元の識別情報によって特徴付けられる。各マーカの「識別情報」としては、特定のマーカの通し番号、マーカの位置、デバイスの少なくとも一端(たとえば、遠位端または近位端)からの距離、最も近い隣接マーカからの距離、マーカの幅、基準フレームに関するマーカの動作の方向など、およびそれらの組み合わせなどのマーカを識別するために使用されるパラメータが含まれる。本開示で有用なマーカとしては、撮像法または画像処理法により識別可能となりうるマーカが含まれる。当技術分野で公知の画像診断法はかなり多様に富んでおり、マーカは、1つまたは複数の画像診断法により識別可能なマーカを含むように設計されることができる。たとえば、ある有用なマーカは、X線を使用して撮像可能な放射線不透過性材料とすることができる。別の例示的な実施形態では、複数のマーカは、パルスによって励起されたときに信号を生じるように構成された少なくとも2つの離隔された電極を含むことができる。さらに別の例示的な実施形態では、複数のマーカは、適切に励起されると波長スペクトルの近赤外領域で蛍光を発する染料を含むことができ、したがって、赤外分光光度計を使用して観察されることができる。各マーカは、複数の撮像法によって観察されることを可能にする材料の組み合わせを含むことができる。したがって、1つのマーカは、放射線不透過性材料と、2つの離隔された電極とを含むことができる。さらに、複数のマーカは、このような材料の組み合わせを含むことができる。したがって、例示的な実施形態では、あるマーカは放射線不透過性材料からなることができるが、別のマーカは2つの離隔された電極とすることができる。
方法1は、複数のマーカの画像を取得するステップ3も含む。画像を取得する方法は、関係するマーカの性質に依存する。その後、方法1は、画像を処理するステップ4を含む。この処理ステップは、複数のマーカのそれぞれの少なくとも1つの観察された識別情報を決定するために行われる。この観察された識別情報は、インビボの位置にあるマーカの現在の情報を提供する。画像の処理は、複数のマーカからの少なくとも2つのマーカの間の観察される間隔も提供する。画像の処理4は、細胞または閉塞、動脈の分岐部などを識別する、マーカ近傍の内腔の識別情報などの、他の解剖学的ランドマークを識別するために行われることもある。
方法1は、3D空間における各マーカの位置を決定するステップ15も含む。各マーカの位置は、観察された識別情報、観察された間隔、および複数のマーカのそれぞれの元の識別情報に基づいて内腔の領域を画定する。たとえば、1つの例示的な実施形態では、2つのマーカの元の識別情報が、ある一定の距離d1だけ互いから離隔された通し番号M1およびM2によって定義されており、両方のマーカが同じ方向を向き、観察された識別情報が、その間の距離がd2に減少していることを示し、マーカの一方が他のマーカに対してある一定の角度だけ捩れている場合、3D空間において2つのマーカ間のトラジェクトリは、内挿などの数学的手法を使用して決定されることができる。元の相対的距離と比較して同じ相対的距離を維持することは、ほとんどまたは全くねじれのない線形経路を示すが、相対的距離の減少がワイヤによる蛇行した経路を示すなどの、数学的手法が適用されることができる。
方法1は、各マーカの位置に基づいて3Dボリューム内の内腔トラジェクトリを決定するステップ6をさらに含む。ステップ16からの処理された画像およびステップ5からの3D空間内の各マーカの位置を使用することにより、3Dボリューム内の内腔トラジェクトリ全体を、内挿などの当技術分野で公知の技法を使用して再構築することができる。このような内挿法は、内腔トラジェクトリデバイスの物理的性質ならびにマーカのそれぞれの向きを利用することができる。再構築は、プロセッサを有する適切なコンピューティングデバイスを使用して行われることができる。このコンピューティングデバイスは、パーソナルコンピュータとすることができ、オンラインで、またはオフラインで、3Dボリューム内の内腔トラジェクトリを提供することが可能であってよい。
図38は、本開示のいくつかの例示的な方法のさらなる例示的なステップ7を示す。ステップ8は、内腔内の対象ボリュームを通って複数のマーカを横断するステップを含む。内腔内の対象ボリュームは、前のいくつかの情報から識別されてもよいし、外科医または経験豊富な技師のようなエキスパートなどによる即時の観察に基づいて識別されてもよい。例示的な対象ボリュームは、罹患した動脈とすることができる。別の例示的な対象ボリュームは、大動脈の動脈瘤とすることができる。横断するステップは、複数のマーカを備えるデバイスを手動で作動すること、または、たとえばステッパモータなどの制御装置機構を使用してデバイスを作動することなどの当技術分野で公知の方法によって達成されることができる。
方法7は、任意選択で、ステップ9に示すように、複数のマーカを横断しながら、観察された識別情報および観察された間隔を追跡するステップを含む。これは、次に、観察された識別情報および観察された間隔として記録されることができる。観察された識別情報および観察された間隔を追跡するステップは、本明細書で説明するように、関連する撮像法を使用して行われることができる。追跡するステップは、定期的な間隔で一連の画像を取得すること、および各画像に関連する時間に注目することによって達成されることができる。あるいは、画像診断法が、その画像診断法(透視検査など)を可能にする場合、動画のスライス(movie slice)などの連続像が取得でき、次に、追跡するステップが、動画のスライスの異なるフレームを使用して行われることができる。したがって、抽出されたまたは取得された各データ点は、観察された識別情報および観察された間隔を生じる。画像を取得するステップの周期性およびサンプリングレートは、さまざまな要因に依存してもよく、たとえば、画像診断法の性質、プロセッサの計算能力、必要とされる情報の性質、観察されている内腔の状態など、およびそれらの組み合わせを含むことができる。
いくつかのマーカM(4つのみが標示されている)を有するガイドカテーテルCを通して挿入されたガイドワイヤGの例示的なX線画像が、図38Aの左側に示されている。ピクセルグレードを特定し、マーカに属するピクセルを特定して、そのマーカに対応しないピクセルを拒否するために、各フレーム(ピクチャ)内の個々のピクセルをスキャンする画像解析アルゴリズムを実行した。アルゴリズムが対象マーカに焦点を合わせ、視野に存在しうるマーカの残りを拒絶するのを助ける弁別器をアルゴリズムに組み込むことができる。弁別器の一例は、マーカのサイズとすることができ、別の例は、特定の画角をなすマーカの距離とすることができ、さらに別の弁別器は、すべてのマーカが滑らかな曲線上にあるという制約である。図38Aの右側では、識別されたマーカに円を置いた。ガイドワイヤがカテーテルCの内径を通って縦方向に横断したので、一連のピクチャフレームが生成され、画像識別アルゴリズムにより、各ピクチャフレームでマーカが識別される。図38Bの画像の系列は、カテーテルCを通してガイドワイヤを進めるときに取得された異なるフレームを示す。異なるマーカを、フレームのそれぞれにおいて、画像処理アルゴリズムによって識別した。したがって、各フレーム内のマーカの位置は特定されている。図38Cは、マーカを有する同じワイヤの2つのビューを示す。第2のビューにおいて、マーカ間の見かけの相対的間隔が変化していることが分かる。たとえば、2および3の番号が付されているマーカは、3Dでの物理的な離隔距離が同じであっても、第1のビュー(左側)のほうが近く見える。マーカ間の実際の物理的な距離は、演繹的に分かる。さらに、ピクセルの、物理的距離へのマッピングは、この例では1ピクセルあたり約0.25mmであることが分かっている。この情報を使用して、腔内デバイスのトラジェクトリは、最初に各マーカ間セグメントのトラジェクトリを推定し、フレーム内で、次にフレーム間で、すべてのセグメントを統合することによって追跡されることができる。
その後、図38の方法7は、観察された識別情報、観察された間隔、および複数のマーカのそれぞれの元の識別情報に基づいて対象ボリュームを画定する、3D空間11内の各マーカの複数の位置を決定するステップを含む。すでに本明細書で説明したように、観察された識別情報および観察された間隔および元の識別情報および間隔は、腔内デバイスが横断した内腔トラジェクトリを再構築するために効果的に使用されることができる。したがって、方法7は、各マーカの複数の位置に基づいて3Dボリューム内の内腔トラジェクトリを決定するステップ13をさらに含む。3Dボリューム内のこのような内腔トラジェクトリは、利用可能な計算能力に応じて、撮像からオフラインで、または実質的にリアルタイムで、決定されることができる。
マーカの位置は、各画像の原点に関して決定される。ただし、特定の内腔トラジェクトリが分かった後で他の腔内デバイスをガイドするために、固定基準に対してトラジェクトリの位置をマークすることが不可欠である。さらに、基準要素の既知のサイズにより、観察されたマーカおよび距離の較正を、正確な物理的寸法とすることが可能である。本明細書の方法は、基準(原点)およびすべての観察の較正として使用される被験体の皮膚上に配置されたパッチなどの基準構成要素を使用するステップをさらに含む。基準構成要素は、少なくとも1つの基準マーカを備える。いくつかの実施形態では、その精密な2次元構造により、基準パッチを使用すると、物理的寸法に画像内のピクセルの数のマッピングが可能になる。さらに、基準パッチは、測定中の被験体による移動を説明することもでき、そうでない場合は、測定の解釈が困難になる場合がある。基準パッチにより、測定値のオフセットおよび偏差が説明され、したがって、3Dボリューム内のより正確な内腔トラジェクトリを生じることができる。パッチなどの基準構成要素は、エクスビボで存在することができる。一般的な使用状況では、基準パッチの正確な位置、向きの方向、幅、深さ、および他の寸法は常に既知であり、この測定値は、内腔トラジェクトリデバイスの少なくとも2つのマーカのそれぞれの位置を正確に決定するためにそのようなマーカの測定値と共に得られる。いくつかの例では、基準パッチは、被験体の上に置かれることができる。他の実施形態では、基準パッチは、手術台に付着されることができる。基準パッチは、その構成内の以前に言及した少なくとも2つのマーカと類似してよく、放射線不透過性材料、少なくとも2つの離隔された電極、蛍光染料など、およびそれらの組み合わせであってよい。1つの特定の実施形態では、基準パッチは、X線診断を使用して撮像可能な放射線不透過性材料である。別の実施形態では、基準パッチは、少なくとも2つの離隔された電極である。パッチマーカの形状は、パッチ、したがって被験体に関する2D画像の、向きのより簡単な決定を可能にするように変化することができる。
本明細書の方法は、さらに、現在使用されている他の技法と共に使用されることができる。たとえば、本明細書の方法から得られる3Dボリューム内の内腔トラジェクトリは、別個に取得された血管造影図上に重ね合わされることができる。別の例示的な実施形態では、図37のステップ4の方法1における画像の処理は、別個におよび/または同時に取得された血管造影図を使用して行われる。
図39は、例示的な使用方法58を示し、この方法は、特定の実施形態で内腔トラジェクトリを決定するために実寸法を決定する際に適用される。図39は、2つのマーカ63を有する腔内器具61を示す。しかし、この原理は任意の腔内器具上の任意の数のマーカに、さらには、それぞれ複数のマーカを有する複数の腔内器具にすら、拡張できることは、当業者には理解されよう。マーカ63は、適切な画像診断法によって、数字65で表される特定の角度で確認される。本明細書で述べるように、適切な画像診断法としては、たとえばX線法が含まれうる。図39の数字67で表される、マーカ63間の実際の距離は、たとえば製造業者によって提供される腔内器具の仕様からすでに分かっており、または適切な独立した測定法によって利用可能になる場合すらある。画像診断法によって測定される実際の距離69は、画像診断法による視軸(axis of viewing)と腔内器具63の2D平面の軸の間の角度71により、実際の距離67と異なるであろう。2Dの2つのマーカ間の見かけの距離が平面レイアウトで予想距離より短いとき、腔内器具がその面に入っているかまたはその面から出ようとしていることが推論されることができる。2D平面に対する角度シータ(θ)71は、次の式によって与えられる。
線形レイアウト内の2つのマーカ間の実際の距離67は、演繹的に絶対値として分かる。しかし、2D画像から行われるすべての測定は、典型的には、スクリーンなどの適切な表示媒体上のピクセルの数に関して確認される。ピクセルに関して測定された距離を実世界の寸法(ミリメートルなど)に変換することが必要とされている。ピクセルのミリメートルへのマッピングは、3Dマッピングを計算するのに必要とされる。このマッピングは、X線スキャナによって使用されるピクチャの解像度、使用されるX線のズーム倍率などの、使用される画像診断法に固有の種々のパラメータに依存する。1つの例示的な実施形態では、ピクセルからミリメートルへのマッピングは、(i)ズームおよびピクチャ解像度(行および列)の撮像デバイスから取得されたX線画像、(ii)マーカ間隔が演繹的に分かる任意の平面上に置かれた「基準パッチ」の2Dピクチャの分析、のうちの少なくとも1つによって得られることができる。行および列に沿ったパッチマーカ距離および行と列の間の角度を測定することによって、実際の長さ(たとえば1mm)あたりのピクセルの数を導出することが可能である。
いくつかの態様では、腔内デバイスは、非弾性のガイドワイヤまたは他の医療用デバイスであり、方法は、ガイドワイヤの非弾性の性質を利用する。ワイヤの一部分を追跡し、内腔トラジェクトリに沿ってある特定の距離だけ前進または後退することが分かった場合、ガイドワイヤ全体は、同じ距離だけ前進または後退すると仮定することができる。したがって、ある特定の領域内のマーカが、閉塞、他の物体からの干渉、およびX線画像の明瞭度の欠如などの理由により正確に追跡できない場合ですら、マーカのサブセットの追跡は、すべてのマーカの移動を推定するのに十分であろう。ワイヤを進めている場合、および遠位マーカが閉塞している場合、ワイヤの遠位部分が入っている新たに行った領域における内腔の正確な3Dトラジェクトリを決定することはできない。しかし、遠位マーカを内腔へ進める距離は依然として取得可能であり、したがって臨床的に有用である。新たに行った領域におけるマーカが最終的に見えるとき、内腔の3Dトラジェクトリは、再構築されることができる。
アルゴリズムの別の態様は、内腔の3D経路を必ず再構築することなくワイヤまたはカテーテルを内腔に進めるまたは内腔から後退させる量を決定する。これは、ワイヤに沿った任意の場所でマーカのサブセットを追跡することによって行われる。カテーテルのワイヤの全長が変化しないので(ワイヤが非弾性であるという理由から)、内腔部位に適度に近いワイヤの任意のセクションの前進または後退の量は、ワイヤまたはカテーテルの遠位端の前進または後退の量として適度に近似されることができる。アルゴリズムのこの態様のこの結果は、前進または後退の量を決定するためにモータ駆動された(motorized)プッシュおよびプルバックを使用するIVUSなどの他の従来技術による技法に類似している。弾性および適合(compliant)の性質により、これらの従来技術による技法は、それほど正確でない。この理由は、移動測定が近位端で行われるが、測定するために必要とされる移動は遠位端であるからである。ワイヤが押されると、ワイヤが挿入される血管が少し伸張することがある。患者位置、患者の心拍動、および患者の呼吸の少しの変化は、これらの方法の不正確さを増加しうる他の要因である。一方、この実施形態では、追跡されているマーカは、対象となる解剖学的構造に非常に近く、これにより、不正確さは著しく減少する。さらに、本明細書の方法の追加の態様では、不正確さをさらに改善するために心拍動の影響を補正する。
アルゴリズムのさらに別の態様は、心臓の鼓動による内腔トラジェクトリの変化を推定および補正することである。心臓の鼓動によって、内腔トラジェクトリのほぼ周期的な変化が起こる。心拍動の同じ位相で推定される内腔トラジェクトリのみが完全に一致している。したがって、内腔トラジェクトリの追跡は、心拍動の異なる位相で別々に行われる。他の位相では、内腔トラジェクトリは、わずかに異なるが、相関している。内腔トラジェクトリの変化における心拍動の影響は、実際は、より大規模である。トラジェクトリの局所的な変化はほとんどなく、トラジェクトリ全体が、より一層全体的にシフトする。トラジェクトリをシフトするこの性質は、測定値から再度モデル化および推定されることができる。この手法は、心拍動の位相ごとに別個に内腔トラジェクトリを決定するステップと比較して、精度の全体的な向上をもたらす。
腔内デバイスを血管内に進めると、心拍動の所与の位相に対して、内腔トラジェクトリが固定され、マーカはトラジェクトリに沿って移動する。したがって、内腔トラジェクトリの同じセクションには、複数のマーカが来る。言い換えれば、単一の内腔トラジェクトリに沿って前のマーカに追従するためにマーカに対する制約がある。これは、より多くの情報がセクションに対して入手可能であるので、複数のマーカが来る内腔トラジェクトリのセクションのためのよりロバストな推定を得るために利用されることができる。
方法1は、有利には、使用時に画像診断法と共に機能する適切なアルゴリズムを使用して実施されることができる。位置をより正確に決定するための画像の微調整は、3Dボリューム内の非常に明瞭で正確な内腔トラジェクトリを取得するためにアルゴリズムを使用して行われることができる。
図40は、例示的な内腔トラジェクトリデバイス32の概略図を示す。この内腔トラジェクトリデバイスは、ワイヤ36上のあらかじめ規定された場所に配置され、かつインビボの内腔内に置かれるように構成された複数のマーカ34を備える。各マーカ38の間の間隔は、すべてのマーカが線形構成で置かれているとき、分かる。本明細書の方法およびシステムと共に使用できる他の例示的な内腔デバイスおよび使用方法については、上記で説明した。
内腔トラジェクトリデバイスは、典型的には、マーカが配置されている腔内器具である。1つの特定の実施形態では、腔内器具は、放射線不透過性マーカを有するガイドワイヤである。別の実施形態では、腔内器具は、バルーンの端部を画定する2つの放射線不透過性マーカをすでに有するステントデリバリーカテーテルである。さらに別の実施形態では、腔内デバイスは、X線画像上で追跡できる放射線不透過性マーカも有する、当技術分野で公知のIVUSカテーテルである。
いくつかの実施形態では、マーカは、図40に示すように、単一の帯形状の形とすることができる。マーカの他の幾何学的形状も、本発明の範囲内に含まれると企図される。1つの特定の実施形態では、マーカは、グリッドパターンの形をとり、複数のより小さな形状を備え、その形状のすべてが組み合わさってマーカを形成する。
図41は、シミュレートされた使用方法における内腔トラジェクトリデバイス40を示し、このデバイスは、動脈を表す蛇行した経路(図示せず)を取ることができる。この場合、線形部分42の2つのマーカの間の距離が図40の間隔38に類似しているが、蛇行領域44のマーカ34間の間隔は図41の間隔34の間隔と異なることが分かる。
基準パッチについては、図42は、1つの基準マーカの1つの例示的な配置を示し、このマーカは、グリッドパターンの形をとる。
例示的な使用方法では、画像診断法による視野面が、マーカの平面と直角をなす場合、画像は、図42に示すように見える。しかし、内腔トラジェクトリデバイスが蛇行経路を取る場合、したがって湾曲している場合、または画像診断法の視野角が変化する場合、画像は、図43に示すように見え、数字47によって表される。グリッドが2次元を対象とする場合、内腔トラジェクトリデバイスの傾斜の3D角度を決定することは可能である。傾斜角度が分かると、グリッドは、距離の基準として補正および使用されることができる。同じパッチは、向きを取得するために位置基準として使用し、画像診断法の角度および領域が変化するときはいつでも、持っていることもできる。
本明細書で注目されるように、画像診断法からの画像は、スクリーンなどの適切な表示媒体上に表示され、ピクセルの形で見える。測定された距離「d1」74および「d2」88が、ピクセルを単位として分かる場合、角度92および90が測定される場合、およびマーカ間の実際の間隔が「a」(ミリメートルなどの物理的寸法単位で)である場合、単位距離あたりのピクセル(mmあたりのピクセル)を決定することができる。これに続いて、光学的表示様式のピッチ、ロール、およびヨーに関連する数学的変換を使用して、d1、d2、角度92および90の測定値は、高精度に得られることができる。他の実施形態では、1つのマーカのみが基準パッチ上で使用されることができる。この場合、マーカの見かけの形状は、表示される角度によって決まる。形状自体の見かけの寸法および角度方向を測定することによって、その視野角ならびに単位距離あたりのピクセルを決定することができる。より多くのマーカを使用することによって、この決定のロバストネスが向上する。したがって、1つまたは複数のマーカは基準パッチに使用できることを理解されたい。
2Dの2つのマーカ間の見かけの距離が平面レイアウトで予想距離より短いとき、腔内器具がその面に入っているかまたはその面から出ようとしているかということの間に曖昧さがある。このような場合、解剖学的情報などの対象ボリュームに特有のパラメータならびに腔内器具の滑らかな連続的制約などの内腔トラジェクトリデバイスパラメータは、この曖昧さを解決するために使用されることができる。
本発明の内腔トラジェクトリデバイス23は、基準パッチをさらに備える。この基準パッチは、内腔トラジェクトリデバイスの撮像に使用される撮像デバイスの視野内にエクスビボで置かれた所定の位置に存在することができる。いくつかの実施形態では、基準パッチは、所定のパターンに配列された1つまたは複数の較正電極からなり、1つの例示的な実施形態では、この所定のパターンはグリッドパターンである。図44は、本発明の内腔トラジェクトリデバイス上の基準パッチ81の別の例示的な配置を示し、マーカは、グリッドパターンの形をとり、このパターンは、グリッド上の特定の位置にある形状の残りと異なる1つの形状83を備え、その結果、適切な撮像手段を使用してそれを見ることによって、視野面に対するマーカの向きを容易に決定することができる。
本発明の内腔トラジェクトリデバイスのさらなる用途では、内腔の3Dトラジェクトリは、内腔トラジェクトリデバイスを使用して生成され、その場合、画像診断法を使用して識別できるマーカ(X線撮影法など)を有する任意のデバイスの正確な位置を記載および決定することは実現可能である。このようなデバイスの一意の位置の決定は、視野内に内腔トラジェクトリデバイスがある場合に、内腔追跡デバイスの固定かつ既知の位置に対する相対的位置を追跡することによって、実現可能である。あるいは、内腔トラジェクトリ追跡デバイスがない場合、デバイスの一意の位置は、基準パッチを共通基準として利用することによって決定されることができる。共記載については、以下でより詳細に説明する。
さらに別の実施形態では、内腔トラジェクトリデバイスは、内腔対象ボリュームの3Dトラジェクトリのより正確な描出を得るために使用されることができる。これは、内腔を通して腔内器具を(押すことまたは引くことのどちらかによって)挿入することによって達成されることができ、その間、さまざまなセットのマーカは内腔内の同じ領域を占める。これは、同じ領域の3Dトラジェクトリの複数の測定値をもたらす。これらの複数の測定値は、内腔3Dをさらに改良してより正確にするために使用されることができる。これらの複数の測定値は、心拍動の複数の位相に対応する内腔セグメントの3Dトラジェクトリを決定するために使用されることもできる。
さらに別の態様では、本発明は、内腔トラジェクトリシステムを提供する。図面を参照すると、図45は、内腔トラジェクトリシステム53のブロック図を示す。このシステムは、ワイヤまたは他の腔内デバイス上のあらかじめ規定された場所に配置された複数のマーカ55を備える。すでに述べたように、このデバイスは、インビボで対象ボリューム内に置かれるように構成される。システムは、内腔を横断するときに内腔の対象ボリューム内の腔内デバイスを撮像するための撮像構成要素57を備える。撮像としては、たとえば限定はしないが、X線、赤外線、超音波など、およびそれらの組み合わせが含まれうる。撮像構成要素57は、観察された識別情報および観察された間隔を提供するために、追跡モジュールが対象ボリュームを横断するときに異なる時間間隔でワイヤの画像を取得するように構成される。撮像構成要素57は、観察された識別情報を心臓の異なる位相にマップする目的で、位相を同期させた画像を取得するために同期位相撮像デバイスとして振る舞うようにさらに構成される。
内腔トラジェクトリシステム53は、処理構成要素56も備える。この処理構成要素は、複数のマーカのそれぞれの少なくとも1つの観察された識別情報および複数のマーカからの少なくとも2つのマーカの間の観察された間隔を決定するように撮像構成要素から取得された画像を処理するために使用される。内腔トラジェクトリシステム53は、本明細書で説明する方法を使用して、複数のマーカのそれぞれの少なくとも1つの観察された識別情報および複数のマーカからの少なくとも2つのマーカの間で観察された間隔を決定する。内腔トラジェクトリシステム53は、本明細書で説明する本発明の方法ステップを使用して、各マーカの位置に基づいて3Dボリューム内の内腔トラジェクトリを決定する目的で、複数のマーカのそれぞれの観察された識別情報、観察された間隔、および元の識別情報に基づいて対象ボリュームを画定する3D空間の各マーカの位置を決定するためにさらに使用される。
内腔トラジェクトリシステムは、撮像手段および処理手段からの観察されたデータを較正するための基準パッチも備える。この基準パッチは、本明細書ですでに説明したように構成されることができる。
内腔トラジェクトリシステム53は、結果および画像を適切な出力として提供するために出力モジュールも備えることができる。一般的な出力としては、3D静止画像、内腔トラジェクトリのアニメーション化された描出などが含まれる。内腔トラジェクトリシステムは、エキスパート、医師、スペシャリストなどの適切な受信者に結果および画像を通信するために通信モジュールをさらに備える。無線通信および有線通信は、計算能力、帯域幅、ファイルサイズなどによっては可能な場合がある。本発明の内腔トラジェクトリシステム53に関連する他の構成要素および特徴は、当業者には明らかであり、本開示の範囲内に含まれることが企図されている。
いくつかの実施形態は、インビボ医学的手技のために診断ガイダンスのための取得基準情報を提供する。図46は、例示的な方法140に関与する例示的なステップを示す。この方法は、内腔に対応する内腔トラジェクトリ情報を提供するステップをステップ142に含む。内腔トラジェクトリ情報は、上記の本明細書の方法のいずれかで説明したように取得されることができる。内腔トラジェクトリ情報は、当技術分野で公知のさまざまな技法から取得されることもでき、たとえば、MRI、X線、ECG、透視検査、顕微鏡検査、超音波画像化、およびそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。内腔トラジェクトリ情報を取得するために使用される技法およびすぐに利用できる計算能力に応じて、内腔トラジェクトリ情報は、2D画像であってもよいし、3D画像であってもよいし、表形式であってもよいし、任意の他の好適な表現形式であってもよい。1つの特定の実施形態では、内腔トラジェクトリ情報が表形式で提供されるとき、この表は、通し番号、基準点(カテーテルの挿入点などからの距離)などの列を含むことができる。表形式で利用可能なデータ点は、必要に応じて±0.01mmなどの適切なレベルの実験精度を有することができる。
方法は、内腔に対応するパラメータ情報を提供するステップをステップ144に含む。パラメータ情報は、たとえば限定するものではないが、圧力、血流量、断面積、およびそれらの組み合わせなどの、内腔の性質を知らせる任意の情報を含む。このタイプの情報は、ブロック、動脈瘤、狭窄など、およびそれらの組み合わせを評価するために必要なことがある。このような情報は、いくつかの技法のいずれかから取得され、たとえば、顕微鏡検査、超音波、血管内超音波法(IVUS)、近赤外分光法(NIR)、光干渉断層法(OCT)、血管光学カメラタイプのデバイス、上記で説明した他の内腔測定デバイス、および他の腔内診断デバイス、およびそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含むことができる。例示的な技法は、本明細書で説明する腔内器具の使用をさらに必要とすることがある。
内腔トラジェクトリ情報とパラメータ情報は、同時に取得されてもよいし、別個に取得されてもよい。内腔トラジェクトリおよびパラメータ情報をいつどのように取得したかに応じて、この2種類の情報の結合は、いくつかの技法を使用して行われる。1つのこのような技法は、画像にタイムスタンプを与え、同じクロックを使用して、腔内器具からのパラメータ測定値にタイムスタンプを与えることである。本願で説明する画像処理技法により取得される腔内デバイスの位置情報は、診断パラメータ値(たとえば、断面積、圧力など)のタイムスタンプと同じタイムスタンプを有するので、この2つをまとめて基準情報を形成することができる。位置情報を有するパラメータ測定値をまとめる別の方法は、ECGゲーティングを使用することである。ECGは、あらゆるインターベンションの日常的な処置として行われる。腔内器具の3D位置情報は、画像診断法(たとえば、X線)から取得され、腔内診断法からのパラメータ情報は、ECGゲーティングとすることができ、したがって、時間領域で一緒にまとめて基準情報を提供することができる。
方法は、診断ガイダンスの基準情報を取得するために内腔トラジェクトリ情報をパラメータ情報と組み合わせるステップをステップ146にさらに含む。内腔トラジェクトリ情報とパラメータ情報の結合は、画像形式、表の表現、または他の任意の視覚的表現、およびそれらの組み合わせで利用可能とすることができる。したがって、1つの例示的な実施形態では、基準情報は、パラメータ情報のテキストがその上に重ね合わされる内腔トラジェクトリの画像情報として利用可能である。1つの特定の実施形態では、基準情報はフルカラー画像であり、色の選定は、ある特定のパラメータ情報の表れである。別の実施形態では、パラメータ情報は、内腔トラジェクトリに沿ったパラメータの変動の度合いを示す同じ色の異なる濃淡として表示されることができる。さらに別の実施形態では、基準情報はアニメーションである。画像および/またはアニメーションとして利用可能な基準情報は、容易な診断および/もしくは治療または達成が予想されるいかなる医学的手技も可能にする適切な解像度とすることができる。解像度は、内腔内で識別できることが必要な最小距離に関して測定されることができる。
別の例示的な実施形態では、基準情報は表形式で利用でき、列は、位置ID、基準からの距離、特定の距離における断面積などのヘッダを含むが、これらに限定されない。たとえば、表の表現では、基準からのすべての距離が、断面積のような関連するパラメータ情報を有するとは限らないが、ある特定の位置のみが、関連するパラメータ情報を有することは、当業者には明らかであろう。基準情報の正確な性質は、医学的手技の要件、利用可能な計算能力、操作者の快適さおよび好みなどであるがこれらに限定されない種々の要因に依存する。
このような基準情報が、適切な形で利用できるようになると、この情報は、次に、ある特定の適切な最小解像度(たとえば、ピクセル単位で測定される)を有して表示され医療関係者によって使用されるグラフィカルユーザインタフェースに表示される。このような基準情報は、対象領域のより良い識別を提供し、標的領域により正確に治療用デバイスをガイドするために使用されることができる。基準情報がグラフィカルユーザインタフェースで利用可能なとき、画像の拡大および縮小などの対話的機能は、医療関係者が、内腔内の対象領域を拡大し、内腔全体をまとめて縮小できること、または効果的な診断および/もしくは治療を可能にするために関連する他の適切なアクションを実行することを可能にするために、利用可能とすることもできる。
いくつかの実施形態では、内腔トラジェクトリ情報およびパラメータ情報を取得しながら、視野の固定基準を含むことが有用な場合がある。このような視野の固定基準は、さまざまなときに行われる測定中および観察中の変動、または被験体による移動、または外部の状況により生じるこのような差を説明する。これにより、すべての変動および差を説明しながらの内腔トラジェクトリ情報とパラメータ情報の結合が可能になり、依然として正確な基準情報を提供する。このような視野の固定基準がない場合、外部の状況の変化による誤り訂正は、操作者または技師または医療関係者のスキルおよび経験のみに基づいて訂正されることができる。視野の固定基準は、さまざまな技法によって取得され、たとえば、既知の寸法を有する放射線不透過性マーカパッチを被験体の特定の位置に付着すること、被験体の外部にあってもよい物体に放射線不透過性マーカパッチを付着すること、ユーザによる内腔トラジェクトリ情報に含まれる少なくとも1つの解剖学的場所(解剖学的場所の特性は他の技法から事前に分かる)の初期マーキング、X線機器のCNC座標などの撮像システムの1セットの座標を使用することを含むことができる。ユーザが内腔トラジェクトリに沿ってある特定の解剖学的ランドマーク(たとえば、病変の起始部および末端部、弁基部、分岐部など)を柔軟に識別できることが有用なのは、当業者には理解されよう。
他の実施形態では、基準情報は、マークされた診断対象のエリアを含む。たとえば、医療関係者は、その後でたとえば分岐などの治療デバイスを送達するときに追跡を望む、トラジェクトリに沿った特定の対象点を識別することができる。これらの診断対象のエリアは、ブロック、狭窄、動脈瘤など、およびそれらの組み合わせなどの内腔の任意の特定の状態を表すことができる。1つまたは複数のマーキングは、特定の状況で必要とされるときに、医療専門家または技師またはスペシャリストなどの関係要員によって行われることができる。このようなマーキングにより、被験体の診断および治療がさらに容易になる。マーキングは、たとえばタッチスクリーンまたはマウスを使用してスクリーン上で対象領域を物理的に識別することによって行われることができる。
いくつかの実施形態では、内腔トラジェクトリ情報とパラメータ情報は位相同期される。心臓は、収縮期および拡張期とも呼ばれる、ポンピングと充填(back−filling)を含む位相を有する。各位相中に、内腔の性質は、別の位相の内腔の性質と比較して変化する。したがって、いくつかの例では、内腔トラジェクトリ情報およびパラメータ情報を取得しながら心臓の位相を知ることが重要である。心臓の位相を識別する方法は、心電図(ECG)など、当技術分野で公知である。たとえば、内腔トラジェクトリ情報およびパラメータ情報の取得は、位相同期を確実にするためにECGゲーティングと共に達成されることができる。ECGゲーティングによる複数の測定は、さらなる使用のために実行可能である良好な平均測定を取得するために必要なことがある。
このような正確な基準情報を手元に有することによって、医療関係者が高い成功率で診断を実施し、被験体を治療し、手術を施行し、任意の医学的手技を行う明白な利点が得られる。したがって、医療関係者は、医学的手技を施行するために、フィールド全体でのスキル、専門知識、知識、および経験に頼る必要はない。本発明の方法によって利用可能な基準情報は、医療関係者のスキル、知識、経験、および専門知識を大きく利用する。
別の態様は、基準情報を使用して内腔内の腔内器具をガイドするための方法である。この方法の例示的なステップは、流れ図148の形で図47に示されている。基準情報は、本明細書において上記で説明したように、取得される。腔内器具をガイドするための方法は、数字150によって示される、腔内器具の画像を提供するために内腔に挿入された後で腔内器具を撮像するステップを含む。撮像するための技法は公知であり、X線、MRIなどを含むことができる。画像は、2D画像として利用可能となり、または表示に適した任意の好都合な形で表されることができる。好都合な形は、計算要件、表示および分かりやすさ(comprehensibility)の簡素化、医療関係者の快適度など、およびそれらの組み合わせなどのさまざまな要因によって決まることができる。
さらに、腔内器具の画像は、撮像技法を心同期と同期させることによって、ECG同期されることもできる。腔内器具をガイドするための方法は、次に、数字150によって示される基準情報を有する対応する腔内器具の画像を含む。本明細書で注目されるように、基準情報は、任意の適切な形とすることができ、腔内器具の画像も、腔内器具の画像と基準情報が適切に相関するように適切な形に変換される。一実施形態では、基準情報は、2D静止画像として利用可能であり、腔内器具の画像も、腔内器具が経路を横断するとき内腔トラジェクトリに沿ってリアルタイムで重ね合わされた2D画像、したがって内腔の基準情報に対する腔内器具の瞬時位置として利用可能である。一連のこのような相関は、基準情報に対する腔内器具の画像のほぼリアルタイムのシーケンスを取得するために、したがって腔内器具を内腔内の所望の対象位置にガイドするために実行できることが、当業者にはすぐに理解されよう。
その後、ステップ154に示すように、任意の腔内器具が対象領域にガイドされる。ガイドは、本明細書で説明する方法を使用して容易に達成されることができる。したがって、1つの例示的な実施形態では、基準情報は、2D基準画像として利用可能であり、腔内器具の画像は基準画像に対して追跡される。これは、次に、1024×800ピクセルなどの適切な解像度を有するスクリーンなどのグラフィカルユーザインタフェースに表示される。次に、医療関係者は、腔内器具が内腔を横断するときにそれを見て、次いで、(最初に生成された内腔トラジェクトリに沿って)基準画像上に明確に表示される対象領域に到達することができる。本明細書で注目されるように、トラジェクトリに沿った内腔内の1つまたは複数の対象領域(病変、分岐部、血管奇形など)も、医学的手技を容易に施行できるように内腔トラジェクトリの固定基準と「同じ」固定基準(原点)に対してマークおよび記載されることができる。医療関係者は、任意の医学的手技を施行するために腔内器具を正確な位置に正確にガイドできるように対象領域を拡大する能力を与えられることができる。このような医学的手技としては、たとえば、ステントの送達、ステントと一緒のバルーンカテーテルの送達などが含まれうる。
本明細書の方法は、有利には、適切なソフトウェアプログラムまたはアルゴリズムを使用して行われることができる。したがって、さらに別の態様では、本開示は、基準情報を取得するためのアルゴリズムと、腔内器具をガイドするための方法を提供する。このアルゴリズム(複数可)は、一般に、特定の最低コンピューティング要件と、器具から来る画像を処理する撮像器具にも適切に接続される処理能力を必要とする。ある特定の解像度を有するスクリーン、マウスおよびキーボードなどの入出力インタフェースなどの適切なグラフィカルユーザインタフェースは、アルゴリズムと共に使用することができる。アルゴリズムは、CD、フラッシュドライブ、外付けハードドライブ、EPROMなどの適切な媒体上に存在することができる。アルゴリズムは、インターネット上のウェブサイトなどの適切なソースから実行可能で自己解凍可能なファイルの形でダウンロード可能なプログラムとして提供されることができる。
さらなる態様では、システムは、腔内器具を内腔内の対象領域にガイドするように適合される。図48は、例示的なシステム156のブロック図である。システム26は、本明細書で説明する技法のいずれかを含みうる内腔トラジェクトリ情報を提供するための第1の手段158と、パラメータ情報を提供するための第2の手段160と、腔内器具の画像を取得するために内腔内の腔内器具を撮像する撮像手段162と、内腔トラジェクトリ情報とパラメータ情報を結合して基準情報を提供するための第1のプロセッサ164と、腔内器具を内腔内の対象領域にガイドするために腔内器具の画像を基準情報と相関するための第2のプロセッサ166とを備える。システムは、基準情報、腔内器具の画像、および基準情報と腔内器具の画像を組み合わせたものを表示するために表示モジュールも備えることができる。システムは、入出力モジュールも備え、入力モジュールは、第1の手段および第2の手段のための入力を受け取り、出力モジュールは、その結果を第1のプロセッサおよび第2のプロセッサに提供する。システムは、種々のモジュールの間の通信を可能にするために通信モジュールも備える。通信方法は、IEEE488ケーブル、RS−232ケーブル、イーサネット(登録商標)ケーブル、電話線、VGAアダプタケーブルなど、およびそれらの組み合わせを使用するなどの有線接続によることができる。あるいは、種々のモジュールの間の通信は、ブルートゥース、赤外線接続、無線LANを使用するなど、無線で達成されることができる。システムに組み込まれうるさらなるモジュールは、当業者には明らかであり、本発明の範囲内に含まれることが企図されている。個別のモジュールは、互いと遠隔に位置し、適切な手段を介して互いに接続されることもできる。したがって、表示モジュールは、医学的手技を施行しながらエキスパートの意見およびガイダンスを得るために、たとえばエキスパートがいる、建物の別の部分または都市の異なる場所などの遠隔地で利用可能であることができる。
次に、血管内腔情報を取得し、それを使用して内腔内の治療デバイスを対象領域にガイドする例示的な方法を示す仮説例を提供する。高血圧、異脂肪血症、カテーテル治療の施行歴を有し、軽度の冠動脈疾患、著しく異常な負荷心筋シンチ検査、および大きな壁欠損を示す65歳の被験体である。無症候性ではあるが、この患者は、大きな血流欠損を考慮して、心カテーテル法を施行するために紹介された。血管造影法では、95%の狭窄が明らかになった。従来のステント留置法を使用して、ステント留置後の血管造影法を行ったところ、血管がステントの近位で狭くなっているように見えるので、ステントが最適に展開されているかどうかという問題が浮上した。ステント留置後のIVUSにより、ステントが著しく小さくなり、拡張されていないことが明らかになった。反復的なインターベンションが必要であり、第1のステントの近位に第2のステントを展開した。
この反復的なインターベンションは、例示的な方法を使用して回避されることができる。IVUSによって支援される標準的な血管造影法により、インターベンションのステップは、血管造影法を施行するステップと、血管造影の視覚的評価(短縮(foreshortening)および視覚的アーチファクトにより主観的)に基づいたステント選択を実行するステップと、インターベンション(ステント留置および展開)後の血管造影法により、展開が最適以下である地理的ミス(geographic miss)可能性を明らかにするステップとを含む。これを確認するために、IVUSは、ステントが小さい、および/または拡張されていない、および/または縦方向に誤配置されていることを明らかにするために使用される。IVUSカテーテルを別の膨張カテーテルで置き換え、小さくなっていることを補正するために、ステントを後で膨張する。膨張カテーテルをステントカテーテルで置き換え、第2のステントを第1のステントの近位に置く(および/または重複)。最終的な血管造影法を施行して、結果を確認する。時間により、ステントの第2のIVUSの検討は実行されてもされなくてもよく、手技の成否に関してプロセスにいくらか不確定性を残す。したがって、概説したように、結果を達成するためにデバイスの数回の交換を行わなければならない。そのうえ、病変の正確な位置はリアルタイムでは分からず、したがって、ステントデリバリーカテーテルを適正な場所にガイドすることはできず、ステントを縦方向に地理的に誤配置する可能性を残す。
対照的に、上記で説明したような電極を有するガイドワイヤがカテーテル留置手技に使用されるとき、そのプロセスは簡略化される。最初に、血管造影法を施行する。上記で説明したガイドワイヤを、血管内で病変にわたって配置する。システムは、本明細書で説明する技法を使用して病変を横断するときに、病変長の測定値および/または基準血管直径および/または断面積を取得する。同時に、ガイドワイヤが内腔を横断するとき、ガイドワイヤの位置情報ならびに病変および分岐部などの他の解剖学的対象点が、上記で説明した固定基準に対して共記載される。断面積情報を位置情報とまとめ、上記で説明したガイダンスシステムを作り出す。病変の断面積、病変の最小内腔面積(「MLA」)、および病変の長さに基づいて、医師は、展開するために適切なステントを選択する。病変の場所は、ステントデリバリーカテーテルを正しい場所にガイドするために医師によって使用される静的な基準血管造影像上に重ね合わされることができる。そのうえ、ステントデリバリーカテーテルは放射線不透過性マーカを有するので、ステントデリバリーカテーテルは、上記で説明した画像処理アルゴリズムを使用して能動ガイドワイヤの基準と同じ基準に対して追跡することができる。システムインタフェースの実施形態の1つでは、ステントデリバリーカテーテルの移動のレンダリングは、病変場所のオーバレイを有する同じ静的な血管造影像に表示されることができる。したがって、これにより、医師には、リアルタイムで病変に関するステントの場所の精密な視覚的表示が与えられる。ステントを対象場所で展開すると、ステント留置ゾーンの後ろにステントデリバリーカテーテルを抜去することができる。次に、ステント留置領域と電極が交差するように、ガイドワイヤを後退させることができる。ステント留置された領域と電極が交差するので、電極は、ステント留置ゾーンの断面積の測定値すなわち完全なステントプロファイルを提供する。これを基準内腔(すなわちブロックされていない)断面積と比較することによって、ステントの展開が不十分(under−deploy)かどうかを決定することができる。ステントの展開が不十分な場合、ユーザは、まさにその場所に同じステントデリバリーシステムを進め、再び拡張させることができ、または、測定された情報を使用して膨張後の戦略を立てることができる。医師が膨張後を選定する場合、膨張後のバルーンカテーテルのサイズは、ステント留置された断面積プロファイルおよび基準内腔断面積に関する情報を使用して精密に決定され、したがって膨張後の損傷を軽減する。最終的なステントプロファイルおよび膨張後の断面積も、ガイドワイヤを後退することによって測定されることができる。したがって、ガイドワイヤは、断面積を測定し、ステントの選定をガイドし、ステントを精密に置いて展開し、展開後の戦略および治療の検証をガイドするために使用されることができる。これはすべて、IVUSによりガイドされる手技または血管造影によりガイドされる手技で必要とされるように、種々の用具を交換することなく達成されることができる。これにより、手技全体を、簡単にし、所要時間を短縮し、コスト効率良く、患者に有益なものにする。
次に、追加の例は、上記で説明したガイダンスシステムをどのようにしてステント留置のための既存の画像診断法と共に使用できるかを示す。医師は、IVUSガイダンスもしくはOCTガイダンス、従来の血管造影法ガイダンス、または上記で説明した腔内ガイダンスシステムの使用によるガイダンスを使用して、ステントを留置する選択肢を有する。
IVUS/OCTによりガイドされたシステムでは、IVUS/OCTデバイスは、血管造影法によって示される閉塞の点を越えて血管系に導入される。次に、モータ駆動されたプルバックを使用して、IVUS/OCTカテーテルは、内腔断面積などのパラメータを記録しながら、既知の固定された速度でプルバックされる。情報に基づいて、適切なステントサイズを選択する。次に、IVUS/OCTシステムを血管系から後退させ、次にステントデリバリーカテーテルと交換する。IVUS/OCTシステムが病変に関する情報を提供するが、IVUS/OCTシステムは、測定の位置情報を提供しない。すなわち、測定は、測定の場所を示さず、したがって、適切なステントサイズを選択するための情報のみを提示するが、ステントをどこに配置するべきかに関するさらなるガイダンスは提示しない。これは、重大な欠点である。次に、ステントデリバリーカテーテルを対象点に進め、すでに取得した静止血管造影像上の狭窄領域を視覚的に推定することによって所定の位置に配置する。血管造影像は、2Dであり、短縮の影響を受けて、蛇行血管の場合に大誤差が生じやすい。これは非常に周知の現象であり、医師が頼れるのは、自分自身の経験とスキルのみである。この技法では、ステントが縦方向に地理的に誤配置されることがある(すなわち、拡張されたステントは閉塞全体を覆わない)。これは、ステントデリバリーカテーテルを被験体から後退させ、IVUS/OCT撮像を繰り返すことによってのみ検証されることができる。誤配置が判明した場合、可能な対応策は、別のステントを所定の位置に拡張させ、したがって手技にかかるコスト、時間、および患者のリスクを著しく増大させ、あるいは、深刻な結果を生むステントエッジの解離などの合併症を引き起こすことが公知であり、膨張後のバルーンを使用して、覆われていないセクションで拡張するなどの他のインターベンションを施行することである。
非IVUS/OCTでガイドされる手技では、医師は、経験に基づいてステントサイズを選択する(主観的で誤差をもたらしやすい)。次に、前に説明したように、X線投影図下でステントデリバリーカテーテルを進め、病変に対するステントの位置を視覚的に推定する。この方法も、上記で説明したIVUS/OCTガイドされる技法と同じ短所を持ち、縦方向の地理的ミス(geographical miss)およびその関連する影響(追加のコスト、時間、複雑さ、および患者リスク)を受けやすい。
前述のガイダンスシステムをIVUS/OCTまたは上記で説明した他の診断デバイス(本明細書では「測定用デバイス」と呼ばれる)と共に使用するとき、手技は大きく簡略化され、地理的ミス(geographical miss)になりにくくなる。最初に、測定用デバイスを、内腔を通して対象の病変にわたって進め、デバイスとして使用されるべき適切なサイズのステントの決定をする内腔断面積などの重要な内腔パラメータを測定する。同時に、測定デバイスが内腔を横断しているとき、画像診断法および上記で説明した技法を使用してデバイスの3D位置トラジェクトリ情報を取得する。したがって、病変は、固定基準に対して共記載され、内腔トラジェクトリに沿ったその3D位置が記載される。さらに、ユーザは、分岐部または内腔トラジェクトリに沿った他のランドマークなどの解剖的対象点をマークするためのオプションを有し、解剖的対象点は、同じ固定基準に対して共記載される。測定用デバイスによって収集されるパラメータ情報(断面積など)は、位置情報とまとめられ、したがって、すでに説明した技法の1つにより取得される。利点のうちの1つは、これがすべてリアルタイムで起こるということである。病変の場所は、ステントデリバリーカテーテルを正しい場所にガイドするために医師によって使用される静的な基準血管造影像上に重ね合わせることができる。ユーザはここまでのところで、病変にわたって測定用デバイスを進める1つのステップのみを完了していることに留意されたい。ここで、測定器具がIVUSシステムまたはOCTシステムである場合は、測定器具を後退させ、または、測定器具が上記で説明したガイドワイヤである場合は、測定器具を所定の位置に残す。次に、ステントデリバリーカテーテルを血管系の中で進める。ステントデリバリーカテーテルは放射線不透過性マーカを有するので、ステントデリバリーカテーテルは、上記で説明した類似の画像処理アルゴリズムを使用して同じ固定基準に対して追跡することができる。システムインタフェースの実施形態の1つでは、ステントデリバリーカテーテルの移動のレンダリングは、病変場所のオーバレイを有する同じ静的な血管造影像に表示されることができる。したがって、これにより、医師には、リアルタイムで病変に関するステントの場所の精密な視覚的表示が与えられる。したがって、この技法は、ステントを正確に配置するために必要なガイダンスを提供し、追加のステップを導入しないが、主観性および誤差の可能性を最小にする。ガイダンスシステムは、インターベンションの繰り返し(ステント追加)の回避に役立ち、コストを削減し、手技時間を短縮し、患者のリスクを低下できるので、ガイダンスシステムの潜在的利点は、非常に大きい。
上記の実施形態では、測定装置および励起装置は、センサまたは負荷から、ある一定の物理的距離にあり、これらの両端で、こうした測定が行われることが望ましい。上記で説明したような導体は、一般的には、電源、測定装置、および負荷を接続し、電気回路網を形成する。電気の取り出しは、ガイドワイヤまたはカテーテルの近位端で行われる実際の測定のみに基づいて、電極のある遠位端において電圧−電流分布を取得するために必要であることが、当業者には理解されよう。これは、デバイスまたはワイヤもしくは電極などのデバイス構成要素の材料性質を考慮することを含むことができる。測定値は、このような変化を考慮に入れて正確かつ精密な測定値を生ずるように較正することができる。取り出しは、任意の数の端子たとえば2ポート、4ポート、または他の任意の数を有するシステムで行われることができる。電気値(たとえば電圧、電流)は、本明細書で説明する診断要素の遠位端と近位端の間で変換することができる。
電気回路網モデル化するための、当技術分野で公知の多数のタイプのパラメータがある。たとえば、回路網のインピーダンスパラメータとも呼ばれるZパラメータは、マルチポート回路網の電圧と電流を表す。2ポート回路網の一例として、図49を参照すると、2つの電圧と2つの電流はZパラメータにより次のように表せる。
nポート回路網の一般的な場合では、以下のように述べることができる。
回路網のアドミタンスパラメータとも呼ばれるYパラメータも、マルチポート電気回路網の電圧と電流を表す。2ポート回路網の一例として、次のように、2つの電圧と2つの電流はYパラメータにより次のように表せる。
回路網の散乱パラメータとも呼ばれるSパラメータは、入射電力波と反射電力波を表す。反射電力波、入射電力波、およびSパラメータ行列の関係は、次式で与えられる。
上式で、anおよびbnはそれぞれ入射電力波および反射電力波であり、ポート電圧およびポート電流に関する。
ハイブリッドパラメータとも呼ばれるHパラメータは、異なる方法でポート電圧およびポート電流を表す。2ポート回路網の場合、
回路網の逆ハイブリッドパラメータとも呼ばれるGパラメータは、電圧および電流を次のように表す。
上記の公式化はすべて関連しており、1セットのパラメータを互いから導出することができる。これらの公式化は周知であり、当技術分野で確立されている。Zパラメータ行列とYパラメータ行列は、互いの逆である。Hパラメータ行列とGパラメータ行列は、互いの逆である。YパラメータとSパラメータも関連しており、互いから導出することができる。言及したタイプのモデルはすべて電気的に等価である。実装形態の選定は、利便性および課題の特定の必要性によって決まる。
これらの電気回路網のうちのいくつかでは、離れた負荷のために行われる測定は、電源、測定装置、および導体で形成される電気回路網の寄生効果に対する電気的損失および結合および補償を考慮する必要がある。この課題は、遠隔に位置し、近位の場所に配置された励起および測定装置に接続する1対の導体の両端に接続される、単一負荷について広く取り上げられている。これは、高精度測定で通常使用される技法であり、一般に「ポート延長(Port Extension)」と呼ばれる。このような回路網は、一般に、2ポート回路網としてモデル化され、回路網パラメータは、既知の遠位負荷に対する近位パラメータを測定することによって解かれる。線形電気回路網を解くために、節点解析法、メッシュ解析法、重ね合わせ法が提唱されてきた。2ポート回路網に関しては、伝達関数も提唱されてきた。
しかし、負荷が、単純な単一負荷ではなく、負荷回路網を形成する複数のポートを有する分散回路網であるとき、解決策はほとんど存在しない。このようなシステムは、複数の導線と、複数の測定エンティティとを有する。したがって、離れたマルチポート負荷回路網にわたって電気的性質を正確に測定することが必要とされている。
取り出しは、デバイスまたはワイヤもしくは電極などのデバイス構成要素の材料性質を考慮することを含むことができるプロセスである。たとえば、電極は対象領域のワイヤの遠位端にあってよく、信号を受け取って処理するエレクトロニクスはワイヤの近位端に設けられてよい。遠位電極(複数可)によって得られる電気測定値は、このエレクトロニクスによって受け取られる。しかし、ワイヤの一端で提供される信号は、ワイヤの材料性質により、その信号がワイヤの他端に到着する時間によって変えることができる。この変形形態は、材料特性、ワイヤの長さ、およびこの状況に関係する他の変数に基づいて適切なモデルを使用すること、または遠位端における既知の電気負荷により測定を実行して中間の電気導体の影響を較正することによって考慮されることができる。
すべてのポートに対して、出力電圧は、次の行列式により、Zパラメータ行列および入力電流に関して定義されることができる。
上式で、ZはN×N行列であり、その要素は、従来の行列表記を使用して添え字を付けることができる。一般に、Zパラメータ行列の要素は、複素数と、周波数の関数である。1ポート回路網では、当業者には明らかなように、Z行列は単一要素に減らされ、この要素は、2つの端子間で測定される通常のインピーダンスである。
Nポート回路網のポート電圧とポート電流の間の等価な関係は、次のように表すこともできる。
上式で、YはN×N行列である。Yは、Zに関連し、一般的に言えば、Zの逆の行列である。いくつかの特別な状況では、ZまたはYのどちらかが不可逆的である。
図50は、システム171の例示的な実施形態の図である。このシステムは、近位端近傍の電気刺激によって励起されると離れたゾーンの電気回路網174(本明細書では負荷回路網と呼ばれる)を推定するように適合される。遠位端に位置する負荷回路網174は、合成された電気的性質は固定であるが不明である複数の導体172によって近位端で複数の刺激および測定デバイス170に接続される。刺激は、測定が、近位端での再度の電圧測定の形をとる間の、近位端にある励起デバイスからの任意の電流または電圧のどちらかとすることができる。電圧測定は、一般に、非理想的である(すなわち、電圧測定用デバイスは、ゼロでない有限の電流を回路網から引き込み、したがって回路網に負荷をかける)。当業者によって理解されるように、本明細書で説明するシステムおよび方法は、推定されるべき電気回路網がインサイチュの励起および測定の実行不可能な遠隔の場所に位置する任意の動作領域に拡張および適用されることができる。
nポート負荷回路網の場合、近位端まで下方に延びる複数の導線(最大n対)が、励起エンティティに、少なくとも、対応する「n」個の測定エンティティに接続することが、当業者には理解されよう。追加の基準測定も、以前のn回の測定とは独立した情報を有するように、回路内の2つの任意のノードの両端で実行される。
図51からのシステム171を使用する例示的な方法が図52に示されている。システム171は、インビボで体腔190に置かれた遠位端電極188(4つが示されている)に接続された4つの導体両端の遠位電圧に対応する近位端で電圧を測定する。これらの測定値は内腔寸法を推定するのに有用であり、内腔寸法は、いくつかの医学的手技に有用である。図示のように、4つの電極188は、カテーテルまたはガイドワイヤなどの細長い医療用デバイス194の遠位領域192に縦方向に配置される。細長い医療用デバイス194は、血管などの血管内腔の内腔190内に配置されている。4つの電極は、細長い医療用デバイス194の長さに沿って延び、近位端196上のコネクタで終端する4つの導体198に電気的に結合される。例示的な実施形態のために4つの電極が示されているが、3つ以上の電極は、測定に必要な異なる構成で使用でき、これらは、本明細書で説明するシステムおよび方法の範囲に含まれる。コネクタは、電極に接続された2つの導体の両端に刺激を提供するように適合されたハードウェアに電気的に接続され、3対の導体の両端の3つの電圧も測定する。ハードウェアは、電源と測定用デバイス170とを含み、測定用デバイス170は、励起エンティティ178と測定エンティティ182、184、186とを有する。測定エンティティ176による第4の測定は、この回路網と直列である基準抵抗180の両端で行われる。カテーテルと基準抵抗とを含む中間の回路網全体は、種々の負荷構成の遠位端192で不変であるが、最初は分からず、慎重に選定された負荷構成により推定される必要がある。本明細書で説明する較正方法では、遠位場所でこの回路網に接続される任意の負荷回路網の測定値を正しく決定して取り出すために、この回路網を推定する。
図53は、測定値を得るための異なる構成を有するシステム200の別の例示的な実施形態である。この実施形態では、第4の測定エンティティ176(VM1)は、励起エンティティの両端の基準電圧を得るために励起エンティティ178と並列であるが、他の3つの測定値は、図52に関して言及したように取得される。図53の他の構成要素は、図52の実施形態の構成要素と実質的に同じである。測定値を取得するための他の代替構成がある場合があり、図51、図52、および図53に関して説明する実施形態は非限定的な例であることが、当業者には理解されよう。一般に、任意の4つの独立した測定は、遠位負荷回路網の推定にとって十分であろう。
図51、図52、および図53で176、182、184、および186として示される測定エンティティVM1、VM2、VM3、およびVM4はそれぞれ、典型的には、信号調節およびノイズフィルタリングのための1セットのフロントエンドバッファおよび増幅器であるが、これに限定されず、その後にアナログデジタル変換器が続く。測定エンティティは、その両端の入射信号に対する、周波数に依存した利得を提供することができる。理想的なシナリオでは、電圧測定ユニットは、接続された回路網から電流を引き込むべきではないが、実際には、同じことを実装するのは不可能である。しかし、当業者によって理解されるように、電圧測定エンティティは、負荷、フィルタリング、および他の非理想特性を考慮した等価な寄生回路網、それに続く、入力電流を引き出さず、入射電圧を固定量だけ増幅するのみである理想的なバッファおよび利得ユニットのカスケードとして同等にモデル化されることができる。さらに、以下でより詳細に本明細書で説明するように、寄生回路網は、中間カテーテル回路網の一部としてマージされ、一緒に推定されることができる。
図54は、図52に示される実施形態のための端子表現である。Tk(Vk、Ik)と一般に呼ばれる端子は端子kを表し、GND43と表される任意の接地に対する電圧はVkであり、その端子を通って回路網に入る電流がIkであることが、当業者には理解されよう。現在の実施形態では、端子は、44とも呼ばれる端子0(T0)は、その両端に電圧源または電流源14が接続される端子である。任意のGNDに関して端子0で測定される電圧はV0と定義されるが、T0を通って回路網に入る電流はI0と定義される。46によって表される端子1A(T1A)は、その両端で第1の測定が行われる異なる端子のうちの1つである。この端子は、これらの端子が理想的な測定点としてモデル化されるとき、回路網に電流を供給したり低下させたりしない。48によって表される端子1Bは、端子1Aとペアを組み、端子1Aと同様に振る舞う。端子2A、端子2Bは、第2の測定値のための1セットの差動端子である。端子3A、端子3Bは、第3の測定値のための端子であり、端子4A、端子4Bは、第4の測定値のための1セットの差動端子である。端子2A、2B、3A、3B、4A、4Bは、参照番号50によって合わせて示されており、近位電圧のための端子を表す。これらの端子のそれぞれは、電流を供給したり低下させたりしない。これらの端子にかかる電圧はすべて、同じGND43を参照して測定される。
遠位側では、52としてまとめて示す端子5、端子6、端子7、および端子8は、本明細書において上記で説明したマルチポート相互接続回路網16を介して測定エンティティおよび励起源に接続されたマルチポート負荷回路網18を形成する4つの電極に対応する。これらの端子にかかる電圧は、V5、V6、V7、およびV8と呼ばれ、遠位電圧と呼ばれるが、これらの測定は、GND43に関して実行される。これらの端子を通って回路網に入る電流はそれぞれ、I5、I6、I7、およびI8と呼ばれる。
回路網は、以下で与えられるZパラメータ表現を使用して完全に説明することができる。
上式で、V1およびI1は、次の行列によって与えられる。
Z1は、電流ベクトルI1を電圧ベクトルV1に関連付ける回路網のインピーダンス行列である。別の実施形態では、遠位端電極を表すノード1、ノード2、ノード3、およびノード4の電圧は、次のように差分的に表される。
式(9)は、ここで、次のように書き換えることができる。
上式で、V2およびI2は、次の行列によって与えられる。
Z2は、電流ベクトルI2を電圧ベクトルV2に関連付ける回路網のインピーダンス行列である。
図55は、遠位側に回路網フローティングを有する例示的なシステム54を示す。フローティング回路網は、そのすべてのポートを通って回路網に入るすべての電流の合計がゼロに等しい回路網として定義される。回路網とGNDの間に別の電気経路は存在しない。図54に示される端子表現ではなく、遠位端上のポート表現が示されている。ポート電圧P1、P2、P3、P4、およびPL1、PL2、PL3は、2つの隣接する端子電圧の間の差と定義され、電圧差はそれぞれ、参照番号56、58、60、62、64、66、および68によって示されるが、ポート電流は、ポートの一方のアームを通って回路網に入り、ポートの別のアームを通って回路網を出る電流と定義される。
遠位側のフローティング回路網のための図54および図55の表現の等価性が当業者には理解されよう。式(14)によって表される新しいセットの式を得るために、式(12)によって表される式のシステムの行および列の少しの操作を要求する必要がある。
上式で、VおよびIは、次の行列によって与えられる。
Zは、電流ベクトルIを電圧ベクトルVに関連付ける回路網のインピーダンス行列である。
式14によって説明されるフローティング回路網システムについては、以下で本明細書でより詳細に説明する。当業者であれば、遠位回路網がフローティングでない使用事例のための次のセットの派生を拡張することができよう。図54に示される回路網では、V0は回路網に印加された電圧であり、I0は回路網に入る電流である。励起が、完全な電圧源14である場合、V0は、電圧源の値に固定される。同様に、完全な電流源の励起では、I0は、電流源のための電流の値に固定される。しかし、実際には、理想的な電圧源または電流源は存在しない。回路網に明らかに影響を及ぼすことなく、電圧V0または電流I0を精密に測定することが可能な場合がある。しかし、このような測定は、特に励起の周波数が高く、したがって、ハードウェアの複雑さを増すときに、込み入ったエレクトロニクスを必要とするであろう。本技法の態様は、有利には、本明細書において以下で説明する電圧V0または電流I0の知識を必要とすることなく、負荷回路網を識別するために方法を導き出すことによってこの課題を克服する。
電圧V0の値が必要でないので、この値は、式(14)で定義される式のシステムからの第1の行からを取り去っている。新しい式のシステムは、次のように書かれる。
例示的な方法では、4つの測定された電圧はベクトルVMにグループ化され、同様に、負荷側の電圧はベクトルVLにグループ化される。負荷側の電流は、次の式に示すようなベクトルILと同様にグループ化される。
ここで、式(16)の書き直しでは、上記で定義した命名法を使用する。
上式で、ZM0、ZML、ZL0、およびZLLは、式(16)でZ項のグループ化によって形成されるインピーダンス行列(Z)の副行列である。
当業者によって理解されるように、遠位側(負荷側)は、負荷側電圧のベクトルVLおよび電流ベクトルILに関連する3×3アドミタンス行列Yとしてモデル化できる任意の回路網によっても終端される。受動回路網では、アドミタンス行列Yは6つの独立変数を有するが、一般的な能動回路網の変数の数は9である。いくつかの特別なシナリオ(1つの説明したシナリオのうちのシナリオを含む)では、負荷回路網は、他の制約を有することができ、自由度が6より小さいからである。図52の特定の例では、内腔寸法を測定する間の解剖学的制約により、Yパラメータの自由度は3以下になることがある。
カテーテル回路網に入る電流ベクトルILが示されているので、次の負荷方程式を表しながら負の符号を使用する。
式(18)で式(19)を使用すると、次式が導出される。
I0は不明と仮定されるので、結果がスケール係数の不明瞭さを有する状況を解決するために、絶対値電圧ではなく、2つの電圧の比を使用する。一般性の損失なしに、基準電圧V1として図52の基準抵抗の両端の電圧を使用し、他のすべての電圧は基準電圧に対する比として測定する。
したがって、これらの式は、近位端で行われる測定に対して遠位端で接続された任意の負荷回路網の影響を効果的にモデル化する。
上記の公式化では、電圧比VM/V1を使用する。この理由は、通常の実際的な状況では、V0の正確な値(電圧励起の場合)またはI0(電流励起の場合)が正確に分からないからである。しかし、これらが十分な精度で決定できる場合、較正方法は、電圧比ではなく絶対値電圧で公式化することができる。したがって、本開示は、絶対値、電圧差、電圧の線形結合または非線形結合などの比以外の形で電圧を使用できるこのような代替公式化を想定する。
本明細書で説明する例示的な方法では、近位測定値により遠位端に接続された任意の負荷回路網のための実電圧差測定値を決定するための上記のシステムモデルを使用する。方法の次のステップは、本明細書で較正ステップと呼ばれる測定寄生と共に接続回路網のZパラメータを識別することである。その後、接続回路網および測定寄生値のZパラメータの十分な考慮の後で近位測定値が遠位負荷回路網にマップされる(フィッティングされる)取り出すステップが行われる。
本明細書で説明する較正のプロセスでは、遠位端に接続されている明確に分かっている負荷回路網のさまざまな組み合わせに対して、第1の電圧に対する3つの電圧比を測定する。受動負荷回路網では、式(21)で、推定されるべき不明Zパラメータの数は、23と推定されることに注目することができる。Zパラメータは、測定されたデータのセットで実行される適切なフィッティングユーティリティを使用して取得する。あらゆる構成が3つの電圧を提供するので、すべてのZパラメータを得るために、8つの独立した構成から少なくとも測定値を有することが必要である。より多数の構成は、フィッティングされた値により優れたノイズ耐性を提供する。フィッタ(fitter)ルーチンは、任意の開始点から始まり、式(21)で異なる既知の負荷構成における推定される電圧の比を計算する。方法は、次に、測定された比と推定された比の間のユークリッド距離である誤差メトリックを計算する。フィッタは、Zパラメータ値を調整することによってこの誤差を最小にしようとする。解が収束して解が変わることがありうる。しかし、当業者であれば、これらの問題を認識し、それらを回避するのに適した技法を見つけるであろう。これは、適切な最適化法を用いることによって行われることができる。フィッティングされたZパラメータは、回路網の真のZパラメータではなく、1つの所定のZパラメータ(ZL0のいずれか1つ)の制約下で観察をフィッティングする数学的表現であることに注目することができる。さらに、すでに言及したように、少数のZパラメータはZ10に正規化され、Z10は単位元に固定化される。
Zパラメータが較正のプロセスによって推定されると、接続回路網は、遠位端にある任意の負荷回路網を識別するために使用することができる。4つの遠位電極(回路網を接続する)を有するカテーテルが内腔の内部に挿入され、遠位側にある負荷が内腔の内部の血液の有限伝導率または壁組織の有限伝導率によるものである図52の実施形態などであるが、これらに限定されない特定の用途では、回路網の自由度は3である。3つの電極の両端の3つの電圧分布は、内腔内部の電極によって形成される等価な電気回路網のZパラメータを完全に定義する。類似の手段による電気的にパイプの断面積の測定などの類似の用途も類似の自由度を有するであろう。3つの比の測定値が任意の負荷回路網に対して得られると(自由度3のアドミタンスY)、類似のフィッタルーチンを使用して負荷回路網を見つけることができる。一例では、フィッタルーチンは、開始値Yによって初期化され、これは、ユーザによって与えられる最良の事例の推定である。したがって、比を(式21に従って)推定し、測定された比と推定された比の間の誤差として誤差メトリックを計算する。次に、負荷回路網のYパラメータを調整することによって、誤差メトリックを最小にする。最低誤差を表すYパラメータは、負荷回路網の真のYパラメータを表す。
3つの比のみを測定するので、この方法は、3以下の自由度を有する回路網の識別に適用可能であることに注目することができる。説明したように、3つのポートを有する任意の回路網では、Yパラメータは、9の自由度を有することができる。受動回路網では、自由度は、一般的に6である。このような回路網の識別は、例示的な方法の拡張を使用して行われることもできる。受動的な任意の負荷回路網(6自由度を有する)を識別するには、較正プロセスおよび取り出しプロセスを、2つの独立した相互接続回路網のために行う必要がある。実際には、2つの測定を行うことによって達成されることもでき、一方は、実際の相互接続回路網により得ることができ、他方は、実際の相互接続回路網の変更版により得ることができる。較正段階中に、明確に分かっている負荷を接続回路網の遠位側に取り付け、3つの比を測定し、同じ負荷を維持しながら、可逆的機構(図56の実施形態70の近位端において2つの中央ポート2および3を短絡させる継電器72など)を使用して接続回路網を変更して、新たな比を測定する。
次に、同じ手順を種々の負荷構成に対して繰り返す。較正段階の類似の原理を使用して、親となる接続回路網ならびにその変更版の両方に対してZパラメータを推定する。最後に、任意の受動負荷回路網を同じ接続回路網の遠位に接続する。1回目は元の接続回路網を用いて、2回目は、接続回路網が以前のように修正されているとき3つの比を測定する。計6つの比を取得し、接続回路網のZパラメータおよび較正段階からのその変更版により、負荷回路網の6つの自由度すべてを解くことが可能である。方法は、3つの異なる接続回路網を使用して測定値を実行することによって、9自由度を有する任意の能動3ポート回路網を解くように拡張することもできる。
一代替実施形態では、nポート負荷回路網は、L個の独立した(L=n2)複素インピーダンスによって表される。当業者には理解されるように、複素インピーダンスは、同じ回路網のZパラメータとの等価性を持つ。受動負荷回路網では、回路網は対称性であるので、独立した複素インピーダンスの数はP(=n*(n−1))である。図57は、参照番号78によって全体的に示されている6つの複素インピーダンスを有する例示的な3ポート受動回路網76を有する一実施形態74を表す。他の任意の受動3ポート回路網トポロジは、図58の実施形態80に示されるトポロジも有する等価な回路網76に減少させることができる。励起および測定エンティティに関連する他の構成要素は、以前の図に記載したものと実質的に同じままである。
回路網理論によれば、当業者にはよく理解されるように、離れたインピーダンスの順序付きセットからなるあらゆる回路網の場合、回路網内の任意の2点(u、v)の両端の電圧は、励起電圧または励起電流(ξ0)と回路網に存在する全インピーダンスによって形成される多項式の合計の比の積として表すことができる。分母多項式は、回路網全インピーダンスからなる回路網の特性多項式と呼ばれる。特性多項式は、測定点とは無関係である。さらに、回路網のいくつかの部分が分散要素からなり、他の部分が離散インピーダンスからなる場合、電圧は、依然として、ξ0と回路網に存在する全離散インピーダンスによって形成される多項式の合計の比の積と表すことができ、多項式の係数は、分散要素の影響を受ける。
離散インピーダンスのうちのいくつかが対象となる場合、多項式は、まさに問題となる離散インピーダンスの多項式に再構成されることができる。この場合、再構成された多項式の係数は、回路網の他の離散インピーダンスならびに分散要素の影響を含む。
測定回路網170および接続回路網172は固定されているが、マルチポート負荷回路網174はL個の負荷インピーダンス(Z1、Z2、...、ZL)の変動により変化できる、図50を参照すると、回路網内の任意の2点(u、v)間の電圧は、次のように記述することができる。
一般に、L個の負荷インピーダンスのそれぞれは、回路網内の電圧分布に寄与する。回路網内の固定要素の寄与は、多項式係数に吸収される。分母は、合成回路網(170、172、および174)の特性多項式に等しく、その係数(aの)は、所与の回路網に対して固定され、回路網172および174によって決まる。
ポートの自己インピーダンスが重要な特定の例では、nポート負荷回路網全体は、n個の複素インピーダンスによって表すことができる。このシナリオでは、回路網のZパラメータは、n個の対角項を有する対角行列である。図57は、ポートの数(n)が3の例示的な実施形態を説明する。このような回路網では、遠位側の3つのインピーダンス(Z1、Z2、およびZ3)を利用する場合、近位側の電圧測定値(たとえばV1、V2、V3、V4)は、次の式によって与えられる。
近位端での絶対値測定の代わりに、励起電圧または励起電流(ξ0)への依存を回避するために、電圧比を調べることもできる。一般性の損失なしに、基準抵抗の両端の電圧(V1)を基準とし、3つの比は、V1に関して構築される。
測定および接続回路網の性質は、多項式係数によって表される。n個のインピーダンスと(n+1)個の測定エンティティとを有する回路網では、独立多項式係数の数は、(n+1)*2n−1である。式(24)の多項式係数はすべて、分母の第1項によってスケーリングされ、それによって不明な係数を減らすことができる。これらの回路網を較正する行為には、遠位ポートに接続されるインピーダンスを有する近位測定を行う行為を含む。必要とされるこのような独立した測定の数は、解く必要がある未知数の数および1回の測定あたりの情報の数によって決まる。次に、フィッタルーチンを、既知のセットの負荷のこれらの測定比のすべてに対して実行して、多項式係数を推定する。
較正のプロセスが完了し、多項式係数が得られたら、類似構成の遠位ポートにわたって接続された任意の負荷を推定することができる。類似の構成で遠位ポートにわたって接続された任意の負荷の場合、近位の測定を行い、基準測定値を参照して比を計算する。次に、所定の多項式係数および任意の負荷に対応する比を指定して、フィッタルーチンを起動する。フィッタルーチンは、最良の推測に基づいた負荷インピーダンスの開始値により、使用者によって初期化することができる。フィッタは、測定の比を一致させる真の値のインピーダンスを見つける際の最小剰余に収束するものとする。代替解への収束は可能であるが、当業者であれば、このような状況を回避することに熟練していよう。
6つの独立したインピーダンスによってモデル化できる一般化された3つのポート受動負荷回路網を推定するために、6つのインピーダンスすべてが存在する式(22)で多項式を記述する必要がある。測定された比の数は3つのみなので、方法では、前に説明した6つのインピーダンスの測定値を拡張する必要がある。較正の方法は、2つの独立相互接続回路網のための負荷回路網の種々の組み合わせ(6つのインピーダンスすべてからなる)を有する測定を行うことを含む。次に、個別のセットの測定比および負荷インピーダンスの知識を使用して、両方のこれら回路網のための多項式係数を推定する。次に、この場合も同じ2つの独立互接続回路網を有する、任意の6つのインピーダンス負荷回路網による測定を行う。両方の回路網のための多項式係数と共に合計6つの比は、6つのインピーダンスを推定するためのフィッタルーチンによって、まとめてフィッティングされる。方法は、9つのインピーダンスモデルを推定する必要がある能動回路網に同様に拡張することができる。
4つの近位測定エンティティを有する3ポート回路網の例により説明した上記の方法は、式(22)に基づいてn+1個の近位測定エンティティを有する、一般的なnポート回路網に容易に拡張することができる。回路網内の負荷インピーダンス数が増加することにより、計算の複雑さは指数関数的に増加する。
したがって、本明細書で説明する方法は、同時に行われたn+1個の測定がある、一般化されたnポート負荷回路網を取り出しおよび評価するように拡張することができる。
いかなる電気測定も、ノイズおよび測定システムの他の不正確さによって損なわれる。測定値の不正確さにより、較正のプロセスおよび取り出しから、内腔寸法などのシステムパラメータの不正確な推定が生じる。所与の選定が測定ノードに対して行われる場合、測定値の不正確さは、介在する回路網によって引き起こされる変換に応じて、推定値への影響の広がりまたは軽減を示すことがある。したがって、測定ノードの選定は、推定されたパラメータの精度が所与の介在する回路網に対して最大となるように行われる必要がある。これは、解析的に、シミュレーションによって、または物理的実験によって、行われることができる。
本明細書において上記で説明した方法は、図59の流れ図82の形でも示されている。遠隔に位置するマルチポート回路網からの測定で使用するための較正法は、流れ図のステップ84〜92によって示されており、遠隔に位置するマルチポート回路網を励起させるための、および遠隔に位置するマルチポート回路網に対応する複数の近位電圧を測定するための励起および測定エンティティを提供するステップ84と、励起および測定エンティティと遠隔に位置するマルチポート回路網とを接続するための接続回路網を提供するステップ86と、この接続回路網に結合された複数の既知の負荷回路網を提供するステップ88を含む。較正法は、既知の負荷回路網の各負荷に対応する1セットの電圧比を測定するためのステップ90と、1セットの電圧比にわたってフィッティングユーティリティを使用することによって、測定エンティティおよび接続回路網に対応する電気パラメータを推定するためのステップ92とを含む。方法は、電気パラメータを使用して、遠隔に位置するマルチポート回路網からの測定値を取り出すためのステップ94をさらに含む。
本明細書で説明する実施形態については、電気回路網をモデル化するための電気パラメータとしてのZパラメータの使用によって示してきた。当業者には理解されるように、すべてのモデルは電気回路網を表す等価な方法なので、同じ原理を使用すると、Yパラメータ、Sパラメータ、Hパラメータ、およびGパラメータを使用する類似の公式化を行うこともできる。したがって、本明細書で説明する実施形態は、このような公式化をすべて対象とすることを理解されたい。
本明細書で説明する技法は、遠隔に位置するマルチポート回路網の測定電極もしくは端子の間の実電圧または電圧差を決定するために効果的に使用されることができる。
本明細書において上記で説明する方法は、おそらく遠隔に位置するマルチポート回路網からの電圧また他の任意の電気応答を決定するために使用される用具として組み込まれる。
特定の例では、インビボで体腔に置かれた少なくとも3つの電極に接続された導体の両端で測定された近位電圧を取り出すためのシステムも開示されている。このシステムは、少なくとも3つの電極を励起するための、および少なくとも3つの電極に対応する複数の近位電圧を測定するための励起および測定エンティティを有する図50〜53の実施形態を含むことができる。このシステムは、励起および測定エンティティと少なくとも3つの電極を接続するための2つ以上の導体の形をとる接続回路網も含み、この少なくとも3つの電極は、2つ以上の導体の遠位端にある。図50〜53の実施形態において、励起および測定エンティティならびに接続する回路網に対応する較正パラメータとして複数の電気パラメータを推定するための、ならびに測定された近位電圧を取り出すために電気パラメータを使用して少なくとも2対の少なくとも3つの電極にわたって実電圧を推定するための励起および測定エンティティならびに接続回路網に結合されたプロセッサが追加される。
本明細書で説明する実施形態たとえば図50〜53の実施形態は、励起および測定エンティティ14とマルチポート相互接続回路網16の両方に対する影響の補償に関することが、当業者には理解されよう。しかし、いくつかの実際的な状況では、エンティティのそれぞれの効果を別々に較正することが必要な場合があり、取り出しのプロセス中、両方のエンティティの効果を結合する。さらに、マルチポート相互接続回路網16は、複数の部品または構成要素を含むことができる。この場合、各部品は別々に較正され、パラメータは、取り出し時に結合することができる。較正および取り出しためのこの分割された手法も本明細書で説明する本発明の範囲内に含まれることを理解されたい。
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されていない限り、複数の基準を含む。
本明細書で使用されるように、内腔は、動脈または腸などの、ヒトなどの被験体の任意の全体的に細長い、場合によっては管状の、構造の構成要素によって画定されたボリュームを含む。たとえば、血液が流れる動脈または静脈の内側空間などの血管の内部は、内腔と考えられる。内腔は、たとえば、心臓近辺の大動脈のセクションなどの、被験体の全体的に管状の構造構成要素の特定の部分も含む。内腔の特定のセクションは、閉塞または狭窄などの、それに関連するいくつかの特徴を備えることができるので、たとえば、医師にとって関心を引くことがある。したがって、いくつかの例では、本明細書で使用される内腔は、本明細書では対象ボリューム、対象領域、または対象内腔とも呼ばれることがある。
本明細書で呼ばれる電気回路網は、抵抗器、インダクタ、コンデンサ、一般化された周波数依存インピーダンス、導線、電圧源、電流源、およびスイッチなどの電気要素の相互接続である。
端子は、電気構成要素、デバイス、または回路網からの導体が終端し、外部回路への接続点を提供する点である。端子は、単に、ワイヤの端部であってもよいし、コネクタまたはファスナと嵌合してもよい。回路網解析では、端子とは、回路網への接続が理論上なされる点を意味し、必ずしも任意の実際の物理的対象を指すわけではない。
電気コネクタは、機械的アセンブリを使用してインタフェースとして電気回路を接合するための電気機械的なデバイスである。この接続は、携帯型機器については一時的であってよく、または組み立ておよび取り外しのための用具を必要としてもよく、または2つのワイヤまたはデバイスの間の永続的な電気的接合とすることもできる。
本明細書で使用されるように、電気測定値は、たとえば電圧計による電圧(または、パルス形式を含めて、オシロスコープを使用する)、電流計による電流、電気抵抗、コンダクタンス、サセプタンス、およびオーム計による電気伝導度、ホールセンサによる磁力線および磁場、電位計による電荷、電力量計による電力、スペクトラムアナライザによる電力スペクトルを含めた、測定可能で独立した、半分独立した、および依存した電気量を含む。
本明細書で参照される電気インピーダンスは、電気抵抗と電気リアクタンスのベクトル和と定義される。インダクタンスは、リアクタンスの周波数比例係数として定義され、キャパシタンスは、リアクタンスの周波数比例係数の逆数として定義される。
本明細書で言及される電気インピーダンスは、電気抵抗と電気リアクタンスのベクトル和として定義される。インダクタンスは、リアクタンスの周波数比例係数として定義され、キャパシタンスは、リアクタンスの周波数比例係数の逆数として定義される。
本明細書で一般に参照される任意の2点の間の電圧は、2点間の電位差であり、本明細書では電圧差または電圧降下とも呼ばれる。
介在するマルチポート回路網の電気的性質の効果を推定するプロセスは、較正と呼ばれる。回路網の推定された性質を使用して、回路網を補償し補償された測定値を得るプロセスは、取り出しと呼ばれる。
本明細書で言及されるZパラメータ(インピーダンス行列またはZ行列の要素)は、電気回路網のためのインピーダンスパラメータである。Zパラメータはまた、開回路パラメータとしても公知である。Z行列のk番目の列を決定するために、k番目以外のポートを開き、k番目のポートに電流を導入して、すべてのポートで電圧を解析する。Z行列全体を得るために、この手順をN個のポート(k=1〜N)すべてに対して実行する。例示的な実施形態では、Zパラメータを使用して説明してきたが、本明細書で説明する方法およびシステムは、Yパラメータ、Sパラメータ、Hパラメータ、およびGパラメータなどの他のパラメータに同様に適用可能である。
本明細書で言及される一般的なマルチポート回路網は、ポート1〜Nを含み、ここでNは、ポートの総数を示す整数である。ポートnの場合、ここでnは1からNの範囲にあるが、そのポートを通って回路網への関連する入力電流はInと定義され、そのポートの両端の電圧はVnと定義される。
本明細書で使用されるように、「ピーク対実効値比」(「PAR」)というフレーズは、波形のピーク振幅を波形の二乗平均値で除算することによって波形に対して得られる値を意味する。これは、一般に正の有理数対1の比として表される無次元の数である。これはまた、当技術分野では、「波高率」、ピーク対平均値比、または当業者に公知の他の類似の用語として公知である。さまざまな標準的な波形のPAR値は、一般に公知である。PAR値は、理論上の計算から得ることもできるし、特別な状況に対して何らかのPARメータを使用して測定することもできる。
本明細書で使用されるように、「信号対雑音比」(「SNR」または「S/N」と省略されることが多い)というフレーズは、信号電力対この信号と関連するノイズ電力の比を意味する。ノイズ電力は、信号電力を損なうと考えられる。したがって、SNRは、どのくらいの信号がノイズによって損なわれたかについて定量化する指標である。理想的には、良好なSNRは、1:1よりかなり高い比を有するべきである。
好ましい実施形態について本明細書で図示し説明してきたが、このような実施形態は単に例として挙げられていることは、当業者には明らかであろう。ここで、本開示の態様から逸脱することなく、多数の変形形態、変更、および置換が当業者には想到されよう。本開示を実施する際に、本明細書で説明する本開示の実施形態の種々の代替を利用できることを理解されたい。