JP2016207155A - 座標入力装置及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】検出対象物から受光手段までの距離によらず、検出対象物による座標入力面への接触(近接)を正確且つ高精度に検出することが可能にすることを課題とする。【解決手段】センサユニット(4)は、座標入力面に対してそれぞれ略々平行で且つ座標入力面からの高さがそれぞれ異なる少なくとも二つの投射光を投光する。座標制御部(5)の投光駆動部(12)は、センサユニット(4)の各投射光を切り替え投光させる。そして、センサユニット(4)は、それら投光された各投射光が指示具により反射された各反射光を受光する。演算制御部(5)の座標演算部(11)は、センサユニット(4)で受光された各反射光の受光レベルの比と所定の閾値との比較により、指示具が座標入力面に略々接したか否かを判定する。【選択図】図3

Description

本発明は、座標入力装置及びその制御方法に関する。
従来、座標入力用の二次元平面が指等の指示手段(以下、指示具とする。)により指示された位置を検出して二次元座標を算出する座標入力装置として、各種方式の装置(タッチパネルやデジタイザ)が提案、または製品化されている。一例として、特殊な器具等を用いずに、指で画面上をタッチすることにより、PC(パーソナルコンピュータ)等の操作を簡単に行うことがきるタッチパネル等が広く用いられている。
指示具による指示位置を検出する方式としては、抵抗膜方式、電磁誘導方式、静電誘導方式、光学方式等、種々のものがある。また、光学方式には、指示具からの反射光を検出して指示位置の二次元座標を算出する直接反射光方式がある。特許文献1には、直接反射光方式の位置情報入力装置が開示されている。この位置情報入力装置は、複数の投光手段から光を投光し、その光が検出対象物(指示具)にて反射された光を複数の受光手段で受光し、その受光信号から検出対象物が位置する方向を算出し、その方向に基づいて指示位置の二次元座標を算出している。
直接反射光方式では、受光手段の受光信号により、主に指示位置を算出する。座標入力面への接触を検出するタッチ判定は、通常は指示具として専用ペンを用い、そのペン先が座標入力面に接触した際に、その専用ペンから電波等で送信されるスイッチ情報を受信することにより行われる。一方、専用ペンを用いない直接反射方式の場合、指示具による座標入力面へのタッチ検出は、指示具からの反射光を検知することにより行われる。具体的には、反射光の受光レベルに対して一定の固定の閾値を設け、受光レベルが閾値に達したときに、指示具が座標入力面に接触した状態になったと判定するようなタッチ判定が行われる。
特開平8−249112号公報
ところで、指或いは表面が再帰反射特性を持たないペン等の指示具が、直接反射光方式の検出対象物となっている場合、その検出対象物からの反射光は拡散光となる。拡散光は、広範囲に拡散する光であるため、検出対象物から受光手段までの距離によって、受光手段の受光レベルは大きく変動することになる。このように、検出対象物から受光手段までの距離により受光レベルが変動する場合、前述した一定の固定の閾値と受光レベルとの比較によるタッチ判定では、指示具が座標入力面に接触(近接)したと判定される高さにばらつきが生じてしまう。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、検出対象物から受光手段までの距離によらず、検出対象物による座標入力面への接触(近接)を正確且つ高精度に検出可能とする座標入力装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
本発明の座標入力装置は、所定の平面に対してそれぞれ略々平行で且つ前記所定の平面からの高さがそれぞれ異なる第1の投射光と第2の投射光の少なくとも二つの投射光を、切り替え投光する投光手段と、前記第1の投射光が対象物により反射された第1の反射光と、前記第2の投射光が前記対象物により反射された第2の反射光とを受光して、前記第1の反射光の受光レベルと前記第2の反射光の受光レベルを取得する受光手段と、前記第1の反射光の受光レベルと前記第2の反射光の受光レベルとの比を求め、前記受光レベルの比と所定の閾値との比較に基づいて、前記所定の平面に対する前記対象物の近接を判定する判定手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、検出対象物から受光手段までの距離によらず、検出対象物による座標入力面への接触(近接)を正確且つ高精度に検出することが可能となる。
本実施形態の座標入力装置の概略構成を示す図である。 座標入力装置の概略的な側面図である。 センサユニットと演算制御部の概略的な内部構成例を示す図である。 座標入力面と指示具間の距離と受光レベルの説明に用いる図である。 L=150mmの場合の受光レベルと距離Zの関係を示す図である。 センサユニットと指示具間の距離と受光レベルの説明に用いる図である。 L=500mmの場合の受光レベルと距離Zの関係を示す図である。 一般的なタッチ判定法の説明に用いる図である。 受光レベル比と距離Zの関係説明に用いる図である。 投光切り替えと受光処理のタイミングチャートである。 受光信号による指示位置の中心画素算出の説明に用いる図である。 本実施形態の座標入力装置のタッチ判定のフローチャートである。 第2の実施形態のセンサユニットの概略構成を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の座標入力装置について説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
<第1の実施形態>
図1には、本実施形態の座標入力装置3の概略構成を示す。図1において、座標入力面1は、平面状の例えばホワイトボート等である。なお、座標入力面1は、ホワイトボードに限定されるものではなく、例えば室内の壁面等のように、通常は座標入力面として想定されないものであってもよい。また、座標入力面1は、例えばフロントプロジェクター用の投影スクリーンと兼用されていてもよい。
座標入力装置3は、指或いはその表面が再帰反射特性を有していないペンなどの指示具2の先端が座標入力面1上に接触(若しくは一定距離内に近接)した場合、その座標入力面1上における指示具2の接触位置(若しくは近接位置)を検出する。なお、本実施形態において、指示具2は、座標入力面1の二次元平面上の位置を指示するための指示手段であり、また、座標入力面1への接触(若しくは近接)を座標入力装置3が検出する対象物である。以下、指示具2の先端により座標入力面1上で指示された位置を、「指示位置」と表記する。そして、座標入力装置3は、指示具2による座標入力面1の指示位置に対応した二次元座標の情報を算出して、情報処理装置20へ送信する。また、本実施形態において、座標入力装置3は、座標入力面1の周辺部、例えば図1に示すように、座標入力面1の四隅のうちの一つの隅の領域などに設置される。座標入力面1の隅の領域等に座標入力装置3を設置する際の設置法としては、例えば座標入力面1が鉄板で構成されている場合には、座標入力装置3の底面等に磁石等を設け、その磁力により鉄板の座標入力面1上に設置する等の手法が考えられる。座標入力装置3の詳細な構成と動作については後述する。
情報処理装置20は、例えばパーソナルコンピュータからなる。情報処理装置20は、座標入力装置3が検出した指示位置の二次元座標情報を受け取り、その指示位置に応じた各種処理を実行する。一例として、座標入力面1が例えばフロントプロジェクター用の投影スクリーンとして用いられている場合、情報処理装置20は、フロントプロジェクターが投影スクリーン上に投影する映像を生成する処理等を実行可能である。この例の場合、情報処理装置20は、図示しないフロントプロジェクターを介し、座標入力面1である投影スクリーン上に、例えば指示具2による指示位置に応じた所定の表示を行う。所定の表示の一例として、情報処理装置20は、座標入力面1上で指示具2が移動された軌跡を表す映像を生成し、その映像をフロントプロジェクターへ送って投影スクリーン上に表示させるようなことができる。この場合、投影スクリーン上には指示具2の移動軌跡を表す線の映像が表示され、あたかも紙に線を描くがごとき表示が実現されることになる。また、所定の表示の一例として、情報処理装置20は、指示具2による座標入力面1への指示位置等に応じて、いわゆるタッチパネルへのタッチ指示入力に対応したカーソル表示等を行うこともできる。
次に、座標入力装置3の詳細な構成と動作について説明する。座標入力装置3は、所定距離dだけ離して配置された2つのセンサユニット4a,4bと、センサユニット4a,4bに接続された演算制御部5とを有して構成されている。
前述した二つのセンサユニット4a,4bは、それぞれ同じ構成を有しているため、以下の説明では、それら二つのセンサユニット4a,4bを区別せずにセンサユニット4と表記する。なお、説明の都合上、特に両者を区別する必要がある場合には、センサユニット4a,センサユニット4bと表記する。図2は、図1のように座標入力面1の一隅に設置された座標入力装置3のセンサユニット4と、座標入力面1上の任意の位置を指示している状態の指示具2とを、座標入力面1の側面側から見た図である。図2の例では、センサユニット4の内部の各構成要素の概略的な配置のみが示されている。
センサユニット4は、発光源7T,7Bと、駆動回路6T,6Bと、撮像デバイス9と、受光光学系8と、センサ基板10とを有して構成されている。発光源7T,7Bは、それぞれ赤外LED(赤外発光ダイオード)或いは赤外LD(赤外レーザーダイオード)等により構成されている。駆動回路6Tは発光源7Tを駆動する電気回路であり、駆動回路6Bは発光源7Bを駆動する電気回路である。本実施形態において、これら発光源7T,7Bと、駆動回路6T,6Bは、二つ以上の投射光を投光するための投光手段の一例である。発光源7Tと発光源7Bは、後述する受光光学系8と撮像デバイス9を挟んで配置されている。これら受光光学系8及び撮像デバイス9は、本実施形態における受光手段の一例である。また、発光源7Tは座標入力面1からの距離が離れた側に、発光源7Bは座標入力面1からの距離が近い側に配置されている。以下、座標入力面1から離れた側に配置された発光源7Tを上段発光源7Tと表記し、上段発光源7T用の駆動回路6Tを上段駆動回路6Tと表記する。また、座標入力面1から近い側に配置された発光源7Bを下段発光源7Bと表記し、下段発光源7B用の駆動回路6Bを下段駆動回路6Bと表記する。
上段発光源7Tと下段発光源7Bは、それぞれ座標入力面1に対して略々平行な二次元方向へ扇状に広がる光線を投射する。なお、これら二つの発光源7T,7Bは、それぞれ同じ構成となされているため、以下、上段発光源7Tのみを例に挙げてその構成を説明し、下段発光源7Bの構成の説明については省略する。また、以下の説明では、上段発光源7Tからの投射光を上段投射光(上段投光)と表記し、下段発光源7Bからの投射光を下段投射光(下段投光)と表記する。図2の例では、上段発光源7Tが発した光を、座標入力面1に略々平行な二次元方向に扇状に投射するための具体的な光学系等の図示は省略している。例えば座標入力面1に略々平行に光を投射するためには、上段発光源7TとしてLED(発光ダイオード)等の拡散光源を用いた場合には、LEDからの拡散光を座標入力面1に略々平行な光にコリメートする光学レンズを用いればよい。上段発光源7TとしてLD(レーザーダイオード)等の指向性と収束性を有したビーム光線を発する光源を用いた場合には、そのレーザー光の出射光軸が座標入力面1に略々平行になるようにLDを配置すればよい。また、座標入力面1に略々平行な二次元方向へ扇状に光を投射するためには、例えば、ロッドレンズ等の屈折光学系を用いればよい。この場合のロッドレンズは、その中心軸が座標入力面1に対して垂直になるように配置される。また、LD等の光源を用いて光を扇型に投射する範囲を形成する場合には、そのLDからのレーザービームを、座標入力面1に対して略々平行な所定角度範囲(扇の中心角度の範囲)に走査する構成としてもよい。そして、本実施形態において、上段発光源7Tから扇状に光が投光される範囲は、座標入力面1として使用が想定される全ての座標入力領域をカバーするように設定される。
また、図2に示すように、上段発光源7Tと下段発光源7Bの間には、受光光学系8及び撮像デバイス9が配置されており、前述したように、上段発光源7Tは座標入力面1から離れた側に、下段発光源7Bは座標入力面1に近い側に配置されている。すなわち、これら受光光学系8及び撮像デバイス9と、上段発光源7Tと下段発光源7Bは、座標入力面1から近い順に、下段発光源7B、受光光学系8及び撮像デバイス9、上段発光源7Tのように配置されている。また、それらの配置位置は、座標入力面1に平行な二次元座標系に対しては略同位置になされている。さらに本実施形態において、上段投射光の光強度分布が所定値以上となる、座標入力面1からの高さ範囲(以下、上段投光範囲とする。)は、例えば2〜4mmになっているとする。また本実施形態において、下段投射光の光強度分布が所定値以上となる、座標入力面1からの高さ範囲(以下、下段投光範囲とする。)は、例えば0〜2mmになっているとする。
ここで、指示具2が座標入力面1に例えば近接している場合、上段発光源7T又は下段発光源7Bからの投射光は指示具2の表面で反射され、その反射光の一部が受光光学系8を経て撮像デバイス9により受光されることになる。撮像デバイス9は、座標入力面1に対して平行な方向に画素(受光素子)が配列されており、受光光学系8を経て入射した光を、電気信号(以下、受光信号とする。)に変換する。撮像デバイス9からの受光信号は、センサ基板10を経て演算制御部5に送られる。
また、詳細については後述するが、本実施形態の座標入力装置3は、指示具2を検出する際には、上段発光源7Tと下段発光源7Bを一つずつ交互に発光させるように切り替え駆動する。これにより、上段発光源7Tからの上段投射光が指示具2により反射された際の反射光と、下段発光源7Bからの下段投射光が指示具2により反射された際の反射光は、受光光学系8を介して撮像デバイス9により交互に受光されることになる。そして、後述するように、座標入力装置3は、上段投射光の反射光の受光レベルと下段投射光の反射光の受光レベルとの比(受光レベル比)の値が所定閾値以上になった場合、指示具2が座標入力面1に略々接した(略々タッチした)と判定する。なお、本実施形態において、反射光の受光レベルとは、反射光による受光信号波形のピークレベルのことである。
撮像デバイス9による受光信号は、この撮像デバイス9に配列された各画素に対応した電圧信号、すなわち各画素における各受光レベルを表す信号となっている。言い換えると、各画素に対応した各受光レベルは、撮像デバイス9における各画素の配列に対応した光量分布を表すことのできる情報であるといえる。また、本実施形態において、撮像デバイス9の各画素は決められた配列で配置されており、各画素にはそれぞれ画素番号が割り振られている。
演算制御部5は、撮像デバイス9の各画素番号と光量分布との対応関係を示すデータを予め取得している。したがって、演算制御部5は、光量分布内の各受光レベルの値が、撮像デバイス9の何れの画素番号の画素による受光レベルの値であるかを調べることができる。また本実施形態において、演算制御部5は、前述のようにセンサユニット4から扇形に広がる投光範囲内の各角度の値と、撮像デバイス9の各画素番号との対応関係を示すデータを予め取得している。したがって、演算制御部5は、受光信号の受光レベルが撮像デバイス9の何れの画素番号に対応しているか調べ、さらに、その画素番号が何れの角度に対応しているか調べることにより、指示具2からの反射光を検出した方向の角度を算出することができる。さらに、図1で説明したように、センサユニット4aとセンサユニット4bは、既知の所定距離dだけ離して配置されている。したがって、演算制御部5は、所定距離dの情報と、センサユニット4a及び4bにて検出された反射光の光量分布から算出した各角度の情報とを用い、公知の三角測量の手法により、座標入力面1における指示具2の二次元座標を算出することができる。なお、上述と同等の作用・効果を得ることができれば、例えば光源の位置、センサユニットの数等は上述の例に限定されるものではない。
図3は、本実施形態の座標入力装置3において、センサユニット4の電気回路部と演算制御部5の概略的な構成例を示している。図3において、センサユニット4は、電気回路部の構成として、前述したように上段駆動回路6Tと下段駆動回路6Bとセンサ基板10とを有している。また、演算制御部5は、投光駆動部12と、座標演算部11と、インターフェイス部13と、メモリ14とを有している。
投光駆動部12は、上段駆動回路6Tにより上段発光源7Tを発光させるか、又は、下段駆動回路6Bにより下段発光源7Bを発光させるかを、制御する。すなわち、投光駆動部12は、上段駆動回路6Tと下段駆動回路6Bを制御することにより、上段発光源7Tと下段発光源7Bを一つずつ交互に発光させるような切り替え駆動を行わせる。具体的には、投光駆動部12は、上段駆動回路6Tから駆動電流を出力させるか、又は、下段駆動回路6Bから駆動電流を出力させるかを、切り替えることにより、上段発光源7Tと下段発光源7Bを一つずつ交互に発光させるような切り替え制御を行う。なお、投光駆動部12が、上段駆動回路6Tから駆動電流を出力させるタイミング(上段投光のタイミング)、下段駆動回路6Bから駆動電流を出力させるタイミング(下段投光のタイミング)の詳細については後述する。
座標演算部11は、センサ基板10を介して送られてきた受光信号の光量分布情報から角度を算出することにより、指示具2による座標入力面1上の指示位置の二次元座標を算出する。また、座標演算部11は、指示具2が座標入力面1に略々接したか否かのタッチ判定を行う。具体的には、座標演算部11は、上段投射光の反射光の受光レベルと下段投射光の反射光の受光レベルとの比(受光レベル比)を求め、その受光レベル比の値が所定の閾値以上になった場合に、指示具2が座標入力面1に略々接したと判定する。指示具2が座標入力面1に略々接した際のタッチ判定の詳細については後述する。インターフェイス部13は、座標演算部11によるタッチ判定情報と二次元座標情報を、情報処理装置20へ送信する。
なお、図3に示した各部の区分けは、センサユニット4と演算制御部5の機能に応じた便宜的な区分け例であり、実際の電気回路のハード構成の区分けに限定されているわけではない。例えば、主な演算回路としてFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)とDSP(デジタルシグナルプロセッサ)等が用いられた場合、各部の機能は、それらに個別に割り当てられるのではなく両者に跨っていてもよい。
次に、図4(a)〜図4(t)を参照して、座標入力面1から指示具2の先端までの高さ(距離Z)と、上段,下段投射光が指示具2で反射される際の反射光と、反射光の受光信号波形との関係について説明する。図4(a)〜図4(j)は、センサユニット4と座標入力面1と指示具2を前述の図2同様に示した図であり、センサユニット4から指示具2までの距離Lが150mmとなっている例を示している。また、これら図4(a)〜図4(j)において、投射光の光強度分布が所定強度以上となる座標入力面1からの高さ範囲は、前述のように上段投射光(上段投光範囲)では2〜4mm、下段投射光(下段投光範囲)では0〜2mmとする。なお、本実施形態の場合、上段発光源7Tと下段発光源7Bとの間には、前述のように受光光学系8と撮像デバイス9が配置されている。このため、上段発光源7Tと下段発光源7Bの両投光範囲の間には、両者による投射光が存在しない空白領域が存在しているが、ここでは説明を簡略化するため上段投射光と下段投射光の両投光範囲は接しているとする。上段投射光と下段投射光の両投光範囲間に空白領域が存在しない具体的な構成については、周知の光学的構成を用いることができるため、ここでは説明を省略する。もちろん、上段投射光と下段投射光の両投光範囲間に空白領域が存在するか否かは、本実施形態の効果に影響を与えるものではない。
図4(a)はZ=4mmで上段投光が行われている状態を示し、図4(b)はZ=4mmで下段投光が、図4(c)はZ=3mmで上段投光が、図4(d)はZ=3mmで下段投光が行われている状態を示している。同様に、図4(e)はZ=2mmで上段投光、図4(f)はZ=2mmで下段投光、図4(g)はZ=1mmで上段投光、図4(h)はZ=1mmで下段投光、図4(i)はZ=0mmで上段投光、図4(j)はZ=0mmで下段投光が行われている状態である。また、図4(k)〜図4(t)は、それぞれセンサユニット4の撮像デバイス9における各画素番号を横軸、受光信号レベルを縦軸として、撮像デバイス9からの受光信号波形を表している。図4(k)は図4(a)の場合の受光信号波形を示し、図4(l)は図4(b)の受光信号波形を、図4(m)は図4(c)の受光信号波形を、図4(n)は図4(d)の受光信号波形を示している。同様に、図4(o)は図4(e)の受光信号、図4(p)は図4(f)の受光信号、図4(q)は図4(g)の受光信号、図4(r)は図4(h)の受光信号、図4(s)は図4(i)の受光信号、図4(t)は図4(j)の受光信号の各波形を示している。すなわち、これらの例は、Z=4mmである図4(a)、図4(b)の状態から、指示具2が徐々に座標入力面1へ近づき、Z=0mmである図4(i)、図4(j)の状態になって指示具2の先端が座標入力面1に接するまでの様子を示している。なお、図4(a)〜図4(j)では、図を簡略にするために、センサユニット4、上段発光源7T、下段発光源7B等の各参照番号については、図4(a)と図4(b)にのみ付与し、図4(c)〜図4(j)では省略している。また、図4(k)〜図4(t)においても図を簡略にするために、「受光レベル」、「撮像素子の画素番号」、「受光信号波形」等の語句の記載については、図4(k)と図4(l)にのみ付与し、図4(m)〜図4(t)では省略している。
先ず、座標入力面1から指示具2の先端までの距離がZ=4mmで、上段発光源7Tが発光駆動されている図4(a)の例から説明する。ここで、上段発光源7Tによる上段投射光の光強度分布が所定強度以上となる座標入力面1からの高さ範囲(上段投光範囲)は、前述したように2〜4mmである。このため、図4(a)の例の場合、上段投光範囲の上端が指示具2の先端に接する状態となる。この場合、指示具2の先端の小さい面積部分により、上段投射光が反射されることになる。また、反射光は、前述したように拡散光である。このため、センサユニット4の撮像デバイス9で受光されてセンサ基板10から座標演算部11に入力する受光信号は、図4(k)に示すように非常に小さい受光レベルの信号波形となる。
次に、下段駆動回路6Bにより下段発光源7Bが駆動されて、図4(b)に示すように下段発光源7Bが発光するように切り替えられたとする。なお、図4(a)の上段投光から図4(b)の下段投光への切り替えに際しては、厳密には多少の切り替え時間(以下、切り替え期間とする。)が存在するため、指示具2は座標入力面1へ近づく方向へ移動することになる。ただし、上段投光から下段投光への切り替え期間は極めて短く、したがって指示具2が座標入力面1に近づいていく際の移動量も極めて少ないと考えられる。このため、ここでは、投射光が切り替えられる間の指示具2の移動量については略々無視できるものとして説明する。図4(b)で示されるように、下段投光に切り替えられた場合、下段発光源7Bによる下段投射光の光強度分布が所定強度以上となる座標入力面1からの高さ範囲(下段投光範囲)は、前述したように0〜2mmである。一方、このときの指示具2は、座標入力面1に対してZ=4mmの距離だけ離れているため、下段投射光が指示具2により反射されることはなく、したがって下段投射光の反射光がセンサユニット4の撮像デバイス9で受光されることもない。このため、座標演算部11には、図4(l)に示すように受光信号が入力されることはなく、入力信号レベルはゼロとなる。
次に、上段駆動回路6Tにより上段発光源7Tが駆動されて、図4(c)に示すように上段発光源7Tが発光するように切り替えられたとする。ただし、図4(c)の場合、指示具2が座標入力面1へ近づく方向へ移動したことで、座標入力面1から指示具2の先端までの距離がZ=3mmになっているとする。ここで、上段投光範囲は、前述のように2〜4mmであるため、図4(c)の例の場合、上段投光範囲の上側略々半分の範囲まで指示具2の先端が入っている状態となる。したがって、上段投射光は、指示具2により拡散反射されることになる。そして、その反射光がセンサユニット4の撮像デバイス9で受光されることで、座標演算部11に入力する受光信号は、図4(m)に示すような受光レベルの信号波形となる。すなわち、図4(m)の受光信号レベルは、上段投光範囲の上側略々半分の範囲の投射光が指示具2により拡散反射された反射光の受光レベルである。
次に、下段駆動回路6Bにより下段発光源7Bが駆動されて、図4(d)に示すように下段発光源7Bが発光するように切り替えられたとする。なお、指示具2の移動量については無視して、座標入力面1から指示具2の先端までの距離はZ=3mmであるとする。ここで、下段投光範囲は、前述のように0〜2mmであるため、図4(d)の場合、下段投射光が指示具2により反射されることはなく、下段投射光の反射光が撮像デバイス9で受光されることもない。したがって、座標演算部11には、図4(n)に示すように受光信号が入力されることはなく、入力信号レベルはゼロとなる。
次に、上段駆動回路6Tにより上段発光源7Tが駆動されて、図4(e)に示すように上段発光源7Tが発光するように切り替えられ、また、指示具2の移動により、座標入力面1から指示具2の先端までの距離がZ=2mmになったとする。ここで、上段投光範囲は2〜4mmであるため、図4(e)の例の場合、指示具2は上段投光範囲内に入っている状態となる。したがって、上段投射光が指示具2によって拡散反射された反射光が撮像デバイス9で受光されることで、座標演算部11に入力する受光信号は、図4(o)に示すような受光レベルの信号波形となる。すなわち、図4(o)の受光信号は、上段投光範囲内に指示具2が入っている状態の反射光に対応した最大レベルの信号となる。
次に、下段駆動回路6Bにより下段発光源7Bが駆動されて、図4(f)に示すように下段発光源7Bが発光するように切り替えられたとする。この場合も指示具2の移動量については無視して、座標入力面1から指示具2の先端までの距離はZ=2mmであるとする。ここで、下段投光範囲は0〜2mmであるため、図4(f)の場合、下段投光範囲の上端が指示具2の先端に接する状態となる。したがって、指示具2の先端の小さい面積部分により下段投射光が拡散反射されることになり、その反射光が撮像デバイス9で受光された受光信号は、図4(p)に示すように非常に小さい受光レベルの信号波形となる。座標演算部11には、図4(p)の受光レベルの受光信号が入力することになる。
次に、上段駆動回路6Tにより上段発光源7Tが駆動されて、図4(g)に示すように上段発光源7Tが発光するように切り替えられ、また、指示具2の移動により、座標入力面1から指示具2の先端までの距離がZ=1mmになったとする。上段投光範囲は2〜4mmであるため、図4(g)の場合、指示具2は上段投光範囲内に入っている状態となる。したがって、上段投射光が指示具2により拡散反射された反射光が撮像デバイス9で受光されることで、座標演算部11に入力する受光信号は、図4(q)に示すような受光レベルの信号波形となる。図4(q)の受光信号は、上段投光範囲内に指示具2が入っている状態の反射光に対応した最大レベルの信号である。
次に、下段駆動回路6Bにより下段発光源7Bが駆動されて、図4(h)に示すように下段発光源7Bが発光するように切り替えられたとする。この場合も指示具2の移動量については無視して、座標入力面1から指示具2の先端までの距離はZ=1mmであるとする。下段投光範囲は0〜2mmであるため、図4(h)の場合、下段投光範囲の上側略々半分の範囲まで指示具2の先端が入っている状態となる。下段投射光は、指示具2にて拡散反射され、その反射光が撮像デバイス9で受光されることにより、座標演算部11に入力する受光信号は、図4(r)に示すような受光レベルの信号波形となる。すなわち、図4(r)の受光信号レベルは、下段投光範囲の上側略々半分の範囲の投射光が指示具2により拡散反射された反射光の受光レベルとなる。
次に、上段駆動回路6Tにより上段発光源7Tが駆動されて、図4(i)に示すように上段発光源7Tが発光するように切り替えられ、また、指示具2の移動により、座標入力面1と指示具2の先端が接して距離がZ=0mmになったとする。上段投光範囲は2〜4mmであるため、図4(i)の場合、指示具2は上段投光範囲内に入っている状態となる。上段投射光が指示具2により拡散反射された反射光が撮像デバイス9で受光されることで、座標演算部11に入力する受光信号は、図4(s)に示すような受光レベルの信号波形となる。図4(s)の受光信号は、上段投光範囲内に指示具2が入っている状態の反射光に対応した最大レベルの信号である。
次に、下段駆動回路6Bにより下段発光源7Bが駆動されて、図4(j)に示すように下段発光源7Bが発光するように切り替えられ、また、指示具2が座標入力面1に接しているためZ=0mmであるとする。下段投光範囲は0〜2mmであるため、図4(j)の場合、指示具2は下段投光範囲内に入っている状態となる。下段投射光が指示具2により拡散反射された反射光が撮像デバイス9で受光されることで、座標演算部11に入力する受光信号は、図4(t)に示すような受光レベルの信号波形となる。すなわち、図4(t)の受光信号は、下段投光範囲内に指示具2が入っている状態の反射光に対応した最大レベルの信号である。
ここで、図5(a)、図5(b)には、センサユニット4と指示具2との間の距離Lが例えば150mmである場合において、指示具2が座標入力面1の法線方向へ移動した場合の座標入力面1から指示具2の先端までの距離Zと受光信号レベルとの関係を示す。図5(a)は上段投光がなされている場合の距離Zと受光信号レベルの関係を示し、図5(b)は下段投光がなされている場合の距離Zと受光信号レベルの関係を示している。なお、図5(a)、図5(b)の横軸は座標入力面1から指示具2の先端までの距離Z、縦軸は受光信号レベルを示している。
前述の図4(a)と図4(k)、図4(c)と図4(m)から判るように、上段投光の場合、図5(a)に示すようにZ=4mm付近〜2mm付近までは、指示具2が座標入力面1へ近づくにつれて徐々に受光信号レベルは大きくなる。そして、上段投光の場合、図4(e)と図4(o)、図4(g)と図4(q)、図4(i)と図4(s)から判るように、Z=2mm付近から0mmまでの間は、受光信号レベルは最大レベルを維持することになる。なお、この例では、受光信号レベルの最大レベルが例えば1.0V(ボルト)となされている。また、上段投光の場合、Z=4mm付近を超えて遠くなると、指示具2と座標入力面1との間の距離Zに関わらずに、受光信号レベルはゼロとなる。すなわち、上段投光の場合、上段投光範囲に指示具2の先端が接した状態から上段投光範囲内に指示具2が入るまでの間、受光信号レベルは、略々一定レベルずつ線形に変化する。これに対し、上段投光範囲内に指示具2が入った後は、指示具2と座標入力面1との間の距離Zによらず、受信信号レベルは最大レベルが維持される。また、上段投光範囲から指示具2が外れた後は、指示具2と座標入力面1との間の距離Zによらず、受信信号レベルはゼロのままになる。言い換えると、上段投光範囲内の指示具2が入った後と、上段投光範囲から指示具2が外れた後は、指示具2と座標入力面1との間の距離Zによらず、受信信号レベルは変化しない一定の値となる。
また、前述の図4(b)と図4(l)、図4(d)と図4(n)から判るように、下段投光の場合、図5(b)に示すようにZ=4mm付近〜2mm付近までは、指示具2と座標入力面1との間の距離に関わらずに、受光信号レベルはゼロとなる。そして、下段投光の場合、図4(f)と図4(p)、図4(h)と図4(r)、図4(j)と図4(t)から判るように、Z=2mm付近から0mmまでの間は、指示具2が座標入力面1へ近づくにつれて徐々に受光信号レベルは大きくなる。なお、下段投光の場合は、Z=0mmで受信レベルは最大レベルになる。すなわち、下段投光の場合、下段投光範囲に指示具2の先端が接した状態から下段投光範囲内に指示具2が入るまでの間、受光信号レベルは、略々一定レベルずつ線形に変化する。そして、下段投光範囲内に指示具2が入ったときに、受信信号レベルは最大レベルとなる。また、下段投光範囲から指示具2が外れている場合には、指示具2と座標入力面1との間の距離Zによらず、受信信号レベルはゼロのままになる。言い換えると、下段投光の場合には、上段投光範囲から指示具2が外れた後に、指示具2と座標入力面1との間の距離Zによらず、受信信号レベルは変化しない一定の値となる。さらに言い換えると、下段投光の場合の受光信号レベルと上段投光の場合の受光信号レベルとの関係は、下段投光の際の距離Zと上段投光の際の距離Zの差分(つまり2mm)だけシフトした関係を有していることが判る。
図6は、センサユニット4の撮像デバイス9から指示具2までの距離(L)と、センサユニット4の撮像デバイス9における受光信号波形のピーク値との間の関係の一例を示したグラフである。ここで、指示具2は、前述したように、指或いはその表面が再帰反射特性を持たないペン等であり、したがって、指示具2からの反射光は拡散光となる。そして、拡散光は、光路長が長くなればなるほど、広範囲に拡散していく光である。このため、例えば投射光の強度が一定であったとしても、指示具2からセンサユニット4の撮像デバイス9までの距離が変われば、指示具2からの反射光の受光レベル(受光信号強度)は大きく変わることになる。すなわち、投射光強度が一定であった場合、図6に示すように、センサユニット4と指示具2との距離が増加すればするほど、受光レベルは大きく低下することになる。
図7(a)、図7(b)は、撮像デバイス9と指示具2との間の距離Lが例えば500mmである場合において、指示具2が座標入力面1の法線方向へ移動した場合の座標入力面1から指示具2の先端までの距離Zと受光信号レベルとの関係を示している。なお、図7(a)は上段投光がなされている場合の距離Zと受光信号レベルの関係を示し、図7(b)は下段投光がなされている場合の距離Zと受光信号レベルの関係を示している。また、図7(a)、図7(b)の横軸は座標入力面1から指示具2の先端までの距離Z、縦軸は受光信号レベルを示している。これら図7(a)、図7(b)から判るように、距離Lが500mmのように遠い場合、座標入力面1から指示具2の先端までの距離Zが0mmから4mmの間における反射光の受光レベルは、図5(a)、図5(b)の例と比較して約1/5になっている。すなわち、L=500mmの場合の図7(a)、図7(b)のグラフでは、L=150mmの場合の図5(a)、図5(b)のグラフに対して、横軸方向の距離Zはそのままで縦軸方向の受光レベルが約1/5となっている。言い換えると、図7(a)、図7(b)のグラフでは、受光レベルに関しては約1/5になっているが、図5(a)、図5(b)のグラフに対して、上段投光と下段投光における受光レベルの相対的な関係については保たれている。
ここで、構成を簡略にした図8を用いて、座標入力面1から指示具2の先端までの距離Zと受光レベルの関係、および、受光レベルと固定のレベル閾値との比較に基づく一般的なタッチ判定法について説明する。なお、図8では、下段発光源7Bからの下段投光のみを例に挙げている。この図8の例において、座標入力面1から指示具2の先端までの距離Zと受光レベルの関係は、撮像デバイス9から指示具2までの距離Lが150mmの場合には図5(b)のようになり、距離Lが500mmの場合には図7(b)のようになる。そして、この図8の例において、指示具2の先端が座標入力面1に略々接したか否かを判定するタッチ判定が行われる場合について考えてみる。タッチ判定とは、いわゆるペンダウン判定のことであり、本来ならばZ=0mm、つまり指示具2の先端が座標入力面1に接触したタイミングを検出することが理想である。このように指示具2の先端が座標入力面1に接触したことを、受光レベルとレベル閾値との比較に基づく一般的なタッチ判定により行う場合、例えばL=150mmの図5(b)ではレベル閾値を1.0Vとすればよい。ただし、実際には、受光レベルのばらつき等を考慮する必要があるので、図5(b)に示すように、マージンをとって例えば0.9Vがレベル閾値となされる。したがって、図5(b)のようにレベル閾値が0.9Vに設定された場合、指示具2の先端が座標入力面1にタッチしたと判定されるのは、Z=0mmになったときではなく、Z=0.2のときになる。一方、指示具2の先端が座標入力面1にタッチしたと判定される際の距離Zは、その値が小さいほど、つまり理想的なタッチ判定(Z=0)に近い距離Zであるほどよい。ところが、例えば距離Lが500mmのように遠いときには、図7(b)に示すように、受光レベルが最大レベルでも例えば0.2V程度しか得られないような状況になることがある。つまりこの場合、0.9Vのレベル閾値ではタッチ判定が不可能となる。したがって、図8のような構成の場合、例えばL=500mmであってもタッチ判定ができるように、図7(b)に示すように、レベル閾値をさらに低い値、例えば0.1V等に設定し直す必要がある。これにより、L=150mm、L=500mmの何れでもタッチ判定は可能になる。しかしながら、タッチしたと判定される際の距離Zの値は、L=150mmの場合には図5(b)に示すように例えば1.8mmとなり、L=500mmの場合には図7(b)に示すように例えば1.0mmとなる。すなわち、距離Lが変われば、タッチしたと判定される距離Zの値も変わること、言い換えれば、タッチしたと判定される距離Zがばらつくことになる。このように、距離Lによって、タッチしたと判定される距離Zが変わってしまうと、操作性が著しく阻害されてしまうことになる。
そこで、本実施形態の座標入力装置3は、指示具2のタッチ判定を行う際には、上段発光源7Tと下段発光源7Bを交互に発光させるように切り替え駆動する。これにより、上段発光源7Tからの上段投射光が指示具2により反射された際の反射光と、下段発光源7Bからの下段投射光が指示具2により反射された際の反射光は、受光光学系8を介して撮像デバイス9により交互に受光されることになる。次に、座標入力装置3は、上段投射光の反射光の受光レベルと下段投射光の反射光の受光レベルを取得してそれらの比(受光レベル比)を求める。そして、座標入力装置3は、その受光レベル比が所定の閾値以上になった場合に、指示具2の先端が座標入力面1に接した(タッチした)と判定する。
図9は、撮像デバイス9から指示具2までの距離Lが150mmの場合と500mmの場合の両方において、横軸に座標入力面1から指示具2の先端までの距離Zを、縦軸に受光レベル比の値を示したグラフである。例えば、L=150mmで上段投光による図5(a)の場合、前述したように、受光レベルは、Z=0〜2mm付近までは最大レベルの1.0Vであり、Z=2〜4mm付近では略々一定レベルずつ線形に変化している。一方、L=150mmで下段投光による図5(b)の場合、前述したように、受光レベルは、Z=2mm以上では略々0Vであり、Z=0〜2mm付近では略々一定レベルずつ線形に変化し、Z=0mmで最大レベルの1.0Vとなる。したがって、これら上段投光による受光レベルと下段投光による受光レベルとの間の受光レベル比Rは、図9に示すように、Z=2mm付近以上では「0」となり、Z=0〜2mmでは略々一定値ずつ線形に変化する値をとることになる。そして、受光レベル比Rは、Z=0mmでは「1.0」の値になる。このような距離Zと受光レベル比Rとの関係は、L=500mmの場合も同様となる。すなわち、L=500mmで上段投光による図7(a)の場合、受光レベルは、Z=0〜2mm付近までは最大レベルの0.2Vであり、Z=2〜4mm付近では略々一定レベルずつ線形に変化する。一方、L=500mmで下段投光による図7(b)の場合、受光レベルは、Z=2mm以上では略々0Vであり、Z=0〜2mm付近では略々一定レベルずつ線形に変化し、Z=0mmで最大レベルの0.2Vとなる。したがって、L=500mmの場合も、受光レベル比Rは、図9に示すようにZ=2mm付近以上では「0」、Z=0〜2mmでは略々一定値ずつ線形に変化し、Z=0mmでは「1.0」の値になる。このように、受光レベル比Rは、距離Lが何れの値である場合であっても、図9に示すようにZ=2mm付近以上が「0」で、Z=0〜2mmが略々一定値ずつ線形に変化し、Z=0mmで「1.0」の値になる。すなわち、距離Lが異なっても、上段投光と下段投光の受光レベルの相対的な関係は維持されているため、距離Zと受光レベル比Rは、図9に示すような関係を保つことになる。
したがって、本実施形態の座標入力装置3は、タッチ判定の閾値として、前述のような受光レベル比Rに対する閾値Rthを設定し、受光レベル比Rが閾値Rth以上になったとき、座標入力面1に指示具2の先端が略々接した(タッチした)と判定する。本実施形態では、受光レベル比Rに対するタッチ判定の閾値Rthとして、図9に示すように、例えば「0.9」の値を設定している。これにより、本実施形態の座標入力装置3は、受光レベル比Rの値が「0.9」の閾値Rth以上になった場合(距離Z=0.2mm以下になった場合)に、指示具2によるタッチがなされたと判定する。このように本実施形態の座標入力装置3によれば、センサユニット4の撮像デバイス9から指示具2までの距離Lによらず、距離Zが0.2mmのときにタッチしたと判定され、ユーザからみて距離Z方向にばらつきのない良好なタッチ判定が行われる。すなわち、本実施形態の座標入力装置3によれば、タッチ判定に関して安定した高精度の操作性が実現されている。
図10には、本実施形態の座標入力装置3の演算制御部5が、センサユニット4の上段駆動回路6Tと下段駆動回路6Bを介して上段発光源7Tと下段発光源7Bを切り替え点灯させる制御と、撮像デバイス9に対する撮像制御の、タイミングチャートを示す。
図10において、制御信号CS1〜CS5は、演算制御部5の座標演算部11が撮像デバイス9を制御する際の制御信号である。具体的には、制御信号CS1は、サンプルホールド(SH)信号であり、このSH信号のパルス間隔で、制御信号CS4、CS5における撮像デバイス9のシャッタ開放のタイミングが決定される。制御信号CS2は、撮像デバイス9へのゲート信号ICG1であり、撮像デバイス9内部の光電変換部の電荷を読み出し部へ転送させるタイミングを示す信号である。制御信号CS4は、撮像デバイス9のシャッタ開放期間を示す信号である。制御信号CS4のシャッタ開放期間は、制御信号CS1のSH信号によるシャッタ開放タイミングと、制御信号CS2のゲート信号ICG1による読み出しタイミングとで決定される。同様に、制御信号CS3は、撮像デバイス9へのゲート信号ICG2であり、撮像デバイス9内部の光電変換部の電荷を読み出し部へ転送させるタイミングを示す信号である。制御信号CS5は、撮像デバイス9のシャッタ開放期間を示す信号である。制御信号CS5のシャッタ開放期間は、制御信号CS2のSH信号によるシャッタ開放タイミングと、制御信号CS3のゲート信号ICG2による読み出しタイミングとで決定される。なお、図10の制御信号CS4、CS5の例では、撮像デバイス9のシャッタ開放時間として二つのシャッタ開放期間のみを挙げているが、タッチ判定の際の受光処理が継続されている間は撮像デバイス9の受光とその受光信号の読み出しが繰り返される。
制御信号CS6は、演算制御部5の投光駆動部12が、上段駆動回路6Tを介して上段発光源7Tを点灯駆動制御する際の制御信号である。本実施形態の場合、制御信号CS6は、制御信号CS1のSH信号の周期に応じた制御信号CS4のシャッタ開放期間に合わせるように、上段発光源点灯期間を決めるための制御信号となされている。投光駆動部12は、制御信号CS6の上段発光源点灯期間に、上段駆動回路6Tから上段発光源7Tへ駆動電流を供給して、上段発光源7Tを点灯させる。同様に、制御信号CS7は、演算制御部5の投光駆動部12が、下段駆動回路6Bを介して下段発光源7Bを点灯駆動制御する際の制御信号である。本実施形態の場合、制御信号CS7は、制御信号CS1のSH信号の周期に応じた制御信号CS5のシャッタ開放期間に合わせるように、下段発光源点灯期間を決めるための制御信号となされている。投光駆動部12は、制御信号CS7の下段発光源点灯期間に、下段駆動回路6Bから下段発光源7Bへ駆動電流を供給して、下段発光源7Bを点灯させる。なお、図10の例では、制御信号CS6,CS7の上段発光源点灯期間,下段発光源点灯期間として各々1周期分のみを挙げているが、タッチ判定のための受光処理が継続されている間は、それら上段発光源点灯期間と下段発光源点灯期間が繰り返し生成される。
なお、上段発光源7Tと下段発光源7Bの駆動、及び、撮像デバイス9のシャッタ開放が終了した後に、撮像デバイス9の信号が座標演算部11のFPGA等に読み出されるのは前述の通りである。
本実施形態の座標入力装置3は、これらの各制御信号CS1〜CS7により、指示具2のタッチ判定を行う際の上段発光源7Tと下段発光源7Bの投光切り替え処理と、それら切り替えられた投射光による反射光の受光処理を実現している。
次に、図11を参照して、座標演算部11が、指示具2の反射光の光量分布情報を基に、指示具2による指示位置に相当する画素情報すなわち角度情報を算出する処理について説明する。なお、図11の横軸は撮像デバイス9の各画素の画素番号[N]を示し、縦軸は各画素による受光信号の電圧[V]を示している。
座標演算部11は、撮像デバイス9からの受光信号の光量分布を予め決めた閾値電圧VTでスライスし、光量分布の立ち上がり部においてスライスされた位置の前後2画素と、立ち下がり部においてスライスされた位置の前後2画素とを求める。さらに、座標演算部11は、立ち上がり部でのスライスで求められた前後2画素の電圧Vs-1と電圧Vsの比例計算により、立ち上がり部において閾値電圧VTに対応した画素を算出し、その画素に対応した画素番号Nsを求める。同様に、座標演算部11は、立ち下がり部でのスライスにより求められた前後2画素の電圧Vt-1と電圧Vtの比例計算により、立ち下がり部において閾値電圧VTに対応した画素を算出し、その画素に対応した画素番号Ntを求める。
さらに、座標演算部11は、立ち上がり部で求めた画素番号Nsと立ち下がり部で求めた画素番号Ntとの間の中間画素の画素番号Npvを求める。この画素番号Npvが指示具2の指示位置に対応した画素番号となる。また、座標演算部11は、前述したように、センサユニット4から扇形に広がる投光範囲内の各角度の値と、撮像デバイス9の各画素番号との対応関係を示すデータを予め取得している。したがって、座標演算部11は、予め取得しておいた画素番号と角度との対応関係を表すデータを基に、指示具2の指示位置に対してセンサユニット4a,4bが成す角度を求めることができる。そして、座標演算部11は、指示具2の指示位置に対してセンサユニット4a,4bが成す角度と、センサユニット4a,4b間の所定距離dとを用い、三角測量の手法により、指示具2の指示位置の二次元座標を算出する。なお、閾値電圧VTが、検出光量分布に対して常に相対的に一定であることが、座標の算出処理において検出精度向上に結び付く。本実施形態では、上段発光源7Tと下段発光源7Bに対する駆動条件を常に最適に制御することにより、検出座標精度を向上させている。
図12には、本実施形態の座標入力装置3において、タッチ判定を行う際のフローチャートを示す。図12において、演算制御部5は、インターフェイス部13を介して、例えば情報処理装置20からタッチ判定処理の開始の指示を受けると、ステップS100として、タッチ判定のための処理をスタートさせる。ステップS100の後、演算制御部5は、処理をステップS101へ進める。
ステップS101では、演算制御部5の投光駆動部12は、上段発光源7Tを駆動させるための前述の図10に示した制御信号CS6を、センサユニット4の上段駆動回路6Tに送る。上段駆動回路6Tは、投光駆動部12からの制御信号CS6を受けると、その制御信号CS6の上段発光源点灯期間だけ上段発光源7Tを点灯させるための駆動電流を出力する。上段発光源7Tは、上段駆動回路6Tからの駆動電流により、制御信号CS6の上段発光源点灯期間に相当する間だけ点灯する。これにより、上段発光源7Tからは、前述したように座標入力面1からの法線方向の高さが例えば2〜4mmとなる上段投光範囲の上段投射光が、投光される。また、ステップS101では、演算制御部5の座標演算部11は、センサ基板10を制御して、前述の図10に示した制御信号CS4の撮像デバイスシャッタ開放期間だけ、撮像デバイス9による撮像を行わせる。ステップS101の後、演算制御部5は、処理をステップS102へ進める。
ステップS102では、演算制御部5の座標演算部11は、前述の図10に示した制御信号CS2であるゲート信号ICG1をセンサ基板10から出力させることにより、撮像デバイス9から受光信号の読み出しを行わせる。さらに、座標演算部11は、その受光信号を、センサ基板10を介して受け取る。そして、座標演算部11は、受光信号のレベル(上段投光が行われた際の受光レベル)を表すデータを生成して、メモリ14に記憶(格納)させる。ステップS102の後、演算制御部5は、処理をステップS103へ進める。
ステップS103では、演算制御部5の投光駆動部12は、下段発光源7Bを駆動させるための前述の図10に示した制御信号CS7を、センサユニット4の下段駆動回路6Bに送る。下段駆動回路6Bは、投光駆動部12からの制御信号CS7を受けると、その制御信号CS7の下段発光源点灯期間だけ下段発光源7Bを点灯させるための駆動電流を出力する。下段発光源7Bは、下段駆動回路6Bからの駆動電流により、制御信号CS7の下段発光源点灯期間に相当する間だけ点灯する。これにより、下段発光源7Bからは、前述のように座標入力面1からの法線方向の高さが例えば0〜2mmとなる下段投光範囲の下段投射光が、投光される。また、ステップS103では、演算制御部5の座標演算部11は、センサ基板10を制御して、前述の図10に示した制御信号CS5の撮像デバイスシャッタ開放期間だけ、撮像デバイス9による撮像を行わせる。ステップS103の後、演算制御部5は、処理をステップS104へ進める。
ステップS104では、演算制御部5の座標演算部11は、前述の図10に示した制御信号CS3であるゲート信号ICG2をセンサ基板10から出力させることにより、撮像デバイス9から受光信号の読み出しを行わせる。さらに、座標演算部11は、その受光信号を、センサ基板10を介して受け取り、受光レベル(下段投光が行われた際の受光レベル)を表すデータを生成してメモリ14に記憶させる。ステップS104の後、演算制御部5は、処理をステップS105へ進める。
ステップS105では、座標演算部11は、メモリ14から上段投光の際の受光レベルと下段投光の際の受光レベルの各データを読み出し、それらのデータから二つの受光レベルの比R(受光レベル比R)を算出する。ステップS105の後、演算制御部5は、処理をステップS106へ進める。
ステップS106では、座標演算部11は、ステップS105で算出された受光レベル比Rが、予め定められているタッチ判定のための所定の閾値Rth以上になったか否かを判断する。座標演算部11は、ステップS106において受光レベル比Rが閾値Rth以上であると判断した場合には、処理をステップS107へ進める。一方、座標演算部11は、ステップS106において受光レベル比Rが閾値Rth未満であると判断した場合には、処理をステップS108へ進める。
ステップS107では、座標演算部11は、座標入力面1に対して指示具2が近接(略々接触)したことを表すタッチ(ペン)ダウン信号を発生し、その信号を、インターフェイス部13を介して情報処理装置20へ送信させる。ステップS107の後、座標演算部11は、処理をステップS109へ進める。一方、ステップS108では、座標演算部11は、座標入力面1に対して指示具2が近接(接触)していないことを表すタッチ(ペン)アップ信号を発生し、その信号を、インターフェイス部13を介して情報処理装置20へ送信させる。ステップS108の後、座標演算部11は、処理をステップS109へ進める。
ステップS109では、座標演算部11は、引き続きタッチ判定のための前述の各処理を継続するか否かの判断を行う。なお、タッチ判定のための処理を継続するか否かの判断は、情報処理装置20からタッチ判定の終了指示が送られてきたか否かに基づいて行われる。すなわち、情報処理装置20からタッチ判定の終了指示が送られてきた場合、座標演算部11は、ステップS109において、タッチ判定のための処理を終了すると判断して、処理をステップS110へ進める。ステップS110では、座標演算部11は、タッチ判定の処理を終了する。一方、情報処理装置20からタッチ判定の終了指示が送られてきていない場合、座標演算部11は、ステップS109においてタッチ判定のための処理を継続すると判断して、処理をステップS101へ戻す。この場合、ステップS101以降の前述した各処理が継続されることになる。
前述したように、第1の実施形態の座標入力装置3においては、上段投光と下段投光を交互に切り替え、それら上段投光と下段投光の際の反射光の受光レベル比と所定の閾値との比較に基づいてタッチ判定を行うようにしている。このため、第1の実施形態の座標入力装置3によれば、検出対象物(指示具2)から受光手段(センサユニット4)までの距離によらず、検出対象物による座標入力面への接触(近接)を正確且つ高精度に検出可能である。
<第2の実施形態>
次に、図13には、一つの発光源7のみにより前述の第1の実施形態と同様のタッチ判定及び座標算出が可能となされた、第2の実施形態の座標入力装置3のセンサユニット4の一構成例を示す。なお、センサユニット4以外の構成は、前述の第1の実施形態の座標入力装置3と同様であるため、それらの図示と説明は省略する。また、第2の実施形態のセンサユニット4において、受光光学系や撮像デバイス、センサ基板は、第1の実施形態と同様であるため、図13ではそれらの図示を省略している。さらに、第2の実施形態の場合、後述するように投射光の数が第1の実施形態とは異なるが、投光の切り替え制御と受光処理のタイミングに関しては基本的には前述の第1の実施形態と同様である。
第2の実施形態のセンサユニット4は、レーザー光などの指向性と収束性を有した光ビームを発する一つの発光源7が配置されている。発光源7は、駆動回路6により駆動される。発光源7から投射された光線は、光学レンズ等の投光光学系70により、そのビーム幅等が調整され、さらに導光ミラー71で反射されて、MEMS(微小電気機構システム)等の走査ミラー72に投射される。
走査ミラー72は、演算制御部5からの制御により、そのミラー面の傾斜角が、座標入力面1に対してそれぞれ異なる所定の三つの角度となるように時分割で切り替えられる。なお、走査ミラー72において、時分割で切り替えられたそれぞれの角度が維持される期間は、前述した上段発光源点灯期間や下段点灯源発光期間に相当する一定の期間となされる。そして、この走査ミラー72のミラー面で反射された光線は、フレネルレンズ73のレンズ面に投射される。したがって、導光ミラー71で反射された光線は、走査ミラー72にて走査されることにより、フレネルレンズ73の異なる高さの三ヶ所へ、時分割で振り分けられて投射されることになる。なお、走査ミラー72のミラー面の傾斜角の切り替えは、MEMSの性能により、指示具2の移動速度に対して十分短い間隔で行うことが可能である。
フレネルレンズ73は、そのレンズの光軸が座標入力面1に対して平行となるように配置され、また、フレネルレンズ73自体は座標入力面1に対する高さ方向に、所定の距離を持つように配置されている。このフレネルレンズ73を透過した光線は、ロッドレンズ74へ投射される。すなわち、ロッドレンズ74には、座標入力面1に対してそれぞれ高さが異なる平行なビーム光線が時分割で投射されることになる。
ロッドレンズ74は、その中心軸が、座標入力面1に対して垂直方向となるように配置されている。したがって、ロッドレンズ74から投射される光は、座標入力面1に対して平行で扇形に広がる光となる。すなわち、ロッドレンズ74からは、座標入力面1に対して平行で、それぞれ座標入力面1からの高さが異なった扇形に広がる三つの光が、時分割で投射されることになる。なお、本実施形態では、それら時分割で投射される扇形の三つ投射光のうち、座標入力面1からの距離が最も遠い投射光を上段投射光、座標入力面1からの距離が最も近い投射光を下段投射光、それら上下段投射光の中間の投射光を中段投射光と呼ぶ。
第2の実施形態の座標入力装置3は、座標入力面1からの高さが異なる上段投射光、中段投射光、下段投射光が、指示具2によりそれぞれ反射された三つの受光信号から、三つの受光レベルを求める。そして、第2の実施形態の座標入力装置3は、三つの受光レベルのうち、それぞれ二つの受光レベルの組み合わせごとに、前述の第1の実施形態と同様の受光レベル比を求める。
一例として、第2の実施形態の場合の座標演算部11は、上段投射光と中段投射光における二つの受光レベルの組み合わせに対する受光レベル比と、上段投射光と下段投射光における二つの受光レベルの組み合わせに対する受光レベル比とを求める。そして、座標演算部11は、それら二つの受光レベル比に対して、それぞれ異なる閾値を用いて、指示具2の検出とタッチ判定を行う。例えば、座標演算部11は、上段投射光と中段投射光の組み合わせにおける受光レベル比と、この組み合わせに対して設定された閾値との比較により、座標入力面1からの高さ(距離Z)がある程度離れている段階で指示具2を検出可能となる。また、距離Zがある程度離れている段階で指示具2を検出可能になることで、座標演算部11は、座標入力面1に対する指示具2の位置(指示位置)を算出することも可能となる。すなわち、指示具2が座標入力面1に近接する前(タッチ判定が行われる前)の段階で、指示具2の検出と、その指示具2による指示位置の算出とが可能となる。そして、指示具2による指示位置の情報を情報処理装置20へ送ることで、情報処理装置20は、例えば指示具2の指示位置に対応したカーソル等の映像をフロントプロジェクターの投影スクリーン上に表示させるようなことが可能になる。さらに、座標演算部11は、上段投射光と下段投射光の組み合わせにおける受光レベル比とそれに対して設定されている閾値との比較により、第1の実施形態と同様に、座標入力面1に指示具2が略々接したことを検出するタッチ判定を行うことができる。
また他の例として、座標演算部11は、上段投射光と中段投射光の組み合わせにおける受光レベル比と、上段投射光と下段投射光の組み合わせにおける受光レベル比と、下段投射光と中段投射光の組み合わせにおける受光レベル比と、を求めてもよい。この場合、座標演算部11は、それら三つの受光レベル比に対してそれぞれ異なる閾値を用いた判定処理を行うことにより、タッチ判定前の指示具2の検出や、その後の正確なタッチ判定を行うことができる。例えば、座標演算部11は、上段投射光と中段投射光における受光レベル比とそれに対する閾値との比較により、前述のように座標入力面1から指示具2が或る程度離れている段階での指示具2を検出できる。また、座標演算部11は、上段投射光と下段投射光における受光レベル比とそれに対する閾値との比較により、指示具2が座標入力面1に近接したことを検出できる。さらに、座標演算部11は、下段投射光と中段投射光における受光レベル比とそれに対する閾値との比較により、座標入力面1に対する指示具2のより正確なタッチ判定が可能となる。
前述したように、第2の実施形態の座標入力装置3においては、上段投光、中段投光、下段投光を順に切り替え、それら各投光の反射光の組み合わせごとに受光レベル比を求め、それら組み合わせに対応して各々設定された閾値と比較するようにしている。これにより、第2の実施形態の座標入力装置3によれば、指示具2が座標入力面1に近接する前の段階で指示具2を検出でき、さらに、座標入力面1への指示具2の近接(接触)を高精度に判定することが可能となる。
また、第2の実施形態の座標入力装置3の場合、第1の実施形態のようにセンサユニット4内に複数の発光源(7T,7B)を並べて配置する必要がないため、複数の発光源による寸法上の制約が少ない。さらに、第2の実施形態の場合は、走査ミラー72の駆動のみで、座標入力面1に対する投射光の高さ方向の調整が容易であり、また発光源による寸法上の制約も少ないため、タッチ判定の際の座標入力面1に対する高さ方向の設定自由度が高い。したがって、第2の実施形態によれば、指示具2により座標入力が行われる際に、実際の指示具2の動きに即した必要な高さ間隔で、各投射光による投光が可能となるため、タッチ検出の精度を自由に設定可能となる。
なお、前述した第1の実施形態では、上段と下段の二つの発光源を備えた例を挙げたが、第2の実施形態のように例えば上段、中段、下段の三つの発光源を設け、第2の実施形態と同様にそれらの受光レベル比を求めて閾値と比較してタッチ判定等を行ってもよい。
さらに、他の例として、例えば四つ以上の投光を切り替えて行い、それら四つ以上の投光による各受光レベルのなかでそれぞれ二つずつの受光レベルの組み合わせから比を求め、それら各々に対して異なる閾値を用いた比較によりタッチ判定を行ってもよい。またさらに、第2の実施形態では、一つの発光源からの光を時分割で複数に振り分ける例を挙げたが、例えば複数の発光源からの光をそれぞれ時分割でさらに複数に振り分けてもよい。もちろん、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様に上段投光と下段投光の二つの投光のみを行ってもよい。
<その他の実施形態>
前述した第1,第2の実施形態の座標入力装置3は、各投射光を切り替えて投光し、それら切り替えられた各投光における受光レベルの比を求めている。ここで、タッチ判定や指示位置の座標が求められる際、指示具2は移動していることが考えられ、したがって、各投射光が切り替えられている間に、座標入力面1に対する指示具2の高さも変動してしまうと考えられる。このように、投射光の切り替えが行われている間に、座標入力面1に対する指示具2の高さが変動すると、各投光による受光レベル間には、指示具2の高さ変動分に相当する受光レベル変動が発生することになる。投射光の切り替え期間は非常に短いため、座標入力面1に対する指示具2の高さ変動分を無視することも可能であるが、例えば、切り替え期間内での高さ変動量に相当する受光ベル変動量を補正するようにしてもよい。すなわち、投光の切り替え期間は、略々一定時間であると考えられるため、例えば座標演算部11は、その切り替え期間における高さ変動量に相当する受光レベル変動量を予め求めておき、その受光レベル変動量に応じて各投光の際の受光レベルを補正する。そして、受光レベル比は、それら補正後の受光レベルを用いて求めるようにする。
また、第1の実施形態のように上段投光と下段投光の二つの投光を行う場合、座標入力装置3は、上段投光と、上段投光及び下段投光の両方を同時に行う上下段同時投光とを交互に繰り返し、それぞれの受光レベルの比に基づいてタッチ判定してもよい。例えば上下段同時投光が行われている場合、上段投光と下段投光の両者による広い投光範囲により、指示具2の検出とタッチ判定が可能となる。このことは、発光源が例えば上段、中段、下段の三つ設けられているような場合にも適用可能である。すなわち例えば、上段投光と上中下段同時投光を交互に繰り返し、又は、上段投光と上下段同時投光を交互に、又は、上段投光と中下段同時投光を交互に繰り返して、それぞれの受光レベル比に基づいてタッチ判定してもよい。この例の場合も、上段投光と下段投光の二つを交互に切り替えた場合と同様にタッチ判定が可能である。その他にも、それぞれ高さの異なる投光による受光レベルの相対的な比較ができるのであれば、前述した投光例以外の投光によるタッチ判定等を行ってもよい。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
上述の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明は、その技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
1 座標入力面、2 指示具、3 座標入力装置、4(4a,4b) センサユニット、5 演算制御部、6 駆動回路、6T 上段駆動回路、6B 下段駆動回路、7 発光源、7T 上段発光源、7B 下段発光源、8 受光光学系、9 撮像デバイス、10 センサ基板、11 座標演算部、12 投光駆動部、13 インターフェイス部、14 メモリ、20 情報処理装置(PC)

Claims (8)

  1. 所定の平面に対してそれぞれ略々平行で且つ前記所定の平面からの高さがそれぞれ異なる第1の投射光と第2の投射光の少なくとも二つの投射光を、切り替え投光する投光手段と、
    前記第1の投射光が対象物により反射された第1の反射光と、前記第2の投射光が前記対象物により反射された第2の反射光とを受光して、前記第1の反射光の受光レベルと前記第2の反射光の受光レベルを取得する受光手段と、
    前記第1の反射光の受光レベルと前記第2の反射光の受光レベルとの比を求め、前記受光レベルの比と所定の閾値との比較に基づいて、前記所定の平面に対して前記対象物が近接したか否かを判定する判定手段と
    を有することを特徴とする座標入力装置。
  2. 前記投光手段は、投射光の発光源を少なくとも二つ有し、前記少なくとも二つの発光源を切り替え駆動することにより、前記第1の投射光と前記第2の投射光の少なくとも二つの投射光の切り替え投光を行うことを特徴とする請求項1に記載の座標入力装置。
  3. 前記投光手段は、一つの発光源からの投射光を前記第1の投射光と前記第2の投射光の少なくとも二つの投射光に時分割で振り分けて投光する光学手段を有することを特徴とする請求項1に記載の座標入力装置。
  4. 前記投光手段は、前記第1の投射光と前記第2の投射光と、更に、前記所定の平面に対して略々平行で且つ前記所定の平面からの高さが前記第1の投射光と第2の投射光とは異なる第3の投射光を含む、少なくとも三つ以上の投射光を切り替え投光し、
    前記受光手段は、前記第1の反射光の受光レベルと前記第2の反射光の受光レベルを取得し、更に、前記第3の投射光が前記対象物により反射された第3の反射光を受光した受光レベルを取得し、
    前記判定手段は、前記受光手段により受光された前記第1〜第3の反射光のうち、二つの反射光の組み合わせごとに前記受光レベルの比を求め、前記二つの反射光の組み合わせごとに求めた受光レベルの比と、前記二つの反射光の組み合わせごとに異なる値に設定された前記閾値との比較に基づいて、前記所定の平面に対して前記対象物が近接したか否かを判定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の座標入力装置。
  5. 前記投光手段は、投射光の発光源を少なくとも二つ有し、前記少なくとも二つの発光源のうち一つを駆動することによる前記第1の投射光と、前記二つの発光源の両方を同時に駆動することによる前記第2の投射光を、前記切り替え投光することを特徴とする請求項1に記載の座標入力装置。
  6. 前記判定手段は、前記投射光が切り替えられる際の切り替え期間に対応させて前記受光レベルを補正し、前記補正された受光レベルを用いて前記受光レベルの比を求めることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の座標入力装置。
  7. 前記受光手段による受光信号に基づいて、前記所定の平面に対する前記対象物による指示位置の座標を求める演算手段を有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の座標入力装置。
  8. 投光手段が、所定の平面に対してそれぞれ略々平行で且つ前記所定の平面からの高さがそれぞれ異なる第1の投射光と第2の投射光の少なくとも二つの投射光とを、切り替え投光する投光ステップと、
    受光手段が、前記第1の投射光が対象物により反射された第1の反射光と、前記第2の投射光が前記対象物により反射された第2の反射光とを受光して、前記第1の反射光の受光レベルと前記第2の反射光の受光レベルを取得する受光ステップと、
    判定手段が、前記第1の反射光の受光レベルと前記第2の反射光の受光レベルとの比を求め、前記受光レベルの比と所定の閾値との比較に基づいて、前記所定の平面に対する前記対象物が近接したか否かを判定する判定ステップと
    を含むことを特徴とする座標入力装置の制御方法。
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