JP2016205788A - 液体輸送システム、蓄熱システム及びヒートポンプ - Google Patents

液体輸送システム、蓄熱システム及びヒートポンプ Download PDF

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Abstract

【課題】減圧容器から回収された液体をポンプにより輸送する場合に比べて、液体の輸送効率の低下が抑制される液体輸送システムを提供する。
【解決手段】液体輸送システム30は、内部が減圧された減圧容器52の下側に配置され、減圧容器52に気密状態で連結され、減圧容器52から落下された液体を収容する第1容器62と、減圧容器52の上側に配置され、第1容器62及び減圧容器52に気密状態で連結され、第1容器62から輸送される液体を収容し、減圧容器52に液体を落下させる第2容器72と、第1容器62に収容されている液体を加熱し、加熱されて蒸発した気体により前記液体を加圧して前記第2容器に輸送させる加熱部64と、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体輸送システム、蓄熱システム及びヒートポンプに関する。
特許文献1には、その図1に示されるように、反応装置と、蒸発・凝縮装置と、反応装置と蒸発・凝縮装置との間を水蒸気が流通するための水蒸気流通路とを備えた蓄熱装置が開示されている。上記の蒸発・凝縮装置は、底部に水を貯留することができる密閉容器に、熱媒体が循環する熱媒体循環系統を設けて構成されている。
特開2013−216763号公報
特許文献1の蒸発・凝縮装置は、水蒸気を冷却して凝縮させた水を蒸発・凝縮装置を構成する密閉容器に貯蔵するようになっている。そのため、特許文献1の蒸発・凝縮装置の場合、凝縮させた水を、蒸発・凝縮装置を構成しない別の容器に輸送する必要がない。ところで、気体を凝縮させる凝縮器と、凝縮器で凝縮された液体を収容する容器とを別々に備えた構成では、液体を凝縮器から容器へ輸送する必要がある。この場合、ポンプを用いて飽和状態にある液体を輸送すると、局所的な低圧部分でキャビテーションが生じる虞がある。そして、輸送される液体にキャビテーションが生じると、液体の輸送効率が低下する。
本発明は、減圧容器から回収された液体をポンプにより輸送する場合に比べて、液体の輸送効率の低下が抑制される液体輸送システムの提供を目的とする。
請求項1の液体輸送システムは、内部が減圧された減圧容器の下側に配置され、前記減圧容器に気密状態で連結され、前記減圧容器から落下された液体を収容する第1容器と、前記減圧容器の上側に配置され、前記第1容器及び前記減圧容器に気密状態で連結され、前記第1容器から輸送される液体を収容し、前記減圧容器に液体を落下させる第2容器と、前記第1容器に収容されている液体を加熱し、加熱されて蒸発した気体により前記液体を加圧して前記第2容器に輸送させる加熱部と、を備えている。
請求項1の液体輸送システムによれば、減圧容器から落下され、第1容器に収容された液体は加熱部により加熱されて蒸発した気体により加圧されて第2容器に輸送され、第2容器に収容された液体は減圧容器に落下される。すなわち、請求項1の液体輸送システムは、ポンプを用いずに液体を輸送することができる。このため、請求項1の液体輸送システムは、減圧容器から回収された液体をポンプにより輸送する場合に比べて、キャビテーションが生じ難い。したがって、請求項1の液体輸送システムは、キャビテーションが生じ難いことに伴い液体の輸送効率の低下が抑制される。
請求項2の液体輸送システムは、請求項1記載の液体輸送システムにおいて、前記第2容器の圧力を調整する調整部を備えている。
請求項2の液体輸送システムは、調整部により第2容器内の圧力を調整することで、第1容器から第2容器へ液体を輸送する場合の液体の輸送効率を調整することができる。
請求項3の液体輸送システムは、請求項2記載の液体輸送システムにおいて、前記調整部は、前記第2容器に収容されている液体を加熱又は冷却して、前記圧力を調整することができる。
請求項3の液体輸送システムによれば、液体を加熱又は冷却することで、第2容器内の圧力を調整することができる。
請求項4の蓄熱システムは、液体を蒸発させ、気体を凝縮させる前記減圧容器としての蒸発凝縮器と、請求項1〜3の何れか1項に記載の液体輸送システムと、前記蒸発凝縮器に気密状態で連結され、内部に蓄熱材を有し、前記蒸発凝縮器で蒸発させた気体を前記蓄熱材に反応させて発熱し、気体と反応した前記蓄熱材から前記蒸発凝縮器で凝縮される気体を生成させて蓄熱する蓄熱器と、を備えている。
請求項4の蓄熱システムは、液体を蒸発させ、気体を凝縮させる減圧容器としての蒸発凝縮器と、請求項1〜3の何れか1項に記載の液体輸送システムとを備えている。したがって、請求項4の蓄熱システムによれば、減圧容器から回収された液体をポンプにより輸送する液体輸送システムを備えた場合に比べて、液体の輸送効率の低下に伴う熱効率の低下が抑制される。
請求項5のヒートポンプは、液体を蒸発させ、気体を凝縮させる前記減圧容器としての蒸発凝縮器と、請求項1〜3の何れか1項に記載の液体輸送システムと、前記蒸発凝縮器に気密状態で連結され、内部に蓄熱材を有し、前記蒸発凝縮器で蒸発させた気体を前記蓄熱材に反応させて発熱し、気体と反応した前記蓄熱材から前記蒸発凝縮器で凝縮される気体を生成させて蓄熱する蓄熱器と、を備えている。
請求項5のヒートポンプは、液体を蒸発させ、気体を凝縮させる減圧容器としての蒸発凝縮器と、請求項1〜3の何れか1項に記載の液体輸送システムとを備えている。したがって、請求項5のヒートポンプによれば、減圧容器から回収された液体をポンプにより輸送する液体輸送システムを備えた場合に比べて、液体の輸送効率の低下に伴う熱効率の低下が抑制される。
本発明は、減圧容器から回収された液体をポンプにより輸送する場合に比べて、液体の輸送効率の低下が抑制される。
発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)の蓄熱システムを示す概略図である。 実施形態の蓄熱システムにおいて、蓄熱モードの動作時(開始後かつ終了前)の状態を示す概略図である。 実施形態の蓄熱システムにおいて、蓄熱モードの終了時の状態を示す概略図である。 実施形態の蓄熱システムにおいて、液体輸送モードの開始時の状態を示す概略図である。 実施形態の蓄熱システムにおいて、液体輸送モードの動作時(開始後かつ終了前)の状態を示す概略図である。 実施形態の蓄熱システムにおいて、液体輸送モードの終了時の状態を示す概略図である。 実施形態の蓄熱システムにおいて、放熱モードの開始時の状態を示す概略図である。 実施形態の蓄熱システムにおいて、放熱モードの動作時(開始後かつ終了前)の状態を示す概略図である。 実施形態の蓄熱システムにおいて、放熱モードの動作時(開始後かつ終了前であって、図8に示す動作時よりも後)の状態を示す概略図である。 第1比較形態の蓄熱システムを示す図であって、液体輸送モードの動作時(開始後かつ終了前)の状態を示す概略図である。 第2比較形態(他の実施形態)の蓄熱システムを示す概略図である。 他の実施形態の蓄熱システムにおいて、蓄熱モードと液体輸送モードとを並行して行っている状態を示す概略図である。 他の実施形態の蓄熱システムを示す概略図である。
以下、本実施形態の蓄熱システム10について説明する。まず、本実施形態の蓄熱システム10の構成について説明する。次いで、本実施形態の蓄熱システム10の動作について説明する。次いで、本実施形態の蓄熱システム10の作用について説明する。
なお、本実施形態の蓄熱システム10は本実施形態の液体輸送システム30を含んで構成されていることから、本実施形態の液体輸送システム30の構成及び動作については、本実施形態の蓄熱システム10の構成及び動作の説明の中で説明する。また、以下の説明では、図中における矢印方向(+H方向及び−H方向)を装置高さ方向とし、+H方向を装置高さ方向上側、−H方向を装置高さ方向下側とし、それぞれ上側、下側とする。例えば、「蒸発凝縮器50の上側」は蒸発凝縮器50に対する装置高さ方向上側を、「蓄熱器20の下側」は蓄熱器20に対する装置高さ方向下側を意味するものとする。
≪蓄熱システムの構成≫
蓄熱システム10は、図1に示されるように、蓄熱器20と、液体輸送システム30と、蒸発凝縮器50と、制御部40と、を含んで構成されている。なお、蓄熱システム10は、予め定められた量の水W(又は水蒸気WV)を各構成要素で構成される閉じた系で動作させるシステムである。そして、この閉じた系は、大気圧よりも気圧が低い環境(減圧環境)とされている。
<蓄熱器>
蓄熱器20は、加熱対象を加熱するために放熱する機能と、熱源から移動させた熱を蓄熱する機能とを有する。蓄熱器20は、図1に示されるように、容器22と、蓄熱材24と、流路部26とを含んで構成されている。
[容器]
容器22は、円筒状とされており、周壁22Aと、上壁22Bと、下壁22Cと、で構成されている。また、周壁22Aには装置高さ方向に並ぶ2ヶ所の貫通穴が形成されており、下壁22Cの中央には1ヶ所の貫通穴が形成されている。なお、容器22は、断熱材(図示省略)により覆われている。
[蓄熱材]
蓄熱材24は、容器22内に配置されている。別言すれば、蓄熱器20は、その内部に蓄熱材24を有している。本実施形態の蓄熱材24は、一例として酸化カルシウム(CaO)の成形体とされている。なお、本実施形態の蓄熱材24は、一例として酸化カルシウムの粉体を粘土鉱物等のバインダと混練し焼成され、容器22内に嵌り込むように円筒状に形成されている。
ここで、蓄熱材24は、水和に伴って放熱(発熱)し、脱水に伴って蓄熱(吸熱)するものであり、容器22内で以下に示す化学反応の結果、放熱、蓄熱を可逆的に繰り返し得る構成とされている(下記の式1参照)。
式1 CaO + H2O ⇔ Ca(OH)2
式1に発熱量Q又は蓄熱量Qを併せて示すと、
式2 CaO + H2O → Ca(OH)2 + Q
式3 Ca(OH)2 + Q → CaO + H2O
となる。式2は蓄熱材24が水和に伴って発熱量Qに相当する熱を放熱する化学反応を示し、式3は水酸化カルシウムの脱水に伴って蓄熱量Qに相当する熱を蓄熱する化学反応を示している。なお、本実施形態の蓄熱材24の単位質量当たりの蓄熱容量は、一例として1.86[MJ/kg]とされている。
[流路部]
流路部26は、熱媒体が流通する流路とされている。本実施形態の流路部26は、図1に示されるように、一例としてパイプとされており、その一端部及び他端部が、それぞれ容器22の外壁22Aの2ヶ所の貫通穴にシールされた状態で固定されている。そして、流路部26は、その上側端部(一端部)の開口26Aから送り込まれる熱媒体をその下側端部(他端部)の開口26Bから送り出すようになっている。なお、流路部26における容器22内に配置されている部分の外壁は、蓄熱材24に接触している。
ここで、熱媒体とは、蓄熱材24が放熱した熱を流路部26を通じて吸収し、吸収した熱を加熱対象に輸送する機能と、熱源の熱を流路部26まで輸送し、輸送した熱を流路部26を通じて蓄熱材24に与える機能とを有する。本実施形態の熱媒体は、一例としてオイルとされている。
[補足]
以上のとおり、蓄熱器20を要素に分けて説明したが、以下、蓄熱器20について補足する。
〔補足1〕
蓄熱器20は、後述する蒸発凝縮器50で蒸発された水蒸気WV(図9参照)を蓄熱材24に反応(水和)させて放熱するようになっている。ここで、水蒸気WVは、気体の一例である。その結果、流路部26を流通する熱媒体は、熱を吸収するようになっている。また、蓄熱器20は、流路部26を流通する熱媒体から与えられる熱により水酸化カルシウムを反応(脱水)させて蓄熱するようになっている。ここで、水酸化カルシウムを反応(脱水)させるとは、水蒸気WVと反応(水和)した蓄熱材24から水蒸気WVを生成することを意味する。その結果、流路部26を流通する熱媒体は、熱を奪われるようになっている。なお、本実施形態の蓄熱器20は、放熱する場合、熱媒体を一例として80℃から200℃に加熱し、蓄熱する場合、熱媒体を一例として200℃から80℃に冷却するようになっている。
〔補足2〕
蓄熱器20(の容器22)は、後述する蒸発凝縮器50に気密状態で連結されている。具体的には、容器22の下壁22Cの貫通穴に後述する第1連結部82のパイプF1の一端がシールされた状態で固定されている。そして、パイプF1の他端は、後述する蒸発凝縮器50の容器52の上壁52Bの貫通穴にシールされた状態で固定されている。
〔補足3〕
流路部26の開口26Aは、熱源を通るパイプ(図示省略)又は加熱対象を通るパイプ(図示省略)に、切替手段(図示省略)により切替可能に連結されている。
<蒸発凝縮器>
蒸発凝縮器50は、水蒸気WVを凝縮させる機能と、水Wを蒸発させる機能とを有する。また、前述のとおり、蒸発凝縮器50内は、大気圧よりも気圧が低い環境とされている。ここで、蒸発凝縮器50は、減圧容器の一例である。蒸発凝縮器50は、図1に示されるように、容器52と、流路部54とを含んで構成されている。なお、蒸発凝縮器50は、蓄熱器20の下側に配置されている。
〔容器〕
容器52は、円筒状とされており、周壁52Aと、上壁52Bと、下壁52Cと、で構成されている。また、周壁52Aには装置高さ方向に並ぶ3ヶ所の貫通穴が形成されており、上壁52Bの中央及び下壁52Cの中央にはそれぞれ1ヶ所の貫通穴が形成されている。なお、容器52は、断熱材(図示省略)により覆われている。
容器52は、前述のとおり、上壁52Bの貫通穴と蓄熱器20の下壁22Cの貫通穴とにパイプF1がシールされた状態で固定されることで、蓄熱器20に気密状態で連結されている。
なお、容器52の下壁52Cの貫通穴には、後述する第2連結部84のパイプF2の一端がシールされた状態で固定されている。また、容器52の周壁52Aの3ヶ所の貫通穴のうち最も上側の貫通穴には、後述する第4連結部88のパイプF4の一端がシールされた状態で固定されている。
〔流路部〕
流路部54は、水(冷却水又は加熱水)が流通する流路とされている。本実施形態の流路部54は、図1に示されるように、一例としてパイプとされており、その一端部及び他端部が、それぞれ容器52の外壁52Aの3ヶ所の貫通穴のうち下側の2ヶ所にシールされた状態で固定されている。そして、流路部54は、その上側端部(一端部)の開口54Aから送り込まれる水をその下側端部(他端部)の開口54Bから送り出すようになっている。
また、本実施形態の流路部54は、冷却水又は加熱水を送り込むパイプ(図示省略)に切替手段(図示省略)により切替可能に連結されている。そして、流路部54は、冷却水又は加熱水が送り込まれることにより、容器52内の水蒸気WVを凝縮させる、又は、容器52内の水Wを蒸発させるようになっている。なお、容器52内の水蒸気WVは、蓄熱器20において生成され、第1連結部82を通って容器52内に送られた水蒸気WVを意味する。
<液体輸送システム>
液体輸送システム30は、図1に示されるように、第1収容部60と、第2収容部70と、第2連結部84と、第3連結部86と、第4連結部88と、を含んで構成されている。そして、液体輸送システム30は、蒸発凝縮器50で凝縮された水Wを収容部(第1収容部60及び第2収容部70)に収容させて、再度蒸発凝縮器50に戻す(輸送する)機能を有する。ここで、水Wは、液体の一例である。
なお、本明細書及び図面では、第1連結部82と、第2連結部84と、第3連結部86と、第4連結部88とで構成される連結部を、連結部80とする。そして、第1連結部82は蓄熱器20と蒸発凝縮器50とを、第2連結部84は蒸発凝縮器50と第1収容部60とを、第3連結部86は第1収容部60と第2収容部70とを、第4連結部88は第2収容部70と蒸発凝縮器50とを連結している。また、第1〜第4連結部82、84、86、88は、それぞれ、水W又は水蒸気WVの輸送路を構成するパイプF1、F2、F3、F4と、各パイプF1、F2、F3、F4に設けられ、水W又は水蒸気WVの輸送路を開閉するバルブV1、V2、V3、V4と、を備えている。
[第1収容部]
第1収容部60は、図1に示されるように、容器62と、流路部64と、を含んで構成されている。ここで、容器62は、第1容器の一例である。第1収容部60は、蒸発凝縮器50の下側に配置されている。
〔容器〕
容器62は、蒸発凝縮器50から落下された水Wを収容する機能を有する。容器62は、円筒状とされており、周壁62Aと、上壁62Bと、下壁62Cと、で構成されている。また、周壁62Aには装置高さ方向に並ぶ2ヶ所の貫通穴が形成されており、上壁62Bの中央及び下壁62Cにはそれぞれ1ヶ所の貫通穴が形成されている。なお、容器62は、断熱材(図示省略)により覆われている。
容器62の上壁62Bの貫通穴には、第2連結部84のパイプF2の端部における蒸発凝縮器50に固定された端部と反対側の端部がシールされた状態で固定されている。そのため、容器62は、蒸発凝縮器50に気密状態で連結されている。なお、本実施形態のパイプF2は、装置高さ方向に沿っている。また、容器62の下壁62Cの貫通穴には、第3連結部86のパイプF3の一端がシールされた状態で固定されている。
以上のとおり、容器62が蒸発凝縮器50の下側に配置されており、かつ、パイプF2が装置高さ方向に沿っていることから、容器62は、蒸発凝縮器50内に水Wが凝縮されて収容されている場合に第2連結部84のバルブV2が開くと、重力により落下された水Wを収容するようになっている(図2及び図3参照)。なお、蒸発凝縮器50から落下されて容器62に収容される水Wは、いわゆる飽和状態とされている。
〔流路部〕
流路部64は、容器62に収容されている水Wを加熱することで、加熱されて蒸発した水蒸気WVにより水Wを加圧して後述する第2収容部70の容器72に輸送させる機能を有する。ここで、流路部64は、加熱部の一例である。
流路部64は、図1に示されるように、一例としてパイプとされており、その一端部及び他端部が、それぞれ容器62の外壁62Aの2ヶ所の貫通穴にシールされた状態で固定されている。流路部64は、その上側端部(一端部)の開口64Aから送り込まれる水(加熱水)をその下側端部(他端部)の開口64Bから送り出すようになっている。そして、バルブV2、V3が閉じた状態で流路部64に加熱水が流されると、流路部64は、容器62内で水Wを加熱して、容器62内に収容されている水Wの一部を蒸発させるようになっている(図4参照)。その結果、容器62内の圧力が第2収容部70の容器72内の圧力よりも高い状態でバルブV3が開くと、容器62の水Wは水蒸気WVに加圧されて、容器72に輸送されるようになっている(図5参照)。
[第2収容部]
第2収容部70は、図1に示されるように、容器72と、加熱冷却部74と、を含んで構成されている。ここで、容器72は、第2容器の一例である。また、加熱冷却部74は、調整部の一例である。第2収容部70は、蒸発凝縮器50の上側に配置されている。
〔容器〕
容器72は、前述のとおり第1収容部60の容器62から輸送される水Wを収容する機能と、収容されている水Wを蒸発凝縮器50に落下させる機能とを有する。容器72は、円筒状とされており、周壁72Aと、上壁72Bと、下壁72Cと、で構成されている。また、周壁72Aには装置高さ方向に並ぶ2ヶ所の貫通穴が形成されており、下壁72Cには2ヶ所の貫通穴が形成されている。なお、容器72は、断熱材(図示省略)により覆われている。
容器72の下壁72Cの2ヶ所の貫通穴のうちの一方には、第3連結部86のパイプF3の端部における第1収容部60の容器62に固定された端部と反対側の端部がシールされた状態で固定されている。そのため、容器72は、容器62に気密状態で連結されている。
また、容器72の下壁72Cの2ヶ所の貫通穴のうちの他方には、第4連結部88のパイプF4の端部における蒸発凝縮器50に固定された端部と反対側の端部がシールされた状態で固定されている。そのため、容器72は、蒸発凝縮器50に気密状態で連結されている。
以上のとおり、容器72が蒸発凝縮器50の上側に配置されていることから、容器72は、その中に水Wが収容されている場合に第4連結部88のバルブV4が開くと、蒸発凝縮器50に水Wを落下させるようになっている(図7及び図8参照)。
〔加熱冷却部〕
加熱冷却部74は、容器72内の圧力を調整する機能を有する。具体的には、加熱冷却部74は、容器72に収容されている水Wを加熱して、加熱されて蒸発した水蒸気WVにより容器72内の圧力を高く調整するようになっている。また、加熱冷却部74は、容器72に収容されている水Wを冷却して、容器72内の水蒸気WVを凝縮させて容器72内の圧力を低く調整するようになっている。すなわち、加熱冷却部74は、容器72に収容されている水Wを加熱又は冷却して、容器72内の圧力を調整する機能を有する。
加熱冷却部74は、図1に示されるように、一例としてパイプとされており、その一端部及び他端部が、それぞれ容器72の外壁72Aの2ヶ所の貫通穴にシールされた状態で固定されている。加熱冷却部74は、その上側端部(一端部)の開口74Aから送り込まれる水(冷却水又は加熱水)をその下側端部(他端部)の開口74Bから送り出すようになっている。そして、加熱冷却部74は、バルブV3、V4が閉じた状態で加熱水が流されると、容器72内の水Wを加熱して、容器72内の水Wの一部を蒸発させるようになっている。その結果、容器72内の圧力がより高くなった状態でバルブV4が開くと、容器72の水Wは、水蒸気WVに加圧されて、水Wを重力だけで落下させるよりも高い輸送効率(単位時間当たりに輸送される水W(被輸送対象)の量を意味する。)で蒸発凝縮器50に輸送されるようになっている。また、加熱冷却部74は、バルブV3、V4が閉じた状態で冷却水が流されると、容器72内の水蒸気WVを凝縮させるようになっている。その結果、容器72内の圧力がより低くなった状態でバルブV3が開くと、第1収容部60の容器62内の圧力と容器72内の圧力との差がより大きくなり、容器62の水Wは、第1収容部60の加熱部64だけに加熱水が流される場合よりも高い輸送効率で容器72に輸送されるようになっている。
<制御部>
制御部40は、蓄熱システム10を構成する制御部40以外の構成要素を制御する機能を有する。制御部40についての具体的な説明は、蓄熱システム10の動作の説明の中で行う。
以上が、本実施形態の蓄熱システム10の構成についての説明である。
≪蓄熱システムの動作≫
次に、本実施形態の蓄熱システム10の動作(本実施形態の液体輸送システム30の動作を含む。)について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態の蓄熱システム10の動作は、蓄熱モードと、液体輸送モードと、放熱モードと、を含む。また、蓄熱システム10の動作は、制御部40が制御部40以外の構成要素を制御することで行われる。
<蓄熱システムの初期状態>
また、本実施形態の蓄熱システム10の動作を説明するに当たり、蓄熱システム10を構成する各構成要素の初期状態を以下のとおりとする。
[蓄熱器]
蓄熱材24は、水和可能な最大量の水Wが水和した状態である。そのため、本実施形態の蓄熱材24は、酸化カルシウムが水Wと反応(水和)して、水酸化カルシウムとなっている。また、容器22の温度は5℃、圧力は0.9kPaである。
[蒸発凝縮器、第1収容部、第2収容部及び連結部]
容器52の温度は5℃、圧力は0.9kPaである。容器62の温度は5℃、圧力は0.9kPaである。容器72の温度は5℃、圧力は0.9kPaである。連結部80を構成する第1〜第4連結部82、84、86、88の温度は5℃、圧力は0.9kPaである。
<蓄熱モード>
蓄熱モードは、熱媒体から与えられる熱により水酸化カルシウムを反応(脱水)させて蓄熱するモードである。
まず、制御部40は、図2に示されるように、バルブV1を開けて、バルブV2、V3、V4を閉じる。ここで、各図において、バルブV1のように白抜きで図示されているバルブは開いた状態、バルブV2、V3、V4のように外形線の中が黒塗りで図示されているバルブは閉じた状態を示している。次いで、制御部40は、熱源を通るパイプ(図示省略)から流路部26の開口26Aに一例として200℃の熱媒体を送り込む。その結果、蓄熱器20の蓄熱材24は、流路部26を流通する熱媒体から与えられる熱により水酸化カルシウムを脱水させる(水蒸気WVを生成する)。これに伴い、蓄熱材24は、蓄熱する。そして、容器22で生成された水蒸気WVは、第1連結部82を通って、蒸発凝縮器50の容器52に流れ込む。なお、流路部26の開口26Aに送り込まれた200℃の熱媒体は、蓄熱材24に熱を与えることにより、一例として80℃に冷却されて、流路部26の開口26Bから排出される。
また、制御部40は、蒸発凝縮器50の流路部54に、一例として40℃の水(冷却水)を流す。その結果、容器22から第1連結部82を通って流れ込んだ水蒸気WVは、蒸発凝縮器50で凝縮する(40℃の水Wになる)。
次いで、制御部40は、蒸発凝縮器50の容器52に定められた時間が経過すると、バルブV1を閉じ、バルブV2を開ける。その結果、容器52に凝縮された水Wは、図3に示されるように、第2連結部84のパイプF2を通って第1収容部60の容器62に重力により落下されて容器62に収容される。以上で、蓄熱モードは終了する。
<液体輸送モード>
液体輸送モードは、蒸発凝縮器50で凝縮された水Wを収容部(第1収容部60及び第2収容部70)に収容させて、再度蒸発凝縮器50に戻す(輸送する)モードである。液体輸送モードは、制御部40が、蓄熱システム10を構成する構成要素のうち液体輸送システム30を制御することで行われる。すなわち、液体輸送モードは、本実施形態の液体輸送システム30の動作に相当する。なお、液体輸送モードは、蓄熱モードの終了後に行われる。
まず、制御部40は、図4に示されるように、バルブV2を閉じる。次いで、制御部40は、第1収容部60の流路部64に、一例として加熱水(50℃の水)を流す。その結果、第1収容部60の容器62に収容されている水Wは、流路部64から熱を与えられて50℃まで加熱されつつ、一部が蒸発されて水蒸気WVとなる。また、制御部40は、第2収容部70の加熱冷却部74に、一例として冷却水(5℃の水)を流す。その結果、容器72内の圧力は、初期状態を維持する。そして、バルブV2とバルブV3とで閉じられた容器62を含む系及びバルブV3とバルブV4とで閉じられた容器72を含む系が平衡状態となると、容器62内の圧力は12kPaとなる。すなわち、容器62内の圧力は、第2収容部70の容器72内の圧力(0.9kPaよりも低い圧力)に比べて、高くなる。
次いで、制御部40は、図5に示されるように、バルブV3を開ける。その結果、容器62に収容されている水Wは、容器62で蒸発された水蒸気WVに加圧され、第3連結部86のパイプF3を通って、第2収容部70の容器72に輸送される。そして、図6に示されるように、第1収容部60の容器62の水蒸気WVが水Wを加圧する力と、第2収容部70の容器72に収容されている水Wの自重とが釣り合うと(すなわち、液面の位置が動かなくなると)、制御部40がバルブV3を閉じて、液体輸送モードが終了する。
<放熱モード>
放熱モードは、蒸発凝縮器50で蒸発された水蒸気WVを蓄熱材24に反応(水和)させて放熱するモードである。なお、放熱モードは、液体輸送モードの終了後に行われる。
まず、制御部40は、第2収容部70の加熱冷却部74に、一例として加熱水(40℃の水)を流す。その結果、容器72内の水Wの一部は蒸発して水蒸気WVとなることで、容器72内の圧力は、初期状態(及び液体輸送モードの終了時の圧力)よりも高くなる。次いで、制御部40は、図7に示されるように、バルブV1、V4を開く。その結果、第2収容部70の容器72に収容されている水Wは、容器72内の水蒸気WVに加圧されながら、第4連結部88のパイプF4を通って蒸発凝縮器50の容器52に落下されて容器52内に収容される(図8参照)。そして、制御部40は、容器72が空になったら(容器72の水Wが蒸発凝縮器50の容器52に収容されたら)、バルブV4を閉じる。
次いで、制御部40は、蒸発凝縮器50の流路部54に、一例として70℃の水(加熱水)を流す。その結果、図9に示されるように、容器52の水Wは加熱されて蒸発し、水蒸気WVが生成される。そして、容器52で生成された水蒸気WVは、第1連結部82を通って、蓄熱器20の容器22に流れ込む。さらに、容器22に流れ込んだ水蒸気WVは、蓄熱材24(酸化カルシウム)に水和される。これに伴い、蓄熱材24は、放熱する。また、制御部40が流路部26の開口26Aに一例として80℃の熱媒体を送り込むと、熱媒体は、蓄熱材24が放熱した熱を流路部26を通じて吸収し、一例として200℃に加熱されて、流路部26の開口26Bから排出される。以上で、放熱モードは終了する。なお、放熱モードにより加熱された熱媒体は、パイプ(図示省略)を通って、加熱対象に吸収した熱を輸送する。
以上が、本実施形態の蓄熱システム10の動作についての説明である。なお、本実施形態の蓄熱システム10の動作の説明は、前述した蓄熱システム10の初期状態を前提として行った。しかしながら、異なる初期状態(例えば、蓄熱材24が完全に脱水した状態とし、かつ、蒸発凝縮器50の容器52に水Wが収容されている状態)の場合、制御部40は、本実施形態の蓄熱システム10の動作を蓄熱モードの途中又は放熱モードの途中から開始するようにしてもよい。
≪作用≫
次に、本実施形態の作用(第1〜第3の作用)について、以下に説明する各比較形態と比較しつつ図面を参照して説明する。なお、各比較形態において本実施形態で用いた部品等を用いる場合又は本実施形態の動作の各モードを行う場合、その部品、モード等の符号、名称等をそのまま用いて説明する。
<第1の作用>
まず、本実施形態の第1の作用について説明する。第1の作用は、液体輸送システム30が流路部64を備えており、かつ、第2収容部70が蒸発凝縮器50の上側に配置されていることの作用である。なお、第1の作用については、本実施形態を以下の第1比較形態と比較して説明する。
第1比較形態の液体輸送システム30Aは、図10に示されるように、本実施形態の液体輸送システム30との関係において、流路部64と、第2収容部70と、第4連結部88と、を備えていない。そして、第1比較形態の液体輸送システム30Aは、第1収容部60と蒸発凝縮器50とは、第3連結部86により連結されている。また、第1比較形態の液体輸送システム30Aは、第3連結部86のパイプF3に第1収容部60から蒸発凝縮器50に水Wを送液するポンプPが備えられている。第1比較形態の液体輸送システム30Aは、上記の点以外、本実施形態の液体輸送システム30と同様の構成とされている。また、第1比較形態の蓄熱システム10Aは、本実施形態の液体輸送システム30に換えて、第1比較形態の液体輸送システム30Aを備えている点以外、本実施形態の蓄熱システム10と同様の構成とされている。
また、第1比較形態の蓄熱システム10Aの動作では、本実施形態の蓄熱システム10の動作と異なり、液体輸送モード及び放熱モードにおいて、第1収容部60の容器62に収容されている水Wを容器62から蒸発凝縮器50の容器52にポンプPを用いて輸送する。第1比較形態の蓄熱システム10Aの動作は、上記の点以外、本実施形態の蓄熱システム10の動作と同様とされている。
第1比較形態の場合、第1収容部60の容器62に収容されている水Wは、ポンプPにより容器62から蒸発凝縮器50の容器52に輸送される。このように、ポンプPを用いて飽和状態の水Wを輸送すると、ポンプPの駆動による水Wの局所的な低圧部分でキャビテーションが生じる虞がある。そして、第1比較形態の液体輸送システム30Aは、キャビテーションが生じた場合、泡を含んだ状態の水Wを輸送することとなることから、水Wの輸送効率が低下する。
これに対して、本実施形態の液体輸送システム30は、図1に示されるように、流路部64を備えている。また、本実施形態の液体輸送システム30では、第2収容部70が蒸発凝縮器50の上側に配置されている。そして、本実施形態の場合、第1収容部60の容器62に収容されている水Wは、図5及び図6に示されるように、容器62で流路部64により蒸発された水蒸気WVに加圧され、第3連結部86のパイプF3を通って、第2収容部70の容器72に輸送される。次いで、容器72に輸送された水Wは、図7及び図8に示されるように、第4連結部88のパイプF4を通って、蒸発凝縮器50の容器52に落下されて容器52に収容される。以上のとおり、本実施形態の液体輸送システム30によれば、第1比較形態の場合のように、ポンプPを用いることなく水Wを輸送することができる。
したがって、本実施形態の液体輸送システム30によれば、蒸発凝縮器から落下されて容器に収容される水WをポンプPにより容器から蒸発凝縮器に輸送する場合に比べて、キャビテーションが生じ難い。これに伴い、本実施形態の液体輸送システム30によれば、キャビテーションが生じ難いことに伴い水Wの輸送効率の低下が抑制される。また、本実施形態の蓄熱システム10によれば、水Wの輸送効率の低下に伴い蓄熱器20の熱効率(蓄熱効率)の低下が抑制される。ここで、蓄熱器20の蓄熱効率とは、放熱モードにおいて、蒸発凝縮器50から単位時間当たりに送り込まれる水蒸気WVの量に起因する蓄熱材24と水蒸気WVとの反応(水和)効率をいう。
<第2の作用>
次に、本実施形態の第2の作用について説明する。第2の作用は、第2収容部70に加熱冷却部74が備えられていることの作用である。なお、第2の作用については、本実施形態を以下の第2比較形態と比較して説明する。
第2比較形態の液体輸送システム30Bは、図11に示されるように、本実施形態の液体輸送システム30との関係において、第2収容部70に加熱冷却部74を備えていない。第2比較形態の液体輸送システム30Bは、上記の点以外、本実施形態の液体輸送システム30と同様の構成とされている。また、第2比較形態の蓄熱システム10Bは、本実施形態の液体輸送システム30に換えて、第1比較形態の液体輸送システム30Bを備えている点以外、本実施形態の蓄熱システム10と同様の構成とされている。そのため、第2比較形態の蓄熱システム10Bの動作では、本実施形態の液体輸送モード及び放熱モードは、第2収容部70の容器72の圧力が調整されることなく行われる。なお、第2比較形態は、便宜上、本実施形態の第2の作用を説明するための比較対象とした形態ではあるものの、前述の第1の作用を奏する構成を有している。すなわち、第2比較形態は、本発明の技術的範囲に含まれることはいうまでもない。
前述のとおり、第2比較形態の液体輸送システム30Bは、第2収容部70に加熱冷却部74が備えられていない。そのため、第2比較形態の液体輸送システム30Bは、液体輸送モード及び放熱モードにおいて、第2収容部70の容器72内の圧力を調整することができない。
これに対して、本実施形態の液体輸送システム30は、図1に示されるように、第2収容部70に加熱冷却部74が備えられている。本実施形態の場合、液体輸送モードにおいて、加熱冷却部74に冷却水を流すことで、第2収容部70の容器72を減圧する(又は昇圧し難くする)ことができる。そのため、本実施形態の液体輸送システム30は、第2比較形態の液体輸送システム30Bよりも第1収容部60の容器62内の圧力と第2収容部70の容器72内の圧力との差を大きくさせて、第1収容部60の容器62内の水Wを容器72内に輸送させることができる。また、本実施形態の場合、蓄熱モードにおいて、加熱冷却部74に加熱水を流すことで水Wの一部を蒸発させて、第2収容部70の容器72内の圧力をより高くすることができる。そのため、本実施形態の液体輸送システム30は、第2比較形態の液体輸送システム30Bと異なり、容器72の水Wを加圧しながら蒸発凝縮器50の容器52に落下させることができる。以上のとおり、本実施形態の液体輸送システム30は、加熱冷却部74を容器72内の水Wを加熱又は冷却して、第2収容部70の容器72の圧力を調整することができる。
したがって、本実施形態の液体輸送システム30は、液体輸送モード又は放熱モードにおいて水Wの輸送効率を調整することができる。具体的には、本実施形態の液体輸送システム30は、液体輸送モードにおいて加熱冷却部74を冷却させることで、第1収容部60から第2収容部70への水Wの輸送効率を高くすることができる。また、本実施形態の液体輸送システム30は、蓄熱モードにおいて加熱冷却部74を加熱させることで、第2収容部70から蒸発凝縮器50への水Wの輸送効率を高くすることができる。さらに、本実施形態の蓄熱システム10は、液体輸送モード及び放熱モードのうち何れか一方又は両方において水Wの輸送効率を高くすることができることに伴い、蓄熱器20の蓄熱効率を高くすることができる。
<第3の作用>
次に、本実施形態の第3の作用について説明する。第3の作用は、液体輸送モードにおいて第1収容部60の容器62内の水Wを第2収容部70の容器72内に収容させる場合、水Wを加圧して輸送することの作用である。なお、第3の作用については、本実施形態を以下の第3比較形態と比較して説明する。
第3比較形態の液体輸送システム(図示省略)は、本実施形態の液体輸送システム30と異なり、液体輸送モードにおいて第1収容部60の容器62の水Wを第2収容部70の容器72に収容させる場合、水Wを蒸発させて水蒸気WVの状態で輸送する。そのため、第3比較形態の液体輸送システム(図示省略)は、本実施形態の液体輸送システム30と異なり、第3連結部86のパイプF3の両端部が第1収容部60の容器62の上壁62Bと第2収容部70の容器72の上壁72Bとで連結されている。第3比較形態の液体輸送システムは、上記の点以外、本実施形態の液体輸送システム30と同様の構成とされている。また、第3比較形態の蓄熱システム(図示省略)は、本実施形態の液体輸送システム30に換えて、第3比較形態の液体輸送システムを備えている点以外、本実施形態の蓄熱システム10と同様の構成とされている。
また、第3比較形態の蓄熱システムの動作では、本実施形態の蓄熱システム10の動作と異なり、液体輸送モードにおいて、第1収容部60の容器62に収容されている水Wを容器62から第2収容部70の容器72に水蒸気WVの状態で輸送する。第3比較形態の蓄熱システムの動作は、上記の点以外、本実施形態の蓄熱システム10の動作と同様とされている。
第3比較形態の場合、液体輸送モードにおいて、水Wを第1収容部60の容器62から第2収容部70の容器72に輸送する場合、水蒸気WVの状態で輸送する。そのため、第3比較形態の場合、第1収容部60の容器62に収容されている水Wのうち第2収容部70に輸送する量の水Wを加熱して蒸発させる必要がある。
これに対して、本実施形態の場合、液体輸送モードにおいて第1収容部60の容器62の水Wを第2収容部70の容器72に輸送する場合、第2収容部70に輸送する量の水Wを水蒸気WVで加圧する。そのため、本実施形態の場合、第3比較形態の場合に比べて、加熱して蒸発させる水Wの量が少なくてよい。
したがって、本実施形態の液体輸送システム30によれば、第1収容部60の容器62に収容されている水Wを容器62から蒸発凝縮器50の容器52に水蒸気WVの状態で輸送する場合に比べて、輸送に必要なエネルギーが低い。
以上のとおり、本発明について前述の特定の実施形態を用いて説明した。しかしながら、本発明は、前述した特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内において他の実施形態を含むものであることはいうまでもない。
例えば、本実施形態の蓄熱材24は、一例として酸化カルシウム(CaO)の成形体であるとして説明した。しかしながら、蓄熱器20において蓄熱材としての機能(放熱及び蓄熱する機能)を有すれば、酸化カルシウム以外の化学蓄熱材であってもよい。例えば、蓄熱材24は、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物若しくは水酸化物又はこれらの複合物その他の化学蓄熱材であってもよい。
また、本実施形態の蓄熱材24は、一例として酸化カルシウム(CaO)の成形体、すなわち、水W(熱媒)が化学反応する化学蓄熱材であるとして説明した。しかしながら、蓄熱器20において蓄熱材としての機能(放熱及び蓄熱する機能)を有すれば、水W(熱媒)が物理吸着する蓄熱材(物理吸着材)であってもよい。例えば、蓄熱材24は、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、粘土鉱物その他の物理吸着材であってもよい。
また、本実施形態の蓄熱材24に反応する熱媒は、水であるとして説明した。しかしながら、蓄熱材(化学蓄熱材及び物理吸着材)に反応して蓄熱材としての機能を有する熱媒であれば、熱媒は水でなくてもよい。例えば、熱媒は、アンモニア、二酸化炭素その他の熱媒であってもよい。なお、本実施形態では、熱媒は水とされているが、水Wはアンモニアに比べて飽和蒸気圧が低い。そのため、水はアンモニアに比べて蒸発しやすい点で、本実施形態の液体輸送システム30、30B、本実施形態の蓄熱システム10、10Bに適している。
また、本実施形態では、蓄熱器20の流路部26を流通する熱媒体は、一例としてオイル(液体)であるとして説明した。しかしながら、流路部26を流通する熱媒体が、熱媒体としての機能(熱を加熱対象に輸送する機能及び熱源から得た熱を蓄熱材に与える機能)を有すれば、熱媒体はオイル以外の液体、例えば、水、アルコールその他の液体であってもよい。また、熱媒体が上記の熱媒体としての機能を有すれば、熱媒体は、酸素、窒素、空気その他の気体であってもよい。また、熱媒体が上記の熱媒体としての機能を有すれば、熱媒体は、ゾル、ゲル、エマルジョン、スラリーその他の連続体(粘弾性体)であってもよい。
また、本実施形態の第1収容部60の流路部64には水が流されるとして説明した。しかしながら、流路部64が第1収容部60の容器62に収容されている水Wを蒸発させるための熱を水Wに供給するものであれば、流路部64を異なる加熱方式の加熱部に換えてもよい。例えば、異なる加熱方式の加熱部は、蒸発凝縮器50の流路部54のように流通するオイルを用いた方式、ジュール熱を用いた方式の加熱部その他の加熱部であってもよい。なお、本実施形態の第2収容部70の加熱冷却部74の場合も、蒸発凝縮器50の流路部54のように流通するオイルを用いた方式、ジュール熱を用いた方式の加熱冷却部その他の加熱冷却部であってもよい。
また、本実施形態の第3連結部86のパイプF3の両端部は、第1収容部60の容器62の下壁62Cの貫通穴と第2収容部70の容器72の下壁72Cの貫通穴にシールされた状態で固定されているとして説明した。しかしながら、パイプF3の両端部が固定される部位は、液体輸送モードにおいて水Wを水蒸気WVで加圧して輸送することができれば、下壁62Cと下壁72Cの部位でなくてもよい。具体的には、各容器(容器62、72)の周壁62A、72Aであって、収容される水Wの液面よりも下側の部分であればよい。
また、本実施形態の第2収容部70は、蒸発凝縮器50の上側に配置されているとして説明した。しかしながら、第2収容部70の下壁72Cの外側の面(下面)の位置が蒸発凝縮器50の上壁52Bの外側の面(上面)の位置よりも上側でなくてもよい。具体的には、蒸発凝縮器50で凝縮して収容される水Wの液面の位置よりも、第2収容部70の下壁72Cの内側の面(上面)が上側であればよい。
また、本実施形態の蓄熱システム10の動作の説明において、液体輸送モードは、蓄熱モードの終了後に行われるとして説明した。しかしながら、蓄熱モードと液体輸送モードとを並行して行うようにしてもよい。具体的には、制御部40は、蓄熱モードにおいて、蒸発凝縮器50の容器52に定められた量の水Wが凝縮した後、第2連結部84のバルブV2を開いて第1収容部60に水Wを落下させて、制御部40は、図12に示されるように、バルブV2を閉じて、蓄熱器20、蒸発凝縮器50及び第1連結部82に蓄熱モードを行わせながら、第1収容部60、第2収容部70及び第3連結部86に液体輸送モードを行わせてもよい。すなわち、蓄熱システム10を上記のように動作させることで、本実施形態の蓄熱システム10、10Bは、蓄熱モードと液体輸送モードとを並行して行うことが可能となる。
また、本実施形態の蓄熱システム10は、第2収容部70の容器72の圧力を調整する調整部の一例が加熱冷却部74であるとして説明した。しかしながら、容器72の圧力を調整することができれば、調整部は、加熱冷却部74と異なる調整方式の調整部であってもよい。例えば、加熱冷却部74に換えて、本実施形態の閉じた系の外部の容器(図示省略)との間で水蒸気WVの量を調整するように構成してもよい。
また、本実施形態の蓄熱システム10、10Bは、蒸発凝縮器50が1つであるとして説明した(図1及び図11参照)。しかしながら、図13に示される蓄熱システム10Cのように、本実施形態の蒸発凝縮器50と同等の構成の装置を2つ備えた形態とし、一方の装置を蓄熱器20及び第1収容部60と連結させ、他方の装置を第2収容部70及び蓄熱器20と連結させて、上記一方の装置を凝縮器、上記他方の装置を蒸発器として、2つの装置に、蒸発凝縮器の機能を分離させた形態としてもよい。この場合、図13に示される2つの装置50を合わせた装置は、蒸発凝縮器及び減圧容器の一例である。
また、本実施形態の蓄熱システム10、10B、10Cは、熱媒体を介して熱を加熱対象に輸送し、熱源から移動させた熱を蓄熱材で蓄熱するとして説明したが、蓄熱システム10、10B、10Cの構成をヒートポンプに適用することもできる。そして、蓄熱システム10、10B、10Cの構成を備えたヒートポンプは、前述の第1比較形態の蓄熱システム10Aの構成を備えたヒートポンプに比べて、本実施形態の液体輸送システム30による水Wの輸送効率の低下が抑制されることに伴い熱効率(放熱効率及び吸熱効率)が高い。
また、本発明の技術的範囲に含まれるシステム(蓄熱システム又はヒートポンプ)は、複数の蓄熱システム10と、各蓄熱器20への熱媒体の流通を切り替える切替手段と、を備えたシステム(蓄熱システム又はヒートポンプ)とであってもよい。この場合、上記システムにおいて、熱媒体の流路部を切替手段により切り替えながら動作させることで、蓄熱モード(又は放熱モード)を連続的に行うことができる。なお、蓄熱システム10B、10Cの場合も、それぞれ複数とし、切替手段により熱媒体の流路部を切り替えながら動作させてもよい。
10 蓄熱システム、ヒートポンプ
10B 蓄熱システム、ヒートポンプ
10C 蓄熱システム、ヒートポンプ
20 蓄熱器
24 蓄熱材
30 液体輸送システム
30B 液体輸送システム
30C 液体輸送システム
50 蒸発凝縮器(減圧容器の一例)
62 容器(第1容器の一例)
64 流路部(加熱部の一例)
72 容器(第2容器の一例)
74 加熱冷却部(調整部の一例)
W 水(液体の一例)
WV 水蒸気(気体の一例)

Claims (5)

  1. 内部が減圧された減圧容器の下側に配置され、前記減圧容器に気密状態で連結され、前記減圧容器から落下された液体を収容する第1容器と、
    前記減圧容器の上側に配置され、前記第1容器及び前記減圧容器に気密状態で連結され、前記第1容器から輸送される液体を収容し、前記減圧容器に液体を落下させる第2容器と、
    前記第1容器に収容されている液体を加熱し、加熱されて蒸発した気体により前記液体を加圧して前記第2容器に輸送させる加熱部と、
    を備えた液体輸送システム。
  2. 前記第2容器内の圧力を調整する調整部、
    を備えた請求項1記載の液体輸送システム。
  3. 前記調整部は、前記第2容器に収容されている液体を加熱又は冷却して、前記圧力を調整する、
    請求項2記載の液体輸送システム。
  4. 液体を蒸発させ、気体を凝縮させる前記減圧容器としての蒸発凝縮器と、
    請求項1〜3の何れか1項に記載の液体輸送システムと、
    前記蒸発凝縮器に気密状態で連結され、内部に蓄熱材を有し、前記蒸発凝縮器で蒸発させた気体を前記蓄熱材に反応させて発熱し、気体と反応した前記蓄熱材から前記蒸発凝縮器で凝縮される気体を生成させて蓄熱する蓄熱器と、
    を備えた蓄熱システム。
  5. 液体を蒸発させ、気体を凝縮させる前記減圧容器としての蒸発凝縮器と、
    請求項1〜3の何れか1項に記載の液体輸送システムと、
    前記蒸発凝縮器に気密状態で連結され、内部に蓄熱材を有し、前記蒸発凝縮器で蒸発させた気体を前記蓄熱材に反応させて発熱し、気体と反応した前記蓄熱材から前記蒸発凝縮器で凝縮される気体を生成させて蓄熱する蓄熱器と、
    を備えたヒートポンプ。
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