JP2016204195A - 耐硫酸セメント硬化体及びその製造方法 - Google Patents

耐硫酸セメント硬化体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐塩害性、耐酸性の特性を有する密実な硬化体を短時間に製造できる、高炉スラグ粉末を主体とした耐硫酸セメント硬化体を提供すること。【解決手段】粗骨材11を含む内部コンクリート15と、内部コンクリート15の表層に、硫酸と反応すると二水石膏製のバリア層17に変質するモルタル成分のみで形成した反応保護層16とによる多層構造とした。【選択図】図2

Description

本発明は高炉スラグを主体とした耐硫酸セメント硬化体に関する。
一般に、ポルトランドセメント硬化体に比較して、高炉スラグ微粉末、高炉スラグ細骨材を用いた含有した高炉セメント硬化体は、1)単位水量の低減、2)水和発熱速度の低減、3)長期強度の増加、4)化学抵抗性の向上、5)耐海水性の向上、6)塩素イオン拡散係数の低減、7)アルカリ骨材反応の抑制、8)水密性の向上、9)エフロレッセンスの減少、10)重金属溶出の抑制、11)ワーカビリティー、分離抵抗性の向上、12)省資源、省エネルギー、13)天然資源の温存、14)安定品質、15)COの削減等の多くの有用性がある。
特に、細骨材として高炉スラグ細骨材を使用した高炉セメント、或いは高炉スラグ粉末系コンクリートでは、普通コンクリートと比べて耐硫酸性に優れるとされている(特許文献1、特許文献2参照)。
特開昭61−281057号公報 特開2010−1208号公報
高炉スラグを主体とした従来のセメント硬化体にはつぎのような課題がある。
<1>セメント硬化体はその躯体全体に高炉スラグ細骨材や粗骨材等が均一に分布している。
実験の結果、粗骨材がセメント硬化体の表層近くに存在すると、硫酸に触れたときに生成される二水石膏膜がその粗骨材を中心としてポップアウト現象を生じて剥落することが確認された。
このように高炉スラグ微粉末や高炉スラグ細骨材を使用しても、粗骨材の被りペーストが薄いと二水石膏膜が剥落するために、耐酸性の特性を長期的に保証することができない。
<2>上記したポップアウト現象により二水石膏膜の一部が剥落すると、内部コンクリートの露出面が再び硫酸に晒されて、二水石膏の生成と、二水石膏の剥落とを繰り返して浸食が進行するため、セメント硬化体がやせ細って耐久性も低下する。
<3>実際にコンクリートが使用される厳しい環境条件下では、通常の高炉セメントに対して更なる耐酸性の向上が要求され、その場合高炉スラグ粉末の割合を70質量%以上にする必要がある。
しかし、高炉スラグ粉末の割合を70質量%以上にすると、混和するポルトランドセメントの割合が低くなるために強度発現性が悪くなる。
<4>通常のポルトランドセメントの製造時に発生する二酸化炭素は、セメント1トン当たり焼成燃料から350kg/トン、原料の石灰石の脱炭酸から450kg/トン、合計約750kg/トンにもおよぶ。
二酸化炭素は地球温暖化の要因とみなされ、国内だけでなく世界規模で二酸化炭素の低減が強く求められている。
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところはセメント硬化体の表面の優れた耐酸性の特性を長期間に亘って保証できるとともに、セメント硬化体の表面の亀裂や剥落を確実に防止することができる、高炉スラグ粉末を主体とした耐硫酸セメント硬化体を提供することにある。
セメント硬化体の耐酸の性能を向上させるためには、高炉スラグ粉末の割合を70質量%以上にする必要があるが、混和するポルトランドセメントの割合が低くなるため強度発現が悪くなる。
さらにセメント硬化体の表層近くに粗骨材が存在すると、硫酸に触れたときに生成される二水石膏の保護膜が剥落して所望する耐酸性能を長期間に亘って持続することができない。
保護膜の一部が剥落すると硫酸によるセメント硬化体の浸食が進行するとセメント硬化体の強度が低下する。
この問題の解決のために、本発明者は、粗骨材を含む内部コンクリートの表層に、硫酸と反応すると二水石膏製のバリア層に変質するモルタル成分のみで形成した反応保護層を一体で成形して二層構造とするか、又は反応保護層を硫酸処理して該反応保護層の表層に二水石膏のバリア層を形成して三層構造とした、耐硫酸性のセメント硬化体を見出したものである。
本発明は少なくとも次のひとつの効果を奏する。
<1>粗骨材を含む内部コンクリートの表層にモルタル成分のみの反応保護層を形成したことで、反応保護層の表層に均一且つ高品質の二水石膏製のバリア層を形成できるので、セメント硬化体の表面の優れた耐酸性の特性と、セメント硬化体の強度を長期間に亘って保証することができる。
<2>反応保護層の表層に予めバリア層を形成する場合には、良好な製造環境の下で二水石膏を生成できるので、バリア層を均一厚で、かつ均質に形成することができる。
<3>本発明で使用するセメント系結合材である大量の高炉スラグ粉末は、鉄鋼生産時の廃棄物を有効活用するものであるから、セメント系結合材の製造時に二酸化炭素の排出が著しく少なくなる。
従って、従来と比べて二酸化炭素の排出量を大幅に削減できて、地球環境の保護にも大きく貢献できる。
硫酸反応前における本発明に係るセメント硬化体の表層近くの拡大断面図 硫酸反応後における本発明に係るセメント硬化体の表層近くの拡大断面図 複数の供試体の浸食試験の説明図
以下に図面を参照しながら本発明について説明する。
<1>耐硫酸セメント硬化体の概要
耐硫酸セメント硬化体(以下「セメント硬化体」という)10は、高炉スラグ粉末を主体とし、これに石灰・石膏複合物、ポルトランド系セメントを含むセメント系結合材、及び粗骨材11等を加水して混練したコンクリートからなり、粗骨材11を含む内部コンクリート15の表層に粗骨材11を含まないモルタル成分のみの反応保護層16を形成した二層構造(図1参照)、又は反応保護層16の表層にバリア層17を形成した三層構造(図2参照)を呈する。
以降にセメント硬化体10の組成の一例について説明する。
<2>セメント硬化体の組成
セメント硬化体10は、高炉スラグ粉末が70〜93質量%、石灰・石膏複合物が2〜20質量%、ポルトランド系セメントが5〜28質量%からなるセメント系結合材を含み、40〜65℃にて蒸気養生したものである。
<2.1>高炉スラグ粉末
耐酸性を得るためにはセメント系結合材(A)に対して高炉スラグ粉末(B)の比率(B/A)が70質量%以上(70〜93質量%)にする必要がある。
高炉スラグ粉末とセメントの比率が70質量%未満であると、良好な耐酸性が得られず、又、93質量%を超えるとセメント硬化体10の生産性が悪化する。
生産性と経済性の観点から、高炉スラグ粉末とセメントの比率は70〜93質量%の範囲が好適である。
本発明で用いる高炉スラグ粉末は、粉末度がブレーン比表面積で3000〜10000cm/gのものを使用でき、JIS A 6206に規定されているコンクリート用高炉スラグ微粉末でも良い。
<2.2>ポルトランド系セメント
混和するポルトランド系セメントは通常の普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等を含む。
ポルトランド系セメントは5〜28質量%が好適である。
ポルトランド系セメントは5質量%以下では強度発現が悪くなり、28質量%以上では耐酸性の効果が低減する。
<2.3>石灰・石膏複合物
混和する石灰・石膏複合物は、遊離石灰、無水石膏を相当量含有し、化学成分として1〜15質量%の酸化アルミニウム(Al2O)を含む。
高温焼成品、あるいは、一部混合品でも良い。
粉末度はブレーン比表面積で2000〜5000cm/gのものが良い。
コンクリート用膨張材にはこの組成を満足するものもあり、使用可能である。
遊離石灰、無水石膏は水和時に高炉スラグ粉末に刺激を与え、反応性を良好にしてスラグの水和を促進させ、密実な組織を作り、セメント硬化体10の強度を増進させる。
酸化アルミニウム成分を含む石灰アルミナ系鉱物は初期強度発現に寄与する。
酸化アルミニウム成分が1質量%以下では効果がほとんど無く、酸化アルミニウム成分が15質量%以上になると硬化が早すぎて成形作業が困難となる。
石灰・石膏複合物は2〜20質量%か好適である。
石灰・石膏複合物が2質量%以下では強度及び密実性の向上、塩化物イオンの浸入防止に効果が無く、20質量%以上では膨張過多によりコンクリート硬化体の物性に大きな悪影響を及ぼす。
<2.4>細骨材
本発明では、細骨材として高炉スラグ細骨材を用いる。
<2.5>粗骨材
粗骨材としては、20mm〜5mmの天然石、砕石等を使用できる。
<2.6>水とセメント系結合材の比率
水とセメント系結合材の比率は、セメント系結合材に対し、水は30質量%以内で、かつ20質量%以上である。
30質量%を超えると良好な耐酸性が得られず、20質量%より小さいとセメント硬化体10の生産性が悪化する。
<3>内部コンクリート
内部コンクリート15は既述したすべての組成を含むコンクリートである。
<4>反応保護層
内部コンクリート15の表層に一体に形成した反応保護層16は、既述した組成のうち粗骨材11を除いたすべてを含むモルタル成分で構成する。
<4.1>反応保護層をモルタル成分のみで形成する理由
反応保護層16の表面が硫酸と触れたときに生成される二水石膏膜の剥落要因であるポップアウト現象の発生を抑止するためである。
<4.2>反応保護層の形成方法
反応保護層16は硬化済みの内部コンクリート15の表面にモルタルを被覆して形成するのではなく、内部コンクリート15と反応保護層16は共に未硬化状態において多層構造に形成するものである。
反応保護層16は、例えばつぎの方法で形成することが可能である。
尚、反応保護層16の形成方法は以下の方法に限定されるものではない。
a)遠心成形法
所定の形状に成形した粗骨材11等を含むセメント硬化体10を回転させ、遠心力を利用してセメント硬化体10を分離し、硫酸との接触予定面となる向心側に粗骨材11を含まないモルタルを主体とした反応保護層16を形成する。
セメント硬化体10の外側(遠心側)へも反応保護層16を形成する場合は、外型枠の内周面に粗骨材11を含まないモルタルを必要な層厚さだけ打設して締固めを行い、先行して反応保護層16を形成した後に、未硬化状態の反応保護層16の内方へ粗骨材11を含むモルタルを打設して締固めを行うことで一体に成形することが出来る。
b)二度打ち法
粗骨材11等を含む内部コンクリート15の成形品を成形した後に、内部コンクリート15が未硬化状態のときに硫酸との接触予定面の全面に粗骨材11を含まないモルタルを主体とした反応保護層16を打ち増しする。
c)スクリーン分離法
粗骨材11の透過を阻止し、モルタルの透過を許容する性質のスクリーンを予め付設した型枠内に粗骨材11等を含むセメント硬化体10を打設し、外部から振動を加えて硫酸との接触予定面の全面に粗骨材11を含まないモルタルを主体とした反応保護層16を形成する。
又、スクリーンを直接セメント硬化体10に埋設して反応保護層16を分離して形成してもよい。
要は、セメント硬化体10の大半を粗骨材11等を含む内部コンクリート15で構成し、内部コンクリート15の硫酸との接触予定面を被覆するように、粗骨材11を含まないモルタルを主体とした反応保護層16で被覆した多層構造に形成できればよい。
<4.3>反応保護層の層厚
内部コンクリート15への浸食を防止するため、反応保護層16の層厚はバリア層17の層厚以上の関係にある。
セメント硬化体10の表面に硫酸が接触したときにバリア層17のポップアウト現象を抑止するためには、反応保護層16は3mm以上の厚さがあればよく、10mm以上の厚さを確保できると耐硫酸性からはさらに好ましいが、構造上モルタル層が厚くなることは好ましくないので、実用的には3mm以上10mm未満であると、硫酸が内部コンクリート15へ浸透するまでに長時間を要し、セメント硬化体10の耐硫酸作用およびバリア層17の剥落防止作用を長期間に亘って保証できる適値である。
<5>バリア層
バリア層17は硫酸等が内部コンクリート15へ浸透するのを阻止する難透質性の硬質絶縁層である。
<5.1>反応保護層の表層にバリア層を形成した理由
バリア層17をモルタル成分のみの反応保護層16の表層に形成したのは、バリア層17を硫酸の浸入防止効果の高い緻密組織に形成するためと、反応保護層16とバリア層17の間を強固に一体化した連続組織とするためである。
粗骨材11の存在しない反応保護層16のカルシウム成分と硫酸を反応させることで、緻密な組織の二水石膏を生成することが可能となる。
二水石膏が緻密な組織として生成されることから、バリア層17自体の強度が増すうえに、硫酸等の浸入防止効果も高くなり、さらにバリア層17の下層にできるその生成物がより一層緻密で硬質になるため、反応保護層16とバリア層17の間の連結強度がより強固なものになる。
<5.2>バリア層の形成方法
バリア層17は反応保護層16中のカルシウム成分(水酸化カルシウム)が硫酸と触れることで析出される緻密組織の二水石膏で構成される。
SO+Ca(OH)→CaSO・2H
バリア層17は、例えばつぎの方法で形成することができる。
a)事前形成
セメント硬化体10の成形品を工場で製造する際に、硬化した、又は未硬化状態の反応保護層16に硫酸処理を行ってバリア層17を一体に形成する。
セメント硬化体10の製作時にバリア層17を形成する方法は、良好な製造環境の下で二水石膏を生成できるので、バリア層17を均一厚で、かつ均質に形成することができる。
殊に、セメント硬化体10の成形品が下水道等の管渠である場合は、設置現場の状況に耐え得る緻密で高強度のバリア層17を予め形成できるので、現場における硫酸の影響を考えなくてもよくなる。
<5.3>バリア層の層厚
バリア層17の層厚は使途や硫酸濃度等により適宜選択するものとする。
モルタル供試体を5%硫酸溶液に浸漬する実験によると、28日で5mm弱、56日で7mm弱の二水石膏層が作られている。
<6>養生
セメント硬化体10を所望の形状に成形した後に養生する。
養生手段としては、例えば蒸気養生を用いることができる。
セメント硬化体10製造時の初期材齢(18時間まで)の具体的な蒸気養生温度は40〜65℃に保たれなければならない。
常温養生では強度発現性が悪く、又、65℃以上の蒸気養生ではセメント組成物の水和物が安定せず、完成したセメント硬化体10の物性に悪影響が出るだけでなく、養生後の脱型枠時にひび割れが発生しやすい。
尚、養生方法は蒸気養生に限定されるものではなく、セメント硬化体10の使途、形状、躯体厚等に応じて適宜公知の養生方法を適用することができる。
<7>セメント硬化体の耐硫酸作用
図2を参照しながらセメント硬化体10の耐硫酸作用について説明する。
既述したように、本発明のセメント硬化体10は、その内部コンクリート15の表層に所定の層厚の反応保護層16を形成すると共に、反応保護層16の表層に所定の厚さのバリア層17を形成した多層構造となっている。
従って、セメント硬化体10の表面が硫酸に晒されてもバリア層17が硫酸の浸入を抑制して、硫酸による内部コンクリート15の浸食を効果的に防止することができる。
仮にバリア層17に硫酸が浸入したとしても、バリア層17の深層側の反応保護層16が反応して新たな二水石膏を生成してバリア層17が増厚されるために継続して硫酸の浸入を抑制できる。
バリア層17は反応保護層16の全断面に亘って形成可能であるから、硫酸の濃度等から適宜反応保護層16の厚さを設定することで、硫酸が内部コンクリート15へ浸透するまでには長時間を要し、普通コンクリートに比べて耐酸性が飛躍的に向上する。
<8>バリア層の剥落防止作用
セメント硬化体10は内部コンクリート15、反応保護層16、バリア層17の積層構造体であり、バリア層17は内部コンクリート15から離隔している。
従って、セメント硬化体10の表面に硫酸が接触しても、セメント硬化体10の表面を覆う二水石膏製のバリア層17がポップアウト現象によって亀裂を生じたり、剥落したりすることがない。
くわえて、内部コンクリート15の表層にバリア層17を直接形成した場合と比較して、バリア層17自体が硬質となることと、隣り合う各層間が連続組織となって連結が強固なものとなることにより、セメント硬化体10の表面に流水や漂流物等が外力として作用した場合でも、バリア層17だけでなく反応保護層16に対して高い剥落防止効果が得られる。
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
<1>使用材料
使用材料は次の材料を用いた。(数字は密度)
Figure 2016204195
<2>供試体
上記材料を使用し、表1に示した各種コンクリート配合によりセメント硬化体10の供試体を製造した(実施例1〜2、比較例1)。
Figure 2016204195
<3>供試体の試験結果
各供試体の圧縮強度の試験結果を表2に示す。
Figure 2016204195
<4>耐硫酸試験
実施例1〜2と比較例のコンクリート配合により得られた供試体を日本下水道事業団「下水道コンクリート構造物の腐食抑制技術及び防食技術マニュアル」に準じ、供試体脱型後14日水中養生した後、5%硫酸液に浸せきし質量変化を測定した。その試験結果を表3に示す。
Figure 2016204195
本発明の実施例1及び2の供試体は、二水石膏の析出生成により質量が増加しているが、硫酸で溶解してはいない。
これに対し、比較の供試体は表面から硫酸に溶解し大きく質量が減少していることが確認された。
<5>浸食量の試験
実施例1〜2と比較例のコンクリート配合で図3に示す形態の供試体を3種類製作し、5%硫酸液に浸せきして浸食による供試体の径の変化を測定した。その試験結果を表4に示す。
Figure 2016204195
実施例1および2の供試体の浸漬後未浸食部外径は、比較例の浸漬後未浸食部外径と比較し、大きな外径寸法を示していることから、硫酸に浸食された部位が少ないことが確認された。
浸漬期間28日および56日を比較した場合に、実施例1および2の供試体の浸漬後未浸食部外径は大きく変化していないが、比較例の浸漬後未浸食部外径差は大きくなっている。これは、比較例が実施例1および2に比べて浸食速度が速いこと、つまり浸食され易いことを示している。
具体的には、実施例1の浸漬後未浸食部外径の差は平均2.3mm、実施例2では、平均2.2mmに対して比較例は6.3mmと約2.8倍の差があった。
これに対し実施例1および2の供試体では、高炉スラグ粉末、及び高炉スラグ細骨材の配合が硫酸に対して高い抵抗性を有することが確認された。
浸食速度の違いは、緻密な二水石膏が生成され、内部への硫酸の進入を抑制し浸食に対するバリア効果の有無によるものである。
また、二水石膏層の厚さは、浸漬後外径から浸漬後未浸食部外径を差し引いて求めることが出来るが、浸漬期間56日で実施例1と比較例の二水石膏層の厚さを比べると、実施例1は平均で6.35mm、比較例は平均で4.3mmであり、約1.5倍の差があった。
浸漬期間28日および56日を比較した場合に、実施例1および2の供試体の浸漬後外径は大きくなっているが、比較例の浸漬後外径は小さくなっていることが確認された。これは、生成されるバリア層(二水石膏層)が剥がれ、その厚みを増さない結果である。
本発明は高炉スラグを主体とした耐硫酸セメント硬化体及びその製造方法に関する。
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところはセメント硬化体の表面の優れた耐酸性の特性を長期間に亘って保証できるとともに、セメント硬化体の表面の亀裂や剥落を確実に防止することができる、高炉スラグ粉末を主体とした耐硫酸セメント硬化体及びその製造方法を提供することにある。
セメント硬化体の耐酸の性能を向上させるためには、高炉スラグ粉末の割合を70質量%以上にする必要があるが、混和するポルトランドセメントの割合が低くなるため強度発現が悪くなる。
さらにセメント硬化体の表層近くに粗骨材が存在すると、硫酸に触れたときに生成される二水石膏の保護膜が剥落して所望する耐酸性能を長期間に亘って持続することができない。
保護膜の一部が剥落すると硫酸によるセメント硬化体の浸食が進行するとセメント硬化体の強度が低下する。
この問題の解決のために、本発明者は、粗骨材を含む内部コンクリートの表層に、硫酸と反応すると二水石膏製のバリア層に変質するモルタル成分のみで形成した反応保護層を一体で成形して二層構造とするか、又は反応保護層を硫酸処理して該反応保護層の表層に二水石膏のバリア層を形成して三層構造とした、耐硫酸性のセメント硬化体及びその製造方法を見出したものである。

Claims (5)

  1. 高炉スラグを主体としたセメント系結合材で成形したセメント硬化体であって、
    粗骨材を含む内部コンクリートと、
    前記内部コンクリートの表層に3〜10mm未満の層厚でモルタル成分のみで形成した反応保護層とによる二層構造とし、
    前記反応保護層は表層面が硫酸と接して、反応保護層中のカルシウムが反応すると二水石膏製のバリア層に変質し、
    前記セメント系結合材(A)が高炉スラグ粉末(B)と石灰・石膏複合物(C)とセメントとを含み、
    前記高炉スラグ粉末(B)とセメント系結合材(A)との比率(B/A)が70〜93質量%であり、
    前記石灰・石膏複合物(C)が遊離石灰、無水石膏を含むとともに、化学成分で1〜15質量%の酸化アルミニウムを含み、石灰・石膏複合物(C)とセメント系結合材(A)との比率(C/A)が2〜20質量%であり、
    水(W)とセメント系結合材(A)との比率(W/A)が20〜30%であり、
    細骨材のすべてを高炉スラグ細骨材としたことを特徴とする、
    耐硫酸セメント硬化体。
  2. 前記反応保護層を硫酸処理して該反応保護層の表層に二水石膏製のバリア層を形成して三層構造としたことを特徴とする、請求項1に記載の耐硫酸セメント硬化体。
  3. 前記セメント硬化体を5%硫酸水溶液に28日浸せきした後の質量変化率が±10%以内であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の耐硫酸セメント硬化体。
  4. 前記反応保護層の表層に硫酸処理を施して予め反応保護層と二水石膏製のバリア層を一体に形成したことを特徴とする、請求項2又は3に記載の耐硫酸セメント硬化体。
  5. 前記反応保護層と内部コンクリートとを一体で成形したことを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載の耐硫酸セメント硬化体。
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