JP2016202773A - パッケージ型自動消火設備 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば特許文献1には、火や煙等を感知する複数のセンサと、センサからの火災検知情報を受信する受信機とを備え、センサと受信機との通信手段に多重伝送方式を採用した自火報システムが開示されている。
パッケージ型自動消火設備に多重伝送方式を採用した場合、受信機から各選択弁に繋がる複数のケーブルを一本化できるが、そのためには各選択弁の近傍に中継器を設置する必要がある。区画数の多い建築物に設置する場合には、P型で必要となる多数のケーブルのコストや、ケーブルの取り回しにかかる多大な手間を省略できるので、多重伝送化のメリットは大きい。しかし区画数が少ない建築物に設置する場合は、複雑化する伝送装置によるコスト増と中継器そのもの及びその施工にかかるコストが発生するため、コスト削減効果を得にくい。また、選択弁や中継器の設置作業は、狭い天井裏で行われるのが通常であるため、選択弁と中継器の接続に手間が掛かるだけでなく、誤配線の懸念があった。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載のパッケージ型自動消火設備において、前記選択弁は、電気で駆動する電動弁であり、前記駆動部箱は、下面に開口が形成され、前記開口は、矩形薄板状の第1支持板で閉塞され、前記弁本体と前記第1支持板とは駆動部側接続部で接続され、前記弁本体は、一端部に弁体を有する弁棒を備え、前記弁棒の他端部を前記駆動部側接続部から前記駆動部箱内に突出させ、前記駆動部は、前記弁棒を動作させるモーター部と、複数の歯車が前記弁棒の前記他端部と前記モーター部の駆動軸とに噛み合わされたギア部と、前記モーター部を制御する回路を備えた制御基板とを備え、前記第1支持板から所定間隔あけた上方に矩形薄板状の第2支持板を設け、前記モーター部を、前記第2支持板上に取り付け、前記モーター部の前記駆動軸と前記ギア部とを、前記第1支持板と前記第2支持板との間に配置し、前記制御基板と前記中継基板とを、前記第2支持板から所定間隔あけた上方に配置したことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のパッケージ型自動消火設備において、前記火災感知部と前記選択弁とを接続する電源線に導通部を設け、前記導通部は、前記火災感知部が作動したときに前記電源線を導通することを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパッケージ型自動消火設備において、前記火災感知部は、温度を検出する温度検知器であることを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパッケージ型自動消火設備において、前記火災感知部は、一酸化炭素濃度を検出する一酸化炭素検知器であることを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパッケージ型自動消火設備において、前記火災感知部は、一酸化炭素濃度、煙濃度、及び温度を検出する複合検知器であり、前記複合検知器が検出した前記一酸化炭素濃度、前記煙濃度、又は前記温度と閾値とを比較して火災発生の判定を行う判定部と、前記複合検知器からの検出信号のノイズを除去するノイズ除去部と、火災が発生していない状態における前記検出信号の大きさと時刻を記憶するノイズ記憶部とを備え、前記ノイズ除去部は、前記ノイズ記憶部に記憶された前記検出信号の前記大きさと前記時刻に基づいて前記ノイズを判断し、前記判定部は、前記ノイズ除去部で前記ノイズが除去された前記検出信号に基づいて前記判定を行うことを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のパッケージ型自動消火設備において、自己診断部を備え、前記自己診断部は、診断対象を少なくとも前記火災感知部とし、健全性を確認するための確認信号を定期的に前記火災感知部に送信することを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項7に記載のパッケージ型自動消火設備において、前記自己診断部は、診断用電子計算機を備え、前記診断用電子計算機は、前記診断対象とした電気回路から所定の電圧の信号を受信するか否かを定期的に判定することを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のパッケージ型自動消火設備において、前記多重伝送方式として、Wi−Fiを用いたことを特徴とする。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態によるパッケージ型自動消火設備において、選択弁は、電気で駆動する電動弁であり、駆動部箱は、下面に開口が形成され、開口は、矩形薄板状の第1支持板で閉塞され、弁本体と第1支持板とは駆動部側接続部で接続され、弁本体は、一端部に弁体を有する弁棒を備え、弁棒の他端部を駆動部側接続部から駆動部箱内に突出させ、駆動部は、弁棒を動作させるモーター部と、複数の歯車が弁棒の他端部とモーター部の駆動軸とに噛み合わされたギア部と、モーター部を制御する回路を備えた制御基板とを備え、第1支持板から所定間隔あけた上方に矩形薄板状の第2支持板を設け、モーター部を、第2支持板上に取り付け、モーター部の駆動軸とギア部とを、第1支持板と第2支持板との間に配置し、制御基板と中継基板とを、第2支持板から所定間隔あけた上方に配置したものである。本実施の形態によれば、従来の選択弁のサイズを変更することなく、駆動部箱内に中継基板を収めることができる。
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるパッケージ型自動消火設備において、火災感知部と選択弁とを接続する電源線に導通部を設け、導通部は、火災感知部が作動したときに電源線を導通するものである。本実施の形態によれば、ノイズによって選択弁が誤って開放されることを防止できる。
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3のいずれか1つの実施の形態によるパッケージ型自動消火設備において、火災感知部は、温度を検出する温度検知器とするものである。本実施の形態によれば、有炎火災を早期検知することができる。
本発明の第5の実施の形態は、第1から第3のいずれか1つの実施の形態によるパッケージ型自動消火設備において、火災感知部は、一酸化炭素濃度を検出する一酸化炭素検知器とするものである。本実施の形態によれば、燻焼火災を早期検知することができる。
本発明の第6の実施の形態は、第1から第3のいずれか1つの実施の形態によるパッケージ型自動消火設備において、火災感知部は、一酸化炭素濃度、煙濃度、及び温度を検出する複合検知器であり、複合検知器が検出した一酸化炭素濃度、煙濃度、又は温度と閾値とを比較して火災発生の判定を行う判定部と、複合検知器からの検出信号のノイズを除去するノイズ除去部と、火災が発生していない状態における検出信号の大きさと時刻を記憶するノイズ記憶部とを備え、ノイズ除去部は、ノイズ記憶部に記憶された検出信号の大きさと時刻に基づいてノイズを判断し、判定部は、ノイズ除去部でノイズが除去された検出信号に基づいて判定を行うものである。本実施の形態によれば、誤検知を低減するとともに、火災の種類(有炎火災、燻焼火災など)を特定しやすくなる。
本発明の第7の実施の形態は、第1から第6のいずれか1つの実施の形態によるパッケージ型自動消火設備において、自己診断部を備え、自己診断部は、診断対象を少なくとも火災感知部とし、健全性を確認するための確認信号を定期的に火災感知部に送信するものである。本実施の形態によれば、定期点検とは別に簡易的に点検を行うことができ、装置の健全性を保つことができる。
本発明の第8の実施の形態は、第7の実施の形態によるパッケージ型自動消火設備において、自己診断部は、診断用電子計算機を備え、診断用電子計算機は、診断対象とした電気回路から所定の電圧の信号を受信するか否かを定期的に判定するものである。本実施の形態によれば、定期点検とは別に簡易的に点検を行うことができ、装置の健全性を保つことができる。
本発明の第9の実施の形態は、第1から第8のいずれか1つの実施の形態によるパッケージ型自動消火設備において、多重伝送方式として、Wi−Fiを用いたものである。本実施の形態によれば、この場合は、各機器間の配線が不要となるので、狭いスペースであっても設置できる。
図1は本発明の一実施例によるパッケージ型自動消火設備の系統図、図2は同消火設備の一部系統図、図3は同消火設備の選択弁の概略構造を示す図、図4は同消火設備の導通部の説明図、図5は同消火設備の自己診断部の説明図である。
また、1台の受信機(伝送親機)10に複数の系統が接続されている。伝送親機10には、各機器の作動状態等が表示される表示盤11と、本体起動盤12が接続されている。
それぞれの系統には、メイン選択弁起動盤13及びメイン選択弁14が設置されている。また、監視区画αごとに火災感知部20と個別選択弁30が設置されている。個別選択弁30は消火剤配管に設けられ、常時は閉であり、火災発生時に開となる。
火災感知部20は、警戒区画αの火災発生を検知して火災信号を送信する。
伝送親機10は、火災感知部20からの火災信号を受信する。伝送親機10は、火災感知部20から閾値を超える信号を受信すると、メイン選択弁起動盤13を起動させメイン選択弁14を開放するとともに、中継基板31を作動させ個別選択弁30を開放し、閾値を超える信号を送信した火災感知部20が受け持つ警戒区画αへの消火剤配管経路を連通する。伝送親機10は、同時に本体起動盤12を通じて消火剤貯蔵容器から消火剤を放出させる。消火剤貯蔵容器から放出された消火剤は、消火剤配管経路を通じて消火剤放出口から出火した警戒区画αに放射される。
なお、火災感知部20に一酸化炭素濃度を検出する一酸化炭素検知器を用いてもよい。この場合には、天井付近の温度があまり高くならないことがある燻焼火災を早期検知することができる。
中継基板31は、火災感知部20からの火災信号を受信し、伝送親機10に火災信号を送信する。また、伝送親機10から送信される個別選択弁30を開放するための開放信号を受信し、個別選択弁30の制御部に開放信号を送信する。このように中継基板31は、警戒区画αに配置された機器と伝送親機10との間で送受信される信号を中継する。
なお、多重伝送方式として、Wi−Fi等の無線LANを用いてもよい。この場合は、火災感知部20と伝送親機10間の配線が不要となるので、狭いスペースであっても設置できる。
なお、各芯線は色分けを行うとともに、圧着等で接続することで誤配線を防止している。
個別選択弁30は、弁本体32と、弁本体32を動作させる駆動部33と、駆動部33を囲繞する駆動部箱60(図3の点線部分)で構成される。個別選択弁30は、電気で駆動する電動弁である。
駆動部箱60の下面は、駆動部33に覆い被せることができるように、開口が形成されている。
弁本体32は、一端部に弁体32Bを有する弁棒32Aを備える。弁棒32Aの他端部は駆動部側接続部32cから駆動部箱60内に突出させている。また、消火剤配管と接続する配管側接続端32a、32bを有する。
駆動部33は、棒状の手動軸36と、複数の歯車が弁棒32Aの他端部とモーター部37の駆動軸37Aとに噛み合わされたギア部35と、弁棒32Aを動作させるモーター部37と、リミットスイッチ38と、モーター部37及びリミットスイッチ38を制御する回路を備えた制御基板39とを備える。
駆動部33は、矩形薄板状の第1支持板34Aを備える。第1支持板34Aの下面は、弁本体32の駆動部側接続部32cと外接する。すなわち、駆動部箱60の開口は、第1支持板34Aで閉塞され、弁本体32と第1支持板34Aとは駆動部側接続部32cで接続される。
駆動部33は、矩形薄板状の第2支持板34Bを備える。第2支持板34Bは第1支持板34Aから所定間隔あけた上方に設ける。第1支持板34Aと第2支持板34Bとは、複数のピン36Aで連結されている。
手動軸36は、第1支持板34Aに下端が支持され、第2支持板34Bを貫通して起立している。手動軸36の上端には、手動操作のためのハンドルを設けることができる。
モーター部37の駆動軸37Aとギア部35とは、第1支持板34Aと第2支持板34Bとの間に配置される。ギア部35を介して駆動部33の力が弁本体32に伝達される。
第2支持板34B上には、モーター部37及びリミットスイッチ38が取り付けられる。
制御基板39は、第2支持板34Bから所定間隔あけた上方に配置される。
中継基板31は、制御基板39から所定間隔あけた上方に配置する。中継基板31は、制御基板39と略同形の矩形薄板状である。第2支持板34Bと、制御基板39と、中継基板31とは、複数のピン36Bで連結されている。
図3(b)に示すように、第2支持板にはモータ―部37と手動軸36が対角線上に位置し、もう一方の対角線上に中継基板31とリミットスイッチ38が位置する。
また、中継基板31には、入力ケーブル15A及び出力ケーブル15Bが接続されている。入力ケーブル15Aには、伝送親機10からのCOM信号線と電源線、及び火災感知部20からのCOM信号線と検出信号線の計五本の芯線が収容されている。出力ケーブル15Bには、COM信号線と電源線の二本の芯線が収容されている。
このように、駆動部箱60内に中継基板31を収めることができるので、従来の選択弁のサイズを変更する必要がない。
また、中継基板31を個別選択弁30に組み込むことによって、個別選択弁30と中継器を別々に設けた場合よりもケーブル本数を減らすことができる。したがって、ケーブルの設置工事にかかる費用や工期を圧縮できる。また、個別選択弁31と中継器との誤配線を防止することができる。
なお、本実施例では、制御基板39の上方に中継基板31を配置したが、これとは逆に、制御基板39を中継基板31から所定間隔あけた上方に配置してもよい。
また、個別選択弁30には電磁弁を用いることもできる。
火災感知部20(定温式感知器21、差動式感知器22)からの検出信号は、中継基板31の電子計算機31Aを介して個別選択弁30に送信される。
火災感知部20と個別選択弁30とを接続する電源線41には、導通部42を設けている。導通部42は、リレー42A及びリレー42Bで構成される。導通部42は、平常時(非火災時)は導通しないが、定温式感知器21及び差動式感知器22が作動(発報)したときに電源線41を導通する。
したがって、電子計算機31Aが環境ノイズ等で火災と誤認識し、個別選択弁30に開放を指示する開信号を送信したとしても、定温式感知器21及び差動式感知器22の二つの感知器が作動しない限り個別選択弁30には電気が供給されないため、選択弁が開動作を行うことはない。すなわち、ノイズによって個別選択弁30が誤って開放されることを防止できる。
一方、図11は従来の個別選択弁の構成を示した概略図である。
火災感知部200(定温式感知器201、差動式感知器202)からの検出信号は、中継器の電子計算機400を介して個別選択弁300に送信される。
電源線401には導通部42に相当するものが設けられていないため、個別選択弁300には常に電源に繋がった状態である。そのため、火災感知部200が作動していない(火災が発生していない)にも関わらず、電子計算機400が環境ノイズ等で火災と誤認識し、個別選択弁300に開信号を送信した場合には、個別選択弁300が開放されてしまうこととなる。
中継基板31の電子計算機31Aと個別選択弁30との間に診断用電子計算機51を設ける。診断用電子計算機51は、定期的に(例えば24時間に一度)、装置の回路の健全性を自動で診断するよう設定されている。診断時には、個別選択弁30に電気が流れないようにしたうえで、電子計算機31Aから所定の電圧の信号が診断用電子計算機51に流れるかどうかを確認することによって回路の健全性を診断できる。本体起動盤12やメイン選択弁起動盤13などについても同様に自己診断を行うことができる。
パッケージ型自動消火設備は、半年に一回の点検が義務付けられている。点検の都度、備えられた火災感知器に熱を与えて動作確認をおこなうが、作業に手間を要する。さらに、次の点検までに故障が発生した場合には故障に気付かず火災発生時に性能を発揮できないおそれがある。そこで、本実施例のように自己診断機能を備えることで、定期点検とは別に簡易的に点検を行うことができ、装置の健全性を保つことができる。
本実施例によるパッケージ型自動消火設備は、上記した実施例と基本構成は同じであるが、火災感知部20は、一酸化炭素濃度、煙濃度、及び温度を検出する複合検知器である。複合検知器を用いた場合には、誤検知を低減するとともに、火災の種類(有炎火災、燻焼火災など)を特定しやすくなる。
閾値設定部72では、一酸化炭素濃度、煙濃度、及び温度についてそれぞれ複数の閾値が設定される。
起動部71は、閾値設定部72で設定された複数の閾値のうちの起動用閾値と火災感知部20が検出した一酸化炭素濃度とを比較して、煙濃度検出部24、温度検出部25、及び判定部70を起動させるか否かを判断する。
判定部70は、閾値設定部72で設定された複数の閾値のうちの判定用閾値と、火災感知部20が検出した一酸化炭素濃度、煙濃度、又は温度とを比較して火災発生の判定を行う。
判定記憶部75は、判定部70の判定結果を記憶する。
ノイズ除去部73は、火災感知部20による検出信号からノイズを除去する。
自己診断部50は、火災感知部20、閾値設定部72、起動部71、判定部70、判定記憶部75、又はノイズ除去部73に対し、健全性を確認するための確認信号を送信する。例えば、定期点検時に、点検者が診断開始ボタンを押すことで自動的に各部に確認信号を送信し、正常な応答信号が得られるか否かによって各部の健全性が確認できる。
火災感知部20は、起動部71及び判定部70と有線又は無線で接続しており、一酸化炭素濃度検出部23、煙濃度検出部24、及び温度検出部25での検出結果は起動部71及び判定部70に送信される。
本実施例においては、複数の閾値として、一酸化炭素濃度には、第1閾値と、第1閾値よりも低い第2閾値と、第2閾値よりも低い起動用閾値が設定され、煙濃度には第3閾値と、第3閾値よりも低い第4閾値が設定され、温度には第5閾値と、第5閾値よりも低い第6閾値が設定される。第1閾値から第6閾値が、判定用閾値である。
閾値設定部72は、起動部71及び判定部70と有線又は無線で接続しており、起動用閾値は起動部71に送信され、判定用閾値(第1閾値から第6閾値)は判定部70に送信される。
起動部71は、判定部70と有線又は無線で接続しており、比較の結果、一酸化炭素濃度が起動用閾値を超えた状態が所定時間継続したと判断したときは、火災感知部20及び判定部70に起動信号を送信する。
火災感知部20の煙濃度検出部24及び温度検出部25は、起動部71からの起動信号を受信すると起動して検出を開始する。このように煙濃度検出部24及び温度検出部25は一酸化炭素濃度が所定値に達するまでは動作しないようにすることで、待機電力を抑えることができる。
判定部70は、閾値設定部72で設定された複数の閾値のうちの判定用閾値と、火災感知部20が検出した一酸化炭素濃度、煙濃度、又は温度とを比較して、以下のいずれかの結果を得た場合には火災が発生したと判定する。
1)一酸化炭素濃度が第1閾値を超えた状態が所定時間継続したとき。
2)煙濃度が第3閾値を超えた状態が所定時間継続したとき。
3)温度が第5閾値を超えた状態が所定時間継続したとき。
4)一酸化炭素濃度が第2閾値を超えた状態が所定時間継続し、かつ、煙濃度が第4閾値を超えた状態が所定時間継続し、かつ、温度が第6閾値を超えた状態が所定時間継続したとき。
なお、「所定時間継続」とは、一酸化炭素濃度、煙濃度、又は温度が、閾値を継続して超えたと判断された場合の他、所定時間の間に複数回閾値を超え、その閾値を超えた回数が予め定めた基準回数を上回ったと判断された場合を含む。
図7に示すように、閾値を低く設定するほど火災検知時間を短くすることができるが、閾値を低く設定すると誤検知の可能性が高まる。そこで本実施例のように、一酸化炭素濃度の判定用閾値として第1閾値と、第1閾値よりも低い第2閾値を設け、第2閾値は煙濃度と温度の情報を組み合わせて火災判断を行うことで、一酸化炭素濃度の判定用閾値を低く設定した場合の誤検知増加を防止することができる。したがって、一酸化炭素濃度の判定用閾値を低く設定することができ、熱があまり高くならず一酸化炭素濃度が高まる燻焼火災のような火災であっても早期に検知することができる。
判定記憶部75に記憶されたデータは、閾値設定部72に送信される。
閾値設定部72は受信したデータをもとに閾値を変更する。
このように判定結果を記憶し、判定結果に応じて閾値を変更する学習機能を持たせることで、火災検知の精度を向上することができる。
ノイズ除去部73は、判定記憶部75からのデータを記憶するノイズ記憶部74を備える。
ノイズ除去部73は、ノイズ記憶部74に記憶されたデータに基づいてノイズを判断し、火災感知部20から起動部71及び判定部70に送信される検出信号からノイズを除去する。
すなわち、ある時間帯において一酸化炭素濃度が起動用閾値を超えた状態が所定時間継続したため判定部70が起動して火災発生の判定を開始したが、判定の結果が非火災(火災が発生していない)だった場合は、ノイズ除去部73は当該時間帯における背景ノイズが大きいと判断し、当該時間帯における一酸化炭素濃度検出部23から起動部71への検出信号からその背景ノイズの大きさの分を除去する。このことによって起動部71の誤判定を低減し、判定部70が不要に起動することを防止できる。
また、ある時間帯において判定部70が起動して判定を開始し、第2閾値を超えた状態が所定時間継続したが、煙濃度と第4閾値との比較及び温度と第6閾値との比較によって判定部70が非火災と判定した場合も、ノイズ除去部73は当該時間帯における背景ノイズが大きいと判断し、当該時間帯における火災感知部20から判定部70への検出信号からその背景ノイズの大きさの分を除去する。このことによって判定部70の誤判定を低減し、火災の誤検知を防止できる。
このように、本実施例の火災検知装置は背景ノイズを学習し、起動部71及び判定部70は、ノイズ除去部73でノイズが除去された後の正しい検出信号に基づいて起動用閾値又は判定用閾値との比較を行うので、誤検知を低減して火災検知の精度を向上させることができる。
一酸化炭素濃度が起動用閾値を超えた状態が所定時間継続したと起動部71において判断されると、判定部70が起動し判定を開始する(ステップ1)。
ステップ1で起動した判定部70は、一酸化炭素濃度が第2閾値を超えた状態が所定時間継続したか否かを判断する(ステップ2)。
ステップ2において一酸化炭素濃度が第2閾値を超えた状態が所定時間継続していないと判断した場合は、煙濃度が第3閾値を超えた状態が所定時間継続したか否かを判断する(ステップ3)。
ステップ3において煙濃度が第3閾値を超えた状態が所定時間継続したと判断された場合は、火災が発生したと判定する(ステップ4)。
ステップ3において煙濃度が第3閾値を超えた状態が所定時間継続していないと判断された場合は、温度が第5閾値を超えた状態が所定時間継続したか否かを判断する(ステップ5)。
ステップ5において温度が第5閾値を超えた状態が所定時間継続したと判断された場合は、火災が発生したと判定する(ステップ6)。
ステップ5において温度が第5閾値を超えた状態が所定時間継続していないと判断された場合は、火災が発生していないと判定する(ステップ7)。
ステップ2において一酸化炭素濃度が第2閾値を超えた状態が所定時間継続したと判断された場合は、一酸化炭素濃度が第1閾値を超えた状態が所定時間継続したか否かを判断する(ステップ8)。
ステップ8において一酸化炭素濃度が第1閾値を超えた状態が所定時間継続したと判断された場合は、火災が発生したと判定する(ステップ9)。
ステップ8において一酸化炭素濃度が第1閾値を超えた状態が所定時間継続していないと判断された場合は、煙濃度が第4閾値を超えた状態が所定時間継続し、かつ、温度が第6閾値を超えた状態が所定時間継続したか否かを判断する(ステップ10)。
ステップ10において煙濃度が第4閾値を超えた状態が所定時間継続し、かつ、温度が第6閾値を超えた状態が所定時間継続したと判断された場合は、火災が発生したと判定する(ステップ11)。
ステップ10において煙濃度が第4閾値を超えた状態が所定時間継続していないと判断されるか、又は、温度が第6閾値を超えた状態が所定時間継続していないと判断された場合は、ステップ3となる。
本実施例によるパッケージ型自動消火設備は、上記した他の実施例と基本構成は同じであるが、判定用閾値をさらに多く備える点が異なる。
本実施例においては、複数の閾値として、一酸化炭素濃度には、第1閾値と、第1閾値よりも低い第2閾値と、第2閾値よりも低い起動用閾値と、第1閾値よりも低く第2閾値よりも高い第7閾値と、第7閾値よりも低く第2閾値よりも高い第8閾値が設定され、煙濃度には第3閾値と、第3閾値よりも低い第4閾値と、第3閾値よりも低く第4閾値よりも高い第9閾値が設定され、温度には第5閾値と、第5閾値よりも低い第6閾値と、第5閾値よりも低く第6閾値よりも高い第10閾値が設定されている。第1閾値から第10閾値は、判定用閾値である。
閾値設定部72は、起動部71及び判定部70と有線又は無線で接続しており、起動用閾値は起動部71に送信され、判定用閾値(第1閾値から第10閾値)は判定部70に送信される。
判定部70は、以下のいずれかの結果を得た場合には火災が発生したと判定する。
1)一酸化炭素濃度が第1閾値を超えた状態が所定時間継続したとき。
2)煙濃度が第3閾値を超えた状態が所定時間継続したとき。
3)温度が第5閾値を超えた状態が所定時間継続したとき。
4)一酸化炭素濃度が第2閾値を超えた状態が所定時間継続し、かつ、煙濃度が第4閾値を超えた状態が所定時間継続し、かつ、温度が第6閾値を超えた状態が所定時間継続したとき。
5)一酸化炭素濃度が第7閾値を超えた状態が所定時間継続し、かつ、煙濃度が第9閾値を超えた状態が所定時間継続したとき。
6)一酸化炭素濃度が第8閾値を超えた状態が所定時間継続し、かつ、温度が第10閾値を超えた状態が所定時間継続したとき。
図9に示すように、閾値を低く設定するほど火災検知時間を短くすることができるが、閾値を低く設定すると誤検知の可能性が高まる。そこで本実施例のように、一酸化炭素濃度の判定用閾値として第1閾値と、第1閾値よりも低い第2閾値を設け、第2閾値は煙濃度と温度の情報を組み合わせて火災判断を行うことで、一酸化炭素濃度の判定用閾値を低く設定した場合の誤検知増加を防止することができる。したがって、一酸化炭素濃度の判定用閾値を低く設定することができ、熱があまり高くならず一酸化炭素濃度が高まる燻焼火災のような火災であっても早期に検知することができる。また、閾値の数と判定の組み合わせを増やすことによって、より誤検知を低減しつつ火災を早期検知することができる。
一酸化炭素濃度が起動用閾値を超えた状態が所定時間継続したと起動部71において判断されると、判定部70が起動し判定を開始する(ステップ101)。
ステップ1で起動した判定部70は、一酸化炭素濃度が第2閾値を超えた状態が所定時間継続したか否かを判断する(ステップ102)。
ステップ102において一酸化炭素濃度が第2閾値を超えた状態が所定時間継続していないと判断した場合は、煙濃度が第3閾値を超えた状態が所定時間継続したか否かを判断する(ステップ103)。
ステップ103において煙濃度が第3閾値を超えた状態が所定時間継続したと判断された場合は、火災が発生したと判定する(ステップ104)。
ステップ103において煙濃度が第3閾値を超えた状態が所定時間継続していないと判断された場合は、温度が第5閾値を超えた状態が所定時間継続したか否かを判断する(ステップ105)。
ステップ105において温度が第5閾値を超えた状態が所定時間継続したと判断された場合は、火災が発生したと判定する(ステップ106)。
ステップ105において温度が第5閾値を超えた状態が所定時間継続していないと判断された場合は、火災が発生していないと判定する(ステップ107)。
ステップ102において一酸化炭素濃度が第2閾値を超えた状態が所定時間継続したと判断された場合は、一酸化炭素濃度が第8閾値を超えた状態が所定時間継続したか否かを判断する(ステップ108)。
ステップ108において一酸化炭素濃度が第8閾値を超えた状態が所定時間継続していないと判断された場合は、煙濃度が第4閾値を超えた状態が所定時間継続し、かつ、温度が第6閾値を超えた状態が所定時間継続したか否かを判断する(ステップ109)。
ステップ109において煙濃度が第4閾値を超えた状態が所定時間継続し、かつ、温度が第6閾値を超えた状態が所定時間継続したと判断された場合は、火災が発生したと判定する(ステップ110)。
ステップ109において煙濃度が第4閾値を超えた状態が所定時間継続していないと判断されるか、又は、温度が第6閾値を超えた状態が所定時間継続していないと判断された場合は、ステップ103となる。
ステップ108において一酸化炭素濃度が第8閾値を超えた状態が所定時間継続したと判断された場合は、一酸化炭素濃度が第7閾値を超えた状態が所定時間継続したか否かを判断する(ステップ111)。
ステップ111において一酸化炭素濃度が第7閾値を超えた状態が所定時間継続していないと判断された場合は、温度が第10閾値を超えた状態が所定時間継続したか否かを判断する(ステップ112)。
ステップ112において温度が第10閾値を超えた状態が所定時間継続したと判断された場合は、火災が発生したと判定する(ステップ113)。
ステップ112において温度が第10閾値を超えた状態が所定時間継続していないと判断された場合は、ステップ103となる。
ステップ111において一酸化炭素濃度が第7閾値を超えた状態が所定時間継続したと判断された場合は、一酸化炭素濃度が第1閾値を超えた状態が所定時間継続したか否かを判断する(ステップ114)。
ステップ114において一酸化炭素濃度が第1閾値を超えた状態が所定時間継続したと判断された場合は、火災が発生したと判定する(ステップ115)。
ステップ114において一酸化炭素濃度が第1閾値を超えた状態が所定時間継続していないと判断された場合は、煙濃度が第9閾値を超えた状態が所定時間継続したか否かを判断する(ステップ116)。
ステップ116において煙濃度が第9閾値を超えた状態が所定時間継続したと判断された場合は、火災が発生したと判定する(ステップ117)。
ステップ116において煙濃度が第9閾値を超えた状態が所定時間継続していないと判断された場合は、ステップ103となる。
10 受信部(伝送親機)
20 火災感知部
30 選択弁
31 中継基板
32 弁本体
32A 弁棒
33 駆動部
34A 第1支持板
34B 第2支持板
35 ギア部
37 モーター部
37A 駆動軸
39 制御基板
40 電源線
42 導通部
50 自己診断部
51 診断用電子計算機
60 駆動部箱
70 判定部
73 ノイズ除去部
74 ノイズ記憶部
Claims (9)
- 警戒区画の火災発生を検知して火災信号を送信する火災感知部と、
前記火災信号を受信する受信部と、
消火剤が充填された消火剤貯蔵容器と、
前記消火剤を前記警戒区画に放出する消火剤放出口と、
前記消火剤貯蔵容器と前記消火剤放出口とを接続する消火剤配管と、
前記消火剤配管に設けられて火災発生時に開となる選択弁と、
を備えたパッケージ型自動消火設備であって、
前記火災感知部と前記受信部とは多重伝送手段で接続され、
前記選択弁は、弁本体と、前記弁本体を動作させる駆動部と、前記駆動部を囲繞する駆動部箱とで構成され、
前記火災感知部と前記受信部との間で送受信される信号を中継する中継基板を、前記駆動部箱内に備えたことを特徴とするパッケージ型自動消火設備。 - 前記選択弁は、電気で駆動する電動弁であり、
前記駆動部箱は、下面に開口が形成され、
前記開口は、矩形薄板状の第1支持板で閉塞され、
前記弁本体と前記第1支持板とは駆動部側接続部で接続され、
前記弁本体は、一端部に弁体を有する弁棒を備え、
前記弁棒の他端部を前記駆動部側接続部から前記駆動部箱内に突出させ、
前記駆動部は、
前記弁棒を動作させるモーター部と、
複数の歯車が前記弁棒の前記他端部と前記モーター部の駆動軸とに噛み合わされたギア部と、
前記モーター部を制御する回路を備えた制御基板と、
を備え、
前記第1支持板から所定間隔あけた上方に矩形薄板状の第2支持板を設け、
前記モーター部を、前記第2支持板上に取り付け、
前記モーター部の前記駆動軸と前記ギア部とを、前記第1支持板と前記第2支持板との間に配置し、
前記制御基板と前記中継基板とを、前記第2支持板から所定間隔あけた上方に配置したことを特徴とする請求項1に記載のパッケージ型自動消火設備。 - 前記火災感知部と前記選択弁とを接続する電源線に導通部を設け、
前記導通部は、前記火災感知部が作動したときに前記電源線を導通することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパッケージ型自動消火設備。 - 前記火災感知部は、温度を検出する温度検知器であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパッケージ型自動消火設備。
- 前記火災感知部は、一酸化炭素濃度を検出する一酸化炭素検知器であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパッケージ型自動消火設備。
- 前記火災感知部は、一酸化炭素濃度、煙濃度、及び温度を検出する複合検知器であり、
前記複合検知器が検出した前記一酸化炭素濃度、前記煙濃度、又は前記温度と閾値とを比較して火災発生の判定を行う判定部と、
前記複合検知器からの検出信号のノイズを除去するノイズ除去部と、
火災が発生していない状態における前記検出信号の大きさと時刻を記憶するノイズ記憶部とを備え、
前記ノイズ除去部は、前記ノイズ記憶部に記憶された前記検出信号の前記大きさと前記時刻に基づいて前記ノイズを判断し、
前記判定部は、前記ノイズ除去部で前記ノイズが除去された前記検出信号に基づいて前記判定を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパッケージ型自動消火設備。 - 自己診断部を備え、
前記自己診断部は、診断対象を少なくとも前記火災感知部とし、健全性を確認するための確認信号を定期的に前記火災感知部に送信することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のパッケージ型自動消火設備。 - 前記自己診断部は、診断用電子計算機を備え、
前記診断用電子計算機は、前記診断対象とした電気回路から所定の電圧の信号を受信するか否かを定期的に判定することを特徴とする請求項7に記載のパッケージ型自動消火設備。 - 前記多重伝送方式として、Wi−Fiを用いたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のパッケージ型自動消火設備。
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