JP2016199464A - 既成灰の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】既成灰のコンクリート混和材としての適用性を評価する。【解決手段】既成灰を混和材とするモルタルのフロー値比を求め、この既成灰のコンクリート混和材としての適用性をフロー値比に基づいて評価するようにした。【選択図】図12

Description

本発明は、既成灰の評価方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、既成灰のコンクリート混和材としての適用性の評価方法、さらには該評価方法を利用して得られるコンクリートに関する。
本明細書において、「既成灰」とは、埋立処分場に埋立処分された石炭灰のことである。
また、本明細書において、「フロー値比」とは基準モルタル(セメント単味モルタル)のフロー値に対する試験モルタル(既成灰混和モルタル)のフロー値の比(百分率)である。
さらに、本明細書において、「活性度指数」とは、基準モルタル(セメント単味モルタル)の圧縮強度に対する試験モルタル(既成灰混和モルタル)の圧縮強度の比(百分率)である。
石炭火力発電所から排出される石炭灰(フライアッシュ)の一部は、埋立処分場に埋め立てられて処分されている。近年、埋立処分量が許容上限に近づきつつある埋立処分場が発生しつつある。石炭火力発電所の安定的な運用を図る上では、その対策が急務であると考えられる。
上記対策の一つとして、埋立処分場に埋立処分された石炭灰(既成灰)を掘り起こして有効利用することが考えられる。これにより、埋立処分場を長期利用可能として、石炭火力発電所の安定的な運用に大きく貢献し得るものと考えられる。因みに、既成灰は、埋立処分場に既に大量に存在していることから、安定的な供給や短期的な大量供給といったニーズに鑑みた場合には、埋立処分されていない石炭灰(新生灰)よりも圧倒的に有利である。したがって、既成灰の有効利用方法の確立は、産業上極めて有用なことであると考えられる。
ここで、既成灰の有効利用方法に関する研究事例としては、例えば既成灰の土工材料としての適用性に関するものが挙げられる(非特許文献1)。
電力中央研究所報告V08031、2009
しかしながら、既成灰の有効利用方法に関する研究事例は非常に少ない。そこで、土工材料以外の有用な用途についてさらに検討を進める必要があると考えられる。
そこで、本願発明者は、既成灰をコンクリート混和材として利用することについて検討を行ったところ、既成灰のコンクリート混和材としての適用性を評価することのできる方法を確立するに至った。
したがって、本発明の課題は、既成灰のコンクリート混和材としての適用性を評価することのできる方法を提供することにある。
本願発明者は、埋立処分場の複数の区画から、埋立時期の異なる複数の既成灰を採取し、既成灰のコンクリート混和材としての利用について鋭意検討を行った。まず、各種既成灰のブレーン値を測定したところ、いずれも3900cm/g以上となる高い値を示し、コンクリート混和材JIS A6201−1999で規定されるII種品ブレーン値に相当するものであることが確認できた。このことから、既成灰はコンクリート混和材として全く問題無く利用できるのではないかと考えられた。
ところが、各種既成灰を用いて標準的な配合割合で試験モルタル(既成灰混和モルタル)を調製したところ、いくつかの試験モルタルにおいて、活性度指数測定用のモルタルの打設が困難なほどにフロー値比が小さくなることが判明した。一方で、その他の試験モルタルについては、フロー値比が95%以上と良好な値を示すことも判明した。
そして、フロー値比が95%以上となった試験モルタルについて、活性度指数測定用モルタルの打設を行い、活性度指数を検討したところ、いずれも材齢28日目で80%程度の良好な活性度指数を示した。一方、活性度指数測定用モルタルの打設が困難なほどにフロー値比が小さくなった試験モルタルについては、高性能減水剤を添加してフロー値比を調整してから活性度指数測定用モルタルの打設を行い、活性度指数を検討したが、いずれも材齢28日目の活性度指数が60%を下回り、良好な圧縮強度が得られているとは言えなかった。
以上のことから、ブレーン値からは評価できない既成灰のコンクリート混和材としての適用性を、既成灰を混和材とする試験モルタルを調製してそのフロー値比を求めることで、簡便且つ即時に評価できることを知見するに至り、本発明を完成するに至った。
かかる知見に基づく、本発明の既成灰の評価方法は、既成灰を混和材とするモルタルのフロー値比を求め、この既成灰のコンクリート混和材としての適用性をフロー値比に基づいて評価するようにしている。
また、本発明のコンクリート混和材は、本発明の既成灰の評価方法によりコンクリート混和材としての適用性有りと評価された既成灰を含むものである。さらに、本発明のコンクリートは、本発明のコンクリート混和材を含むものである。
本発明の既成灰の評価方法によれば、既成灰を混和材とするモルタルのフロー値比を求めることで、既成灰がコンクリート混和材としての適用性があるか否かを簡便且つ即時に評価することができる。したがって、既成灰のコンクリート混和材としての有効利用を図ることにより、埋立処分場の長期利用を図ることができ、石炭火力発電所の安定的な運用に貢献することが可能となる。
また、本発明のコンクリート混和材によれば、本発明の既成灰の評価方法によって、コンクリート混和材としての適用性有りと評価された既成灰を含むコンクリート混和材を提供することができる。したがって、本発明のコンクリートのように、既成灰を有効利用しながらも良質なコンクリートを提供することが可能となる。
実施例において使用した各種既成灰の粒度分布を示す図である。 St85aにおいて観察される塊状粒子の電子顕微鏡写真である。 St85aにおいて観察される塊状粒子中央部の拡大写真である。 St85aにおいて観察される球状粒子の電子顕微鏡写真である。 St85aにおいて観察される球状粒子中央部の拡大写真である。 St90において観察される塊状粒子の電子顕微鏡写真である。 St90において観察される塊状粒子中央部の電子顕微鏡写真である。 St90において観察される球状粒子の電子顕微鏡写真である。 St90において観察される球状粒子中央部の電子顕微鏡写真である。 実施例において使用した各種既成灰の鉱物相の同定結果を示す図である。 実施例において使用した各種既成灰の質量減少曲線を示す図である。 各種試験モルタルのフロー値比を示す図である。 各種試験モルタルの活性度指数の材齢に伴う変化を示す図である。 材齢28日の試験モルタルの細孔径分布を示す図である。 材齢91日の試験モルタルの細孔径分布を示す図である。 材齢365日の試験モルタルの細孔径分布を示す図である。 材齢365日のSt85a使用試験モルタルにおける内部反応相が顕在化した反応相の電子顕微鏡写真である。 材齢365日のSt85a使用試験モルタルにおける内部反応相が存在しない反応相の電子顕微鏡写真である。 材齢365日のSt85b使用試験モルタルにおける内部反応相が顕在化した反応相の電子顕微鏡写真である。 材齢365日のSt85b使用試験モルタルにおける内部反応相が存在しない反応相の電子顕微鏡写真である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の既成灰の評価方法は、既成灰を混和材とするモルタルのフロー値比を求め(S1)、この既成灰のコンクリート混和材としての適用性をフロー値比に基づいて評価する(S2)ようにしている。
本発明の既成灰の評価方法の実行に際しては、まず、既成灰を混和材とするモルタルのフロー値比を求める(S1)。
フロー値比は、基準モルタル(セメント単味モルタル)のフロー値と試験モルタル(既成灰混和モルタル)のフロー値から求められる値である。本実施形態では、基準モルタルとして、セメント、細骨材及び水からなるモルタルを準備する。また、試験モルタルとして、基準モルタルと同一のセメント、細骨材及び水を用い、セメントの一部を既成灰で置換した以外は同一配合割合のモルタルを準備する。
基準モルタル及び試験モルタルを構成するセメントの種類は、モルタルに用いられる一般的なものであればよく、特に限定されるものではないが、例えばJIS R5201に定められる普通ポルトランドセメントの使用が好適である。
基準モルタル及び試験モルタルを構成する細骨材の種類は、モルタルに用いられる一般的なものであればよく、特に限定されるものではないが、例えばJIS R5201に定められる標準砂(ケイ砂)の使用が好適である。
基準モルタル及び試験モルタルを構成する水は、例えばイオン交換水等を用いることが好適であるが、蒸留水や水道水を用いても十分に精度良く評価することが可能である。
試験モルタルを構成する既成灰は、埋立処分場から掘り起こしたものをそのまま試験モルタルの調製に供してもよいが、乾燥処理及び解砕処理を行ってから、試験モルタルの調製に供することが好適である。
乾燥処理は、埋立処分場から掘り起こされて採取された既成灰に含まれる水分を除去するための処理である。既成灰を乾燥処理してから試験モルタルの調製に供することで、既成灰の含水率を考慮することなく、基準モルタルと同一の水配合割合として試験モルタルを調製することが可能となる。但し、乾燥処理は本発明において必須の処理工程ではなく、既成灰の含水率を考慮して、試験モルタルの調製時に試験モルタルの総含水量が基準モルタルと同一となるように水配合量を調整するようにしても構わない。また、含水率がそれほど大きくない既成灰を用いる場合には、既成灰の含水率を考慮することなく、基準モルタルと同一の水配合量として試験モルタルを調製しても構わない。
解砕処理は、埋立処分場から掘り起こされて採取された既成灰のダマを解砕するための処理である。ダマを解砕することによって、より高精度に評価を行うことが可能となる。解砕処理の具体的方法としては、例えば、試験モルタル調製時に、セメントと水を投入するのに先立って、細骨材と既成灰をコンクリートミキサ等のミキサに投入して回転させることが好適である。これにより、細骨材と既成灰が混合されつつ、既成灰が解砕される。その後にセメントと水をミキサに投入することによって、解砕処理済み既成灰を用いて試験モルタルを調製することができる。但し、解砕処理は本発明において必須の処理工程ではなく、セメント、既成灰、細骨材及び水を同時に投入して混練するようにしても構わない。
尚、埋立処分場から掘り起こされて採取された既成灰には、砂等が混じっていることがあるが、この砂等の量は、通常、細骨材の計量誤差範囲レベルに過ぎないので、無視しても構わない。
基準モルタル及び試験モルタルのセメント(試験モルタルの場合は、セメントと既成灰)、細骨材及び水の配合割合は、モルタルを調製するための常識的な配合割合とすればよく、特に限定されるものではない。一例を挙げると、水/セメント(又はセメント+既成灰)=0.5(重量基準)、細骨材/セメント(又はセメント+既成灰)=3(重量基準)とすればよい。より具体的には、基準モルタルについては、セメント:細骨材:水=2:6:1(重量比)とすればよく、試験モルタルについては、セメント:既成灰:細骨材:水=3:1:12:2(重量比)とすればよい。さらに具体的には、基準モルタルについては、セメント450g、細骨材1350g、水225gとすればよく、試験モルタルについては、セメント337.5g、既成灰112.5g、細骨材1350g、水225gとすればよい。
上記構成材料を上記配合割合にて配合及び混練して基準モルタルと試験モルタルを調製した後、JIS A6201(1999年度改訂版)に準拠したモルタル試験を適用し、フロー値比を求める。
次に、上記S1にて求められたフロー値比に基づいて、既成灰のコンクリート混和材としての適用性を評価する(S2)。
試験モルタルのフロー値比がある一定値以下になると、良好な圧縮強度が得られず、活性化指数が小さくなる。具体例を挙げると、活性化指数測定用モルタルの打設が困難であるフロー値比80%を基準とし、試験モルタルのフロー値比が80%以下の場合には、試験モルタルに混和されている既成灰は、コンクリート混和材としては不適であると判断できる。
一方で、試験モルタルのフロー値比がある一定値以上になると、良好な圧縮強度が得られ、活性化指数が高まる。具体例を挙げると、試験モルタルのフロー値比が90%以上の場合、より好適には95%以上の場合には、コンクリート用混和材JIS−II種相当の圧縮強度を有するコンクリートが得られるという判断ができ、試験モルタルに混和されている既成灰は、コンクリート混和材として適していると判断できる。
尚、コンクリート混和材として適していると判断される既成灰を用いた場合、材齢を重ねるにつれて活性化指数が上昇し、1年経過後には100%を超えることが本願発明者の実験により確認されている。一方で、コンクリート混和材として不適であると判断される既成灰を用いた場合にも、材齢を重ねるにつれて活性化指数が上昇するものの、コンクリート混和材として適していると判断できる程度の活性化指数には至らないことも本願発明者の実験により確認されている。
このように、JIS A6201(1999年度改訂版)に示されるモルタル試験を適用し、フロー値比を求めることによって、既成灰をコンクリート混和材として利用する際の品質管理指標とすることができる。
尚、コンクリート混和材としての利用に適した既成灰と適さない既成灰とが存在する要因として、既成灰中の塊状粒子の多寡が挙げられる。即ち、既成灰には、フライアッシュ表面の変質相(埋立処分された状態下で雨水等に曝されることで形成される)を介して複数のフライアッシュ粒子が固着した塊状粒子が含まれている。既成灰中にこの塊状粒子が多く含まれる程、既成灰の粉末度が低くなり、既成灰を混和した試験モルタルの流動性が小さくなる。逆に既成灰中にこの塊状粒子があまり多く含まれていない場合には、既成灰の粉末度は高くなり、既成灰を混和したモルタルの流動性が大きくなる。つまり、試験モルタルのフロー値比が80%以下となる既成灰は、塊状粒子がある一定以上の割合で含まれているため、試験モルタルのフロー値比を80%以下としてしまう程に粉末度が低いことになる。逆に、試験モルタルのフロー値比が90%以上(より好ましくは95%以上)となる既成灰は、塊状粒子がある一定以下の割合でしか含まれておらず、試験モルタルのフロー値比を90%以上とする程に粉末度が高いことになる。
尚、既成灰を構成する粒子は、表面の変質等に起因して表面凹凸が多く、塊状粒子の多寡をブレーン値に基づいて評価することができない。したがって、既成灰のブレーン値からは、既成灰をコンクリート混和材として利用可能か否かを評価することはできない。また、塊状粒子の多寡は、粒子形状を画像解析することのできる装置を用いることで評価できる可能性があるものの、このような装置は汎用性に欠けると共に高価であり、既成灰の有効利用を図るための手法としてこのような装置を利用することは望ましいとは言えない。
これに対し、本発明の評価方法は、JIS A6201(1999年度改訂版)に示されるモルタル試験を適用することで、実行することができる。したがって、汎用性のある手法で簡便に実行することができ、極めて現実的且つ有用な手法であると言える。
上記評価方法によりコンクリート混和材としての適用性有りと判断された既成灰は、コンクリート混和材としてコンクリートに配合され、有効利用される。
ここで、上記評価方法によりコンクリート混和材としての適用性有りと判断された既成灰は、この既成灰のみからなるコンクリート混和材として提供するようにしてもよいし、この既成灰に一種または二種以上の添加剤が添加されたものとしてもよい。例えば、新生灰を添加するようにしても構わない。これにより、石炭火力発電所から排出される石炭灰と埋立処分場に埋め立てられている既成灰の双方の有効利用を促すようにしてもよい。
上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態では、モルタルのフロー値比を指標として既成灰のコンクリート混和材としての適用性を評価するようにしていたが、別の指標を用いて既成灰のコンクリート混和材としての適用性を評価するようにしてもよい。具体的には、既成灰の粒度分布を測定し、粒度分布を累積体積通過百分率で表示した場合に、累積値が10%〜50%に相当する粒子径(測定対象とした粒子の全体積を100%として粒子径−累積体積通過百分率の分布曲線を描いたときの累積体積通過百分率が10〜50%となる点の粒子径(メディアン径))を指標として、既成灰のコンクリート混和材としての適用性を評価するようにしてもよい。
粒度分布を測定する方法としては、例えば島津製作所製SALD−3000等を利用したレーザー回折散乱法が挙げられるが、この方法に限定されるものではない。
具体的な評価基準としては、累積値が10%に相当する粒子径(累積10%径(メディアン径))を指標とする場合には、4.5μm以上、より好ましくは4.7μm以上であればコンクリート混和材として不適であると判断できる。一方、3.5μm以下、より好ましくは3.3μm以下であればコンクリート混和材として適していると判断できる。
また、累積値が50%に相当する粒子径(累積50%径(メディアン径))を指標とする場合には、20μm以上、より好ましくは20.5μm以上であればコンクリート混和材として不適であると判断できる。一方、18μm以下、より好ましくは17.7μm以下であればコンクリート混和材として適していると判断できる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に限られるものではない。
(実施例1)
A.実験方法
1.使用材料
(1)既成灰
本実施例では、石炭灰の埋立て処分場の複数の区画から埋立て時期(1985年〜1994年)の異なる試料を表層部から0.5〜2mの範囲を対象として2007年に採取して用いた。埋立て時期は、発電所に保管されている資料に記述されている情報を基に判断した。各試料の試料名と埋立て時期を表1に示す。St85aとSt85bは、いずれも埋め立てられた年代は1985年であるが、埋め立てられた日時は異なっている。
各試料は、40℃乾燥炉で自由水分量による質量減少が生じなくなる状態まで乾燥させた後、アルミナ乳鉢を用いて解砕した。次いで、目開き0.86mmの篩で砂等の粗粒子を除去し、各試験に供した。
(2)セメント
本実施例では、JIS R5201に定められる普通ポルトランドセメントを用いた。
(3)細骨材
本実施例では、JIS R5201に定められる標準砂(ケイ砂)を用いた。
(4)練混ぜ水
本実施例では、イオン交換水を用いた。
2.既成灰の物理化学特性の分析方法
(1)組成分析
各試料をガラスビードに固溶、固定化し、蛍光X線分析(XRF)を用いて主要元素の構成比率を分析した。
(2)比表面積および密度
コンクリート混和材用フライアッシュの品質を規定したJIS A6201(1999年度改訂版)に示されるブレーン値測定手法に従って比表面積を測定した。また、同JIS基準に従って密度を測定した。
(3)粒度分布
レーザー回折散乱法(島津製作所社製SALD−3000)により各試料の粒度分布を測定した。分析時の溶媒はイオン交換水とした。屈折率は、参考文献1における知見に従い、1.80−0.00iとした(参考文献1:セメント・コンクリート論文集、No.52、pp.262−267、2004)。
(4)粒子の形状および表面性状
各試料に対し、D乾燥(D−dry、マイナス80℃となる冷凍機を介した真空乾燥処理)を約1日間実施してから導電物質を蒸着してコーティングした後、電界放射型電子顕微鏡FE−SEM(日本電子社製JSM−7001F、JSM−7500F)を用いて各粒子の形状および表面性状を観察した。
(5)鉱物相
各試料を乳鉢にて微粉砕し、試料台に固定した後に粉末X線回折装置(リガク社製RINT−2500、X線源:Cu)を用いて鉱物相を同定した。
(6)結合水等の揮発成分量
示差熱・重量分析装置(島津製作所社製DTG−60)を用いて、加熱温度の変化による結合水等の揮発成分の放出に伴う質量減少を測定した。
3.モルタルフロー値比および活性度指数の評価
水/結合材比を50%(重量比)、JIS R5201準拠標準砂を使用した砂/結合材比3(重量比)の標準配合のモルタルを用いて各試料を混和材として使用した際の流動性および強度発現性を評価した。基準モルタル(セメント単味モルタル)と試験モルタル(既成灰混和モルタル)の配合を表2に示す。表2中の数値の単位はグラム(g)である。
モルタルの流動性に及ぼす影響はJIS A6201に準拠したフロー値比(%)として評価した。フロー値比は、基準モルタルである既成灰無混合モルタルのフロー値(mm)に対する試験モルタルである既成灰混合モルタルのフロー値の比率(%)である。
また、同配合としたモルタル試験体(角柱試験体4×4×16cm)に対して20℃水中養生を28日間、91日間、189日間、356日間実施し、各材齢における圧縮強度を測定して、基準モルタルの圧縮強度に対する比率を活性度指数(%)として求めた。
なお、低いフロー値比を示したSt85aとSt94を用いた試験モルタルにおいては、高性能減水剤を各々結合材(セメント+既成灰)の質量に対して1%,1.2%添加し、フロー値比が各々108%,93%になることを確認した上で、表2に示す配合で活性度指数測定用モルタルを打設した。
4.細孔径分布の評価
水銀圧入式細孔径分布測定装置(島津製作所社製オートポアIV)を用いて、材齢378日までの各モルタルの細孔径分布を孔径3nm以上の範囲で測定した。分析用試料は、強度試験に用いたモルタルの非載荷部のうち、中央部から5mm角程度の大きさで切り出し、アセトンに12時間浸漬した後に真空ポンプを用いて質量変化が無くなるまで約3日間真空乾燥させたものを用いた。なお、1試料に対し2回の測定を行い、その平均値を試験値とした。
5.水和物、細孔の形態観察と構成元素分析
電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)により、モルタル中で生成した各種水和物および細孔の形態観察を行った。また、エネルギー分散型X線分光法(EDX)により、ポゾラン反応相等の構成元素量を定量分析した。
B.実験結果
1.既成灰の物理化学特性の分析結果
(1)化学組成
各試料の化学組成、ブレーン値および密度を表3に示す。表3において、OPCは普通ポルトランドセメントのことである。
試料の強熱減量に着目した場合、St85a、St93、St94は強熱減量が5%以上となり、強熱減量の指標では混和材用フライアッシュに対する規格(JIS A6201、1999)でII種枠(強熱減量5%以下)を満たさなかった。
また、St85aとSt94において、SiO量が各々48.3%、44.0%であり、他の3試料に比べて少なかった。さらに、St85aとSt94において、Al量が各々28.3%、26.2%であり、CaO量が各々5.8%、、8.0%であり、他の3試料に比べて多いことが確認された。
(2)ブレーン値
表3に示される通り、いずれの試料においてもブレーン値が3900cm/g以上となる高い値を示しており、コンクリート用混和材JIS A6201(1999)で規定されるII種品ブレーン値(2500〜5000cm/g)に相当することが明らかとなった。
(3)密度
密度はいずれの試料においても2.20〜2.35g/cmであり、有意な差は認められなかった。
(4)粒度分布
レーザー回折・散乱法により測定した各既成灰試料の粒度分布を図1に示す。
5試料のうちSt85aとSt94は他の3試料に比べて粒径1〜10μmの粒子量が少なく、粒径20〜30μm以上の粒子量が多かった。
次に、各試料の粒度分布を累積体積通過百分率で表示した場合に累積値が10%、50%、90%に相当する粒子径(累積10%径、累積50%径、累積90%径)を表4に示す。
表4に示される結果から、St85aとSt94の累積10%径と累積50%径は他の試料に比べて大きく、さらにSt94の累積90%径は96.8μmで他の試料に比べて大きいことが明らかとなった。
St85aとSt94の粒度分布の大きさを考慮すると、それらのブレーン値は他の試料に比べて低くなると推察された。ところが、上記の通り、St85aとSt94のブレーン値は各々4550cm/g、3950cm/g(表3)となり、他の試料と同程度であった。ブレーン値は一定容積内に詰め込んだ粒子間の空隙を通過する空気の抵抗によって評価される値であるため、粒子表面の微細な凹凸が多い場合は圧密体を通過する際の空気抵抗が大きくなり、ブレーン値が大きくなる。したがって、St85a、St94の表面性状は他の試料に比べて凹凸が多いと推測された。
(5)粒子の形状および表面性状
図1に示されるように、粒径20〜30μm以上の粒子存在割合はSt85aでは多く、St90では少なかった。そこで、St85aとSt90を対象として粒子の表面性状を比較した。
St85aにおいて観察される塊状粒子の電子顕微鏡写真を図2に示し、当該塊状粒子中央部の拡大写真を図3に示す。粒径1〜10μm程度の球状粒子が固着して粒径30μm程度の塊状粒子を形成していることが確認された(図2)。また、埋立て時にセメント系固化材を使用していないにもかかわらず、粒子間を埋め尽くすほどに析出相が充填された状態であった(図2)。さらに、塊状粒子を形成する球状粒子表面は繊維状〜薄板状の析出物で覆われていた(図3)。この析出物を介して粒子同士が固着したと考えられた。
St85aにおいて観察される球状粒子の電子顕微鏡写真を図4に示し、当該球状粒子中央部の拡大写真を図5に示す。図4に示されるように、粒径10μm以下の粒子も存在しているものの、JIS品として流通する一般的なフライアッシュの粒子表面のような平滑性は失われていた。また、図5に示されるように、粒子表面は粒径100nm以下の微細な粒状体が融着し、積層することで凹凸面を形成していた。粒径100nm以下の粒状体は非晶質相から溶出したコロイド状の物質であると推測された。
St90において観察される塊状粒子の電子顕微鏡写真を図6に示し、当該塊状粒子中央部の拡大写真を図7に示す。粒径1〜10μm程度の粒子が固着していることが確認されたが、St85aの場合とは異なり、固着していた粒径5〜10μm程度の粒子は球状のみではなく、丸みを帯びた不定形状のものも混在していた(図6)。また、塊状粒子を形成する粒子表面には、厚さ20nm程度の薄板状の析出物が積層していた(図7)。これは、貯蔵中に非晶質相が溶解したことに起因すると推察された。
St90において観察される球状粒子の電子顕微鏡写真を図8に示し、球状粒子のうち、表面に微細な凹凸が形成されている球状粒子中央部の拡大写真を図9に示す。表面に微細な凹凸が形成されている球状粒子(写真中央部)と比較的平滑な面で覆われている球状粒子(写真右上部)が混在していた(図8)。また、表面に微細な凹凸が形成されている粒子の表面は、厚さ20nm程度の薄板状の析出物とともに,その周囲にコロイド由来と推察される粒径約20nmの粒状体が密集していた(図9)。このことから、非晶質相が溶出し易い形態になっていると推察された。
以上の観察結果から、St85aとSt90はともに球状の単粒子と粗大な塊状粒子が混在した状態であり、乾燥処理後の解砕処理においても単粒子に分離できない程度の固着力が単粒子間に作用していることが明らかになった。
また、いずれの粒子においても表面に厚さ20nm程度の薄板状および粒径100nm以下の粒状の析出物が付着しており、長期間の貯蔵環境下で微視的な変質が生じていることが確認された(図5及び図9)。これらの析出物は、図9に示す電子顕微鏡写真のように、粒径20nm程度のコロイドと推察される粒状体(図9)が積層することで形成されたと考えられた。このコロイド状の粒状体は、埋立て処分された状態下でフライアッシュ表層部のNa、K等のアルカリ成分が雨水の浸透により溶出し、フライアッシュ粒子がアルカリ性の浸出液に接触した状態に置かれることで非晶質相が変質し、溶解することで形成したと考えられた。
(6)鉱物相
各試料の鉱物相の同定結果を図10に示す。図10中、Qはクオーツを、Muはムライトを、Maはマグネタイトを、Heはヘマタイトを、CCは炭酸カルシウムを意味している。構成量の多い鉱物相としてのクオーツ(Q:SiO)およびムライト(Mu:3Al・2SiO)を示すピーク強度は試料間で有意な差が認められなかった。マグネタイト(Ma:Fe)を示すピークはSt90とSt94で顕著に認められた。また、炭酸カルシウム(CC:CaCO)を示すピークはいずれの試料においても発生したが、St85a、St90、St94において顕著に認められた。これは、石炭灰に含まれていた生石灰(CaO)が溶出し、雨水に含まれる炭酸イオンと反応して生成したことによると推察された。
(7)結合水等の揮発成分量
各試料の質量減少曲線を図11に示す。いずれの試料も40℃の乾燥炉において質量減少が無くなるまで乾燥処理を行っているため、粒子に付着していた水が揮発した状態にあると考えられる。室温から950℃までの間における質量減少率はSt90が−1.83%,St94が−9.52%を示し、試料間で大きな差が認められた。特にSt94の質量減少率が大きい原因としては、粒子表面の非晶質の析出物から放出される水の量が多いこと、並びに化学組成としてCaOを多く含むためにCa−Si系の二次鉱物相を生成していることが考えられた。
2.モルタルの物理化学特性の分析結果
(1)フロー値比
表2に示す配合のうち、高性能減水剤を添加しないJIS A6201に示される基本的な配合としたモルタル(試験モルタル)のフロー値比を図12に示す。St85b、St90、St93を用いた試験モルタルのフロー値比は各々101%、96%、96%となり、JIS A6201に示されるII種のフライアッシュに相当する良好な流動性をもたらした。一方、St85aとSt94を用いた試験モルタルのフロー値比は各々80%、68%となり、流動性が大幅に低下した。これは、球状粒子が固着した塊状粒子(図2)を多く形成することで粗大粒子の構成割合が高まったことに起因すると考えられる(表4を参照)。
ここで、St85aおよびSt94のブレーン値は各々4550cm/g、3950cm/gであり、いずれも高い値であるが、フロー値比が極端に低くなることから既成灰に含まれる微粒子および粗大粒子の存在度(粉末度)を評価する場合に比表面積を表す指標であるブレーン値を用いることは適切ではないと考えられる。一方、St85aおよびSt94の粒度分布指標としての累積50%粒径は各々20.5μm、28.6μmであり,他の試料に比べて大きな値を示しており、粉末度が低いと判断できる。したがって、既成灰の粉末度を評価するためには粒度分布指標として累積50%粒径(メディアン径)を用いることが適切であると考えられる。
(2)活性度指数の経時変化
各既成灰をセメントに対して質量置換率25%で混和した試験モルタルの強度発現性を各試料の活性度指数として図13に示す。St90使用試験モルタルとSt93使用試験モルタルは材齢28日、および91日における活性度指数が各々81%(28日)および91%(91日)、80%(28日)および92%(91日)を示し、JIS A6201に示されるII種のフライアッシュに相当する活性度指数(28日:80%以上、91日:90%以上)を示した。また、St85b使用試験モルタルは材齢28日において活性度指数が78%となり、IV種相当(28日:60%以上、91日:70%以上)の値を示した。そして、これらの3試料を用いた試験モルタルについては材齢189日時点で活性度指数が98%以上となり、良好な強度発現性を示した。
一方、St85a使用試験モルタルとSt94使用試験モルタルの活性度指数は、材齢28日から365日にかけて他の試料より低くなり、JIS A6201に示されるIV種のフライアッシュの材齢28日活性度指数の規定値となる60%に満たなかった。なお、上記の通り、St85a使用試験モルタルとSt94使用試験モルタルの流動性は他の試料を用いた場合に比べて非常に低く、ミキサーによる練混ぜが困難であったため、高性能減水剤を添加した(表2)。モルタルの流動性を低下させるSt85aとSt94には複数の球状粒子が固着した塊状粒子(図2参照)が多く存在し、粒径1〜10μmの微小粒子数が少ないことも強度発現性が低くなった要因の一つと考えられる。
ここで、St85aとSt94を使用する際には、高性能減水剤を添加して他の試料を使用した場合と同程度のフロー値比に調整したが、活性度指数は他の試料を使用した場合に比べて20%程度以上低下した。このことから、コンクリート用混和材として利用する場合の既成灰の品質の良否を判断する指標の一つとしてモルタル試験によるフロー値比を用いることができると考えられた。
本実施例における検討範囲では、良好なモルタルフロー値比を示す既成灰(St85b、St90、St93)は、材齢28日時点から良好な活性度指数を示し、材齢1年まで活性度指数の増加傾向が持続することが明らかとなった。
尚、粉末度が低く、モルタルフロー値比が良好ではない既成灰(St85a、St94)を用いた場合でも活性度指数の増加傾向が材齢1年まで持続した。
(3)細孔径分布
材齢28日、91日、365日におけるモルタルを対象とした細孔径分布測定結果を各々図314、図15、図16に示す。なお、図14〜図16中の「OPC」は、既成灰を混和しないセメント単味モルタル(基準モルタル)を対象とした測定結果である。
孔径0.1μm以上に相当する空隙、特に0.1〜3μmに相当する空隙の存在率(細孔容積率)は、低い活性度指数を示すSt85a使用試験モルタルならびにSt94使用試験モルタルにおいて高い値を示した。この原因は、St85a使用試験モルタルならびにSt94使用試験モルタルでは、混練時の流動性が低く、高性能減水剤を添加した場合でも十分な締固め効果が得られなかったことによるものと考えられた。
また、いずれのモルタルにおいても、孔径0.03〜0.06μm(30〜60nm)に相当する空隙の細孔容積率は、材齢の経過とともに低下した。しかし、St85a使用試験モルタルならびにSt94使用試験モルタルでは、いずれの材齢においても他の試験モルタルに比べて孔径0.02〜0.06μm(20〜60nm)に相当する細孔容積率が高くなった。
さらに、孔径0.02μm(20nm)以下となる微細な空隙の細孔容積率は、いずれの試験モルタルにおいても材齢の経過とともに増大する傾向を確認した。既成灰を混和したモルタルにおいて材齢の経過に伴い孔径20nm以下の微細空隙量が増大し孔径20nm以上の空隙量が減少する現象は、ポゾラン反応に伴う組織の緻密化を示唆するものである(参考文献2:電力中央研究所報告N06018(2007)、参考文献3:土木学会論文集E、Vol.63 No.1、pp.52−65、2007)。このことから、長期間の貯蔵の過程でフライアッシュ粒子表面に変質が生じている既成灰についても、ポゾラン反応に伴い組織を緻密化できることが明らかとなった。
なお、いずれの試料においても、ポゾラン反応による組織の緻密化が生じたが、モルタル流動性を低下させるSt85aおよびSt94を用いた場合には、組織の緻密化に伴う孔径20nm以上の空隙の充填効果が他の試料に比べて低いことが明らかとなった。さらには、モルタル流動性を低下させるSt85aおよびSt94を用いた場合には、孔径0.1μm以上となる粗大な空隙が練混ぜ時に多く形成されるため、初期から活性度指数が低くなることも明らかとなった。
(4)反応相の形態観察および反応相の化学組成
いずれの材齢においても活性度指数に大きな差が認められたSt85a使用試験モルタルとSt85b使用試験モルタルのフライアッシュ粒子近傍における反応相の形態観察を行った。材齢365日のSt85a使用試験モルタルにおける内部反応相が顕在化した反応相の電子顕微鏡写真を図17に示し、材齢365日のSt85a使用試験モルタルにおける内部反応相が存在しない反応相の電子顕微鏡写真を図18に示し、材齢365日のSt85b使用試験モルタルにおける内部反応相が顕在化した反応相の電子顕微鏡写真を図19に示し、材齢365日のSt85b使用試験モルタルにおける内部反応相が存在しない反応相の電子顕微鏡写真を図20に示す。
尚、図17及び図19中における「内部反応相」とは、フライアッシュ粒子とセメント水和物相間の初期の境界位置がフライアッシュ粒子からのSi、Alの溶出によりフライアッシュ粒子の中心部に向かって経時的に後退するのに伴って形成される空間において、セメント水和物相に含まれる可溶性Caとフライアッシュ粒子から溶出したSi、Alが反応して放射状に形成されるC−S−H相の層状析出物のことである(参考文献2及び3を参照)。
また、図17〜図20中における「外部反応相」とは、フライアッシュ粒子とセメント水和物相間の初期の境界位置からフライアッシュ粒子の外側に向かって溶出したSi、Alがセメント水和物相に取り込まれた低Ca/Si比型のC−S−H相のことである(参考文献2及び3を参照)。
材齢365日のSt85a使用試験モルタルと材齢365日のSt85b使用試験モルタルのいずれにおいても、フライアッシュ粒子近傍における形態相違は認められず、いずれの試験モルタルにおいても比較的多孔質な層を放射状に形成する粒子とそのような層を形成しない粒子が混在していた。
次に、OPC単味モルタル(基準モルタル)ならびにSt85a使用試験モルタルおよびSt85b使用試験モルタル(材齢365日)におけるフライアッシュ粒子表面から1.5μm離れた箇所における反応相のCa/Siモル比およびAl/Caモル比をEDX分析した結果を表5に示す。なお、表5に示す組成分析結果は、各試料で4〜5点分析した結果を平均値として示したものである。また、OPCは普通ポルトランドセメントのことである。
いずれの既成灰を使用した場合においても粒子から1.5μm離れた箇所におけるCa/Si比はOPC単味に比べて低くなり、併せてAl/Ca比も高くなり、フライアッシュ粒子から溶出したSiおよびAlがセメント水和物相であるC−S−H相に拡散し、固定化されていると推定された。なお、St85a使用試験モルタルに比べてSt85b使用試験モルタルの方がC−S−H相に固定化されるSiおよびAl量が多い傾向が認められ、強度増進、すなわち組織の緻密化への寄与の大きさが異なる可能性が示唆された。
発明の既成灰の評価方法は、既成灰の粒度分布を測定し、粒度分布を累積体積通過百分率で表示した場合に、累積値が10%〜50%に相当する粒子径を指標として、既成灰のコンクリート混和材としての適用性を評価するようにしている。
本発明の既成灰の評価方法によれば、既成灰コンクリート混和材としての適用性評価することができる。したがって、既成灰のコンクリート混和材としての有効利用を図ることにより、埋立処分場の長期利用を図ることができ、石炭火力発電所の安定的な運用に貢献することが可能となる。
尚、既成灰を構成する粒子は、表面の変質等に起因して表面凹凸が多く、塊状粒子の多寡をブレーン値に基づいて評価することができない。したがって、既成灰のブレーン値からは、既成灰をコンクリート混和材として利用可能か否かを評価することはできない
例えば、上述の実施形態では、モルタルのフロー値比を指標として既成灰のコンクリート混和材としての適用性を評価するようにしていたが、別の指標を用いて既成灰のコンクリート混和材としての適用性を評価するようにしてもよい。具体的には、既成灰の粒度分布を測定し、粒度分布を累積体積通過百分率で表示した場合に、累積値が10%〜50%に相当する粒子径(測定対象とした粒子の全体積を100%として粒子径−累積体積通過百分率の分布曲線を描いたときの累積体積通過百分率が10〜50%となる点の粒子径 )を指標として、既成灰のコンクリート混和材としての適用性を評価するようにしてもよい。
具体的な評価基準としては、累積値が10%に相当する粒子径(累積10%径 )を指標とする場合には、4.5μm以上、より好ましくは4.7μm以上であればコンクリート混和材として不適であると判断できる。一方、3.5μm以下、より好ましくは3.3μm以下であればコンクリート混和材として適していると判断できる。

Claims (3)

  1. 既成灰を混和材とするモルタルのフロー値比を求め、前記既成灰のコンクリート混和材としての適用性を前記フロー値比に基づいて評価することを特徴とする既成灰の評価方法。
  2. 請求項1に記載の評価方法によりコンクリート混和材としての適用性有りと評価された既成灰を含むことを特徴とするコンクリート混和材。
  3. 請求項2に記載のコンクリート混和材が配合されていることを特徴とするコンクリート。
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