JP2016199453A - セメント組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Risa Nakayama
莉沙 中山
克哉 河野
Katsuya Kono
克哉 河野
多田 克彦
Katsuhiko Tada
克彦 多田
森 寛晃
Hiroaki Mori
寛晃 森
真悟 杉山
Shingo Sugiyama
真悟 杉山
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Shinpei Maehori
伸平 前堀
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Abstract

【課題】硬化前には高い流動性(例えば、フロー値(0打ち)が250mm以上)を有し、かつ硬化後には高い圧縮強度(例えば、250N/mm2以上)を発現するセメント組成物を提供する。【解決手段】中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントの研磨処理物、及び、BET比表面積が10〜25m2/gのシリカフュームを含むセメント組成物。セメント組成物は、好ましくは、50%重量累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末を含む。また、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトラドセメントの研磨処理物は、好ましくは、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントを構成する粒子を研磨処理してなる、角張った表面部分を丸みを帯びた形状に変形させてなる粒径20μm以上の粗粒子、及び、研磨処理によって生じる粒径20μm未満の微粒子を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、セメント組成物及びその製造方法に関する。
近年、硬化前には良好な流動性を有し、かつ硬化後には高い圧縮強度を発現することのできるセメント組成物が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、(A)セメント、(B)BET比表面積が5〜25m/gの微粉末、(C)ブレーン比表面積が3,500〜10,000cm/gの無機粉末、(D)細骨材、(E)減水剤、及び、(F)水、を含むセメント組成物であって、前記(D)細骨材が、2CaO・SiO及び2CaO・Al・SiOを含有し、2CaO・SiO100質量部に対して、2CaO・Al・SiOと4CaO・Al・Feとの合計量が10〜100質量部である焼成物を含むことを特徴とするセメント組成物が記載されている。
該セメント組成物は、上記細骨材に含まれる焼成物を絶乾状態で用いた場合、硬化前には施工可能な流動性を有し、硬化後には、250N/mmを超えるような高い圧縮強度を発現し、上記細骨材に含まれる焼成物を表乾状態で用いた場合、硬化前には良好な流動性を有し、硬化後には、200N/mm以上の高い圧縮強度を発現し、かつ、自己収縮率が小さいものである。
特開2009−227574号公報
特許文献1には、フロー値を「0打ち」で測定した実施例として、水と結合材の質量比(水/結合材の質量比)が0.135であり、フロー値(0打ち)が240〜242mmであり、圧縮強度が280N/mmであるセメント組成物、および、水と結合材の質量比が0.135であり、フロー値(0打ち)が270〜275mmであり、圧縮強度が215N/mmであるセメント組成物が記載されている。
本発明は、硬化前には高い流動性(例えば、骨材として細骨材のみを用いる場合に、フロー値(0打ち)が250mm以上)を有し、かつ硬化後には高い圧縮強度(例えば、骨材として細骨材のみを用いる場合、および、骨材として細骨材及び粗骨材を用いる場合のいずれについても250N/mm以上)を発現するセメント組成物(モルタルまたはコンクリート)を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントの研磨処理物、及び、BET比表面積が10〜25m/gのシリカフュームを含むセメント組成物によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[16]を提供するものである。
[1] 中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントの研磨処理物、及び、BET比表面積が10〜25m/gのシリカフュームを含むことを特徴とするセメント組成物。
[2] 50%重量累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末を含む前記[1]に記載のセメント組成物。
[3] 上記中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントの研磨処理物が、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントを構成する粒子を研磨処理してなる、角張った表面部分を丸みを帯びた形状に変形させてなる粒径20μm以上の粗粒子、及び、上記研磨処理によって生じる粒径20μm未満の微粒子を含む前記[1]又は[2]に記載のセメント組成物。
[4] 上記中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントの研磨処理物は、50%重量累積粒径が10〜18μmで、かつブレーン比表面積が2,100〜2,900cm/gのものである前記[1]〜[3]のいずれかに記載のセメント組成物。
[5] 上記セメント組成物が、金属繊維、有機繊維及び炭素繊維からなる群より選ばれる一種以上の繊維を含み、かつ上記セメント組成物中の上記繊維の割合が、3体積%以下である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のセメント組成物。
[6] 細骨材、減水剤、及び、水を含む前記[1]〜[5]のいずれかに記載のセメント組成物。
[7] 硬化後の圧縮強度が、250N/mm以上である前記[6]に記載のセメント組成物。
[8] 硬化前のフロー値が、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において15回の落下運動を行わないで測定した値として、250mm以上である前記[6]又は[7]に記載のセメント組成物。
[9] 上記セメント組成物が、最大粒径が13mm以下の粗骨材を含む[6]又は[7]に記載のセメント組成物。
[10] 前記[1]〜[9]のいずれかに記載のセメント組成物を製造するための方法であって、高速気流撹拌装置内で、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントを研磨処理して、上記中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントの研磨処理物を得る工程を含むことを特徴とするセメント組成物の製造方法。
[11] 前記[6]〜[9]のいずれかに記載のセメント組成物からなるセメント質硬化体を製造するための方法であって、上記セメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る成形工程と、上記未硬化の成形体を、10〜40℃で24時間以上、封緘養生または気中養生した後、上記型枠から脱型し、硬化した成形体を得る常温養生工程と、上記硬化した成形体について、70℃以上100℃未満で1時間以上の蒸気養生もしくは温水養生と、100〜200℃で1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、加熱養生後の硬化体を得る加熱養生工程と、上記加熱養生後の硬化体を、150〜200℃で24時間以上、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)して、上記セメント質硬化体を得る高温加熱工程、を含むことを特徴とするセメント質硬化体の製造方法。
[12] 上記常温養生工程と上記加熱養生工程の間に、上記硬化した成形体に吸水させる吸水工程を含む前記[11]に記載のセメント質硬化体の製造方法。
[13] 上記吸水工程において、上記硬化した成形体を水中に浸漬させる前記[12]に記載のセメント質硬化体の製造方法。
[14] 上記吸水工程において、上記硬化した成形体を、減圧下の水の中に浸漬させる前記[13]に記載のセメント質硬化体の製造方法。
[15] 上記吸水工程において、上記硬化した成形体を、沸騰している水の中に浸漬させた後、成形体を浸漬させたまま水温を40℃以下に冷却する前記[13]に記載のセメント質硬化体の製造方法。
[16] 上記常温養生工程において、上記硬化した成形体が20〜100N/mmの圧縮強度を発現した時に、上記硬化した成形体を上記型枠から脱型する前記[11]〜[15]のいずれかに記載のセメント質硬化体の製造方法。
本発明のセメント組成物(モルタル)によれば、硬化前には高い流動性(例えば、フロー値(0打ち)が250mm以上)を有し、かつ硬化後には高い圧縮強度(例えば、250N/mm以上)を発現することができる。また、本発明のセメント組成物(コンクリート)によれば、硬化後には高い圧縮強度(例えば、300N/mm以上)を発現することができる。
ローターの回転軸に対して垂直な方向に切断した断面を部分的に含む、高速気流撹拌装置の一例の正面図である。
本発明のセメント組成物は、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメント(以下、「本発明で用いるセメント」ともいう。)の研磨処理物、及び、BET比表面積が10〜25m/gのシリカフュームを含むものである。
本発明で用いるセメントの研磨処理物は、該セメントを構成する粒子を研磨処理してなる、角張った表面部分を丸みを帯びた形状に変形させてなる粒径20μm以上の粗粒子、及び、上記研磨処理によって生じる粒径20μm未満の微粒子を含むものである。
上記粗粒子の粒径の上限は、特に限定されるものではないが、研磨処理される、本発明で用いるセメントの一般的な粒径を考慮すると、通常200μm以下であり、硬化後にセメント組成物の高い圧縮強度を発現する観点から、好ましくは100μm以下である。
上記微粒子の粒径の下限は、特に限定されるものではないが、硬化前のセメント組成物の流動性の向上及び製造の容易性の観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上である。
本発明では、上述の粗粒子及び微粒子からなる研磨処理物を用いることによって、硬化前のセメント組成物の流動性が向上する。
上記研磨処理は、本発明で用いるセメントを構成する粒子を研磨することが可能な公知の研磨処理装置を用いればよい。研磨処理装置としては、市販の高速気流撹拌装置(例えば、奈良機械製作所社製、商品名「ハイブリタイザーNHS−3型」)等が挙げられる。
以下、高速気流撹拌装置について、図1を参照しながら詳しく説明する。
原料である、本発明で用いるセメントは、高速気流撹拌装置1の上部の投入口5から、開閉弁9を開いた状態で投入される。投入後、開閉弁9を閉じる。
投入されたセメントは、循環回路4の途中に設けられた開口部から循環回路4内に入り、その後、循環回路4の出口4bから、被処理物を収容する空間である衝突室8内に入る。
原料(セメント)を投入後、固定体であるステーター7の内部に配設されているローター(回転体)2を高速回転させることで、ローター2及びローター2に固着されたブレード3によって高速気流が発生し、衝突室8内のセメントが撹拌される。撹拌中、セメントを構成する粒子は、衝突室8内に設けられた、循環回路4の入口4aから、循環回路4内に入り、衝突室8の中央部分に設けられた、循環回路4の出口4bから、再び衝突室8内に投入されることで循環する。
なお、図1中、点線で示す矢印は、粒子(セメントを構成する粒子、並びに、研磨処理によって生じた粗粒子および微粒子を含む。)の流れを示す。
撹拌によって、セメントを構成する粒子が衝突室8の内壁面、ローター2及びブレード3と衝突すること、並びに、セメントを構成する粒子同士が衝突することにより、セメントを構成する粒子が研磨されて、該粒子表面の角張った部分が丸みを帯びた形状に変化した粗粒子(粒径が20μm以上である粒子)、及び、微粒子(粒径が20μm未満である粒子)が生じる。
ローター2の回転速度は、好ましくは3,000〜4,200rpm、より好ましくは3,500〜4,000rpmである。該回転速度が3,000rpm以上であれば、硬化前のセメント組成物の流動性が向上する。該回転速度が4,200rpmを超える場合、硬化前のセメント組成物の流動性の向上効果が頭打ちとなる。また、高速気流撹拌装置の性能上、回転速度を4,200rpm以上にすることは困難である。
研磨処理の時間は、好ましくは10〜60分間、より好ましくは20〜50分間、さらに好ましくは20〜40分間、特に好ましくは20〜30分間である。該時間が10分間以上であれば、硬化前のセメント組成物の流動性が向上する。該時間が60分間を超える場合、硬化前のセメント組成物の流動性の向上効果が頭打ちとなる。
得られた研磨処理物(粗粒子と微粒子の混合物)は、排出弁10を開くことによって、排出口6から排出される。
本発明で用いるセメントの研磨処理物は、50%重量累積粒径が、好ましくは10〜18μm、より好ましくは12〜16μmで、かつブレーン比表面積が、好ましくは2,100〜2,900cm/g、より好ましくは2,200〜2,700cm/gのものである。
上記50%重量累積粒径が10μm以上であれば、硬化前のセメント組成物の流動性が向上する。上記50%重量累積粒径が18μm以下であれば、硬化後にセメント組成物の高い圧縮強度を発現することができる。
上記ブレーン比表面積が2,100cm/g以上であれば、硬化後にセメント組成物の高い圧縮強度を発現することができる。上記ブレーン比表面積が2,900cm/g以下であれば、硬化前のセメント組成物の流動性が向上する。
上記シリカフュームのBET比表面積は、10〜25m/g、好ましくは12〜23m/g、より好ましくは13〜22m/gである。該BET比表面積が25m/gを超える場合、硬化前のセメント組成物の流動性が低下する。該BET比表面積が10m/g未満であるシリカフュームは、入手が困難である。
本発明のセメント組成物は、セメント組成物の強度発現性の観点から、50%重量累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末をさらに含むことが好ましい。このような無機粉末を含むことにより、特に低熱ポルトランドセメントの研磨処理物を使用したセメント組成物の強度発現性が向上する。
上記無機粉末としては、石英粉末(珪石粉末)、火山灰、フライアッシュ(分級または粉砕したもの)、スラグ粉末、石灰石粉末、長石類粉末、ムライト類粉末、アルミナ粉末、シリカゾル、炭化物粉末、窒化物粉末等から選ばれる1種以上を使用することができる。中でも、セメント組成物の強度発現性の観点から、石英粉末又はフライアッシュを使用することが好ましい。
上記無機粉末の50%重量累積粒径は、好ましくは0.8〜5μm、より好ましくは1〜4μm、さらに好ましくは1.1〜3.5μm、特に好ましくは1.3〜3μmである。該粒径が0.8μm以上であれば、硬化前のセメント組成物の流動性が向上する。該粒径が5μm以下であれば、セメント組成物の強度発現性が向上する。
また、セメント組成物の強度発現性の観点から、上記無機粉末の最大粒径は、好ましくは15μm以下、より好ましくは14μm以下、特に好ましくは13μm以下であり、上記無機粉末の95%重量累積粒径は、好ましくは8μm以下、より好ましくは7μm以下、特に好ましくは6μm以下である。
なお、本明細書中、上記無機粉末には、セメント(例えば、セメントをさらに微粉砕してなるもの等)は含まれないものとする。
シリカフュームと、本発明で用いるセメントの研磨処理物及びシリカフュームの合計の質量比(シリカフューム/(本発明で用いるセメントの研磨処理物+シリカフューム)の質量比)は、上記無機粉末を含まない場合、好ましくは0.05〜0.20、より好ましくは0.07〜0.18、特に好ましくは0.09〜0.16である。該比が0.05以上であれば、硬化後にセメント組成物の高い圧縮強度を発現する。該比が0.20以下であれば、硬化前のセメント組成物の流動性が向上する。
セメント組成物が上記無機粉末を含む場合、シリカフュームと、セメント組成物を構成する粉体原料(本発明で用いるセメントの研磨処理物、シリカフューム及び上記無機粉末)の質量比(シリカフューム/セメント組成物を構成する粉体原料の質量比)は、好ましくは0.04〜0.20、より好ましくは0.05〜0.18、さらに好ましくは0.06〜0.17、特に好ましくは0.06〜0.16である。該比が0.04以上であれば、硬化後にセメント組成物の高い圧縮強度を発現する。該比が0.20以下であれば、硬化前のセメント組成物の流動性が向上する。
上記無機粉末と、セメント組成物を構成する粉体原料(本発明で用いるセメントの研磨処理物、シリカフューム及び上記無機粉末)の質量比(上記無機粉末/セメント組成物を構成する粉体原料の質量比)は、好ましくは0.10〜0.35、より好ましくは0.13〜0.32、特に好ましくは0.16〜0.30である。該比が0.10以上であれば、硬化後にセメント組成物の高い圧縮強度を発現する。該比が0.35以下であれば、硬化前のセメント組成物の流動性が向上する。
上記無機粉末の50%重量累積粒径や95%重量累積粒径は、市販の粒度分布測定装置(例えば、日機装社製、製品名「マイクロトラックHRA モデル9320−X100」)を用いて求めることができる。
具体的には、粒度分布測定装置を用いて、累積粒度曲線を作成し、該累積粒度曲線から50%重量累積粒径や95%重量累積粒径を求めることができる。この際、試料を分散させるための溶媒であるエタノール20cmに対して、試料0.06gを添加し、90秒間、超音波分散装置(例えば、日本精機製作所社製、製品名「US300」)を用いて超音波分散したものを測定する。
本発明のセメント組成物は、必要に応じて他の材料を配合してもよい。必要に応じて配合される他の材料としては、細骨材、粗骨材、減水剤、水、及び空気量調整剤等が挙げられる。
細骨材としては、川砂、山砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、人工細骨材(例えば、スラグ細骨材や、フライアッシュ等を焼成してなる焼成細骨材)、再生細骨材またはこれらの混合物等を使用することができる。中でも、セメント組成物の流動性及び強度発現性の観点から、最大粒径が1mm以下である珪砂を使用することが好ましい。
細骨材と、セメント組成物を構成する粉体原料(本発明で用いるセメントの研磨処理物、シリカフューム及び上記無機粉末)の質量比(細骨材/セメント組成物を構成する粉体原料の質量比)は、好ましくは0.2〜1.0、より好ましくは0.25〜0.9、特に好ましくは0.3〜0.8である。該比が0.2以上であれば、セメント組成物の発熱量が小さくなり、かつ、硬化後のセメント組成物の収縮量が小さくなる。該比が1.0以下であれば、硬化後にセメント組成物の高い圧縮強度を発現する。
粗骨材としては、川砂利、山砂利、陸砂利、砕石、人工粗骨材(例えば、スラグ粗骨材や、フライアッシュ等を焼成してなる焼成粗骨材)、再生粗骨材またはこれらの混合物等を使用することができる。
本発明において、粗骨材の最大粒径は、セメント組成物の強度発現性を向上させる観点から、好ましくは13mm以下、より好ましくは12mm以下、さらに好ましくは11mm以下、特に好ましくは10mm以下である。
粗骨材を用いる場合、細骨材率は、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上である。細骨材率が30%以上であれば、硬化前にはセメント組成物のワーカビリティや成形のし易さが向上し、硬化後には高い圧縮強度を発現することができる。
減水剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系等の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤又は高性能AE減水剤を使用することができる。中でも、ポリカルボン酸系の高性能減水剤を使用することが好ましい。減水剤を配合することにより、硬化前のセメント組成物の流動性や施工性、硬化後の強度発現性、緻密性等を向上させることができる。
減水剤と、セメント組成物を構成する粉体原料(本発明で用いるセメントの研磨処理物、シリカフューム及び上記無機粉末)の質量比(減水剤/セメント組成物を構成する粉体原料の質量比)は、固形分換算で、好ましくは0.001〜0.04、より好ましくは0.002〜0.03であり、特に好ましくは0.003〜0.01である。該比が0.001以上であれば、セメント組成物の混練が容易となる。該比が0.04以下であれば、硬化遅延が起こりにくくなり、また、コストを低くすることができる。
本発明のセメント組成物は、セメント組成物を硬化してなる硬化体(セメント質硬化体)の曲げ強度や破壊エネルギー等を向上させる観点から、金属繊維、有機繊維及び炭素繊維からなる群より選ばれる一種以上の繊維を配合してもよい。セメント組成物中の繊維の割合は、好ましくは3体積%以下、より好ましくは0.3〜2.5体積%、特に好ましくは0.5〜2.0体積%である。該割合が3体積%以下であれば、セメント組成物の流動性や作業性を低下させることなく、硬化体の曲げ強度や破壊エネルギー等を向上させることができる。
金属繊維としては、鋼繊維、ステンレス繊維、アモルファス繊維等が挙げられる。中でも、鋼繊維は、強度に優れており、また、コストや入手のし易さの観点から好適である。
金属繊維の寸法は、セメント組成物中における金属繊維の材料分離の防止や、硬化体の曲げ強度の向上の観点から、直径が0.01〜1.0mm、長さが2〜30mmであることが好ましく、直径が0.05〜0.5mm、長さが5〜25mmであることがより好ましい。また、金属繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)は、好ましくは20〜200、より好ましくは40〜150である。
さらに、金属繊維の形状は、直線状よりも、何らかの物理的付着力を付与する形状(例えば、螺旋状や波形)であることが好ましい。螺旋状等の形状であれば、金属繊維とマトリックスとが、引き抜けながら応力を担保するため、硬化体の曲げ強度が向上する。
有機繊維としては、後述する本発明のセメント質硬化体の製造方法における加熱に耐えうるものであればよく、例えば、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリアリート繊維、ポリプロピレン繊維等が挙げられる。
炭素繊維としては、PAN系炭素繊維やピッチ系炭素繊維が挙げられる。
有機繊維及び炭素繊維の寸法は、セメント組成物中におけるこれらの繊維の材料分離の防止や、硬化体の破壊エネルギーの向上の観点から、直径が0.005〜1.0mm、長さ2〜30mmであることが好ましく、直径が0.01〜0.5mm、長さが5〜25mmであることがより好ましい。また、有機繊維及び炭素繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)は、好ましくは20〜200、より好ましくは30〜150である。
水としては、水道水等を使用することができる。
本発明において、水と、セメント組成物を構成する粉体原料(本発明で用いるセメントの研磨処理物、シリカフューム及び上記無機粉末)の質量比(水/セメント組成物を構成する粉体原料の質量比)は、好ましくは0.08〜0.18、より好ましくは0.09〜0.16である。該比が0.08以上であれば、セメント組成物の混練が容易となる。該比が0.18以下であれば、硬化後にセメント組成物の高い圧縮強度を発現する。
本発明のセメント組成物の製造方法は、高速気流撹拌装置内で、本発明で用いるセメントを研磨処理して、該セメントの研磨処理物を得る工程を含むものである。
得られた研磨処理物と、上記シリカフューム等を混合することで、本発明のセメント組成物を得ることができる。混合(混練)方法としては、特に限定されるものではない。また、混合に用いる装置も特に限定されるものではなく、オムニミキサ、パン型ミキサ、二軸練りミキサ、傾胴ミキサ等の慣用のミキサを使用することができる。
上述した、セメントの研磨処理物、シリカフューム、細骨材、減水剤、水、及び、任意で配合可能な他の材料(例えば、無機粉末や繊維)を混練することで得られたセメント組成物(モルタル)は、硬化前には高い流動性を有し、かつ硬化後には高い圧縮強度を発現することができる。
上記モルタルの硬化後の圧縮強度は、好ましくは250N/mm以上、より好ましくは255N/mm以上、さらに好ましくは260N/mm以上である。
また、上記無機粉末(50%重量累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末)を配合した場合における、上記モルタルの硬化後の圧縮強度は、好ましくは360N/mm以上、より好ましくは380N/mm以上、さらに好ましくは400N/mm以上である。
さらに、上記モルタルの硬化前のフロー値は、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定した値(明細書中、「フロー値(0打ち)」ともいう。)として、好ましくは250mm以上、より好ましくは255mm以上、さらに好ましくは260mm以上、特に好ましくは265mm以上である。
また、上述した、セメントの研磨処理物、シリカフューム、細骨材、粗骨材、減水剤、水、及び、任意で配合可能な他の材料(例えば、無機粉末や繊維)を混練することで得られたセメント組成物(コンクリート)は、硬化前には高い流動性を有し、かつ硬化後には高い圧縮強度を発現することができる。
上記コンクリートの硬化後の圧縮強度は、好ましくは300N/mm以上、より好ましくは320N/mm以上、さらに好ましくは340N/mm以上、特に好ましくは360N/mm以上である。
なお、上記モルタルやコンクリートは、強度発現性等の観点から、モルタルやコンクリート中の空気量が2%程度であることが好ましい。このことから、空気量調整剤を使用して、モルタルやコンクリートの空気量を調整してもよい。
以下、本発明のセメント組成物を硬化してなるセメント質硬化体の製造方法について詳しく説明する。
本発明のセメント質硬化体の製造方法の一例は、セメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る成形工程と、未硬化の成形体を、10〜40℃で24時間以上、封緘養生または気中養生した後、型枠から脱型し、硬化した成形体を得る常温養生工程と、硬化した成形体について、70℃以上100℃未満で1時間以上の蒸気養生もしくは温水養生と、100〜200℃で1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、加熱養生後の硬化体を得る加熱養生工程と、加熱養生後の硬化体を、150〜200℃で24時間以上、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)して、セメント質硬化体を得る高温加熱工程を含むものである。
[成形工程]
本工程は、セメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る工程である。
セメント組成物の調製(混練)方法は、上述のとおりである。
打設(成形)方法は、特に限定されるものではない。
なお、本工程における未硬化の成形体は、セメント組成物中の気泡を低減又は除去したセメント組成物からなるものであってもよい。セメント組成物中の気泡を低減又は除去することで、セメント組成物の強度発現性をより向上させることができる。
セメント組成物中の気泡を低減又は除去する方法としては、(1)セメント組成物の調製(混練)を減圧下で行う方法、(2)混練後のセメント組成物を、型枠内に打設する前に減圧して脱泡させる方法、(3)セメント組成物を型枠内に打設した後、減圧して脱泡させる方法等が挙げられる。
[常温養生工程]
本工程は、未硬化の成形体を、10〜40℃(好ましくは15〜30℃)で24時間以上(好ましくは24〜72時間、より好ましくは24〜48時間)、封緘養生または気中養生した後、型枠から脱型し、硬化した成形体を得る工程である。
養生温度が10℃以上であれば、養生時間を短くすることができる。養生温度が40℃以下であれば、成形体(セメント質硬化体)の圧縮強度を向上させることができる。
養生時間が24時間以上であれば、脱型の際に、硬化した成形体に欠けや割れ等の欠陥が生じにくくなる。
また、本工程において、硬化した成形体が、好ましくは20〜100N/mm、より好ましくは30〜80N/mmの圧縮強度を発現した時に、硬化した成形体を型枠から脱型することが好ましい。該圧縮強度が20N/mm以上であれば、脱型の際に、硬化した成形体に欠けや割れ等の欠陥が生じにくくなる。該圧縮強度が100N/mm以下であれば、後述する吸水工程において、少ない労力で、硬化した成形体に吸水させることができる。
[加熱養生工程]
本工程は、前工程で得られた硬化した成形体について、70℃以上100℃未満(好ましくは75〜95℃、より好ましくは80〜92℃)で1時間以上の蒸気養生もしくは温水養生と、100〜200℃(好ましくは160〜190℃)で1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、加熱養生後の硬化体を得る工程である。
本工程において、蒸気養生または温水養生のみを行う場合、その養生時間は、好ましくは12時間以上、より好ましくは24〜96時間、特に好ましくは36〜72時間である。オートクレーブ養生のみを行う場合、その養生時間は、好ましくは2時間以上、より好ましくは3〜60時間、特に好ましくは4〜48時間である。蒸気養生もしくは温水養生とオートクレーブ養生の両方を行う場合(例えば、蒸気養生もしくは温水養生を行った後、さらにオートクレーブ養生を行う場合)、蒸気養生もしくは温水養生における養生時間は、好ましくは1〜72時間、より好ましくは2〜48時間であり、オートクレーブ養生における養生時間は、好ましくは1〜24時間、より好ましくは2〜18時間である。
本工程において、養生温度が前記範囲であれば、養生時間を短くすることができ、また、セメント質硬化体の圧縮強度を向上させることができる。
また、本工程において、養生時間が前記範囲であれば、セメント質硬化体の圧縮強度を向上させることができる。
[高温加熱工程]
本工程は、加熱養生後の硬化体を、150〜200℃(好ましくは170〜190℃)で24時間以上(好ましくは24〜72時間、より好ましくは36〜48時間)、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)して、セメント質硬化体を得る工程である。
加熱温度が150℃以上であれば、養生時間を短くすることができる。養生温度が200℃以下であれば、セメント質硬化体の圧縮強度を向上させることができる。
養生時間が24時間以上であれば、セメント質硬化体の圧縮強度を向上させることができる。
本工程における加熱は、通常、乾燥雰囲気下(換言すると、水や水蒸気を人為的に供給しない状態)で行われる。
[吸水工程]
常温養生工程と加熱養生工程の間に、常温養生工程において得られた硬化した成形体に吸水させる吸水工程を含んでもよい。
硬化した成形体に吸水させる方法としては、該成形体を水中に浸漬させる方法が挙げられる。また、該成形体を水中に浸漬させる方法において、短時間で吸水量を増やし、セメント質硬化体の圧縮強度を大きくする観点から、(1)該成形体を減圧下の水の中に浸漬させる方法、(2)該成形体を沸騰している水の中に浸漬させた後、該成形体を浸漬させたまま水温を40℃以下に冷却させる方法、(3)該成形体を沸騰している水の中に浸漬させた後、該成形体を沸騰している水から取り出して、次いで、40℃以下の水に浸漬させる方法、(4)該成形体を、加圧下の水の中に浸漬させる方法、又は(5)該成形体への水の浸透性を向上させる薬剤を溶解させた水溶液の中に、該成形体を浸漬させる方法、が好ましい。
上記成形体を、減圧下の水の中に浸漬させる方法としては、真空ポンプや大型の減圧容器等の設備を利用する方法が挙げられる。
上記成形体を、沸騰している水の中に浸漬させる方法としては、高温高圧容器や熱温水水槽等の設備を利用する方法が挙げられる。
硬化した成形体を、減圧下の水または沸騰している水の中に浸漬させる時間は、吸水率を高くする観点から、好ましくは3分間以上、より好ましくは8分間以上、特に好ましくは20分間以上である。該時間の上限は、セメント質硬化体の圧縮強度をより高くする観点から、好ましくは60分間、より好ましくは45分間である。
吸水工程における吸水率は、セメント組成物がモルタルである場合(骨材として細骨材のみを含む場合)、φ50×100mmの硬化した成形体100体積%に対する水の割合として、好ましくは0.2体積%以上、より好ましくは0.3〜2.0体積%、特に好ましくは0.35〜1.7体積%であり、セメント組成物がコンクリートである場合(骨材として細骨材と粗骨材を含む場合)、φ100×200mmの硬化した成形体100体積%に対する水の割合として、好ましくは0.2体積%以上、より好ましくは0.3〜2.0体積%、特に好ましくは0.35〜1.7体積%である。
吸水率が0.2体積%以上であれば、セメント質硬化体の圧縮強度をより高めることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
使用材料は、以下に示すとおりである。
(1)中庸熱ポルトランドセメント:太平洋セメント社製
(2)低熱ポルトランドセメント:太平洋セメント社製
(3)シリカフュームA:BET比表面積14m/g
(4)シリカフュームB:BET比表面積20m/g
(5)無機粉末:珪石粉末(50%重量累積粒径:2.0μm;95%重量累積粒径:5.8μm;最大粒径:12μm以下)
(6)細骨材A:掛川産山砂
(7)細骨材B:珪砂(最大粒径:1.2mm以下;0.6mm以下の粒分:98質量%;0.3mm以下の粒分:45質量%;0.15mm以下の粒分:3質量%)
(8)ポリカルボン酸系高性能減水剤:固形分量27.4質量%;フローリック社製、商品名「フローリックSF500U」
(9)空気量調整剤:BASFジャパン社製、商品名「マスターエア404」
(10)水:上水道水
(11)金属繊維:鋼繊維(直径:0.2mm、長さ:15mm)
(12)粗骨材:硬質砂岩砕石1005(粒径:5〜10mm)
[中庸熱ポルトランドセメント及び低熱ポルトランドセメントの各研磨処理物の製造]
上記中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントを、高速気流撹拌装置(奈良機械製作所社製、商品名「ハイブリタイザーNHS−3型」)を用いて、回転速度4,000rpmの条件で、30分間研磨処理した。なお、研磨処理において、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントの仕込み量は、1バッチあたり800gとした。中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメント、及び、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントの研磨処理物の、50%重量累積粒径及びブレーン比表面積を測定した。結果を表1に示す。
また、走査型電子顕微鏡を用いて、研磨処理物の二次電子像を観察したところ、研磨処理物の粗粒子(粒径20μm以上の粒子)は、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントの粒子(研磨処理前のもの)と比べて、角張った表面部分が少なく、表面部分が丸みを帯びた形状に変形していた。また、粗粒子と粗粒子の間の空隙には、微粒子(粒径20μm未満の粒子)が存在している様子が見られた。
Figure 2016199453
[実施例1]
上記中庸熱ポルトランドセメントの研磨処理物と、上記シリカフュームAと、上記細骨材Aと、上記高性能減水剤と、上記水を、表2に示す配合で一括してホバートミキサに投入した後、低速で9分間混練して、モルタルを調製した。また、得られたモルタル中の空気量が2体積%となるように、空気量調整剤を添加した。
混練後のモルタルのフロー値を、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定した。
また、混練後のモルタルを、直径50mm、高さ100mmの円筒形の内部空間を有する型枠を用いて成形し、20℃で72時間静置した。次いで、脱型して、硬化した成形体を得た。
さらに85℃で72時間蒸気養生を行って、得られた硬化体の圧縮強度を「JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準じて測定したところ、260N/mmであった。
上記硬化体を、さらに、乾燥炉(水や水蒸気を人為的に供給しない加熱炉)を用いて180℃で48時間加熱した。加熱後の硬化体の圧縮強度を、加熱前の硬化体と同様にして測定した。なお、圧縮強度は、島津製作所社製の100t万能試験機(油圧式)を使用して測定した。
フロー値(0打ち)及び加熱後の硬化体の圧縮強度を表3に示す。
[実施例2]
各材料の配合を、表2に示す配合にして、かつ低速で12分間混練する以外は、実施例1と同様にして、モルタルを調整した。
混練後のモルタルのフロー値(0打ち)を、実施例1と同様にして測定した。
混練後のモルタルを用いて、実施例1と同様にして硬化体を得た後、該硬化体の圧縮強度を測定した。
[実施例3]
上記低熱ポルトランドセメントの研磨処理物と、上記シリカフュームBと、上記珪石粉末と、上記細骨材Bと、上記高性能減水剤と、上記水を、表2に示す配合で混練した。さらに、得られたモルタル中の空気量の割合が2体積%となるように、上記空気量調整剤を添加した。
具体的には、粉体原料(低熱ポルトランドセメントの研磨処理物、シリカフュームB、珪石粉末)と細骨材Bを、オムニミキサに投入して15秒間空練りした後、水と高性能減水剤と空気量調整剤を加えて2分間混練し、次いで、ミキサの側面に付着した混練物を掻き落とした後、さらに4分間混練した。
混練後のモルタルのフロー値(0打ち)を、実施例1と同様にして測定した。
また、混練後のモルタルを、直径50mm、高さ100mmの円筒形の内部空間を有する型枠を用いて成形し、20℃で72時間静置した。次いで、脱型して、硬化した成形体を得た。該成形体の脱型時の圧縮強度は52N/mmであった。
さらに90℃で48時間蒸気養生を行い、次いで、20℃になるまで降温させた後、脱型して硬化体を得た。得られた硬化体を、さらに、乾燥炉を用いて180℃で48時間加熱した。加熱後の硬化体の圧縮強度を、実施例1と同様にして測定した。
[実施例4]
低熱ポルトランドセメントの研磨処理物の代わりに中庸熱ポルトランドセメントの研磨処理物を使用した以外は、実施例3と同様にしてモルタル及びその硬化体を得た。硬化体の製造において、脱型時の硬化した成形体の圧縮強度は55N/mmであった。
モルタルのフロー値(0打ち)及び硬化体の圧縮強度を、実施例1と同様にして測定した。
[実施例5]
水と粉体原料の質量比(水/粉体原料)を、0.12から0.15に変更した以外は、実施例4と同様にしてモルタル及び硬化体を得た。硬化体の製造において、脱型時の硬化した成形体の圧縮強度は50N/mmであった。
モルタルのフロー値(0打ち)及び硬化体の圧縮強度を、実施例1と同様にして測定した。
[実施例6]
脱型後の成形体を、沸騰している水(沸騰水)に30分間浸漬した後、水に浸漬させたまま、水温が25℃になるまで冷却した以外は、実施例3と同様にして、硬化体を得た。
実施例1と同様にして、硬化体の圧縮強度を測定した。なお、硬化体の圧縮強度は、測定装置の測定限界(511N/mm)を超えていた。
また、浸漬前後の成形体の質量を測定し、得られた測定値から、吸水率を算出した。
[実施例7]
脱型後の成形体を、減圧したデシケーター内で30分間水に浸漬した(表3中、「減圧下」と記載した。)後に蒸気養生を行った以外は、実施例3と同様にして、硬化体を得た。
実施例6と同様にして、硬化体の圧縮強度の測定、並びに、吸水率の算出を行った。なお、硬化体の圧縮強度は、測定装置の測定限界(511N/mm)を超えていた。
[実施例8]
上記材料を表2に示す配合で混練した以外は、実施例3と同様にして、モルタル及び硬化体を得た。硬化体の製造において、脱型時の硬化した成形体の圧縮強度は51N/mmであった。
実施例3と同様にして、モルタルのフロー値(0打ち)及び硬化体の圧縮強度を測定した。
[実施例9]
脱型後の成形体を、減圧したデシケーター内で30分間水に浸漬した後に蒸気養生を行った以外は、実施例8と同様にして、硬化体を得た。
実施例6と同様にして、硬化体の圧縮強度の測定、および、吸水率の算出を行った。なお、硬化体の圧縮強度は、測定装置の測定限界(511N/mm)を超えていた。
[実施例10]
脱型後の成形体を、減圧したデシケーター内で30分間水に浸漬した後に蒸気養生を行った以外は、実施例5と同様にして、硬化体を得た。
実施例6と同様にして、硬化体の圧縮強度の測定、および、吸水率の算出を行った。
[実施例11]
低熱ポルトランドセメントの研磨処理物、シリカフュームB、珪石粉末、及び細骨材Bを、低熱ポルトランドセメントの研磨処理物等の各割合が表2に示す割合となるように、オムニミキサに投入して、15秒間空練りを行った。
次いで、水、ポリカルボン酸系高性能減水剤、及び空気量調整剤を、表2に示す量でオムニミキサに投入して、2分混練した。なお、空気量調整剤は、得られたセメント組成物中の空気量の割合が2体積%となるように添加した。
混練後、オムニミキサ内の側壁に付着した混練物を掻き落とし、さらに4分間混練を行った後、セメント組成物中の金属繊維の割合が表2に示す割合となる量の金属繊維を、オムニミキサに投入して、さらに2分間混練を行った。得られたセメント組成物を材料として用いた以外は、実施例6と同様にして、硬化体を得た。
実施例6と同様にして、セメント組成物の0打ちフロー値の測定等を行った。なお、硬化体の圧縮強度は、測定装置の測定限界(511N/mm)を超えていた。
また、得られたセメント質硬化体の曲げ強度を、「土木学会基準 JSCE−G 552−2010(鋼繊維補強コンクリートの曲げ強度および曲げタフネス試験方法)」に準じて測定した。
[実施例12]
脱型後の成形体を、沸騰している水に30分間浸漬する代わりに、減圧したデシケーター内で30分間水に浸漬した後に蒸気養生を行った以外は、実施例11と同様にして、セメント組成物及び硬化体を得た。
実施例11と同様にして、セメント組成物のフロー値(0打ち)等を測定した。なお、硬化体の圧縮強度は、測定装置の測定限界(511N/mm)を超えていた。
[実施例13]
細骨材の量を、細骨材と粉体原料の質量比(細骨材/粉体原料)が0.66から0.53に減少する量に変更し、かつ、細骨材率が80%となる量の粗骨材を用いた以外は、実施例3のセメント組成物と同様の配合でセメント組成物を製造した。
セメント組成物の製造は、実施例3と同様にして各材料(粉体原料、細骨材B、水、高性能減水剤、及び空気量調整剤)を混練した後、さらに粗骨材をオムニミキサに投入して、1分間混練することで行った。
得られたセメント組成物(混練物)を、直径100mm、高さ200mmの円筒形の内部空間を有する型枠に打設した以外は、実施例3と同様にして、硬化体(セメント質硬化体)を得た。
実施例1と同様にして、硬化体の圧縮強度を測定した。なお、脱型時の圧縮強度は41N/mmであった。
[実施例14]
細骨材の量を、細骨材と粉体原料の質量比が0.71から0.57に減少する量に変更し、かつ、細骨材率が80%となる量の粗骨材を用いた以外は、実施例10のセメント組成物と同様の配合でセメント組成物を製造した。
セメント組成物の製造は、実施例3と同様にして各材料(粉体原料、細骨材B、水、高性能減水剤、及び空気量調整剤)を混練した後、さらに粗骨材をオムニミキサに投入して、1分間混練することで行った。
得られたセメント組成物(混練物)を、直径100mm、高さ200mmの円筒形の内部空間を有する型枠に打設した以外は、実施例10と同様にして、硬化体(セメント質硬化体)を得た。
実施例10と同様にして、硬化体の圧縮強度の測定、および、吸水率の算出を行った。なお、脱型時の圧縮強度は41N/mmであった。
[比較例1]
上記中庸熱ポルトランドセメントの研磨処理物と、上記細骨材Aと、上記高性能減水剤と、上記水を、表2に示す配合で一括してホバートミキサに投入して、モルタルを調製しようとしたが、混練することができなかった。
[比較例2]
上記中庸熱ポルトランドセメントと、上記シリカフュームAと、上記細骨材Aと、上記高性能減水剤と、上記水とを、表2に示す配合で一括してホバートミキサに投入して、モルタルを調製しようとしたが、混練することができなかった。
[比較例3]
低熱ポルトランドセメントの研磨処理物の代わりに、研磨処理前の低熱ポルトランドセメントを使用した以外は、実施例3と同様にしてモルタル及び硬化体を得た。
モルタルのフロー値(0打ち)及び硬化体の圧縮強度を、実施例1と同様にして測定した。
[比較例4]
低熱ポルトランドセメントの研磨処理物の代わりに、研磨処理前の中庸熱ポルトランドセメントを使用した以外は、実施例3と同様にしてモルタル及び硬化体を得た。
モルタルのフロー値(0打ち)及び硬化体の圧縮強度を、実施例1と同様にして測定した。
以上の結果を表3に示す。
Figure 2016199453
Figure 2016199453
実施例1〜12から、本発明のセメント組成物は、硬化前にはフロー値(0打ち)260mm以上という高い流動性を有し、かつ硬化後には290N/mm以上の高い圧縮強度を有することがわかる。
また、無機粉末を含むセメント組成物(実施例3〜12)は、無機粉末を含まないセメント組成物(実施例1〜2)に比べて、硬化後にはより高い圧縮強度を有することがわかる。特に、硬化体の製造において、粗骨材を含まないセメント組成物(モルタル)を硬化してなる成形体を、減圧下の水又は沸騰している水の中に浸漬させる処理を行った場合(実施例6〜7、9〜12)、当該処理後の成形体は、特に高い圧縮強度を有することがわかる。
また、金属繊維を含むセメント組成物(実施例11〜12)は、硬化後に、圧縮強度が511N/mmを超え、かつ、曲げ強度が40N/mmであり、高い圧縮強度および曲げ強度を有することがわかる。
さらに、粗骨材を含むセメント組成物(実施例13〜14)は、硬化後には380N/mm以上の高い圧縮強度を有することがわかる。
一方、比較例1〜2から、中庸熱ポルトランドセメントの研磨処理物を使用したものの、シリカフュームを使用しなかった場合や、中庸熱ポルトランドセメントの研磨処理物の代わりに中庸熱ポルトランドセメントとシリカフュームの混合物を使用した場合には、混練をすることができないことがわかる。
また、比較例3〜4から、研磨処理を行っていない中庸熱ポルトランドセメントまたは低熱ポルトランドセメントを用いたセメント組成物は、硬化前の流動性が低いことがわかる。
1 高速気流撹拌装置
2 ローター
3 ブレード
4 循環回路
4a 循環回路の入口
4b 循環回路の出口
5 投入口
6 排出口
7 ステーター
8 衝突室
9 開閉弁
10 排出弁

Claims (16)

  1. 中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントの研磨処理物、及び、BET比表面積が10〜25m/gのシリカフュームを含むことを特徴とするセメント組成物。
  2. 50%重量累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末を含む請求項1に記載のセメント組成物。
  3. 上記中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントの研磨処理物が、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントを構成する粒子を研磨処理してなる、角張った表面部分を丸みを帯びた形状に変形させてなる粒径20μm以上の粗粒子、及び、上記研磨処理によって生じる粒径20μm未満の微粒子を含む請求項1又は2に記載のセメント組成物。
  4. 上記中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントの研磨処理物は、50%重量累積粒径が10〜18μmで、かつブレーン比表面積が2,100〜2,900cm/gのものである請求項1〜3のいずれか1項に記載のセメント組成物。
  5. 上記セメント組成物が、金属繊維、有機繊維及び炭素繊維からなる群より選ばれる一種以上の繊維を含み、かつ上記セメント組成物中の上記繊維の割合が、3体積%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のセメント組成物。
  6. 細骨材、減水剤、及び、水を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載のセメント組成物。
  7. 硬化後の圧縮強度が、250N/mm以上である請求項6に記載のセメント組成物。
  8. 硬化前のフロー値が、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において15回の落下運動を行わないで測定した値として、250mm以上である請求項6又は7に記載のセメント組成物。
  9. 上記セメント組成物が、最大粒径が13mm以下の粗骨材を含む請求項6又は7に記載のセメント組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のセメント組成物を製造するための方法であって、高速気流撹拌装置内で、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントを研磨処理して、上記中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントの研磨処理物を得る工程を含むことを特徴とするセメント組成物の製造方法。
  11. 請求項6〜9のいずれか1項に記載のセメント組成物からなるセメント質硬化体を製造するための方法であって、
    上記セメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る成形工程と、
    上記未硬化の成形体を、10〜40℃で24時間以上、封緘養生または気中養生した後、上記型枠から脱型し、硬化した成形体を得る常温養生工程と、
    上記硬化した成形体について、70℃以上100℃未満で1時間以上の蒸気養生もしくは温水養生と、100〜200℃で1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、加熱養生後の硬化体を得る加熱養生工程と、
    上記加熱養生後の硬化体を、150〜200℃で24時間以上、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)して、上記セメント質硬化体を得る高温加熱工程、
    を含むことを特徴とするセメント質硬化体の製造方法。
  12. 上記常温養生工程と上記加熱養生工程の間に、上記硬化した成形体に吸水させる吸水工程を含む請求項11に記載のセメント質硬化体の製造方法。
  13. 上記吸水工程において、上記硬化した成形体を水中に浸漬させる請求項12に記載のセメント質硬化体の製造方法。
  14. 上記吸水工程において、上記硬化した成形体を、減圧下の水の中に浸漬させる請求項13に記載のセメント質硬化体の製造方法。
  15. 上記吸水工程において、上記硬化した成形体を、沸騰している水の中に浸漬させた後、上記硬化した成形体を浸漬させたまま、水温を40℃以下に低下させる請求項13に記載のセメント質硬化体の製造方法。
  16. 上記常温養生工程において、上記硬化した成形体が20〜100N/mmの圧縮強度を発現した時に、上記硬化した成形体を上記型枠から脱型する請求項11〜15のいずれか1項に記載のセメント質硬化体の製造方法。
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