JP2016198140A - 器官画像撮影装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体の特定後の再撮影を不要とし、健康度の診断支援を確実に行う。診断用とは別に生体の特定のための特殊な装置を不要として、低コストで容易に生体の特定を行う。【解決手段】器官画像撮影装置1は、撮像部3と、特徴量抽出部13と、記憶部6と、生体特定部15とを備える。撮像部3は、生体の器官を撮影して、健康度の診断に用いる診断用画像を取得する。特徴量抽出部13は、上記診断用画像から、健康度の診断項目についての情報を特徴量として抽出する。記憶部6は、個々の生体について予め取得した診断項目についての情報を、識別情報として記憶する。生体特定部15は、特徴量抽出部13によって抽出された特徴量と、記憶部6に記憶されている識別情報とに基づいて、撮像部3にて撮影された生体を特定する。【選択図】図2

Description

本発明は、生体の器官を撮影して、健康度の診断に必要な情報を抽出し、抽出した情報に基づく診断を支援する器官画像撮影装置に関するものである。
生体画像を用いた診断は、医学の分野で広く用いられている。上記診断は、顔や手足などの体の表面の皮膚の診断だけでなく、唇や瞼などの膜状組織の診断、胃や腸などの消化器官や体内器官に対するX線や超音波を用いた診断の基本となっている。
東洋医学においては、顔や舌の状態を観察することにより、健康状態や病状を診断する診断手法(望診、舌診)が知られている。舌診では、舌の色や形、苔の色や形に関する情報を元に体調や健康度を診断している。舌や苔の診断項目には、舌の色、舌の厚さ、苔の色、苔の厚さなどがある。
ところで、近年では、医療技術の発展により、感染症などの外部要因による死亡は減少している。一方で、三大疾病と言われるガン、心筋梗塞、脳卒中などによる死亡が増加している。これらの疾病には、食事、運動、休養の取り方、喫煙、飲酒など、生活習慣が関与していると言われている。
生活習慣を改善し、健康寿命を延ばす取り組みとして、予防医学が注目されている。健康寿命を延ばすためには、日々の健康度の変化を測定して、疾病の早期発見や早期治療を実現することが求められる。
このような予防医学に関して、東洋医学には、未病と言う概念がある。病気と健康とは一線で区切ることはできず、病気には前段階がある。この半病気・半健康の状態が未病である。未病の段階で半病気を発見、治療し、病気の発症を防ぐのが東洋医学の手法である。この東洋医学の診断技術を活用することにより、疾病の早期発見が可能となると考えられる。また、この東洋医学の診断技術を自動化することにより、健康度の測定が可能となり、オフィスや家庭、個人レベルでも、健康度を簡易に、かつ、定期的に測定することができる。
ところで、医療現場では、診断のために必要な画像撮影は、医師ではなく、専門の技師や看護師が行っている。しかも、上記の画像撮影は、診察室ではなく、別室で行うことが多い。このため、撮影した画像の管理、上記画像と問診結果や血液検査結果などの他の診断情報との照合に手間がかかる。現在は、撮影番号をカルテに転記して、事後に人手を介してコンピュータに入力するなどの対応を採っている。
医療現場だけではなく、オフィスや家庭、個人レベルで健康度を簡易に診断することを支援する用途においても、オフィスの部屋や家庭の洗面台など、複数の人が利用する場所で撮影画像を取得して診断を行う場合、撮影画像と撮影対象者との照合が必要となる。また、スマートフォンなどの携帯端末を用いて健康度を測定する場合において、複数の対象者が健康度を測定する場合には、各対象者の識別が必要になる。
ここで、画像を用いて個人を識別する、いわゆる個人認証を行う技術として、例えば特許文献1〜7に開示された技術がある。特許文献1では、顔の目や鼻、手や足などの各部位を撮影して個人認証を行っている。特許文献2では、顔の表情を判定して個人認証を行っている。特許文献3では、顔と指紋との両方を用いて個人認証を行っている。特許文献4では、指の静脈パターンを撮影して個人認証を行っている。特許文献5では、瞳の虹彩および声紋により個人認証を行っている。特許文献6では、頭蓋骨の透視画像を撮影して個人認証を行っている。特許文献7では、眼底血管を撮影して個人認証を行っている。
特開2002−288671号公報(請求項1、段落〔0007〕、〔0015〕、図1等参照) 特開2010−27035号公報(請求項1、段落〔0007〕、図7等参照) 特開2004−62846号公報(請求項1、段落〔0006〕、〔0015〕等参照) 特開2004−272821号公報(請求項1、図1等参照) 特開2005−182159号公報(請求項1、段落〔0020〕、図3、図4等参照) 特開2004−265353号公報(請求項1、段落〔0019〕、〔0047〕等参照) 特開2009−251924号公報(請求項1、段落〔0014〕〜〔0016〕、図1等参照)
ところが、上記した特許文献1〜7の技術は、いずれも個人認証だけを行う技術である。このような技術を、健康度の診断支援用途に適用すると、顔、指紋、指の静脈パターンなどの認証用の画像を取得して個人認証を行った後に、診断用の画像(例えば舌画像に基づく診断では、その舌画像)を別途取得する必要がある。このため、対象者は、個人認証が終わっても、診断用の画像の取得のための撮影に再度応じなければならない。このような再撮影は、対象者に煩わしさをもたらす要因となり、個人で簡単に健康度を測定することを支援する本来の目的が損なわれるおそれがある。また、眼底血管を撮影して個人認証を行う場合、眼底カメラなどの特殊な撮像装置が必要で、コストと手間もかかる。なお、人間以外の動物等を診断および認証(生体特定)の対象とする場合でも、動物等の管理者に対して再撮影による煩わしさを与えかねず、健康度の診断支援が損なわれる可能性がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、生体の特定後の再撮影を不要として、再撮影による煩わしさを排除し、これによって、健康度の診断支援を確実に行うことができるとともに、診断用とは別に生体の特定のための特殊な装置を不要として、低コストで容易に生体の特定を行うことができる器官画像撮影装置を提供することにある。
本発明の一側面に係る器官画像撮影装置は、生体の器官を撮影して、健康度の診断に用いる診断用画像を取得する撮像部と、前記診断用画像から、健康度の診断項目についての情報を特徴量として抽出する特徴量抽出部とを備え、抽出した前記特徴量に基づく健康度の診断を支援する器官画像撮影装置であって、個々の生体について予め取得した前記診断項目についての情報を、識別情報として記憶する記憶部と、前記特徴量抽出部によって抽出された前記特徴量と、前記記憶部に記憶されている前記識別情報とに基づいて、前記撮像部にて撮影された生体を特定する生体特定部とを備えている。
上記の構成によれば、特徴量抽出部により、撮像部にて取得された診断用画像から、健康度の診断項目(例えば舌の色)についての情報(例えばR比率)が特徴量として抽出される。これにより、当該装置または外部の装置にて、抽出された特徴量に基づく診断が可能となり、そのような診断の支援が可能となる。
また、生体特定部は、特徴量抽出部によって抽出された上記の特徴量と、記憶部に記憶されている識別情報とに基づいて、撮像部にて撮影された生体を特定する。このように、健康度の診断に用いる特徴量を、生体の特定用の情報としても用いるため、撮像部にて診断用画像を1回取得すれば、その診断用画像から特徴量を抽出して、生体の特定と、健康度の診断とを行うことができる。したがって、生体の特定と健康度の診断とで、別々の画像を取得する必要がなく、生体の特定後に、診断のための画像取得(撮像部による再撮影)を行う必要がなくなる。その結果、対象者(生体そのもの)や生体の管理者に対して、生体特定後の再撮影による煩わしさを与えることは全くなく、健康度の診断支援を確実に行うことができる。
また、健康度の診断と生体の特定とは、同じ診断用画像から抽出される特徴量を用いて行われるため、画像を取得する撮像部は、診断用画像の取得用として1個設けるだけで済み、診断用とは別に生体特定専用の特殊な撮像装置を設ける必要はなくなる。これにより、低コストで容易に生体の特定を行うことができる。
前記識別情報は、予め、前記撮像部によって個々の生体の器官を撮影して取得された識別用画像から、前記特徴量抽出部によって抽出された前記診断項目についての情報であってもよい。この場合、外部の装置から通信等によって識別情報を取得する必要がなく、生体の特定の処理を迅速に行うことができる。
前記生体特定部は、複数の前記診断項目について、前記特徴量抽出部によって抽出された複数の前記特徴量と、同じ複数の診断項目について、前記記憶部に記憶されている複数の前記識別情報とに基づいて、前記撮像部にて撮影された生体を特定してもよい。この場合、1個の特徴量と1個の識別情報とに基づいて生体を特定する場合に比べて、生体の特定の精度(識別精度)が向上する。
前記診断項目の数をnとし、nを1以上の整数としたとき、前記生体特定部は、n次元空間において、前記診断項目についてのn個の前記特徴量に応じて決まる第1の点と、前記診断項目についてのn個の前記識別情報に応じて決まる第2の点とのユークリッド距離が閾値以下で、かつ、最小となるような、前記第2の点を検出し、検出した前記第2の点に対応する生体と、前記撮像部にて撮影された生体とが一致すると判断してもよい。このような判断により、撮像部にて撮影された生体を確実に特定することができる。
前記生体特定部は、複数の前記診断項目について、前記特徴量抽出部によって抽出された複数の前記特徴量と、同じ複数の診断項目について、前記記憶部に記憶されている複数の前記識別情報と、複数の前記特徴量の各診断項目間での相関とに基づいて、前記撮像部にて撮影された生体を特定してもよい。この場合、1個の特徴量と1個の識別情報とに基づいて生体を特定する場合に比べて、生体の特定の精度が向上する。さらに、複数の特徴量の各診断項目間での相関も考慮されるため、生体の特定の精度がさらに向上する。
前記診断項目の数をnとし、nを2以上の整数としたとき、前記生体特定部は、n次元空間において、複数の前記診断項目についてのn個の前記特徴量に応じて決まる点の原点からの距離を示す第1のマハラノビス距離を算出するとともに、複数の前記診断項目についてのn個の前記識別情報に応じて決まる点の原点からの距離を示す第2のマハラノビス距離を、前記記憶部に記憶された個々の生体について算出し、前記第2のマハラノビス距離が前記第1のマハラノビス距離に最も近くなるような前記識別情報に対応する生体と、前記撮像部にて撮影された生体とが一致すると判断してもよい。このような判断により、撮像部にて撮影された生体を確実に特定することができる。
前記器官は、舌であってもよい。生体の撮影対象となる器官が舌である場合において、上述の効果を得ることができる。
前記診断項目は、舌の色、舌の形状、苔の色、苔の形状の少なくともいずれかに関する項目を含んでいてもよい。これらの診断項目についての情報を特徴量として用いて、生体を特定することができる。
前記診断項目は、舌の厚さ、歯痕、苔の厚さ、苔の地図状分布の少なくともいずれかを含んでいてもよい。これらの診断項目についての情報は、生体間での個人差が大きく、日常の変化も少ない。このため、上記情報を特徴量として用いることにより、生体の特定の精度を向上させることができる。
該器官画像撮影装置は、前記特徴量抽出部が抽出した前記特徴量に基づいて、生体の健康度を判定する判定部をさらに備えていてもよい。当該装置が判定部を備えているので、当該装置にて生体の健康度を判定する構成において、上述の効果を得ることができる。
上記の構成によれば、生体の特定後の撮像部による再撮影を不要として、再撮影による煩わしさを排除し、健康度の診断支援を確実に行うことができるとともに、診断用とは別に生体の特定のための特殊な装置を不要として、低コストで容易に生体の特定を行うことができる。
本発明の実施の一形態に係る器官画像撮影装置の外観を示す斜視図である。 上記器官画像撮影装置の概略の構成を示すブロック図である。 撮影対象に対する照明部と撮像部との位置関係を示す説明図である。 舌の撮影画像およびエッジ抽出フィルタの一例と、上記フィルタを用いて抽出された舌の輪郭線とを示す説明図である。 舌と苔に関する代表的な診断項目を示す説明図である。 舌の撮影画像と各診断領域とを併せて示す説明図である。 舌の中央領域におけるGの度数分布を、苔の地図状分布がない場合と、地図状分布がある場合とでそれぞれ示すグラフである。 舌の輪郭線と近似曲線とを示すグラフである。 舌の撮影画像と舌の断面形状とを併せて示す説明図である。 舌の輪郭線と湿り気の検出領域とを併せて示す説明図である。 舌の分光分布を示すグラフである。 上記検出領域から抽出したBの画像データの度数分布を模式的に示すグラフである。 表面に亀裂がある舌の撮影画像を示す説明図である。 舌表面に亀裂がない場合と亀裂がある場合とのそれぞれにおける、Bの画像データの度数分布を模式的に示すグラフである。 舌が薄い場合と厚い場合とにおいて、舌表面の上下方向のほぼ中心を通る水平方向における撮影画像のRGBの画像データの分布を示す説明図である。 事前登録者および認証対象者の診断項目についての情報を2次元座標上にプロットした説明図である。 変数が2つで、両者に正の相関がある場合の距離の分布を示す説明図である。 識別情報の事前登録時の処理の流れを示すフローチャートである。 表示部に表示される枠線の一例を示す説明図である。 個人認証および診断の流れを示すフローチャートである。
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本明細書において、数値範囲をA〜Bと表記した場合、その数値範囲に下限Aおよび上限Bの値は含まれるものとする。
〔1.器官画像撮影装置の概略構成〕
図1は、本実施形態の器官画像撮影装置1の外観を示す斜視図であり、図2は、器官画像撮影装置1の概略の構成を示すブロック図である。器官画像撮影装置1は、照明部2、撮像部3、表示部4、操作部5、記憶部6、通信部7および音声出力部8を備えている。照明部2は筐体21に設けられており、撮像部3、表示部4、操作部5、記憶部6、通信部7および音声出力部8は、筐体22に設けられている。筐体21と筐体22とは別体で構成されているが、一体化されていてもよい。
(照明部)
照明部2は、撮影対象である生体の器官(ここでは舌)を照明するものであり、撮影対象を上方より照明する照明器で構成されている。照明部2の光源としては、色再現性を向上させるために、例えばキセノンランプなどの昼光色を発光するものを用いている。光源の明るさは、撮像部3の感度や撮影対象までの距離に応じて、照明制御部9によって制御される。例えば、撮影対象の照度が1000〜10000lxとなるように光源の明るさが制御される。照明部2は、上記の光源の他に、点灯回路や調光回路を有しており、照明制御部9からの指令によって点灯/消灯および調光が制御される。
(撮像部)
撮像部3は、照明部2による照明下で、生体の器官(例えば舌)を撮影して、健康度の診断に用いる画像(診断用画像)を取得するものである。この撮像部3は、撮像レンズ31と、エリアセンサ32とを有している(図3参照)。撮像レンズ31の絞り(レンズの明るさ)、シャッター速度、焦点距離は、撮影対象の全ての範囲に焦点が合うように設定されている。一例としては、Fナンバー:16、シャッター速度:1/120秒、焦点距離:20mmである。
エリアセンサ32は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)のような撮像素子で構成されており、撮影対象の色および形状を十分に検出できるように、感度や解像度などが設定されている。一例としては、感度:60db、解像度:1000万画素である。
撮像部3による撮影は、撮像制御部10によって制御されている。また、撮像部3は、撮像レンズ31やエリアセンサ32の他にも、不図示のフォーカス機構、絞り機構、駆動回路およびA/D変換回路などを有しており、撮像制御部10からの指令により、フォーカスや絞りの制御、A/D変換などが制御される。撮像部3では、撮影画像のデータとして、赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれについて、例えば8ビットで0〜255のデータが取得される。すなわち、撮像部3では、異なる色(RGB)のそれぞれについて、撮影対象を撮影した画像が取得され、これによって、各色の画像データが取得される。また、撮像部3の撮像レンズ31の倍率は、必要な画像の解像度が得られるように、撮像制御部10によって制御される。
図3は、撮影対象(舌や顔)に対する照明部2と撮像部3との位置関係を示す説明図である。同図に示すように、少なくとも撮像レンズ31とエリアセンサ32とを有する撮像部3は、撮影対象に正対して配置されている。照明部2は、撮影対象を通る撮像部3の撮影光軸Xに対して、例えば0°〜45°の照明角度aで撮影対象を照明するように配置されている。なお、撮影光軸Xとは、撮像部3が有する撮像レンズ31の光軸を指す。
照明時の照明角度aが大きいと、表面の凹凸の計測精度が向上するが、上唇の影により、舌を撮影できる範囲が小さくなる。逆に、照明角度aが小さいと、撮影範囲は拡大されるが、計測精度が低下したり、照明光の正反射による色とびが大きくなる。以上のことを考慮すると、照明角度aの好ましい範囲は、15°〜30°である。特に、診断部位が生体の舌などの器官である場合、望ましい照明角度aは約30°である。
(表示部)
表示部4は、不図示の液晶パネル、バックライト、点灯回路および制御回路を有しており、撮像部3での撮影によって取得される画像と、枠線P(図19参照)とを表示する。枠線Pは、撮像部3による撮影時の器官(ここでは舌)の撮影位置を規定するための画枠である。枠線Pを表示部4に表示させることにより、舌の撮影時に枠線Pによって舌の撮影位置を案内することができる。
また、表示部4は、後述する個人認証(生体特定)の判定結果や、通信部7を介して外部から取得した情報(例えば外部の医療機関に情報を送信して診断された結果)を表示することもできる。表示部4における各種の情報の表示は、表示制御部11によって制御されている。
なお、撮像部3での撮影によって取得された撮影対象の画像は、間引き処理や色補正処理などの画像処理が画像処理部(図示せず)によって施された後に、表示部4に表示されてもよい。以下での説明において、単に「(撮影)画像」と表現した場合は、特に断らない限り、撮像部3での撮影によって取得されて、表示に必要な上記の画像処理が施される前の画像を指すものとする。
(操作部)
操作部5は、撮像部3による撮影を指示するための入力部であり、OKボタン(撮影実行ボタン)5aおよびCANCELボタン5bで構成されている。本実施形態では、表示部4および操作部5を、共通のタッチパネル表示装置23(図1参照)で構成している。タッチパネル表示装置23における操作部5の表示は、操作制御部12によって制御される。なお、操作部5は、タッチパネル表示装置23以外の入力部で構成されてもよい(タッチパネル表示装置23の表示領域外の位置に操作部5を設けてもよい)。
(記憶部)
記憶部6は、個々の生体について予め取得した、健康度の少なくとも1個の診断項目についての情報を、識別情報として記憶するメモリである。例えば、舌の診断項目には、後述するように、舌の色、舌の厚さ、苔の色、苔の厚さなどがある。記憶部6には、個々の生体ごとに予め得られたこれらの診断項目についての情報が記憶される。例えば、生体Aについては、舌の色が淡紅色を示す情報、舌の厚さが厚いことを示す情報、苔の色が淡白であることを示す情報、苔の厚さが薄いことを示す情報などが、生体Aの識別情報として記憶される。同様に、生体B、生体C、・・・についても、舌の色等についての情報が個々の生体の識別情報として記憶される。
上記の識別情報は、健康度の診断を行う前に、予め、撮像部3によって個々の生体の器官を撮影して識別用画像を取得して、その識別用画像から、後述する特徴量抽出部13によって抽出された情報であってもよい。また、上記の識別情報は、外部の装置で取得され、その外部の装置から有線または無線で送信された情報であってもよい。
また、記憶部6は、撮像部3にて取得した画像のデータ、特徴量抽出部13、生体特定部15および判定部16で取得した情報、外部の装置から送信された情報(例えば外部機関での診断結果)などを記憶したり、後述する各種の制御部を動作させるためのプログラムも記憶する。このような記憶部6は、RAM、ROM、不揮発性メモリなどを含んで構成することが可能である。記憶部6に対する情報の記憶および抽出は、記憶制御部14によって制御される。
(通信部)
通信部7は、当該装置にて得られた情報(例えば診断項目についての情報)を、外部の装置に送信したり、逆に外部の装置から送信される情報を受信するためのインターフェースである。通信部7における情報の送受信は、通信制御部17によって制御されている。
(音声出力部)
音声出力部8は、各種の情報を音声で出力するものであり、例えばスピーカーで構成される。音声出力部8は、生体特定部15による判定結果や、特徴量抽出部13にて抽出された情報に基づく診断結果などを音声出力することができる。上記の診断結果は、当該装置で得られるものであってもよいし、外部機関で診断されて当該装置に送信されるものであってもよい。音声出力部8における音声出力は、音声出力制御部18によって制御される。
本実施形態の器官画像撮影装置1は、上記の他にも、特徴量抽出部13、生体特性部15および判定部16を備えている。
(特徴量抽出部)
特徴量抽出部13は、撮像部3にて取得された画像から、舌の輪郭線を抽出する処理を行う画像処理部である。本実施形態では、特徴量抽出部13は、撮影画像の輝度エッジ(画像の中で急激に明るさが変化している部分)に基づいて、口腔領域の輪郭線を抽出する。
輝度エッジの抽出は、例えば図4に示すようなエッジ抽出フィルタを用いて行うことができる。エッジ抽出フィルタは、1次微分をするときに(隣接画素間で画像データの差分をとるときに)、注目画素の近傍の画素に重みを付けるフィルタである。このようなエッジ抽出フィルタを用い、例えば、撮影画像の各画素のRの画像データについて、注目画素と近傍画素とで画像データの差分を取り、その差分値が所定の閾値を超える画素を抽出することで、輝度エッジとなる画素を抽出できる。唇内側の口腔領域には、唇の影や歯に起因する輝度差が存在するため、上記のように輝度エッジとなる画素を抽出することにより、口腔領域の輪郭線Qを抽出することができる。
なお、特徴量抽出部13は、輝度エッジの代わりに、画像の距離情報を用いて輪郭線を抽出してもよい。唇は撮像部3に最も近い位置にあるため、距離情報を用いることにより、口腔内との境界を検出することができる。
また、特徴量抽出部13は、撮像部3での撮影によって取得された器官の診断用画像から、健康度の少なくとも1個の診断項目についての情報を特徴量として抽出する。これにより、抽出された上記特徴量に基づいて、(当該装置または外部の装置にて)生体の健康度を診断することができる。このことから、当該装置は、上記特徴量に基づく健康度の診断を支援する装置として機能していると言える。
ここで、図5は、東洋医学において、舌と苔に関する代表的な診断項目を示している。一般的に、舌については、舌の色、舌の厚さ、舌表面の湿り気(光沢度)、舌の形(歯痕)、裂紋(舌表面の亀裂)の5項目が診断項目として挙げられる。また、苔については、苔の色、苔の滑らかさ(乳頭組織の分離度)、苔の厚さ、苔の有無、苔の地図状分布(分布ムラの有無)の5項目が診断項目として挙げられる。図5の「状態の変化」において、○印は、正常(健康)な状態を示しており、そこから離れると、異常(病気)の状態となる。
これらの10個の診断項目は、舌の形状、苔の形状、舌の色、苔の色に関する診断項目に分類することもできる。舌の形状に関する診断項目は、舌の厚さ、歯痕、裂紋である。苔の形状に関する診断項目は、苔の滑らかさ、苔の厚さ、苔の有無、苔の地図状分布である。舌の色に関する診断項目は、舌の色そのもの、舌の湿り気であり、苔の色に関する診断項目は、苔の色そのものである。
例えば、診断項目が舌の色である場合、その特徴量としては、R比率やB比率を考えることができるが、個々の診断項目ごとの特徴量の詳細については後述する。
また、特徴量抽出部13は、健康度の診断前に、個々の生体の識別情報を記憶部6に記憶させる事前登録において、撮像部3によって個々の生体の器官を撮影して取得される識別用画像から、少なくとも1個の診断項目についての上記識別情報を抽出する。上記識別情報は、図5で示した診断項目についての特徴量と同じ情報とすることができる。
(生体特定部)
生体特定部15は、特徴量抽出部13にて抽出された特徴量と、記憶部6に記憶されている、上記特徴量と同じ診断項目についての識別情報とに基づいて、撮像部3にて撮影された生体を特定する。例えば、特徴量抽出部13にて抽出された特徴量が舌の色についての情報である場合、生体特定部15は、抽出された舌の色についての上記特徴量と、記憶部6に記憶されている、舌の色についての識別情報とに基づいて、生体を特定する。なお、生体の具体的な特定方法については後述する。
(判定部)
判定部16は、特徴量抽出部13が抽出した特徴量に基づいて、生体の健康度を判定する。例えば、判定部16は、舌の色について、特徴量抽出部13が抽出した特徴量を複数のレベルに分類し、その結果、「淡紅色」のレベルであったとすると、舌の色は正常な色であり、健康であると判定する。この判定結果は、表示部4に表示されたり、外部の装置に送信されたり、必要に応じて記憶部6に記憶される。なお、判定部16は、特徴量抽出部13と一体的に構成されてもよい(判定部16が特徴量抽出部13を兼ねていてもよい)。
(制御部等)
器官画像撮影装置1は、照明制御部9、撮像制御部10、表示制御部11、操作制御部12、特徴量抽出部13、記憶制御部14、生体特定部15、判定部16、通信制御部17、音声出力制御部18を制御する全体制御部20をさらに備えている。照明制御部9、撮像制御部10、表示制御部11、操作制御部12、記憶制御部14、通信制御部17および音声出力制御部18は、上述したように、照明部2、撮像部3、表示部4、操作部5、記憶部6、通信部7および音声出力部8をそれぞれ制御する。全体制御部20は、例えばCPU(Central Processing Unit)で構成されており、記憶部6に記憶されている動作プログラムを実行する。なお、照明制御部9、撮像制御部10、表示制御部11、操作制御部12、記憶制御部14、通信制御部17および音声出力制御部18と、全体制御部20とは、一体的に(例えば1つのCPUで)構成されてもよい。
〔2.特徴量の抽出方法〕
次に、特徴量抽出部13による診断用画像からの特徴量の抽出の詳細について説明する。なお、識別用画像からの識別情報の抽出についても、特徴量の抽出と同じ方法を採用できる。このため、以下では、特徴量の抽出方法について説明し、識別情報の抽出方法についての説明を省略する。
(舌の色について)
図6は、舌の撮影画像を示している。以下では、舌の撮影画像において、舌の左右方向の中央で上下方向に帯状に形成される領域を上下方向に並ぶ3つの領域に分けたときに、それぞれの領域を、上部領域R1、中央領域R2、下部領域R3と称することとする。なお、これらの領域は、特徴量抽出部13で検出される舌の輪郭線Qで囲まれる領域の左右方向の幅W、上下方向の長さHをもとに、図6に示すサイズで規定されるが、図示したサイズは一例であり、これに限定されるわけではない。
舌の色は、血液の色を反映するため、RGBの画像データのうちで、主にR成分またはB成分が増減する。このため、舌の下部領域R3におけるRの比率(R/(R+G+B))またはBの比率(B/(R+G+B))を求めることにより、舌の色についての情報を定量化し、抽出することができる。すなわち、上記のR比率またはB比率が、舌の色についての情報を示す特徴量となる。なお、上記のRGBのデータとしては、下部領域R3を構成する複数の画素間でのRの画像データの平均値、Gの画像データの平均値、Bの画像データの平均値を用いることができる。
なお、上記特徴量の抽出の際に、舌の下部領域R3の画像データを使用しているのは、以下の理由による。すなわち、漢方医学で用いられている舌診では、舌の色は、一般に、苔の無い舌の左右端部か、舌の中心下部で診断されているが、舌の左右端部は、表面の凹凸により照明光の当たり方が変化して濃淡が発生しやすく、画像データが本来の舌の色を示す値から変動しやすいためである。
(苔の色について)
苔の色は、角化組織の分量により、白から茶色を呈するため、RGBの画像データのうちで、主にG成分または(G+R)成分が増減する。このため、舌の上部領域R1におけるGの比率(G/(R+G+B))または(G+R)の比率((G+R)/(R+G+B))を求めることにより、苔の色についての情報を定量化し、抽出することができる。すなわち、上記のG比率または(G+R)比率が、苔の色についての情報を示す特徴量となる。なお、上記のRGBのデータとしては、上部領域R1を構成する複数の画素間でのRの画像データの平均値、Gの画像データの平均値、Bの画像データの平均値を用いることができる。
なお、上記特徴量の抽出の際に、舌の上部領域R1の画像データを使用しているのは、苔は、舌粘膜の乳頭組織が角化したものであり、舌の上部から中央にかけて存在し、特に上部に多いためである。
(苔の厚さについて)
苔は、厚くなると舌の赤色から苔の白色に変化するため、RGBの画像データのうちで、主にR成分またはG成分が増減する。このため、舌の中央領域R2におけるRの比率(R/(R+G+B))またはGの比率(G/(R+G+B))を求めることにより、苔の厚さについての情報を定量化し、抽出することができる。すなわち、上記のR比率またはG比率が、苔の厚さについての情報を示す特徴量となる。なお、上記のRGBのデータとしては、中央領域R2を構成する複数の画素間でのRの画像データの平均値、Gの画像データの平均値、Bの画像データの平均値を用いることができる。
なお、上記特徴量の抽出の際に、舌の中央領域R2の画像データを使用しているのは、苔は上述のように舌の上部に存在し、中央領域R2の色が上部領域R1の色に近いか否かで、苔の厚さを判断できるためである。なお、舌の上部領域R1と中央領域R2との色の差(例えば色度差)と、中央領域R2と下部領域R3との色の差(例えば色度差)との比率を求めることにより、苔の厚さを定量化することもできる。
(苔の有無について)
苔の有無は、苔の厚さに基づいて(苔の厚さが閾値以上か否かに基づいて)判断できる。したがって、上記と同様に、舌の中央領域R2におけるRの比率(R/(R+G+B))またはGの比率(G/(R+G+B))を求めることにより、苔の有無についての情報を定量化し、抽出することができる。すなわち、上記のR比率またはG比率が、苔の有無についての情報を示す特徴量となる。
(苔の地図状分布について)
苔の地図状分布とは、苔が部分的に欠落し、その欠落した部分が点在する状態を指す。図7は、舌の中央領域R2におけるGの度数分布を、苔の地図状分布がない場合と、地図状分布がある場合とでそれぞれ示している。苔の地図状分布がない場合、苔が一様に存在しているため、図7の上段の図で示すように、Gの度数分布としては、正規分布に近い分布(極大が1つとなる分布)が得られる。
一方、地図状分布がある場合、苔の部分的な欠落によって、下地となる舌の色(R成分)が増え、G成分が少なくなる影響により、Gの度数分布としては、図7の下段の図で示すように、極大が2つとなるような分布が得られる。したがって、中央領域R2におけるGの度数分布の極大の数を検出することにより、苔の地図状分布の有無を判断することができる。なお、Gの度数分布の代わりに、Bの度数分布や、G比率(G/(R+G+B))の度数分布を用いても、上記と同様の手法により、苔の地図状分布の有無を判断することができる。したがって、中央領域R2におけるGの画像データ、Bの画像データ、G比率は、苔の地図状分布についての情報を示す特徴量であると言える。
(歯痕について)
特徴量抽出部13は、診断用画像から抽出される舌の輪郭線を近似曲線で近似して、輪郭線と近似曲線との相関度を検出する。近似曲線は、細かい凹凸の無い滑らかな曲線であるため、輪郭線がこの近似曲線に近いほど、滑らかで歯痕が少ないと言える。すなわち、輪郭線と近似曲線との相関度が高いほど歯痕が少なく、相関度が低いほど歯痕が多いことになる。このことから、上記の相関度は、診断用画像から抽出される、歯痕についての情報を示す特徴量であると言える。
判定部16は、上記相関度に基づいて、歯痕の状態を判定することができる。例えば、相関度が高い場合は、歯痕の状態が軽度(レベル1)であり、相関度が低い場合は、歯痕の状態が重度(レベル3)であり、相関度がその中間の場合は、歯痕の状態が軽度と重度との中間(レベル2)であると判断することができる。
ここで、2者の相関度を表す指標としては、例えば以下の式で表わされる決定係数R2を用いることができる。
2=1−{(Σ(yi−fi)2)/(Σ(yi−Y)2)}
ただし、
i :xy平面上で、輪郭線または近似曲線の一端部のx座標をjとし、
他端部のx座標をkとしたときの、jからkまでのいずれかの値
yi:xy平面上で、輪郭線上の点のx座標iにおけるy座標の値
fi:xy平面上で、近似曲線上の点のx座標iにおけるy座標の値
Y :輪郭線上の全ての点についてのyiの平均値
である。なお、i,j,kは、いずれも整数であり、j<kであり、j≦i≦kである。また、Σ(yi−fi)2は、iをjからkまで変化させたときの(yi−fi)2の総和を指し、Σ(yi−Y)2は、iをjからkまで変化させたときの(yi−Y)2の総和を指す。
図8は、舌の輪郭線(実線参照)およびその近似曲線(破線参照)と、近似曲線を表す多項式と、決定係数R2とを示している。近似曲線は、最小二乗法によって求められ、以下の多項式で表されている。このときの決定係数R2は、0.9942である。なお、同図の近似曲線の係数において、「E−n」の表記は、×10-nであることを示す。
y=5×10-7・x4+6×10-6・x3+2×10-3・x2+6.29×10-2・x+21.213
歯痕が重度である(輪郭線の凹凸が大きい)A部においても、歯痕が軽度である(輪郭線の凹凸が小さい)B部においても、輪郭線と近似曲線との差が決定係数R2に反映される。したがって、決定係数R2に基づいて歯痕を検出する手法を用いると、仮に、歯痕が軽度の歯痕のみである場合でも、決定係数R2に基づいて、その軽度の歯痕を検出することが可能となり、歯痕の検出精度を向上させることができる。
(湿り気について)
図9は、舌の撮影画像と舌の断面形状とを示している。舌を撮影する際、舌は口腔から前方に突き出される。その突き出された舌の上唇側の表面を撮像部3で撮影するため、舌はその上唇側の表面が撮像部3側に凸になるように湾曲している(C−C’断面参照)。なお、必要に応じて、仕様書やマニュアルに舌の出し方を規定しておき、舌を適切な撮影位置に案内するようにしてもよい。
図3で示した照明部2および撮像部3の配置で舌を撮影すると、舌の上半分に正反射領域が発生する(照明部2が撮影光軸Xに対して上方にあるため)。一方、舌の左右方向については、舌の中心と左右端がともに凹んでM字状に湾曲している(D−D’断面参照)。このような断面形状は、舌の上部から下部にかけてほぼ同様である。さらに、舌の中央部Eには、亀裂による模様が入っていることがある。したがって、ここでは、照明時の角度aを15度に設定し、舌の上半分で、かつ、左右方向の中央部および両端部を避けた残りの領域を、光沢度の検出に適した検出領域として設定する。
より具体的には、特徴量抽出部13は、舌の輪郭線Qから、舌の上下端および左右端を検出して、舌の上下の長さHおよび左右の幅Wを検出し、図10に示す位置関係となるように、舌の輪郭線Qを基準にして光沢度の検出領域R4・R5を設定している。
図11は、舌の分光分布を示すグラフである。舌は粘膜構造であり、表皮が無いため、舌の色としては、血液の色が現れる。血液は、R成分(波長600nm〜700nm)が多く、B成分(波長500nm以下)が少ない。また、舌の色が淡い場合には、R成分の比率が下がり、濃い場合にはR成分の比率が上がる。
一方、苔は角化した乳頭細胞で形成されており、白色から黄色を呈する。そして、苔が薄い場合には、下地となる舌の色が現れるため、同図のようにR成分の比率が高くなり、苔が白く、濃い場合には、G成分(波長500nm〜600nm)の比率が上がる。
生体の体調や個人差により、舌と苔の色は上記のように変化するが、B成分の変化は少ない。そこで、本実施形態では、舌の撮影画像から得られるBの画像データに基づき、以下のようにして舌の表面の光沢度を検出する。
まず、特徴量抽出部13は、撮影画像の検出領域R4・R5の各画素からBの画像データを抽出して、その度数分布を作成する。図12は、抽出したBの画像データの度数分布を模式的に示している。なお、図12の横軸は、Bの画素値(画像データ)を示し、縦軸は度数(画素数)を示している。ただし、ここでの説明を簡略化するため、画素値は、1から100までの値とし、画素値が大きいほど明るいことを示す。
次に、特徴量抽出部13は、上記の度数分布より、最大度数Npに対応する画素値Dpを求め(図12の例ではDp=70)、この画素値Dpを1.2倍した値を閾値Mとし(図12の例ではM=84)、閾値Mから画像データの最大値(最大画素値Dm=100)までの区間における度数の総和を上位画素数として積算する。なお、画素値Dpを求めるにあたって、度数の変化を連続的に示す関数を求めてこれをスムージングし、ノイズを除去してから、最大度数Npに対応する画素値Dpを求めるようにしてもよい。また、スムージング後の関数を所定の区間で積分して上位画素数を求めるようにしてもよい。
ここで、Bの画像データの度数分布は、撮影時に舌の表面での正反射がない場合、正規分布に近い分布(第1の群G1)のみとなるが、正反射がある場合、第1の群G1に、高画素値側で度数が大きい分布(第2の群G2)が加算されたものとなる。しかも、Bの画像データは、上述のように生体の体調や個人差による変化が少ないため、第1の群G1の幅(第1の群G1の最小画素値から最大画素値までの幅)は、他のRやGの画像データの度数分布(正規分布)に比べて狭くなる。その結果、第1の群G1と第2の群G2との境界(度数が減少から増加に転じるような極小となる部分)が、度数が最大となる画像データの値(画素値Dp)と画像データの最大値(画素値Dm)との間で明確に現れ、第1の群G1と第2の群G2とを容易に識別することが可能となる。光沢度を検出するためには、光沢成分(正反射成分)を含まない第1の群G1ではなく、光沢成分を表す第2の群G2に基づいて光沢度を検出することが望ましい。
そこで、特徴量抽出部13は、画素値Dpよりも大きい閾値Mを設定し、この閾値Mと画素値Dmとの間の度数の総和を上位画素数として求めることにより、第2の群G2の度数の総和に近い値を得るようにしている。
特に、Bの画像データの度数分布においては、第1の群G1と第2の群G2との境界が、画素値Dpの1.1〜1.3倍の範囲内で現れることが実験的にわかっている。このため、本実施形態では、特徴量抽出部13は、上記の閾値Mを、画素値Dpの1.1〜1.3倍の範囲内(図12の例では、1.2Dp=84)に設定し、閾値Mと画素値Dmとの間の度数の総和を上位画素数として求めるようにしている。このことから、上記の上位画素数は、診断用画像から抽出される、舌の湿り気(光沢度)についての情報を示す特徴量であると言える。
舌が乾燥している(光沢度が低い)症例では、上位画素数が少ないことがわかっており、舌が湿潤である(光沢度が高い)症例では、上位画素数が多いことがわかっている。したがって、判定部16は、上位画素数に基づいて、光沢度を例えばレベル1(光沢度高い)〜レベル3(光沢度低い)に数値化して検出することができる。
(裂紋(亀裂)について)
図13は、表面に亀裂がある舌の撮影画像を示している。舌を撮影する際、舌は口腔から前方に突き出される。その突き出された舌の上唇側の表面を撮像部3で撮影する。一般に、舌表面の亀裂は、舌の中心付近で多く発生するため、本実施形態では、撮影画像における舌の上下左右の中心部(上下左右方向の中心を含む領域)を、亀裂の検出に適した検出領域として設定している。
より具体的には、特徴量抽出部13は、求めた舌の輪郭線Qから、舌の上下端および左右端を検出して、舌の上下の長さ(縦寸法)Hおよび左右の幅(横寸法)Wを検出し、図13に示した寸法関係で定まる、縦H/4、横W/4の舌の中心領域を亀裂の検出領域Fとして設定している。
舌の表面に亀裂があると、亀裂がない場合に比べて、舌の下地がより現れるため、下地を構成する画素の画像データの取り得る値の範囲が、RGBともに広がる。このため、撮影画像の画像データの度数分布を作成したときに、度数分布の幅が広がる。特に、下地は血液の色を強く表しているため、血液の色に多く含まれるRやBについては、亀裂がない場合に比べて度数分布の幅が顕著に広がる。このような傾向は、舌表面の苔の厚さや亀裂の長さに関係なく現れることがわかっている。
そこで、本実施形態では、特徴量抽出部13は、舌の撮影画像(特に上述した検出領域Fの画像)から、例えばBの画像データの度数分布を作成するとともに、当該度数分布の広がりを示す指標として、画像データのバラツキを示す標準偏差σを演算により取得するようにしている。標準偏差σは、画像データの値が、N個の値x1、x2、・・・xNをとるとき、以下の式で示される。
Figure 2016198140
図14は、特徴量抽出部13が作成したBの画像データの度数分布を模式的に示したものであり、上段の度数分布は舌表面に亀裂がない場合を示し、下段の度数分布は舌表面に亀裂がある場合を示している。なお、これらの度数分布の横軸は、Bの画素値(画像データ)を示し、縦軸は度数(画素数)を示している。画素値は0から255までの値とし、画素値が大きいほど明るいことを示す。
上段の度数分布における標準偏差σ1を求めると、σ1=13.18であった。これに対して、下段の度数分布における標準偏差σ2を求めると、σ2=26.78であった。このことから、舌表面に亀裂があると、亀裂がない場合に比べて標準偏差σが大きくなり、度数分布の幅が広がることがわかる。ちなみに、上段の度数分布における画素値の平均値m1を求めると、m1=177.71であり、下段の度数分布における画素値の平均値m2を求めると、m2=112.75であった。以上のことから、上記の標準偏差は、診断用画像から抽出される、裂紋(亀裂)についての情報を示す特徴量であると言える。
亀裂の多い症例では、上記度数分布の標準偏差が大きく、亀裂の少ない症例では、上記度数分布の標準偏差が小さいことがわかっている。したがって、判定部16は、上記度数分布の標準偏差に基づいて、亀裂を例えばレベル1(亀裂多い)〜レベル3(亀裂少ない)に数値化して検出することができる。なお、上記の例では、Bの画像データの度数分布を用いて亀裂を検出しているが、他のRやGの画像データの度数分布を用いても亀裂を検出することは可能である。
(苔の滑らかさについて)
苔の滑らかさは、乳頭に対する付着物の量によって変化する。すなわち、付着物が少ない場合には、苔が薄く、乳頭が独立して見えるために、ざらついた感じとなる。一方、付着物が多い場合には、苔が厚く、乳頭が舌の表面を覆うために、べったりとした感じとなる。したがって、乳頭と下地とに関する画素数の比率を検出することにより、苔の滑らかさを検出することができる。
具体的には、特徴量抽出部13は、苔が付着する舌の中央付近の領域(例えば図6の中央の領域R2)において、乳頭の画素と下地の画素とを色(例えばR)の閾値によって判別し、乳頭と下地との画素数の比率を算出する。下地の比率が高い場合には、苔が薄くてざらついていると判断でき、乳頭の比率が高い場合には、苔が厚くてべったりとしていると判断できる。このことから、上記の画素数の比率は、診断用画像から抽出される、苔の滑らかさについての情報を示す特徴量であると言える。上記画素数の比率の範囲を、苔の滑らかさについての3段階に対応付けておけば、判定部16は、特徴量抽出部13によって抽出した画素数の比率に基づいて、苔の滑らかさの程度を判定することができる。
(舌の厚さについて)
図15は、照明部2による照明下で、撮像部3にて舌の表面を撮影したときに得られる画像データの分布であって、舌表面の上下方向のほぼ中心を通る水平方向における撮影画像のRGBの画像データの分布を示している。ただし、上段の分布は、舌が薄い場合のものであり、下段の分布は、舌が厚い場合のものである。なお、実線はRの画像データの分布を示し、1点鎖線はGの画像データの分布を示し、破線はBの画像データの分布を示している。
舌が厚い場合、舌はその端部から中央部にかけて上に凸となる部分を含む。このような舌表面の凸部は、照明部2に近づいて明るく照明されるため、舌の撮影画像において凸部に対応する部分では、画像データの値が増大する。逆に、舌が薄い場合、舌の表面は、端部から中央部にかけてほぼ平坦か、下に凹となる部分を含む。舌表面の平坦部や凹部は、上記の凸部に比べて照明部2から遠ざかるため、照明されても凸部よりも暗い。このため、舌の撮影画像において、表面の平坦部や凹部に対応する部分では、画像データの値が凸部に対応する部分に比べて減少する。このような傾向は、RGBのいずれの画像データについても同様である。
そこで、特徴量抽出部13が、照明部2の照明下で得られる舌の撮影画像におけるRGBのいずれかの色の水平方向の画像データの分布(単色の分布)を作成すると、判定部16は、上記画像データの分布の凹凸に基づいて、舌が厚いか、薄いかの検出を行うことが可能となる。つまり、舌の撮影画像に含まれるRGBのいずれかの色の画像データの水平方向の分布を、舌表面の凹凸の度合いを示すデータ分布として用い、凹凸の度合いを例えばレベル1(舌が厚い)〜レベル3(舌が薄い)に数値化することで、舌厚の検出を精度よく行うことができる。なお、データ分布の凹凸の度合いは、例えばデータ分布の中央部を近似する近似曲線(例えば2次式)を最小二乗法等で算出し、近似曲線の2次の係数およびその絶対値を見ることで判別することができる。ちなみに、近似曲線の2次の係数が正であれば凹形状であり、負であれば凸形状である。
なお、上記画像データの分布として、Rの成分比(R/(R+G+B))、Gの成分比(G/(R+G+B))、Bの成分比(B/(R+G+B))を示すデータの分布を用いても、上記と同様に、舌厚を精度よく検出することができる。
以上のことから、上記したRGBのいずれかの色または成分比についての水平方向のデータ(分布)は、診断用画像から抽出される、舌の厚さについての情報を示す特徴量であると言える。
〔3.生体の特定方法について〕
次に、生体特定部15による生体の特定方法(個人認証の方法)について説明する。
(ユークリッド距離を用いる方法)
図16は、記憶部6に記憶された登録者(事前登録者)、および認証対象者の診断項目についてのデータ(識別情報、特徴量)を2次元座標平面上にプロットしたものである。なお、ここでは、説明の理解がしやすいように、診断項目として舌の歯痕と苔の厚さとを考え、横軸に歯痕をとり、縦軸に苔の厚さをとっている。
また、各診断項目についてのデータ分布の偏りを排除し、認証精度(識別精度)を向上させるため、ここでは、各診断項目についてのデータを0から1の範囲に正規化している。正規化の一例としては、各診断項目についてのデータ分布の標準偏差σ(数1式参照)を求め、その最大値を1に換算している。正規化後の標準偏差σ’は、正規化前の標準偏差σと、標準偏差の最大値σmax とを用いて、以下の式で表される。
Figure 2016198140
図16において、事前登録者のデータを*印で示し、認証対象者のデータを黒丸で示す。生体特定部15は、認証対象者の特徴量に応じて決まる点(黒丸で示す第1の点)と、識別情報に応じて決まる点(*印で示す第2の点)との距離Dを、全ての登録者について算出し、その距離Dが閾値以下で、かつ、最小となるような事前登録者を探す。ちなみに、2次元の場合、距離Dは、以下の式で表される。なお、式中、XsおよびYsは、認証対象者のXYの各座標値を示し、XnおよびYnは事前登録者のXYの各座標値を示す。
Figure 2016198140
生体特定部15は、距離Dが閾値以下であり、かつ、最小となる事前登録者がいれば、認証対象者がその事前登録者(図16ではNo.4)と一致していると判定する。一方、距離Dが閾値以上であれば、認証対象者が一致する事前登録者はないと判定することができる。なお、上記閾値の設定は、事前登録者の数、特徴量(診断項目)の種類と数などにより異なるが、本実施形態では閾値として例えば0.1を考えている。
上記の例では、2次元座標での距離Dを求めて生体を特定する方法について説明したが、1次元(診断項目の数が1個)であっても、3次元以上(診断項目の数が3個以上)であっても、上記と同様の手法で生体を特定することは可能である。つまり、直交座標系において、p=(p1,p2,・・・,pn)およびq=(q1,q2,・・・,qn)がn次元ユークリッド空間内の2点とすれば、pq間の距離Dは、以下の式で表される。なお、p1〜pnは、認証対象者の診断項目ごとの特徴量に対応し、q1〜qnは、事前登録者の診断項目ごとの識別情報に対応するものとする。
Figure 2016198140
上記の式によって距離Dを算出することにより、その距離Dが閾値以下でかつ最小となる識別情報に対応する生体(事前登録者)を探して、生体を特定することができる。
特に、生体特定部15は、上述したように、複数の診断項目についての複数の特徴量と、同じ複数の診断項目についての複数の識別情報とに基づいて、生体を特定することにより、1個の特徴量と、同じ診断項目についての1個の識別情報とに基づいて、生体を特定する場合に比べて、生体の特定の精度を向上させることができる。舌診では、診断項目が上述した10個であるため(図5参照)、最大で10次元まで拡大して距離Dを算出し、生体を特定することが可能である。
なお、以上では、各診断項目についてのデータ(特徴量、識別情報)を0から1の範囲に正規化して距離Dを算出する例について説明したが、正規化は必ずしも必要ではない。例えば、データの分布が正規分布に近く、分布の偏りが小さい場合には、正規化せずに座標空間上での距離Dを算出し、算出した距離Dに基づいて生体の特定を行うことが可能である。
ところで、上述した距離Dの算出にあたって、各診断項目に重みをつけて距離Dを算出してもよい。例えば、舌の厚さ、歯痕、苔の厚さ、苔の地図状分布などは、個人差が大きく、日常の変化も少ない。このため、これらの診断項目についての情報を用いると、識別精度が高くなる。一方、舌の色、裂紋、苔の色、苔の滑らかさなどは、個人差が小さく、日常の変化もあるため、これらの診断項目についての情報を用いても、識別精度が低い。
そこで、距離Dの算出にあたって、識別精度が高い診断項目についての情報の寄与度を大きくし、識別精度が低い診断項目についての情報の寄与度を小さくすると、総合的な識別精度が向上する。例えば図16の例では、以下に示すように、距離Dの計算式において、診断項目ごとに重みの係数を掛け算すればよい。ここで、αは、舌の歯痕についての重み係数であり、βは、苔の厚さについての重み係数である。
Figure 2016198140
(マハラノビス距離を用いる方法)
以上では、距離Dとして、ユークリッド距離を用いる例について説明したが、マハラノビス距離を用いてもよい。マハラノビス距離とは、分散と変数間の相関とを考慮して計算される距離の尺度である。母集団の個数をn、診断項目ごとのデータの平均値をm、標準偏差をσ、診断項目相互の相関を表す相関行列に対する逆行列の要素をaijとし、診断項目の数をkとすると、m1、m2、・・・mkの平均値ベクトルが、母集団の作る分布(空間)の原点となる。ここで標準偏差のベクトルをσ1、σ2、・・・σk、診断項目ごとの特徴量をx1、x2、・・・xkとすると、マハラノビス距離Dは、次の式により求められる。
Figure 2016198140
特に、変数が2つ(Xi、Xj)の場合、Xi=(xi−mi)/σiとおくと、上記のマハラノビス距離Dは、以下の式で表される。なお、式中のrは、相関係数(2変数の相関の強さ)を指す。
Figure 2016198140
図17は、変数が2つ(Xi、Xj)で、両者に正の相関(Xiが増加するとXjも増加する関係)がある場合の距離の分布を示している。生体特定部15は、認証対象者の複数の特徴量(Xi、Xj)に応じて決まる点の第1のマハラノビス距離(原点からの距離)を算出するとともに、事前登録者の複数の識別情報(Xi、Xj)に応じて決まる点の第2のマハラノビス距離(原点からの距離)を個々の事前登録者ごとに算出し、第2のマハラノビス距離が第1のマハラノビス距離に最も近い事前登録者を、認証対象者と判断する。
このように、マハラノビス距離を用いることにより、複数の特徴量の各診断項目間での相関を考慮した生体の特定が可能となり、生体の特定の精度をさらに向上させることができる。
なお、以上では、変数が2つの場合について説明したが、変数が3つ以上の多変数であっても上記と同様に考えることができる。したがって、診断項目の数をnとし、nを2以上の整数としたとき、生体特定部15は、n次元空間において、複数の診断項目についてのn個の特徴量に応じて決まる点の原点からの距離を示す第1のマハラノビス距離を算出するとともに、複数の診断項目についてのn個の識別情報に応じて決まる点の原点からの距離を示す第2のマハラノビス距離を、記憶部6に記憶された個々の生体について算出し、第2のマハラノビス距離が第1のマハラノビス距離に最も近くなるような識別情報に対応する生体と、撮像部3にて撮影された生体とが一致すると判断する、と言うことができる。
〔4.動作フロー〕
次に、本実施形態の器官画像撮影装置1の動作について説明する。
(事前登録)
図18は、識別情報を記憶部6に事前に登録するときの動作の流れを示している。まず、操作部5のOKボタン5aの押圧による撮影指示を受け付けると、照明制御部9は照明部2を点灯させ(S1)、表示制御部11は、図19に示すように、舌の撮影位置を規定するための枠線Pを表示部4に表示させる(S2)。なお、枠線Pは、舌の理想的な形を模して、上部が左右方向に伸びる直線状の線(破線)で構成され、その直線状の線の下方が曲線状(楕円の半分)の線(破線)で構成されているが、この形状に限定われるわけではない。
続いて、撮像制御部10の制御により、撮像部3は、事前登録者の舌を撮影して、識別用画像を取得する(S3)。このときの撮影は、2段階で行われる。すなわち、まず、撮像部3は舌の予備撮影を行い、上記した枠線Pとともに、使用者の舌の撮影画像をリアルタイムで表示部4に動画表示する。これにより、舌の位置や角度、舌の出し方などの構図の確認を使用者に促すことができる。事前登録者は、枠線P内に収まるように舌の位置を調整することにより、舌の撮影位置を適切にすることができる。その後、撮像部3は、舌の本撮影を行い、適切な位置で撮影された舌の撮影画像を識別用画像として取得する。
撮像部3が識別用画像として取得すると、特徴量抽出部13は、識別用画像から舌の輪郭線を抽出するとともに、その輪郭線をもとに、各診断項目ごとに識別情報を抽出するための領域を設定し(S4)、設定した領域から識別情報を抽出する(S5)。このとき、舌の10個の診断項目の全てについて識別情報を抽出してもよいし、一部(例えば2〜3個の診断項目)について識別情報を抽出してもよい。なお、識別情報の抽出方法は、上述した特徴量の抽出方法と同様である。抽出した識別情報は、記憶部6に記憶される(S6)。
また、例えば医療機関で当該装置を使用する場合においては、記憶部6には、操作部5より入力されたカルテ番号などの個人の管理情報と、上記の識別情報とが対応付けられて記憶される。なお、特徴量抽出部13が抽出した識別情報を、判定部16にて複数のレベルに分類(数値化)し、そのレベル(数値)を識別情報とて記憶部6に記憶させてもよい。以上により、識別情報の事前登録が完了する。以上の処理を、複数の生体のそれぞれについて行う。
(認証および診断)
図20は、個人認証(生体特定)および診断の流れを示している。まず、操作部5のOKボタン5aの押圧による撮影指示を受け付けると、照明制御部9は照明部2を点灯させ(S11)、表示制御部11は、枠線Pを表示部4に表示させる(S12)。続いて、撮像制御部10の制御により、撮像部3は、事前登録者の舌を撮影して、診断用画像を取得する(S13)。このときの撮影も、事前登録の場合と同様に予備撮影、本撮影の2段階で行われるが、診断用画像の取得のための撮影としては、予備撮影と本撮影とを合わせて1回と考えることができる。
撮像部3が診断用画像を取得すると、特徴量抽出部13は、診断用画像から舌の輪郭線を抽出するとともに、その輪郭線をもとに、各診断項目ごとに特徴量を抽出するための領域を設定し(S14)、設定した領域から上述の手法で特徴量を抽出する(S15)。このとき、特徴量抽出部13は、舌の10個の診断項目の全てについて特徴量を抽出してもよいし、そのうちの一部(例えば2〜3個の診断項目)について特徴量を抽出してもよい。その後、生体特定部15は、抽出された特徴量と、記憶部6に記憶される個々の生体ごとの識別情報(特徴量と同じ診断項目についてのもの)との差に相当する距離(例えばユークリッド距離)を、前述の方法によって個々の生体ごとに算出し、算出した距離の中で最短である(特徴量に最も近い)識別情報を求める(S16)。そして、生体特定部15は、最短距離が閾値を超えているか否かを判断する(S17)。
S17にて、最短距離が閾値を超えている場合、生体特定部15は、認証対象者と一致する事前登録者はないと判断し(S18)、認証不可である旨を表示部4に表示させて(S19)、一連の処理を終了する。なお、S19では、認証対象者に事前登録を促すメッセージを表示部4に表示させてもよい。
一方、S17にて、最短距離が閾値以下である場合、生体特定部15は、最短距離となる識別情報に対応する事前登録者と、認証対象者とが一致すると判断し(S20)、以降の診断の処理に入る。
すなわち、特徴量抽出部13は、S13で取得した診断用画像から、舌の輪郭線を抽出し、その輪郭線をもとに、診断のための特徴量を抽出する領域を設定する(S21)。そして、特徴量抽出部13は、上記領域から、診断項目ごとの特徴量を上述の手法で抽出する(S22)。なお、S15にて、抽出した特徴量をそのまま診断に用いることもできる。この場合、上記のS21、S22の処理を省略することができる。また、S15では、2〜3個の診断項目についてのみ特徴量を抽出し、抽出した特徴量以外の診断項目についてのみ、S22にて特徴量を抽出するようにしてもよい。
続いて、判定部16は、抽出した特徴量(S15、S22の少なくとも一方で抽出した特徴量)を、複数のレベルに分類(数値化)する(S23)。例えば、S22にて、舌の色について特徴量が抽出された場合、その特徴量を図5の例にならって4段階の数値(レベル1〜レベル4)に分類し、舌の厚さについて特徴量が抽出された場合、その特徴量を図5の例にならって3段階の数値(レベル1〜レベル3)に分類する。
そして、判定部16は、分類した情報(レベル)に基づいて、認証対象者の健康度を判断する(S24)。例えば、舌の色について、「レベル3」であれば、健康度としては、正常(淡紅色で血流がよく、健康である)と判断する。また、例えば、舌の厚さについて、「レベル1」であれば、健康度としては異常(舌が薄く、血流の不足や水分不足が生じている)と判断する。
判定部16にて数値化された情報、健康度の診断結果、撮影日時、診断日時等の情報は、表示部4に表示され、記憶部6に記憶される(S25)。表示部4での表示により、認証対象者は各診断項目についての数値化情報または健康度を把握することができる。なお、S24での処理を省略し(当該装置にて健康度の判断を行わず)、S25にて、判定部16が数値化した情報を外部に転送して外部にて使用者の健康度を判断し、その結果を当該装置が受信して表示部4にて表示するようにしてもよい。
最後に、カルテに相当する記憶部6のテーブルに、認証対象者の健康度の診断結果(舌の色等についての情報を含む)と、その他の情報(例えば脈、血圧、体温など)とが生体ごとに統合される(S26)。このような診断情報の統合処理は、舌以外についての問診や検査も行う医療機関において必要となる処理であるが、舌だけで健康度の診断を行う場合は、S26の処理を省略することも可能である。
以上のように、健康度の診断に用いる特徴量を、生体の特定用の情報としても用いるため、撮像部3にて診断用画像を1回取得すれば、その診断用画像から特徴量を抽出して、生体の特定と、健康度の診断とを行うことができる。したがって、生体の特定と健康度の診断とで、別々の画像を取得する必要がなく、生体の特定後に、診断のための画像取得、すなわち、撮像部3による再撮影を行う必要がなくなる。その結果、認証対象者に対して、生体特定後の再撮影による煩わしさを与えることなく、健康度の診断支援を確実に行うことができる。
また、診断用画像を取得する撮像部3は1つだけで済み、診断用とは別に、生体を特定する専用の特殊な撮像装置を設ける必要はない。これにより、低コストで容易に生体の特定を行うことができる。
また、記憶部6に記憶される識別情報は、予め、撮像部3によって個々の生体の器官を撮影して取得された識別用画像から、特徴量抽出部13によって抽出された情報である。したがって、外部の装置から通信によって識別情報を取得したり、記録媒体を介して識別情報を取得する必要がなくなるため、記憶部6に記憶された識別情報を用いて、生体の特定の処理を迅速に行うことができる。また、既存の撮像部3および特徴量抽出部13を用いて識別情報を取得し、記憶部6に記憶されるため、既存の構成の有効利用にもなる。
また、当該装置は、判定部16を備えているため、判定部16によって健康度を判定する構成、つまり、当該装置にて健康度を判定する構成において、上述した本実施形態の効果を得ることができる。
また、生体の特定(識別)において、従来のように、顔の情報を用いる場合、個々の生体について顔の画像を記憶部に記憶させておく必要がある。しかし、顔については他人が見ると、その顔が誰の顔であるか識別できるため、顔の情報を保存するのに抵抗感が生じる。また、顔の情報を記憶部に記憶させても、化粧や日焼けなどの外的要因によって顔の情報が変化するため、生体の識別精度が低下するおそれがある。また、指紋を用いて生体を識別する場合、指紋は犯罪履歴に用いられるため、保存に抵抗感がある。
この点、本実施形態では、生体の特定のために舌の情報(特徴量)を用いている。舌は、日常生活でほとんど表に現れないため、舌の画像の保存に抵抗感が生じることはなく、日焼けなどの外的要因による識別精度の低下の心配もない。
また、RGBの光を含む可視光を使って器官を撮影し、画像を取得するため、赤外線やX線を照射あるいは検出する装置を用いる構成に比べて低コストである。さらに、診断用画像を用いて生体を識別するため、カード読み取り装置など、生体を識別するための機器の追加も不要であり、コストもかからない。また、個々の生体の識別番号などの入力も不要で、手間もかかず、入力ミスなどのヒューマンエラーもなくなる。さらに、カルテ、問診票、過去の記録などの他のデータとの照合ができるため、便利である。
〔5.プログラムについて〕
以上で説明した器官画像撮影装置1は、例えば、所定のプログラム(アプリケーションソフトウェア)をインストールしたスマートフォンのような多機能携帯端末(コンピュータ)で構成することができる。上記プログラムをコンピュータ(例えばCPUとしての全体制御部20)が読み取って実行することにより、器官画像撮影装置1における上述した各処理を実現することができる。このようなプログラムは、例えばネットワークを介してダウンロードすることによって取得され、記憶部6に記憶される。
〔6.その他〕
以上では、生体が人間である場合について説明したが、人間以外の動物であってもよい。例えば、ペットや家畜などの動物であっても、本実施形態の手法を適用して、生体の特定(認証)および診断が可能である。この場合、個体の識別が難しい動物を適切に識別して診断することができる。
以上では、撮影対象である生体の器官が舌である場合について説明したが、対象器官は舌には限定されない。例えば、生体の唇や瞼などの粘膜組織でも、本実施形態の手法を適用して生体を特定し、識別することが可能である。また、眼の下の色や形により、血流や水分代謝の良否を診断することができる。さらに、胃や腸などの消化器官の内視鏡画像を診断用画像として用いることによっても、識別と診断とが可能である。また、体内器官のX線画像や超音波画像を診断用画像として用いることによっても、識別と診断とが可能である。また、例えば医療機関においては、診断用画像を用いた生体の特定により、カルテへの番号入力ミス(例えば特定した生体とカルテに記載されている生体との不一致)などを検証することもできる。
本発明は、生体の器官を撮影し、健康度の診断に必要な情報を抽出する装置に利用可能である。
1 器官画像撮影装置
3 撮像部
6 記憶部
13 特徴量抽出部
15 生体特定部
16 判定部

Claims (10)

  1. 生体の器官を撮影して、健康度の診断に用いる診断用画像を取得する撮像部と、
    前記診断用画像から、健康度の診断項目についての情報を特徴量として抽出する特徴量抽出部とを備え、抽出した前記特徴量に基づく健康度の診断を支援する器官画像撮影装置であって、
    個々の生体について予め取得した前記診断項目についての情報を、識別情報として記憶する記憶部と、
    前記特徴量抽出部によって抽出された前記特徴量と、前記記憶部に記憶されている前記識別情報とに基づいて、前記撮像部にて撮影された生体を特定する生体特定部とを備えていることを特徴とする器官画像撮影装置。
  2. 前記識別情報は、予め、前記撮像部によって個々の生体の器官を撮影して取得された識別用画像から、前記特徴量抽出部によって抽出された前記診断項目についての情報であることを特徴とする請求項1に記載の器官画像撮影装置。
  3. 前記生体特定部は、複数の前記診断項目について、前記特徴量抽出部によって抽出された複数の前記特徴量と、同じ複数の診断項目について、前記記憶部に記憶されている複数の前記識別情報とに基づいて、前記撮像部にて撮影された生体を特定することを特徴とする請求項1または2に記載の器官画像撮影装置。
  4. 前記診断項目の数をnとし、nを1以上の整数としたとき、
    前記生体特定部は、n次元空間において、前記診断項目についてのn個の前記特徴量に応じて決まる第1の点と、前記診断項目についてのn個の前記識別情報に応じて決まる第2の点とのユークリッド距離が閾値以下で、かつ、最小となるような、前記第2の点を検出し、検出した前記第2の点に対応する生体と、前記撮像部にて撮影された生体とが一致すると判断することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の器官画像撮影装置。
  5. 前記生体特定部は、複数の前記診断項目について、前記特徴量抽出部によって抽出された複数の前記特徴量と、同じ複数の診断項目について、前記記憶部に記憶されている複数の前記識別情報と、複数の前記特徴量の各診断項目間での相関とに基づいて、前記撮像部にて撮影された生体を特定することを特徴とする請求項1または2に記載の器官画像撮影装置。
  6. 前記診断項目の数をnとし、nを2以上の整数としたとき、
    前記生体特定部は、n次元空間において、複数の前記診断項目についてのn個の前記特徴量に応じて決まる点の原点からの距離を示す第1のマハラノビス距離を算出するとともに、複数の前記診断項目についてのn個の前記識別情報に応じて決まる点の原点からの距離を示す第2のマハラノビス距離を、前記記憶部に記憶された個々の生体について算出し、前記第2のマハラノビス距離が前記第1のマハラノビス距離に最も近くなるような前記識別情報に対応する生体と、前記撮像部にて撮影された生体とが一致すると判断することを特徴とする請求項5に記載の器官画像撮影装置。
  7. 前記器官は、舌であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の器官画像撮影装置。
  8. 前記診断項目は、舌の色、舌の形状、苔の色、苔の形状の少なくともいずれかに関する項目を含むことを特徴とする請求項7に記載の器官画像撮影装置。
  9. 前記診断項目は、舌の厚さ、歯痕、苔の厚さ、苔の地図状分布の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項8に記載の器官画像撮影装置。
  10. 前記特徴量抽出部が抽出した前記特徴量に基づいて、生体の健康度を判定する判定部をさらに備えていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の器官画像撮影装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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