JP2016196922A - Method for manufacturing slide member and slide member manufactured by the manufacturing method - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、プロペラシャフト等の摺動部材の製造方法及びその製造方法で製造された摺動部材に関する。 The present invention relates to a manufacturing method of a sliding member such as a propeller shaft and the sliding member manufactured by the manufacturing method.
通常、プロペラシャフト等の摺動部材には、滑らかに摺動することが求められる。しかし、摺動部材の滑らかな摺動を阻害する現象としてスティックスリップが知られている。スティックスリップは、摩擦面間に生ずる微視的な摩擦面の付着、滑りの繰り返しによって引き起こされる自励振動である。この自励振動は、機械振動系の摩擦による減衰が負の特性を有するときに生じるものであり、摩擦係数が滑り速度の増加とともに低下する場合や、静摩擦から動摩擦に移るときの不連続な摩擦低下が生ずる場合などに発生する。 Usually, a sliding member such as a propeller shaft is required to slide smoothly. However, stick-slip is known as a phenomenon that hinders smooth sliding of the sliding member. Stick-slip is self-excited vibration caused by microscopic adhesion between the friction surfaces and repeated sliding. This self-excited vibration occurs when the damping due to friction of the mechanical vibration system has a negative characteristic, and it occurs when the friction coefficient decreases as the sliding speed increases or when discontinuous friction changes from static friction to dynamic friction. Occurs when a drop occurs.
このような、スティックスリップの発生を抑制するために、特許文献1,2には、プロペラシャフトの摺動面に、無電解NiPめっき、樹脂コーティングの固体潤滑皮膜を施して摩擦係数を低減することが記載されている。 In order to suppress the occurrence of such stick-slip, Patent Documents 1 and 2 disclose that the sliding surface of the propeller shaft is subjected to a solid lubricating film of electroless NiP plating or resin coating to reduce the friction coefficient. Is described.
特許文献1の技術では、無電解NiPめっきをコーティングすることにより、スティックスリップの発生を抑制できる。しかし、コストが高い。また、特許文献2に記載された樹脂コーティングの固体潤滑皮膜では、無電解NiPめっきと比して安価である。しかし、無電解NiPめっきと比べると強度(硬度)に乏しく、耐摩耗性に問題がある。 In the technique of Patent Document 1, the occurrence of stick-slip can be suppressed by coating electroless NiP plating. However, the cost is high. Further, the resin-coated solid lubricant film described in Patent Document 2 is less expensive than electroless NiP plating. However, compared with electroless NiP plating, the strength (hardness) is poor, and there is a problem in wear resistance.
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、スティックスリップの発生を低減でき、低コストで耐久性に優れる摺動部材の製造方法及びその製造方法で製造された摺動部材を提供することを目的とする。 The present invention has been made in view of the above problems, and provides a manufacturing method of a sliding member that can reduce the occurrence of stick-slip, is low in cost, and has excellent durability, and a sliding member manufactured by the manufacturing method. For the purpose.
上記課題を解決するため、基材の外面に、前記基材の外面より摩擦係数の低い皮膜をコーティングして形成される請求項1に係る摺動部材の製造方法においては、前記摺動部材は、スプラインシャフトであり、前記基材の前記外面は、鋭部を有さない。 In order to solve the above-mentioned problem, in the manufacturing method of the sliding member according to claim 1, wherein the outer surface of the base material is formed by coating a coating having a lower coefficient of friction than the outer surface of the base material, , A spline shaft, and the outer surface of the substrate does not have a sharp portion.
このように、基材の外面には鋭部がない。このため、基材の外面上に皮膜が形成された場合、鋭部によって皮膜上に過大な応力が発生することを抑制することができるので、摺動時における皮膜上の面圧が減少し、皮膜の耐摩耗性が向上する。従って、安価な皮膜を用いても、耐久性に優れ、かつスティックスリップの発生を低減できる低コストな摺動部材が提供できる。 Thus, there are no sharp parts on the outer surface of the substrate. For this reason, when a film is formed on the outer surface of the substrate, it is possible to suppress the occurrence of excessive stress on the film due to the sharp part, so the surface pressure on the film during sliding decreases, Abrasion resistance of the film is improved. Therefore, even if an inexpensive film is used, it is possible to provide a low-cost sliding member that has excellent durability and can reduce the occurrence of stick-slip.
また、上記課題を解決するため、請求項9に係る摺動部材は、スプラインシャフトであり、基材の外面に、前記基材の外面より摩擦係数の低い皮膜をコーティングして形成され、前記基材の前記外面は、鋭部を有さない。これにより、請求項1と同様の摺動部材が提供できる。 In order to solve the above-mentioned problem, the sliding member according to claim 9 is a spline shaft, and is formed by coating the outer surface of the base material with a film having a lower friction coefficient than the outer surface of the base material. The outer surface of the material does not have a sharp portion. Thereby, the sliding member similar to claim 1 can be provided.
(1.概要)
本実施形態として、自動車のプロペラシャフトなどに使用される摺動式のスプラインシャフトを例に挙げて説明する。ただし、本発明のスプラインシャフトは、自動車のプロペラシャフト以外にも、摺動式のスプラインシャフトを備えた他のプロペラシャフトにも適用できる。また、プロペラシャフトに限らずスプライン係合する他のスプラインシャフトに適用できる。
(1. Overview)
As this embodiment, a sliding spline shaft used for a propeller shaft of an automobile will be described as an example. However, the spline shaft of the present invention can be applied to other propeller shafts having a sliding spline shaft in addition to the propeller shaft of an automobile. Further, the present invention can be applied not only to the propeller shaft but also to other spline shafts engaged with the spline.
図1に示すように、プロペラシャフト10は、雄スプライン11aを有する雄スプラインシャフト11と、雌スプライン21aを有する雌スプラインシャフト21と、を備える。雄スプラインシャフト11が、本発明に係る摺動部材(スプラインシャフト)に相当する。雄スプラインシャフト11は、雌スプラインシャフト21に対してスプライン嵌合し、軸方向に相対的に摺動可能に設けられている。このような構成により、雄スプラインシャフト11及び雌スプラインシャフト21は、軸線回りに回転する場合において相互に回転トルクの伝達が可能であって、軸方向に相対移動可能である。図示しないが、噛合する雄スプライン11aと雌スプライン21aとの間のスプライン摺動部位には、潤滑剤としてのグリースが存在している。
As shown in FIG. 1, the
雄スプラインシャフト11は、円柱からなる素材(鋼材)に対し、雄スプライン11aが公知のホブ盤によりホブ加工された後、後述する鋭部除去工程(S20)、及び皮膜のコーティング等が実施されて形成される。雄スプラインシャフト11を形成する素材の材料は、例えばS30Cを例示できる。なお、本実施形態において、雄スプラインシャフト11の素材はS30Cで形成されているが、鋼材、または、金属材料であればこれに限らない。
The male spline shaft 11 is subjected to a sharp part removing step (S20) described later and coating of a film after the
なお、以降においては、説明の都合上、雄スプラインシャフト11の素材を素材16とし、素材16をホブ加工して形成した雄スプラインを雄スプライン16aとする。また、雄スプライン16aに対して後述する鋭部除去を行なった後の雄スプラインシャフトを基材26とし、基材26の雄スプラインを雄スプライン26aとする。さらに、基材26に対して皮膜18のコーティングを行なった雄スプラインシャフトを雄スプラインシャフト11とする。即ち、鋭部16a1を有する雄スプライン16aと,鋭部16a1を有さない雄スプライン26aと、雄スプライン26aに対して皮膜18がコーティングされた雄スプライン11aと、を区別して説明する。
Hereinafter, for convenience of explanation, the material of the male spline shaft 11 is referred to as a
(2.雄スプラインシャフト11の製造方法詳細)
次に、本発明に係る雄スプラインシャフト11の製造方法について図2〜図9に基づき説明する。雄スプラインシャフト11の製造方法は、図2のフローチャートに示すように、ホブ加工工程(S10)と、鋭部除去工程(S20)と、コーティング工程(S30)と、を備える。
(2. Details of manufacturing method of male spline shaft 11)
Next, the manufacturing method of the male spline shaft 11 which concerns on this invention is demonstrated based on FIGS. As shown in the flowchart of FIG. 2, the manufacturing method of the male spline shaft 11 includes a hobbing process (S10), a sharp part removing process (S20), and a coating process (S30).
ホブ加工工程(S10)は、ホブ盤が、雄スプラインシャフト11(スプラインシャフトに相当)の素材16に対し、図3に示すように、予め設定された所定のピッチPでホブ加工して、外面に鋭部16a1(後に詳述する)を有する雄スプライン16aを形成する工程である。なお、図3は、素材16の軸線方向で切断した雄スプライン16aの歯の側面における断面形状である。
In the hobbing step (S10), the hobbing machine hobbs the
図4A,図4Bに示すように、ホブ盤は、円筒状の外周面に螺旋状に配置された多数の刃を有するホブ40と、雄スプライン16aが形成される素材16と、を回転させ、ホブの刃を素材16の接線方向(ホブ40の回転軸線方向)に送りながら、その刃により素材16を歯筋方向(素材16の軸線方向)に切削する加工装置である。
As shown in FIGS. 4A and 4B, the hobbing machine rotates a
ホブ40により、雄スプライン16aの表面は、図3に示したように、微細な凹凸が形成される。この微細な凹凸は、素材16の被加工面がホブ40の刃410,411で切削されることで形成される。微細な凹凸の凸部の頂点の突起が本発明に係る鋭部16a1に相当する。
As shown in FIG. 3, fine irregularities are formed on the surface of the
詳細に説明すると、雄スプライン加工では、まず、ホブ40の刃410が素材16に当たって、素材16の表面が切削される(図4A)。その後、素材16が軸線方向に移動し(送られ)、次のホブ40の刃411が、図4Bに示すように、先の切削位置から僅かにずれた位置に当たり、素材16の表面が図4Aと同様に切削される。そして、次のホブ40の刃がさらにずれた位置に当たり、素材16の表面が同様に切削される。この切削が繰り返されて、雄スプライン16aが形成される。
More specifically, in the male spline processing, first, the
図4A,図4Bに示したように、ホブ40の刃410,411が素材16を切削する刃先(素材16を切削する当接部)は、直線ではなく、弧を描く。図4Bに示したように、連続する二つのホブ40の刃410,411のそれぞれが描く弧により、微細な凹凸が形成される。そして、雄スプライン16aでは、このホブ40による加工が繰り返されることで、鋭部16a1を有する図3に示した微細な凹凸を備えた素材16が形成される。
As shown in FIGS. 4A and 4B, the
雄スプライン16aの表面の凹凸形状は、ホブ40での加工条件により決定できる。具体的には、ホブ40による加工時の素材16の送り速度を調節することで、凹凸形状の凸の先端の距離(ピッチP)を調節することができる。素材16の送り速度を早くすると図4A〜図4Bに至るまでの移動距離が長くなり、ピッチPが大きく(広く)なる。遅くなるとピッチPが小さく(狭く)なる。ピッチPは、後に鋭部除去工程(S20)によって鋭部16a1を除去する際の除去のし易さ等を考慮して、任意に設定すればよい。
The uneven shape on the surface of the
また、同様に送り速度を調節することで、凸の先端(鋭部16a1)の高さH(凹の深さ)を調節することができる。素材16の送り速度を早くすると凸の高さHが高く(凹の深さが深く)なり、遅くすると凸の高さHが低く(凹の深さが浅く)なる。凸の高さHについてもピッチPと同様の理由に基づいて、任意に設定すればよい。
Similarly, the height H (concave depth) of the convex tip (sharp part 16a1) can be adjusted by adjusting the feed rate. When the feed speed of the
一方、雌スプラインシャフト21の雌スプライン21aは、ブローチ盤によって加工される。図示しないが、ブローチ盤は、外周面に刃が形成された棒状のブローチを雌スプラインシャフト21の素材から引き抜くことにより、雌スプライン21aを切削し形成する。
On the other hand, the
このように、本実施形態では、基材26の雄スプライン26aの基本形状となる素材16の雄スプライン16aを形成する加工装置と、雌スプライン21aを形成する加工装置とが異なる。従って、その加工された切削面(歯面)状態が異なる。つまり、図3に示すように、雄スプライン16aの側面の切削面には軸線方向に沿って前述した凹凸が形成される。これに対し、雌スプライン21aの側面の切削面(側面)は、雄スプライン16aの切削面よりも平坦に形成される。
Thus, in this embodiment, the processing apparatus which forms the
鋭部除去工程(S20)は、ホブ加工により生成された雄スプライン16aの鋭部16a1を除去(D)して基材26の雄スプライン26a(図5参照)を生成する工程である。その具体的方法として、例えば公知のショットブラストが例示できる。つまり、複数の微小な鋼球を鋭部16a1に吹付けて鋭部16a1を除去する。鋭部16a1が除去できたか否かについては、1本ずつ拡大鏡で確認し判定してもよい。また、別の方法として、確実に鋭部16a1の除去が可能なショットブラストの条件を事前に取得し、その条件に基づいてショットブラストを行なうようにしても良い。なお、実際のショットブラストの実施態様については、限定しない。どのような吹付け部材、方法を用いて実施してもよい。この工程により、鋭部除去工程(S20)後における基材26は、雄スプライン26aの外面に鋭部16a1を有さない状態となる。
The sharp portion removing step (S20) is a step of removing (D) the sharp portion 16a1 of the
コーティング工程(S30)は、鋭部除去工程(S20)により生成された基材26の外面に、基材26の外面より摩擦係数の低い皮膜をコーティングする工程である。図6,図7に示すように、コーティング工程(S30)では、基材26の雄スプライン26aの表面に、下地層17および樹脂コーティング皮膜である皮膜18が形成される。つまり、鋼材からなる基材26の表面に、下地層17が形成され、下地層17の表面に、表層である皮膜18が形成される。この皮膜18には、樹脂をバインダとし、固体潤滑剤を配合した安価な乾性皮膜(ドライコート)が適用される。このように、高価なNiPめっき等の皮膜ではなく乾性皮膜を適用することにより、低コスト化を図ることができる。
The coating step (S30) is a step of coating the outer surface of the
雄スプライン26aの皮膜18は、雌スプラインシャフト21の雌スプライン21aの表面と摺動可能な皮膜である。なお、本実施形態では、雄スプライン26aの表面には下地層17および皮膜18を形成し、雌スプライン21aの表面には皮膜18を形成しない構成としたが、雌スプライン21aの表面にも皮膜18を形成してよい。この場合、雄スプライン26aと同様、雌スプライン21aの表面に下地層を形成し、その後、皮膜18を形成してもよい。
The
下地層17は、雄スプライン26aの表面に、1〜5μmの範囲の厚さからなるリン酸塩の層で形成される。下地層17は、鋼材製の雄スプライン26a(基材26)を保護(耐蝕性)する機能、及び雄スプライン26a(基材26)と皮膜18(樹脂コーティング)との接合性を高める機能が発揮できる表面処理層であれば限定されるものではない。即ち、上記機能が発揮できる表面処理層であれば、他の公知の表面処理層と置換でき、例えば、リン酸塩での処理皮膜やカップリング材での処理皮膜等を例示できる。
The
下地層17の具体的な処理について説明する。下地層17の形成のため、基材26の雄スプライン26aの表面がアルカリ脱脂処理により洗浄されることによって、リン酸亜鉛もしくはリン酸マンガンなどのリン酸塩からなる下地層17が形成される。この下地層17により、皮膜18との密着性が高められる。
Specific processing of the
続いて、表層になる皮膜18が、大気雰囲気中にて、溶液状態で下地層17の表面にスプレーによって塗装され、その後、大気雰囲気中にて焼成が行なわれる。なお、焼成は、安価なため大気雰囲気中で実施すると説明したが、窒素雰囲気中で実施してもよい。
Subsequently, the
図6に示すように、皮膜18(樹脂コーティング)には、エポキシ樹脂(EP)及びフェノール樹脂(PF)の混合物よりなる樹脂バインダ31と、樹脂バインダ31に結着された固体潤滑剤である二硫化物33,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)34およびポリエチレン(PE)32と、が含まれている。これらの成分比率は、下記表1のとおりである。
As shown in FIG. 6, the film 18 (resin coating) includes a
なお、樹脂バインダ31には、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂の混合物を用いているが、エポキシ樹脂のみ、あるいはフェノール樹脂のみ、であってもよい。また、固体潤滑剤では二硫化物33として二硫化モリブデン(MoS2)を例に挙げて記載している。もちろん、二硫化物として、二硫化タングステン(WS2)も適用可能である。さらに、固体潤滑剤には、グラファイトやカーボンナノチューブも適用可能である。本発明では、カーボンナノチューブは、フラーレンを含む。なお、本実施形態では表1に示した固体潤滑剤を用いているが、これらの潤滑剤を単独で、あるいは異なる組み合わせとしてもよい。さらに、皮膜18には、その他の従来公知の添加剤を適宜含ませてもよい。
In addition, although the mixture of an epoxy resin and a phenol resin is used for the
皮膜18の膜厚は、5〜100μmの範囲の厚さであり、密着性および耐摩耗性の観点からより好ましくは10〜40μmの範囲の厚さであり、生産効率の観点から更に好ましくは10〜30μmの範囲の厚さである。
The
本実施形態において、樹脂バインダ31のエポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合割合(質量割合)は、固体潤滑剤を結着するバインダとしての機能を発揮できるものであれば限定されるものではないが、エポキシ樹脂100質量%に対してフェノール樹脂25〜100質量%である。好ましい質量比率は、エポキシ樹脂100質量%に対してフェノール樹脂65〜75質量%である。
In the present embodiment, the mixing ratio (mass ratio) of the epoxy resin and the phenol resin in the
樹脂バインダ31に結着される固体潤滑剤の具体的な材質,質量比率,粒径(平均粒径)についても、限定されるものではない。ポリエチレン32は、平均粒径1〜30μmであり、皮膜18全体に対する質量比率は、5〜10質量%である。ポリエチレン32の平均粒径は、皮膜18の膜厚に応じて適宜選択する。二硫化物33は、平均粒径1〜5μmであり、皮膜18全体に対する質量比率は、10〜15質量%である。PTFE34は、平均粒径1〜10μmであり、皮膜18全体に対する質量比率は、10〜15質量%である。本実施形態では、二硫化物33、PTFE34およびポリエチレン32の比率は、二硫化物(二硫化モリブデン):PTFE:ポリエチレン=3.8:3.8:2.5とするとよい。このように、少なくとも、ポリエチレン32の比率は、二硫化物33およびPTFE34と同一もしくはそれ以下とする。
The specific material, mass ratio, and particle size (average particle size) of the solid lubricant bound to the
皮膜18は、表2に示すような組成の溶液とし、当該溶液を塗布することで形成することができる。溶液の溶剤には、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、メチルイソブチルケトン、フェノール、オルソクレソールより選ばれる1種又は2種以上の混合溶媒をあげることができる。これにより、雄スプラインシャフト11が形成される。
The
(3.従来技術との比較)
本実施形態では、鋭部除去工程(S20)によって鋭部16a1の除去加工を実施するので、基材26の雄スプライン26aの外面は鋭部16a1を有さない。このため、鋭部16a1を有さない雄スプライン26a上に、コーティング工程(S30)によって皮膜18がコーティングされ、雄スプラインシャフト11(雄スプライン11a)が形成される。しかし従来技術では、ホブ加工の後に鋭部除去工程を有していない。このため、皮膜18のコーティング後では、雄スプラインSPの表面は、図8(イメージ図)に示すような断面形状となる。
(3. Comparison with conventional technology)
In this embodiment, since the removal process of the sharp part 16a1 is performed by the sharp part removing step (S20), the outer surface of the
このときの鋭部Tの近傍の皮膜18内部では、雌スプラインとの間での摺動時に生じる応力が、図8に示すように大きな応力Sb(図8中、黒で塗りつぶされた範囲参照)となる。このため、皮膜18は、早期に摩耗し耐久性が低い。しかしながら、本実施形態では、図9のイメージ図に示すように、鋭部16a1を有さない雄スプライン26aの外面上に皮膜18がコーティングされ雄スプラインシャフト11が形成される。これにより、図9に示すように、雌スプライン21aとの間での摺動時に皮膜18に生じる応力Ssが小さくなっている(図9中、黒で塗りつぶされた範囲参照)。このため、雌スプライン21aとの間で摺動しても、皮膜18に発生する応力が従来技術に対して小さくなった分だけ耐摩耗性が向上する。このように、雄スプライン16aに対し鋭部16a1の除去を行なうという簡易な方法によって、低コストな皮膜18(ドライ樹脂コーティング)が利用できるようになり、よって低コストに信頼性の高い雄スプラインシャフト11が得られる。
In the
なお、上記実施形態では、鋭部除去工程(S20)において、ショットブラストにより鋭部16a1を除去すると説明したが、この態様には限らない。鋭部16a1は、所定の加工機による切削加工で除去しても良いし、放電加工により除去しても良い。また、鋭部16a1を、冷間コイニングで除去しても良い。これらによっても同様の効果が得られる。 In the above-described embodiment, it has been described that the sharp part 16a1 is removed by shot blasting in the sharp part removing step (S20), but the present invention is not limited to this aspect. The sharp portion 16a1 may be removed by cutting with a predetermined processing machine, or may be removed by electric discharge machining. Further, the sharp portion 16a1 may be removed by cold coining. The same effect can be obtained by these.
<変形例>
次に、変形例について図10,図11に基づいて説明する。上記実施形態では、雄スプラインシャフト11を製造するのに、ホブ加工工程(S10)と、鋭部除去工程(S20)を有した。しかし、この態様に限らず、ホブ加工工程(S10)と、鋭部除去工程(S20)とを放電加工工程(S100)に置き換えても良い。つまり、第二実施形態に係る雄スプラインシャフト111の製造方法では、図10に示すように放電加工工程(S100)と、コーティング工程(S110)と、を備える。
<Modification>
Next, a modification is demonstrated based on FIG. 10, FIG. In the said embodiment, in order to manufacture the male spline shaft 11, it had a hobbing process (S10) and the sharp part removal process (S20). However, the present invention is not limited to this, and the hobbing process (S10) and the sharp part removing process (S20) may be replaced with the electric discharge machining process (S100). That is, the method for manufacturing the
放電加工工程(S100)では、図11に示すように、雄スプラインシャフト111の素材に対し、放電加工によって外面に雄スプライン126aを形成して基材126を形成する。このとき、雄スプライン126aの外面(側面)には鋭部を有さない平滑面Fが同時に形成される(参照)。このように、放電加工工程(S100)の終了時において、雄スプライン126a(基材126)は、すでに鋭部を有さないので、鋭部除去工程は不要である。
In the electric discharge machining step (S100), as shown in FIG. 11, the
次に、コーティング工程(S110)では、第一実施形態におけるコーティング工程(S30)と同様の方法によって、放電加工工程(S100)により生成された基材126の外面に皮膜18をコーティングする。これにより、第一実施形態と同様の効果を有する雄スプラインシャフト111が得られる。
Next, in the coating step (S110), the
(4.上記実施形態による効果)
上記実施形態及び変形例によれば、基材26,126の外面に、基材26,126の外面より摩擦係数の低い皮膜18をコーティングして形成される摺動部材の製造方法において、摺動部材は、雄スプラインシャフト11,111(スプラインシャフト)であり、基材26,126の外面は、鋭部16a1を有さない。
(4. Effects of the above embodiment)
According to the embodiment and the modification, in the method for manufacturing a sliding member formed by coating the outer surfaces of the
このように、基材26,126の外面には鋭部16a1がない。このため、基材26,126の外面上に皮膜18が形成された場合、鋭部16a1によって皮膜18上に過大な応力が発生することを抑制できる。これにより、雌スプライン21aとの摺動時における皮膜18上の面圧が減少し、皮膜18の耐摩耗性が向上する。従って、耐久性に優れ、かつスティックスリップの発生を低減できる雄スプラインシャフト11,111(摺動部材)が提供できる。
Thus, there are no sharp portions 16a1 on the outer surfaces of the
また、上記実施形態によれば、雄スプラインシャフト11(摺動部材)の製造方法は、雄スプラインシャフト11(スプラインシャフト)の素材16に対し、予め設定された所定のピッチPでホブ加工して、外面に鋭部16a1を有する雄スプライン16a(スプライン)を形成するホブ加工工程(S10)と、ホブ加工により生成された鋭部16a1を除去して基材26を生成する鋭部除去工程(S20)と、鋭部除去工程(S20)により生成された基材26の外面に皮膜18をコーティングするコーティング工程(S30)と、を備える。これにより、耐久性に優れ、かつスティックスリップの発生を低減できる雄スプラインシャフト11,111(摺動部材)が提供できる。
Further, according to the above embodiment, the manufacturing method of the male spline shaft 11 (sliding member) is performed by hobbing the
また、上記実施形態によれば、鋭部除去工程(S20)は、雄スプライン16a(スプライン)の歯の側面に生成された鋭部16a1を除去する。このように、雄スプラインシャフト11の雄スプライン11aと雌スプライン21aとの間の摺動部分に対して鋭部16a1が除去されるので、雄スプライン11aと雌スプライン21aとの間の耐久性が向上し、スティックスリップの発生が効果的に抑制できる。
Moreover, according to the said embodiment, a sharp part removal process (S20) removes the sharp part 16a1 produced | generated on the side surface of the tooth | gear of the
また、上記実施形態によれば、雄スプライン11aにコーティングされる皮膜18は、樹脂コーティング皮膜であり、樹脂コーティング皮膜は、バインダとして、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂の少なくとも一方と、固体潤滑剤として、二硫化モリブデンと二硫化タングステンのうち少なくとも一方の二硫化物、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、および、ポリエチレンと、を含む。このように、皮膜18は、NiPめっきより安価に対応できる。これにより、耐久性に優れ、かつスティックスリップの発生を低減できる雄スプラインシャフト11,111(摺動部材)が低コストで提供できる。
Further, according to the above embodiment, the
10・・・プロペラシャフト、 11,111・・・雄スプラインシャフト(スプラインシャフト)、 11a,16a,26a,126a・・・雄スプライン、 16・・・素材、 16a1・・・鋭部、 17・・・下地層、 18・・・皮膜、 26,126・・・基材、 31・・・樹脂バインダ、 32・・・ポリエチレン、 33・・・二硫化物、 40・・・ホブ、 S10・・・ホブ加工工程、 S20・・・鋭部除去工程、 S30,S110・・・コーティング工程、 S100・・・放電加工工程。
10 ...
Claims (9)
前記摺動部材は、スプラインシャフトであり、
前記基材の前記外面は、鋭部を有さない、摺動部材の製造方法。 A method for manufacturing a sliding member formed by coating a film having a lower coefficient of friction than the outer surface of the base material on the outer surface of the base material,
The sliding member is a spline shaft,
The said outer surface of the said base material is a manufacturing method of a sliding member which does not have a sharp part.
前記スプラインシャフトの素材に対し、予め設定された所定のピッチでホブ加工して、外面に前記鋭部を有するスプラインを形成するホブ加工工程と、
前記ホブ加工により生成された前記鋭部を除去して前記基材を生成する鋭部除去工程と、
前記鋭部除去工程により生成された前記基材の外面に前記皮膜をコーティングするコーティング工程と、
を備える、請求項1に記載の摺動部材の製造方法。 The manufacturing method of the sliding member is:
Hobbing the spline shaft material at a predetermined pitch set in advance to form a spline having the sharp part on the outer surface;
A sharp part removing step of removing the sharp part generated by the hobbing to produce the base material;
A coating step of coating the coating on the outer surface of the substrate generated by the sharp part removal step;
The manufacturing method of the sliding member of Claim 1 provided with these.
前記スプラインシャフトの素材に対し、放電加工によって外面にスプラインを形成して前記基材を生成すると同時に、前記外面を前記鋭部を有さない平滑面に形成する放電加工工程と、
前記放電加工工程により生成された前記基材の外面に前記皮膜をコーティングするコーティング工程と、
を備える、請求項1に記載の摺動部材の製造方法。 The manufacturing method of the sliding member is:
For the material of the spline shaft, an electric discharge machining process for forming the base by forming splines on the outer surface by electric discharge machining, and simultaneously forming the outer surface on a smooth surface without the sharp part,
A coating step of coating the coating on the outer surface of the base material generated by the electric discharge machining step;
The manufacturing method of the sliding member of Claim 1 provided with these.
前記樹脂コーティング皮膜は、
バインダとして、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂の少なくとも一方と、
固体潤滑剤として、二硫化モリブデンと二硫化タングステンのうち少なくとも一方の二硫化物、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、および、ポリエチレンと、
を含む、請求項1〜7の何れか1項に記載の摺動部材の製造方法。 The film to be coated is a resin coating film,
The resin coating film is
As a binder, at least one of an epoxy resin and a phenol resin,
As a solid lubricant, at least one disulfide of molybdenum disulfide and tungsten disulfide, polytetrafluoroethylene (PTFE), and polyethylene,
The manufacturing method of the sliding member of any one of Claims 1-7 containing these.
前記摺動部材は、スプラインシャフトであり、
前記基材の前記外面は、鋭部を有さない、摺動部材。 A sliding member formed by coating a film having a lower coefficient of friction than the outer surface of the substrate on the outer surface of the substrate,
The sliding member is a spline shaft,
The said outer surface of the said base material is a sliding member which does not have a sharp part.
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JP2015076840A JP2016196922A (en) | 2015-04-03 | 2015-04-03 | Method for manufacturing slide member and slide member manufactured by the manufacturing method |
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WO2019225203A1 (en) * | 2018-05-23 | 2019-11-28 | 日産自動車株式会社 | Sliding spline shaft device |
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- 2015-04-03 JP JP2015076840A patent/JP2016196922A/en active Pending
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US11927225B2 (en) | 2018-05-23 | 2024-03-12 | Nissan Motor Co., Ltd. | Sliding spline shaft device |
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