JP2016193620A - プリフォーム内異物除去方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】プリフォームから異物を除去しやすくする。
【解決手段】口部(2a)が下向きになった倒立状態のプリフォーム(1)を連続走行させながら、プリフォーム(1)の口部(2a)からプリフォーム(1)内に濾過したエアを吹き込み、同時にプリフォーム(1)の口部(2a)側からエアを吸引する。異物をエアの流れや異物の自重によってプリフォーム(1)外へと排出しやすくすることが可能になる。
【選択図】図1
【解決手段】口部(2a)が下向きになった倒立状態のプリフォーム(1)を連続走行させながら、プリフォーム(1)の口部(2a)からプリフォーム(1)内に濾過したエアを吹き込み、同時にプリフォーム(1)の口部(2a)側からエアを吸引する。異物をエアの流れや異物の自重によってプリフォーム(1)外へと排出しやすくすることが可能になる。
【選択図】図1
Description
本発明は、プリフォーム内から異物を除去する方法及び装置に関する。
プリフォーム内に塵埃等の異物が残留していると、プリフォームからボトルを成形した後も、異物がボトル内に残る。さらに、飲料等の内容物をボトルに充填密封した後も、異物が内容物内に残る。これを防止するためには、プリフォームの段階でプリフォーム内から異物を除去しておくのが望ましい。
従来、プリフォーム内から異物を除去するには、口部が上向きになった成立状態でプリフォームを搬送しながら、プリフォーム内にエアを吹き込むことによって、異物をプリフォーム外に吹き飛ばすようにしている。より詳しくは、プリフォームの搬送方向と交差する方向に偏心した位置に沿ってノズルを配置し、このノズルからプリフォーム内にエアを吹き込み、異物を偏心方向と反対方向に排出することで、排気ダクトからの異物の回収を行いやすくしている(特許文献1参照)。
上記従来技術は、プリフォーム内から異物を除去する際、プリフォームをその口部が上向きになった状態でエアをプリフォーム内に吹き込んでいるので、口部の上方に舞い上がった異物が再び口部からプリフォーム内に落下するおそれがある。
また、エアノズルの口径の大きさをプリフォームの口部の口径との関係で加減したり、エアノズルの位置をプリフォームの口部の位置との関係で調整したりする必要があるという問題がある。
本発明は、上記問題点を解消することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
なお、本発明の理解を容易にするため参照符号をカッコ書きで付するが、本発明はこれに限定されるものではない。
すなわち、請求項1に係る発明は、口部(2a)が下向きになった倒立状態のプリフォーム(1)を連続走行させながら、プリフォーム(1)の口部(2a)からプリフォーム(1)内に濾過したエアを吹き込み、同時にプリフォーム(1)の口部(2a)側からエアを吸引するプリフォーム内異物除去方法を採用する。
請求項2に記載されるように、請求項1に記載のプリフォーム内異物除去方法において、濾過エア用ノズル(97)からプリフォーム(1)内に濾過したエアを吹き込み、濾過エア用ノズル(97)を取り巻くように配置された吸引口部材(98)からエアを吸引することも可能である。
請求項3に記載されるように、請求項1に記載のプリフォーム内異物除去方法において、プリフォーム(1)内に濾過したエアを吹き込む前に、イオン化エアを吹き込むことも可能である。
請求項4に記載されるように、請求項3に記載のプリフォーム内異物除去方法において、イオン化エア用ノズル(95)からプリフォーム(1)内にイオン化エアを吹き込み、イオン化エア用ノズル(95)を取り巻くように配置された樋状の吸引口部材(96)からエアを吸引することも可能である。
請求項5に係る発明は、プリフォーム(1)を口部(2a)が下向きになった倒立状態で連続走行させる搬送手段(99a,99b等)と、走行するプリフォーム(1)内に濾過したエアを吹き込む濾過エア用ノズル(97)と、濾過エア用ノズル(97)を取り巻くように配置され、走行するプリフォーム(1)から流出するエアを吸引する樋状の吸引口部材(98)とを具備するプリフォーム内異物除去装置を採用する。
請求項6に記載されるように、請求項5に記載のプリフォーム内異物除去装置において、倒立状態で走行するプリフォーム(1)内にイオン化エアを吹き込むイオン化エア用ノズル(95)が、濾過エア用ノズル(97)よりも上流側に配置されたものとすることができる。
請求項7に記載されるように、請求項6に記載のプリフォーム内異物除去装置において、イオン化エア用ノズル(95)を取り巻くように樋状の吸引口部材(96)が配置されたものとすることができる。
本発明によれば、口部(2a)が下向きになった倒立状態のプリフォーム(1)を連続走行させながら、プリフォーム(1)の口部(2a)からプリフォーム(1)内に濾過したエアを吹き込み、同時にプリフォーム(1)の口部(2a)側からエアを吸引するプリフォーム内異物除去方法であるから、塵埃、プラスチック片等の異物をエアの流れや異物の自重によってプリフォーム(1)外へと排出しやすくなり、また、一旦排出した異物がプリフォーム(1)内に再び侵入し難くすることができる。
また、ノズル(95)(97)の口径の大きさをプリフォーム(1)の口部(2a)の口径との関係で加減したり、ノズル(95)(97)の位置をプリフォーム(1)の口部(2a)の位置との関係で調整したりする煩わしさが不要となる。
以下に本発明を実施するための形態について説明する。
この実施の形態によれば、プリフォーム1(図1(A)参照)の清掃、ボトル2(図3(I)参照)の成形、飲料a等の内容物の充填、キャップ3等の蓋(図5(N)参照)による密封等の各種工程を経て、最終製品として無菌包装体(図5(N)参照)が製造される。
プリフォーム1及びボトル2は、この実施の形態ではPET(ポリエチレンテレフタレート)製であるが、PETに限らずポリプロピレン、ポリエチレン等他の樹脂を用いて作ることも可能である。リサイクルPETを配分した樹脂も使用可能である。ボトル2の口部2aには雄ネジが形成される。
キャップ3はポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂を材料にして射出成形等により形成され、キャップ3の成形と同時にその内周面に雌ネジも形成される。
ボトル2には、その内部があらかじめ殺菌処理された状態で、内容物である殺菌処理済の飲料a(図5(M)参照)が充填される。飲料aの充填後にキャップ3がボトル2の口部2aに被せられ、雌雄ネジの螺合によってボトル2の口部2aが密封され、無菌包装体が完成する。キャップ3も予め殺菌処理されている。
プリフォーム1は、以下に述べるように、プリフォーム1の供給、プリフォーム1の清掃、ボトル2の成形、ボトル2の殺菌、飲料aの充填、ボトル2の密封等の工程を経て無菌包装体とされる。
まず、口部2aを上向きにしたプリフォーム1が所望の速度で連続的に搬送され、搬送中に、図1(A)に示すように、口部2aを下向きにした倒立状態とされる。
このプリフォーム1は、予めPETの射出成形等によって試験管状の有底筒状体として形成される。プリフォーム1は、図3(I)に示したボトル2におけると同様な口部2aをその成形当初に付与される。この口部2aにはプリフォーム1の成形と同時に雄ネジが形成される。
倒立状態で搬送されるプリフォーム1に対し、図1(A)に示すように、その口部2aからイオン化エアP1が吹き込まれる。これにより、プリフォーム1の内部から静電気が除去され、当初プリフォーム1内に入っている可能性のある塵埃、プラスチック片等の異物がプリフォーム1外に落下しやすくなる。
イオン化エアP1は、例えばイオン化エア用ノズル95によってプリフォーム1内に吹き込まれる。このイオン化エア用ノズル95は、望ましくはそのノズル口が、プリフォーム1における口部2aの中心が通る軌跡線の直下に来るように一本又は複数本配置される。
上記イオン化エアP1のプリフォーム1内への吹き込みと同時に、下向きになったプリフォーム1の口部2a側からエアP1が吸引される。このため、プリフォーム1の口部2aからプリフォーム1外に落下する異物は、エアP1の流れに乗って所定箇所に集められる。
エアP1の吸引は、イオン化エア用ノズル95を取り巻くように配置された樋状の吸引口部材96の開口から行われる。
続いて、図1(B)に示すように、倒立状態で搬送されるプリフォーム1に対し、その口部2aから、濾過エアP2が吹き込まれる。これにより、プリフォーム1の内部から異物がエアP2と共にプリフォーム1外に排出される。
濾過エアP2は、濾過エア用ノズル97によってプリフォーム1内に吹き込まれる。この濾過エア用ノズル97は、望ましくはそのノズル口が、プリフォーム1における口部2aの中心が通る軌跡線の直下に来るように一本又は複数本配置される。または、口部2aの中心からプリフォーム1の口径内でプリフォーム1の進行方向外側にずれた偏心点が通る軌跡線の直下に来るように一本又は複数本配置される。
濾過エア用ノズル97の口内径は、3mmφ〜6mmφが望ましく、ノズル口とプリフォーム1との間の距離は10mm以内、より好ましくは5mm以内であるのが望ましい。
この濾過エアP2のプリフォーム1内への吹き込みと同時に、下向きになったプリフォーム1の口部2a側からエアP2が吸引される。このため、プリフォーム1の口部2aから異物がエアP2と共にプリフォーム1外に排出され、この異物は上記イオン化エアP1の吹き込みの際にプリフォーム1から落下する異物と共に、所定箇所に集められる。
エアP2の吸引は、濾過エア用ノズル97を取り巻くように配置された樋状の吸引口部材98の開口から行われる。
かくて、内部が清掃されたプリフォーム1は、図1(C)に示すように、倒立状態から正立状態に戻される。
正立状態に復帰したプリフォーム1は、図2(D)に示すように、グリッパ32により保持されて搬送され、搬送される間に、殺菌剤のガスG若しくはミスト又はこれらの混合物が供給される。
殺菌剤のガスG若しくはミスト又はこれらの混合物の供給は、殺菌剤供給ノズル6からの噴出により行われる。
殺菌剤としては、この実施の形態では過酸化水素が用いられるが、他の殺菌剤を用いることも可能である。
過酸化水素のガスGは、殺菌剤供給ノズル6内で導管6a,6bの二手に分かれて流れ、その一方がプリフォーム1の内部に向かって噴出し、他方がプリフォーム1の外面に向かって噴出する。過酸化水素のガスGは、殺菌剤供給ノズル6から出た後、ガス状態のままで若しくはミストとなって又はそれらの混合物となって、プリフォーム1の内部に流入し、あるいはプリフォーム1の外面に接触する。
また、プリフォーム1の内部に向かって噴出するガスGの流れの回りは、傘状部材30で覆われる。プリフォーム1内に流入したガスGやミストはプリフォーム1の口部2aから溢れ出るが、この溢れ出たガスG等の流れは傘状部材30に衝突し、傘状部材30の内面に案内されて、プリフォーム1の外面へと向かって流れを変え、プリフォーム1の外面に接触する。
このように過酸化水素のガスG、ミスト又はこれらの混合物がプリフォーム1の内外面に接触し付着することにより、プリフォーム1の表面に付着した微生物が殺菌され、あるいは傷付けられる。
プリフォーム1に吹き付けられる過酸化水素のガスGは、後に図9を用いて説明する殺菌剤ガス生成器7によって生成される。この過酸化水素のガスGが、殺菌剤供給ノズル6から流出し、プリフォーム1の内表面及び外表面に接触することにより、35質量%換算の過酸化水素の凝結被膜となって望ましくは0.001μL/cm2〜0.5μL/cm2の範囲で付着する。
この付着量が0.001μL/cm2よりも少ない場合は、十分な殺菌効果を得ることができない。また、この付着量が0.5μL/cm2よりも多いと、後に図3(I)に示すようにプリフォーム1をボトル2にブロー成形した場合に、ボトル2に白化、斑点、皺、変形の成形不良が発生しやすくなる。
このプリフォーム1に対する35質量%換算の過酸化水素凝結皮膜の付着量は、より望ましくは、0.002μL/cm2〜0.4μL/cm2である。
なお、上述の如くプリフォーム1に過酸化水素のガスGを供給してプリフォーム1の表面に凝結被膜を付着させる場合は、過酸化水素がプリフォーム1の表面上で急速に凝縮して濃縮され、プリフォーム1の表面の殺菌効果が向上する。また、これにより殺菌に用いる過酸化水素の量を低減することが可能となり、過酸化水素のプリフォーム1での残留も低減する。
また、図2(D)に示したプリフォーム1への過酸化水素ガスGの吹き付けの直前に、プリフォーム1に熱風を吹き付ける等してプリフォームを予備加熱してもよい。この予備加熱によりプリフォームの殺菌効果をさらに高めることができる。
また、上記殺菌剤供給ノズル6は一個のみならず、複数個をプリフォーム1の走行路に沿って配置し、これら殺菌剤供給ノズル6から殺菌剤のガスをプリフォーム1に向かって吐出させるようにしてもよい。
過酸化水素が供給されたプリフォーム1は、続いて図2(E)に示すように、グリッパ32により搬送されつつエアノズル80によってホットエアPが供給される。ホットエアPの供給には、図示のエアノズル80のほか、パイプ状のノズル等各種のノズルを使用することが可能である。
このホットエアPの吹き付けにより、プリフォーム1の表面に付着した過酸化水素がホットエアPの熱で活性化され、これによりプリフォーム1内の微生物が殺菌される。また、ホットエアPの吹き付けによってプリフォーム1に付着した過酸化水素はプリフォーム1の表面から速やかに除去される。
図2(F)に示すように、殺菌されたプリフォーム1は、赤外線ヒータ18aその他の加熱手段によって、後のブロー成形に適した温度まで加熱される。この温度は90℃から130℃程度である。プリフォーム1の口部2aは、変形等を防止するため、赤外線ヒータ18aからの熱が伝わらないよう、赤外線ヒータ18aに正対しない位置を通過する。プリフォーム1の口部2aは、変形等を防止するため70℃以下の温度に抑えられる。
この加熱に移行する際、プリフォーム1は、グリッパ32から解放され、望ましくは、図2(F)に示すように、その口部2aにスピンドル43が挿入されることによって正立状態で吊下げられた状態でスピンドル43と共に回転しつつ搬送される。これにより、プリフォーム1は赤外線ヒータ18aにより均一に加熱される。
図11に示すように、スピンドル43の下部には複数個のボール状の弾性体43bが埋設される。また、スピンドル43の外部には、傘状部材43aが必要に応じて取り付けられる。
プリフォーム1は、その口部2a内にスピンドル43の下部が挿入された際に、弾性体43bの弾性変形によってスピンドル43に支持される。そして、傘状部材43aが設けられた場合は、同時にプリフォーム1の口部2aが傘状部材43aにより覆われる。
図11に示すように、傘状部材43aが設けられた場合は、プリフォーム1の口部2a内面とスピンドル43の下部との間からプリフォーム1の口部2a外面と傘状部材43aとの間にかけて、隙間が形成されることから、赤外線ヒータ18aからの熱によって加熱されたプリフォーム1内のエアはホットエアとなって上記隙間をプリフォーム1内からプリフォーム1外へと流れ、その間にプリフォーム1の口部2aを加熱する。
プリフォーム1の口部2aは、後にボトル2の状態でキャップ3により密封された時にボトル2の密封性が損なわれないよう、プリフォーム1の段階で加えられる熱で変形しないよう配慮されなければならない。
上記隙間を流れるホットエアは、口部2aを加熱するが、口部2aに変形を来さない70℃程度以下の温度までしか加熱しない。このような口部2aの加熱により、プリフォーム1内に残留した微量の過酸化水素が活性化され、口部2aが適度に殺菌される。
上記加熱の際、プリフォーム1は、その口部2aにスピンドル43が挿入されることによって正立状態で吊下げられた状態で、望ましくは、スピンドル43と共に軸回りで回転しつつ搬送される。これにより、プリフォーム1は口部2aを除き赤外線ヒータ18aにより90℃から130℃程度に均一に加熱される。
なお、スピンドル43に代えてマンドレル(図示せず)をプリフォーム1に挿入することによって、プリフォーム1を倒立状態で回転させつつ搬送することも可能である。
加熱されたプリフォーム1は、図3(G)に示すように、スピンドル43から解放され、グリッパ32に受け渡され、口部2a側から無菌エアQを吹き付けられつつ、図3(H)に示すブロー成形型である金型4へと搬送される。この無菌エアQの吹き付けにより、プリフォーム1は無菌性を維持しつつ金型4に供給される。
上記無菌エアQはホットエアであってもよい。ホットエアの吹き付けにより、プリフォーム1の温度低下が防止される。
また、図3(G)に示すように、プリフォーム1の加熱が終わってプリフォーム1が金型4へと向かう箇所には、プリフォーム1の走行路を囲むように覆い86がトンネル状に設けられる。このトンネル状の覆い86におけるプリフォーム1の口部2aをその上方から覆う天井部分は、傾斜面を有する屋根状に形成される。また、天井部分には、無菌エアQをプリフォーム1の口部2aの方に向かって吹き出すノズル86aが、パイプの列状に又はスリット状に設けられる。これにより、無菌エアQがプリフォーム1へと効率的に供給され、プリフォーム1はチャンバー41b内にあって無菌性を保持しつつ走行する。
無菌エアQの吹き付けにより無菌性を保ったまま搬送されるプリフォーム1は、図3(H)に示すように、金型4内に収納される。
金型4は、プリフォーム1の走行速度と同じ速度で連続的に走行しつつ、型締め状態とされ、金型4内でプリフォーム1に対するブロー成形が行われた後に型開き状態とされる。
上述の如くプリフォーム1は、図2(F)に示した加熱工程でその口部2aを除く全体が成形に適した温度域まで均一に加熱されていることから、図3(H)に示すように、この加熱されたプリフォーム1が金型4内に装着された後、延伸ロッド5がプリフォーム1内に挿入されると、プリフォーム1はその長さ方向に金型4内で引き伸ばされる。
続いて、例えば一次ブロー用無菌エアや二次ブロー用無菌エアが図示しないブローノズルからプリフォーム1内に順次吹き込まれることによって、金型4のキャビティC内でプリフォーム1が成形品のボトル2まで膨張する。
このように金型4内でボトル2が成形されると、金型4が引き続き走行しながら型開きし、ボトル2の完成品が金型4外へ取り出される。
ボトル2は、金型4外へ取り出された後、図4(J)に示す過酸化水素供給工程に至るまでの間、図3(I)に示すように、無菌エアQを口部2a側から吹き付けられつつ搬送される。この無菌エアQの吹き付けにより、ボトル2はできるだけ微生物に汚染されないようにして殺菌剤供給ノズル93の直下へと送られる。
図3(I)に示す無菌エアQは、ホットエアであるのが望ましい。ホットエアの吹き付けにより、ボトル2の温度低下が防止されるので、次の過酸化水素による殺菌効果が向上する。
また、図3(I)に示すように、ボトル2が次の殺菌剤供給ノズル93(図4(J)参照)へと移動しつつある箇所には、ボトル2の走行路を囲むように覆い87がトンネル状に設けられる。このトンネル状の覆い87におけるボトル2の口部2aをその上方から覆う天井部分は傾斜面を有する屋根状に形成される。また、天井部分には、無菌エアQをボトル2の口部2aの方に、又は走行路の方に向かって吹き出すノズル87aが、パイプの列状に又はスリット状に設けられる。これにより、無菌エアQがボトル2へと効率的に供給され、ボトル2はチャンバー41b、41c1内にあって無菌性を保持しつつ走行する。
無菌エアQを吹き付けられたボトル2は、図4(J)に示すように、殺菌剤である過酸化水素が供給されることにより殺菌される。
具体的には、過酸化水素のミストM若しくはガスG又はこれらの混合物が殺菌剤供給ノズル93から搬送中のボトル2に吹き付けられる。殺菌剤供給ノズル93はボトル2の口部2aに対峙するように配置される。過酸化水素のミストM若しくはガスG又はこれらの混合物は殺菌剤供給ノズル93の先端から流下し、ボトルの口部2aからボトル2内に侵入してボトル2の内面に接触する。
また、このボトル2の走行箇所にはトンネル44が形成され、殺菌剤供給ノズル93から吐出された過酸化水素のミストM若しくはガスG又はこれらの混合物がボトル2の外面に沿って流れ落ち、さらにトンネル44内に滞留することから、ボトル2の外面にも効果的に付着する。
過酸化水素のミストM又はガスGは、例えば図9に示す殺菌剤ガス生成器7によって生成可能である。
殺菌剤供給ノズル93はボトル2の搬送路上の定位置に設置してもよいし、ボトル2と同期的に移動させてもよい。
図4(J)に示すように、殺菌剤供給ノズル93から吹き出た過酸化水素のミストM若しくはガスG又はこれらの混合物はボトル2の内外面に接触するが、その際ボトル2は上記プリフォーム1の段階で加えられた熱及び図3(I)の段階でボトル2に加えられた熱が残留することによって所定温度に保持されていることから、効率良く殺菌される。
この所定温度は、プリフォーム1がPET製の場合、望ましくは40℃〜80℃であり、より望ましくは、50℃〜75℃である。40℃よりも低い場合は殺菌性が著しく低下する。80℃よりも高い場合は成型後にボトルが収縮するという不具合が生じる。
この過酸化水素のミストM若しくはガスG又はこれらの混合物の吹き付け後、ボトル2は、図4(K1)に示すように、エアリンスに付される。エアリンスは無菌エアNが無菌エア供給ノズル45からボトル2内に吹き込まれることによって行われ、この無菌エアNの流れによってボトル2内から異物、過酸化水素等が除去される。その際、ボトル2は正立状態とされる。
望ましくは、無菌エア供給ノズル45には傘状部材84が取り付けられる。この傘状部材84による案内作用によって、無菌エアNはボトル2内からあふれ出た後、ボトル2の外面へと向かい、ボトル2の外面をエアリンスする。
なお、図4(K1)のエアリンス工程に代えて図4(K2)のごときエアリンス工程を採用してもよい。図3(K2)の工程を採用し、ボトル2を倒立状態にして下向きになった口部2aから無菌エアNをボトル2内に吹き込むようにすることで、プリフォーム1の段階で除去しえなかったか、又はボトル2の成形時又は成形後にボトル2内に侵入した異物等を口部2aからボトル2外に落下させることができる。
あるいは、図4(K1)のエアリンス工程に続いて図4(K2)の工程を、無菌エアNを吹き込むことなく行うようにしてもよい。また、図4(K2)に示す無菌エア供給ノズル45にも傘状部材84を取り付けてもよい。
エアリンス後に、必要に応じて、図5(L)に示すように、ボトル2に付着した過酸化水素を洗い流すために無菌の常温水又は15℃〜85℃の熱水Hによる無菌水リンスが行われる。熱水Hを吐出するノズル46の1本あたりの水量は5L/min〜15L/minとし
、洗浄リンス時間は0.2〜10秒にするのが望ましい。
、洗浄リンス時間は0.2〜10秒にするのが望ましい。
上述したように、プリフォーム1の段階で殺菌した後に過酸化水素でボトル2をさらに殺菌するので、ボトル2についての過酸化水素の使用量が少なくて済み、したがって、エアリンス後の温水リンス工程は省略可能である。
図4(J)の工程で使用する過酸化水素のミストM又はガスGは次の通りである。
過酸化水素の使用量をミストMの量に換算した場合、図4(J)の工程のみを行ってボトル2を滅菌するためには、ボトル2に50μL/500mLボトル〜100μL/500mLボトルの量の過酸化水素を付着させる必要があったが、本発明のようにプリフォーム1の殺菌を行った場合は、10μL/500mLボトル〜50μL/500mLボトルの量の過酸化水素ミストMを付着させることで商業的無菌充填が可能となった。
また、過酸化水素の使用量をガスGの量に換算した場合、図4(J)の工程のみを行ってボトル2を滅菌するためには、ガス濃度が5mg/L〜10mg/Lの過酸化水素ガスGをボトル2に吹き付ける必要があったが、本発明のようにプリフォーム1の予備加熱を伴う予備殺菌を行った場合は、ガス濃度が1mg/L〜5mg/Lの過酸化水素ガスGを吹き付けることで商業的無菌充填が可能となった。
無菌水リンスを省略する場合、上記エアリンス後、図5(M)に示すように、飲料aが充填ノズル10からボトル2内に充填され、図5(N)に示すように、蓋であるキャップ3で密封されることにより、ボトル2は無菌包装体とされる。
上記無菌充填方法を実施するための無菌充填装置は、例えば図6のごとく構成される。
図6に示すように、無菌充填装置は、口部2aを有する有底筒状のプリフォーム1(図1(A)参照)を所定の間隔で順次供給するプリフォーム供給機11と、ブロー成形機12と、成形されたボトル2を殺菌する殺菌機88と、ボトル2(図3(I)参照)に飲料aを充填し、キャップ3(図5(N)参照)で密封する充填機13とを備える。
この無菌充填装置は、プリフォーム供給機11から充填機13に至る個所においてチャンバー94,41a,41b,41c1,41c2,41d,41e,41fで囲まれている。
チャンバー94はプリフォームを無菌充填装置内に導入する箇所に対応し、チャンバー41aはプリフォームに殺菌剤を供給する箇所に対応し、チャンバー41bはボトル2を成形する箇所に対応し、チャンバー41c1はボトルを殺菌機88へと搬送する箇所に対応し、チャンバー41c2はボトル2に殺菌剤を供給し、リンスする箇所に対応し、チャンバー41dはボトル2に内容物である飲料aを充填し、密封する箇所に対応する。
チャンバー94からチャンバー41bを経てチャンバー41c1に至る箇所は、クリーンルームとして維持される。クリーンルームとするため、無菌包装体の製造前からチャンバー94、41b、41c1内に、フィルタであるHEPA(図示せず)に通した無菌の陽圧エアが供給される。これにより、チャンバー94、41b、41c1内がクリーン状態に維持され、無菌性レベルの高いボトルの製造が可能になる。
チャンバー94、41b、41c1内に無菌の陽圧エアを吹き込む前に、チャンバー41b、41c1内を10mg/L以下の過酸化水素ガスでガス殺菌しても良い。また、プリフォーム1やボトル2が接触する部位をUVランプで照射(紫外線殺菌)しても良い。或いは、金型4や延伸ロッド5、グリッパ32など資材が接触する箇所をエタノールや過酸化水素を1質量%含有している薬剤で拭きあげても良い。或いは、チャンバー内にスプレーノズルを設け、上記殺菌剤を生産前や成形型交換後に所定時間、自動噴霧できるようにしても良い。
プリフォーム供給機11から充填機13に至る間には、プリフォーム1を第一の搬送路上で搬送するプリフォーム用搬送手段と、ボトル2の完成品形状のキャビティCを有する金型4(図3(H)参照)を、上記第一の搬送路に接続される第二の搬送路上で搬送する金型用搬送手段と、金型4で成形されたボトル2を、上記第二の搬送路に接続される第三の搬送路上で搬送しつつ、ボトル2に対し殺菌、充填等を行うボトル用搬送手段とが設けられる。
第一、第二及び第三の搬送路は互いに連通し、これらの搬送路にはプリフォーム1やボトル2を保持しつつ搬送するベルトコンベア14、ホイール15、グリッパ32等が設けられている。
プリフォーム用搬送手段は、その第一の搬送路上に、プリフォーム1を所定の間隔で順次搬送するベルトコンベア14を備える。
ベルトコンベア14は、図6に示すように、プリフォーム供給機11の送り出し部11aから上記チャンバー41a内へと伸びるように、チャンバー94内に設けられる。
送り出し部11aは、多数のプリフォーム1を貯留しておき、プリフォーム1を一本ずつベルトコンベア14の始端側へと送り出す装置である。送り出し部11aは、公知の装置であるからその詳細な説明は省略する。
ベルトコンベア14は、図7に示すように、垂直平面内において略S字状に屈曲して伸び、図8に示すように、水平方向で平行に並んで伸びる一対の無端ベルト99a,99bを備える。
無端ベルト99a,99bは、図7に示すように、第一の屈曲箇所100aと第二の屈曲箇所100bとの間で略水平な直線となって伸びる。また、送り出し部11aから第一の屈曲箇所100aに至る個所と、第二の屈曲箇所100bからチャンバー41a内へと至る個所は水平又は傾斜した直線となって伸びる。
一対の無端ベルト99a,99bは、図8に示すように、対間の並行走行部分同士の間隔がプリフォーム1の径よりもやや小さい長さで離れるように配置される。一対の無端ベルト99a,99bは、互いに反対方向に同速度で走行するように駆動され、これにより、プリフォーム1は、送り出し部11aからチャンバー41a内へと所定の間隔で順に搬送される。
なお、一対の無端ベルト99a,99bは、互いに反対方向に多少異なる速度で走行するように駆動してもよく、その場合プリフォーム1は、送り出し部11aからチャンバー41a内へと自転しながら搬送される。
各無端ベルト99a,99bは、横断面が円形又は四角形であり、図示しない各種駆動ローラによって駆動され、また、図示しない各種ガイドローラ、ガイドレール等によって一定の走行路を保つように案内される。
無端ベルト99a,99bが駆動されると、上記送り出し部11aから送り出されるプリフォーム1が、図7及び図8に示すように、一本ずつ無端ベルト99a,99b間に挟まれて走行する。当初プリフォーム1はその口部2aを上側にした正立状態で無端ベルト99a,99b間に挟まれつつ走行し、無端ベルト99a,99bの第一の屈曲箇所100aから第二の屈曲箇所100bに至るまでは口部2aを下側にした倒立状態で走行し、第二の屈曲箇所100bを通過した後は再び正立状態となってチャンバー41a内へと走行する。
図7に示すように、上記無端ベルト99a,99bの第一と第二の屈曲箇所100a,100bの間におけるプリフォーム1の走行路の下方には、プリフォーム1の流れ方向に見て上流側から下流側に向かってイオン化エア用ノズル95と濾過エア用ノズル97が順に配置される。
イオン化エア用ノズル95は、そのノズル口がプリフォーム1の口部2aに正対するように、一個又は複数個チャンバー94内の所定箇所に設置される。イオン化エア用ノズル95にイオン化エアを送るためのイオン化エア発生器101が、チャンバー94内の所定箇所に設置される。
イオン化エア用ノズル95から、無端ベルト99a,99bに保持されつつ走行する倒立状態のプリフォーム1に対して、イオン化エアが吹き付けられると、イオン化エアはプリフォーム1内に口部2aから入ってプリフォーム1の静電気を中和する。これにより、プリフォーム1内に存在しうる塵埃、プラスチック片等の異物がプリフォーム1外に落下しやすくなる。
また、チャンバー94内には、イオン化エア用ノズル95を取り巻くように、樋状の吸引口部材96が配置される。吸引口部材96には吸引管102を介して集塵機103が連結される。
集塵機103の駆動により、吸引口部材96の開口に気流が生じ、除電後された異物がその自重によってプリフォーム1外に落下した場合には、倒立状態のプリフォーム1内からこの気流に乗って吸引口部材96内に吸引される。気流は吸引管102を通って集塵機103に至り、集塵機103によって気流中の異物が捕捉される。
樋状の吸引口部材96は、プリフォーム1の流れの上流側に向かって無端ベルト99a,99bの第一の屈曲箇所100aからイオン化エア用ノズル95の直下に至る個所まで伸ばしておくのが望ましい。これにより、異物が吸引口部材96により捕捉されることなく下方の正立状態のプリフォーム1の方へと落下した場合でも、異物がプリフォーム1内に入るのを阻止することができる。
濾過エア用ノズル97は、そのノズル口がプリフォーム1の口部2aに正対するように、一個又は複数個チャンバー94内の所定箇所に設置される。濾過エア用ノズル97に濾過エアを送るためのブロア104及びエアフィルタ105が、チャンバー94外の所定箇所に設置される。エアフィルタ105としては、例えばHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter) を使用することができる。エアノズル97に供給するエアP2は、ブロア104からのエアではなく、より推進力の高い圧縮空気を、無菌フィルタで除菌したものであっても良い。
濾過エア用ノズル97から、無端ベルト無端ベルト99a,99bに保持されつつ走行する倒立状態のプリフォーム1に対して、濾過エアが吹き付けられると、濾過エアはプリフォーム1内に口部2aから入り、異物を捕捉してプリフォーム1外へと流出する。プリフォーム1及び異物は上記イオン化エアの吹き付けにより静電気を除去されているので、濾過エアに容易に捕捉される。
また、チャンバー94内には、濾過エア用ノズル97を取り巻くように、樋状の吸引口部材98が配置される。吸引口部材98は吸引管106を介して上記集塵機103に連結される。この吸引口部材98は上記上流側の吸引口部材96と一体化してもよい。また、吸引管106は上記吸引管102と共用してもよい。
集塵機103の駆動により、吸引口部材98の開口近傍に気流が生じ、倒立状態のプリフォーム1内から異物が気流に乗って吸引口部材98内へと流れる。この異物を含んだ気流は吸引管106を通って集塵機103に至り、気流中の異物が集塵機103に捕捉される。
樋状の吸引口部材98は、その下部を漏斗状に形成しておくのが望ましい。これにより、異物を含んだ気流が吸引管106へと流れやすくなり、異物も捕捉しやすくなる。
なお、上記イオン化エア用ノズル95側に設けた吸引口部材96を、濾過エア用ノズル97側の吸引口部材98の直下へと延長させてもよい。これにより、異物が吸引口部材98により捕捉されることなく下方の正立状態のプリフォーム1の方へと落下した場合でも、異物がプリフォーム1内に入るのを阻止することができる。
上記無端ベルト無端ベルト99a,99bにより搬送されつつ、濾過エアによって内部から異物を除去され清掃されたプリフォーム1は、無端ベルト無端ベルト99a,99bが第二の屈曲箇所100bを通って直線箇所に至ったところで正立状態に復帰し、その正立状態のままチャンバー41a内へと搬送される。
図6に示すように、上記プリフォーム用搬送手段の第一の搬送路は、上記ベルトコンベア14のほか、このベルトコンベア14の終端からプリフォーム1を受け取って搬送するホイール15,16,17の列と、プリフォーム1を受け取って走行させる無端チェーン18とを具備する。
ホイール15におけるプリフォーム1の走行路上の定位置には、過酸化水素ガスGを生成する図9に示す殺菌剤ガス生成器7と、過酸化水素ガスGをプリフォーム1に向かって吐出する図2(D)に示したような殺菌剤供給ノズル6が配置される。
殺菌剤ガス生成器7は、図9に示すように、殺菌剤である過酸化水素の水溶液を滴状にして供給する二流体スプレーノズルである過酸化水素供給部8と、この過酸化水素供給部8から供給された過酸化水素の噴霧をその沸点以上の非分解温度以下に加熱して気化させる気化部9とを備える。過酸化水素供給部8は、過酸化水素供給路8a及び圧縮空気供給路8bからそれぞれ過酸化水素の水溶液と圧縮空気を導入して過酸化水素の水溶液を気化部9内に噴霧するようになっている。気化部9は内外壁間にヒータ9aを挟み込んだパイプであり、このパイプ内に吹き込まれた過酸化水素の噴霧を加熱し気化させる。気化した過酸化水素のガスは殺菌剤供給ノズル6から気化部9外に噴出する。
ホイール16におけるプリフォーム1の走行路上には、プリフォーム1に向かってホットエアPを吐出することにより、プリフォーム1の内外面に付着した過酸化水素を活性化させるとともにプリフォーム1の外に排出するエアノズル80(図2(E)参照)が配置される。
図10(A)に示すように、エアノズル80は、ホイール16の円弧に倣って湾曲する箱状のマニホルド80bを有し、このマニホルド80bの底面にスリット状の吹出口80aを有する。エアノズル80は、吹出口80aがホイール16におけるプリフォーム1の走行路に沿って伸びるようにホイール16の上方に配置される。また、図10(B)に示すように、マニホルド80bには、ブロア76と、HEPAフィルタ77と、電熱器78とが連結される。ブロア76から取り込まれた外気がHEPAフィルタ77により除菌され、電熱器78により加熱され、ホットエアPとなってエアノズル80内に送られる。
エアノズル80に供給するエアは、ブロア76からのエアではなく、より推進力の高い圧縮空気を、無菌フィルタで除菌したものであっても良い。また、ブロー成形機12内でブロー成形に使用する高圧エアを回収し、リユースしても良い。
エアノズル80のマニホルド80b内に供給されたホットエアPは、吹出口80aから噴き出し、口部2aを上に向けて吹出口80a下を走行するプリフォーム1に向かって流れ、その一部がプリフォーム1の空洞内に流入し、他部がプリフォーム1の外面に沿って流れる。
このホットエアPの熱によって、プリフォーム1の内外面に付着した過酸化水素が活性化され、プリフォームに付着した微生物が殺菌される。また、ホットエアPの流れによって、余剰の過酸化水素がプリフォーム1から除去され、次の加熱炉33内への過酸化水素の導入が防止される。
図6に示すように、ホイール15,16の回りは、チャンバー41aで囲まれている。このチャンバー41aには、チャンバー41a内のエア中の過酸化水素等の殺菌剤を分解するフィルタ36と、ブロア37とからなる排気手段が連結される。これにより、隣接するブロー成形機12内へ過酸化水素が流入しないようにすることができる。
第一の搬送路中、ホイール16に接するホイール17から第二の搬送路に接するホイール19に至る箇所には、プリフォーム1を成形温度まで加熱する加熱炉33が設けられる。
加熱炉33は一方向に長く伸びる炉室を有する。炉室内には、水平面上で対向配置された一対のプーリ34a,34b間に無端チェーン18が架け渡される。無端チェーン18等は多数のプリフォーム1を垂下状態で搬送するコンベアを構成する。炉室の内壁面には、無端チェーン18の往路と復路に沿うように赤外線ヒータ18aが取り付けられる。
プリフォーム1は、プリフォームコンベア14、ホイール15,16,17の列を経てスピンドル43(図2(F)参照)に受け取られると、加熱炉33の内壁面に沿って自転しつつ走行する。加熱炉33の内壁面には、赤外線ヒータ18aが張り巡らされており、スピンドル43によって搬送されるプリフォーム1がこの赤外線ヒータ18aによって加熱される。プリフォーム1は加熱炉33内を走行中スピンドル43の回転と共に自転し、赤外線ヒータ18aによって均一に加熱され、口部2a以外がブロー成形に適した温度である90℃〜130℃まで昇温する。口部2aは、キャップ3が被せられたときの密封性が損なわれないように、変形等を生じることのない70℃以下の温度に抑えられる。
第二の搬送路の回りには、ブロー成形機12が配置される。ブロー成形機12は、上記プリフォーム供給機11の赤外線ヒータ18aで加熱されたプリフォーム1を受け取ってボトル2に成形する金型4及び延伸ロッド5(図3(H)参照)を複数セット備える。
プリフォーム用搬送手段の第一の搬送路と、金型用搬送手段の第二の搬送路との間に位置するホイール19の上方には、このホイール19の回りを走行するプリフォーム1に対しその口部2aの上方から覆う覆い86(図3(G)参照)がトンネル状に設けられる。この覆い86内には無菌エアQがプリフォーム1の口部2aに向かうように吹き込まれる。この無菌エアQは、図10(B)に示した無菌エア供給装置から供給される無菌エアPの一部を分け取ったものであってもよい。
これにより、プリフォーム1はクリーンルームをなすチャンバー41bに囲まれたうえ、さらに無菌エアQを孕む覆い86により覆われることとなり、無菌性を高度に維持した状態でブロー成型機12に向かうことになる。
ブロー成型機12における金型4は、ホイール20の回りに所定間隔で多数配置され、ホイール19の回りからプリフォーム1を受け取ってボトル2に成形し、第三の搬送路の始端となるホイール21に接したところで型開きし、ホイール21の回りのグリッパ32にボトル2を受け渡す。
ブロー成形機12から出てホイール21に至ったボトル2は、ホイール21の外周に必要に応じて配置される検査装置35によって成形不良等の有無について検査される。検査装置35は、実施の形態1において用いられたものと同様なものを使用可能である。
検査されたボトル2は、不合格の場合は図示しない排斥装置によって搬送路から排除され、合格品のみがホイール22へと搬送される。
第三の搬送路中、ホイール21,22,89におけるボトル2の走行路の上方には、ボトル2に対しその口部2aの上方から覆う覆い87(図3(I)参照)がトンネル状に設けられる。この覆い87内に吹き込まれる無菌エアQは、図10(B)に示した無菌エア供給装置から供給する無菌エアPから一部分け取ったものであってもよい。
第三の搬送路中、上記ホイール89に続くホイール90,91,92,23の列には、殺菌剤供給ノズル93(図4(J)参照)及び無菌エア供給ノズル45(図4(K1)又は(K2)参照)が設けられる。
具体的には、殺菌剤供給ノズル93がホイール90の回りにおけるボトル2の走行路上の定位置に複数基(図6では、四基)設置される。また、殺菌剤供給ノズル93に対応してボトル2が通過するトンネル44(図4(J)参照)も設置される。殺菌剤供給ノズル93から吹き出る過酸化水素水のミストM若しくはガスG又はこれらの混合物はボトル2の内部に入ってボトル2の内面に薄い被膜となって付着し、また、ボトル2の外面に沿って流れるとともにトンネル44内に充満してボトル2の外面に薄い被膜となって付着する。
ホイール92の回りにおけるボトル2の走行路上の定位置には、無菌エア供給ノズル45が一基又は複数基設置される。無菌エア供給ノズル45から吹き出た無菌エアNはボトル2の内外面に接触してボトル2の表面に付着した余剰の過酸化水素水の被膜を除去する。無菌エアNがホットエアである場合は、ボトル2の内外面に付着した過酸化水素を活性化させ、殺菌効果を高める。
なお、殺菌剤供給ノズル93と無菌エア供給ノズル45は、各ホイール90,92の回りにボトル2のピッチと同じピッチで多数配置し、各ホイール90,92と同期的に旋回運動をさせつつボトル2内に過酸化水素のガスGや無菌エアNを吹き込むようにしてもよい。
第三の搬送路中、上記ホイール23に接するホイール24,25,26,27の列には、フィラー39及びキャッパー40が設けられる。
具体的には、ホイール24の回りにボトル2内に飲料aを充填するための充填ノズル10(図5(M)参照)が多数設けられることによりフィラー39が構成され、ホイール26の回りには、飲料aが充填されたボトル2にキャップ3(図5(N)参照)を取り付けて密封するためのキャッパー40が構成される。
フィラー39及びキャッパー40は周知の構造を有するものであるから、それらの説明は省略する。
上記第一乃至第三の搬送路において、ホイール15の回りはチャンバー41aによって囲まれる。ホイール16からホイール21に至る箇所の周辺は、チャンバー41bによって囲まれる。ホイール22及びホイール89の周辺は、チャンバー41c1によって囲まれる。ホイール90からホイール23に至る箇所の周辺は、チャンバー41c2によって囲まれる。ホイール24からホイール27に至る箇所の周辺は、チャンバー41dによって囲まれる。
上記チャンバー41bの内部へは、図示しないHEPAフィルタ等によって浄化された無菌エアが常時供給される。これにより、チャンバー41bはクリーンルームとされ、その内部への微生物の侵入が阻止される。
上記チャンバー41a、41b、41c2、41d、41e、41fの各内部は、例えばCOP(cleaning outside of place)、SOP(sterilizing outside of place)の実施により殺菌処理され、その後、これらのチャンバー41a、41b、41c2、41d、41e、41fの各々に又は一体的に設置された図3に示したと同様な排気手段によって各チャンバー41a、41b、41c2、41d、41e、41f内から殺菌剤、洗浄剤のガスやミストがチャンバー外に排出される。そして、図示しないスクラバー、フィルタ等によって浄化された無菌エアがこれらの各チャンバー41a、41b、41c2、41d、41e内に供給されることによって、各チャンバー41a、41b、41c2、41d、41f内の無菌性が維持される。チャンバー41d、41e、41fについてはCOP、SOPが必ず実施されるが、チャンバー41a、41b、41c2については必ずしも実施する必要はない。
また、チャンバー41c1は、チャンバー41bとチャンバー41c2との間の雰囲気を遮断する雰囲気遮断チャンバーとして機能する。このチャンバー41c1にも、上記排気手段と同様な排気手段が連結され、チャンバー41c1の内気が外部に排気される。これにより、チャンバー41d内のCOP、SOPにより発生する洗浄剤のガス等や、チャンバー41c2内で発生する殺菌剤のミスト等がチャンバー41c1を経てブロー成形機12のチャンバー41b内へと流入するのを阻止することができる。
次に、図1〜図11を参照してプリフォーム内異物除去装置の動作と共に無菌充填装置の動作を説明する。
まず、プリフォーム供給機11が駆動し、送り出し部11aからプリフォーム1が口部2aを上側にした正立状態で順に送り出される。送り出されるプリフォーム1は、走行するベルトコンベア14に至り、図7及び図8に示すように、一本ずつ無端ベルト99a,99b間に挟まれて走行する。
プリフォーム1は当初その口部2aを上側にした正立状態で無端ベルト99a,99b間に挟まれつつ走行するが、無端ベルト99a,99bの第一の屈曲箇所100aを過ぎて第二の屈曲箇所100bに至るまでの直線走行路では、口部2aを下側にした倒立状態で走行する。
図7に示すように、プリフォーム1が無端ベルト99a,99bの第一と第二の屈曲箇所100a,100bの間を走行する際、プリフォーム1は倒立状態にあり、この倒立状態のプリフォーム1に対して、イオン化エア用ノズル95から、イオン化エアが吹き付けられる(図1(A)参照)。イオン化エアがプリフォーム1内にその口部2aから入ることにより、プリフォーム1内の静電気が中和され、これにより、プリフォーム1内に存在しうる塵埃、プラスチック片等の異物がプリフォーム1外に落下しやすくなる。
プリフォーム1は、イオン化エア用ノズル95の位置を通過後も倒立状態を維持しつつ走行し、濾過エア用ノズル97から濾過エアを吹き付けられる(図1(B)参照)。
濾過エア用ノズル97から、無端ベルト99a,99bに保持されつつ走行する倒立状態のプリフォーム1に対して、濾過エアが吹き付けられると、濾過エアはプリフォーム1内にその口部2aから入り、異物を捕捉してプリフォーム1外へと流出する。プリフォーム1及び異物は上記イオン化エアの吹き付けにより静電気を除去されているので、濾過エアに容易に捕捉される。
また、プリフォーム供給機11の駆動と共に集塵機103も駆動する。集塵機103の駆動により、吸引口部材98の開口近傍に気流が生じ、倒立状態のプリフォーム1内から異物が気流に乗って吸引口部材98側へと流れる。この異物を含んだ気流は吸引管106を通って集塵機103に至り、気流中の異物が集塵機103に捕捉される。
プリフォーム1は濾過エアによって内部から異物を除去され清掃された後、引き続いて無端ベルト99a,99bにより搬送されつつ、無端ベルト99a,99bが第二の屈曲箇所100bを通って直線箇所に至ったところで正立状態に復帰し(図1(C)参照)、その正立状態のままチャンバー41a内へと搬送される。
プリフォーム1はチャンバー41a内に入ると、ホイール15の回りのグリッパ32に受け取られ、ホイール15の回りを走行する際に、殺菌剤供給ノズル6からプリフォーム1に向かって過酸化水素のガスG若しくはミスト又はこれらの混合物が供給される(図2(D)参照)。
続いて、この過酸化水素が付着したプリフォーム1がホイール16の回りを走行し、その間にエアノズル80からホットエアPがプリフォーム1に吹き付けられる。このホットエアPの熱により、プリフォーム1に付着した過酸化水素が活性化され、プリフォーム1に付着した微生物が殺菌される。また、ホットエアPにより余剰の過酸化水素がプリフォーム1の表面から除去される。
その後、プリフォーム1は、無端チェーン18上のスピンドル43(図2(F)参照)に受け取られ、加熱炉33内へと搬送される。
加熱炉33内においてプリフォーム1は赤外線ヒータ18aによって加熱され、口部2aを除く全体の温度がブロー成形に適した温度域まで均一に加熱される。
加熱炉33内で成形温度まで加熱されたプリフォーム1は、ホイール19の回りを走行する際、覆い86の中を通りながら、無菌エアQを吹き付けられる(図3(G)参照)。これにより、プリフォーム1は無菌性を維持しつつブロー成形機12へと搬送される。無菌エアQがホットエアである場合は、プリフォーム1は成形に適した温度を好適に維持しつつブロー成形機12に到達する。
プリフォーム1は、ホイール20の外周を通過する際に図3(H)のごとく金型4により抱持され、無菌の高圧エアが吹き込まれることによってキャビティC内でボトル2の完成品へと膨張する。
成形されたボトル2は、金型4の型開き後にホイール21の回りのグリッパ32によって金型4外に取り出され、検査装置35によって成形不良等の有無について検査される。
不良品のボトル2は図示しない排出装置によって列外に除かれ、良品のボトル2のみがホイール22へと受け渡されつつ殺菌機88へと搬送される。
また、ボトル2は、ホイール21からホイール89へと走行する際、覆い87の中を通りながら、無菌エアQを吹き付けられる(図3(I)参照)。これにより、ボトル2は無菌性を維持しつつ殺菌機88へと搬送される。無菌エアQがホットエアである場合は、ボトル2は殺菌に適した温度を好適に維持しつつ殺菌機88に到達する。
ボトル2は、殺菌機88内におけるホイール90の回りを走行しつつ、図4(J)のように、過酸化水素水のミストM若しくはガスG又はこれらの混合物を吹き付けられて殺菌され、続いて、ホイール92の回りを走行しつつ、図4(K1)又は(K2)のように、無菌エアNを吹き付けられてエアリンスされる。
要すれば、エアリンス後に、ボトル2に対し温水リンスが行われる(図5(L)参照)。
その後、ボトル2は充填機13に至り、充填機13内においてボトル2に、あらかじめ滅菌処理された内容物である飲料aが図5(M)のごとくフィラー39の充填ノズル10により充填される。
飲料aが充填されたボトル2は、キャッパー40によりキャップ3が施されて密封され(図5(N)参照)、チャンバー41dの出口から無菌充填装置外へ排出される。
各種異物を入れたプリフォームを倒立状態にし、エアを吹き込んだ場合と、吹き込まない場合との各々について、プリフォームからの異物の除去率を調べたところ、図12に示すような結果を得た。
異物としては、樹脂糸A(太さ0.52mm×長さ5mm)、樹脂糸B(太さ0.148mm×長さ5mm)、PET片(厚さ0.1mm×縦横長さ5mm)、紙片(厚さ0.08mm×縦横長さ5mm)、PET粉(質量0.02g)を用いた。
これら異物にプリフォームを5本ずつ用意し、樹脂糸A、樹脂糸B、PET片、紙片については10個ずつプリフォーム内に投入し、PET粉については0.02gずつプリフォーム内に投入した。
そして、各プリフォームを倒立状態にして異物をプリフォーム外に落下させ、その場合の除去率を求め、次にイオン化エアを吹き込んだ後、濾過エアをプリフォーム内に吹き込んで異物をプリフォーム外に除去し、その場合の除去率を求めた。
除去率(%)は、次式から求めた。
(除去量/投入量)×100
図12に示す結果から、プリフォームを倒立させ、さらにエアをプリフォーム内に吹き込むことにより、異物の除去率が顕著に向上することが明らかとなった。
1…プリフォーム
2…ボトル
2a…口部
95…イオン化エア用ノズル
96…吸引口部材
97…濾過エア用ノズル
98…吸引口部材
99a,99b…無端ベルト(搬送手段)
2…ボトル
2a…口部
95…イオン化エア用ノズル
96…吸引口部材
97…濾過エア用ノズル
98…吸引口部材
99a,99b…無端ベルト(搬送手段)
Claims (2)
- 口部が下向きになった倒立状態のプリフォームを連続走行させながら、プリフォームの口部からプリフォーム内にエアを吹き込むことでプリフォーム内の異物除去した後、異物が除去された前記プリフォームの内表面及び外表面に過酸化水素のガスを接触せしめることでプリフォームの殺菌を行うことを特徴とするプリフォーム殺菌方法。
- 前記過酸化水素のガスは、35質量%換算の過酸化水素の凝結被膜となって、0.001μL/cm2〜0.5μL/cm2の範囲でプリフォームの内表面および外表面に付着することを特徴とする請求項1に記載のプリフォーム殺菌方法。
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