JP2016191564A - 損傷診断装置 - Google Patents

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増田 新
Arata Masuda
新 増田
拓磨 古川
Takuma FURUKAWA
拓磨 古川
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Abstract

【課題】検査対象物中に存在する損傷部位の有無を非接触で判定できる損傷診断装置を提供する。【解決手段】励振部61、音響放射圧により検査対象物Sが振動板11から浮揚した状態で、検査対象物Sおよび振動板11を、搬送波成分と、側帯波成分と、音響放射圧の非線形性に起因して生じる非線形成分とを含む振動波形で振動させる。第1振動計16は、検査対象物Sの振動波形を検出する。信号処理装置31の判定部は、振動に含まれる非線形成分に基づいて、検査対象物Sに損傷部位が存在するか否かを判定する。【選択図】図1

Description

本発明は、損傷診断装置に関する。
検査対象物を振動させることにより発生する音のパワースペクトルに基づいてクラック(損傷部位)の有無を判定する方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法では、ゴム等の弾性材料から形成された部材で、検査対象物に打撃を与えることにより検査対象物を振動させる。
ところが、特許文献1に記載された方法では、検査対象物に打撃を与える際に部材を検査対象物に接触させる必要がある。この場合、検査対象物における部材が接触した箇所が損傷する可能性が高い。また、検査対象物は、吸着パッドに吸着された状態で打撃が与えられるので、吸着バッドに吸着された部分も損傷する可能性がある。
これに対して、検査対象物を音響放射圧により浮揚させた状態で検査対象物を振動させる技術が提案されている(非特許文献1参照)。
特開2006−90871号公報
古川 拓磨、増田 新、「近距離場音波浮揚による非接触超音波加振の基礎研究」、日本機械学会 関西学生会平成25年度学生員卒業研究発表講演会予稿集(2013年)、16A24
しかしながら、非特許文献1に記載された方法では、検査対象物をその共振周波数付近の周波数でしか振動させることができない。従って、検査対象物に対してその共振周波数付近の周波数以外の他の周波数の振動を与えつつ検査対象物内の損傷有無を判定することができなかった。
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、検査対象物中に存在する損傷部位の有無を精度良く判定できる損傷診断装置を提供することを目的とする。
本発明に係る損傷診断装置は、
振動板と、
音響放射圧により検査対象物が前記振動板から浮揚した状態で、前記検査対象物および前記振動板を、第1周波数の搬送波成分と前記第1周波数に対して前記第1周波数より低い第2周波数の整数倍分だけ異なる周波数の側帯波成分と前記音響放射圧の非線形性に起因して生じる第2周波数の非線形成分とを含む振動波形で振動させる励振部と、
前記検査対象物の振動波形を検出する振動検出部と、
前記振動検出部で検出される振動に含まれる前記搬送波成分、前記側帯波成分および前記非線形成分のうちの少なくとも1つに基づいて、前記検査対象物に損傷部位が存在するか否かを判定する判定部と、を備える。
本発明によれば、検査対象物の振動に含まれる搬送波成分、側帯波成分および非線形成分のうちの少なくとも1つに基づいて、検査対象物の損傷部位の有無を判定する。これにより、損傷部位に起因した振動波形への影響を的確に評価することが可能となるので、検査対象物中に存在する損傷部位の有無の判定精度の向上を図ることができる。
実施の形態1に係る損傷診断システムの構成図である。 実施の形態1に係る信号処理装置の機能構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る振動板および圧電素子の配置を示す図である。 (A)は亀裂のない検査対象物の一例を示す図であり、(B)は亀裂のある検査対象物の一例を示す図である。 実施の形態1について、(A)は振動板の駆動電圧のスペクトル、(B)は振動板の振動のスペクトル、(C)は検査対象物の振動のスペクトルを示す図である。 実施の形態1について、(A)は、検査対象物の搬送波成分の周波数付近の振動の周波数スペクトルを示す図であり、(B)は、検査対象物の非線形成分の周波数付近の振動の周波数スペクトルを示す図である。 実施の形態1について、(A)は亀裂の無いアルミ平板と亀裂のあるアルミ平板とにおける非線形成分の振幅比の変調周波数依存性を示し、(B)は亀裂の無いアルミ平板と亀裂のあるアルミ平板とにおける非線形成分同士の位相差の変調周波数依存性を示す図である。 実施の形態1に係る信号処理装置が実行する損傷部位検出処理を示すフローチャートである。 実施の形態2に係る損傷診断システムの構成図である。 実施の形態2に係る信号処理装置の機能構成を示すブロック図である。 実施の形態2について、亀裂の無い検査対象物と亀裂のある検査対象物との浮揚距離の変調周波数依存性を示す図である。 実施の形態2について、(A)は亀裂の無い検査対象物と亀裂のある検査対象物とにおける非線形成分の振幅比の変調周波数依存性を示し、(B)は亀裂の無い検査対象物と亀裂のある検査対象物とにおける非線形成分同士の位相差の変調周波数依存性を示す図である。 実施の形態2に係る信号処理装置が実行する損傷部位検出処理を示すフローチャートである。 実施の形態3に係る信号処理装置の機能構成を示すブロック図である。 実施の形態3について、亀裂の無い検査対象物と亀裂のある検査対象物とにおける変調度の変調周波数依存性を示す図である。 実施の形態3に係る信号処理装置が実行する損傷部位検出処理を示すフローチャートである。 変形例に係る信号処理装置が実行する損傷部位検出処理を示すフローチャートである。 変形例に係る信号処理装置が実行する損傷部位検出処理を示すフローチャートである。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る損傷診断システムは、図1に示すように、振動板11と、励振部61と、第1振動計(変位検出部)16と、第2振動計18と、AD(Analog to digital)変換器21、23と、搬送部(図示せず)と、横方向変位検出部(図示せず)と、信号処理装置31と、表示装置41と、を備える。
励振部61は、振動板11に固定された圧電素子12、13と、圧電素子12、13に交流電圧を印加する信号発生器14および信号増幅器15と、を備える。励振部61は、振動板11をその厚さ方向に励振して振動板11から超音波を発生させることにより、検査対象物Sを振動板11から浮揚させる。
圧電素子12、13は、ピエゾ素子から構成され、振動板11を振動させる。信号発生器14は、後述の信号処理装置31からの入力電圧に基づいて搬送波信号を振幅変調する変調用信号の周波数を変更することができる。信号発生器14は、搬送波信号を生成するための第1発振器と、搬送波信号を振幅変調する変調用信号を生成するための第2発振器と、第1発振器の出力と第2発振器の出力とを乗算して振幅が変調された信号を生成して信号増幅器15へ出力する乗算回路14cと、を備える。ここで、変調用信号の周波数は、搬送波信号の周波数よりも低い。第1発振器14aと第2発振器14bとは、例えば電圧制御発振器から構成される。信号増幅器15は、信号発生器14の乗算回路14cからの入力電圧を増幅して圧電素子12、13へ出力する。
第1振動計16は、検査対象物Sの変位の時系列データである振動波形を検出し、第2振動計18は、振動板11の変位の時系列データである振動波形を検出する。第1振動計16と第2振動計18とは、それぞれレーザドップラ振動計から構成されている。第1振動計16は検査対象物Sの振動波形を示すアナログ信号をAD変換器21へ出力する。第2振動計18は、振動板11の振動波形を示すアナログ信号をAD変換器23へ出力する。AD変換器21、23は、第1振動計16、第2振動計18から入力される振動波形を示すアナログ信号をディジタル信号に変換して信号処理装置31へ出力する。AD変換器21、23のサンプリング周波数は、例えば1MHzに設定される。
搬送部は、検査対象物Sを振動板11の上方へ導入するためのものである。搬送部は、例えば検査対象物Sを浮揚させた状態で振動板11の上方へ配置する構成である。横方向変位検出部は、搬送部で振動板11の上方に配置された後、検査対象物Sの振動板11の厚さ方向に直交する方向への変位を検出するためのものである。表示装置41は、ディスプレイ等から構成される。
信号処理装置31は、そのハードウェア構成要素として、CPU(Central Processing Unit)31a、主記憶部31b、補助記憶部31c、インタフェース部31d、出力部31eおよび各部を接続するシステムバス31fを備える。CPU31aは、補助記憶部31cに記憶されたプログラムを読み出して実行する。CPU31aは、信号処理装置31全体を統括的に制御する。
主記憶部31bは、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリを有している。主記憶部31bは、CPU31aの作業領域として用いられる。また、主記憶部31bには、AD変換器21、23それぞれからインタフェース31dを介して入力されるディジタルデータを一時的に記憶するデータバッファ321が設けられている。
補助記憶部31cは、ROM(Read Only Memory)、磁気ディスク、半導体メモリなどの不揮発性メモリを有している。補助記憶部31cは、CPU31aが実行するプログラムおよび各種パラメータなどを記憶している。CPU31aによる処理結果などを順次記憶する。また、補助記憶部31cには、基準試料(図示せず)について得られた後述の非線形成分の振幅比である基準振幅比と、基準試料(図示せず)について得られた後述の非線形成分の位相差である基準位相差と、亀裂等の損傷部位の有無の判定に用いる判定閾値とが記憶されている。基準振幅比および基準位相差は、予め設定された周波数範囲内の各変調周波数について記憶されている。ここで、「変調周波数」とは、搬送波信号を変調する変調用信号の周波数を意味する。
インタフェース部31dは、LANインタフェース、シリアルインタフェース、パラレルインタフェース、アナログインタフェースなどを備えている。出力部31fは、表示装置41へ表示データを出力するためのインタフェースから構成される。
信号処理装置31は、その機能構成要素として、図2に示すように、励振制御部313と、振幅比・位相差算出部311と、判定部312と、結果表示部314と、搬送制御部315と、揺動検出部316と、を有する。
励振制御部313は、予め設定された周波数範囲内(180Hzから210Hzの範囲内)で変調周波数を変化させるように信号発生器14を制御する。励振制御部313は、第2発振器14bへの入力電圧を変化させることにより、第2発振器14bから出力される変調用信号の周波数(第2周波数)を180Hzから210Hzの範囲内で変化させる。また、励振制御部313は、第1発振器14aへの入力電圧を変化させることにより、第1発振器14aから出力される搬送波信号の周波数(第1周波数)を20kHzから50KHzの範囲内で変化させることもできる。更に、励振制御部313は、変調用信号の周波数を示す周波数情報を振幅比・位相差算出部311へ出力する。これにより、信号発生器14の乗算回路14cからは、搬送波信号に変調用信号が積算されてなる電圧信号が出力される。そして、圧電素子12、13にこの電圧信号が印加されることにより、振動板11の振動には、後述の搬送波成分と側帯波成分と非線形成分とが含まれることになる。振動板11の上方に配置された検査対象物Sは、振動板11の振動により生じる音響放射圧により振動板11から浮揚する。また、励振制御部313は、検査対象物Sの大きさ、重量または形状に応じて、搬送波信号の振幅を調整する機能を有していてもよい。
振幅比・位相差算出部311は、検査対象物Sの振動に含まれる非線形成分と振動板11の振動に含まれる非線形成分との振幅比および位相差を算出する。振幅比・位相差算出部311は、データバッファ321に記憶された第1振動計16により検出されたディジタルデータ、第2振動計18により検出されたディジタルデータのそれぞれについてFFT(First Fourier Transform)解析をしてフーリエ変換値データを算出する。そして、振幅比・位相差算出部311は、検査対象物Sについてのフーリエ変換値を、振動板11についてのフーリエ変換値で除して得られる絶対値と偏角とを、それぞれ振幅比と位相差とする。振幅比・位相差算出部311は、算出した振幅比および位相差を判定部312へ出力する。
判定部312は、振幅比・位相差算出部311により算出された、予め設定された周波数範囲内の全ての変調周波数における非線形成分の振幅比および位相差に基づいて、検査対象物S中に損傷部位が存在するか否かを判定する。具体的には、判定部312は、まず、振幅比・位相差算出部311から入力される振幅比と基準振幅比との差分の二乗の積分値と振幅比・位相差算出部311から入力される位相差と基準位相差との差分の二乗の積分値とを算出する。そして、振幅比・位相差算出部311は、算出した積分値と損傷部位の無い基準資料について算出した積分値に基づいて設定された判定閾値との比較結果に基づいて、検査対象物S中における損傷部位の存在有無を判定する。判定部312は、検査対象物S中における損傷部位の存在有無を示す判定結果情報を結果表示部314へ出力する。結果表示部314は、判定部312から入力される判定結果情報を表示装置41に表示させる。
搬送制御部315は、搬送部を制御して検査対象物Sを振動板11の上方に配置する。揺動検出部316は、前述の横方向変位検出部から入力される信号に基づいて、検査対象物Sが振動板11の上方へ搬送された後の検査対象物Sの振動板11の厚さ方向に直交する方向への揺動を検出する。そして、揺動検出部316は、補助記憶部31cから揺動閾値を取得し、検出される変位が揺動閾値以下であるか否かを判定する。揺動検出部316は、検出される変位が揺動閾値以下の場合、揺動が収束した旨を通知する揺動収束情報を励振制御部313へ出力する。
次に、本実施の形態に係る損傷診断システムの実験例の性能について説明する。ここでは、図3に示すように、振動板11は、矩形板状であり、圧電素子12、13は平面視矩形状であり、圧電素子12、13は、振動板11の平面視で短手方向における中央部を通る中心軸J1上に並んで配置されている。また、図3において、図示するようにXY方向を定義すると、振動板11の厚さは3mmであり、振動板11のY方向の長さは210mm、X方向の長さは148mmである。また、圧電素子12、13は、その厚さが0.5mmであり、Y方向の長さが30mm、X方向の長さが20mmである。振動板11の図3の−Y方向側に位置する端縁と、圧電素子12の図3の−Y方向側に位置する端縁との間の距離は、50mmである。振動板11の図3の+X方向側に位置する端縁と、圧電素子12の図3の+X方向側に位置する端縁との間の距離は、64mmである。振動板11の図3の+Y方向側に位置する端縁と、圧電素子13の図3の+Y方向側に位置する端縁との間の距離は、50mmである。振動板11の図3の−X方向側に位置する端縁と、圧電素子13の図3の−X方向側に位置する端縁との間の距離は、64mmである。
また、被検査対象物Sとして、図4(A)に示すような亀裂の無いアルミ平板と図4(B)に示すような亀裂CRのあるアルミ平板とを用いた。亀裂CRのあるアルミ平板は、2枚のアルミ平板をテープで貼り合わせて亀裂CRを模擬したものである。図4(A)に示すアルミ平板は、Z方向の厚さが1mmであり、Y方向の長さが210mm、X方向の長さが148mmである。
ここで、圧電素子12、13に搬送波信号に変調用信号が積算されてなる電圧信号を印加した場合の、振動板11で発生する振動と、振動板11の振動に起因して検査対象物Sで発生する振動とについて説明する。圧電素子12、13に印加される電圧信号は、図5(A)に示すように、搬送波成分(周波数ω1)と、側帯波成分(周波数ω1−ω2、ω1+ω2)と、を含む。圧電素子12、13にこのような電圧信号が印加される場合、振動板11で発生する振動は、図5(B)に示すように、搬送波成分(周波数ω1)と、側帯波成分(周波数ω1±nω2(n=1,2,…)と、非線形成分((周波数mω2(m=1,2,…)))と、を含むことになる。ここで、非線形成分は、音響放射圧の非線形性に起因して生じるものである。このように振動板11が振動する場合、検査対象物Sで発生する振動は、図5(C)に示すように、搬送波成分(周波数ω1)と、側帯波成分((周波数ω1±nω2(n=1,2,…))と、非線形成分(周波数mω2(m=1,2,…))と、を含むことになる。つまり、励振部61は、音響放射圧により検査対象物Sが振動板11から浮揚した状態で、検査対象物Sおよび振動板11を、周波数(第1周波数)ω1の搬送波成分と、側帯波成分と、周波数(第2周波数)ω2を基本周波数とする非線形成分とを含む振動波形で振動させる。側帯波成分は、周波数ω1に対して周波数ω1より低い周波数(第2周波数)ω2の整数倍分だけ異なる周波数の成分である。
本実施の形態では、検査対象物Sの振動に含まれる非線形成分ω2と振動板11の振動に含まれる非線形成分ω2との振幅比並びに位相差に基づいて、検査対象物S中に損傷部位が存在するか否かを判定する。
次に、損傷診断システムにおける検査対象物Sの実際の振動付加特性について説明する。図6(A)は、検査対象物Sの搬送波成分の周波数ω1付近の振動の周波数スペクトルを示し、図6(B)は、検査対象物Sの非線形成分の周波数ω2付近の振動の周波数スペクトルを示している。図6(B)に示す周波数スペクトルから、検査対象物Sの振動に周波数ω2の非線形成分が含まれていることが判る。これらのことから、損傷診断システムでは、圧電素子12、13に搬送波信号に変調用信号が積算されてなる電圧信号を印加した場合、検査対象物Sの振動に非線形成分が含まれることが判る。
次に、検査対象物Sとして、亀裂の無いアルミ平板と亀裂のあるアルミ平板とで、検査対象物S、振動板11の振動に含まれる非線形成分の振幅比、検査対象物S、振動板11の振動に含まれる非線形成分の位相差とを比較した結果について説明する。図7(A)の丸印は、亀裂の無いアルミ平板の非線形成分の非線形成分の振幅比の変調周波数依存性を示し、図7(A)の三角印は、亀裂CRのあるアルミ平板の非線形成分の振幅の変調周波数依存性を示す。また、図7(B)の丸印は、亀裂の無いアルミ平板、振動板11の非線形成分の位相差の変調周波数依存性を示し、図7(B)の三角印は、亀裂CRのあるアルミ平板、振動板11の非線形成分の位相差の変調周波数依存性を示す。図7(A)から、亀裂CRのあるアルミ平板の変調波成分の非線形成分の振幅比は、亀裂の無いアルミ平板の非線形成分の振幅に比べて大きくなることが判る。なお、図7(B)からは、亀裂CRのあるアルミ平板、振動板11の非線形成分の位相差は、亀裂の無いアルミ平板、振動板11の非線形成分の位相差と略同じであることが判る。本実施の形態に係る損傷診断システムでは、検査対象物Sの非線形成分の振幅比または位相差が亀裂CR有無によって異なることを利用して、検査対象物S中の損傷部位の有無を判定する。
次に、本実施の形態に係る信号処理装置31が実行する損傷部位検出処理について図8を参照しながら説明する。損傷部位検出処理は、例えばユーザによる、信号処理装置31の操作部(図示せず)で損傷部位の検出を開始するための操作を受け付けたことを契機として開始される。
まず、励振制御部313は、検査対象物Sを浮揚させるための搬送波の搬送波周波数を設定する(ステップS1)。ここでは、励振制御部313は、検査対象物Sが無い状態で第1発振器14aから出力される信号電圧の周波数を20kHzから50kHzまで掃引する。これにより、データバッファ321には、第2振動計18からAD変換器23を介して各周波数における振動板11の振幅データが蓄積される。そして、励振制御部313は、データバッファ321に蓄積された各周波数に対応する振幅データの中から振幅が最大となる周波数を特定し、特定した周波数を搬送波周波数に設定する。
次に、励振制御部313は、信号発生器14の第1発振器14aを上記特定した周波数で動作させることにより圧電素子12、13に電圧信号を印加し、振動板11で超音波を発生させる(ステップS2)。
続いて、搬送制御部315は、検査対象物Sを振動板11の上方へ導入する(ステップS3)。このとき、検査対象物Sは、検査対象物S1と振動板11との間の空気層を介して浮揚保持される。
その後、揺動検出部316は、検査対象物Sの揺動が収束したか否かを判定する(ステップS4)。揺動検出部316は、揺動を検出している限り(ステップS4:No)、待機状態を維持する。
ステップS4において、検査対象物Sの揺動が収束したと判定されると(ステップS4:Yes)、励振制御部313は、第2発振器14bを動作させることにより、搬送波信号の変調用信号による変調を開始する(ステップS5)。このとき、AD変換器21は、サンプリングを開始し、第1振動計16から入力されるアナログ信号をサンプリングしてディジタルデータを生成し、データバッファ321に記憶させる。
次に、振幅比・位相差算出部311は、非線形成分の振幅比および位相差の算出に必要なサンプリング期間が終了したか否かを判定する(ステップS6)。ここで、「非線形成分の振幅比」とは、検査対象物Sの振動に含まれる非線形成分と振動板11の振動に含まれる非線形成分との振幅比を意味し、「非線形成分の位相差」とは、検査対象物Sの振動に含まれる非線形成分と振動板11の振動に含まれる非線形成分との位相差を意味する。振幅比・位相差算出部311は、サンプリング期間が終了しない限り(ステップS6:No)、待機状態を維持する。
一方、ステップS6において、サンプリング期間が終了したと判定されると(ステップS6:Yes)、振幅比・位相差算出部311は、サンプリング期間中にサンプリングされたディジタルデータから非線形成分の振幅比および位相差を算出する(ステップS7)。続いて、振幅比・位相差算出部311は、変調周波数に対して予め設定された周波数範囲内の全周波数について非線形成分の振幅比および位相差の算出を完了したか否かを判定する(ステップS8)。振幅比・位相差算出部311は、例えば180Hzから210Hzの範囲内の全ての変調周波数に対応する非線形成分の振幅比および位相差を算出したか否かを判定する。
ステップS8において、予め設定された周波数範囲内の全周波数について振幅比の算出が完了していないと判定されると(ステップS8:No)、励振制御部313は、変調周波数を変更する(ステップS9)。ここでは、励振制御部313は、変調周波数を予め設定された周波数(例えば1Hz)だけ変更する。そして、ステップS6からステップS9までの処理が繰り返し実行されることにより、変調周波数が例えば180Hzから始まって210Hzまで1Hzずつ変化し、振幅比・位相差算出部311が、各変調周波数における非線形成分の振幅比および位相差を算出していく。振幅比・位相差算出部311は、算出した各変調周波数における非線形成分の振幅比を示す振幅比データと非線形成分の位相差を示す位相差データとを判定部312へ随時出力する。
ステップS8において、全周波数について非線形成分の振幅比および位相差の算出が完了したと判定されると(ステップS8:Yes)、搬送制御部315は、検査対象物Sをアンロードする(ステップS10)。その後、励振制御部313は、信号発生器14を停止させることにより、振動板11から発生する超音波を停止する。
次に、判定部312は、振幅比・位相差算出部311から入力される振幅比データおよび位相差データに基づいて、検査対象物S中の損傷部位の有無を判定する(ステップS12)。判定部312は、各周波数における非線形成分の振幅比および位相差と、損傷部位が無い基準試料について得られた非線形成分の振幅比および位相差である基準値との差分の二乗の積算値を算出する。そして、判定部312は、算出した積算値が判定閾値を超えるか否かにより損傷部位の有無を判定する。判定部312は、積算値が判定閾値を超える場合、検査対象物S中に損傷部位が存在すると判定する。判定部312は、判定結果を結果表示部314へ出力する。
続いて、結果表示部314は、判定結果を表示する結果表示処理を実行する(ステップS13)。ここで、結果表示部314は、判定部312から入力される判定結果を示す結果データを、表示装置41で表示できるデータ形式に変換して表示装置41へ出力する。これにより、表示装置41には、検査対象物S中の損傷部位の有無の判定結果が表示される。
以上説明したように、本実施の形態に係る損傷診断システムでは、検査対象物Sの振動に含まれる非線形成分に基づいて、検査対象物Sの損傷部位の有無を判定する。これにより、検査対象物Sの振動に含まれる搬送波成分を監視するだけでは確認できない損傷部位に起因した振動波形への影響を評価することが可能となるので、検査対象物S中に存在する損傷部位の有無の判定精度の向上を図ることができる。
ところで、検査対象物Sの大きさや形状或いは検査対象物S中に存在する損傷部位の状態によって、振動に含まれる各変調周波数の成分の振幅比の大きさが変化しうる。これに対して、本実施の形態に係る損傷診断システムでは、励振制御部313が、予め設定された周波数範囲内(180Hzから210Hzの範囲内)で変調周波数を変化させるように信号発生器14を制御する。振幅比・位相差算出部311が、予め設定された周波数範囲内の全ての変調周波数について、振動に含まれる非線形成分の振幅比および位相差を算出する。判定部312は、予め設定された周波数範囲内の全ての変調周波数についての非線形成分の振幅比および位相差に基づいて、検査対象物Sに損傷部位が存在するか否かを判定する。これにより、検査対象物S中の大きさや形状或いは検査対象物S中に存在する損傷部位の状態に左右されることなく、検査対象物S中に存在する損傷部位の有無を精度よく判定できる。
(実施の形態2)
本実施の形態に係る損傷診断システムは、図9に示すように、レーザ変位計19と、これに対応するAD変換器24とを備える点が実施の形態1と相違する。なお、図9において、実施の形態1と同様の構成については図1と同一の符号を付している。AD変換器24は、AD変換器21、23と同様の構成である。
補助記憶部31cには、検出対象物Sの浮揚距離の基準となる基準浮揚距離と、基準試料(図示せず)について得られた後述の非線形成分の振幅比である基準振幅比と、基準試料(図示せず)について得られた後述の非線形成分の位相差である基準位相差と、亀裂等の損傷部位の有無の判定に用いる判定閾値とが記憶されている。基準振幅比および基準位相差は、予め設定された周波数範囲内の各変調周波数について記憶されている。
信号処理装置2031は、図10に示すように、検査対象物Sの浮揚距離を計測する浮揚距離計測部2315を備える点が実施の形態1と相違する。なお、図10において、実施の形態1と同様の構成については図2と同一の符号を付している。
浮揚距離計測部2315は、データバッファ321から取得したディジタルデータの平均値を浮揚距離として算出する。浮揚距離計測部2315は、算出した浮揚距離を励振制御部2313へ出力する。
励振制御部2313は、実施の形態1で説明した励振制御部313が有する機能に加えて、検査対象物Sの浮揚距離が基準浮揚距離となるように、搬送波の振幅を調整する機能を有する。励振制御部313は、浮揚距離計測部2315から入力される浮揚距離に基づいて、第1発振器14aから出力される搬送波信号の振幅を変化させることにより、超音波に含まれる搬送波成分の大きさを調整する。また、励振制御部2313は、信号発生器14から出力される変調用信号の波形を示す波形情報を振幅比・位相差算出部311へ出力する。
次に、本実施の形態に係る損傷診断システムの実験例の性能について説明する。ここで、振動板11と圧電素子12、13と検査対象物Sとは、実施の形態1と同様である。まず、検査対象物Sとして、亀裂の無いアルミ平板と亀裂のあるアルミ平板とで、搬送波信号、変調用信号の振幅を一定にして浮揚距離を比較した結果について説明する。図11の丸印は、亀裂の無いアルミ平板の変調波成分の浮揚距離の変調周波数依存性を示し、図11の三角印は、亀裂CRのあるアルミ平板の変調波成分の浮揚距離の変調周波数依存性を示す。図11に示すように、亀裂CRのあるアルミ平板の浮揚距離は、亀裂の無いアルミ平板の浮揚距離に比べて大きくなる。損傷診断システムでは、検査対象物S毎に、浮揚距離が基準浮揚距離で維持されるように搬送波信号の振幅を調整する。
次に、検査対象物Sとして、亀裂の無いアルミ平板と亀裂CRのあるアルミ平板とで、振動に含まれる非線形成分の振幅比と位相差とを比較した結果について説明する。図12(A)の丸印は、亀裂の無いアルミ平板の非線形成分の振幅比の変調周波数依存性を示し、図12(A)の三角印は、亀裂CRのあるアルミ平板の非線形成分の振幅比の変調周波数依存性を示す。また、図12(B)の丸印は、亀裂の無いアルミ平板、振動板11の非線形成分の位相差の変調周波数依存性を示し、図12(B)の三角印は、亀裂CRのあるアルミ平板、振動板11の非線形成分の位相差の変調周波数依存性を示す。図12(B)から、亀裂CRのあるアルミ平板の位相差は、亀裂の無いアルミ平板の位相差に比べて小さくなることが判る。本実施の形態に係る損傷診断システムでは、検査対象物Sの浮揚距離が基準浮揚距離となるようにした場合において、検査対象物Sの非線形成分の振幅比または位相差が亀裂CR有無によって異なることを利用して、検査対象物S中の損傷部位の有無を判定する。
次に、本実施の形態に係る信号処理装置31が実行する損傷部位検出処理について図13を参照しながら説明する。図13におけるステップS201からステップS206までの処理は、図8におけるステップS1からステップS6までの処理と同じである。ステップS206の処理の後、浮揚距離計測部2315は、検査対象物Sの浮揚距離を算出する(ステップS207)。
次に、励振制御部313は、浮揚距離計測部2315で算出された検査対象物Sの浮揚距離に基づいて、浮揚距離が基準浮揚距離となるように、信号発生器14の第1発振器14aから出力される搬送波信号の振幅を調整する(ステップS208)。
続いて、振幅比・位相差算出部311は、検査対象物Sの振動に含まれる非線形成分と振動板11の振動に含まれる非線形成分との振幅比および位相差を算出する(ステップS209)。その後、振幅比・位相差算出部311は、予め設定された周波数範囲内の全周波数について、振幅比および位相差の算出を完了したか否かを判定する(ステップS210)。
ステップS210において、予め設定された周波数範囲内の全周波数について位相差の算出が完了していないと判定されると(ステップS210:No)、励振制御部2313は、変調周波数を変更する(ステップS211)。ステップS206からステップS211までの処理が繰り返し実行されることにより、変調周波数が例えば180Hzから始まって210Hzまで1Hzずつ変化し、振幅比・位相差算出部311が、各変調周波数における非線形成分の振幅比および位相差を算出していく。振幅比・位相差算出部311は、算出した各変調周波数における非線形成分の振幅比を示す振幅データと非線形成分の位相差を示す位相差データとを判定部312へ随時出力する。
ステップS210において、全周波数について位相差の算出が完了したと判定されると(ステップS210:Yes)、ステップS212、S213の処理が実行される。ステップS212、S213の処理は、実施の形態1のステップ10、S11の処理と同様である。
次に、判定部2312は、振幅比・位相差算出部311から入力される振幅データおよび位相差データに基づいて、検査対象物S中の損傷部位の有無を判定する(ステップS214)。このステップS214の処理内容は、実施の形態1で説明した損傷部位検出処理のステップS12での処理内容と同様である。判定部312は、判定結果を結果表示部314へ出力する。その後、結果表示部314は、結果表示処理を実行する(ステップS215)。
以上説明したように、本実施の形態に係る損傷診断システムでは、検査対象物Sの浮揚距離が基準浮揚距離で維持されるので、例えば、レーザ顕微鏡等を用いて検査対象物表面の外観検査等を実施し易くなる。つまり、レーザ顕微鏡等の焦点距離を基準浮揚距離に適合した距離に固定することができるので、検査対象物S毎に焦点距離の調節が必要な構成に比べて容易に検査を実行できる。
(実施の形態3)
本実施の形態に係る損傷診断システムでは、信号処理装置5031が、図14に示すように、検出対象物Sの振動に含まれる変調度を算出する変調度算出部5311を備える点が実施の形態2と相違する。なお、図14において、実施の形態2と同様の構成については図10と同一の符号を付している。また、本実施の形態に係る損傷診断システムでは、補助記憶部31cに、基準試料(図示せず)について得られた、振動に含まれる搬送波成分に対する側帯波成分の比率である基準変調度と、亀裂等の損傷部位の有無の判定に用いる判定閾値とが記憶されている。基準変調度は、予め設定された周波数範囲内の各変調周波数について記憶されている。
次に、本実施の形態に係る損傷診断システムの実験例の性能について説明する。ここで、振動板11と圧電素子12、13と検査対象物Sとは、実施の形態1と同様である。検査対象物Sとして、亀裂の無いアルミ平板と亀裂CRのあるアルミ平板とで、浮揚距離が基準浮揚距離となるようにして、振動波形の変調度を比較した結果について説明する。図15の丸印は、亀裂の無いアルミ平板についての変調度の変調周波数依存性を示し、図15の三角印は、亀裂CRのあるアルミ平板についての変調度の変調周波数依存性を示す。図15から、亀裂CRのあるアルミ平板の変調度は、亀裂の無いアルミ平板の変調度に比べて大きくなることが判る。本実施の形態に係る損傷診断システムでは、検査対象物Sの浮揚距離が基準浮揚距離となるようにした場合、検査対象物Sの変調度が亀裂CR有無によって異なることを利用して、検査対象物S中の損傷部位の有無を判定する。
次に、本実施の形態に係る信号処理装置31が実行する損傷部位検出処理について図16を参照しながら説明する。図16におけるステップS501からステップS508までの処理は、図13におけるステップS201からステップS208までの処理と同じである。ステップS208の処理の後、変調度算出部5311は、変調度を算出する(ステップS509)。ここでは、変調度算出部5311が、データバッファ321から取得した時系列波形を示すディジタルデータから振幅包絡線をヒルベルト変換によって算出し、その後、振幅包絡線の振幅を振幅包絡線の平均値で除することにより変調度を算出する。
その後、ステップS510以降の処理が実行される。図16におけるステップS510からステップS513までの処理は、図13におけるステップS210からステップS213までの処理と同じである。ここで、ステップS506からステップS509までの処理が繰り返し実行されることにより、変調周波数が例えば180Hzから始まって210Hzまで1Hzずつ変化し、変調度算出部5311が、各変調周波数における変調度を算出していく。変調度算出部5311は、算出した各変調周波数における変調度を示す変調度データを判定部5312へ随時出力する。
ステップS513の処理の後、判定部5312は、変調度算出部5311から入力される変調度データに基づいて、検査対象物S中の損傷部位の有無を判定する(ステップS214)。判定部5312は、各周波数における変調度と、損傷部位が無い基準試料について得られた基準変調度との差分の二乗の積算値を算出する。そして、判定部312は、算出した積算値が判定閾値を超えるか否かにより損傷部位の有無を判定する。判定部312は、積算値が判定閾値を超える場合、検査対象物S中に損傷部位が存在すると判定する。判定部312は、判定結果を結果表示部314へ出力する。その後、結果表示部314は、結果表示処理を実行する(ステップS515)。
ところで、検査対象物S中に存在する亀裂や接着部分の剥離等の損傷部位は、亀裂面同士または接着面同士の状態変化を伴う。このような損傷部位の状態変化は、検査対象物の振動に含まれる搬送波成分の振幅変調および位相変調として表れる。したがって、本実施の形態に係る損傷診断システムでは、判定部5312は、予め設定された周波数範囲内の全ての変調周波数における変調度に基づいて、検査対象物Sに損傷部位が存在するか否かを判定する。これにより、損傷部位の状態変化に起因した検査対象物Sの振動への影響を変調度の変化から検出することができるので、損傷部位の状態変化の有無をも検出することができるという利点がある。
(変形例)
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、実施の形態1および実施の形態2において、検査対象物Sの振動に含まれる非線形成分と圧電素子12、13に印加する電圧値との振幅比並びに位相差に基づいて、検査対象物S中の損傷部位の有無を判定する構成であってもよい。この場合、第2振動計18、AD変換器23を不要とすることができるので、損傷診断システムの簡素化を図ることができる。
前述の各実施の形態では、励振制御部313が、予め設定された周波数範囲内(180Hzから210Hzの範囲内)で変調周波数を変化させるように信号発生器14を制御する例について説明した。これに限らず、例えば励振制御部313が、特定の変調周波数で固定されるように信号発生器14を制御する構成であってもよい。ここで、特定の変調周波数は、例えば変調周波数を変更しながら、検査対象物Sの振動に含まれる非線形成分と振動板11の非線形成分との振幅比および位相差を計測したときに、その振幅比または位相差が最も大きくなるときの変調周波数とすればよい。
本変形例に係る信号処理装置31が実行する損傷部位検出処理は、図17に示すように、図8に示すフローチャートにおいてステップS8、S9の処理を省略したものに相当する。なお、図12において、S301からステップS307までの処理は、図8におけるステップS1からステップS7までの処理と同じであり、ステップS308以降の処理は、図8におけるステップS10以降の処理と同じである。
他の変形例に係る信号処理装置31が実行する損傷部位検出処理は、図18に示すように、図13に示すフローチャートにおいてステップS210、S211の処理を省略したものに相当する。なお、図18において、S401からステップS409までの処理は、図13におけるステップS201からステップS209までの処理と同じであり、ステップS410以降の処理は、図13におけるステップS212以降の処理と同じである。
本構成によれば、励振制御部313による変調周波数を変更する処理を省略できるとともに、振幅比・位相差算出部311による振幅算出処理を実行する回数を低減できる。これにより、信号処理装置31が実行する処理内容が簡素化されるので、信号処理装置31の処理負担を軽減することができる。
実施の形態2では、判定部2312が検査対象物Sの振動に含まれる非線形成分の振幅と検査対象物Sの振動に含まれる非線形成分と振動板11の振動に含まれる非線形成分との位相差に基づいて、検査対象物S中の損傷部位の有無を判定する例について説明した。これに限らず、例えば、判定部2312は、検査対象物Sの浮遊距離に基づいて、検査対象物S中の損傷部位の有無を判定する構成であってもよい。この場合、浮遊距離計測部は、損傷部位の無い基準試料について計測された基準浮遊距離を補助記憶部31cに記憶させておく。そして、判定部が、検査対象物Sの浮遊距離と基準浮遊距離との差分が判定閾値よりも大きい場合に検査対象物S中に損傷部位が存在すると判定するようにすればよい。本構成によれば、振動計が不要となるので、損傷診断システムの簡素化を図ることができる。
前述の各実施の形態では、励振部61が振動板11の2箇所それぞれに固定された圧電素子12,13を備える例について説明した。これに限らず、例えば励振部61が振動板11の3箇所以上に固定された圧電素子を備える構成であってもよい。或いは、励振部が振動板11の1箇所に固定された圧電素子を備える構成であってもよい。
前述の各実施の形態では、信号発生器14が、第1発振器14a、第2発振器14bおよび乗算回路14cを備えるアナログ回路から構成される例について説明した。これに限らず、例えば、信号発生器14の代わりにDA(Digital to Analog)変換器を備えた構成であってもよい。この場合、信号処理装置31において搬送波信号に対応するディジタル信号に変調用信号に対応するディジタル信号を乗算してなるディジタル信号を生成し、生成したディジタル信号をDA変換器へ出力するようにすればよい。すると、DA変換器は、入力されるディジタル信号をアナログ信号へ変換して出力する。DA変換器から出力されるアナログ信号は、搬送波信号に変調用信号が乗算された信号となる。
11:振動板、12,13:圧電素子、14:信号発生器、14a:第1発振器、14b:第2発振器、14c:乗算回路、15:信号増幅器、16:第1振動計、18:第2振動計、19:変位計、21,23,24:AD変換器、31,2031,5031:信号処理装置、31a:CPU、31b:主記憶部、31c:補助記憶部、31d:インタフェース、31e:出力部、31f:システムバス、41:表示装置、61:励振部、311:振幅比・位相差算出部、312,5312:判定部、313,2313:励振制御部、314:結果表示部、315:ローダ制御部、316:揺動検出部、321:データバッファ、2315:浮揚距離計測部、5311:変調度算出部、S:検査対象物、CR:亀裂

Claims (6)

  1. 振動板と、
    音響放射圧により検査対象物が前記振動板から浮揚した状態で、前記検査対象物および前記振動板を、第1周波数の搬送波成分と前記第1周波数に対して前記第1周波数より低い第2周波数の整数倍分だけ異なる周波数の側帯波成分と前記音響放射圧の非線形性に起因して生じる第2周波数の非線形成分とを含む振動波形で振動させる励振部と、
    前記検査対象物の振動波形を検出する振動検出部と、
    前記振動検出部で検出される振動に含まれる前記搬送波成分、前記側帯波成分および前記非線形成分のうちの少なくとも1つに基づいて、前記検査対象物に損傷部位が存在するか否かを判定する判定部と、を備える、
    損傷診断装置。
  2. 前記検査対象物の浮揚距離を検出する浮揚距離検出部と、
    前記浮揚距離検出部で検出される浮揚距離が基準浮揚距離となるよう前記励振部による前記振動板の励振強度を制御する励振制御部と、を更に備える、
    請求項1に記載の損傷診断装置。
  3. 前記検査対象物の振動に含まれる前記非線形成分と前記振動板の振動に含まれる前記非線形成分との振幅比と、前記検査対象物の振動に含まれる前記非線形成分と前記振動板の振動に含まれる前記非線形成分との位相差と、の少なくとも一方を算出する算出部を更に備え、
    前記判定部は、前記算出部により算出された前記振幅比および前記位相差の少なくとも一方に基づいて、前記検査対象物に損傷部位が存在するか否かを判定する、
    請求項2に記載の損傷診断装置。
  4. 前記励振制御部は、更に、予め設定された周波数範囲内で前記第2周波数を変化させるように前記励振部を制御し、
    前記算出部は、前記予め設定された周波数範囲内の全ての第2周波数について、前記検査対象物の振動に含まれる前記非線形成分と前記振動板の振動に含まれる前記非線形成分との振幅比と、前記検査対象物の振動に含まれる前記非線形成分と前記振動板の振動に含まれる前記非線形成分との位相差と、の少なくとも一方を算出し、
    前記判定部は、前記算出部により算出された、前記予め設定された周波数範囲内の全ての第2周波数についての前記振幅比および前記位相差の少なくとも一方に基づいて、前記検査対象物に損傷部位が存在するか否かを判定する、
    請求項3に記載の損傷診断装置。
  5. 前記検査対象物の振動に含まれる前記側帯波成分および前記搬送波成分から変調度を算出する算出部を更に備え、
    前記判定部は、前記算出部より算出された前記変調度に基づいて、前記検査対象物に損傷部位が存在するか否かを判定する、
    請求項2に記載の損傷診断装置。
  6. 前記励振制御部は、更に、予め設定された周波数範囲内で前記第2周波数を変化させるように前記励振部を制御し、
    前記算出部は、前記予め設定された周波数範囲内の全ての第2周波数について、前記変調度を算出し、
    前記判定部は、前記算出部により算出された、前記予め設定された周波数範囲内の全ての第2周波数についての前記変調度に基づいて、前記検査対象物に損傷部位が存在するか否かを判定する、
    請求項5に記載の損傷診断装置。
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