JP2016191516A - 固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法 - Google Patents

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小西 正芳
Masayoshi Konishi
正芳 小西
康寛 水木
Yasuhiro Mizuki
康寛 水木
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Abstract

【課題】
燃料となる固体廃棄物から発生される臭気を、特別な装置を設けることなく、また、揮発や着火の危険の恐れがなく、経済的且つ有効に脱臭することができるとともに、燃焼効率を低下させることなく、固体廃棄物系燃料としてセメント製造設備へ供給する方法を提供する。
【解決手段】
固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法は、固体廃棄物系燃料に、脱臭性を有する有機性材料を混合又は散布して臭気の拡散を抑制し、次いで該固体廃棄物系燃料をセメント焼成装置での燃料として使用する、固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法に関し、特に燃焼効率を低下させることなく、臭気を発する固体廃棄物系燃料を脱臭して、セメント製造設備へ燃料として供給する方法に関する。
廃白土や汚泥等の臭気を発生する固体廃棄物系燃料の臭気を下げるため、従来より、該固体廃棄物系燃料に生石灰・消石灰を混合したり、微生物のよる発酵処理を行って、脱臭する方法が用いられている。
従来、例えば脱臭装置として、特開平2−172518号公報(特許文献1)には、処置搭内に、悪臭成分を分解する微生物を担持した担体を充填して形成した充填層に悪臭ガスを通気して脱臭を行う脱臭装置が記載されている。
また、特開平8−24323号公報(特許文献2)には、生物起源固体廃棄物の表面を保留剤で覆い、次いで造膜剤および消臭剤を含む包臭剤組成物を該保留剤上に散布することを特徴とする生物起源固体廃棄物の悪臭防止のための廃棄物の包臭方法が記載されている。
また、特開11−169652号公報(特許文献3)には、装置内部を一定方向に流動して通過する悪臭気体を脱臭する脱臭装置において、前記悪臭気体がその内部を通過する脱臭容器と、この脱臭容器内に封入された繊維質又は多孔質の含浸媒体とを備え、前記含浸媒体に前記悪臭気体中の悪臭成分と反応する薬品を含浸させたことを特徴とする脱臭装置が記載されている。
しかし、脱臭剤として生石灰や生石灰のような無機物を用いると、これらの無機物は燃焼しないため、配合した量に応じて燃料的価値が低下してしまい、また、無機物添加による成分変動等が問題となる。
脱臭処理としての発酵処理は、発酵させている間に可燃性ガスが発生し、また反応熱により温度が上昇してしまう等、操業面において安全を確保するための手間が多くかかる。更に、脱臭設備が大きくなり、初期費用・ランニングコストに問題がある。
一方、固体廃棄物をセメント焼成設備で燃料として用いる場合には、セメント焼成設備の仮焼炉またはキルンの窯尻に、臭気を発生する固体廃棄物系燃料を投入する際、ベルトコンベア等で運搬・供給するが、通常、オープンエアであるため、臭気が周辺に拡散し環境的に問題が生じている。
ベルトコンベアに囲いを設け、囲い内部の気体を集めることで、臭気が外部にほとんど漏れないようにすることも可能であるが、セメント製造設備においては設備が大掛かりになりコストがかかってしまう。また集めた気体は、脱臭処理もしくは燃焼ガスとして燃焼処理を施す必要があり、やはり設備が大きくなってしまう問題がある。
更に、燃料としての性状を均質にするため、ストックヤードで重機などを用いて固体廃棄物系燃料の切替し(攪拌混合)等が実施されるが、臭気が充満し、健康上好ましくなく、また揮発性の有機物を含む場合は、爆発・着火の危険性の恐れがあり危険である。
特開平2−172518号公報 特開平8−24323号公報 特開11−169652号公報
従って、本発明の目的は、上記問題を解決し、燃料となる固体廃棄物から発生される臭気を、特別な装置を設けることなく、また、揮発や着火の危険の恐れがなく、経済的且つ有効に脱臭することができるとともに、燃焼効率を低下させることなく、固体廃棄物系燃料としてセメント製造設備へ供給する方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明の固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法は、以下のような技術的特徴を備えている。
即ち、請求項1記載の固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法は、固体廃棄物系燃料に、脱臭性を有する有機性材料を混合又は散布して臭気の拡散を抑制し、次いで該固体廃棄物系燃料をセメント焼成装置での燃料として使用することを特徴とする、固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法である。
また、請求項2記載の固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法は、請求項1記載の固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法において、固体廃棄物系燃料と脱臭性の有する有機物性材料とを混合し、次いで、該有機物性材料と混合された固体廃棄物系燃料を一定方向に移動する手段に搭載して移動させながら、脱臭性の有する有機物性材料を散布して臭気の拡散を抑制することを特徴とする、固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法である。
請求項3記載の固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法は、請求項1又は2記載の固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法において、固体廃棄物系燃料は、廃白土、廃珪藻土、有機性汚泥、油含有廃棄物、木くず、紙くず、ASR、廃プラスチック、ペーパースラッジからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法である。
請求項4記載の固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法は、請求項1〜3いずれかの項記載の固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法において、脱臭性を有する有機性材料は、ピート、ピートモス、褐炭、泥炭、石炭及び活性炭から成る群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法である。
本発明の固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法では、セメント製造設備に大規模に供給する固体廃棄物系燃料から発せられる臭気が、周囲に拡散することを有効に抑制することができ、これにより環境的に有利に固体廃棄物系燃料をセメント焼成装置に供給することが可能となる。
また、本発明の固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法においては、大掛かりな装置を必要とすることなく、オープンエアで適用することができ、簡便に臭気の拡散を抑制することができる。更に、脱臭材として有機性材料を用いているため、固体廃棄物系燃料をセメント焼成装置に燃料として投入しても、燃焼効率を低下させることないため、セメント製造用燃料として有効に利用することが可能となる。
本発明の一例の、固体廃棄物系燃料の臭気を脱臭して、固体廃棄物系燃料をセメント製造設備への供給する方法を模式的に示す図である。
本発明を、以下の実施形態により説明する。
本発明の固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法は、固体廃棄物系燃料に、脱臭性を有する有機性材料を混合又は散布して臭気の拡散を抑制し、次いで該固体廃棄物系燃料をセメント焼成装置での燃料として使用する、固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法である。
本発明に適用できる固体廃棄物系燃料は、臭気を発し燃料として利用できる発熱量を有する固体廃棄物であれば、任意の固体廃棄物を適用することが可能である。
例えば、廃白土、廃珪藻土、有機性汚泥、油含有廃棄物、木くず、紙くず、ASR(自動車シュレッダーダスト)、廃プラスチック、ペーパースラッジからなる群より選ばれる少なくとも1種を例示することができ、これらに油若しくは有機溶剤が浸み込んだ固体廃棄物系燃料も含まれる。
次いで、固体廃棄物系燃料に、脱臭性を有する有機性材料を混合または散布して脱臭する。図1に示すように、固体廃棄物系燃料を受入れて保管している設備等で、脱臭性を有する有機性材料を、例えば重機等で混合して、保管時に臭気が拡散することを抑制することが望ましい。なお、混合には、固体廃棄物系燃料と有機性材料とを混ぜる場合のみならず、固体廃棄物系燃料に有機性材料を被覆することも含む意である。
前記脱臭性を有する有機性材料としては、任意の公知の脱臭性を有する有機性材料であれば使用でき、ピート、ピートモス、褐炭、泥炭、石炭及び活性炭から成る群より選ばれる少なくとも1種を例示することができ、これらは有効な発熱量を有しており、セメント焼成装置に供給しても燃焼するので、セメント焼成装置の温度を低下させるものではない。例えば、上記ピートモス等は、特に産地等には限定されず、任意の公知のピートモスであれば使用することができる。
かかる脱臭性を有する有機性材料は、好ましくは乾燥した材料を用いる。これにより含まれる水分を低下させて、燃料として用いた際の発熱量の低下を抑制することができる。
また、これらの有機性材料は、固体廃棄物系燃料に含まれる油分を吸着することができるため、固体廃棄物系燃料に多量の油分を含んでいる場合であっても油分の浸出がなくなる。
固体廃棄物系燃料の保管設備から排出されてセメント焼成装置に燃料として供給される際には、該固体廃棄物系燃料は、例えば、ベルトコンベア等の移動手段に搭載されて、セメント焼成装置へ供給されるが、通常、ベルトコンベア等の運搬装置での移動は、オープンエアであり、特に移動の際の臭気が問題となるものである。
本発明においては、かかるベルトコンベア等の運搬装置に搭載された前記固体廃棄物系燃料に、上記脱臭性を有する有機性材料を、例えばその上部に散布する。ここで散布とは、振りかける場合のみならず被覆する場合も含む意である。
これにより、簡便な方法で、ベルトコンベア等の一定方向に移動する手段に固体廃棄物を搭載して移動させながら、臭気の拡散を抑制して、セメント焼成装置へ固体廃棄物系燃料を、例えば連続的に供給することが可能である。
脱臭された固体廃棄物系燃料が供給されるセメント焼成装置としては、セメントキルンや仮焼炉が対象であり、更に、所望する場合には原料を予熱するプレヒータも対象となる。
上記固体廃棄物系燃料への、脱臭性を有する有機性材料の混合量または散布量は、特段制限されるものでなく、固体廃棄物系燃料の性状により、任意の量で配合することができる。また、かかる配合量が多くなったとしても、発熱量を有するため、セメント製造への影響は限定的であり、特にセメント製造上の問題はない。
本発明の方法により、臭気を発する固体廃棄物系燃料の臭気の拡散を抑制することができるため、カバー等の特別な装置も必要なく、経済的であり、環境的にも有利で、作業効率も良好となる優れた方法である。
以下、本発明を具体的な実施例により説明する。
脱臭性を有する有機性材料として、乾燥ピートモス(北海道ピートモス社製、厚真町産:含水率35質量%)を用いたが、その粒度は特に調整することなく使用した。当該乾燥ピートモスは藁を主体としているため、燃料として用いることができ、その発熱量は、3010cal/g(気乾ベース)であった。
なお、ピートモスとしては、上記北海道産のみならず、例えばシベリアやバルト3国で採取できる水苔等であってもよい。
臭気を発する固体廃棄物系燃料として、シンナー等の有機溶剤を含有する可燃性汚泥を用いて、以下のようにして脱臭を行った。
具体的には、ベルトコンベア(幅450mm、移動速度50m/分)に可燃性汚泥を搭載して、6t/時でセメント焼成装置に、可燃性汚泥を供給した。該可燃性汚泥が搭載されたベルトコンベアの走行方向に対して真横50cm離れた空間で、臭気を三点比較式臭袋法により測定した。測定した臭気指数は20であった。
次いで、上記ピートモスを500kg/時で、上記ベルトコンベアに搭載されて搬送されている可燃性汚泥に散布した。散布直後のベルトコンベア周辺の臭気指数は15となり、臭気を抑制することが可能であった。
また、臭気を発する固体廃棄物燃料として、植物油を脱色した際に発生した廃白土を用いて、上記と同様にして、脱臭を行った。
具体的には、ベルトコンベア(幅450mm、移動速度50m/分)に廃白土を搭載して、6t/時でセメント焼成装置に、該廃白土を供給した。該廃白土が搭載されたベルトコンベアの走行方向に対して真横50cm離れた空間で、臭気を三点比較式臭袋法により測定すると、臭気指数は21であった。
次いで、上記ピートモスを500kg/時で、上記ベルトコンベアに搭載されて搬送されている廃白土に散布した。散布直後のベルトコンベア周辺の臭気指数は16となり、臭気を抑制することが可能であった。
本発明の固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法は、臭気を発する固体廃棄物燃料をセメント焼成装置へ供給する際の、臭気の周囲への拡散抑制に適用することが可能である。

Claims (4)

  1. 固体廃棄物系燃料に、脱臭性を有する有機性材料を混合又は散布して臭気の拡散を抑制し、次いで該固体廃棄物系燃料をセメント焼成装置での燃料として使用することを特徴とする、固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法である。
  2. 請求項1記載の固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法において、固体廃棄物系燃料と脱臭性の有する有機物性材料とを混合し、次いで、該脱臭性を有する有機物性材料と混合した固体廃棄物系燃料を一定方向に移動する手段に搭載して移動させながら、脱臭性の有する有機物性材料を散布して臭気の拡散を抑制することを特徴とする、固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法。
  3. 請求項1又は2記載の固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法において、固体廃棄物系燃料は、廃白土、廃珪藻土、有機性汚泥、油含有廃棄物、木くず、紙くず、ASR、廃プラスチック、ペーパースラッジからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法。
  4. 請求項1〜3いずれかの項記載の固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法において、脱臭性を有する有機性材料は、ピート、ピートモス、褐炭、泥炭、石炭及び活性炭から成る群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、固体廃棄物系燃料のセメント製造設備への供給方法。
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