JP2016191106A - 切断端面の耐遅れ破壊性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 - Google Patents

切断端面の耐遅れ破壊性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】切断端面の耐遅れ破壊性に優れた高強度鋼板、および上記高強度鋼板を製造するための有用な方法を提供する。
【解決手段】本発明の高強度鋼板は、所定の化学成分組成を満足し、鋼板組織が、フェライト相の基地中に焼戻しマルテンサイト相が分散した混合組織であると共に、前記フェライト相が組織全体に占める割合で20〜40面積%であり、且つ、鋼板組織観察において、1視野のサイズを100μm×100μmとし、当該視野内で縦横夫々に10μmの等間隔で10本の線を引き、前記フェライト相と焼戻しマルテンサイトとの界面と、前記線とが交差する交点のうち、線上で隣接する交点との線分が前記フェライト上にあるときに前記線分の長さを測定し、その測定された線分長さの10視野での合計の平均値を前記焼戻しマルテンサイト相の平均間隔として求め、この平均間隔が6.5μm以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、切断端面の耐遅れ破壊性に優れた高強度鋼板、および上記高強度鋼板を製造するための有用な方法に関する。
近年、自動車の安全性、軽量化の観点から、自動車用鋼板のより一層の高強度化が進められている。自動車用鋼板に要求される強度としては、引張り強度で少なくとも980MPa以上が必要となる。また自動車用鋼板は、部品に成形するために優れた延性や溶接性が要求される。上記特性のうち溶接性を優れたものとするためには、低合金成分とする必要がある。こうした低合金成分で鋼板の強度と延性を確保するためには、軟質相であるフェライト相と硬質相であるマルテンサイト相の複合組織鋼とすることが有効である。また部品特性として、耐遅れ破壊性が優れていることが必要である。
しかしながら、自動車用鋼板の高強度化に伴い、鋼板の耐遅れ破壊性が劣化するという問題があり、最近では切断端面に発生する遅れ破壊が特に問題となっている。切断端面に発生する遅れ破壊の亀裂は、数百μm程度と微細であるため、これまで問題視されていなかったが、このような微細な亀裂が発生しただけで疲労特性が低下するため、切断端面に発生する遅れ破壊の亀裂を低減することが重要な課題となっている。
切断端面の遅れ破壊は切断破面で発生するため、従来の成形加工部に発生する鋼板母材の遅れ破壊よりも残留応力、歪み量が大きく、従来の遅れ破壊と比較して容易に発生する傾向にあるので、新たな技術開発が必要となっている。
切断端面の耐遅れ破壊性を改善する技術として、これまでに次のような技術が提案されている。例えば特許文献1には、ホットスタンプ用鋼板において、S、O、およびREMの2種以上を含む直径0.1μm以下の球状介在物を分散させることによって、打抜き端面での耐遅れ破壊性を改善することが開示されている。
特開2012−237048号公報
しかしながら、上記技術で検討されている内容は、熱間打抜き後の端面の耐遅れ破壊性であり、残留応力・歪み量の大きい冷間加工後における端面での耐遅れ破壊性については考慮されていない。
本発明は上記のような事情に着目してなされたものであって、その目的は、切断端面の耐遅れ破壊性に優れた高強度鋼板、および上記高強度鋼板を製造するための有用な方法を提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明の高強度鋼板は、
質量%で、
C :0.07〜0.15%、
Si:0.2〜0.8%、
Mn:1.2〜2.6%、
Cr:0.5〜2.1%、
P :0%超0.02%以下、
S :0%超0.01%以下、
Al:0%超0.15%以下、
N :0%超0.01%以下
を夫々含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、
鋼板組織が、フェライト相の基地中に焼戻しマルテンサイト相が分散した混合組織であると共に、前記フェライト相が組織全体に占める割合で20〜40面積%であり、且つ、 鋼板組織観察において、1視野のサイズを100μm×100μmとし、当該視野内で縦横夫々に10μmの等間隔で10本の線を引き、前記フェライト相と焼戻しマルテンサイトとの界面と、前記線とが交差する交点のうち、線上で隣接する交点との線分が前記フェライト上にあるときに前記線分の長さを測定し、その測定された線分長さの10視野での合計の平均値を前記焼戻しマルテンサイト相の平均間隔として求め、この平均間隔が6.5μm以下であるところに特徴がある。
本発明の高強度鋼板には、必要によって更に、(a)Ti:0%超0.1%以下、V:0%超0.1%以下およびNb:0%超0.1%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種、(b)B:0%超0.01%以下、等を含有することも有用であり、含有される元素の種類に応じて高強度鋼板の特性が更に改善される。
上記課題を解決し得た本発明に係る高強度鋼板の製造方法とは、上記のような化学成分組成を満たす鋼板を、50%以上の圧延率で冷間圧延した後、820〜950℃の温度域に加熱し、該温度域で30〜250秒保持し、引続き750℃から500〜650℃の焼入れ開始温度域までの範囲を平均冷却速度5〜20℃/秒で冷却してから焼入れを行ない、その後150〜300℃で30〜1000秒の焼戻し処理を行なうことを特徴とする。
本発明によれば、化学成分組成を制御した上で、鋼板組織が、フェライト相の基地中に焼戻しマルテンサイト相が分散した混合組織とすると共に、前記フェライト相が組織全体に占める割合で20〜40面積%とし、且つ焼戻しマルテンサイト相の平均間隔を6.5μm以下となるようにすれば、切断端面の耐遅れ破壊性に優れた高強度鋼板を実現できる。このような高強度鋼板は、例えばメンバーやシートレール等の自動車用高強度部品を製造する素材として有用である。
図1は、焼戻しマルテンサイト相の間隔の測定方法を模式的に示す説明図である。 図2は、切断時に導入される亀裂数を測定するときの観察領域を示す概略説明図である。 図3は、切断端面に発生する遅れ破壊の亀裂例を示す図面代用写真である。
本発明者らは、高強度鋼板の切断端面における遅れ破壊の発生を抑制するために、鋭意研究を重ねた。その結果、切断端面近傍では無数の微細な亀裂が発生していることが判明した。そして、この無数の微細な亀裂が遅れ破壊による割れの発生を助長していると考えた。この遅れ破壊による割れを低減して耐遅れ破壊性を改善する手段を更に検討した結果、鋼板の化学成分組成および組織を最適化すると共に、焼戻しマルテンサイト相の平均間隔を6.5μm以下となるようにすれば、切断時に導入される亀裂の量を低減できることを見出し、本発明を完成した。
低合金成分の鋼板で強度と延性を確保するために、軟質相であるフェライト相と硬質相であるマルテンサイト相の複合組織鋼とすることが有効であることは知られている。しかしながら、焼戻しマルテンサイト相の平均間隔を小さくすれば、切断端面の耐遅れ破壊性が改善されることは知られていない。
本発明の高強度鋼板では、焼戻しマルテンサイト相の平均間隔を小さくなるように制御することによって、切断端面での優れた耐遅れ破壊性を示すものとなるが、鋼板に要求されるその他の特性、即ち強度、溶接性、靭性、延性等を確保するには、鋼板における各元素の含有量も、下記の通り制御する必要がある。
C:0.07〜0.15%
Cは、鋼板の焼入れ性を高めて高強度を確保するのに必要な元素である。こうした効果を発揮させるためには、Cは0.07%以上含有させる必要がある。C含有量は、好ましくは0.08%以上であり、より好ましくは0.09%以上である。しかしながら、C含有量が過剰になると、溶接性が悪化する。またC含有量を比較的少なくすることによって、焼戻しマルテンサイトの硬度を下げ、切断時に焼戻しマルテンサイトとフェライトの界面への歪み集中を抑制し、耐遅れ破壊性の悪化を抑制する。こうした観点から、C含有量は0.15%以下とする必要がある。C含有量は、好ましくは0.14%以下であり、より好ましくは0.13%以下、更に好ましくは0.12%以下である。
Si:0.2〜0.8%
Siは、焼戻し軟化抵抗を高くするのに有効な元素であり、また固溶強化による強度向上にも有効な元素である。更に、切断端面の耐遅れ破壊性を改善する上でも有効な元素である。これらの効果を発揮させるためには、Siは0.2%以上含有させる必要がある。Si含有量は、好ましくは0.3%以上であり、より好ましくは0.4%以上である。しかしながら、Siが過剰に含有されると、焼入れ性が損なわれて高強度を確保することが難しくなる。また溶接性も悪化する。よってSi含有量は0.8%以下とする必要がある。Si含有量は、好ましくは0.7%以下であり、より好ましくは0.6%以下、更に好ましくは0.5%以下である。
Mn:1.2〜2.6%
Mnは、焼入れ性を向上させて強度を高めるのに有効な元素である。こうした効果を発揮させるためには、Mnは1.2%以上含有させる必要がある。Mn含有量は、好ましくは1.4%以上であり、より好ましくは1.6%以上である。しかしながら、Mn含有量が過剰になると、切断端面での耐遅れ破壊性が劣化すると共に鋼板の溶接性が悪化する。よって、Mn含有量は2.6%以下とする必要がある。Mn含有量は、好ましくは2.4%以下であり、より好ましくは2.2%以下である。
Cr:0.5〜2.1%
Crは、焼入れ性を向上させて強度を高めるのに有効な元素である。またCrは、マルテンサイト相の焼戻し軟化抵抗を高めるのにも有効な元素である。これらの効果を発揮させるためには、Crは0.5%以上含有させる必要がある。Cr含有量は、好ましくは0.7%以上であり、より好ましくは0.9%以上である。しかしながら、Cr含有量が過剰になると、切断端面の耐遅れ破壊性が劣化するため、2.1%以下とする必要がある。Cr含有量は、好ましくは1.9%以下であり、より好ましくは1.7%以下である。
P:0%超0.02%以下
Pは、鋼を強化する作用を有するが、過剰に含有されると脆性により延性を低下させるので、0.02%以下に抑える必要がある。好ましくは0.01%以下であり、より好ましくは0.006%以下である。尚、Pによる強化効果を実現するためには、0.001%以上含有させることが好ましい。
S:0%超0.01%以下
Sは、硫化物系の介在物を生成し、鋼板の加工性、溶接性を劣化させるため、少ないほどよく、本発明では0.01%以下に抑える必要がある。好ましくは0.005%以下、より好ましくは0.003%以下である。尚、Sは鋼中に不可避的に含まれる不純物であり、その量を0%にすることは工業生産上不可能である。
Al:0%超0.15%以下
Alは、脱酸剤として添加される元素であり、また鋼板の耐食性を向上させる効果もある。これらの効果を十分発揮させるには、0.020%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.030%以上である。しかしながら、Alが過剰に含有されると、例えば高融点酸化物等のC系介在物が多量に生成して表面疵の原因となるので、その上限を0.15%以下とする必要がある。Al含有量は、好ましくは0.14%以下であり、より好ましくは0.10%以下、更に好ましくは0.07%以下である。
N:0%超0.01%以下
Nが過剰になると、窒化物の析出量が増大し、靭性に悪影響を与える。よってN含有量は、0.01%以下とする必要がある。好ましくは0.008%以下、より好ましくは0.006%以下である。尚、製鋼上のコスト等を考慮すると、N含有量は通常0.001%以上となる。
本発明に係る高強度鋼板における基本成分は上記の通りであり、残部は鉄および不可避的不純物である。該不可避的不純物として、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素の混入が許容され得る。また本発明の鋼板には、上記成分の他に必要によって、更に、Ti、V、Nb、B等を含有させることも有効である。これらの元素を含有させるときの適正な範囲および作用は以下の通りである。
Ti:0%超0.1%以下、V:0%超0.1%以下およびNb:0%超0.1%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種
Ti、VおよびNbは、炭化物の析出により強度向上に有効な元素である。こうした効果を発揮させるには、Ti、VおよびNbはいずれも0.01%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.03%以上であり、更に好ましくは0.05%以上である。しかしながら、これらの元素が過剰に含有されると、炭化物、炭窒化物または窒化物等の析出が増大し、延性や加工性が低下する。よって、Ti、VおよびNbは、いずれも0.1%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.08%以下であり、更に好ましくは0.06%以下である。
B:0%超0.01%以下
Bは、微量の添加で焼入れ性を向上させる元素である。こうした効果を発揮させるには、0.0001%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.0005%以上であり、更に好ましくは0.001%以上である。しかしながら、Bが過剰に含有されると、延性が低下するため、0.01%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.0080%以下であり、更に好ましくは0.0065%以下である。
本発明の鋼板には、更に他の元素として、例えばSe、As、Sb、Pb、Sn、Bi、Mg、Zn、Zr、W、Cs、Rb、Co、La、Tl、Nd、Y、In、Be、Hf、Tc、Ta、O等を、耐食性や耐遅れ破壊性を改善する目的で、合計で0.01%以下含有させてもよい。
更に本発明で規定する各要件について、詳細に説明する。
(20〜40面積%のフェライト相)
本発明の鋼板は、引張強度で980MPa以上の高強度を示す。この様な高強度は、例えばメンバーやシートレール等の自動車用鋼板の特性として要求される。こうした高強度を達成させるには、鋼板の組織が、フェライト相の基地中に焼戻しマルテンサイト相が分散した混合組織であると共に、前記フェライト相を組織全体に占める割合で20〜40面積%とする必要がある。フェライト相が20面積%未満となると、鋼板の強度が却って高くなりすぎ、鋼板母材および切断端面の耐遅れ破壊性が劣化する。好ましくは23面積%以上であり、より好ましくは25面積%以上である。しかしながら、フェライト相が40面積%を超えると、上記のような高強度を確保することが困難となる。好ましくは37面積%以下であり、より好ましくは35面積%以下である。
上記フェライト相以外の残部組織は、基本的に焼戻しマルテンサイト相である。焼戻しマルテンサイト相の好ましい割合は、上記フェライト相の割合に対応して変化する。即ち、フェライト相と焼戻しマルテンサイト相の合計を100面積%としたときに、これからフェライト相の割合を引いた値となる。但し、本発明の鋼板には、フェライト相および焼戻しマルテンサイト相以外に、製造工程で不可避的に含まれる組織、例えばベイナイト相や残留オーステナイト相等の不可避的組織が含まれていても良い。これらの不可避的組織の割合が増加すれば、鋼板の強度低下を招く。また、これらの不可避的組織の割合が少量であれば、焼戻しマルテンサイト相の平均間隔を規定することによる効果は損なわれないので、5面積%以下とすることが好ましい。より好ましくは3面積%以下であり、更に好ましくは2面積%以下、特に好ましくは1面積%以下である。最も好ましくは、0面積%である。
上述した通り本発明の鋼板は、引張強度で980MPa以上の高強度を有する。但し、鋼板の強度があまり高くなり過ぎることは、鋼板母材および切断端面の耐遅れ破壊性に悪影響を及ぼす場合がある。こうした観点から、鋼板の強度は、引張強度で1064MPa未満であることが好ましく、より好ましくは1050MPa以下である。
(焼戻しマルテンサイト相の平均間隔が6.5μm以下)
本発明の鋼板は、フェライト相の基地中に焼戻しマルテンサイト相が分散した混合組織を有するが、分散した焼戻しマルテンサイト相の平均間隔は、遅れ破壊によって発生する亀裂の進展を抑制するために6.5μm以下とする必要がある。好ましくは6.0μm以下であり、より好ましくは5.8μm以下である。この平均間隔は、小さければ小さいほど好ましいが、フェライト相の基地中に焼戻しマルテンサイト相が分散した混合組織を維持するためには、概ね4.0μm以上となる。好ましくは4.5μm以上であり、より好ましくは5.0μm以上となる。
このように、上記平均間隔を規定することによって、切断端面の耐遅れ破壊性が改善される理由については、その全てについて解明し得た訳ではないが、おそらく次のように考えることができた。即ち、切断時に導入される歪みは、硬度差の大きい焼き戻しマルテンサイトとフェライトの界面に集中するが、上記平均間隔を小さくすることによって、歪み集中が分散され、耐遅れ破壊性が改善されると考えられる。
以下、本明細書に記載の焼戻しマルテンサイト相の間隔について、図1に基づいて説明する。図1に示すように、本発明の高強度鋼板は、フェライト相の基地中に焼戻しマルテンサイト相が分散した混合組織となっている。図1で白く見えるフェライト相は、フェライト粒が集合した相であり、焼戻しマルテンサイト相はハッチング部分である。また、実際の測定では、鋼板組織観察において、1視野のサイズを100μm×100μmとし、当該視野内で縦横夫々に10μmの等間隔で10本の線を引いた状態で、焼戻しマルテンサイト相の平均間隔を測定するが、説明の便宜上、図1では観察視野の一部を拡大して示している。
図1に示すように、まず1視野内で縦横夫々に10μmの等間隔で10本の線(線A1、A2、A3、A4…、B1、B2、B3…)を引く。縦方向の線A1と、フェライト相と焼戻しマルテンサイト相との界面とが交差する交点のうち、線上で隣接する交点との線分がフェライト相上にある(例えば図1に示した交点E、F)とき、その線分(即ち、交点Eと交点Fを結ぶ線分)の長さを測定し、間隔d1とする。同様にして、縦方向の線A2と、フェライト相と焼戻しマルテンサイトとの界面とが交差する交点のうち、線上で隣接する交点との線分がフェライト相上にある(例えば図1に示した交点G、H)とき、その線分(即ち、交点Gと交点Hを結ぶ線分)の長さを測定し、間隔d2とする。上記の条件に該当する線分の長さ測定を、10本の線(A1、A2、A3、A4…)の全てについて行なう。
一方、横方向の線B1と、フェライト相と焼戻しマルテンサイト相との界面とが交差する交点のうち、線上で隣接する交点との線分がフェライト相上にある(例えば図1に示した交点A、B)とき、その線分(即ち、交点Aと交点Bを結ぶ線分)の長さを測定し、間隔D1とする。同様にして、横方向の線B2と、フェライト相と焼戻しマルテンサイトとの界面とが交差する交点のうち、線上で隣接する交点との線分がフェライト上にある(例えば図1に示した交点C、D)とき、その線分(即ち、交点Cと交点Dを結ぶ線分)の長さを測定し、間隔D2とする。上記の条件に該当する線分の長さ測定を、10本の線(B1、B2、B3…)の全てについて行なう。
上記操作によって、測定された線分の長さ、即ち間隔d1、間隔d2…、間隔D1、間隔D2…を10視野で求め、その合計の平均値を、焼戻しマルテンサイト相の平均間隔とする。
次に、本発明鋼板の製造方法について説明する。上記のような要件を満足する鋼板を製造するためには、冷間圧延および焼鈍処理の条件、並びにその後の焼入れ焼戻し処理の条件を適切に制御する必要がある。これら以外の工程は、一般的な条件を採用することができる。例えば、常法に従って溶製し、連続鋳造によりスラブ等の鋼片を得た後、加熱し、次いで熱間圧延を行い、巻取った後に酸洗し、冷間圧延して、得られた冷延原板を焼鈍し、焼入れして、焼戻しすることによって得ることができる。
以下、工程順に好ましい方法を説明する。
まず、上記鋼中成分を満足する熱延鋼板を準備する。熱間圧延は常法に従って行えばよいが、例えば、以下のように制御することが好ましい。
熱間圧延時の加熱温度は、1100℃以上1250℃以下が好ましい。熱間圧延時の加熱温度が低いと粗大な炭化物が残存し、脆化を引き起こす。そのため、熱間圧延時の加熱温度の下限は、好ましくは1100℃以上、より好ましくは1150℃以上とする。一方、熱間圧延時の加熱温度が高いと加熱炉への負荷が大きくなる。そのため、熱間圧延時の上限は、好ましくは1250℃以下、より好ましくは1200℃以下とする。
熱間圧延の仕上げ圧延温度は、870℃以上1150℃以下が好ましい。熱間圧延の仕上げ圧延温度が低いと二相域での圧延となり、板厚精度が悪くなる。そのため、熱間圧延の仕上げ圧延温度の下限は、好ましくは870℃以上、より好ましくは900℃以上、更に好ましくは930℃以上とする。一方、熱間圧延の仕上げ圧延温度が高いとオーステナイト粒が粗大となり、焼鈍後の組織も粗大となるため、脆化を引き起こす。そのため、熱間圧延の仕上げ圧延温度の上限は、好ましくは1150℃以下、より好ましくは1100℃以下とする。
熱間圧延の巻取り温度は、500℃以上700℃以下が好ましい。熱間圧延の巻取り温度が低いと熱延後の強度が高くなり、冷間圧延機への負荷が大きくなる。そのため、熱間圧延の巻取り温度の下限は、好ましくは500℃以上、より好ましくは530℃以上、更に好ましくは560℃以上とする。一方、熱間圧延の巻取り温度が高いと鋼板表面の酸化物が厚くなり、また粒界酸化物が形成され、焼鈍後の表面外観や化成処理性を劣化させる。そのため、熱間圧延の巻取り温度の上限は、好ましくは700℃以下、より好ましくは670℃以下、更に好ましくは640℃以下とする。
巻取り後の酸洗条件は、例えば塩酸を用いて、濃度:10〜20%、温度:60〜90℃、時間:5〜60秒で行なうことが好ましい。
(50%以上の圧延率で冷間圧延)
上記酸洗後、冷間圧延を行なう。冷間圧延では、圧延率を50%以上で行なうことによって、焼戻し後のマルテンサイト相の平均間隔を小さくできる。これによって、切断端面の耐遅れ破壊性を改善できる。冷間圧延時の圧延率は、好ましくは60%以上である。尚、上記圧延率の上限は、冷間圧延機への負荷が大きくなって、生産性が低下するため、概ね90%以下であることが好ましい。
次に、下記条件で焼鈍、焼入れ、焼戻しを行う。
(820〜950℃の温度域に加熱し、該温度域で30〜250秒保持する)
上記冷間圧延を行なって得られた冷延鋼板に対して、所定の条件にて焼鈍処理を行なう。この焼鈍処理においては、上記冷延鋼板を820〜950℃の温度域に加熱し、該温度域で30〜250秒保持する。鋼板を820℃以上に加熱して、その温度域で保持することでオーステナイト単相組織とする。オーステナイトの単相組織とすることによって、適度な面積率のフェライトを生成させて所望の強度を確保する。これに対し、加熱温度が低くなって二相域温度となると、この温度域で生成したフェライトが成長することによって、フェライト過剰となって、所望の強度を確保することが困難になる。このときの加熱温度は、好ましくは830℃以上、より好ましくは840℃以上である。
一方、焼鈍温度を過剰に高温にすると設備負荷が大きくなりコストが増加する。そのため、焼鈍温度の上限を950℃以下とする。焼鈍温度の上限は、好ましくは920℃以下、より好ましくは910℃以下である。また、この焼鈍温度でオーステナイト変態を完了させるため30秒以上保持する必要がある。そのため、上記焼鈍温度での保持時間の下限を30秒以上とする。上記焼鈍温度での保持時間の下限は、好ましくは60秒以上、より好ましくは90秒以上である。しかし、過剰な時間保持すると、組織が粗大になり靭性が劣化する。そのため、上記焼鈍温度での保持時間の上限を250秒以下とする。上記焼鈍温度での保持時間の上限は、好ましくは220秒以下、より好ましくは190秒以下とする。
次いで、750℃まで冷却する。750℃までの平均冷却速度は、特に限定されないが、設備負荷を低減するため、好ましくは3℃/秒以上20℃/秒以下とする。
(750℃から焼入れ開始温度までの平均冷却速度:5〜20℃/秒)
次に、750℃から後述する焼入れ開始温度まで冷却する。750℃から焼入れ開始温度までの平均冷却速度が5℃/秒未満であるとフェライトが過剰に生成する。そのため、上記平均冷却速度の下限を5℃/秒以上とする。上記平均冷却速度の下限は、好ましくは8℃/秒以上、より好ましくは11℃/秒以上とする。一方、上記平均冷却速度が20℃/秒超であるとフェライト生成量が不足し、更に焼入れ開始温度の制御が難しくなり、結果として製造安定性が得られにくい。そのため、上記平均冷却速度の上限は、20℃/秒以下とする。上記平均冷却速度の上限は、好ましくは17℃/秒以下、より好ましくは14℃/秒以下とする。
(焼入れ開始温度:500〜650℃)
焼入れ開始温度は、20〜40面積%のフェライト相を確保するため、500〜650℃の範囲とする。焼入れ開始温度が500℃未満ではフェライトが過剰に生成してしまい、更にベイナイト変態温度域ではベイナイトが生成し、強度が低下する。そのため、焼入れ開始温度の下限を500℃以上とする。焼入れ開始温度の下限は、好ましくは520℃以上、より好ましくは540℃以上、更に好ましくは560℃以上とする。一方、焼入れ開始温度が650℃を超えると、フェライト生成量が不足する。そのため、焼入れ開始温度の上限を650℃以下とする。焼入れ開始温度の上限は、好ましくは630℃以下、より好ましくは610℃以下、更に好ましくは590℃以下とする。
上記の焼入れ開始温度まで冷却した後は、例えば平均冷却速度で50℃/秒以上の急冷にて、少なくとも100℃以下まで冷却して焼入れを行なう。このときの急冷停止温度は、通常の水焼き入れの場合には、50℃程度である。また焼入れの際の平均冷却速度は好ましくは80℃/秒以上である。その上限は、通常の水焼入れのときの平均冷却速度を考慮すれば、1000℃/秒以下となる。
(150〜300℃で30〜1000秒の焼戻し処理を行なう)
上記焼入れ後、再加熱して焼戻し処理を行なう。焼戻し温度は、150℃以上300℃以下が好ましい。焼戻し温度が150℃未満であると、靭性を確保するのが困難となる。そのため、焼戻し温度の下限は、好ましくは150℃以上、より好ましくは180℃以上とする。一方、焼戻し温度が300℃を超えると、曲げ性が劣化する上、強度を確保し難くなる。また焼戻し温度の上限を300℃以下とすることによって、粗大な炭化物の生成を抑制し、切断時の炭化物の歪み集中を緩和し、炭化物起点の遅れ破壊発生を抑制できる。焼戻し温度の上限は、好ましくは300℃以下、より好ましくは270℃以下、更に好ましくは240℃以下とする。
また、焼戻し温度での保持時間、即ち焼戻し時間は、30秒以上1000秒以下が好ましい。焼戻し時間が30秒未満であると、靭性を確保することが困難となる。そのため、焼戻し時間の下限は、好ましくは30秒以上、より好ましくは60秒以上とする。一方、焼戻し時間が1000秒を超えると、曲げ性が劣化する上に、強度を確保しにくくなる。そのため、焼戻し時間の上限は、好ましくは1000秒以下、より好ましくは800秒以下とする。
本発明の鋼板は、その表面に溶融亜鉛めっきを施して得られる溶融亜鉛めっき鋼板(GI鋼板)や、溶融亜鉛めっきを施した後、これを合金化処理して得られる合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)、電気亜鉛めっき鋼板も含まれる。これらのめっき処理を施すことによって耐食性を向上させることができる。尚、これらのめっき処理方法や合金化処理方法については、一般的に行なわれている条件を採用すればよい。
本発明の高強度鋼板は、例えばメンバーやシートレール等の自動車用高強度部品の製造に使用できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前記および後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
下記表1に示す化学成分組成を満たす鋼種A〜Sを溶製した。詳細には、転炉で一次精錬後に、取鍋にて脱硫を実施した。また、取鍋精錬後に、RH法(Ruhrstahl−Hausenn法)による真空脱ガス処理を実施した。その後、常法により連続鋳造を実施してスラブを得た。そして熱間圧延、常法で酸洗、冷間圧延を順次行なって、板厚:1.4mmの鋼板を得た。このときの熱間圧延および酸洗の条件は以下の通りである。
(熱間圧延の条件)
加熱温度:1200℃
仕上げ圧延温度:870℃
巻取り温度:550℃
仕上げ厚さ:2.3〜3.5mm
(酸洗の条件)
酸洗温度(酸洗浴温度):75℃
酸洗時間:35秒
酸洗液:15%塩酸
次いで、各鋼種に対して連続焼鈍を行なった。この連続焼鈍では、下記表2、3に示す焼鈍温度および焼鈍時間で保持した後、750℃まで平均冷却速度:5℃/秒で冷却し、下記表2、3に示す平均冷却速度で750℃から焼入れ開始温度まで冷却した。次いで、焼入れ開始温度から50℃まで、平均冷却速度700℃/秒の水焼入れで急冷した。引き続き、下記表2、3に示す焼戻し温度まで再加熱し、該温度で表2、3に示す焼戻し時間保持した。尚、表2、3には冷間圧延時の圧延率も示している。以下では、上記焼入れ焼戻し等の一連の処理を含めて、単に「焼鈍処理」と呼ぶことがある。
上記のようにして得られた鋼板を用い、下記に示す条件で各種特性の評価を行なった。
(鋼組織の面積率の測定)
形状が1.4mm×20mm×20mmとなる試験片の圧延方向と平行な断面を研磨し、ナイタール腐食を行なった後に、板厚の1/4の部分について1000倍で走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)にて観察を行なった。
そして、1視野のサイズを100μm×100μmとして任意の10視野において、縦横夫々に10μmの等間隔で10本の線を引き、その線との交点が、フェライト相となる交点の数を計測し、その計測値を全交点の数で割り、フェライト相の面積率とした。このフェライト相の面積率を、以下では「フェライト分率」と呼ぶことがある。尚、フェライト相以外は、基本的に焼戻しマルテンサイト相となるが、これら以外の不可避的組織について、ベイナイトにつきEBSD(Electron Backscatter Diffraction:電子後方散乱解析像法)によって、および残留オースナイトにつきX線回折によって確認したところ、ベイナイトおよび残留オースナイトがいずれも1面積%以下で存在していた。
(焼戻しマルテンサイト相の平均間隔の測定)
前述した方法に基づき、焼戻しマルテンサイト相の平均間隔を求めた。
(引張特性の評価)
引張強度TS(Tensile Strength)は、鋼板の圧延方向に垂直な方向が長手方向となるようにJIS5号引張試験片を鋼板から採取し、JIS Z 2241:2011に規定の方法に従って測定した。そして、引張強度が980MPa以上の鋼板を高強度であると評価した。但し、引張強度が1065MPa以上となっている鋼板は、鋼板の強度が極端に高くなっていると評価した。また参考のために、鋼板の降伏強度YP(Yield Point)、および伸びEL(Elongation)についても測定した。
(切断端面の耐遅れ破壊性評価用試験片の切断条件)
上記焼鈍処理した後の鋼板を、圧延方向に垂直な方向:40mm×圧延方向:30mmのサイズに、シャー切断機を使用してクリアランス=10%で切断し、試験片を採取した。
(切断端面の耐遅れ破壊性評価試験)
上記切断した試験片を、0.1Nまたは5%の塩酸中に24時間浸漬した。尚、0.1Nの塩酸は、濃度が約0.35%の塩酸に相当する。試験片は各条件につきn=3浸漬し、圧延方向に垂直な端面のみ評価した。1つのサンプルに付き端面は2つあるため、塩酸浸漬1条件につきn=6の評価を行なった。このときの評価は、切断端面を肉眼若しくは倍率:5〜20倍のマイクロスコープで観察し、200μm以上の亀裂が発生しなかった試験片を遅れ破壊が発生しなかった遅れ破壊未発生試験片とし、切断端面の遅れ破壊未発生率(=遅れ破壊未発生試験片/全試験片×100)を算出した。
耐遅れ破壊性は、0.1Nの塩酸中で遅れ破壊が発生しなかったものを「良好」とし、0.1Nの塩酸中で遅れ破壊が発生したものは「悪い」と評価した。「良好」の評価が得られた試験片のうち、特に5%の塩酸中でも遅れ破壊が発生しなかった試験片を「優れる」と評価した。切断時に導入される亀裂を観察するときの領域を図2の概略説明図に示す。また、切断端面に発生する遅れ破壊の亀裂例を図3の図面代用写真に示す。尚、図3に示した亀裂例は、後記表5の試験No.46のものである。
これらの評価結果を、下記表4、5に示す。
これらの結果から、次の様に考察できる。本発明で規定する化学成分組成を満足し、且つ本発明で規定する要件を満足する試験No.1〜26では、切断端面の耐遅れ破壊性が改善されていることがわかる。
これに対し、焼入れ開始温度が高い条件で製造した試験No.27〜39は、フェライト分率が低下し、鋼板の強度が極端に高くなって、切断端面の耐遅れ破壊性が悪化している。
また冷間圧延時の圧延率が低い条件で製造した試験No.40〜52では、焼戻しマルテンサイト相の平均間隔が大きくなって、切断端面の耐遅れ破壊性が悪化している。
試験No.53〜58は、本発明で規定する化学成分組成を満足しない鋼種N〜Sの鋼板を用いた例であり、鋼板としての基本的な特性が確保されていないか、切断端面の耐遅れ破壊性が悪くなっている。このうち試験No.53は、C含有量が不足する鋼種Nを用いた例であり、引張強度TSが低下している。試験No.54は、Mn含有量が不足する鋼種Oを用いた例であり、引張強度TSが低下している。試験No.55は、Cr含有量が不足する鋼種Pを用いた例であり、引張強度TSが低下している。試験No.56は、Si含有量が不足する鋼種Qを用いた例であり、切断端面の耐遅れ破壊性が悪くなっている。
試験No.57は、Mn含有量が過剰な鋼種Rを用いた例であり、切断端面の耐遅れ破壊性が悪くなっている。試験No.58は、Cr含有量が過剰な鋼種Sを用いた例であり、切断端面の耐遅れ破壊性が悪くなっている。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C :0.07〜0.15%、
    Si:0.2〜0.8%、
    Mn:1.2〜2.6%、
    Cr:0.5〜2.1%、
    P :0%超0.02%以下、
    S :0%超0.01%以下、
    Al:0%超0.15%以下、
    N :0%超0.01%以下
    を夫々含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、
    鋼板組織が、フェライト相の基地中に焼戻しマルテンサイト相が分散した混合組織であると共に、前記フェライト相が組織全体に占める割合で20〜40面積%であり、且つ、
    鋼板組織観察において、1視野のサイズを100μm×100μmとし、当該視野内で縦横夫々に10μmの等間隔で10本の線を引き、前記フェライト相と焼戻しマルテンサイトとの界面と、前記線とが交差する交点のうち、線上で隣接する交点との線分が前記フェライト上にあるときに前記線分の長さを測定し、その測定された線分長さの10視野での合計の平均値を前記焼戻しマルテンサイト相の平均間隔として求め、この平均間隔が6.5μm以下であることを特徴とする切断端面の耐遅れ破壊性に優れた高強度鋼板。
  2. 更に、Ti:0%超0.1%以下、V:0%超0.1%以下およびNb:0%超0.1%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1に記載の高強度鋼板。
  3. 更に、B:0%超0.01%以下を含有する請求項1または2に記載の高強度鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の化学成分組成を満たす鋼板を、50%以上の圧延率で冷間圧延した後、820〜950℃の温度域に加熱し、該温度域で30〜250秒保持し、引続き750℃から500〜650℃の焼入れ開始温度域までの範囲を平均冷却速度5〜20℃/秒で冷却してから焼入れを行ない、その後150〜300℃で30〜1000秒の焼戻し処理を行なうことを特徴とする切断端面の耐遅れ破壊性に優れた高強度鋼板の製造方法。
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