図1に示すように、パチンコ遊技機1には、遊技ホールに取付けられる外枠に開閉枠2が開閉自在に装着され、開閉枠2に開閉扉3が開閉自在に装着されている。開閉枠2には遊技盤4が装着され、その遊技盤4の前面側に遊技領域5が形成されている。開閉扉3には窓3aが形成され、その窓3aに透明板3bが装着され、その透明板3bにより遊技領域5の前側が覆われている。
開閉扉3の窓3aの下側に、遊技球を貯留する貯留皿6と、遊技領域5に遊技球を発射させる発射ハンドル7が装着されている。発射ハンドル7が回動操作されると、貯留皿6から発射位置に導入された遊技球が発射され、ここで、貯留皿6に複数の遊技球が存在する場合には、複数の遊技球が約0.6秒間隔で連続発射される。発射された遊技球はガイドレール8で案内され遊技領域5の上部に投入される。
図1、図2に示すように、遊技盤4には、多数の障害釘10、始動入賞口装置11、ゲート12、大入賞口装置13、複数の一般入賞口14、センタ役物15、画像表示器16、可動役物装置17、遊技表示盤18が装着され、遊技盤4の裏面側に制御装置20が装着されている。
始動入賞口装置11は、センタ役物15のステージ15aの下側に配置され、所謂電チューを含む構成であり、第1始動入賞口11a、第2始動入賞口11b、第2始動入賞口11bを開閉する開閉部材11c、第1始動入賞口11aに入賞した遊技球を検出する第1始動口SW11d、第2始動入賞口11bに入賞した遊技球を検出する第2始動口SW11e、開閉部材11cを開閉駆動する電チューソレノイド11fを有する。開閉部材11cは、閉位置で第2始動入賞口11bへの遊技球の入賞を不可能にし、開位置で第2始動入賞口11bへの遊技球の入賞を可能にする。ゲート12はセンタ役物15の左側に配置され、ゲート12には通過した遊技球を検出するゲートSW12aが付設されている。
大入賞口装置13は、始動入賞口装置11の下側に配置され、大入賞口13a、大入賞口13aを開閉する開閉部材13b、大入賞口13aに入賞した遊技球を検出する大入賞口SW13c、開閉部材13bを開閉駆動する大入賞口ソレノイド13dを有する。開閉部材13bは、閉位置で大入賞口13aへの遊技球の入賞を不可能にし、開位置で大入賞口13aへの遊技球の入賞を可能にする。各一般入賞口14には入賞した遊技球を検出する一般入賞口SW14aが付設されている。
センタ役物15は、遊技盤4の盤面(前面)よりも前方へ張出すステージ15aを含むセンタ枠部材15bを有し、このセンタ役物15に、画像表示器16と本案特有の可動役物装置17が設けられている。画像表示器16は、液晶ディスプレイからなり、その画面がセンタ枠部材15bの内側から前方へ臨むように設けられている。可動役物装置17については、後で詳細に説明する。
遊技表示盤18は、遊技盤4の下部右側に前方へ向けて配置され、第1特別図柄表示器18a、第2特別図柄表示器18b、普通図柄表示器18c、第1特別図柄保留ランプ18d、第2特別図柄保留ランプ18e、普通図柄保留ランプ18fを備えている。
第1特別図柄表示器18aには、第1始動入賞口11aへの遊技球の入賞を契機に第1特別図柄が図柄変動後に表示され、第2特別図柄表示器18bには、第2始動入賞口11bへの遊技球の入賞を契機に第2特別図柄が図柄変動後に表示される。第1又は第2特別図柄表示器18a又は18bに大当り図柄(特定の特別図柄)が表示された場合、大当り遊技が発生して、大入賞口装置13が作動し、通常は閉塞の大入賞口13aを開放するように開閉部材13bを複数ラウンドに亙って開閉動作させる。
普通図柄表示器18cには、ゲート12への遊技球の入賞を契機に普通図柄が図柄変動後に表示される。普通図柄表示器18cに当り図柄が表示された場合、補助遊技が発生して、始動入賞口装置11が作動し、通常は閉塞の第2始動入賞口11bを開放するように開閉部材11cを1又は複数回開閉動作させる。
第1特別図柄保留ランプ18dには、第1始動入賞口11aに入賞した遊技球の数であって第1特別図柄表示器18aでの図柄変動に未だ供していない第1保留数が4個まで表示され、第2特別図柄保留ランプ18eには、第2始動入賞口11bに入賞した遊技球の数であって第2特別図柄表示器18bでの図柄変動に未だ供していない第2保留数が4個まで表示され、普通図柄保留ランプ18fには、ゲート12に入賞した遊技球の数であって普通図柄表示器18aでの図柄変動に未だ供していない保留数が4個まで表示される。
発射ハンドル7を回動操作することで、発射され遊技領域5の上部に投入された遊技球は、複数の障害釘10に当たって方向を変えながら落下して、入賞口11a,11b,13a,14の何れかに入賞した場合、そこから遊技領域5外へ排出され、入賞口11a,11b,13a,14の何れにも入賞しなかった場合には、最終的に、遊技領域5の下端部に形成されたアウト口9から遊技領域5外へ排出される。
次に、制御系について説明する。
図2に示すように、制御装置20は、メイン制御装置21とサブ制御装置25とで構成されている。メイン制御装置21は、遊技制御基板22にCPUとROMとRAMを備えて構成され、遊技制御基板22は盤用外部情報端子基板23に接続されている。
サブ制御装置25は、払出制御基板26、演出制御基板27、画像制御基板28、ランプ制御基板29を備え、この複数の制御基板26〜29は夫々CPUとROMとRAMを備えて構成され、更に、演出制御基板27はRTCを備えて構成され、払出制御基板26は枠用外部情報端子基板24に接続されている。
遊技制御基板22は、第1,第2始動口SW11d,11e、ゲートSW12a、大入賞口SW13c、一般入賞口SW14aからの検出信号と、払出制御基板26からの制御情報を受けて、電チューソレノイド11f、大入賞口ソレノイド13d、図柄表示器18a,18b,18c、図柄保留ランプ18d,18e,18fを制御し、払出制御基板26と演出制御基板27と盤用外部情報端子基板23に制御情報(遊技情報)を出力する。
払出制御基板26は、遊技制御基板22からの制御情報と、払出球検出SW31、球有り検出SW32、満タン検出SW33からの検出信号を受けて、払出駆動モータ30を制御し、入賞口11a,11b,13a,14への遊技球の入賞1個について、入賞口11a,11b,13a,14毎に設定された数の遊技球を貯留皿6に払出し、遊技制御基板22と枠用外部情報端子基板24に制御情報(払出情報)を出力する。
演出制御基板27は、遊技制御基板22からの制御情報と、貯留皿6に設けられた演出ボタン35からの操作信号を受けて、画像制御基板28に制御情報を出力し、更に、画像制御基板28からの制御情報を受けて、ランプ制御基板29に制御情報を出力する。画像制御基板28は、演出制御基板27からの制御情報を受けて、画像表示器16とスピーカ34とを制御し、演出制御基板27に制御情報を出力する。ランプ制御基板29は、演出制御基板27からの制御情報を受けて、主に画像制御基板28による制御に同期させて、枠ランプ36と盤ランプ37と可動役物装置17とを制御する。
次に、可動役物装置17について説明する。
図1、図3,図4に示すように、可動役物装置17は、遊技盤4に設けられた左側の第1可動役物装置17Aと右側の第2可動役物装置17Bとを備え、第1,第2可動役物装置17A,17Bの各々が、ベース部材20A,20B、可動部材群30A,30B、回動駆動機構70A,70B等を備えている。
各可動役物装置17A,17Bにおいて、ベース部材20A,20Bは、遊技盤4の裏面側に取付けられ、可動部材群30A,30Bの基端側部分を前後方向向きの同一の軸心a,b回りに夫々回動自在に支持するものである。可動部材群30A,30Bは、遊技盤4の盤面と平行方向へ夫々延びて、盤面と直交する前後方向に重なり得る。可動部材群30A,30Bの各々は、複数(3つ)の可動部材40A,50A,60A/40B,50B,60Bから構成されている。複数の可動部材40A,50A,60A/40B,50B,60Bの各々は、3枚の羽根形状に形成されている。
図3に示すように、可動部材群30A,30Bが第1の位置(待機位置)のとき、複数の可動部材40A,50A,60A/40B,50B,60Bが鉛直姿勢になって画像表示器16の画面前側空間から左右両側へ退くとともに、それらの3枚の羽根形状部の軸心a,bを中心とする周向位置が一致するように前後方向に重なり、この第1の位置から右方,左方且つ下方へ回動して第2の位置になる。
図4に示すように、可動部材群30A,30Bが第2の位置(作動位置)のとき、複数の可動部材40A,50A,60A/40B,50B,60Bの各々の合計9枚の羽根形状部が軸心a,bを中心とする周方向に略等間隔おきに位置するように展開し、複数の可動部材40A,50A,60A/40B,50B,60Bが傾斜姿勢になって画像表示器16の画面前側空間で展開して前後に重なる(図4参照)。
回動駆動機構70A,70Bは、複数の可動部材40A,50A,60A/40B,50B,60Bが前後に重なった第1の位置と第1の位置から軸心a,b回りに回動して展開した第2の位置とに亙って、複数の可動部材40A,50A,60A/40B,50B,60Bを個別に設定された異なる動作角度(例えば、第1可動役物装置17Aの前側可動部材40Aは約30度、中間回動役物60Aは約60度、後側可動部材50Aは約90度、第2可動役物装置17Bの前側可動部材40Bは約90度、中間回動役物60Bは約60度、後側可動部材50Bは約30度)回動させるように駆動する。
回動駆動機構70A,70Bは、駆動レバー部材(図示略)と、駆動レバー部材を回動させる駆動力を入力可能な駆動モータ81A,81B(ステッピングモータ)を含む駆動力入力機構80A,80Bと、複数の可動部材40A,50A,60A/40B,50B,60Bに夫々一体的に設けられ複数の従動レバー部材(図示略)と、駆動レバー部材の回動動作を複数の可動部材40A,50A,60A/40B,50B,60Bの個別の回動動作に変換するように、複数の従動レバー部材を駆動レバー部材に夫々連動連結する連動連結機構(図示略)等を備えている。
各電飾機構43A,53A,63A/43B,53B,63Bは、裏カバー部材(図示略)に取付けられたプリント基板、プリント基板の前面に実装された複数のLED、複数の可動部材40A,50A,60A/40B,50B,60Bの3枚の羽根形状の表面部に設けられたレンズを有し、各電飾機構43A,53A,63A/43B,53B,63Bに(プリント基板を介して複数のLEDに)接続された配線は、ランプ制御基板29又は他の基板に構成されたLED駆動回路に接続されている。
次に、モータ制御手段38とこのモータ制御手段38が有する第1,第2温度推定手段39A,39Bについて説明する。
図5に示すように、ランプ制御基板29のコンピュータにより、モータ制御手段38(制御手段38)と温度推定手段39A,39Bが構成されている。モータ制御手段38は、演出制御基板27からの演出パターンに基づく演出制御指令を受信すると、演出パターンに応じて駆動モータ81A,81Bの制御を実行する。第1,第2温度推定手段39A,39Bは、駆動モータ81A,81Bの現在の温度(推定温度T)を夫々推定する。
モータ制御手段38は、第1温度推定手段39Aにより推定した駆動モータ81Aの推定温度Tが、予め設定された上限温度TM以上になった場合に所定の条件成立後に、駆動モータ81Aの温度上昇を抑制する制御を実行する制御モードに切り換え、第2温度推定手段39Bにより推定した駆動モータ81Bの推定温度Tが、予め設定された上限温度TM以上になった場合に所定の条件成立後に、駆動モータ81Bの温度上昇を抑制する制御を実行する制御モードに切り換える。本実施例では、モータ制御手段38は、所定の条件成立後に、駆動モータ81Aを停止させ、駆動モータ81Bを停止させる。
具体的に、温度推定手段39A,39Bの各々は、駆動モータ81A,81Bの駆動時には、その駆動モータ81A,81Bの駆動負荷と駆動速度の少なくとも一方に基づいて温度を推定するものである。温度推定手段81A,81Bは、電源投入時に推定温度Tの初期値として遊技機1内の温度と関連付けて予め設定された初期温度T0を設定し、推定した現在の推定温度Tが初期温度T0以下になった場合は、推定温度Tとして初期温度T0を設定する。
また、温度推定手段39A,39Bは、駆動モータ81A,81Bの駆動負荷と駆動速度の少なくとも一方に対応付けて予め設定された図8に示す複数の温度上昇率θr(温度上昇特性に相当する)のマップを夫々有し、駆動モータ81A,81Bの各々の駆動時には、これら複数の温度上昇率θrのうちから可動部材群30A,30B(可動部材に相当する)の現在実行中の動作パターン(駆動負荷と駆動速度の少なくとも一方)に対応する1つの温度上昇率θrを選択して次の推定温度Tを夫々算出する。
図8に示す温度上昇率マップの複数の温度上昇率θrについては、駆動モータ81A,81Bの駆動負荷が大きく且つ駆動速度が遅い場合に大きい温度上昇率を示し、駆動モータ81A,81Bの駆動負荷が小さく且つ駆動速度が速い場合に小さい温度上昇率を示すものであり、本実施例では図9に示す可動部材の動作パターン(a,b,c,d)に応じて4つの温度上昇率(θa,θb,θc,θd)が設定されている。可動部材群30A,30Bを第2の位置から第1の位置へ移動させる場合、第1の位置から第2の位置へ移動させる場合と比較して重力に抗して移動させるので、駆動モータ81A,81Bの駆動負荷が大きいものとなる。
図8,図9に示すように、温度上昇率θaは、第2の位置から第1の位置へ遅い駆動速度で移動させる動作パターン(a)に対応し、温度上昇率θbは、第2の位置から第1の位置へ速い駆動速度で移動させる動作パターン(b)に対応し、温度上昇率θcは、第1の位置から第2の位置へ遅い駆動速度で移動させる動作パターン(c)に対応し、温度上昇率θdは、第1の位置から第2の位置へ速い駆動速度で移動させる動作パターン(d)に対応するものである。
さらに、温度推定手段39A,39Bは、駆動モータ81A,81Bの複数の推定温度Tに対応付けて予め設定された図10に示す複数の温度下降率θs(温度下降特性に相当する)のマップを夫々有し、駆動モータ81A,81Bの駆動停止時には、これら複数の温度下降率θsのうちから現在の推定温度Tに対応する1つの温度下降率θsを選択して次の推定温度Tを算出する。
図10に示す温度下降率マップの複数の温度下降率θsにおいて、駆動モータ81A,81Bの温度が高い状態で駆動モータ81A,81Bの駆動を停止すると温度が急激に減少するため高い温度下降率を示し、駆動モータ81A,81Bの温度が低い状態で駆動モータ81A,81Bの駆動を停止すると温度が緩やかに減少するため低い温度下降率を示すものであり、本実施例では図11に示す推定温度幅(e,f,g,h)に応じて4つの温度下降率(θe,θf,θg,θh)が設定されている。
図10,図11に示すように、温度下降率θeは、推定温度Tが90度以上に設定された推定温度幅(e)に対応し、温度下降率θfは、推定温度Tの温度幅が80度〜90度に設定された推定温度幅(f)に対応し、温度下降率θgは、推定温度Tの温度幅が65度〜80度に設定された推定温度幅(g)に対応し、温度下降率θhは、推定温度Tの温度幅が40度〜65度の推定温度幅(h)に対応するものである。
ランプ制御基板29においては、通常時、モータ制御手段38により演出制御基板27から種々の演出パターンに基づく演出制御指令(コマンド)を受けて、その演出制御指令と、可動役物装置17A,17Bの原点SW84A,84Bからの検出信号に基づいて、駆動モータ81A,81BのドライバIC83A,83Bを制御して、演出パターンに応じて可動部材群30A,30Bを図3の第1の位置と図4の第2の位置の間で移動させる演出動作を実行させる。第1,第2可動役物装置17A,17Bに対する制御はほぼ同様であるので、以下では、第1可動役物装置17Aの制御についてのみ説明する。
モータ制御手段38が実行する制御について図6のフローチャートに基づいて説明する。尚、図6において、Si(i=11,12・・・)はステップを示す。
図6に示すように、この制御が開始されると、演出パターンに基づく演出制御指令を読み込み(S11)、この演出制御指令に応じた可動役物機構17Aの動作パターンに対応する駆動モータ81Aの駆動パターンを設定する(S12)。次に、モータ駆動禁止フラグFが1か否か判定し(S13)、S13の判定がNoの場合には、駆動モータ81Aに対して駆動許可を設定し(S14)、駆動パターンに基づいて駆動モータ81Aの駆動を実行し(S15)、リターンする。
S13の判定がYes の場合には、駆動モータ81Aに対して駆動禁止を設定する(S16)。S16にて駆動モータ81Aに対して駆動禁止の設定がされ、その後リターンする。尚、モータ駆動禁止フラグFの設定については後述する。
温度推定手段39Aが実行する制御についてフローチャートに基づいて説明する。尚、図7において、Si(i=21,22・・・)はステップを示す。
図7に示すように、この制御が開始されると、先ずは電源投入か否か判定し(S21)、S21の判定がYes の場合には、推定温度Tとして遊技機1内の温度と関連付けて予め設定された初期温度T0を設定し(S22)、S23に移行する。初期温度T0は、電源が投入されて通常に稼動中の遊技機1の内部温度に対応づけて50度〜60度程度に予め設定しても良いし、遊技機1内に設けられた温度センサで温度を実際に測定し、この測定値を初期温度T0に設定しても良い。S21の判定がNoの場合には、S23に移行する。
次に、駆動モータ81Aが駆動中か否かを判定し(S23)、S23の判定がYes の場合は、演出制御指令により設定された演出パターンから現在の可動部材群30Aの動作パターンを判定する(S24)。この場合、図9に示すように、可動部材群30Aの動作パターンとして、4通り(a,b,c,d)のうちから判定する。
次に、S25では、S24にて判定した可動部材群30Aの動作パターン(a,b,c,d)に対応付けて予め設定された図8に示す4つの温度上昇率(θa,θb,θc,θd)のうちから可動部材群30Aの現在実行中の動作パターンに対応する1つの温度上昇率θrを選択する。次に、S26にて、選択された温度上昇率θrに微小な所定時間t(例えば、温度推定処理を実行する1サイクル分の時間)を掛けたうえで、推定温度Tに加算して、次の推定温度Tを算出して、S27に移行する。
次に、推定した推定温度Tが、予め設定された上限温度TM超え(例えば90度以上)か否かを判定し(S27)、S27の判定がYes の場合、モータ駆動禁止フラグFに1をセットし(S28)、リターンする。S27の判定がNoの場合は、そのままリターンする。尚、本実施例では、モータ駆動禁止フラグFに1をセットし且つ所定条件の成立(現在実行中の遊技演出が終了すること)後に、モータ制御手段38によって駆動モータ81Aの駆動を停止させる。
次に、S23の判定がNoの場合、推定温度Tが予め設定された初期温度T0以上か否かを判定し(S29)、S29の判定がYes の場合、現在の推定温度Tが、図11に示す4つの推定温度幅(e,f,g,h)の何れに属しているかを判定し、この推定温度幅(e,f,g,h)に対応付けて予め設定された4つの温度下降率(θe,θf,θg,θh)のうちから現在の推定温度に対応する1つの温度下降率θsを選択する(S30)。次に、S31にて、選択された温度下降率θsに前記所定時間tを掛けたうえで、推定温度Tから減算して次の推定温度Tを算出して、S32に移行する。
次に、推定した推定温度Tが、予め設定された駆動許可温度TN以下か否かを判定し(S32)、S32の判定がYes の場合、モータ駆動禁止フラグFに0をセットし(S33)、リターンし、S32の判定がNoの場合、そのままリターンする。尚、駆動許可温度TNは、駆動モータ81Aが再駆動可能であると判定する為の温度で、例えば70度程度に設定される。次に、S29の判定がNoの場合、推定温度Tが初期温度T0未満になった場合は、推定温度Tとして初期温度T0を設定し(S34)、リターンする。
ここで、駆動モータ81Aの推定温度Tの変化の一例を、図12を参照しながら説明するが、以下の説明では、例えば、可動部材群30Aが第1の位置と第2の位置との間を速い駆動速度で2往復する演出パターンが、所定の間隔を空けて複数回連続して実行された場合について説明する。尚、図12においては、横軸を時間軸、縦軸を推定温度Tとして説明する。
図12に示すように、先ず、時刻t0の推定温度Tを60度として、時刻t0〜t1間に、演出パターンに基づいて、可動部材群30Aが第1の位置と第2の位置との間を速い駆動速度で2往復する遊技演出が実行される。このとき、温度推定手段39Aにより、推定温度Tは温度上昇率θbとθdを用いて算出され、駆動モータ81Aの温度が上昇して約75度と推定される。次に、時刻t1〜t2間は、遊技演出が終了し可動部材群30Aが第1の位置にて停止している状態であり、このとき、時刻t1の段階での推定温度Tは、65度〜80度の範囲内の温度であるので、温度推定手段39Aにより、推定温度Tは温度下降率θgを用いて算出され、駆動モータ81Aの温度が下降して約73度と推定される。
次に、時刻t2〜t3間に、演出パターンに基づいて、上記と同様に、可動部材群30Aが第1の位置と第2の位置との間を速い駆動速度で2往復する2回目の遊技演出が実行される。このとき、温度推定手段39Aにより、推定温度Tは温度上昇率θbとθdを用いて算出され、駆動モータ81Aの温度が約87度と推定される。時刻t3〜t4間は、遊技演出が終了し可動部材群30Aが第1の位置にて停止している状態であり、このとき、時刻t3の段階での推定温度Tは、80度〜90度の範囲内の温度であるので、推定温度Tは温度下降率θfを用いて算出され、駆動モータ81Aの温度が81度と推定される。
次に、時刻t4〜t5間に、可動部材群30Aが第1の位置と第2の位置との間を速い駆動速度で2往復する3回目の遊技演出が実行され、推定温度Tは温度上昇率θbとθdを用いて算出されるが、この遊技演出の実行中に推定温度Tが90度を超えるので、温度推定手段39Aにより、推定温度Tが上限温度TM以上であると判定され、遊技演出の実行中にモータ駆動禁止フラグFに1がセットされる。
すると、この3回目の遊技演出が終了した時刻t5以降は、モータ制御手段38により駆動モータ81Aの駆動が禁止される。温度推定手段39Aは、推定温度Tを現在の推定温度Tに対応しながら温度下降率θe,θf,θgを用いて算出するので、推定温度Tは徐々に下降する。この推定温度Tの下降期間中において、遊技演出が実行された場合、可動役物装置17Aの複数のLEDや枠ランプ36と盤ランプ37の点灯のみ実行しても良い。駆動モータの駆動が禁止されていない他の可動部材は動作しても良いし、同期して他の駆動モータの駆動を禁止しても良い。
時刻t6おいて、推定温度Tが70度以下に低下すると、温度推定手段39Aにより、推定温度Tが駆動許可温度TN以下になったと判定するので、モータ駆動禁止フラグFに0がセットされ、モータ制御手段38により駆動モータ81Aの駆動許可が設定され、再び演出パターンに基づいて駆動モータ81Aが駆動される。
このように、連続入賞に伴い遊技演出が複数回連続的に発生した場合、この連続遊技演出の途中で、温度推定手段39Aにより、駆動モータ81Aの推定温度Tが上限温度TM以上であると判定すると、モータ制御手段38により駆動モータ81Aの駆動禁止が設定される。すると、現在実行中の遊技演出が終了し次の遊技演出が開始されても、駆動モータ81Aは駆動せず、可動役物機構17Aの複数のLEDの点灯等のみ実行されるので、駆動モータ81Aがオーバーヒートするのを防止することができる。
尚、上記の説明では、第1可動役物装置17Aの駆動モータ81Aの温度を推定する温度推定手段39Aについてのみ説明したが、第2可動役物装置17Bの駆動モータ81Bについても同様に、温度推定手段39Bにより、駆動モータ81Bの温度が推定され、駆動モータ81Bがオーバーヒートするのを防止することができる。
次に、本発明の遊技機1の効果について説明する。
この遊技機1は、可動部材群30A,30Bと、この可動部材群30A,30Bを駆動する為の駆動モータ81A,81Bと、この駆動モータ81A,81Bを制御するモータ制御手段38とを備え、モータ制御手段38は、駆動モータ81A,81Bの現在の温度を推定する温度推定手段39A,39Bであって、駆動モータ81A,81Bの駆動時にはその駆動モータ81A,81Bの駆動負荷と駆動速度の少なくとも一方に基づいて温度を推定する温度推定手段39A,39Bを有するので、駆動モータ81A,81Bの故障、破損を防止し、駆動モータ81A,81Bの耐久性を高めることができる。
温度推定手段39A,39Bは、電源投入時に推定温度Tとして遊技機1内の温度と関連付けて予め設定された初期温度T0を設定するので、温度推定手段39A,39Bは、遊技機1内の温度と関連付けて予め設定された初期温度T0を基準にして推定温度Tを推定することができる。
モータ制御手段38は、温度推定手段39A,39Bにより推定した推定温度Tが、予め設定された上限温度TM以上になった場合に所定の条件成立後に駆動モータ81A,81Bを停止させるので、駆動モータ81A,81Bの過熱を防止することができる。
温度推定手段39A,39Bは、駆動モータ81A,81B停止時の駆動負荷と駆動速度の少なくとも一方に対応付けて予め設定された複数の温度上昇率θrを有し、駆動モータ81A,81Bの駆動中には、これら複数の温度上昇率θrのうちから可動部材群30A,30Bの現在実行中の動作パターンに対応する1つの温度上昇率θrを選択して次の推定温度Tを算出するので、駆動モータ81A,81Bの駆動時に、駆動モータ81A,81Bの推定温度Tを正確に算出することができる。
温度推定手段39A,39Bは、推定した推定温度Tが初期温度T0以下になった場合は、推定温度Tとして初期温度T0を設定するので、温度推定手段39A,39Bが、駆動モータ81A,81Bの推定温度Tを初期温度T0以下に推定することはない。
温度推定手段39A,39Bは、駆動モータ81A,81Bの複数の推定温度Tに対応付けて予め設定された複数の温度下降率θsを有し、駆動モータ81A,81Bの駆動停止時には、これら複数の81A,81Bのうちから現在の推定温度Tに対応する1つの温度下降率θsを選択して次の推定温度Tを算出するので、駆動モータ81A,81Bの駆動停止時に、駆動モータ81A,81Bの推定温度Tを正確に算出することができる。
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
[1]前記モータ制御手段38は、現在実行中の遊技演出が終了する迄は駆動モータ81A,81Bを駆動させ、遊技演出が終了した後に駆動モータ81A,81Bの駆動を禁止している。つまり、所定の条件成立後として、現在実行中の遊技演出が終了することを含む条件としているが、現在実行中の遊技演出の終了を待たずに、モータ駆動禁止フラグFに1が設定されたら、所定の条件が成立したとして、直ちに可動部材群30A,30Bを第1の位置に復帰させ、駆動モータ81A,81Bを停止するようにしても良い。この場合、現在の演出パターンに応じて可動役物機構17A,17Bの複数のLEDのみ引き続き点灯させても良いし、遊技演出の内容自体を切り換えるようにしても良い。
[2]前記モータ制御手段38は、上記の[1]では、所定の条件が成立したら、直ちに可動部材群30A,30Bを第1の位置に復帰させ、駆動モータ81A,81Bを停止するよう制御しているが、これ以外にも、予め駆動モータ81A,81Bの温度上昇を抑制する(例えば、演出時間を短縮する等の)1又は複数の演出テーブルを用意し、モータ駆動禁止フラグFに1が設定されたら直ちに、現在実行中の遊技演出から上記の1又は複数の演出テーブルの何れかに基づく遊技演出に切り換るようにしても良い。
[3]前記実施例では、駆動モータ81A,81Bの複数の温度上昇率θrを一定値に設定しているが、特に一定値に設定する必要はなく、可動部材群30A,30Bが同じ動作パターンで動作中であっても、現在の推定温度Tに対応して温度上昇率θrを切り換えるようにしても良い。つまり、実際の駆動モータ81A,81Bの温度上昇率は必ずしも直線状に変化するとは限らず、2次曲線状に変化する場合がある。このため、実測データが2次曲線状に変化する場合は所定の温度幅に区切って近似直線を描き、図13に示すように、これら近似直線から温度上昇率θrを設定するようにしても良い。尚、図13では、推定温度Tが高温側に移行した場合の温度上昇率(θa,θb,θc,θd)には" ´" を付して表示してある。尚、複数の温度上昇率を指数関数的曲線に設定しても良い。
[4]前記温度推定手段39A,39Bにより、駆動モータ81A,81Bの駆動負荷と駆動速度の両方に基づいて温度上昇率θrを設定しているが、駆動負荷と駆動速度の少なくとも一方に基づいて温度上昇率θrを設定するようにしても良い。例えば、駆動速度を考慮せずとも、可動部材群30A,30Bが第1の位置から第2の位置へ移動する場合と第2の位置から第1の位置へ移動する場合とでは駆動モータ81A,81Bの駆動負荷が変化するので、この駆動負荷のみに基づいて温度上昇率θrを設定するようにしても良い。
[5]図8に示す4つの温度上昇率(θa,θb,θc,θd)及び図9に示す4通りの動作パターン(a,b,c,d)の組み合わせは、ほんの1例を示したに過ぎず、種々の可動役物装置の構成に応じて、種々の温度上昇率及び動作パターンに設定することができる。同様に、図10に示す4つの温度下降率(θe,θf,θg,θh)及び図11に示す4つの推定温度幅(e,f,g,h)の組み合わせは、ほんの1例を示したに過ぎず、種々の温度下降率及び推定温度幅を設定することができる。
[6]前記温度推定手段39A,39Bは、可動役物装置17A,17Bの駆動モータ81A,81Bの温度を夫々推定するために設けられているが、これ以外にも可動部材と可動部材を駆動する駆動モータが設けられている場合は、駆動モータ毎に温度推定手段を設けるようにしても良い。また、駆動モータ81A,81B毎に温度推定手段39A,39Bを設けているが、駆動モータ81A,81Bのうちの一方にのみ温度推定手段を設けるようにしても良い。
[7]その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲において種々の変更を付加して実施可能である。そして、本発明は、種々のパチンコ遊技機に適用できる他、パチンコ遊技機以外のスロットマシンや、その他種々の遊技機への適用が可能である。