JP2016189502A - 受信器、通信方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】時分割拡散スペクトル符号と周波数分割拡散スペクトル符号を利用して、単一のものだけでなく、複数のものをも対象とすることが可能な受信器等を提供する。
【解決手段】送信器3が備える送信部7は、時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号の複数のペアのそれぞれに基づく複数のTDテンプレート及びFDテンプレートを埋め込んで送信信号を生成し、受信器に対して送信する。受信器5の推定部15は、複数の時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号のペアを利用して、各ペアのターゲットスペース全体を使用して、通信路中のドップラー周波数及び遅延時間を推定する。これにより、複数のターゲットを対象とすることができる。また、取得時間はほとんど変わらず、個々のターゲットスペースよりも広いターゲットスペースにおいて推定が可能になる。
【選択図】図1
【解決手段】送信器3が備える送信部7は、時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号の複数のペアのそれぞれに基づく複数のTDテンプレート及びFDテンプレートを埋め込んで送信信号を生成し、受信器に対して送信する。受信器5の推定部15は、複数の時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号のペアを利用して、各ペアのターゲットスペース全体を使用して、通信路中のドップラー周波数及び遅延時間を推定する。これにより、複数のターゲットを対象とすることができる。また、取得時間はほとんど変わらず、個々のターゲットスペースよりも広いターゲットスペースにおいて推定が可能になる。
【選択図】図1
Description
本発明は、受信器、通信方法及びプログラムに関し、特に、送信器との間で、時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号を同時に利用して通信を行う受信器等に関する。
従来、通信システムにおいて、Frequency Modulated Continuous Wave(FMCW)が多用されている。FMCWは、発振周波数が、のこぎりの歯のように、直線的に上昇したのち、急激に基準の周波数に戻ることを繰りかえす正弦波である。これは、距離が周波数に換算されるので、ドップラー周波数と区別がつかない。ターゲットが存在するかしないかの検出には向いているが、ドップラー周波数(物体の移動速度)と距離を同時に求めることができなかった。
発明者らは、最近、ガボール分割拡散スペクトルシステム(Gabor Division/Spread Specctrum System(GD/S3))を発表した(例えば、特許文献1及び2、非特許文献1参照)。GD/S3は、時分割(Time Division)用の拡散スペクトル符号と周波数分割(Frequency Division)用の拡散スペクトル符号を同時に利用する方法である。位相更新ループ(Phase Updating Loop:PUL)により、通信路中のドップラー周波数(fD)と遅延時間(td)を、事前情報なしに推定することができる。GD/S3は、ディジタル通信システムとしては、td及びfDを高精度に推定することができるので、例えばレーダー等としても応用することができる。
T.Kohda、外2名,"2D Markovian SS codes flatten time-frequency distribution of signals in asynchronous Gabor division CDMA systems",ICASSP,IEEE,2011,p.3140-3143
しかしながら、これまでのGD/S3等は、主として、単一のものを対象としてきた。一般に、複数のものを対象とする問題は、単一のものを対象とする問題に比べて格段に難しい。時分割拡散スペクトル符号と周波数分割拡散スペクトル符号を利用して、単一のものだけでなく、複数のものを対象とすることが求められている。
そこで、本願発明は、時分割拡散スペクトル符号と周波数分割拡散スペクトル符号を利用して、単一のものだけでなく、複数のものをも対象とすることが可能な受信器等を提案することを目的とする。
本願発明の第1の観点は、送信器との間で、時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号の符号ペアを利用して通信を行う受信器であって、前記符号ペアは、複数存在し、前記各符号ペアに対応して時分割テンプレート及び周波数分割テンプレートのテンプレートペアが存在し、前記送信器が備える送信部は、一つ又は複数の前記テンプレートペアを埋め込んで送信信号を生成し、前記受信器に対して前記送信信号を送信するものであり、前記送信信号を受信して受信信号を得る受信部と、前記受信信号と前記複数の符号ペアのそれぞれとの間の相関値を計算する相関部と、前記相関値を用いて処理を行う処理部を備えるものである。
本願発明の第2の観点は、第1の観点の受信器であって、前記送信部は、前記送信信号を、前記テンプレートペアとともに、前記送信器における遅延時間及びドップラー周波数の推定値を埋め込んで生成するものである。
本願発明の第3の観点は、第1又は第2の観点の受信器であって、前記各符号ペアに対応してターゲットスペースが存在し、前記送信部は、同期用データを、一つ又は複数の前記テンプレートペアを使って埋め込んで同期送信信号を生成し、前記受信器に対して前記同期送信信号を送信し、前記受信部は、通信路を経由して前記同期送信信号を受信して同期受信信号を得、前記相関部は、前記同期受信信号と前記複数の符号ペアのそれぞれとの間の相関値を計算し、前記処理部は、前記相関値を用いて、前記各ターゲットスペースにおける前記通信路のドップラー周波数の候補値及び遅延時間の候補値を推定するものである。
本願発明の第4の観点は、第1から第3のいずれかの観点の受信器であって、前記送信部は、送信用データを、一つ又は複数の前記テンプレートペアを使って埋め込んで通信用送信信号を生成し、前記受信器に対して前記通信用送信信号を送信するものであり、前記送信用データには、少なくとも2種のものがあり、前記送信部は、第1種送信用データを、第1符号ペアに対応する第1テンプレートペアを使って埋め込み、第2種送信用データを、前記第1符号ペアとは異なる第2符号ペアに対応する第2テンプレートペアを使って埋め込んで、通信用送信信号を生成し、前記受信器に対して前記通信用送信信号を送信し、前記受信部は、前記通信用送信信号を受信して通信用受信信号を得、前記相関部は、前記通信用受信信号と、前記第1符号ペア及び前記第2符号ペアを含む複数の符号ペアのそれぞれとの間の相関値を計算し、前記処理部は、前記相関値を用いて前記送信用データを特定するものである。
本願発明の第5の観点は、第1から第4のいずれかの観点の受信器であって、前記符号ペアの個数は、Kであり、各符号ペアによりM値の位相シフトキーイングを用いて複素数値データの送受信を行うことにより、M×K値の位相シフトキーイングを実現するものである。
本願発明の第6の観点は、送信器と受信器との間で、時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号の符号ペアを利用して通信を行う通信方法であって、前記符号ペアは、複数存在し、前記各符号ペアに対応して時分割テンプレート及び周波数分割テンプレートのテンプレートペアが存在し、前記送信器が備える送信部が、一つ又は複数の前記テンプレートペアを埋め込んで送信信号を生成し、前記受信器に対して前記送信信号を送信する送信ステップと、前記受信器が備える受信部が、前記送信信号を受信して受信信号を得る受信ステップと、前記受信器が備える相関部が、前記受信信号と前記複数の符号ペアのそれぞれとの間の相関値を計算する相関値演算ステップと、前記受信器が備える処理部が、前記相関値を用いて処理を行う処理ステップを備えるものである。
本願発明の第7の観点は、コンピュータを、受信器が受信した受信信号と、時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号の複数の符号ペアのそれぞれとの間の相関値を用いて、前記各符号ペアに対応するターゲットスペースにおいて通信路の前記ドップラー周波数の候補値及び前記遅延時間の候補値を推定し、及び/又は、送信器が送信したデータを特定する処理部として機能させるためのプログラムである。
なお、本願発明を、第7の観点のプログラムを定常的に記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として捉えてもよい。
また、複数の符号ペアは、例えば、複数の符号ペアの候補からランダムで選択してもよい。さらに、複数の符号ペアの選択後に、これらの符号ペアによって同期処理や復調処理に適したものか否かをチェックし、適したものである場合にはこれらの符号ペアによって処理を行い、適したものでない場合には他の符号ペアを選択するようにしてもよい。
本願発明の各観点によれば、時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号の複数の符号ペアを同時に使用する。これにより、複数のものをも対象とすることが可能となり、高度な同期処理や高度なデータ送受信を実現することが可能になる。
同期において、複数の符号ペアを使用することにより、例えば第2の観点にあるように、複数のターゲットを検出することが可能になる。特に、同期受信信号と各符号ペアとの相関値を用いて、各符号ペアのターゲットスペースに存在するターゲットを高精度に検出することが可能になる。
さらに、複数の符号ペアを使用することにより、個々の符号ペアにおけるドップラー周波数及び遅延時間の許容範囲を超えて、全体として広い許容範囲におけるドップラー周波数及び遅延時間の同時推定が可能になる。さらに、受信信号と各符号ペアとの相関値のピーク値を検出して、広い許容範囲での同時推定が可能になる。
これまでの方法では、td及びfDの許容範囲が、シグネチャ信号の占める時間幅Tと周波数幅Fまでに限られていた。そのため、td及びfDの許容範囲をひろげるためには、大きなT及びFとすることが必要となる。この場合、平均取得時間が増大することとなる。そうすると、リソースを多く使用することとなる。このようなリソースの使用の増大は、認められない可能性もある。本願発明の各観点によれば、取得時間を増大させずにtd及びfDの許容範囲を広げることが可能となる。
さらに、データ送受信において、例えば第4の観点にあるように、各符号ペアに各種の送信用データを割り当てることにより、個々の符号ペアを使って送信する場合とほとんど同じ精度で、個々の符号ペアを使用する場合よりも多くの送信用データを送受信することが可能になる。これは、特に第5の観点にあるように、多値位相シフトキーイングを用いて、複素数値データを送信する場合に有効である。データの送信を位相情報で実現することにより、振幅は、例えばチャネル推定用のように、他の用途に使用することができる。しかし、位相情報だけでは、より多くのデータを同時に送信しようとすると、隣接する位相の差がより小さくなる。そこで、隣接する位相の複素数値データを異なる符号ペアに割り当てることにより、個々の符号ペアでは、隣接する位相の差を維持したまま、より多くのデータを送信することが可能になる。そのため、通信精度を維持したまま、より多くのデータを同時に送信することが可能になる。
以下では、図面を参照して、本願発明の実施例について説明する。なお、本願発明は、この実施例に限定されるものではない。
図1は、本願発明の実施の形態に係る通信システムの構成の一例を示すブロック図である。図2は、図1の通信システム1の動作の一例を示すフロー図である。図1及び図2を参照して、通信システム1の構成及び動作の一例について説明する。
まず、図1を参照して、通信システム1の構成について説明する。通信システム1は、送信器3(本願請求項の「送信器」の一例)と、受信器5(本願請求項の「受信器」の一例)を備える。
送信器3は、送信部7(本願請求項の「送信部」の一例)を備える。送信部7は、データ記憶部11と、第1テンプレート処理部131,…第NTSテンプレート処理部13NTSと、加算部15を備える。ここで、NTSは、時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号の符号ペアの数である。各テンプレート処理部13は、時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号の符号ペアの一つに対応する。
受信器5は、受信部21(本願請求項の「受信部」の一例)と、位相調整部23と、受信処理部25を備える。受信処理部25は、第1相関部271,…第NTS相関部27NTS(本願請求項の「相関部」の一例)と、処理部29(本願請求項の「処理部」の一例)を備える。各相関部27は、TDSS符号相関部31と、FDSS符号相関部33を備える。
通信システム1では、時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号のNTS個の符号ペアを同時に利用して、送信器3から受信器5に至る通信路中のドップラー周波数及び遅延時間を推定したり、送信用データを送受信したりする。1個のテンプレート処理部13及びK個の相関部27が、同じ時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号の符号ペアを用いて処理を行う。
以下では、説明を簡単にするために、時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号の各符号ペアのターゲットスペースは、互いに重ならないこととする。平均取得時間をほとんど増大させずに、ターゲットスペースを拡張することができる。
続いて、図2を参照して、図1の通信システム1の動作について説明する。
まず、送信部7は、送信信号を生成する(ステップST1)。各テンプレート処理部13は、データ記憶部11に記憶されたデータを、時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号の符号ペアに対応するテンプレートを用いて埋め込む。具体的な処理については、後に説明する。加算部15は、各テンプレート処理部13が生成した信号を加算し、送信信号を生成する。送信部7は、受信器5に対して、送信信号を送信する(ステップST2)。
受信部21は、通信路を経由して送信信号を受信し、受信信号を得る(ステップST3)。位相調整部23は、各相関部27に対して、受信信号を、対応する位相に調整して与える。
各相関部27において、TDSS符号相関部31は、位相調整後の受信信号と、対応する時分割拡散スペクトル符号との間の相関値を計算する。また、FDSS符号相関部33は、位相調整後の受信信号と、対応する周波数分割拡散スペクトル符号との間の相関値を計算する(ステップST4)。
処理部29は、相関部27から出力される相関値を用いて処理を行う(ステップST5)。具体的な処理については、以下に説明する。
図3は、図1の通信システム1の具体的な動作の一例を示すフロー図である。図3では、多値位相シフトキーイングを用いて送信する場合について説明する。
送信部7は、同期送信信号を生成する(ステップSTC1)。データ記憶部11には、同期用の複素数値データが設定される。そして、時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号の符号ペアに対応するテンプレートを用いて埋め込む。加算部15は、各テンプレート処理部13が生成した信号を加算し、同期送信信号を生成する。送信部7は、受信器5に対して、同期送信信号を送信する(ステップSTC2)。
受信部21は、通信路を経由して同期送信信号を受信し、同期受信信号を得る(ステップST3)。位相調整部23は、同期受信信号の位相を調整して、相関部27に与える。
各相関部27において、TDSS符号相関部31は、位相調整後の受信信号と、対応する時分割拡散スペクトル符号との間の相関値を計算する。また、FDSS符号相関部33は、位相調整後の受信信号と、対応する周波数分割拡散スペクトル符号との間の相関値を計算する(ステップSTC4)。TDSS符号相関部31は、時間分解能に応じて、FDSS符号相関部33が以前に探索した遅延時間を用いて、受信信号と、対応する時分割拡散スペクトル符号との相関値を演算する。また、FDSS符号相関部33は、空間分解能に応じて、TDSS符号相関部31が以前に探索したドップラー周波数の候補値を用いて、受信信号のフーリエ変換と、対応する周波数分割拡散スペクトル符号との相関値を演算する。
処理部29は、ピーク値を与える時間分解能により、ドップラー周波数の候補値を求める。また、ピーク値を与える空間分解能により、遅延時間の候補を求める。このように、TDSS符号相関部31及びFDSS符号相関部33は、ドップラー周波数の候補と遅延時間の候補の探索を、個別的かつ協同的に行う。
なお、受信処理部25は、新たに探索されたドップラー周波数と遅延時間の候補と、その直前に探索されたドップラー周波数と遅延時間の候補が、大きく異なる場合には、同じ同期受信信号に基づき、新たに探索されたドップラー周波数と遅延時間の候補を用いて、ドップラー周波数と遅延時間の候補を再探索してもよい。
受信処理部25は、同期処理が終了したか否かを判断する(ステップSTC6)。例えば、新たに受信した同期受信信号により探索されたドップラー周波数と遅延時間の候補と、その直前に受信した同期受信信号により探索されたドップラー周波数と遅延時間の候補とが、大きく異なる場合には、受信処理部25は、送信部7に新たに探索されたドップラー周波数と遅延時間の候補をフィードバックして、ステップSTC1に戻る。送信部7は、受信したドップラー周波数と遅延時間の候補により位相を調整し、同期送信信号を送信する。新たに受信した同期受信信号により探索されたドップラー周波数と遅延時間の候補と、その直前に受信した同期受信信号により探索されたドップラー周波数と遅延時間の候補とが、所定の基準値よりも違わない場合には、同期が終了したとして、ステップSTC7に進む。
送信部7は、通信用送信信号を生成する(ステップSTC7)。データ記憶部11には、送信用の複素数値データが設定される。そして、時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号の符号ペアに対応するテンプレートを用いて埋め込む。加算部15は、各テンプレート処理部13が生成した信号を加算し、同期送信信号を生成する。送信部7は、受信器5に対して、通信用送信信号を送信する(ステップSTC8)。
受信部21は、通信路を経由して通信用送信信号を受信し、通信用受信信号を得る(ステップST9)。位相調整部23は、通信用受信信号の位相を調整して、相関部27に与える。
各相関部27において、TDSS符号相関部31は、位相調整後の受信信号と、対応する時分割拡散スペクトル符号との間の相関値を計算する。また、FDSS符号相関部33は、位相調整後の受信信号と、対応する周波数分割拡散スペクトル符号との間の相関値を計算する(ステップSTC10)。
処理部29は、ピークを与える相関部27を特定する。そして、ピークを与える相関部27に対応する位相から、通信用データを特定する。
以下に示すように、図1のシステムによれば、16PSKの実現は勿論、32PSKの実現、さらには、それ以上のMPSKの実現も容易となる。
なお、TDSS符号相関部31とFDSS符号相関部33の役割を交換してもよい。すなわち、TDSS符号相関部31及びFDSS符号相関部33の出力から、それぞれ、ドップラー周波数及び遅延時間の候補を探索してもよく、また、遅延時間及びドップラー周波数の候補を探索してもよい。
続いて、テンプレートペアの一例について説明する。図4は、GD/S3に対して実現される送信器の一例を示す図である。ここで、記号b及びrが付されたボックスは、それぞれ、時間及び周波数の領域の信号を示す。図示を省略するが、各データdq,0 GDには、δ(t−tdi)を乗ずる。続いて、送信器における遅延時間とドップラー周波数の推定値が埋め込まれる。TD及びFDテンプレートは、シグネチャ波形とそのフーリエ変換に埋め込まれる。記号bのボックスの時間領域信号の背後に、記号rのボックスの周波数領域信号がある。TD及びFD信号は、それぞれ、同じ信号の異なる表現である。そうでなければ、シグネチャ波形を表現するために時間又は周波数領域を自由に選ぶことができる。TD及びFD信号の両方を使うことは、普通ではなく、冗長であるが、td及びfDを個別に推定する助けとなる。
図5は、受信器を示す図である。(a)は、従来の相関器であり、(b)は、マッチドフィルタである。(c)は、^tdが固定され、μが変化する受信器であり、(d)は、その周波数双対である。図5において、シンボルFは、フーリエ変換を示す。
図6は、シグネチャ波形と4つのテンプレートの一例を示す。(a)は、TD符号化TDテンプレートであり、(b)は、FD符号化FDテンプレートであり、(c)は、FD符号化TDテンプレートであり、(d)は、TD符号化FDテンプレートである。ここで、X=(-1,1,1,1,-1,-1,-1,-1,-1,1,1,1,-1,1,1,-1)t、X'=(-1,-1,-1,-1,1,1,1,-1,-1,-1,-1,1,1,-1,-1,-1)t、Tc=1.0μ秒、及び、Fc=1.0MHzである。図6における記号rとbのカーブは、4つのテンプレートの実部と虚部を示す。uFD 0(t;X')及びUTD 0(f;X)は、それぞれ、vGD(t;Xo)及びVGD(f;Xo)の中に埋め込まれる。
以下では、数式を用いて、具体的に説明する。
式(1-1)で定義される、受信信号についてナローバンド・シングルパス・チャネル・モデルを考える。ここで、R[・]は、実部を示す。~s(t)及び~ξ(t)は、送信信号の複素ローパス等価物及びナローバンド白色ガウスノイズである。α、td、fc、fD及びφ0は、減衰要素、伝搬時間遅延、キャリア周波数、ドップラーシフト及び初期位相である。
α=1とする。通信での主なタスクは、fD、td及びφ0の情報がない状態で、r(t)からデータシンボルを発見することである。データシンボルは、~s(t)の中に埋め込まれている。従来のフェーズロックループ(PLL)は、fDが0に近いという条件の下でφ0によって引き起こされる位相ゆがみを最小化し、tdに対する1つのパラメータの推定がなされる。しかしながら、fDがPLLのロッキングレンジよりも大きいならば、同期は、もはや維持されない。
通常、2次元推定は、時間領域(TD)信号上でなされる。これは、結果的に、td及びfDに対して、しらみ潰し的なサーチになる。どのようにすれば、私たちは、r(t)との関係で、事前の情報なく、同時に、td及びfDを決定することができるか。この質問は、通信に対する信号処理の核心である。
遅延−ドップラー決定に主に関連するのは、どのように送信信号s(t)=R[~s(t)ej2πfct]をデザインするかである。これを行うために、私たちは、式(1-2)によって定義される、古典的なガボール展開を使用する。ここで、d→qは、アドレス→q=(q,q')に関するデータシンボルであり、~v(t)は、シグネチャ波形である。T及びFは、時間及び周波数の間隔である。一度に処理されるブロックは、P・P’データで構成される。
以下では、プライムシンボル(')は、周波数領域(FD)に対して使用される。式(1-2)のエクスポネントにおける−qT/2の時間シフトは、ある信号とそのフーリエ変換が、td及びfDに対して完全に対称となるように導入される。この場合、これらは、時間周波数対称(TFS)を満足するといわれる。発明者らは、時間同期に対するTD拡散スペクトル(SS)符号取得法にみならい、FDSS符号を導入した。もし、遅延−ドップラー決定問題が、2つの1パラメータ推定(すなわち、1つは、推定された^tdが与えられたときにTDシグナルでfDを推定するためのものであり、他方は、推定された^fDが与えられたときにFDシグナルでtdを推定するためのもの)に分解できるならば、送信器及び受信器は、分離特性(SP)を満たすといわれる。このTFSは、SPを満たす信号に対する十分条件として示されている。
受信器は、TD及びFD相関器のアレイで成り立つ。これらの相関器は、互いに^fD及び^tdの近似値を交換し、これらを、交互かつ反復して更新する。このようなアルゴリズムは、位相更新ループ(PUL)として参照され、T及びFの分数比のレベルに関してT及びFまでの大きな遅延及びドップラーを許容することができる。このような大きな周波数偏差は、従来のPLLが想定していない状況である。
GD/S3は、局所的なオシレータの不正確な周波数と同様に、重いドップラーのある悪化した環境で耐性のある通信システムとなるように設計された。GD/S3の応用は、基礎的な通信システムを含む。例えば、マシン間通信、生体−生体通信、ロボット間通信、レンジング、室内通信、センサーネットワークである。
複数のターゲットの決定を議論するために、私たちは、符号分割多元接続(CDMA)の哲学からアイデアを借りる。すなわち、ターゲットスペースは、4つのサブスペースに分割され、それらに付随する2次元(2D)SS符号が割り当てられる。割り当てられるSS符号を使うTD及びFDの相関器の4つのペアが導入される。相関器の各ペアは、終了条件を満たすならば同期を達成し、そうでなければターゲットを示さない。
続いて、複素ベースバンド等価信号を使って、送信信号と受信器の設計について説明する。以下では、複素ベースバンド等価信号は、明確に述べなければ、~を付加せずに示される。
GD/S3は、td及びfDの決定が、等しく重要なものであり、それゆえ、受信信号におけるtdの役割が、受信信号のフーリエ変換におけるfDの役割に、正確に等価であるというアイデアに基づく。この目的のため、私たちは、式(1-1)を少し修正し、単純のために、fc=0とするとともに、rGD(t)=αejφ0sGD(t−td)ej2πfD(t-td/2)と定義する。余分な位相j2πfD(-td/2)は、受信信号とそのフーリエ変換が対称となるために必要とされる。この式に式(1-2)を代入することにより、式(1-3)及び(1-4)が得られる。ここで、RGD(f)及びΞ(f)は、rGD(t)及びξ(t)のフーリエ変換である。明らかに、rGD(t)及びRGD(f)は、TFSを満足する。
送信信号s(t)を設計するためにガボール展開を使うならば、s(t)及びそのフーリエ変換は、TFS条件を満たす。X=(X0,X1,…,XN-1)t、X'=(X'0,X'1,…,X'N'-1)t、Tc=T/N及びFc=F/N'を、TD及びFD符号とし、チップの持続時間及びバンド幅とする。Xo={X,X'}とする。式(1-5)及び(1-6)で定義されるシグネチャ波形v(t)及びそのフーリエ変換V(f)が、チップ波形z(t)及びそのフーリエ変換Z(f)に関して、ガボール展開を持つならば、これらに付随する受信信号及びそのフーリエ変換は、TFSを満たす。式(1-2)は、最初のレベルのガボール展開として参照される。他方、式(1-5)及び(1-6)は、レベル2のガボール展開として参照される。
ガボール展開は、信号処理やフィルターバンクマルチキャリア(FBMC)システムにおいてしばしば採用されてきたことを思い出してほしい。ガボール展開が好まれた理由の一つは、その係数が、時間−周波数がシフトされたガボール要素信号を使って簡単に得られることである。他方、発明者らは、以下に示すように、ガボール展開に基づく時間−周波数同期法に対して、根本的に新しいアプローチを与えた。
GDシグネチャ波形及びそのフーリエ変換は、それぞれ、式(1-7)及び(1-8)のように分解される。なお、それぞれの式は、明らかに、もう一つの別の分解をもつ。ここで、uTD m'(t;X)及びUFD m(f;X')は、TD符号化TDテンプレート及びFD符号化FDテンプレートであり、式(1-9)及び(1-10)で定義される。
td及びfDを推定するための従来のアプローチは、受信信号と時間−周波数シフトされたシグネチャ波形の間の相互相関を計算し、そのピーク値を見つけるものである。このアプローチは、暗黙的に、しらみ潰し的な2次元推定を必要とする。他方、発明者らは、位相更新ループ(PUL)と呼ばれるtd及びfDを繰り返し推定するための方法を提案した。PULの各ステップでは、td又はfDの1次元の推定が交互になされる。
図7は、時間−周波数平面における(a)送信されたシグネチャ波形及び(b)受信されたシグネチャ波形を示す図である。受信信号は、送信信号の(td,fD)シフトされたバージョンである。TD及びFDテンプレートは、両方の信号に埋め込まれる。
図7に示されるように、シグネチャ波形を複数のTD及びFDテンプレートに分解することによって、これらに対応するTD及びFD相関器を定義し、td及びfDを時間及び周波数オフセットに対してよりロバストに決定することができる。シグネチャ波形vGD(t;Xo)は、周波数バンド幅F及び持続時間Tを占拠し、一方、TDテンプレートは、Fc及びTを占拠し、FDテンプレートは、F及びTcを占拠する。一般的に、ワイドバンドのシグナルは、高い時間分解を持ち、逆も同様である。それゆえ、TDテンプレートは、時間オフセットに対してよりセンシティブでなく、一方、FDテンプレートは、周波数オフセットに対してよりセンシティブでない。
通常、シグナルマッチドフィルタは、キャリア同期が既に確立されたと仮定される通信の受信器に採用される。他方、キャリアμ制御(可動)TD積分器及び遅延σ制御(可動)FD積分器を共に採用する。このとき、受信信号とDテンプレートの時間遅延バージョンの積のフーリエ変換は、TD積分器で計算され、受信信号のフーリエ変換とFDテンプレートの周波数シフトバージョンの積の逆フーリエ変換はFD積分器で計算される(図8参照)。図8は、P=P'=1に関するTD及びFD積分器アレイを示す図である。ここで、TD及びFD積分器出力は、それぞれ、μ*及びσ*で最大化される。TD相関器アレイの出力μ*は、FD積分器における^fDを更新するために使用され、FD相関器アレイの出力σ*は、TD積分器の^tdを更新するために使用される。図8に示されるように、受信信号とN'個の周波数シフトされたTDテンプレートの間の相互相関値、及び、受信信号のフーリエ変換とN個の時間シフトされたFDテンプレートの間の相互相関値が計算される。TD及びFD相関器の出力の最大値が決定され、^td及び^fDの更新推定に使用される。図8の上半分と下半分で説明されるTD及びFD積分器アレイは、対称構造である。ここで、td及びfDの役割は交換することができる。
テンプレート波形は、TD符号化TDテンプレート及びFD符号化FDテンプレートがフーリエ変換に関して対称になるように設計される。それゆえ、データアドレス→q=(q,q')のデータシンボルは、位相ゆがみejπ(qTfD-tdq'F)のある受信器で観察される。この位相ゆがみは、q及びq'が増加するにつれて増加する。そのため、位相ゆがみは、受信器又は送信器で補償されるべきである。発明者らは、最近、受動的及び能動的PULという受信器及び送信器に対する位相補償法を提案した。受動的PULに対するTD及びFD相関器は、以下のように設計される。なお、能動的PULでは、dGD →qは、e-jπ(qT~fD-~tdq'F)dG D→qによって置き換えればよい。ここで、~td及び~fDは、td及びfDの予測値である。
受動的PULに対する受信信号(又はそのフーリエ変換)及びTD符号化TDテンプレート(又はFD符号化FD符号)の間のパターンマッチングは、式(1-11)及び(1-12)の形式で行われる。ここで、μ及びσは、それぞれ、fD及びtdを推定するための制御パラメータである。上にバーをつけたものは、複素共役を示す。φ0 GD(TD)及びφ0 GD(FD)は、式(1-13)及び(1-14)で定義される位相項である。uTD n'(t;Y)及びUFD n(f;Y')は、Xを推定するためのTD符号Y及びX'を推定するためのFD符号Y'に関するテンプレート波形である。テンプレートのデータアドレス→p=(p,p')及びチップアドレスn、n'は、それぞれ、受信信号の→q=(q,q')及びm、m'に対応する。
式(1-11)及び(1-12)は、ヴィル−ウッドワードのアンビグイティ関数によって評価される。x(t)及びy(t)並びにそのフーリエ変換X(f)及びY(f)の間のアンビグイティ関数は、式(1-15)及び(1-16)によって定義される。式(1-13)及び(1-14)は、固定したτ及びνに関する2つの信号の積のフーリエ変換及び逆フーリエ変換によって表現される。
これらの関数は、制御されたキャリア相関器の形式で使用される。2つの引数の主要項は、式(1-17)及び(1-17’)によって記載される。すなわち、私たちは、式(1-18)及び(1-19)を得る。ここで、Wc=e-j2πTcFcであり、Δ(σ,^fD)=δ(^fD,−σ)であり、式(1-20)である。
式(1-20)の最後の項、すなわち、(fD^td−μtd)は、回転因子の積Wc m'n/2Wc -n'm/2と同様に、fD及びtdが分離できないことを示す。そうでなければ、そのアンビグイティ関数の指数的な減衰を持つガウスチップ波形が採用されるならば、以下に示すように、PULの数回の繰り返しの後で、|τGD 0(^td)|<Tc及び|νGD 0(^fD)|<Fcが満たされる。2つのパラメータtd及びfDがTFS構造を持つTD及びFD積分器によって分離的かつ協働的に推定されるならば、このような積分器アレイのペアは、分離特性(SP)を満足するといわれる。
続いて、ガウシアンの場合について説明する。ガウス波形は、SPを満たす式(1-21)のアンビグイティ関数を持つ。ここで、st=1/(2πsf)であり、g(t)及びG(f)は、ガウス基本信号及びそのフーリエ変換である。よって、式(1-22)及び(1-23)を得る。式(1-22)及び(1-23)は、パラメータμ及びσがm'=n'及びm=nが成り立つように調整されることを示す。
続いて、位相更新ループ(PUL)について説明する。遅延時間及びドップラーシフトは、繰り返しかつ交代して推定される。^td,s及び^fd,sを、s番目のステージの時間遅延及びドップラーシフトの推定値とする。初期値^td,0及び^fD,0は、任意に選ばれる。式(1-24)及び(1-25)を定義する。
μ*及びσ*を、それぞれ、^fD,s+1及び^td,s+1の候補として選ぶ。この推定手続きは、|^td,s+1−^td,s|<Tc/2及び|^fD,s+1−^fD,s|<Fc/2を満たすならば、終了する。
受信器がチップレベルでほとんど同期されているとし、→q=→p、m=n及びm'=n'とする。このとき、式(1-22)及び(1-23)は、単純化され、TD及びFD積分器の実部は、式(1-26)及び(1-27)で与えられる。式(1-26)及び(1-27)のコサイン関数をサイン関数で置き換えることによりTD及びFD積分器の虚部が与えられる。これらの式は、チップレベルの疑似同期が仮定されるならば、位相項、すなわち、φ0+π(δ(^td,μ)+2n'Tcν0 GD(μ))及びφ0+π(Δ(σ,^fD)−2nTcν0 GD(^fD))が存在することを示す。TD及びFD積分器出力の実部の最大化は、位相項をゼロにする。この状況は、スーパーヘテロダイン受信器におけるキャリア同期と同じである。
図9、10及び11に、N=N'=16に関する受動的PULに対するシミュレーション結果を示す。
図9は、FD符号化FD相関器及びTD符号化TD相関器を使って、ターゲットスペースでの時間遅延及びドップラー周波数を推定する軌跡を示す。ここで、tdがおよそ8.55であり、fDがおよそ8.45であり、SNRが-10dBである。(^td,0,^fD,0)=(0,0)から開始して、提案法は、SNRが−10dBの条件下で、5回の繰り返しの後に正確な同期を与えた。
図10は、N=N'=16に関する(a)FD及び(b)TD相関器出力の実部を示す。L11、L12及びL13は、それぞれ、s=1、3及び5の場合である。L14及びL15は、それぞれ、s=2及び4である。図10は、図9と同じ例のN'個のTD及びN個のFDの相関器出力の実部が、s=1,2,…,5に対して示されている。これらの図は、相関器出力の実部が徐々に増加されることを示す。これらの値は、s=1,2で相対的に小さいが、徐々に増加する。s=5で、FD相関器出力の実部は、大きな値をとり、正確な時間−周波数同期が確立される。
図11は、N=N'=16に関する(a)FD及び(b)TD相関器出力の虚部を示す。L21、L22及びL23は、それぞれ、s=1、3及び5の場合である。L24及びL25は、それぞれ、s=2及び4である。s=5で同期が成り立つとき、n=2及びn=6に対するFD相関器出力の実部が大きな値となるが、その虚部はゼロに近い。図11は、n=2,6に対するN'個のTD及びN個のFDの相関器出力の虚部が示されている。n=2,6に対するFD相関器出力の虚部は、これらの実部がs=5で最大化するとき、とても小さい絶対値を取ることを示す。
続いて、符号分割マルチプルターゲット(CDMT)について説明する。複数の遅延−ドップラーのターゲットを決定するために、符号分割多元接続(CDMA)哲学からアイデアを借りる。
全体の許容される遅延及びドップラースペース[0,T)×[0,F)が4つのサブスペース、すなわち、R1=[0,T/2)×[0,F/2)、R2=[0,T/2)×[F/2,F)、R3=[T/2,T)×[0,F/2)、及び、R4=[T/2,T)×[F/2,F)に分割される。2D SS符号Xo={X,X'}、Yo={Y,Y'}、Zo={Z,Z'}、及び、Wo={W,W'}を、それぞれ、R1、R2、R3及びR4に割り当てる。図12は、CDMTに対するSS符号の割り当てを示す。(a)は、SS符号の割り当てを示す。(b)は、サブスペースを示す。このとき、Xo、Yo、Zo及びWoに対するチップアドレスは、式(1-28)、(1-29)、(1-30)及び(1-31)で定義される。
このとき、2D SS符号に対するGDシグネチャ波形は、式(1-32)で定義される。ここで、X(1)、X(2)、X(3)及びX(4)は、Xo、Yo、Zo、及び、Woに対応する。式(1-33)のように、4つの符号を持つ送信信号を定義する。式(1-33)は、符号分割多元接続(CDMA)システムにおける信号と同様に考えることができる。同期モードでは、P=P'=1及びdGD →q=1と仮定する。
送信信号とこれに付随する受信信号を、それぞれ、sGDM(t)及びrGDM(t)と記す。rGDM(t)のフーリエ変換を、RGDM(f)と記す。TD及びFD積分器アレイの4つのペアを定義する。各相関器は、TD符号X(i)及びFD符号X'(i)を採用する。TD積分器は、式(1-11)の右辺(rhs)におけるrGD(t;Xo)及びYをrGDM(t)及びX(i)で置き換えることによって定義される。FD積分器は、式(1-12)の右辺におけるRGD(f;Xo)及びY'をRGDM(f)及びX'(i)で置き換えることで定義される。
Xoに対して、テンプレート波形uTD(t;X)及びUFD(f;X')に関するパターンマッチングは、μ∈[0,F/2)及びσ∈[0,T/2)に対してのみ達成される。Yoに対して、テンプレート波形uTD(t;Y)及びUFD(f;Y')に関するパターンマッチングは、μ∈[F/2,F)及びσ∈[0,T/2)に対してのみ達成される。他も同様である。
続いて、マルチプルターゲットに対する波形設計について説明する。許容されるターゲットスペースは、4つのサブスペースに分割される。そのため、複数のターゲット(td,i,fD,i)を決定してもよい。式(1-1)のチャネルモデルを式(1-34)によって置き換える。ここで、Npathは、パスの数である。
等しいパス減衰を持つ、すなわち、i=1,…,4に対してαi=1である、2パスモデルに対して、数値シミュレーションを実行した。td,i及びfD,iは、ランダムに生成され、これらは、[0,T)及び[0,F)に均一に分散する。図13は、td,i及びfD,iについての所定の知識が利用できないという仮定の下でのシミュレーション結果を示す。ここで、N=N'=16及びSNRは10dBである。それぞれの符号に対して、異なる初期値を持つ4つの軌跡が描写されている。
図13(a)では、R1及びR4には1つのターゲットがあり、R3には2つのターゲットがあり、R2にはターゲットがない。符号Zに対する軌跡は1つのターゲットに向かっているが、符号Zに対する3つの軌跡は、他のターゲットに向かっている。
図13(b)では、R1、R2、R3及びR4に、1つのターゲットがある。各スペースで、ターゲットに向かっている。
図13(c)では、R4に3つのターゲットがあり、符号Wは、ツリーのうちの1つのターゲットのみを探すことができる。符号Xの軌跡は、長い過渡状態であるが、符号Zの軌跡は、R3に近いターゲットに接近しているように見える。
図14は、−15dBから20dBのSNRで、PULによる4つのターゲットのうち、いくつのターゲットが発見されたかを示す。SNRがー15dBのとき、提案アルゴリズムが4つのターゲットを決定する確率は、たった0.01である。しかしながら、4つのターゲットを決定する確率は、高いSNRに対して増加する。SNRが0よりも大きいならば、遅延及びドップラーの4つのペアを25%以上で決定することができる。提案法は、SNRが5dBよりも大きいならば、3つ又は4つのターゲットを、確率80%で決定することができる。
図15は、4つの相関器の間の関係を示す。図15(c)及び(d)は、(td,fD)の推定されたペア(^td,^fD)を更新する周波数同期のためのFD符号化TD相関器及び時間同期のためのTD符号化FD相関器を示す。この相関器ペアは、高いSNR環境でよく動作する。一方、図15(a)及び(b)で示される補償ペア、すなわち、周波数同期のためのTD符号化TD相関器及び時間同期のためのFD符号化FD相関器は、低いSNRでよく動作する。図15は、2つのペアの間の関係を示す。本実施例では、後者のペアに注目したが、前者のペアでも実現することが可能である。
続いて、実パスバンド信号から複素ベースバンド信号を回復する方法について説明する。以下では、多くの場合に、複素数値のベースバンド信号を使って説明する。TD及びFD相関器は、複素ベースバンド信号が必要である。実パスバンド信号から複素ベースバンド信号の2つの回復法について説明する。一つは、ヒルベルト変換に基づく方法である。もう一つは、ヘテロダイン受信器を使う方法である。
以下のようにすれば、実数値パスバンドシグナルr(t)から受信信号~rGD(t)=rGD I(t)+jrGD Q(t)の複素数値ベースバンド等価を得ることができる。
同相(In-phase)及び直交(Quadrature-phase)信号は、式(1-35)及び(1-36)で得られる。ここで、^rGD(t)は、rGD(t)のヒルベルト変換である。これは、F-1[^RGD(f)]で定義される。ここで、式(1-37)である。ここで、RGD(f)は、rGD(t)のフーリエ変換である。
ヘテロダイン受信器では、パスバンド信号は、式(1-38)及び(1-39)のように、2つの中間周波数(IF)に変換される。ここで、f'c及びφ'0Lは、周波数及び受信器のローカルの振動子の初期位相である。[x(t)]LPは、x(t)のローパスフィルタ信号である。
td及びfDの推定は、複素信号~rGD(t)を得た後でなされるものである。
続いて、式(1-20)及びΔ(σ,^fD)の導出について、具体的に説明する。TFSを持つ時間−周波数のシフトオペレータを導入することは、式(1-20)及びΔ(σ,^fD)の位相項を導入する助けになる。領域Tf μ,-σ=FTσ,μF-1に関して、対称時間−周波数シフトオペレータを、式(1-40)及び(1-41)のように定義する。なお、ウェーブレット分析では、時間シフトオペレータTσ,0及び周波数シフトオペレータT0,μは、個別に定義される。これらの結合は、非可換性によって引き起こされる位相項ej2πμσを掛けることとなる。
式(1-40)及び(1-41)において加えられた余分な位相項e-jπμσ及びejπμσは、余分なもののように見える。しかしながら、これらの項は、td及びfDの役割を完全に対称にするために必要である。2つのオペレータの構成によって、式(1-42)及び(1-43)が得られる。
これらの等式は、どのようにして、式(1-3)及び(1-4)における位相項ejπ(qTfD-q'Ftd)が生成されたかを示す。送信器が~td及び~fDで記されるtd及びfDに対する予測値を手にいれたならば、この位相ゆがみは、dGD →qにe-jπ(qT~fD-q'F~td)を掛けることによって構成することができる。アクティブPULにおいて、推定値^td,s及び^fD,sは、~td及び~fDを更新するために送信器にフィードバックされる。
式(1-42)及び(1-43)は、式(1-44)及び(1-45)にあるように、式(1-11)及び(1-12)の位相項を与える。
対称時間−周波数シフトオペレータの構成によって生じる位相項に加えて、式(1-11)及び(1-12)の積分、すなわち、2つの関数の内積は、同様に位相項を与える。式(1-46)及び(1-47)が、r(t)及びu(t)の間並びにR(f)=F[r(t)]及びU(f)=F[u(t)]の間の内積を示すとする。このとき、(t1,f1)シフト及び(t2,f2)シフトシグナルの内積は、式(1-48)及び(1-49)である。このとき、式(1-44)及び(1-45)と同様に内積によって生じる位相項を修正することによって、式(1-20)及びΔ(σ,^fD)を導くことができる。
なお、本実施例では、主として、ターゲットスペースを細分化することにより、複数のターゲットを検出可能であることを説明した。個々の符号ペアのターゲットスペースを維持することにより、個々の符号ペアにおけるドップラー周波数及び遅延時間の許容範囲を超えて、全体として広い許容範囲におけるドップラー周波数及び遅延時間の同時推定が可能になる。受信信号と各符号ペアとの相関値のピーク値を検出して、広い許容範囲での同時推定が可能になる。
続いて、位相調整レイヤを備えた受信器にCDMTを適用した場合について、多値位相シフトキーイングを例に具体的に説明する。図1にあるように、位相調整レイヤを備えた受信器にCDMT法を適用すると、16PSKの実現は勿論、32PSKの実現も容易となる。
重いドップラーシフトのある悪化した環境を考える。ビットエラーレート(BER)の悪化は、同期エラーによって引き起こされる。同期エラーは、高次の変調になるほど、より深刻になる。高いレートのデータ通信に対する一般的な変調形式の一つは、直角位相振幅変調(QAM)である。より高次のQAM信号は、出力の振幅の強い変動を示し、大きなPAPR(Peak-to-average power ratio)を持つことは、よく知られている。このとき、通信器の増幅器に対して、線形性が必要とされる。これは、高い電力消費を導く。代案として、より高い次元の位相シフトキーイング(PSK)を使うことがある。
遅延及びドップラーのあるシングルパスのチャネルを通じた受信信号は、式(2-1)で与えられる。ここで、α、td、fD、φ0、s(t)、η(t)及びξ(t)は、減衰要素、遅延時間、ドップラー周波数、初期位相、送信信号の複素ベースバンド等価信号、ノイズ及び干渉である。
発明者らは、PULとして参照される遅延−ドップラーの決定法を提案した。PULでは、遅延及びドップラーの推定値は、反復して交互に更新される。GD/S3の送信信号は、注意深く設計され、厳密に表現される。TD及びFD相関器の出力の位相項は、できるだけ最小化される。TD及びFD積分器出力は、式(2-2)の位相ゆがみを持つ。ここで、(p,p')は、データアドレスであり、T及びFは、時間及び周波数の間隔であり、td及びfDは、遅延及びドップラーである。これは、位相追跡が大きなp及びp'に対して必要であることを示唆する。
位相ゆがみ項を最小化することにより、MアレイPSK信号を復調するための時間領域(TD)及び周波数領域(FD)相関器アレイの位相調整レイヤを提案することができる。位相調整アレイは、8PSKを容易に実現する。しかしながら、位相調整レイヤがより高次のPSK信号を復調するためには、時間及び周波数オフセットは、それぞれ、10-4Tc及び10-4Fcと同じく小さくなければならない。ここで、Tc及びFcは、チップの持続時間及びバンド幅である。16PSKのために、位相調整レイヤの出力におけるサイドローブを観察する。
PULは、シングルパスチャネルのtd及びfDを決定することができる。符号分割多元接続(CDMA)の哲学に触発されて、複数の遅延及びドップラーを決定するための符号分割多元ターゲット(CDMT)法を提案した。CDMT法では、ターゲットスペースと呼ばれる(td,fD)の領域は、例えば、4つのサブスペースに分割される。各サブスペースには、一つの符号が割り当てられ、それゆえ、トータルで4つの符号が採用される。
より高次のPSKを実現するために、2つの技術、すなわち、CDMTと位相調整レイヤを組み合わせる。
続いて、GD/S3に対するシグネチャ波形及びテンプレートについて説明する。時間−周波数同期法は、遅延とドップラーが分離的かつ協働的に推定されるならば、分離特性(SP)を満足するといわれる。式(2-10)のTD信号におけるtdの役割は、式(2-11)のFDシグナルにおけるfDの役割と正確に等価である。このような信号とそのフーリエ変換のペアは、時間周波数対称(TFS)を満足するといわれる。
まず、送信信号s(t)を設計する。これは、ガボール展開を使って、アドレス→qのデータシンボルd→qを受信器に伝える。これは、式(2-3)のように定義される。ここで、v(t)、T及びFは、シグネチャ波形、及び、時間及び周波数間隔である。
なお、s(t)が、ディジタル信号処理レベルで実現されているとする。キャリア周波数fc及び初期位相φ0に関して、その付随するパスバンド信号は、Re[s(t)]cos(2πfct+φ0)−Im[s(t)]sin(2πfct+φ0)で与えられる。但し、Re[・]、Im[・]は、実部、虚部を表す。パスバンド受信信号は、スーパーヘテロダイン又はヒルベルト変換によって複素ベースバンド信号に変換される。
次に、TFSを満たすv(t)を設計しなければならない。
Xo={X,X'}を、TD符号X=(X0,X1,…,XN-1)t及びFD符号X'=(X'0,X'1,…,X'N'-1)tに関する2D SS符号とし、z(t)及びZ(f)をチップ波形とそのフーリエ変換とする。プライムシンボル(')は、以下では、FDに対して使用される。TFS条件は、式(2-3)の指数関数におけるtをt−qT/2によって置き換えることにより、s(t)に課され、td及びfDの推定は、分離的かつ協働的に推定される。このとき、この条件は、v(t)にも課され、式(2-4)及び(2-5)のように定義される。TD及びFD信号の両方の使用は、冗長で通常でないようにもみえる。しかし、これは、td及びfDを個々に決定するための問題への答えを与える。式(2-4)及び(2-5)は、式(2-6)及び(2-7)で書き換える。ここで、uTD m'(t;X)及びUFD m(f;X')は、TD符号化TDテンプレート及びFD符号化FDテンプレートであり、式(2-8)及び(2-9)のように定義される。
受信信号及びそのフーリエ変換は、式(2-10)及び(2-11)によって与えられる。ここで、α'=αejφ0及びφ0=π(qTfD−tdq'F)である。位相ゆがみejφ0は、受信器又は送信機で補償されるべきである。なぜなら、それは、q及びq'が増加するにつれて増加するためである。発明者らは、受動的及び積極的位相更新ループ(PULs)と呼ばれる受信機及び送信機に対する位相補償法を提案した。受動的PULに対するTD及びFD相関器は、次のように設計される。
SS符号化アンビグイティ関数を使うことによって、M・(N+N')相関器出力に対する表現を与える。シグネチャ波形に埋め込まれるN'個のTD及びN個のFDテンプレートに対して、その付随するTD及びFD相関器を、式(2-12)及び(2-13)によって定義する。ここで、μ及びσは、それぞれ、fD及びtdを推定するための制御パラメータである。上付きのバーは、複素共役を示す。そして、uTD n'(t;Y)及びUFD n(f;Y')は、Xを推定するためのTD符号Y及びX'を推定するためのFD符号Y'に関するテンプレート波形である。φ0 GD(TD)及びφ0 GD(FD)は、位相項である。データアドレス→p=(p,p')及びテンプレートのチップアドレスn,n'は、それぞれ、→q=(q,q')及び受信信号のm,m'に対応する。
x(t)及びy(t)並びにそのフーリエ変換X(f)及びY(f)の間のヴィル−ウッドワードのアンビグイティ関数は、式(2-14)及び(2-15)のように定義され、式(2-16)及び(2-17)のように、式(2-12)及び(2-13)の書き換えられた形式を与える。ここで、τ0 GD(σ)=(p−q)T+σ−td、ν0 GD(μ)=(p'−q')F+μ−fD、及び、式(2-18)、(2-19)である。これらは、SS符号化アンビグイティ関数である。これらの関数は、制御キャリア相関器の形式で実現される。他方、通常のマッチドフィルタは、キャリア同期が既に達成された受信器に採用される。
続いて、位相更新ループ(PUL)について説明する。時間遅延及びドップラーシフトは、反復してかつ交互に推定される。d→qGD=1と仮定する。^td,s及び^fD,sを、s番目のステージの時間遅延及びドップラーシフトの推定値とする。初期値^td,s及び^fD,0は、任意に選ばれる。式(2-20)及び(2-21)を定義する。ここで、R[・]は、実部を示す。c→p,n' GD(TD)(μ;^td,s)及びC→p,n GD(FD)(σ;^fD,s)の虚部は、その実部が最大化するとき、ゼロの近くで観察される。この状況ならば、受信器は、うまくQPSKデータを復調するかもしれない。μ*及びσ*を、それぞれ、^fD,s+1及び^td,s+1の候補として選択する。これらの推定値は、~fD及び~tdを更新するために送信器にフィードバックされる。この推定手続きは、|^td,s+1−^td,s|<Tc/2、かつ、|^fD,s+1−^fD,s|<Fc/2を満たすとき終了する。
続いて、ガボール分割Mアレイ位相シフトキーイングについて説明する。k→q=1,2,…,Mに対して、d→q GD=exp(j2π/M(k→q−1)とする。送信信号は、式(2-22)で与えられる。ここで、i=k→q mod 4である。
j番目の符号(j=1,2,3,4)に関するTD及びFD積分器の出力は、式(2-23)及び(2-24)で定義される。ここで、j=(l→q−1) mod 4である。
提案法は、正確な位相修正とともに、バイナリデータに対して時間−周波数同期を確立する。このことは、受信器が、容易にQPSKデータシンボルを決定することができることを含む。さらに、TD及びFD相関器アレイの位相調整レイヤを導入するならば、ガボール分割Mアレイ位相シフトキーイング(GDMP)として参照されるMアレイPSKが可能となる。時間−周波数同期が確立した後は、システムは、獲得モードからデータ伝送モードにスイッチする。このとき、MアレイPSKデータシンボルd→q GD=ej2π(k→q−1)/M=ej2π(k'→q−1)/Mが送信される。ここで、k→q及びk'→qは、それぞれ、形式的には、rGD(t;Xo)及びRGD(f;Xo)に割り当てられるが、k→q=k'→qである。Tc及びFcよりも小さな不可避的な同期誤差が残っていることに注意する。このような誤差は、位相ゆがみを引き起こす。受信器の出力が減少する、すなわち、同期がもはや維持されないとする。このとき、システムは、同期モードに戻らなければならない。よって、提案する受信器は3つの機能を持つ。すなわち、1)符号取得、2)td及びfDの追跡、及び、3)MアレイPSKデータ決定である。
受動的PULに対するl番目のレイヤのTD相関器及びl'番目のレイヤのFD相関器の出力は、式(2-25)及び(2-26)で定義される。ここで、l→p,l'→p∈{1,2,…,M/4}である。全部でM・(N+N')個の相関器が使用されており、レイヤの受信信号の雑音及び干渉の項が互いに異っていることに注意し、提案された受信器は、雑音、干渉及び同期誤差に対してロバストであることが期待される。このとき、相関器出力の実部は、送信されたデータ復調するために使用される。^td,*及び^fD,*を、PULで得られる、td及びfDの推定値とする。→p=→qと仮定する。各データアドレス→pに対して、TD及びFD相関器の(n'*,l→p *)及び(n*,l'→p *)は、式(2-25)及び(2-26)として決定される。このとき、データシンボルは、式(2-29)として復調される。
st=1/(2πsf)に関して、ガウスチップ波形z(t)=g(t)=K・exp(−t2/(2st 2))及びZ(f)=G(f)=K'・exp(−f2/(2sf 2))に制限する。ここで、K及びK'は、正規化要素である。SPを満たすこれらのアンビグイティ関数θzz(τ,ν)=θZZ(ν,−τ)=exp(−τ2/(2st 2))・exp(−ν2/(2sf 2))及びWc=e-j2πTcFcは、exp(−t2/(2st 2))・exp(−f2/(2sf 2))を与える。上記のθgg(・,・)=θGG(・,・)が指数減衰するならば、位相更新ループの数回の繰り返しで、|τ0 GD(^td)|<Tc及び|ν0 GD(^fD)|<Fcがすぐに満たされる。すなわち、式(2-18)及び(2-19)は、制御パラメータμ及びσが、m'=n'及びm=nが成り立つように調整されることを示す。
MアレイPSKの利点は、高次のQAMによって強い変化のある振幅を持つ受信信号を復調するために線形の増幅器を使用する必要性を回避することである。
なお、位相項φ0 GD(TD)、φ0 GD(FD)、δ(μ,^td)及びΔ(σ,^fD)は、式(2-30)、(2-31)、(2-32)及び(2-33)によって与えられる。
図16は、符号分割によって実現されるMPSKの一例を示す。各符号ペアに応じて、アレイを設ける。各アレイには、受信信号が、位相を調整して入力される。
図17は、30dBで、オフセットのない場合のTD相関器の出力を示す。位相調整レイヤを用いないときの4組の8PSK用のTD相関器の複素出力値を示す。(a)〜(d)は、4つのTD相関器アレイの出力を示す図であり、(e)は、これらを重ねた図である。中心部に小さな振幅の値が出現していることが判る。
図18は、30dBで、オフセットのない場合のTD相関器の出力を示す。位相調整レイヤを用いたときの4組の8PSK用のTD相関器の複素出力値を示す。(a)〜(d)は、4つのTD相関器アレイの出力を示す図であり、(e)は、これらを重ねた図である。位相調整レイヤにより、位相角の分離が著しく改善されて、振幅値も増大されていることが判る。
図19は、30dBで、オフセットのない場合のFD相関器の出力を示す。位相調整レイヤを用いない時の4組の8PSK用のFD相関器の複素出力値を示す。中心部に小さな振幅の値が出現していることが判る。FDに関しても、位相調整レイヤを用いないときには、中心部に小さな振幅の値が出現している。図示を省略するが、位相調整レイヤにより、位相角の分離が改善され、振幅値も増大する。
図20は、0dBで、オフセットのない場合のTD相関器の出力を示す。(a)は、位相調整レイヤを用いない場合であり、(b)は、位相調整レイヤを用いる場合である。位相調整レイヤにより、位相角の分離が著しく改善されて、振幅値も増大されていることが判る。
図21は、30dBで、オフセット−1の場合のTD相関器の出力を示す。図20は、オフセットが存在する場合について、図17に対応した図である。位相調整レイヤを用いないときの4組の8PSK用のTD相関器の複素出力値を示す。(a)〜(d)は、4つのTD相関器アレイの出力を示す図であり、(e)は、これらを重ねた図である。オフセットが存在していると、MPSKは実現されていない。
図22は、30dBで、オフセット−1の場合のTD相関器の出力を示す。図21は、オフセットが存在する場合について、図18に対応した図である。位相調整レイヤを用いるときの4組の8PSK用のTD相関器の複素出力値を示す。(a)〜(d)は、4つのTD相関器アレイの出力を示す図であり、(e)は、これらを重ねた図である。位相調整レイヤを用いることにより、著しく改善されることを示している。
図23は、図17、18、19、21及び22で、(a)〜(e)の関係を示す図である。(a)〜(d)の個々の相関器出力を重ね合わせたものが、(e)である。
なお、CDMTにおいても、受動的及び能動的PULにより位相を補償してもよい。すなわち、受信器において推定された遅延時間及びドップラー周波数を用いて位相を調整し、新たな推定値を求めてもよい。また、受信器における遅延時間及びドップラー周波数を送信器にフィードバックして、送信器において、位相を調整して、新たな推定値をもとめてもよい。これにより、遅延時間及びドップラー周波数の推定の精度を向上させることが可能になる。
1 通信システム、3 送信器、5 受信器、7 送信部、11 データ記憶部、13 テンプレート処理部、15 加算部、21 受信部、23 位相調整部、25 受信処理部、27 相関部、29 処理部、31 TDSS符号相関部、33 FDSS符号相関部
Claims (7)
- 送信器との間で、時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号の符号ペアを利用して通信を行う受信器であって、
前記符号ペアは、複数存在し、
前記各符号ペアに対応して時分割テンプレート及び周波数分割テンプレートのテンプレートペアが存在し、
前記送信器が備える送信部は、一つ又は複数の前記テンプレートペアを埋め込んで送信信号を生成し、前記受信器に対して前記送信信号を送信するものであり、
前記送信信号を受信して受信信号を得る受信部と、
前記受信信号と前記複数の符号ペアのそれぞれとの間の相関値を計算する相関部と、
前記相関値を用いて処理を行う処理部を備える受信器。 - 前記送信部は、前記送信信号を、前記テンプレートペアとともに、前記送信器における遅延時間及びドップラー周波数の推定値を埋め込んで生成する、請求項1記載の受信器。
- 前記各符号ペアに対応してターゲットスペースが存在し、
前記送信部は、同期用データを、一つ又は複数の前記テンプレートペアを使って埋め込んで同期送信信号を生成し、前記受信器に対して前記同期送信信号を送信し、
前記受信部は、通信路を経由して前記同期送信信号を受信して同期受信信号を得、
前記相関部は、前記同期受信信号と前記複数の符号ペアのそれぞれとの間の相関値を計算し、
前記処理部は、前記相関値を用いて、前記各ターゲットスペースにおける前記通信路のドップラー周波数の候補値及び遅延時間の候補値を推定する、請求項1又は2に記載の受信装置。 - 前記送信部は、送信用データを使って通信用送信信号を生成し、前記受信器に対して前記通信用送信信号を送信するものであり、
前記送信用データには、少なくとも2種のものがあり、
前記送信部は、
第1種送信用データを、第1符号ペアに対応する第1テンプレートペアを使って埋め込み、
第2種送信用データを、前記第1符号ペアとは異なる第2符号ペアに対応する第2テンプレートペアを使って埋め込んで、通信用送信信号を生成し、前記受信器に対して前記通信用送信信号を送信し、
前記受信部は、前記通信用送信信号を受信して通信用受信信号を得、
前記相関部は、前記通信用受信信号と、前記第1符号ペア及び前記第2符号ペアを含む複数の符号ペアのそれぞれとの間の相関値を計算し、
前記処理部は、前記相関値を用いて前記送信用データを特定する、請求項1から3のいずれかに記載の受信器。 - 前記符号ペアの個数は、Kであり、
各符号ペアによりM値の位相シフトキーイングを用いて複素数値データの送受信を行うことにより、M×K値の位相シフトキーイングを実現する、請求項1から4のいずれかに記載の受信器。 - 送信器と受信器との間で、時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号の符号ペアを利用して通信を行う通信方法であって、
前記符号ペアは、複数存在し、
前記各符号ペアに対応して時分割テンプレート及び周波数分割テンプレートのテンプレートペアが存在し、
前記送信器が備える送信部が、一つ又は複数の前記テンプレートペアを埋め込んで送信信号を生成し、前記受信器に対して前記送信信号を送信する送信ステップと、
前記受信器が備える受信部が、前記送信信号を受信して受信信号を得る受信ステップと、
前記受信器が備える相関部が、前記受信信号と前記複数の符号ペアのそれぞれとの間の相関値を計算する相関値演算ステップと、
前記受信器が備える処理部が、前記相関値を用いて処理を行う処理ステップを備える通信方法。 - コンピュータを、
受信器が受信した受信信号と、時分割拡散スペクトル符号及び周波数分割拡散スペクトル符号の複数の符号ペアのそれぞれとの間の相関値を用いて、
送信器と前記受信器の間の通信路のドップラー周波数及び遅延時間の候補値を推定し、及び/又は、
前記送信器が送信したデータを特定する処理部として機能させるためのプログラム。
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