JP2016187431A - 注射針組立体および薬剤注射装置 - Google Patents

注射針組立体および薬剤注射装置 Download PDF

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丈夫 生井
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Abstract

【課題】薬剤の投与後や廃棄時に針管の針先が誤って使用者に穿刺されることを防止できる注射針組立体及び薬剤注射装置を提供する。
【解決手段】注射針組立体2は、針管5と、第1部材11と、第2部材12と、係合部17と、仮係合部33と、付勢部材7と、を備えている。第2部材12は、第1部材11に針管5の穿刺を行う前の準備位置、針管5の針先5Aを露出させる穿刺位置、及び針管5の針先Aの周囲を囲い収容する収容位置に移動可能に支持される。係合部17は、第2部材12が準備位置から穿刺位置に移動する際に、仮係合部33との係合が解除される。
【選択図】図2

Description

本発明は、針先を皮膚の表面より穿刺し、皮膚上層部に薬剤を注入するために用いる注射針組立体および薬剤注射装置に関する。
近年、鳥インフルエンザのヒトへの感染が報告されており、ヒトからヒトへの感染の大流行(パンデミック)による多くの被害が懸念されている。そこで、鳥インフルエンザに有効である可能性が高いプレパンデミックワクチンの備蓄が世界中で行われている。また、プレパンデミックワクチンを多くのヒトに投与するために、ワクチンの製造量を拡大させる検討がなされている。
皮膚は、表皮と、真皮と、皮下組織の3部分から構成される。表皮は、皮膚表面から50〜200μm程度の層であり、真皮は、表皮から続く1.5〜3.5mm程度の層である。インフルエンザワクチンは、一般的に皮下投与もしくは筋肉内投与であるため、皮膚の下層部もしくはそれよりも深部に投与されている。
一方、免疫担当細胞が多く存在する皮膚上層部を標的部位として、インフルエンザワクチンを投与することにより、投与量を少なくしても、皮下投与や筋肉投与と同等の免疫獲得能が得られることが報告されている。したがって、プレパンデミックワクチンを皮膚上層部に投与することによって、投与量を減らすことができるので、プレパンデミックワクチンをより多くのヒトに投与できることになる。なお、皮膚上層部とは、皮膚のうちの表皮と真皮を指す。
皮膚上層部への薬剤の投与方法としては、単針、多針、パッチ、ガス等を用いた種々の方法が報告されているが、投与の安定性、信頼性、製造コストを考慮すると、皮膚上層部への投与方法としては、単針を用いた方法が最も適しているとされている。この単針を用いて皮膚上層部にワクチンを投与する方法として、古くからマントー法が知られている。マントー法は、一般的に26〜27ゲージのサイズで短ベベルの針先を有する針を皮膚に対して10〜15°程度の斜め方向から2〜5mm程度挿入して、100μl程度の薬剤を投与する方法である。
ところが、マントー法による薬剤の投与は、手技が難しいため、その成功率は注射を行う医者の技量に委ねられる。特に小児は投与時に動く可能性があるため、マントー法によってインフルエンザワクチンを投与することは難しい。したがって、簡便に皮膚上層部にワクチンを投与することのできるデバイスの開発が求められている。
特許文献1には、針ハブに皮膚接触面を有するリミッタを接続した皮膚上層部への注射装置が記載されている。この特許文献1に記載されたリミッタは、針管の周囲に設けられており、針管との間に間隙を有するものである。このリミッタの皮膚に接触する面から突出する針管の長さ(突出長)を0.5〜3.0mmに規定することにより、薬剤を皮膚内に投与するようになっている。
特開2001−137343号公報
しかしながら、特許文献1に記載された注射装置では、常に針管の針先端部がリミッタの皮膚に接触する面から突出しているため、薬剤の投与後や薬剤注射装置の廃棄時に針管の針先が使用者に誤って穿刺される可能性がある、という問題があった。
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、薬剤の投与後や廃棄時に針管の針先が誤って使用者に穿刺されることを防止できる注射針組立体及び薬剤注射装置を提供することにある。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の注射針組立体は、生体に穿刺可能な針先を有する針管と、第1部材と、第2部材と、係合部と、仮係合部と、付勢部材と、を備えている。第1部材は、針管を保持すると共にシリンジが取り付けられる。第2部材は、第1部材に針管の軸方向に沿って、針管の穿刺を行う前の準備位置、針管の針先を露出させる穿刺位置、及び針管の針先の周囲を囲い収容する収容位置に移動可能に支持される。係合部は、第1部材に設けられている。仮係合部は、第2部材に設けられ、準備位置において係合部と着脱可能に係合する。付勢部材は、第2部材を穿刺位置から収容位置に向けて付勢する。また、係合部は、第2部材が準備位置から穿刺位置に移動する際に、仮係合部との係合が解除される。
また、本発明の薬剤注射装置は、注射針組立体と、注射針組立体に着脱可能に装着されるシリンジと、を備えている。注射針組立体は、上述した注射針組立体が用いられる
本発明の注射針組立体及び薬剤注射装置によれば、使用後の針管の針先が使用者の意図に反して穿刺されることを防止することができる。
本発明の実施の形態例にかかる薬剤注射装置を示す斜視図である。 本発明の実施の形態例にかかる薬剤注射装置を示す断面図である。 本発明の実施の形態例にかかる薬剤注射装置における摺動突起及び摺動溝を示す平面図である。 本発明の実施の形態例にかかる薬剤注射装置における穿刺中の状態を示す断面図である。 本発明の実施の形態例にかかる薬剤注射装置における穿刺後の状態を示す断面図である。
以下、本発明の注射針組立体及び薬剤注射装置の実施形態例について、図1〜図5を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.注射針組立体及び薬剤注射装置の構成例
2.薬剤注射装置の使用方法
1.注射針組立体及び薬剤注射装置の構成例
まず、図1〜図2を参照して本発明の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる注射針組立体及び薬剤注射装置について説明する。
図1は本例の薬剤注射装置を示す斜視図、図2は本例の注射針組立体を示す断面図である。
薬剤注射装置1は、針先を皮膚の表面に穿刺し、皮膚上層部に薬剤を注入する場合に用いる。図1に示すように、薬剤注射装置1は、注射針組立体2と、この注射針組立体2に着脱可能に装着されるシリンジ103と、押し子部材104と、シリンジ103を保持するシリンジホルダ105と、を有している。
[シリンジ]
シリンジ103は、予め薬剤が充填されているプレフィルドシリンジである。このシリンジ103は、シリンジ本体111と、シリンジ本体111の軸方向の一端部に形成された排出部121と、排出部121に設けられたロック機構112と、ガスケット113とを有している。
シリンジ本体111は、中空の略円筒状に形成されている。また、シリンジ本体111の筒孔内には、ガスケット113が摺動可能に配置されている。ガスケット113は、略円柱状に形成されており、シリンジ本体111の筒孔の内周面に液密に密着している。そして、ガスケット113は、シリンジ本体111の内部空間を2つに仕切っている。シリンジ本体111内におけるガスケット113よりも排出部121側の空間は、薬剤が充填される液室114となる。一方、シリンジ本体111内におけるガスケット113よりも他端側の空間には、後述する押し子部材104のプランジャ本体116が挿入される。
ガスケット113の材質は、特に限定されないが、シリンジ本体111との液密性を良好にするために弾性材料で構成することが好ましい。この弾性材料としては、例えば、天然ゴム、イソブチレンゴム、シリコーンゴムなどの各種ゴム材料や、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等を挙げることができる。
シリンジ本体111の外径及び内径は、薬剤注射装置1を使用する用途や、液室114に収容する薬剤の容量に応じて適宜設定されるものである。例えば、汎用の高速充填機を用いて収容する薬剤の容量を0.5mLにする場合は、シリンジ本体111の内径を4.4〜5.0mmに設定し、シリンジ本体111の外径を6.5〜8.4mmに設定することが好ましい。また、容量を1mLにする場合は、シリンジ本体111の内径を6.1〜9.0mmに設定し、シリンジ本体111の外径を7.9〜12.5mmに設定することが好ましい。
薬剤としては、例えば、インフルエンザ等の各種の感染症を予防する各種のワクチンが挙げられるが、ワクチンに限定されるものではない。なお、ワクチン以外の薬剤としては、例えば、ブドウ糖等の糖質注射液、塩化ナトリウムや乳酸カリウム等の電解質補正用注射液、ビタミン剤、抗生物質注射液、造影剤、ステロイド剤、蛋白質分解酵素阻害剤、脂肪乳剤、抗癌剤、麻酔薬、ヘパリンカルシウム、抗体医薬等が挙げられる。
シリンジ本体111の軸方向の他端部には、フランジ部115が形成されている。フランジ部115は、後述するシリンジホルダ105に設けた係止部105aに係止される。また、シリンジ本体111の軸方向の一端部には、排出部121が連続して形成されている(図2参照)。
排出部121は、シリンジ本体111と同軸の略円筒状に形成されている。また、排出部121の筒孔は、シリンジ本体111の筒孔に連通している。排出部121は、軸方向の一端部に向かうにつれて径が連続的に小さくなるテーパ状に形成されている。シリンジ103に注射針組立体2を取り付けた際に、排出部121の先端部は、後述する注射針組立体2の弾性部材61の端面に液密に当接する。
排出部121には、ロック機構112が設けられている。ロック機構112は、固定機構の一例を示すルアーロック部である。ロック機構112は、排出121部を同軸で取り囲む筒状に形成されている。また、ロック機構112は、その内周が円形であり、外周は六角形状に形成されている。このロック機構112の内周面には、雌ねじ部112aが形成されている。雌ねじ部112aは、注射針組立体2に設けられた雄ねじ部19と螺合可能に形成されている。
シリンジ本体111の材質としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂が挙げられる。その中でも、成形が容易であるという点で、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)のような樹脂を用いることが好ましい。なお、シリンジ本体111の材質は、内部の視認性を確保するために、実質的に透明であることが好ましい。
なお、本例では、シリンジ103として予め薬剤が充填されたプレフィルドシリンジを適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、薬剤を予めシリンジ本体内に充填しないシリンジを適用してもよい。
[押し子部材]
押し子部材104は、プランジャ本体116と、プランジャ本体116を操作する操作部117とを有している。プランジャ本体116は、棒状に形成されている。プランジャ本体116は、シリンジ本体111の軸方向の他端部に形成された開口部からシリンジ本体111の筒孔内に挿入される。そして、プランジャ本体116の軸方向の一端部は、ガスケット113に当接する。
操作部117は、プランジャ本体116の軸方向の他端部に形成されている。操作部117は、略円盤状に形成されている。薬剤注射装置1を使用する際に、操作部117は、使用者によって押圧される。これにより、プランジャ本体116の軸方向の一端部がガスケット113に当接し、ガスケット113を排出部121に向けて摺動させる。
また、押し子部材104の材質としては、シリンジ本体111の材質として挙げた各種樹脂を適用することができる。
[シリンジホルダ]
次に、シリンジホルダ105について説明する。
シリンジホルダ105は、略円筒状に形成されている。シリンジホルダ105は、シリンジ103におけるシリンジ本体111の外周面及びロック機構112の外周面を覆う。そして、シリンジホルダ105は、シリンジ103に注射針組立体2を取り付ける際に、使用者によって把持可能に構成されている。
シリンジホルダ105における軸方向の一端部には、視認窓118が形成されている。視認窓118は、シリンジホルダ105にシリンジ103を装着した際に、シリンジ103の液室114がシリンジホルダ105の外側から視認可能な位置に設けられている。これにより、シリンジ103にシリンジホルダ105を装着しても、内部の視認性を確保することができる。
また、シリンジホルダ105の軸方向の他端には、ホルダ鍔部119が形成されている。ホルダ鍔部119は、シリンジホルダ105の外周面の一部から略垂直に突出している。ホルダ鍔部119を設けたことにより、使用者がシリンジホルダ105を把持し、薬剤を投与する際に、シリンジホルダ105を把持する指が軸方向の他端部に向けて滑ることを防止することができる。また、薬剤注射装置1を机や台等に載置した際に、薬剤注射装置1が転がることを防ぐことができる。
さらに、シリンジホルダ105における軸方向の中途部には、係止部105aが設けられている。係止部105aは、シリンジホルダ105の外壁を貫通する開口部である。この係止部105aには、シリンジ103のフランジ部115が係止される。
シリンジホルダ105をシリンジ103に装着することで、薬剤注射装置1の径を太くでき、薬剤注射装置1を把持し易くなる。これにより、押し子部材104を操作する際の操作性が向上する。
[注射針組立体]
次に、注射針組立体2について説明する。
図1及び図2に示すように、注射針組立体2は、針孔を有する中空の針管5と、この針管5が固定される針ハブ6と、付勢部材7を有している。
図2に示すように、針管5は、ISOの医療用針管の基準(ISO9626:1991/Amd.1:2001(E))で26〜33ゲージのサイズ(外径0.2〜0.45mm)のものを使用し、好ましくは30〜33ゲージのものを使用する。なお、33ゲージより細い針を使用しても良い。
針管5の一端には、刃面5aを有する針先5Aが設けられている。以下、針先5Aとは反対側を針管5の基端5Bという。刃面5aにおける針管5の軸方向の長さ(以下、「ベベル長B」という)は、後述する皮膚上層部の最薄の厚さである1.4mm(成人)以下であればよく、また、33ゲージの針管に短ベベルを形成したときのベベル長である約0.5mm以上であればよい。つまり、ベベル長Bは、0.5〜1.4mmの範囲に設定されるのが好ましい。
さらに、ベベル長Bは、皮膚上層部の最薄の厚さが0.9mm(小児)以下、すなわち、ベベル長Bが0.5〜0.9mmの範囲であればなおよい。なお、短ベベルとは、注射用針に一般的に用いられる、針の長手方向に対して18〜25°をなす刃面を指す。
針管5の材料としては、例えば、ステンレス鋼を挙げることができるが、これに限定されるものではなく、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金その他の金属を用いることができる。また、針管5は、ストレート針だけでなく、少なくとも一部がテーパ状となっているテーパ針を用いることができる。テーパ針としては、針先端部に比べて基端部が大きい径を有しており、その中間部分をテーパ構造とすればよい。また、針管5の断面形状は、円形だけでなく、三角形等の多角形であってもよい。
次に、針ハブ6について説明する。
針ハブ6は、針管5を保持し、シリンジ103の排出部121が嵌入される第1部材11と、第1部材11に移動可能に支持される第2部材12と、弾性部材61とを備えている。第1部材11と、第2部材12は、別部材として形成されているが、一体に形成することもできる。これら第1部材11及び第2部材12の材質としては、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂を挙げることができる。
第1部材11は、ベース部15と、調整部16と、嵌入部18とを備えている。ベース部15は、略円柱状に形成されており、軸方向に垂直な端面15a,15bを有している。調整部16は、ベース部15の端面15aの中央部に設けられており、ベース部15の軸方向に突出する円柱状の凸部からなっている。この調整部16の軸心は、ベース部15の軸心に一致している。
ベース部15及び調整部16の軸心には、針管5が貫通する貫通孔26が設けられている。そして、ベース部15には、貫通孔26に接着剤を注入するための注入用孔27が設けられている。この注入用孔27は、ベース部15の外周面に開口されており、貫通孔26に連通している。すなわち、注入用孔27から貫通孔26へ注入された接着剤により、針管5がベース部15に固着される。
針管5の基端5B側は、ベース部15の端面15bから突出する。ベース部15は、端面15b側から第2部材12内に挿入され、針管5の基端5B側が弾性部材61の挿通孔に挿通される。そして、ベース部15の端面15bが弾性部材61に当接される。
調整部16の端面は、針管5の針先5A側が突出する針突出面16aになっている。針突出面16aは、針管5の軸方向に直交する平面として形成されている。この針突出面16aは、針管5を皮膚上層部に穿刺するときに、皮膚の表面に接触して針管5を穿刺する深さを規定する。つまり、針管5が皮膚上層部に穿刺される深さは、針突出面16aから突出する針管5の長さ(以下、「突出長L」という。)によって決定される。
皮膚上層部の厚みは、皮膚の表面から真皮層までの深さに相当し、概ね、0.5〜3.0mmの範囲内にある。そのため、針管5の突出長Lは、0.5〜3.0mmの範囲に設定することができる。
ところで、ワクチンは一般的に上腕部に投与されるが、皮膚上層部への投与の場合には、皮膚が厚い肩周辺部、特に三角筋部が好ましい。そこで、小児19人と大人31人について、三角筋の皮膚上層部の厚みを測定した。この測定は、超音波測定装置(NP60R−UBM 小動物用高解像度用エコー、ネッパジーン(株))を用いて、超音波反射率の高い皮膚上層部を造影することで行った。なお、測定値が対数正規分布となっていたため、幾何平均によってMEAN±2SDの範囲を求めた。
その結果、小児の三角筋における皮膚上層部の厚みは、0.9〜1.6mmであった。また、成人の三角筋における皮膚上層部の厚みは、遠位部で1.4〜2.6mm、中央部で1.4〜2.5mm、近位部で1.5〜2.5mmであった。以上のことから、三角筋における皮膚上層部の厚みは、小児の場合で0.9mm以上、成人の場合で1.4mm以上であることが確認された。したがって、三角筋の皮膚上層部における注射において、針管5の突出長Lは、0.9〜1.4mmの範囲に設定することが好ましい。
突出長Lをこのように設定することで、針先5Aの刃面5aを皮膚上層部に確実に位置させることが可能となる。その結果、刃面5aに開口する針孔(薬剤排出部)は、刃面5a内のいかなる位置にあっても、皮膚上層部に位置することが可能である。なお、薬剤排出部が皮膚上層部に位置しても、針先5Aが皮膚上層部よりも深く刺されば、針先5A端部の側面と切開された皮膚との間から薬剤が皮下に流れてしまうため、刃面5aが確実に皮膚上層部にあることが重要である。
なお、26ゲージよりも太い針管では、ベベル長Bを1.0mm以下にすることは難しい。したがって、針管5の突出長Lを好ましい範囲(0.9〜1.4mm)に設定するには、26ゲージよりも細い針管を使用することが好ましい。
針突出面16aは、周縁から針管5の外周面までの距離Sが1.4mm以下となるように形成し、好ましくは0.3〜1.4mmの範囲で形成する。この針突出面16aの周縁から針管5の周面までの距離Sは、皮膚上層部へ薬剤を投与することで形成される水疱に圧力が加わることを考慮して設定している。つまり、針突出面16aは、皮膚上層部に形成される水疱よりも十分に小さく、水疱の形成を妨げない大きさに設定している。その結果、針突出面16aが針管5の周囲の皮膚を押圧しても、投与された薬剤が漏れることを防止することができる。
さらに、ベース部15の軸方向の中途部には、係合部17が設けられている。係合部17は、ベース部15の外周面から半径方向の外側に向けて突出するリング状のフランジである。係合部17における半径方向の外側の端面には、傾斜面17aが形成されている。傾斜面17aは、ベース部15の軸方向の他端側へ向かうにつれて連続的に径が小さくなっている。図2に示す穿刺前の状態において、係合部17は、後述する第2部材12に設けた仮係合部33と係合する。
また、ベース部15の軸方向の他端部には、嵌入部18が連続して形成されている。嵌入部18は、筒状に形成されている。嵌入部18の筒孔18aは、シリンジ103の排出部121に対応した大きさに設定されており、ベース部15側に向かうにつれて連続的に径が小さくなっている。また、嵌入部18の軸方向の他端側の外周面には、シリンジ103のロック機構112と螺合させるための雄ねじ部19が設けられている。
さらに、嵌入部18の軸方向の一端側の外周面には、摺動突起21が設けられている(図3参照)。摺動突起21は、嵌入部18の外周面から外側に向けて突出している。この摺動突起21は、後述する第2部材12に設けた摺動溝35に摺動可能に挿入される。
また、嵌入部18におけるベース部15側の端部には、弾性部材61が配置されている。
[弾性部材]
次に、弾性部材61について説明する、弾性部材61は、弾性変形可能な部材からなっている。この弾性部材61の材質としては、例えば、天然ゴム、シリコーンゴム、イソブチレンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、或いはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。
弾性部材61は、嵌入部18内に配置され、ベース部15とシリンジ103の間に介在される。そして、ベース部15から突出した針管5の基端5B側の外周面と嵌入部18の間に生じる間隙を埋める。そして、シリンジ103の排出部121を嵌入部18に嵌入した際に、弾性部材61は、弾性変形することで、針管5の外周面に液密に密着する。これにより、シリンジ103内に充填された薬剤が針管5と弾性部材61との間に浸透して、第1部材11から外側へ漏れ出ることを防止することができる。
次に、第2部材12について説明する。第2部材12は、略筒状に形成されている。この第2部材12の軸方向の一端部は、第1部材11のベース部15及び嵌入部18の軸方向の一端部を挿入する挿入部31になっている。
挿入部31の筒孔31aは、第1部材11のベース部15及び嵌入部18に対応した大きさに設定されている。また、挿入部31の筒孔31aにおける嵌入部18と対向する一面31bは、第1部材11の外周面に摺動可能に接触している。
挿入部31の内周面には、ばね当接部32と、仮係合部33と、抜け止め部34と、摺動溝35(図3参照)が設けられている。
ばね当接部32は、挿入部31における筒孔31aの軸方向の一端側、すなわち第1部材11の調整部16が配置される側の端部に設けられている。ばね当接部32は、筒孔31aの内周面から半径方向の内側に向けてリング状に突出する内フランジ部である。そして、ばね当接部32と第1部材11に設けた係合部17との間には、付勢部材7が配置されている。
仮係合部33は、ばね当接部32よりも軸方向の他側に配置されている。仮係合部33は、筒孔31aの内周面から半径方向の内側に向けて突出している。また、仮係合部33は、挿入部31の軸方向の他側に向かうにつれて、その径が連続的に小さくなるようなテーパ状に形成されている。そして、仮係合部33には、第1部材11に設けた係合部17が着脱可能に係合される。
仮係合部33と係合部17の係合は、所定の力で解除される。仮係合部33と係合部17の係合が解除される力は、針管5を皮膚に穿刺する際の適正な押圧力よりも小さく設定されている。なお、係合部17と仮係合部33を、接着又は溶着してもよい。この場合の接着力又は溶着力は、針管5を皮膚に穿刺する際の適正な押圧力よりも小さく設定される。
仮係合部33よりも軸方向の他側には、抜け止め部34が設けられている。抜け止め部34は、筒孔31aの内周面から半径方向の内側に向けて突出するリング状のフランジ部である。この抜け止め部34には、第1部材11に設けた係合部17が当接する(図5参照)。
摺動溝35(図3参照)は、筒孔31aにおける第1部材11の外周面が摺動する一面31bに設けられている。
図3は、摺動溝及び摺動突起を示す平面図である。
図3に示すように、摺動溝35は、第1摺動部35aと、第2摺動部35bとを有している。摺動溝35は、筒孔31aの内周面から半径方向の外側に向けて凹んだ凹部である。
第1摺動部35aは、挿入部31の軸方向と直交し、挿入部31の周方向と平行をなす方向に延在している。第1摺動部35aの一端部には、係止爪37が設けられている。係止爪37は、第1摺動部35aの側壁から溝の内部に向けて突出している。係止爪37は、第1部材11に設けた摺動突起21と着脱可能に係止される。この摺動突起21と係止爪37の係止は、所定の力が第1部材11及び第2部材12の周方向に加わった際に解除される。
なお、本例では、摺動突起21と着脱可能に係止する仮係止部として係止爪を適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、仮係止部としては、他の溝の深さよりも一段深い溝部であってもよい。
第1摺動部35aにおける係止爪37が設けられた一端部と反対側の他端部には、第2摺動部35bが連通している。第2摺動部35bは、挿入部31の軸方向、すなわち針管5の軸方向に延在している。そして、第2摺動部35bの延在する方向の中途部に、第1摺動部35aが連通する。
第2摺動部35bにおける挿入部31の軸方向の他端部、すなわち針管5の軸方向の他端部には、戻り規制爪38が設けられている。この戻り規制爪38は、第2摺動部35bの側壁から溝の内部に向けて突出している。薬剤注射装置1の穿刺が完了すると、戻り規制爪38には、摺動突起21が係止される。
なお、本例では、摺動突起21と係止する戻り規制部として爪を適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、戻り規制部としては、他の溝の深さよりも一段深い溝部であってもよい。
図2に示すように、挿入部31の外周面には、接続片44が設けられている。この接続片44は、挿入部31の半径方向に突出するリング状のフランジとして形成されており、挿入部31の軸方向に対向する平面44a,44bを有している。接続片44の平面44aには、安定部46が設けられている。また、接続片44の安定部46よりも先端側の部位は、ガイド部47になっている。
安定部46は、接続片44の平面44aから突出する筒状に形成されている。図2に示す穿刺前の状態、及び図4に示す穿刺中の状態では、安定部46の筒孔には、調整部16が配置されている。つまり、安定部46は、針管5が貫通する調整部16の周囲を覆う筒状に形成されており、針管5の針先5Aから半径方向に離間して設けられている。
図2に示すように、穿刺する前の状態では、安定部46の端面46aは、調整部16の針突出面16aよりも針管5の針先5A側に位置している。また、図4に示す穿刺中の状態では、安定部46の端面46aは、調整部16の針突出面16aよりも針管5の基端5B側に位置している。
針管5の針先5Aを生体に穿刺すると、針突出面16aが皮膚の表面に接触すると共に、安定部46の端面46aが皮膚の表面に接触する。このとき、安定部46の端面46aが皮膚に接触することで薬剤注射装置1が安定し、針管5を皮膚に対して略垂直な姿勢に保つことができる。
なお、安定部46の端面46aは、針突出面16aと同一平面上に位置させたり、また、針突出面16aよりも針管5の針先5A側に位置させたりしても、針管5を皮膚に対して略垂直な姿勢に保つことができる。なお、安定部46を皮膚に押し付けた際の皮膚の盛り上がりを考慮すると、安定部46の端面46aと針突出面16aにおける軸方向の距離は、1.3mm以下に設定することが好ましい。
また、安定部46の内径dは、皮膚に形成される水疱の直径と同等であるか、それよりも大きい値に設定されている。具体的には、安定部46の内壁面から針突出面16aの周縁までの距離Tが4mm〜15mmの範囲となるように設定されている。これにより、安定部46の内壁面から水疱に圧力が加わることが無く、水疱形成が阻害されることを防止することができる。
安定部46の内壁面から針突出面16aの周縁までの距離Tは、4mm以上であれば、特に上限はない。しかしながら、距離Tを大きくすると、安定部36の外径が大きくなるため、小児のように細い腕に針管5を穿刺する場合に、安定部46の端面46a全体を皮膚に接触させることが難しくなる。そのため、距離Tは、小児の腕の細さを考慮して15mmを最大と規定することが好ましい。
針突出面16aの周縁から針管5の外周面までの距離Sが0.3mm以上であれば、調整部16が皮膚に進入することはない。したがって、安定部46の内壁面から針突出面16aの周縁までの距離T(4mm以上)及び針突出面16aの直径(約0.3mm)を考慮すると、安定部46の内径dは9mm以上に設定することができる。
なお、安定部46の形状は、円筒状に限定されるものではなく、例えば、中心に筒孔を有する四角柱や六角柱等の角筒状に形成してもよい。
ガイド部47は、皮膚と接触する接触面47aを有している。接触面47aは、接続片44における平面44aの一部であり、安定部46の端面46aと略平行をなす平面である。このガイド部47の接触面47aが皮膚に接触するまで安定部46を押し付けることにより、安定部46及び針管5が皮膚を押圧する力を常に所定値以上に確保することができる。これにより、針管5の針突出面16aから突出している部分(突出長Lに相当)が確実に皮膚内に穿刺される。
ガイド部47の接触面47aから安定部46の端面46aまでの距離(以下、「ガイド部高さ」という。)Yは、針管5及び安定部46が適正な押圧力で皮膚を押圧し穿刺することができるようにその長さが設定されている。これにより、針管5及び安定部46による皮膚への押圧力をガイド部47が案内し、針管5の針先5A(刃面5a)を皮膚上層部に確実に位置させることができると共に、使用者に安心感を与えることができる。なお、針管5及び安定部46の適正な押圧力は、例えば、3〜20Nである。
ガイド部高さYは、安定部46の内径dと、ガイド部47の先端面から安定部46の外周面までの長さ(以下、「ガイド部長さ」という。)Xに基づいて適宜決定される。例えば、安定部46の内径dが11mmであり、ガイド部長さXが0.5mmのとき、ガイド
部高さYは、0.75〜2.6mmの範囲に設定される。
[付勢部材]
次に、付勢部材7について説明する。付勢部材7は、第1部材11の係合部17と、第2部材12のばね当接部32の間に配置されている。この付勢部材7は、圧縮コイルばねであり、第1部材11を第2部材12の挿入部31の軸方向の他側へ、又は第2部材12を第1部材11の針管5の針先5A側に向けて付勢する。
付勢部材7の付勢力は、針管5を皮膚に穿刺する際の適正な押圧力よりも小さく設定され、かつ、後述するように、係合部が仮係合部を乗り越えることができるような力に設定されている。これにより、針管5を皮膚に穿刺する際に、付勢部材7の付勢力が針管5の針先5Aを皮膚上層部に位置させることを阻害する原因とならないため、確実に、針管5の針先5Aを皮膚上層部に位置させることができると共に、後述するように係合部が仮係合部を乗り越えることができる。その結果、第2部材12内に針管5の針先5Aを収容することができる。
なお、本例では、付勢部材7として圧縮コイルばねを適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。付勢部材としては、所定の押圧力が加わると弾性変形する弾性部材であればよく、例えば、板ばね等のその他各種のばね部材や、スポンジ、ゲル、ゴム部材を適用することができる。
2.薬剤注射装置の使用方法
次に、図1〜図5を参照して上述した構成を有する薬剤注射装置1の使用方法について説明する。
図4は、穿刺中の薬剤注射装置1の要部を示す断面図、図5は、穿刺後の薬剤注射装置1の要部を示す断面図である。
まず、図1及び図2に示すように、予め注射針組立体2にシリンジ103を装着する。なお、図3に示すように、シリンジ103を装着する前において、摺動突起21は、摺動溝35の第1摺動部35aの位置P1に位置しており、係止爪37と係止されている。第1摺動部35aは、挿入部31の軸方向、すなわち針管5の軸方向と直交する方向に延在している。そのため、摺動突起21は、針管5の軸方向への移動が規制されている。これにより、第1部材11及び第2部材12の移動を規制することができると共に第2部材12が第1部材11から抜け落ちることを防ぐことができる。
そして、図2に示すように、第1部材11の係合部17は、第2部材12の仮係合部33と係合されている。このときの第1部材11と第2部材12の位置を、準備位置とする。針管5の針先5Aの周囲は、安定部46によって覆われている。そのため、注射針組立体2をシリンジ103に装着する際に、針管5の針先5Aが誤って使用者に穿刺されることを抑制することができる。
次に、シリンジ103の排出部121を第1部材11の嵌入部18に挿入し、第2部材12を使用者や他の部材で保持した状態でロック機構112を雄ねじ部19に螺合させる。これにより、シリンジ103に対する注射針組立体2の装着が完了する。
また、ロック機構112に雌ねじ部112aと雄ねじ部19の螺合が完了した後に、第2部材12を使用者や他の部材で保持した状態で、さらにシリンジ103を回転させると、摺動突起21と係止爪37(図3参照)を係止する力以上の力が加わる。そのため、摺動突起21と係止爪37の係止が解除される。これにより、第1部材11が、第2部材12に対して針管5を回動中心として、挿入部31の周方向に沿って回動する。
そして、図3に示すように、摺動突起21は、第1摺動部35aを摺動し、位置P1から位置P2に移動する。そして、摺動突起21は、針管5の軸方向に沿って延在する第2摺動部35bに配置される。これにより、第1部材11と第2部材12は、相対的に挿入部31の軸方向、すなわち針管5の軸方向への移動が可能となる。
次に、安定部46の端面46aを皮膚に対向させる。これにより、針管5の針先5Aが穿刺する皮膚に対向される。次に、薬剤注射装置1を皮膚に対して略垂直に移動させ、針先5Aを皮膚に穿刺すると共に安定部46の端面46aを皮膚に押し付ける。安定部46が皮膚に接触することで、第2部材12における針管5の軸方向への移動が制限される。
次に、薬剤注射装置1をさらに皮膚に押し付けると、図4に示すように、係合部17と仮係合部33の係合が解除される。そして、第1部材11は、付勢部材7の付勢力に抗して挿入部31の一面31bを摺動し、針管5の軸方向に沿って針管5の針先5Aが皮膚に接近する向きへ移動する。
これにより、針管5の針先5A及び調整部16の針突出面16aが、安定部46の端面46aから露出される。このときの、第1部材11及び第2部材12の位置を、穿刺位置とする。付勢部材7は、第1部材11の係合部17と第2部材12のばね当接部32の間で弾性変形して圧縮されて付勢力が蓄積される。
また、図3に示すように、摺動突起21は、第2摺動部35bに沿って摺動し、位置P2から針管5の軸方向の他側である位置P3に移動する。
そして、針管5の針先5Aが皮膚に穿刺されると共に針突出面16aが皮膚に接触する。このとき、針突出面16aが皮膚に接触して皮膚を平らに変形させることができ、針管5の針先5A側を突出長Lだけ皮膚に穿刺することができる。
次に、ガイド部47の接触面47aが皮膚に接触するまで安定部46の端面46aを押し付ける。ここで、ガイド部高さY(図2参照)は、針管5及び安定部46が適正な押圧力で皮膚に穿刺することができるようにその長さが設定されている。そのため、安定部46によって皮膚を押圧する力が所定の値になる。
その結果、安定部46の適正な押圧力を使用者に認識させることができ、針管5の針先5A及び刃面を確実に皮膚上層部に位置させることができる。このように、ガイド部47が安定部46の適正な押圧力を認識させる目印となることで、使用者が安心して薬剤注射装置1を使用することができる。
また、安定部46が皮膚に当接することで、薬剤注射装置1の姿勢が安定し、針管5を皮膚に対して真っ直ぐに穿刺することができる。また、穿刺後に針管5に生じるブレを防止することができ、薬剤の安定した投与を行うことができる。
更に、例えば0.5mm程度のごく短い突出長の針管では、針先を皮膚に当接させても皮膚に刺さらない場合がある。しかし、安定部46に押し付けられた皮膚が垂直方向に押し下げられることにより、安定部46の内側の皮膚が引っ張られて皮膚に張力が加わった状態となる。そのため、針管5の針先5Aに対して皮膚が逃げ難くなる。したがって、安定部46を設けることにより、皮膚に針先5Aをより刺さり易くするという効果を得ることもできる。
る。
針管5の針先5A側を皮膚に穿刺した後、押し子部材104(図1参照)を押してガスケット113を排出部121側に移動させる。これにより、シリンジ103の液室114に充填された薬剤は、排出部121から押し出され、針管5の針孔を通って針先5Aから皮膚上層部に注入される。このとき、排出部121の先端と針管5の基端との間に空間が形成されていないため、薬剤の残存量を少なくすることができる。
次に、薬剤注射装置1を皮膚から離反させ、安定部46の端面46a、及び針突出面16aを皮膚から離す。安定部46の端面46aから皮膚から離反することにより、第2部材12は、皮膚からの押圧が解除される。そのため、図5に示すように、第2部材12は、付勢部材7に復元力(付勢力)により、第1部材11のベース部15及び嵌入部18の外周面を摺動し、針管5の軸方向における針先5A側に向けて移動する。
また、第2部材12を使用者の手で押さており、第1部材11の移動が解放されている場合は、第1部材11が、付勢部材7の復元力(付勢力)により、挿入部31の一面31bを摺動し、針管5の軸方向に沿って、挿入部31の他端側に向けて移動する。すなわち、第1部材11及び第2部材12は、相対的に、針管5の軸方向に沿って移動する。
係合部17は、付勢部材7の付勢力によって仮係合部33を乗り越え、抜け止め部34まで移動する。なお、本例では、係合部17には、傾斜面17aを設け、仮係合部33をテーパ状に形成している。そのため、係合部17と仮係合部33が再び係合することなく、係合部17は、仮係合部33をスムーズに乗り越えることができる。なお、係合部と仮係合部を接着または溶着する場合、穿刺時に仮係合部が壊れるように設計してもよい。これにより、係合部が付勢部材の付勢力によって移動する際に、係合部と仮係合部が再び係合することはない。
また、図3に示すように、摺動突起21は、第2摺動部35bを摺動し、位置P3から第2摺動部35bの端部に当接し、位置P4まで移動する。このように、係合部17が抜け止め部34に当接し、さらに摺動突起21が第2摺動部35bの端部に当接することで、第2部材12の針管5の軸方向への移動が停止される。これにより、第2部材12が第1部材11から抜け落ちることを防ぐことができる。
なお、本例では、挿入部31の筒孔31aに係合部17が当接する抜け止め部34を設けた例を説明したが、抜け止め部34を設けなくても摺動突起21が第2摺動部35bの端部に当接することで、第2部材12が第1部材11から抜け落ちることを防ぐことができる。
図3に示すように、位置P4まで移動すると、摺動突起21は、戻り規制爪38に係止される。そのため、第1部材及び第2部材12における針管5の軸方向への移動が規制され、再び準備位置及び穿刺位置へ戻ることが規制される。
そして、図5に示すように、係合部17が抜け止め部34に当接し、摺動突起21が位置P4(図3参照)まで移動すると、第2部材12における挿入部31の筒孔31a内に針管5の針先5Aが収容される。すなわち、針管5の針先5Aの周囲が、第2部材12によって覆われる。このときの第1部材11及び第2部材12の位置を収容位置とする。その結果、使用後の針管5の針先5Aを安全な状態に保つことができて使用後の針管5の針先5Aが誤って穿刺されることを防止することができる。
さらに、使用後の針管5の針先5Aは、第2部材12における挿入部31の筒孔31aによって覆われるため、針先5Aに付着した血液の飛散を防ぐことができ、血液による感染を防ぐこともできる。
また、本例の薬剤注射装置1では、穿刺動作に合わせて第1部材11及び第2部材12が自動的に移動し、針管5の針先5Aの周囲を覆っている。そのため、針管5を保護する作業を確実に行うことができると共に、針管5を保護する作業時に誤って穿刺されることも防ぐことができる。
なお、本例では、収容位置において、針管5の針先5Aが第2部材12の接触面47aよりも挿入部31側に配置される例を説明したが、これに限定されるものではない。収容位置において針管5の針先5Aが使用者の手と接触され難い位置であればよい。そのため、収容位置において針管5の針先5Aが第2部材12の安定部46の端面46aよりも挿入部31側に配置されるようにしてもよい。この場合では、針管5の針先5Aの周囲は、第2部材12の安定部46で覆うことができる。
さらに、本例では、係合部17をリング状のフランジ部として形成した例を説明したが、これに限定されるものではなく、係合部としては、例えば、ベース部の外周面から突出する突起であってもよい。
また、本例では、摺動突起21を第1部材11に設け、摺動溝35を第2部材12に設けた例を説明したが、これに限定されるものではなく、摺動突起を第2部材12に設け、摺動溝を第1部材に設けてもよい。
以上、本発明の薬剤注射装置及び注射針組立体の実施の形態例について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の薬剤注射装置及び注射針組立体は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
上述した実施の形態例では、ロック機構112としてルアーロック部を設けた例を説明したが、これに限定されるものではなく、排出部に雄ねじ部を設け、注射針組立体2の第1部材11の筒孔に雌ねじ部を設けて螺合するようにしてもよい。
1…薬剤注射装置、 2…注射針組立体、 5…針管、 5A…針先、 5a…刃面、 5B…基端、 6…針ハブ、 7…付勢部材、 11…第1部材、 12…第2部材、 15…ベース部、 15a…端面、 15b…端面、 16…調整部、 16a…針突出面、 17…係合部、 17a…傾斜面、 18…嵌入部、 21…摺動突起、 31…挿入部、 31a…筒孔、 31b…一面、 32…ばね当接部、 33…仮係合部、 34…抜け止め部、 35…摺動溝、 35a…第1摺動部、 35b…第2摺動部、 36…安定部、 37…係止爪、 38…戻り規制爪、 44…接続片、 44a…平面、 46…安定部、 46a…端面、 47…ガイド部、 47a…接触面、 61…弾性部材、 103…シリンジ、 104…押し子部材、 105…シリンジホルダ、 111…シリンジ本体、 112…ロック機構、 121…排出部

Claims (6)

  1. 生体に穿刺可能な針先を有する針管と、
    前記針管を保持すると共にシリンジが取り付けられる第1部材と、
    前記第1部材に前記針管の軸方向に沿って、針管の穿刺を行う前の準備位置、前記針管の前記針先を露出させる穿刺位置、及び前記針管の前記針先の周囲を囲い収容する収容位置に移動可能に支持される第2部材と、
    前記第1部材に設けられた係合部と、
    前記第2部材に設けられ、前記準備位置において前記係合部と着脱可能に係合する仮係合部と、
    前記第2部材を前記穿刺位置から前記収容位置に向けて付勢する付勢部材と、を備え、
    前記係合部は、第2部材が前記準備位置から前記穿刺位置に移動する際に、前記仮係合部との係合が解除される
    注射針組立体。
  2. 前記第1部材又は前記第2部材の一方には、摺動溝が設けられ、
    前記第1部材又は前記第2部材の残りの他方には、前記摺動溝に摺動可能に挿入される摺動突起が設けられる
    請求項1に記載の注射針組立体。
  3. 前記係合部と前記仮係合部の係合は、前記針管の前記針先を生体に穿刺する際の押圧力よりも小さく設定される
    請求項1又は2に記載の注射針組立体。
  4. 前記第2部材は、
    前記第1部材が挿入される筒状の挿入部と、
    前記挿入部の軸方向の一側に設けられ、前記準備位置において前記針管の周囲を覆うように配置され、前記針管を生体に穿刺する場合に皮膚と接触する端面を有する筒状の安定部と、を有し、
    前記収容位置において、前記針管の前記針先は、前記安定部の前記端面よりも前記挿入部側に配置される
    請求項1〜3のいずれかに記載の注射針組立体。
  5. 前記第2部材は、
    前記挿入部の軸方向の一側で、かつ前記安定部の外周面から半径方向の外側に向けて略垂直に突出するフランジ状に形成されたガイド部を有し、
    前記ガイド部は、前記安定部の端面よりも前記挿入部側に設けられ、かつ前記針管を生体に穿刺する場合に皮膚と接触する場合に皮膚と接触する接触面を有し、
    前記収容位置において、前記針管の前記針先は、前記接触面よりも前記挿入部側に配置される
    請求項4に記載の注射針組立体。
  6. 生体に穿刺可能な針先を有する針管を備えた注射針組立体と、
    前記注射針組立体に着脱可能に装着されるシリンジと、を備え、
    前記注射針組立体は、
    前記針管を保持すると共に前記シリンジが取り付けられる第1部材と、
    前記第1部材に前記針管の軸方向に沿って、針管の穿刺を行う前の準備位置、前記針管の前記針先を露出させる穿刺位置、及び前記針管の前記針先の周囲を囲い収容する収容位置に移動可能に支持される第2部材と、
    前記第1部材に設けられた係合部と、
    前記第2部材に設けられ、前記準備位置において前記係合部と着脱可能に係合する仮係合部と、
    前記第2部材を前記穿刺位置から前記収容位置に向けて付勢する付勢部材と、を備え、
    前記係合部は、第2部材が前記準備位置から前記穿刺位置に移動する際に、前記仮係合部との係合が解除される
    薬剤注射装置。
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