JP2016186938A - オフセット制御構成及び燃料電池システムにおいて電圧値を制御する方法 - Google Patents

オフセット制御構成及び燃料電池システムにおいて電圧値を制御する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】小形、低コストで燃料電池システムの効率及び制御性を向上させる。
【解決手段】燃料電池システムは、少なくとも1つの燃料電池配列103と、少なくとも1つの負荷146とを含む。オフセット制御構成は、監視情報を取得するために負荷146の入力電圧を監視する電圧監視手段142と、制御プロセッサ120と、少なくとも1つの燃料電池配列103と直列接続する少なくとも1つのオフセット源140a、bとを含む。オフセット源140a、bの電力レベルは、燃料電池配列103の電力レベルと比べて実質的に低い。オフセット源140a、bは、少なくとも監視情報に基づき負荷146の入力電圧を許容限界内に抑えるために、燃料電池配列103の出力電圧の一方向シフトを行うよう配置される。それでも負荷146への入力電圧が限界以上に上昇されるときに、少なくとも1つの燃料電池配列103を負荷146から切断する手段144a、bを更に含む。
【選択図】図5

Description

特に環境問題の故に、環境に優しく良好な効率を有する新しいエネルギ源が開発されている。燃料電池装置は有望な将来的なエネルギ変換装置であり、燃料、例えば、バイオガスは、エネルギ変換装置を用いて、環境に優しいプロセスにおいて化学反応を介して直接的に電気に変換される。
図1に示すような燃料電池は、負極側100と、正極側102と、それらの間の電解質材料104とを含む。固定酸素燃料電池(SOFC)では、酸素が正極側102に送られ、酸素は正極から電子を受け取ることによって負の酸素イオンに変換される。負の酸素イオンは電解質材料104を通じて負極側100に至り、負の酸素イオンは負極側で使用済み燃料と反応し、水や、典型的には、二酸化炭素(CO)も生成する。負極100と正極102との間には、燃料電池のための負荷110を含む外部電気回路111がある。
図2には、高温燃料電池装置の一例としてのSOFC装置が示されている。SOFC装置は、例えば、天然ガス、バイオガス、メタノール、又は炭化水素混合物を含む他の化合物を燃料として利用し得る。図2のSOFC装置システムは、1つ又はそれよりも多くのスタック構造103(SOFCスタック)中の1つ又はそれよりも多くの、典型的には、多数の燃料電池で構成される。より大きなSOFC装置システムは、幾つかのスタック103中に多くの燃料電池を含む。各燃料電池は、図1に示すような負極100及び正極102構造を含む。使用済み燃料の一部をフィードバック構成109中で再循環させ得る。図2中のSOFC装置は、燃料熱交換器105及びリフォーマ107も含む。熱交換器は燃料電池プロセス中の熱状況を制御するために使用され、SOFC装置の異なる場所にそられのうちの1つよりも多くがあり得る。循環ガス中の余分な熱エネルギは、SOFC装置内で或いは外部的に利用されるよう、1つ又はそれよりも多くの熱交換器105内で回収される。リフォーマ107は、例えば、天然ガスのような燃料を、燃料電池に適した組成、例えば、炭化水素、メタノール、二酸化炭素、一酸化炭素、不活性ガス、及び水の全て又は少なくとも一部を含む組成に変換する装置である。いずれにしても、各SOFC装置においては、リフォーマを有することは不要であると考えられている。
(燃料流量計、流速計、及び温度計のような)測定手段115を使用することによって、SOFC装置の作動に必要な測定が行われる。負極100で使用されるガスの一部だけがフィードバック構成109において再循環させられ、ガスの他の部分は負極100から排出114させられる。
燃料電池は、反応物の化学エネルギを直接的に電気及び熱に変換する電気化学装置である。燃料電池システムは、比較可能な大きさの従来的なエネルギ生成技術の電気及びCHP(熱及び電力の統合生成)効率を有意に超える潜在性を有する。燃料電池システムは、鍵となる将来的なエネルギ生成技術として広く理解されている。
燃料電池システムの性能及び寿命を最大限化するために、燃料電池作動状況の正確な制御が必要とされる。燃料電池は直流(DC)電流を生成するのに対し、より高い電力システムでは、典型的には、交流(AC)出力が望まれ、よって、直流から交流への電力変換が必要とされる。実際的なインターフェース、燃料電池からの電流収集、及び後続の電力変換を可能にするために、燃料電池は、幾つかの直列に接続された個々の電池を含むスタックとして製造される。
幾つかのスタックで構成される燃料電池システムにおいて、スタックの電気相互接続トポロジーは、鍵となる設計パラメータである。幾つかのスタックの直列接続は、より低いケーブル布線及び電力変換損失、並びにより低い構成部品コストをもたらす。しかしながら、典型的には、燃料電池負荷の電気絶縁限界、並びに好適な動作電圧レベルは、直列に接続されるスタックの実現可能な量を制限する。故に、単一の一連の直列接続スタックで達成し得るよりも高い電力レベルが必要とされるならば、何らかの種類の並列接続のスタック又はスタックの群が必要となる。
燃料電池のような電気源が並列に接続されるとき、個々の電気源の電気特性に偏差があるならば、不均一な負荷分割が起こり得る。燃料電池を用いるならば、これは有意な問題である。何故ならば、不均一な負荷分割は、燃料利用の低減の故に効率を減少させ、且つ/或いは平均電流より上で動作する燃料電池を有意に劣化させ得るからである。スタック間の直列抵抗の固有の変動、並びに老化、温度等に起因する変動の故に、不均一な負荷分割は、スタックが直接的に並行に接続されるならば、ある程度までは予期されるのが典型的である。スタックの電気的に並行な接続は、それらの内部抵抗の固有の負の温度係数の故に、高温燃料電池システムにおいて特に問題である。この特性は並行に接続されるスタック、即ち、より高い電流で昇温するスタックの間の負荷分割均衡における正のフィードバック挙動を生じさせ、それは内部抵抗の減少の故に電流を更に増大させる傾向を有する。電流分割問題を回避するために、各スタック又は直列のスタックのために別個のコンバータが頻繁に使用され、システムの費用を相当に高くする。
燃料電池は、蓄電池(バッテリ)よりもずっと非剛性(non-stiff)の電流−電圧特性を有するのが典型的である。燃料電池の典型的な形状及び全動作範囲128、並びに比較のための蓄電池の典型的な形状及び全動作範囲130を図3に示す。図3から分かるように、燃料電池の公称動作地点124での電圧レベルは、非負荷又は低負荷条件において達成される燃料電池の最大電圧よりも有意に低いのが典型的である。参照番号130は、蓄電池の公称動作窓を描写しているのに対し、参照番号128は、燃料電池のための動作窓を描写している。結果的に、パワーエレクトロニクス、又はより一般的に燃料電池と干渉する負荷は、比較的広い動作電圧窓に対処する必要がある。システムの寿命に亘って起こる燃料電池劣化は、全負荷で電圧を更に減少させ、より一層広い動作窓を要求する。パワーエレクトロニクスのために、大きな電圧窓は、構成部品選択並びに価格及び効率に否定的な影響を及ぼすフィルタ寸法取りに関して、幾つかの妥協を要求するのが典型的である。例えば、燃料電池のための公称動作窓が、例えば、0.6〜0.8V/cellであり、開放回路電圧が、例えば、1.1V/cellであるならば、パワーエレクトロニクス構成部品は、殆どの時間で明らかにより低い電圧で動作させられるとしても、最大電圧に従って寸法取られる必要がある。
大型の燃料電池システムは、グリッド又は三相負荷に電力を送るために三相インバータを含むのが典型的である。インバータのために、最適な入力電圧、即ち、DCリンク電圧は、歪みのない出力を生成し得る最小電圧にある。理論的な最小電圧は、平方根(2)を乗じた主電圧、即ち、400VACグリッド接続のための566Vである。この電圧に加えて、フィルタ及びスイッチにおける電圧降下並びに電圧変動を補償するために、合理的な電圧限界が必要とされる。400VACインバータのための典型的なDCリンク設定点は、625Vである。この電圧より上の動作は、より高い切換及びフィルタリング損失並びにより高い電磁放射をもたらすのに対し、この電圧よりも低い動作は、歪みのある出力をもたらし得る。最大許容可能電圧は、インバータ構成部品の電圧定格、典型的には400VACインバータのための800Vによって決定され、それによって、20%安全限界を適用した最大電圧は、720Vである。
燃料電池からインバータへの電流の供給は、インバータ(又は他の負荷)への直接接続によって或いはDC/DCコンバータ段を通じて燃料電池に電力を供給することによって行われるのが典型的である。DC/DCコンバータが使用されるならば、DC/DCで電圧窓整合を行うことが可能であり、インバータ電圧は常に最適に維持される。異なる群の燃料電池スタックのために別個のDC/DCコンバータを使用し得る。各DC/DCコンバータは、スタックの並行接続にとって一般的な不均一な電流分割問題を緩和するよう、対応するスタック群の電流を制御する。前記別個のDC/DCコンバータを導入する不利点は、変換損失及び別個のコンバータに関連する追加的な経済的コストである。
燃料電池が負荷(例えば、インバータ)に直接的に接続されるならば、それらの電圧、即ち、多数の電池は、燃料電池からの最小出力電圧、即ち、最大負荷でさえも、出力電圧が十分であるように選択されなければならない。0.65の最小電池電圧を想定すると、625Vのインバータ電圧を生成するためには、961個の電池が必要とされる。電池電圧が例えば1.1Vでの非負荷状態で、出力電圧は1058Vである。これはインバータ内で少なくとも1200Vの定格の、好ましくは、800V構成部品よりも一層高い電圧定格の構成部品の使用を必要とする。更に、インバータは、耐用年数末期でだけ最適電圧で動作する。これらの妥協は費用を増大させ、インバータの効率を低減させる。追加的な不利点は、並行に接続されるスタック間の電流分割を制御する活性な手段がないことである。特に高温の燃料電池は、それらの直列抵抗が電流分割の相違を引き起こす負の温度係数を有するような場合には、不均一な電流分割の影響を受け易い。より高い負荷をもたらすスタック又はスタックの群は過剰な応力を受け、加速度的な不可逆的な劣化を被り得る。
本発明の目的は、燃料電池システムの物理的な大きさをよりコンパクトにする可能性を有しさえすることによって、経済的に優しい燃料電池システムの効率及び制御性を向上させることである。
これは燃料電池を用いて電気を生成するために燃料電池システム内の電圧値を制御するオフセット制御構成によって達成され、燃料電池システム内の各燃料電池は、負極側と、正極側と、負極側と正極側との間の電解質とを含み、燃料電池システムは、少なくとも2つの燃料電池の少なくとも1つの燃料電池配列と、負荷機能を行う少なくとも1つの負荷とを含む。当該オフセット制御構成は、監視情報を取得するために負荷の入力電圧を監視する電圧監視手段と、監視情報を処理する制御プロセッサと、少なくとも1つの燃料電池配列と直列接続する少なくとも1つのオフセット源とを含み、オフセット源の電力レベルは、燃料電池配列の電力レベルと比べて実質的に低く、オフセット源は、監視情報及び処理済み監視情報のうちの少なくとも一方に基づき、負荷に明らかな電圧窓を減少させるために、燃料電池出力電圧の一方向シフトを行うよう配置され、当該オフセット制御構成は、切断の理由が燃料電池システム内で検出されるときに少なくとも1つの燃料電池配列を負荷から切断する手段を更に含む。
本発明の焦点は、燃料電池を用いて電気を生成するために燃料電池システム内の電圧値を制御するオフセット制御方法にあり、燃料電池システム内の各燃料電池は、負極側と、正極側と、負極側と正極側との間の電解質とを含む。当該方法では、処理される監視情報を取得するために、燃料電池システムの負荷の入力電圧が監視され、少なくとも1つのオフセット源が少なくとも1つの燃料電池配列に直列接続において接続され、オフセット源の電力レベルは、燃料電池配列の電力レベルと比べて実質的に低く、監視情報及び処理済み監視情報のうちの少なくとも一方に基づき、負荷に明らかな電圧窓を減少させるために、燃料電池出力電圧の少なくとも一方向シフトが少なくとも1つのオフセット源によって行われ、少なくとも1つの燃料電池配列は、切断の理由が燃料電池システム内で検出されるときに負荷から切断される。
本発明は、燃料電池システム内の少なくとも1つの燃料電池配列に直列接続において配置されるオフセット制御に基づき、オフセットの電力レベルは、燃料電池配列の電力レベルと比較して実質的に低い。燃料電池システムの負荷の入力電圧の監視情報に基づき負荷に明らかな電圧窓を減少させるために、燃料電池配列出力電圧の少なくとも一方向シフトが前記オフセットによって用意される。本発明は、更に、切断の理由が燃料電池システム内で検出されるときに少なくとも1つの燃料電池配列を負荷から切断することに基づく。
本発明の利益は、著しく少量の補償力を利用することによって、経済的コスト、物理的な大きさ、及び動作電力損失の有意な節約を伴う所要の制御能力を本発明に従って達成し得ることである。本発明の利益は、制御性の向上、故に、燃料電池の耐用年数の最も起こりそうな向上も含む。
単一の燃料電池構造を示す概略図である。 SOFC装置の一例を示す概略図である。 燃料電池の典型的な形状及び動作範囲と蓄電池の典型的な形状及び動作範囲とを示すグラフである。 燃料電池配列103、DCリンク、並びに本発明に従った正及び負のオフセット源140b,140aの例示的な電圧を示すグラフである。 本発明に従った例示的な好適実施態様を示す構成図である。
本発明に従った構成は、オフセット源140(図5)を含み、オフセット源140は、例えば、−0.2V/cellから0.13V/cellまでの範囲内の電圧を調達し或いは弱め得るよう、即ち、それぞれの補償的なオフセット電圧を燃料電池配列103の電圧にもたらし得るよう寸法取られる。燃料電池配列と直列に配置され且つ直列の全出力電圧の正確で迅速な制御のために設計されて、オフセット源140と組み合わされた燃料電池配列の出力電圧を、負荷の観点から0.65〜1.1V/cellから効果的に0.78〜0.9V/cellまで減少させ得る。例えば、800個の電池のために、これは624〜720Vの電圧窓に転換され、即ち、それは800Vの定格構成部品を備える典型的な400VACインバータのための許容可能な電圧窓である。補償源内で調達され或いは弱められる電圧は全電池電圧の一部であるに過ぎず、電流は燃料電池配列のための電流と同じであるので、オフセット源の電力定格も燃料電池配列の電力定格の一部であるに過ぎない。結果的に、個々の燃料電池配列の全出力を取り扱う別個のDC/DCコンバータに比べれば、コスト及び損失も僅かである。
本発明に従った構成が幾つかの燃料電池配列103を含むときには、別個のオフセット源140を各配列のために配置し得る。それによって、配列の電圧における可能な相違を補償する異なるオフセット電圧をもたらすよう、異なる配列に接続される源を構成し得る。従って、本発明は、本質的に並列にされる燃料電池配列間の電流分割を低コストで活性に制御するための効率的な手段も固有にもたらす。しかしながら、出願人の以前の特許出願FI20095776は電流分割補償問題に集中させているのに対し、この発明の方法及び構成の利益は電流分割補償に限定されない。
本発明に従った構成は、燃料電池配列電圧と比べて依然として小さい有意な電圧を提供し得る。その構成は精巧な制御プロセッサとも組み合わせられる。この構成は燃料電池配列の効果的な電圧窓を標準的なインバータのための許容可能な変動限界内に減少させるのに十分な程に大きい瞬間的な電圧オフセットをもたらし得る。
図5に示されているのは、本発明に従った例示的な好適実施態様である。以下の記述では、例示的な数値を備える詳細な1つの好適実施態様も記載する。オフセット補償電圧範囲は、単極、例えば、厳密に0〜0.3V/cellより多く又はより少ない補償であり得る。この実施例では、例えば、開放回路条件で720V、即ち、約65個の電池をもたらし得るよう、燃料電池スタック配列103を寸法取り得る。それによって、最小電圧は0.65V×654=426Vであり、それによって、199V又は0.3V/cellより多いオフセットが最小電圧条件で必要とされる。代替的に、最小電圧条件、即ち、961個の電池で625Vを生成するよう、電池を従来的に寸法取り得る。それによって、開放負荷条件で、オフセット補償要件は、961×1.1V−720V=337V又は約0.35V/cellより下である。しかしながら、最適な性能のためには、単極オフセット補償が提案され、典型的な動作条件中のオフセット源140(図5中の140a,140b)の電力定格及び補償の必要を最小限化する。双極出力電圧が可能な単一の装置で、或いは、代替的に、相互に反対の極性を備える直列の2つの単極装置で、単極オフセット補償能力を実現し得る。前述の−0.12V/cell〜0.2V/cellの好適な補償電圧範囲のために、Ucell>0.9V又はUcell<0.77Vの範囲内の電圧補償が必要とされる。従って、補償なしで、従って、実質的に損失なしで、典型的な動作範囲の大部分、即ち、0.75〜0.85Vを取り扱い得る。下向きの補償電圧範囲Ucell>0.9Vのために、電池電流は公称未満、おそらく公称の50〜60%以下であり、それによって、−0.2Vの負のオフセット値のために必要とされる電力定格は、全電流で0.12Vの正のオフセット値に対応する本質的に電力定格と等しい。
2つのオフセット源140が直列に接続されるならば、安定性の理由のために、1つは電圧制御されなければならないのに対し、他の1つも電圧制御され、或いは正確な活性電流分割制御を容易化する電流制御を実施する。例えば、負のオフセット源140aは電圧制御され、且つ始動中に活性であるのに対し、正のオフセット源140bは、常に電流制御モードにおいて作動し得る。よって、負の電圧オフセットに加えて正の電圧オフセットも許容し得ないときの純粋に開放回路状態を除き、電流分割制御は少なくとも正のオフセット源140bによって達成される。各配列103が専用の正のオフセット源140bを有するのに対し、共通の負のオフセット源140aが使用されるように、多数のスタック配列103構造を配置し得る。
図5の例示的な好適実施態様を参照すると、インバータ146は電圧制御モードにおいて動作し、その場合、DCリンクの電圧は燃料電池システム制御プロセッサ120によってもたらされる設定点に維持される。始動状況において、DC電圧設定点は、最大値、即ち、例えば、720Vであり、それによって、負のオフセット源は、開放回路まで燃料電池のための電圧をもたらし得る。その場合、制御、即ち、スタック電流の増大は、負のオフセット源140aの電圧設定点を制御する、即ち、減少させることによって達成され、それによって、電流はスタックから負荷に流れ始め、このようにして、逆転動作が達成される。電流分割制御を容易化するために、制御プロセッサは正のオフセット源140bに電流設定点をもたらし、最良に作動するスタック配列103のために、正のオフセットが殆ど必要とされず或いは全く必要とされないように、負のオフセット源140aの電圧を制御する。電流が増大させられると、次に、負のオフセット電圧は漸進的にゼロまで減少し、然る後、最良に作動するスタック配列に従ってDCリンク設定点をその最小(625V)に向かって減少させることによって、電圧減少は継続し得る。最小DCリンク電圧に達し、スタック電圧が降下し続けると、電流制御モードで作動する正のオフセット源140bは、所望の電流を維持するために、益々の正の電圧オフセットを供給し始める。よって、スタック配列の電圧は、最悪に作動する配列が最小平均電池電圧、即ち、800個の電池のために0.65V=>520Vに達するまで、最小DCリンク電圧より下に減少し得る。
本発明の原理に従った燃料電池スタック配列103、DCリンク、並びに正及び負のオフセット源140b,140aの例示的な電圧曲線を図4に示す。参照番号132は、効率曲線を示し、参照番号134は、DCリンクの電圧曲線を示し、参照番号136は、燃料電池電圧曲線を示し、参照番号138は、正のオフセット曲線を示し、参照番号140は、負のオフセット曲線を示している。図4に関連して推定されることは、異なる配列103の間の電圧の相違が平均して10Vであり、それは正のオフセット源140bによって全ての電圧レベルで補償されることである。補償源のための90%の極めて適度の変換効率、補償源の各々のための1.0Vの最小電圧損失、及び625Vではなくむしろ720Vで動作するときの0.5%の増分インバータ損失を想定して、スタックからのエネルギスループット効率を計算した。
図4から分かるように、各スタック配列の個々の電流制御性を依然として維持しながら、公称動作範囲の大部分で99%を越えるスループット効率が達成される。DC/DCコンバータの適度の効率を増大させることによって、或いは何れの源も不活性であるときにオフセット源の上にバイパス接触器(コンタクタ)を加えることによって、一層更に容易に効率を向上させ得る。
400Vグリッドを供給するために1200V又は1300Vの定格インバータが必要とされる従来技術の解決策において、最適外(off-optimal)動作電圧に起因する損失及び最適外(off-optimal)パワーエレクトロニクス構成部品は、2〜4%の範囲内にあると推定される。よって、全体的な電力スループットの観点から、提示の方法及び構成は僅かな効率利益を有する。しかしながら、それらの利益は、効率に限定されるのみならず、標準的な800Vインバータギヤを使用する能力の故の費用削減、並びに制御性の向上、故に、最も起こりそうなスタック寿命の向上も含む。各スタック配列のために別個の個々のバック又はブーストDC/DCコンバータを備える従来技術の構成と比べると、本発明に従った提示の構成では、効率及びコスト特性の両方が明らかにより良好である。
故障状況において燃料電池スタック配列103をインバータ146から切断するための適切な手段144が、構成の動作性及び安全性のために重要である。インバータ入力電圧は積極的に監視されなければならず、電圧が上昇して許容限界から出るならば、切断は数十ミリ秒内に行われなければならない。負のオフセット源140aの制御回路141を前記監視手段142として利用することによって、インバータ146DCリンクの電圧監視手段142を負のオフセット源140a内に含め得るのが好ましい。制御回路141は、第1の主燃料電池スタック配列接触器144a(図5)をインバータ146から燃料電池スタック配列103を切断するための前記手段144として制御する。よって、例えば、スタックの負荷中断又はオフセット源140a,140bの1つ又はそれよりも多くの故障の故の突然の電圧上昇の場合には、燃料電池システム制御プロセッサ120からの作用を直ちに必要とせずに、切断が直ちに起こり得る。FCスタックの双極切断のための第2の接触器144bを同じ信号によって制御し得るし、代替的に、例えば、正のオフセット源140b内の監視手段142によって別個に制御し得る。
図5に示す好適実施態様の概略的な記述を以下に記載する。燃料電池配列103は、少なくとも2つの直列に接続された燃料電池スタックを含むのが好ましく、燃料電池システムは、2つ又はそれよりも多くの並行に接続された燃料電池配列103を有し得る。燃料電池システムは、負荷機能を行うために少なくとも1つの負荷146を含み、好適実施態様において、負荷は、逆転動作を行うためのインバータ、例えば、DC/ACインバータである。オフセット制御構成は、監視情報を取得するようインバータ146の入力電圧を監視するための電圧監視手段142と、監視情報を処理するための燃料電池システム制御プロセッサ120とを含む。オフセット制御構成は、少なくとも1つの燃料電池配列103に直列接続するオフセット源140a,140bを更に含み、オフセット源140a,140bの電力レベルは、燃料電池配列103の電力レベルと比べて実質的に低い。本発明の好適実施態様において、これらのオフセット源、即ち、負のオフセット源140a及び正のオフセット弁140bは、監視情報及び処理済み監視情報の少なくとも1つに基づきインバータ146に明らかな電圧窓を減少させるために、双方向シフト、即ち、燃料電池配列出力電圧の負及び正のオフセットを行うよう配置される。負のオフセット源140aの制御回路141は、監視手段142として利用されるのが好ましく、その制御回路141は、少なくとも1つの主燃料電池配列接触器144aを制御し、接触器144aは、そのような切断の理由が前記監視によって燃料電池システム内で検出されるときに、少なくとも1つの燃料電池配列103を負荷146から切断する手段144として使用される。
本発明に従った好適実施態様において、オフセット制御構成は、配列103間の電圧値の相違を補償するよう個別のオフセット値をもたらすために、各配列103に関して少なくとも1つの別個のオフセット源140を含む。好適なオフセット制御構成は、主として耐用年数末期の動作のために少なくとも1つの燃料電池配列103のために少なくとも1つの正のオフセット値をもたらすための正のオフセット源140bと、主としてインバータ146の実質的に高い電圧ピークを排除するよう少なくとも1つの燃料電池配列103のための少なくとも1つの負のオフセット値を提供するための負のオフセット源140aとを含む。1つの好適実施態様において、オフセット制御構成は、各燃料電池配列103のための別個の正のオフセット源140bと、全ての配列103又は殆どの配列103のための共通の負のオフセット源140aとを含む。
次にオフセット源ボックス(140a,140b)の内側の共通の記号を説明する。参照符号150は、フィルタリング段階を指し、参照符号152は、整流段階を指し、参照符号154は、高周波数変換段階を指し、参照符号156は、制御可能なスイッチの段階を指す。
更に、好適実施態様において、オフセット制御構成は、燃料電池システムの連続的な動作のために電流設定点及び電圧設定点のうちの少なくとも一方を正のオフセット源140bにもたらすことによって、並びに燃料電池配列103を最良に実施するために正のオフセットが殆ど達成されず或いは全く達成されないよう負のオフセット源140aの電圧及び電流のうちの少なくとも一方を制御することによって、少なくとも2つの燃料電池配列103の間の電流分割制御を達成するための燃料電池システム制御プロセッサ120を含む。前記負のオフセット源140aは、主として燃料電池システムの始動プロセス中に活性である。
本発明に従った実施態様において、オフセット制御構成は、燃料電池配列103の双極オフセット補償を行うための双極出力電圧が可能な単一のオフセット源140を含み得る。また、本発明によれば、オフセット制御構成は、配列103の双極オフセット補償を行うための相互に逆転した極性を備える直列の2つの双極オフセット源140を含む。
オフセット電圧源140a,140b原理の使用は、グリッド電圧、電池の数、及び/又は実施例として上で提供された電池電圧範囲に限定されない。如何なるグリッド電圧(例えば、200Vから480Vまで)及び燃料電池技術にも適用されるよう原理をスケーリングし得る。変圧器を通じて中電圧ユーティリティに接続されるシステムにも本発明に従った原理を使用し得る。制御プロセッサ120は、例えば、プログラム可能なプロセッサに基づく、異なる種類のアナログ及び/又はデジタルのエレクトロニクス実施から成り得る。
SOFCと共に記載されるのと同様に、本発明をMCFC(溶融炭酸塩燃料電池)及び他の燃料電池と共にも利用し得る。MCFCは、多孔性の化学的に不活性なマトリックス中に懸濁される溶融炭酸塩混合物から成る電解質を使用する高温燃料電池である。また、フィードバック構成は図2のSOFC装置実施例中に記載されているが、本発明が利用される燃料電池システムはフィードバック構成を有する必要はない。
本発明は添付の図面及び明細書を参照して提示されているが、本発明は請求項によって許容される範囲内の変形に晒されるので、本発明は決してそれらに限定されない。
100 負極側
102 正極側
103 スタック/燃料電池配列
104 電解質材料
105 燃料熱交換器
107 リフォーマ
109 フィードバック構成
110 負荷
111 外部電気回路
115 測定手段
120 燃料電池システム制御プロセッサ
124 公称動作地点
128 全動作範囲/動作窓
130 全動作範囲/公称動作窓
132 効率曲線
134 DCリンクの電圧曲線
136 燃料電池の電圧曲線
140 オフセット源
141 制御回路
140a 負のオフセット源
140b 正のオフセット源
142 電圧監視手段
144 手段
144a 主燃料電池スタック配列接触器
146 インバータ/負荷
150 フィルタリング段階
152 整流段階
154 高周波数変換段階
156 制御可能なスイッチの段階

Claims (18)

  1. 燃料電池を用いて電気を生成するために燃料電池システム内の電圧値を制御するオフセット制御構成であって、
    前記燃料電池システム内の各燃料電池は、負極側と、正極側と、負極側と正極側との間の電解質とを含み、前記燃料電池システムは、少なくとも2つの燃料電池の少なくとも1つの燃料電池配列と、負荷機能を行う少なくとも1つの負荷とを含み、
    当該オフセット制御構成は、監視情報を取得するために前記負荷の入力電圧を監視する電圧監視手段と、前記監視情報を処理する制御プロセッサと、前記少なくとも1つの燃料電池配列と直列接続する少なくとも1つのオフセット装置とを含み、該オフセット装置の電力レベルは、前記燃料電池配列の電力レベルと比べて実質的に低く、前記オフセット装置は、前記監視情報及び前記処理済み監視情報のうちの少なくとも一方に基づき、前記負荷に明らかな電圧範囲を減少させるために、燃料電池配列出力電圧の正のオフセット及び負のオフセットの少なくとも一方を行うよう配置され、
    当該オフセット制御構成は、前記入力電圧が許容限界から上昇することを検出することによって、切断の理由が前記負荷の前記入力電圧監視中に検出されるときに、前記少なくとも1つの燃料電池配列を前記負荷から切断する手段を更に含むことを特徴とする、
    オフセット制御構成。
  2. 前記燃料電池システムは、少なくとも2つの電気的に並行に接続される燃料電池配列を含み、当該オフセット制御構成は、各配列のための個別の補償をもたらすために、各配列のために少なくとも1つの別個のオフセット装置を含むことを特徴とする、請求項1に記載のオフセット制御構成。
  3. 当該オフセット制御構成は、前記少なくとも1つの燃料電池配列のための少なくとも負のオフセット値をもたらす負のオフセット装置を含むことを特徴とする、請求項1に記載のオフセット制御構成。
  4. 当該オフセット制御構成は、主として耐用年数末期の動作のために前記少なくとも1つの燃料電池配列のための少なくとも正のオフセット値をもたらす正のオフセット装置を含むことを特徴とする、請求項1に記載のオフセット制御構成。
  5. 当該オフセット制御構成は、各燃料電池配列のための1つの別個のオフセット装置と、前記配列の全てのための或いは前記配列の殆どのための前記別個のオフセット装置と反対の極性の共通のオフセット装置とを含むことを特徴とする、請求項2に記載のオフセット制御構成。
  6. 当該オフセット制御構成は、前記燃料電池システムの連続的な作動のために電流設定点及び電圧設定点のうちの少なくとも一方を正のオフセット装置にもたらすことによって、並びに、燃料電池配列を最良に実施するために、正のオフセットが殆ど達成されず或いは全く達成されないよう、負のオフセット装置の電圧及び電流のうちの少なくとも一方を制御することによって、前記少なくとも2つの燃料電池配列の間の電流分割制御を達成する前記制御プロセッサを含み、前記負のオフセット装置は、前記燃料電池システムの始動プロセス中に主として活性であることを特徴とする、請求項2に記載のオフセット制御構成。
  7. 当該オフセット制御構成は、前記負のオフセット装置の制御回路を前記監視手段として利用することによって、前記負のオフセット装置内に前記電圧監視手段を含み、前記制御回路は、切断の理由が前記監視によって前記燃料電池システム内で検出されるときに、少なくとも1つの主燃料電池配列接触器を前記少なくとも1つの燃料電池配列を前記負荷から切断する手段として制御することを特徴とする、請求項1に記載のオフセット制御構成。
  8. 当該オフセット制御構成は、双極オフセット補償を行うための双極出力電圧が可能な単一のオフセット装置を含むことを特徴とする、請求項1に記載のオフセット制御構成。
  9. 当該オフセット制御構成は、双極オフセット補償を行うために相互に逆転した極性を備える直列の2つの単極オフセット装置を含むことを特徴とする、請求項1に記載のオフセット制御構成。
  10. 燃料電池を用いて電気を生成するために燃料電池システム内の電圧値を制御するオフセット制御方法であって、
    前記燃料電池システム内の各燃料電池は、負極側と、正極側と、負極側と正極側との間の電解質とを含み、
    当該方法では、処理される監視情報を取得するために、前記燃料電池システムの負荷の入力電圧が監視され、少なくとも1つのオフセット装置が少なくとも1つの燃料電池配列に直列接続において接続され、前記オフセット装置の電力レベルは、前記燃料電池配列の電力レベルと比べて実質的に低く、前記監視情報及び前記処理済み監視情報のうちの少なくとも一方に基づき、前記負荷に明らかな電圧範囲を減少させるために、燃料電池配列出力電圧の正のオフセット及び負のオフセットの少なくとも一方が前記少なくとも1つのオフセット源によって行われ、前記少なくとも1つの燃料電池配列は、前記入力電圧が許容限界から上昇することを検出することによって、切断の理由が前記負荷の前記入力電圧監視中に検出されるときに、前記負荷から切断されることを特徴とする、
    オフセット制御方法。
  11. 各配列のために個別の補償をもたらすために、燃料電池配列出力電圧の少なくとも一方向シフトが、少なくとも2つの電気的に並行に接続される燃料電池配列内の少なくとも1つの別個のオフセット装置によって行われることを特徴とする、請求項10に記載のオフセット制御方法。
  12. 前記少なくとも1つの燃料電池配列のために、負のオフセット装置によって少なくとも負のオフセット値がもたらされることを特徴とする、請求項10に記載のオフセット制御方法。
  13. 主として耐用年数末期の作動のために前記少なくとも1つの燃料電池配列のために、正のオフセット装置によって少なくとも正のオフセット値がもたらされることを特徴とする、請求項10に記載のオフセット制御方法。
  14. 各燃料電池配列のための1つの別個のオフセット装置が当該方法において使用され、前記別個のオフセット装置とは反対の極性の共通オフセット装置が前記配列の全てのために或いは前記配列の殆どのために使用されることを特徴とする、請求項10に記載のオフセット制御方法。
  15. 前記燃料電池システムの連続的な作動のために電流設定点及び電圧設定点のうちの少なくとも一方を正のオフセット装置にもたらすことによって、並びに、燃料電池配列を最良に実施するために、正のオフセットが殆ど達成されず或いは全く達成されないよう、負のオフセット装置の電圧及び電流のうちの少なくとも一方を制御することによって、少なくとも2つの燃料電池配列の間で電流分割制御が達成され、前記負のオフセット装置は、前記燃料電池システムの始動プロセス中に主として活性であることを特徴とする、請求項10に記載のオフセット制御方法。
  16. 切断の理由が前記監視によって前記燃料電池システム内で検出されるときに、前記少なくとも1つの燃料電池配列を前記負荷から切断するために少なくとも1つの主燃料電池配列接触器を制御するよう、前記監視中に負のオフセット装置の制御回路を使用することによって、前記燃料電池システムの負荷の入力電圧が当該方法において監視されることを特徴とする、請求項10に記載のオフセット制御方法。
  17. 双極オフセット補償を行うために、前記単一のオフセット装置の双極出力電圧が当該方法において利用されることを特徴とする、請求項10に記載のオフセット制御方法。
  18. 双極オフセット補償を行うために、相互に逆転した極性を備える直列の2つの単極オフセット装置が当該方法において接続されることを特徴とする、請求項10に記載のオフセット制御方法。
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