JP2016186861A - 電極ユニット及び電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電材の腐食を防止することができる電極ユニット及び電池を提供することにある。【解決手段】電極ユニット5は、シート状の電極材50及びシート状の導電材51を備える。電極材50は、活物質及び酸性の電解液を含有する。導電材51は、一面が電極材50の一面に対向し、被覆膜52の表面に配されている。導電材51の一面は、被覆膜52に覆われている。被覆膜52は、導電性かつ電解液非透過性を有する。シーラント54は、枠状をなし、被覆膜52の表面の周縁に固着され、外装フィルム53の一面における導電材51の外側の部分に固着されている。【選択図】図2

Description

本発明は、電極材及び導電材を有する電極ユニット及び電池に関する。
電池は、デジタル家電製品、電気自動車、ハイブリッド自動車及び太陽光発電設備等に広く用いられている。この電池として、リチウムイオン二次電池又はバナジウム固体塩電池(特許文献1)等が挙げられる。
バナジウム固体塩電池は、活物質による酸化還元反応を利用して充放電を行う。活物質としては、バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンが用いられる。電極ユニットは、電極材及び導電材を有している。電極材は、平板状の多孔質材と、該多孔質材に含浸させたバナジウムイオン又はバナジウムを含む陽イオンを含有する活物質及び電解液とを有する。
バナジウム固体塩電池は、セルをケースに収容することにより構成される。セルは、電極ユニットを並設し、正極に係る電極材及び負極に係る電極材を隔膜を介して対向させることにより構成される。電極ユニットは、活物質及び酸性の電解液を有する電極材と、該電極材に対向する銅又はステンレス等の導電材とを有する。
特開2014−235833号公報
しかしながら、電極材が有する酸性の電解液が導電材に接触した場合、導電材は腐食される。これにより、電池の機能の低下、又は故障等の問題が生じる虞がある。また、電解液としてアルカリ性の電解液を使用した場合においても同様の問題が生ずる虞がある。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、導電材の腐食を防止することができる電極ユニット及び電池を提供することにある。
本発明に係る電極ユニットは、活物質、及び酸性又はアルカリ性の電解液を有する電極材と、平板状をなし、一面が前記電極材に対向する導電材と、導電性かつ電解液非透過性であり、前記電極材及び導電材間に介在し、前記導電材の前記一面を覆い、表面に前記電極材が配される第1の被覆部と、電解液非透過性であり、前記導電材の他面を覆う第2の被覆部と、電解液非透過性であり、前記第1の被覆部の周縁部及び第2の被覆部に固着され、前記導電材を封止する枠状のシーラントとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、導電材は第1の被覆部、第2の被覆部及びシーラントにより封止され、電極材に接触しないこととなる。特に、導電材は、第1の被覆部により電極材に直接接触しない。また、導電材の側面はシーラントに覆われている。
したがって、電極材に含まれる電解液に係る酸性又はアルカリ性物質は導電材と反応することがなく、導電材の腐食は防止される。そして、第1の被覆部は、導電性であるので電極材及び導電材間における電子の移動が担保されている。
本発明に係る電極ユニットは、前記シーラントは、前記第1の被覆部の周縁部と前記第2の被覆部の前記導電材側の一面における前記導電材よりも外側の部分とに固着されていることを特徴とする。
本発明によれば、第1の被覆部及び第2の被覆部に覆われた導電材を第2の被覆部の一面にて、シーラントにより封止した状態で固定することができる。また、第2の被覆部は、電解液非透過性であるので、電池の外装とすることができる。
本発明に係る電極ユニットは、前記第2の被覆部は導電性であり、前記シーラントは、前記第1の被覆部及び第2の被覆部夫々の周縁部に固着され、前記第2の被覆部の表面には、第2の電極材が配されていることを特徴とする。
本発明によれば、導電材は、第2の被覆部により第2の電極材に直接接触せず、また側面がシーラントに覆われている。したがって、導電材は、第2の電極材に含まれる電解液に係る酸性又はアルカリ性物質と反応することがなく、腐食が防止される。
第2の被覆部は導電性であるので、電極材及び導電材間における電子の移動が担保されている。また、セルの電極ユニットを並設する構造において、設計の多様化を図ることができる。
本発明に係る電極ユニットは、前記第1の被覆部及び第2の被覆部は、同一の素材により形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、電極ユニットの設計が容易になり、製造コストが低下する。
本発明に係る電極ユニットは、前記第1の被覆部及び第2の被覆部夫々の表面には、同一極性となる電極材が配されていることを特徴とする。
本発明によれば、セルの複数の電極ユニットの並設構造において、電極ユニットを並列に接続することができる。これにより、電池の設計の多様化を図ることができる。
本発明に係る電極ユニットは、前記第1の被覆部及び第2の被覆部夫々の表面には、反対極性となる電極材が配されていることを特徴とする。
本発明によれば、セルの複数の電極ユニットの並設構造において、電極ユニットを直列に接続することができる。これにより、電池の設計の多様化を図ることができる。
本発明に係る電極ユニットは、前記電極材は、前記被覆部の表面にて前記シーラントの内周側に位置していることを特徴とする。
本発明によれば、電極材は、被覆部の表面にて、シーラントに囲繞されることになるので、より確実に腐食を防止できる。
本発明に係る電極ユニットは、前記電極材上に設けられ、前記シーラントに接触する隔膜を備えることを特徴とする。
本発明によれば、電極ユニットを並設した場合に、隣接する電極ユニットの電極材同士の接触を防止することができる。
本発明に係る電極ユニットは、前記シーラント、又は前記シーラント及び第2の被覆部の間から突出し、基端部が前記導電材に接触し、前記シーラントに固着された導電性材料からなるタブを備えることを特徴とする。
本発明によれば、導電材に接触するタブから外部との電力のやり取りを行うことができる。また、タブは基端部がシーラントに固着されているので電解液による腐食が防止される。
本発明に係る電池は、上述の電極ユニットを備え、前記活物質は、バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンを含有することを特徴とする。
本発明によれば、バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンを含有する活物質を用いることにより、正極及び負極の活物質を同一として電池を構成でき、電池の設計が容易となる。
本発明によれば、導電材の腐食を防止することができる。
実施の形態1に係る電池が備えるセルを示す平面図である。 図1のII−II線による断面図である。 電極ユニットの平面図である。 図3のIV−IV線による断面図である。 実施の形態2に係る電池が備えるセルの断面図である。 電極ユニットの平面図である。 実施の形態3に係る電池が備えるセルの断面図である。 電極ユニットの平面図である。 変形例に係る電極ユニットの断面図である。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1において、1はバナジウム固体塩電池が備えるセルである。バナジウム固体塩電池は、セル1単体、又はセル1と他のセルとを組み合わせてケースに収容することにより構成される。セル1は薄型袋状の外装2と、該外装2から突出した正極端子3及び負極端子4とを有する。
図2は、図1のII−II線による断面図である。セル1は、電極ユニット5及び6を有する。電極ユニット5は正極として機能し、電極ユニット6は負極として機能する。図3は、電極ユニット5の平面図であり、図4は、図3のIV−IV線による断面図である。
電極ユニット5は、平板状の電極材50及び平板状の導電材51を備える。電極材50は、活物質及び酸性の電解液を含有する。導電材51は、一面が電極材50の一面に対向するように配されている。
導電材51の一面は、被覆膜52に覆われている。被覆膜52は、導電性かつ電解液非透過性を有し、導電材51の一面を黒鉛でコーティングすることにより形成されている。電極材50は、被覆膜52の表面に配されている。また、電極材50の一面は被覆膜52の表面に接している。即ち、被覆膜52は、電極材50及び導電材51間に介在する。また、電極材50の一面は被覆膜52の表面よりも面積が小さい。
一方で、導電材51の他面は、シート状をなし、セル1の外装2の一部である外装フィルム53に覆われている。外装フィルム53の一面は、導電材51の他面に接している。また、外装フィルム53は、導電材51よりも大きく、外装フィルム53の一面の面積が、導電材51の他面の面積よりも大きい。
図3及び図4に示すように導電材51は周縁の一部から、両面に平行に突出する凸部51aを有する。凸部51aは、被覆膜52に覆われていない。また、凸部51aには正極端子3が設けられている。更に、電極ユニット5は、電解液非透過性を有し、導電材51の周囲を封止するシーラント54を有する。
正極端子3は、矩形片状をなし、基端部の外面が導電材51の前記一面側にて凸部51aに接し、先端部がシーラント54及び外装フィルム53の間から突出する状態で、導電材51に設けられている。正極端子3は、長手方向の中央部分が電解液非透過性のシーラント30に覆われている。シーラント30は、外装フィルム53の一面に固着されている。シーラント30の正極端子3の先端部側は、外装フィルム53の周縁よりも外側に位置する。
シーラント54は、枠状をなし、例えば、熱溶着又は接着により、被覆膜52の表面の周縁部に固着され、外装フィルム53の一面における導電材51の外側の部分に固着されている。シーラント54は、電極材50、導電材51及び被覆膜52の厚さ及び大きさに対応した段状に形成されている。また、シーラント54は、導電材51の凸部51aに接触した正極端子3の基端部の内面に固着されている。
シーラント54は、導電材51の側面に接触した状態で、導電材51の側面側に設けられている。電極材50は、被覆膜52の表面にて、シーラント54の内周側に位置する。即ち、電極材50の側面は、シーラント54に囲繞されている。なお、電極材50の側面は、シーラント54に接触する構成、又はシーラント54に接触せず隙間が設けられている構成のいずれであってもよい。
正極端子3は先端部のみが露出し、その他の部分は、シーラント30、導電材51の凸部51a、被覆膜52及びシーラント54に囲まれている。特に、正極端子3及び凸部51aの接触部分は、シーラント54に覆われている。したがって、正極端子3は、電極材50と区画され、電解液による腐食が防止される。
電極ユニット6は、電極ユニット5と同様の構造をなし、電極材60、導電材61、被覆膜62、外装フィルム63及びシーラント64を有する。また、負極端子4は、正極端子3と同様の構造をなし、同様に電極ユニット6に設けられている。
電極ユニット5及び6は、外装フィルム53及び63の夫々の一面が対向するように配され、外装フィルム53及び63の夫々の前記一面の周縁部が固着されている。これにより、電極ユニット5の外装フィルム53及び電極ユニット6の外装フィルム63は、外装2をなしている。また、正極端子3及び4は、外装フィルム53及び63の対向方向において対向していない。これにより正極端子3及び負極端子4間の短絡が防止される。
更に、図2に示すように、電極材50及び電極材60の間には隔膜7が配されている。
隔膜7は、電極材50と電極材60とを区画し、電極材50及び60に接触している。また、隔膜7の周縁部は、シーラント54及び64に接触している。
以下、本発明に係るセル1を構成する材料について詳述する。電極材50及び60は、基材に、バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンを活物質として含有する固体状の化合物を含む析出物を担持させてなる。
電極材50及び60の基材としては、例えば多孔質の炭素材が挙げられる。炭素材は、炭素繊維から構成された炭素フェルト、炭素繊維から構成された炭素シート、活性炭、及びシート状のグラッシーカーボンからなる群より選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
バナジウム化合物を含む溶液、半固体状物、又は固体状物を、炭素材に塗布又は含侵させた後、乾燥させることで、炭素材に析出物が担持される。半固体状物としては、バナジウム化合物に硫酸水溶液を加えたスラリー状物や、バナジウム化合物にシリカ等を加えたゲル状物等が挙げられる。
正極として機能する電極ユニット5の電極材50に含まれるバナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンは、酸化還元反応によって、5価及び4価の間で酸化数が変化するバナジウムを含むイオンであるのが好ましい。5価及び4価の間で酸化数が変化するバナジウムを含むイオンとしては、VO2+(IV)、VO2 +(V )が例示される。
正極用の活物質として、炭素材に担持させるバナジウム化合物は、酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4 ・nH2 O)、酸化硫酸バナジウム(V )((VO2 2 SO4 ・nH2 O)を挙げることができる。また、これらの混合物を用いてもよい。nは、0又は1〜6の整数を示す。
負極として機能する電極ユニット6の電極材60に含まれるバナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンは、酸化還元反応によって、2価及び3価の間で酸化数が変化するバナジウムイオンであるのが好ましい。2価及び3価の間で酸化数が変化するバナジウムイオンとしては、V2+(II)、V3+(III )が例示される。
負極用の活物質として、炭素材に担持させるバナジウム化合物としては、硫酸バナジウム(II)(VSO4 ・nH2 O)、硫酸バナジウム(III )(V2 (SO4 )3・nH2 O)を挙げることができる。また、これらの混合物が用いてもよい。nは、0又は1〜6の整数を示す。
また、電極材50及び60に含まれる電解液は、硫酸水溶液であるのが好ましい。硫酸水溶液として、例えば希硫酸等を用いることができる。電解液の量は、例えばバナジウム化合物100gに対して、2M(mol/L)の硫酸70mLである。
上記の構成の電極ユニット5及び6間において、下記式(1)及び(2)の反応が生じる。
正極:VOX2 ・nH2 O(s)⇔VO2 X・nH2 O(s)+HX+H+ +e- (1)
負極:VX3 ・nH2 O(s)+e- ⇔2VX2 ・nH2 O(s)+X- (2)
式中、Xは1価の陰イオンを表す。Xがm価の陰イオンである場合、結合係数(1/m)が考慮される。nは種々の値をとり得る。
隔膜7は、水素イオン(プロトン)又は硫酸イオンを通過させることができるイオン交換膜である。
導電材51及び61は、アルミニウム又は銅等の金属箔からなるのが好ましい。厚みは、5〜100μmであるのが好ましく、より好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは20〜50μmである。厚みが100μm以下である場合、電池は、軽量かつ小型化される。
導電材51及び61夫々の一面は、黒鉛のコーティングにより形成する被覆膜52及び62夫々により覆う構成に限られず、導電性かつ電解液非透過性であれば、導電性フィルム、シート状の導電性ゴム、グラファイトシート等により覆う構成とすることができる。例えば、導電性の接着シートを介して、グラファイトシートを導電材51及び61夫々の一面に配する構成としてもよい。
被覆膜52及び62の厚みは10〜100μmであるのが好ましく、より好ましくは20〜80μm、さらに好ましくは20〜50μmである。厚みが10〜100μmである場合、電極材50及び60夫々と導電材51及び61夫々との電気伝導性が低下することがなく、電池の内部抵抗を小さくすることができる。
外装フィルム53及び63は、合成樹脂層及び金属層を含むラミネートシートからなるのが好ましい。合成樹脂層の材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、変性ポリプロピレン、変性ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセテート、ポリエチレンテレフタレート、アイオノマー樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ナイロン6,ナイロン66等のポリアミド等が挙げられる。
合成樹脂層の厚みは、5〜200μmであるのが好ましい。この場合、電池は、良好な気密性を得られる。金属層の材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、ステンレス、チタン、チタン合金等が挙げられる。金属層の厚みは、5〜100μmであるのが好ましい。この場合、金属層にピンホール等を発生させることなく、良好な遮水性を保持することができる。
外装フィルム53及び63夫々の厚みは特に限定されないが、15〜250μmであるのが好ましい。より好ましくは25〜200μmであり、さらに好ましくは50〜150μmである。厚みが15〜250μmである場合、十分な強度を有するとともに、電池がコンパクトになる。
シーラント30、40、54及び64は、ポリプロピレン又はポリエチレン等を用いることが好ましい。ポロプロピレン又はポリエチレン等を用いることにより、熱溶着で容易に導電材51を封止することが可能となる。
電極ユニット5及び6間における式(1)及び(2)の反応を利用してセル1を用いたバナジウム固体塩電池の充放電が行われる。このとき、正極端子3,負極端子4を介して、外部の負荷又は充電器等との間で充放電が行われる。式(1)及び(2)の反応において隔膜7を介して電極材50及び60間でプロトンが移動する。
上記の構成によれば、導電材51は被覆膜52、外装フィルム53及びシーラント54により封止され、電極材50に接触しないこととなる。特に、導電材51は被覆膜52により電極材50に直接接触しない。また、導電材51の側面はシーラント54に覆われている。
したがって、導電材51は電極材50に含まれる電解液に係る硫酸等が導電材51と反応することがなく腐食が防止される。また、導電材61も同様に電極材60に含まれる電解液による腐食が防止される。
シーラント54は、被覆膜52の表面の周縁部に固着されている。また、シーラント54は、外装フィルム53の一面における導電材51の外側の部分に固着されている。したがって、導電材51を外装フィルム53の一面にてシーラント54により封止した状態で固定することができる。
また、外装フィルム53及び63は夫々導電材51及び61よりも大きいので、外装フィルム53及び63の一面の周縁同士を固着することにより、電極ユニット5及び6を並設した状態で一つのセルを構成することができる。このとき、外装フィルム53及び63は、電解液非透過性を有することから、夫々セル1の外装2をなすことができる。
電極材50は、被覆膜52の表面にてシーラント54の内周側に位置している。電極材50は、側面をシーラント54に囲繞されているので、導電材51はより確実に腐食を防止できる。
また、電極材50は、導電性を有する被覆膜52の表面に配されているので、電極材50及び導電材51間における電子の移動が担保されている。電極材60は、同様に腐食をより確実に防止できるとともに、電極材60及び導電材61間における電子の移動が担保されている。
導電材51に設けられた正極端子3及び導電材61に設けられた負極端子4を介して外部との電力のやり取りを行うことができる。また、正極端子3及び負極端子4は、夫々基端部がシーラント54又は64に固着されており、これにより、電極材50又は60と区画され、電解液による腐食が防止される。
更に、活物質にバナジウムを用いることにより、正極及び負極において同一の活物質を用いることができ、電池の設計が容易となる。
なお、導電材51の凸部51aは被覆膜52により覆われる構成であってもよい。また、シーラント54は導電材51の側面に接触していない構成であってもよい。
更に、外装2は、外装フィルム53及び63を固着することにより形成する構成に限られず、1枚のシートを二つ折りに折り曲げてなるものでもよい。また、活物質はバナジウムでなく、鉄又はクロムである構成でもよく、電解液は、酸性でなくアルカリ性とする構成であってもよい。更に、隔膜7を電極ユニット5又は6の一部として、電極ユニット5又は6を形成する構成であってもよい。
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2に係る電池が備えるセル1の断面図である。実施の形態2に係るセル1の構成について、実施の形態1と同様な構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。実施の形態2に係るセル1は、電極ユニット5、6及び8を備える。電極ユニット8は、電極ユニット5及び6に挟まれている。
図6は、電極ユニット8の平面図である。電極ユニット8は、平板状の電極材80及び81と、平板状をなし、両面夫々が電極材80及び電極材81に対向している導電材82とを有する。電極材80及び81は、活物質及び酸性の電解液を含有する。
また、導電材82の両面に黒鉛コーティングにより二つの被覆膜83,83が導電材82と電極材80及び81夫々との間に介在するように形成されている。即ち、電極材80及び81は、被覆膜83,83夫々の表面に配されている。被覆膜83は、導電性かつ電解液非透過性である。
電極ユニット8は更に電解液非透過性のシーラント84を有する。シーラント84は、枠状をなし、被覆膜83,83夫々の表面の周縁部に固着され、導電材82の側面に接触する状態で導電材82の側面側に設けられている。
シーラント84は、電極材80側のシーラント84aと電極剤81側のシーラント84bとを固着することで形成されている。電極材80及び81は被覆膜83,83夫々の表面にてシーラント84の内周側に位置する。即ち、電極材80及び81夫々の側面は、シーラント84に囲繞されている。なお、電極材80及び81夫々の側面は、シーラント84に接触する構成、又はシーラント84に接触せず隙間が設けられている構成のいずれであってもよい。
更に、電極ユニット8は、隔膜85及び86を有する。なお、図6では隔膜86は省略してある。隔膜85は電極材80及びシーラント84aの外面に接触し、隔膜86は、電極材81及びシーラント84bの外面に接触している。
電極ユニット5の電極材50は隔膜85に接触し、電極ユニット6の電極材60は隔膜86に接触している。電極ユニット5及び電極ユニット8の電極材81側は正極をなし、電極材60及び電極ユニット8の電極材80側は負極をなしている。即ち、電極ユニット5,6及び8は直列に接続されている。
以下、本発明に係るセル1を構成する材料について詳述する。電極材80及び81は、基材に、バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンを活物質として含有する固体状の化合物を含む析出物を担持させてなる。
電極材80及び81の基材としては、電極材50及び60と同様に、例えば多孔質の炭素材が挙げられ、該炭素材にバナジウム化合物の析出物が担持される。
負極側の電極材80に含まれるバナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンは、電極60と同様に、酸化還元反応によって、2価及び3価の間で酸化数が変化するバナジウムイオンであるのが好ましい。
正極側の電極材81に含まれるバナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンは、電極材50と同様に酸化還元反応によって、5価及び4価の間で酸化数が変化するバナジウムを含む陽イオンであるのが好ましい。
また、電極材80及び81が含有する電解液は、電極材50及び60と同様に硫酸水溶液であるのが好ましい。更に、隔膜85及び86は、隔膜7と同様に水素イオン(プロトン)又は硫酸イオンを通過させることができるものであればよい。
電極ユニット5及び電極ユニット8の電極材80側間と、電極ユニット6及び電極ユニット8の電極材81側間夫々において、実施の形態1における式(1)及び(2)の反応が生じる。
導電材82は、導電材51及び61と同様にアルミニウム又は銅等の金属箔からなるのが好ましい。
導電材82は、導電材51及び61と同様に黒鉛のコーティングにより形成する被覆膜83,83により覆う構成に限られず、導電性かつ電解液非透過性を有していれば、導電性フィルム、シート状の導電性ゴム、グラファイトシート等を用いて覆う構成とすることができる。
被覆膜83の厚みは、被覆膜52及び62と同様に10〜100μmであるのが好ましく、より好ましくは20〜80μm、さらに好ましくは20〜50μmである。シーラント84a及び84bは、シーラント54と同様にポリプロピレン又はポリエチレン等を用いることが好ましい。
上記の構成のセル1では、電極ユニット5及び電極ユニット8の電極材80側間と、電極ユニット6及び電極ユニット8の電極材81側間夫々における式(1)及び(2)の反応を利用してセル1を用いたバナジウム固体塩電池の充放電が行われる。このとき、正極端子3,負極端子4を介して外部の負荷又は充電器等との電力のやり取りが行われる。
上記の構成によれば、被覆膜83,83により、導電材82は、電極材80及び81に直接接触しない。また、導電材82の側面はシーラント84に覆われている。したがって、導電材82は電極材80及び81に含まれる電解液に係る硫酸等と反応することがなく、腐食が防止される。
被覆膜83,83は導電性であるので、被覆膜83,83の表面にて電極材80及び81夫々及び導電材82間における電子の移動が担保されている。導電材82の両面に被覆膜83,83を介在させて電極材80及び81を配することにより、セルの電極ユニットを並設する構造において、設計の多様化を図ることができる。
被覆膜83,83は、同一の素材により形成されているので、電極ユニット8の設計が容易になり、製造コストが低下する。なお、導電材82の両面は、導電性かつ電解液非透過性であれば、夫々別の素材により覆う構成としてもよい。
被覆膜83,83には、反対極性となる電極材80及び電極材81が配されているので、セル1の内部の電極ユニット5、6及び8の並設構造において、電極ユニット5、6及び8を直列に接続することができる。これにより、電池の設計の多様化を図ることができる。
隔膜85及び86により、電極材50及び80の接触と、電極材60及び81の接触とを防止できる。また、活物質にバナジウムを用いることにより、正極及び負極の活物質を同一として電池を構成でき、電池の設計が容易となる。
なお、シーラント84は被覆膜82の側面に接触していない構成であってもよい。
(実施の形態3)
図7は、実施の形態3に係る電池が備えるセル1の断面図であり、図8は、電極ユニット8の平面図である。実施の形態3に係るセル1の構成について、実施の形態1及び2と同様な構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
実施の形態3に係るセル1では、電極ユニット5及び6が正極をなし、電極ユニット8が負極をなす。即ち、電極ユニット5、6、及び8は並列に接続される。したがって、電極材80側の極性及び電極材81側の極性は、負極性で同一である。
正極端子3は、導電材51及び61に設けられている。一方で、負極端子4は電極ユニット8に設けられている。電極ユニット8の導電材82は、周縁から両面に平行に突出する凸部82aを有する。凸部82aは、電極ユニット6側の一面の一部が被覆膜83に覆われていない。
負極端子4は、正極端子3同様矩形片状をなし、導電材82の一面側にて、基端部の外面が凸部82aに接し、先端部がシーラント84から突出する状態で、導電材82に設けられている。負極端子4は、長手方向の中央部分が電解液非透過性のシーラント40に覆われている。シーラント40は、外装フィルム53及び63の一面の周縁部に固着されている。シーラント40の負極端子4の先端部側は、外装フィルム53及び63夫々の周縁よりも外側に位置する。
負極端子4の基端側部分において、凸部82aに接触している部分以外の部分は、シーラント84a及び84bに接触し、覆われている。また、シーラント40の負極端子4の基端部側の端面は、シーラント84a及び84bに固着されている。
負極端子4は先端部のみが露出し、その他の部分は、シーラント40、導電材82の凸部82a、被覆膜83,83、シーラント84a及び84bに囲まれている。特に、負極端子4及び凸部82aの接触部分は、シーラント84bに覆われている。したがって、負極端子4は、電極材80及び81と区画され、電解液による腐食が防止される。
上記の構成のセル1では、電極ユニット5及び電極ユニット8の電極材80側間と、電極ユニット6及び電極ユニット8の電極材81側間夫々における式(1)及び(2)の反応を利用してセル1を用いたバナジウム固体塩電池の充放電が行われる。このとき、正極端子3,負極端子4を介して外部の負荷又は充電器等との電力のやり取りが行われる。
実施の形態3に係る電池のセル1内の電極ユニット8は、電極材80及び81が同一極性であり、電極ユニット5、6及び8を並列に接続することができる。これにより、電池の設計の多様化を図ることができる。
なお、セル1は、電極ユニット5、6及び8の極性を逆とする、即ち、電極ユニット5及び6を負極とし、電極ユニット8を正極とする構成であってもよい。また、導電材82の凸部82aは、被覆膜83に覆われていない構成であってもよい。
(変形例)
図9は、変形例に係る電極ユニット8の断面図である。電極ユニット8のシーラント84は、複数のシーラントを固着するという構成でなく、一体として構成している。これにより、電極ユニット8の構造を簡素化することができる。
3 正極端子(タブ)
4 負極端子(タブ)
5、6、8 電極ユニット
50、60、80、81 電極材
51、61、82 導電材
52、62 被覆膜(請求項2の第1の被覆部)
53、63 外装フィルム(請求項2の第2の被覆部)
83 被覆膜(請求項3の第1の被覆部及び第2の被覆部)
54、64、84、84a、84b シーラント
7、85、86 隔膜

Claims (10)

  1. 活物質、及び酸性又はアルカリ性の電解液を有する電極材と、
    平板状をなし、一面が前記電極材に対向する導電材と、
    導電性かつ電解液非透過性であり、前記電極材及び導電材間に介在し、前記導電材の前記一面を覆い、表面に前記電極材が配される第1の被覆部と、
    電解液非透過性であり、前記導電材の他面を覆う第2の被覆部と、
    電解液非透過性であり、前記第1の被覆部の周縁部及び第2の被覆部に固着され、前記導電材を封止する枠状のシーラントと
    を備えることを特徴とする電極ユニット。
  2. 前記シーラントは、前記第1の被覆部の周縁部と前記第2の被覆部の前記導電材側の一面における前記導電材よりも外側の部分とに固着されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の電極ユニット。
  3. 前記第2の被覆部は導電性であり、
    前記シーラントは、前記第1の被覆部及び第2の被覆部夫々の周縁部に固着され、
    前記第2の被覆部の表面には、第2の電極材が配されていること
    を特徴とする請求項1に記載の電極ユニット。
  4. 前記第1の被覆部及び第2の被覆部は、同一の素材により形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電極ユニット。
  5. 前記第1の被覆部及び第2の被覆部夫々の表面には、同一極性となる電極材が配されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の電極ユニット。
  6. 前記第1の被覆部及び第2の被覆部夫々の表面には、反対極性となる電極材が配されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の電極ユニット。
  7. 前記電極材は、前記被覆部の表面にて前記シーラントの内周側に位置していること
    を特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の電極ユニット。
  8. 前記電極材上に設けられ、前記シーラントに接触する隔膜を備えることを特徴とする請求項1から7までのいずれか一つに記載の電極ユニット。
  9. 前記シーラント、又は前記シーラント及び第2の被覆部の間から突出し、
    基端部が前記導電材に接触し、前記シーラントに固着された
    導電性材料からなるタブを備える
    ことを特徴とする請求項1から8までのいずれか一つに記載の電極ユニット。
  10. 請求項1から9までのいずれか一つに記載の電極ユニットを備え、
    前記活物質は、バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンを含有すること
    を特徴とする電池。
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