JP2016186762A - 交通事象推定装置、交通事象推定システム、交通事象推定方法及びコンピュータプログラム - Google Patents

交通事象推定装置、交通事象推定システム、交通事象推定方法及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】平常時と異なる突発的ないし一時的に生じた交通事象を推定することができる交通事象推定システムを提供する。【解決手段】交通事象推定装置1は、道路Rを走行する複数の車両Cの位置情報、速度情報及び時間情報を含むプローブ情報を取得し、取得した各車両Cのプローブ情報に基づいて交通事象を推定する。具体的には、交通事象推定装置1は、道路Rを構成する複数のリンクそれぞれにおける車両Cの走行状態を、第1所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、所定の時間帯毎に特定する第1特定部と、前記第1所定期間よりも短い第2所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、前記リンクにおける車両Cの走行状態を特定する第2特定部と、前記第1特定部及び前記第2特定部にて特定した走行状態に基づいて、交通事象を推定する事象推定部とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は交通事象推定装置、交通事象推定システム、交通事象推定方法及びコンピュータプログラムに関する。
特許文献1には、道路を走行する車両の位置及び時間情報等を含むプローブ情報を収集し、収集したプローブ情報に基づいて進入禁止道路を判定する進入禁止判定方法が開示されている。具体的には、プローブ情報を用いて、車両の走行軌跡を時系列的に遡り、判定対象道路への流入が可能な道路を特定する。言い換えると、前記判定対象道路への進入軌跡が無く、進入が不可能な道路を特定する。このようにして車両の走行軌跡を遡ることによって、判定対象道路に連結している道路が、該判定対象道路への進入が禁止されている道路かどうかを判定することができる。
特開2005−267471号公報
しかしながら、特許文献1に係る進入禁止判定方法によれば、恒常的な進入禁止道路を判定することができるが、突発的ないし一時的に交通規制がなされている道路を特定することができないという問題があった。
直近のプローブ情報を参照することによって、現在の道路の交通規制状態を確認できるようにも思えるが、車両の交通量、走行速度は地域によって大きく異なるため、直近のプローブ情報を参照しても、交通事象を正確に判定することはできない。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、突発的ないし一時的に生じた交通事象を推定することができる交通事象推定装置、交通事象推定システム、交通事象推定方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
本発明の一態様に係る交通事象推定装置は、道路を走行する複数の車両の位置情報、速度情報及び時間情報を含むプローブ情報を取得するプローブ情報取得部を備え、該プローブ情報取得部が取得した各車両のプローブ情報に基づいて交通事象を推定する交通事象推定装置であって、前記道路を構成する複数のリンクそれぞれにおける車両の走行状態を、前記プローブ情報取得部が第1所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、所定の時間帯毎に特定する第1特定部と、前記プローブ情報取得部が前記第1所定期間よりも短い第2所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、前記リンクにおける車両の走行状態を特定する第2特定部と、前記第1特定部及び前記第2特定部にて特定した走行状態に基づいて、交通事象を推定する事象推定部とを備える。
本発明の一態様に係る交通事象推定システムは、前記交通事象推定装置と、車載機とを備え、前記交通事象推定装置は、前記事象推定部にて推定した交通事象を示す情報を前記車載機へ送信する通信部を備え、前記車載機は、前記交通事象推定装置から送信された情報を受信する車載通信部を備える。
本発明の一態様に係る交通事象推定方法は、道路を走行する複数の車両の位置情報、速度情報及び時間情報を含むプローブ情報を取得し、取得した各車両のプローブ情報に基づいて交通事象を推定する交通事象推定方法であって、前記道路を構成する複数のリンクそれぞれにおける車両の走行状態を、第1所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、所定の時間帯毎に特定する第1特定ステップと、前記第1所定期間よりも短い第2所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、前記リンクにおける車両の走行状態を特定する第2特定ステップと、前記第1特定ステップ及び前記第2特定ステップにて特定した走行状態に基づいて、交通事象を推定するステップとを備える。
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、道路を走行する複数の車両の位置情報、速度情報及び時間情報を含むプローブ情報を取得し、取得した各車両のプローブ情報に基づいて交通事象を推定させるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、前記道路を構成する複数のリンクそれぞれにおける車両の走行状態を、第1所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、所定の時間帯毎に特定する第1特定部と、前記第1所定期間よりも短い第2所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、前記リンクにおける車両の走行状態を特定する第2特定部と、前記第1特定部及び前記第2特定部にて特定した走行状態に基づいて、交通事象を推定する事象推定部として機能させる。
上記発明によれば、突発的ないし一時的に生じた交通事象を推定することができる交通事象推定装置、交通事象推定システム、交通事象推定方法及びコンピュータプログラムを提供することが可能になる。
本発明の実施形態1に係る交通事象推定システムの一構成例を示す概念図である。 本発明の実施形態1に係る交通事象推定装置の一構成例を示すブロック図である。 プローブ情報DBのレコードレイアウト例を示す概念図である。 実施形態1に係る事象DBのレコードレイアウト例を示す概念図である。 通過車両の統計値の算出方法を示す概念図である。 本発明の実施形態1に係る車載機の一構成例を示すブロック図である。 本実施形態1に係る交通事象推定処理の手順を示すフローチャートである。 本実施形態1に係る交通事象推定処理の手順を示すフローチャートである。 本実施形態2に係る交通事象推定処理の手順を示すフローチャートである。 本実施形態2に係る交通事象推定処理の手順を示すフローチャートである。 本実施形態2に係る事象DBのレコードレイアウト例を示す概念図である。 本実施形態3に係る交通事象推定処理の手順を示すフローチャートである。 本実施形態3に係る事象DBのレコードレイアウト例を示す概念図である。 本実施形態3に係る交通事象推定処理の手順を示すフローチャートである。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
(1)本発明の一態様に係る交通事象推定装置は、道路を走行する複数の車両の位置情報、速度情報及び時間情報を含むプローブ情報を取得するプローブ情報取得部を備え、該プローブ情報取得部が取得した各車両のプローブ情報に基づいて交通事象を推定する交通事象推定装置であって、前記道路を構成する複数のリンクそれぞれにおける車両の走行状態を、前記プローブ情報取得部が第1所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、所定の時間帯毎に特定する第1特定部と、前記プローブ情報取得部が前記第1所定期間よりも短い第2所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、前記リンクにおける車両の走行状態を特定する第2特定部と、前記第1特定部及び前記第2特定部にて特定した走行状態に基づいて、交通事象を推定する事象推定部とを備える。
本態様にあっては、プローブ情報取得部は、道路を走行する車両からプローブ情報を取得する。
第1特定部は、道路を論理的に構成する複数のリンクそれぞれにおける車両の走行状態を、所定の時間帯毎に特定する。特に第1特定部は、第1所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、各リンク及び各時間帯における恒常的な車両の走行状態を特定する。走行状態は、例えばリンクを通過する車両の台数、車両の速度、又はこれらの統計量等である。統計量は、平均値、最頻値、最大値、最小値等の情報である。なお、通過車両台数、速度、統計量等は走行状態の一例であり、走行状態は、交通事象の判定基準になる任意の情報が含まれる。
一方、第2特定部は、判定対象のリンクにおける現在の車両の走行状態を特定する。特に、第2特定部は、第1所定時間よりも短い第2所定時間にわって取得したプローブ情報に基づいて、車両の走行状態を特定する。つまり、第2特定部は、判定対象のリンクにおける非恒常的な車両の走行状態を特定する。
そして、事象推定部は、第1特定部にて特定した恒常的な走行状態と、第2特定部にて特定した現在の非恒常的な走行状態とに基づいて、交通事象を推定する。第1特定部にて特定した走行状態のみでは、突発的ないし一時的に生じた交通事象を推定することができない。第2特定部にて特定した走行状態のみでも、該走行状態が突発的ないし一時的に生じたものかどうかを必ずしも判定することができない。しかし、第1特定部及び第2特定部にて特定した走行状態を両方用いることによって、恒常的な状態から外れた突発的ないし一時的な交通事象を推定することが可能になる。
(2)前記第1所定期間は複数日にわたる期間であり、前記第1特定部にて特定される前記走行状態は、前記リンクを通過する車両の台数に応じて増減する統計量を含む構成が好ましい。
本態様にあっては、第1特定部は、複数日の第1所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、各リンクを通過する車両の台数に応じて増減する統計値を算出する。つまり、第1特定部は、各リンクの恒常的な通過車両台数を統計値として算出する。従って、第1特定部にて特定した統計量と、第2特定部にて特定した走行情報とに基づいて、突発的ないし一時的に生じた通行止め等の交通規制を推定することが可能である。
(3)前記第2特定部にて特定される前記走行状態は、特定の時間帯で前記リンクを通過する車両の台数に応じて増減する値を含み、前記事象推定部は、前記第1特定部にて特定した、前記特定の時間帯における統計量が第1閾値以上であり、かつ前記第2特定部にて特定した値が第2閾値未満であるか否かを判定する判定部を備える構成が好ましい。
本態様にあっては、事象推定部は、第1特定部にて特定した統計量が第1閾値以上であり、かつ第2特定部にて特定した値が第2閾値未満であるか否かを判定することにより、突発的ないし一時的に生じた道路の通行止め等の交通規制を特定する。
第2特定部にて特定した値が第2閾値未満である場合、車両が道路を通過できなくなっている可能性がある。一方、単に恒常的に通過する車両が少ないため、プローブ情報を取得可能な車両が通過していないだけという可能性もある。そこで、第1特定部にて特定した統計量が第1閾値以上であるか否かを判定する。第1閾値以上であれば、平常時において判定対象のリンクを一定量の車両が通過していることが確認できる。従って、上述の判定を行うことによって、恒常的な状態から外れた突発的ないし一時的な交通規制を特定することができる。
(4)前記第1所定期間は複数日にわたる期間であり、前記第1特定部にて特定される前記走行状態は、前記道路が複数の車線を有する場合、前記リンクの各車線を通過する車両の台数に応じて増減する統計量を含む構成が好ましい。
本態様にあっては、第1特定部は、複数日の第1所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、道路の各車線を通過する車両の台数に応じて増減する統計値を算出する。つまり、第1特定部は、各車線の恒常的な通過車両台数を統計値として算出する。従って、第1特定部にて特定した統計量と、第2特定部にて特定した走行情報とに基づいて、突発的ないし一時的に生じた車線規制を推定することが可能である。
(5)前記第2特定部にて特定される前記走行状態は、特定の時間帯で各車線を通過する車両の台数に応じて増減する値を含み、前記事象推定部は、前記第1特定部にて特定した、前記特定の時間帯における各車線の統計量が第1閾値以上であり、かつ前記第2特定部にて特定した前記車線に係る値が第2閾値未満であるか否かを判定する判定部を備える構成が好ましい。
本態様にあっては、態様(3)と同様、事象推定部は、第1特定部にて特定した各車線の統計量が第1閾値以上であり、かつ第2特定部にて特定した一の車線に係る値が第2閾値未満であるか否かを判定することにより、突発的ないし一時的に生じた該一の車線の交通規制を特定する。第1及び第2特定部にて特定した統計量及び値を用いることによって、恒常的な状態から外れた突発的ないし一時的な車線規制を特定することができる。
(6)前記判定部は、前記第1特定部にて特定した各車線の統計量が第1閾値以上であり、前記第2特定部にて特定した第1の前記車線に係る値が第2閾値未満であり、第2の前記車線に係る値が第2閾値以上であるか否かを判定する構成が好ましい。
本態様にあっては、判定部は、第1の車線に係る値が第2閾値未満であり、第2の車線に係る値が第2閾値以上である場合を判定するため、事象推定部は、道路全体が通行止めになっている訳では無く、第1の車線について車線規制が行われていることを判別して特定することができる。
(7)前記第1所定期間は複数日にわたる期間であり、前記第1特定部にて特定される前記走行状態は、前記リンクを通過する車両の速度に応じて増減する統計量を含む構成が好ましい。
本態様にあっては、第1特定部は、複数日の第1所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、各リンクを通過する車両の速度に応じて増減する統計値を算出する。つまり、第1特定部は、各リンクの車両の恒常的な速度を統計値として算出する。従って、第1特定部にて特定した統計量と、第2特定部にて特定した走行情報とに基づいて、突発的ないし一時的に生じた速度規制等の交通規制を推定することが可能である。
(8)前記第2特定部にて特定される前記走行状態は、特定の時間帯で前記リンクを通過する車両の速度に応じて増減する値を含み、前記事象推定部は、前記第1特定部にて特定した、前記特定の時間帯における統計量と、前記第2特定部にて特定した値との差分が閾値未満であるか否かを判定する判定部を備える構成が好ましい。
本態様にあっては、特定部は、第1特定部にて特定した統計量と、第2特定部にて特定した値との差分が閾値未満であるか否かを判定することにより、突発的ないし一時的に生じた速度規制を特定する。
第2特定部にて特定した値が低い場合、車両の速度規制が行われている可能性がある。一方、路幅が狭く、道路が住宅街を通っている等の理由によって、単に車両の速度が恒常的に低いという可能性もある。そこで、第1特定部にて特定した統計量と、第2特定部にて特定した値との差分が閾値未満であるか否かを判定することにより、恒常的な状態から外れた突発的ないし一時的な速度規制を特定することができる。
(9)時計部を備え、前記第2特定部は、前記所定の時間帯が経過する都度、該時間帯の前記リンクにおける車両の走行状態を特定しており、前記事象推定部は、前記時計部が計時する時刻が属する前記時間帯の一つ前の前記時間帯の走行状態に基づいて、交通事象を推定する構成が好ましい。
本態様にあっては、第2特定部は、前記所定の時間帯が経過する都度、直近の時間帯における車両の走行状態を特定している。そして、事象推定部は、現在の交通事象を推定するに当たり、直近の時間帯、つまり現在の時間帯よりも一つ前の時間帯の走行状態に基づいて、突発的ないし一時的な交通事象を推定することができる。つまり、本態様によれば、突発的ないし一時的な交通事象を時間帯単位で推定することができる。
(10)時計部を備え、前記第2特定部は、前記時計部が計時する時刻より前の前記第2所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、前記リンクにおける車両の走行状態を特定する構成が好ましい。
本態様にあっては、第2特定部は、時計部が計時する時刻より前、第2所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、車両の走行状態を特定している。従って、第2特定部は、リアルタイムで車両の走行状態を特定し、突発的ないし一時的な交通事象を推定することができる。
(11)本発明の一態様に係る交通事象推定システムは、態様(1)〜態様(10)のいずれか一つに記載の交通事象推定装置と、車載機とを備え、前記交通事象推定装置は、前記事象推定部にて推定した交通事象を示す情報を前記車載機へ送信する通信部を備え、前記車載機は、前記交通事象推定装置から送信された情報を受信する車載通信部を備える。
本態様にあっては、交通事象推定装置は、推定した交通事象を車載機が搭載された車両へ提供することができる。その他の作用効果は、態様(1)と同様である。
なお、態様(11)は、推定した交通事象を車載機へ送信することによって、交通事象の情報を車両の運転者に提供する構成である。しかし、本態様(1)〜態様(10)に係る交通事象推定装置が推定した交通事象の提供方法がこれに限定されるものでは無い。例えば、推定して得られた交通事象の情報をラジオ電波にて各車両に提供しても良いし、インターネットにて運転者の携帯通信端末へ送信しても良いし、ビーコンを用いた通信によって運転者に提供しても良い。
(12)本発明の一態様に係る交通事象推定方法は、道路を走行する複数の車両の位置情報、速度情報及び時間情報を含むプローブ情報を取得し、取得した各車両のプローブ情報に基づいて交通事象を推定する交通事象推定方法であって、前記道路を構成する複数のリンクそれぞれにおける車両の走行状態を、第1所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、所定の時間帯毎に特定する第1特定ステップと、前記第1所定期間よりも短い第2所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、前記リンクにおける車両の走行状態を特定する第2特定ステップと、前記第1特定ステップ及び前記第2特定ステップにて特定した走行状態に基づいて、交通事象を推定するステップとを備える。
本態様にあっては、本態様は態様(1)と同様、恒常的な状態から外れた突発的ないし一時的な交通事象を推定することができる。
(13)本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、道路を走行する複数の車両の位置情報、速度情報及び時間情報を含むプローブ情報を取得し、取得した各車両のプローブ情報に基づいて交通事象を推定させるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、前記道路を構成する複数のリンクそれぞれにおける車両の走行状態を、第1所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、所定の時間帯毎に特定する第1特定部と、前記第1所定期間よりも短い第2所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、前記リンクにおける車両の走行状態を特定する第2特定部と、前記第1特定部及び前記第2特定部にて特定した走行状態に基づいて、交通事象を推定する事象推定部として機能させる。
本態様にあっては、前記コンピュータプログラムを実行するコンピュータは、態様(1)と同様、恒常的な状態から外れた突発的ないし一時的な交通事象を推定することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る交通事象推定システムとして機能する交通事象推定システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る交通事象推定システムの一構成例を示す概念図である。本実施形態1に係る交通事象推定システムは、道路Rを走行する車両Cから収集されるプローブ情報に基づいて、各リンクの現在の交通事象を推定するシステムである。プローブ情報は、車両Cの位置情報、速度情報、時間情報等を含む。リンクは、隣接する2つの交差点の道路区間であり、車両Cが走行する道路Rを論理的に構成するものである。各リンクは、交差点に対応するノードによって接続され、道路網を論理的に構成する。
交通事象推定システムは、通信網Nに接続された交通事象推定装置1と、複数の車両Cに搭載された車載機2とを備える。車載機2には、車両Cの速度を検出する検出器3が接続されており、車載機2は、車両Cの位置情報、時間情報、検出器3にて検出した速度情報等を含むプローブ情報を、通信網Nを介して交通事象推定装置1へ送信する。交通事象推定装置1は、該車載機2から送信されたプローブ情報を受信し、蓄積する。交通事象推定装置1は、蓄積したプローブ情報に基づいて交通事象を推定し、各車両Cに提供する。車載機2は、交通事象推定装置1から送信された交通事象の情報を受信し、受信した情報を用いて各種処理を実行する。例えば、受信した情報に基づいて、車両Cの自動運転を行い、又は交通事象の情報を表示又は音声出力することによって運転者に報知する等の処理を実行する。また、車載機2は、推定された交通事象の情報を用いて、目的地への経路探索を行っても良い。
図2は本発明の実施形態1に係る交通事象推定装置1の一構成例を示すブロック図である。交通事象推定装置1は、例えば、該交通事象推定装置1の各構成部の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)等の制御部11を備えたコンピュータである。制御部11には、バスを介して、ROM12、RAM13、通信部14、記憶部15及び時計16が接続されている。
ROM12は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性メモリであり、コンピュータの初期動作に必要な制御プログラムを記憶している。
RAM13は、DRAM(Dynamic RAM)、SRAM(Static RAM)等のメモリであり、制御部11の演算処理を実行する際にROM12及び記憶部15から読み出された制御プログラム及び後述のコンピュータプログラム41、又は制御部11の演算処理によって生ずる各種データを一時記憶する。
通信部14は、外部の車載機2との間で各種情報を送受信するためのインタフェースであり、通信部14による各種情報の送受信は制御部11によって制御される。例えば、通信部14は、交通事象を推定するための情報として、車載機2から送信されるプローブ情報を受信する。また、通信部14は、推定された現在の交通事象の情報を車載機2へ送信する。
時計16は月日及び時刻を計時している。時計16はカレンダー情報を有しており、制御部11は該時計16から現在の月日及び時刻などの時間情報を取得することができる。
記憶部15は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。記憶部15は、制御部11が交通事象推定装置1の各構成部の動作を制御することにより、コンピュータを交通事象推定装置1として機能させるためのコンピュータプログラム41を記憶している。コンピュータプログラム41は、蓄積したプローブ情報に基づいて交通事象を推定し、推定して得た交通事象の情報を車載機2へ送信する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
本実施形態1に係るコンピュータプログラム41は、記録媒体4にコンピュータ読み取り可能に記録されている態様でも良い。記録媒体4は、蓄積したプローブ情報に基づいて交通事象を推定し、推定して得られた交通事象の情報を車載機2へ提供する処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム41を記憶している。記憶部15は、図示しない読出装置によって記録媒体4から読み出されたコンピュータプログラム41を記憶する。記録媒体4はCD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等の光ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク等の磁気ディスク、磁気光ディスク、半導体メモリ等である。また、通信網Nに接続されている図示しない外部コンピュータから本実施形態1に係るコンピュータプログラム41をダウンロードし、記憶部15に記憶させても良い。
また、記憶部15は、地図情報15a、プローブ情報DB(Data Base)15b及び事象DB15cを記憶している。地図情報15aは、車両Cが走行する道路R及び建物等を表す画像データを含む。また地図情報15aは、複数のリンクのノードの位置と、各リンクにおける平均移動時間等の各種情報とを対応付けた情報を記憶している。平均移動時間は各リンクを移動するために必要な時間である。
図3はプローブ情報DB15bのレコードレイアウト例を示す概念図である。プローブ情報DB15bは、車載機2から送信されたプローブ情報を格納するデータベースである。プローブ情報DB15bは、受信した複数のプローブ情報それぞれに付されたプローブ情報番号(NO)、車両Cを識別するための識別子、車両Cの位置、速度、車両走行時の月日及び時刻等の情報を対応付けて記憶している。識別子は例えば「0001」等の数値で表される。位置は、例えば緯度及び経度によって表される。
図4は実施形態1に係る事象DB15cのレコードレイアウト例を示す概念図である。事象DB15cは、道路Rを構成する複数のリンクそれぞれにおける通過車両の統計値を、所定の時間帯毎に格納したデータベースである。事象DB15cは、リンクIDと、時間帯と、通過車両の統計値とを対応付けて記憶している。リンクIDは、道路Rを論理的に構成する複数のリンクそれぞれに固有のIDである。時間帯は、24時間を所定の時間間隔で区分して得られるものである。図4は、24時間を15分毎に区分した例を示している。通過車両の統計値は、各時間帯において、各リンクを車両Cが通過した台数に係る統計値である。統計値は、例えば通過車両台数の平均値、Xパーセンタイル値、最頻値等の情報であり、所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて算出される。
図5は通過車両の統計値の算出方法を示す概念図である。図5中、上の表は、通過車両の統計値を算出する元になるサンプルを示している。図5中、下の表は前記サンプルに基づいて算出された通過車両の統計値を示している。ここでは、リンク「0001」及び時間帯「12:00〜12:15」における統計値を算出する方法を説明する。まず、制御部11は、時間帯「12:00〜12:15」において、リンク「0001」に進入し、かつ退出した車両Cの台数をプローブ情報に基づいて、所定期間にわたって1日単位で算出する。制御部11は、車両Cのプローブ情報に基づいて車両Cの軌跡を求めることができ、前記時間帯において、前記リンクの一端部から進入し、リンクを進行し、前記リンクの他端部から退出した車両Cを特定することができる。ここでは、制御部11は、リンクに進入しただけの車両C、リンクから退出しただけの車両C、リンクを移動するのみで進入及び退出していな車両Cは、通過した車両Cの台数として計数しない。
所定期間は、例えば数週間〜数ヶ月の期間である。図5は31日分の日毎の通過車両台数を算出した例を示している。そして、制御部11は、算出して得た31日分の通過車両台数に基づいて、リンク「0001」及び時間帯「12:00〜12:15」における通過車両台数の統計値、例えば平均通過台数を算出する。同様にして、制御部11は、各リンク及び各時間帯における通過車両の統計値を算出する。このようにして算出して得られた統計値は、各リンクの恒常的な交通状況を時間帯毎に示したものと言える。制御部11は算出して得た各リンク及び各時間帯の統計値を事象DB15cに格納する。
図6は本発明の実施形態1に係る車載機2の一構成例を示すブロック図である。車載機2は、例えば、該車載機2の各構成部の動作を制御するCPU等の制御部21を備えたコンピュータである。制御部21には、バスを介して、ROM22、RAM23、車載通信部24、記憶部25、表示部26、操作部27、時計28,位置検出部29及び取得部30が接続されている。制御部21、ROM22、RAM23、記憶部25及び時計28のハードウェア構成は交通事象推定装置1と同様である。
車載通信部24は、外部の交通事象推定装置1との間で各種情報を送受信するためのインタフェースであり、車載通信部24による各種情報の送受信は制御部21によって制御される。
表示部26は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパ等の表示デバイスである。
操作部27は、表示部26に対する指の接触による静電容量又は電気容量の変化によって、指の接触位置を検出するタッチセンサである。なお、タッチセンサは操作部27の一例であり、マウス、タッチペン等のポインティングデバイス、各種キーであっても良い。
位置検出部29は、GPS受信機を備える。GPS受信機は、人工衛星(GPS衛星)と共にGPSシステムを構成しており、人工衛星からの電波を受信し、自身の位置情報を取得する。
取得部30は、車両Cに搭載された検出器3から出力される検出値に係る情報が入力するインタフェースである。検出器3は、例えば車両Cの速度を検出する車速センサ等を備え、取得部30は速度情報等を取得する。
なお、車載機2は、専用機であっても良いし、アプリケーションソフトを実行することによってカーナビゲーション機能を実現するスマートフォン等の通信端末であっても良い。また、車載機2は携帯型であっても良いし、車両Cに固定的に搭載されるものであっても良い。
図7及び図8は、本実施形態1に係る交通事象推定処理の手順を示すフローチャートである。以下、説明の便宜上、プローブ情報の収集処理と、交通事象を推定する元になる統計量の算出処理と、交通事象の推定処理とを一連の処理として説明するが、言うまでもなく各処理を任意のタイミングで各別に実行しても良い。
車載機2の制御部21は、位置検出部29にて車両Cの位置を検出する(ステップS11)。そして、制御部21は、車両Cの速度を検出する検出器3から速度情報を取得部30にて取得する(ステップS12)。次いで、制御部21は時計28にて計時を行う(ステップS13)。具体的には、制御部21は時計28から現在の日時及び時刻を示した時間情報を取得する。次いで、制御部21は車両Cの位置情報、速度情報、日時及び時刻等の時間情報を含むプローブ情報を、車両Cの識別子と共に、車載通信部24にて交通事象推定装置1へ送信する(ステップS14)。なお、車両Cの識別子は記憶部25が記憶している。車両Cに搭載された車載機2は、プローブ情報を交通事象推定装置1へ送信する処理を間欠的に実行している。例えば、車載機2は、車両Cの位置及び速度等の情報を数秒毎に検出し、検出して得たプローブ情報をまとめて、数分毎に定期的に交通事象推定装置1へ送信している。なお、車両Cの速度及び位置の検出周期、プローブ情報の送信周期等は一例であり、特に限定されるものでは無い。
交通事象推定装置1の制御部11は、車載機2から間欠的に送信されたプローブ情報を通信部14にて受信し(ステップS15)、受信したプローブ情報を記憶部15に記憶させる(ステップS16)。つまり、制御部11は、受信したプローブ情報をプローブ情報DB15bに格納する。具体的には、制御部11は、プローブ情報に含まれる車両Cの位置、速度、日時及び時刻の情報を車両Cの識別子に対応付けて、プローブ情報DB15bに格納させる。ステップS15及びステップS16の処理によって、複数の車両Cのプローブ情報を収集することができる。プローブ情報の収集は常時行われる。
そして、制御部11は、事象DB15cの更新時期であるか否かを判定する(ステップS17)。事象DB15cは例えば、1日毎に更新すれば良く、制御部11は所定の時刻において事象DB15cを更新する。事象DB15cの更新タイミングであると判定した場合(ステップS17:YES)、制御部11は、複数の時間帯毎に、所定期間(第1所定期間)にわたる各リンクの通過車両台数の統計値を特定する(ステップS18)。そして、制御部11は、ステップS18にて特定した統計値を事象DB15cに記憶させることによって、事象DB15cを更新する(ステップS19)。
ステップS19の処理を終えた場合、又はステップS17において事象DB15cの更新時期で無いと判定された場合(ステップS17:NO)、制御部11は、時計16が計時している現時刻を参照し、次時間帯が始まったか否かを判定する(ステップS20)。本実施形態1に係る複数の時間帯は0分、15分、30分、45分のタイミングで区分されているため、制御部11は、当該時点において次時間帯が始まるものと判定する。
次時間帯が始まったと判定した場合(ステップS20:YES)、制御部11は、前時間帯(第2所定期間)における各リンクの通過車両台数を特定する(ステップS21)。つまり、制御部11は、現時点の直近の時間帯における前記リンクの通過車両台数を特定する。ステップS21の処理を終え、又はステップS20において次時間帯が始まっていないと判定した場合(ステップS20:NO)、制御部11、交通事象の判定対象であるリンクの前時間帯における車両C通過台数に係る統計値が第1閾値以上であるか否かを判定する(ステップS22)。第1閾値は例えば所定の値であり、統計的に信頼できる統計値の下限値である。なお、ステップS21をスキップした制御部11は、本処理フローにおいて通過車両台数を算出しないことになるが、以前にステップS21を実行した際に算出した通過車両台数を保持しており、以下の処理では該通過車両台数を用いて各種処理を実行する。
統計値が第1閾値以上であると判定した場合(ステップS22:YES)、制御部11は、交通事象の判定対象である前記リンクの前時間帯における通過車両台数が第2閾値未満であるか否かを判定する(ステップS23)。第2閾値は、判定対象のリンクが通行禁止になっているか否かを判定するための値であり、その値は例えば0である。通過車両台数が第2閾値未満であると判定した場合(ステップS23:YES)、制御部11は、判定対象のリンクを、通行禁止のリンクとして記憶する(ステップS24)。
ステップS24の処理を終えた場合、ステップS22において統計値が第1閾値未満であると判定した場合(ステップS22:NO)、又はステップS23において通過車両台数が第2閾値以上であると判定した場合(ステップS23:NO)、制御部11は、ステップS22及びステップS23に係る未判定のリンクがあるか否かを判定する(ステップS25)。例えば、交通事象情報を要求する車両Cの周辺の複数のリンクを推定対象とした場合、制御部11は、該複数のリンクの全てについてステップS22〜ステップS24の処理を実行したか否かを判定する。
未判定のリンクがあると判定した場合(ステップS25:YES)、制御部11は処理をステップS22へ戻す。未判定のリンクが無く、判定対象の全てのリンクについてステップS22及びステップS23の判定処理を実行したと判定した場合(ステップS25:NO)、制御部11は、各リンクの交通事象、つまり、通行禁止のリンクを示す情報を含んだ交通事象情報を通信部14にて車載機2へ送信する(ステップS26)。
車載機2の制御部21は、交通事象推定装置1から送信された交通事象情報を車載通信部24にて受信し(ステップS27)、受信した交通事象情報を報知し(ステップS28)、処理を終える。例えば、制御部21は、交通事象情報を表示部26に表示する。
このように構成された実施形態1に係る交通事象推定装置1、交通事象推定システム、交通事象推定方法及びコンピュータプログラム41によれば、収集したプローブ情報に基づいて、各リンクの恒常的な通過車両台数を示した統計値と、現在の通過車両台数とを求め、該統計値及び通過車両台数を利用することにより、平常時と異なる突発的ないし一時的に生じた交通事象を推定することができる。
具体的には、交通事象推定装置1は、1ヶ月にわたって収集したプローブ情報に基づいて、各リンク及び各時間帯における通過車両台数の平均値を統計値として算出し、事象DB15cに格納している。事象DB15cに格納されている統計値は、各リンク及び各時間帯における恒常的な交通状況を示すものである。
一方、交通事象推定装置1は、現在の直近の時間帯における各リンクの通過車両台数を算出する。該通過車両台数は、現在の各リンクの交通状況を示すものである。
交通情報推定装置は、事象DB15cの統計値と、現在の通過車両台数とを用いて交通事象を推定する構成であるため、恒常的な交通状況を考慮した上で、現在の突発的ないし一時的に生じた通行止め等の交通規制をより正確に推定することができる。
より詳細には、交通事象推定装置1は、ステップS22〜ステップS23の処理により、平常時は恒常的に第1閾値以上の車両Cが通過しているリンクであって、現在の直近の時間帯において車両Cの通過台数が第2閾値未満になっているリンクを、恒常的な状態から外れた突発的ないし一時的な通行禁止が生じているリンクとして特定することができる。
また、交通事象推定装置1は、このようにして特定した交通事象情報を車載機2へ送信し、車載機2は該交通事象情報を受信し、運転者へ報知することができる。
更に、本実施形態1の交通事象推定装置1は、所定の時間帯毎に、現在の直近の各リンクの通過車両台数を算出し、交通事象を特定する構成であるため、処理負荷を抑えつつ、準リアルタイムで突発的ないし一時的な交通規制が生じているリンクを推定することができる。
(実施形態2)
実施形態2に係る交通事象推定システムは、突発的ないし一時的に生じた車線規制が生じたリンクを推定することを可能にするシステムである。交通事象推定装置1及び車載機2の構成は実施形態1と同様であり、車線規定の推定に係る処理内容のみが実施形態1と異なるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図9及び図10は、本実施形態2に係る交通事象推定処理の手順を示すフローチャートである。車載機2及び交通事象推定装置1は、実施形態1におけるステップS11〜ステップS17と同様の処理を実行する。ステップS17において事象DB215cの更新タイミングであると判定した場合(ステップS17:YES)、制御部11は、複数の時間帯毎に、所定期間にわたる各リンクに属する複数の車線それぞれの通過車両台数の統計値を特定する(ステップS218)。そして、制御部11は、ステップS218にて特定した統計値を事象DB215cに記憶させることによって、事象DB215cを更新する(ステップS219)。
なお、実施形態2に係る地図情報15aは、各リンクに属する複数の車線それぞれの位置情報を有しており、制御部11は、車両Cの位置から、該車両Cが走行している車線を特定することができる。いわば、各リンクは車線に対応する複数のサブリンクから構成されており、地図情報15aは各サブリンクのノードの位置を記憶している。各サブリンクのノードの位置から、両端のノードを通過する車線の位置も特定することができる。
また、ここでは、制御部11は、車線の一端部から進入し、車線変更されずに他端部から退出した車両Cを特定し、特定された車両Cに基づいて統計量を算出するものとする。
図11は、本実施形態2に係る事象DB215cのレコードレイアウト例を示す概念図である。実施形態2に係る事象DB215cは、複数のリンクそれぞれの各車線における通過車両の統計値を、所定の時間帯毎に格納したデータベースである。事象DB215cは、リンクIDと、時間帯と、車線と、該車線の通過車両の統計値とを対応付けて記憶している。統計値は、各時間帯の各車線において、当該車線を車両Cが通過した台数に係る統計値である。
ステップS219の処理を終えた場合、又はステップS17において事象DB215cの更新時期で無いと判定された場合(ステップS17:NO)、制御部11は、時計16が計時している現時刻を参照し、次時間帯が始まったか否かを判定する(ステップS220)。
次時間帯が始まったと判定した場合(ステップS220:YES)、制御部11は、前時間帯における各車線の通過車両台数を特定する(ステップS221)。ステップS221の処理を終え、又はステップS220において次時間帯が始まっていないと判定した場合(ステップS220:NO)、制御部11、交通事象の判定対象である各車線の前時間帯における車両C通過台数に係る統計値が第1閾値以上であるか否かを判定する(ステップS222)。
統計値が第1閾値以上であると判定した場合(ステップS222:YES)、制御部11は、前時間帯における第1車線の通過車両台数が第2閾値未満であるか否かを判定する(ステップS223)。通過車両台数が第2閾値未満であると判定した場合(ステップS223:YES)、制御部11は、前時間帯における第2車線の通過車両台数が第2閾値未満であるか否かを判定する(ステップS224)。第2車線の通過車両台数が第2閾値未満である場合(ステップS224:YES)、制御部11は、判定対象のリンクを、通行禁止のリンクとして記憶する(ステップS225)。
第2車線の通過車両台数が第2閾値以上である場合(ステップS224:NO)、制御部11は、判定対象のリンクを、第1車線の車線規制が行われているリンクとして記憶する(ステップS226)。
ステップS223において、第1車線の通過車両台数が第2閾値以上であると判定した場合(ステップS223:NO)、制御部11は、制御部11は、前時間帯における第2車線の通過車両台数が第2閾値未満であるか否かを判定する(ステップS227)。第2車線の通過車両台数が第2閾値未満である場合(ステップS227:YES)、制御部11は、判定対象のリンクを、第2車線の車線規制が行われているリンクとして記憶する(ステップS228)。
ステップS225,ステップS226若しくはステップS228の処理を終えた場合、ステップS222において統計値が第1閾値未満であると判定した場合(ステップS222:NO)、又はステップS227において第2車線の通過車両台数が第2閾値以上であると判定した場合(ステップS227:NO)、制御部11は、未判定のリンクがあるか否かを判定する(ステップS229)。
未判定のリンクがあると判定した場合(ステップS229:YES)、制御部11は処理をステップS222へ戻す。未判定のリンクが無く、判定対象の全てのリンクについて判定処理を実行したと判定した場合(ステップS229:NO)、制御部11は、各リンクの交通事象、つまり、車線規制及び通行禁止のリンクを示す情報を含む交通事象情報を通信部14にて車載機2へ送信する(ステップS26)。
以下、実施形態1のステップS27〜ステップS28と同様の処理を車載機2の制御部21が実行し、処理を終える。
このように構成された実施形態2に係る交通事象推定装置1、交通事象推定システム、交通事象推定方法及びコンピュータプログラム41によれば、収集したプローブ情報に基づいて、各車線の恒常的な通過車両台数を示した統計値と、各車線の現在の通過車両台数とを求め、該統計値及び通過車両台数を利用することにより、平常時と異なる突発的ないし一時的な車線規制を推定することができる。
また交通事象推定装置1は、ステップS222〜ステップS228の処理により、平常時は恒常的に第1閾値以上の車両Cが通過している車線であって、現在の直近の時間帯において車両Cの通過台数が第2閾値未満になっている車線を、恒常的な状態から外れた突発的ないし一時的な車線規制が生じているリンクとして特定することができる。
更に、交通事象推定装置1は、ステップS222〜ステップS228の処理により、突発的ないし一時的に生じた道路Rの通行止めと、車線規制とを判別し、推定することができる。
(実施形態3)
実施形態3に係る交通事象推定システムは、突発的ないし一時的に生じた速度規制が生じたリンクを推定することを可能にするシステムである。交通事象推定装置1及び車載機2の構成は実施形態1と同様であり、速度規制に係る処理内容のみが実施形態1と異なるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図12は、本実施形態3に係る交通事象推定処理の手順を示すフローチャートである。車載機2及び交通事象推定装置1は、実施形態1におけるステップS11〜ステップS17と同様の処理を実行する。ステップS17において事象DB315cの更新タイミングであると判定した場合(ステップS17:YES)、制御部11は、複数の時間帯毎に、所定期間において各リンクを構成した車両Cの最高速度の統計値V1を特定する(ステップS318)。例えば、制御部11は、31日の日毎に、各リンク及び各時間帯における車両Cの最高速度を特定し、特定された最高速度の平均値を統計値V1として算出する。
そして、制御部11は、ステップS318にて特定した統計値を事象DB315cに記憶させることによって、事象DB315cを更新する(ステップS319)。
図13は、本実施形態3に係る事象DB315cのレコードレイアウト例を示す概念図である。事象DB315cは、道路Rを構成する複数のリンクそれぞれにおける車両Cの最高速度の統計値V1を、所定の時間帯毎に格納したデータベースである。事象DB315cは、リンクIDと、時間帯と、最高速度の統計値とを対応付けて記憶している。
ステップS319の処理を終えた場合、又はステップS17において事象DB315cの更新時期で無いと判定された場合(ステップS17:NO)、制御部11は、時計16が計時している現時刻を参照し、次時間帯が始まったか否かを判定する(ステップS320)。
次時間帯が始まったと判定した場合(ステップS320:YES)、制御部11は、前時間帯における各リンクの最高速度V2を特定する(ステップS321)。ステップS321の処理を終え、又はステップS320において次時間帯が始まっていないと判定した場合(ステップS320:NO)、制御部11、同リンク及び同時間帯における統計値V1から最高速度V2を減算した速度差が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS322)。速度差が閾値以上であると判定した場合(ステップS322:YES)、制御部11は、判定対象のリンクを、速度規制があるリンクとして記憶する(ステップS323)。
ステップS323の処理を終えた場合、又は速度差が閾値未満であると判定した場合(ステップS322:NO)、制御部11は、未判定のリンクがあるか否かを判定する(ステップS324)。
未判定のリンクがあると判定した場合(ステップS324:YES)、制御部11は処理をステップS322へ戻す。未判定のリンクが無く、判定対象の全てのリンクについて判定処理を実行したと判定した場合(ステップS324:NO)、制御部11は、各リンクの交通事象、つまり、通行禁止のリンクを示す情報を含む交通事象情報を通信部14にて車載機2へ送信する(ステップS26)。
以下、実施形態1のステップS27〜ステップS28と同様の処理を車載機2の制御部21が実行し、処理を終える。
このように構成された実施形態3に係る交通事象推定装置1、交通事象推定システム、交通事象推定方法及びコンピュータプログラム41によれば、収集したプローブ情報に基づいて、各車線の恒常的な車両Cの最高速度を示した統計値と、各車線の現在の車両Cの最高速度とを求め、該統計値及び現在の最高速度を利用することにより、平常時と異なる突発的ないし一時的な速度規制を推定することができる。
また交通事象推定装置1は、ステップS322〜ステップS323の処理により、前記統計値及び現在の最高速度の差分が閾値以上であるか否かを判定することにより、平常時は恒常的にある程度の速度で車両Cが走行しており、かつ直近の時間帯において車両Cの速度が平常時に比べて大きく低下している場合、速度規制が生じているリンクとして特定することができる。
なお、本実施形態3では、速度規制が生じているリンクを推定するために、各リンクを走行する車両Cの最高速度を算出する例を説明したが、これは一例であり、平均値、最頻値等を利用しても良い。
(実施形態4)
実施形態4に係る交通事象推定システムは、突発的ないし一時的に生じた交通事象の推定を時間帯毎では無く、リアルタイムで推定することを可能にするシステムである。交通事象推定装置1及び車載機2の構成は実施形態1と同様であり、交通事象をリアルタイムで推定する点が実施形態1と異なるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図14は、本実施形態3に係る交通事象推定処理の手順を示すフローチャートである。車載機2及び交通事象推定装置1は、実施形態1におけるステップS11〜ステップS17と同様の処理を実行する。ステップS17において事象DB15cの更新タイミングであると判定した場合(ステップS17:YES)、制御部11は、複数の時間帯毎に、第1所定期間にわたる各リンクの通過車両台数の統計値を特定する(ステップS418)。そして、制御部11は、ステップS418にて特定した統計値を事象DB15cに記憶させることによって、事象DB15cを更新する(ステップS419)。
ステップS419の処理を終えた場合、又はステップS17において事象DB15cの更新時期で無いと判定された場合(ステップS17:NO)、制御部11は、時計16が計時している現時刻を参照し、現時刻を基準にして直近の第2所定期間にわたる各リンクの通過車両台数を特定する(ステップS420)。例えば、制御部11は、時間帯の区分に拘わらず、現時点より前、15分の期間において各リンクを通過した車両Cの台数を特定する。
以下、実施形態1のステップS22〜ステップS28と同様の処理を交通事象推定装置1及び車載機2の制御部21が実行し、処理を終える。なお、ステップS22の判定処理で使用する統計値は、現時刻が属する時間帯の統計値を利用しても良いし、現時刻が属する時間帯の前時間帯の統計値を利用しても良い。また、現時刻が属する時間帯の統計値と、前時間帯の統計値との両方が第1閾値以上であるか否かを判定するように構成しても良い。
実施形態4によれば、交通事象推定装置1は、現在の各リンクの通過車両台数を、時計28が計時する現時刻の直近の第2所定期間にわたって収集されたプローブ情報に基づいて算出する。そして、交通事象推定装置1は、このように算出された直近の通過車両台数が第2閾値未満であるか否かを判定することにより、交通規制が生じているリンクを判定している。従って、実施形態4によれば、実施形態1に比べてよりリアルタイムで、突発的ないし一時的な交通事象を推定することができる。
なお、本実施形態4を実施形態1の変形として説明したが、本実施形態4の技術的構成を本実施形態2及び実施形態3に適用し、交通事象推定装置1を構成しても良い。
1 交通事象推定装置
2 車載機
3 検出器
4 記録媒体
11 制御部
12 ROM
13 RAM
14 通信部
15 記憶部
15a 地図情報
15b プローブ情報DB
15c 事象DB
16 時計
21 制御部
22 ROM
23 RAM
24 車載通信部
25 記憶部
26 表示部
27 操作部
28 時計
29 位置検出部
30 取得部
41 コンピュータプログラム
C 車両
N 通信網
R 道路

Claims (13)

  1. 道路を走行する複数の車両の位置情報、速度情報及び時間情報を含むプローブ情報を取得するプローブ情報取得部を備え、該プローブ情報取得部が取得した各車両のプローブ情報に基づいて交通事象を推定する交通事象推定装置であって、
    前記道路を構成する複数のリンクそれぞれにおける車両の走行状態を、前記プローブ情報取得部が第1所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、所定の時間帯毎に特定する第1特定部と、
    前記プローブ情報取得部が前記第1所定期間よりも短い第2所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、前記リンクにおける車両の走行状態を特定する第2特定部と、
    前記第1特定部及び前記第2特定部にて特定した走行状態に基づいて、交通事象を推定する事象推定部と
    を備える交通事象推定装置。
  2. 前記第1所定期間は複数日にわたる期間であり、
    前記第1特定部にて特定される前記走行状態は、前記リンクを通過する車両の台数に応じて増減する統計量を含む
    請求項1に記載の交通事象推定装置。
  3. 前記第2特定部にて特定される前記走行状態は、特定の時間帯で前記リンクを通過する車両の台数に応じて増減する値を含み、
    前記事象推定部は、
    前記第1特定部にて特定した、前記特定の時間帯における統計量が第1閾値以上であり、かつ前記第2特定部にて特定した値が第2閾値未満であるか否かを判定する判定部を備える
    請求項2に記載の交通事象推定装置。
  4. 前記第1所定期間は複数日にわたる期間であり、
    前記第1特定部にて特定される前記走行状態は、前記道路が複数の車線を有する場合、前記リンクの各車線を通過する車両の台数に応じて増減する統計量を含む
    請求項1に記載の交通事象推定装置。
  5. 前記第2特定部にて特定される前記走行状態は、特定の時間帯で各車線を通過する車両の台数に応じて増減する値を含み、
    前記事象推定部は、
    前記第1特定部にて特定した、前記特定の時間帯における各車線の統計量が第1閾値以上であり、かつ前記第2特定部にて特定した前記車線に係る値が第2閾値未満であるか否かを判定する判定部を備える
    請求項4に記載の交通事象推定装置。
  6. 前記判定部は、
    前記第1特定部にて特定した各車線の統計量が第1閾値以上であり、前記第2特定部にて特定した第1の前記車線に係る値が第2閾値未満であり、第2の前記車線に係る値が第2閾値以上であるか否かを判定する
    請求項5に記載の交通事象推定装置。
  7. 前記第1所定期間は複数日にわたる期間であり、
    前記第1特定部にて特定される前記走行状態は、前記リンクを通過する車両の速度に応じて増減する統計量を含む
    請求項1に記載の交通事象推定装置。
  8. 前記第2特定部にて特定される前記走行状態は、特定の時間帯で前記リンクを通過する車両の速度に応じて増減する値を含み、
    前記事象推定部は、
    前記第1特定部にて特定した、前記特定の時間帯における統計量と、前記第2特定部にて特定した値との差分が閾値未満であるか否かを判定する判定部を備える
    請求項7に記載の交通事象推定装置。
  9. 時計部を備え、
    前記第2特定部は、
    前記所定の時間帯が経過する都度、該時間帯の前記リンクにおける車両の走行状態を特定しており、
    前記事象推定部は、
    前記時計部が計時する時刻が属する前記時間帯の一つ前の前記時間帯の走行状態に基づいて、交通事象を推定する
    請求項1〜請求項8のいずれか一つに記載の交通事象推定装置。
  10. 時計部を備え、
    前記第2特定部は、
    前記時計部が計時する時刻より前の前記第2所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、前記リンクにおける車両の走行状態を特定する
    請求項1〜請求項8のいずれか一つに記載の交通事象推定装置。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれか一つに記載の交通事象推定装置と、
    車載機と
    を備え、
    前記交通事象推定装置は、
    前記事象推定部にて推定した交通事象を示す情報を前記車載機へ送信する通信部を備え、
    前記車載機は、
    前記交通事象推定装置から送信された情報を受信する車載通信部を備える
    交通事象推定システム。
  12. 道路を走行する複数の車両の位置情報、速度情報及び時間情報を含むプローブ情報を取得し、取得した各車両のプローブ情報に基づいて交通事象を推定する交通事象推定方法であって、
    前記道路を構成する複数のリンクそれぞれにおける車両の走行状態を、第1所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、所定の時間帯毎に特定する第1特定ステップと、
    前記第1所定期間よりも短い第2所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、前記リンクにおける車両の走行状態を特定する第2特定ステップと、
    前記第1特定ステップ及び前記第2特定ステップにて特定した走行状態に基づいて、交通事象を推定するステップと
    を備える交通事象推定方法。
  13. コンピュータに、道路を走行する複数の車両の位置情報、速度情報及び時間情報を含むプローブ情報を取得し、取得した各車両のプローブ情報に基づいて交通事象を推定させるコンピュータプログラムであって、
    前記コンピュータを、
    前記道路を構成する複数のリンクそれぞれにおける車両の走行状態を、第1所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、所定の時間帯毎に特定する第1特定部と、
    前記第1所定期間よりも短い第2所定期間にわたって取得したプローブ情報に基づいて、前記リンクにおける車両の走行状態を特定する第2特定部と、
    前記第1特定部及び前記第2特定部にて特定した走行状態に基づいて、交通事象を推定する事象推定部と
    して機能させるコンピュータプログラム。
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