JP2016186159A - 杭基礎補修方法、杭基礎補修キット及び杭基礎構造 - Google Patents
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Abstract
Description
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態の目的は、地震によって隙間が生じた杭基礎の地盤反力を地震発生前と同程度まで回復させることが可能な杭基礎補修方法、該方法に用いられる杭基礎補修キット、及び、該方法に適した杭基礎構造を提供することにある。
地震により杭と地盤の間に生じた隙間に、前記地震の後に充填材を圧入する充填材圧入工程を備える。
前記杭の一端側に、前記充填材が圧入されることにより膨張可能な袋体を取り付ける袋体取り付け工程と、
前記袋体が地中に埋設されるように前記杭を設置する杭設置工程と、
前記袋体に充填材を供給するための供給管を配管する配管工程と、
を更に備え、
前記充填材圧入工程において、前記供給管を通じて前記袋体に前記充填材を供給する。
前記袋体取り付け工程において複数の前記袋体を前記杭に同心上に取り付け、
前記充填材圧入工程において前記複数の袋体のうち何れか1つに前記充填材を圧入する。
前記袋体取り付け工程において、複数の前記杭の各々に前記袋体を取り付け、
前記配管工程において、前記供給管としてヘッダ管及び複数の分岐管を用意し、複数の杭の各々に取り付けられた前記袋体と前記ヘッダ管との間を前記分岐管で接続し、
前記充填材圧入工程において、前記複数の杭の各々に取り付けられた袋体に前記ヘッダ管及び前記分岐管を通じて前記充填材を同時に充填する。
前記充填材圧入工程において、前記杭と地盤との間の隙間にジャッキを用いて充填材を圧入する。
上記構成(5)によれば、ジャッキを用いて充填材を圧入することで、隙間を埋めながら地盤を確実に締め固めることができる。
地盤に埋設された杭と、
前記杭の上端側を囲むように前記杭に取り付けられた状態で地盤に埋設され、充填材の圧入により膨張可能な袋体と、
を備える。
前記袋体に充填材を供給するための供給管を更に備える。
上記構成(7)によれば、供給管を通じて袋体に対し充填材を容易に圧入することができる。
複数の前記杭が地盤に埋設され、
前記袋体は前記複数の杭の各々に取り付けられ、
前記供給管は、ヘッダ管及び前記ヘッダ管に接続された複数の枝管を含み、
前記前記ヘッダ管が前記複数の枝管を介して複数の前記袋体と連通している。
地盤に埋設された杭と、
前記杭の頭部との間に開口が存在する状態で前記頭部を囲むように設けられた梁と、
前記開口を閉塞するように前記頭部と前記梁の間に着脱可能に配置された複数の蓋部材と、を備え、
前記開口は、地震により前記杭と地盤の間に生じた隙間に前記地震の後に充填材を圧入可能な大きさを有する。
地盤に埋設された杭と、
前記杭の上端部を囲み、相互に直交する複数の第1側面を有するパイルキャップと、
前記複数の第1側面から水平方向にそれぞれ延びる複数の梁と、
を備え、
前記パイルキャップは、鉛直軸の周方向にて前記複数の第1側面の間に、前記複数の第1側面の法線方向とは異なる法線方向を有する少なくとも1つの第2側面を更に有する。
地震により杭と地盤の間に生じた隙間に、前記地震の後に圧入可能な杭基礎補修キットであって、
前記杭の外周面の周方向に沿って配列可能な複数のブロックを備える。
前記複数のブロックは、前記杭の外周面の周方向及び前記杭の軸線方向に配列可能な複数のブロックによって構成されている。
上記構成(12)によれば、複数のブロックが杭の軸線方向に配列されるので、1つ1つのブロックを小さくすることができる。このため、作業スペースの天井高にかかわらずに、所望の深さまでブロックを圧入することができる。
前記杭の軸線方向に配列される前記複数のブロックは相互に係合可能である。
上記構成(13)によれば、杭の軸線方向に配列される複数のブロックが相互に係合可能であるので、隙間の深さにかかわらずに、ブロックを隙間に容易に圧入することができる。
前記杭の外周面の周方向に配列される前記複数のブロックは相互に連結可能である。
上記構成(14)によれば、杭の外周面の周方向に配列される複数のブロックが相互に連結可能であるので、連結された状態のブロックを圧入することができ、ブロックを隙間に容易に圧入することができる。
前記複数のブロックのうち少なくとも一部は楔形の断面形状を有する。
上記構成(15)によれば、複数のブロックのうち少なくとも1部が楔形の断面形状を有するので、ブロックを隙間に容易に圧入することができる。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
ここで、図4、図11、図12、図17〜図19及び図22は、充填材圧入工程S10によって、地震により生じた杭6と地盤の隙間に充填材10が圧入された状態を説明するための概略的な断面図である。
図5は、袋体取り付け工程S12を説明するための図である。図5に示したように、袋体取り付け工程S12では、杭6の一端側に、充填材10が圧入されることにより膨張可能な少なくとも1つの袋体14が取り付けられる。
袋体14は、杭6の一端側を囲むように設けられ、充填材10の注入口16を有する。袋体14は、例えば、樹脂製のシート18によって構成され、シート18が、杭6の軸線方向に離間した2箇所で、固定部材20によって杭6に固定される。
配管工程S16では、図4、図7、図8及び図10に示したように、袋体14に充填材10を供給するための供給管22を配管する。
そして、充填材圧入工程S10において、供給管22を通じて袋体14に充填材10を供給し、袋体14を膨張させる。
幾つかの実施形態では、複数の袋体14が杭6に同心上に取り付けられているときに、内側の袋体14から順に充填材10が圧入される。
そして、配管工程S16において、供給管22としてヘッダ管24及び複数の分岐管26を用意し、複数の杭6の各々に取り付けられた袋体14とヘッダ管24とを分岐管26で接続する。
それから、充填材圧入工程S10において、複数の杭6の各々に取り付けられた袋体14にヘッダ管24及び分岐管26を通じて充填材10を同時に充填する。
幾つかの実施形態では、図9に示したように、供給管22内における充填材10の圧力を測定する圧力計30が供給管22に取り付けられる。例えば、圧力計30はヘッダ管24に取り付けられる。
上記した構成によれば、流量計32によって測定された充填材10の流量の積算値に基づいて、充填材圧入工程S10の終了時期を判定することができる。すなわち、充填材10の流量の積算値が予め設定された閾値を超えたときに、隙間に充填材10が十分に圧入され、周辺の地盤が締め固められたとみなして、充填材圧入工程S10を終了することができる。
上記した構成によれば、制御装置34は、圧力計30によって測定された充填材10の圧力に基づいて、充填材圧入工程S10の終了時期を判定し、圧送装置28を停止させることができる。あるいは、制御装置34は、流量計32によって測定された充填材10の流量の積算値に基づいて、充填材圧入工程S10の終了時期を判定し、圧送装置28を停止させることができる。また、制御装置34は、圧力計30によって測定された充填材10の圧力及び流量計32によって測定された充填材10の流量の積算値に基づいて、充填材圧入工程S10の終了時期を判定し、圧送装置28を停止させることができる。
なお、単位時間当たりの充填材10の流量が既知であれば、圧送時間を計測するタイマーによって圧送時間を計測し、圧送時間に基づいて充填材圧入工程S10の終了時期を判定してもよい。
上記構成によれば、ジャッキ36を用いて充填材10を圧入することで、隙間を埋めながら地盤を確実に締め固めることができる。
幾つかの実施形態では、図12、図17〜図19及び図22に示したように、充填材10の全部又は一部は、複数のブロック38によって構成される。
ブロック38は、周辺の地盤よりも硬さ(弾性係数及び一軸圧縮強度)が大きい材料、例えば木材、樹脂、コンクリート又は金属等によって構成されている。
地震時の杭6の水平方向での変位量は上方ほど大きく、地震によって杭6と地盤との間に生じる隙間は、上方に近付くほど大きくなる。このため、上記構成のようにブロック38が楔形の断面形状を有していれば、ブロック38によって隙間を適切に埋めることができる。また、ブロック38が楔形の断面形状を有していれば、圧入のための荷重が過度に大きくなることはなく、隙間に対しブロック38を容易に圧入することができる。
上記構成によれば、環状に配列されたブロック38を圧入するときに、ブロック38が相互に連結されているので、ブロック38の姿勢が安定し、ブロック38が杭6に沿って円滑に下降することができる。このため、隙間に対しブロック38を容易に圧入することができる。
幾つかの実施形態では、図13に示したように、複数のブロック38はボルトによって相互に締結される。
上記構成によれば、複数のブロック38が杭6の軸線方向に配列されるので、1つ1つのブロック38を小さくすることができる。このため、作業スペースの天井高にかかわらずに、所望の深さまでブロック38を圧入することができる。例えば作業スペースは、杭基礎構造3と上部構造5との間に設けられるメンテナンスピットである。詳細は後述する。
杭6と地盤との間に形成される隙間は、深くなるほど徐々に狭くなる。上記構成によれば、先に圧入されるブロック38の方が薄いことで、隙間の幅に応じた適切な厚さのブロック38を圧入することができ、所望の深さまでブロック38を容易に圧入することができる。
上記構成によれば、杭6の軸線方向に配列される複数のブロック38が相互に係合可能であるので、上方に位置するブロック38に荷重を加えたときに、下方に位置するブロック38まで荷重が確実に伝わる。このため隙間が深くても、隙間に対し複数のブロック38を容易に圧入することができる。
幾つかの実施形態では、図16に示したように、杭6の軸線方向にブロック38を係合するために、各ブロック38には凸部40と、凸部40を受け入れ可能な凹部42が設けられている。
幾つかの実施形態では、図16に示したように、凸部40は2つ以上のピン44によって構成され、凹部42はピン44を受け入れ可能な孔46によって構成されている。
幾つかの実施形態では、図17に示したように、充填材10は、粒状物とブロック38によって構成され、隙間の深い領域に粒状物が圧入され、隙間の浅い領域にブロック38が圧入される。
この構成によれば、粒状物及びブロック38によって、隙間をもれなく埋めることができる。
この構成によれば、地震が繰り返し起こることによって、再度隙間が発生したとしても、隙間に対し粒状物及びブロック38のうち一方又は両方を圧入することによって、隙間を埋めて、地盤反力を回復させることができる。
幾つかの実施形態では、接着層48の亀裂に粒状物としてドライモルタルを充填し、接着層48の強度を増大させる。
幾つかの実施形態では、接着層48の亀裂に粒状物を充填しながら、接着層48の内側又は外側に充填材10を圧入する。
幾つかの実施形態では、接着層48を粉砕して粒状物にし、該粒状物によって隙間の深い領域を埋めながら、隙間の浅い領域に充填材10を圧入する。
幾つかの実施形態では、図10に示したように、供給管22としてのヘッダ管24及び分岐管26は、フーチング50の内部又はフーチング50の表面に沿って設けられる。
幾つかの実施形態では、複数の蓋部材58は梁54よりも硬く、高い弾性係数を有する。例えば複数の蓋部材58は、コンクリートや金属によって構成される。
幾つかの実施形態では、梁54が杭6に密着するように設けられている。この場合、杭基礎構造3の補修のために、杭6周辺の梁54の部分、換言すれば連結体8の一部を撤去し、杭6と地盤との間の隙間に近付く。隙間に充填材10を充填後、撤去した連結体8の部分を補修する。
幾つかの実施形態では、杭6としての既製杭は予め掘削された孔に埋め込まれる。
幾つかの実施形態では、杭6としての既製杭は、孔の掘削前又は孔の掘削と並行して、地盤に打ち込まれるか又は圧入される。
例えば、場所打ち杭の場合、孔の真円度が低く、地震により生じる隙間の幅が周方向にばらつくことがある。幾つかの実施形態では、隙間の幅が周方向に異なる場合、隙間の幅に応じて厚さの異なるブロック38が圧入される。
幾つかの実施形態では、隙間の幅が周方向に異なる場合、周方向にて4つ以上のブロック38が圧入される。
3 杭基礎構造(下部構造)
5 上部構造
6 杭
8 連結体
10 充填材
14 袋体
16 注入口
18 シート
20 固定部材
22 供給管
24 ヘッダ管
26 分岐管
28 圧送装置
30 圧力計
32 流量計
34 制御装置
36 ジャッキ
38 ブロック
40 凸部
42 凹部
44 ピン
46 孔
48 接着層
50 フーチング
52 免震装置
54 梁(扁平梁)
56 開口
58 蓋部材
60 ブロック(パイルキャップ)
62 梁(地中梁)
64 第1側面
66 第2側面
Claims (15)
- 地震により杭と地盤の間に生じた隙間に、前記地震の後に充填材を圧入する充填材圧入工程を備えることを特徴とする杭基礎補修方法。
- 前記杭の一端側に、前記充填材が圧入されることにより膨張可能な袋体を取り付ける袋体取り付け工程と、
前記袋体が地中に埋設されるように前記杭を設置する杭設置工程と、
前記袋体に充填材を供給するための供給管を配管する配管工程と、
を更に備え、
前記充填材圧入工程において、前記供給管を通じて前記袋体に前記充填材を供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の杭基礎補修方法。 - 前記袋体取り付け工程において複数の前記袋体を前記杭に同心上に取り付け、
前記充填材圧入工程において前記複数の袋体のうち何れか1つに前記充填材を圧入する
ことを特徴とする請求項2に記載の杭基礎補修方法。 - 前記袋体取り付け工程において、複数の前記杭の各々に前記袋体を取り付け、
前記配管工程において、前記供給管としてヘッダ管及び複数の分岐管を用意し、複数の杭の各々に取り付けられた前記袋体と前記ヘッダ管との間を前記分岐管で接続し、
前記充填材圧入工程において、前記複数の杭の各々に取り付けられた袋体に前記ヘッダ管及び前記分岐管を通じて前記充填材を同時に充填する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の杭基礎補修方法。 - 前記充填材圧入工程において、前記杭と地盤との間の隙間にジャッキを用いて充填材を圧入する
ことを特徴とする請求項1に記載の杭基礎補修方法。 - 地盤に埋設された杭と、
前記杭の上端側を囲むように前記杭に取り付けられた状態で地盤に埋設され、充填材の圧入により膨張可能な袋体と、
を備えることを特徴とする杭基礎構造。 - 前記袋体に充填材を供給するための供給管を更に備える
ことを特徴とする請求項6に記載の杭基礎構造。 - 複数の前記杭が地盤に埋設され、
前記袋体は前記複数の杭の各々に取り付けられ、
前記供給管は、ヘッダ管及び前記ヘッダ管に接続された複数の枝管を含み、
前記前記ヘッダ管が前記複数の枝管を介して複数の前記袋体と連通している
ことを特徴とする請求項7に記載の杭基礎構造。 - 地盤に埋設された杭と、
前記杭の頭部との間に開口が存在する状態で前記頭部を囲むように設けられた梁と、
前記開口を閉塞するように前記頭部と前記梁の間に着脱可能に配置された複数の蓋部材と、を備え、
前記開口は、地震により前記杭と地盤の間に生じた隙間に前記地震の後に充填材を圧入可能な大きさを有する
ことを特徴とする杭基礎構造。 - 地盤に埋設された杭と、
前記杭の上端部を囲み、相互に直交する複数の第1側面を有するパイルキャップと、
前記複数の第1側面から水平方向にそれぞれ延びる複数の梁と、を備え、
前記パイルキャップは、鉛直軸の周方向にて前記複数の第1側面の間に、前記複数の第1側面の法線方向とは異なる法線方向を有する少なくとも1つの第2側面を更に有する
ことを特徴とする杭基礎構造。 - 地震により杭と地盤の間に生じた隙間に、前記地震の後に圧入可能な杭基礎補修キットであって、
前記杭の外周面の周方向に沿って配列可能な複数のブロックを備える
ことを特徴とする杭基礎補修キット。 - 前記複数のブロックは、前記杭の外周面の周方向及び前記杭の軸線方向に配列可能な複数のブロックによって構成されている
ことを特徴とする請求項11に記載の杭基礎補修キット。 - 前記杭の軸線方向に配列される前記複数のブロックは相互に係合可能である
ことを特徴とする請求項12に記載の杭基礎補修キット。 - 前記杭の外周面の周方向に配列される前記複数のブロックは相互に連結可能である
ことを特徴とする請求項11乃至13の何れか1項に記載の杭基礎補修キット。 - 前記複数のブロックのうち少なくとも一部は楔形の断面形状を有する
ことを特徴とする請求11乃至14の何れか1項に記載の杭基礎補修キット。
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