JP2016186137A - 防透け性を有する織編物 - Google Patents

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Abstract

【課題】防透け性に優れ、ハリとコシ及び反発性による仕立て映えが良く、ストレッチ性、ウオッシャブル性および防しわ性に特徴のある織編物及び衣服の提供。【解決手段】セルロースアセテート繊維糸と防透け性に寄与するポリエステル系繊維糸又はポリアミド系繊維糸との複合化により織編物が設計され、(1)〜(4)等の特性を満足することにより構成される防透け性を有する織編物。(1)表裏面のL*a*b*表色系、標準光源D65で測定したL*(D65)値が、90以上(オフホワイト〜ホワイト領域)(2)前記セルロースアセテート繊維糸の混用率が70〜40質量%(3)二酸化チタンを2〜30質量%含有する前記のポリエステル系繊維糸又は前記のポリアミド系繊維糸の混用率が、30〜60質量%(4)SCI(正反射光含む)とSCE(正反射光除去)の同時測定可能な分光測色計により測定のされる織編物の防透け性が、90以上【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースアセテート繊維糸とポリエステル系繊維糸またはポリアミド系繊維糸との複合(または混合)によって得られる織編物に関するものである。
詳しくは、本発明は、セルロースアセテート繊維糸が有する優雅な光沢と発色性およびドライなタッチを損なうことなく、ポリエステル系繊維糸が有するハリやコシおよび反発性とドレープ性やドライなタッチ、およびポリアミド系繊維糸が有する適度な吸湿性による肌さわりの良さや低ヤング率特性によるしなやかでソフトな風合いを併せ持ち、さらにポリエステル系繊維糸またはポリアミド系繊維糸の両者の改良で付与が可能な優れた防透け性、UV遮蔽性、吸水性、ストレッチ性およびウオッシャブル性効果などの機能性を有する織編物、およびその織編物を用いてなる衣服に関するものである。
衣料用に使用される織物や編物などのテキスタイルに使用される繊維は、天然繊維、化学繊維および合成繊維であり、これらの繊維はそれぞれの単独使用や混用して使用される。それらの繊維を使用してなる織編物は、用いられる繊維性能によって、質感的要素としての表現力や機能的要素が付与されて、特徴や価値感等の違いによりファッション、カジュアルおよびスポーツの分野に衣料用素材として使用されている。
近年において、ファッション分野には、繊維素材として天然繊維およびセルロース系化学繊維が多く使用され、またカジュアルやスポーツ分野には、合成繊維を中心に化学繊維が多く使用される傾向にある。このような傾向は、ファッション分野においては消費者の天然繊維嗜好が強く、カジュアルやスポーツ分野においては、アウトドアー用途に必要な機能性が要求され、機能性加工技術の進歩による機能の高度化が進んでいるためと思われる。
ファッション分野の織編物に使用される合成繊維としては、最も一般的にはポリエステル系繊維が挙げられ、ナイロン繊維やアクリル繊維なども単独使用あるいは混用される。また、アセテート繊維として、ジアセテート繊維は、染色温度が常温常圧領域での対応が必要であり、一般的に高温高圧領域で染色するポリエステル繊維との混用は限定されるため、高温高圧領域で染色が可能なトリアセテート繊維が好ましく混用使用されている。
トリアセテート繊維は、繊維特性として、衣料用途に使用される繊維の中では最も低屈折率特性を有することから、分散染料染色できわめて表面反射が抑えられるため高発色性である。さらに、このトリアセテート繊維は、ポリマー基質および特徴的な繊維断面形状により独特の光沢を有するので織編物等の布帛にしたときに、他の化学繊維フィラメント糸では得られない優雅で上品な光沢と艶感を有する発色性が得られる。
しかしながら、一方でトリアセテート繊維には、他の化学繊維や合成繊維に比較して繊維特性として繊維の強度が低くもろいために、織編物の製造工程において毛羽になりやすいこととか、織編物の摩耗強度が小さく毛羽立ちやすいという着用上問題となり易いという課題を有する。そのため、ポリエステル繊維糸を中心に、他の化学繊維や合成繊維との複合や混用により性能の補完をするために、種々の品種の選択と混用技術の組み合わせにより、織編物が製造されている。
また、トリアセテート繊維と他の繊維との混用において、トリアセテート繊維がポリエステル繊維と多く複合される理由は、トリアセテート繊維の繊維特性が生機にされ染色工程で加工される際、繊維の収縮率が低く、撚糸した糸においても解撚トルクが無いため、繊維の直線的収縮のため立体的な熱的挙動変化が少ないため加工布の表面変化や、ふくらみ感などの風合い的質感に寄与する要素が少ないためである。
一方、トリアセテート繊維を使用した染色加工布は、トリアセテート繊維の低屈折率特性により黒色がより黒く、繊維断面による光沢の良さが黒の艶の良さとして表現されている。そのため、トリアセテート繊維は、婦人服用途のブラックフォーマル用テキスタイル素材として認められたことから、ポリエステル繊維糸との複合化による開発が進展し、トリアセテート繊維と相性の良いポリエステル繊維や糸加工技術さらには染色加工技術の進展がトリアセテート繊維とポリエステル繊維との混用素材の質感品質向上に大きく貢献した。
このようなブラックフォーマル用途素材開発で培われたポリエステル繊維糸と糸加工技術による婦人服のファッション用途で使用される織編物の高発色性とドライタッチの良さを訴求ポイントに、開発と展開がなされ、種々の提案が行われている。
一方、ファッション用途におけるニーズが多様化し、天然繊維や化学繊維を使用した高度な技術で構成される高感性を有する高質感織編物に対し、従来よりも高度なストレッチとストレッチバック性および吸水速乾性、さらには真っ白なボトム用途等に使用したとき、透けにくいという機能性能に対応できる織編物に強い要望がある。
これらの性能について、合成繊維100質量%を用いた開発と提案では、特にスポーツ分野等の織編物では、原糸の開発によりなされている。セルロースアセテート繊維とポリエステル繊維糸との複合化技術による透け防止効果のある布帛としては、無機粒子を添加した3葉断面アセテート繊維を用いる提案がなされている(特許文献1参照。)。しかしながら、この提案では、発色性とドライタッチ両立で白色からオフホワイト加工布で防透け性に優れた効果が得られものではなかった。
また別に、高巻縮性セルロース系繊維を用いてなる防透け性効果のある裏地用途に織物が提案されている(特許文献2参照。)。しかしながら、この提案の場合は、表地に対応出来る性能を得るには、技術的には難しいものである。
また、変色を防止するため、セルロース系繊維や化学繊維を使用した二層以上の多層構造による布帛が提案されている(特許文献3参照。)。しかしながら、この提案では、トリアセテート繊維とポリエステル系繊維の複合化によるテキスタイルで得られる高質感に対応するものとは異なるものである。
一方、オモテ面側とウラ面側の二重構造からなる布帛において、オモテ面側とウラ面側との色の差によって防透け性布帛を得る提案がされている(特許文献4参照。)。しかしながら、この提案では、表面のL*値が70以上の淡色であるが、裏面が灰色である2層構造で表裏両面がホワイトあるいはオフホワイトではないため、市場が求める防透け性効果のある白生地とは言い難い。さらにこの提案では、技術的な方法についてフルダル繊維を使用する記載はされているが、アセテート繊維の発色性およびドライ感と表裏が白で防透け性を得ることに関しては全く開示されていない。
特開2007−23396号公報 特開2006−138030号公報 特開平9−273085号公報 特開2010−126821号公報
上記のように、従来技術ではファッション衣料に多く使用される発色性、光沢と艶感、および表面の組織感あるいは着用感において、高感性と高質感を有する織編物は、例えば夏の暑い時期に裏地のない縫製仕様の衣服を着用しようとしても、透け感により不可能となる。このような場合は、密度や使用糸の太番手化で対応することになるが、このような対応では着用感を阻害し仕立て映えにも影響するものである。
セルロースアセテート繊維糸を使用した場合の織編物の高質感を保持するには、セルロースアセテート繊維糸と他の繊維糸とを混用してテキスタイル化する織編物とした場合において、セルロースアセテート繊維糸の比率は70〜80質量%が黄金比率と言われている。
一方、防透け効果のないトリアセテート繊維糸を用いてなる織編物には、防透け性効果を付与し織編物の高質感をできるだけ阻害しないような技術対応が必要である。このような観点から、防透け効果を有する原糸との複合化と織編物構造の鋭意検討により、セルロースアセテート繊維糸の比率が70質量%未満の使用においても、防透け性評価方法による防透け性指標値90%以上の防透け効果を有する織編物が得られることを確認した。
そこで本発明の目的は、特にカラーがホワイトまたはオフホワイト(わずかに灰色や黄色みを帯びた白と定義される)の織編物において、裏地を使用しない縫製仕様に対応可能な防透け性を有する織編物、およびこの織編物を用いてなる衣服を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するための観点から鋭意検討を行った。本発明は、従来からアセテート繊維糸の特性として織編物にした時ときの低屈折による高発色性、ポリマー基質、断面形状による光沢と艶感およびドライなタッチが消費者に認知されていることを意識した。すなわち、ファッション衣料としての高級感に対応する高質感を阻害せず、優れた防透け性を付与し、ストレッチ性やウオッシャブル性などの機能性を併せ持つ織編物の要求を認識した。そこで、アセテート繊維糸と防透け性に寄与するポリエステル系繊維糸またはポリアミド系繊維糸との複合化と、織編物設計により、防透け性効果として裏地を使用しない縫製仕様に対応可能な防透け性を有する織編物の完成に至った。
本発明の防透け性を有する織編物は、セルロースアセテート繊維糸とポリエステル系繊維糸またはポリアミド系繊維糸とが混用されてなる複合織編物であって、下記(1)〜(4)を満足することを特徴とする防透け性を有する織編物である。
(1)表裏面のL*a*b*表色系、標準光源D65で測定したL*(D65)値が、90以上(オフホワイト〜ホワイト領域)であること、
(2)前記のセルロースアセテート繊維糸の混用率が70〜30質量%であること、
(3)二酸化チタンを2〜30質量%含有する前記のポリエステル系繊維糸または前記のポリアミド系繊維糸の混用率が、30〜70質量%であること、および、
(4)SCI(正反射光含む)とSCE(正反射光除去)の同時測定可能な分光測色計により測定される織編物の次式(a)で示される防透け性が、90%以上であること。
・防透け性(%)=100−(Lfw−Lfb)/(Lw−Lb)×100・・・(a)
ただし、
・織編物の下に白色生地を重ねて測色したL*(D65):Lfw、
・織編物の下に黒色生地を重ねて測色したL*(D65):Lfb、
・重ねる白色生地を測色したL*(D65):Lw(標準90〜91)、
・重ねる黒色生地を測色したL*(D65):Lb(標準19〜20)。
本発明の防透け性を有する織編物の好ましい態様によれば、前記のポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維は、3〜20質量%の二酸化チタンを含有する芯サイドと0〜2質量%の二酸化チタンを含有する鞘サイドから構成される芯鞘型またはサイドバイサイド型コンジュゲート糸である。
本発明の防透け性を有する織編物の好ましい態様によれば、前記のセルロースアセテート繊維糸は、トリアセテート繊維のマルチフィラメント糸またはトリアセテート繊維の短繊維紡績糸である。
また、本発明においては、上記の防透け性効果以外の機能性や性能は、天然繊維、化学繊維および合成繊維の内、少なくとも1種以上の繊維を含む紡績糸または/およびフィラメント糸が、交織または交編されてなる織編物によって得られる。
具体的に、本発明の防透け性を有する織編物の好ましい態様によれば、さらに、タテ糸および/またはヨコ糸として、天然繊維またはセルロース系化学繊維がポリウレタン系弾性糸と複合されてなるストレッチ糸またはポリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートとのバイメタルコンジュゲート型複合糸が追加され、交織または交編されてなることである。
本発明の防透け性を有する織編物の好ましい態様によれば、前記の防透け性を有する織編物はホワイトまたはオフホワイトに染色加工されていることである。
本発明においては、前記のいずれかに記載の防透け性を有する織編物から、裏地を使用しない仕様で縫製されてなる衣服が製造される。
本発明によれば、セルロースアセテート繊維糸とポリエステル系繊維糸またはポリアミド系繊維糸の防透け性原糸を複合してなる織編物の防透け効果を高めることによって、裏地を使用しない縫製仕様衣料に適用できる織編物が得られる。
セルロースアセテート繊維糸の最大の特徴は、繊維の屈折率が低いことによる高発色性であり、繊維基質と繊維断面形状効果による光沢および高質な艶感でありドライタッチである。しかしながら、セルロースアセテート繊維糸は、ポリエステル繊維糸やポリアミド繊維糸からなる織編物の染色加工におけるアルカリや酸の影響を受けるため、加工が難しい。そのため、セルロースアセテート繊維糸の染色加工工程条件に対応することができ、セルロースアセテート繊維糸の高質感を阻害しないポリエステル系繊維糸やポリアミド系繊維糸の使用と織編物の構造設計により、防透け性効果を得ることができる。
また、織編物のカラーがオフホワイトないしホワイトのL*(D65)が90以上の領域では、防透け性効果に寄与するとともに、L*90以下のエニカラー領域では、セルロースアセテート繊維糸の特徴である高発色性、光沢や艶感に優れた織編物が同一の生機で染色できる効果が大きい。さらに、複合されるポリエステル系繊維糸またはポリアミド系繊維糸の短繊維や、マルチフィラメント糸、他の天然繊維および化学繊維を選択組み合わせることができる。これにより、織編物およびそれを使用してなる衣服において、ストレッチ性、ハリとコシや反発性とドレープ性、杢や霜降りなどの表面効果、防しわ性、およびウオッシュ・アンド・ウエア性や軽量性などの機能性を併せ持った衣料用途に優れた特性効果を発揮する織編物が得られる。
図1は、本発明の防透け性を評価するための分光測色計による測定方法を説明するための概念斜視図である。

次に、本発明の特徴ある防透け性を有する織編物について、更に詳細に説明する。
本発明の優れた防透け性を有する織編物は、セルロースアセテート繊維糸とポリエステル系繊維糸またはポリアミド系繊維糸との交織や交編等の複合化により得られる。本発明の防透け性を有する織編物は、セルロースアセテート繊維糸の繊維特性の低屈折率によるエニカラーでの高発色性と繊維基質と繊維断面形状による光沢、艶感および上品なドライタッチを有する質感を損なうことなく、白色(ホワイトないしオフホワイト領域)に染色加工した織編物において、防透け性効果とさらに衣料用としての着用性に寄与するストレッチ性やウオッシャブル性等の機能性を併せ持つことを特徴とするものである。
本発明においては、セルロースアセテート繊維糸の特徴を損なわないために、その混用率を70〜30質量%とし、織編物の表面にセルロースアセテート繊維糸が少なくとも好ましくは30質量%存在することが重要である。これは、織編物の構造としては、織物や経編であればタテ糸の2分の1以上にすることにより可能である。また、丸編みであれば、ヨコ糸の給糸口、すなわちウェルの配列により2分の1以上にすることにより可能である。また、織物の場合は、タテ糸とヨコ糸で構成されるので織物組織によって表面混率を調整することは通常可能である。
また、繊維糸の使用比率は、使用する原糸の太さも関係するので、使用される原糸の総繊度や番手の換算により設計することができる。例えば、サテン組織であれば、タテ糸がほとんど織物の表面を覆うので、セルロースアセテート繊維糸がタテ糸であれば本発明の表面効果と防透け性効果を併せ持つ織編物を得ることができる。
しかしながら、ファッション衣料の織編物に要求される質感は高度なレベルであり、組織の限定がされない。そのため、セルロースアセテート繊維糸とポリエステル系繊維糸やポリアミド系繊維糸、および、必要によりその他の繊維糸を使用して織編物を設計することが重要である。
繊維糸の複合化技術としては、交織や交編以外に、セルロースアセテート繊維糸と複合化させる繊維との合撚、交撚、混繊およびカバーリング等の技術が可能である。また、撚糸される場合の撚り数や、その他の複合条件は通常行われる範囲で実施可能である。
次に、セルロースアセテート繊維糸および複合化で使用される繊維糸について説明する。
セルロースアセテート繊維糸としては、通常ジアセテート繊維糸とトリアセテート繊維糸の2品種が好ましく使用される。ジアセテート繊維糸は、常温常圧可染型タイプであり高温染色タイプのポリエステル系繊維糸との複合化使用は好ましくない。しかしながら、ポリアミド系ナイロン系繊維糸や常温常圧可染型ポリエステル系繊維糸との複合化には使用することができる。また、トリアセテート繊維糸は、通常高温高圧染色条件で使用され通常のポリエステル系繊維糸や高温高圧領域で熱的対応できるポリアミド系繊維糸が複合化に使用することができる。
また、トリアセテート繊維糸の品種は、マルチフィラメント糸や短繊維を紡績したスパン糸を用いることができる。スパン糸の場合は、ポリエステル短繊維との混紡やフィラメント糸との長短複合紡績糸とすることができる。セルロースアセテート長繊維糸との複合化に使用すされる繊維糸としては、セルロースアセテート繊維の特徴を阻害せず、セルロースアセテート繊維使用布地の縫製品着用時の強度や摩耗など物性面の補完的役割と織編物の表面タッチやふくらみ感、こし、ハリおよび汎発性という縫製品の仕立て映え性に寄与する役割、あるいは、ストレッチ性やウオッシャブル性、防しわ性などの着用、および取扱い機能性の役割を担う目的を達成する品種の糸状が用いられる。
次に、本発明で使用されるポリエステル系繊維糸やポリアミド系繊維糸について説明する。ポリエステル系繊維糸やポリアミド系繊維糸の性能としては、ホワイトやオフホワイトの縫製生地において着用における衣服内の防透け性に効果を付与する繊維糸を使用することが好ましい態様である。
本発明の織編物に用いられる防透け性を付与するために好適に用いられる繊維糸としては、白色系のセラミックス粒子を練りこんだ原糸が有用である。白色系のセラミックス粒子としては、炭酸カルシウム、酸化マグネシウムおよび酸化チタンが挙げられるが、一般的には、紡糸において添加率も幅広く選択できるという観点から、二酸化チタンが好ましく用いられる。
本発明において、防透け性を付与する目的のポリエステル系繊維糸およびポリアミド系繊維糸としては、二酸化チタンを好ましくは2〜3質量%をポリマーに混練して紡糸したフィラメント糸の仮撚加工糸や延伸仮撚糸、あるいは紡糸した原綿を紡績したスパン糸を使用することができる。
さらに、防透け性効果を高めるためには、2酸化チタン含有量を、例えば3質量%以上30質量%以下混練したポリマーを紡糸した繊維が用いられる。例えば、芯鞘型複合紡糸口金の芯側に2酸化チタンの混練ポリマーを配した繊維が、織編物の製造工程でガイド摩耗等問題なく使用される。
これらの繊維も、フィラメント糸や短繊維を紡績したスパン糸として適用することができる。芯鞘型原糸の構造としては、短繊維の形状が丸断面や異形断面であっても良く、また、芯と鞘のポリマーがポリエステル系同士、ポリアミド系同士あるいは2つのポリマーの組み合わせとすることもできる。また、原糸の構造が、海島型や貼合せ型で、単繊維繊度が極細の場合内層側に高二酸化チタン混練された繊維であることが好ましい態様である。これらの芯鞘型繊維糸の場合も、フィラメント糸として仮撚加工やエアー加工を施し使用することができ、短繊維紡績糸としても使用することができる。
防透け性を付与するタイプのポリエステル系繊維糸やポリアミド系繊維糸と、セルロースアセテート繊維糸とを混用し、セルロースアセテート繊維糸の特徴を阻害しないように織編物を製造するには、セルロースアセテート繊維糸とさらに他の繊維糸との組み合わせにおいて、それぞれの繊維糸を単独で織編物の表面または裏面に配置させて構造を造ることが有用である。
具体的に、織物であれば、タテ糸にセルロースアセテート繊維糸を配列し、ヨコ糸に防透け効果のある繊維糸を配列させる組織を選択することが、それぞれの特徴を発揮し易い。
本発明では、織物組織として、タテ二重、ヨコ二重およびタテ・ヨコ二重組織が効果的である。タテ糸のセルロースアセテート繊維糸は、要望される織編物の質感に適応するための撚数を、好ましくは0〜2,000t/mの範囲で選択したものを使用することができる。また、タテ方向に、伸縮性付与のための他の繊維糸を複合した複合糸を使用することもできる。
また、ヨコ糸は、防透け性効果のある繊維糸を使用しタテ糸と同様に、撚数条件を選択した糸を使用することができる。例えば、具体的には、タテ二重織物組織の場合、セルロースアセテート繊維糸が織編物の布表面側を構成するタテ糸に配列され、布裏面側を構成するタテ糸にポリエステル系サイドバイサイド型コンジュゲートフィラメントを配列して織編物の質感に寄与させ、ヨコ糸には防透け性効果のポリエステル系繊維糸を配列することによって、セルロースアセテート繊維糸とポリエステル繊維糸の両者の効果を発揮させる織物が得られる。
これらの織編物を構成する繊維糸の性状としては、フィラメント糸を追撚した糸状、仮撚した糸状、仮撚糸を追撚した糸状、およびストレッチ性効果のある繊維糸と合撚やカバーリングした糸状を使用することができる。特に、仮撚加工による捲縮付与やエアー加工を施し嵩高性を付与したタイプの仮撚加工糸が、最も防透け性効果に大きく寄与する。仮撚加工糸以外の嵩高性のある繊維糸としては、ポリエステル系繊維糸あるいはポリアミド系のポリマー2成分以上の貼合せ型コンジュゲートにより3次元捲縮が発現された繊維糸が、ストレッチ性効果を合わせて付与できる点で好ましく用いられる。
また、セルロースアセテート系繊維糸は、ポリマーの性質としてセルロース原料であるため他の物質を混練することにより、紡糸された繊維は一般的に強度特性が低下する。そのため、使用量が限定される。例えば、セルロースアセテート繊維糸は、半合成繊維として、セルロース原料であるがOH基が置換されているため、吸湿性が低く制電性効果が低いが、多成分の練り込による制電性繊維を得ることが難しい。
その改善として、本発明の織編物では、ポリエステル系繊維糸またはポリアミド系繊維糸の制電性付与原糸や、セルロースアセテート系繊維糸の繊維収縮は、熱処理で制御することも難しく異収縮混繊型フィラメント糸を得ることは不可能であることから、高収縮型のポリエステル系繊維糸との混用が有用である。そのため、これらのポリエステル系繊維糸やポリアミド系繊維糸およびその他繊維糸の混用において、セルロースアセテート系繊維糸の効果を損わず、混用繊維糸の特徴を付与する必要がある。
そのため、セルロースアセテート系繊維糸の混用率は、70〜30質量%であることが重要であり、より好ましくは65〜35質量%である。
ファッション分野の衣服は、仕立て映えに高級感が求められ、織編物としては発色性や光沢感に上品な艶感のある生地が求められる。衣服アイテムとして、アウター用品のシャツ、ブラウスおよびドレスは、比較的生地目付が小さい薄地である。一方、トプスとしてのジャケットやセットアップスーツ、さらに単品ボトムスとしてのスカートやパンツは、比較的生地目付が大きめの厚地である。
これらの縫製品アイテムは、無地染色品は、いずれも色目がきわめて広範囲にわたって要求される。具体的には、無彩色の白から黒までいわゆる色の測色値として明度(L*)で100〜0に相当する範囲、また赤、緑および青の3原色による色相、彩度および明度L*a*b*で表される有彩色の範囲で選択され、同じ色相であっても素材によって光沢の効果により複雑に変化するため、さらに複雑化している。
これらの色の範囲において、従来から、アセテート繊維糸使いの高発色性と、優雅な光沢、艶感およびドライなタッチを有する織編物における白色(ホワイトないしオフホワイト領域)での防透け性のある生地が強く求められていたが、防透け性生地は色目が悪いとして開発されなかった。
このホワイトないしオフホワイトの特に要求の強いアイテムは、パンツ、スカート、ジャケットおよびシャツ地に使用される生地で、春から夏にかけての裏地を使用しない縫製仕様において求められてきた。パンツは、着用においてタイトなスタイルの縫製品であり、特に下着の透けと、縫製のパーツ縫い代の透けが品位を阻害するという理由で、透けないパンツの希望が強かった。パンツ用の生地性量は、300g/m前後の生地の目付である。アセテート繊維糸の品種としては、好ましくは84T〜167dtexの総繊度の糸条を使用し、複合するポリエステル系繊維糸やポリアミド系繊維糸の品種も、同様の総繊度が好ましくは84T〜167dtexの総繊度の糸条が用いられる。
本発明で用いられるセルロースアセテート繊維糸は、染色加工工程で合成繊維に使用されるアルカリや酸の使用を避ける必要がある。セルロースアセテート繊維糸は、ポリエステル繊維糸のようなアルカリ減量処理ができない。そのため、選択される繊維特性として、ソフトさに寄与する細繊度のマルチフィラメント品種が望まれる。また、裏地を使用しないこととするため、着用感から汗処理に有効な綿やレーヨン混などの品種を選択することも考慮する必要がある。さらに、着用感としての織編物のストレッチ性が必要であり、ストレッチ性のある原糸の採用や織編物設計での対処が必要となる。また、春や夏の着用時には、洗濯回数も多くウオッシャブル性も要求される。
トップスアイテムにおいて最も防透け性の要望が大きいのは、シャツである。シャツの着用は、夏場において素肌に着用する傾向が強くなっていると考えられる。シャツ地は、パンツ地等に比べて生地の目付が小さく150g/m前後であり、使用するアセテート繊維糸の品種は、総繊度が好ましくは56dtex〜84dtexが中心である。また、防透け性機能付与に使用されるポリエステル系繊維糸またはポリアミド系繊維糸の品種も、総繊度が84dtex中心の糸条である。さらに、織編物の生地設計面で、組織や糸密度、および、他の生地性能としてのストレッチ性やウオッシャブル性、および吸水速乾性付与に使用される他の繊維糸品種との組み合わせについての考慮が必要である。
ストレッチ性を付与するために使用される原糸としては、ポリウレタン系弾性繊維、ポリエステル系繊維糸、およびポリアミド系重合体の二種類以上の重合度差のあるポリマーの貼合わせ型や偏心芯鞘構造による熱処理で3次元捲縮を発現する、いわゆるバイメタルコンジュゲート繊維が挙げられる。また、前記のバイメタルコンジュゲート繊維糸が防透け性効果を有するセラミック添加ポリマーを使用したものであることが、さらに望ましい態様である。
防透け効果を付与する繊維糸としては、原糸を仮撚加工した捲縮発現繊維糸が好ましく用いられる。ポリウレタン弾性糸は、前記の防透け性を付与する繊維糸と複合させて用いることができる。複合手段としては、例えば、フィラメント糸であれば、カバーリング撚糸やエアー複合撚糸による方法等が挙げられ、また短繊維であれば、紡績におけるCSY(コアスパンヤーン)による方法や防透け短繊維の紡績糸とのプライヤーンによる方法等が挙げられる。また、防透け効果のある繊維糸は、ストレッチ糸でなくとも、通常使用される綿やレーヨン繊維のCSYであっても何ら差し支えない。
アセテート繊維糸と合成繊維との複合による生機やストレッチ性付与生機は、染色加工工程等におけるアルカリ性や酸性の強い加工には適さない。そのため、布地の密度が入りすぎて固くなっても、合成繊維の染色加工工程等で行われるアルカリ減量加工を適用することができない。そのため、ストレッチ付与繊維糸の選択と、アセテート繊維糸と複合すされる他の繊維糸の複合比率を30〜70質量%に限定した生機の設計が重要である。
次に、アセテート繊維糸と、防透け性を付与するポリエステ系繊維糸またはポリアミド系繊維糸、およびその他の機能性と質感を付与する原糸からなる複合織編物の染色について記載説明する。アセテート繊維糸を使用した織編物の染色工程と条件については、アセテート繊維糸がジアセテート繊維とトリアセテート繊維の場合により、染色温度が常圧染色対応と高圧染色対応との違いがある。
アセテート繊維糸は、通常のファッション用途には、ポリエステル系繊維糸との複合による織編物が好ましく使用される。特に、トリアセテート繊維の繊維質感が好まれるため、トリアセテート繊維の混用率が80%を黄金比率にして、70%以上の混用率とした織編物が多く、この場合はトリアセテート繊維糸の染色加工条件で染色が実施される。
本発明の防透け性を特徴とするアセテート繊維糸とポリエステル系またはポリアミド系繊維糸、さらに他の繊維糸からなる複合織編物生機の染色加工は、白色のホワイトおよびオフホワイトの領域では、ポリエステル系繊維糸が複合された生機の場合は高圧染色対応で行い、ポリアミド系繊維糸が複合された生機の場合は常圧染色を基本としている。例えば、ポリアミド系繊維糸がナイロン66系ポリマー使用の繊維糸の場合は、120℃の温度までの高圧染色で対応することができる。生機の精練とリラックス処理は、アセテート繊維糸の強度低下を避けるため、PHの中性領域で行なっても、アセテート繊維糸やポリエステル系繊維糸またはポリアミド系繊維糸の白度には問題がなく、天然繊維の綿やウールの黄味がかったオフホワイト色として可能である。
白色としての領域における防透け性を付与する繊維糸との複合による期待されるオフホワイト色は、L*a*b*表色系測定のL*値としては好ましくは90以上と考えられる。前記のL*値が90未満の場合は、淡染領域に入り防透け性を付与する原糸を使用しなくても、色相によって防透け性が得られる可能性のある領域となる。
また、そこで得られた織編物は、通常の淡色、中色および濃色領域の色相で染色することによって、アセテート繊維糸の特徴である繊維基質としての低屈折率効果と断面効果による深みのある色相、彩度および艶感が得られ、風合い質感としてのマイルドなドライタッチを特徴とする高級感のある織編物が得られる。
また、本発明により、本発明のセルロースアセテート繊維糸とポリエステル系繊維糸またはポリアミド系繊維糸、さらには他の繊維糸を複合した織編物からなる衣服であって、ジャケット、パンツ、スカート、ワンピース、ドレス、およびシャツ等のアウターウエアーとして特徴ある婦人用途および紳士用途の衣服を提供することができる。
従来のアセテート繊維糸を用いた織編物は、エニカラー染色生地のため、白色生地を使用し防透け性効果を必要とする縫製アイテムには対応することができなかった。
これに対し、本発明のように防透け効果のある繊維糸使用し、セルロースアセテート繊維糸の特徴を損なわずに、防透け性に優れた織編物を提供することにより、白色で防透け性を必要とする裏地を使用しない縫製品アイテムから、エニカラーの縫製品アイテムに同一生機で染色加工できる優位性を有する。さらに、本発明の織編物の機能性効果として、着用時のストレッチ性による快適性、防しわ性、吸水速乾性およびウオッシャブル性を兼ね備えた縫製衣料品が提供される。
次に、本発明の防透け性に優れた織編物について、実施例によりさらに詳細に説明する。上述の明細書の説明中および実施例において示す各特性値は、下記の方法により測定したものである。
(1)織編物の白度:
織編物の白度は、コニカミノルタ(株)製のL*a*b*表色系分光測色計CM−3600dを用い、光源D65、視野角10度、SCI方式(正反射光含む条件)でサンプルの表面と裏面それぞれの明度L*値を測定する。測定サンプルは生地目付により、二つ折り以上にして測定器に装着し測定する。測定は、2回測定し平均値とする。
(2)防透け性:
防透け性は、白度測定と同一の分光測色計を用いて、図1に示す測定方法によってL*を測定し、防透け性計算式にて算出する。防透け性測定サンプル1は、所定のたてとよこのサイズにカットし準備する。また、白板として、丸断面セミダルポリエステルフィラメント使いの100%タフタ(L*=90〜91)を使用し、使用タフタのL*値(Lw)を測定する。また黒板として、丸断面セミダルフィラメント100%使いタフタ(L*=19〜20)を使用し、使用タフタのL*値(Lb)を測定する。測定手順は、測定サンプル1のウラ面に白タフタ2を4重にして重ね測色機に装着し、表面のL*値(Lfw)4を測定する。次に、同一サンプルのウラ面に黒タフタ3を4重にして重ねて測色機に装着し、表面のL*値(Lfb)5測定する。測定は5回行い、その平均値を求める。測定値を、下記式(a)に当てはめて、防透け性を求める。測定は、コニカミノルタ(株)製のL*a*b*表色系分光測色計CM−3600dを用い、D65光源6、視野角10度、およびSEC方式(正反射光除去条件)で実施し、下記式(a)で計算する。防透け性の指標は、100(%)に近いほど、透けない。
・防透け性(%)=100−(Lfw−Lfb)/(Lw−Lb)×100・・・(a)
(3)織編物のストレッチ性:
織物のストレッチ性は、伸長率JIS L 1096(2010)8.16.1項b)B法(織物の定荷重法)と、伸長回復率B-1法(定荷重法による徐重1時間後)で測定した。また、編物のストレッチ性は、d)D法を適用する。
(4)織編物の防しわ性:
織編物の防しわ性は、JIS L 1059−1(モンサント法)B法(2009年版)により測定した。
(5)織編物のウオッシャブル性:
寸法安定性および外観変化を、次の試験方法で評価した。寸法安定性は、JIS L 1096(2010年版)8.39項の寸法変化、8.39.1項の試験方法の種類から、F法(ワッシャ法)のF−1法(低温ワッシャ法)を適用した。
外観変化は、JIS L 0217(1995年版)繊維製品の取扱いに関する表示記号およびその表示方法105法に準じて、家庭洗濯した場合の外観変化をAATCC128(1997年版)レプリカとの比較により、評価判定を行った。
(6)織編物の目付:
織編物の目付は、JISL1096(2010年版)に規定される標準状態における、単位面積当たりの質量A法の方法を用いて測定した。
(7)織編物の厚み:
織編物の厚みは、JISL1096(2010年版)に規定される厚さA法の方法を用いて測定した。
(8)織編物の吸水性:
織編物の吸水性は、JISL1907(2010年版)に規定される滴下法を用いて測定した。
(実施例1)
織物の表(おもて)面側タテ糸に三菱レーヨン(株)製のトリアセテート繊維マルチフィラメント糸の167dtex40フィラメント(ブライト、S撚り800t/m)を用い、織物の裏面側タテ糸にポリエステル系繊維糸として粘度差のあるポリマー2成分によるバイメタル型コンジュゲート繊維マルチフィラメント糸の110dtx48フィラメント(セミダル56dtex24フィラメントを2本引き揃え、S撚り1,300t/m)を配置するようにして、タテ二重組織の整経を行いレピア織機に仕掛けた。
ヨコ糸には、防透け効果のある原糸として、総繊度が84dtex48フィラメントのポリエステル加工糸を、2本を引き揃えて使用して生機を製織した。このヨコ糸は、鞘にポリエステルブライトポリマーを10質量%使用し、芯に酸化チタンを6.5質量%と高濃度に混練したポリエステルフルダルポリマー90質量%を使用して、丸断面24フィラメントと6葉断面24フィラメントに配置した形状の紡糸口金から、3,000m/分で紡糸してPOYを得た後、高捲縮付与条件にて延伸仮撚加工した加工糸である。
織上げた生機の織物組織は、タテ二重2/2ナナコであり、タテ密度が129本/2.54cmで、ヨコ密度が91本/2.54cmの生機を得た。
続いて、得られた生機を、通常の染色工程としてオーンプンソーパーで精練リラックス後に乾燥し、液流染色機でオフホワイトに染色加工後に、制電処理と柔軟仕上げ処理および仕上げセットを実施して仕上りの織物を得た。得られた仕上りの織物は、タテ密度が200本/2.54cmで、ヨコ密度が112本/cmであった。
仕上げた織物の繊維の混用率を測定した結果、トリアセテート繊維マルチフィラメント糸が35質量%で、ポリエステル繊維糸は65質量%であった。また、仕上げた織物の目付は213g/m、厚さが0.6mm、白度L*値は表面が95.09、裏面が95.12、防透け性が97.1%で、非常に防透け効果に優れたものであった。
また、防しわ性は、タテとヨコがそれぞれ92%と90%で、防しわ性に優れたレベルのものであった。また、ストレッチ性は伸び25%回復率が90%で、吸水性は洗濯前1秒であり、洗濯10回後3秒と優れたレベルであった。また、タテとヨコの寸法変化率(F−1法)は、それぞれ−2.0%と−1.0%と寸法安定性に優れており、家庭洗濯JIS L0217の105法における外観変化は4級であり、ウオッシャブル性も良好であることを確認した。
また、織物の質感は、表面の白の光沢がトリアセテートの優雅な艶感を有する上品さがあり、タッチがきしみ感のあるドライタッチを有するものであり、実際にレディスのパンツを縫製した結果、下着の透けのない防透け効果を有し、シルエットに優れた高級感のある製品が得られた。また、ソフトなストレッチ性があって着用感も優れていることを確認した。
さらに上記の生機を、染色加工工程において、ブラックおよび赤、青および黄の3原色エニカラー淡色から濃色の範囲で幅広く染色した結果、白およびオフホワイトと同様にトリアセテート繊維糸の光沢と艶感に優れる上品な表面化があり、織物質感も高級感のある織物が得られることを確認した。
(比較例1)
実施例1のタテ糸を利用し、ヨコ糸として従来から一般的に使用される二酸化チタン0.2質量%含有ポリマーを使用したポリエステル長繊維の仮撚り加工糸(DTY)84dtex48フィラメントを2本引き揃えで使用したこと以外は、実施例1と同じ条件で製織し、染色加工を同時に実施した。仕上げ織物は、トリアセテート繊維糸の質感は表現されているものの、防透け性が89%と低く、縫製品として着用したときに下着が透けて見えるレベルのものであった。
(実施例2)
タテ糸に、実施例1と同じトリアセテート繊維マルチフィラメント糸を使用し、ヨコ糸には、防透け、吸放湿性効果およびストレッチ性のある糸として、総繊度が66dtex24フィラメントのナイロン仮撚糸と総繊度が44dtexのポリウレタン弾性糸とのカバーリング糸(延伸倍率を3倍、S撚り600t/m)を使用して、生機を製織した。
このナイロン仮撚糸は、吸湿成分にポリビニルピロリドン(BASF社製“ルビテック”(登録商標)K30スペシャルグレード)を5.0質量%および防透け性成分に二酸化チタン2.3質量%をブレンドしたナイロン6ポリマーを、口金形状が丸断面12孔で、6葉断面12孔から構成される紡糸口金から紡速4500m/分で溶融紡糸し、78dtex24フィラメントのPOYを得た後、仮撚加工を施し、総繊度が66dtex24フィラメントのウーリー加工糸を得た。
織り上げた生機の織物組織は、3/1のツイルであり、タテ糸密度が122本/2.54cmで、ヨコ糸密度が74本/2.54cmの生機を得た。
続いて、得られた生機を、通常の染色工程として精練リラックスを常圧領域で実施して、乾燥とセットを施した後に、液流染色機でオフホワイトに染色した。次いで、制電処理と柔軟仕上げ処理および仕上げセットを実施して、織物を得た。仕上がりの織物は、タテ密度が152本/2.54cmで、ヨコ密度が87本/cmであった。
仕上げた織物の繊維の混用率を測定した結果、トリアセテート繊維糸が63質量%で、ナイロン6繊維糸が32質量%であり、ポリウレタン弾性糸が5質量%であった。また、仕上げた織物の目付は190g/m、厚さが0.49mm、白度L*値は表面が93.76、裏面が93.72、防透け性は90.1%で防透け効果に優れた織物であった。
また、防しわ性は、タテとヨコがそれぞれ90%と90%で、防しわ性に優れたレベルのものであった。また、ストレッチ性は、横方向に伸長率7%であり、回復率は90%、吸水性は洗濯前は2秒で、洗濯10回後は5秒と優れたレベルであった。また、タテとヨコの寸法変化率(F−1法)は、それぞれ0.5%と+1%と寸法安定性に優れており、家庭洗濯JIS L0217(1995年版)の105法における外観変化は4級であり、ウオッシャブル性も良好であることを確認した。
また、織物の質感は、表面の白の光沢がトリアセテートの優雅な艶感を有する上品さがあり、タッチがきしみ感のあるドライタッチを有し、裏面は吸湿性ナイロン6のフルダル異形断面フィラメント糸の吸湿性によるしっとり感、さらっとした着用感に優れるタッチのものであり、実際にワンピース仕様で縫製した結果、トリアセテート繊維糸の光沢と艶感が上品で、シルエットもしなやかでドレープ性に優れ、フルダルナイロンの効果で、防透け性にも優れていることを確認した。
(比較例2)
実施例2のヨコ糸を、従来から一般的に使用される二酸化チタンを0.2質量%含有するポリマー使用のレギュラーナイロン糸78T−52セミダルフィラメントの仮撚ウーリー加工糸に変えて、実施例2と同条件で生機を製織し、染色加工は実施例2と同時に実施した。得られた織物の白度は、表裏ともL*値95レベルのホワイトであったが、防透け性が86%と低く、縫製品として着用したときに防透け性に問題課題のあるものであった。
(実施例3)
タテ糸に実施例1と同じトリアセテート繊維マルチフィラメント糸を使用し、オックス組織の整経を行いて、エアージェット織機に仕掛けた。また、ヨコ糸に、次の2品種を使用して生機を製織した。2品種の1つは、実施例1と同じヨコ糸に使用した防透け効果を持つ総繊度が84dtex48フィラメントのポリエステル加工糸を2本引き揃えた糸であり、もう一方は、風合いと表面効果のある、綿70質量%と麻(ラミー)30質量%の30番手混紡紡績糸を使用し、1:1配列でヨコ打ち込みを実施して生機を得た。
得られた生機を、通常の天然繊維混染色加工工程として、シルケット加工と精練漂白リラックス処理を施し、乾燥後に液流染色機でオフホワイトに染色した。次いで、毛羽処理加工を行った後に、仕上げセットを実施した。仕上がりの織物はタテ密度が140本/2.54cmで、ヨコ密度が84本/2.54cmであった。
仕上げた織物の繊維の混用率を測定した結果、トリアセテート繊維糸が63質量%、ポリエステル系繊維糸が17質量%、綿が14質量%で、麻が6質量%であった。また、仕上げた織物の目付は170g/m、厚さが0.4mmであり、白度L*値は表面が94.73で、裏面が94.70であり、防透け性は91.7%で、防透け効果に優れた織物であった。
防しわ性は、タテとヨコがそれぞれ89%と85%で、吸水性は洗濯前が1秒で、洗濯10回後が3秒と優れたレベルであった。また、タテとヨコの寸法変化率(F−1法)は、それぞれ0%と−1%と寸法安定性に優れており、家庭洗濯JIS L0217(1995年版)の105法における外観変化は4級でありウオッシャブル性も良好であることを確認した。
実際に、この織物を使用して春夏用婦人パンツ仕様で、裏地なしで縫製した結果、得られた縫製品は、トリアセテート繊維糸の光沢と天然繊維のナチュラルな表面感を持ち、肌触りも良く、透け感のない上品な質感の生地が得られることを確認した。
(実施例4)
実施例3と同じタテ糸を利用し、ヨコ糸には次の2品種を使用して交織した。2品種の1つは、実施例1および実施例3と同じヨコ糸を使用した。これは、防透け効果を持つ総繊度が84dtex48フィラメントのポリエステル加工糸を、2本引き揃えた糸である。もう一方は、粘度差のあるポリマー2成分によるバイメタル型コンジュゲートマルチフィラメントとして、高粘度側にポリメチレンテレフタレート(PTT)ポリマーを50質量%、低粘度側に低IVポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマーを50質量%配した構成であり、これを紡糸し延伸したバイメタル型原糸56dtex24フィラメントのセミダル糸を、2本引き揃えてS方向に1,300t/mの追撚と撚り止めセットした糸である。この2品種の糸状を、1:1配列でヨコ打ち込みを実施して生機を得た。
得られた生機を、実施例1と同じ条件で染色加工を行ったところ、仕上げ後の織物は、タテ密度が200本/2.54cmで、ヨコ密度が112本/cmであった。仕上げた織物の繊維の混用率を測定した結果、織物の混用率はトリアセテート繊維糸が65質量%で、ポリエステル繊維糸が35質量%であった。また、仕上げた織物の目付は195g/m、厚がさ0.45mm、白度L*値は表面が94.3、裏面が94.12で、防透け性は92.5%で防透け効果に優れた織物であった。
防しわ性は、タテとヨコがそれぞれ92%と93%で、防しわ性に優れたレベルのものであった。また、ヨコ方向のストレッチ性が伸び21%回復率90%で、吸水性は洗濯前2秒、洗濯10回後3秒と優れたレベルであった。タテとヨコの寸法変化率(F−1法)は、それぞれ−1.0%と−1.0%と寸法安定性は良好であり、家庭洗濯JIS L0217の105法における外観変化は4級でありウオッシャブル性も良好であることを確認した。
また、織物の質感は、表面の白の光沢がトリアセテート繊維糸の優雅な艶感を有する上品さがあり、風合いは、きしみ感のあるドライタッチを有するものであり、ふくらみ感と反発性およびドレープ性とストレッチ性にも優れたものであった。実際にレディスのパンツを縫製した結果、下着の透けのない防透け効果を有しており、シルエットにも優れた高級感のある着用感にも優れた製品が得られた。
(比較例3)
実施例3と同じタテ糸を利用し、ヨコ糸に防透け性効果糸を使用せず、風合いと表面効果に寄与する綿と麻の混紡糸30番手のみを使用して、実施例3と同じ条件で生機を作り、染色工程は実施例3と同時に加工を行った。仕上げ織物は、トリアセテート繊維糸の上品な光沢のある表面感を有するが綿麻の斑感が強く、品位はナチュラルであるがやや高級感に劣るものであった。また、防透け性も84%と低く、着用において衣服内が透けて見えるレベルのものであった。
1 :測定サンプル
2 :白タフタ
3 :黒タフタ
4 :表面のL*値(Lfw)
5 :表面のL*値(Lfb)

Claims (6)

  1. セルロースアセテート繊維糸とポリエステル系繊維糸またはポリアミド系繊維糸とが混用されてなる複合織編物であって、下記(1)〜(4)を満足することを特徴とする防透け性を有する織編物。
    (1)表裏面のL*a*b*表色系、標準光源D65で測定したL*(D65)値が、90以上(オフホワイト〜ホワイト領域)であること、
    (2)前記セルロースアセテート繊維糸の混用率が70〜30質量%であること、
    (3)二酸化チタンを2〜30質量%含有する前記ポリエステル系繊維糸または前記ポリアミド系繊維糸の混用率が、30〜70質量%であること、および、
    (4)SCI(正反射光含む)とSCE(正反射光除去)の同時測定可能な分光測色計により測定のされる織編物の次式(a)で示される防透け性が、90以上であること。
    ・防透け性=100−(Lfw−Lfb)/(Lw−Lb)×100 ・・・ (a)
    ただし、
    ・織編物の下に白色生地を重ねて測色したL*(D65):Lfw、
    ・織編物の下に黒色生地を重ねて測色したL*(D65):Lfb、
    ・重ねる白色生地を測色したL*(D65):Lw(標準90〜91)、
    ・重ねる黒色生地を測色したL*(D65):Lb(標準19〜20)。
  2. ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維が、3〜20質量%の二酸化チタンを含有する芯サイドと0〜2質量%の二酸化チタンを含有する鞘サイドから構成される芯鞘型またはサイドバイサイド型コンジュゲート糸であることを特徴とする請求項1記載の防透け性を有する織編物。
  3. セルロースアセテート繊維糸が、トリアセテート繊維のマルチフィラメント糸またはトリアセテート繊維の短繊維紡績糸であることを特徴とする請求項1または2記載の防透け性を有する織編物。
  4. タテ糸および/またはヨコ糸として、天然繊維またはセルロース系化学繊維がポリウレタン系弾性糸と複合されてなるストレッチ糸またはポリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートとのバイメタルコンジュゲート型複合糸が、交織または交編されてなることを特徴とする請求項1に記載の防透け性を有する織編物。
  5. ホワイトまたはオフホワイトに染色加工されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防透け性を有する織編物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の防透け性を有する織編物が、裏地を使用しない仕様で縫製され衣服。
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