以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される方向が挿入方向51と定義される。また、挿入方向51と反対方向であって、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から脱抜される方向が脱抜方向52と定義される。本実施形態において、挿入方向51及び脱抜方向52は水平方向であるが、挿入方向51及び脱抜方向52は水平方向でなくてもよい。また、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入された状態、つまりインクカートリッジ30が使用姿勢にある状態において、重力方向が下方向53と定義され、重力方向と反対方向が上方向54と定義される。また、インクカートリッジ30を脱抜方向52に見た場合において、挿入方向51及び下方向53と直交する方向が、右方向55及び左方向56と定義される。なお、以下の説明において、特に言及がない限り、インクカートリッジ30は、使用姿勢にあるものとする。
[プリンタ10の概要]
図1に示されるように、プリンタ10は、インクジェット記録方式に基づいて、記録用紙に対してインク滴を選択的に吐出することにより画像を記録するものである。プリンタ10(液体消費装置の一例)は、記録ヘッド21(液体消費部の一例)と、インク供給装置100と、記録ヘッド21及びインク供給装置100を接続するインクチューブ20とを備えている。インク供給装置100には、カートリッジ装着部110(装着部の一例)が設けられている。カートリッジ装着部110には、インクカートリッジ30(液体カートリッジの一例)が装着され得る。カートリッジ装着部110には、その一面に開口112が設けられている。インクカートリッジ30は、開口112を通じてカートリッジ装着部110に挿入方向51に挿入され、或いはカートリッジ装着部110から脱抜方向52に抜き出される。
インクカートリッジ30には、プリンタ10で使用可能なインク(液体の一例)が貯留されている。カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了した状態において、インクカートリッジ30と記録ヘッド21とは、インクチューブ20で接続されている。記録ヘッド21にはサブタンク28が設けられている。サブタンク28は、インクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留する。記録ヘッド21は、インクジェット記録方式によって、サブタンク28から供給されたインクをノズル29から選択的に吐出する。具体的には、記録ヘッド21に設けられたヘッド制御基板21Aから各ノズル29に対応して設けられたピエゾ素子29Aに選択的に駆動電圧が印加される。これにより、ノズル29から選択的にインクが吐出される。
給紙トレイ15から給紙ローラ23によって搬送路24へ給送された記録用紙は、搬送ローラ対25によってプラテン26上へ搬送される。記録ヘッド21は、プラテン26上を通過する記録用紙に対してインクを選択的に吐出する。これにより、記録用紙に画像が記録される。プラテン26を通過した記録用紙は、排出ローラ対27によって、搬送路24の最下流側に設けられた排紙トレイ16に排出される。
[インク供給装置100]
図1に示されるように、インク供給装置100は、プリンタ10に設けられている。インク供給装置100は、プリンタ10が備える記録ヘッド21にインクを供給するものである。インク供給装置100は、インクカートリッジ30を装着可能なカートリッジ装着部110を備えている。カートリッジ装着部110は、ケース101と、インクニードル102と、センサ103(検知部の一例)と、装着センサ107とを備えている。
なお、図1においては、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了した状態が示されている。つまり、インクカートリッジ30が使用姿勢である状態が示されている。カートリッジ装着部110には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのインクカートリッジ30が収容可能である。また、インクニードル102、センサ103、及び装着センサ107は、4つのインクカートリッジ30それぞれに対応して、4つずつ設けられている。
[インクニードル102]
図1に示されるように、ケース101には、開口112が形成されている。ケース101は、開口112とは反対に位置する奥面151を備えている。インクニードル102は、ケース101の奥面151から脱抜方向52に突出している。インクニードル102は、ケース101の奥面151において、インクカートリッジ30のインク供給部60(液体供給部の一例)に対面し得る位置に配置されている。インクニードル102は、内部に液体流路が形成された管状の樹脂針であって、その突出端近傍に開口が設けられており、基端にインクチューブ20が接続されている。インク室36(液体貯留室の一例)内のインクは、インク供給部60に進入したインクニードル102を通じてインクチューブ20に流出される。つまり、インク室36内のインクは、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30からインク供給部60を通じて記録ヘッド21に供給される。
プリンタ10は、カートリッジ装着部110の開口112を被覆或いは露出させる不図示のカバーを備えている。当該カバーは、ケース101によって開閉可能に支持されている、若しくはプリンタ10の筐体(不図示)によって開閉可能に支持されている。カバーが開いている場合の開口112は、プリンタ10の外部に対して露出されている。この状態において、ユーザは、開口112を通じてカートリッジ装着部110にインクカートリッジ30を挿入することが可能、或いはカートリッジ装着部110からインクカートリッジ30を抜き出すことが可能となる。一方、カバーが閉じている場合の開口112は、プリンタ10の外部に対して覆われている。この状態においては、インクカートリッジ30をカートリッジ装着部110に対して挿抜することができない。
なお、本明細書中において、「カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30」とは、少なくとも一部がカートリッジ装着部110内(より具体的には、ケース101内)に位置しているインクカートリッジ30を意味する。したがって、カートリッジ装着部110に挿入される過程のインクカートリッジ30も、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30である。
一方、本明細書中において、「カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了」した状態とは、少なくともインクカートリッジ30から記録ヘッド21にインクを供給可能な状態である。例えば、当該状態は、カートリッジ装着部110に対してインクカートリッジ30が移動しないようにロックされている状態や、開口112に対して開閉するカバーが閉じられている状態のカートリッジ装着部110内にインクカートリッジ30が位置している状態等、プリンタ10による画像記録が可能となるインクカートリッジ30の状態を意味する。カートリッジ装着部110に装着完了されたインクカートリッジ30は、使用姿勢である。
[センサ103]
図1に示されるように、ケース101は、奥面151の上端から開口112へ向けて拡がった天面152を備えている。センサ103は、ケース101の天面152から下方へ突出している。センサ103は、発光部及び受光部を備える。発光部は、受光部の右方向55または左方向56に、受光部と間隔を空けて設けられている。カートリッジ装着部110への装着が完了したインクカートリッジ30の凸部37は、発光部及び受光部の間に配置される。本実施形態において、発光部から出力される光の光路は、右方向55及び左方向56に一致する。
センサ103は、発光部から出力された光が受光部で受光されたか否かに応じて異なる検知信号を出力する。例えば、センサ103は、発光部から出力された光が受光部で受光できない(すなわち、受光強度が所定の強度未満である)ことを条件として、ローレベル信号(「信号レベルが閾値レベル未満の信号」を指す。)を出力する。一方、センサ103は、発光部から出力された光が受光部で受光できた(すなわち、受光強度が所定の強度以上である)ことを条件として、ハイレベル信号(「信号レベルが閾値レベル以上の信号」を指す。)を出力する。なお、本実施形態における発光部は、例えば、インクカートリッジ30の凸部37の壁(すなわち、後述するインク容器31)を透過する光(例えば、可視光や赤外光)を出力する。
[装着センサ107]
図1に示されるように、装着センサ107は、インクニードル102より上方向54において、ケース101の奥面151に設けられている。装着センサ107は、カートリッジ装着部110内におけるインクカートリッジ30の挿入経路上の装着検知位置に配置されている。そして、装着センサ107は、装着検知位置におけるインクカートリッジ30の有無に応じた検知信号を制御部130(図8参照)に出力する。本実施形態においては、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了したときのインクカートリッジ30が装着検知位置に位置するように、装着センサ107が配置されている。
具体的には、装着センサ107は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30の前壁40(第3壁の一例)に押圧されていないことを条件として、ローレベル信号を出力する。一方、装着センサ107は、前壁40に押圧されたことを条件として、ハイレベル信号を出力する。なお、本実施形態における装着センサ107は、インクカートリッジ30の前壁40に押圧されるか否かによって異なる検知信号を出力する機械式のセンサであるが、装着センサ107の具体例はこれに限定されず、光学式センサ等であってもよい。
[インクカートリッジ30]
図2、図3、及び図4に示されるように、インクカートリッジ30は、内部にインクが貯留されたインク室36を有するインク容器31(液体容器の一例)と、インク室36に回動可能に配置された被検知部材59と、インク室36に被検知部材59と当接可能に配置された規制部材88とを有する。インクカートリッジ30は、インク室36に貯留されたインクをインク供給部60を通じて外部に供給する。インクカートリッジ30は、図2に示された起立状態、つまり、同図の下方向53の面を底面とし、同図の上方向54の面を上面として、カートリッジ装着部110に対して挿入方向51及び脱抜方向52に沿って挿抜される。
[インク容器31]
図2に示されるように、インク容器31は、外形が概ね直方体であり、右方向55及び左方向56に細く、下方向53及び上方向54と挿入方向51及び脱抜方向52の寸法が右方向55及び左方向56の寸法よりも大きい扁平形状である。インク容器31は、挿入方向51または脱抜方向52から平面視したときに少なくとも部分的に重なり合う前壁40及び後壁41(第4壁の一例)と、下方向53または上方向54から平面視したときに少なくとも部分的に重なり合う上壁39及び下壁42と、下壁42から上壁39に向けて立設された第1内壁43(第1壁の一例、図3参照)及び第2内壁44(第2壁の一例、図3参照)とで構成されている。第1内壁43は、第2内壁44より左方向56にずれた位置に配置されている。第1内壁43及び第2内壁44は、少なくとも一部が互いに向かい合った状態で配置されている。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されるときに前方向を向く(換言すれば、挿入方向51を向く)のが前壁40であり、後ろ方向を向く(換言すれば、脱抜方向52を向く)のが後壁41である。
上壁39は、前壁40及び後壁41の上端同士を接続する。下壁42は、前壁40及び後壁41の下端同士を接続する。上壁39には上方向54へ突出する凸部37が形成されている。上記の各壁のうち少なくとも凸部37が形成された上壁39は、センサ103の発光部から出力される光を透過させる。
インク容器31の右方向55及び左方向56の面は、開放されている。開放されたインク容器31の面は、フィルムによって封止される。インク容器31の右方向55の面を封止するフィルム32(図2参照)の外形は、右方向55から平面視した場合のインク容器31の外形と概ね一致する。インク容器31の左方向56の面を封止するフィルム(不図示)の外形は、左方向56から平面視した場合のインク容器31の外形と概ね一致する。各フィルムは、インク室36の右壁及び左壁を構成する。各フィルムは、上壁39、前壁40、後壁41、及び下壁42の右端面及び左端面に熱溶着される。これにより、上壁39、前壁40、後壁41、下壁42、及び各フィルムで区画されたインク室36にインクが貯留可能となる。一方、第1内壁43及び第2内壁44は、インク室36内に配置される。なお、インクカートリッジ30は、外部からの力に対してフィルムを保護するために、フィルムの外面を覆うカバーをさらに有していてもよい。
[インク室36]
図3に示されるように、インク室36は、前壁40と後壁41との間に形成されている。換言すると、前壁40及び後壁41は、挿入方向51及び脱抜方向52においてインク室36を挟んで配置されている。インク室36には、インクが貯留される。インク室36内のインクは、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されることによって、インク供給部60を通じてインクカートリッジ30の外部に流出する。なお、凸部37は内部空間を有しており、当該内部空間はインク室36の一部を構成している。
[インク供給部60]
図4に示されるように、インク供給部60は、前壁40の下端近傍に形成されている。インク供給部60は、内部にバルブ室47が形成された円筒形状の筒壁46と、筒壁46に取り付けられたシール部材76及びキャップ79とを備えている。
筒壁46は、インク室36の内部から外部に亘って延設されている。筒壁46の脱抜方向52の端部には、開口46Aが形成されている。筒壁46の挿入方向51の端部には、開口46B(液体供給口の一例)が形成されている。これにより、インク室36は、バルブ室47を介してインクカートリッジ30の外部と連通されている。つまり、インク供給部60は、インク室36に貯留されたインクをインクカートリッジ30の外部に供給する。筒壁46の挿入方向51の端部、つまり筒壁46の先端には、シール部材76及びキャップ79が取り付けられている。
シール部材76は、外径寸法が筒壁46の外径寸法と概ね一致する円板形状の部材である。シール部材76は、筒壁46の先端に液密に密着される。シール部材76の中央部には、シール部材76を挿入方向51に貫通する貫通孔68が形成されている。貫通孔68は、バルブ室47の内外を連通させる。貫通孔68の直径は、インクニードル102の外径寸法より僅かに小さい。シール部材76は、例えば、ゴム等の弾性材料によって形成されている。
キャップ79は、筒壁46の先端に取り付けられており、筒壁46との間にシール部材76を挟む。キャップ79の中央部には、キャップ79を厚み方向に貫通する貫通孔69が形成されている。貫通孔69の直径は、貫通孔68より大きい。
[弁体77、コイルバネ87]
図4に示されるように、インク供給部60の筒壁46の内部には、弁体77(操作部材の一例)及びコイルバネ87(付勢部材の一例)が収容されている。弁体77及びコイルバネ87は、インク供給部60の状態を、インク供給部60を介してインク室36からインクカートリッジ30の外部にインクが流出される状態と、インク供給部60を介してインク室36からインクカートリッジ30の外部にインクが流出されない状態との間で選択的に切り換えるためのものである。
弁体77は、円板形状の弁83と、弁83から脱抜方向52に延びた凸部84とを備えている。弁体77は、弁83を筒壁46の挿入方向51の端部に向けた状態で、挿入方向51及び脱抜方向52に移動可能にバルブ室47内に配置されている。凸部84の脱抜方向52の先端部は、規制部材88と接続されている。
弁体77の外径寸法は、筒壁46の内径寸法よりも小さい。これにより、弁体77は、挿入方向51及び脱抜方向52に移動可能である。具体的には、弁体77は、図4(A)に示される待機位置と、待機位置より後壁41に近い位置であって図4(B)に示される作動位置との間を移動可能である。
また、弁83の外形寸法は、シール部材76の貫通孔68よりも僅かに大きい。これにより、図4(A)に示されるように、弁体77が待機位置のときに、弁83は、シール部材76の貫通孔68に押し込まれた状態となって、貫通孔68を液密に封止可能である。これにより、開口46Bが閉塞される。一方、図4(B)に示されるように、弁体77が作動位置のときに、弁83は、シール部材76から離間する。これにより、開口46Bが開放される。
また、凸部84の外径寸法は、弁83の外径寸法よりも小さい。
コイルバネ87は、一端が開口46Aの縁を区画する壁と当接し且つ他端が弁83と当接した状態で配置される。コイルバネ87は、弁体77を挿入方向51へ向けて付勢する。つまり、コイルバネ87は弁体77を作動位置から待機位置へ向けて付勢する。これにより、バルブ室47において、弁体77は、シール部材76に当接した状態(図4(A)参照)に保持される。なお、コイルバネ87に代えて、板バネ等の他の付勢部材が用いられてもよい。また、コイルバネ87等の付勢部材は必ずしも設けられなくてもよい。
[ガイド壁89]
図3に示されるように、第1内壁43における第2内壁44を向く面、及び、第2内壁44における第1内壁43を向く面には、ガイド壁89(ガイド部材の一例)が形成されている。第1内壁43に形成されたガイド壁89は、第2内壁44に向かって突出している。第2内壁44に形成されたガイド壁89は、第1内壁43に向かって突出している。第1内壁43に形成されたガイド壁89と、第2内壁44に形成されたガイド壁89とは、同形状であり且つ互いに向かい合っている。以下、第1内壁43に形成されたガイド壁89と、第2内壁44に形成されたガイド壁89とを総称して、ガイド壁89と称する。
ガイド壁89は、脱抜方向52に対して傾斜した傾斜面89Aを有する。具体的には、傾斜面89Aは、脱抜方向52成分及び上方向54成分を有する方向に延びている。傾斜面89Aには、被検知部材59のフロート63が当接し得る。ガイド壁89は、フロート63が傾斜面89Aに当接されることによってフロート63が傾斜面89Aを押す方向への被検知部材59の回動を規制し、フロート63が傾斜面89Aから離間することによって被検知部材59の回動を許容する。
[第1溝91及び第2溝92]
図3に示されるように、第1内壁43における第2内壁44を向く面には、第1溝91が形成されている。第2内壁44における第1内壁43を向く面には、第2溝92が形成されている。第1溝91及び第2溝92の形状は、同一である。第1溝91と第2溝92とは、互いに向かい合っている。なお、本実施形態において、第1溝91及び第2溝92は、第1内壁43及び第2内壁44を貫通された開口であるが、第1内壁43及び第2内壁44を貫通されていない凹みであってもよい。
第1溝91は、第1端91Aから第2端91Bに至るように延設された第1の部分93と、第2端91Bから第3端91Cに至るように延設された第2の部分94とで構成されている。第2溝92は、第1端92Aから第2端92Bに至るように延設された第1の部分95と、第2端92Bから第3端92Cに至るように延設された第2の部分96とで構成されている。
第2端91B、92Bは、第1端91A、92Aより脱抜方向52且つ上方向54にずれた位置に位置している。つまり、第1の部分93、95は、脱抜方向52成分及び上方向54成分を有する方向に延びており、脱抜方向52に対して傾斜している。第3端91C、92Cは、第2端91B、92Bより下方向53にずれた位置に位置している。
第1溝91及び第2溝92には、被検知部材59の回動軸61が挿入される。
[当接壁90]
図3に示されるように、第1内壁43における第2内壁44を向く面、及び、第2内壁44における第1内壁43を向く面には、当接壁90(当接部の一例)が形成されている。第1内壁43に形成された当接壁90は、第2内壁44に向かって突出している。第2内壁44に形成された当接壁90は、第1内壁43に向かって突出している。第1内壁43に形成された当接壁90と、第2内壁44に形成された当接壁90とは、同形状であり且つ互いに向かい合っている。以下、第1内壁43に形成された当接壁90と、第2内壁44に形成された当接壁90とを総称して、当接壁90と称する。
当接壁90は、第1溝91及び第2溝92の下方に形成されている。当接壁90には、被検知部材59のフロート63が当接し得る。当接壁90は、フロート63が当接されることによってフロート63が当接壁90を押す方向への被検知部材59の回動を規制する。
[被検知部材59]
図3及び図4に示されるように、被検知部材59は、インク室36内に配置されている。被検知部材59は、インク容器31によって回動可能且つ移動可能に支持されている。
被検知部材59は、左端を第1内壁43に支持されており、右端を第2内壁44に支持されている。つまり、第1内壁43及び第2内壁44は、右方向55及び左方向56に被検知部材59を挟んでいる。
被検知部材59は、右方向55及び左方向56に延出された回動軸61を備えている。回動軸61の左端(回動軸の一端の一例)は、第1溝91に挿入されている。回動軸61の右端(回動軸の他端の一例)は、第2溝92に挿入されている。これにより、被検知部材59は、第1溝91及び第2溝92に沿って移動可能であり、且つ回動軸61を中心に回動可能である。つまり、第1溝91は、回動軸61の左端を移動可能で且つ回動可能に受容し、第2溝92は、回動軸61の右端を移動可能で且つ回動可能に受容する。
被検知部材59は、回動軸61、アーム71、被検知部62、及びフロート63で構成されている。
アーム71は、回動軸61から回動軸61の径方向に延出されている。被検知部62は、アーム71の延出端に設けられており、アーム71に支持されている。被検知部62は、板形状である。被検知部62は、発光部から出力された光を遮断する材料によって形成されている。より詳細には、発光部から出力された光が被検知部62の右面及び左面の一方に到達したときに、被検知部62の右面及び左面の他方の面から出て受光部に到達する光の強度が所定の強度未満、例えば、ゼロとなる。被検知部62は、光が右方向55もしくは左方向56に進むのを完全に遮断してもよいし、光を部分的に吸収してもよいし、光の進行方向を曲げてもよいし、光を全反射させてもよい。例えば、被検知部62は、顔料を含有する樹脂であってもよいし、透明もしくは半透明であるがプリズム状の形状を有していて光の進行方向を曲げるものでもあってよいし、アルミニウム膜のような反射膜を表面に有していてもよい。なお、被検知部62は、アーム71の延出端以外の位置、例えばアーム71の延出端及び基端の中間位置に設けられていてもよい。
フロート63は、回動軸61から回動軸61の径方向且つアーム71と異なる方向に延出されている。フロート63は、インク室36に貯留されたインクより比重が小さい材料によって形成されている。なお、本実施形態において、フロート63は、図3に示されるように延出先端部が円柱である形状をしているが、フロート63の形状は、図3に示される形状に限らない。
被検知部材59は、アーム71が概ね上方向54を向き、且つフロート63が概ね脱抜方向52を向いた状態で、インク室36内に配置される。
被検知部材59は、図4(A)に示される第1位置、及び第1位置より後壁41に近く図5(A)及び図5(B)に示される第2位置の間を移動可能である。被検知部材59は、回動軸61が第1溝91及び第2溝92の第1の部分93、95に沿って移動することによって、第1位置及び第2位置の間を移動する。被検知部材59が第1位置のとき、回動軸61は第1端91A、92Aに位置する。被検知部材59が第2位置のとき、回動軸61は第2端91B、92Bに位置する。
被検知部材59は、第1位置及び第2位置と異なる位置であって図6(B)に示される第3位置へも移動可能である。第3位置は、第2位置より下方の位置である。被検知部材59は、回動軸61が第1溝91及び第2溝92の第2の部分94、96に沿って移動することによって、第2位置及び第3位置の間を移動する。被検知部材59が第3位置のとき、回動軸61は第3端91C、92Cに位置する。
被検知部材59は、図4(A)、図4(B)、及び図5(A)に示される第1姿勢、及び図5(B)及び図6(A)に示される第2姿勢の間を回動可能である。図6(B)に示される姿勢は、第1姿勢と第2姿勢との間の第3姿勢である。本実施形態において、被検知部材59が第2姿勢のときにおける挿入方向51に対するアーム71の延出方向の傾斜角度は、被検知部材59が第1姿勢のときにおける挿入方向51に対するアーム71の延出方向の傾斜角度より大きい。
図5(B)に示されるように、被検知部材59が第2位置で且つ第2姿勢のとき、被検知部62は、センサ103(図1参照)の発光部及び受光部の間に位置する。そのため、発光部から出力された光は、被検知部62に遮られるため、受光部に到達しない、すなわち、受光部に到達する光の強度が所定の強度未満となる。これにより、被検知部62は、被検知部材59が第2位置で且つ第2姿勢のときに、インクカートリッジ30の外部からセンサ103によって検知される。一方、被検知部材59が第2位置以外または第2姿勢以外のとき、被検知部62は、センサ103の発光部及び受光部の間に位置しない。そのため、発光部から出力された光は、受光部に到達する、すなわち、受光部に到達する光の強度が所定の強度以上となる。
[規制部材88]
図4に示されるように、規制部材88は、インク室36内に配置されている。規制部材88は、弁体77と一体に形成されている。規制部材88は、弁体77の凸部84の脱抜方向52の先端と繋がっている。これにより、規制部材88は、弁体77と一体に挿入方向51及び脱抜方向52に移動する。
規制部材88は、第1の部分88A、第2の部分88B、及び第3の部分88Cで構成されている。第1の部分88Aは、凸部84の脱抜方向52の先端からアーム71よりも後壁41に近い位置まで延出されている。第2の部分88Bは、第1の部分88Aの延出先端から回動軸61よりも上方まで延出されている。第3の部分88Cは、第2の部分88Bの延出先端から挿入方向51へ延出されている。
規制部材88は、図4(A)に示される規制位置及び図4(B)に示される位置であって規制位置より後壁41に近い位置である許容位置の間を移動可能である。弁体77が待機位置のとき、規制部材88は規制位置である。弁体77が作動位置のとき規制部材88は許容位置である。弁体77が待機位置から作動位置へ移動すると、規制部材88は規制位置から許容位置へ移動する。弁体77が作動位置から待機位置へ移動すると、規制部材88は許容位置から規制位置へ移動する。
規制部材88が規制位置のとき、規制部材88の第3の部分88Cの延出先端が、被検知部材59のアーム71の脱抜方向52を向く面に当接する。これにより、被検知部材59は、第1位置に維持され且つ第1位置からの第2位置へ向けての移動が規制される。また、これにより、被検知部材59は、第1姿勢に維持され且つ第1姿勢から第2姿勢へ向けての回動が規制される。ここで、規制とは、被検知部材59の第1位置からの第2位置へ向けての移動及び第1姿勢から第2姿勢へ向けての回動が規制される一方で、被検知部材59のがたつき程度の移動や回動は許容されることを意味する。また、規制部材88は、被検知部材59が第1姿勢から第2姿勢とは反対の方向(図4(A)における反時計方向)へ回動するのを必ずしも規制しない。
一方、規制部材88が許容位置のとき、規制部材88の第3の部分88Cの延出先端が、被検知部材59のアーム71から離間する。これにより、被検知部材59の第1位置からの第2位置へ向けての移動が許容される。また、これにより、被検知部材59の第1姿勢から第2姿勢へ向けての回動が許容される。
[制御部130]
プリンタ10は、制御部130を備える。図8に示されるように、制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えており、これらは内部バス137によって接続されている。ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。なお、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135は、その一部又は全部が1つのICチップで構成されていてもよいし、複数のICチップに分かれて構成されていてもよい。
制御部130は、不図示のモータを駆動させることによって、給紙ローラ23、搬送ローラ対25、及び排出ローラ対27を回転させる。制御部130は、記録ヘッド21を制御することによって、ノズル29にインクを吐出させる。具体的には、制御部130は、ピエゾ素子29Aに印加する駆動電圧の大きさを示す制御信号をヘッド制御基板21Aに出力する。ヘッド制御基板21Aは、制御部130から取得した制御信号に示される大きさの駆動電圧を、各ノズル29に設けられたピエゾ素子29Aに印加することによって、当該ノズル29にインクを吐出させる。制御部130は、プリンタ10やインクカートリッジ30に関する情報や各種メッセージを表示部109に表示させる。
制御部130は、センサ103から出力された検知信号と、装着センサ107から出力された検知信号と、温度センサ106から出力された信号と、カバーセンサ108から出力された信号とを取得する。温度センサ106は、温度に応じた信号を出力するものである。温度センサ106による温度の測定位置は特に限定されず、例えば、カートリッジ装着部110の内部であってもよいし、プリンタ10の表面であってもよい。カバーセンサ108は、カートリッジ装着部110の開口112に対して開閉するカバーが開いているときと、閉まっているときとで異なる信号を出力するものである。
[インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着される動作]
以下、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される過程における弁体77、規制部材88、及び被検知部材59の動きが説明される。なお、以下の説明において、インク室36へのインクの貯留量は、後述するニアエンプティ状態よりも多い量であるとする。
図4(A)に示されるように、カートリッジ装着部110に装着される前のインクカートリッジ30において、弁体77は、コイルバネ87の付勢力によって待機位置にある。
待機位置の弁体77は、コイルバネ87の付勢力によってシール部材76に当接した状態にある。当該状態において、弁83は、シール部材76の貫通孔68の周縁部に液密に密着する。これにより、貫通孔68が閉塞される。その結果、インク室36からインクカートリッジ30の外部へのインクの流通は遮断されている。
弁体77が待機位置のとき、規制部材88は規制位置である。このとき、規制部材88の第3の部分88Cがアーム71に当接している。これにより、被検知部材59は、第1位置で且つ第1姿勢である状態に維持されており、第1位置からの第2位置へ向けての移動及び第1姿勢から第2姿勢へ向けての回動を規制されている。
被検知部材59が第1位置で且つ第1姿勢のとき、フロート63は、インク室36に貯留されたインク中に沈んだ状態である。また、フロート63は、ガイド壁89の傾斜面89Aに下方から当接している。つまり、被検知部材59は、規制部材88に加えてガイド壁89によっても、第1姿勢から第2姿勢へ向けての回動を規制されている。すなわち、ガイド壁89は、第1位置の被検知部材59に当接して、被検知部材59の回動を規制している。
被検知部材59が第1位置で且つ第1姿勢のとき、被検知部62は、センサ103の発光部及び受光部の間に位置しない。そのため、発光部から出力された光は、受光部に到達する。よって、被検知部材59が第1位置で且つ第1姿勢のとき、センサ103はハイレベル信号を制御部130に出力する。
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される前であるため、装着センサ107は、インクカートリッジ30の前壁40に押圧されていない。よって、装着センサ107はローレベル信号を制御部130に出力している。
上記状態において、カートリッジ装着部110の開口112に対して開閉するカバーが開かれて、インクカートリッジ30のカートリッジ装着部110への挿入が開始される。つまり、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される。すなわち、インクカートリッジ30が使用姿勢となる。
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110の奥面151近傍まで挿入方向51に移動すると、インクカートリッジ30の前壁40は、装着センサ107を押圧する。すると、装着センサ107は、ハイレベル信号を制御部130に出力する。これにより、後述する被検知部材59の移動時間の計測のカウントが開始される。
また、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110の奥面151近傍まで挿入方向51に移動すると、弁体77の弁83がインクニードル102に当接する。この状態で更にインクカートリッジ30が挿入方向51に移動すると、弁体77はインクニードル102から反力を受けて押される。これにより、弁体77は、コイルバネ87の付勢力に抗って、待機位置から作動位置へ向けて脱抜方向52に移動する(図4(B)参照)。つまり、弁体77は、インク容器31の外部からの外力を受けて待機位置から作動位置へ移動可能である。
図4(B)に示されるように、作動位置の弁体77は、シール部材76から離間した状態である。これにより、貫通孔68が開放される。その結果、インク室36からインクカートリッジ30の外部へのインクの流通は許容される。
弁体77が待機位置から作動位置へ脱抜方向52に移動すると、規制部材88が弁体77と一体に脱抜方向52に移動する。つまり、規制部材88は、弁体77が待機位置から作動位置へ移動されるのに連動して、規制位置から許容位置へ移動される。これにより、規制部材88の第3の部分88Cは、アーム71から離間する。その結果、被検知部材59は、第1位置から第2位置へ向けて移動可能な状態となる。一方、規制部材88がアーム71から離間しても、フロート63はガイド壁89と当接しているため、被検知部材59の第1姿勢から第2姿勢へ向けての回動は規制されている。
フロート63は、浮力によって、ガイド壁89と当接した状態を維持しつつ、脱抜方向52且つ上方向54に傾斜面89Aに沿って移動する。これにより、回動軸61は、第1溝91及び第2溝92の第1端91A、92Aから第2端91B、92Bへ向けて、第1の部分93、95に沿って移動する。その結果、被検知部材59は、第1位置から第2位置へ向けて移動する。ガイド壁89は、第1位置及び第2位置の間を移動する被検知部材59の矢印74の方向(図5(A)参照)への回動を規制している。
被検知部材59は、回動軸61が第1溝91及び第2溝92の第2端91B、92Bに到達するまで移動する。図4(B)には、回動軸61が第1端91A、92Aと第2端91B、92Bとの間に位置する状態が示されている。回動軸61が第2端91B、92Bに位置したとき、被検知部材59は、図5(A)に示される第2位置に位置する。
被検知部材59が第2位置に位置するとき、フロート63は、ガイド壁89より後壁41の近くに位置しており、ガイド壁89から離間している。これにより、被検知部材59は、フロート63の浮力によって、第1姿勢から第2姿勢へ向けて回動可能な状態となる。つまり、ガイド壁89は、第2位置における被検知部材59の回動を許容している。
被検知部材59は、被検知部62が凸部37の脱抜方向52の端部を画定する壁85(当接部の一例)と当接するまで、矢印74(図5(A)参照)の方向に回動する。被検知部62が壁85と当接したとき、被検知部材59は、図5(B)に示されるように、第2位置で且つ第2姿勢である。第2位置で且つ第2姿勢の被検知部材59は、被検知部62が壁85と当接しているために、矢印74の方向に回動できない。つまり、壁85は、第2位置で且つ第2姿勢の被検知部材59に接触して、被検知部材59が第1姿勢から離れる方向に回動するのを規制する。
被検知部材59が第2位置で且つ第2姿勢のとき、被検知部62は、センサ103の発光部及び受光部の間に位置する。そのため、発光部から出力された光は、受光部に到達しない、すなわち、受光部に到達する光の強度が所定の強度未満となる。よって、被検知部材59が第2位置で且つ第2姿勢のとき、センサ103はローレベル信号を制御部130に出力する。換言すると、センサ103は、被検知部材59が検知位置に存在することを示すローレベル信号(検知信号の一例)を出力する。これにより、後述する被検知部材59の移動時間の計測のカウントが終了される。
以上より、被検知部材59は、規制部材88が許容位置に移動されたことに応じて、フロート63が上方に移動し且つ回動軸61が第1溝91及び第2溝92の第2端91B、92Bに向かって上方に移動することによって、第1位置から第2位置へ移動され且つ第1姿勢から第2姿勢へ回動される。上記の過程を経てカートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了する。
次に、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から脱抜される過程における弁体77、規制部材88、及び被検知部材59の動きが説明される。なお、以下の説明において、インク室36へのインクの貯留量は、後述するニアエンプティ状態よりも多い量であるとする。
図5(B)に示されるように、カートリッジ装着部110への装着が完了した状態のインクカートリッジ30において、弁体77は、インクニードル102の押圧力によって作動位置にある。弁体77が作動位置のとき、規制部材88は許容位置にある。規制部材88が許容位置のとき、被検知部材59は、上述したように移動及び回動する。その結果、被検知部材59は、第2位置で且つ第2姿勢である。
インクカートリッジ30のカートリッジ装着部110からの脱抜が開始されて、インクカートリッジ30が脱抜方向52に移動すると、弁体77はインクニードル102から離間する。これにより、弁体77は、コイルバネ87の付勢力によって作動位置から待機位置に移動する。弁体77が作動位置から待機位置へ移動すると、規制部材88は弁体77と一体に許容位置から規制位置に移動する。
規制部材88が許容位置から規制位置に移動する過程において、規制部材88の第3の部分88Cがアーム71に当接してアーム71を挿入方向51に押す。これにより、回動軸61は、第1溝91及び第2溝92の第2端91B、92Bから第1端91A、92Aへ向けて、第1の部分93、95に沿って移動する。その結果、被検知部材59は、第2位置から第1位置へ向けて移動する。
また、被検知部材59が第2位置から第1位置へ向けて移動する過程において、フロート63がガイド壁89の脱抜方向52を向く面に当接し、被検知部材59は回動軸61を中心に矢印74と逆方向の矢印75(図5(B)参照)の方向に回動する。その結果、被検知部材59は、第2姿勢から第1姿勢へ向けて回動する。そしてフロート63が傾斜面89Aに到達すると、被検知部材59は第1姿勢となり、第1姿勢のまま第1位置へ向けて移動する(図7(A)参照)。以上より、規制部材88は、許容位置から規制位置へ移動される過程において、被検知部材59に当接して第1位置へ移動させ且つ第1姿勢に回動させる。
次に、インクカートリッジ30のカートリッジ装着部110への装着が完了した状態において、インクが記録ヘッド21において消費されることによって、インク室36におけるインクの貯留量が減ったときの、弁体77、規制部材88、及び被検知部材59の動きが説明される。
図5(B)に示される状態において、インク室36に貯留されたインクが、記録ヘッド21のノズル29から吐出されることによって消費されることで減少し、当該インクの液面がフロート63よりも下方に下がると、フロート63は、液面に追随して下方へ移動する。
これにより、回動軸61は、第1溝91及び第2溝92の第2端91B、92Bから第3端91C、92Cからへ向けて、第2の部分94、96に沿って下方向53に移動する。その結果、被検知部材59は、第2位置から第3位置へ向けて移動する。
被検知部材59は、回動軸61が第1溝91及び第2溝92の第3端91C、92Cに到達するまで移動する。回動軸61が第3端91C、92Cに位置したとき、被検知部材59は、図6(A)に示される第3位置である。
図6(A)に示されるように、回動軸61が第3端91C、92Cに到達すると、被検知部材59は、下方向53に移動できなくなる。図6(A)に示される状態からインクの液面が下方に下がってフロート63が下方に下がると、被検知部材59は、矢印75の方向へ回動する。
被検知部材59が第3位置に位置するとき、フロート63の下方には、当接壁90が位置する。よって、被検知部材59は、フロート63が当接壁90に上方から当接するまで、矢印75の方向へ回動可能である。図6(B)に示されるように、フロート63が当接壁90に当接したとき、被検知部材59は、第3位置で且つ第3姿勢である。
本実施形態において、被検知部材59が第3姿勢のときにおける挿入方向51に対するアーム71の延出方向の傾斜角度は、被検知部材59が第1姿勢のときにおける挿入方向51に対するアーム71の延出方向の傾斜角度より大きい。また、被検知部材59が第2姿勢のときにおける挿入方向51に対するアーム71の延出方向の傾斜角度は、被検知部材59が第3姿勢のときにおける挿入方向51に対するアーム71の延出方向の傾斜角度より大きい。つまり、第3姿勢は、第1姿勢と第2姿勢との間の姿勢である。
第3位置で且つ第3姿勢の被検知部材59は、フロート63が当接壁90と当接しているために、下方向53に移動できない。つまり、当接壁90は、第3位置で且つ第3姿勢の被検知部材59に接触して、被検知部材59の第1姿勢へ向かう方向への回動を規制する。
以上より、第2位置で且つ第2姿勢の被検知部材59は、インク室36内の液面が低下したことに応じて、フロート63が下方に移動し且つ回動軸61が第1溝91及び第2溝92の第3端91C、92Cに向かって下方に移動することによって、第3位置へ移動され且つ第3姿勢へ回動される。
被検知部材59が第3位置で且つ第3姿勢であるとき、被検知部62は、センサ103の発光部及び受光部の間に位置しなくなる。つまり、被検知部62は、インクカートリッジ30の外部から検知されなくなる。そのため、発光部から出力された光は、受光部に到達するようになる。よって、センサ103はハイレベル信号を制御部130に出力する。制御部130は、センサ103からハイレベル信号が出力されたことによって、インク室36に貯留されたインクの残量が所定量になったことを認識する。
被検知部材59が第3位置で且つ第3姿勢である状態(図6(B)に示される状態)において、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から脱抜されるときの、弁体77、規制部材88、及び被検知部材59の動きは、被検知部材59が第2位置で且つ第2姿勢である状態(図5(B)に示される状態)において、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から脱抜されるときの、弁体77、規制部材88、及び被検知部材59の動きと概ね同様である。
つまり、弁体77は、コイルバネ87の付勢力によって作動位置から待機位置に移動する。規制部材88は、弁体77と一体に許容位置から規制位置に移動する。被検知部材59の回動軸61は、規制位置に移動する規制部材88にアーム71が押されることによって、第1溝91及び第2溝92の第3端91C、92Cから第2端91B、92Bを経て第1端91A、92Aへ向けて、第2の部分94、96及び第1の部分93、95に沿って移動する。つまり、被検知部材59は、規制位置に移動する規制部材88にアーム71が押されることによって、第3位置から第2位置を経て第1位置へ移動する。また、被検知部材59が第2位置から第1位置へ向けて移動する過程において、フロート63がガイド壁89の脱抜方向52を向く面に当接し、被検知部材59は回動軸61を中心に矢印75の方向に回動する。その結果、被検知部材59は、第3姿勢から第1姿勢へ向けて回動する。そしてフロート63が傾斜面89Aに到達すると、被検知部材59は第1姿勢となり、第1姿勢のまま第1位置へ向けて移動する(図7(B)参照)。
[制御部130によるインクの粘度の異常判定]
以下、制御部130によって実行されるインク室36内に貯留されたインクの粘度の異常の有無の判定処理が、図9、図10、及び図11のフローチャートを参照しつつ説明される。
制御部130は、装着センサ107から出力される検知信号がローレベル信号からハイレベル信号に切り替わったことを条件として(S11:Yes)、被検知部材59の移動時間の計測のカウントを開始する(S12)。なお、制御部130は、所定周期で検知信号を参照しており、あるタイミングの検知信号と当該あるタイミングに対する直前のタイミングの検知信号とが異なるレベルの信号である場合に、検知信号が切り替わったと判断する。一方、装着センサ107から出力される検知信号がローレベル信号からハイレベル信号に切り替わらない場合(S11:No)、制御部130は、後述するステップS20の処理を実行する。なお、装着センサ107から出力される検知信号がローレベル信号からハイレベル信号に切り替わらない場合(S11:No)とは、例えば、新しいインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されていない場合である。
次に、制御部130は、移動時間の計測を開始してからの経過時間が予め定められた最大時間を上回ったか否かを判断する(S13)。既に最大時間が経過している場合(S13:Yes)、制御部130は、後述するステップS15の処理を実行する。センサ103から出力される検知信号がハイレベル信号からローレベル信号に切り替わる(S13:Yes)前に最大時間が経過する場合とは、インク室36に貯留されたインクの粘度が極めて高い場合である。
一方、未だ最大時間が経過していない場合(S13:No)、制御部130は、センサ103から出力される検知信号がハイレベル信号からローレベル信号に切り替わったか否かを判断する(S14)。センサ103から出力される検知信号が切り替わってないと判断した場合(S14:No)、制御部130は、ステップS13の処理を再び実行する。一方、センサ103から出力される検知信号が切り替わったと判断した場合(S14:Yes)、制御部130は、移動時間の計測のカウントを終了して、被検知部材59の移動時間を決定する(S15)。一方、最大時間が経過していると判断された場合(S13:Yes)、制御部130は、最大時間を被検知部材59の移動時間とする。
移動時間は、装着センサ107から出力される検知信号がローレベル信号からハイレベルに切り替わってから(S11:Yes)、センサ103から出力される検知信号がハイレベル信号からローレベル信号に切り替わるまでに要した時間である。
なお、厳密に言うと、装着センサ107から出力される検知信号がローレベル信号からハイレベルに切り替わるタイミングは、被検知部材59が規制部材88による規制の解除によって第1位置から第2位置へ向けて移動可能となるタイミングと同時ではないこともある。しかしながら、前者のタイミングと後者のタイミングとは時間的に近いので、後者のタイミングを前者のタイミングで擬制できる。そこで、制御部130は、装着センサ107からハイレベル信号を取得してから、センサ103からローレベル信号を取得するまでの時間を、移動時間、すなわち、被検知部材59が第1位置及び第1姿勢から第2位置及び第2姿勢へ移動するのに要した時間として計測する。
次に、制御部130は、異常フラグをリセット(すなわち、”OFF”を設定)する(S16)。異常フラグは、後述する移動時間の判断(S18)の結果、移動時間が閾値範囲内でなかった場合(S18:No)に”ON”が設定される。異常フラグは、インクカートリッジ30毎に設定される値である。制御部130は、異常フラグをEEPROM134に記憶する。
次に、制御部130は、温度センサ106から出力される信号に基づいて、閾値範囲を決定する(S17)。閾値範囲は、インク室36に貯留されているインクの粘度を推定するために、ステップS15で計測された移動時間と比較されるものである。制御部130は、温度センサ106から出力される信号によって特定される温度が高いほど、閾値範囲の上限値及び下限値の少なくとも一方を小さくする。換言すれば、制御部130は、温度センサ106から出力される信号によって特定される温度が低いほど、閾値範囲の上限値及び下限値の少なくとも一方を大きくする。
次に、制御部130は、ステップS15で測定された移動時間が、ステップS17で決定された閾値範囲に含まれるか否かを判断する(S18)。移動時間が閾値範囲の下限値を下回った場合、インクの粘度が低すぎると推定される。一方、移動時間が閾値範囲の上限値を上回った場合、インクの粘度が高すぎると推定される。そして、制御部130は、移動時間が閾値範囲を外れたことを条件として(S18:No)、異常フラグに”ON”を設定する(S19)。一方、制御部130は、移動時間が閾値範囲に含まれることを条件として(S18:Yes)、ステップS19の処理をスキップする。
次に、制御部130は、カートリッジ装着部110の開口112に対して開閉するカバーが閉まっていることを示す信号がカバーセンサ108から出力されているか否かを判断する(S20)。カバーが開いていると判断した場合(S20:No)、制御部130は、ステップS11以降の処理を再び実行する。一方、カバーが閉まっていると判断した場合(S20:Yes)、制御部130は、ステップS20でカバーが閉まっていると判断してから所定の時間が経過したか否かを判断する(S21)。
既に所定の時間が経過したと判断した場合(S21:Yes)、制御部130は、図9の処理を終了する。一方、未だ所定の時間が経過していないと判断した場合(S21:No)、制御部130は、ステップS11以降の処理を再び実行する。なお、ステップS11以降の処理を繰り返す過程でカバーが開いていると判断した場合(S20:No)、制御部130は、カバーが閉まっていると判断(S20:Yes)した時点で開始した時間の計測を終了する。
制御部130は、図9に示される処理を終了した後、カートリッジ装着部110の開口112に対して開閉するカバーが閉まっていることを示す信号がカバーセンサ108から出力されていることを条件として、図10に示される処理を所定の時間間隔で繰り返し実行する。
まず、制御部130は、装着センサ107から出力される検知信号がハイレベル信号であるか否かを判断する(S31)。装着センサ107から出力される検知信号がローレベル信号である場合(S31:No)、制御部130は、インクカートリッジ30が未装着であることを報知(S38)し、図10の処理を終了する。報知の具体的な方法は特に限定されないが、例えば、プリンタ10に搭載された表示部109にメッセージを表示してもよいし、スピーカ(不図示)からガイド音声を出力してもよい。
一方、装着センサ107から出力される検知信号がハイレベル信号である場合(S31:Yes)、制御部130は、異常フラグに”ON”が設定されているか否かを判断する(S32)。異常フラグに”ON”が設定されている場合(S32:Yes)、制御部130は、インクカートリッジ30に関する情報を報知(S37)し、図10の処理を終了する。報知の具体的な内容は特に限定されないが、例えば、インク室36内のインクが劣化していること、或いはインクカートリッジ30の交換を推奨すること等を報知すればよい。報知の具体的な方法は、ステップS38の方法と同じであってよい。
一方、異常フラグに”OFF”が設定されている場合(S32:No)、制御部130は、図11に示される処理である残量判定処理を実行する(S33)。残量判定処理については後述する。残量判定処理の後、制御部130は、エンプティフラグに”ON”が設定されているか否かを判断する(S34)。エンプティフラグは、インク室36に貯留されているインクの量が画像記録を実行するのに不十分である程に少なくなっていると判断された場合に”ON”に設定されるフラグである。
エンプティフラグに”ON”が設定されている場合(S34:Yes)、制御部130は、図10の処理を終了する。一方、エンプティフラグに”ON”が設定されていない場合(S34:No)、制御部130は、画像記録指示を取得したか否かを判断する(S35)。画像記録指示を取得していない場合(S35:No)、制御部130は、図10の処理を終了する。一方、画像記録指示を取得した場合(S35:Yes)、制御部130は、記録ヘッド21、給紙ローラ23、搬送ローラ対25、排出ローラ対27等を直接的及び間接的に制御することによって記録用紙に画像を記録(S36)し、図10の処理を終了する。なお、ステップS36の処理は、記録用紙1枚に対する画像記録処理が終了する時点までを一つの処理として終了してもよいし、取得した全ての画像データに対応する画像記録処理が終了した時点までを一つの処理として終了してもよい。
上記のように、制御部130は、異常フラグに”ON”が設定されている場合(S32:Yes)、ステップS36の画像記録処理を実施しない。つまり、制御部130は、ステップS36をスキップする。すなわち、制御部130は、記録ヘッド21にインクを吐出させない。
以下、図11に示される処理である残量判定処理が説明される。最初に、制御部130は、ニアエンプティフラグに”ON”が設定されているか否かを判断する(S41)。ニアエンプティフラグは、インク室36に貯留されているインクの量が画像記録を実行できる量ではあるものの残り少なくなっていると判断された場合に”ON”に設定されるフラグである。つまり、ニアエンプティフラグに”ON”が設定されている場合におけるインク室36に貯留されているインクの量は、エンプティフラグに”ON”が設定されている場合におけるインク室36に貯留されているインクの量よりも多い。
ニアエンプティフラグに”ON”が設定されていない場合(S41:No)、制御部130は、センサ103から出力される検知信号がローレベル信号からハイレベル信号に切り替わったか否かを判断する(S42)。センサ103から出力される検知信号が切り替わってないと判断した場合(S42:No)、残量判定処理が終了されて、制御部130は、図10のステップS34の処理を実行する。一方、センサ103から出力される検知信号が切り替わったと判断した場合(S42:Yes)、制御部130は、ニアエンプティフラグに”ON”を設定する(S43)。次に、制御部130は、インクカートリッジ30がニアエンプティ状態であることを報知(S44)し、図11の処理を終了する。その後、制御部130は、図10のステップS34の処理を実行する。前述したニアエンプティ状態とは、インク室36に貯留されているインクの量が画像記録を実行できる量ではあるものの残り少なくなっている状態である。
ステップS41において、ニアエンプティフラグに”ON”が設定されている場合(S41:Yes)、制御部130は、ニアエンプティフラグに”ON”が設定されてからのソフトカウント値が所定値以上であるか否かを判断する(S45)。ソフトカウント値とは、制御部130が記録ヘッド21にインクの吐出命令を出したときのデータに基づいて算出される値である。詳細には、ソフトカウント値とは、制御部130が記録ヘッド21から吐出するよう命令したインク滴の数と、制御部130によって指定された各インク滴のインク量との乗算値が累積的にカウントされる値である。所定値は、ソフトカウント値と比較される値である。
ニアエンプティフラグに”ON”が設定されてからのソフトカウント値が所定値未満である場合(S45:No)、つまりニアエンプティフラグに”ON”が設定されてからの記録ヘッド21によるインク消費量が所定量未満である場合(S45:No)、制御部130は、制御部130は、前述したステップS44の処理を実行する。
一方、ニアエンプティフラグに”ON”が設定されてからのソフトカウント値が所定値以上である場合(S45:Yes)、つまりニアエンプティフラグに”ON”が設定されてからの記録ヘッド21によるインク消費量が所定量以上である場合(S45:Yes)、制御部130は、エンプティフラグに”ON”を設定する。次に、制御部130は、インクカートリッジ30がエンプティ状態であることを報知(S47)し、図11の処理を終了する。その後、制御部130は、図10のステップS34の処理を実行する。前述したエンプティ状態とは、インク室36に貯留されているインクの量が画像記録を実行するのに不十分である程に少なくなっている状態である。
なお、ステップS44、S47における報知の具体的な方法は特に限定されないが、例えば、プリンタ10に搭載された表示部109にメッセージを表示してもよいし、スピーカ(不図示)からガイド音声を出力してもよい。
[実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、規制部材88が規制位置から許容位置に移動すると、被検知部材59が第1位置から第2位置に移動し、且つ第1姿勢から第2姿勢に回動してインクカートリッジ30の外部から検知される。このとき、被検知部材59は、インクから粘性抵抗及び慣性抵抗を受けながらインク中を移動するので、被検知部材59の移動速度はインクの粘度に依存する。したがって、規制部材88を許容位置に移動させてから被検知部材59が検知されるまでの時間を計測することにより、インクカートリッジ30に貯留されているインクの粘度を推定することができる。また、第1位置から第2位置への被検知部材59の移動に加えて、第1姿勢から第2姿勢へ被検知部材59が回動するので、狭いインク室36内において被検知部材59の移動距離を長くすることができる。その結果、規制部材88を許容位置に移動させてから被検知部材59が検知されるまでの時間が長くなるので、インク粘度の推定精度が向上する。
これにより、例えば、プリンタ10に装着されることなく長期間放置されていたインクカートリッジ30内の液体の劣化の度合いを推定したり、異なる粘度のインクが貯留された複数種類のインクカートリッジ30がプリンタ10に装着可能である場合において、装着されたインクカートリッジ30の種類を特定することができる。
また、本実施形態によれば、インク室36に貯留されたインクの減少に伴って、被検知部材59が第3位置に移動され且つ第3姿勢に回動される。その結果、被検知部材59がインクカートリッジ30の外部から検知されなくなるので、インク室36に貯留されたインクの量が閾値量未満になったことを検知することができる。
また、本実施形態によれば、規制部材88を許容位置から規制位置に戻すことによって、被検知部材59が第1位置で且つ第1姿勢に戻される。その結果、インクカートリッジ30内のインクの粘度を繰り返し推定することができる。
また、本実施形態によれば、インク供給部60を開閉するバルブとして弁体77を機能させることができるので、インクカートリッジ30の部品点数の増加を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、コイルバネ87が設けられているため、規制部材88を許容位置に移動させる外力が取り除かれることによって、弁体77が待機位置に、規制部材88が規制位置に自動的に移動される。
[変形例1]
上記の実施形態では、被検知部材59は、フロート114が浮くことによって移動及び回動した。しかし、被検知部材59は、以下に詳述するように、錘125が沈むことによって移動及び回動してもよい。
なお、以下の説明において、上記の実施形態と同様の内容については、その説明が省略され或いは簡単に説明され、上記の実施形態と異なる内容については、詳細に説明される。
変形例1において、弁体77は、上記の実施形態と異なり、規制部材88と一体でない。図12に示されるように、弁体77は、凸部84における弁83と接続されていない方の端部で、規制部材88を回動可能に支持している。具体的には、凸部84における弁83と接続されていない方の端部に、右方向55及び左方向56へ延びた貫通孔78が形成されている。貫通孔78に規制部材88の回動軸126が挿入されている。
変形例1において、第1溝91及び第2溝92は、図13に示されるように、上記の実施形態における第1の部分93、95のみで構成されている。また、第2端91B、92Bは、第1端91A、92Aより脱抜方向51且つ下方向53にずれた位置に位置している。つまり、第1溝91及び第2溝92は、脱抜方向52成分及び下方向53成分を有する方向に延びており、脱抜方向52に対して傾斜している。第1溝91及び第2溝92には、被検知部材59の回動軸61に加えて、規制部材88の挿入部128が挿入される。挿入部128は、回動軸61よりも第2端91B、92Bに近い位置において、第1溝91及び第2溝92に挿入されている。
変形例1において、ガイド壁89は、図13に示されるように、錘125の下方に配置されている。ガイド壁89は、脱抜方向52成分及び下方向53成分を有する方向に延び、脱抜方向52に対して傾斜した傾斜面89Bを有する。また、変形例1において、当接壁90は設けられていない。
変形例1において、被検知部材59の構成は、上記の実施形態と概ね同様である。但し、被検知部材59は、図13に示されるように、フロート63の代わりに錘125を備えている。錘125は、インク室36に貯留されたインクより比重が大きい材料によって形成されている。上述したように、第1溝91及び第2溝92は第1の部分93、95のみで構成されているため、被検知部材59は、第3位置へ移動せず、第3姿勢へ回動しない。
変形例1において、規制部材88は、図12及び図13に示されるように、回動軸126、アーム127、及び挿入部128で構成されている。
回動軸126は、弁体77の貫通孔78へ挿入されている。なお、回動軸126の先端は貫通孔78の内径よりも大きく構成されているため、回動軸126の貫通孔78からの抜けは防止される。これにより、規制部材88は、弁体77に回動可能に支持される。
アーム127は、回動軸126の基端から上方向54に延設されている。挿入部128は、アーム127の延設端部から右方向55及び左方向56に延設されている。挿入部128の左端は、第1溝91に挿入されている。挿入部128の右端は、第2溝92に挿入されている。これにより、挿入部128は、第1溝91及び第2溝92に沿って移動可能に第1溝91及び第2溝92によって支持されている。挿入部128は、回動軸61よりも第2端91B、92Bに近い位置において、第1溝91及び第2溝92に挿入されている。
以下、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される過程における弁体77、規制部材88、及び被検知部材59の動きが説明される。なお、以下の説明において、インク室36へのインクの貯留量は、ニアエンプティ状態よりも多い量であるとする。
図13(A)に示されるように、カートリッジ装着部110に装着される前のインクカートリッジ30において、弁体77は、コイルバネ87の付勢力によって待機位置にある。
待機位置の弁体77は、コイルバネ87の付勢力によってシール部材76に当接した状態にある。当該状態において、弁83は、シール部材76の貫通孔68の周縁部に液密に密着する。これにより、貫通孔68が閉塞される。その結果、インク室36からインクカートリッジ30の外部へのインクの流通は遮断されている。
弁体77が待機位置のとき、規制部材88は規制位置である。このとき、規制部材88の挿入部128は、被検知部材59の回動軸61の脱抜方向52を向く面に当接して、被検知部材59の回動軸61を第1端91A、91Bを画定している壁面に対して押圧している。このとき、回動軸61は、第1溝91及び第2溝92の第1端91A、92Aからの移動を規制されている。つまり、被検知部材59の第1位置から第2位置へ向けての移動が規制されている。
被検知部材59が第1位置のとき、錘125は、ガイド壁89の傾斜面89Bに上方から当接している。これにより、被検知部材59の第1姿勢から第2姿勢へ向けての回動が規制されている。以上より、図13(A)に示される状態のとき、被検知部材59は、第1位置で且つ第1姿勢である。
被検知部材59が第1位置で且つ第1姿勢のとき、被検知部62は、センサ103の発光部及び受光部の間に位置しない。そのため、発光部から出力された光は、受光部に到達する。よって、被検知部材59が第1位置で且つ第1姿勢のとき、センサ103はハイレベル信号を制御部130に出力する。
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される前であるため、装着センサ107は、インクカートリッジ30の前壁40に押圧されていない。よって、装着センサ107はローレベル信号を制御部130に出力している。
上記状態において、カートリッジ装着部110の開口112に対して開閉するカバーが開かれて、インクカートリッジ30のカートリッジ装着部110への挿入が開始される。つまり、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される。すなわち、インクカートリッジ30が使用姿勢となる。
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110の奥面151近傍まで挿入方向51に移動すると、インクカートリッジ30の前壁40は、装着センサ107を押圧する。すると、装着センサ107は、ハイレベル信号を制御部130に出力する。これにより、被検知部材59の移動時間の計測のカウントが開始される。
また、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110の奥面151近傍まで挿入方向51に移動すると、弁体77の弁83がインクニードル102に当接する。この状態で更にインクカートリッジ30が挿入方向51に移動すると、弁体77はインクニードル102から反力を受けて押される。これにより、弁体77は、コイルバネ87の付勢力に抗って、待機位置から作動位置へ向けて脱抜方向52に移動する(図13(B)参照)。
図13(B)に示されるように、作動位置の弁体77は、シール部材76から離間した状態である。これにより、貫通孔68が開放される。その結果、インク室36からインクカートリッジ30の外部へのインクの流通は許容される。
弁体77が待機位置から作動位置へ脱抜方向52に移動すると、当該移動に連動して、規制部材88が脱抜方向52に移動する。また、第1溝91及び第2溝92が脱抜方向52に対して下方向53に傾斜しているため、弁体77が脱抜方向52に移動すると、規制部材88は矢印129(図13(A)参照)の方向に回動する。
これにより、規制部材88の挿入部128は、第2端91B、92Bへ向けて移動し、回動軸61から離間する。その結果、被検知部材59は、第1位置から第2位置へ向けて移動可能な状態となる。一方、挿入部128が回動軸61から離間しても、錘125はガイド壁89と当接しているため、被検知部材59の第1姿勢から第2姿勢へ向けての回動は規制されている。
錘125は、重力によって、ガイド壁89と当接した状態を維持しつつ、脱抜方向52且つ下方向53に傾斜面89Bに沿って移動する。これにより、回動軸61は、第1溝91及び第2溝92の第1端91A、92Aから第2端91B、92Bへ向けて移動する。その結果、被検知部材59は、第1位置から第2位置へ向けて移動する。
被検知部材59は、回動軸61が第1溝91及び第2溝92の第2端91B、92Bに到達するまで移動する。図13(B)には、回動軸61が第1端91A、92Aと第2端91B、92Bとの間に位置する状態が示されている。回動軸61が第2端91B、92Bに位置したとき、被検知部材59は、図14(A)に示される第2位置に位置する。
被検知部材59が第2位置に位置するとき、錘125は、ガイド壁89より後壁41の近くに位置しており、ガイド壁89から離間している。これにより、被検知部材59は、錘125の重力によって、第1姿勢から第2姿勢へ向けて回動可能な状態となる。
被検知部材59は、被検知部62が凸部37の挿入方向51の端部を画定する壁86(当接部の一例)と当接するまで、矢印81の方向に回動する。被検知部62が壁86と当接したとき、被検知部材59は、図14(B)に示されるように、第2位置で且つ第2姿勢である。第2位置で且つ第2姿勢の被検知部材59は、被検知部62が壁86と当接しているために、矢印81の方向に回動できない。つまり、壁86は、第2位置で且つ第2姿勢の被検知部材59に接触して、被検知部材59が第1姿勢から離れる方向に回動するのを規制する。
被検知部材59が第2位置で且つ第2姿勢のとき、被検知部62は、センサ103の発光部及び受光部の間に位置する。そのため、発光部から出力された光は、受光部に到達しない。よって、被検知部材59が第2位置で且つ第2姿勢のとき、センサ103はローレベル信号を制御部130に出力する。換言すると、センサ103は、被検知部材59が検知位置に存在することを示すローレベル信号を出力する。これにより、被検知部材59の移動時間の計測のカウントが終了される。
以上より、被検知部材59は、規制部材88が許容位置に移動されたことに応じて、錘125が下方に移動し且つ回動軸61が第1溝91及び第2溝92の第2端91B、92Bに向かって下方に移動することによって、第1位置から第2位置へ移動され且つ第1姿勢から第2姿勢へ回動される。上記の過程を経てカートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了する。
次に、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から脱抜される過程における弁体77、規制部材88、及び被検知部材59の動きが説明される。なお、以下の説明において、インク室36へのインクの貯留量は、ニアエンプティ状態よりも多い量であるとする。
図14(B)に示されるように、カートリッジ装着部110に装着された状態のインクカートリッジ30において、弁体77は、インクニードル102の押圧力によって作動位置にある。弁体77が作動位置のとき、規制部材88は許容位置にある。規制部材88が許容位置のとき、被検知部材59は、上述したように移動及び回動する。その結果、被検知部材59は、第2位置で且つ第2姿勢である。
インクカートリッジ30のカートリッジ装着部110からの脱抜が開始されて、インクカートリッジ30が脱抜方向52に移動すると、弁体77はインクニードル102から離間する。これにより、弁体77は、コイルバネ87の付勢力によって作動位置から待機位置に移動する。弁体77が作動位置から待機位置へ移動すると、当該移動に連動して、規制部材88は許容位置から規制位置に移動する。また、第1溝91及び第2溝92が挿入方向51に対して上方向54に傾斜しているため、弁体77が挿入方向51に移動すると、規制部材88は矢印124(図14(B)参照)の方向に回動する。
規制部材88が許容位置から規制位置に移動する過程において、規制部材88の挿入部128が回動軸61に当接して回動軸61を第1溝91及び第2溝92の第1端91A、92Aに向けて押す。これにより、回動軸61は、第2端91B、92Bから第1端91A、92Aへ向けて移動する。その結果、被検知部材59は、第2位置から第1位置へ向けて移動する。また、被検知部材59が第2位置から第1位置へ向けて移動する過程において、錘125がガイド壁89の脱抜方向52を向く面に当接し、被検知部材は回動軸61を中心に矢印81と逆方向の矢印80の方向に回動する。そして錘125が傾斜面89Bに到達すると、被検知部材59は第1姿勢となり、第1姿勢のまま第1位置へ向けて移動する(図13(A)参照)。以上より、規制部材88は、許容位置から規制位置へ移動される過程において、被検知部材59に当接して第1位置へ移動させ且つ第1姿勢に回動させる。
なお、変形例1においては、インク室36内のインクの貯留量がインクカートリッジ30がニアエンプティ状態となったときの貯留量以下となっても、被検知部材59は、第2位置及び第2姿勢のままであるため、上述の残量判定処理は行われない。また、インク室36内のインクの貯留量がインクカートリッジ30がニアエンプティ状態となったときの貯留量以下であるときに、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から脱抜される過程における弁体77、規制部材88、及び被検知部材59の動きも上述の動きと同様である。
[その他の変形例]
上記の実施形態では、被検知部材59は、第1位置から第2位置へ移動してから、第1姿勢から第2姿勢へ回動した。しかし、被検知部材59の移動及び回動の順序は、上記の順序に限らない。例えば、被検知部材59は、第1姿勢から第2姿勢へ回動してから、第1位置から第2位置へ移動してもよい。
なお、被検知部材59が第1姿勢から第2姿勢へ回動してから第1位置から第2位置へ移動する構成の場合、ガイド壁89は、第1位置における被検知部材59の回動を許容するような位置に配置される。
また、第1内壁43及び第2内壁44は、下壁42以外の壁から立設されていてもよい。また、第1内壁43は、フィルムの代わりにインク容器31の左壁を構成していてもよい。また、第2内壁44は、フィルム32の代わりにインク容器31の右壁を構成していてもよい。
また、上記の実施形態では、センサ103は、発光部及び受光部の間における被検知部62の有無を検知していたが、他の部分を検知してもよい。例えば、フロート63を発光部及び受光部の間に移動可能な位置に配置し、センサ103は、発光部及び受光部の間におけるフロート63の有無を検知してもよい。この場合、被検知部材59は、被検知部62を備えていない。
また、上記の実施形態では、被検知部62は、被検知部材59の位置に関わらずインク室36内に位置していた。しかし、被検知部62は、被検知部材59が検知位置のときにセンサ103の発光部から受光部への光を遮光することを条件として、他の構成であってもよい。例えば、被検知部62は、被検知部材59が待機位置のときにインク室36外に配置されており、被検知部材59が待機位置から検知位置へ移動する過程においてインク室36内に進入してきてもよい。また、被検知部62は、被検知部材59の位置にかかわらず、インク室36外に配置されていてもよい。
また、上記の実施形態では、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着完了された(換言すれば、装着センサ107からハイレベル信号が出力された)タイミングで、移動時間の計測を開始する例を説明した。このように、既存の装着センサ107を利用することにより、インク供給装置100の構成を大きく変更することなく、インクの粘度を推定するための処理を実現することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、制御部130において認識可能な任意のタイミングであってもよい。
例えば、カートリッジ装着部110及びインクカートリッジ30が、以下のような構成であってもよい。図15に示されるように、カートリッジ装着部110のケース101の天面152に、第2のセンサ148が設けられている。第2のセンサ148は、奥面151の近傍に設けられている。一方、インクカートリッジ30のインク容器31には、光を遮断する凸部149が形成されている。凸部149は、被検知部62と同様の態様で発光部から出力された光を遮光する。凸部149は、凸部37よりも挿入方向51にずれた位置に形成されている。そして、制御部130は、第2のセンサ148が凸部149によって遮光されたタイミング(インクカートリッジ30が図15(A)の位置から図15(B)の位置となったタイミング)で移動時間の計測のカウントを開始し、センサ103が被検知部62によって遮光されたタイミングで移動時間の計測のカウントを終了する。
また、例えば、カートリッジ装着部110及びインクカートリッジ30が、以下のような構成であってもよい。図16に示されるように、インクカートリッジ30のインク容器31には、光を遮断する凸部149が形成されている。凸部149は、被検知部62と同様の態様で発光部から出力された光を遮光する。凸部149は、凸部37よりも挿入方向51にずれた位置に形成されている。そして、制御部130は、センサ103が凸部149により遮光され、その後遮光を解除されたタイミング(インクカートリッジ30が図16(A)の位置から図16(B)の位置となったタイミング)で移動時間の計測のカウントを開始し、センサ103が被検知部62によって遮光されたタイミングで移動時間の計測のカウントを終了する。なお、移動時間の計測のカウントが終了したとき、インクカートリッジ30は図16(C)の位置である。
また、上記の実施形態では、移動時間が閾値範囲を外れたことを条件として(S18:No)、記録ヘッド21の動作が規制される、すなわち、ステップS36がスキップされる。これにより、粘度が大きく変化したインクを吐出することによる記録ヘッド21のトラブルを防止することができる。但し、ステップS36をスキップする処理は必須ではない。すなわち、制御部130はインク粘度の異常を報知する処理(S37)のみを実行し、記録ヘッド21を動作させるか否かはユーザの判断に委ねてもよい。なお、その際の制御部130の制御フローは、図9、図10、及び図11に示したものとは異なるが、その詳細な説明は割愛する。
または、制御部130は、異常フラグに”ON”が設定されていると判断した場合(S32:Yes)に、ステップS35、S36の処理をスキップせずに、ステップS36における画像記録処理において、各ノズル29のピエゾ素子に印加する駆動電圧の大きさが調整されるようにヘッド制御基板21Aを制御してもよい。
具体的には、制御部130は、移動時間が閾値範囲に含まれる場合と、移動時間が閾値範囲からはずれた場合とで、ノズル29から吐出されるインク量が略同一となるように、ピエゾ素子29Aに印加すべき駆動電圧の大きさを調整するように、ヘッド制御基板21Aに出力する制御信号を変更すればよい。すなわち、移動時間が閾値範囲の下限値を下回る(すなわち、インクの粘度が低すぎる)場合、制御部130は、移動時間が閾値範囲内の場合より、ピエゾ素子29Aに印加する駆動電圧を小さくすればよい。一方、移動時間が閾値範囲の上限値を上回る(すなわち、インクの粘度が高すぎる)場合、制御部130は、移動時間が閾値範囲内の場合より、ピエゾ素子29Aに印加する駆動電圧を大きくすればよい。
上記構成によれば、異なる粘度のインクが貯留された複数種類のインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着可能である場合において、インクの種類に応じた適切な駆動電圧でピエゾ素子29Aを駆動させることができる。なお、上記の実施形態においては、アクチュエータの例としてピエゾ素子29Aが用いられているが、アクチュエータの具体例はこれに限定されず、例えば、熱によりインク中に気泡を発生させてノズル29からインクを吐出させるサーマル式のアクチュエータであってもよい。
また、インクの粘度は、周辺の温度の影響を受けて変化する。具体的には、温度が高いほど粘度が低くなり、温度が低いほど粘度が高くなる傾向がある。制御部130は、温度に応じてピエゾ素子29Aに印加される駆動電圧が調整されるように、ヘッド制御基板21Aを制御する。より詳細には、温度が高い場合には、制御部130は低い駆動電圧がピエゾ素子29Aに印加されるようにヘッド制御基板21Aに制御信号を出力する。温度が低い場合には、制御部130は高い駆動電圧がピエゾ素子29Aに印加されるようにヘッド制御基板21Aに制御信号を出力する。また、ピエゾ素子29Aに印加される駆動電圧に対応したインク粘度の最適な閾値が存在する。したがって、温度に応じたインク粘度の閾値範囲を設定することが好ましい。そこで、上記の実施形態では、温度に応じた適切な閾値範囲が決定されている。閾値範囲の決定方法は特に限定されないが、ROM132等に予め記憶された複数の閾値範囲のうちから温度に対応する閾値範囲を選択してもよいし、温度を入力パラメータとする関数を用いて閾値範囲の上限値或いは下限値を算出してもよい。また、ピエゾ素子29Aに印加される駆動電圧が温度に応じて調整されない場合には、温度センサ106から出力される信号に基づいて閾値範囲を決定するスッテプS17は省略されてもよく、その場合、固定の閾値範囲を用いてもよい。
また、上記の実施形態における制御部130は、以下のようにして、被検知部材59の移動時間を計測していた。つまり、制御部130は、装着センサ107がハイレベル信号を出力したことに応じてカウントを開始し、センサ103がローレベル信号を出力したことに応じてカウントを終了し、カウントの開始から終了までの時間を被検知部材59の移動時間としていた。しかし、制御部130による被検知部材59の移動時間の計測は、カウントによるものに限らない。例えば、制御部130は、装着センサ107がハイレベル信号を出力した時刻と、センサ103がローレベル信号を出力した時刻との差分を、被検知部材59の移動時間としてもよい。
また、上記の実施形態における制御部130は、異常フラグをEEPROM134に記憶していたが、インクカートリッジ30に搭載されたICチップの中のメモリに記憶してもよい。また、上記の実施形態における制御部130は、CPU131とASIC135とを備えていたが、制御部130の構成はこれに限定されない。例えば、制御部130はASIC135を有しておらず、図9、図10、及び図11に示される処理は、全てCPU131がROM132からプログラムを読み出すことによって実行されてもよい。逆に、制御部130がCPU131を有しておらず、ASIC135やFPGA等のハードウエアのみで構成されていてもよい。また、制御部130は複数のCPU131や複数のASIC135等を備えていてもよい。
さらに、上記の実施形態では、インクを液体の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、インクに代えて、印刷時にインクに先立って記録用紙に吐出される前処理液を液体としてもよい。