本発明は、弾性フィルム等の弾性シート層を第1シート層及び第2シート層で挟んだ伸縮構造を有する吸収性物品に関する。
吸収性物品においては、身体表面へのフィット性を向上するために、脚周りや胴周り等の適所に伸縮性を付与することが一般的である。伸縮性を付与するための手法としては、従来、糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材を長手方向に伸長した状態で多数並べて固定する手法が広く採用されているが、面的なフィット性に優れるものとして、弾性フィルムを伸縮性の付与方向に伸長した状態で取り付ける手法も提案されている。(例えば特許文献1参照)。
この弾性フィルムを第1シート層及び第2シート層で挟んだ伸縮構造(以下、弾性フィルム伸縮構造ともいう)は、伸縮領域が第1シート層と、第2シート層との間に弾性フィルムが積層されてなるとともに、弾性フィルムがそれらの表面に沿う伸縮方向に伸長された状態で、第1シート層及び第2シート層が、伸縮方向及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数の点状のシート接合部で、弾性フィルムに形成された貫通部を通じて接合されてなるものである。このような弾性フィルム伸縮構造は、自然長状態では、シート接合部間において弾性フィルムが収縮するのに伴い、シート接合部の間隔が狭くなり、第1シート層及び第2シート層におけるシート接合部間に伸縮方向と交差する方向に延びる収縮皺が形成される。反対に伸長時には、シート接合部間において弾性フィルムが伸長するのに伴い、シート接合部の間隔及び第1シート層及び第2シート層における収縮皺が広がり、第1シート層及び第2シート層の完全展開状態まで弾性伸長が可能となる。この弾性フィルム伸縮構造は、面的なフィット性に優れるのはもちろん、第1シート層及び第2シート層と弾性フィルムとの接合が無く、かつ第1シート層及び第2シート層の接合も極めて少ないため非常に柔軟であり、また、弾性フィルムの貫通部が通気性向上にも寄与するという利点がある。
本発明者は、このような弾性フィルム伸縮構造の研究過程で、点状のシート接合部を表示状に配置する又はシート接合部を表示状の形状とすることにより、当該伸縮構造を有する領域に、吸収性物品の分野で公知の表示、例えば装飾のための模様(ワンポイントの絵やキャラクターを含む)、使用方法や使用補助、サイズ等の機能表示、あるいは製造者や製品名、特徴的機能等の標章表示等を付加できるという知見を得た。このような表示付加技法が可能となるのは、弾性フィルム伸縮構造では糸ゴムを用いる汎用構造と異なり弾性フィルムが連続的に存在するために、シート接合部の配置、形状がある程度自由になることによるものである。
しかしながら、このような表示を伸縮領域に設けると、表示(シート接合部)が収縮皺の中に隠れたり、伸縮領域の伸縮により相対位置が変化したりするため、表示内容や表示目的によっては見栄えに問題がある。これを解決するために、表示形成領域の伸縮性を殺して非伸縮領域とし、この非伸縮領域内に表示を設けることを考えたが、伸縮方向と直交する方向において非伸縮領域に隣接して伸縮領域を有すると、伸縮領域の収縮の影響により非伸縮領域にも皺や襞が形成され、表示の見栄えが悪化する。
そこで本発明の主たる課題は、弾性フィルム伸縮構造においてシート接合部からなる表示を付加する場合の見栄えを向上することにある。
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
排泄物を吸収する吸収体を備えた吸収性物品において、
第1シート層と、第2シート層との間に弾性フィルムが積層されてなる弾性フィルム伸縮構造を備えており、
この弾性フィルム伸縮構造を有する領域は、非伸縮領域と、この非伸縮領域の少なくとも伸縮方向一方側に設けられた、前記伸縮方向に伸縮可能な伸縮領域とを有するとともに、
前記伸縮領域は、前記弾性フィルムがそれらの表面に沿う伸縮方向に伸長された状態で、前記第1シート層及び第2シート層が、前記伸縮方向及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数のシート接合部で直接的又は間接的に接合されることにより、前記伸縮方向の弾性限界伸びが200%以上とされており、
前記非伸縮領域は、前記弾性フィルムがそれらの表面に沿う伸縮方向に伸長された状態で、前記第1シート層及び第2シート層が、前記伸縮方向及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数のシート接合部で直接的又は間接的に接合され、かつ前記シート接合部の面積率が前記伸縮領域よりも高いこと、前記弾性フィルムが融解されていること、及び前記弾性フィルムが少なくとも伸縮方向に細かく分断されていることの少なくとも一つにより、前記伸縮方向の弾性限界伸びが130%以下とされるとともに、前記伸縮方向と直交する方向の中間に、前記第1シート層及び第2シート層が直接的又は間接的に接合されることにより形成されたシート接合部からなる表示部分を含み、
前記非伸縮領域の伸縮方向と直交する方向の両側に前記伸縮領域を有しない、
ことを特徴とする吸収性物品。
(作用効果)
本発明のような弾性フィルム伸縮構造では、弾性フィルムがそれらの表面に沿う伸縮方向に伸長された状態で、前記第1シート層及び第2シート層が、前記伸縮方向及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数のシート接合部で直接的又は間接的に接合されている場合、基本的に、シート接合部の面積率が高くなるほど第1シート層及び第2シート層が弾性フィルムにより収縮する部分が少なくなるため、弾性限界伸びが低下する傾向がある。よって、シート接合部の面積率を変化させるだけで非伸縮領域及び伸縮領域を形成することができる。ここで、「弾性限界伸び」とは、弾性限界(換言すれば第1シート層及び第2シート層が完全に展開した状態)における伸びを意味し、弾性限界時の長さを自然長を100%としたときの百分率で表すものであり、「面積率」とは単位面積に占める対象部分の割合を意味し、対象領域(例えば伸縮領域、非伸縮領域、主伸縮部分、緩衝伸縮部分)における対象部分(例えばシート接合部、貫通部の開口)の総面積を当該対象領域の面積で除して百分率で表すものであり、特に「シート接合部の面積率」とは、伸縮方向に弾性限界まで伸ばした状態の面積率を意味するものである。
また、非伸縮領域は弾性フィルムを加熱融解させることや、弾性フィルムが少なくとも伸縮方向に細かく分断されていることによっても形成することができる。
そして、弾性フィルム伸縮構造において非伸縮領域を形成し、そこにシート接合部からなる表示部分を付加する場合、上記のように、非伸縮領域の伸縮方向と直交する方向の両側に弾性フィルム伸縮構造による伸縮領域の無い構成とするとともに、伸縮方向と直交する方向の中間にシート接合部からなる表示部分を配置することにより、表示部分が伸縮領域の収縮の影響を受けにくくなり、表示の見栄えの悪化が防止される。
<請求項2記載の発明>
前記シート接合部は第1シート層及び第2シート層の素材の溶着により形成されている、請求項1記載の吸収性物品。
(作用効果)
シート接合部を形成する手法は特に限定されるものではないが、溶着加工により形成されていると、シート接合部の見栄えが周囲と異なるため、表示部分が際立って見えるようになる。
<請求項3記載の発明>
前記第1シート層及び第2シート層は、前記シート接合部で、前記弾性シート層に形成された貫通部を通じて接合されるとともに、少なくとも前記シート接合部における前記第1シート層及び第2シート層間以外では前記弾性シート層と接合されていない、請求項1又は2記載の吸収性物品。
(作用効果)
このような構造とすると、弾性シート層の貫通部と、シート接合部との間に隙間が形成され、弾性シート層の素材が無孔のフィルムやシートであっても、この隙間により通気性が付加されるため好ましい。
<請求項4記載の発明>
前記非伸縮領域では、前記シート接合部の面積率が前記伸縮領域よりも高いことにより、前記伸縮方向の弾性限界伸びが130%以下とされており、
前記シート接合部の面積は0.14〜3.5mm2であり、
前記非伸縮領域における前記シート接合部の面積率は16〜45%であり、
前記伸縮領域における前記シート接合部の面積率は1.8〜22.5%である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
シート接合部の面積及びシート接合部の面積率は適宜定めれば良いが、通常の場合、上記範囲内とすることが望ましい。
<請求項5記載の発明>
前身頃及び後身頃を構成する外装体と、この外装体の内面に固定された、吸収体を含む内装体とを備え、前身頃における外装体の両側部と後身頃における外装体の両側部とがそれぞれ接合されてサイドシール部が形成されることにより、胴周り部が環状に形成されるとともに、ウエスト開口及び左右一対の脚開口が形成された、パンツタイプ使い捨ておむつであって、
前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方における前記外装体は、少なくとも前後方向の一部の範囲における前記サイドシール部間に対応する幅方向範囲にわたり、前記弾性フィルム伸縮構造を、その伸縮方向が幅方向となるように備えており、
この弾性フィルム伸縮構造を有する領域に、前記非伸縮領域及び伸縮領域を有している、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
パンツタイプ使い捨ておむつは、吸収性物品の中でも伸縮領域が広く、下着の代わりとしての使用態様が多いものであるため、模様などの表示を付加することが多く、見栄えが重要なものである。このような表示として、従来は、内装体と外装体との間又は外装体の内部に表示を印刷したシートを介在させることが一般的であったが、本発明によればこのような印刷シートを省略しつつ見栄えの良い表示を付加することができる。
<請求項6記載の発明>
前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方における前記外装体は、ウエスト端部領域と前記吸収体との間の前後方向範囲として定まる胴周り中間領域を有しており、少なくともこの胴周り中間領域における前記サイドシール部間に対応する幅方向範囲にわたり前記弾性フィルム伸縮構造を、その伸縮方向が幅方向となるように備えており、
前記胴周り中間領域は、その幅方向中間部が前記表示部分を有する非伸縮領域とされるとともに、この非伸縮領域と前記サイドシール部との間に対応する幅方向範囲が前記伸縮領域とされている、
請求項5記載の吸収性物品。
(作用効果)
胴周り中間領域は、吸収体を有しない領域であり、吸収体を有する領域のようにコシのある領域と異なり柔軟であるため、表示部分が伸縮領域の収縮の影響を受けやすい。よって、本発明は胴周り中間領域に表示部分を設ける場合に、特に技術的意義を有するものである。
<請求項7記載の発明>
前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方における前記外装体の胴周り部は、前記吸収体と重なる吸収体領域を有しており、少なくとも前記胴周り中間領域から吸収体領域にわたる領域における幅方向全体にわたり、前記弾性フィルム伸縮構造を、その伸縮方向が幅方向となるように備えており、
前記胴周り中間領域及び吸収体領域にわたる領域は、その幅方向中間部に、前記表示部分を有する非伸縮領域とされるとともに、この非伸縮領域と前記サイドシール部との間に対応する幅方向範囲が前記伸縮領域とされている、
請求項6記載の吸収性物品。
(作用効果)
パンツタイプ使い捨ておむつの外装体における吸収体と重なる部分は、製造上の理由により弾性フィルムを配置させることが望ましいものの伸縮が不要な領域である。よって、この吸収体と重なる部分を含めて、表示部分を含む非伸縮領域を形成するのは好ましい。
<請求項8記載の発明>
前記弾性フィルム伸縮構造が前記ウエスト端部領域まで延在されており、かつ前記非伸縮領域の前後に、他の幅方向の伸縮構造を有しない、請求項6又は7記載の吸収性物品。
(作用効果)
このように弾性フィルム伸縮構造をウエスト端部領域まで延在し、他の幅方向の伸縮構造を有しないもとすると、従来、ウエスト端部領域等に設けられていた細長状のウエスト部弾性部材を省略することができるとともに、非伸縮領域に対する伸縮領域の収縮の影響が完全に防止されるようになるため好ましい。
<請求項9記載の発明>
前記ウエスト端部領域における、前記サイドシール部間に対応する幅方向範囲全体が、細長状のウエスト部弾性部材が幅方向に沿って伸長状態で固定された伸縮領域とされている、請求項6又は7記載の吸収性物品。
(作用効果)
ウエスト端部領域に弾性フィルム伸縮構造を用いると、ウエスト端部領域の締め付けが不十分になる場合等、必要に応じてウエスト端部領域には弾性フィルム伸縮構造を設けずに、従来の細長状の弾性伸縮部材による伸縮構造を設けることもできる。
<請求項10記載の発明>
前記ウエスト端部領域における、前記弾性フィルム伸縮構造を有する領域の伸縮領域と対応する幅方向範囲が、細長状のウエスト部弾性部材が幅方向に沿って伸長状態で固定された伸縮領域とされ、
前記ウエスト端部領域における少なくとも前記表示部分と対応する幅方向範囲が、非伸縮領域とされるか又は前記ウエスト端部領域の伸縮領域よりも弾性限界伸びが小さい弱伸縮領域とされている、
請求項6又は7記載の吸収性物品。
(作用効果)
ウエスト端部領域に弾性フィルム伸縮構造を用いると、ウエスト端部領域の締め付けが不十分になる場合等、必要に応じてウエスト端部領域には弾性フィルム伸縮構造を設けずに、従来の細長状の弾性伸縮部材による伸縮構造を設けることもできる。しかし、この場合、ウエスト端部領域の近くに表示部分を設けると、表示部分が非伸縮領域の伸縮方向と直交する方向の中間に位置するとはいえ、ウエスト端部領域の伸縮の影響を受けやすくなる。よって、細長状弾性伸縮部材による伸縮構造を設ける場合、上記のように、少なくとも表示部分と対応する幅方向範囲については、非伸縮領域又は弱伸縮領域とするのも好ましい形態である。
<請求項11記載の発明>
前記非伸縮領域が、
(a)股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が狭くなる形状、
(b)股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が広くなる形状、
(c)股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が広くなった後に狭くなる形状、
のいずれか一つの形状とされている、請求項6〜10のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
非伸縮領域の形状を上記の形状とすると、外装体が身体表面に対するフィット性が高い形状となるため好ましい。
<請求項12記載の発明>
前記非伸縮領域は、股間側からウエスト開口側に向かうにつれて複数に分岐した形状とされ、かつ分岐した非伸縮領域の間が前記伸縮領域とされている、請求項6〜10のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
非伸縮領域をこのような分岐形状とすることにより、外装体の硬質化を防ぎつつ、非伸縮領域による表示部分を設けることができるようになる。
以上のとおり、本発明によれば、弾性フィルム伸縮構造においてシート接合部からなる表示を付加する場合の見栄えを向上できるようになる、等の利点がもたらされる。
完全展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(内面側)である。
完全展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(外面側)である。
(a)は外装体の要部平面図、(b)は(a)のD−D断面図、(c)は装着状態における断面図、(d)は自然長状態における断面図である。
(a)は図1のC−C断面図、(b)は図1のE−E断面図である。
図1のA−A断面図である。
図1のB−B断面図である。
完全展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの要部のみ示す平面図である。
幅方向にある程度伸長した外装体の要部断面を概略的に示す断面図である。
作用説明のための正面概略図である。
シート接合部のパターンを示す要部拡大平面図である。
シート接合部の形成手法を示す概略図である。
表示部分周辺のシート接合部のパターン例を示す平面図である。
表示部分周辺のシート接合部のパターン例を示す平面図である。
シート接合部のパターン例を示す平面図である。
完全展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(外面側)である。
(a)は図15のC−C断面図、(b)は図15のE−E断面図である。
完全展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(外面側)である。
パンツタイプ使い捨ておむつの各種形態を概略的に示す正面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの各種形態を概略的に示す、(a)及び(b)は正面図、(c)は背面図である。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。なお、断面図中の点模様部分はホットメルト接着剤等の接合手段を示している。
図1〜図7はパンツタイプ使い捨ておむつを示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ(以下、単におむつともいう。)は、前身頃F及び後身頃Bをなす外装体20と、この外装体20の内面に固定され一体化された内装体10とを有しており、内装体10は液透過性表面シート11と液不透過性裏面側シート12との間に吸収体13が介在されてなるものである。製造に際しては、外装体20の内面(上面)に対して内装体10の裏面がホットメルト接着剤などの接合手段によって接合(図7の斜線部分10B)された後に、内装体10及び外装体20が前身頃F及び後身頃Bの境界である前後方向(縦方向)中央で折り畳まれ、その両側部が相互に熱溶着又はホットメルト接着剤などによって接合されてサイドシール部21が形成されることによって、ウエスト開口及び左右一対のレッグ開口が形成されたパンツタイプ使い捨ておむつとなる。
(内装体の構造例)
内装体10は、図4〜図6に示すように、不織布などからなる液透過性表面シート11と、ポリエチレン等からなる液不透過性裏面側シート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、表面シート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。内装体10の平面形状は特に限定されないが、図示形態のようにほぼ長方形とすることが一般的である。
吸収体13の表面側(肌当接面側)を覆う液透過性表面シート11としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。液透過性表面シート11に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。液透過性表面シート11は、吸収体13の側縁部を巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在している。
吸収体13の裏面側(非肌当接面側)を覆う液不透過性裏面側シート12は、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
吸収体13としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。この吸収体13は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート14によって包装することができる。
吸収体13の形状は、股間部に前後両側よりも幅の狭い括れ部分13Nを有するほぼ砂時計状に形成されているが、長方形状等、適宜の意形状とすることができる。括れ部分13Nの寸法は適宜定めることができるが、括れ部分13Nの前後方向長さはおむつ全長の20〜50%程度とすることができ、その最も狭い部分の幅は吸収体13の全幅の40〜60%程度とすることができる。このような括れ部分13Nを有する場合において、内装体10の平面形状がほぼ長方形とされていると、内装体10における吸収体13の括れ部分13Nと対応する部分に、吸収体13を有しない余り部分が形成される。
内装体10の両側部には脚周りにフィットする立体ギャザーBSが形成されている。この立体ギャザーBSは、図5及び図6に示されるように、内装体の裏面の側部に固定された固定部と、この固定部から内装体の側方を経て内装体の表面の側部まで延在する本体部と、本体部の前後端部が倒伏状態で内装体の表面の側部に固定されて形成された倒伏部分と、この倒伏部分間が非固定とされて形成された自由部分とが、折り返しによって二重シートとしたギャザー不織布15により形成されている。
また、二重シート間には、自由部分の先端部等に細長状ギャザー弾性部材16が配設されている。ギャザー弾性部材16は、製品状態において図5に二点鎖線で示すように、弾性伸縮力により自由部分を起立させて立体ギャザーBSを形成するためのものである。
液不透過性裏面側シート12は、液透過性表面シート11とともに吸収体13の幅方向両側で裏側に折り返されている。この液不透過性裏面側シート12としては、排便や尿などの褐色が出ないように不透明のものを用いるのが望ましい。不透明化としては、プラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を内添してフィルム化したものが好適に使用される。
ギャザー弾性部材16としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは925dtex以下、テンションは150〜350%、間隔は7.0mm以下として配設するのがよい。なお、ギャザー弾性部材16としては、図示形態のような糸状の他、ある程度の幅を有するテープ状のものを用いることもできる。
前述のギャザー不織布15を構成する素材繊維も液透過性表面シート11と同様に、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらにギャザー不織布15については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
(外装体の構造例)
外装体20は、図4〜図6にも示されるように、第1シート層20A及び第2シート層20Bの間に、弾性フィルム30が配設され、幅方向の伸縮性が付与されている。外装体20の平面形状は、中間両側部にそれぞれレッグ開口を形成するために形成された凹状の脚周りライン29により、全体として擬似砂時計形状をなしている。外装体20は、前後に二分割し、両者が股間部で前後方向に離間するように配置しても良い。
第1シート層20A及び第2シート層20Bの構成材は、シート状のものであれば特に限定無く使用できるが、通気性及び柔軟性の観点から不織布を用いることが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その目付けは12〜20g/m2程度とするのが好ましい。また、第1シート層20A及び第2シート層20Bの一部又は全部は、一枚の資材を折り返して対向させた一対の層であっても良い。例えば、図示形態のように、ウエスト端部領域23では、外側に位置する構成材を第2シート層20Bとし、かつそのウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分20Cを第1シート層20Aとして、その間に弾性フィルムを介在させるとともに、それ以外の部分では内側に位置する抗生剤を第1シート層20Aとし、外側に位置する構成材を第2シート層20Bとして、その間に弾性フィルムを介在させることができる。もちろん、胴周り部及び中間部の全体にわたり第1シート層20Aの構成材及び第2シート層20Bの構成材を個別に設け、構成材を折り返しすることなく、第1シート層20Aの構成材及び第2シート層20Bの構成材間に弾性フィルム30を介在させることもできる。
特徴的には、図2に示すように、外装体20における前身頃Fの胴周り部T、後身頃Bの胴周り部T、及びそれらの間の中間部Lに、本発明の伸縮構造20Xが形成されている。すなわち、この外装体20の伸縮構造20Xでは、第1シート層20Aと、第2シート層20Bとの間に弾性フィルム30が積層されており、この弾性フィルム伸縮構造20Xを有する領域は、非伸縮領域70と、この非伸縮領域70の少なくとも伸縮方向(幅方向)一方側に設けられた、幅方向に伸縮可能な伸縮領域80とを有している。伸縮領域80は、弾性フィルム30がそれらの表面に沿う幅方向に伸長された状態で、第1シート層20A及び第2シート層20Bが、幅方向及びこれと直交する縦方向(伸縮方向と直交する方向)にそれぞれ間隔を空けて配列された多数のシート接合部40で直接的又は間接的に接合されることにより、幅方向の弾性限界伸びが200%以上(好ましくは265〜295%)とされている。一方、非伸縮領域70は、弾性フィルム30がそれらの表面に沿う幅方向に伸長された状態で、第1シート層20A及び第2シート層20Bが、幅方向及びこれと直交する縦方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数のシート接合部40で直接的又は間接的に接合され、かつシート接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高いことにより、幅方向の弾性限界伸びが130%以下(好ましくは120%以下、より好ましくは100%)とされている。
このような弾性フィルム伸縮構造20Xにおいて、弾性フィルム30が幅方向に伸長された状態で、第1シート層20A及び第2シート層20Bが、伸縮方向及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数のシート接合部40で直接的又は間接的に接合されている場合、基本的に、シート接合部40の面積率が高くなるほど第1シート層20A及び第2シート層20Bが弾性フィルム30により収縮する部分が少なくなるため、弾性限界伸びが低下する傾向がある。よって、このような特性を利用して、シート接合部40の面積率を変化させるだけで非伸縮領域70及び伸縮領域80を形成することができる。
この場合、伸縮領域80では、図3(d)に示すように、弾性フィルム30の自然長状態では、シート接合部40間の第1シート層20A及び第2シート層20Bが互いに離間する方向に膨らんで、伸縮方向と交差する方向に延びる収縮皺25が形成され、図3(c)に示すように、幅方向にある程度伸長した装着状態でも、収縮皺25は伸ばされるものの、残るようになっている。また、図示形態のように、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、少なくともシート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20B間以外では弾性フィルム30と接合されていないと、装着状態を想定した図3(c)及び第1シート層20A及び第2シート層20Bの完全展開状態を想定した図3(a)(b)からも分かるように、これらの状態では、弾性フィルム30における貫通部31と、シート接合部40との間に隙間が形成され、弾性フィルム30の素材が無孔のフィルムやシートであっても、この隙間により通気性が付加される。
一方、シート接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高いことにより非伸縮領域70を形成する場合、非伸縮領域70にはシート接合部40間に盛り上がった部分あるいは極めて微小な皺が形成されるが、シート接合部40の面積率が非常に高いために伸縮性は実質的に殺されることになる。また、非伸縮領域70は弾性フィルム30を加熱融解させることによっても形成することができ、この場合に非伸縮領域70にシート接合部40を形成する場合は、シート接合部40の面積率は、非伸縮領域70より高くても、低くても良く、例えば後述する表示部分71を形成するために表示状に配列されるシート接合部40のみ設けることもできる。さらに、非伸縮領域70は弾性フィルム30を少なくとも伸縮方向に細かく分断することによっても形成することができる。このような分断は網状又は伸縮方向と交差する縞状にシート接合部40を形成したり、加圧等により弾性フィルム30を網状又は伸縮方向と交差する縞状に切断したりすること等により行うことができる。
そして、弾性フィルム伸縮構造20Xを有する領域では、非伸縮領域70の縦方向(伸縮方向と直交する方向)の両側に伸縮領域80の無い構成とするとともに、縦方向の中間に、シート接合部40からなる表示部分71を配置することにより、図9(b)に概略的に示すように、表示部分71が伸縮領域80の収縮の影響を受けにくくなり、表示部分71の見栄えの悪化が防止される。これに対して、図9(a)に概略的に示すように、伸縮方向と直交する方向において非伸縮領域70の表示部分71に伸縮領域80が隣接していると、伸縮領域80の収縮の影響により非伸縮領域70にも皺や襞75が形成され、表示の見栄えが悪化する。非伸縮領域70には、図示形態のようにその一部に表示部分71を設け、他の部分は非表示部分72とする他、その全体にわたり表示部分71を設けることもできる。
個々のシート接合部40及び貫通部31の自然長状態での形状は、真円形、楕円形、三角形、長方形、ひし形等の多角形、あるいは星形、雲形等、任意の形状とすることができる。個々のシート接合部40の大きさは、適宜定めれば良いが、大きすぎるとシート接合部40の硬さが感触に及ぼす影響が大きくなり、小さすぎると接合面積が少なく資材同士が十分に接着できなくなるため、通常の場合、個々のシート接合部40の面積は0.14〜3.5mm2程度とすることが好ましい。個々の貫通部31の開口の面積は、貫通部31を介してシート接合部が形成されるためシート接合部以上であれば良いが、シート接合部の面積の1〜1.5倍程度とすることが好ましい。なお、貫通部31の開口の面積は、当該伸縮構造が自然長の状態における値を意味し、貫通部31の開口の面積が、弾性フィルムの表と裏で異なる等、厚み方向に均一でない場合には最小値を意味する。
また、シート接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高いことにより非伸縮領域70を形成する場合、各領域における個々のシート接合部40の面積及び面積率は、通常の場合次のようにするのが好ましい。
(非伸縮領域70)
シート接合部40の面積:0.14〜3.5mm2(特に0.25〜1.0mm2)
シート接合部40の面積率:16〜45%(特に25〜45%)
(伸縮領域80)
シート接合部40の面積:0.14〜3.5mm2(特に0.14〜1.0mm2)
シート接合部40の面積率:1.8〜19.1%(特に1.8〜10.6%)
非伸縮領域70及び伸縮領域80でシート接合部40の面積率を異なるものとするには、図10(a)に示すように単位面積当たりのシート接合部40の数を変えたり、図10(b)に示すように個々のシート接合部40の面積を変えたりすればよい。前者の場合、シート接合部40の面積を、非伸縮領域70及び伸縮領域80で同じとすることができ、後者の場合、単位面積当たりのシート接合部40の数を、非伸縮領域70及び伸縮領域80で同じとすることができる。
表示部分71以外のシート接合部40の平面配列は適宜定めることができるが、表示部分71を際立たせるために、規則的に繰り返される配列が好ましく、斜方格子状や六角格子状(これらは千鳥状ともいわれる)、正方格子状、矩形格子状、平行体格子(図示のように、多数の平行な斜め方向の列の群が互いに交差するように2群設けられる形態)状等のように規則的に繰り返されるものの他、シート接合部40の群(群単位の配列は規則的でも不規則でも良く、模様や文字状等でも良い)が規則的に繰り返されるものとすることもできる。表示部分71以外のシート接合部40の配列形態は、伸縮領域80及び非伸縮領域70において同じものとする他、異なるものとすることもできる。
表示部分71は、図2、図12、及び図13に示すように、点状のシート接合部40を表示部分71の形状に配列することにより形成する他、単一のシート接合部40を表示部分71の形状とすることにより形成することもできる。表示部分71の形状は、吸収性物品の分野で公知の表示、例えば装飾のための模様(ワンポイントの絵やキャラクターを含む)、使用方法や使用補助、サイズ等の機能表示、あるいは製造者や製品名、特徴的機能等の標章表示等とすることができる。なお、図2に示す形態では、植物模様の一種である花模様が付加されているが、他の植物模様でも良く、抽象模様や動物模様、自然現象模様等、各種の模様を使用できることはいうまでもない。
シート接合部40を形成する手法は特に限定されるものではないが、溶着により形成されていると、シート接合部40の見栄えが周囲と異なるため、表示部分71が際立って見えるようになるため好ましい。
シート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの接合は直接的であっても、また弾性フィルム30等の他のシートを介して間接的になされていても良い。図10は、代表的な三種類の接合構造を示している。図10(a)及び(c)に示す接合構造は、図3に示す形態と同様に、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、弾性フィルム30に形成された貫通部31を通じて接合されるとともに、少なくともシート接合部40(図10に斜め格子模様を付した部分)における第1シート層20A及び第2シート層20B間以外では弾性フィルム30と接合されていないものである。この接合構造は、特表2004−532758号公報の方法における模様付きカレンダーローラーの隆起部の配列パターンを、シート接合部40のパターンにするだけでも製造することができる。ただし、特表2004−532758号公報記載の手法は、弾性フィルム30を融解せずに押し出すものであると考えられ、その場合、図10(c)に示すように、第1シート層20A及び第2シート層20B間に弾性フィルム30が残らず、貫通部31の周囲に図示しない押し出し破片が移動可能に残るおそれがある。
これに対して、図11に示すように、第1シート層20A及び第2シート層20B間に弾性フィルム30を挟んだ状態で、シート接合部形成装置100(図11(a)に示すような超音波シール装置101や、図11(b)に示すようなヒートシール装置102)によりシート接合部40の配列パターンでシート接合部40を形成すると、弾性フィルム30に貫通部31を形成するのと同時に、その貫通部31を介して第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合することができ、効率良く製造できる。この場合、図10(a)に示すように、弾性フィルム30の融解分離片がシート接合部40内に残された接合構造とすることができる。このように、シート接合部40の第1シート層20A及び第2シート層20B間に弾性フィルム30の融解分離片が残る形態は、シート接合部40において第1シート層20A及び第2シート層20Bが弾性フィルム30と接合しているともいえるが、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、少なくともシート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20B間以外では弾性フィルム30と接合されていない形態(シート接合部40の第1シート層20A及び第2シート層20Bがその周囲の弾性フィルム30(つまり貫通部31の縁部)と接合することは含まない意味)には違いないものである。この場合、個々のシート接合部の面積と、個々の貫通部の面積とはほぼ等しくなる。また、もちろん、特表2004−532758号公報記載の製法において、シート接合部40において弾性フィルム30が融解分離せず、貫通部31も形成されないように、弾性フィルム30の素材の種類や加工温度等の加工条件を適宜選択することにより、図10(b)に示すように、シート接合部40において弾性フィルム30に貫通部が形成されず、第1シート層20A及び第2シート層20Bが弾性フィルム30を介して間接的に接合された接合構造とすることもできる。
非伸縮領域70における表示部分71はシート接合部40により形成されるものであるため、シート接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高いことにより非伸縮領域70を形成し、かつ非表示部分72を設ける場合、非表示部分72及び表示部分71は、図12(a)〜(c)に示すように、シート接合部40の個々の形状、大きさ、角度、面積率を異なるものとする必要がある。ただし、この場合、図11(a)(b)に示すように、シート接合部形成装置100(図11(a)に示すような超音波シール装置や図11(b)に示すようなヒートシール装置102)により、伸縮領域80、非伸縮領域70の表示部分71、及び非伸縮領域70の非表示部分72の全てのシート接合部40のパターンで一度加工するだけで済む利点がある。この形態において、非表示部分72のシート接合部40のパターンを図14(a)に示すように網状(又は伸縮方向と交差する縞状でも良い)とすることにより、図12(d)に示すように、非表示部分72における弾性フィルム30を分断して非伸縮にすることも可能であるが、シート接合部40も同じパターンで形成される。
弾性フィルム30を加熱融解させることによって非伸縮領域70を形成する場合には、第1シート層20A及び第2シート層20Bの融解温度を弾性フィルム30の融解温度よりも十分に高いものとした上で、図11(c)(d)に示すように、シート接合部形成装置111(図11(b)に示すようなヒートシール装置102でも良い)により少なくとも表示部分71のシート接合部40を形成した後、弾性フィルム融解装置112(図11(a)に示すようなヒートシール装置や図11(b)に示すような超音波シール装置)により、非伸縮領域70の全体又は非表示部分72を、第1シート層20A及び第2シート層20Bは融解・溶着しないが弾性フィルム30は融解する温度に加熱し、弾性フィルム30のみを融解することができる。非伸縮領域70の全体にわたり弾性フィルム30を融解させる場合には、表示部分71を形成するシート接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高い必要はなく、したがって図13(a)〜(e)に示すように制約なしに表示部分71を形成することができる。より詳細には、図13(a)〜(e)に示す例では、非表示部分72のシート接合部40の面積率が低くされており、図13(a)に示す例では表示部分71のシート接合部40の面積率が高いものとなっており、図13(b)に示す例では表示部分71のシート接合部40の面積率も低いものとなっている。また、図13(c)(d)に示す例では表示部分71のシート接合部40は表示部分71の外周に沿う部位にしか形成されておらず、その内側にはシート接合部40が形成されていない。さらに図13(e)に示す例では、非表示部分72にシート接合部40を規則的に設けて、表示部分71のシート接合部40を抜くことにより、表示部分71が現れるものとなっている。これらに対して、非表示部分72のみ弾性フィルム30を融解する場合には、表示部分71を形成するシート接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高いことにより非伸縮となる必要がある。
弾性フィルム融解装置112に代えてシート接合部形成装置111を用い、図14(a)に示すような網状(又は伸縮方向と交差する縞状でも良い)のシート接合部40のパターンで非伸縮領域70の全体又は非表示部分72にシート接合部40を形成することにより、弾性フィルム30を分断して非伸縮にしたり、図14(b)に示すように点状のシート接合部40を高い面積率で非伸縮領域70の全体又は非表示部分72に形成することにより非伸縮にしたりすることも可能である。ただし、この加工を非伸縮領域70の全体に施す場合には、表示部分71が潰れないようなパターンとする必要がある。
弾性フィルム30は特に限定されるものではなく、それ自体弾性を有する樹脂フィルムであれば、無孔のものの他、通気のために多数の孔やスリットが形成されたものも用いることができる。特に、伸縮方向における引張強度が8〜25N/35mm、伸縮方向と直交する方向における引張強度が5〜20N/35mm、伸縮方向における引張伸度が450〜1050%、及び伸縮方向と直交する方向における引張伸度が450〜1400%の弾性フィルム30であると好ましい。なお、引張強度及び引張伸度(破断伸び)は、引張試験機(例えばSHIMADZU社製のAOUTGRAPHAGS−G100N)を用い、試験片を幅35mm×長さ80mmの長方形状とした以外は、JIS K7127:1999「プラスチック−引張特性の試験方法−」に準じて、初期チャック間隔を50mmとし、引張速度を300mm/minとして測定される値を意味する。弾性フィルム30の厚みは特に限定されないが、20〜40μm程度であるのが好ましい。
図1及び図2に示す形態は、弾性フィルム伸縮構造20Xがウエスト端部領域23まで延在されており、かつ非伸縮領域70の前後に、他の幅方向の伸縮構造20Xを有しない形態であるが、ウエスト端部領域23に弾性フィルム伸縮構造20Xを用いると、ウエスト端部領域23の締め付けが不十分になる等、必要な場合には、図15及び図16に示すようにウエスト端部領域23には弾性フィルム伸縮構造20Xを設けずに、従来の細長状のウエスト部弾性部材24による伸縮構造20Xを設けることもできる。ウエスト部弾性部材24は、縦方向に間隔をおいて配置された複数の糸ゴム等の細長状弾性部材であり、身体の胴周りを締め付けるように伸縮力を与えるものである。ウエスト部弾性部材24は、間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように3〜8mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。ウエスト部弾性部材24の固定時の伸長率は適宜定めることができるが、通常の成人用の場合230〜320%程度とすることができる。ウエスト部弾性部材24は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えば平ゴム等、他の細長状の伸縮部材を用いても良い。
この場合、図15に示すように、サイドシール部21間に対応する幅方向範囲全体にわたり、細長状のウエスト部弾性部材24が幅方向に沿って伸長状態で固定された伸縮領域80とされていても良いが、ウエスト端部領域23の近くに表示部分71を設けると、表示部分71が非伸縮領域70の伸縮方向と直交する方向の中間に位置するとはいえ、ウエスト端部領域23の伸縮の影響を受けやすくなる。よって、ウエスト部弾性部材24を設ける場合、図17に示すように、ウエスト端部領域23のうち弾性フィルム伸縮構造20Xを有する領域の表示部分71と対応する幅方向範囲、好ましくは非伸縮領域70と対応する幅方向範囲については、ウエスト部弾性部材24を設けない、細かく又は幅方向中間で切断する、本数を減らす等により、非伸縮領域70又は弱伸縮領域80とするのも好ましい形態である。
他の形態としては、前身頃Fの胴周り部Tと後身頃Bの胴周り部Tとの間の中間部Lには伸縮構造20Xを設けない形態とすることも可能である。
伸縮領域80及び非伸縮領域70の配置は適宜定めることができる。本実施形態のようなパンツタイプ使い捨ておむつの外装体20の場合、吸収体13と重なる部分は伸縮が不要な領域であるため、図示形態のように、吸収体13と重なる部分の一部又は全部(内装体固定部10Bのほぼ全体を含むことが望ましい)を含めて、表示部分71を含む非伸縮領域70を形成するのは好ましい。外装体20における吸収体13と重なる領域はコシのある領域であり、吸収体13に対して固定される部分であるため、伸縮領域80の収縮の影響は比較的に少ない領域であり、表示部分71を設けるのに適している。これに対して、吸収体13と重ならない領域は、伸縮性及び柔軟性が要求されるため、模様等の表示がないのが当たり前の領域であるが、それだけ見栄えを向上させる表示を設けることに意義がある領域ともいえるものであり、本発明によればこのような領域にも非伸縮領域70を設けてそこに表示部分71を設けることができる。もちろん、吸収体13と重なる領域及び吸収体13と重ならない領域の両方に非伸縮領域70を設けることも、またいずれか一方にのみ非伸縮領域70を設けることができる。
このような観点から、非伸縮領域70を設けるのに好適な領域の一つは、図示形態のようなウエスト端部領域23と吸収体13との間の縦方向範囲として定まる胴周り中間領域26である。この場合、胴周り中間領域26の幅方向中間に表示部分71を有する非伸縮領域70を形成するとともに、この非伸縮領域70とサイドシール部21との間に対応する幅方向範囲を伸縮領域80とすることができる。胴周り中間領域26の幅方向中間は腹部の膨らみが位置する部分であるため、この部分に非伸縮領域70を形成し、その両側を伸縮領域80とすると、装着者の腹部の膨らみに対するフィット性に優れるようになる。また、ウエスト端部領域23まで非伸縮領域70を連続させても、その両側の伸縮領域80によりフィット性を補うことができる。
さらに、非伸縮領域70の形状により、身体表面に対するフィット性を向上させることもできる。例えば、パンツタイプ使い捨ておむつの外装体20における幅方向中央部に非伸縮領域70を設ける場合、非伸縮領域70の形状を、図18(a)に示すように股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が狭くなる形状とすると、ウエストが細い場合のフィット性に優れるものとなる。また、非伸縮領域70の形状を、図18(b)に示すように股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が広くなる形状とすると、前身頃Fの場合には装着者の腹部の膨らみが特に大きい場合に、後身頃Bの場合には臀部の膨らみが特に大きい場合にフィット性に優れるものとなる。さらに、非伸縮領域70の形状を、図18(c)に示すように股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が広くなった後に狭くなる形状とすると、装着者が標準的な体型の場合のフィット性に優れたものとなる。
また、非伸縮領域70の連続幅が広くなると、フィット性及び柔軟性が低下するため、図18(d)に示すように、非伸縮領域70の形状を、股間側からウエスト開口側に向かうにつれて複数に分岐した形状とし、かつ分岐した非伸縮領域70の間を伸縮領域80とすると、外装体20の硬質化を防ぎつつ、非伸縮領域70による表示部分71を設けることができるようになるため好ましい。
また、ウエスト端部領域23のうち非伸縮領域70の表示部分と対応する幅方向範囲にウエスト部弾性部材24を設ける場合に、図18(e)に示すように股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が狭くなる形状とすると、ウエスト端部領域23の伸縮の影響を受けにくくなる利点がある。
これらの形態のように、パンツタイプ使い捨ておむつの外装体20における幅方向中央部に非伸縮領域70を設け、その形状によりフィット性を向上させる場合、図19(a)(b)に示すように、非伸縮領域70の両側縁を曲線的にすると身体表面に対するフィット性がより一層のものとなる。なお、図19の左図は展開状態、右図は自然長状態を概略的に表現したものである。また、前身頃F及び後身頃Bの両方に非伸縮領域70を設ける場合、前身頃Fを図19(a)に示す形態とし、後身頃Bを図19(c)に示す形態とする等、前後異なる形状とし、身体表面に対するフィット性をさらに良好なものとすることもできる。
(前後押さえシート)
図1及び図4にも示されるように、外装体20の内面上に取り付けられた内装体10の前後端部をカバーし、且つ内装体10の前後縁からの漏れを防ぐために、前後押さえシート50,60が設けられていても良い。図示形態について更に詳細に説明すると、前押さえシート50は、前身頃Fの外装体20の内面のうちウエスト端部領域23の折り返し部分20Cの内面から内装体10の前端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在しており、後押さえシート60は、後身頃Bの外装体20の内面のうちウエスト端部領域23の折り返し部分20Cの内面から内装体10の後端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在している。前後押さえシート50,60の股間側の縁部に幅方向の全体にわたり(中央部のみでも良い)若干の非接着部分を設けると、接着剤がはみ出ないだけでなく、この部分を表面シートから若干浮かせて防漏壁として機能させることができる。
図示形態のように、前後押さえシート50,60を別体として取り付けると、素材選択の自由度が高くなる利点があるものの、資材や製造工程が増加する等のデメリットもある。そのため、外装体20をおむつ内面に折り返してなる折り返し部分20Cを、内装体10と重なる部分まで延在させて、前述の押さえシート50,60と同等の部分を形成することもできる。
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:10gf/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内で行うものとする。
本発明の弾性フィルム伸縮構造は、パンツタイプ使い捨ておむつだけでなく、テープタイプ使い捨ておむつの胴周りやファスニングテープにも適用でき、また、パッドタイプ等の他のタイプの使い捨ておむつや生理用ナプキン等を含め、吸収性物品全般において汎用されている立体ギャザー、平面ギャザー等の、他の伸縮部にも適用することができる。
B…後身頃、F…前身頃、T…胴周り部、L…中間部、10…内装体、11…液透過性表面シート、12…液不透過性裏面側シート、13…吸収体、13N…括れ部分、14…包装シート、15…ギャザー不織布、16…ギャザー弾性部材、20…外装体、20A…第1シート層、20B…第2シート層、20C…折り返し部分、20X…弾性フィルム伸縮構造、21…サイドシール部、23…ウエスト端部領域、24…ウエスト部弾性部材、25…収縮皺、29…脚周りライン、30…弾性フィルム、31…貫通部、40…シート接合部、70…非伸縮領域、71…表示部分、72…非表示部分、80…伸縮領域、26…胴周り中間領域。
本発明は、弾性フィルムを第1シート層及び第2シート層で挟んだ伸縮構造を有する吸収性物品に関する。
吸収性物品においては、身体表面へのフィット性を向上するために、脚周りや胴周り等の適所に伸縮性を付与することが一般的である。伸縮性を付与するための手法としては、従来、糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材を長手方向に伸長した状態で多数並べて固定する手法が広く採用されているが、面的なフィット性に優れるものとして、弾性フィルムを伸縮性の付与方向に伸長した状態で取り付ける手法も提案されている。(例えば特許文献1参照)。
この弾性フィルムを第1シート層及び第2シート層で挟んだ伸縮構造(以下、弾性フィルム伸縮構造ともいう)は、伸縮領域が第1シート層と、第2シート層との間に弾性フィルムが積層されてなるとともに、弾性フィルムがそれらの表面に沿う伸縮方向に伸長された状態で、第1シート層及び第2シート層が、伸縮方向及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数の点状のシート接合部で、弾性フィルムに形成された貫通部を通じて接合されてなるものである。このような弾性フィルム伸縮構造は、自然長状態では、シート接合部間において弾性フィルムが収縮するのに伴い、シート接合部の間隔が狭くなり、第1シート層及び第2シート層におけるシート接合部間に伸縮方向と交差する方向に延びる収縮皺が形成される。反対に伸長時には、シート接合部間において弾性フィルムが伸長するのに伴い、シート接合部の間隔及び第1シート層及び第2シート層における収縮皺が広がり、第1シート層及び第2シート層の完全展開状態まで弾性伸長が可能となる。この弾性フィルム伸縮構造は、面的なフィット性に優れるのはもちろん、第1シート層及び第2シート層と弾性フィルムとの接合が無く、かつ第1シート層及び第2シート層の接合も極めて少ないため非常に柔軟であり、また、弾性フィルムの貫通部が通気性向上にも寄与するという利点がある。
本発明者は、このような弾性フィルム伸縮構造の研究過程で、点状のシート接合部を表示状に配置する又はシート接合部を表示状の形状とすることにより、当該伸縮構造を有する領域に、吸収性物品の分野で公知の表示、例えば装飾のための模様(ワンポイントの絵やキャラクターを含む)、使用方法や使用補助、サイズ等の機能表示、あるいは製造者や製品名、特徴的機能等の標章表示等を付加できるという知見を得た。このような表示付加技法が可能となるのは、弾性フィルム伸縮構造では糸ゴムを用いる汎用構造と異なり弾性フィルムが連続的に存在するために、シート接合部の配置、形状がある程度自由になることによるものである。
しかしながら、このような表示を伸縮領域に設けると、表示(シート接合部)が収縮皺の中に隠れたり、伸縮領域の伸縮により相対位置が変化したりするため、表示内容や表示目的によっては見栄えに問題がある。これを解決するために、表示形成領域の伸縮性を殺して非伸縮領域とし、この非伸縮領域内に表示を設けることを考えたが、伸縮方向と直交する方向において非伸縮領域に隣接して伸縮領域を有すると、伸縮領域の収縮の影響により非伸縮領域にも皺や襞が形成され、表示の見栄えが悪化する。
そこで本発明の主たる課題は、弾性フィルム伸縮構造においてシート接合部からなる表示を付加する場合の見栄えを向上することにある。
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
排泄物を吸収する吸収体を備えた吸収性物品において、
第1シート層と、第2シート層との間に弾性フィルムが積層されてなる弾性フィルム伸縮構造を備えており、
この弾性フィルム伸縮構造を有する領域は、非伸縮領域と、この非伸縮領域の少なくとも伸縮方向一方側に設けられた、前記伸縮方向に伸縮可能な伸縮領域とを有するとともに、
前記伸縮領域は、前記弾性フィルムがそれらの表面に沿う伸縮方向に伸長された状態で、前記第1シート層及び第2シート層が、前記伸縮方向及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数のシート接合部で直接的又は間接的に接合されることにより、前記伸縮方向の弾性限界伸びが200%以上とされており、
前記非伸縮領域は、前記弾性フィルムがそれらの表面に沿う伸縮方向に伸長された状態で、前記第1シート層及び第2シート層が、前記伸縮方向及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数のシート接合部で直接的又は間接的に接合され、かつ前記シート接合部の面積率が前記伸縮領域よりも高いこと、前記弾性フィルムが融解されていること、及び前記弾性フィルムが少なくとも伸縮方向に細かく分断されていることの少なくとも一つにより、前記伸縮方向の弾性限界伸びが130%以下とされるとともに、前記伸縮方向と直交する方向の中間に、前記第1シート層及び第2シート層が直接的又は間接的に接合されることにより形成されたシート接合部からなる表示部分を含み、
前記非伸縮領域の伸縮方向と直交する方向の両側に前記伸縮領域を有しない、
ことを特徴とする吸収性物品。
(作用効果)
本発明のような弾性フィルム伸縮構造では、弾性フィルムがそれらの表面に沿う伸縮方向に伸長された状態で、前記第1シート層及び第2シート層が、前記伸縮方向及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数のシート接合部で直接的又は間接的に接合されている場合、基本的に、シート接合部の面積率が高くなるほど第1シート層及び第2シート層が弾性フィルムにより収縮する部分が少なくなるため、弾性限界伸びが低下する傾向がある。よって、シート接合部の面積率を変化させるだけで非伸縮領域及び伸縮領域を形成することができる。ここで、「弾性限界伸び」とは、弾性限界(換言すれば第1シート層及び第2シート層が完全に展開した状態)における伸びを意味し、弾性限界時の長さを自然長を100%としたときの百分率で表すものであり、「面積率」とは単位面積に占める対象部分の割合を意味し、対象領域(例えば伸縮領域、非伸縮領域、主伸縮部分、緩衝伸縮部分)における対象部分(例えばシート接合部、貫通部の開口)の総面積を当該対象領域の面積で除して百分率で表すものであり、特に「シート接合部の面積率」とは、伸縮方向に弾性限界まで伸ばした状態の面積率を意味するものである。
また、非伸縮領域は弾性フィルムを加熱融解させることや、弾性フィルムが少なくとも伸縮方向に細かく分断されていることによっても形成することができる。
そして、弾性フィルム伸縮構造において非伸縮領域を形成し、そこにシート接合部からなる表示部分を付加する場合、上記のように、非伸縮領域の伸縮方向と直交する方向の両側に弾性フィルム伸縮構造による伸縮領域の無い構成とするとともに、伸縮方向と直交する方向の中間にシート接合部からなる表示部分を配置することにより、表示部分が伸縮領域の収縮の影響を受けにくくなり、表示の見栄えの悪化が防止される。
<請求項2記載の発明>
前記シート接合部は第1シート層及び第2シート層の素材の溶着により形成されている、請求項1記載の吸収性物品。
(作用効果)
シート接合部を形成する手法は特に限定されるものではないが、溶着加工により形成されていると、シート接合部の見栄えが周囲と異なるため、表示部分が際立って見えるようになる。
<請求項3記載の発明>
前記第1シート層及び第2シート層は、前記シート接合部で、前記弾性フィルムに形成された貫通部を通じて接合されるとともに、少なくとも前記シート接合部における前記第1シート層及び第2シート層間以外では前記弾性フィルムと接合されていない、請求項1又は2記載の吸収性物品。
(作用効果)
このような構造とすると、弾性フィルムの貫通部と、シート接合部との間に隙間が形成され、弾性フィルムの素材が無孔のフィルムやシートであっても、この隙間により通気性が付加されるため好ましい。
<請求項4記載の発明>
前記非伸縮領域では、前記シート接合部の面積率が前記伸縮領域よりも高いことにより、前記伸縮方向の弾性限界伸びが130%以下とされており、
前記シート接合部の面積は0.14〜3.5mm2であり、
前記非伸縮領域における前記シート接合部の面積率は16〜45%であり、
前記伸縮領域における前記シート接合部の面積率は1.8〜22.5%である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
シート接合部の面積及びシート接合部の面積率は適宜定めれば良いが、通常の場合、上記範囲内とすることが望ましい。
<請求項5記載の発明>
前身頃及び後身頃を構成する外装体と、この外装体の内面に固定された、吸収体を含む内装体とを備え、前身頃における外装体の両側部と後身頃における外装体の両側部とがそれぞれ接合されてサイドシール部が形成されることにより、胴周り部が環状に形成されるとともに、ウエスト開口及び左右一対の脚開口が形成された、パンツタイプ使い捨ておむつであって、
前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方における前記外装体は、少なくとも前後方向の一部の範囲における前記サイドシール部間に対応する幅方向範囲にわたり、前記弾性フィルム伸縮構造を、その伸縮方向が幅方向となるように備えており、
この弾性フィルム伸縮構造を有する領域に、前記非伸縮領域及び伸縮領域を有している、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
パンツタイプ使い捨ておむつは、吸収性物品の中でも伸縮領域が広く、下着の代わりとしての使用態様が多いものであるため、模様などの表示を付加することが多く、見栄えが重要なものである。このような表示として、従来は、内装体と外装体との間又は外装体の内部に表示を印刷したシートを介在させることが一般的であったが、本発明によればこのような印刷シートを省略しつつ見栄えの良い表示を付加することができる。
<請求項6記載の発明>
前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方における前記外装体は、ウエスト端部領域と前記吸収体との間の前後方向範囲として定まる胴周り中間領域を有しており、少なくともこの胴周り中間領域における前記サイドシール部間に対応する幅方向範囲にわたり前記弾性フィルム伸縮構造を、その伸縮方向が幅方向となるように備えており、
前記胴周り中間領域は、その幅方向中間部が前記表示部分を有する非伸縮領域とされるとともに、この非伸縮領域と前記サイドシール部との間に対応する幅方向範囲が前記伸縮領域とされている、
請求項5記載の吸収性物品。
(作用効果)
胴周り中間領域は、吸収体を有しない領域であり、吸収体を有する領域のようにコシのある領域と異なり柔軟であるため、表示部分が伸縮領域の収縮の影響を受けやすい。よって、本発明は胴周り中間領域に表示部分を設ける場合に、特に技術的意義を有するものである。
<請求項7記載の発明>
前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方における前記外装体の胴周り部は、前記吸収体と重なる吸収体領域を有しており、少なくとも前記胴周り中間領域から吸収体領域にわたる領域における幅方向全体にわたり、前記弾性フィルム伸縮構造を、その伸縮方向が幅方向となるように備えており、
前記胴周り中間領域及び吸収体領域にわたる領域は、その幅方向中間部に、前記表示部分を有する非伸縮領域とされるとともに、この非伸縮領域と前記サイドシール部との間に対応する幅方向範囲が前記伸縮領域とされている、
請求項6記載の吸収性物品。
(作用効果)
パンツタイプ使い捨ておむつの外装体における吸収体と重なる部分は、製造上の理由により弾性フィルムを配置させることが望ましいものの伸縮が不要な領域である。よって、この吸収体と重なる部分を含めて、表示部分を含む非伸縮領域を形成するのは好ましい。
<請求項8記載の発明>
前記弾性フィルム伸縮構造が前記ウエスト端部領域まで延在されており、かつ前記非伸縮領域の前後に、他の幅方向の伸縮構造を有しない、請求項6又は7記載の吸収性物品。
(作用効果)
このように弾性フィルム伸縮構造をウエスト端部領域まで延在し、他の幅方向の伸縮構造を有しないもとすると、従来、ウエスト端部領域等に設けられていた細長状のウエスト部弾性部材を省略することができるとともに、非伸縮領域に対する伸縮領域の収縮の影響が完全に防止されるようになるため好ましい。
<請求項9記載の発明>
前記ウエスト端部領域における、前記サイドシール部間に対応する幅方向範囲全体が、細長状のウエスト部弾性部材が幅方向に沿って伸長状態で固定された伸縮領域とされている、請求項6又は7記載の吸収性物品。
(作用効果)
ウエスト端部領域に弾性フィルム伸縮構造を用いると、ウエスト端部領域の締め付けが不十分になる場合等、必要に応じてウエスト端部領域には弾性フィルム伸縮構造を設けずに、従来の細長状の弾性伸縮部材による伸縮構造を設けることもできる。
<請求項10記載の発明>
前記ウエスト端部領域における、前記弾性フィルム伸縮構造を有する領域の伸縮領域と対応する幅方向範囲が、細長状のウエスト部弾性部材が幅方向に沿って伸長状態で固定された伸縮領域とされ、
前記ウエスト端部領域における少なくとも前記表示部分と対応する幅方向範囲が、非伸縮領域とされるか又は前記ウエスト端部領域の伸縮領域よりも弾性限界伸びが小さい弱伸縮領域とされている、
請求項6又は7記載の吸収性物品。
(作用効果)
ウエスト端部領域に弾性フィルム伸縮構造を用いると、ウエスト端部領域の締め付けが不十分になる場合等、必要に応じてウエスト端部領域には弾性フィルム伸縮構造を設けずに、従来の細長状の弾性伸縮部材による伸縮構造を設けることもできる。しかし、この場合、ウエスト端部領域の近くに表示部分を設けると、表示部分が非伸縮領域の伸縮方向と直交する方向の中間に位置するとはいえ、ウエスト端部領域の伸縮の影響を受けやすくなる。よって、細長状弾性伸縮部材による伸縮構造を設ける場合、上記のように、少なくとも表示部分と対応する幅方向範囲については、非伸縮領域又は弱伸縮領域とするのも好ましい形態である。
<請求項11記載の発明>
前記非伸縮領域が、
(a)股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が狭くなる形状、
(b)股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が広くなる形状、
(c)股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が広くなった後に狭くなる形状、
のいずれか一つの形状とされている、請求項6〜10のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
非伸縮領域の形状を上記の形状とすると、外装体が身体表面に対するフィット性が高い形状となるため好ましい。
<請求項12記載の発明>
前記非伸縮領域は、股間側からウエスト開口側に向かうにつれて複数に分岐した形状とされ、かつ分岐した非伸縮領域の間が前記伸縮領域とされている、請求項6〜10のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
非伸縮領域をこのような分岐形状とすることにより、外装体の硬質化を防ぎつつ、非伸縮領域による表示部分を設けることができるようになる。
以上のとおり、本発明によれば、弾性フィルム伸縮構造においてシート接合部からなる表示を付加する場合の見栄えを向上できるようになる、等の利点がもたらされる。
完全展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(内面側)である。
完全展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(外面側)である。
(a)は外装体の要部平面図、(b)は(a)のD−D断面図、(c)は装着状態における断面図、(d)は自然長状態における断面図である。
(a)は図1のC−C断面図、(b)は図1のE−E断面図である。
図1のA−A断面図である。
図1のB−B断面図である。
完全展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの要部のみ示す平面図である。
幅方向にある程度伸長した外装体の要部断面を概略的に示す断面図である。
作用説明のための正面概略図である。
シート接合部のパターンを示す要部拡大平面図である。
シート接合部の形成手法を示す概略図である。
表示部分周辺のシート接合部のパターン例を示す平面図である。
表示部分周辺のシート接合部のパターン例を示す平面図である。
シート接合部のパターン例を示す平面図である。
完全展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(外面側)である。
(a)は図15のC−C断面図、(b)は図15のE−E断面図である。
完全展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(外面側)である。
パンツタイプ使い捨ておむつの各種形態を概略的に示す正面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの各種形態を概略的に示す、(a)及び(b)は正面図、(c)は背面図である。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。なお、断面図中の点模様部分はホットメルト接着剤等の接合手段を示している。
図1〜図7はパンツタイプ使い捨ておむつを示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ(以下、単におむつともいう。)は、前身頃F及び後身頃Bをなす外装体20と、この外装体20の内面に固定され一体化された内装体10とを有しており、内装体10は液透過性表面シート11と液不透過性裏面側シート12との間に吸収体13が介在されてなるものである。製造に際しては、外装体20の内面(上面)に対して内装体10の裏面がホットメルト接着剤などの接合手段によって接合(図7の斜線部分10B)された後に、内装体10及び外装体20が前身頃F及び後身頃Bの境界である前後方向(縦方向)中央で折り畳まれ、その両側部が相互に熱溶着又はホットメルト接着剤などによって接合されてサイドシール部21が形成されることによって、ウエスト開口及び左右一対のレッグ開口が形成されたパンツタイプ使い捨ておむつとなる。
(内装体の構造例)
内装体10は、図4〜図6に示すように、不織布などからなる液透過性表面シート11と、ポリエチレン等からなる液不透過性裏面側シート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、表面シート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。内装体10の平面形状は特に限定されないが、図示形態のようにほぼ長方形とすることが一般的である。
吸収体13の表面側(肌当接面側)を覆う液透過性表面シート11としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。液透過性表面シート11に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。液透過性表面シート11は、吸収体13の側縁部を巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在している。
吸収体13の裏面側(非肌当接面側)を覆う液不透過性裏面側シート12は、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
吸収体13としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。この吸収体13は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート14によって包装することができる。
吸収体13の形状は、股間部に前後両側よりも幅の狭い括れ部分13Nを有するほぼ砂時計状に形成されているが、長方形状等、適宜の意形状とすることができる。括れ部分13Nの寸法は適宜定めることができるが、括れ部分13Nの前後方向長さはおむつ全長の20〜50%程度とすることができ、その最も狭い部分の幅は吸収体13の全幅の40〜60%程度とすることができる。このような括れ部分13Nを有する場合において、内装体10の平面形状がほぼ長方形とされていると、内装体10における吸収体13の括れ部分13Nと対応する部分に、吸収体13を有しない余り部分が形成される。
内装体10の両側部には脚周りにフィットする立体ギャザーBSが形成されている。この立体ギャザーBSは、図5及び図6に示されるように、内装体の裏面の側部に固定された固定部と、この固定部から内装体の側方を経て内装体の表面の側部まで延在する本体部と、本体部の前後端部が倒伏状態で内装体の表面の側部に固定されて形成された倒伏部分と、この倒伏部分間が非固定とされて形成された自由部分とが、折り返しによって二重シートとしたギャザー不織布15により形成されている。
また、二重シート間には、自由部分の先端部等に細長状ギャザー弾性部材16が配設されている。ギャザー弾性部材16は、製品状態において図5に二点鎖線で示すように、弾性伸縮力により自由部分を起立させて立体ギャザーBSを形成するためのものである。
液不透過性裏面側シート12は、液透過性表面シート11とともに吸収体13の幅方向両側で裏側に折り返されている。この液不透過性裏面側シート12としては、排便や尿などの褐色が出ないように不透明のものを用いるのが望ましい。不透明化としては、プラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を内添してフィルム化したものが好適に使用される。
ギャザー弾性部材16としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは925dtex以下、テンションは150〜350%、間隔は7.0mm以下として配設するのがよい。なお、ギャザー弾性部材16としては、図示形態のような糸状の他、ある程度の幅を有するテープ状のものを用いることもできる。
前述のギャザー不織布15を構成する素材繊維も液透過性表面シート11と同様に、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらにギャザー不織布15については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
(外装体の構造例)
外装体20は、図4〜図6にも示されるように、第1シート層20A及び第2シート層20Bの間に、弾性フィルム30が配設され、幅方向の伸縮性が付与されている。外装体20の平面形状は、中間両側部にそれぞれレッグ開口を形成するために形成された凹状の脚周りライン29により、全体として擬似砂時計形状をなしている。外装体20は、前後に二分割し、両者が股間部で前後方向に離間するように配置しても良い。
第1シート層20A及び第2シート層20Bの構成材は、シート状のものであれば特に限定無く使用できるが、通気性及び柔軟性の観点から不織布を用いることが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その目付けは12〜20g/m2程度とするのが好ましい。また、第1シート層20A及び第2シート層20Bの一部又は全部は、一枚の資材を折り返して対向させた一対の層であっても良い。例えば、図示形態のように、ウエスト端部領域23では、外側に位置する構成材を第2シート層20Bとし、かつそのウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分20Cを第1シート層20Aとして、その間に弾性フィルムを介在させるとともに、それ以外の部分では内側に位置する抗生剤を第1シート層20Aとし、外側に位置する構成材を第2シート層20Bとして、その間に弾性フィルムを介在させることができる。もちろん、胴周り部及び中間部の全体にわたり第1シート層20Aの構成材及び第2シート層20Bの構成材を個別に設け、構成材を折り返しすることなく、第1シート層20Aの構成材及び第2シート層20Bの構成材間に弾性フィルム30を介在させることもできる。
特徴的には、図2に示すように、外装体20における前身頃Fの胴周り部T、後身頃Bの胴周り部T、及びそれらの間の中間部Lに、本発明の伸縮構造20Xが形成されている。すなわち、この外装体20の伸縮構造20Xでは、第1シート層20Aと、第2シート層20Bとの間に弾性フィルム30が積層されており、この弾性フィルム伸縮構造20Xを有する領域は、非伸縮領域70と、この非伸縮領域70の少なくとも伸縮方向(幅方向)一方側に設けられた、幅方向に伸縮可能な伸縮領域80とを有している。伸縮領域80は、弾性フィルム30がそれらの表面に沿う幅方向に伸長された状態で、第1シート層20A及び第2シート層20Bが、幅方向及びこれと直交する縦方向(伸縮方向と直交する方向)にそれぞれ間隔を空けて配列された多数のシート接合部40で直接的又は間接的に接合されることにより、幅方向の弾性限界伸びが200%以上(好ましくは265〜295%)とされている。一方、非伸縮領域70は、弾性フィルム30がそれらの表面に沿う幅方向に伸長された状態で、第1シート層20A及び第2シート層20Bが、幅方向及びこれと直交する縦方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数のシート接合部40で直接的又は間接的に接合され、かつシート接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高いことにより、幅方向の弾性限界伸びが130%以下(好ましくは120%以下、より好ましくは100%)とされている。
このような弾性フィルム伸縮構造20Xにおいて、弾性フィルム30が幅方向に伸長された状態で、第1シート層20A及び第2シート層20Bが、伸縮方向及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数のシート接合部40で直接的又は間接的に接合されている場合、基本的に、シート接合部40の面積率が高くなるほど第1シート層20A及び第2シート層20Bが弾性フィルム30により収縮する部分が少なくなるため、弾性限界伸びが低下する傾向がある。よって、このような特性を利用して、シート接合部40の面積率を変化させるだけで非伸縮領域70及び伸縮領域80を形成することができる。
この場合、伸縮領域80では、図3(d)に示すように、弾性フィルム30の自然長状態では、シート接合部40間の第1シート層20A及び第2シート層20Bが互いに離間する方向に膨らんで、伸縮方向と交差する方向に延びる収縮皺25が形成され、図3(c)に示すように、幅方向にある程度伸長した装着状態でも、収縮皺25は伸ばされるものの、残るようになっている。また、図示形態のように、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、少なくともシート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20B間以外では弾性フィルム30と接合されていないと、装着状態を想定した図3(c)及び第1シート層20A及び第2シート層20Bの完全展開状態を想定した図3(a)(b)からも分かるように、これらの状態では、弾性フィルム30における貫通部31と、シート接合部40との間に隙間が形成され、弾性フィルム30の素材が無孔のフィルムやシートであっても、この隙間により通気性が付加される。
一方、シート接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高いことにより非伸縮領域70を形成する場合、非伸縮領域70にはシート接合部40間に盛り上がった部分あるいは極めて微小な皺が形成されるが、シート接合部40の面積率が非常に高いために伸縮性は実質的に殺されることになる。また、非伸縮領域70は弾性フィルム30を加熱融解させることによっても形成することができ、この場合に非伸縮領域70にシート接合部40を形成する場合は、シート接合部40の面積率は、非伸縮領域70より高くても、低くても良く、例えば後述する表示部分71を形成するために表示状に配列されるシート接合部40のみ設けることもできる。さらに、非伸縮領域70は弾性フィルム30を少なくとも伸縮方向に細かく分断することによっても形成することができる。このような分断は網状又は伸縮方向と交差する縞状にシート接合部40を形成したり、加圧等により弾性フィルム30を網状又は伸縮方向と交差する縞状に切断したりすること等により行うことができる。
そして、弾性フィルム伸縮構造20Xを有する領域では、非伸縮領域70の縦方向(伸縮方向と直交する方向)の両側に伸縮領域80の無い構成とするとともに、縦方向の中間に、シート接合部40からなる表示部分71を配置することにより、図9(b)に概略的に示すように、表示部分71が伸縮領域80の収縮の影響を受けにくくなり、表示部分71の見栄えの悪化が防止される。これに対して、図9(a)に概略的に示すように、伸縮方向と直交する方向において非伸縮領域70の表示部分71に伸縮領域80が隣接していると、伸縮領域80の収縮の影響により非伸縮領域70にも皺や襞75が形成され、表示の見栄えが悪化する。非伸縮領域70には、図示形態のようにその一部に表示部分71を設け、他の部分は非表示部分72とする他、その全体にわたり表示部分71を設けることもできる。
個々のシート接合部40及び貫通部31の自然長状態での形状は、真円形、楕円形、三角形、長方形、ひし形等の多角形、あるいは星形、雲形等、任意の形状とすることができる。個々のシート接合部40の大きさは、適宜定めれば良いが、大きすぎるとシート接合部40の硬さが感触に及ぼす影響が大きくなり、小さすぎると接合面積が少なく資材同士が十分に接着できなくなるため、通常の場合、個々のシート接合部40の面積は0.14〜3.5mm2程度とすることが好ましい。個々の貫通部31の開口の面積は、貫通部31を介してシート接合部が形成されるためシート接合部以上であれば良いが、シート接合部の面積の1〜1.5倍程度とすることが好ましい。なお、貫通部31の開口の面積は、当該伸縮構造が自然長の状態における値を意味し、貫通部31の開口の面積が、弾性フィルムの表と裏で異なる等、厚み方向に均一でない場合には最小値を意味する。
また、シート接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高いことにより非伸縮領域70を形成する場合、各領域における個々のシート接合部40の面積及び面積率は、通常の場合次のようにするのが好ましい。
(非伸縮領域70)
シート接合部40の面積:0.14〜3.5mm2(特に0.25〜1.0mm2)
シート接合部40の面積率:16〜45%(特に25〜45%)
(伸縮領域80)
シート接合部40の面積:0.14〜3.5mm2(特に0.14〜1.0mm2)
シート接合部40の面積率:1.8〜19.1%(特に1.8〜10.6%)
非伸縮領域70及び伸縮領域80でシート接合部40の面積率を異なるものとするには、図10(a)に示すように単位面積当たりのシート接合部40の数を変えたり、図10(b)に示すように個々のシート接合部40の面積を変えたりすればよい。前者の場合、シート接合部40の面積を、非伸縮領域70及び伸縮領域80で同じとすることができ、後者の場合、単位面積当たりのシート接合部40の数を、非伸縮領域70及び伸縮領域80で同じとすることができる。
表示部分71以外のシート接合部40の平面配列は適宜定めることができるが、表示部分71を際立たせるために、規則的に繰り返される配列が好ましく、斜方格子状や六角格子状(これらは千鳥状ともいわれる)、正方格子状、矩形格子状、平行体格子(図示のように、多数の平行な斜め方向の列の群が互いに交差するように2群設けられる形態)状等のように規則的に繰り返されるものの他、シート接合部40の群(群単位の配列は規則的でも不規則でも良く、模様や文字状等でも良い)が規則的に繰り返されるものとすることもできる。表示部分71以外のシート接合部40の配列形態は、伸縮領域80及び非伸縮領域70において同じものとする他、異なるものとすることもできる。
表示部分71は、図2、図12、及び図13に示すように、点状のシート接合部40を表示部分71の形状に配列することにより形成する他、単一のシート接合部40を表示部分71の形状とすることにより形成することもできる。表示部分71の形状は、吸収性物品の分野で公知の表示、例えば装飾のための模様(ワンポイントの絵やキャラクターを含む)、使用方法や使用補助、サイズ等の機能表示、あるいは製造者や製品名、特徴的機能等の標章表示等とすることができる。なお、図2に示す形態では、植物模様の一種である花模様が付加されているが、他の植物模様でも良く、抽象模様や動物模様、自然現象模様等、各種の模様を使用できることはいうまでもない。
シート接合部40を形成する手法は特に限定されるものではないが、溶着により形成されていると、シート接合部40の見栄えが周囲と異なるため、表示部分71が際立って見えるようになるため好ましい。
シート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの接合は直接的であっても、また弾性フィルム30等の他のシートを介して間接的になされていても良い。図10は、代表的な三種類の接合構造を示している。図10(a)及び(c)に示す接合構造は、図3に示す形態と同様に、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、弾性フィルム30に形成された貫通部31を通じて接合されるとともに、少なくともシート接合部40(図10に斜め格子模様を付した部分)における第1シート層20A及び第2シート層20B間以外では弾性フィルム30と接合されていないものである。この接合構造は、特表2004−532758号公報の方法における模様付きカレンダーローラーの隆起部の配列パターンを、シート接合部40のパターンにするだけでも製造することができる。ただし、特表2004−532758号公報記載の手法は、弾性フィルム30を融解せずに押し出すものであると考えられ、その場合、図10(c)に示すように、第1シート層20A及び第2シート層20B間に弾性フィルム30が残らず、貫通部31の周囲に図示しない押し出し破片が移動可能に残るおそれがある。
これに対して、図11に示すように、第1シート層20A及び第2シート層20B間に弾性フィルム30を挟んだ状態で、シート接合部形成装置100(図11(a)に示すような超音波シール装置101や、図11(b)に示すようなヒートシール装置102)によりシート接合部40の配列パターンでシート接合部40を形成すると、弾性フィルム30に貫通部31を形成するのと同時に、その貫通部31を介して第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合することができ、効率良く製造できる。この場合、図10(a)に示すように、弾性フィルム30の融解分離片がシート接合部40内に残された接合構造とすることができる。このように、シート接合部40の第1シート層20A及び第2シート層20B間に弾性フィルム30の融解分離片が残る形態は、シート接合部40において第1シート層20A及び第2シート層20Bが弾性フィルム30と接合しているともいえるが、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、少なくともシート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20B間以外では弾性フィルム30と接合されていない形態(シート接合部40の第1シート層20A及び第2シート層20Bがその周囲の弾性フィルム30(つまり貫通部31の縁部)と接合することは含まない意味)には違いないものである。この場合、個々のシート接合部の面積と、個々の貫通部の面積とはほぼ等しくなる。また、もちろん、特表2004−532758号公報記載の製法において、シート接合部40において弾性フィルム30が融解分離せず、貫通部31も形成されないように、弾性フィルム30の素材の種類や加工温度等の加工条件を適宜選択することにより、図10(b)に示すように、シート接合部40において弾性フィルム30に貫通部が形成されず、第1シート層20A及び第2シート層20Bが弾性フィルム30を介して間接的に接合された接合構造とすることもできる。
非伸縮領域70における表示部分71はシート接合部40により形成されるものであるため、シート接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高いことにより非伸縮領域70を形成し、かつ非表示部分72を設ける場合、非表示部分72及び表示部分71は、図12(a)〜(c)に示すように、シート接合部40の個々の形状、大きさ、角度、面積率を異なるものとする必要がある。ただし、この場合、図11(a)(b)に示すように、シート接合部形成装置100(図11(a)に示すような超音波シール装置や図11(b)に示すようなヒートシール装置102)により、伸縮領域80、非伸縮領域70の表示部分71、及び非伸縮領域70の非表示部分72の全てのシート接合部40のパターンで一度加工するだけで済む利点がある。この形態において、非表示部分72のシート接合部40のパターンを図14(a)に示すように網状(又は伸縮方向と交差する縞状でも良い)とすることにより、図12(d)に示すように、非表示部分72における弾性フィルム30を分断して非伸縮にすることも可能であるが、シート接合部40も同じパターンで形成される。
弾性フィルム30を加熱融解させることによって非伸縮領域70を形成する場合には、第1シート層20A及び第2シート層20Bの融解温度を弾性フィルム30の融解温度よりも十分に高いものとした上で、図11(c)(d)に示すように、シート接合部形成装置111(図11(b)に示すようなヒートシール装置102でも良い)により少なくとも表示部分71のシート接合部40を形成した後、弾性フィルム融解装置112(図11(a)に示すようなヒートシール装置や図11(b)に示すような超音波シール装置)により、非伸縮領域70の全体又は非表示部分72を、第1シート層20A及び第2シート層20Bは融解・溶着しないが弾性フィルム30は融解する温度に加熱し、弾性フィルム30のみを融解することができる。非伸縮領域70の全体にわたり弾性フィルム30を融解させる場合には、表示部分71を形成するシート接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高い必要はなく、したがって図13(a)〜(e)に示すように制約なしに表示部分71を形成することができる。より詳細には、図13(a)〜(e)に示す例では、非表示部分72のシート接合部40の面積率が低くされており、図13(a)に示す例では表示部分71のシート接合部40の面積率が高いものとなっており、図13(b)に示す例では表示部分71のシート接合部40の面積率も低いものとなっている。また、図13(c)(d)に示す例では表示部分71のシート接合部40は表示部分71の外周に沿う部位にしか形成されておらず、その内側にはシート接合部40が形成されていない。さらに図13(e)に示す例では、非表示部分72にシート接合部40を規則的に設けて、表示部分71のシート接合部40を抜くことにより、表示部分71が現れるものとなっている。これらに対して、非表示部分72のみ弾性フィルム30を融解する場合には、表示部分71を形成するシート接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高いことにより非伸縮となる必要がある。
弾性フィルム融解装置112に代えてシート接合部形成装置111を用い、図14(a)に示すような網状(又は伸縮方向と交差する縞状でも良い)のシート接合部40のパターンで非伸縮領域70の全体又は非表示部分72にシート接合部40を形成することにより、弾性フィルム30を分断して非伸縮にしたり、図14(b)に示すように点状のシート接合部40を高い面積率で非伸縮領域70の全体又は非表示部分72に形成することにより非伸縮にしたりすることも可能である。ただし、この加工を非伸縮領域70の全体に施す場合には、表示部分71が潰れないようなパターンとする必要がある。
弾性フィルム30は特に限定されるものではなく、それ自体弾性を有する樹脂フィルムであれば、無孔のものの他、通気のために多数の孔やスリットが形成されたものも用いることができる。特に、伸縮方向における引張強度が8〜25N/35mm、伸縮方向と直交する方向における引張強度が5〜20N/35mm、伸縮方向における引張伸度が450〜1050%、及び伸縮方向と直交する方向における引張伸度が450〜1400%の弾性フィルム30であると好ましい。なお、引張強度及び引張伸度(破断伸び)は、引張試験機(例えばSHIMADZU社製のAOUTGRAPHAGS−G100N)を用い、試験片を幅35mm×長さ80mmの長方形状とした以外は、JIS K7127:1999「プラスチック−引張特性の試験方法−」に準じて、初期チャック間隔を50mmとし、引張速度を300mm/minとして測定される値を意味する。弾性フィルム30の厚みは特に限定されないが、20〜40μm程度であるのが好ましい。
図1及び図2に示す形態は、弾性フィルム伸縮構造20Xがウエスト端部領域23まで延在されており、かつ非伸縮領域70の前後に、他の幅方向の伸縮構造20Xを有しない形態であるが、ウエスト端部領域23に弾性フィルム伸縮構造20Xを用いると、ウエスト端部領域23の締め付けが不十分になる等、必要な場合には、図15及び図16に示すようにウエスト端部領域23には弾性フィルム伸縮構造20Xを設けずに、従来の細長状のウエスト部弾性部材24による伸縮構造20Xを設けることもできる。ウエスト部弾性部材24は、縦方向に間隔をおいて配置された複数の糸ゴム等の細長状弾性部材であり、身体の胴周りを締め付けるように伸縮力を与えるものである。ウエスト部弾性部材24は、間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように3〜8mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。ウエスト部弾性部材24の固定時の伸長率は適宜定めることができるが、通常の成人用の場合230〜320%程度とすることができる。ウエスト部弾性部材24は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えば平ゴム等、他の細長状の伸縮部材を用いても良い。
この場合、図15に示すように、サイドシール部21間に対応する幅方向範囲全体にわたり、細長状のウエスト部弾性部材24が幅方向に沿って伸長状態で固定された伸縮領域80とされていても良いが、ウエスト端部領域23の近くに表示部分71を設けると、表示部分71が非伸縮領域70の伸縮方向と直交する方向の中間に位置するとはいえ、ウエスト端部領域23の伸縮の影響を受けやすくなる。よって、ウエスト部弾性部材24を設ける場合、図17に示すように、ウエスト端部領域23のうち弾性フィルム伸縮構造20Xを有する領域の表示部分71と対応する幅方向範囲、好ましくは非伸縮領域70と対応する幅方向範囲については、ウエスト部弾性部材24を設けない、細かく又は幅方向中間で切断する、本数を減らす等により、非伸縮領域70又は弱伸縮領域80とするのも好ましい形態である。
他の形態としては、前身頃Fの胴周り部Tと後身頃Bの胴周り部Tとの間の中間部Lには伸縮構造20Xを設けない形態とすることも可能である。
伸縮領域80及び非伸縮領域70の配置は適宜定めることができる。本実施形態のようなパンツタイプ使い捨ておむつの外装体20の場合、吸収体13と重なる部分は伸縮が不要な領域であるため、図示形態のように、吸収体13と重なる部分の一部又は全部(内装体固定部10Bのほぼ全体を含むことが望ましい)を含めて、表示部分71を含む非伸縮領域70を形成するのは好ましい。外装体20における吸収体13と重なる領域はコシのある領域であり、吸収体13に対して固定される部分であるため、伸縮領域80の収縮の影響は比較的に少ない領域であり、表示部分71を設けるのに適している。これに対して、吸収体13と重ならない領域は、伸縮性及び柔軟性が要求されるため、模様等の表示がないのが当たり前の領域であるが、それだけ見栄えを向上させる表示を設けることに意義がある領域ともいえるものであり、本発明によればこのような領域にも非伸縮領域70を設けてそこに表示部分71を設けることができる。もちろん、吸収体13と重なる領域及び吸収体13と重ならない領域の両方に非伸縮領域70を設けることも、またいずれか一方にのみ非伸縮領域70を設けることができる。
このような観点から、非伸縮領域70を設けるのに好適な領域の一つは、図示形態のようなウエスト端部領域23と吸収体13との間の縦方向範囲として定まる胴周り中間領域26である。この場合、胴周り中間領域26の幅方向中間に表示部分71を有する非伸縮領域70を形成するとともに、この非伸縮領域70とサイドシール部21との間に対応する幅方向範囲を伸縮領域80とすることができる。胴周り中間領域26の幅方向中間は腹部の膨らみが位置する部分であるため、この部分に非伸縮領域70を形成し、その両側を伸縮領域80とすると、装着者の腹部の膨らみに対するフィット性に優れるようになる。また、ウエスト端部領域23まで非伸縮領域70を連続させても、その両側の伸縮領域80によりフィット性を補うことができる。
さらに、非伸縮領域70の形状により、身体表面に対するフィット性を向上させることもできる。例えば、パンツタイプ使い捨ておむつの外装体20における幅方向中央部に非伸縮領域70を設ける場合、非伸縮領域70の形状を、図18(a)に示すように股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が狭くなる形状とすると、ウエストが細い場合のフィット性に優れるものとなる。また、非伸縮領域70の形状を、図18(b)に示すように股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が広くなる形状とすると、前身頃Fの場合には装着者の腹部の膨らみが特に大きい場合に、後身頃Bの場合には臀部の膨らみが特に大きい場合にフィット性に優れるものとなる。さらに、非伸縮領域70の形状を、図18(c)に示すように股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が広くなった後に狭くなる形状とすると、装着者が標準的な体型の場合のフィット性に優れたものとなる。
また、非伸縮領域70の連続幅が広くなると、フィット性及び柔軟性が低下するため、図18(d)に示すように、非伸縮領域70の形状を、股間側からウエスト開口側に向かうにつれて複数に分岐した形状とし、かつ分岐した非伸縮領域70の間を伸縮領域80とすると、外装体20の硬質化を防ぎつつ、非伸縮領域70による表示部分71を設けることができるようになるため好ましい。
また、ウエスト端部領域23のうち非伸縮領域70の表示部分と対応する幅方向範囲にウエスト部弾性部材24を設ける場合に、図18(e)に示すように股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が狭くなる形状とすると、ウエスト端部領域23の伸縮の影響を受けにくくなる利点がある。
これらの形態のように、パンツタイプ使い捨ておむつの外装体20における幅方向中央部に非伸縮領域70を設け、その形状によりフィット性を向上させる場合、図19(a)(b)に示すように、非伸縮領域70の両側縁を曲線的にすると身体表面に対するフィット性がより一層のものとなる。なお、図19の左図は展開状態、右図は自然長状態を概略的に表現したものである。また、前身頃F及び後身頃Bの両方に非伸縮領域70を設ける場合、前身頃Fを図19(a)に示す形態とし、後身頃Bを図19(c)に示す形態とする等、前後異なる形状とし、身体表面に対するフィット性をさらに良好なものとすることもできる。
(前後押さえシート)
図1及び図4にも示されるように、外装体20の内面上に取り付けられた内装体10の前後端部をカバーし、且つ内装体10の前後縁からの漏れを防ぐために、前後押さえシート50,60が設けられていても良い。図示形態について更に詳細に説明すると、前押さえシート50は、前身頃Fの外装体20の内面のうちウエスト端部領域23の折り返し部分20Cの内面から内装体10の前端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在しており、後押さえシート60は、後身頃Bの外装体20の内面のうちウエスト端部領域23の折り返し部分20Cの内面から内装体10の後端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在している。前後押さえシート50,60の股間側の縁部に幅方向の全体にわたり(中央部のみでも良い)若干の非接着部分を設けると、接着剤がはみ出ないだけでなく、この部分を表面シートから若干浮かせて防漏壁として機能させることができる。
図示形態のように、前後押さえシート50,60を別体として取り付けると、素材選択の自由度が高くなる利点があるものの、資材や製造工程が増加する等のデメリットもある。そのため、外装体20をおむつ内面に折り返してなる折り返し部分20Cを、内装体10と重なる部分まで延在させて、前述の押さえシート50,60と同等の部分を形成することもできる。
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:10gf/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内で行うものとする。
本発明の弾性フィルム伸縮構造は、パンツタイプ使い捨ておむつだけでなく、テープタイプ使い捨ておむつの胴周りやファスニングテープにも適用でき、また、パッドタイプ等の他のタイプの使い捨ておむつや生理用ナプキン等を含め、吸収性物品全般において汎用されている立体ギャザー、平面ギャザー等の、他の伸縮部にも適用することができる。
B…後身頃、F…前身頃、T…胴周り部、L…中間部、10…内装体、11…液透過性表面シート、12…液不透過性裏面側シート、13…吸収体、13N…括れ部分、14…包装シート、15…ギャザー不織布、16…ギャザー弾性部材、20…外装体、20A…第1シート層、20B…第2シート層、20C…折り返し部分、20X…弾性フィルム伸縮構造、21…サイドシール部、23…ウエスト端部領域、24…ウエスト部弾性部材、25…収縮皺、29…脚周りライン、30…弾性フィルム、31…貫通部、40…シート接合部、70…非伸縮領域、71…表示部分、72…非表示部分、80…伸縮領域、26…胴周り中間領域。
本発明は、弾性フィルムを第1シート層及び第2シート層で挟んだ伸縮構造を有する吸収性物品に関する。
吸収性物品においては、身体表面へのフィット性を向上するために、脚周りや胴周り等の適所に伸縮性を付与することが一般的である。伸縮性を付与するための手法としては、従来、糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材を長手方向に伸長した状態で多数並べて固定する手法が広く採用されているが、面的なフィット性に優れるものとして、弾性フィルムを伸縮性の付与方向に伸長した状態で取り付ける手法も提案されている。(例えば特許文献1参照)。
この弾性フィルムを第1シート層及び第2シート層で挟んだ伸縮構造(以下、弾性フィルム伸縮構造ともいう)は、伸縮領域が第1シート層と、第2シート層との間に弾性フィルムが積層されてなるとともに、弾性フィルムがそれらの表面に沿う伸縮方向に伸長された状態で、第1シート層及び第2シート層が、伸縮方向及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数の点状のシート接合部で、弾性フィルムに形成された貫通部を通じて接合されてなるものである。このような弾性フィルム伸縮構造は、自然長状態では、シート接合部間において弾性フィルムが収縮するのに伴い、シート接合部の間隔が狭くなり、第1シート層及び第2シート層におけるシート接合部間に伸縮方向と交差する方向に延びる収縮皺が形成される。反対に伸長時には、シート接合部間において弾性フィルムが伸長するのに伴い、シート接合部の間隔及び第1シート層及び第2シート層における収縮皺が広がり、第1シート層及び第2シート層の完全展開状態まで弾性伸長が可能となる。この弾性フィルム伸縮構造は、面的なフィット性に優れるのはもちろん、第1シート層及び第2シート層と弾性フィルムとの接合が無く、かつ第1シート層及び第2シート層の接合も極めて少ないため非常に柔軟であり、また、弾性フィルムの貫通部が通気性向上にも寄与するという利点がある。
本発明者は、このような弾性フィルム伸縮構造の研究過程で、点状のシート接合部を表示状に配置する又はシート接合部を表示状の形状とすることにより、当該伸縮構造を有する領域に、吸収性物品の分野で公知の表示、例えば装飾のための模様(ワンポイントの絵やキャラクターを含む)、使用方法や使用補助、サイズ等の機能表示、あるいは製造者や製品名、特徴的機能等の標章表示等を付加できるという知見を得た。このような表示付加技法が可能となるのは、弾性フィルム伸縮構造では糸ゴムを用いる汎用構造と異なり弾性フィルムが連続的に存在するために、シート接合部の配置、形状がある程度自由になることによるものである。
しかしながら、このような表示を伸縮領域に設けると、表示(シート接合部)が収縮皺の中に隠れたり、伸縮領域の伸縮により相対位置が変化したりするため、表示内容や表示目的によっては見栄えに問題がある。これを解決するために、表示形成領域の伸縮性を殺して非伸縮領域とし、この非伸縮領域内に表示を設けることを考えたが、伸縮方向と直交する方向において非伸縮領域に隣接して伸縮領域を有すると、伸縮領域の収縮の影響により非伸縮領域にも皺や襞が形成され、表示の見栄えが悪化する。
そこで本発明の主たる課題は、弾性フィルム伸縮構造においてシート接合部からなる表示を付加する場合の見栄えを向上することにある。
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
排泄物を吸収する吸収体を備えた吸収性物品において、
第1シート層と、第2シート層との間に弾性フィルムが積層されてなる弾性フィルム伸縮構造を備えており、
この弾性フィルム伸縮構造を有する領域は、非伸縮領域と、この非伸縮領域の少なくとも伸縮方向一方側に設けられた、前記伸縮方向に伸縮可能な伸縮領域とを有するとともに、
前記伸縮領域は、前記弾性フィルムが伸縮方向に伸縮可能であり、前記第1シート層及び第2シート層が、前記伸縮方向及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数のシート接合部で直接的又は間接的に接合されることにより、前記伸縮方向の弾性限界伸びが200%以上とされており、
前記非伸縮領域は、前記弾性フィルムがそれらの表面に沿う伸縮方向に伸長された状態で、前記第1シート層及び第2シート層が、前記伸縮方向及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数のシート接合部で直接的又は間接的に接合され、かつ
(1)前記シート接合部の面積率が前記伸縮領域よりも高いこと、
(2)前記弾性フィルムが融解されていること、及び
(3)前記弾性フィルムが少なくとも伸縮方向に細かく分断されていること
の少なくとも一つにより、前記伸縮方向の弾性限界伸びが130%以下とされるとともに、
前記非伸縮領域内に位置し、前記第1シート層及び第2シート層が直接的又は間接的に接合されることにより形成されたシート接合部からなる表示部分を含み、
前記非伸縮領域の伸縮方向と直交する方向の両側に前記伸縮領域を有しない、
ことを特徴とする吸収性物品。
(作用効果)
本発明のような弾性フィルム伸縮構造では、弾性フィルムが伸縮方向に伸長された状態で、前記第1シート層及び第2シート層が、前記伸縮方向及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数のシート接合部で直接的又は間接的に接合されている場合、基本的に、シート接合部の面積率が高くなるほど第1シート層及び第2シート層が弾性フィルムにより収縮する部分が少なくなるため、弾性限界伸びが低下する傾向がある。よって、シート接合部の面積率を変化させるだけで非伸縮領域及び伸縮領域を形成することができる。
ここで、「弾性限界伸び」とは、弾性限界(換言すれば第1シート層及び第2シート層が完全に展開した状態)における伸びを意味し、弾性限界時の長さを自然長を100%としたときの百分率で表すものであり、「面積率」とは単位面積に占める対象部分の割合を意味し、対象領域(例えば伸縮領域、非伸縮領域、主伸縮部分、緩衝伸縮部分)における対象部分(例えばシート接合部、貫通部の開口)の総面積を当該対象領域の面積で除して百分率で表すものであり、特に「シート接合部の面積率」とは、伸縮方向に弾性限界まで伸ばした状態の面積率を意味するものである。
また、非伸縮領域は弾性フィルムを加熱融解させることや、弾性フィルムが少なくとも伸縮方向に細かく分断されていることによっても形成することができる。
そして、弾性フィルム伸縮構造において非伸縮領域を形成し、そこにシート接合部からなる表示部分を付加する場合、上記のように、非伸縮領域の伸縮方向と直交する方向の両側に弾性フィルム伸縮構造による伸縮領域の無い構成とするとともに、伸縮方向と直交する方向の中間にシート接合部からなる表示部分を配置することにより、表示部分が伸縮領域の収縮の影響を受けにくくなり、表示の見栄えの悪化が防止される。
<請求項2記載の発明>
前記シート接合部は第1シート層及び第2シート層の素材の溶着により形成されている、請求項1記載の吸収性物品。
(作用効果)
シート接合部を形成する手法は特に限定されるものではないが、溶着加工により形成されていると、シート接合部の見栄えが周囲と異なるため、表示部分が際立って見えるようになる。
<請求項3記載の発明>
前記第1シート層及び第2シート層は、前記シート接合部で、前記弾性フィルムに形成された貫通部を通じて接合されるとともに、少なくとも前記シート接合部における前記第1シート層及び第2シート層間以外では前記弾性フィルムと接合されていない、請求項1又は2記載の吸収性物品。
(作用効果)
このような構造とすると、弾性フィルムの貫通部と、シート接合部との間に隙間が形成され、弾性フィルムの素材が無孔のフィルムやシートであっても、この隙間により通気性が付加されるため好ましい。
<請求項4記載の発明>
前記非伸縮領域では、前記シート接合部の面積率が前記伸縮領域よりも高いことにより、前記伸縮方向の弾性限界伸びが130%以下とされており、
前記シート接合部の面積は0.14〜3.5mm2であり、
前記非伸縮領域における前記シート接合部の面積率は16〜45%であり、
前記伸縮領域における前記シート接合部の面積率は1.8〜22.5%である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
シート接合部の面積及びシート接合部の面積率は適宜定めれば良いが、通常の場合、上記範囲内とすることが望ましい。
<請求項5記載の発明>
前身頃及び後身頃を構成する外装体と、この外装体の内面に固定された、吸収体を含む内装体とを備え、前身頃における外装体の両側部と後身頃における外装体の両側部とがそれぞれ接合されてサイドシール部が形成されることにより、胴周り部が環状に形成されるとともに、ウエスト開口及び左右一対の脚開口が形成された、パンツタイプ使い捨ておむつであって、
前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方における前記外装体は、少なくとも前後方向の一部の範囲における前記サイドシール部間に対応する幅方向範囲にわたり、前記弾性フィルム伸縮構造を、その伸縮方向が幅方向となるように備えており、
この弾性フィルム伸縮構造を有する領域に、前記非伸縮領域及び伸縮領域を有している、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
パンツタイプ使い捨ておむつは、吸収性物品の中でも伸縮領域が広く、下着の代わりとしての使用態様が多いものであるため、模様などの表示を付加することが多く、見栄えが重要なものである。このような表示として、従来は、内装体と外装体との間又は外装体の内部に表示を印刷したシートを介在させることが一般的であったが、本発明によればこのような印刷シートを省略しつつ見栄えの良い表示を付加することができる。
<請求項6記載の発明>
前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方における前記外装体は、ウエスト端部領域と前記吸収体との間の前後方向範囲として定まる胴周り中間領域を有しており、少なくともこの胴周り中間領域における前記サイドシール部間に対応する幅方向範囲にわたり前記弾性フィルム伸縮構造を、その伸縮方向が幅方向となるように備えており、
前記胴周り中間領域は、その幅方向中間部が前記表示部分を有する非伸縮領域とされるとともに、この非伸縮領域と前記サイドシール部との間に対応する幅方向範囲が前記伸縮領域とされている、
請求項5記載の吸収性物品。
(作用効果)
胴周り中間領域は、吸収体を有しない領域であり、吸収体を有する領域のようにコシのある領域と異なり柔軟であるため、表示部分が伸縮領域の収縮の影響を受けやすい。よって、本発明は胴周り中間領域に表示部分を設ける場合に、特に技術的意義を有するものである。
<請求項7記載の発明>
前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方における前記外装体の胴周り部は、前記吸収体と重なる吸収体領域を有しており、少なくとも前記胴周り中間領域及び吸収体領域における幅方向全体にわたり、前記弾性フィルム伸縮構造を、その伸縮方向が幅方向となるように備えており、
前記胴周り中間領域及び吸収体領域は、その幅方向中間部に、前記表示部分を有する非伸縮領域とされるとともに、この非伸縮領域と前記サイドシール部との間が前記伸縮領域とされている、
請求項6記載の吸収性物品。
(作用効果)
パンツタイプ使い捨ておむつの外装体における吸収体と重なる部分は、製造上の理由により弾性フィルムを配置させることが望ましいものの伸縮が不要な領域である。よって、この吸収体と重なる部分を含めて、表示部分を含む非伸縮領域を形成するのは好ましい。
<請求項8記載の発明>
前記弾性フィルム伸縮構造が前記ウエスト端部領域まで延在されている、請求項6又は7記載の吸収性物品。
(作用効果)
このように弾性フィルム伸縮構造をウエスト端部領域まで延在し、他の幅方向の伸縮構造を有しないもとすると、従来、ウエスト端部領域等に設けられていた細長状のウエスト部弾性部材を省略することができるとともに、非伸縮領域に対する伸縮領域の収縮の影響が完全に防止されるようになるため好ましい。
<請求項9記載の発明>
前記ウエスト端部領域における、前記サイドシール部間に対応する幅方向範囲全体が、細長状のウエスト部弾性部材が幅方向に沿って伸長状態で固定された伸縮領域とされている、請求項6又は7記載の吸収性物品。
(作用効果)
ウエスト端部領域に弾性フィルム伸縮構造を用いると、ウエスト端部領域の締め付けが不十分になる場合等、必要に応じてウエスト端部領域には弾性フィルム伸縮構造を設けずに、従来の細長状の弾性伸縮部材による伸縮構造を設けることもできる。
<請求項10記載の発明>
前記ウエスト端部領域における、前記弾性フィルム伸縮構造を有する領域の伸縮領域と対応する幅方向範囲が、細長状のウエスト部弾性部材が幅方向に沿って伸長状態で固定された伸縮領域とされ、
前記ウエスト端部領域における少なくとも前記表示部分と対応する幅方向範囲が、非伸縮領域とされるか又は前記ウエスト端部領域の伸縮領域よりも弾性限界伸びが小さい弱伸縮領域とされている、
請求項6又は7記載の吸収性物品。
(作用効果)
ウエスト端部領域に弾性フィルム伸縮構造を用いると、ウエスト端部領域の締め付けが不十分になる場合等、必要に応じてウエスト端部領域には弾性フィルム伸縮構造を設けずに、従来の細長状の弾性伸縮部材による伸縮構造を設けることもできる。しかし、この場合、ウエスト端部領域の近くに表示部分を設けると、表示部分が非伸縮領域の伸縮方向と直交する方向の中間に位置するとはいえ、ウエスト端部領域の伸縮の影響を受けやすくなる。よって、細長状弾性伸縮部材による伸縮構造を設ける場合、上記のように、少なくとも表示部分と対応する幅方向範囲については、非伸縮領域又は弱伸縮領域とするのも好ましい形態である。
<請求項11記載の発明>
前記非伸縮領域が、
(a)股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が狭くなる形状、
(b)股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が広くなる形状、
(c)股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が広くなった後に狭くなる形状、
のいずれか一つの形状とされている、請求項6〜10のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
非伸縮領域の形状を上記の形状とすると、外装体が身体表面に対するフィット性が高い形状となるため好ましい。
<請求項12記載の発明>
前記非伸縮領域は、股間側からウエスト開口側に向かうにつれて複数に分岐した形状とされ、かつ分岐した非伸縮領域の間が前記伸縮領域とされている、請求項6〜10のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
非伸縮領域をこのような分岐形状とすることにより、外装体の硬質化を防ぎつつ、非伸縮領域による表示部分を設けることができるようになる。
以上のとおり、本発明によれば、弾性フィルム伸縮構造においてシート接合部からなる表示を付加する場合の見栄えを向上できるようになる、等の利点がもたらされる。
完全展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(内面側)である。
完全展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(外面側)である。
(a)は外装体の要部平面図、(b)は(a)のD−D断面図、(c)は装着状態における断面図、(d)は自然長状態における断面図である。
(a)は図1のC−C断面図、(b)は図1のE−E断面図である。
図1のA−A断面図である。
図1のB−B断面図である。
完全展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの要部のみ示す平面図である。
幅方向にある程度伸長した外装体の要部断面を概略的に示す断面図である。
作用説明のための正面概略図である。
シート接合部のパターンを示す要部拡大平面図である。
シート接合部の形成手法を示す概略図である。
表示部分周辺のシート接合部のパターン例を示す平面図である。
表示部分周辺のシート接合部のパターン例を示す平面図である。
シート接合部のパターン例を示す平面図である。
完全展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(外面側)である。
(a)は図15のC−C断面図、(b)は図15のE−E断面図である。
完全展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(外面側)である。
パンツタイプ使い捨ておむつの各種形態を概略的に示す正面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの各種形態を概略的に示す、(a)及び(b)は正面図、(c)は背面図である。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。なお、断面図中の点模様部分はホットメルト接着剤等の接合手段を示している。
図1〜図7はパンツタイプ使い捨ておむつを示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ(以下、単におむつともいう。)は、前身頃F及び後身頃Bをなす外装体20と、この外装体20の内面に固定され一体化された内装体10とを有しており、内装体10は液透過性表面シート11と液不透過性裏面側シート12との間に吸収体13が介在されてなるものである。製造に際しては、外装体20の内面(上面)に対して内装体10の裏面がホットメルト接着剤などの接合手段によって接合(図7の斜線部分10B)された後に、内装体10及び外装体20が前身頃F及び後身頃Bの境界である前後方向(縦方向)中央で折り畳まれ、その両側部が相互に熱溶着又はホットメルト接着剤などによって接合されてサイドシール部21が形成されることによって、ウエスト開口及び左右一対のレッグ開口が形成されたパンツタイプ使い捨ておむつとなる。
(内装体の構造例)
内装体10は、図4〜図6に示すように、不織布などからなる液透過性表面シート11と、ポリエチレン等からなる液不透過性裏面側シート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、表面シート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。内装体10の平面形状は特に限定されないが、図示形態のようにほぼ長方形とすることが一般的である。
吸収体13の表面側(肌当接面側)を覆う液透過性表面シート11としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。液透過性表面シート11に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。液透過性表面シート11は、吸収体13の側縁部を巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在している。
吸収体13の裏面側(非肌当接面側)を覆う液不透過性裏面側シート12は、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
吸収体13としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。この吸収体13は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート14によって包装することができる。
吸収体13の形状は、股間部に前後両側よりも幅の狭い括れ部分13Nを有するほぼ砂時計状に形成されているが、長方形状等、適宜の意形状とすることができる。括れ部分13Nの寸法は適宜定めることができるが、括れ部分13Nの前後方向長さはおむつ全長の20〜50%程度とすることができ、その最も狭い部分の幅は吸収体13の全幅の40〜60%程度とすることができる。このような括れ部分13Nを有する場合において、内装体10の平面形状がほぼ長方形とされていると、内装体10における吸収体13の括れ部分13Nと対応する部分に、吸収体13を有しない余り部分が形成される。
内装体10の両側部には脚周りにフィットする立体ギャザーBSが形成されている。この立体ギャザーBSは、図5及び図6に示されるように、内装体の裏面の側部に固定された固定部と、この固定部から内装体の側方を経て内装体の表面の側部まで延在する本体部と、本体部の前後端部が倒伏状態で内装体の表面の側部に固定されて形成された倒伏部分と、この倒伏部分間が非固定とされて形成された自由部分とが、折り返しによって二重シートとしたギャザー不織布15により形成されている。
また、二重シート間には、自由部分の先端部等に細長状ギャザー弾性部材16が配設されている。ギャザー弾性部材16は、製品状態において図5に二点鎖線で示すように、弾性伸縮力により自由部分を起立させて立体ギャザーBSを形成するためのものである。
液不透過性裏面側シート12は、液透過性表面シート11とともに吸収体13の幅方向両側で裏側に折り返されている。この液不透過性裏面側シート12としては、排便や尿などの褐色が出ないように不透明のものを用いるのが望ましい。不透明化としては、プラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を内添してフィルム化したものが好適に使用される。
ギャザー弾性部材16としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは925dtex以下、テンションは150〜350%、間隔は7.0mm以下として配設するのがよい。なお、ギャザー弾性部材16としては、図示形態のような糸状の他、ある程度の幅を有するテープ状のものを用いることもできる。
前述のギャザー不織布15を構成する素材繊維も液透過性表面シート11と同様に、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらにギャザー不織布15については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
(外装体の構造例)
外装体20は、図4〜図6にも示されるように、第1シート層20A及び第2シート層20Bの間に、弾性フィルム30が配設され、幅方向の伸縮性が付与されている。外装体20の平面形状は、中間両側部にそれぞれレッグ開口を形成するために形成された凹状の脚周りライン29により、全体として擬似砂時計形状をなしている。外装体20は、前後に二分割し、両者が股間部で前後方向に離間するように配置しても良い。
第1シート層20A及び第2シート層20Bの構成材は、シート状のものであれば特に限定無く使用できるが、通気性及び柔軟性の観点から不織布を用いることが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その目付けは12〜20g/m2程度とするのが好ましい。また、第1シート層20A及び第2シート層20Bの一部又は全部は、一枚の資材を折り返して対向させた一対の層であっても良い。例えば、図示形態のように、ウエスト端部領域23では、外側に位置する構成材を第2シート層20Bとし、かつそのウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分20Cを第1シート層20Aとして、その間に弾性フィルムを介在させるとともに、それ以外の部分では内側に位置する抗生剤を第1シート層20Aとし、外側に位置する構成材を第2シート層20Bとして、その間に弾性フィルムを介在させることができる。もちろん、胴周り部及び中間部の全体にわたり第1シート層20Aの構成材及び第2シート層20Bの構成材を個別に設け、構成材を折り返しすることなく、第1シート層20Aの構成材及び第2シート層20Bの構成材間に弾性フィルム30を介在させることもできる。
特徴的には、図2に示すように、外装体20における前身頃Fの胴周り部T、後身頃Bの胴周り部T、及びそれらの間の中間部Lに、本発明の伸縮構造20Xが形成されている。すなわち、この外装体20の伸縮構造20Xでは、第1シート層20Aと、第2シート層20Bとの間に弾性フィルム30が積層されており、この弾性フィルム伸縮構造20Xを有する領域は、非伸縮領域70と、この非伸縮領域70の少なくとも伸縮方向(幅方向)一方側に設けられた、幅方向に伸縮可能な伸縮領域80とを有している。伸縮領域80は、弾性フィルム30がそれらの表面に沿う幅方向に伸長された状態で、第1シート層20A及び第2シート層20Bが、幅方向及びこれと直交する縦方向(伸縮方向と直交する方向)にそれぞれ間隔を空けて配列された多数のシート接合部40で直接的又は間接的に接合されることにより、幅方向の弾性限界伸びが200%以上(好ましくは265〜295%)とされている。一方、非伸縮領域70は、弾性フィルム30がそれらの表面に沿う幅方向に伸長された状態で、第1シート層20A及び第2シート層20Bが、幅方向及びこれと直交する縦方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数のシート接合部40で直接的又は間接的に接合され、かつシート接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高いことにより、幅方向の弾性限界伸びが130%以下(好ましくは120%以下、より好ましくは100%)とされている。
このような弾性フィルム伸縮構造20Xにおいて、弾性フィルム30が幅方向に伸長された状態で、第1シート層20A及び第2シート層20Bが、伸縮方向及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数のシート接合部40で直接的又は間接的に接合されている場合、基本的に、シート接合部40の面積率が高くなるほど第1シート層20A及び第2シート層20Bが弾性フィルム30により収縮する部分が少なくなるため、弾性限界伸びが低下する傾向がある。よって、このような特性を利用して、シート接合部40の面積率を変化させるだけで非伸縮領域70及び伸縮領域80を形成することができる。
この場合、伸縮領域80では、図3(d)に示すように、弾性フィルム30の自然長状態では、シート接合部40間の第1シート層20A及び第2シート層20Bが互いに離間する方向に膨らんで、伸縮方向と交差する方向に延びる収縮皺25が形成され、図3(c)に示すように、幅方向にある程度伸長した装着状態でも、収縮皺25は伸ばされるものの、残るようになっている。また、図示形態のように、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、少なくともシート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20B間以外では弾性フィルム30と接合されていないと、装着状態を想定した図3(c)及び第1シート層20A及び第2シート層20Bの完全展開状態を想定した図3(a)(b)からも分かるように、これらの状態では、弾性フィルム30における貫通部31と、シート接合部40との間に隙間が形成され、弾性フィルム30の素材が無孔のフィルムやシートであっても、この隙間により通気性が付加される。
一方、シート接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高いことにより非伸縮領域70を形成する場合、非伸縮領域70にはシート接合部40間に盛り上がった部分あるいは極めて微小な皺が形成されるが、シート接合部40の面積率が非常に高いために伸縮性は実質的に殺されることになる。また、非伸縮領域70は弾性フィルム30を加熱融解させることによっても形成することができ、この場合に非伸縮領域70にシート接合部40を形成する場合は、シート接合部40の面積率は、非伸縮領域70より高くても、低くても良く、例えば後述する表示部分71を形成するために表示状に配列されるシート接合部40のみ設けることもできる。さらに、非伸縮領域70は弾性フィルム30を少なくとも伸縮方向に細かく分断することによっても形成することができる。このような分断は網状又は伸縮方向と交差する縞状にシート接合部40を形成したり、加圧等により弾性フィルム30を網状又は伸縮方向と交差する縞状に切断したりすること等により行うことができる。
そして、弾性フィルム伸縮構造20Xを有する領域では、非伸縮領域70の縦方向(伸縮方向と直交する方向)の両側に伸縮領域80の無い構成とするとともに、縦方向の中間に、シート接合部40からなる表示部分71を配置することにより、図9(b)に概略的に示すように、表示部分71が伸縮領域80の収縮の影響を受けにくくなり、表示部分71の見栄えの悪化が防止される。これに対して、図9(a)に概略的に示すように、伸縮方向と直交する方向において非伸縮領域70の表示部分71に伸縮領域80が隣接していると、伸縮領域80の収縮の影響により非伸縮領域70にも皺や襞75が形成され、表示の見栄えが悪化する。非伸縮領域70には、図示形態のようにその一部に表示部分71を設け、他の部分は非表示部分72とする他、その全体にわたり表示部分71を設けることもできる。
個々のシート接合部40及び貫通部31の自然長状態での形状は、真円形、楕円形、三角形、長方形、ひし形等の多角形、あるいは星形、雲形等、任意の形状とすることができる。個々のシート接合部40の大きさは、適宜定めれば良いが、大きすぎるとシート接合部40の硬さが感触に及ぼす影響が大きくなり、小さすぎると接合面積が少なく資材同士が十分に接着できなくなるため、通常の場合、個々のシート接合部40の面積は0.14〜3.5mm2程度とすることが好ましい。個々の貫通部31の開口の面積は、貫通部31を介してシート接合部が形成されるためシート接合部以上であれば良いが、シート接合部の面積の1〜1.5倍程度とすることが好ましい。なお、貫通部31の開口の面積は、当該伸縮構造が自然長の状態における値を意味し、貫通部31の開口の面積が、弾性フィルムの表と裏で異なる等、厚み方向に均一でない場合には最小値を意味する。
また、シート接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高いことにより非伸縮領域70を形成する場合、各領域における個々のシート接合部40の面積及び面積率は、通常の場合次のようにするのが好ましい。
(非伸縮領域70)
シート接合部40の面積:0.14〜3.5mm2(特に0.25〜1.0mm2)
シート接合部40の面積率:16〜45%(特に25〜45%)
(伸縮領域80)
シート接合部40の面積:0.14〜3.5mm2(特に0.14〜1.0mm2)
シート接合部40の面積率:1.8〜19.1%(特に1.8〜10.6%)
非伸縮領域70及び伸縮領域80でシート接合部40の面積率を異なるものとするには、図10(a)に示すように単位面積当たりのシート接合部40の数を変えたり、図10(b)に示すように個々のシート接合部40の面積を変えたりすればよい。前者の場合、シート接合部40の面積を、非伸縮領域70及び伸縮領域80で同じとすることができ、後者の場合、単位面積当たりのシート接合部40の数を、非伸縮領域70及び伸縮領域80で同じとすることができる。
表示部分71以外のシート接合部40の平面配列は適宜定めることができるが、表示部分71を際立たせるために、規則的に繰り返される配列が好ましく、斜方格子状や六角格子状(これらは千鳥状ともいわれる)、正方格子状、矩形格子状、平行体格子(図示のように、多数の平行な斜め方向の列の群が互いに交差するように2群設けられる形態)状等のように規則的に繰り返されるものの他、シート接合部40の群(群単位の配列は規則的でも不規則でも良く、模様や文字状等でも良い)が規則的に繰り返されるものとすることもできる。表示部分71以外のシート接合部40の配列形態は、伸縮領域80及び非伸縮領域70において同じものとする他、異なるものとすることもできる。
表示部分71は、図2、図12、及び図13に示すように、点状のシート接合部40を表示部分71の形状に配列することにより形成する他、単一のシート接合部40を表示部分71の形状とすることにより形成することもできる。表示部分71の形状は、吸収性物品の分野で公知の表示、例えば装飾のための模様(ワンポイントの絵やキャラクターを含む)、使用方法や使用補助、サイズ等の機能表示、あるいは製造者や製品名、特徴的機能等の標章表示等とすることができる。なお、図2に示す形態では、植物模様の一種である花模様が付加されているが、他の植物模様でも良く、抽象模様や動物模様、自然現象模様等、各種の模様を使用できることはいうまでもない。
シート接合部40を形成する手法は特に限定されるものではないが、溶着により形成されていると、シート接合部40の見栄えが周囲と異なるため、表示部分71が際立って見えるようになるため好ましい。
シート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの接合は直接的であっても、また弾性フィルム30等の他のシートを介して間接的になされていても良い。図10は、代表的な三種類の接合構造を示している。図10(a)及び(c)に示す接合構造は、図3に示す形態と同様に、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、弾性フィルム30に形成された貫通部31を通じて接合されるとともに、少なくともシート接合部40(図10に斜め格子模様を付した部分)における第1シート層20A及び第2シート層20B間以外では弾性フィルム30と接合されていないものである。この接合構造は、特表2004−532758号公報の方法における模様付きカレンダーローラーの隆起部の配列パターンを、シート接合部40のパターンにするだけでも製造することができる。ただし、特表2004−532758号公報記載の手法は、弾性フィルム30を融解せずに押し出すものであると考えられ、その場合、図10(c)に示すように、第1シート層20A及び第2シート層20B間に弾性フィルム30が残らず、貫通部31の周囲に図示しない押し出し破片が移動可能に残るおそれがある。
これに対して、図11に示すように、第1シート層20A及び第2シート層20B間に弾性フィルム30を挟んだ状態で、シート接合部形成装置100(図11(a)に示すような超音波シール装置101や、図11(b)に示すようなヒートシール装置102)によりシート接合部40の配列パターンでシート接合部40を形成すると、弾性フィルム30に貫通部31を形成するのと同時に、その貫通部31を介して第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合することができ、効率良く製造できる。この場合、図10(a)に示すように、弾性フィルム30の融解分離片がシート接合部40内に残された接合構造とすることができる。このように、シート接合部40の第1シート層20A及び第2シート層20B間に弾性フィルム30の融解分離片が残る形態は、シート接合部40において第1シート層20A及び第2シート層20Bが弾性フィルム30と接合しているともいえるが、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、少なくともシート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20B間以外では弾性フィルム30と接合されていない形態(シート接合部40の第1シート層20A及び第2シート層20Bがその周囲の弾性フィルム30(つまり貫通部31の縁部)と接合することは含まない意味)には違いないものである。この場合、個々のシート接合部の面積と、個々の貫通部の面積とはほぼ等しくなる。また、もちろん、特表2004−532758号公報記載の製法において、シート接合部40において弾性フィルム30が融解分離せず、貫通部31も形成されないように、弾性フィルム30の素材の種類や加工温度等の加工条件を適宜選択することにより、図10(b)に示すように、シート接合部40において弾性フィルム30に貫通部が形成されず、第1シート層20A及び第2シート層20Bが弾性フィルム30を介して間接的に接合された接合構造とすることもできる。
非伸縮領域70における表示部分71はシート接合部40により形成されるものであるため、シート接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高いことにより非伸縮領域70を形成し、かつ非表示部分72を設ける場合、非表示部分72及び表示部分71は、図12(a)〜(c)に示すように、シート接合部40の個々の形状、大きさ、角度、面積率を異なるものとする必要がある。ただし、この場合、図11(a)(b)に示すように、シート接合部形成装置100(図11(a)に示すような超音波シール装置や図11(b)に示すようなヒートシール装置102)により、伸縮領域80、非伸縮領域70の表示部分71、及び非伸縮領域70の非表示部分72の全てのシート接合部40のパターンで一度加工するだけで済む利点がある。この形態において、非表示部分72のシート接合部40のパターンを図14(a)に示すように網状(又は伸縮方向と交差する縞状でも良い)とすることにより、図12(d)に示すように、非表示部分72における弾性フィルム30を分断して非伸縮にすることも可能であるが、シート接合部40も同じパターンで形成される。
弾性フィルム30を加熱融解させることによって非伸縮領域70を形成する場合には、第1シート層20A及び第2シート層20Bの融解温度を弾性フィルム30の融解温度よりも十分に高いものとした上で、図11(c)(d)に示すように、シート接合部形成装置111(図11(b)に示すようなヒートシール装置102でも良い)により少なくとも表示部分71のシート接合部40を形成した後、弾性フィルム融解装置112(図11(a)に示すようなヒートシール装置や図11(b)に示すような超音波シール装置)により、非伸縮領域70の全体又は非表示部分72を、第1シート層20A及び第2シート層20Bは融解・溶着しないが弾性フィルム30は融解する温度に加熱し、弾性フィルム30のみを融解することができる。非伸縮領域70の全体にわたり弾性フィルム30を融解させる場合には、表示部分71を形成するシート接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高い必要はなく、したがって図13(a)〜(e)に示すように制約なしに表示部分71を形成することができる。より詳細には、図13(a)〜(e)に示す例では、非表示部分72のシート接合部40の面積率が低くされており、図13(a)に示す例では表示部分71のシート接合部40の面積率が高いものとなっており、図13(b)に示す例では表示部分71のシート接合部40の面積率も低いものとなっている。また、図13(c)(d)に示す例では表示部分71のシート接合部40は表示部分71の外周に沿う部位にしか形成されておらず、その内側にはシート接合部40が形成されていない。さらに図13(e)に示す例では、非表示部分72にシート接合部40を規則的に設けて、表示部分71のシート接合部40を抜くことにより、表示部分71が現れるものとなっている。これらに対して、非表示部分72のみ弾性フィルム30を融解する場合には、表示部分71を形成するシート接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高いことにより非伸縮となる必要がある。
弾性フィルム融解装置112に代えてシート接合部形成装置111を用い、図14(a)に示すような網状(又は伸縮方向と交差する縞状でも良い)のシート接合部40のパターンで非伸縮領域70の全体又は非表示部分72にシート接合部40を形成することにより、弾性フィルム30を分断して非伸縮にしたり、図14(b)に示すように点状のシート接合部40を高い面積率で非伸縮領域70の全体又は非表示部分72に形成することにより非伸縮にしたりすることも可能である。ただし、この加工を非伸縮領域70の全体に施す場合には、表示部分71が潰れないようなパターンとする必要がある。
弾性フィルム30は特に限定されるものではなく、それ自体弾性を有する樹脂フィルムであれば、無孔のものの他、通気のために多数の孔やスリットが形成されたものも用いることができる。特に、伸縮方向における引張強度が8〜25N/35mm、伸縮方向と直交する方向における引張強度が5〜20N/35mm、伸縮方向における引張伸度が450〜1050%、及び伸縮方向と直交する方向における引張伸度が450〜1400%の弾性フィルム30であると好ましい。なお、引張強度及び引張伸度(破断伸び)は、引張試験機(例えばSHIMADZU社製のAOUTGRAPHAGS−G100N)を用い、試験片を幅35mm×長さ80mmの長方形状とした以外は、JIS K7127:1999「プラスチック−引張特性の試験方法−」に準じて、初期チャック間隔を50mmとし、引張速度を300mm/minとして測定される値を意味する。弾性フィルム30の厚みは特に限定されないが、20〜40μm程度であるのが好ましい。
図1及び図2に示す形態は、弾性フィルム伸縮構造20Xがウエスト端部領域23まで延在されており、かつ非伸縮領域70の前後に、他の幅方向の伸縮構造20Xを有しない形態であるが、ウエスト端部領域23に弾性フィルム伸縮構造20Xを用いると、ウエスト端部領域23の締め付けが不十分になる等、必要な場合には、図15及び図16に示すようにウエスト端部領域23には弾性フィルム伸縮構造20Xを設けずに、従来の細長状のウエスト部弾性部材24による伸縮構造20Xを設けることもできる。ウエスト部弾性部材24は、縦方向に間隔をおいて配置された複数の糸ゴム等の細長状弾性部材であり、身体の胴周りを締め付けるように伸縮力を与えるものである。ウエスト部弾性部材24は、間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように3〜8mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。ウエスト部弾性部材24の固定時の伸長率は適宜定めることができるが、通常の成人用の場合230〜320%程度とすることができる。ウエスト部弾性部材24は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えば平ゴム等、他の細長状の伸縮部材を用いても良い。
この場合、図15に示すように、サイドシール部21間に対応する幅方向範囲全体にわたり、細長状のウエスト部弾性部材24が幅方向に沿って伸長状態で固定された伸縮領域80とされていても良いが、ウエスト端部領域23の近くに表示部分71を設けると、表示部分71が非伸縮領域70の伸縮方向と直交する方向の中間に位置するとはいえ、ウエスト端部領域23の伸縮の影響を受けやすくなる。よって、ウエスト部弾性部材24を設ける場合、図17に示すように、ウエスト端部領域23のうち弾性フィルム伸縮構造20Xを有する領域の表示部分71と対応する幅方向範囲、好ましくは非伸縮領域70と対応する幅方向範囲については、ウエスト部弾性部材24を設けない、細かく又は幅方向中間で切断する、本数を減らす等により、非伸縮領域70又は弱伸縮領域80とするのも好ましい形態である。
他の形態としては、前身頃Fの胴周り部Tと後身頃Bの胴周り部Tとの間の中間部Lには伸縮構造20Xを設けない形態とすることも可能である。
伸縮領域80及び非伸縮領域70の配置は適宜定めることができる。本実施形態のようなパンツタイプ使い捨ておむつの外装体20の場合、吸収体13と重なる部分は伸縮が不要な領域であるため、図示形態のように、吸収体13と重なる部分の一部又は全部(内装体固定部10Bのほぼ全体を含むことが望ましい)を含めて、表示部分71を含む非伸縮領域70を形成するのは好ましい。外装体20における吸収体13と重なる領域はコシのある領域であり、吸収体13に対して固定される部分であるため、伸縮領域80の収縮の影響は比較的に少ない領域であり、表示部分71を設けるのに適している。これに対して、吸収体13と重ならない領域は、伸縮性及び柔軟性が要求されるため、模様等の表示がないのが当たり前の領域であるが、それだけ見栄えを向上させる表示を設けることに意義がある領域ともいえるものであり、本発明によればこのような領域にも非伸縮領域70を設けてそこに表示部分71を設けることができる。もちろん、吸収体13と重なる領域及び吸収体13と重ならない領域の両方に非伸縮領域70を設けることも、またいずれか一方にのみ非伸縮領域70を設けることができる。
このような観点から、非伸縮領域70を設けるのに好適な領域の一つは、図示形態のようなウエスト端部領域23と吸収体13との間の縦方向範囲として定まる胴周り中間領域26である。この場合、胴周り中間領域26の幅方向中間に表示部分71を有する非伸縮領域70を形成するとともに、この非伸縮領域70とサイドシール部21との間に対応する幅方向範囲を伸縮領域80とすることができる。胴周り中間領域26の幅方向中間は腹部の膨らみが位置する部分であるため、この部分に非伸縮領域70を形成し、その両側を伸縮領域80とすると、装着者の腹部の膨らみに対するフィット性に優れるようになる。また、ウエスト端部領域23まで非伸縮領域70を連続させても、その両側の伸縮領域80によりフィット性を補うことができる。
さらに、非伸縮領域70の形状により、身体表面に対するフィット性を向上させることもできる。例えば、パンツタイプ使い捨ておむつの外装体20における幅方向中央部に非伸縮領域70を設ける場合、非伸縮領域70の形状を、図18(a)に示すように股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が狭くなる形状とすると、ウエストが細い場合のフィット性に優れるものとなる。また、非伸縮領域70の形状を、図18(b)に示すように股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が広くなる形状とすると、前身頃Fの場合には装着者の腹部の膨らみが特に大きい場合に、後身頃Bの場合には臀部の膨らみが特に大きい場合にフィット性に優れるものとなる。さらに、非伸縮領域70の形状を、図18(c)に示すように股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が広くなった後に狭くなる形状とすると、装着者が標準的な体型の場合のフィット性に優れたものとなる。
また、非伸縮領域70の連続幅が広くなると、フィット性及び柔軟性が低下するため、図18(d)に示すように、非伸縮領域70の形状を、股間側からウエスト開口側に向かうにつれて複数に分岐した形状とし、かつ分岐した非伸縮領域70の間を伸縮領域80とすると、外装体20の硬質化を防ぎつつ、非伸縮領域70による表示部分71を設けることができるようになるため好ましい。
また、ウエスト端部領域23のうち非伸縮領域70の表示部分と対応する幅方向範囲にウエスト部弾性部材24を設ける場合に、図18(e)に示すように股間側からウエスト開口側に向かうにつれて連続的又は段階的に幅が狭くなる形状とすると、ウエスト端部領域23の伸縮の影響を受けにくくなる利点がある。
これらの形態のように、パンツタイプ使い捨ておむつの外装体20における幅方向中央部に非伸縮領域70を設け、その形状によりフィット性を向上させる場合、図19(a)(b)に示すように、非伸縮領域70の両側縁を曲線的にすると身体表面に対するフィット性がより一層のものとなる。なお、図19の左図は展開状態、右図は自然長状態を概略的に表現したものである。また、前身頃F及び後身頃Bの両方に非伸縮領域70を設ける場合、前身頃Fを図19(a)に示す形態とし、後身頃Bを図19(c)に示す形態とする等、前後異なる形状とし、身体表面に対するフィット性をさらに良好なものとすることもできる。
(前後押さえシート)
図1及び図4にも示されるように、外装体20の内面上に取り付けられた内装体10の前後端部をカバーし、且つ内装体10の前後縁からの漏れを防ぐために、前後押さえシート50,60が設けられていても良い。図示形態について更に詳細に説明すると、前押さえシート50は、前身頃Fの外装体20の内面のうちウエスト端部領域23の折り返し部分20Cの内面から内装体10の前端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在しており、後押さえシート60は、後身頃Bの外装体20の内面のうちウエスト端部領域23の折り返し部分20Cの内面から内装体10の後端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在している。前後押さえシート50,60の股間側の縁部に幅方向の全体にわたり(中央部のみでも良い)若干の非接着部分を設けると、接着剤がはみ出ないだけでなく、この部分を表面シートから若干浮かせて防漏壁として機能させることができる。
図示形態のように、前後押さえシート50,60を別体として取り付けると、素材選択の自由度が高くなる利点があるものの、資材や製造工程が増加する等のデメリットもある。そのため、外装体20をおむつ内面に折り返してなる折り返し部分20Cを、内装体10と重なる部分まで延在させて、前述の押さえシート50,60と同等の部分を形成することもできる。
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:10gf/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内で行うものとする。
本発明の弾性フィルム伸縮構造は、パンツタイプ使い捨ておむつだけでなく、テープタイプ使い捨ておむつの胴周りやファスニングテープにも適用でき、また、パッドタイプ等の他のタイプの使い捨ておむつや生理用ナプキン等を含め、吸収性物品全般において汎用されている立体ギャザー、平面ギャザー等の、他の伸縮部にも適用することができる。
B…後身頃、F…前身頃、T…胴周り部、L…中間部、10…内装体、11…液透過性表面シート、12…液不透過性裏面側シート、13…吸収体、13N…括れ部分、14…包装シート、15…ギャザー不織布、16…ギャザー弾性部材、20…外装体、20A…第1シート層、20B…第2シート層、20C…折り返し部分、20X…弾性フィルム伸縮構造、21…サイドシール部、23…ウエスト端部領域、24…ウエスト部弾性部材、25…収縮皺、29…脚周りライン、30…弾性フィルム、31…貫通部、40…シート接合部、70…非伸縮領域、71…表示部分、72…非表示部分、80…伸縮領域、26…胴周り中間領域。