JP2016183431A - 糸状ゲルの製造方法 - Google Patents

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真人 中村
健一 荒井
Kenichi Arai
健一 荒井
崇仁 三村
Takahito Mimura
崇仁 三村
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Abstract

【課題】メンテナンスが容易で、原料の自由な流路設計が可能であり、複雑な断面形状および/または断面構造を有する糸状ゲルを形成することが可能で、異物質を好適に含有できる糸状ゲルの製造方法を提供する。【解決手段】糸状ゲルの製造方法は、1つ以上の原料Mから紡糸ノズル10を用いて糸状のゲルを製造する。紡糸ノズル10は、原料Mを流す原料流路FCと、原料Mを凝固させる凝固剤Cを流す凝固剤流路FCCおよび原料Mから製造される糸状ゲルGもしくは原料Mを保護して紡糸ノズル10への付着を防止する保護剤Pを流す保護剤流路FCPのいずれかの流路と、を含むことができる。【選択図】図1

Description

本発明は、異物質、特に細胞などの生物関連物質、薬剤などの医療関連物質、その他の物質を好適に含有できる糸状ゲルを製造する糸状ゲルの製造方法に関し、特に紡糸ノズルを用いた上記糸状ゲルの製造方法に関する。
細胞の医療への応用を図るために、細胞などを含有する糸状ゲルを製造することが検討されている。たとえば、国際公開第2011/046105号(特許文献1)は、高強度ハイドロゲルで被覆されたマイクロゲルファイバを含むマイクロファイバおよびかかるマイクロファイバ中に細胞または細胞培養物を含むマイクロファイバなどを開示する。また、特開2013−009598号公報(特許文献2)は、少なくとも2つの入口I1〜In(n≧2)と、入口I1〜Inにそれぞれ接続する入口流路C1〜Cnと、入口流路C1〜Cnが同時あるいは段階的に合流する少なくとも1つの合流点P1〜Pm(m≧1)と、合流点P1〜Pmより下流に存在する合流流路Gと、合流流路Gの下流に存在する出口Oを有する、流路構造Xに対し、アルギン酸ナトリウムを含みかつ肝細胞を懸濁させた第一の水溶液を、入口I1を介して、また、アルギン酸ナトリウムを含みかつ肝細胞以外の細胞を懸濁させた第二の水溶液を、入口I2を介して、それぞれ流路構造Xに連続的に導入し、流路構造Xの内部において、第一の溶液および第二の溶液を接触させ、さらに流路構造Xの内部および/あるいは流路構造Xの外部において、第一の水溶液および第二の水溶液をゲル化剤水溶液と接触させることによって、第一の水溶液および第二の水溶液が接触した状態で連続的にゲル化した、ハイドロゲル材料を作製する、複合型肝細胞組織体の作製方法を開示する。
国際公開第2011/046105号 特開2013−009598号公報
国際公開第2011/046105号(特許文献1)は、高強度ハイドロゲルで被覆されたマイクロゲルファイバを含むマイクロファイバおよびかかるマイクロファイバ中に細胞または細胞培養物を含むマイクロファイバを製造するために、二重の同軸の層流装置を用いることから、原料の流路設計に制限があるため複雑な断面形状および/または断面構造を有するマイクロファイバ形成することが困難であり、またメンテナンスが難しいという問題点があった。
また、特開2013−009598号公報(特許文献2)は、ハイドロゲル材料を作製するために、平面的なマイクロ流路構造を用いることから、原料の流路設計に制限があるため複雑な断面形状および/または断面構造を有するハイドロゲルを形成することが困難であるという問題点があった。
さらに、国際公開第2011/046105号(特許文献1)および特開2013−009598号公報(特許文献2)においては、断面形状が円または矩形などの単純な形状のマイクロファイバまたはハイドロゲル、断面構造が単一型または芯鞘型などの単純な構造のマイクロファイバまたはハイドロゲルを製造するに過ぎず、断面形状がアスタリスク形状のような複雑な異形状のもの、断面構造が海島型、分割型などの複雑な構造を有するものを製造することが難しいという問題点があった。
本発明は、上記問題点を解決して、メンテナンスが容易で、原料の自由な流路設計が可能であり、複雑な断面形状および/または断面構造を有する糸状ゲルを形成することが可能で、異物質を好適に含有できる糸状ゲルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、ある態様によれば、紡糸ノズルを用いて、1つ以上の原料から糸状のゲルを製造する糸状ゲルの製造方法である。本態様にかかる糸状ゲルの製造方法は、紡糸ノズルを用いることにより、メンテナンスが容易で、原料の自由な流路設計が可能であり、複雑な断面形状および/または断面構造を有する糸状ゲルを形成することが可能で、異物質を好適に含有できる糸状ゲルを製造できる。
本態様にかかる糸状ゲルの製造方法において、紡糸ノズルは、原料を流す原料流路と、原料を凝固させる凝固剤を流す凝固剤流路および原料から製造される糸状ゲルもしくは原料を保護して紡糸ノズルへの付着を防止する保護剤を流す保護剤流路のいずれかの流路と、を含むことができる。かかる糸状ゲルの製造方法は、紡糸ノズルが原料流路と凝固剤流路および保護剤流路のいずれかの流路とを含むことから、メンテナンスが容易で、原料の自由な流路設計が可能であり、複雑な断面形状および/または断面構造を有する糸状ゲルを形成することが可能で、異物質を好適に含有できる糸状ゲルを製造できる。
本態様にかかる糸状ゲルの製造方法において、紡糸ノズルは、1つ以上のノズル部品により、原料流路と、凝固剤流路および保護剤流路のいずれかの流路と、が形成され得る。かかる糸状ゲルの製造方法は、紡糸ノズルが1つ以上のノズル部品により原料流路と凝固剤流路および保護剤流路のいずれかの流路とが形成されていることから、原料の自由な流路設計が可能であり、複雑な断面形状および/または断面構造を有する糸状ゲルを形成することが可能で、異物質を好適に含有できる糸状ゲルを製造でき、また紡糸ノズルをノズル部品に分解することによりメンテナンスが容易である。また、一部のノズル部品を交換することにより、糸状ゲルの断面形状および/または断面構造を変えることができる。また、劣化または欠損したノズル部品を取り換えることにより、再度糸状ゲルを製造できる。
本態様にかかる糸状ゲルの製造方法において、紡糸ノズルは、原料の吐出部を形成するノズル部品を板状とすることができる。かかる糸状ゲルの製造方法は、原料の吐出部を形成する吐出部品が板状であることから、メンテナンスが容易で、原料の自由な流路設計が可能であり、複雑な断面形状および/または断面構造を有する糸状ゲルを形成することが可能で、異物質を好適に含有できる糸状ゲルを製造できる。特に、原料の吐出部を形成する吐出部品が板状であることから、様々な形状の吐出部の加工が極めて容易である。さらに、他の部品をなんら変えることなく、板状の吐出部品を取り替えるだけで、糸の断面形状・寸法の異なる糸を生成することができる。同様に、吐出部品が破損などにより用を為さなくなった場合にも、他の部品をなんら取り替えることなく、吐出部品を新しいものに取り替えるだけで再び糸状ゲルを生成することができる。
本態様にかかる糸状ゲルの製造方法において、紡糸ノズルは、原料の吐出部の吐出孔の形状が円でない異形孔を有することができる。かかる糸状ゲルの製造方法は、紡糸ノズルが原料の吐出部の吐出孔の形状が円でない異形孔を有することから、含有させる異物質の種類および目的に応じて、さまざまの形状の糸状ゲルが得られる。
本態様にかかる糸状ゲルの製造方法において、紡糸ノズルは、異形孔の形状がアスタリスク状およびアスタリクス状と放射条数が異なるアスタリスク様の少なくともひとつの形状とすることができる。かかる糸状ゲルの製造方法は、紡糸ノズルが、異形孔の形状がアスタリスク状およびアスタリクス状と放射条数が異なるアスタリスク様の少なくともひとつの形状であることから、極めて表面積の高い糸状ゲルが得られる。
本態様にかかる糸状ゲルの製造方法において、紡糸ノズルは、1つ以上のノズル部品により、複数の原料を分配することができる。かかる糸状ゲルの製造方法は、1つ以上のノズル部品により、複数の原料を分配することから、原料の自由な流路設計が可能であり、複雑な断面形状および/または断面構造を有する糸状ゲルを形成することが可能で、異物質を好適に含有できる糸状ゲルを製造でき、また紡糸ノズルをノズル部品に分解することによりメンテナンスが容易である。
本態様にかかる糸状ゲルの製造方法において、紡糸ノズルは、複数の原料を、原料の吐出部において、海島型、分割型、並列型および芯鞘型の少なくとも1つの型に分配することができる。かかる糸状ゲルの製造方法は、複数の原料を、原料の吐出部において、海島型、分割型、並列型および芯鞘型の少なくとも1つの型に分配することから、原料の自由な流路設計が可能であり、複雑な断面形状および/または断面構造を有する糸状ゲルを形成することが可能で、メンテナンスが容易であるとともに、海島型構造、分割型構造、並列型構造および芯鞘構造の少なくとも1つの構造の糸状ゲルを容易に製造できる。
本態様にかかる糸状ゲルの製造方法において、紡糸ノズルは、原料の吐出部の吐出孔が稜線上に複数配置されているメルトブローン用ノズルとすることができる。かかる糸状ゲルの製造方法は、紡糸ノズルの原料の吐出部の吐出孔が稜線上に複数配置されているメルトブローン用ノズルであることから、大量の原料を流すことが可能で、メンテナンスが容易であるとともに、複数の糸状ゲルを平行、非平行、または多層に敷設したり、糸状ゲルが二次元的または三次元的に絡み合ったものが容易に製造できる。
本態様にかかる糸状ゲルの製造方法において、紡糸ノズルは、原料の吐出部の吐出孔が二次元的に複数配置されている長尺ノズルとすることができる。かかる糸状ゲルの製造方法は、紡糸ノズルが原料の吐出部の吐出孔が二次元的に複数配置されている長尺ノズルであることから、大量の原料を流すことが可能で、メンテナンスが容易であるとともに、糸状ゲルが一度に大量に製造できる。
本発明によれば、原料の自由な流路設計が可能であり、複雑な断面形状および/または断面構造を有する糸状ゲルを形成することが可能で、またメンテナンスが容易で、異物質を好適に含有できる糸状ゲルの製造方法を提供できる。
本態様にかかる糸状ゲルの製造方法における糸状ゲルの製造装置のある例を示す概略図である。 本態様にかかる糸状ゲルの製造方法における紡糸ノズルおよび紡糸ノズルの原料の吐出部から吐出される原料の断面の第1例を示す概略断面図である。 本態様にかかる糸状ゲルの製造方法における紡糸ノズルおよび紡糸ノズルの原料の吐出部から吐出される原料の断面の第2例を示す概略断面図である。 本態様にかかる糸状ゲルの製造方法における紡糸ノズルおよび紡糸ノズルの原料の吐出部から吐出される原料の断面の第3例を示す概略断面図である。 本態様にかかる糸状ゲルの製造方法における紡糸ノズルおよび紡糸ノズルの原料の吐出部から吐出される原料の断面の第4例を示す概略断面図である。 本態様にかかる糸状ゲルの製造方法における紡糸ノズルおよび紡糸ノズルの原料の吐出部から吐出される原料の断面の第5例を示す概略断面図である。 本態様にかかる糸状ゲルの製造方法における紡糸ノズルおよび紡糸ノズルの原料の吐出部から吐出される原料の断面の第6例を示す概略断面図である。 本態様にかかる糸状ゲルの製造方法における紡糸ノズルおよび紡糸ノズルの原料の吐出部から吐出される原料の断面の第7例を示す概略断面図である。 本態様にかかる糸状ゲルの製造方法における紡糸ノズルおよび紡糸ノズルの原料の吐出部から吐出される原料の断面の第8例を示す概略図である。 本態様にかかる糸状ゲルの製造方法における紡糸ノズルおよび紡糸ノズルの原料の吐出部から吐出される原料の断面の第9例を示す概略図である。 本態様にかかる糸状ゲルの製造方法における紡糸ノズルおよび紡糸ノズルの原料の吐出部から吐出される原料の断面の第10例を示す概略図である。 実施例1Aの糸状ゲルの断面を示す蛍光顕微鏡写真である。 実施例1Bの糸状ゲルの断面を示す蛍光顕微鏡写真である。 実施例1Aの糸状ゲルの培養後の側面を示す蛍光顕微鏡写真である。 実施例1Bの糸状ゲルの培養後の側面を示す蛍光顕微鏡写真である。 実施例2Aの糸状ゲルの断面を示す蛍光顕微鏡写真である。 実施例2Bの糸状ゲルの断面を示す蛍光顕微鏡写真である。 実施例2Cの糸状ゲルの断面を示す蛍光顕微鏡写真である。
図1〜図11を参照して、本発明のある実施形態である糸状ゲルの製造方法は、紡糸ノズル10を用いて1つ以上の原料から糸状のゲル(糸状ゲルG)を製造する方法である。本実施形態にかかる糸状ゲルの製造方法は、紡糸ノズル10を用いることにより、メンテナンスが容易で、原料の自由な流路設計が可能であり、複雑な断面形状および/または断面構造を有する糸状ゲルを形成することが可能で、異物質を好適に含有できる糸状ゲルを製造できる。
図1〜図11を参照して、本実施形態にかかる糸状ゲルの製造方法において、紡糸ノズル10は、上記1つ以上の原料Mを流す原料流路FCと、原料Mを凝固させる凝固剤Cを流す凝固剤流路FCCおよび原料Mから製造される糸状ゲルもしくは原料Mを保護して紡糸ノズル10への付着を防止する保護剤Pを流す保護剤流路FCPのいずれかの流路と、を含むことが好ましい。かかる糸状ゲルの製造方法は、紡糸ノズル10が原料流路FCと凝固剤流路FCCおよび保護剤流路FCPのいずれかの流路とを含むことから、メンテナンスが容易で、原料Mの自由な流路設計が可能であり、複雑な断面形状および/または断面構造を有する糸状ゲルを形成することが可能で、異物質を好適に含有できる糸状ゲルを製造できる。
図2〜図11を参照して、本実施形態にかかる糸状ゲルの製造方法において、紡糸ノズル10は、1つ以上のノズル部品1,2,3、4により、原料流路FCと凝固剤流路FCCおよび保護剤流路FCPのいずれかの流路とが形成されていることが好ましい。かかる糸状ゲルの製造方法は、紡糸ノズル10が1つ以上のノズル部品1,2,3,4により原料流路FCと凝固剤流路FCCおよび保護剤流路FCPのいずれかの流路とが形成されていることから、原料Mの自由な流路設計が可能であり、複雑な断面形状および/または断面構造を有する糸状ゲルを形成することが可能で、異物質を好適に含有できる糸状ゲルを製造でき、また紡糸ノズル10をノズル部品1,2,3,4に分解することによりメンテナンスが容易である。また、一部のノズル部品を交換することにより、糸状ゲルの断面形状および/または断面構造を変えることができる。また、劣化または欠損したノズル部品を取り換えることにより、再度糸状ゲルを製造できる。
図2および図11を参照して、本実施形態にかかる糸状ゲルの製造方法において、紡糸ノズル10は、原料Mの吐出部10mfを形成するノズル部品2aを板状とすることができる。かかる糸状ゲルの製造方法は、原料Mの吐出部10mfを形成するノズル部品2aが板状であることから、メンテナンスが容易で、原料Mの自由な流路設計が可能であり、複雑な断面形状および/または断面構造を有する糸状ゲルを形成することが可能で、異物質を好適に含有できる糸状ゲルを製造できる。特に、原料Mの吐出部を形成する吐出部品が板状であることから、様々な形状の吐出部の加工が極めて容易である。さらに、他の部品をなんら変えることなく、板状の吐出部品を取り替えるだけで、糸の断面形状・寸法の異なる糸を生成することができる。同様に、吐出部品が破損などにより用を為さなくなった場合にも、他の部品をなんら取り替えることなく、吐出部品を新しいものに取り替えるだけで再び糸状ゲルを生成することができる。
図2、図3および図11を参照して、本実施形態にかかる糸状ゲルの製造方法において、紡糸ノズル10は、原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wの形状が円でない異形孔を有することができる。かかる糸状ゲルの製造方法は、紡糸ノズル10が原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wの形状が円でない異形孔を有することから、含有させる異物質の種類および目的に応じて、さまざまの形状の糸状ゲルが得られる。
図2、図3および図11を参照して、本実施形態にかかる糸状ゲルの製造方法において、紡糸ノズル10は、異形孔の形状がアスタリスク状およびアスタリクス状と放射条数が異なるアスタリスク様の少なくともひとつの形状とすることが好ましい。かかる糸状ゲルの製造方法は、紡糸ノズル10は、異形孔の形状がアスタリスク状およびアスタリクス状と放射条数が異なるアスタリスク様の少なくともひとつの形状であることから、極めて表面積の高い糸状ゲルが得られる。
図4〜図8を参照して、本実施形態にかかる糸状ゲルの製造方法において、紡糸ノズル10は、1つ以上のノズル部品1,2,3,4により、複数の原料Mを分配することができる。かかる糸状ゲルの製造方法は、1つ以上のノズル部品1,2,3,4により、複数の原料Mを分配することから、原料Mの自由な流路設計が可能であり、複雑な断面形状および/または断面構造を有する糸状ゲルを形成することが可能で、異物質を好適に含有できる糸状ゲルを製造でき、また紡糸ノズル10をノズル部品1,2,3,4に分解することによりメンテナンスが容易である。
図4〜図8を参照して、本実施形態にかかる糸状ゲルの製造方法において、紡糸ノズル10は、複数の原料Mを、原料Mの吐出部10mfにおいて、海島型、分割型、並列型および芯鞘型の少なくとも1つの型に分配することができる。かかる糸状ゲルの製造方法は、複数の原料Mを、原料Mの吐出部10mfにおいて、海島型、分割型および芯鞘型の少なくとも1つの型に分配することから、原料の自由な流路設計が可能であり、複雑な断面形状および/または断面構造を有する糸状ゲルを形成することが可能で、メンテナンスが容易であるとともに、海島型構造、分割型構造、並列型構造および芯鞘構造の少なくとも1つの構造の糸状ゲルを容易に製造できる。
図9を参照して、本実施形態にかかる糸状ゲルの製造方法において、紡糸ノズル10は、原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wが稜線10e上に複数配置されているメルトブローン用ノズルとすることができる。かかる糸状ゲルの製造方法は、紡糸ノズルの原料の吐出部の吐出孔が稜線上に複数配置されているメルトブローン用ノズルであることから、大量の原料を流すことが可能で、メンテナンスが容易であるとともに、複数の糸状ゲルを平行、非平行、または多層に敷設したり、糸状ゲルが二次元的または三次元的に絡み合ったものが容易に製造できる。
図10を参照して、本実施形態にかかる糸状ゲルの製造方法において、紡糸ノズル10は、原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wが二次元的に複数配置されている長尺ノズルとすることができる。かかる糸状ゲルの製造方法は、紡糸ノズル10が原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wが二次元的に複数配置されている長尺ノズルであることから、大量の原料Mを流すことが可能で、メンテナンスが容易であるとともに、糸状ゲルGが一度に大量に製造できる。
本実施形態にかかる糸状ゲルの製造方法における紡糸ノズル10の材料は、原料Mおよび凝固剤Cに対する耐久性を有しかつ寸法精度および形状精度が高いものであれば特に制限はなく、金属、セラミック、樹脂などが好適に挙げられる。また、紡糸ノズル10の加工方法は、その材料の加工に適したものであれば特に制限はなく、機械加工、粉末冶金、MIM(Metal Injection Molding;金属粉末射出成型)、ロストワックス、射出成形、鋳造、ダイカスト、積層造形等のラピッドプロトタイピング、インプリント、各種エッチング、溶射、拡散接合、レーザー加工、電子線加工など、各種の加工方法が挙げられる。
図1〜図11を参照して、本実施形態にかかる糸状ゲルの製造方法について、さらに具体的に説明する。
(糸状ゲルの製造装置)
図1は、本実施形態にかかる糸状ゲルの製造方法における糸状ゲルの製造装置のある例を示す。図1を参照して、糸状ゲルの製造装置100は、流量調節が容易で、大流量を流すことが可能で、またメンテナンスが容易な観点から、紡糸ノズル10を含み、さらに、原料Mを供給する原料供給部20と、凝固剤Cまたは保護剤Pを供給する薬剤供給部30と、紡糸ノズル10から吐出されて形成された糸状ゲルGを回収する回収槽40と、紡糸ノズル10および原料供給部20を温調する温調部50と、を含むことが好ましい。ここで、原料供給部20は、特に制限はなく、たとえば、原料Mを送り出すシリンダ21を含むことができる。また、薬剤供給部30は、特に制限はなく、たとえば、薬剤槽31およびギアポンプ33を含むことができる。また、温調部50は、特に制限はなく、温調媒体Tを循環させるための循環装置51と循環配管55とを含むことができる。
図1に示す糸状ゲルの製造装置100において、温調された原料供給部20から温調された原料Mが温調された紡糸ノズル10内に供給される。ここで、原料Mが後述の凝固剤凝固性原料である場合、薬剤供給部30から後述の凝固剤Cも上記の紡糸ノズル10内に供給される。紡糸ノズル10において、原料流路FCを流れる原料Mと凝固剤流路FCCを流れる凝固剤Cとが合流することにより、凝固剤Cにより原料Mが凝固して糸状ゲルGが得られ、糸状ゲルGが凝固剤Cとともにゲル化流路FCGを通って吐出されて回収槽40に回収される。また、原料Mが後述の可視光硬化性原料または紫外線硬化性原料である場合、薬剤供給部30から後述の保護剤Pも上記の紡糸ノズル10内に供給される。紡糸ノズル10において、原料流路FCを流れる原料Mと保護剤流路FCPを流れる保護剤Pとが合流することにより、可視光または紫外線の照射により硬化する原料Mおよび/または糸状ゲルGがゲル化流路FCGなどに付着するのを防止する。このようにして、糸状ゲルGが得られる。
(原料)
原料Mは、その原料以外の異物質を含有することができ、所定の条件下で凝固または硬化するものであれば特に制限はない。所定の条件とは、凝固剤Cの添加、可視光または紫外線の照射などが挙げられる。ここで、添加された凝固剤Cと反応して凝固する原料Mを凝固剤凝固性原料、照射された可視光により硬化する原料Mを可視光硬化性原料、照射された紫外線により硬化する原料Mを紫外線硬化性原料ともいう。原料Mは、糸状ゲルに機能性を付与する観点から、機能を発現するための異物質を含有することが好ましい。
(異物質)
原料Mに含有される異物質は、特に制限はなく、細胞などの生物関連物質、薬剤などの医療関連物質、その他の物質が含まれる。細胞としては、血管内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞、肝実質細胞、HEPG2細胞、胆管上皮細胞、心筋細胞、皮膚上皮細胞(ケラチノサイト)、腎上皮細胞、尿細管上皮細胞、肺胞上皮細胞、気管支上皮細胞、血管系細胞、前駆細胞、ES細胞、iPS細胞、脂肪組織由来幹細胞、骨髄由来幹細胞、末梢血幹細胞、初代培養細胞、癌細胞、株化した細胞、遺伝子導入細胞、ノックアウト細胞、細胞融合した細胞、その他の細胞など、各種の細胞が挙げられる。細胞以外の生物関連物質としては、増殖因子、サイトカイン、ケモカイン、生理活性物質、神経伝達物質、シグナル伝達物質など、各種の物質が挙げられる。医療関連物質としては、薬剤、生体適合性材料、診断用材料、治療用材料など、各種の物質が挙げられる。その他の物質としては、マイクロ・ナノ粒子、物理・化学的反応性材料、色素や蛍光など特殊物性を持つ材料、温度応答性材料、光反応性材料、磁気反応性材料、イオン反応性材料など、各種の物質が挙げられる。
(凝固剤凝固性原料)
凝固剤凝固性の原料Mの材料は、凝固剤Cの作用により凝固するものであれば特に制限はなく、アルギン酸ナトリウム水溶液などのアルギン酸塩水溶液、フィブリノーゲン溶液、ゼラチン溶液、ピュラマトリクス溶液、コラーゲン溶液、ゼラチン、寒天(アガロース)、メビオールジェル(登録商標)などが挙げられる。
(凝固剤)
凝固剤Cは、原料Mに作用して原料Mを凝固させるものであれば特に制限はない。すなわち、原料Mと反応してまたは原料Mの化学的状態(たとえばpH、解離度など)を変化させて原料Mを凝固させる化学的な凝固剤の他、原料Mと熱交換して原料Mを温度変化させることにより凝固させる物理的な凝固剤をも含む。上記凝固剤Cは、使用する原料Mに応じて変わる。たとえば、原料Mの材料がアルギン酸塩水溶液の場合、塩化カルシウム水溶液、塩化バリウム水溶液などのアルカリ土類金属塩化物水溶液などが挙げられる。原料Mの材料がフィブリノーゲン溶液の場合、トロンビン溶液などが挙げられる。原料Mの材料がゼラチン溶液の場合は、グルタルアルデヒド溶液、ホルマリン溶液などが挙げられる。原料Mの材料がピュラマトリクス溶液の場合は、リン酸バッファー溶液によるpH変化によるゲル化などが挙げられる。原料Mの材料がコラーゲン溶液の場合は、高濃度電解質溶液などが挙げられる。原料Mの材料がゼラチンの場合は、水もしくはリン酸バッファー溶液との熱交換により引き起こされるゼラチンの凝固点より高い高温からゼラチンの凝固点以下の低温への温度変化によるゲル化などが挙げられる。原料Mの材料が寒天の場合は、水もしくはリン酸バッファー溶液との熱交換により引き起こされる寒天の凝固点より高い高温から寒天の凝固点以下の低温への温度変化によるゲル化などが挙げられる。原料Mの材料がメビオールゲルの場合は、水もしくはリン酸バッファー溶液との熱交換により引き起こされるメビオールジェル(登録商標)の凝固点未満の低温からメビオールジェル(登録商標)の凝固点以上の高温への温度変化によるゲル化などが挙げられる。
(可視光硬化性原料)
上記の凝固剤凝固性原料に替えて、可視光硬化性原料を用いることもできる。可視光硬化性の原料Mは、可視光により硬化するものであれば特に制限はなく、光硬化性ゼラチンなどが挙げられる。
(紫外線硬化性原料)
上記の凝固剤凝固性原料に替えて、紫外線硬化性原料を用いることもできる。紫外線硬化性の原料Mは、紫外線(紫外光とも呼ばれる)により硬化するものであれば特に制限はなく、光硬化性キトサンなどが挙げられる。
(保護剤)
凝固剤凝固性原料に替えて可視光硬化性原料または紫外線硬化性原料を用いる場合は、ゲル化流路FCGにおいて糸状ゲルが付着するのを防止するための保護剤を用いることが好ましい。保護剤Pは、原料から製造される糸状ゲルGまたは原料Mが紡糸ノズル10のゲル化流路FCGなどに付着するのを防止するものであれば特に制限はなく、水、バッファー(緩衝液)などが挙げられる。
(第1例:板型ノズルかつ異形孔ノズル)
図2を参照して、図2(A)は第1例における紡糸ノズルの断面を示し、図2(B)は、第1例における紡糸ノズル10の原料Mの吐出部10mfから吐出される原料Mの断面を示す。第1例の紡糸ノズル10は、原料Mの吐出部10mfを形成するノズル部品2aが板状である板型ノズルであり、かつ、原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wの形状が円でない異形孔を有する異形孔ノズルである。
図2(A)を参照して、第1例の紡糸ノズル10は、ノズル部品1と、ノズル部品2aおよびノズル部品2bで構成されるノズル部品2と、ノズル部品3と、で構成される3層構造を有する。原料Mを流す原料流路FCは、ノズル部品1により形成される原料流路FC11と、ノズル部品2aにより形成される原料流路FC12と、で形成される。凝固剤Cを流す凝固剤流路FCCは、ノズル部品3により形成される。
第1例の紡糸ノズル10は、原料Mの吐出部10mfを形成するノズル部品2aが板状である。また、第1例の紡糸ノズル10は、原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wの形状が円でない異形孔を有し、かかる異形孔の形状がアスタリスク状およびアスタリクス状と放射条数が異なるアスタリスク様の少なくともひとつの形状である。
図2(B)を参照して、第1例の紡糸ノズル10が原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wの形状が円でない異形孔、具体的にはアスタリスク形孔を有することから、第1例における紡糸ノズル10の原料Mの吐出部10mfから吐出される原料Mの断面の形状はアスタリスク形状となる。かかるアスタリクス形状の断面形状を有する原料Mが、凝固剤流路FCCを流れる凝固剤Cと合流して、ゲル化流路FCGから吐出するまでに凝固することにより、断面形状が同様のアスタリクス形状の糸状ゲルGが得られる。
図2を参照して、第1例の紡糸ノズル10は、原料Mの吐出部10mfを形成するノズル部品2aが板状である板型ノズルであることから、メンテナンスが容易で、原料の自由な流路設計が可能であり、複雑な断面形状および/または断面構造を有する糸状ゲルを形成することが可能で、異物質を好適に含有できる糸状ゲルを製造できる。特に、原料の吐出部を形成する吐出部品が板状であることから、様々な形状の吐出部の加工が極めて容易である。さらに、他の部品をなんら変えることなく、板状の吐出部品を取り替えるだけで、糸の断面形状・寸法の異なる糸を生成することができる。同様に、吐出部品が破損などにより用を為さなくなった場合にも、他の部品をなんら取り替えることなく、吐出部品を新しいものに取り替えるだけで再び糸状ゲルを生成することができる。また、第1例の紡糸ノズル10は、原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wの形状が円でない異形孔を有する異形孔ノズルであることから、異物質の種類および目的に応じて、さまざまの形状の糸状ゲルが得られる。
(第2例:異形孔ノズル)
図3を参照して、図3(A)は第2例における紡糸ノズルの断面を示し、図3(B)は第2例における紡糸ノズル10の原料Mの吐出部10mfから吐出される原料Mの断面を示す。第2例の紡糸ノズル10は、原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wの形状が円でない異形孔を有する異形孔ノズルである。
図3(A)を参照して、第2例の紡糸ノズル10は、ノズル部品1と、ノズル部品2aおよびノズル部品2bで構成されるノズル部品2と、ノズル部品3と、で構成される3層構造を有する。原料Mを流す原料流路FCは、ノズル部品1により形成される原料流路FC11と、ノズル部品2aにより形成される原料流路FC12と、で形成される。凝固剤Cを流す凝固剤流路FCCは、ノズル部品3により形成される。
第2例の紡糸ノズル10は、原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wの形状が円でない異形孔を有し、かかる異形孔の形状がアスタリスク状およびアスタリクス状と放射条数が異なるアスタリスク様の少なくともひとつの形状である。
図3(B)を参照して、第2例の紡糸ノズル10が原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wの形状が円でない異形孔、具体的にはアスタリスク形孔を有することから、第2例における紡糸ノズル10の原料Mの吐出部10mfから吐出される原料Mの断面の形状はアスタリスク形状となる。かかるアスタリスク形状の断面形状を有する原料Mが、凝固剤流路FCCを流れる凝固剤Cと合流して、ゲル化流路FCGから吐出するまでに凝固することにより、断面形状が同様のアスタリクス形状の糸状ゲルGが得られる。
図3を参照して、第2例の紡糸ノズル10は、原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wの形状が円でない異形孔を有する異形孔ノズルであることから、異物質の種類および目的に応じて、さまざまの形状の糸状ゲルGが得られる。
図3に示す第2例の紡糸ノズル10は、図2に示す第1例の紡糸ノズル10と同様の異形孔ノズルであるが、第1例の紡糸ノズル10に比べて、孔の長さが長い。このため、第2例の紡糸ノズル10は、第1例の紡糸ノズル10よりも、凝固剤Cが原料流路FC12に逆流するのを防止するとともに、吐出孔10wにおける整流効果が高く、原料Mが低粘度であっても好適に用いられる。
(第3例:海島型ノズル)
図4を参照して、図4(A)は第3例における紡糸ノズルの断面を示し、図4(B)は第3例における紡糸ノズル10の原料Mの吐出部10mfから吐出される原料Mの断面を示す。第3例の紡糸ノズル10は、複数の原料Mを、原料Mの吐出部10mfにおいて、海島型に分配する海島型ノズルである。
図4(A)を参照して、第3例の紡糸ノズル10は、ノズル部品1と、ノズル部品2a、ノズル部品2b、ノズル部品2cおよびノズル部品2dで構成されるノズル部品2と、ノズル部品3と、で構成される3層構造を有する。第3例の紡糸ノズル10においては、複数の原料M1,M2,M3が用いられる。原料M1を流す原料流路FC1は、ノズル部品1により形成される原料流路FC11と、ノズル部品2aにより形成される原料流路FC12pと、ノズル部品2bにより形成される原料流路FC12qと、ノズル部品2cにより形成される原料流路FC12rと、で構成される。原料M2を流す原料流路FC2は、ノズル部品1により形成される原料流路FC21と、ノズル部品2aにより形成される原料流路FC22pと、ノズル部品2bにより形成される原料流路FC22qと、ノズル部品2cにより形成されるFC22rと、で構成される。原料M3を流す原料流路FC3は、ノズル部品1により形成される原料流路FC31と、ノズル部品2dにより形成される原料流路FC32と、で構成される。複数の原料M1,M2,M3の合流原料を流す原料流路FCMはノズル部品2dにより形成される。凝固剤Cを流す凝固剤流路FCCは、ノズル部品3により形成される。
図4(A)および(B)を参照して、第3例の紡糸ノズル10は、複数のノズル部品1,2a,2b,2c,2dにより、複数の原料M1,M2,M3のうち、原料流路FC12rから流出する原料M1と、原料流路FC22rから流出する原料M2とを、原料流路FC32から流出する原料M3中に、原料流路FCMにおいて合流させることにより、原料Mの吐出部10mfにおいて、海島型に分配する。このことから、第3例の紡糸ノズル10は、海島型ノズルとも呼ぶ。ここで、図4(B)に示すように、海島型とは、原料Mの吐出部10mfから吐出される複数の原料M1,M2,M3の断面の構造が、原料M3の海の中に原料M1および原料M2がそれぞれ島1および島2として分離して配置されている構造であるものをいう。かかる海島型の断面構造を有する複数の原料M1,M2,M3が、凝固剤流路FCCを流れる凝固剤Cと合流して、ゲル化流路FCGから吐出するまでに凝固することにより、断面構造が同様の海島型の糸状ゲルGが得られる。
図4を参照して、第3例の紡糸ノズル10は、複数の原料Mを、原料Mの吐出部10mfにおいて、海島型に分配することから、原料Mの流量調節が容易で、大量の原料Mを流すことが可能で、メンテナンスが容易であるとともに、海島型構造の糸状ゲルを容易に製造できる。なお、図4(B)には、原料M1および原料M2について島の数が各々3個である断面が描かれているが、島の数には制限はない。
(第4例:分割型ノズル)
図5を参照して、図5(A)は第4例における紡糸ノズルの断面を示し、図5(B)は図5(A)のVB−VBにおける断面を示し、図5(C)は第4例における紡糸ノズル10の原料Mの吐出部10mfから吐出される原料Mの断面を示す。第4例の紡糸ノズル10は、複数の原料Mを、原料Mの吐出部10mfにおいて、分割型に分配する分割型ノズルである。
図5(A)を参照して、第4例の紡糸ノズル10は、ノズル部品1と、ノズル部品2と、ノズル部品3と、で構成される3層構造を有する。第4例の紡糸ノズル10においては、複数の原料M1,M2が用いられる。原料M1を流す原料流路FC1は、ノズル部品1により形成される原料流路FC11pおよび原料流路FC11qで構成される。原料M2を流す原料流路FC2は、ノズル部品1により形成される原料流路FC21p、原料流路FC21qおよび原料流路FC21rで構成される。複数の原料M1,M2の合流原料を流す原料流路FCMは、ノズル部品2により形成される。凝固剤Cを流す凝固剤流路FCCは、ノズル部品3により形成される。
図5(A)〜(C)を参照して、第4例の紡糸ノズル10は、複数のノズル部品1,2により、原料流路FC11qを流れる原料M1と原料流路FC21rを流れる原料M2とを、原料流路FCMにおいて合流させることにより、原料Mの吐出部10mfにおいて、分割型に分配する。ここで、図5(C)に示すように、分割型とは、原料Mの吐出部10mfから吐出される複数の原料M1,M2の断面の構造が、複数の領域に原料M1と原料M2とが互いに分割されて配置されている構造であるものをいう。原料の種類が2種類のものは、一般的に2n個(nは正の整数)の領域に分割される。かかる分割型の断面構造を有する原料M1,M2が、凝固剤流路FCCを流れる凝固剤Cと合流して、ゲル化流路FCGから吐出するまでに凝固することにより、断面構造が同様の分割型の糸状ゲルGが得られる。
図5を参照して、第4例の紡糸ノズル10は、複数の原料Mを、原料Mの吐出部10mfにおいて、分割型に分配することから、原料Mの流量調節が容易で、大量の原料Mを流すことが可能で、メンテナンスが容易であるとともに、分割型構造の糸状ゲルを容易に製造できる。なお、図5(B)には、2種類の原料M1および原料M2を用いて16分割されている断面が描かれているが、原料の種類数および分割数には制限はない。
(第5例:並列型ノズル)
図6を参照して、図6(A)は第5例における紡糸ノズルの断面を示し、図6(B)は第5例における紡糸ノズル10の原料Mの吐出部10mfから吐出される原料Mの断面を示す。第5例の紡糸ノズル10は、複数の原料Mを、原料Mの吐出部10mfにおいて、並列型に分配する並列型ノズルである。
図6(A)を参照して、第5例の紡糸ノズル10は、ノズル部品1と、ノズル部品2と、ノズル部品3と、ノズル部品4と、で構成される4層構造を有する。第5例の紡糸ノズル10においては、複数の原料M1,M2が用いられる。原料M1を流す原料流路FC1は、ノズル部品1により形成される原料流路FC11と、ノズル部品2により形成される原料流路FC12と、で構成される。原料M2を流す原料流路FC2は、ノズル部品1により形成される原料流路FC21と、ノズル部品2により形成される原料流路FC22と、で構成される。複数の原料M1,M2の合流原料を流す原料流路FCMは、ノズル部品3により形成される。凝固剤Cを流す凝固剤流路FCCは、ノズル部品4により形成される。
図6(A)および(B)を参照して、第5例の紡糸ノズル10は、複数のノズル部品1,2により、原料流路FC12を流れる原料M1と原料流路FC22を流れる原料M2とを、ノズル部品3の原料流路FCMにおいて合流させることにより、原料Mの吐出部10mfにおいて、並列型に分配する。ここで、図6(B)に示すように、並列型とは、原料Mの吐出部10mfから吐出される複数の原料M1,M2の断面の構造が、複数の領域に原料M1と原料M2とが並列に配置されている構造であるものをいう。かかる並列型の断面構造を有する原料M1,M2が、凝固剤流路FCCを流れる凝固剤Cと合流して、ゲル化流路FCGから吐出するまでに凝固することにより、断面構造が同様の並列型の糸状ゲルGが得られる。
なお、図示はしないが、上述のような並列型においては、上記並列型ノズルにさらに別の原料を流すさらに別の原料流路を設けることにより、原料の吐出部から吐出される複数の原料の断面の構造を、原料M1、原料M2およびさらに別の原料が並列に配置されている構造とすることもできる。
図6を参照して、第5例の紡糸ノズル10は、複数の原料Mを、原料Mの吐出部10mfにおいて、並列型に分配することから、原料Mの流量調節が容易で、大量の原料Mを流すことが可能で、メンテナンスが容易であるとともに、並列型構造の糸状ゲルを容易に製造できる。
(第6例:芯鞘I型ノズル)
図7を参照して、図7(A)は第6例における紡糸ノズルの断面を示し、図7(B)は第6例における紡糸ノズル10の原料Mの吐出部10mfから吐出される原料Mの断面を示す。第6例の紡糸ノズル10は、複数の原料Mを、原料Mの吐出部10mfにおいて、芯鞘型に分配する芯鞘I型ノズルである。第6例の紡糸ノズルを芯鞘I型ノズルと呼ぶのは、後述の第7例の紡糸ノズルである芯鞘II型ノズルと区別するためである。
図7(A)を参照して、第6例の紡糸ノズル10は、ノズル部品1と、ノズル部品2と、ノズル部品3と、で構成される3層構造を有する。第6例の紡糸ノズル10においては、複数の原料M1,M2が用いられる。原料M1を流す原料流路FC1は、ノズル部品1により形成される原料流路FC11pおよび原料流路FC11qで構成される。原料M2を流す原料流路FC2は、ノズル部品1により形成される原料流路FC21p、原料流路FC21qおよび原料流路FC21rで構成される。原料M1と原料M2との合流原料を流す原料流路FCMは、ノズル部品2により形成される。凝固剤Cを流す凝固剤流路FCCは、ノズル部品3により形成される。
図7(A)および(B)を参照して、第6例の紡糸ノズル10は、複数のノズル部品1、2により、複数の原料M1,M2のうち、原料流路FC11qから流出する原料M1を、原料流路FC21rから流出する原料M2中に、原料流路FCMにおいて合流させることにより、原料Mの吐出部10mfにおいて、芯鞘I型に分配する。ここで、図7(B)に示すように、芯鞘I型とは、原料Mの吐出部10mfから吐出される複数の原料M1,M2の断面の構造が、原料M1の芯の周りに原料M2が鞘として配置されている構造であるものをいう。かかる芯鞘I型の断面構造を有する複数の原料M1,M2が、凝固剤流路FCCを流れる凝固剤Cと合流して、ゲル化流路FCGから吐出するまでに凝固することにより、断面構造が同様の芯鞘I型の糸状ゲルGが得られる。
図7を参照して、第6例の紡糸ノズル10は、複数の原料Mを、原料Mの吐出部10mfにおいて、芯鞘I型に分配することから、原料Mの流量調節が容易で、大量の原料Mを流すことが可能で、メンテナンスが容易であるとともに、芯鞘I型構造の糸状ゲルを容易に製造できる。
(第7例:芯鞘II型ノズル)
図8を参照して、図8(A)は第7例における紡糸ノズルの断面を示し、図8(B)は第7例における紡糸ノズル10の原料Mの吐出部10mfから吐出される原料Mの断面を示す。第7例の紡糸ノズル10は、複数の原料Mを、原料Mの吐出部10mfにおいて、芯鞘型に分配する芯鞘II型ノズルである。第7例の紡糸ノズルを芯鞘II型ノズルと呼ぶのは、前述の第6例の紡糸ノズルである芯鞘I型ノズルと区別するためである。
図8(A)を参照して、第7例の紡糸ノズル10は、ノズル部品1と、ノズル部品2a、ノズル部品2bおよびノズル部品2cで構成されるノズル部品2と、ノズル部品3と、ノズル部品4と、で構成される4層構造を有する。第7例の紡糸ノズル10においては、複数の原料M1,M2,M3が用いられる。原料M1を流す原料流路FC1は、ノズル部品1により形成される原料流路FC11と、ノズル部品2aにより形成される原料流路FC12と、で構成される。原料M2を流す原料流路FC2は、ノズル部品1により形成される原料流路FC21と、ノズル部品2aにより形成されるFC22pと、ノズル部品2aおよびノズル部品2bにより形成されるFC22qと、で構成される。原料M3を流す原料流路FC3は、ノズル部品1により形成される原料流路FC31と、ノズル部品2cにより形成される原料流路FC32pと、ノズル部品3により形成される原料流路FC33と、ノズル部品2b、ノズル部品2cおよびノズル部品3により形成される原料流路FC32qと、で構成される。複数の原料M1,M2,M3の合流原料を流す原料流路FCMは、ノズル部品3により形成される。凝固剤Cを流す凝固剤流路FCCは、ノズル部品4により形成される。
図8(A)および(B)を参照して、第7例の紡糸ノズル10は、複数のノズル部品1,2a,2b,2c,3により、複数の原料M1,M2,M3のうち、原料流路FC12から流出する原料M1を、原料流路FC22qから流出する原料M2中に、合流させるとともに、かかる原料M1および原料M2の合流原料を、原料流路FC32qから流出する原料M3中に、原料流路FCMにおいて合流させることにより、原料Mの吐出部10mfにおいて、芯鞘型に分配する。芯鞘II型と呼ぶのは、前述の芯鞘II型と区別するためである。ここで、図8(B)に示すように、芯鞘II型とは、原料Mの吐出部10mfから吐出される複数の原料M1,M2,M3の断面の構造が、原料M1の内芯の周りに原料M2が外芯として配置されかつ原料M2の外芯の周りに原料M3が鞘として配置されている構造であるものをいう。かかる芯鞘II型の断面構造を有する複数の原料M1,M2,M3が、凝固剤流路FCCを流れる凝固剤Cと合流して、ゲル化流路FCGから吐出するまでに凝固することにより、断面構造が同様の芯鞘II型の糸状ゲルGが得られる。
図8を参照して、第7例の紡糸ノズル10は、複数の原料Mを、原料Mの吐出部10mfにおいて、芯鞘II型に分配することから、原料Mの流量調節が容易で、大量の原料Mを流すことが可能で、メンテナンスが容易であるとともに、芯鞘II型構造の糸状ゲルを容易に製造できる。
図7を参照して、芯鞘I型ノズルにおいては、ノズル部品1とノズル部品2との重ね合せにより原料流路FC1と原料流路FC2の同心性を確保しているため、また、原料M1が流出する原料流路FC11qの終端と、原料M2が流出する原料流路FC21rの終端と、複数の原料M1,M2の合流原料が流出する原料流量FCMの終端と、の間の距離が長いため、原料M1の芯領域と原料M2の鞘領域との同心度が低い。これに対して、図8を参照して、芯鞘II型ノズルにおいては、ノズル部品2aがノズル部品2bの中に入り込むことにより原料流路FC1と原料流路FC2の同心性を確保しているため、また、原料M1が流出する原料流路FC12の終端と、原料M2が流出する原料流路FC22qの終端と、原料M3が流出する原料流路FC32qの終端と、複数の原料M1,M2,M3の合流原料が流出する原料流量FCMの終端と、の間の距離が短いため、原料M1の内芯領域と原料M2の外芯領域と原料M3の鞘領域との同心度が高い。このため、芯鞘II型ノズルは、芯鞘I型ノズルに比べてより寸法精度の高い糸状ゲルGが得られる。
(第8例:メルトブローン用ノズル)
図9を参照して、図9(A)は第8例における紡糸ノズルの上平面を示し、図9(B)は図9(A)のIXB−IXBにおける断面を示し、図9(C)は第8例における紡糸ノズル10の原料Mの吐出部10mfから吐出される原料Mの断面を示す。
図9(A)および(B)を参照して、第8例の紡糸ノズル10は、原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wが稜線10e上に複数配置されているメルトブローン用ノズルであり、ノズル部品1と、ノズル部品2と、で構成される2層構造を有する。原料Mを流す原料流路FCは、ノズル部品1により形成される原料流路FC11pおよび原料流路FC11qで構成される。原料流路FC11pから複数の原料流路FC11qに分岐する。各原料流路FC11qの末端が原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wとなる。凝固剤Cを流す凝固剤流路FCCは、ノズル部品1およびノズル部品2により形成される。凝固剤流路FCCの末端が凝固剤Cの吐出孔10cwとなる。ここで、凝固剤Cの吐出孔10cwは、原料Mの複数の吐出孔10wの周りに長いスリット状に1つ形成されている。
図9(B)および(C)を参照して、第8例の紡糸ノズル10は、原料流路FCから流出する原料Mが吐出孔10wから吐出されるとともに、凝固剤流路FCCから流出する凝固剤Cが吐出孔10cwから吐出される。これにより、複数の糸状ゲルを平行、非平行、または多層に敷設することができる。また、凝固する時期を調節して、原料Mは紡糸ノズルから吐出された後から凝固が始まり、凝固が終わるまでに互いに隣接する原料の吐出孔10wから吐出された原料M同士が絡み合うようにさせることにより、糸状ゲルGが二次元的または三次元的に絡み合う。
図9を参照して、第8例の紡糸ノズル10は、稜線上に原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wが複数配置されているメルトブローン用ノズルであることから、原料Mの流量調節が容易で、大量の原料Mを流すことが可能で、メンテナンスが容易であるとともに、糸状ゲルが二次元的または三次元的に絡み合ったものが容易に製造できる。
(第9例:長尺ノズル)
図10を参照して、図10(A)は第9例における紡糸ノズル10の上面図を示し、図10(B)は図10(A)のXB−XBにおける断面を示し、図10(C)は図10(B)のXC−XCにおける断面を示す。
図10(A)〜(C)を参照して、第9例の紡糸ノズル10は、原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wが二次元的に複数配置されている長尺ノズルである。かかる第9例の紡糸ノズルは、ノズル部品1と、ノズル部品2と、ノズル部品3と、で構成される3層構造を有する。原料Mを流す原料流路FCは、ノズル部品1により形成される原料流路FC11と、ノズル部品2により形成される原料流路FC12pおよび原料流路FC12qと、で形成される。原料流路FC12pから複数の原料流路FC12qに分岐する。各原料流路FC12qの末端が原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wとなる。凝固剤Cを流す凝固剤流路FCCは、ノズル部品2およびノズル部品3により形成される。
第9例の紡糸ノズル10は、二次元的に複数配置されている吐出孔10wから吐出される原料Mが凝固剤流路FCCを流れる凝固剤Cに合流し、ゲル化流路FCGから吐出されるまでに凝固することにより糸状ゲルGが得られる。
図10を参照して、第9例の紡糸ノズル10は、原料Mの吐出部10mfの吐出孔10wが二次元的に複数配置されている長尺ノズルであることから、原料Mの流量調節が容易で、大量の原料Mを流すことが可能で、メンテナンスが容易であるとともに、糸状ゲルGが一度に大量に製造できる。
(第10例:可視光硬化性原料使用ノズルまたは紫外線硬化性原料使用ノズル)
図11を参照して、図11(A)は第10例における紡糸ノズルの断面を示し、図11(B)は第10例における紡糸ノズル10の原料Mの吐出部10mfから吐出される原料Mの断面を示す。図1〜図10は、原料Mとして凝固剤凝固性原料を用いる各種の紡糸ノズル10および各種の紡糸ノズル10の原料の吐出部10mfから吐出される原料Mの断面の例を示したものである。これに対して、図11は、原料Mとして可視光硬化性原料または紫外線硬化原料を用いる紡糸ノズル10および紡糸ノズル10の原料の吐出部10mfから吐出される原料Mの断面の例を示したものである。
図11(A)を参照して、原料Mが可視光硬化性または紫外線硬化性であることから、第10例の紡糸ノズル10において、ゲル化流路FCGを形成するノズル部品3を可視光透過性または紫外線透過性の材料で形成して、ゲル化流路FCGを流れる原料Mに可視光または紫外線を照射することにより、ゲル化させて、糸状ゲルが得られる。可視光透過性材料としては、特に制限はなく、ソーダガラス、石英ガラス、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネートなどが挙げられる。紫外線透過性材料としては、特に制限はなく、紫外線透過ガラス(低アルカリホウケイ酸ガラス)、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。また、第10例の紡糸ノズル10は、凝固剤は不要であることから凝固剤流路が形成されていないが、ゲル化流路FCGに糸状ゲルが付着するのを防止するための保護剤Pを流すための保護剤流路FCPが形成されていることが好ましい。
また、図11(A)を参照して、ゲル化流路FCGを形成するノズル部品3を可視光透過性または紫外線透過性の材料で形成しなくても、ゲル化流路FCGで原料Mを硬化させることなく、ゲル化流路FCGから紡糸ノズル10の外部に吐出される原料Mに可視光または紫外線を照射することにより、ゲル化させて、糸状ゲルを得ることもできる。かかる場合においても、紡糸ノズル10は、凝固剤は不要であることから凝固剤流路が形成されていないが、ゲル化流路FCGに糸状ゲルが付着するのを防止するための保護剤Pを流すための保護剤流路FCPが形成されていることが好ましい。
なお、図11に示す第10例の紡糸ノズル10は、図2に示す第1例の紡糸ノズル10と同様に板型ノズルかつ異形孔ノズルである。しかしながら、本例に示す可視光硬化性原料使用ノズルまたは紫外線硬化性原料使用ノズルは、他のタイプの紡糸ノズル(たとえば、図3に示す異形孔ノズル、図4に示す海島型ノズル、第5に示す分割型ノズル、図6に示す並列型ノズル、図7に示す芯鞘I型ノズル、図8に示す芯鞘II型ノズル、図9に示すメルトブローン用ノズル、および図10に示す長尺ノズルなど)にも、好適に適用できる。
(実施例1)
図2に示す第1例の紡糸ノズル10(板型異形孔ノズル)を用いて、原料Mとしてラットから採取した肝実質細胞の初代培養から採取した肝実質細胞を3×107cells/mlで懸濁させた5質量%アルギン酸ナトリウム水溶液を、凝固剤Cとして2質量%の塩化カルシウム水溶液を用いて、糸状ゲルを作製した。紡糸ノズル10は、原料Mの吐出孔10wが円形状のもの(実施例1A)とアスタリスク形状のもの(実施例1B)との2種類を用いた。円形状の吐出孔は直径が1000μmであり、アスタリスク形状の吐出孔はアスタリスク条の長さ(直径)が1000μmmでありアスタリスク条の幅が150μmであった。原料Mの流量は5ml/hrであり、凝固剤Cの流量は24ml/hrであった。実施例1Aにおいては、断面形状が直径700μmの円形状の糸状ゲルが得られた。実施例1Bにおいては、断面形状において180°で対向するアスタリスク条の先端間の距離(アスタリスク形状に外接する円の直径)が760μm、アスタリスク条幅が130μmのアスタリスク形状の糸状ゲルが得られた。
蛍光顕微鏡による断面観察を容易にするため、得られた実施例1Aおよび実施例1Bの糸状ゲルをDapi染色により青く蛍光させると、その青い蛍光は、図12に示すように実施例1Aにおいてはゲル断面が円形状であり、図13に示すように実施例1Bにおいてはゲル断面がアスタリスク形状であった。
上記で得られた実施例1Aおよび実施例1Bの糸状ゲルを、雰囲気温度37℃で3日間培養した後、生細胞が緑に染まるカルセイン染色および死細胞が赤に染まるPI染色をそれぞれ行なった。図14および図15に示すように、実施例1Aおよび実施例1Bいずれにおいても、糸状ゲルの断面の内部は赤く染まり外周部は緑色に染まり、実施例1B(図15)は実施例1A(図14)に比べて内部の赤く染まった領域が減少した。このことから、断面を円形状からアスタリスク形状にしたことにより、細胞の生存率が高くなったと期待できた。
(実施例2)
図4に示す第3例の紡糸ノズル10(海島型ノズル)を用いて、島1を形成する原料M1として赤色の蛍光インクが添加された5質量%のアルギン酸ナトリウム水溶液、島2を形成する原料M2として緑色の蛍光インクが添加された5質量%のアルギン酸ナトリウム水溶液、海を形成する原料M3として蛍光インクが添加されていない無色の1質量%のアルギン酸ナトリウム水溶液、凝固剤Cとして2質量%の塩化カルシウム水溶液を用いて、糸状ゲルを作製した。紡糸ノズル10は、複数の原料M1,M2,M3の合流原料の円形状の吐出孔10wの直径が1000μmであった。海を形成する原料M3の流量を4ml/hrに固定し、島1を形成する原料M1および島2を形成する原料M2の流量をそれぞれ0.2ml/hr(実施例2A)、0.3ml/hr(実施例2B)および0.6ml/hr(実施例2C)とし、凝固剤Cの流量は4ml/hrとした。
得られた糸状ゲルの断面を蛍光顕微鏡で観察した。図16〜図18を参照して、実施例2A〜2Cのいずれにおいても、断面の海の外周部に島1および島2が交互に5対配置された海島構造を有する直径約900μmの円形状の糸状ゲルが得られた。ゲルの断面積全体に対する島1および島2の断面積の比は、海、島1および島2を形成する原料の流量の比に正に相関する傾向が見られた。ゲルの断面において海部が内部に集中したのは、海部を形成する原料M3の流量が島1を形成する原料M1の流量および島2を形成する原料M2の流量より大きかったためと考えられた。すなわち、海を形成する原料の流量と島を形成する原料の流量とを調整することにより、海島構造における海島の配置を調整することが可能と考えられる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
1,2,2a,2b,2c,2d,3,4 ノズル部品、10 紡糸ノズル、10cw 凝固剤の吐出孔、10e 稜線、10mf 原料の吐出部、10w 原料の吐出孔、20 原料供給部、30 薬剤供給部、31 薬剤槽、33 ギアポンプ、40 回収槽、50 温調部、51 循環装置、55 循環配管、100 製造装置、C 凝固剤、FC 原料流路、FCC 凝固剤流路、FCG ゲル化流路、FCP 保護剤流路、G 糸状ゲル、M,M1,M2,M3 原料、P 保護剤、T 温調媒体。

Claims (10)

  1. 紡糸ノズルを用いて1つ以上の原料から糸状のゲルを製造する糸状ゲルの製造方法。
  2. 前記紡糸ノズルは、前記原料を流す原料流路と、前記原料を凝固させる凝固剤を流す凝固剤流路および前記原料から製造される前記糸状ゲルもしくは前記原料を保護して前記紡糸ノズルへの付着を防止する保護剤を流す保護剤流路のいずれかの流路と、を含む請求項1に記載の糸状ゲルの製造方法。
  3. 前記紡糸ノズルは、1つ以上のノズル部品により、前記原料流路と、前記凝固剤流路および前記保護剤流路のいずれかの流路と、が形成されている請求項2に記載の糸状ゲルの製造方法。
  4. 前記紡糸ノズルは、前記原料の吐出部を形成するノズル部品が板状である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の糸状ゲルの製造方法。
  5. 前記紡糸ノズルは、前記原料の吐出部の吐出孔の形状が円でない異形孔を有する異型孔ノズルである請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の糸状ゲルの製造方法。
  6. 前記紡糸ノズルは、前記異形孔の形状がアスタリスク状および前記アスタリクス状と放射条数が異なるアスタリスク様の少なくともひとつの形状である請求項5に記載の糸状ゲルの製造方法。
  7. 前記紡糸ノズルは、1つ以上の前記ノズル部品により、複数の前記原料を分配する請求項3に記載の糸状ゲルの製造方法。
  8. 前記紡糸ノズルは、複数の前記原料を、前記原料の吐出部において、海島型、分割型、並列型および芯鞘型の少なくとも1つの型に分配する請求項7に記載の糸状ゲルの製造方法。
  9. 前記紡糸ノズルは、前記原料の吐出部の吐出孔が稜線上に複数配置されているメルトブローン用ノズルである請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の糸状ゲルの製造方法。
  10. 前記紡糸ノズルは、前記原料の吐出部の吐出孔が二次元的に複数配置されている長尺ノズルである請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の糸状ゲルの製造方法。
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