JP2016183364A - アルミニウム合金クラッド板およびアルミニウム合金クラッド構造部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の7000系アルミニウム合金などの単板の、高い強度レベルにおける成形性との矛盾を解決し、高強度化と高成形性とを兼備したアルミニウム合金クラッド板を提供する。
【解決手段】複数のアルミニウム合金層が積層され、拡散熱処理が施されたアルミニウム合金クラッド板であって、特定組成のアルミニウム合金層をMgかZnの含有量が互いに異なるように積層し、拡散熱処理後の組織として、微細な結晶粒径と、積層されたアルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った、特定のMgとZnの相互拡散領域を所定量だけ有するようにして、高強度化と高成形性とを兼備させるアルミニウム合金クラッド板。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム合金クラッド板およびアルミニウム合金クラッド構造部材(以下、アルミニウムをアルミやAlとも言う)に関するものである。ここでクラッド板とは、アルミニウム合金層同士を互いに積層し、圧延などで互いに一体に接合した積層板である。
自動車の車体や航空機の機体など、軽量化のためにアルミニウム合金板が素材として用いられる輸送機の構造部材では、高強度化のための高合金化と、構造部材への成形性とが矛盾しやすい。
例えば、構造部材用の7000系アルミニウム合金や超々ジュラルミン(Al-5.5%Zn-2.5%Mg合金)などは、高強度化させるための典型的手段として、ZnやMgなどの高強度化元素量を増加させているが、延性が低下して構造部材に成形しにくい問題がある。また、このように高合金化すると、耐食性が低下したり、保管中に室温時効(時効硬化)して強度が増加して、構造部材への成形性が著しく低下するという問題もある。また、圧延工程など板の生産効率も低いという問題もある。
このような高強度化と成形性との相矛盾する課題は、前記7000系アルミニウム合金板や、超々ジュラルミン板などの、アルミニウム合金板単体(単一の板、単板)の組成や組織、あるいは製法だけで解決することは非常に難しい。
この問題の解決の方向として、従来から、異なる組成や特性を有するアルミニウム合金層(板)同士を互いに2〜4層積層させたアルミニウム合金クラッド板(積層板)が知られている。
この代表的な例は、3000系アルミニウム合金の心材に、7000系アルミニウム合金の犠牲陽極材、4000系アルミニウム合金のろう材をクラッドした3層〜4層構造の熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートである。
この他、特許文献1では、心材を高強度化のための5000系アルミニウム合金材、皮材を耐食性向上のための7000系アルミニウム合金材と各々したクラッド材からなる自動車燃料タンク用アルミニウム合金材も提案されている。
また、特許文献2では、1000系、3000系、4000系、5000系、6000系、7000系などのアルミニウム合金の融点差を利用して、双ロールを用いた連続鋳造によって、アルミニウム合金同士を最大で4層積層して一体化させたクラッド板の製造方法も提案されている。
更に、特許文献3では、複数のアルミニウム合金層を積層する際に、これらアルミニウム合金層の層間にCu防食層を介在させ、このCu防食層のCuを高温の熱処理によって接合されたアルミニウム合金層にまで拡散させて、クラッド板の耐食性を向上させることも提案されている。
特開2004−285391号公報 特許第5083862号公報 特開2013−95980号公報
ただ、これら従来のアルミニウム合金クラッド板において、前記した輸送機の構造部材用として、前記した高強度化と成形性との相矛盾する課題を解決したものは、あまり見当たらない。したがって、輸送機の構造部材用としてのアルミニウム合金クラッド板に、高強度化と高成形性とを兼備させる技術的な課題がある。
このような課題に対して、本発明の目的は、前記した高強度化と成形性との相矛盾する課題を解決し、高強度化と高成形性とを兼備したアルミニウム合金クラッド板およびアルミニウム合金クラッド構造部材を提供することにある。
この目的を達成するために、本発明のアルミニウム合金クラッド板の要旨は、
複数のアルミニウム合金層が積層されたアルミニウム合金クラッド板であって、
このアルミニウム合金クラッド板の最表層側の前記アルミニウム合金層の内側に積層された、前記アルミニウム合金層が、各々Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の1種または2種を含むとともに、
前記最表層側のアルミニウム合金層が、Mgを3〜10質量%の範囲で含み、かつ、Znを2質量%以下(0質量%を含む)に抑制した組成からなり、
これらのアルミニウム合金層が、MgかZnのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層同士が隣接して接合するよう、合計積層数が5〜15層で、かつ全体の板厚が1〜5mmとなるよう積層されており、
前記アルミニウム合金クラッド板のMgとZnとの各平均含有量が、前記積層された各アルミニウム合金層のMg、Znの各含有量を平均化した値として、Mg:2〜8質量%、Zn:3〜20質量%の範囲であり、
前記アルミニウム合金クラッド板に拡散熱処理を施した後の組織として、前記積層された各アルミニウム合金層の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径が200μm以下であるとともに、積層されたアルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った、MgとZnの相互拡散領域を有しており、
このMgとZnの相互拡散領域として、MgとZnの濃度が、前記拡散熱処理を施こす前のアルミニウム合金層のMgとZnとの各含有量のうちの各最大量と比較して、各々30〜70%の範囲となっている、前記MgとZnの相互拡散領域の前記板厚方向での合計の厚さが、前記アルミニウム合金クラッド板の板厚の40%以上を占めていることである。
また、前記目的を達成するための、本発明のアルミニウム合金クラッド構造部材の要旨は、
上記したアルミニウム合金クラッド板がプレス成形されてなる構造部材であって、
前記プレス成形後に拡散熱処理と人工時効処理とが施された後の組織として、積層された前記各アルミニウム合金層の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径が200μm以下であるとともに、積層された前記アルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った、MgとZnの相互拡散領域を有しており、
このMgとZnの相互拡散領域として、MgとZnの濃度が、前記拡散熱処理を施こす前のアルミニウム合金層のMgとZnとの各含有量のうちの各最大量と比較して、各々30〜70%の範囲となっている、前記MgとZnの相互拡散領域の前記板厚方向での合計の厚さが、前記アルミニウム合金クラッド板の板厚の40%以上を占めている組織を有しているとともに、
400MPa以上の0.2%耐力を有していることである。
本発明は、アルミニウム合金クラッド板に高強度化と高成形性とを兼備させるために、前記した層数と板厚とを前提として、互いにクラッドするアルミニウム合金層をMg、Znを多く含む特定の組成とする。これによって、先ず、素材クラッド板の延性を高くして、構造部材へのプレス成形性を確保する。この素材段階での高強度化は、プレス成形性を却って阻害するために不要である。
その上で、構造部材にプレス成形した後で、互いにクラッドしたアルミニウム合金層同士が含むMg、Znを、拡散熱処理によって積層した互いの板の組織に拡散させる。そして、このような元素の拡散によって、これらMg、ZnあるいはCuなどで形成する新たな複合析出物(時効析出物)を、互いの接合界面部に析出させて、高強度化を図る。この点で、前記クラッドするアルミニウム合金層のMg、Znなどを多く含む特定の組成は、単に延性の観点からだけではなく、拡散熱処理によって、前記元素の拡散による複合析出物が互いの接合界面部に析出させて高強度化するための組成でもある。
本発明では、このような元素の拡散メカニズムの発現により高強度化させるために、アルミニウム合金クラッド板が成形されたアルミニウム合金クラッド構造部材に対して、拡散熱処理を施すことを前提とする。
そして、前記拡散熱処理、あるいは、前記拡散熱処理後に更に人工時効処理(以下、T6処理とも言う)されたアルミニウム合金クラッド構造部材として、また、更に、塗装焼付処理などの人工時効(硬化) 処理されたアルミニウム合金クラッド構造部材として、前記した人工時効処理によって耐力(強度)が向上し、必要な強度を確保できる、塗装焼付硬化性や人工時効硬化処理性であるベークハード性(以下、BH性とも言う)が優れているものとする。
このような元素の拡散メカニズムの発現による高強度化(BH性)を保証するために、前記拡散熱処理や、続く人工時効硬化処理(T6処理)を施された後のアルミニウム合金クラッド板(アルミニウム合金クラッド構造部材)の組織として、各アルミニウム合金層のMgとZnの相互拡散領域を、板厚方向のMgとZnの濃度分布により規定している。
これによって、本発明は、拡散熱処理を施された上で構造部材として使用される、アルミニウム合金クラッド板に、高強度化と高成形性とを兼備させることができる。
本発明クラッド板の一態様を示す断面図である。 本発明クラッド板の他の態様を示す断面図である。 本発明の実施例(発明例1)に係る拡散熱処理後のアルミニウム合金クラッド板の、MgとZnとの板厚方向での濃度分布を示す図である。 本発明の実施例(比較例14)に係る拡散熱処理後のアルミニウム合金クラッド板の、MgとZnとの板厚方向での濃度分布を示す図である。
本発明のアルミニウム合金クラッド板(以下、単にクラッド板とも言う)および、これを素材として成形されたアルミニウム合金クラッド構造部材(以下、単にクラッド構造部材とも言う)を実施するための最良の形態について、図1、2を用いて説明する。なお、図1、2は本発明クラッド板の幅方向あるいは圧延方向(長手方向)の一部の断面を示しているにすぎず、このような断面構造が本発明クラッド板の幅方向あるいは圧延方向の全般に亘って均一に(一様に)延在している。
また、以下の本発明実施態様の説明では、クラッドする前の板をアルミニウム合金板と称し、この板が圧延クラッドされて薄肉化された後のクラッド板における層をアルミニウム合金層と言う。
したがって、クラッド板におけるアルミニウム合金層についての組成や積層の仕方などの規定の意義は、クラッドされる前のアルミニウム合金板や鋳塊の規定意義とも読み替えることができる。
(クラッド板の積層の仕方)
本発明クラッド板は、Mg、Znの1種または2種を規定する範囲で含むアルミニウム合金層同士であって、MgかZnかのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層同士が、互いに5〜15層(枚)積層(クラッド)されている。そして、これら積層されたクラッド板全体の板厚は1〜5mmの範囲である、比較的薄いアルミニウム合金クラッド板である。
本発明のクラッド板では、積層の際に組み合わせるアルミニウム合金層の互いの組成によって、積層の仕方を変えることが必要である。図1、2を用いて、このような積層の仕方を説明する。
図1は、Al−Mg系の板(後述する表1のAなどのアルミニウム合金層)を最表層側の前記アルミニウム合金層(両最外層、二つの最外層)として、Al−Zn系の板(後述する表1のDあるいはEなどのアルミニウム合金層)を各々その内側に積層し、中心にAl−Mg系の板(後述する表1のAなどのアルミニウム合金層)を配置し、これらを合計で5層積層した例である。
図2は、やはりAl−Mg系の板(後述する表1のAなどのアルミニウム合金層)を最表層側の前記アルミニウム合金層(両最外層、二つの最外層)として、Al−Zn−Mg系の板を各々その内側に積層し、中心にAl−Mg系の板(後述する表1のAなどのアルミニウム合金層)を配置し、これらを合計で5層積層した例である。
これら図1、2はいずれも、互いに積層される板を、Mg、Znの1種または2種を前記規定する範囲で各々含むアルミニウム合金層同士であって、少なくともMgかZnかの互いの含有量が異なるアルミニウム合金層同士とした本発明例である。
これら組み合わせるアルミニウム合金層のうち、Znを前記規定含有量範囲で含む、図1のAl−Zn系、図2のAl−Zn−Mg系のアルミニウム合金層は、耐食性に劣るため、クラッド板の耐食性を確保するために、クラッド板の内側になるように積層している。これらZnを含むアルミニウム合金層を、クラッド板の外側(表面側、表層側)になるように積層した場合には、Znの含有量が多いために、クラッド板ひいてはクラッド構造部材の耐食性が低下する。
したがって、これら図1、2では、クラッド板の最表層側(両方の最外側、両表面側、両表層側)のアルミニウム合金層には、Al−Mg系など、Mgを前記含有量範囲(3〜10質量%の範囲)で含むクラッド板を積層している。ただし、このようなAl−Mg系などの場合でも、Mgの他にZn、Cuを含む場合には、やはり耐食性が低下するので、耐食性を大きく低下させない、Znを2質量%以下(0質量%を含む)に各々抑制したアルミニウム合金層とする必要がある。
積層する層(後述する鋳塊あるいは板の枚数、積層数)は、クラッド板の特性を発揮させるためには、多層とするほど効果的で、5層(5枚)以上の層とすることが必要である。4層以下では、積層の仕方を工夫しても、板厚が1〜5mmの範囲と比較的薄いアルミニウム合金クラッド板においては、特性的には単体の板(単板)と大差がなくなり、積層する意味が無くなる。一方で、クラッド板の特性としては、15層(15枚)を超えて積層すれば、より特性向上が望めるが、実用的な製造工程での生産性を考えると、非効率で非現実的になるため、15層程度が上限である。
(クラッド板の製造方法)
拡散熱処理を施される前までの本発明クラッド板の製造方法につき説明する。
通常の単体の板(単板)では、前記7000系などで、Mgを10質量%まで、あるいはZnを30質量%までなど、本発明のように高合金化した場合には、延性が極端に低下して、圧延割れなどを起こして圧延できなくなる。これに対して、本発明では、薄板同士の、しかも組成の互いに異なる薄板同士の積層板(積層鋳塊)としているため、前記高合金化しても延性が高いので、薄板のクラッドまで冷間圧延を含めて、熱延可能である。すなわち、拡散熱処理を施される前までの本発明クラッド板は、通常の圧延工程により、圧延クラッド板として製造できる点が利点でもある。
このため、圧延によりクラッド板とする前に、Mg、Znの1種または2種を規定する範囲で含むアルミニウム合金鋳塊あるいは板同士であって、MgかZnかのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金鋳塊あるいは板同士を、互いに5〜15枚積層(クラッド)する。そして、通常の圧延工程と同様に、必要に応じて均質化熱処理を施した後で、熱間圧延してクラッド板とできる。
前記板厚範囲で更に薄肉化するためには、これに加えて、中間焼鈍を必要により施しながら、冷間圧延する。これら圧延クラッド板に、必要により調質(焼鈍、溶体化などの熱処理)を施して、本発明クラッド板を製造する。
ここで、各アルミニウム合金鋳塊を各々別個に均質化熱処理した後に、互いに重ね合わせて積層した鋳塊を、熱延温度に再加熱後に熱間圧延しても良い。或いは、各アルミニウム合金鋳塊を各々別個に均質化熱処理した後に各々別個に熱間圧延を行い、さらに必要に応じて各々別個に中間焼鈍或いは冷間圧延を施して、各々別個に適当な板厚とした後に、互いに重ねあわせて積層した板材を、さらに冷間圧延を施してクラッド板とする工程でも良い。
本発明のクラッド板全体の板厚を1〜5mmの比較的薄い範囲とするのは、この範囲が、前記した輸送機の構造部材で汎用されている板厚範囲ゆえである。板厚が1mm未満であれば、構造部材として必要な剛性、強度、加工性、溶接性などの必要特性を満たさない。一方、板厚が5mmを超えた場合には、輸送機の構造部材へのプレス成形が困難となり、また重量増加によって、前記した輸送機の構造部材として必要な軽量化が図れない。
前記圧延クラッド法によって、最終的なクラッド板全体の板厚を1〜5mmとするための、前記鋳塊の厚み(板厚)は、積層する枚数(層数)や圧延率などにも勿論よるが、50〜200mm程度である。また、最終的なクラッド板全体の板厚が1〜5mmの場合の、積層された各合金層の厚みは、積層する枚数(層数)にもよるが0.05〜2.0mm(50〜2000μm)程度である。
また、単体で均質化熱処理、熱間圧延、または冷間圧延を施した後に、積層して冷間圧延工程でクラッド板とするプロセスの場合、積層する段階の各板材の厚みは、積層する枚数(層数)や圧延率などにも勿論よるが、0.5〜5.0mm程度である。
(アルミニウム合金)
拡散熱処理前の(構造部材への成形前の)、クラッド板における、前記積層されたアルミニウム合金層の組成は、各々Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の1種または2種を含むものとする。すなわち、クラッド(積層)される前のアルミニウム合金板や鋳塊、あるいはクラッドされたアルミニウム合金層の組成は、Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の1種または2種を含むものとする。
また、拡散熱処理前の(構造部材への成形前の)、前記アルミニウム合金クラッド板全体のMgとZnとの各平均含有量は、前記積層された各アルミニウム合金層のMg、Znの各含有量を平均化した値として、Mg:2〜8質量%、Zn:3〜20質量%の範囲とする。
そして、前記組成のアルミニウム合金層(板)同士であって、少なくともMgかZnのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層(板)同士が互いに積層され、前記アルミニウム合金クラッド板全体として、MgとZnとを各々前記含有量範囲で含むことが、成形性と強度との兼備の上で必要となる。
(アルミニウム合金層の組成)
これらMg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の1種または2種を含むアルミニウム合金層とは、Al−Zn系、Al−Mg系の2元系アルミニウム合金であっても良い。また、これら2元系に、更に、Zn、MgやCu、Zr、Agの選択的添加元素を加えた、Al−Zn−Mg系、Al−Zn−Cu系、Al−Mg−Cu系などの3元系、Al−Zn−Cu−Zrなどの4元系、Al−Zn−Mg―Cu−Zrなどの5元系などであっても良い。
これらのアルミニウム合金層を、MgかZnのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層同士が隣接して接合するように、互いに組み合わせて積層し、クラッド板全体としてはMgとZnとを、あるいはCu、Zr、Agの選択的添加元素などを、前記平均含有量範囲で含むように、所定枚数積層する。
以下に、クラッドされるアルミニウム合金層やクラッド板の組成としての、各元素の含有あるいは規制する意味につき個別に説明する。なお、クラッド板としての組成の場合は、各元素の含有量を、アルミニウム合金層の各元素の含有量から、積層される各板(全部の板)の各々の元素の含有量の平均値であると読み替える。含有量に関する以下の%表示は全て質量%の意味である。
Mg:3〜10%
必須の合金元素であるMgは、Znとともに、クラッド板やクラッド構造部材の組織にクラスタ(微細析出物)を形成して加工硬化特性を向上させる。また、クラッド板やクラッド構造部材の組織や接合界面部に時効析出物を形成して強度を向上させる。Mg含有量が3%未満では強度が不足し、10%を超えると、鋳造割れが発生し、またクラッド板(鋳塊)の圧延性が低下し、クラッド板の製造が困難になる。
Zn:5〜30%
必須の合金元素であるZnは、Mgとともに、クラッド板やクラッド構造部材の組織にクラスタ(微細析出物)を形成して加工硬化特性を向上させる。また、クラッド板やクラッド構造部材の組織や接合界面部に時効析出物を形成して強度を向上させる。Zn含有量が5%未満では強度が不足し、強度と成形性とのバランスも低下する。一方Znが30%を超えると、鋳造割れが発生し、またクラッド板(鋳塊)の圧延性が低下し、クラッド板の製造が困難になる。製造可能な場合でも、粒界析出物MgZnが増えて粒界腐食が起こりやすくなり、耐食性が著しく劣化するし、成形性も低下する。
Cu、Zr、Agのうちの1種または2種以上
Cu、Zr、Agは、作用機構に多少の差はあるが、共にクラッド板やクラッド構造部材の強度を向上させる同効元素であり、必要により含有させる。
Cuは強度向上効果の他に耐食性向上効果もある。Zrは鋳塊及びクラッド板の結晶粒微細化によって、Agはクラッド板やクラッド構造部材の組織や接合界面に形成される時効析出物の微細化によって、各々少量の含有でも強度向上効果がある。ただ、これらCu、Zr、Agの含有量が多すぎると、クラッド板の製造が困難になったり、製造可能でも、耐SCC性などの耐食性が却って低下したり、延性や強度特性が却って低下するなどの、種々の問題が生じる。したがって、これらを選択的に含有させる場合は、Cu:0.5〜5質量%、Zr:0.3質量%以下(但し0%を含まず)、Ag:0.8質量%以下(但し0%を含まず)とする。
その他の元素:
これら記載した以外のその他の元素は不可避的不純物である。溶解原料として、純アルミニウム地金以外に、アルミニウム合金スクラップの使用による、これら不純物元素の混入なども想定(許容)して含有を許容する。具体的には、Fe:0.5%以下、Si:0.5%以下、Li:0.1%以下、Mn:0.5%以下、Cr:0.3%以下、Sn:0.1%以下、Ti:0.1%以下の、各々の含有量であれば、本発明に係るクラッド板の延性や強度特性を低下させず、含有が許容される。
(クラッド板全体の組成)
本発明では、前記アルミニウム合金層の組成とともに、前記拡散熱処理前のクラッド板全体の平均組成として、MgとZnの平均含有量を規定する。
このクラッド板全体のMgとZnの平均含有量は、積層された前記各アルミニウム合金層のMg、Znの各含有量を、前記したクラッド比率に対応した重み付けを行った加重相加平均値として求める。そして、この加重相加平均値として、クラッド板全体のMgとZnの平均含有量を、Mg:2〜8質量%、Zn:3〜20質量%の範囲で含むものとする。
すなわち、クラッド板全体の平均組成として、Mg、Znの1種または2種を前記規定する平均含有量範囲で各々含み、これに更に、Cu、Zr、Agのうちの1種または2種以上を選択的に含有し、残部をアルミニウムおよび不可避的不純物とした組成からなるものとする。
ここで、クラッド板全体のMgとZnの平均含有量は、クラッド板の各アルミニウム合金層を構成する各々のアルミニウム合金のMg、Znの含有量に、当該アルミニウム合金層のクラッド比率に対応した重み付けを行って求めた加重相加平均値とする。なお、クラッド比率とは、例えば5層のアルミニウム合金クラッド板において、各アルミニウム合金層が均等な厚みであれば、各アルミニウム合金層のクラッド比率は全て20%となる。このクラッド比率を用いて、Mg、Znの含有量の加重相加平均値を算出し、クラッド板全体のMgとZnの平均含有量とする。
このクラッド板全体の平均組成として、Mg、Znの含有量の各々の平均含有量が少なすぎて、前記各下限値未満となった場合、クラッド板が500℃×2時間の拡散熱処理を施した後の組織として、Mg、Znなどの積層した互いの板の組織への拡散が不足する。この結果、この拡散によって、これらMg、Znなどで形成する新たな複合析出物(時効析出物)の、互いの接合界面部への析出量が不足する。このため、MgとZnの濃度が各々30〜70%の範囲となっているMgとZnの相互拡散領域の前記板厚方向での合計の厚さが、前記アルミニウム合金クラッド板の板厚の40%未満となって、前記アルミニウム合金クラッド板を高強度化できない。具体的には、このアルミニウム合金クラッド板に、拡散熱処理や人工時効処理を施してなる、アルミニウム合金クラッド構造部材の強度として、400MPa以上の0.2%耐力を有することができなくなる。
一方、このクラッド板全体の平均組成として、Mg、Znの含有量の各々の平均含有量が多すぎて、前記各上限値を超えた場合、クラッド板の延性が著しく低下する。したがって、前記構造部材用の7000系アルミニウム合金板や超々ジュラルミン板、2000系アルミニウム合金板や8000系アルミニウム合金板と同等のレベルに、プレス成形性が低下して、クラッド板とする意味が無くなる。
本発明は、構造部材用の7000系、超々ジュラルミン(Al-5.5%Zn-2.5%Mg合金)、2000系、8000系などのアルミニウム合金板の代替を意図している。すなわち、成形素材としてのクラッド板の段階では、これら高強度材の延性を大きく向上させるとともに、構造部材に成形後に、拡散熱処理や人工時効処理によって、これら従来の単板からなる高強度材並みに、高強度化させることを主眼としている。このため、最終的なクラッド板の組成は、クラッド板全体の組成として、前記構造部材用の7000系アルミニウム合金板や超々ジュラルミン板、2000系アルミニウム合金板や8000系アルミニウム合金板の組成と同一か、あるいは、これに近似する組成とする必要がある。
したがって、このような観点からも、本発明のクラッド板の組成を、従来の構造用の7000系、超々ジュラルミン、2000系、8000系などのアルミニウム合金板の単板に近づけることの意義がある。すなわち、これら従来のアルミニウム合金板の主要元素である、Mg、Znの1種または2種を、Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の範囲で各々含むことの意義がある。
この点で、本発明クラッド板あるいはアルミニウム合金層は、前記従来のアルミニウム合金板の組成でも、選択的に含まれているSiやLiを含んでも良い。
(クラッド板の元素の相互拡散組織)
本発明では、以上のように合金組成自体や、合金組成の組み合わせで成形性を向上させたアルミニウム合金クラッド板を、その用途である構造部材にプレス成形した後で、拡散熱処理して、高強度化させる。この拡散熱処理をして高強度化させた後での、構造部材への成形は、できないことはないが、成形自体が困難となり、多大な労力を必要とする。
この拡散熱処理によって、クラッドしたアルミニウム合金層が含むMg、Znを、積層した(接合した)アルミニウム合金層同士で相互拡散させる。このような元素の相互拡散によって、これらMg、Znなどで形成する、Zn−Mg系の新たな微細複合析出物(時効析出物)を互いの接合界面部に、高密度に析出させて、界面部組織制御(ナノレベルのサイズの微細析出物の超高密度分散)を行う。これによって、拡散熱処理を施した後に、好ましくは更に人工時効処理を施した後の、クラッド板(構造部材)の高強度化を図ることができる。
したがって、本発明のアルミニウム合金クラッド板の元素の相互拡散組織とは、アルミニウム合金層の平均結晶粒径とともに、本願請求項で規定する通り、拡散熱処理が施された後のアルミニウム合金クラッド板の組織であり、実際には、アルミニウム合金クラッド板を成形した後の構造部材の組織である。
それを、本発明では、素材のアルミニウム合金クラッド板の組織としても判別できるよう、このアルミニウム合金クラッド板に拡散熱処理を施した場合の元素の相互拡散組織(MgとZnの相互拡散領域)あるいは平均結晶粒径として規定している。
すなわち、成形して構造部材とした後に拡散熱処理を施しとせずとも、素材のアルミニウム合金クラッド板の段階で、その組織が判別、評価できるように、後述する実施例の通り、このアルミニウム合金クラッド板に、いわば試みとして拡散熱処理を施した場合の、MgとZnの相互拡散領域や平均結晶粒径を規定している。
アルミニウム合金層が含むMg、Znを、積層したアルミニウム合金層同士で相互拡散させるためには、前提として、互いに積層されるアルミニウム合金層は、Mg、Znの1種または2種を規定する範囲で各々含むアルミニウム合金層同士であって、少なくともMgかZnの互いの含有量が異なるアルミニウム合金層同士である必要がある。
すなわち、互いに同じMg、Znの含有量では、互いの層の、その他の元素の含有量が例え違ったとしても、このMgとZnとの接合された層同士の相互拡散が生じないため、MgとZnとの新たな微細複合析出物(時効析出物)を互いの接合界面部に、高密度に析出させることができず、高強度化が図れない。
前記クラッドするアルミニウム合金層のMg、Znを多く含む前記特定の組成とすることや、互いに積層、接合される層を、少なくともMgかZnの互いの含有量が異なるアルミニウム合金層同士とすることは、単に延性の観点からだけではなく、拡散熱処理によって、前記元素の拡散による複合析出物が互いの接合界面部に析出させて高強度化するための組成でもある。
(MgとZnの相互拡散領域)
本発明では、このようなメカニズムの発現による高強度化を保証するために、前記拡散熱処理や、続く人工時効硬化処理(T6処理)を施された後のアルミニウム合金クラッド板(あるいは構造部材)の、板厚方向のMgとZnの濃度分布として、積層された前記アルミニウム合金層の平均結晶粒径が、後述する通り、いずれも200μm以下であるとともに、積層されたアルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った、MgとZnの相互拡散領域を有していることとする。
このMgとZnの相互拡散領域として、MgとZnの濃度が、前記拡散熱処理を施こす前の(元の)積層したアルミニウム合金層における、MgとZnとの各含有量の最大値(最大となるMgとZnの各含有量=各最大量)と比較して、各々30〜70%の範囲となっている、前記MgとZnの相互拡散領域の前記板厚方向での合計の厚さが、前記アルミニウム合金クラッド板の板厚の40%以上を占めていることと規定している。
このような、拡散熱処理を施した後のMgとZnの相互拡散領域の厚さ(大きさ)の程度が、前記MgとZnの相互拡散による複合析出物の接合界面部での析出による高強度化の目安であり、クラッド板全体の強度と直接、再現性良く相関する。すなわち、拡散熱処理を施した後のMgとZnの相互拡散領域の厚さ(大きさ)が厚い(大きい)ほど、前記アルミニウム合金クラッド板(構造部材)を高強度化できる。
前記拡散熱処理の温度と時間の条件によって、MgとZnの濃度が各々30〜70%の範囲となっているMgとZnの相互拡散領域の前記板厚方向での合計の厚さは異なってくる。したがって、前記所定のMgとZnの濃度のMgとZnの相互拡散領域の板厚方向での合計の厚さが、前記アルミニウム合金クラッド板の板厚の40%以上を占めるよう、前記拡散熱処理の温度と時間とを選択することが重要となる。
したがって、本発明では、このような元素の拡散メカニズムの発現による高強度化を保証するために、アルミニウム合金クラッド板の組織として、拡散熱処理を施した際のアルミニウム合金クラッド板の、前記特定のMgとZnの相互拡散領域を、いわば板厚方向のMgとZnの濃度分布として、規定している。これによって、拡散熱処理を施された上で構造部材として使用される、アルミニウム合金クラッド板に、高強度化と高成形性とを兼備させることができる。
この点で、MgとZnの濃度が、前記拡散熱処理を施こす前のアルミニウム合金層のMgとZnとの各含有量のうちの各最大量と比較して、各々30〜70%の範囲となっているMgとZnの相互拡散領域の前記板厚方向での合計の厚さが、前記アルミニウム合金クラッド板の板厚の40%未満では、前記MgとZnの相互拡散による複合析出物の接合界面部での析出量が少なく、前記アルミニウム合金クラッド板を高強度化できない。
ちなみに、MgとZnの濃度が、前記拡散熱処理を施こす前のアルミニウム合金層のMgとZnとの各含有量のうちの各最大量と比較して、各々30〜70%の範囲となっているMgとZnの相互拡散領域の前記板厚方向での合計の厚さの上限は、前記アルミニウム合金クラッド板の板厚である100%であるが、MgとZnとを相互拡散させる製造限界(拡散熱処理の限界)からすると、90%程度である。
なお、上述したMgとZnの相互拡散領域を適切に制御することで、拡散熱処理、人工時効処理時に、これらの相互拡散領域において時効硬化が促進され、これらの領域において硬度が増大する。硬度の目安として、ビッカース硬度で120Hv以上に上昇する領域の、板厚全体に占める割合が増大し、バルクとしての耐力が増大する。
(平均結晶粒径)
前記拡散熱処理や、続く人工時効硬化処理(T6処理)を施された後の構造部材(あるいはクラッド板)の、積層された前記各アルミニウム合金層(板厚中心部)の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径を、200μm以下の微細結晶粒とする。言い換えると、拡散熱処理によっても粗大化させないようにする。
すなわち、積層された前記各アルミニウム合金層(板厚中心部)の結晶粒径の全てを平均化した平均結晶粒径が200μmを超えた場合、積層されたアルミニウム合金層のうちの多くの結晶粒径が、200μmを超えて粗大化していることを意味する。
このため、これらアルミニウム合金層を積層したクラッド板に、前記T6処理や、更に塗装焼き付け処理を施された後の、アルミニウム合金クラッド構造部材が、400MPa以上の0.2%耐力を有することができなくなる。
本発明クラッド板の厚みや積層のために組み合わせる各々のアルミニウム合金層の厚みが厚い場合には、1層当たりのアルミニウム合金層の平均結晶粒径の、強度や成形性への寄与は小さくなる。しかし、本発明では、アルミニウム合金層同士が互いに5〜15層(枚)積層(クラッド)されており、かつ、これら積層されたクラッド板全体の板厚が1〜5mmの薄板であるので、1層当たりのアルミニウム合金層の平均結晶粒径の、強度や成形性への寄与が著しく大きくなる。
(拡散熱処理)
構造部材(あるいはクラッド板)の組織を上記のように、積層された前記各アルミニウム合金層の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径を200μm以下とするとともに、高強度化を保証するための前記特定の厚さ以上のMgとZnの相互拡散領域を有するようにするためには、構造部材クラッド板を、好ましい条件で拡散熱処理することが必要である。この点で、構造部材(あるいはクラッド板)を、熱処理炉にて加熱して、目安としては、470℃〜550℃の温度で0.1〜24時間保持する条件範囲から選択して、拡散熱処理する。
但し、当然ながら、積層するアルミニウム合金層の組成や、積層数、積層する組み合わせによって、拡散熱処理によるアルミニウム合金層同士のMgとZnの相互拡散や、拡散熱処理後の平均結晶粒径は大きく異なる。
このため、積層するアルミニウム合金層の前記条件によっては、前記条件範囲内であっても、温度が低すぎたり、保持時間が短すぎたりして、前記アルミニウム合金層同士のMgとZnの相互拡散が不足して、MgとZnの相互拡散領域が薄く(小さく)なって、高強度化できなくなる場合がある。
また、逆に、積層するアルミニウム合金層の前記条件によっては、前記条件範囲内であっても、拡散熱処理の温度が高すぎるか、あるいは保持時間が長すぎるかして、前記各アルミニウム合金層の結晶粒が粗大化して、平均結晶粒径を200μm以下とすることができなくなり、やはり、高強度化できなくなる。
したがって、積層するアルミニウム合金層の組成や、積層数、積層する組み合わせに応じて、後述する実施例の通り、拡散熱処理の温度や時間の最適な条件を求めて(選択して)、精緻に制御する必要がある。
(人工時効処理)
以上のような拡散熱処理を施した後の構造部材(あるいはクラッド板)を、更に高強度化するために、好ましくは人工時効処理(人工時効硬化処理)を施す。
この高強度化につき、本発明では、クラッド板がプレス成形されてなるアルミニウム合金クラッド構造部材の高強度化の目安を、人工時効処理後の強度として、400MPa以上の0.2%耐力を有していることとしている。
このため、人工時効処理の温度や時間の条件は、所望の強度や素材のクラッド板の強度、あるいはクラッド板の製造後から人工時効処理するまでの室温時効の進行程度などから、決定される。
ちなみに、好ましい人工時効処理の条件を例示すると、1段の時効処理であれば、100〜150℃での時効処理を12〜36時間(過時効領域を含む)行う。また、2段の工程においては、1段目の熱処理温度が70〜100℃の範囲で2時間以上、2段目の熱処理温度が100〜170℃の範囲で5時間以上の範囲(過時効領域を含む)から選択する。
ここで、本発明のアルミニウム合金クラッド板や構造部材で規定する、前記したMgとZnの相互拡散領域や、元素の相互拡散組織、そしてアルミニウム合金層の前記平均結晶粒径は、このような条件範囲の人工時効処理によっては、ほとんど変化しない。したがって、本発明のアルミニウム合金クラッド板や構造部材で規定する、前記したMgとZnの相互拡散領域の前記厚みや、アルミニウム合金層の前記平均結晶粒径の測定は、前記拡散熱処理後であっても、この拡散熱処理の後に更に前記人工時効処理を施した後であっても良い。
更に、クラッド構造部材(あるいはクラッド板)を塗装焼付け処理する場合は、通常の条件範囲で良く、160℃〜210℃で20〜30分行う。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
複数のアルミニウム合金層が積層されるとともに拡散熱処理が施されて、積層されたアルミニウム合金層のMgとZnの相互拡散領域が各々異なる、アルミニウム合金クラッド板を製造し、成形性と強度とを比較した。これらの結果を表2に示す。
アルミニウム合金クラッド板の具体的な製造は以下の通りとした。
表1に示すA〜Kの合金組成のアルミニウム合金鋳塊を溶解、鋳造し、別個に、常法により均質化熱処理及び熱間圧延、必要により冷間圧延を施し、クラッド比率が全て積層数に応じた均等割合となるように、板厚を同じ1mmに調整した、前記各組成の板材を各々製造した。
これらの板材を、表2に示す各々の組み合わせで重ね合わせて積層し、この積層板材を、400℃×30分の再加熱後に、その温度で熱間圧延を開始する圧延クラッド法にてクラッド熱延板とした。
これらのクラッド熱延板を、各例とも、更に400℃×1秒の中間焼鈍を施しつつ、冷間圧延し、平均昇温速度4℃/分、到達温度400℃で2時間保持後に、冷却速度20℃/秒にて冷却する熱処理を施して、表2に示す各クラッド板厚(各層の合計板厚)のクラッド板とした。
これら最終的なクラッド板全体の板厚が1〜5mmの場合の、積層された各合金板の厚みは、0.1〜2.0mm(100〜2000μm)程度の範囲であった。これらクラッド板のクラッド比率は、前記した通り、各アルミニウム合金層の厚み(クラッド比率)が各々均等になるように製造している。
表2の多層アルミニウム合金クラッド板の欄に、このアルミニウム合金クラッド板全体としての、MgとZnとの各平均含有量や、表1の板の合計積層数、板厚、積層した板の組み合わせとして表1に示すA〜Kまでのアルミニウム合金層(板)の種別を、積層した上側から下側への順に示す。
例えば、ADADA、BEBEB、CFCFCなどの順に、5層、11層、13層の奇数層を積層したクラッド板は、表1のA、B、Cなどのアルミニウム合金層が、各クラッド板の両外側(最上側と最下側)に各々積層されており、表1のD、E、F、G、H、Iなどの各アルミニウム合金層が、クラッド板の内側に積層されていることを意味する。
表2に記載した、アルミニウム合金クラッド板の平均組成であるMg、Znの各含有量は、各アルミニウム合金層(板)の厚みが均等なので、各アルミニウム合金層のクラッド比率は全て積層数に応じた均等割合とした加重相加平均値にて算出した。
この製造したクラッド板の伸び(%)を、後述する室温引張り試験により調査した結果を、表2に示す。
さらに、前記製造したアルミニウム合金クラッド板に、構造部材としての使用を想定(模擬)して、表2に示す各条件で拡散熱処理を施した後に、共通して、室温で1週間の保持後、120℃で2時間の人工時効処理(T6処理)を各々施し、このT6処理後のアルミニウム合金クラッド板から試料を採取した。
そして、この試料の、拡散熱処理後のアルミニウム合金クラッド板の、積層された各アルミニウム合金層板厚中心部の平均結晶粒径、積層されたアルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合ったMgとZnの相互拡散領域の、板厚方向での合計の厚さの割合を測定した。
MgとZnの相互拡散領域の測定は、クラッド板の幅方向の任意の5か所から採取した試料5個の、各々の各板厚方向の断面における板厚方向のMgとZnの濃度を、電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて各々測定した。
そして、板厚方向に1μmごとに測定したMgとZnの濃度から、前記拡散熱処理を施こす前のアルミニウム合金層のMgとZnとの各含有量のうちの各最大量と比較して、各々30〜70%の範囲となっているMgとZnの相互拡散領域かどうかを判断して、これらの相互拡散領域の前記板厚方向での合計の厚さを求め、前記アルミニウム合金クラッド板の板厚に対する割合(%)を算出した。その上で、前記MgとZnの相互拡散領域の前記板厚方向での合計の厚さの、前記アルミニウム合金クラッド板の板厚に対する割合(%)割合として、測定した試料5個の各割合を平均化した。
図3、4に、測定した、拡散熱処理後のアルミニウム合金クラッド板の、MgとZnとの板厚方向での濃度分布を示す。
図3は、表1のAとDのアルミニウム合金層の組み合わせで、表2の発明例1(ADADA)であり、前記図1のパターンの組み合わせである。図4は、表1のBとFのアルミニウム合金層の組み合わせで、表2の比較例14(BFBFB)であり、前記図1のパターンの組み合わせである。
これら図3、4において、横軸が、0〜1000μm(板厚1mm)までの、クラッド板の表面(0μm)から裏面(1000μm)までの板厚方向の各位置を示す。また、縦軸がMgとZnの濃度(含有量、質量%)を示す。
図3、4において、Mg濃度が最も高い領域が表1のAあるいはBの元の(拡散熱処理を施こす前の)アルミニウム合金層、Zn濃度が最も高い領域が表1のDあるいはFの元の(拡散熱処理を施こす前の)アルミニウム合金層の領域を示し、それ以外のMg、Znの濃度に勾配がついた領域がMgとZnの相互拡散領域である。
したがって、前記拡散熱処理を施こす前の、元のアルミニウム合金層のMgとZnとの各含有量のうちの各最大量と比較して、各々30〜70%の範囲となっているMgとZnの相互拡散領域とは、Mg、Znの濃度に勾配がついた領域がMgとZnの相互拡散領域の厚みだけでなく、元のアルミニウム合金層のMgとZnとの各含有量が拡散により減少した、元のアルミニウム合金層の厚みも含むものである。
ちなみに、図3、4において、前記拡散熱処理を施こす前の(元の)アルミニウム合金層のMgとZnとの各含有量のうちの各最大量は、表1のAあるいはBのアルミニウム合金層のMg含有量5.0質量%であり、表1のDあるいはFのアルミニウム合金層のZn含有量20.0質量%である。
また、前記T6処理後の試料における、積層された各アルミニウム合金層の平均結晶粒径を測定した。すなわち、先ず、積層した全てのアルミニウム合金層の各板厚中心部における、前記MgとZnの濃度分布を測定した同じ断面につき、100倍の光学顕微鏡にてそれぞれ5視野ずつ観察して、結晶粒径を各々測定した。そして、これらの測定結果から、各アルミニウム合金層の板厚中心部毎の平均結晶粒径を各々求めた。さらに、これら各アルミニウム合金層の板厚中心部毎の平均結晶粒径を、積層した全てのアルミニウム合金層で平均化して、請求項1で規定する「積層された各アルミニウム合金層の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径」(μm)とした。この結果を表2に示す。
更に、表2に示すように、前記T6処理後のアルミニウム合金クラッド板の0.2%耐力(MPa)も調査した。これらの結果も表2に示す。
各例とも、前記試験片をJIS5号試験片に加工し、圧延方向に対して、引張方向が平行となるように室温引張試験を行い、0.2%耐力(MPa)を測定した。室温引張り試験はJIS2241(1980)に基づき、室温20℃で試験を行い、評点間距離50mmで引張速度5mm/分、試験片が破断するまで一定の速度で行った。前記製造後の(前記T6処理前の)クラッド板の全伸び(%)もこの要領にて測定した。
また、参考までに、前記T6処理後の試料における、クラッド板断面の板厚方向の硬度分布(Hv)を調査した。市販のマイクロビッカース硬度計にて、クラッド板断面における板厚方向の硬度を順に、圧痕の間隔を密に測定していき、ビッカース硬度が120Hv以上の領域の板厚方向に占める割合(120Hv以上となった圧痕の合計の長さの板厚に占める割合:%)を算出した。マイクロビッカースの測定条件は荷重を10gとした。
表2の発明例1〜12は、拡散熱処理前の組成として、積層されたアルミニウム合金層は規定する合金組成となっており、アルミニウム合金クラッド板のMgとZnとの各平均含有量も規定する範囲である。また、Znを規定含有量範囲で含むD、E、F、G、H、Iのアルミニウム合金層が、クラッド板の内側に積層されるとともに、各々の最表層側のアルミニウム合金層A、B、Cが、Mgを3〜10質量%の範囲で含み、かつ、Znを2質量%以下(0質量%を含む)に抑制した組成からなっている。
また、これらのアルミニウム合金層が、MgかZnのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層同士が隣接して接合するよう、合計積層数が5〜13層の規定積層数だけ、全体の板厚が規定範囲となるよう積層されている。
そして、適切な条件で拡散熱処理後のアルミニウム合金クラッド板は、積層された前記アルミニウム合金層の平均結晶粒径がいずれも200μm以下であるとともに、MgとZnの相互拡散領域を有している。
更に、このMgとZnの相互拡散領域の、MgとZnの濃度が、前記拡散熱処理を施こす前のアルミニウム合金層のMgとZnとの各含有量のうちの各最大量と比較して、各々30〜70%の範囲となっている、MgとZnの相互拡散領域の前記板厚方向での合計の厚さが、アルミニウム合金クラッド板の板厚の40%以上を占めている。
この結果、発明例のクラッド板は、前記製造後の(前記T6処理前の)クラッド板の全伸びが17%以上であり、高い成形性を示している。また、このアルミニウム合金クラッド板を、構造部材にプレス成形後の熱処理を想定した、拡散熱処理、室温時効、人工時効処理後の0.2%耐力が400MPa以上の、高強度を示している。この事実は、クラッド板断面の板厚方向の硬度分布(Hv)において、ビッカース硬度が120Hv以上の領域の板厚方向に占める割合が大きいことからも裏付けられる。
これに対して、表2の比較例13〜21は、本発明で規定する要件を満足せず、前記製造後のクラッド板の伸びは発明例並みであるが、前記拡散熱処理、室温時効、人工時効処理後の0.2%耐力が、いずれも300MPa未満と著しく低い。この事実は、クラッド板断面の板厚方向の硬度分布(Hv)において、ビッカース硬度が120Hv以上の領域の板厚方向に占める割合が、発明例に比して小さいことからも裏付けられる。
比較例13は、積層するアルミニウム合金層の組み合わせは前記発明例と同じであるものの、前記積層数がADAと3層で少なすぎる。このため、前記拡散熱処理が前記発明例と同じ条件ではあるものの、積層された前記アルミニウム合金層の平均結晶粒径が200μmを超えて大きすぎ、前記MgとZnの相互拡散領域の前記板厚方向での合計の厚さも、アルミニウム合金クラッド板の板厚の40%未満に過ぎない。
比較例14〜19は、積層するアルミニウム合金層の組み合わせは前記発明例と同じであるものの、前記拡散熱処理が、アルミニウム合金層の条件(組成、積層数、積層する組み合わせ)に応じた最適条件(温度、保持時間)となっていない。
このため、前記MgとZnの相互拡散領域の前記板厚方向での合計の厚さが、アルミニウム合金クラッド板の板厚の40%未満に過ぎない。
比較例20は、積層するアルミニウム合金層の組成が表1のJ、Kで規定を外れており、Mg、Znの含有量が少なすぎ、平均組成としても、これらの含有量が少なすぎる。
このため、前記MgとZnの相互拡散領域の前記板厚方向での合計の厚さも、アルミニウム合金クラッド板の板厚の40%未満に過ぎない。
比較例21は、積層するアルミニウム合金層の組成が表1のKで規定を外れており、Znの含有量が少なすぎ、平均組成としてもZnの含有量が少なすぎる。
このため、前記MgとZnの相互拡散領域の前記板厚方向での合計の厚さも、アルミニウム合金クラッド板の板厚の40%未満に過ぎない。
これらの実施例から、高強度化と高成形性とを兼備したアルミニウム合金クラッド板とするための、本発明の各要件の意義が裏付けられる。
本発明によれば、従来の7000系アルミニウム合金などの単板の、高い強度レベルにおける成形性との矛盾を解決し、高強度化と高成形性とを兼備したアルミニウム合金クラッド板あるいはこのクラッド板が成形された輸送機用の構造部材を提供できる。

Claims (2)

  1. 複数のアルミニウム合金層が積層されたアルミニウム合金クラッド板であって、
    このアルミニウム合金クラッド板の最表層側の前記アルミニウム合金層の内側に積層された、前記アルミニウム合金層が、各々Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の1種または2種を含むとともに、
    前記最表層側のアルミニウム合金層が、Mgを3〜10質量%の範囲で含み、かつ、Znを2質量%以下(0質量%を含む)に抑制した組成からなり、
    これらのアルミニウム合金層が、MgかZnのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層同士が隣接して接合するよう、合計積層数が5〜15層で、かつ全体の板厚が1〜5mmとなるよう積層されており、
    前記アルミニウム合金クラッド板のMgとZnとの各平均含有量が、前記積層された各アルミニウム合金層のMg、Znの各含有量を平均化した値として、Mg:2〜8質量%、Zn:3〜20質量%の範囲であり、
    前記アルミニウム合金クラッド板に拡散熱処理を施した後の組織として、前記積層された各アルミニウム合金層の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径が200μm以下であるとともに、積層されたアルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った、MgとZnの相互拡散領域を有しており、
    このMgとZnの相互拡散領域として、MgとZnの濃度が、前記拡散熱処理を施こす前のアルミニウム合金層のMgとZnとの各含有量のうちの各最大量と比較して、各々30〜70%の範囲となっている、前記MgとZnの相互拡散領域の前記板厚方向での合計の厚さが、前記アルミニウム合金クラッド板の板厚の40%以上を占めている、
    ことを特徴とするアルミニウム合金クラッド板。
  2. 請求項1のアルミニウム合金クラッド板がプレス成形されてなる構造部材であって、 前記プレス成形後に拡散熱処理と人工時効処理とが施された後の組織として、積層された前記各アルミニウム合金層の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径が200μm以下であるとともに、積層された前記アルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った、MgとZnの相互拡散領域を有しており、
    このMgとZnの相互拡散領域として、MgとZnの濃度が、前記拡散熱処理を施こす前のアルミニウム合金層のMgとZnとの各含有量のうちの各最大量と比較して、各々30〜70%の範囲となっている、前記MgとZnの相互拡散領域の前記板厚方向での合計の厚さが、前記アルミニウム合金クラッド板の板厚の40%以上を占めている組織を有しているとともに、
    400MPa以上の0.2%耐力を有している、
    ことを特徴とするアルミニウム合金クラッド構造部材。
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