JP2016178060A - 蓄電材料、蓄電デバイス用電極、及び蓄電デバイス - Google Patents

蓄電材料、蓄電デバイス用電極、及び蓄電デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】蓄電デバイス、特にリチウムイオン二次電池用の活物質として好適に用いることができる蓄電材料、並びに、この蓄電材料を用いることにより、電圧、電流容量、エネルギー容量、サイクル性、低温環境での放電能力の維持、満充電での保存安定性、高温での動作耐久性、などが優れた蓄電デバイスの提供。
【解決手段】構造内に窒素と2つのケトン結合を有する特定構造の縮合多環芳香族化合物からなる蓄電材料、並びにこれを負極又は/及び正極の活物質として用いた蓄電デバイス。
【選択図】なし

Description

本発明は、蓄電材料、蓄電デバイス用電極、及び蓄電デバイスに関する。
携帯オーディオデバイス、携帯電話、ラップトップコンピュータといった携帯型電子機器の普及、さらに、省エネルギーの観点、二酸化炭素の排出量を低減する観点から、エネルギーハーベスティングによる微小エネルギーの回収と貯留、ハイブリッド自動車や電気自動車の普及など、蓄電デバイスが重要な位置づけとなるに従い、二次電池やキャパシタといった蓄電デバイスへの要求性能は年々高まりつつある。
二次電池は、酸化還元反応を利用して電荷を蓄積する。可逆的に酸化還元反応を行う物質、つまり、電荷を蓄積する蓄電材料が、二次電池の特性に大きく影響する。従来の二次電池では、金属、炭素、無機化合物などが蓄電材料(活物質)として用いられている。例えば、一般的なリチウム二次電池では、正極活物質及び負極活物質として、金属酸化物及び黒鉛が用いられている。
また、ハイブリッド・キャパシタと呼ばれる技術がある。通常のキャパシタ、例えばセラミックコンデンサや電気二重層キャパシタなどは、蓄電に酸化還元反応を利用しない。しかし、ハイブリッド・キャパシタは、正極または負極の一方において酸化還元反応を利用することで、瞬時での充放電が可能な特徴を残したままでありながら従来のキャパシタより高い動作電圧と大容量を達成することが可能である。例えば、ハイブリッド・キャパシタとして代表的なリチウムイオンキャパシタでは、正極には活性炭を用いて電気二重層による物理的な充放電を行い、負極活物質には黒鉛を利用し、リチウムイオンの吸蔵と放出による可逆的な酸化還元反応を利用している。
一方、有機化合物を蓄電材料として用いることが注目されている。有機化合物では、無機化合物に比べて多様な分子設計が可能である。このため、有機化合物を蓄電材料として用いる場合、分子設計により、種々の特性を有する蓄電材料を実現することが可能である。
また、有機化合物は金属に比べて軽量であるため、有機化合物からなる蓄電材料を用いると、軽量な二次電池を実現することができる。軽量な二次電池は、例えば、ハイブリット自動車に好適である。ハイブリッド自動車用蓄電デバイスとしてハイブリッド・キャパシタを用いることも検討されている。軽量化に関する利点は、化学反応を利用したキャパシタに有機化合物からなる蓄電材料を用いた場合にも得られる。
また、従来蓄電材料として利用されてきた金属酸化物とは異なり、貴金属元素や有害な重金属元素を利用しないので、安定した原料供給が見込める上に、廃棄やリサイクルの面での安全性向上が期待できる。
有機化合物を蓄電材料として用いた例として、例えば、ポリアニリンやポリチオフェン等の導電性高分子(特許文献1)、安定ラジカルを有する化合物(特許文献2)、スルフィド結合を含む有機硫黄系化合物(特許文献3)、パラキノン骨格またはオルトキノン骨格を有する化合物(特許文献4、特許文献5)、テトラカルコゲノフルバレン化合物やその誘導体(特許文献6、特許文献7)、などが挙げられる。また、Yanliang Liang等による総説として多くの材料がまとめられている(非特許文献1)。さらに、アントラキノン骨格を拡張した構造として、1,4,5,8−アントラセンテトロン化合物が報告されている。(特許文献8)
しかし、上述の先行技術は、電圧、電流容量、エネルギー容量、サイクル性を十分に満たすものではなく、一層の向上が求められている。例えば、導電性高分子は充放電の際にアニオンを吸蔵するために十分な容量が得られない。また、安定ラジカルを有する化合物は、高い動作電圧や急速な充放電を達成できる一方で、安定ラジカル構造の分子量が大きいために十分な容量が得られず、加えて、ラジカルが失活しやすくサイクル性が十分ではない。また、パラキノン骨格またはオルトキノン骨格を有する化合物は、充放電サイクルを繰り返すと、電解質中へ化合物が溶出(あるいは拡散)してしまい、サイクル性が十分ではない。さらに、スルフィド結合を含む有機硫黄系化合物は、大きな電流容量が得られるが、充放電時に切断と結合を繰り返すスルフィド結合由来でサイクル性が十分では無い。
特開昭61−124070号公報 特開2004−207249号公報 特開2001−273901号公報 特開平4−87258号公報 特開2007−305430号公報 特開2004−111374号公報 国際公開第2010/013491号パンフレット 特開2012−155884号公報
Adv.EnergyMater.(2012),2,742−769
本発明の課題は、蓄電デバイスに有用な蓄電材料を提供することであり、特にリチウムイオン二次電池用活物質として好適に用いることができる蓄電材料を提供することにある。さらには、この蓄電材料を用いることにより、電圧、電流容量、エネルギー容量、サイクル性、低温環境での放電能力の維持、満充電での保存安定性、高温での動作耐久性、などが優れた特性を示す蓄電デバイスを提供することである。
本発明者らは、上記の諸問題点を考慮し解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。すなわち本発明は、下記一般式[1]または一般式[2]で表される化合物からなる蓄電材料に関する。
一般式[1]
Figure 2016178060
(式中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルコキシル基、置換もしくは未置換のアリ−ルオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリ−ルチオ基、置換もしくは未置換アミノ基、置換もしくは未置換のアシル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、または、置換もしくは未置換のアリ−ルスルホニル基を表す。R2とR3、および、R5とR6は、それぞれ隣り合う基同士が一体となって環を形成しても良い。
nおよびmは、A1およびA2が有する置換可能な炭素の数と同一である。
nが2以上の場合、複数存在するR1は同一でも異なっていても良く、隣り合うR1同士が一体となって環を形成しても良い。
mが2以上の場合、複数存在するR4は同一でも異なっていても良く、隣り合うR4同士が一体となって環を形成しても良い。
1およびA2は、それぞれ独立に、置換もしくは未置換の芳香族環、または、置換もしくは未置換の芳香族複素環を表す。)
一般式[2]
Figure 2016178060
(式中、R7〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルコキシル基、置換もしくは未置換のアリ−ルオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリ−ルチオ基、置換もしくは未置換アミノ基、置換もしくは未置換のアシル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、または、置換もしくは未置換のアリ−ルスルホニル基を表す。
pおよびqは、A3およびA4が有する置換可能な炭素の数と同一である。
pが2以上の場合、複数存在するR7は同一でも異なっていても良く、隣り合うR7同士が一体となって環を形成しても良い。
qが2以上の場合、複数存在するR9は同一でも異なっていても良く、隣り合うR9同士が一体となって環を形成しても良い。
3およびA4は、それぞれ独立に、置換もしくは未置換の芳香族環、または、置換もしくは未置換の芳香族複素環を表す。)
また、本発明は、さらに、溶剤を含む上記蓄電材料に関する。
また、本発明は、少なくとも集電体と、前記集電体に接して設けられた蓄電層とを備えた蓄電デバイス用電極であって、
蓄電層が、上記蓄電材料を含む蓄電デバイス用電極に関する。
また、本発明は、少なくとも、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に電解質とを備えた蓄電デバイスであって、
正極および/または負極が、上記蓄電デバイス用電極で構成されている蓄電デバイスに関する。
また、本発明は、電解質がリチウムを含む、上記蓄電デバイスに関する。
本発明の蓄電材料を蓄電デバイス用電極に用いた蓄電デバイスは、電圧、電流容量、エネルギー容量、サイクル性、低温動作性、充電状態での保存安定性、放電状態での保存安定性、クーロン効率、に優れるため、携帯電話やラップトップパソコンの電源として、また、ハイブリッドカーや電気自動車の軽量な電源として好適に利用できる。加えて、太陽電池、圧電素子、熱電素子などと組み合わせてエネルギーハーベスティングに応用することも出来る。
以下、詳細にわたって本発明の実施形態を説明する。
まず、一般式[1]におけるR1〜R6または、一般式[2]におけるR7〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルコキシル基、置換もしくは未置換のアリ−ルオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリ−ルチオ基、置換もしくは未置換アミノ基、置換もしくは未置換のアシル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、または、置換もしくは未置換のアリ−ルスルホニル基を表す。
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を指し、そのようなものとしては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基が挙げられる。
ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基といった炭素数1〜18のアルキル基が挙げられる。
また、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−オクテニル基、1−デセニル基、1−オクタデセニル基といった炭素数2〜18のアルケニル基が挙げられる。
また、アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−オクチニル基、1−デシニル基、1−オクタデシニル基といった炭素数2〜18のアルキニル基が挙げられる。
また、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基といった炭素数3〜18のシクロアルキル基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、単環、縮合環、環集合炭化水素基が挙げられる。
ここで、単環芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、メシチル基等の炭素数6〜18の単環芳香族炭化水素基が挙げられる。
また、縮合環炭化水素基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、5−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基等の炭素数10〜18の縮合環炭化水素基が挙げられる。
また、環集合炭化水素基としては、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基等の炭素数12〜18の環集合炭化水素基が挙げられる。
脂肪族複素環基としては、2−ピラゾリノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、2−モルホリニル基といった炭素数3〜18の脂肪族複素環基が挙げられる。
芳香族複素環基としては、トリアゾリル基、3−オキサジアゾリル基、2−フラニル基、3−フラニル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−ピロ−リル基、2−ピロ−リル基、3−ピロ−リル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジル基、2−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、2−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、2−イミダゾリル基、3−ピラゾリル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、N−インドリル基、N−カルバゾリル基、N−アクリジニル基、2−チオフェニル基、3−チオフェニル基、ビピリジル基、フェナントロリル基といった炭素数2〜18の芳香族複素環基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜14のアルコキシカルボニル基が好ましい。このようなものとして、以下の例には限定されないが、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基が挙げられる。
アリ−ルオキシカルボニル基としては、炭素数2〜14のアリ−ルオキシカルボニル基が好ましい。このようなものとして、以下の例には限定されないが、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基が挙げられる。
これら、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アルコキシカルボニ
ル基、および、アリ−ルオキシカルボニル基は、さらに他の置換基によって置換されていても良い。そのような置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子といったハロゲン原子や、置換シリル基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、置換アミノ基や前述の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、芳香族複素環基が挙げられる。
また、アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基といった炭素数1〜8のアルコキシル基が挙げられる。
また、アリ−ルオキシ基としては、フェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基といった炭素数6〜14のアリ−ルオキシ基が挙げられる。
また、アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基といった炭素数1〜8のアルキルチオ基が挙げられる。
また、アリ−ルチオ基としては、フェニルチオ基、2−メチルフェニルチオ基、4−tert−ブチルフェニルチオ基といった炭素数6〜14のアリ−ルチオ基が挙げられる。
また、置換もしくは未置換のアミノ基としては、−NH2、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ビス(m−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−ビフェニリル)アミノ基、ビス[4−(4−メチル)ビフェニリル]アミノ基、N−α−ナフチル−N−フェニルアミノ基、N−β−ナフチル−N−フェニルアミノ基等の炭素数2〜26の置換アミノ基が挙げられる。
また、アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、アニソイル基、シンナモイル基、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、ベンジルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基等の炭素数2〜14のアリ−ルカルボニル基が挙げられる。
また、アルキルスルホニル基としては、メシル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基等の炭素数2〜14のアルキルスルホニル基が挙げられる。
また、アリ−ルスルホニル基としては、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等の炭素数2〜14のアリ−ルスルホニル基が挙げられる。
これらR1〜R6および、R7〜R10における、1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、アシル基、アルキルスルホニル基、および、アリ−ルスルホニル基は、さらに他の置換基によって置換されていても良い。そのような置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリ−ルスルホニル基等が挙げられる。これらの置環基の例としては、前述のものが挙げられる。
次に、一般式[1]におけるA1およびA2、または一般式[2]におけるA3およびA4は、それぞれ独立に、置換もしくは未置換の芳香族環、または、置換もしくは未置換の複素環を表す。
ここで、置換もしくは未置換の芳香族環としては、ベンゼン環、1−ナフタレン環、2−ナフタレン環、1−アントラセン環、2−アントラセン環、1−フェナントレン環、9−フェナントレン環、1−アセナフタレン環、2−アズレン環、1−ピレン環、2−トリフェニレン環、シクロプロぺン環、シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環等の炭素数3〜18の芳香族環および、p−ベンゾキノン環、o−ベンゾキノン環等のカルボニル基を其の環の中に有する芳香族環、および、cyclohexa−2,5−diene−1,4−dithione環、cyclohexa−3,5−diene−1,2−dithione環等のチオカルボニル基を其の環の中に有する芳香族環が挙げられる。
置換もしくは未置換の複素環としては、チオフェン環、2−チオフェン環、1−フラン環、2−フラン環、ピリジン環、ピラゾリル環、1−キノリン環、2−キノリン環、5−キノリン環、1−イソキノリン環、2−イソキノリン環、5−イソキノリン環、キノキサリン環、イミダゾピリジン環、インドリジニレン環、ピラジニレン環、N−アクリドン環、ビピリジン環、N−カルバゾール環、N−アクリジン環といった炭素数2〜18の複素環が挙げられる。
これら、芳香族環、複素環は、さらに他の置換基によって置換されていても良い。そのような置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリ−ルスルホニル基等が挙げられる。これらの置環基の例としては、前述のものが挙げられる。
以上、本発明の蓄電材料として用いられる一般式[1]および一般式[2]で表される化合物について説明した。
本発明の蓄電材料として用いられる一般式[1]または一般式[2]で表される化合物の代表例を、以下の表1に示すが、本発明は、この代表例に限定されるものではない。
Figure 2016178060
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本発明の蓄電材料は、カチオン、および/または、アニオンを含んでいてもよい。
ここで、カチオンとは、正の電荷を帯びた単原子、または原子団である。
本発明の蓄電材料が含んでいてもよい一価の単原子カチオンとしては、H+、Li+、Na+、K+、Ag+、Cu+、Hg2 2+、等が挙げられる。
本発明の蓄電材料が含んでいてもよい二価の単原子カチオンとしては、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Cd2+、Ni2+、Zn2+、Cu2+、Hg2+、Fe2+、Co2+、Sn2+、Pb2+、Mn2+、などがあげられる。
本発明の蓄電材料が含んでいてもよい三価の単原子カチオンとしては、Al3+、Fe3+、Cr3+などがあげられる。
本発明の蓄電材料が含んでいてもよい四価の単原子カチオンとしては、Sn4+、Mn4+、などがあげられる。
さらに、本発明の蓄電材料が含んでいてもよい原子団カチオンとしては、NH4 +、N(CH34 +、N(C254 +、N(C374 +、N(C494 +、などのアンモニウムイオン、2−エチルイミダゾリウム、3−プロピルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、などのイミダゾリウムイオンが挙げられる。
アニオンとは、負の電荷を帯びた単原子、または原子団である。
本発明の蓄電材料が含んでいてもよい一価の単原子アニオンとしては、H-、F-、Cl-、Br-、I-、などがあげられる。
本発明の蓄電材料が含んでいてもよい二価の単原子アニオンとしては、O2-、S2-、などがあげられる。
さらに、本発明の蓄電材料が含んでいてもよい原子団アニオンとしては、AlCl4 -、Al2Cl7 -、NO3 -、BF4 -、PF6 -、CH3COO-、CF3COO-、CF3SO3 -、(CN)4-、SCN-、(CF3SO22-、(CN)2-、(CF3SO23-、(CN)3-、AsF6 -、SbF6 -、CF3CF2CF2CF2SO3 -、(CF3CF2SO22-、CF3CF2CF2COO-、などがあげられる。
これら、カチオンおよび/またはアニオンは、上記のアニオンとカチオンが対を成して塩を形成した状態で、本発明の蓄電材料に含まれていてもよく、また、アニオンまたはカチオンの一方が遊離した状態で本発明の蓄電材料に含まれていてもよい。また、本発明の蓄電材料に配位した状態で存在することも考えられる。
本発明の蓄電材料は、高純度であることが好ましい。これは、充放電に際して蓄電材料や蓄電デバイスの構成要素が劣化する原因となる場合があるためである。具体的な精製方法としては、昇華精製法や再結晶法、再沈殿法、ゾーンメルティング法、カラム精製法、吸着法など、あるいはこれら方法を組み合わせて行うことが挙げられる。これら精製法の中でも、純度の観点で昇華精製または再結晶法が好ましい。昇華性を有する化合物においては、昇華精製法によることが好ましい。昇華精製においては、目的化合物が昇華する温度より低温で加熱し、昇華する不純物を予め除去する方法を採用するのが好ましい。また昇華物を採集する部分に温度勾配を施し、昇華物が不純物と目的物に分散するようにするのが望ましい。以上のような昇華精製は不純物を分離するような精製であり、本発明に適用しうるものである。また、昇華精製を行うことにより、材料の蒸着性の難易度を予測するのに役立つ。
ここで、アニオン、および/または、カチオンを含む場合においては、精製時に故意に含ませたアニオンやカチオンは不純物して見なさない。すなわち、精製時に意図に反して含まれたアニオンおよびカチオンは不純物として考える。
本発明の蓄電材料は、溶剤を含むときに、後述の本発明の蓄電デバイス用電極を製造するために好適に使用することができ、ここでは、特に、デバイス用電極インキ組成物として説明する。
本発明の蓄電デバイス用電極インキ組成物は、少なくとも溶剤と一般式[1]の化合物とを含むが、それ以外にも、バインダーと導電助剤をさらに含んでいることが好ましい。
ここで、本発明の蓄電デバイス用電極インキ組成物の溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、2−プロパノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、ジエチレングリコール、2−アミノエタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチル燐酸トリアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトニトリル、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、水、および、これらの混合溶媒、等が挙げられるが限定されるものではない。
次に、本発明の蓄電デバイス用電極インキ組成物のバインダーについて説明する。本発明で使用できるバインダーの一例として、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシルメチルセルロース等のセルロース樹脂、スチレン−ブタジエンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴム、等が挙げられる。又、これらの樹脂の変性体、混合物、又は共重合体でも良い。
上記本発明の蓄電デバイス用電極インキ組成物のバインダーのより具体的な例として、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、及びビニルピロリドン等を構成単位として含む共重合体が挙げられる。特に、耐性面から分子内にフッ素原子を有する高分子化合物、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、及びポリテトラフルオロエチレン等の使用が好ましい。
次に、本発明の蓄電デバイス用電極インキ組成物の導電助剤について説明する。導電助剤としては、特に限定されるものではないが、導電性を有する炭素材料が好適に使用できる。例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック等の粒子状のものや、カーボンナノチューブ、炭素繊維などの繊維状のもの、さらに、グラファイトやグラフェンなどの板状のもの、があげられる。また、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロールやそのコポリマーや誘導体なども導電助剤として使用できる。さらに、粒子状あるいは繊維状の金属、合金、および、金属酸化物などを使用してもよい。
上述の本発明の蓄電デバイス用電極インキ組成物の導電助剤は、各々単独で用いても良いし、2種以上を混合して利用しても良い。
また、イオン伝導性を有するもの、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリメタクリル酸メチル、Nafion(登録商標)、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルリン酸を、本発明の蓄電デバイス用電極インキ組成物に添加しても良い。
本発明の蓄電デバイス用電極インキ組成物は、本発明の蓄電材料に加えて、さらに公知の蓄電材料を含んでいても良い。
本発明の蓄電デバイス用電極インキ組成物が含んでいても良い、公知の蓄電材料として、リチウムイオン二次電池の場合を例としてあげる。後述の正極を形成するため本発明の蓄電デバイス用電極インキ組成物である場合に好適なものとしては、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24またはLixMnO2)、リチウムニッケル複合酸化物(
例えばLixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(LixCo2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2)、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixNi1/3Co1/3Mn1/32)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸
化物(例えばLixMn2-yNiy4)等のリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物粉末(例えばLixFePO4、LixFe1-yMnyPO4、LixCoPO4など)、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、バナジウム酸化物(例えばV25、V613)、酸化チタン等の遷移金属酸化物粉末、硫酸鉄(Fe2(SO43)、TiS2、およびFeS等の遷移金属硫化物粉末、等が挙げられる。また、後述の負極を形成するため本発明の蓄電デバイス用電極インキ組成物である場合に好適なものとしては、金属Li、その合金であるスズ合金、シリコン合金、鉛合金等の合金系、LixFe23、LixFe34、LixWO2、チタン酸リチウム、バナジウム酸リチウム、ケイ素酸リチウム等の金属酸化物系、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン等の導電性高分子系、ソフトカーボンやハードカーボンといった、アモルファス系炭素質材料や、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末、カーボンブラック、メソフェーズカーボンブラック、樹脂焼成炭素材料、気層成長炭素繊維、炭素繊維などの炭素系材料が挙げられる。
本発明の蓄電デバイス用電極インキ組成物を得る際に用いられる装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機、混合機が使用できる。例えば、ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社「フィルミックス」等のホモジナイザー類;ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、若しくは奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機;または、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、分散機としては、分散機からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、または、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。また、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
ここで、本発明の蓄電デバイス用電極について説明する。本発明の蓄電デバイス用電極は、集電体と、前記集電体に接して設けられており、本発明の蓄電材料を含む蓄電層と、を備えている。
本発明の蓄電デバイス用電極は、後述の蓄電デバイスに用いることができ、正極および負極のどちらにも好適に使用できる。
集電体は、導電性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、銅、ニッケル、ステンレス、アルミニウム、金、銀、アルミニウム合金などの金属からなる箔又はメッシュ若しくはこれらの金属からなる導電性フィラーを含む樹脂フィルムなどが用いられる。
蓄電層は、少なくとも1種の本発明の蓄電材料を含むが、さらに前述の導電助剤とバインダーを含むことが好ましい。
また、板、箔、シート、フィルムといった形状の集電体に対して、蓄電層を設ける場合、集電体の一方の面だけでなく、両面に蓄電装を設けてもよい。さらに、蓄電層は集電体全面に設けてもよいが、任意の形状にパターニングして集電体の一部を覆う形で設けても良い。この場合、一旦設けた蓄電層を除去することでパターニングしてもよいし、直接パターニングして設けてもよい。
本発明の蓄電デバイス用電極の製造法としては、湿式および乾式があげられる。
湿式としては、本発明の蓄電デバイス用電極インキ組成物を集電体上に塗工し乾燥させる方法があげられる。
上記塗工方法については、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、又は静電塗装法、等が挙げられる。また、上記の塗工方法を組み合わせても良い。
また、上記乾燥方法に付いては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機、マイクロ波加熱機、等があげられる。また、上記の乾燥方法を組み合わせてもよい。
又、塗工後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行っても良い。圧延処理は、乾燥の前後いずれでもよいが、乾燥後のほうが好ましい。
乾式としては、本発明の蓄電材料単体、あるいは、本発明の蓄電材料に前述の導電助剤、および/または、前述のバインダーを加えた混合物を、混練・成型して上記集電体と貼り合わせる方法が挙げられる。
前記混練の方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的には、乳鉢、自動乳鉢、V型ミキサー、乾式ジェットミル、乾式ビーズミルなどが挙げられる。また、上記の混練の方法を組み合わせても良い。
前記成型の方法としては、平版プレスやカレンダーロール等によるシート状への成型後に、金型などを用いて任意の形に打ち抜く方法、あるいは、ペレット成型器を用いて成型する方法、などが挙げられるがなんら限定されるものではない。
成型後に集電体と貼り合せる方法としては、平版プレスやカレンダーロール等をもちいて集電体に圧着させる方法、導電性の粘着剤や接着剤の利用、などが挙げられるがなんら限定されるものではない。
蓄電層の厚みは、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。
ここで、本発明の蓄電デバイスについて説明する。
本発明の蓄電デバイスの構造については特に限定されないが、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に電解質と、を備え、前記正極および/または前記負極が、本発明の蓄電デバイス用電極で構成されている。必要に応じてセパレーターを設けても良く、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型等、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
蓄電デバイスとしては、リチウムイオン二次電池の他、ナトリウムイオン二次電池、マグネシウム二次電池、ニッケル水素電池、アルカリ二次電池、鉛蓄電池、ナトリウム硫黄二次電池、リチウム空気二次電池、リチウムイオンキャパシタ、等が挙げられ、それぞれの二次電池で従来から知られている、電解質やセパレーター等を適宜用いることができる。
(電解質)
電解質にリチウムを含む場合を例にとって説明する。電解質は液体と固体の双方が利用可能である。
液体の場合はリチウムを含んだ塩を溶媒に溶解したものを電解質として用いる。リチウムを含んだ塩としては、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、Li(CF3SO22N、LiC49SO3、Li(CF3SO23C、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF2、LiSCN、又はLiBPh4等が挙げられるがこれらに限定されない。ここでPhはフェニル基を表す。また、これらのリチウムを含んだ塩は、それぞれ単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
電解質の溶媒としては特に限定はされないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、及びγ−オクタノイックラクトン等のラクトン類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−メトキシエタン、1,2−エトキシエタン、及び1,2−ジブトキシエタン等のグライム類;メチルフォルメート、メチルアセテート、及びメチルプロピオネート等のエステル類;ジメチルスルホキシド、及びスルホラン等のスルホキシド類;並びに、アセトニトリル等のニトリル類、イオン液体等が挙げられる。また、これらの溶媒は、それぞれ単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
ここで、イオン液体とは、カチオン種とアニオン種とを組み合わせたイオン分子のみからなり、且つ100℃未満の条件下で液体のイオン性化合物を意味する。
本発明で用いることができるイオン液体のカチオン種としては、イミダゾリウムやアンモニウム等が挙げられる。好ましくは、2−エチルイミダゾリウム、3−プロピルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、ジエチルメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、メチルトリ−n−オクチルアンモニウム、トリエチル(2−メトキシエトキシメチル)アンモニウム、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。上記イミダゾリウムやアンモニウム以外にも、アルキルピリジニウム、ジアルキルピロリジニウム、テトラアルキルホスホニウム及びトリアルキルスルホニウム等が挙げられる。
本発明で用いることができるイオン液体のアニオン種としては、ハロゲン化物アニオン、ホウ酸アニオン、アミドアニオン、イミドアニオン、スルホネートアニオン、スルフェートアニオン、リン酸アニオン、アンチモンアニオン等が挙げられる。好ましくは、Cl-、Br-、I-、BF4 -、B(CN)4 -、B(C242 -、(CN)2-、[N(CF32-、[N(SO2CF32-、RaSO3 -(以下、Raは脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す)、RaSO4 -、RfSO3 -(以下、Rfは含フッ素ハロゲン化炭化水素基を表す)、RfSO4 -、Rf 2P(O)O-、PF6 -、Rf 3PF3 -、SbF6 -が挙げられ、その他、ラクテート、硝酸イオン及びトリフルオロアセテート等が挙げられる。
さらに上記電解質を、ポリマーマトリクスに保持しゲル状とした高分子電解質とすることもできる。ポリマーマトリクスとしては、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するアクリレート系樹脂、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリホスファゼン系樹脂、及びポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリシロキサン等が挙げられるがこれらに限定されない。
さらに、固体の電解質としては、La0.51Li0.34TiO2.94(ペロブスカイト型結晶)、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO43(NASICON型結晶)、Li7La3Zr212(ガーネット型結晶)、50Li4SiO4・50Li3BO3(ガラス質)、Li2.9PO3.30.4(アモルファス)、Li3.6Si0.60.44(アモルファス)、Li1.07Al0.69Ti1.46 (PO43(ガラスセラミックス)、Li1.5Al0.5Ge1.5 (PO43(ガラスセラミックス)等の酸化物系、Li10GeP212(結晶)、Li3.25Ge0.250.754(結晶)、30Li2S・26B23・44LiI(ガラス質)、63Li2S・36SiS2・1Li3PO4(ガラス質)、57Li2S・38SiS2・5Li4SiO4(ガラス質)、70Li2S・30P25(ガラス質)、50Li2S・50GeS2(ガラス質)、Li7311(ガラスセラミックス)、Li3.250.954(ガラスセラミックス)等の硫化物系などがあげられる。ここで、ガラスセラミックスとは、結晶粒子の集合体としたガラスを指し、セラミックガラス、あるいは、結晶化ガラスとも呼ばれる。
上述の電解質は単独ないし組み合わせて使用することができる。
(セパレーター)
セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びそれらに親水性処理を施したもの、が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
(正極と負極)
蓄電デバイスにおいて、正極は負極に対して貴な電位を有する。充電時には、正極で電子を放出し、負極では電子を受け取る。逆に、放電時には、正極で電子を受け取り、負極で電子を放出する。
正極および/または負極には、本発明の蓄電デバイス用電極が好適に用いられる。また、正極および/または負極は、前述の電解質を含んでいてもよい。
また、本発明の蓄電デバイスは、正極または負極の一方に、従来公知の技術の電極を用いてもよい。
本発命の蓄電デバイスにおいて、用いてもよい従来公知の技術の電極とは、蓄電材料が前述の従来公知の蓄電材料のみを少なくとも一種含むものである。その他の点、例えば、他に含んでもよいものとしての導電助剤やバインダー、また、電極の形成方法、電極を形成するためのインクの組成やその調整方法などは、本発明に準ずる。
本発明の蓄電デバイスにおいて一般式[1]または一般式[2]で表される本願発明の蓄電材料を用いることにより、一般式[1]または一般式[2]で表される化合物が酸化体から還元体までの3つの状態を取りえることが想定される。本発明の蓄電材料の酸化体および還元体の明確な構造は明らかではない。本発明を限定するものではないが、一般式[1]に準ずる場合、下記式[a]に示すような、中性分子から還元体までの2つの状態が仮説としてあげられ、また、一般式[2]に準ずる場合、式[b]に示すような、酸化体から還元体までの3つの状態が仮説の一つとしてあげられる。具体的には、式[a]では、中性分子から還元体までの4電子分反応分充放電が可能であり、式[b]では、酸化体から還元体までの6電子分反応分充放電が可能である。また、本発明の蓄電材料は、R1〜R10、および、A1〜A4によっては、それぞれの部位で、さらに酸化あるいは還元状態と取り得ると予想されるため、さらに大きな容量を有することが出来ていると考えられる。
式[a]
Figure 2016178060

式[b]
Figure 2016178060
また、本願発明の一般式[1]または一般式[2]で表される化合物が、蓄電デバイス内で形成しうる、酸化体、および/または、還元体は、蓄電デバイスの電解質等に含まれる、アニオン、および/または、カチオンと対を成すと考えられる。蓄電中生じるこのような酸化体、および/または、還元体は、一般式[1]または一般式[2]で表される化合物と同義である。このような場合に想定される蓄電デバイス内部での本願発明の一般式[1]または一般式[2]で表される化合物の変化を上述の仮説に準じて式[c]または式[d]にそれぞれ示す。式[c]および式[d]中、A-はアニオン(またはアニオン種)、Z+はカチオン(またはカチオン種)をあらわす。
式[c]
Figure 2016178060
式[d]
Figure 2016178060
まず、本発明の一般式[1]で表される化合物についての合成例を説明するが、本発明はこれら合成例になんら限定されるものではない。
合成例1
化合物(1)の合成方法
反応式1に従って化合物(1)を合成した。
反応式1
Figure 2016178060
以下、反応式1を参照しながら合成方法を説明する。
窒素雰囲気下、水抜き管を装着した3つ口フラスコに、ニトロベンゼン200ml、化合物(I)を29.0g( 0.1mol)、銅粉末(0.5g)、炭酸カリウム11g
を加え、スラリー状になった反応液を、210℃に加熱し、還流状態にて加熱撹拌を6時間実施した。反応終了後、冷却し、水蒸気蒸留によりニトロベンゼンを除き、500mlのメタノール中に反応生成物を投入した。析出した赤色沈殿物を吸引ろ別により集め、水洗した。その後、生成物を1%塩酸水溶液1リットル中に投入し、80℃に加熱し1時間撹拌した。40℃に冷却し、吸引ろ別によりろ別し、その後、水洗浄、メタノール洗浄し、100℃ で乾燥し、黄褐色粉末として化合物(1)を13g得た。
得られた粗成生物は、更にジメチルホルムアミド、水で洗浄することにより精製した。化合物(1)は、マススペクトル(ブルカーダルトニクス社製、AutoflexII)、 1H‐NMR、および13C‐NMR(日本電子製、ECX−400P)によって同定した。
合成例2〜100
以下に示す反応式2〜3を組み合わせて、表1中の化合物を合成した。
反応式2
Figure 2016178060
(式中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルコキシル基、置換もしくは未置換のアリ−ルオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリ−ルチオ基、置換もしくは未置換アミノ基、置換もしくは未置換のアシル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、または、置換もしくは未置換のアリ−ルスルホニル基を表す。R2とR3、および、R5とR6は、それぞれ隣り合う基同士が一体となって環を形成しても良い。
nおよびmは、A1およびA2が有する置換可能な炭素の数と同一である。
nが2以上の場合、複数存在するR1は同一でも異なっていても良く、隣り合うR1同士が一体となって環を形成しても良い。
mが2以上の場合、複数存在するR4は同一でも異なっていても良く、隣り合うR4同士が一体となって環を形成しても良い。
1およびA2は、それぞれ独立に、置換もしくは未置換の芳香族環、または、置換もしくは未置換の芳香族複素環を表す。)
反応式3
Figure 2016178060
(反応式3中、R7〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルコキシル基、置換もしくは未置換のアリ−ルオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリ−ルチオ基、置換もしくは未置換アミノ基、置換もしくは未置換のアシル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、または、置換もしくは未置換のアリ−ルスルホニル基を表す。
pおよびqは、A3およびA4が有する置換可能な炭素の数と同一である。
pが2以上の場合、複数存在するR7は同一でも異なっていても良く、隣り合うR7同士が一体となって環を形成しても良い。
qが2以上の場合、複数存在するR9は同一でも異なっていても良く、隣り合うR9同士が一体となって環を形成しても良い。
3およびA4は、それぞれ独立に、置換もしくは未置換の芳香族環、または、置換もしくは未置換の芳香族複素環を表す。)
以上の反応式2および反応式3により得られた本発明の化合物の構造については、合成例1と同様、マススペクトル、1H−NMR、13C−NMRによって同定した。合成した化合物のマススペクトルの測定結果を表2に示す。尚、化合物番号は本明細書中の表1に記載したものと同じである。
Figure 2016178060
Figure 2016178060
Figure 2016178060
以下、本発明の蓄電材料を用いた、蓄電デバイス用電極インキ組成物、蓄電デバイス用電極、および、蓄電デバイスについて下記実施例により説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。実施例においては、特に断りのない限り、混合比は全て重量比を示す。また、蓄電デバイスの充放電評価は、コンピューター制御により東洋システム株式会社の充放電評価装置TOSCAT-3100を用いて行った。
実施例1
(蓄電デバイス用電極インキ組成物の調製)
まず、表1記載の本発明の蓄電材料(1)を、メノウ乳鉢とメノウ乳棒を用いてすり潰したものを準備した。
前述のメノウ乳鉢とメノウ乳棒を用いてすり潰した本発明の蓄電材料(1)6.5重量部と、アセチレンブラック2.5重量部と、8wt%ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のN−メチルピロリドン溶液12.5重量部(固形分として1重量部)と、N−メチルピロリドン78.5重量部とを均一に混合することによって、蓄電デバイス用電極インキ組成物を調製した。
(蓄電デバイス用電極の形成)
コーター(YA型アプリケーター)を用いて、調整した蓄電デバイス用電極インキ組成物を集電体上に均一に塗工し、60℃(5分間)、次いで、120℃(10分間)ホットプレート上で乾燥し、蓄電層を形成した。なお、上記集電体にはアルミニウム箔(厚さ20μm)を用いた。乾燥後に、プレスし蓄電デバイス用電極を得た。この際、蓄電層については、厚みは平均12μm、密度は平均0.9g/cm3であった。
(蓄電デバイスの作成:リチウムイオン二次電池)
形成した蓄電デバイス用電極を、直径16mmに打ち抜き、正極として使用し、金属リチウム箔(直径20mm、厚さ0.15mm)を負極とした。そして、正極および負極の間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロピレンフィルム)と、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1(体積比)の割合で混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水系電解液)とからなるコイン型電池を、蓄電デバイスとして作製した。上述の蓄電デバイスの組み立ては、アルゴンガス置換したグローブボックス内で行った。
(蓄電デバイスの評価)
作成した蓄電デバイスを25℃の恒温槽で24時間静置したのちに、そのまま恒温槽内で評価を行った。充放電評価は、定電流で充電上電電圧4.0Vまで充電を行い、定電流で放電下限電圧1.5Vまで放電を行う充放電を1サイクルとした。このとき、電流値は直径16mmに打ち抜き蓄電デバイスに正極として組み込んだ蓄電デバイス用電極に含まれる蓄電材料に対して、60mA/gとなるように設定した。電流値の設定に関して詳しく説明すると、組み込まれた正極の蓄電層の重量は、2.00mgであり、蓄電層における蓄電材料の占める割合は25wt%であるから、蓄電デバイスに正極として組み込んだ蓄電デバイス用電極に含まれる蓄電材料は0.50mg=0.00050gとなる。したがって、設定電流値は、0.00050×60=0.030mAである。評価結果を表3に示す。表中、蓄電材料の重量容量密度(mAh/g)は作成した蓄電デバイスの1サイクル目の放電容量(mAh)を、蓄電デバイス用電極に含まれる蓄電材料の重量(g)で割った値である。また、表中、平均放電電圧(V)は、1サイクル目における蓄電デバイスのエネルギー容量(mWh)の半分を放電した時点での電圧である。さらに、50サイクル後の容量維持率とは、蓄電デバイスの1サイクル目の放電容量(mAh)に対する50サイクル目の放電容量の割合である。
実施例2〜100
表1記載の本発明の蓄電材料(1)を、表3に記載された表1記載の本発明の蓄電材料に変更した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
比較例1〜2
表1記載の本発明の蓄電材料(1)を、下記化合物(A)〜(B)に変更した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
Figure 2016178060
実施例101
(蓄電デバイスの作成:リチウムイオン二次電池)
コバルト酸リチウム(LiCoO2)36重量部、アセチレンブラック(デンカHS−100、電気化学工業社製)2重量部と、8wt%ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のN−メチルピロリドン溶液(KFポリマー L#7208、クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン社製)25重量部(固形分として2重量部)と、N−メチルピロリドン37重量部とを均一に混合することによって、コバルト酸リチウムインキ組成物を調製した。
コーター(YA型アプリケーター)を用いて、調整したコバルト酸リチウムインキ組成物を集電体上に均一に塗工し、120℃(20分間)ホットプレート上で乾燥し、コバルト酸リチウム蓄電層を形成した。なお、上記集電体にはアルミニウム箔(厚さ20μm)を用いた。乾燥後にプレスしコバルト酸リチウム電極を得た。この際、コバルト酸リチウム蓄電層については、厚みは平均50μm、密度は平均2g/cm3であった。
さらに、コーター(YA型アプリケーター)を用いて、実施例1と同様に調整した蓄電デバイス用電極インキ組成物(表1の蓄電材料(1)を使用したもの)を集電体上に均一に塗工し、60℃(5分間)、次いで、120℃(10分間)ホットプレート上で乾燥し、蓄電層を形成した。なお、上記集電体には銅箔(厚さ30μm)を用いた。乾燥後に、プレスし蓄電デバイス用電極を得た。この際、蓄電層については、厚みは平均12μm、密度はおよそ平均0.9g/cm3であった。
得られた、コバルト酸リチウム電極を、直径20mmに打ち抜き正極として使用し、上述の銅箔を用いた蓄電デバイス用電極を直径16mmに抜き負極とした。そして、正極および負極の間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロピレンフィルム)と、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1(体積比)の割合で混合した混合溶媒にLiPF6を1 M の濃度で溶解させた非水系電解液)とからなるコイン型電池を、蓄電デバイスとして作製した。上述の蓄電デバイスの組み立ては、アルゴンガス置換したグローブボックス内で行った。
(蓄電デバイスの評価)
作成した蓄電デバイスを25℃の恒温槽で24時間静置したのちに、そのまま恒温槽内で、定電流で充電上電電圧3.7Vまで充電を行い、定電流で放電下限電圧1.2Vまで放電を行う充放電を1サイクルとした。このとき、電流値は直径16mmに打ち抜き蓄電デバイスに負極として組み込んだ蓄電デバイス用電極に含まれる蓄電材料に対して、60mA/gとなるように設定した。電流値の設定に関して詳しく説明すると、組み込まれた負極の蓄電層の重量は、2.01mgであり、蓄電層における蓄電材料の占める割合は25wt%であるから、蓄電デバイスに正極として組み込んだ蓄電デバイス用電極に含まれる蓄電材料は0.50mg=0.00050gとなる。したがって、設定電流値は、0.00050×60=0.030mAである。評価結果を表3に示す。表中、蓄電材料の重量容量密度(mAh/g)は作成した蓄電デバイスの1サイクル目の放電容量(mAh)を、蓄電デバイス用電極に含まれる蓄電材料の重量(g)で割った値である。これは、作成した蓄電デバイスの正極(コバルト酸リチウム電極)の方が十分大きい容量を有しているまた、表中、平均放電電圧(V)は、1サイクル目における蓄電デバイスのエネルギー容量(mWh)の半分を放電した時点での電圧である。さらに、50サイクル後の容量維持率とは、蓄電デバイスの1サイクル目の放電容量(mAh)に対する50サイクル目の放電容量の割合である。
実施例102〜200
表1記載の本発明の蓄電材料(1)を、表3に記載された表1記載の本発明の蓄電材料に変更した以外は、実施例101と同様に行った。結果を表3に示す。
比較例3〜4
表1記載の本発明の蓄電材料(1)を、化合物(A)〜(B)に変更した以外は、実施例101と同様に行った。結果を表3に示す。
表3
Figure 2016178060
Figure 2016178060
Figure 2016178060
Figure 2016178060
Figure 2016178060
Figure 2016178060
以上のように、本発明の蓄電材料を用いることで、従来の技術と比べて、重量容量密度、平均放電電圧、容量維持率が優れた蓄電デバイスが得られることが明らかとなった。本発明と従来技術の差異の原因は明確ではないが、容量維持率において特に顕著な差異があることから、電池内部での安定性に違いがあると推察される。すなわち、従来技術の蓄電材料では、蓄電デバイス作成後の24時間の静置中、さらに、充放電サイクル中において、蓄電材料が分解あるいは電解液中へ溶出するなどの劣化が発生していると推察される。これにより、従来技術では、蓄電デバイスの内部抵抗が増大や、電解液中に溶出した蓄電材料が充放電に寄与できなくなる、といった現象が発生していると見られる。また、上記の様な劣化が抑制されたことで、重量容量密度、平均放電電圧、容量維持率が優れていると推察される。一般式[1]または一般式[2]で表される本発命の蓄電材料は、平面状に広がった6員環構造を有するために分子間の相互作用が強固となり、それによって電界液中への溶出が抑制されていることが上記の電池内部での安定性向上理由として推察される。

Claims (5)

  1. 下記一般式[1]または一般式[2]で表される化合物からなる蓄電材料。
    一般式[1]
    Figure 2016178060


    (式中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルコキシル基、置換もしくは未置換のアリ−ルオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリ−ルチオ基、置換もしくは未置換アミノ基、置換もしくは未置換のアシル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、または、置換もしくは未置換のアリ−ルスルホニル基を表す。R2とR3、および、R5とR6は、それぞれ隣り合う基同士が一体となって環を形成しても良い。
    nおよびmは、A1およびA2が有する置換可能な炭素の数と同一である。
    nが2以上の場合、複数存在するR1は同一でも異なっていても良く、隣り合うR1同士が一体となって環を形成しても良い。
    mが2以上の場合、複数存在するR4は同一でも異なっていても良く、隣り合うR4同士が一体となって環を形成しても良い。
    1およびA2は、それぞれ独立に、置換もしくは未置換の芳香族環、または、置換もしくは未置換の芳香族複素環を表す。)
    一般式[2]
    Figure 2016178060


    (式中、R7〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルコキシル基、置換もしくは未置換のアリ−ルオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリ−ルチオ基、置換もしくは未置換アミノ基、置換もしくは未置換のアシル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、または、置換もしくは未置換のアリ−ルスルホニル基を表す。
    pおよびqは、A3およびA4が有する置換可能な炭素の数と同一である。
    pが2以上の場合、複数存在するR7は同一でも異なっていても良く、隣り合うR7同士が一体となって環を形成しても良い。
    qが2以上の場合、複数存在するR9は同一でも異なっていても良く、隣り合うR9同士が一体となって環を形成しても良い。
    3およびA4は、それぞれ独立に、置換もしくは未置換の芳香族環、または、置換もしくは未置換の芳香族複素環を表す。)
  2. さらに、溶剤を含む請求項1記載の蓄電材料。
  3. 少なくとも集電体と、前記集電体に接して設けられた蓄電層とを備えた蓄電デバイス用電極であって、
    蓄電層が、請求項1または2記載の蓄電材料を含む蓄電デバイス用電極。
  4. 少なくとも、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に電解質とを備えた蓄電デバイスであって、
    正極および/または負極が、請求項3記載の蓄電デバイス用電極で構成されている蓄電デバイス。
  5. 電解質がリチウムを含む、請求項4記載の蓄電デバイス。
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