JP2016176444A - エンジンシステムおよび鞍乗り型車両 - Google Patents

エンジンシステムおよび鞍乗り型車両 Download PDF

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Abstract

【課題】迅速にかつ適切にエンジンを始動させることが可能なエンジンシステムおよび鞍乗り型車両を提供する。【解決手段】アイドリングストップ条件が満たされることによってエンジンにおける燃焼が停止した後に、クランク軸の慣性による回転が停止した場合、正回転位置合わせ動作が開始され、クランク軸が正方向に回転される。正回転位置合わせ動作の開始後であって再始動条件が満たされる前にクランク角が予め定められた逆回転開始範囲に到った場合、クランク角が逆回転開始範囲で保持され、その後に再始動条件が満たされると、逆回転始動動作が行われる。正回転位置合わせ動作の開始後であってクランク角が逆回転開始範囲に到る前に再始動条件が満たされた場合、クランク角が逆回転開始範囲を正方向に通過しかつ燃焼室内の圧力が上昇するようにクランク軸が正方向に回転される正回転圧縮動作が行われ、その後に逆回転始動動作が行われる。【選択図】図6

Description

本発明は、エンジンシステムおよび鞍乗り型車両に関する。
自動二輪車等の鞍乗り型車両において、エンジンの始動動作の際には、クランク角が最初の圧縮上死点に対応する角度を超えるために大きなトルクが必要となる。そこで、エンジンの始動性を高めるため、クランク軸を逆方向に回転させる技術がある。
特許文献1に記載されるエンジンシステムにおいては、エンジンの始動時に、クランク軸が逆方向に回転されつつ燃焼室内に混合気が導入される。クランク軸の逆方向の回転によって燃焼室内の混合気が圧縮される状態で、燃焼室内の混合気に点火される。混合気の燃焼のエネルギーにより、クランク軸が正方向に回転駆動され、クランク軸の正方向のトルクが高められる。
特開2014−77405号公報
エンジンのアイドリングストップおよび再始動が自動的に行われる鞍乗り型車両においては、アイドリングストップ後、例えばアクセルグリップが操作されると、エンジンが再始動される。この場合、ドライバビリティーを高めるため、より迅速にかつ適切にエンジンを始動させることが求められる。
本発明の目的は、迅速にかつ適切にエンジンを始動させることが可能なエンジンシステムおよび鞍乗り型車両を提供することである。
(1)第1の発明に係るエンジンシステムは、エンジンと、エンジンのクランク軸を回転させる回転駆動部と、エンジンおよび回転駆動部を制御する制御部とを備え、制御部は、予め定められたアイドリングストップ条件が満たされてから予め定められた再始動条件が満たされるまでの期間にエンジンの燃焼室内で燃焼が発生しないようにエンジンを制御し、アイドリングストップ条件が満たされた後にクランク軸の慣性による回転が停止した場合、回転駆動部は、クランク軸を正方向に回転させる正回転位置合わせ動作を開始し、正回転位置合わせ動作の開始後であって再始動条件が満たされる前にクランク角が予め定められた逆回転開始範囲に到った場合、回転駆動部は、クランク角を逆回転開始範囲で保持させ、その後に再始動条件が満たされると、回転駆動部およびエンジンは、クランク軸を逆方向に回転させた後に燃焼室内で混合気を燃焼させることによりクランク軸を正方向に駆動する逆回転始動動作を行い、正回転位置合わせ動作の開始後であってクランク角が逆回転開始範囲に到る前に再始動条件が満たされた場合、回転駆動部は、クランク角が逆回転開始範囲を正方向に通過しかつ燃焼室内の圧力が上昇するようにクランク軸を正方向に回転させる正回転圧縮動作を行い、その後に回転駆動部およびエンジンが逆回転始動動作を行う。
このエンジンシステムにおいては、アイドリングストップ条件が満たされると、エンジンにおける燃焼が停止される。その後、クランク軸の慣性による回転が停止すると、回転駆動部の正回転位置合わせ動作によりクランク軸が正方向に回転される。
正回転位置合わせ動作の開始後であって再始動条件が満たされる前にクランク角が逆回転開始範囲に到った場合、クランク角が逆回転開始範囲に保持される。その後、再始動条件が満たされると、回転駆動部およびエンジンの逆回転始動動作により、クランク軸が逆方向に回転された後に燃焼室内で混合気が燃焼され、クランク軸が正方向に駆動される。この場合、クランク軸の慣性による回転が停止したときのクランク角にばらつきがあっても、再始動条件が満たされた際に、クランク角が一定の逆回転始動範囲にある状態から逆回転始動動作が開始される。それにより、逆回転始動動作において、燃焼室内で混合気を適切に圧縮することができる。したがって、混合気を適切に燃焼させることができる。
一方、正回転位置合わせ動作の開始後であってクランク角が逆回転開始範囲に到る前に再始動条件が満たされた場合、回転駆動部の正回転圧縮動作により、クランク角が逆回転開始範囲を正方向に通過しかつ燃焼室内の圧力が上昇するようにクランク軸が正方向に回転される。その後、回転駆動部およびエンジンの逆回転始動動作が行われる。この場合、正回転圧縮動作で上昇された燃焼室内の圧力により、クランク軸が逆方向に駆動される。それにより、クランク軸の回転を停止させることなく、正回転圧縮動作から逆回転始動動作に円滑に移行することができる。そのため、再始動条件が満たされてから逆回転始動動作が開始されるまでの時間を短縮することができる。また、逆回転始動動作において、燃焼室内で混合気を適切に圧縮することができるので、混合気を適切に燃焼させることができる。
これらにより、アイドリングストップ条件が満たされることによるエンジンの停止後であって、再始動条件が満たされた際に、迅速にかつ適切にエンジンを始動させることができる。
(2)エンジンシステムは、運転者により操作されるメインスイッチおよびスタータスイッチをさらに備え、メインスイッチがオンされかつスタータスイッチがオンされた場合、回転駆動部が正回転圧縮動作を行った後に回転駆動部およびエンジンが逆回転始動動作を行ってもよい。
メインスイッチおよびスタータスイッチがオンされることよってエンジンが始動される場合には、エンジンの始動直後に車両が発進される可能性が低い。そのため、再始動条件が満たされる場合に比べて、エンジンの始動に比較的長い時間を要してもよい。そこで、メインスイッチおよびスタータスイッチがオンされた後に正回転圧縮動作および逆回転始動動作が順に行われる。この場合、メインスイッチおよびスタータスイッチがオンされる前にクランク角が変化する等の外乱要因が生じても、逆回転始動動作が阻害されることはない。したがって、エンジンを適切に始動させることができる。
(3)アイドリングストップ条件が満たされた後であってクランク軸の慣性による回転が停止する前に再始動条件が満たされた場合で、かつ再始動条件が満たされたときにクランク軸の回転速度がしきい値よりも低い場合、回転駆動部が正回転圧縮動作を行った後に回転駆動部およびエンジンが逆回転始動動作を行ってもよい。
クランク軸の回転速度がしきい値よりも低い場合、クランク軸の正方向のトルクが比較的小さい。この場合、正回転圧縮動作および逆回転始動動作を順に行うことにより、エンジンを適切に始動させることができる。
(4)アイドリングストップ条件が満たされた後であってクランク軸の慣性による回転が停止する前に再始動条件が満たされた場合で、かつ再始動条件が満たされたときのクランク軸の回転速度がしきい値以上である場合、回転駆動部およびエンジンが逆回転始動動作を行うことなく、回転駆動部が、クランク角が圧縮上死点に対応する角度を超えるようにクランク軸を正方向に回転させてもよい。
クランク軸の回転速度がしきい値以上である場合、クランク軸の正方向のトルクが比較的大きい。この場合、正回転圧縮動作および逆回転始動動作を行うことなく、回転駆動部によってクランク軸を正方向に回転させることにより、クランク角が最初の圧縮上死点に対応する角度を超えることができる。したがって、より迅速にエンジンを始動させることができる。
(5)エンジンシステムは、クランク角としきい値との関係を表すしきい値設定情報を記憶する記憶部をさらに備え、制御部は、再始動条件が満たされたときのクランク角および記憶部に記憶されるしきい値設定情報に基づいてしきい値を設定してもよい。
この場合、再始動条件が満たされたときのクランク角に対応する適切なしきい値を設定することができる。
(6)エンジンシステムは、回転駆動部にクランク軸を駆動するための電力を供給する電力供給部をさらに備え、正回転位置合わせ動作時に電力供給部から回転駆動部に供給される電力は、正回転圧縮動作時に電力供給部から回転駆動部に供給される電力よりも小さくてもよい。
正回転位置合わせ動作時には、再始動条件が満たされていないので、クランク軸の正方向の回転速度を高める必要がない。そのため、回転駆動部への供給電力が小さくされることにより、電力の消費が抑制される。一方、正回転圧縮動作時には、再始動条件が満たされている。この場合、回転駆動部への供給電力が大きくされることにより、クランク軸の正方向の回転速度が高められる。それにより、正回転圧縮動作を迅速に行うことができ、エンジンの始動性を高めることができる。
(7)第2の発明にかかる鞍乗り型車両は、駆動輪を有する本体部と、駆動輪を回転させるための動力を発生する、上記のエンジンシステムとを備える。
この鞍乗り型車両においては、上記のエンジンシステムが用いられるので、迅速にかつ適切にエンジンを始動させることができる。
本発明によれば、迅速にかつ適切にエンジンを始動させることができる。
本発明の一実施の形態に係る自動二輪車の概略構成を示す模式的側面図である。 エンジンシステムの構成について説明するための模式図である。 エンジンユニットの通常動作について説明するための図である。 エンジンユニットの逆回転始動動作について説明するための図である。 アイドリングストップ条件が満たされた後のエンジンユニットの動作について説明するための図である。 アイドリングストップ条件が満たされた後のエンジンユニットの動作について説明するための図である。 アイドリングストップ条件が満たされた後のエンジンユニットの動作について説明するための図である。 アイドリングストップ条件が満たされた後のエンジンユニットの動作について説明するための図である。 選択用しきい値の設定例について説明するための図である。 アイドリングストップ処理の一例を示すフローチャートである。 再始動処理の一例を示すフローチャートである。 スイッチ始動操作時におけるエンジンユニットの動作について説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態に係るエンジンシステムおよび自動二輪車について図面を参照しながら説明する。自動二輪車は、鞍乗り型車両の一例である。
(1)自動二輪車
図1は、本発明の一実施の形態に係る自動二輪車の概略構成を示す模式的側面図である。図1の自動二輪車100においては、車体1の前部にフロントフォーク2が左右方向に揺動可能に設けられる。フロントフォーク2の上端にハンドル4が取り付けられ、フロントフォーク2の下端に前輪3が回転可能に取り付けられる。
車体1の略中央上部にシート5が設けられる。シート5の下方にECU(Engine Control Unit)6、バッテリBTおよびエンジンユニットEUが設けられる。ECU6、バッテリBTおよびエンジンユニットEUは、エンジンシステム200を構成する。車体1の後端下部には後輪7が回転可能に取り付けられる。エンジンユニットEUによって発生される動力により後輪7が回転駆動される。
(2)エンジンシステム
図2は、エンジンシステム200の構成について説明するための模式図である。図2に示すように、エンジンユニットEUは、エンジン10および回転電機14を含む。エンジン10は、シリンダCY、ピストン11、コンロッド(コネクティングロッド)12、クランク軸13、吸気バルブ15、排気バルブ16、バルブ駆動部17、点火装置19およびインジェクタ18を備える。
ピストン11はシリンダ31内で往復動可能に設けられ、コンロッド12を介してクランク軸13に接続される。クランク軸13に回転電機14が設けられる。回転電機14は、バッテリBTに接続され、バッテリBTから供給される電力によりクランク軸13を正方向または逆方向に駆動可能であり、かつクランク軸13の回転によって発生する電力によりバッテリBTを充電可能である。正方向は、エンジン10の通常動作時におけるクランク軸13の回転方向であり、逆方向は、その逆の方向である。回転電機14は、減速機を介することなく直接的にクランク軸13にトルクを伝達する。クランク軸13の正方向の回転(正回転)が後輪7に伝達されることにより、後輪7が回転駆動される。回転電機14の代わりに、スタータモータおよび発電機が個別に設けられてもよい。
シリンダCYおよびピストン11により燃焼室31aが区画される。燃焼室31aは、吸気口21を介して吸気通路22に連通し、排気口23を介して排気通路24に連通する。吸気口21を開閉するように吸気バルブ15が設けられ、排気口23を開閉するように排気バルブ16が設けられる。吸気バルブ15および排気バルブ16は、バルブ駆動部17により駆動される。吸気通路22には、外部から流入する空気の流量を調整するためのスロットルバルブTVが設けられる。インジェクタ18は、吸気通路22に燃料を噴射するように構成される。点火装置19は、燃焼室31a内の混合気に点火するように構成される。
インジェクタ18によって噴射された燃料が空気と混合されて燃焼室31aに導かれ、点火装置19により燃焼室31a内の混合気に点火される。混合気の燃焼によるピストン11の往復運動がクランク軸13の回転運動に変換される。クランク軸13の回転力が図1の後輪7に伝達されることにより後輪7が駆動される。
ECU6は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびメモリを含む。CPUおよびメモリの代わりに、マイクロコンピュータが用いられてもよい。ECU6には、メインスイッチ40、スタータスイッチ41、吸気圧力センサ42、クランク角センサ43および電流センサ44が電気的に接続される。メインスイッチ40は、例えば図1のハンドル4の下方に設けられ、スタータスイッチ41は、例えば図1のハンドル4に設けられる。メインスイッチ40およびスタータスイッチ41は、運転者により操作される。吸気圧力センサ42は、吸気通路22内の圧力を検出する。クランク角センサ43は、クランク軸13の回転位置を表すクランク角を検出する。電流センサ44は、回転電機14に流れる電流(以下、モータ電流と呼ぶ)を検出する。
メインスイッチ40およびスタータスイッチ41の操作が操作信号としてECU6に与えられ、吸気圧力センサ42、クランク角センサ43および電流センサ44による検出結果が検出信号としてECU6に与えられる。ECU6は、与えられた操作信号および検出信号に基づいて、回転電機14、インジェクタ18および点火装置19を制御する。
(3)エンジンユニットの動作
図2のメインスイッチ40がオンされかつスタータスイッチ41がオンされることによりエンジン10が始動され、図2のメインスイッチ40がオフされることにより、エンジン10が停止される。エンジン10の始動とは、インジェクタ18による燃料噴射および点火装置19による点火が開始されることによって燃焼室31a内での燃焼が開始されることをいう。エンジン10の停止とは、インジェクタ18による燃料噴射および点火装置19による点火の少なくとも一方が停止されることによって燃焼室31a内での燃焼が停止されることをいう。
また、予め定められたアイドリングストップ条件が満たされることによりエンジン10が自動的に停止され、その後に予め定められた再始動条件が満たされることによりエンジン10が自動的に再始動される。アイドリングストップ条件は、例えば、スロットル開度(スロットルバルブTVの開度)、車速およびエンジン10の回転速度のうち少なくとも1つに関する条件を含み、さらにブレーキレバーが操作されること等の他の条件を含んでもよい。再始動条件は、例えば、アクセルグリップが操作されてスロットル開度が0より大きくなることであり、ブレーキレバーの操作が解除されること等の他の条件であってもよい。以下、アイドリングストップ条件が満たされることによってエンジン10が停止された状態をアイドリングストップ状態と呼ぶ。
エンジンユニットEUは、エンジン10の始動時に逆回転始動動作を行う。その後、エンジンユニットEUは、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程を含む通常動作を行う。図3は、エンジンユニットEUの通常動作について説明するための図である。図4は、エンジンユニットEUの逆回転始動動作について説明するための図である。
以下の説明では、圧縮行程から膨張行程への移行時にピストン11が経由する上死点を圧縮上死点と呼び、排気行程から吸気行程への移行時にピストン11が経由する上死点を排気上死点と呼ぶ。吸気行程から圧縮行程への移行時にピストン11が経由する下死点を吸気下死点と呼び、膨張行程から排気行程への移行時にピストン11が経由する下死点を膨張下死点と呼ぶ。
図3および図4においては、クランク軸13の2回転(720度)の範囲における回転角度が1つの円で表される。クランク軸13の2回転は、エンジン10の1サイクルに相当する。図2のクランク角センサ43は、クランク軸13の1回転(360度)の範囲における回転位置を検出する。ECU6は、吸気圧力センサ42により検出された吸気通路22内の圧力に基づいて、クランク角センサ43により検出された角度が、エンジン10の1サイクルに相当するクランク軸13の2回転のうちいずれの回転に対応するかを判定する。それにより、ECU6は、クランク軸13の2回転(720度)の範囲における回転位置をクランク角として取得することができる。
図3および図4において、角度A0は、ピストン11(図2)が排気上死点に位置するときのクランク角であり、角度A2は、ピストン11が圧縮上死点に位置するときのクランク角であり、角度A1は、ピストン11が吸気下死点に位置するときのクランク角であり、角度A3は、ピストン11が膨張下死点に位置するときのクランク角である。矢印R1は、クランク軸13の正回転時におけるクランク角の変化の方向を表し、矢印R2は、クランク軸13の逆回転時におけるクランク角の変化の方向を表す。矢印P1〜P4は、クランク軸13の正回転時におけるピストン11の移動方向を表し、矢印P5〜P8は、クランク軸13の逆回転時におけるピストン11の移動方向を表す。
(3−1)通常動作
図3を参照しながらエンジンユニットEUの通常動作について説明する。通常動作では、クランク軸13(図2)が正回転し、クランク角が矢印R1の方向に変化する。この場合、矢印P1〜P4で示されるように、角度A0から角度A1までの範囲でピストン11(図2)が下降し、角度A1から角度A2までの範囲でピストン11が上昇し、角度A2から角度A3までの範囲でピストン11が下降し、角度A3から角度A0までの範囲でピストン11が上昇する。
角度A11において、インジェクタ18(図2)により吸気通路22(図2)に燃料が噴射される。正方向において、角度A11は角度A0よりも進角側に位置する。続いて、角度A12から角度A13までの範囲において、吸気バルブ15(図2)により吸気口21(図2)が開かれる。正方向において、角度A12は角度A11よりも遅角側でかつ角度A0よりも進角側に位置し、角度A13は角度A1よりも遅角側に位置する。角度A12から角度A13までの範囲が通常吸気範囲の例である。これにより、空気および燃料を含む混合気が吸気口21を通して燃焼室31a(図2)内に導入される。
次に、角度A14において、点火装置19(図2)により燃焼室31a(図2)内の混合気に点火される。正方向において、角度A14は角度A13よりも遅角側でかつ角度A2よりも進角側に位置する。混合気に点火されることにより、燃焼室31a内で爆発(混合気の燃焼)が生じる。混合気の燃焼のエネルギーがピストン11の駆動力となる。その後、角度A15から角度A16までの範囲において、排気バルブ16(図2)により排気口23(図2)が開かれる。正方向において、角度A15は角度A3よりも進角側に位置し、角度A16は角度A0よりも遅角側に位置する。角度A15から角度A16までの範囲が通常排気範囲の例である。これにより、燃焼室31aから排気口23を通して燃焼後の気体が排出される。
(3−2)逆回転始動動作
図4を参照しながらエンジンユニットEUの逆回転始動動作について説明する。本実施の形態では、逆回転始動動作の前に、正方向において角度A1よりも遅角側でかつ角度A2よりも進角側にクランク角が調整される。逆回転始動動作の前のクランク角の調整については後述する。
逆回転始動動作では、回転電機14(図2)によりクランク軸13が逆回転され、クランク角が矢印R2の方向に変化する。この場合、矢印P5〜P8で示されるように、角度A2から角度A1までの範囲でピストン11が下降し、角度A1から角度A0までの範囲でピストン11が上昇し、角度A0から角度A3までの範囲でピストン11が下降し、角度A3から角度A2までの範囲でピストン11が上昇する。クランク軸13の逆回転時におけるピストン11の移動方向は、クランク軸13の正回転時におけるピストン11の移動方向と逆になる。
本例では、クランク軸13の逆回転時においても、正回転時と同様に、角度A13から角度A12までの範囲で吸気口21が開かれ、かつ角度A16からA15までの範囲で排気口23が開かれる。クランク軸13の逆回転時には、角度A13から角度A12までの範囲で吸気口21が開かれなくてもよく、また、角度A16から角度A15までの範囲で排気口23が開かれなくてもよい。
角度A23において、インジェクタ18(図2)により吸気通路22(図2)に燃料が噴射される。逆方向において、角度A23は、角度A1より遅角側でかつ角度A0より進角側に位置する。また、角度A21から角度A22までの範囲において、吸気バルブ15(図2)により吸気口21(図2)が開かれる。角度A21から角度A22までの範囲は、始動吸気範囲の例である。逆方向において、角度A21,A22は、角度A0から角度A3までの範囲にある。角度A1から角度A0までの範囲では、ピストン11が上昇するので、角度A13から角度A12までの範囲で吸気口21が開かれても、燃焼室31aに空気および燃料がほとんど導入されない。一方、角度A0から角度A3までの範囲では、ピストン11が下降するので、角度A21から角度A22までの範囲で吸気口21が開かれることにより、吸気通路22から空気および燃料を含む混合気が吸気口21を通して燃焼室31a内に導入される。
クランク角が角度A2に近づくことにより、燃焼室31aに導入された混合気が圧縮される。角度A31において、点火装置19(図2)により燃焼室31a内の混合気に点火される。逆方向において、角度A31は角度A3よりも遅角側でかつ角度A2よりも進角側に位置する。角度A31は、始動点火範囲の例である。例えば、図2の電流センサ44により検出されるモータ電流がしきい値に達したときに、点火装置19により混合気に点火される。また、角度A31において、クランク軸13の回転方向が逆方向から正方向に切り替えられる。この場合、混合気の燃焼によってクランク軸13が正方向に駆動され、クランク軸13の正方向のトルクが高められる。それにより、クランク角が最初の圧縮上死点に対応する角度A2を超えることができる。その後、エンジンユニットEUが上記の通常動作に移行する。
本例では、クランク軸13の逆回転が停止されるのと同時に、点火装置19により燃焼室31a内の混合気に点火されるが、クランク軸13を正方向に駆動することが可能であれば、クランク軸13の逆回転が停止された後に点火装置19による点火が行われてもよい。
(4)クランク角の調整
図5〜図8は、アイドリングストップ条件が満たされた後のエンジンユニットEUの動作について説明するための図である。図5〜図8においては、クランク角とクランク軸13の回転負荷との関係が参考として示される。クランク角は横軸で表され、クランク軸13の回転負荷は縦軸で表される。
図5に示すように、クランク軸13の回転負荷は、圧縮上死点に対応する角度A2で最も大きくなる。また、図5〜図8の例では、角度A1と角度A0との中間において、吸気バルブ15を駆動するための負荷がクランク軸13に加わるため、クランク軸13の回転負荷が大きくなる。また、角度A0と角度A3との中間において、排気バルブ16を駆動するための負荷がクランク軸13に加わるため、クランク軸13の回転負荷が大きくなる。
アイドリングストップ条件が満たされることによってエンジン10が停止されると、クランク軸13は、慣性によってしばらくの時間正回転した後に停止する。この場合、クランク軸13の回転負荷が高くなったときにクランク軸13の慣性による回転が停止しやすい。具体的には、クランク角が圧縮上死点に対応する角度A2に近づいたときにクランク軸13の回転が最も停止しやすい。一方、クランク角が角度A0と角度A1との間にあるとき、またはクランク角が角度A3と角度A0との間にあるときに、クランク軸13の回転が停止することもある。
上記の逆回転始動動作では、クランク角が始動吸気範囲(図4の角度A21から角度A22までの範囲)にあるときにクランク軸13の回転速度が低いと、混合気の流速が低くなり、混合気を適切に燃焼室31aに導入することができない。また、導入された混合気を十分に圧縮することができない可能性もある。そのため、クランク角が始動吸気範囲に到るまでにクランク軸13の回転速度を一定以上に高める必要がある。
そこで、本実施の形態では、アイドリングストップ条件が満たされることによりエンジン10が停止された後であってクランク軸13の慣性による回転が停止した後、回転電機14が正回転位置合わせ動作を開始する。正回転位置合わせ動作では、クランク軸13が正回転されることによりクランク角が調整される。
(4−1)第1の例
図5(a)の例では、角度A1と角度A0との中間の角度A40において、クランク軸13の慣性による回転が停止し、その状態から正回転位置合わせ動作としてクランク軸13の正回転が開始される。その後、再始動条件が満たされる前に、クランク角が予め定められた角度A30に到る。角度A30は、逆回転始動範囲の例であり、正方向において角度A1よりも遅角側でかつ角度A2よりも進角側にある。本例のように、正回転始動動作が開始された後であって再始動条件が満たされる前にクランク角が逆回転開始範囲に到ると、クランク角の正回転が停止され、クランク角が逆回転開始範囲に保持される。
その後、再始動条件が満たされると、図5(b)に示すように、クランク角が角度A30にある状態から逆回転始動動作が開始される。この場合、クランク角が始動吸気範囲(図4の角度A21から角度A22)に到るまでにクランク軸13の回転速度が十分に高まる。そのため、始動吸気範囲で混合気が燃焼室31aに適切に導入される。また、導入された混合気を十分に圧縮することができる。それにより、混合気を適切に燃焼させることができる。
(4−2)第2の例
図6の例について図5の例と異なる点を説明する。正回転位置合わせ動作が開始された後、クランク角が逆回転開始範囲に到る前に再始動条件が満たされると、回転電機14が正回転圧縮動作を行う。図6(a)の例では、クランク角が角度A40にある状態から正回転位置合わせ動作が開始された後、クランク角が角度A30に到る前であってクランク角が角度A40aにあるときに再始動条件が満たされる。この場合、その時点から正回転圧縮動作が開始される。
正回転圧縮動作では、クランク角が逆回転開始範囲(角度A30)を正方向に通過し、かつクランク角が圧縮上死点に対応する角度A2に近づくことによって燃焼室31a内の圧力が上昇するようにクランク軸13が正回転される。図6(a)の例では、クランク角が、正方向において角度A30よりも遅角側でかつ角度A2よりも進角側の角度A41に到るまでクランク角が正方向に回転される。クランク角が角度A41に到ると、図6(b)に示すように、逆回転始動動作が開始される。
この場合、正回転圧縮動作で上昇された燃焼室内の圧力により、クランク軸13が逆方向に駆動される。それにより、正回転圧縮動作から逆回転始動動作に円滑に移行することができる。また、クランク角が始動吸気範囲に到るまでにクランク軸13の回転速度が容易に高まる。そのため、始動吸気範囲で混合気が燃焼室31aに適切に導入される。また、導入された混合気を十分に圧縮することができる。それにより、混合気を適切に燃焼させることができる。
(4−3)第3の例
アイドリングストップ条件が満たされてから再始動条件が満たされるまでの時間が短い場合、クランク軸13の慣性による回転が停止する前に再始動条件が満たされる。この場合、正回転位置合わせ動作が行われることなく、再始動条件が満たされたときのクランク軸13の回転速度に基づいて、正回転圧縮動作または正回転始動動作のいずれかが選択的に行われる。クランク軸13の回転速度は、図2のクランク角センサ43による検出結果に基づいて得られる。
図7(a)の例では、クランク軸13の慣性による回転中であって、クランク角が角度A42にあるときに、再始動条件が満たされる。再始動条件が満たされたときのクランク軸13の回転速度が、予め定められた選択用しきい値より小さい場合、その時点から正回転圧縮動作が行われる。具体的には、図6(a)の例と同様に、クランク角が角度A41に到るようにクランク軸13が正回転される。その後、図7(b)に示すように、逆回転始動動作が行われる。
クランク軸13の回転速度が小さいと、クランク軸13の慣性による正方向のトルクが小さい。そこで、クランク軸13の回転速度が選択用しきい値よりも小さい場合、正回転圧縮動作および逆回転始動動作を順に行うことにより、エンジン10を適切に始動させることができる。
(4−4)第4の例
図8の例について図7の例と異なる点を説明する。図8の例では、角度A42において再始動条件が満たされたときのクランク軸13の回転速度が、選択用しきい値以上である。この場合、クランク角が角度A42にある状態から正回転始動動作が行われる。正回転始動動作では、回転電機14によりクランク軸13が正方向に駆動されることにより、クランク角が圧縮上死点に対応する角度A2を超える。クランク軸13の回転速度が選択用しきい値以上である場合、クランク軸13の慣性による正方向のトルクが比較的大きい。そのため、逆回転始動動作を行うことなく、クランク角が圧縮上死点に対応する角度A2を超えることができる。なお、再始動条件が満たされたときのクランク軸13の回転速度が十分に高い場合には、慣性によるトルクのみによってクランク角が圧縮上死点に対応する角度A2を超える。そのため、回転電機14がクランク軸13を正方向に駆動しなくてもよい。
(4−5)選択用しきい値の設定
図7および図8の例で用いられる選択用しきい値は、予め定められた固定値であってもよく、再始動条件が満たされたときのクランク角に基づいて設定されてもよい。図9は、選択用しきい値の設定例について説明するための図である。図9には、選択用しきい値の設定に用いられるしきい値設定用マップが示される。しきい値設定用マップは、しきい値設定情報の一例である。
図9において、横軸がクランク角を表し、縦軸が選択用しきい値を表す。本例では、再始動条件が満たされたときのクランク角が、正方向において角度A2よりも遅角側でかつ角度A3aよりも進角側にある場合、選択用しきい値は0に設定される。角度A3aは、正方向において角度A3よりも遅角側でかつ角度A0よりも進角側にある。また、クランク角が、正方向において角度A3aよりも遅角側でかつ角度A2よりも進角側にある場合、選択用しきい値は、0より大きくかつ値TH以下の範囲で設定される。
クランク角が圧縮上死点に対応する角度A2を超えた直後に再始動条件が満たされた場合、クランク角が次の角度A2に到るまでに、クランク軸13を一定角度以上回転させることができるので、その期間にクランク軸13の回転速度を高めることができる。そのため、クランク角が次の角度A2を超えることができる。そこで、本例では、再始動条件が満たされたときのクランク角が角度A2よりも遅角側でかつ角度A3aよりも進角側にある場合、クランク軸13の回転速度がいかなる値であっても、図8の正回転始動動作が行われる。
(4−6)回転電機への供給電力
正回転位置合わせ動作時に図2のバッテリBTから回転電機14に供給される電力は、正回転圧縮動作時にバッテリBTから回転電機14に供給される電力よりも小さくてもよい。
正回転位置合わせ動作時には、再始動条件が満たされていないので、クランク軸13の正方向の回転速度を高める必要がない。そのため、回転電機14への供給電力が比較的小さく調整されることにより、電力の消費が抑制される。一方、正回転圧縮動作時には、再始動条件が満たされている。この場合、回転電機14への供給電力が比較的大きく調整されることにより、クランク軸13の正方向の回転速度が高められる。それにより、正回転圧縮動作を迅速に行うことができ、エンジン10の始動性を高めることができる。
(5)ECUの動作
ECU6は、予めメモリに記憶された制御プログラムに基づいて、アイドリングストップ処理および再始動処理を行う。図10は、アイドリングストップ処理の一例を示すフローチャートである。アイドリングストップ処理は、アイドリングストップ条件が満たされることにより開始される。図10の例において、ECU6は、アイドリングストップ条件が満たされると、インジェクタ18による燃料噴射および点火装置19による点火を停止することにより、エンジン10を停止させる(ステップS1)。次に、ECU6は、再始動条件が満たされたか否かを判定する(ステップS2)。再始動条件が満たされた場合、ECU6は、メモリに記憶されるステータス情報を「位置合わせ前」に更新し(ステップS3)、アイドリングストップ処理を終了する。ステータス情報は、アイドリングストップ条件が満たされてから再始動条件が満たされるまでの期間におけるエンジンユニットEUの動作状態を表す。
再始動条件が満たされていない場合、ECU6は、クランク角センサ43の検出結果に基づいて、クランク軸13の慣性による回転が停止したか否かを判定する(ステップS4)。クランク軸13の回転が停止していない場合、ECU6は、ステップS2に戻る。クランク軸13の回転が停止すると、ECU6は、図5および図6の正回転位置合わせ動作が行われるように、回転電機14を制御する(ステップS5)。
次に、ECU6は、再始動条件が満たされたか否かを判定する(ステップS6)。再始動条件が満たされた場合、ECU6は、回転電機14による正回転位置合わせ動作を停止するとともに(ステップS7)、ステータス情報を「位置合わせ中」に更新し(ステップS8)、アイドリングストップ処理を終了する。
再始動条件が満たされていない場合、ECU6は、クランク角センサ43の検出結果に基づいて、クランク角が逆回転開始範囲に到ったか否かを判定する(ステップS9)。クランク角が逆回転開始範囲に到っていない場合、ECU6は、ステップS6に戻る。クランク角が逆回転開始範囲に到ると、ECU6は、クランク角が逆回転開始範囲に保持されるように回転電機14による正回転位置合わせ動作を停止するとともに(ステップS10)、ステータス情報を「位置合わせ完了」に更新し、アイドリングストップ処理を終了する。
図11は、再始動処理の一例を示すフローチャートである。再始動処理は、再始動条件が満たされることにより開始される。図11に示すように、ECU6は、再始動条件が満たされると、その時点でのステータス情報が「位置合わせ完了」であるか否かを判定する(ステップS21)。ステータス情報が「位置合わせ完了」である場合、ECU6は、逆回転始動動作が開始されるようにエンジンユニットEUを制御し(ステップS22)、再始動処理を終了する。ステータス情報が「位置合わせ完了」でない場合、ECU6は、その時点でのステータス情報が「位置合わせ中」であるか否かを判定する(ステップS23)。ステータス情報が「位置合わせ中」である場合、ECU6は、図6の例のように、正回転圧縮動作および逆回転始動動作が順に行われるようにエンジンユニットEUを制御し(ステップS24,S25)、再始動処理を終了する。
ステップS23でステータス情報が「位置合わせ中」でない場合、ECU6は、選択用しきい値を決定する(ステップS26)。この場合、例えば、図9のしきい値設定用マップに基づいて、選択用しきい値が決定される。次に、ECU6は、クランク角センサ43の検出結果に基づいて、クランク軸13の回転速度が決定された選択用しきい値以上であるか否かを判定する(ステップS27)。クランク軸13の回転速度が選択用しきい値以上である場合、ECU6は、図8の例のように、正回転始動動作が行われるようにエンジンユニットEUを制御し(ステップS28)、再始動処理を終了する。クランク軸13の回転速度が選択用しきい値よりも小さい場合、ECU6は、ステップS24に進む。この場合、ECU6は、図7の例のように、正回転圧縮動作および逆回転始動動作が順に行われるようにエンジンユニットEUを制御し(ステップS24,S25)、再始動処理を終了する。このようにして、図5〜図8の動作が実現される。
(6)スイッチ始動操作によるエンジンの始動
メインスイッチ40がオフされることによってエンジン10が停止された場合、上記のアイドリングストップ処理が行われない。そのため、クランク軸13の慣性による回転の停止後にクランク角の調整は行われない。その後、図2のメインスイッチ40がオンされかつスタータスイッチ41がオンされると、エンジン10が始動される。以下、メインスイッチ40がオンされかつスタータスイッチ41がオンされることをスイッチ始動操作と呼ぶ。図12は、スイッチ始動操作時におけるエンジンユニットEUの動作について説明するための図である。
図12の例について、図5〜図8の例と異なる点を説明する。図12(a)の例では、クランク角が角度A0と角度A1の間の角度A50にある状態で、エンジン10が停止している。その状態で、スイッチ始動操作が行われると、正回転圧縮動作が開始される。その後、図12(b)に示すように、逆回転始動動作が開始される。
スイッチ始動操作によってエンジンが始動される場合、その直後に自動二輪車100が発進される可能性は低い。そのため、再始動条件が満たされる場合に比べて、エンジン10の始動に比較的長い時間を要してもよい。そこで、本実施の形態では、スイッチ始動操作前にクランク角の調整が行われることはなく、スイッチ始動操作後に、正回転圧縮動作および逆回転始動動作が行われる。
仮に、スイッチ始動操作前に図5の正回転位置合わせ動作が行われ、スイッチ始動操作後に逆回転始動動作が行われた場合、クランク角が逆回転開始範囲に調整されてから逆回転始動動作が開始されるまでの期間にクランク角が変化する可能性がある。そのような外乱要因が、逆回転始動動作を阻害する可能性がある。これに対して、本実施の形態では、スイッチ始動操作後に正回転圧縮動作および逆回転始動動作が行われるので、スイッチ始動操作前にクランク角が変化しても、逆回転始動動作が阻害されることはない。したがって、エンジン10を適切に始動させることができる。
(7)効果
本実施の形態に係るエンジンシステム200においては、アイドリングストップ条件が満たされることによってエンジン10が停止された後、クランク軸13の慣性による回転が停止すると、正回転位置合わせ動作によりクランク軸13が正方向に回転される。
正回転位置合わせ動作の開始後であって再始動条件が満たされる前にクランク角が逆回転開始範囲に到った場合、クランク角が逆回転開始範囲に保持される。その後、再始動条件が満たされると、逆回転始動動作が行われる。この場合、クランク軸13の慣性による回転が停止したときのクランク角にばらつきがあっても、再始動条件が満たされた際に、クランク角が一定の逆回転始動範囲にある状態から逆回転始動動作が開始される。それにより、逆回転始動動作において、燃焼室31a内で混合気を適切に圧縮することができる。したがって、混合気を適切に燃焼させることができる。
一方、正回転位置合わせ動作の開始後であってクランク角が逆回転開始範囲に到る前に再始動条件が満たされた場合、正回転圧縮動作および逆回転始動動作が順に行われる。この場合、正回転圧縮動作で上昇された燃焼室内の圧力により、クランク軸13が逆方向に駆動される。それにより、クランク軸13の回転を停止させることなく、正回転圧縮動作から逆回転始動動作に円滑に移行することができる。そのため、再始動条件が満たされてから逆回転始動動作が開始されるまでの時間を短縮することができる。また、逆回転始動動作において、燃焼室31a内で混合気を適切に圧縮することができるので、混合気を適切に燃焼させることができる。
また、本実施の形態では、アイドリングストップ条件が満たされた後であってクランク軸13の慣性による回転が停止する前に再始動条件が満たされた場合、その時点でのクランク軸13の回転速度に基づいて、正回転圧縮動作または正回転始動動作のいずれかが選択的に行われる。クランク軸13の回転速度が選択用しきい値よりも低い場合には、クランク軸13の正方向のトルクが比較的小さいので、正回転圧縮動作が行われる。この場合、続けて逆回転始動動作が行われることにより、エンジン10が適切に始動される。一方、クランク軸13の回転速度が選択用しきい値以上である場合には、クランク軸13の正方向のトルクが比較的大きいので、正回転始動動作が行われる。この場合、逆回転始動動作が行われることなく、エンジン10が適切に始動される。これにより、再始動条件が満たされた時点でのクランク軸13の回転速度に基づいて、迅速にかつ適切にエンジン10を始動させることができる。
また、本実施の形態では、スイッチ始動操作によってエンジン10が始動される場合、スイッチ始動操作前にクランク角が調整されることはなく、スイッチ始動操作後に正回転圧縮動作および逆回転始動動作が順に行われる。この場合、スイッチ始動操作前にクランク角が変化する等の外乱要因が生じても、逆回転始動動作が阻害されることはない。したがって、エンジン10を適切に始動させることができる。
(8)他の実施の形態
(8−1)
上記実施の形態では、アイドリングストップ条件が満たされた後であってクランク軸13の慣性による回転が停止する前に再始動条件が満たされた場合、その時点でのクランク軸13の回転速度に基づいて、正回転圧縮動作または正回転始動動作のいずれかが選択的に行われるが、本発明はこれに限らない。アイドリングストップ条件が満たされた後であってクランク軸13の慣性による回転が停止する前に再始動条件が満たされた場合、クランク軸13の回転速度がいかなる値であっても、正回転圧縮動作および逆回転始動動作が順に行われてもよい。この場合、エンジンユニットEUの制御の複雑化を防止しつつ、エンジン10を適切に始動させることができる。
(8−2)
上記実施の形態では、メインスイッチ40およびスタータスイッチ41がともにオンされた場合に、正回転圧縮動作および逆回転始動動作が順に行われるが、本発明はこれに限らない。例えば、メインスイッチ40がオンされた後に正回転位置合わせ動作が行われ、スタータスイッチ41がオンされた後に逆回転始動動作が行われてもよい。
(8−3)
上記実施の形態は、自動二輪車に本発明を適用した例であるが、これに限らず、自動三輪車もしくはATV(All Terrain Vehicle;不整地走行車両)等の他の鞍乗り型車両に本発明を適用してもよい。
(9)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
上記実施の形態では、エンジンシステム200がエンジンシステムの例であり、エンジン10がエンジンの例であり、回転電機14が回転駆動部の例であり、ECU6が制御部の例であり、メインスイッチ40がメインスイッチの例であり、スタータスイッチ41がスタータスイッチの例であり、選択用しきい値がしきい値の例であり、しきい値設定用マップがしきい値設定情報の例であり、ECU6が記憶部の例であり、バッテリBTが電力供給部の例である。また、自動二輪車100が鞍乗り型車両の例であり、車体1が本体部の例であり、後輪7が駆動輪の例である。
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
本発明は、種々のエンジンシステムに有効に利用可能である。
1 車体
6 ECU
7 後輪
10 エンジン
11 ピストン
12 コンロッド
13 クランク軸
14 回転電機
15 吸気バルブ
16 排気バルブ
17 バルブ駆動部
18 インジェクタ
19 点火装置
40 メインスイッチ
41 スタータスイッチ
42 吸気圧力センサ
43 クランク角センサ
44 電流センサ
100 自動二輪車
200 エンジンシステム
BT バッテリ
CY シリンダ
EU エンジンユニット

Claims (7)

  1. エンジンと、
    前記エンジンのクランク軸を回転させる回転駆動部と、
    前記エンジンおよび前記回転駆動部を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、
    予め定められたアイドリングストップ条件が満たされてから予め定められた再始動条件が満たされるまでの期間に前記エンジンの燃焼室内で燃焼が発生しないように前記エンジンを制御し、
    前記アイドリングストップ条件が満たされた後にクランク軸の慣性による回転が停止した場合、前記回転駆動部は、前記クランク軸を正方向に回転させる正回転位置合わせ動作を開始し、
    前記正回転位置合わせ動作の開始後であって前記再始動条件が満たされる前にクランク角が予め定められた逆回転開始範囲に到った場合、前記回転駆動部は、クランク角を前記逆回転開始範囲で保持させ、その後に前記再始動条件が満たされると、前記回転駆動部および前記エンジンは、前記クランク軸を逆方向に回転させた後に前記燃焼室内で混合気を燃焼させることにより前記クランク軸を正方向に駆動する逆回転始動動作を行い、
    前記正回転位置合わせ動作の開始後であってクランク角が前記逆回転開始範囲に到る前に前記再始動条件が満たされた場合、前記回転駆動部は、クランク角が前記逆回転開始範囲を前記正方向に通過しかつ前記燃焼室内の圧力が上昇するように前記クランク軸を正方向に回転させる正回転圧縮動作を行い、その後に前記回転駆動部および前記エンジンが前記逆回転始動動作を行う、エンジンシステム。
  2. 運転者により操作されるメインスイッチおよびスタータスイッチをさらに備え、
    前記メインスイッチがオンされかつ前記スタータスイッチがオンされた場合、前記回転駆動部が前記正回転圧縮動作を行った後に前記回転駆動部および前記エンジンが前記逆回転始動動作を行う、請求項1記載のエンジンシステム。
  3. 前記アイドリングストップ条件が満たされた後であってクランク軸の慣性による回転が停止する前に前記再始動条件が満たされた場合で、かつ前記再始動条件が満たされたときに前記クランク軸の回転速度がしきい値よりも低い場合、前記回転駆動部が前記正回転圧縮動作を行った後に前記回転駆動部および前記エンジンが前記逆回転始動動作を行う、請求項1または2記載のエンジンシステム。
  4. 前記アイドリングストップ条件が満たされた後であってクランク軸の慣性による回転が停止する前に前記再始動条件が満たされた場合で、かつ前記再始動条件が満たされたときの前記クランク軸の回転速度が前記しきい値以上である場合、前記回転駆動部および前記エンジンが前記逆回転始動動作を行うことなく、前記回転駆動部が、クランク角が圧縮上死点に対応する角度を超えるように前記クランク軸を正方向に回転させる、請求項3記載のエンジンシステム。
  5. クランク角と前記しきい値との関係を表すしきい値設定情報を記憶する記憶部をさらに備え、
    前記制御部は、前記再始動条件が満たされたときのクランク角および前記記憶部に記憶されるしきい値設定情報に基づいて前記しきい値を設定する、請求項3または4記載のエンジンシステム。
  6. 前記回転駆動部に前記クランク軸を駆動するための電力を供給する電力供給部をさらに備え、
    前記正回転位置合わせ動作時に前記電力供給部から前記回転駆動部に供給される電力は、前記正回転圧縮動作時に前記電力供給部から前記回転駆動部に供給される電力よりも小さい、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエンジンシステム。
  7. 駆動輪を有する本体部と、
    前記駆動輪を回転させるための動力を発生する請求項1〜6のいずれか一項に記載のエンジンシステムとを備えた、鞍乗り型車両。
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