JP2016173930A - 導電性材料の製造方法 - Google Patents

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Mikiji Nishida
幹司 西田
藤原 秀三
Shuzo Fujiwara
秀三 藤原
友浩 樽野
Tomohiro Taruno
友浩 樽野
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Abstract

【課題】カーボンナノチューブを含み、導電性の高い成形体(例えば、導電性膜)を形成し得る、導電性材料を提供すること。
【解決手段】 本発明の導電性材料の製造方法は、カーボンナノチューブと、カルボキシメチルセルロース塩と、水との混合物を調製し、該混合物を高温高圧処理することを含む。1つの実施形態においては、上記カルボキシルメチルセルロース塩が、カルボキシルメチルセルロースナトリウムである。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性材料の製造方法に関する。より詳細には、本発明はカーボンナノチューブを含む導電性材料の製造方法に関する。
タッチパネル等に設けられる電極には透明性が求められ、従来、該電極として、インジウムスズ酸化物(ITO)のような金属酸化物から形成される透明導電膜が多用されている。しかしながら、金属酸化物を用いた透明導電膜は、真空環境下におけるスパッタ成膜により得られるため製造コストがかかり、また、屈曲性に乏しく、曲げやたわみなどの変形によって割れや剥離が発生し易いという問題がある。
屈曲性に優れる透明導電膜を形成し得る導電性材料として、カーボンナノチューブが注目されている。カーボンナノチューブは、1原子厚みの炭素シート(グラフェン)を円筒状に巻いた構造を有し、強固なsp2結合ネットワークにより高い屈曲性を発現し得る。このようなカーボンナノチューブを用いて透明導電膜を作製するためには、塗工液として、カーボンナノチューブが均一に分散した分散液を調製する必要があり、通常、分散剤が併用される。分散剤は、一般的に絶縁性物質であるため、透明導電膜の導電性を阻害する一因となり得る。したがって、カーボンナノチューブを用いて透明導電膜を作製するにあたり、塗工液としての分散液の分散性を高めつつも、透明導電膜の導電性を低下させないような技術の確立が望まれている。
特開2009−149516号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、カーボンナノチューブを含み、導電性の高い成形体(例えば、導電性膜)を形成し得る、導電性材料を提供することにある。
本発明の導電性材料の製造方法は、カーボンナノチューブと、カルボキシメチルセルロース塩と、水との混合物を調製し、該混合物を高温高圧処理することを含む。
1つの実施形態においては、上記カルボキシルメチルセルロース塩が、カルボキシルメチルセルロースナトリウムである。
1つの実施形態においては、上記高温高圧処理が、温度200℃以上、かつ、圧力1.5MPa以上の条件下で行われる。
1つの実施形態においては、上記高温高圧処理の温度が350℃以上である。
1つの実施形態においては、本発明の製造方法は、上記高温高圧処理において、前記水を超臨界状態にすることを含む。
1つの実施形態においては、上記高温高圧処理によるカーボンナノチューブのG/D比増加率が、15%以上である。
本発明の別の局面によれば、導電性シートの製造方法が提供される。この導電性シートの製造方法は、カーボンナノチューブと、カルボキシメチルセルロース塩と、水との混合物を調製すること、該混合物を塗工して塗工層を形成すること、および該塗工層を、水中で高温高圧処理することを含む。
本発明によれば、カーボンナノチューブと分散剤としてのカルボキシメチルセルロース塩とを、水中で高温高圧処理することにより、導電性の高い成形体(例えば、導電性膜)を形成し得る導電性材料を得ることができる。
A.導電性材料の製造方法
本発明の導電性材料の製造方法は、カーボンナノチューブと、カルボキシメチルセルロース塩と、水との混合物を調製し、該混合物を高温高圧処理することを含む。カルボキシメチルセルロース塩は、カーボンナノチューブの水中での分散性を高める分散剤として機能する。
上記カーボンナノチューブは、特に限定されず、グラファイトの1枚面を1層に巻いた単層カーボンナノチューブ、多層に巻いた多層カーボンナノチューブ等が用いられ得る。また、単層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブを組み合わせて用いてもよい。1つの実施形態においては、カーボンナノチューブの全量(すなわち、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブとの合計量)に対して、50重量%以上の単層カーボンナノチューブを用いることが好ましく、75重量%以上の単層カーボンナノチューブを用いることがより好ましい。単層カーボンナノチューブを用いれば、所望の導電性を維持しながら、光透過率に優れる透明導電膜を形成し得る導電性材料を得ることができる。
上記カーボンナノチューブは、任意の適切な方法により合成され得る。例えば、アーク放電法、レーザーアブレーション法、CVD法、スーパーグロス法などによって合成することができる。上記カーボンナノチューブとして、酸処理等の処理が施されたカーボンナノチューブを用いてもよい。
上記カーボンナノチューブの初期G/D比は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、さらに好ましくは20以上であり、特に好ましくは50以上であり、最も好ましくは50〜200である。なお、G/D比とは、ラマン分光分析法により評価されるカーボンナノチューブのグラファイト化度(カーボンナノチューブの純度)を意味する。より具体的には、カーボンナノチューブのラマンスペクトル(光波長:532nm)において1590cm−1付近に見られるラマンシフトをGバンドとし、1340cm−1付近に見られるラマンシフトをDバンドとし、GバンドとDバンドとの強度比をG/D比とする。Dバンドはアモルファスカーボンおよび/またはグラファイトの欠陥に由来するため、該G/D比が高いほど、グラファイト化度が高く高純度であり、導電性に優れることを意味する。本明細書において、「初期G/D比」とは、混合物調製前の高温高圧処理されていないカーボンナノチューブのG/D比を意味し、高温高圧処理されたカーボンナノチューブのG/D比と区別される。
上記カーボンナノチューブの外径の最頻直径は、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは50nm以下であり、さらに好ましくは10nm以下であり、特に好ましくは2nm以下であり、最も好ましくは1nm〜2nmである。カーボンナノチューブは、外径が小さいほど好ましい。外径の小さいカーボンナノチューブを用いて製造された導電性材料によれば、光透過率の低下を軽減しながら、カーボンナノチューブ同士の接点(ネットワーク)が形成された透明導電膜、すなわち、高光透過率と高導電性とが両立された透明導電膜を得ることができる。なお、カーボンナノチューブの最頻直径はラマンスペクトルのRBMバンドより算出する。詳しくは、(RBMバンドの波数)=248/(CNT直径)の関係式より求める。
上記混合物において、カーボンナノチューブの含有割合は、水100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜50重量部であり、より好ましくは0.1重量部〜30重量部である。
上記カルボキシメチルセルロース塩とは、セルロースの水酸基を部分的にカルボキシルメチル基でエーテル化して得られるカルボキシメチルセルロースの塩を意味する。塩を構成するカチオン性物質としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のカチオン、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属のカチオン等が挙げられる。なかでも、好ましくはナトリウムである。すなわち、カルボキシメチルセルロース塩として、カルボキシメチルセルロースナトリウム(一般式(1))を用いることが好ましい。カルボキシメチルセルロースナトリウムを用いれば、カーボンナノチューブの分散性を向上させることができる。
Figure 2016173930
上記カルボキシメチルセルロース塩のエーテル化度は、好ましくは0.6〜2.0であり、より好ましくは1〜1.5である。このような範囲であれば、カーボンナノチューブの分散性を向上させることができる。
上記カルボキシルメチルセルロース塩の重量平均分子量は、好ましくは10,000〜5,000,000であり、より好ましくは50,000〜3,000,000であり、さらに好ましくは100,000〜1,500,000である。重量平均分子量は、GPC(溶媒:THF)により測定され得る。
上記混合物において、カルボキシメチルセルロース塩の含有割合は、カーボンナノチューブ100重量部に対して、好ましくは250重量部〜5000重量部であり、より好ましくは350重量部〜5000重量部である。本発明の製造方法においては、高温高圧処理によりカルボキシメチルセルロース塩を分解させることができるため、比較的多量のカルボキシメチルセルロース塩を用いることができる。そのため、カーボンナノチューブの分散性に優れる導電性材料を得ることができる。1つの実施形態においては、カルボキシメチルセルロース塩の含有割合は、カーボンナノチューブ100重量部に対して、好ましくは2000重量部より多い。別の実施形態においては、カルボキシメチルセルロース塩の含有割合は、カーボンナノチューブ100重量部に対して、350重量部〜2000重量部(より好ましくは350重量部〜1000重量部)である。
上記混合物は、所定量の上記カーボンナノチューブおよびカルボキシメチルセルロース塩を水中で、攪拌して調製され得る。調製時の撹拌手段としては、カーボンナノチューブを分散させ得る手段であれば特に限定されない。例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波装置、アトライター、デゾルバー、ペイントシェーカー等の任意適切な混合装置が用いられ得る。上記混合物は、任意の適切な添加剤をさらに含み得る。該添加剤としては、例えば、界面活性剤、導電性もしくは非導電性高分子など各種高分子材料等が挙げられる。
上記混合物を調製した後、該混合物を高温高圧処理する。当該処理を行うことにより、カルボキシメチルセルロース塩を分解させることができる。分散剤としてのカルボキシメチルセルロース塩を分解させることで、分散剤による導電性阻害が緩和されると考えられる。また、導電性材料を成形した後の分散剤(実質的には、分散剤の分解物)の除去が容易になるため、本発明の製造方法により得られた導電性材料を用いれば、導電性に優れる成形体(例えば、導電膜)を得ることができる。本明細書において、高温高圧処理とは、常温以上(例えば、30℃以上)の温度であり、かつ、常圧以上(例えば、0.1MPa以上)の圧力である環境下にさらす処理を意味する。
上記高温高圧処理における温度は、好ましくは200℃以上であり、より好ましくは300℃以上であり、さらに好ましくは350℃以上であり、特に好ましくは380℃以上である。高温高圧処理の温度の上限は、例えば、450℃である。高温高圧処理における温度が、このような範囲であれば、上記の効果がより顕著となる。なお、高温高圧処理における温度とは、高温高圧処理における水の温度を意味する。また、より高い温度で高温高圧処理を行えば、カーボンナノチューブの高導電性化を図ることができる。
従来、カーボンナノチューブを用いて導電性の高い透明導電膜を得る場合、多くのカーボンナノチューブを含有させる必要がある。しかしながら、多量のカーボンナノチューブを用いると、透明導電膜の透明性が低下する。すなわち、カーボンナノチューブを用いた透明導電膜の製造においては、導電性と透明性とを両立させることが困難であるという問題がある。本発明においては、より高い温度(例えば、350℃以上)で高温高圧処理を行うことにより、カーボンナノチューブの高導電性化を図ることができる。高導電性化したカーボンナノチューブを用いれば、少量のカーボンナノチューブにより所望の導電性が得られ、導電性と透明性とが両立された成形体を得ることができる。
上記高温高圧処理における圧力は、好ましくは1.5MPa以上であり、より好ましくは8MPa以上であり、さらに好ましくは8.5MPa〜25MPaである。このような範囲であれば、カルボキシメチルセルロース塩を分解させる効果がより顕著となる。
1つの実施形態においては、上記高温高圧処理は、水を超臨界状態にして行われる。すなわち、上記高温高圧処理は、温度を374℃以上とし、圧力を23MPa以上とした条件下で行われ得る。このような条件で高温高圧処理を行えば、分散剤としてのカルボキシメチルセルロース塩の分解、および、カーボンナノチューブの高導電性化が進み、導電性が顕著に高い成形体(例えば、導電性膜)を形成し得る導電性材料を得ることができる。
上記高温高圧処理は、高温高圧条件下で行われる限り、任意の適切な方法が採用され得る。好ましくは、熱間等方圧加圧法(Hot Isostatic Press)により、高温高圧処理が行われる。加熱方法としては、例えば、電磁誘導加熱、ホットオイルバス、サンドバス等による加熱方法が挙げられる。1つの実施形態においては、高温高圧処理は、例えば、水の使用量に対して大きすぎない容量の耐圧密閉容器、具体的には水の気化により内部の圧力が所望値まで上昇しうる容量の耐圧密閉容器に、上記混合物を封入し、該耐圧密閉容器を加熱することにより行われる。該高温高圧処理中、耐圧密閉容器を振動させるなどして、混合物を攪拌することが好ましい。この実施形態において、高温高圧処理の時間は、好ましくは30秒〜1時間であり、より好ましくは10分〜30分である。
上記高温高圧処理後のG/D比は、好ましくは6以上であり、より好ましくは12以上であり、さらに好ましくは24以上であり、特に好ましくは60以上であり、最も好ましくは60〜240である。また、高温高圧処理によるカーボンナノチューブのG/D比増加率は、好ましくは15%以上であり、より好ましくは20%以上である。また、高温高圧処理によるG/D比増加率の上限は、好ましくは30%であり、より好ましくは35%であり、さらに好ましくは40%であり、特に好ましくは50%である。高温高圧処理によるG/D比増加率は、{(高温高圧処理後のカーボンナノチューブのG/D比)−(初期G/D比)}/(初期G/D比)×100の式により求められる。
上記の通り、混合物中のカルボキシメチルセルロース塩は、上記高温高圧処理を行うことにより、分解されると考えられる。具体的には、セルロースのC−O結合の切断による低分子量化、水酸基の脱離、カルボキシメチル基(塩となっている部分も含む)の脱離等が生じていると考えられる。導電性を阻害する要因の1つである分散剤(カルボキシメチルセルロース塩)が分解されることにより、導電性に優れる導電性材料を得ることができる。カルボキシメチルセルロース塩がいかに分解されたかは、例えば、赤外分光分析法により確認することができる。
上記高温高圧処理後、任意の適切な方法で、生成物(導電性材料)を冷却することが好ましい。例えば、上記のように耐圧密閉容器を用いて高温高圧処理を行った場合、該耐圧密閉容器を開封する前に、該容器ごと生成物を冷却することが好ましい。
B.導電性シートの製造方法
B−1.第1の実施形態
上記導電性材料を用いれば、導電性シートを得ることができる。導電性シートは、例えば、基材に上記導電性材料を塗布する塗布工程(1A)、導電性材料から水分を除去する乾燥工程(1B)、導電性材料に残存している分散剤由来の化合物(カルボキシメチルセルロース塩の分解物)を除去する洗浄工程(1C)を経て、形成され得る。上記導電性シートの製造方法は、必要に応じて、洗浄工程後に行われる工程として、さらなる導電性向上のためのドーピング工程、導電性材料から形成された層上にハードコート層、ガラス層を形成する積層工程等をさらに含んでいてもよい。
導電性シートを製造するにあたり、上記導電性材料が沈殿物を含む場合、塗布工程の前に、遠心分離等の手段により、該沈殿物を除去することが好ましい。
上記塗布工程(1A)に供される導電性材料中のカーボンナノチューブの含有割合は、上記A項で説明したとおりであり、導電性シートに所望される導電性および/または透明性に応じて、調整され得る。
上記塗布工程(1A)における塗布方法としては、任意の適切な塗布方法が採用され得る。塗布方法としては、例えば、吹き付け塗布、浸漬コーティング、スピンコーティング、ナイフコーティング、キスコーティング、グラビアコーティング、スロットダイコーティング、バーコーティング、ロールコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、パット印刷等が挙げられる。
上記導電性材料を塗布する基材を形成する材料としては、任意の適切な材料が採用され得る。該材料としては、屈曲性の観点から樹脂を用いることが好ましい。該樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、脂環式アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース、フッ素系樹脂等が挙げられる。また、該基材としてガラス、シリコンウエハ、セルロース(例えば、紙など)、またはこれらを組み合わせた積層基材等を用いてもよい。
上記乾燥工程(1B)の乾燥方法としては、任意の適切な乾燥方法が採用され得る。乾燥方法としては、例えば、熱風、赤外線等による加熱乾燥等が挙げられる。上記乾燥工程(1B)において、カーボンナノチューブは、3次元編目構造を形成し、基材上に固定される。
上記洗浄工程(1C)においては、カルボキシメチルセルロース塩の分解物を溶解し得る溶媒を用いて行われる。好ましくは、該溶媒として水が用いられる。本発明の導電性材料を用いれば、分散剤が分解して存在しているため、該洗浄工程(1C)において、容易、かつ、確実に導電性を阻害する化合物を除去することができる。上記洗浄工程(1C)後、洗浄に用いた溶媒を乾燥させることが好ましい。
洗浄工程(1C)後のドーピング工程および積層工程においては、任意の適切な方法が採用される。
上記のようにして、上記導電性材料を用いて形成された導電性シートは、残存分散剤が非常に少ないため、導電性に優れる。また、G/D比の高いカーボンナノチューブを含ませれば、少量のカーボンナノチューブから高い導電性が得られるため、透明性に優れる導電性シートを得ることができる。
B−2.第2の実施形態
本発明の別の実施形態(第2の実施形態)においては、上記混合物を塗工して塗工層を形成すること、および、該塗工層を水中で高温高圧処理することを含む、導電性シートの製造方法が提供される。
本実施形態に用いられる混合物は、上記A項で説明した混合物であり、すなわち、カーボンナノチューブと、カルボキシメチルセルロース塩と、水とを混合して調整され得る。
上記混合物の塗工は、例えば、上記B−1項で説明したような塗布方法で該混合物を塗布して行われる。該塗工においては、塗布の後、必要に応じて、上記B−1項で説明したような乾燥方法で塗布層を乾燥させてもよい。
上記混合物は、任意の適切な基材上に塗工され得る。該基材としては、上記B−1項で説明した材料から形成される基材が用いられ得る。本実施形態においては、後工程の高温高圧処理の加熱に耐えうる基材が用いられることが好ましく、例えば、高耐熱性の樹脂(例えば、ポリイミド、フッ素系樹脂等)、ガラス、シリコンウエハ等から形成された基材を用いることが好ましい。
混合物の塗工層を形成した後、該塗工層(実質的には、基材と塗工層)を水中で高温高圧処理する、すなわち、塗工層(カーボンナノチューブ+カルボキシメチルセルロース塩)と水との混合物を高温高圧処理する。高温高圧処理の方法、条件は、上記A項で説明したとおりである。
上記高温高圧処理の後、高温高圧処理後の塗工層中に残存している分散剤由来の化合物(カルボキシメチルセルロース塩の分解物)を除去する洗浄工程(2C)を行うことが好ましい。該洗浄工程(2C)において、分散剤由来の化合物の除去は、任意の適切な方法により行われ得る。例えば、該塗工層をディッピング、スプレー、低周波振動または搖動、液流などの操作に供して洗浄液により洗浄する方法が挙げられる。洗浄液としては、水、有機溶剤(例えば、アルコール)等が用いられ得る。
本実施形態の製造方法においても、必要に応じて、洗浄工程後に行われる工程として、さらなる導電性向上のためのドーピング工程、塗工層上にハードコート層、ガラス層を形成する積層工程等をさらに含んでいてもよい。ドーピング工程および積層工程においては、任意の適切な方法が採用される。
上記のようにして形成された導電性シートは、残存分散剤が非常に少ないため、導電性に優れる。また、G/D比の高いカーボンナノチューブを含ませれば、少量のカーボンナノチューブから高い導電性が得られるため、透明性に優れる導電性シートを得ることができる。
本実施形態により得られた導電性シート中のカーボンナノチューブのG/D比は、好ましくは6以上であり、より好ましくは12以上であり、さらに好ましくは24以上であり、特に好ましくは60以上であり、最も好ましくは60〜240である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
[実施例1] カルボキシメチルセルロース塩の高温高圧処理
カルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム社製、商品名「CMCダイセル #1380」)1重量部と、水30重量部とを、密閉容器(SUS製、内径10mm×長さ100mm、容積:31.4ml)に封入した。カルボキシメチルセルロースナトリウムと水とが入った上記密閉容器を、200℃設定のサンドバスに投入し、該密閉容器を上下振動させながら、30分間、高温高圧処理を行った。なお、このとき、密閉容器内の圧力は1.58MPaであると考えられる。
(評価1)
高温高圧処理後、密閉容器から内容物を取り出し、該内容物を赤外分光分析に供した。また、実験前のカルボキシメチルセルロースナトリウムを赤外分光分析に供した。その結果、カルボキシメチルセルロースナトリウムに対して、上記高温高圧処理後の密閉容器の内容物は、C−O由来のピーク(1058cm−1付近)の減少、ならびに、Na塩由来のピーク(1586cm−1付近)のシフトおよび減少が見られた。
[実施例2] カルボキシメチルセルロース塩の高温高圧処理
サンドバスの設定温度を300℃とした以外は、実施例1と同様にして、実験を行った。実施例3において、高温高圧処理時の密閉容器内の圧力は、8.77MPaであると考えられる。
得られた内容物について、実施例2と同様の評価を行ったところ、該内容物には、C−O由来のピーク(1058cm−1付近)の減少、ならびに、Na塩由来のピーク(1586cm−1付近)のシフトおよび減少が見られた。
[実施例3] カルボキシメチルセルロース塩の高温高圧処理
サンドバスの設定温度を400℃とした以外は、実施例1と同様にして、実験を行った。実施例3において、高温高圧処理時の密閉容器内の水は、超臨界状態にあると考えられる。
得られた内容物について、実施例2と同様の評価を行ったところ、該内容物には、C−O由来のピーク(1058cm−1付近)の減少、ならびに、Na塩由来のピーク(1586cm−1付近)のシフトおよび減少が見られた。
[実施例4] カーボンナノチューブの高温高圧処理
カーボンナノチューブ(KH−Chemicals社製、商品名「SWCNT−ED」、波長532nmによるG/D比:23)1重量部と、水300重量部とを、密閉容器(SUS製、内径10mm×長さ100mm、容積:31.4ml)に封入した。カーボンナノチューブと水とが入った上記密閉容器を、400℃設定のサンドバスに投入し、該密閉容器を上下振動させながら、30分間、高温高圧処理を行った。なお、このとき、密閉容器内の水は超臨界状態にあると考えられる。
(評価2)
高温高圧処理後、密閉容器からカーボンナノチューブを取り出し、該カーボンナノチューブを波長532nmによるラマン分光分析に供したところ、該カーボンナノチューブのG/D比は、28であった。
[比較例1]
カルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム社製、商品名「CMCダイセル #1380」)1重量部と、水30重量部とを、密閉容器(SUS製、内径10mm×長さ100mm、容積:31.4ml)に封入した。カルボキシメチルセルロースナトリウムと水とが入った上記密閉容器を、常温常圧下で、30分間、上下振動させた。
その後、密閉容器から内容物を取り出し、実施例1と同様に供したが、カルボキシメチルセルロースナトリウムが分解したことを示唆するピークは確認できなかった。
[比較例2]
カーボンナノチューブ(KH−Chemicals社製、商品名「SWCNT−ED」、波長532nmによるG/D比:23)1重量部と、水300重量部とを、密閉容器(SUS製、内径10mm×長さ100mm、容積:31.4ml)に封入した。カーボンナノチューブと水とが入った上記密閉容器を、常温常圧下で、30分間、上下振動させた。
その後、密閉容器からカーボンナノチューブを取り出し、該カーボンナノチューブを波長532nmによるラマン分光分析に供したところ、該カーボンナノチューブのG/D比は23(変化なし)であった。
実施例1〜3の結果から、カルボキシメチルセルロース塩は、高温高圧処理により、分解すると考えられる。本発明においては、分散剤としてのカルボキシメチルセルロース塩を分解させることで、分散剤による導電性阻害が緩和される。
さらに、実施例4から明らかなように、カーボンナノチューブを高温の超臨界状態で処理すれば、カーボンナノチューブの導電性が向上する。
これらの実施例から明らかなように、本願発明においては、カーボンナノチューブとカルボキシメチルセルロース塩とを含む混合物を、水中で高温高圧処理することにより、導電性の高い成形体(例えば、導電性膜)を形成し得る導電性材料を得ることができる。
本発明の製造方法により得られた導電性材料は、例えば、導電性膜等の導電性成形体の材料として好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. カーボンナノチューブと、カルボキシメチルセルロース塩と、水との混合物を調製し、
    該混合物を高温高圧処理することを含む、
    導電性材料の製造方法。
  2. 前記カルボキシルメチルセルロース塩が、カルボキシルメチルセルロースナトリウムである、請求項1に記載の導電性材料の製造方法。
  3. 前記高温高圧処理が、温度200℃以上、かつ、圧力1.5MPa以上の条件下で行われる、請求項1または2に記載の導電性材料の製造方法。
  4. 前記高温高圧処理の温度が350℃以上である、請求項3に記載の導電性材料の製造方法。
  5. 前記高温高圧処理において、前記水を超臨界状態にすることを含む、請求項1または2記載の導電性材料の製造方法。
  6. 前記高温高圧処理によるカーボンナノチューブのG/D比増加率が、15%以上である、請求項1から5のいずれかに記載の導電性材料の製造方法。
  7. カーボンナノチューブと、カルボキシメチルセルロース塩と、水との混合物を調製すること、
    該混合物を塗工して塗工層を形成すること、および
    該塗工層を、水中で高温高圧処理することを含む、
    導電性シートの製造方法。




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