JP2016173017A - 引き戸 - Google Patents

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Abstract

【課題】フリーストッパーを備えている引き戸において、戸パネルを支持するガイドレールとして、コストが少なくて済む汎用型のガイドレールを使用することができ、しかも、戸パネルの開閉時に騒音が発生するのを解消して静音化を図る。
【解決手段】戸パネル2を、ガイドレール1で吊車型のランナー3を介して支持し、戸パネル2に固定した振止めレール5を、床面Fに配置した振止め体6で移行案内する。戸パネル2を任意の開放位置で停止保持するフリーストッパーSを、振止めレール5内に収容して床面Fに固定する。フリーストッパーSは、ホルダー44と、ホルダー44に設けた支軸45で傾動可能に支持される摩擦付与体46と、摩擦付与体46を傾動付勢する傾動ばね47を備えている。摩擦付与体46は、摩擦力によって戸パネル2を停止保持する摩擦腕部54を備えており、開放阻止姿勢と閉じ阻止姿勢に切換えることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、戸パネルを任意の開放位置で停止保持するためのフリーストッパーを備えている引き戸に関する。
本出願人は、この種のストッパー(閉じ停止装置)を備える引き戸を先に提案している(特許文献1)。そこでは、ガイドレールの上壁に固定したラックと、戸パネルの開放端側のランナーに連結したロックユニットでストッパーを構成している。ロックユニットは、一端にロック爪を備えているひょうたん形のロックレバーと、ロックレバーを左右傾動可能に支持するホルダーと、ホルダーおよびロックレバーを押上げ付勢するばねと、これらの部材を収容するハウジングなどで構成してある。ストッパーは自閉式の引戸に適用されて、ロックレバーのロック爪がラックと係合することで、任意位置まで開放された戸パネルを自閉装置の閉じ操作力に抗して停止保持する。
本発明に係る引き戸を構成するストッパーは、ゴム製の制動体をレール面に押付けて戸パネルを任意の開放位置で停止保持するが、この種のストッパー装置は特許文献2に開示されている。そこでは、サスペンションレールを閉じ端側へ向かって下り傾斜させて、戸パネルを任意の開放位置から自重で閉じ移動できるようにしている。ストッパー装置は、上下に長いゴム製のストッパーと、ストッパーを左右傾動可能に軸支するピンと、ストッパーを押下げ付勢する板ばねと、これらを支持するブラケットなどで構成してある。ストッパーの上下端は、それぞれ丸められており、その上下中途部には、長穴状のピン穴が形成してある。ストッパーは、その下端がピンの中心を通る垂直面より閉じ端側に位置する状態でサスペンションレールに接当する姿勢と、下端がピンの中心を通る垂直面より開放端側に位置する状態でサスペンションレールに接当する姿勢に左右傾動でき、前者の状態において、戸パネルを閉じ移動不能に停止保持する。この状態から、戸パネルを閉じ操作すると、ストッパーが板ばねを上突状に弾性変形させながら、ピンの回りに反時計回転方向へ回動して後者の状態に切換わるので、戸パネルは自重で閉じ位置まで移動する。
特開2008−261135号公報(段落番号0036、図1) 特開平11−336408号公報(段落番号0018〜0019、図3)
特許文献1の閉じ停止装置は、従来のこの種の装置に比べて、ロックレバーの姿勢が切換るときの切換え抵抗を小さくできるので、体が不自由で非力な使用者であっても戸パネルをより軽快に開閉できる。しかし、ランナーを走行案内するガイドレールの内部に戸パネルを支持するランナーはもちろん、自閉装置を構成する低トルクばねとエアーダンパー、さらに途中停止装置を収容している。そのため、ガイドレールの上下寸法が大きくなるのを避けられず、ランナーのみを走行案内する断面C字形の汎用型のガイドレールに比べて、レール構造が特殊化しコストが嵩んでしまう。また、ロックレバーは、常にラックと接触した状態でギヤ歯を乗越えながら、戸パネルに同行して開閉移動する。そのため、ロックレバーがギヤ歯を連続して乗越えるときに騒音が発生するのを避けられない。
特許文献2のストッパー装置は、ゴム製のストッパーの姿勢を板ばねの弾性力に抗して切換えることにより、戸パネルを一時停止させ、あるいはストッパーの停止状態を解除する。傾動姿勢が切換るときのストッパーは、摩擦抵抗が大きなゴムで形成してあるため、サスペンションレールおよび板ばねと強く密着して大きな摩擦抵抗を受けており、さらに、自身の変形応力や、板ばねの変形応力に打勝ちながら傾動姿勢を切換えねばならない。そのため、特許文献1の閉じ停止装置に比べると、姿勢が切換るときの切換え抵抗が大きく、健常者であっても弾みをつけて戸パネルを開閉しなければならず、戸パネルを軽快に開閉することができない。また、ストッパーが直立してその上端がデッドポイントを越えると、切換え抵抗が急激に低下するため、使用者の体勢が崩れるおそれがあるなど、体が不自由で非力な使用者にとって使い勝手が悪い。
本発明の目的は、戸パネルを吊下げ支持するガイドレールが大形化し特殊化するのを解消して、コストが少なくて済む汎用型のガイドレールを使用でき、しかも、戸パネルの開閉時に騒音が発生するのを解消して静音化できるフリーストッパーを備えている引き戸を提供することにある。
本発明の目的は、自閉装置を備えている引き戸において、戸パネルを任意の開放位置で確実に一時停止できるにも拘わらず、フリーストッパーの姿勢切換えをより軽快に行って、体が不自由で非力な使用者であっても戸パネルを軽快に開閉できるフリーストッパーを備えている引き戸を提供することにある。
本発明は、戸パネル2が、ガイドレール1で吊車型のランナー3を介して吊下げ支持され、戸パネル2の下部に固定した振止めレール5が、床面Fに配置した振止め体6で移行案内される引き戸を対象とする。戸パネル2を任意の開放位置で停止保持するためのフリーストッパーSが、振止めレール5の内部に収容されて床面Fに固定されている。該フリーストッパーSは、ホルダー44と、ホルダー44に設けた支軸45で左右傾動可能に支持される摩擦付与体46と、摩擦付与体46を傾動付勢する傾動ばね47を含む。摩擦付与体46は、その中心軸Pが支軸45の中心を通る垂直面より閉じ端側へ傾動する開放阻止姿勢と、前記垂直面より開放端側へ傾動する閉じ阻止姿勢に切換え可能に構成されている。摩擦付与体46は、フラットな振止めレール5の内面壁に接触して、該振止めレール5の内壁面との間で生じる摩擦力によって戸パネル2を停止保持する摩擦腕部54を備えている。そして、該摩擦腕部54が、開放阻止姿勢、閉じ阻止姿勢、および両阻止姿勢間の姿勢切換え時において、常に振止めレール5の内面壁に接触するように構成されていることを特徴とする。
戸パネル2の下端面に振止めレール5が埋設されて、摩擦腕部54の上端が振止めレール5の上壁に摩擦接触されている。振止めレール5の下開口面と対向する床面Fにユニットベース48が固定されて、ユニットベース48に振止め体6が装着されている。フリーストッパーSのホルダー44は、ユニットベース48に固定したガイド軸58で上下スライド可能に案内支持されている。ホルダー44とユニットベース48との間に、摩擦腕部54の高さを調整する高さ調整構造が設けられている。
高さ調整構造は、ユニットベース48で回転可能に支持した調整ねじ60と、調整ねじ60に対応してホルダー44の底壁に形成したねじ穴61と、調整ねじ60の下部に設けた操作部62を備えている。操作部62は、戸パネル2と床面Fの間の隙間に臨ませてある。
ユニットベース48の左右に、振止めレール5を移行案内する振止め体6が装着されている。振止め体6は、ユニットベース48に固定した振止め軸65と、振止め軸65で回転自在に支持した振止めローラー66で構成されている。
摩擦付与体46は、ゴム層51と、ゴム層51にインサートされる金属製の補強芯体52で構成されており、支軸45で軸支されるボス部53と、ボス部53の上側に突設される摩擦腕部54と、ボス部53の左右に突設されるばね受座55を一体に備えている。補強芯体52にボス部53と、ばね受座55を補強する座腕56が一体に形成されている。
ホルダー44は、ユニットベース48に固定した左右一対のガイド軸58で上下スライド可能に案内支持されている。傾動ばね47は圧縮コイルばねで形成され、ばね受座55に設けたばね掛軸57とガイド軸58に装着されている。
ガイドレール1と戸パネル2の間に、戸パネル2を任意の開放位置から閉じ操作する自閉装置が設けられている。自閉装置は、戸パネル2を閉じ付勢するぜんまいばねを備えた動力ユニット20と、動力ユニット20の閉じ付勢力に抗して戸パネル2の閉じ動作を制動するシリンダー型のエアーダンパー21を備えている。動力ユニット20とエアーダンパー21のうち、少なくとも動力ユニット20が戸パネル2の上端に設けたばね装着部40に装着され、動力ユニット20から繰り出したワイヤー24の端部がガイドレール1の中途部に固定されている。
本発明は、戸パネル2が、ガイドレール1で吊車型のランナー3を介して吊下げ支持され、戸パネル2の下部に振止めレール5が配置してある引き戸を対象とする。戸パネル2を任意の開放位置で停止保持するためのフリーストッパーSが、振止めレール5の内部に収容されて床面Fに固定されている。フリーストッパーSは、床面Fに固定されるユニットベース71と、ユニットベース71に装着した支軸72で回転自在に支持される前後一対の摩擦ローラー73・73と、ユニットベース71で左右スライド自在に案内支持したローラー軸74に装着される切換ローラー75と、ローラー軸74および切換ローラー75を互いに逆向きに移動付勢して、切換ローラー75を摩擦ローラー73・73の周面に密着させる左右一対の切換えばね76を備えている。各摩擦ローラー73・73は、振止めレール5の前壁および後壁の内面と、切換ローラー75の周面に同時に接触して、各接触部分の摩擦力で戸パネル2を任意の開放位置で停止保持できる。切換ローラー75は、その軸中心が支軸72の中心を通る垂直面より閉じ端側に位置する開放阻止姿勢と、前記垂直面より開放端側に位置する閉じ阻止姿勢に切換え可能に構成する。開放阻止姿勢と閉じ阻止姿勢の間の姿勢切換え時に、切換ローラー75が一対の摩擦ローラー73・73を弾性変形させながら、両ローラー73・73の対向周面を通過することを特徴とする。
摩擦ローラー73・73は振止め体6を兼ねている。
本発明に係る引き戸においては、フリーストッパーSを振止めレール5内に収容し、その摩擦付与体46と振止めレール5の間の摩擦力によって、戸パネル2を任意の開放位置で停止保持できるようにした。こうした引き戸によれば、戸パネル2を支持するガイドレール1の内部に、フリーストッパーSを配置するスペースを確保する必要がないので、ガイドレール1が大形化し、あるいはレール構造が特殊化するのを解消できる。従って、コストが少なくて済む汎用型のガイドレール1を使用して、戸パネル2を開閉案内することができる。また、戸パネル2を開閉するときの摩擦付与体46は、振止めレール5に対して常に接触した状態のまま滑ることで、振止めレール5の開閉移動に追随する。そのため、戸パネル2を開閉するとき叩打騒音や擦過騒音を生じる余地がないうえ、音が拡散しにくい戸パネル2の下部の振止めレール5内にフリーストッパーSを配置するので、全体としてフリーストッパーSを備えた引き戸の静音性を向上できる。
支軸45で左右傾動可能に支持した摩擦付与体46を、一対の傾動ばね47で傾動付勢して、摩擦付与体46の姿勢切換えを補助するので、フリーストッパーSの姿勢切換えをより軽快に行うことができ、従って、体が不自由で非力な使用者であっても戸パネル2を軽快に開閉できる。摩擦付与体46は図1に示す閉じ阻止姿勢と、図7(b)に示す開放阻止姿勢のいずれか一方の姿勢に保持されるが、いずれの場合にも閉じ端側の傾動ばね47と開放端側の傾動ばね47の一方が伸張変形し、他方は圧縮変形している。この状態から戸パネル2を開閉いずれか一方に操作して摩擦付与体46の姿勢を切換える状態では、圧縮変形している、ばね張力が大きな側の傾動ばね47で摩擦付与体46の傾動動作を補助することができるので、戸パネル2の操作抵抗を軽減して、その分だけフリーストッパーSの姿勢切換えを軽快に行えることになる。
フリーストッパーSを支持するユニットベース48を利用して振止め体6を設けると、戸パネル2が前後に振れるのを振止め体6で阻止した状態で、摩擦付与体46を振止めレール5に密着できる。これに伴い、フリーストッパーSによる戸パネル2の位置保持機能を安定した状態で発揮させることができ、さらに、ユニットベース48を床面Fの所定位置に固定するだけで、フリーストッパーSと振止め体6を同時に組んで、施工に要する手間を省くことができる。ホルダー44をガイド軸58で上下スライド可能に案内支持し、ホルダー44とユニットベース48との間に、摩擦腕部54の高さを調整する高さ調整構造を設けると、戸パネル2の高さ調整に対応して摩擦腕部54の高さを調整することにより、振止めレール5と摩擦付与体46の密着度合いを好適化できる。従って、フリーストッパーSで戸パネル2を位置保持しているときの摩擦力を常に好適化して、摩擦力が過剰になり、あるいは不足するのを一掃して、フリーストッパーSに位置保持機能を安定した状態で発揮させることができる。
調整ねじ60と、ホルダー44に設けたねじ穴61と、調整ねじ60の下部に設けた操作部62などで高さ調整構造を構成すると、摩擦腕部54の高さを調整した場合に操作部62の位置が変化するのを防止して、操作部62を戸パネル2と床面Fの間の隙間に常に臨ませておくことができる。従って、戸パネル2が高さ調整された場合でも、操作部62をスパナなどの工具で確実に回動操作して、摩擦腕部54の高さ調整を簡便に行うことができる。
ユニットベース48の左右に、振止めレール5を移行案内する振止め体6を装着すると、戸パネル2が前後に振れるのを左右の振止め体6で阻止した状態で、摩擦付与体46を振止めレール5に密着できるので、フリーストッパーSによる戸パネル2の位置保持機能を安定した状態で発揮させることができる。振止め軸65と、同軸65で回転自在に支持した振止めローラー66で振止め体6を構成することにより、振止めレール5が開閉移動するときの同レール5と振止めローラー66の間の摩擦抵抗を小さくして、戸パネル2の開閉を軽快に行える。
ゴム層51と、ゴム層51にインサートされる金属製の補強芯体52で構成した摩擦付与体46において、補強芯体52にボス部53と座腕56を一体に形成すると、摩擦付与体46に作用するばね力や摩擦反力などの外力に対して充分な構造強度を確保しながら、摩擦腕部54の摩擦力による戸パネル2の位置保持機能を確実に発揮できる。また、金属製の補強芯体52に設けたボス部53を支軸45で支持するので、摩擦付与体46が傾動するときの傾動軌跡を一定にして、閉じ阻止姿勢と開放阻止姿勢の間の姿勢切換えに要する力が大小にばらつくのを防止できる。
ホルダー44をユニットベース48に固定した左右一対のガイド軸58で上下スライド可能に案内支持するフリーストッパーSによれば、ホルダー44および摩擦付与体46を常に安定した状態で支持できる。また、圧縮コイルばねからなる傾動ばね47をばね受座55に設けたばね掛軸57とガイド軸58に装着することにより、摩擦付与体46が傾動するとき傾動ばね47の上下位置が変動するのを確実に防止して、常に安定した状態で摩擦付与体46を傾動付勢できる。また、ガイド軸58をばね受体として利用するので構造に無駄がなく、フリーストッパーSの構造を簡素化できる利点もある。
自閉装置を備えた引き戸において、ぜんまいばねを備えた動力ユニット20と、シリンダー型のエアーダンパー21で自閉装置を構成し、少なくとも動力ユニット20を戸パネル2のばね装着部40に装着すると、ガイドレール1の内部において自閉装置が占めるスペースを小さくできる。具体的には、ランナー3と共にエアーダンパー21をガイドレール1の内部に収容して、動力ユニット20から繰り出したワイヤー24の端部をガイドレール1の中途部に固定すればよく、動力ユニット20を配置するためのスペースを省略できる。従って、自閉装置を備えた引き戸でありながら、ガイドレール1が大形化し、あるいはレール構造が特殊化するのを解消できる。従って、コストが少なくて済む汎用型のガイドレール1を使用して、自閉装置をガイドレール1と戸パネル2の間に組むことができる。
本発明に係る引き戸においては、前後一対の摩擦ローラー73と、切換ローラー75と、切換ローラー75を移動付勢する切換えばね76などでフリーストッパーSを構成した。こうしたフリーストッパーSによれば、実施例1における高さ調整構造を省略できるので、その分だけフリーストッパーSの構造を簡素化して低コスト化できる。また、施工時や、戸パネル2の高さ調整を行うごとに摩擦ローラー73の高さを調整する手間を省くことができる。さらに、調整ねじ18を操作して戸パネル2の上下高さが変化しても、摩擦ローラー73の周面と振止めレール5の接触位置がずれるだけであるので、高さ調整に影響されることなく、常に一定の摩擦力を発揮させることができる。床面の不陸の影響を受けない利点もある。
摩擦ローラー73が振止め体6を兼ねる場合には、別途振止め体6を設ける必要がないので、その分だけ振止め構造に要するコストを削減できる。
本発明の実施例1に係る引き戸を構成するフリーストッパーの縦断正面図である。 実施例1に係る引き戸の正面図である。 引き戸を構成するランナーおよびガイドレールの縦断側面図である。 引き戸を構成する自閉装置の概略を示す縦断正面図である。 図1におけるA−A線断面図である。 図1におけるB−B線断面図である。 摩擦付与体の作動状態を示す説明図である。 実施例2に係るフリーストッパーの平面図である。 図8におけるC−C線断面図である。
(実施例1) 図1ないし図7は、本発明に係る引き戸の実施例1を示す。本発明における前後、左右、上下とは、図2に示す交差矢印と、矢印の近傍の前後・左右・上下の表記に従う。図2において符号1は開口枠の上枠に固定したガイドレール、符号2は戸パネルである。戸パネル2はその上部左右に装着したランナー3を介してガイドレール1で吊下げ支持されて、同レール1に沿って開閉移動できる。戸パネル2の下部には埋設溝4が形成され、同溝4の内部に固定した振止めレール5が、床面Fに配置した振止め体6で左右移動のみ自在に移行案内してある。振止めレール5はアルミニウム材で形成してあり、埋設溝4に対して接着固定してある。符号7はドアハンドルである。
図3に示すように、ガイドレール1は下向きに開口する断面C字状のアルミニウム条材からなり、その下面前後にランナー3を転動案内するレール壁10を有し、レール内面の前後壁および上壁にランナー3の遊動を規制するリブ11・12が設けてある。ランナー3は、戸パネル2の上隅のホルダー13に装着されるランナー台14と、前後一対のローラー15と、ローラー15を回転自在に軸支するローラー枠16と、ランナー台14とローラー枠16を連結するランナー軸17などで構成してある。ランナー台14には、戸パネル2の上下高さを調整する調整ねじ18が設けてある。
任意の位置まで開放操作された戸パネル2を、自動的にゆっくりと閉じ移動させるために、戸パネル2とガイドレール1との間に自閉装置を設けている。図4において、自閉装置は、戸パネル2を閉じ位置へ向かって移行付勢する動力ユニット20と、ガイドレール1の内部に配置したシリンダー型のエアーダンパー21で構成する。動力ユニット20は、四角形状のケース22にワイヤードラム23を収容し、ワイヤードラム23の外面にワイヤー24を巻込み収納し、ワイヤードラム23のドラム内部にぜんまいばね(図示していない)を収容して構成してある。ワイヤー24は、ステンレス製のワイヤーからなり、その表面にポリアミド樹脂がコーティングしてある。ワイヤー24の操出し端には取付け金具25が固定してあり、この取付け金具25をガイドレール1の中途部に固定することにより、戸パネル2を任意の開放位置から閉じ位置へ移動することができる。動力ユニット20の閉じ操作力に抗して、戸パネル2を任意の開放位置で停止保持するために、フリーストッパーSを振止めレール5と床面Fとの間に設けている。
図4においてエアーダンパー21は市販品であって、シリンダー本体30と、同本体30に対して出入りするピストンロッド31と図示していない速度コントローラーなどで構成してある。シリンダー本体30は連結金具32を介して閉じ端側のランナー3のローラー枠16に連結してある。そのため、戸パネル2が開閉するとき、シリンダー本体30はランナー3に同行して移動する。このようなシリンダー本体30の移動を円滑化するために、シリンダー本体30の開放端側に前後一対のローラー33を設け、そのローラー枠34をシリンダー本体30に連結している。
上記のように、シリンダー本体30の両端はランナー3のローラー枠16とローラー33のローラー枠34で、レール壁10から浮き離れた状態でガイドレール1の内部に収めてある。従って、シリンダー本体30がランナー3と同行移動するとき、その周面がガイドレール1と擦れあって摩擦抵抗となり、あるいは騒音が発生するのを解消できる。ピストンロッド31はローラー枠16を左右に貫通する状態で配置してあるので、ピストンロッド31が占めるスペースとランナー3が移行するスペースを共有化できる。従って、ランナー3のみを走行案内する断面C字形の汎用型のガイドレール1を使用して自閉装置を構成することができ、ガイドレール1内にエアーダンパー21が収容してあるにもかかわらずレール構造が特殊化しコストが嵩むのを解消できる。
ピストンロッド31の突端とガイドレール1の閉じ端との間に磁石連結構造が設けてある。磁石連結構造は、ピストンロッド31の突端に固定した磁石35とガイドレール1の閉じ端に固定した鉄板36で構成してあり、戸パネル2が閉じ位置から開放途中位置まで開放移動するとき、ピストンロッド31を移動不能に吸着保持する。ローラー枠34の開放端側には、ワイヤー24の中途部を受止めるガイドプーリー37が回転自在に支持してある。
上記の動力ユニット20の戸パネル2に対する取付けを容易化するために、図4に示すように、戸パネル2の上部の開放端寄りにばね装着部40を凹み形成し、その底壁に板バネ材で形成した弾性係合体41を固定している。取付け時には、動力ユニット20を戸パネル2の上方からばね装着部40に嵌込んで、その下部両側に張出した装着座42を弾性係合体41に圧嵌係合するだけで、動力ユニット20を戸パネル2に固定できる。従って、動力ユニット20を支持するためのブラケットやホルダーを別途設ける必要がなく、さらに、動力ユニット20をブラケットやホルダーに固定する締結構造も省略できるので、施工やメンテナンスに要する手間と時間を節約できる。
図1、図5および図6に示すように、フリーストッパーSは、U字状のプレス金具からなるホルダー44と、ホルダー44に固定した支軸45で左右傾動可能に支持される摩擦付与体46と、摩擦付与体46を傾動付勢する傾動ばね47と、高さ調整構造と、これらの組付け基体となるユニットベース48などで構成する。ユニットベース48は、左右端に締結座を有し、両締結座の間に組付座49を備えたプレス金具からなる。フリーストッパーSを床面Fに装着し、戸パネル2をガイドレール1に吊り込んだ状態では、ホルダー44と摩擦付与体46と傾動ばね47が、振止めレール5の内部に収容されている。ユニットベース48の左右の締結座は、ビス50で床面Fに固定してある。
摩擦付与体46は、ゴム層51と、ゴム層51にインサートされる金属製の補強芯体52とで構成する。詳しくは、摩擦付与体46は支軸45で軸支されるボス部53と、ボス部53の上側に突設されるくさび状の摩擦腕部54と、ボス部53の左右に突設されるばね受座55を一体に備えており、補強芯体52にボス部53と、ばね受座55を補強する座腕56が一体に形成してある。座腕56の下面にはばね掛軸57がゴム層51から突出する状態で設けてある(図7参照)。ゴム層51で形成した摩擦腕部54の先端は丸められている。ゴム層51は、天然ゴムや合成ゴムなどのゴム材(高弾性材)で形成してあればよく、例えばウレタンゴムを形成素材とすることができる。
傾動ばね47は圧縮コイルばねからなり、その上下端がばね掛軸57と、後述するガイド軸58に外嵌装着されて、ばね受座55とホルダー44の底壁に受止められている。このように、傾動ばね47の上下端をばね掛軸57とガイド軸58に係合すると、摩擦付与体46が傾動するとき傾動ばね47の上下位置が変動するのを確実に防止できるので、常に安定した状態で摩擦付与体46を傾動付勢できる。また、ガイド軸58をばね受体として利用するので構造に無駄がなく、フリーストッパーSの構造の簡素化に寄与できる。
摩擦付与体46は、その中心軸Pが支軸45の中心を通る垂直面より閉じ端側へ傾動する開放阻止姿勢(図7(b)に示す姿勢)と、前記垂直面より開放端側へ傾動する閉じ阻止姿勢(図1に示す姿勢)に切換えることができ、この姿勢切換えをより軽快に行うために、一対の傾動ばね47で摩擦付与体46を付勢している。開放阻止姿勢に切換えられた摩擦付与体46は、戸パネル2が閉じ側へ移動するとき、振止めレール5と相対的に滑るので、戸パネル2の閉じ移動が摩擦付与体46で阻害されることはない。また、閉じ阻止姿勢に切換えられた摩擦付与体46は、戸パネル2が解放側へ移動するとき、振止めレール5と相対的に滑るので、戸パネル2の開放移動が摩擦付与体46で阻害されることはない。
戸パネル2をランナー3でガイドレール1に吊り込んだ施工状態において、ランナー台14に設けた調整ねじ18を操作して戸パネル2の高さを調整することがある。このように、戸パネル2の高さを調整すると、振止めレール5のフラットな上壁(内壁面)と摩擦付与体46の密着度合い(摩擦接触の度合い)が変化してしまう。こうした場合でも、振止めレール5の上壁と摩擦付与体46の密着度合いを好適化するために、ホルダー44をユニットベース48に固定した左右一対のガイド軸58で上下スライド可能に案内支持し、ホルダー44とユニットベース48との間に、摩擦付与体46用の高さ調整構造を設けている。
高さ調整構造は、ユニットベース48の組付座49に回転可能にかしめ固定した調整ねじ60と、調整ねじ60に対応してホルダー44の底壁に形成したねじ穴61と、調整ねじ60に設けた六角形の操作部62などで構成してある。操作部62は組付座49の上面で受止められて、戸パネル2と床面Fの間の隙間に臨んでいる。従って、先の隙間から差し込んだレンチやスパナを操作部62に係合して、調整ねじ60を回動操作することにより、摩擦付与体46の高さを調整して、振止めレール5の上壁と摩擦腕部54の上部分との密着度合いを好適化できる。
ユニットベース48を利用して、その組付座49に左右一対の振止め体6が組付けてある。振止め体6は、ユニットベース48にかしめ固定した振止め軸65と、振止め軸65で回転自在に支持した振止めローラー66と、振止めローラー66を押え保持する座金などで構成してある。振止めローラー66の直径寸法は、振止めレール5の内面の前後幅より僅かに小さく設定してある。このように、ユニットベース48を利用してフリーストッパーSの左右両側に振止め体6を設けると、戸パネル2が前後に振れるのを左右の振止め体6で阻止した状態で、摩擦付与体46を振止めレール5に密着できるので、フリーストッパーSによる戸パネル2の位置保持機能を安定した状態で発揮させることができる。また、ユニットベース48を床面Fの所定位置に固定するだけで、フリーストッパーSと振止め体6を同時に組むことができるので、施工に要する手間を省くことができる。
戸パネル2が閉じ位置にあるとき、フリーストッパーSの摩擦付与体46は開放阻止姿勢に切換っている。この状態から戸パネル2を開放操作すると、摩擦腕部54の上部が振止めレール5に引きずられながら弾性変形し、摩擦付与体46の全体が支軸45の回りに時計回転方向へ回動する。このとき、閉じ端側の傾動ばね47は、開放端側の傾動ばね47に比べて、大きく圧縮変形されている。そのため、摩擦付与体46が時計回転方向へ回動するのを、傾動ばね47のばね力で補助し促進できる。そして、摩擦腕部54の上部が支軸45の中心を通る垂直面を通過したのちは、図7(a)に示すように摩擦付与体46の中心軸Pが先の垂直面より閉じ端側へ傾動して、図1に示すように閉じ阻止姿勢に切換る。そのため、摩擦付与体46が閉じ阻止姿勢に切換ったのち、戸パネル2を開放し終わるまでの間は、摩擦腕部54の上部と振止めレール5は相対的に滑るだけであり、戸パネル2を軽快に開放操作することができる。また、振止めレール5の平坦な上壁内面が摩擦腕部54に対して開放方向へ滑るため(接触状態が維持されるため)、両者の間で騒音を生じることはなく静音化できる。
戸パネル2が閉じ位置から開放操作される間、動力ユニット20からワイヤー24が繰り出され、これに伴いワイヤードラム23が回転することでぜんまいばねが巻き締められる。また、ピストンロッド31は磁石35と鉄板36の吸着力によって閉じ端側に位置保持されるため、シリンダー本体30のみが戸パネル2と同行移動する。戸パネル2を必要なだけ開放したのち戸パネル2から手を放すと、戸パネル2はぜんまいばねの付勢力を受けて閉じ位置側へ戻ろうとする。しかし、摩擦付与体46が閉じ阻止姿勢に切換っているため、戸パネル2が閉じ位置側へ移動することはなく、開放操作された位置に留まる。この状態の摩擦付与体46と振止めレール5の間の摩擦力は、ぜんまいばねの閉じ付勢力より大きい。
戸パネル2を閉じるには、戸パネル2を閉じ方向へ移動操作して、閉じ阻止姿勢になっている摩擦付与体46の姿勢を開放阻止姿勢に切換える。戸パネル2が閉じ方向へ移動操作すると、摩擦腕部54の上部が振止めレール5に引きずられながら弾性変形し、摩擦付与体46の全体が支軸45の回りに反時計回転方向へ回動する。そして、摩擦腕部54の上部が支軸45の中心を通る垂直面を通過したのちは、図7(b)に示すように摩擦付与体46の中心軸Pが先の垂直面より閉じ端側へ傾動して開放姿勢に切換る。以後は、ぜんまいばねの閉じ付勢力によって戸パネル2が閉じ位置側へ移動し、エアーダンパー21のピストンロッド31に設けた磁石35が鉄板36と接当した時点から、エアーダンパー21の制動作用によって戸パネル2をゆっくりと閉じ移動させる。
上記の実施例に係る引き戸においては、フリーストッパーSを振止めレール5内に収容し、その摩擦付与体46と振止めレール5の間の摩擦力によって、戸パネル2を任意の開放位置で停止保持できるようにした。このように、フリーストッパーSを振止めレール5内に配置すると、ガイドレール1の内部にフリーストッパーSを配置するスペースを確保する必要がないので、ガイドレール1が大形化し、あるいはレール構造が特殊化するのを解消できる。従って、コストが少なくて済む汎用型のガイドレール1を使用して、その内部に自閉装置を組むことができる。また、戸パネル2を開閉するときの摩擦腕部54は、振止めレール5に対して常に接触した状態のまま滑ることで、振止めレール5の開閉移動に追随するので、戸パネル2を開閉するとき叩打騒音や擦過騒音を生じる余地がなく、しかも、音が拡散しにくい戸パネル2の下部の振止めレール5内にフリーストッパーSを配置するので、全体としてフリーストッパーSを備えた引き戸の静音性を向上できる。
戸パネル2を吊車型のランナー3で支持する引き戸においては、その下部に振止め構造を設ける必要があるが、振止め構造を構成する既存の振止めレール5にフリーストッパーSを収容して、戸パネル2を任意の開放位置で停止保持できるので、フリーストッパーSを付加することに伴うコスト増を抑止できる。さらに、フリーストッパーSによる戸パネル2の位置保持機能をオプション機能とする場合には、既存の振止めレール5を利用してフリーストッパーSを付加すればよいので、戸パネル2に追加工を施す必要がなく、既存の引き戸にも簡便に適用できる点で有利である。従来の閉じ停止装置においては、ランナー3や自閉装置の構造や配置位置との関係を考慮して、フリーストッパーSの構造や配置形態を決める必要があるが、こうした設計上の制約がなく、設計の自由度が高い点でも有利である。
支軸45で左右傾動可能に支持した摩擦付与体46を、一対の傾動ばね47で傾動付勢して摩擦付与体46の姿勢切換えを補助するので、フリーストッパーSの姿勢切換えをより軽快に行うことができ、従って、体が不自由で非力な使用者であっても戸パネル2を軽快に開閉できる。例えば、摩擦付与体46が閉じ阻止姿勢に切換っている状態では、図1に示すように、閉じ端側の傾動ばね47は伸張変形し、開放端側の傾動ばね47は圧縮変形してばね張力が大きくなっている。そのため、戸パネル2を閉じ操作して摩擦付与体46の姿勢を開放阻止姿勢に切換える過程では、ばね張力が大きな開放端側の傾動ばね47で摩擦付与体46の反時計回転方向の傾動を補助して、戸パネル2の操作抵抗を軽減でき、その分だけフリーストッパーSの姿勢切換えを軽快に行えることになる。
(実施例2) 図8および図9は本発明に係る引き戸の実施例2を示す。実施例2に係るフリーストッパーSは、床面Fに固定されるユニットベース71と、ユニットベース71に装着した支軸72で回転自在に支持される前後一対の摩擦ローラー73・73と、ユニットベース71で左右スライド自在に案内支持したローラー軸74に装着される切換えローラー75と、ローラー軸74および切換えローラー75を互いに逆向きに移動付勢して、切換えローラー75を摩擦ローラー73・73の周面に密着させる左右一対の切換えばね76などで構成する。支軸72はユニットベース71の組付座77にかしめ固定してあり、一対の摩擦ローラー73・73は所定の前後隙間を間にして隣接している。この隣接隙間は、切換えローラー75の直径より小さく設定してある。ローラー軸74は組付座77に形成したガイド溝78で左右スライドのみ可能に案内支持してある。
摩擦ローラー73は、筒状のゴム層と、ゴム層にインサートされる金属製の補強筒軸80とで構成する。ゴム層は、天然ゴムや合成ゴムなどのゴム材(高弾性材)で形成してあればよく、例えばウレタンゴムを形成素材とすることができる。切換えローラー75はプラスチック成型品からなり、その上下長さは、摩擦ローラー73の上下長さの約半分に設定してある。切換えばね76は引張りコイルばねからなり、その一端はローラー軸74に掛止され、その他端はユニットベース71の左右に固定したピン81に掛止してある。左右の切換えばね76のばね張力は同じである。他は実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。この実施例における摩擦ローラー73は、実施例1における振止め体6を兼ねている。
ユニットベース71を床面Fにビス82で固定し、フリーストッパーSを振止めレール5内に収容した状態では、前後の摩擦ローラー73・73は、振止めレール5の前壁および後壁の内面と、切換ローラー75の周面に同時に接触して、各接触部分の摩擦力で戸パネル2を任意の開放位置で停止保持することができる。摩擦ローラー73・73は実施例1で説明した振止め体6を兼ねており、従って、実施例2における引き戸においては、振止め体6を別途設ける必要がなく、その分だけコストを削減できる。
戸パネル2が閉じ位置にあるとき、フリーストッパーSの切換えローラー75は、図8に想像線で示すようにその軸中心が両支軸72・72の中心を通る垂直面より開放端側に位置する開放阻止姿勢に切換っている。この状態から戸パネル2を開放操作すると、前後の摩擦ローラー73が振止めレール5の前壁および後壁に引きずられて、たがいに逆向きに回転する。そのため、切換えローラー75は前後の摩擦ローラー73の間に引きずり込まれる向きの摩擦力を受けて、両ローラー73・73を弾性変形させながら図8に向かって左向きに移動する。このとき、閉じ端側の切換えばね76は、開放端側の切換えばね76に比べて大きく伸長しているので、切換ローラー75の左方向への移動動作を切換えばね76のばね力で補助し促進できる。両ローラー73・73の間を通過したのちの切換ローラー75は、実線で示すように、その軸中心が両支軸72・72の中心を通る垂直面より閉じ端側に位置する閉じ阻止姿勢に切換わる。この状態では、任意の開放位置で戸パネル2の開放操作を停止すると、戸パネル2はフリーストッパーSの摩擦力によって停止保持される。なお、任意の開放位置からさらに戸パネル2を開放操作した場合には、切換えローラー75は前後の摩擦ローラー73によって離れる向きの摩擦力を受けるので、戸パネル2を抵抗なく開放できる。
戸パネル2を閉じ移動したい場合には、戸パネル2を閉じ端側へ向かって移動させる。これに伴い、前後の摩擦ローラー73が振止めレール5の前壁および後壁に引きずられて、互いに逆向きに回転し、切換えローラー75が前後の摩擦ローラー73の間に引きずり込まれる向きの摩擦力を受け、両ローラー73・73を弾性変形させながら図8に向かって右向きに通過して、開放阻止姿勢に切換る。以後は、ぜんまいばねの閉じ付勢力によって戸パネル2が閉じ位置側へ移動し、エアーダンパー21のピストンロッド31に設けた磁石35が鉄板36と接当した時点から、エアーダンパー21の制動作用によって戸パネル2をゆっくりと閉じ移動できる。
上記のように、前後一対の摩擦ローラー73と、切換ローラー75と、切換ローラー75を移動付勢する切換えばね76などで構成したフリーストッパーSによれば、調整ねじ18を操作して戸パネル2の上下高さが変化しても、摩擦ローラー73の周面と振止めレール5の接触位置がずれるだけであるので、フリーストッパーSに高さ調整構造を設ける必要がない。従って、高さ調整構造を省略した分だけ、フリーストッパーSの構造を簡素化して低コスト化できる。また、施工時や、戸パネル2の高さ調整を行うごとに摩擦ローラー73の高さを調整する手間を省くことができる。さらに、高さ調整に影響されることなく、常に一定の摩擦力を発揮させることができるうえ、床面の不陸の影響を受けない利点もある。摩擦ローラー73が振止め体6を兼ねるようにすると、別途振止め体6を設ける必要がないので、その分だけ振止め構造に要するコストを削減できる。
上記の実施例では、摩擦腕部54の上端を振止めレール5の上壁に摩擦接触させるようにしたが、その必要はない。例えば、摩擦腕部54の上部を振止めレール5の前壁または後壁に摩擦接触させ、あるいは前壁および後壁と上壁の二つの壁面に摩擦接触させて、戸パネル2を位置保持することができる。振止めレール5は、プラスチック製の条材で形成してあってもよく、その場合には、レールの上壁に摩擦調整シートを貼付けて、摩擦腕部54との摩擦力を大小に調整して好適化することができる。ばね掛軸57に換えて、傾動ばね47の端部を受け止めるばね受穴を座腕56に形成することができる。
上記の実施例以外に、傾動ばね47は引張りばねや捩じりコイルばねで形成してあってもよく、必要があれば板ばねで形成してもよい。振止め体6は、少なくとも1個設けてあれば良い。自閉装置の構造は実施例で説明した構造である必要はなく、戸パネル2のサイズや構造に応じて適宜選定すればよい。ガイドレール1の開口枠に対する取り付け形態は、インセット構造とアウトセット構造のどちらであってもよい。本発明に係るフリーストッパーSは、とくに自閉装置を備えている引き戸に適しているが、必要があれば自閉装置を備えていない引き戸に適用してもよい。
1 ガイドレール
2 戸パネル
3 ランナー
5 振止めレール
6 振止め体
20 動力ユニット
21 エアーダンパー
44 ホルダー
45 支軸
46 摩擦付与体
47 傾動ばね
48 ユニットベース
52 補強芯体
54 摩擦腕部
58 ガイド軸
60 調整ねじ
61 ねじ穴
62 操作部
F 床面
S フリーストッパー
P 摩擦付与体の中心軸

Claims (9)

  1. 戸パネル(2)が、ガイドレール(1)で吊車型のランナー(3)を介して吊下げ支持され、戸パネル(2)の下部に固定した振止めレール(5)が、床面(F)に配置した振止め体(6)で移行案内される引き戸であって、
    戸パネル(2)を任意の開放位置で停止保持するためのフリーストッパー(S)が、振止めレール(5)の内部に収容されて床面(F)に固定されており、該フリーストッパー(S)は、ホルダー(44)と、ホルダー(44)に設けた支軸(45)で左右傾動可能に支持される摩擦付与体(46)と、摩擦付与体(46)を傾動付勢する傾動ばね(47)を含み、
    摩擦付与体(46)は、その中心軸(P)が支軸(45)の中心を通る垂直面より閉じ端側へ傾動する開放阻止姿勢と、前記垂直面より開放端側へ傾動する閉じ阻止姿勢に切換え可能に構成されており、
    摩擦付与体(46)は、フラットな振止めレール(5)の内面壁に接触して、該振止めレール(5)の内壁面との間で生じる摩擦力によって戸パネル(2)を停止保持する摩擦腕部(54)を備えており、該摩擦腕部(54)が、開放阻止姿勢、閉じ阻止姿勢、および両阻止姿勢間の姿勢切換え時において、常に振止めレール(5)の内面壁に接触するように構成されていることを特徴とする引き戸。
  2. 戸パネル(2)の下端面に振止めレール(5)が埋設されて、摩擦腕部(54)の上端が振止めレール(5)の上壁に摩擦接触されており、
    振止めレール(5)の下開口面と対向する床面(F)にユニットベース(48)が固定されて、ユニットベース(48)に振止め体(6)が装着されており、
    フリーストッパー(S)のホルダー(44)は、ユニットベース(48)に固定したガイド軸(58)で上下スライド可能に案内支持されており、
    ホルダー(44)とユニットベース(48)との間に、摩擦腕部(54)の高さを調整する高さ調整構造が設けられている請求項1に記載の引き戸。
  3. 高さ調整構造が、ユニットベース(48)で回転可能に支持した調整ねじ(60)と、調整ねじ(60)に対応してホルダー(44)の底壁に形成したねじ穴(61)と、調整ねじ(60)の下部に設けた操作部(62)を備えており、
    操作部(62)が、戸パネル(2)と床面(F)の間の隙間に臨ませてある請求項2に記載の引き戸。
  4. ユニットベース(48)の左右に、振止めレール(5)を移行案内する振止め体(6)が装着されており、
    振止め体(6)が、ユニットベース(48)に固定した振止め軸(65)と、振止め軸(65)で回転自在に支持した振止めローラー(66)で構成されている請求項2または3に記載の引き戸。
  5. 摩擦付与体(46)が、ゴム層(51)と、ゴム層(51)にインサートされる金属製の補強芯体(52)で構成されて、支軸(45)で軸支されるボス部(53)と、ボス部(53)の上側に突設される摩擦腕部(54)と、ボス部(53)の左右に突設されるばね受座(55)を一体に備えており、
    前記補強芯体(52)にボス部(53)と、ばね受座(55)を補強する座腕(56)が一体に形成されている請求項1から4のいずれかひとつに記載の引き戸。
  6. ホルダー(44)が、ユニットベース(48)に固定した左右一対のガイド軸(58)で上下スライド可能に案内支持されており、
    傾動ばね(47)が圧縮コイルばねで形成されて、ばね受座(55)に設けたばね掛軸(57)とガイド軸(58)に装着されている請求項5に記載の引き戸。
  7. ガイドレール(1)と戸パネル(2)の間に、戸パネル(2)を任意の開放位置から閉じ操作する自閉装置が設けられており、
    自閉装置は、戸パネル(2)を閉じ付勢するぜんまいばねを備えた動力ユニット(20)と、動力ユニット(20)の閉じ付勢力に抗して戸パネル(2)の閉じ動作を制動するシリンダー型のエアーダンパー(21)を備えており、
    動力ユニット(20)とエアーダンパー(21)のうち、少なくとも動力ユニット(20)が戸パネル(2)の上端に設けたばね装着部(40)に装着されて、動力ユニット(20)から繰り出したワイヤー(24)の端部がガイドレール(1)の中途部に固定されている請求項1から6のいずれかひとつに記載の引き戸。
  8. 戸パネル(2)が、ガイドレール(1)で吊車型のランナー(3)を介して吊下げ支持され、戸パネル(2)の下部に振止めレール(5)が配置してある引き戸であって、
    戸パネル(2)を任意の開放位置で停止保持するためのフリーストッパー(S)が、振止めレール(5)の内部に収容されて床面(F)に固定されており、
    フリーストッパー(S)は、床面(F)に固定されるユニットベース(71)と、
    ユニットベース(71)に装着した支軸(72)で回転自在に支持される前後一対の摩擦ローラー(73・73)と、
    ユニットベース(71)で左右スライド自在に案内支持したローラー軸(74)に装着される切換えローラー(75)と、
    ローラー軸(74)および切換えローラー(75)を互いに逆向きに移動付勢して、切換えローラー(75)を摩擦ローラー(73・73)の周面に密着させる左右一対の切換えばね(76)を備えており、
    各摩擦ローラー(73・73)は、振止めレール(5)の前壁および後壁の内面と、切換ローラー(75)の周面に同時に接触して、各接触部分の摩擦力で戸パネル(2)を任意の開放位置で停止保持することができ、
    切換えローラー(75)は、その軸中心が支軸(72)の中心を通る垂直面より閉じ端側に位置する開放阻止姿勢と、前記垂直面より開放端側に位置する閉じ阻止姿勢に切換え可能に構成されており、
    開放阻止姿勢と閉じ阻止姿勢の間の姿勢切換え時に、切換えローラー(75)が一対の摩擦ローラー(73・73)を弾性変形させながら、両ローラー(73・73)の対向周面を通過することを特徴とする引き戸。
  9. 摩擦ローラー(73・73)が振止め体(6)を兼ねている請求項8に記載の引き戸。
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