図1は発電プラント運転装置の全体構成例を示す図である。この図には、需要者100に電力を供給する発電プラント110と、発電プラント110を構成する複数の個別発電ユニットPUの起動停止等のスケジュール計算を司る発電プラント運転支援装置109と、各時刻に発電プラント110が供給すべき電力を指定する給電指令装置101が示されている。
このうち発電プラント110は、複数の個別発電ユニットPUと、少なくとも1台の補助蒸気供給設備AUで構成されており、複数の個別発電ユニットPUは図示の例ではPU1、PU2、・・・PUnによるn台(n軸)構成とされている。
発電プラント110の具体構成について図2を用いて別途後述するが、基本的に同一構成とされた個別の発電ユニットPUについて第n軸発電ユニットPUnの例で説明すると概略以下のように構成されている。なお第n軸発電ユニットPUnは、第n軸スケジュール計算手段SCnと、第n軸制御装置CTnと、第n軸発電設備PWnで構成されている。
まず発電ユニットPU内の第n軸スケジュール計算手段SCnでは、発電プラント運転支援装置109側から与えられた軸スケジュール計算結果(n軸発電ユニットPUnに対する起動停止のスケジュール信号)に基づいて、第n軸発電設備PWnの起動停止スケジュールを計算する。第n軸制御装置CTnは、第n軸スケジュール計算手段SCnからの起動停止スケジュール信号に基づいて、第n軸発電設備PWnを制御する。
ここで第n軸発電設備PWnは、ガスタービンとその排熱を回収して蒸気発生する排熱回収ボイラと蒸気タービンで構成された複合発電プラントである。発電プラント110内の補助蒸気供給設備AUは、複合発電プラントの起動停止時に蒸気タービンで必要とする補助蒸気を供給する。補助蒸気供給設備AUは、発電プラント運転支援装置109側からの補助蒸気供給指令を受けて補助蒸気を発生する補助ボイラAXBを制御する補助蒸気制御装置AXBCLと、補助ボイラAXBで発生した補助蒸気を蓄積し補助蒸気制御装置AXBCLからの指令に従って補助蒸気を蓄積、供給する補助蒸気タンクAXTで構成されている。なお補助蒸気供給設備AUは、複数の発電設備PWに対して少なくとも1設備が準備され、いずれの発電設備PWに対しても補助蒸気の供給が可能な共有設備とされている。
次に発電プラント運転支援装置109の構成について説明する。発電プラント運転支援装置109は、電力供給量入力手段102により、給電指令装置101から給電指令を受信し、この給電指令通りに運転が可能となる運転スケジュールを統括スケジュール計算装置108により決定する。統括スケジュール計算装置108では、発電プラント110の各軸発電ユニットPUで実施する軸スケジュール計算手段SCnを統括してスケジュールを決定する。
統括スケジュール計算装置108内のスケジュール計算用情報設定手段103では、軸発電ユニット全体のスケジュールを計算するために、計算用の情報を運転員が手動設定する。起動スケジュール計算手段(直近起動用)104では、スケジュール計算用情報設定手段103で設定したデータSaを元に、次回に軸発電設備PWが起動するための発電プラント全体のスケジュール計算を実施し、個別軸毎の起動スケジュール計算手段SCnと情報SBの送受信を行う。情報Sbは、軸起動スケジュール計算指令/計算結果の信号である。
補助蒸気使用量算出手段105では、起動スケジュール計算手段104で定めた軸発電設備PWの起動開始から目標出力到達までの期間において使用する補助蒸気使用量を求める。また停止スケジュール計算手段(直近停止用)106では、最初に発電設備が起動するための発電プラント全体のスケジュール計算を実施し、個別軸毎の起動スケジュール計算手段SCnと情報Sdの送受信を行い、補助蒸気使用量算出手段105で求めた補助蒸気使用量を軸発電設備PWの停止過程において補助蒸気を確保するスケジュールを決める。情報Sdは、軸停止スケジュール計算指令/計算結果の信号である。これにより、軸発電設備PWの起動過程と停止過程で必要な補助蒸気量が推定算出されたことになる。
補助蒸気を確保する停止スケジュール計算手段106での処理を受けて、スケジュール計算確定手段107では直近の停止スケジュール計算および起動スケジュール計算内容で発電プラントを運転させるためスケジュールを確定させる。
確定した統括スケジュール計算装置108の結果(情報Sc)を元に、軸発電ユニットPUn内の軸スケジュール計算手段SCnで最終的な個別軸スケジュール計算が行われた結果が、軸制御装置CTnへ送信され、軸制御装置CTnの制御信号により発電設備PWnが発電運転を行い、出力電力が需要者100へ供給されることになる。
他方、起動時に使用される補助蒸気は、スケジュール計算確定手段107の結果を元に補助蒸気供給元決定手段111において補助ボイラAXB、補助蒸気タンクAXT、運転軸(他軸含)からの最適な補助蒸気供給手段を決定する。その結果は補助蒸気全体の制御を行う補助蒸気制御装置AXBCLへ送信され、さらに補助ボイラAXB、補助蒸気タンクAXTへ送信されて、補助蒸気を効率良く軸発電設備PWへ供給可能となる。なおここで、補助ボイラAXB、補助蒸気タンクAXT、運転軸(他軸含)は補助蒸気の供給源となる設備である。
このようにして、発電プラントの運転支援装置109におけるスケジュール計算では、発電設備毎(軸毎)の起動過程に必要な補助蒸気量を停止開始実行前に実施するスケジュール計算により算出し、この起動過程に必要な補助蒸気量を確保するために、停止過程時のスケジュールにより補助蒸気量の保管および補助ボイラの起動停止を含めた蒸気量を必要量分だけ確保するために効率的にスケジュールを図り、最適かつ必要最小量の補助で起動を可能とする運転スケジュールを決定している。つまり、停止時に実施する停止起動スケジュール計算手段おいて、各軸の次回起動時に必要な蒸気量を算出し起動時に必要な各軸合計蒸気量を確保する運転方法を決定するスケジュール計算を実施している。
なお図1では、発電プラント110と運転支援装置109の構成を示しているが、本発明における発電プラントの運転装置は、発電プラント(軸発電設備や補助ボイラ、補助蒸気タンクといった主機や補機)に対する制御部分(運転支援装置109、軸スケジュール計算手段SC軸制御装置CT、補助蒸気制御装置AXBCL)として把握している。
図2は軸発電ユニットPUの具体構成例を示す図である。図1に示したように軸発電ユニットPUは、第1軸発電設備PU1から第n軸発電設備PUnまでのn組で構成されている。図2ではそのうちの第n軸発電ユニットPUnを例にして詳細構成を説明するが、他の軸発電ユニットPUも基本的には同じ構成とされている。
図2の第n軸発電設備PUn内の軸発電設備PWnについて具体的に説明する。複合発電プラントを構成する軸発電設備PWでは、ガスタービンGTと蒸気タービンSTにより発電機GENを起動する。このうちガスタービンGTを主要機器とするガスタービン設備は、空気流量調節弁VAにより調節して取り込んだ空気Aを圧縮する空気圧縮機COMPと、空気圧縮機COMPと燃料量調節弁VFにより調節して取り込んだ燃料Fを用いて燃焼を行なう燃焼器COMBと、高圧燃焼ガスで駆動されるガスタービンGTなどで構成されている。ガスタービンGTの出力は、空気量、燃料量により決定されることから、第n軸制御装置CTnからの制御信号により空気流量調節弁VAと燃料量調節弁VFの開度制御を行う。
ガスタービンGTで仕事をした後の燃焼排ガスは高温高圧であることから、複合発電プラントでは、ガスタービンGTの保有エネルギーを回収するために蒸気タービンSTを備える。蒸気タービンSTを主要機器とする蒸気タービン設備は、ガスタービン燃焼排ガスで給水Wを加熱して蒸気を得る排熱回収ボイラHRSGと、蒸気で駆動される蒸気タービンSTと、蒸気タービンSTから排出された蒸気を復水して再度水に戻して再利用するための復水器CONDなどで構成されている。蒸気タービンSTの出力は、給水量Wにより決定されることから給水量調節弁VWを備えて、第n軸制御装置CTnからの制御信号により給水量調節弁VWの開度制御を行う。発電機GENは、ガスタービンGTと蒸気タービンSTにより駆動されて発電を行なう。
以上のように、複合発電プラントを構成する軸発電設備PWは、軸発電ユニットPUごとに設けられた軸制御装置CTnにより駆動される。軸制御装置CTnは、軸スケジュール計算手段SCnからの制御指令を受けて当該軸の軸発電設備PWnを制御する。軸制御装置CTnの具体的な操作端は、燃焼器COMBに与える燃料Fの供給量を制御する燃料流量調節弁VF、排熱回収ボイラHRSGに与える給水Wの供給量を制御する給水流量調節弁VW、空気圧縮機COMPに与える空気量を制御する空気流量調節弁VAなどである。図2においてS1、S2、・・・Snは、軸制御装置CT1、CT2、・・・CTnが軸発電設備PWに与える制御信号であり、記号S1、S2、・・・Snに付した記号A、F、Wはそれぞれ空気、燃料、給水を意味している。
なお、第1軸発電設備PW1については、第1軸スケジュール計算手段SC1の制御指令により第1軸制御装置CT1を経由して第1軸発電設備PW1を制御する。第2軸発電設備PW2についても第1軸発電設備PW1と同様である。
他方、統括スケジュール計算装置108からの信号を受けた補助蒸気供給元決定手段111では、補助蒸気供給方法を決定して補助蒸気制御装置AXBCLへ送信する。補助蒸気制御装置AXBCLは、この制御信号を元に補助ボイラAXBの起動停止を制御する。また補助蒸気制御装置AXBCLは、補助ボイラ蒸気供給弁VBを介して補助蒸気ヘッダAXHへ、補助ボイラAXBで発生した補助蒸気を供給する。さらに補助蒸気制御装置AXBCLは、補助蒸気タンクAXTへ蒸気保管する場合は、補助蒸気タンクA蒸気連絡弁VTAを調節して蒸気保管を実施する。さらに補助蒸気制御装置AXBCLは、軸発電ユニットPWから補助蒸気ヘッダAXHへの蒸気抽出を軸蒸気抽出弁VSnの制御により送気し、逆に補助蒸気ヘッダAXHから軸発電ユニットPWへの蒸気供給を軸蒸気供給弁VRnにより受気を行う。このように補助蒸気制御装置AXBCLは、補助ボイラAXBの制御ばかりでなく、補助蒸気タンクAXTや運転軸(他軸含)の補助蒸気制御も含めた、補助蒸気供給源の全体制御を実行している。
図3は軸起動時における補助蒸気使用量を説明する図である。図3の最上段には、1組の軸発電設備PWを用いて、指示された時刻に目標出力達成するために必要な軸発電設備PWの起動予定スケジュール状況300を示している。この軸発電設備PWの起動予定スケジュール状況300は、統括スケジュール計算装置108と軸スケジュール計算手段SCにおけるスケジュール計算結果として求められたものである。
このスケジュールによれば、例えば指示された予定時刻txに目標出力達成するためには、複合発電プラントは、最初に時刻t1において発電ユニットを起動開始した後、時刻t2において真空上昇開始し、時刻t3においてガスタービンGTを起動し、時刻t4において蒸気タービンSTを起動し、時刻t5において発電機GENの電力系統併入を行ない、その後徐々に出力を上昇させ目標出力に到達して起動完了する必要がある。軸発電ユニットPUn内の第n軸スケジュール計算手段SCnでは、上記時刻における機器操作信号を定めている。
図3の上から2段目、3段目、4段目には、上記起動予定スケジュールを実行するときに、複合発電プラントの各部で使用する各種補助蒸気の量と、使用開始する時期を示している。
図3の上から2段目には、この起動予定時のグランド蒸気使用量301を示している。グランド蒸気とは、蒸気タービンSTのグランドシールに用いる蒸気であり、起動予定スケジュールの真空上昇開始前(時刻t1とt2の間)から蒸気量X1(t/h)の使用を開始し、目標出力到達時刻txまで常時使用する(なお目標出力到達時刻以降も継続して使用する)。目標出力到達時刻までのグランド蒸気使用時間はT1(h)であることから、蒸気量X1(t/h)に使用時間T1(h)を乗算したグランド蒸気使用量Y1(t)が必要となる。
図3の上から3段目には、この起動予定時の脱気蒸気使用量302を示している。脱気蒸気とは、排熱回収ボイラHRSGに供給する給水に含まれている酸素を除去するために図示せぬ脱気器に供給するための蒸気であり、起動予定スケジュールの真空上昇開始(t2以降)後から蒸気X2(t/h)の使用を開始し、ガスタービンGTの起動開始後(時刻t3)間において使用する。脱気蒸気使用時間はT2(h)であることから、蒸気量X2(t/h)に使用時間T2(h)を乗算した脱気蒸気使用量Y2(t)となる。
図3の上から4段目には、この起動予定時のクーリング蒸気使用量303を示している。クーリング蒸気とは、蒸気タービンが風損により加熱されることを防止するために必要な蒸気であり、起動予定スケジュールの真空上昇開始(t2以降)後から蒸気量X3(t/h)の使用を開始し、併入(時刻t5)までの期間において使用する。クーリング蒸気使用時間はT3(h)であることから蒸気量X3(t/h)にT3(h)を乗算したクーリング蒸気使用量の合計使用量はY3(t)となる。
図3の最下段には、この起動予定スケジュールで使用する必要蒸気使用量304として、時刻毎にグランド蒸気使用量、脱気蒸気使用量、クーリング蒸気使用量を合計した量を示している。なお本発明において補助蒸気とは、排熱回収ボイラで発生した蒸気のうち蒸気タービンでの発電に寄与する主蒸気に対応した用語であり、タービン周りで使用する蒸気(グランド蒸気使用量、脱気蒸気使用量、クーリング蒸気使用量)を意味している。また本発明では、タービン周りで使用する蒸気(補助蒸気)が不足する場合に備えて、補助蒸気供給源から与える蒸気のことを補助蒸気ということがある。
図3では、電力要求を1組の軸発電設備で賄える場合の必要蒸気量(補助蒸気)を説明したが、これに対し図4は、電力要求をn組の軸発電設備で賄う場合に必要となる合計の必要蒸気量(補助蒸気)を説明している。
図4には、複数軸起動時における補助蒸気使用量を示している。図4の最上段には、給電指令装置101からの要求電力400の一例を示している。ここでは、最終的に時刻txnにおいてn組の軸発電設備により要求電力400を達成することが求められている。またその前提として時刻tx2において2組の軸発電設備により要求電力400を達成し、さらにその前の時刻tx1において1組の軸発電設備により要求電力400を達成することが求められている。
図4の上から2段目、3段目、4段目にはそれぞれ第1軸発電設備PW1、第2軸発電設備PW2、第n軸発電設備PWnにおける起動予定スケジュール状況401、402、403を示している。起動予定スケジュール状況401、402、403のそれぞれは、機器操作の時刻が相違しているものの、図3で説明したと同じ考えに従い、必要な補助蒸気量が定まる。図4の最下段には、時間的にずれて起動される複数の軸発電設備による合計の出力電力及び合計の補助蒸気量の時間変動量が示されている。
図4では、各個別の軸発電設備PW毎の起動予定時刻別の必要蒸気使用量を求めており、各個別軸が複数軸、順番に起動するタイミングについて、給電指令装置101の要求電力400では1軸目標出力が矩形の要求電力として給電指令装置101から要求されることを示している。2軸目標出力も矩形の要求電力として給電指令装置101から要求され、合計要求電力は1軸目標出力と2軸目標出力の合計出力値となる。n軸目目標出力についても同様の考え方となる。
1軸目目標出力に特化して記載したのが第1軸の出力電力と必要蒸気量401であり、図3の起動予定スケジュールに相当する必要蒸気使用量304で求めた必要蒸気量となる。出力電力は矩形の要求電力を発電するためにガスタービンGTの起動、蒸気タービンSTの起動、発電機GENの電力系統併入を行ない、徐々に出力上昇させ目標出力になる出力上昇カーブとなる。第2軸の場合は第2軸の出力電力と必要蒸気量402となり第1軸と同様となる。第n軸についても第n軸の出力電力と必要蒸気量403となる。各軸の出力電力と必要蒸気量は発電プラントの出力電力と必要蒸気量404に示すように、第1軸から第n軸の起動予定スケジュールに相当する時刻別毎に各軸のグランド蒸気使用量、脱気蒸気使用量、クーリング蒸気使用量を合計した必要蒸気量を示しており、出力電力についても第1軸から第n軸の時刻別毎に合計した出力電力カーブとなる。
図5は補助蒸気設備AUの構成例を説明する図である。補助蒸気設備AU内の補助蒸気制御装置AXBCLでは、初期起動時は補助蒸気が無いため補助ボイラAXBを起動させ、補助ボイラAXBで発生した蒸気を、補助蒸気ヘッダAXHを介して各軸発電設備PWの起動用蒸気として使用する。第1軸から第n軸発電設備PWのうち何れか1軸が運転中の場合、運転軸から蒸気を抽出し蒸気抽出弁VSから補助蒸気ヘッダAXHへ送気され、補助蒸気ヘッダAXHから他軸へ蒸気供給弁VRを介して供給する。
軸発電設備PWの全軸が停止している場合は補助蒸気が無いので、補助蒸気を供給するために補助ボイラAXBを設置している。さらに複数軸が順次起動する場合は補助蒸気が不足する。この不足分を補うために一時的に補助蒸気を保管して使用するための補助蒸気タンクAXTを設置している。補助蒸気タンクAXTに一時保管する補助蒸気は使用する蒸気量が変化することから、この変化分に対応する様に補助蒸気タンクを複数台(AXTA、AXTB、AXTC)準備し、各補助蒸気タンクAXTは補助蒸気タンク連絡弁VTを介して送気・受気を行ない、軸発電設備PWには補助蒸気ヘッダAXHを介して供給する。
補助蒸気供給元決定手段111から補助蒸気制御装置AXBCLに与えられる制御信号に従い、補助蒸気制御装置AXBCLは、補助ボイラAXBの起動停止を行い、補助ボイラ蒸気供給弁VBの供給/停止を行い、補助ボイラ蒸気もしくは発電設備の抽出蒸気を一時的に保管する補助蒸気タンクへの受気および補助蒸気タンクからの送気を司る補助蒸気タンク蒸気連絡弁VTの開/閉を行い、発電設備から補助蒸気ヘッダへの送気用の蒸気抽出弁VSの開/閉を行い、補助蒸気ヘッダから発電設備への受気用の蒸気供給弁VRの開/閉を行う各種の制御を実行する。
図6は、軸起動時の必要蒸気量と補助蒸気タンク必要台数の関係を説明する図である。この図において点線で示す必要蒸気量は、図4で説明した合計の必要蒸気量(404参照)の例を示している。合計の必要蒸気量は、複数の軸発電設備を順次起動した場合に得られたもので、図6の例では時刻t61において1軸目の蒸気使用開始し、t62において2軸目の蒸気使用開始し、t63において1軸目を電力系統に併入し、t64において1軸目が蒸気供給開始(最低安定出力)し、t65において1軸目が目標出力到達し、t66において2軸目を電力系統に併入し、t67において2軸目が蒸気供給開始(最低安定出力)し、t68において2軸目が目標出力到達したという条件での必要蒸気量算出事例を示している。この結果、1軸目が蒸気供給開始(最低安定出力)した時刻t64以降は横棒の区間K1で示すように1軸目から送気される蒸気を供給蒸気量として利用可能となる。同様に、2軸目が蒸気供給開始(最低安定出力)した時刻t67以降は縦棒の区間K2で示すように2軸目から送気される蒸気を供給蒸気量として利用可能となる。この結果図6の事例では、時刻t69以降は他からの補助蒸気を用いずとも、起動軸からの供給で賄うことができている。
図6を用いて、起動の際に必要になる補助蒸気量の合計と、他の軸あるいは補助ボイラから供給できる供給蒸気量の合計に基づいて、その差としての合計使用蒸気量と、補助蒸気を蓄積しておく補助蒸気タンク必要台数の関係について説明する。
まず起動の際に必要になる蒸気量について説明する。図6において、1軸あたりの軸起動時の必要蒸気量は、図3の起動予定スケジュールに相当する必要蒸気量304で求めたものである。合計必要蒸気量(t)はグランド蒸気、脱気蒸気、クーリング蒸気の加算値である。このうち、グランド蒸気必要蒸気使用量Y1は1軸目グランド蒸気使用量X1(t/h)に1軸目グランド蒸気使用時間T1(h)を乗算することにより求められる。脱気蒸気必要蒸気使用量Y2は1軸目脱気蒸気使用量X2(t/h)に1軸目脱気蒸気使用時間T2(h)を乗算することにより求められる。クーリング蒸気必要蒸気使用量Y3は1軸目クーリング蒸気使用量X3(t/h)に1軸目クーリング蒸気使用時間T3(h)を乗算することにより求まる。発電プラント全体としての合計必要蒸気量は全軸の必要蒸気量の加算となることから、n軸合計のグランド蒸気必要蒸気使用量、n軸合計の脱気蒸気必要蒸気使用量、n軸合計のクーリング蒸気必要蒸気使用量を合計することにより求まる。図6において点線で示した部分が発電プラント全体としての合計必要蒸気量の時系列的変化を示している。
次に他の軸あるいは補助ボイラから供給できる供給蒸気量の合計について説明する。軸起動に対する供給蒸気量は、1軸目からの供給蒸気量(t/h)に1軸目からの供給時間(h)を乗算することにより求まる。発電プラント全体としての合計必要蒸気量は全軸の必要蒸気量の合計となり、さらに補助ボイラから供給することも可能であることから、補助ボイラ供給蒸気量に補助ボイラ供給時間を乗算した補助ボイラ供給量を加算したものとなる。図6において横棒及び縦棒で示した部分Kが発電プラント全体としての合計供給蒸気量を示している。
次に発電プラント全体としての合計使用蒸気量について説明する。合計使用蒸気量は、合計必要蒸気量から合計供給蒸気量を差し引いた量となる。この結果を受けて、補助蒸気タンクに一時的に蒸気を保管する場合の補助蒸気タンク台数は、合計使用蒸気量に蒸気容積係数を乗算することにより合計使用蒸気量の重量に相当する容積を求め、この容積を補助蒸気タンク1台あたりの容積で除算して補助蒸気タンク必要台数が求まる。
図5、図6の説明から明らかなように本発明においては、補助蒸気タンクに保管する蒸気量に相当する補助蒸気量から補助蒸気タンクの必要容積量を求めることにより、補助蒸気を一時保管するために使用する補助蒸気タンクの台数が求める。また補助ボイラから補助蒸気ヘッダへ送気するために必要な補助ボイラ蒸気供給弁(補助ボイラから補助蒸気ヘッダ間の弁)、補助蒸気タンクへ送気するために必要な補助蒸気タンク蒸気供給弁(補助蒸気ヘッダから補助蒸気タンク間の弁)、必要な補助蒸気量を保管する補助蒸気タンクを接続するために必要な補助蒸気タンク蒸気連絡弁(補助蒸気タンク間の弁)、およびこれらの弁の開閉タイミングを制御し最適に補助蒸気タンクに必要蒸気量を確保するスケジュール計算を実施している。
図7は運転軸停止後から再起動する場合の必要蒸気量確保方法を説明する図である。図6は、軸発電設備の停止状態が長時間に及び、その結果再起動時に他からの補助蒸気供給が見込めないケースでの必要蒸気量などを図示している。これに対し、多くの複合発電プラントはガスタービン起動の簡便さゆえに、毎日起動停止運転を行うことが多く、従って再起動時に前日の稼働時に蓄積した蒸気を利用可能な場合が多い。図7では、前日の運転を受けて蓄積された蒸気の再利用を図ることを説明する。
図7において、給電指令装置101の要求電力700は、要求電力が一時零となり一定時間経過後に徐々に増加している状況を示している。この矩形の要求電力に対し発電プラントをどの時点で起動させ目標出力時点で要求電力に合わせ込むかについてスケジュール計算を行うことにより、実運転に相当するスケジュールカーブが作成される。これを必要蒸気量停止予定軸からの補助蒸気タンクへ一時保管後に起動用として使用することを説明する。
図7の下の図において、t71は軸発電設備(自号機)の停止に向けて停止/起動スケジュール計算を実施した時点、t72は自号機の停止に向けてスケジュール操作開始した時点、t73は自号機から補助タンクへの蒸気供給開始した時点、t74は蒸気供給を停止し自号機の出力が低下開始したことを表している。これにより、時刻t73からt74までの補助蒸気タンクへの蒸気保管必要時間内に、斜線で示す量の蒸気量Qが確保されている。その後時刻t75において自号機が電力系統から解列された。
その後、給電指令装置101からの要求電力達成をn軸の発電設備により実現すべく、時刻t76において起動に向けた一連のスケジュール操作が開始される。これに従い、時刻t77では1軸目に蓄積蒸気Qの利用が開始され、時刻t79で1軸目が電力系統に併入され、時刻t80において1軸目が蒸気供給開始(最低安定出力)する。また時刻t78では2軸目に蓄積蒸気Qの利用が開始され、時刻t81で2目が電力系統に併入され、時刻t84において2軸目が蒸気供給開始(最低安定出力)する。このケースでは、2軸目からの蒸気供給により時刻t81以降は蓄積された補助蒸気Qを使用しなくても自己調達可能となる。
このように図7では、先行する軸発電設備が停止する過程において軸発電設備から蒸気を抽出し、補助蒸気タンクへ一時的に保管する。その後、後行する軸発電設備が起動開始して蒸気利用開始した時点から、補助蒸気タンクの保管蒸気Qを起動用蒸気として利用する。軸が起動して運転軸となり、最低安定出力以上となると運転軸側から蒸気を供給することが可能となるため、複数軸が一定時間間隔で順次起動する場合に補助蒸気タンクだけでは不足する蒸気量を補うことが可能となる。
1軸目の蓄積蒸気Qの利用開始時点から順次起動の全軸が最低安定出力となる期間の合計必要蒸気量を求め、この必要蒸気量を必要な全期間において確保するために、補助蒸気タンク蒸気量と運転軸の抽出蒸気量の関係から起動軸の必要蒸気量を最適に供給する。停止する軸から蒸気を補助蒸気タンクへ一時的に蒸気を保管する。運転軸から供給できる条件は最低安定出力以上であることが必要であるため、最低安定出力以下になる前の時間帯で補助蒸気タンク保管必要時間分を確保することが必要である。補助蒸気タンクに保管した蒸気を軸起動時に必要なグランド蒸気、脱気蒸気、クーリング蒸気として利用する。複数軸が順次起動する場合は最低安定出力以上となった軸から順番に運転軸から蒸気供給開始となり、補助蒸気タンクからの蒸気だけでは不足する蒸気を補完することができる。
図7に示したように本発明においては、1軸以上の発電設備が運転している状況から全軸を停止させた後、再度1軸以上を起動(順次起動を含む)させるタイミングにおいて、軸起動に必要な蒸気量を軸の停止過程時に運転軸の排熱回収ボイラから蒸気を抽出して補助蒸気タンクへ一時的に保管しておくことにより、この保管蒸気を各軸が起動時に必要な蒸気量として使用することにより、補助ボイラを起動させる必要が無くなるため、補助ボイラの起動時間を各軸の起動所要時間に含める必要が無いことから、各軸に関係する起動所要時間分のみを考慮したスケジュール計算を実施している。
図8は運転軸停止後から再起動する場合の必要蒸気量保管および蒸気利用概念を説明する図である。この図では、横軸に先行機の停止スケジュール期間及び後行機の起動スケジュール期間を示している。縦軸左には先行機の停止に先立ち補助蒸気タンクに蓄積保管する蒸気積算量を、縦軸右などには操作スケジュールに従う処理内容を示している。
図8左側の停止スケジュールと左縦軸において、t89は先行する停止予定軸から補助蒸気タンクへ蒸気供給開始する時刻であり、t90は先行する停止予定軸から補助蒸気タンクへ蒸気供給を終了した時刻である。またQ1は、起動スケジュール計算で算出した補助蒸気保管量と同量の蒸気量を運転軸が停止過程で供給した蒸気量を表している。
図8右側の起動スケジュールと右側軸において、t81は1軸目の蒸気利用開始、t83は電力系統への併入、t84は蒸気供給開始、t85は目標出力達成の時刻を示している。またt82は2軸目の蒸気利用開始、t86は電力系統への併入、t87は蒸気供給開始、t88は目標出力達成の時刻を示している。またQ2は発電プラント全体(全軸分)で起動完了までに必要な必要蒸気量、Q3は補助蒸気タンクの蒸気保管量、Q4は1軸目からn軸目による蒸気供給量、Q5は1軸目と2軸目による蒸気供給量である。
この図に示すように、必要蒸気量/補助蒸気タンク保管蒸気量の関係800は、横軸が発電軸の起動経過時間を示し縦軸が蒸気積算量である。最初に右側の起動スケジュールにおいて軸起動用として必要な必要蒸気量を発電プラント全体(全軸分)起動完了迄の必要蒸気量Q2を算出し、ここから各運転軸から供給する蒸気供給量Q4を引いた残りの蒸気量Q5が補助蒸気タンクに保管した蒸気量を使用することになる。次に左側の停止スケジュールで起動時に必要な起動スケジュール計算で算出手段した補助蒸気タンク保管蒸気量と同量の蒸気量を、運転軸が停止過程で抽出する蒸気量Q1を補助蒸気タンクへの蒸気供給開始から蒸気供給終了で確保する。
図6、図7、図8の説明から明らかなように本発明においては、発電ユニット停止前に実施する停止スケジュール計算および次回起動予定の起動スケジュール計算の両計算の実施時おいて、各軸の順次起動時に必要な各軸合計蒸気量から補助ボイラの起動により発生する蒸気量および停止する運転軸から抽出する蒸気量を差し引いた差分蒸気量を補助ボイラから補助蒸気タンクへ保管する蒸気量とするスケジュール計算を実施している。
また図8の説明から明らかなように本発明においては、全軸の発電設備が完全停止している状況から各軸を順次起動させるタイミングにおいて、補助ボイラを起動させて各軸の起動用蒸気として使用するにあたり、補助ボイラの発生蒸気だけでは各軸が順次起動するために必要とする蒸気量が不足する場合、各ユニット軸を起動させる前に補助ボイラを予め起動させ、補助ボイラから発生した補助蒸気を補助蒸気タンクに一時的に保管することにより、この保管蒸気を各軸の起動時に必要な蒸気として使用することにより、火力発電プラント全体として補助蒸気使用量の制約を受けないスケジュール計算を実施している。
図9は全軸停止状態から再起動する場合の必要蒸気量確保方法を説明する図である。図9の上側には、全軸停止状態から全軸を用いて再起動する場合の給電指令装置の要求電力を示している。このケースでは、起動に先立ち他の先行機が存在せず、蒸気の支援が期待できないので補助ボイラを起動し、ここから補助蒸気を確保することになる。
このため図9の下側の時間軸において、時刻t91では起動スケジュール計算を実施し、時刻t92では起動スケジュール操作開始し、また時刻t93では補助ボイラを起動しておき、時刻t94から補助ボイラによる蒸気供給開始可能な状態としておく。係る状態から各軸の発電設備を起動していくことになるが、図9の時刻t95における蒸気利用開始以降の各操作内容については今までの説明から容易に類推できるため、個別の説明を省略する。なお補助ボイラによる蒸気供給は、2軸目の発電設備が蒸気を安定供給できる時刻t100までの期間実施される。
この場合の必要蒸気量の供給経路としては、A:補助ボイラから起動用補助蒸気を直接供給、B:補助ボイラから補助蒸気タンクへ一時保管した蒸気を使用、C:第1軸目からの供給蒸気を使用、D:第2軸目からの供給蒸気を使用する、という4パターンがある。
図10は全軸停止状態から再起動する場合の必要蒸気量保管および蒸気利用概念図を説明する図である。この図では、横軸に起動スケジュール期間を示している。縦軸左には補助蒸気タンクに蓄積保管しあるいは補助ボイラから供給する蒸気積算量を、縦軸右などには操作スケジュールに従う処理内容を示している。
図10の左縦軸において、t109は補助ボイラから補助蒸気タンクへ蒸気供給開始する時刻であり、t110は補助ボイラから補助蒸気タンクへ蒸気供給を終了した時刻であり、t111は補助ボイラから補助蒸気タンクへ蒸気供給終了する時刻である。またQ1は、起動スケジュール計算で算出した補助蒸気タンク保管所蒸気量と同量の蒸気量を補助ボイラから供給する蒸気量を表している。
図10右側軸において、t101は1軸目の蒸気利用開始、t103は電力系統への併入、t104は蒸気供給開始、t105は目標出力達成の時刻を示している。またt102は2軸目の蒸気利用開始、t106は電力系統への併入、t107は蒸気供給開始、t108は目標出力達成の時刻を示している。またQ2は発電プラント全体(全軸分)で起動完了までに必要な必要蒸気量、Q3は補助蒸気タンクの蒸気保管量、Q4は1軸目からn軸目による蒸気供給量、Q5は1軸目と2軸目による蒸気供給量、Q6は補助ボイラが起動完了後に起動軸へ供給可能な蒸気量である。
この図に示すように必要蒸気量/補助蒸気タンク保管蒸気量の関係1000は、横軸が発電軸の起動経過時間を示し縦軸が蒸気積算量である。停止状態から起動するため起動スケジュール計算のみを行うことになる。最初に起動スケジュールにおいて軸起動用として必要な必要蒸気量を発電プラント全体(全軸分)起動完了迄の必要蒸気量Q2を算出し、ここから各運転軸から供給する蒸気供給量Q4を引いた残りの蒸気量Q3が補助蒸気タンクに保管した蒸気量Q1を使用することになる。次に起動スケジュールの再計算を行い起動時に必要な起動スケジュール計算で算出手段した補助蒸気タンク保管蒸気量と同量の蒸気量を補助ボイラから供給する蒸気量を補助蒸気タンクへ確保する。
図11は補助蒸気供給方法を説明する図である。先に述べたように、統括スケジュール計算装置108からの指示により補助蒸気供給元決定手段111で蒸気の供給手段を決め、補助蒸気制御装置AXBCLから補助ボイラAXBの起動停止、蒸気抽出弁VS、蒸気供給弁VR、補助蒸気タンクA蒸気連絡弁VTA、補助蒸気タンクB蒸気連絡弁VTB、補助蒸気タンクC蒸気連絡弁VTCの開閉のタイミングを制御する。
この場合に、起動軸(第1軸発電設備PW1)への補助蒸気供給ルートは以下の3パターンとなる。第1ルートR1は運転軸PW2(他軸含)の供給蒸気を起動中の発電設備PW1へ供給するルート、第2ルートR2は補助蒸気タンクAXTの蒸気を起動中の発電設備PW1へ供給するルート、第3ルートR3は補助ボイラAXBの発生蒸気を起動中の発電設備PW1へ供給するルートである。他方、補助蒸気タンクへAXTの蒸気供給ルートは以下の2パターンとなる。第4ルートR4は運転軸PW2(他軸含)から補助蒸気タンクAXTへ供給するルート、第5ルートR5は補助ボイラAXBから補助蒸気タンクAXTへ供給するルートとなる。
上記本発明のスケジュール計算では、補助ボイラ蒸気と補助蒸気タンク蒸気を有効利用するのが効果的な場面がある。例えば1軸以上の発電設備が運転している状況から全軸を停止させた後、再度1軸以上を起動(順次起動を含む)させるタイミングにおいて、軸起動に必要な蒸気量を軸の停止過程時に運転軸の排熱回収ボイラから蒸気を抽出して補助蒸気タンクへ一時的に保管しておくことにより、この保管蒸気を各軸が起動時に必要な蒸気量として使用する時、起動対象軸が規定時間幅での順次起動を行うと補助蒸気タンクに保管した蒸気量だけでは不足する場合がある。
係る状況において本発明では、補助蒸気タンクの保管蒸気を使用した軸が起動する間に補助ボイラが起動完了すると蒸気供給が可能となるため、補助蒸気タンクのみでは軸起動時に不足する蒸気量を補助ボイラと合わせた合計蒸気量で運転を可能とするスケジュール計算を実施する。
また上記本発明のスケジュール計算では、起動完了軸の供給蒸気と補助蒸気タンク蒸気を有効利用するのが効果的な場面がある。例えば1軸以上の発電設備が運転している状況から全軸を停止させた後、再度1軸以上を起動(順次起動を含む)させるタイミングにおいて、軸起動に必要な蒸気量を軸の停止過程時に運転軸の排熱回収ボイラから蒸気を抽出して補助蒸気タンクへ一時的に保管しておくことにより、この保管蒸気を各軸が起動時に必要な蒸気量として使用する時、起動対象軸が規定時間幅での順次起動を行うと補助蒸気タンクに保管した蒸気量だけでは不足する場合がある。
係る状況において本発明では、補助蒸気タンクの蒸気で軸が順次起動していくことになるため、順次起動軸において起動時刻の遅い軸を起動させる場合、順次起動軸の早い時刻に起動した軸は自軸から他軸へ蒸気を供給できる起動完了状態となり、補助蒸気タンクのみでは不足する蒸気を蒸気量を運転軸からの発生蒸気と合わせた合計蒸気量で運転を可能とするスケジュール計算を実施する。
また上記本発明のスケジュール計算では、補助ボイラ蒸気と補助蒸気タンク蒸気を有効利用するのが効果的なのか、それとも起動完了軸の供給蒸気と補助蒸気タンク蒸気を有効利用するのが効果的なのかを判別選択して実行するのがよい。つまり、1軸以上の発電設備が運転している状況から全軸を停止させた後、再度1軸以上を起動(順次起動を含む)させるタイミングにおいて、補助蒸気タンクに一時的に保管した蒸気量だけでは不足する蒸気量を、補助ボイラを起動させて蒸気を確保するのか、もしくは早めに起動した軸からの抽出蒸気を利用して蒸気を確保するのかの最適な方法を運転員の手動での選択とするか、若しくは自動で選択するかの機能を有したスケジュール計算を実施する。
図12はスケジュール計算用情報設定手段における補助蒸気供給元優先順位選択を説明する図である。図12は、図1の発電プラント運転支援装置109に設けられたモニタ(図示せず)の表示画面90の一表示例として、スケジュール計算用情報設定操作画面を示している。この表示例では、補助蒸気供給元優先順位選択画面1200を示しており、この画面を用いて起動軸に補助蒸気を供給するルートRを選択し、あるいは表示する。
画面1200の高さ方向には、モード選択として自動、手動の区分が表示されており、いずれかが選択可能である。また横軸の補助蒸気供給元の欄には、自動の場合に「蒸気供給元の自動選択」、手動の場合に、起動軸に補助蒸気を供給する供給元として、「補助蒸気タンク:(補助蒸気タンクに一時保管して供給するパターン)」、「補助ボイラ:(補助ボイラを起動させて補助ボイラから蒸気を供給するパターン)」、「運転軸(他軸含):(運転軸(他軸含)から蒸気を抽出して供給するパターン)」の3通りが表示されている。また横軸の供給元優先順位には、優先順位が表示される。
自動モードでは、3通りの補助蒸気供給元をプラント状況から自動で判断して決定する。手動モードでは、運転員が画面から手動にて選択して補助蒸気供給元を決定する。自動モードおよび手動モードは画面のモード選択機能により行う。自動モードの場合は、自動で判断した補助蒸気供給元について、例えば補助蒸気タンクからとする場合は「タンク」の文字を、補助ボイラからとする場合は「ボイラ」の文字を、運転軸(他軸含)からとする場合は「運転軸」の文字をそれぞれ表示し、運転員に対し供給元を把握しやすくする。また図12の表示例では自動モードの場合に第1位のものを「XXX」、第2位のものを「YYY」、第3位のものを「ZZZ」と表記している。
手動モードは運転員がスケジュール計算実行前に補助蒸気供給元を設定するモードであり、補助蒸気タンクから蒸気供給するパターン、補助ボイラから蒸気供給するパターン、運転軸(他軸含)から蒸気供給するパターンについて、運転員がスケジュール計算実行前に補助蒸気供給元を設定することになる。画面の選択方法は手動で画面から優先順位ボタンを押下する。
図12の表示例は供給優先順位1位が補助蒸気タンクの場合を示し、補助蒸気タンク優先順位1位を選択すると当該ボタンB1が反転表示となる。選択は後着優先とすることから、後から押下されたボタンの供給元が選択されることになる。補助蒸気タンク優先順位2位についても優先順位1位と同様となるが、図の例で示すように優先順位1位で補助蒸気タンクが選択された場合は優先順位2位では補助蒸気タンクの選択を受け付けない。優先順位3位について同様となる。
図12において、領域B1から領域B9には表示付押釦機能が設定されている。例えば補助蒸気タンクを優先順位1位とすべく領域B1を押した(選択した)場合に、後述する図15の確認論理によって補助蒸気タンクを1位とすることが確定できた場合には、領域B1の表示により選択通りに使用可能であることが表示され、運転員による目視確認可能とする。領域B4、B7についても同様に、図15の確認論理が設定されている。また図12の領域B1から領域B9に設定された表示付押釦機能では、確定状態と選択状態を区別して表示するために、表示方法(例えばフリッカ表示と連続表示など)の変更により状態判別を可能とするのがよい。なお押し操作で指定した機器からの蒸気確保ができない場合には、代わりに使用可能な機器を1位表示する確認機能を備えている。図15の確認論理について、後述する。
また図12において、優先順位第2位の領域(B2、B5、B8)の押し操作及び確認後の表示、並びに優先順位第3位の領域(B3、B6、B9)の押し操作及び確認後の表示の考え方について、図16、図17、図18を用いて後述する。
なお、図12のモニタ表示画面90の補助蒸気タンク台数1201には、図6で求めた補助蒸気タンク必要台数を表示している。
次に図13から図18を用いて、軸起動時における補助蒸気供給元を選択決定するための考え方(選択論理)を説明する。図13、図14は自動モードでの考え方、図15、図16、図17は手動モードでの考え方であるが、いずれの場合にもスケジュール計算確定手段107において求められた停止起動過程のスケジューリング結果に基づいて補助蒸気供給元を定めている。つまり、これらの図の左側の箱に記載の事項(条件)は、その多くがスケジューリング結果としての時刻関係であり、あるいはプロセス量の大小関係であり、スケジュール種別であり、前提とした運転状況である。
図13は直近における軸起動時の補助蒸気供給元選択手段の選択ロジック(自動モード:優先順位1位)を説明する図である。図12の補助蒸気供給元優先順位選択1200の自動モードにおける「XXX」に相当する供給元を自動で選択するロジックを示したものである。これは、スケジュール計算を実行する時の信号であるスケジュール計算開始信号と供給元選択が自動モードにおいて、プラント条件等を組合せて、補助蒸気タンク、補助ボイラ、運転軸(他軸含)の何れかを優先順位1位として決定するものである。
図13の優先順位第1位選択のロジックについて説明する。なおこの図においてANDは論理積回路、ORは論理和回路、NOTは否定回路である。この論理において、優先順位第1位の蒸気供給元として補助蒸気タンクを選択する条件は、論理積回路AND3により定まる。論理積回路AND3では、第1の条件J1としてスケジュール計算開始信号あり、かつ供給元選択が自動モードであることが論理積回路AND1で成立していること、かつ第2の条件J2としてスケジュール実行時の自己運転軸の発電出力が最低安定運転出力以上であり、かつスケジュール実行時に自己運転軸が停止進行中でないことが論理積回路AND2で成立していること、かつ第3の条件J3として自己スケジュール操作開始時刻(停止)−発電設備出力降下開始時刻が自己運転軸からの補助蒸気タンク保管必要時間以上であること、かつ第4の条件J4として自己運転軸の初回スケジュール計算が停止スケジュール計算であることが、すべて成立している時とされる。
またこの論理において、優先順位第1位の蒸気供給元として補助ボイラを選択する条件は、論理積回路AND4により定まる。論理積回路AND4では、第5の条件J5として優先順位1位が補助蒸気タンクでないことが否定回路NOT2で成立していること、かつ第6の条件J6として第1の条件が成立していることが論理積回路AND1で成立していること、かつ第7の条件J7が論理和回路OR1で成立していること、かつ第8の条件J8として補助蒸気ボイラ蒸気供給開始時刻−蒸気利用開始時刻が補助ボイラからの補助蒸気タンク保管必要時間以上であることが、すべて成立している時とされる。なお第7の条件J7とは、第2の条件J2の不成立、第3の条件J3の不成立、自己運転軸の初回スケジュール計算が起動スケジュール計算であることのうちのいずれかが成立していることである。
またこの論理において、優先順位第1位の蒸気供給元として運転軸(他軸含)を選択する条件は、論理和回路OR2により定まる。論理和回路OR2では、運転軸(他軸含)が1台以上存在することまたは論理積回路AND5のうち、いずれかが成立していればよい。なお論理積回路AND5は、優先順位1位に補助蒸気タンクまたは補助ボイラが選定されておらず、かつ第1の条件J1と第8の条件J8がともに成立していることをもって成立している。
この図13の論理の考え方は、要するに発電軸の直近において次回ユニット起動時に必要とする必要蒸気量として、補助蒸気タンクに一時保管した蒸気か、補助ボイラを起動させて発生させた蒸気か、もしくは運転軸(他軸含)にて発生した蒸気を抽出した蒸気の3パターンから、何れを優先して最初に使用するかについて、運転員が蒸気供給元を選択する煩雑さを極力少なくするために、統括スケジュール計算装置におけるスケジュール計算機能がプラントの運転状態値を自動で判断させて決定するものである。
図14は直近における軸起動時の補助蒸気供給元選択手段の選択ロジック(自動モード:優先順位2位)を説明する図である。ここでは、図13で説明したのと同等のロジックにより図13で決定した優先順位1位と同じ方法により優先順位2位の供給元を決定する。
この論理回路において、第11の条件J11は論理積回路AND11で成立しており、要するにスケジュール計算開始信号が存在し、補助蒸気供給元の選択が自動モードであることが条件になっている。そして最終的に優先順位2位を決定する論理積回路(AND16、AND17、AND18)には、その一方入力に第11の条件J11が使用されているので、優先順位2位を補助ボイラとする論理は論理和回路OR11により定まり、優先順位2位を運転軸(他軸含)とする論理は論理和回路OR12により定まり、優先順位2位を補助蒸気タンクとする論理は論理和回路OR13により定まることになる。
論理和回路OR11は、論理積回路AND12の成立または論理積回路AND15の非成立で成立しており、要するに優先順位1位が補助蒸気タンクであって、起動予定軸の最低安定出力到達時刻までの必要蒸気量が補助蒸気タンク保管蒸気量以上であれば補助ボイラを2位とする。この時の1位は補助蒸気タンクである。また優先順位が運転軸であって、かつ補助蒸気タンク保管蒸気使用時における補助蒸気タンク圧力・温度が規定圧力・温度(蒸気供給可能条件)以上であるという条件(論理積回路AND15)が不成立(否定回路NOT11)であるときに補助ボイラを2位とする。この時の1位は補助蒸気タンクである。
論理和回路OR12は、論理積回路AND13の成立または論理積回路AND14の不成立で成立しており、要するに優先順位1位が補助蒸気タンクであり、補助ボイラ蒸気供給開始から蒸気利用開始時刻までの時間が補助ボイラから補助蒸気タンクへの保管必要時間より短いときに運転軸(他軸含む)を優先順位2位とする。また優先順位1位が運転軸であり、補助蒸気タンク保管蒸気使用時における補助蒸気タンク圧力・温度が規定圧力・温度以上であるという条件(蒸気供給可能条件:論理積回路AND14)が不成立(否定回路NOT13)であるときに運転軸を2位とする。
論理和回路OR13は、論理積回路AND14の成立または論理積回路AND15の成立で成立しており、要するに優先順位1位が補助ボイラであり、起動予定軸の最低安定出力到達時刻までの起動時必要蒸気量が補助ボイラ発生蒸気量以上であるときに、補助蒸気タンクの優先度を2位とする。また優先順位が運転軸であって、かつ補助蒸気タンク保管蒸気使用時における補助蒸気タンク圧力・温度が規定圧力・温度(蒸気供給可能条件)以上であるという条件(論理積回路AND15)が成立するときに補助蒸気タンクを2位とする。
この図14の論理の考え方は、要するに発電軸の直近において次回ユニット起動時に必要とする必要蒸気量として、補助蒸気タンクに一時保管した蒸気か、補助ボイラを起動させて発生させた蒸気か、もしくは運転軸(他軸含)にて発生した蒸気を抽出した蒸気の3パターンの内、図13において既に一番最初に蒸気供給するパターンが決定しているが、給電指令装置からの負荷パターンによっては供給する蒸気量が不足することも考慮し、二番目に供給する供給元について、統括スケジュール計算装置におけるスケジュール計算機能がプラントの運転状態値を自動で判断させて決定するものである。なお、蒸気供給元は3パターンであることから蒸気供給元として優先順位1および優先順位2が決まると残りは必然的に優先順位3となることになる。
図15は直近における軸起動時における補助蒸気供給元選択手段が手動モードの場合(優先順位1位)を説明する図である。この図の例では、図12に示した補助蒸気供給元の選択を手動で行う場合に、運転員が選択した補助蒸気供給元からの蒸気供給が可能な場合に、最終的に優先順位1位が補助蒸気タンクであることが確定(論理積回路AND21)し、同様に優先順位1位が補助ボイラであることが確定(論理積回路AND22)し、優先順位1位が運転軸(他軸含)であることが確定(論理積回路AND23)する。
論理積回路AND21は、論理和回路OR21、論理積回路AND29、論理積回路AND30、条件J21(スケジュール操作開始時刻(停止)−発電設備出力降下開始時刻が、運転軸から補助蒸気タンクへの保管必要時間よりも長い)、条件J22(運転軸の初回スケジュール計算である)のいずれもが成立していることをもって成立し、最終的に優先順位1位が補助蒸気タンクであることが確定する。
このうち論理和回路OR21は、補助蒸気タンクを直接1位選択した、補助ボイラを1位選択したが補助ボイラ確定の論理が不成立(論理積回路AND26:条件JC)、運転軸(他軸含)を1位選択したが運転軸(他軸含)確定の論理が不成立(論理積回路AND28:条件JE)のうちのいずれかの成立で成立しており、要するに直接間接に補助蒸気タンクに頼らざるを得ない状況にあることを確認したものである。
論理積回路AND29は、スケジュール計算開始信号あり、かつ補助蒸気供給元手動選択であることをもって成立する。論理積回路AND30は、スケジュール実行時の運転軸の発電出力が最低安定出力よりも大きいことをもって成立する。
論理積回路AND22は、論理和回路OR22、論理積回路AND29、論理和回路OR23、条件J23(補助ボイラ蒸気供給開始時刻―蒸気利用開始時刻が補助ボイラから補助蒸気タンクへの保管必要時間よりも長い)のいずれもが成立していることをもって成立し、最終的に優先順位1位が補助ボイラであることが確定する。
このうち論理和回路OR22は、補助ボイラを直接1位選択した、論理和回路OR21が成立して補助蒸気タンクの使用条件が成立しているが補助蒸気タンクの条件確定が不成立(論理積回路AND24:条件JA)、運転軸(他軸含)を1位選択したが運転軸(他軸含)確定の論理が不成立(論理積回路AND28:条件JE)のうちのいずれかの成立で成立している。
論理和回路OR23は、論理積回路AND30の不成立(否定化回路NOT22)、条件J21(スケジュール操作開始時刻(停止)−発電設備出力降下開始時刻が、運転軸から補助蒸気タンクへの保管必要時間よりも長い)の不成立(否定化回路NOT23)、条件J24(運転軸の初回スケジュール計算が起動スケジュール計算である)のうちのいずれかの成立で成立している。
条件J23は、補助蒸気ボイラ供給開始時刻―蒸気利用開始時刻が補助ボイラから補助蒸気タンクへの保管必要時間よりも長いである。
論理積回路AND23は、論理積回路AND29、否定回路NOT24、論理和回路OR24、条件J25(運転軸(他軸含)1台以上)のいずれもが成立していることをもって成立し、最終的に優先順位1位が運転軸(他軸含)であることが確定する。
このうち論理和回路OR24は、論理積回路AND31、論理積回路AND32、条件J26(蒸気供給元優先順位1位が運転軸(他軸含)である)のうちいずれかの成立により成立する。なお論理積回路AND31、論理積回路AND32の成立要件である条件JDは、優先順位1位に補助ボイラを指定したが補助ボイラの確定条件が不成立(論理積回路AND27)であり、条件JBは、優先順位1位に補助蒸気タンクを指定したが補助ボイラの確定条件が不成立(論理積回路AND25)である。
図15の優先順位1位確認論理により、手動により補助蒸気タンク選択B1(図12における補助蒸気供給元優先順位選択画面表示の領域番号)を選択した場合、プラント条件が成立すれば補助蒸気タンクB1が確定する。もし補助蒸気タンクが条件不成立により確定しない場合は、次の優先順位となる補助ボイラB4が確定する。さらに補助ボイラが条件不成立により確定しない場合は運転軸(他軸含)B7が確定する。つまり優先順位の高いものから決定していき、決定できない場合は順次優先順位の低い供給元が選択されることになる。3通りの何れか1項目は選択される。
この図15の論理の考え方は、要するに発電軸の直近において次回ユニット起動時に必要とする必要蒸気量として、補助蒸気タンクに一時保管した蒸気か、補助ボイラを起動させて発生させた蒸気か、もしくは運転軸(他軸含)にて発生した蒸気を抽出した蒸気の3パターンから、何れを優先して一番最初に使用するかについて、運転員が自由に手動モードで選択操作を行なったパターンがプラントの運転状態値と一致した場合は選択操作パターンが確定となる。
図16は、図15の論理により優先順位1位が確定している状態において、引き続き優先順位2位を選択した場合に、優先順位2位と3位を確定するための論理構成を示している。図16Aは直近における軸起動時における補助蒸気供給元選択手段が手動モードの場合に、優先順位1位として補助蒸気タンクが確定しており、優先順位2位として補助ボイラを選択した時の確認論理構成を説明する図である。図16Bは直近における軸起動時における補助蒸気供給元選択手段が手動モードの場合に、優先順位1位として補助蒸気タンクが確定しており、優先順位2位として運転軸を選択した時の確認論理構成を説明する図である。
図16Aにおいては、前提として優先順位1位に補助蒸気タンクが確定B1し優先順位2位に補助ボイラを選択B5(論理積回路AND43)しており、かつ条件J41(起動予定スケジュールに相当する必要蒸気使用量が補助蒸気タンク保管可能蒸気量)を満足するときに、優先順位2位に補助ボイラが確定B5し優先順位3位に運転軸(他軸含)を確定B9する。なお条件J41不成立となるときには、優先順位2位、3位について対象選択なし(論理積回路AND42)とする。
このように図15において優先順位1位が決定しているため、図16Aでは補助蒸気タンクが優先順位1位で確定している条件のもと、優先順位2位として補助ボイラを選択した場合に優先順位を決定するロジックを示している。必要蒸気使用量が補助蒸気タンク保管可能蒸気量よりも多い場合は補助ボイラを起動させて補助蒸気タンクだけでは不足する補助蒸気量を確保するために補助ボイラが必要となることから、優先順位2位としては補助ボイラB5が確定することになる。優先順位3位としては運転軸(他軸含)B9から蒸気供給を行うことになる。補助蒸気タンク保管可能蒸気量が必要蒸気使用量よりも多い場合は補助ボイラの蒸気が必要なくなることから、優先順位2位および3位は対象選択無しとなる。
図16Bにおいては、前提として優先順位1位に補助蒸気タンクが確定B1し優先順位2位に運転軸を選択B8(論理積回路AND46)しており、かつ条件J42(起動予定スケジュールに相当する必要蒸気使用量が補助蒸気タンク保管可能蒸気量)を満足するときに、優先順位2位に補助ボイラが確定B5し優先順位3位に運転軸(他軸含)を確定B9する。なお条件J42不成立となるときには、優先順位2位、3位について対象選択なし(論理積回路AND45)とする。
このように図15において優先順位1位が決定しているため、図16Bでは補助蒸気タンクが優先順位1位で確定している条件のもと、優先順位2位として補助ボイラを選択した場合に優先順位を決定するロジックを示している。必要蒸気使用量が補助蒸気タンク保管可能蒸気量よりも多い場合は、起動軸に蒸気を供給するためには運転軸が最低安定出力以上で運転している場合に蒸気供給を行うことになるので、優先順位2位は補助ボイラB5が確定し優先順位3位としては運転軸(他軸含)B9から蒸気供給を行うことになる。なお、補助蒸気タンク保管可能蒸気量が必要蒸気使用量よりも多い場合は補助蒸気タンクの保管蒸気だけで十分確保されていることから新たな蒸気供給は不要となるため、優先順位2位としては対象選択無しとなり、同様に優先順位3位についても対象選択無しとなる。
この図16Aの論理の考え方は、要するに発電軸の直近において次回ユニット起動時に必要とする必要蒸気量として、補助蒸気タンクに一時保管した蒸気か、補助ボイラを起動させて発生させた蒸気か、もしくは運転軸(他軸含)にて発生した蒸気を抽出した蒸気の3パターンから、補助蒸気タンク使用パターンが優先順位1位で確定している状況下で、優先順位2位として補助ボイラを運転員による手動モードで選択操作を行なったパターンにおいて、優先順位2位と優先順位3位を確定させるロジックを示すものである。
また図16Bの論理の考え方は、要するに発電軸の直近において次回ユニット起動時に必要とする必要蒸気量として、補助蒸気タンクに一時保管した蒸気か、補助ボイラを起動させて発生させた蒸気か、もしくは運転軸(他軸含)にて発生した蒸気を抽出した蒸気の3パターンから、補助蒸気タンク使用パターンが優先順位1位で確定している状況下で、優先順位2位として運転軸(他軸含)を運転員による手動モードで選択操作を行なったパターンにおいて、優先順位2位と優先順位3位を確定させるロジックを示すものである。
図17は、図15の論理により優先順位1位が確定している状態において、引き続き優先順位2位を選択した場合に、優先順位2位と3位を確定するための論理構成を示している。図17Aは直近における軸起動時における補助蒸気供給元選択手段が手動モードの場合に、優先順位1位として補助蒸気ボイラが確定しており、優先順位2位として補助蒸気タンクを選択した時の確認論理構成を説明する図である。また図17Bは直近における軸起動時における補助蒸気供給元選択手段が手動モードの場合に、優先順位1位として補助蒸気ボイラが確定しており、優先順位2位として運転軸(他軸含)を選択した時の確認論理構成を説明する図である。
図17Aでは、優先順位1位に補助ボイラが確定し、かつ2位に補助蒸気タンクを選択した(論理積回路AND51)状態で、かつ条件J51(必要予定スケジュールに相当する必要蒸気使用量が補助ボイラ発生可能蒸気量よりも多い)が成立し、そのうえで保管済み補助蒸気タンク蒸気圧力・温度が規定温度・圧力(蒸気供給可能)以上でありかつ運転軸の初回スケジュール計算が起動スケジュールの場合(論理積回路AND53)に論理積回路AND52が成立して、優先順位2位を補助蒸気タンクとし、優先順位3位を運転軸として確定する。なお、論理積回路AND54では、1位確定、2位選択の状態において、条件J51不成立(否定回路NOT51)、または論理積回路AND53不成立(否定回路NOT52)の場合(論理和回路OR51)に優先順位2位、3位について対象選択なし(論理積回路AND45)とする。
このように図17Aでは、必要蒸気使用量が補助ボイラ発生可能蒸気量よりも多い場合は補助ボイラの発生蒸気だけでは不足する補助蒸気量を確保するために補助蒸気タンクに蒸気保管し蒸気を使用することが必要となることから、優先順位2位としては補助蒸気タンクB2が確定することになる。優先順位3位としては運転軸(他軸含)B9が確定する。なお補助ボイラ発生可能蒸気量が必要蒸気使用量よりも多い場合は補助ボイラの蒸気のみで十分確保できることから、優先順位2位および3位の蒸気は不要となるため対象選択無しとなる。
図17Bでは、優先順位1位に補助ボイラが確定し、かつ2位に運転軸(他軸含)を選択した(論理積回路AND51)状態で、かつ条件J52(起動予定スケジュールに相当する必要蒸気使用量が補助ボイラ発生可能蒸気量よりも多い)が成立し、そのうえで条件J53(運転軸(他軸含)が1台以上存在)が成立しているときに、論理積回路AND56が成立して、優先順位2位を運転軸(他軸含)とし、優先順位3位を補助蒸気タンクとして確定する。なお、論理積回路AND57では、1位確定、2位選択の状態において、条件J52不成立(否定回路NOT53)、または条件J53不成立(否定回路NOT54)の場合(論理和回路OR52)に、優先順位2位、3位について対象選択なし(論理積回路AND47)とする。
このように図17Bでは、補助ボイラが優先順位1位で確定している条件のもと、優先順位2位として運転軸(他軸含)を選択した場合に優先順位を決定するロジックを示している。必要蒸気使用量が補助ボイラ発生可能蒸気量よりも多い場合は補助ボイラの発生蒸気だけでは不足する補助蒸気量を確保するために運転軸(他軸含)からの蒸気を使用することが必要となることから、優先順位2位としては運転軸(他軸含)B8が確定することになる。優先順位3位としては補助蒸気タンクB3が確定する。補助ボイラ発生可能蒸気量が必要蒸気使用量よりも多い場合は補助ボイラの蒸気のみで十分確保できることから、優先順位2位および3位の蒸気は不要となるため対象選択無しとなる。
図17Aの論理の考え方は、要するに発電軸の直近において次回ユニット起動時に必要とする必要蒸気量として、補助蒸気タンクに一時保管した蒸気か、補助ボイラを起動させて発生させた蒸気か、もしくは運転軸(他軸含)にて発生した蒸気を抽出した蒸気の3パターンから、補助ボイラ使用パターンが優先順位1位で確定している状況下で、優先順位2位として補助蒸気タンクを運転員による手動モードで選択操作を行なったパターンにおいて、優先順位2位と優先順位3位を確定させるロジックを示すものである。
図17Bの論理の考え方は、要するに発電軸の直近において次回ユニット起動時に必要とする必要蒸気量として、補助蒸気タンクに一時保管した蒸気か、補助ボイラを起動させて発生させた蒸気か、もしくは運転軸(他軸含)にて発生した蒸気を抽出した蒸気の3パターンから、補助ボイラ使用パターンが優先順位1位で確定している状況下で、優先順位2位として運転軸(他軸含)を運転員による手動モードで選択操作を行なったパターンにおいて、優先順位2位と優先順位3位を確定させるロジックを示すものである。
図18は、図15の論理により優先順位1位が確定している状態において、引き続き優先順位2位を選択した場合に、優先順位2位と3位を確定するための論理構成を示している。図18Aは直近における軸起動時における補助蒸気供給元選択手段が手動モードの場合(優先順位1位=運転軸確定、優先順位2位=補助ボイラ選択時)を説明する図である。図18Bは直近における軸起動時における補助蒸気供給元選択手段が手動モードの場合(優先順位1位=運転軸確定、優先順位2位=補助蒸気タンク選択時)を説明する図である。
図18Aでは、優先順位1位に運転軸確定し、優先順位2位に補助ボイラが選択されている(論理積回路AND61)状態で、条件J61(起動予定スケジュールに相当する必要蒸気使用量が他軸運転軸供給可能蒸気量よりも多い)が成立している時(論理積回路AND62)に、優先順位2位に補助ボイラB5を確定する。さらに論理積回路AND62の成立に加えて条件J62(保管済み補助蒸気タンク蒸気圧力・温度が規定圧力・温度(蒸気供給可能)に等しい)が成立(論理積回路AND63)する時に優先順位3位として補助蒸気タンクを確定する。また論理積回路AND62の成立に加えて条件J62(保管済み補助蒸気タンク蒸気圧力・温度が規定圧力・温度(蒸気供給可能)に等しい)が不成立(否定回路NOT61)する時に優先順位3位には対象選択なしと判断(論理積回路AND64)する。また、論理積回路AND61の成立に加えて条件J61(起動予定スケジュールに相当する必要蒸気使用量が他軸運転軸供給可能蒸気量よりも多い)が不成立(否定回路NOT62)する時(論理積回路AND65)に優先順位2位、3位には対象選択なしと判断する。
このように図18Aでは、必要蒸気使用量が運転軸(他軸含)供給可能蒸気量よりも多い場合は運転軸(他軸含)の供給蒸気だけでは不足する補助蒸気量を確保するために補助ボイラからの蒸気を使用することが必要となることから、優先順位2位としては補助ボイラB5が確定することになる。優先順位3位としては補助蒸気タンクB3が確定する。優先順位3位として補助蒸気タンクに保管済みの蒸気圧力・温度が規定圧力・温度と同等で無い場合に蒸気条件不一致となり使用することができなくなることから、対象選択無しとなる。運転軸(他軸含)供給可能蒸気量が必要蒸気使用量よりも多い場合は運転軸(他軸含)の蒸気のみで十分確保できることから、優先順位2位および3位の蒸気は不要となるため対象選択無しとなる。
図18Bでは、優先順位1位に運転軸(他軸含)確定し、優先順位2位に補助蒸気タンクが選択されている(論理積回路AND66)状態で、条件J64(起動予定スケジュールに相当する必要蒸気使用量が他軸運転軸供給可能蒸気量よりも多い)が成立し、かつ論理積回路AND68が成立している時に、優先順位2位に補助蒸気タンクB2を確定し、優先順位3位に補助ボイラを確定する。なおこのときの論理積回路AND68の成立条件は、保管済み補助蒸気タンク蒸気圧力・温度が規定圧力・温度(蒸気供給可能)よりも多く、かつ運転軸の初回スケジュール計算が起動スケジュールの場合であるときである。なお論理積回路AND66が成立していても、条件J64の不成立(否定回路NOT63、または論理積回路AND68の不成立(否定回路NOT64)である時(論理積回路AND69)には、優先順位2位、3位には対象選択なしと判断する。
このように図18Bでは、必要蒸気使用量が運転軸(他軸含)供給可能蒸気量よりも多い場合は運転軸(他軸含)の供給蒸気だけでは不足する補助蒸気量を確保するために補助蒸気タンクからの蒸気を使用することが必要となることから、優先順位2位としては補助蒸気タンクB2が確定することになる。優先順位3位としては補助ボイラB6が確定する。運転軸(他軸含)供給可能蒸気量が必要蒸気使用量よりも多い場合は運転軸(他軸含)の蒸気のみで十分起動用蒸気を確保できることから、優先順位2位および3位の蒸気は不要となるため対象選択無しとなる。
図18Aの論理の考え方は、要するに発電軸の直近において次回ユニット起動時に必要とする必要蒸気量として、補助蒸気タンクに一時保管した蒸気か、補助ボイラを起動させて発生させた蒸気か、もしくは運転軸(他軸含)にて発生した蒸気を抽出した蒸気の3パターンから、運転軸(他軸含)使用パターンが優先順位1位で確定している状況下で、優先順位2位として補助ボイラを運転員による手動モードで選択操作を行なったパターンにおいて、優先順位2位と優先順位3位を確定させるロジックを示すものである。
図18Bの論理の考え方は、要するに発電軸の直近において次回ユニット起動時に必要とする必要蒸気量として、補助蒸気タンクに一時保管した蒸気か、補助ボイラを起動させて発生させた蒸気か、もしくは運転軸(他軸含)にて発生した蒸気を抽出した蒸気の3パターンから、運転軸(他軸含)使用パターンが優先順位1位で確定している状況下で、優先順位2位として補助蒸気タンクを運転員による手動モードで選択操作を行なったパターンにおいて、優先順位2位と優先順位3位を確定させるロジックを示すものである。
図19は補助蒸気タンク廻りにおける蒸気保管および蒸気供給に関するロジックを説明する図である。図19において、その左側には補助蒸気を与える機器の操作を決定する各種条件が記述され、右側には最終的に操作される機器が示されている。またこれらの間には、機器操作を決定する論理回路の例が記載されている。
この場合の補助蒸気を与える機器について図11を参照して説明すると、補助ボイラAXBの場合には補助蒸気を与える機器は補助ボイラ蒸気供給弁VBであり、運転軸(他軸含)の場合には補助蒸気を与える機器は補助蒸気供給弁VS、VRであり、補助蒸気タンクの場合には補助蒸気を与える機器は補助蒸気タンク蒸気供給弁VTである。図19における機器操作の論理回路を詳細には説明しないが、ごく簡単に述べると以下のようである。
この例では、補助蒸気タンクAXTが蒸気供給優先順位1位で運転軸出力が最低安定出力以上の場合にスケジュール計算を実行し蒸気供給開始時刻到達になる(論理積回路AND70)と、発電軸から補助蒸気ヘッダへ蒸気を供給する補助蒸気抽出弁VSを開き、発電設備PWが蒸気を受ける側の補助蒸気供給弁VRを全閉させる。補助ボイラ側との接続弁である補助ボイラ蒸気供給弁VBを全閉させる。
さらに保管する補助蒸気タンク台数が3台の場合(論理積回路AND71)は補助蒸気タンクA蒸気連絡弁VTA、補助蒸気タンクB蒸気連絡弁VTB、補助蒸気タンクC蒸気連絡弁VTCの全ての弁を開き補助蒸気を保管する。補助蒸気タンク台数が2台の場合(論理積回路AND72)は補助蒸気タンクA蒸気連絡弁VTA、補助蒸気タンクB蒸気連絡弁VTBの弁を開き補助蒸気を保管する。補助蒸気タンク台数が1台の場合(論理積回路AND73)は補助蒸気タンクA蒸気連絡弁VTAの弁を開き補助蒸気を保管する。
補助蒸気タンクC蒸気圧力・温度が補助蒸気として使用可能な規定圧力・温度と同等となる(論理積回路AND74)と保管蒸気が充填されたことになるため補助蒸気タンクC蒸気連絡弁VTCを全閉させる。補助蒸気タンクB蒸気圧力・温度が補助蒸気として使用可能な規定圧力・温度と同等となる(論理積回路AND75)と保管蒸気が充填されたことになるため補助蒸気タンクB蒸気連絡弁VTBを全閉させる。補助蒸気タンクA蒸気圧力・温度が補助蒸気として使用可能な規定圧力・温度と同等となる(論理積回路AND76)と保管蒸気が充填されたことになるため補助蒸気タンクA蒸気連絡弁VTAを全閉させる。
その後、蒸気利用開始時刻になる(論理積回路AND77、78、79)と補助蒸気タンクに保管した蒸気を起動用軸側として使用するために補助蒸気タンク蒸気連絡弁VTを開放する。同時に起動軸側に補助蒸気を供給するために軸の補助蒸気供給弁VRを開き蒸気抽出弁を閉じる。
図20は停止軸からの最適な蒸気供給方法を説明する図である。図20の上段には、軸停止時における給電指令装置からの要求電力1400を示しており、所定時刻に値を0にする矩形の要求電力を受けとる。図20の中断には、この要求電力を受信、確保した停止の停止スケジュールで定まる出力電力1401を示しており、停止予定時刻以降出力電力を漸減する。図20の下段には上記のスケジュール停止が予定されている時に、停止スケジュールを作成するとともに停止過程において蒸気量を確保しておくための考え方を示している。
図20の下段において、時刻t110は、停止/起動スケジュール計算実施のタイミングであり、矩形の要求電力の示す停止時刻に先立ち、停止スケジュールを事前計算開始したものである。時刻t111は運転中の発電設備Pwからの蒸気供給開始、時刻t112は運転中の発電設備Pwの出力低下開始、時刻t113は発電設備の蒸気が最低安定出力に達して蒸気供給を停止した時点、時刻t114は最終的に当該発電設備を電力系統から解列した時点を表している。ここでは、時刻t111から時刻t113までの期間における運転軸からの蒸気供給により必要な蒸気量を確保する。そのためには、斜線で示す部分の補助蒸気供給可能流量を確保する。なおこの図で、実線は蒸気タービン必要蒸気量であり、排熱回収ボイラとしては斜線で示す部分の補助蒸気供給可能流量を見込んだ量の蒸気量を発生させるべく制御されることになる。
このように運転軸の出力電力に対する供給可能蒸気量1402で運転軸から蒸気を抽出する場合、最早時刻は停止スケジュール計算実施時刻からとなり、最遅時刻は最低安定出力未満直前の蒸気供給停止時刻となる。補助蒸気タンク保管用の蒸気供給開始最遅時刻に到達すると、自動で運転軸から蒸気供給を行い補助蒸気タンクへの蒸気保管を開始する。補助蒸気タンク蒸気保管必要時間は、補助蒸気供給可能流量の違いにより変動する。
図21はスケジュール計算手段実行フローを説明する図である。なおこの一連の処理は、図1における統括スケジュール計算手段108側の処理と、この処理結果を受けて行われる軸スケジュール計算手段SC側の処理と、再度の統括スケジュール計算手段108側の処理が時系列的に協同して行われることで実現される。
最初の、発電プラントとしてのスケジュール計算は、先ず統括スケジュール計算手段108における処理ステップS2101から開始する。処理ステップS2102では、直近スケジュールのスケジュール計算において、発電設備として停止方向か、起動方向を確認判定する。
以後の処理は軸スケジュール計算手段SC側において実行されるが、起動方向となる場合は処理ステップS2111に移り、起動スケジュール計算実行手段で起動スケジュール計算を行う。また停止方向となる場合は処理ステップS2121に移り、起動スケジュール計算実行手段で起動スケジュール計算を行う。
処理ステップS2112では、起動時に必要な補助蒸気使用量を補助蒸気使用量算出手段で求め、次に処理ステップS2113の停止スケジュール計算において起動時に必要な補助蒸気を確保するように停止スケジュール計算実行手段を実行する。処理ステップS2114では、運転軸から補助蒸気タンクへの蒸気供給方法として、最適な補助蒸気供給元が決められる。また処理ステップS2115では、補助蒸気供給元の最適な組合せ選択をおこなう。ここでは、1.運転軸(他軸含)からの蒸気供給、2.補助蒸気タンクからの蒸気供給、3.補助ボイラからの蒸気供給方法について検討する。この場合に、1つの方法では補助蒸気量が不足することがあるため、3つの供給方法を最適に組み合せて供給方法を決定する。
処理ステップS2102での「直近スケジュールのスケジュール計算方法=停止」確認判断結果において、処理ステップS2121での起動スケジュール計算となる場合は、起動スケジュール計算実行手段を実行して起動のスケジュールを求める。その後処理ステップS2122において、補助蒸気使用量算出手段で補助蒸気使用量を求める。補助蒸気が必要な場合は補助ボイラを起動させることが必須となることから、処理ステップS2123で補助ボイラの起動を掛ける処理を行う。処理ステップS2124では、補助ボイラ起動完了したことで補助蒸気タンクへの蒸気保管作業を行う。
処理ステップS2141では、補助蒸気タンク廻り機器の動作スケジュール作成手段において、補助蒸気保管、補助蒸気の発電設備への供給を司る補助ボイラおよび関係弁の動作スケジュールを決定する。
再度統括スケジュール計算手段108に戻り処理ステップS2142では、全てのスケジュール計算が終了しスケジュールが決定した後に統括スケジュール計算結果を確定させる。処理ステップS2143では、結果確定により統括スケジュール計算手段完了となる。
以上詳細に説明した本発明によれば、給電指令装置101から要求電力を受けた時に、指定時刻通りの電力供給を可能とする個別軸発電設備の起動過程をスケジューリングにより求める。スケジューリングの中では、起動過程において蒸気タービンで使用する補助蒸気の必要量を求め、当該補助蒸気の供給源を定め、蒸気供給源における蒸気確保手順を定め、スケジューリングで定まる手順に従い個別軸発電設備の起動操作を実行している。
これにより、要求された起動態様に従って最適な補助蒸気量とその供給源が事前に確保できるので、要求電力により指定された時刻通りの電力供給を可能とする。発電プラントの多様な、あるいは頻繁な起動停止が行われていても、その都度に最適な量と供給源を事前に確保できるので、多様な電力事情に対応可能な発電プラントとできる。そのうえ、発電プラントの運転支援装置は、自動運転の場合ばかりでなく、手動運転の場合にも対応しているので運転員の負担軽減が図られている。