JP2016166201A - 相間移動触媒を含む重合性歯科用材料 - Google Patents

相間移動触媒を含む重合性歯科用材料 Download PDF

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Abstract

【課題】全ての接着剤、特にプライミング+ボンディング系およびオールインワン接着剤に対する境界層で、十分な硬化を実現し、したがって改善された接着ボンディングを実現し、同時にペースト塊の長い貯蔵寿命(1年超、好ましくは2年超)を実現する、重合性歯科用材料を提供すること。【解決手段】本発明は、触媒ペースト(A)およびベースペースト(B)を含有し、触媒ペースト(A)が、少なくとも1種の有機過酸素化合物、少なくとも1種のラジカル重合性有機(メタ)アクリルモノマー、および少なくとも1種の充填剤を含有し、ベースペースト(B)が、少なくとも1種のラジカル重合性有機(メタ)アクリルモノマー、ラジカル重合の共開始剤としてのアミン、少なくとも1種の充填剤、および内部に分散された少なくとも1種の塩状の水溶性粉末状還元剤を含有する、重合性歯科用材料であって、触媒ペースト(A)および/またはベースペースト(B)が、無機または有機アニオンを含有するアンモニウム、ホスホニウム、および/またはスルホニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種の相間移動触媒を含有し、但し相間移動触媒は、有機アニオンの場合には1〜4個の炭素原子を有するもののみを含有し、かつスルフィン酸のアニオンが除外されることを条件とする、重合性歯科用材料に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、選択された構成成分をそれぞれ含有する少なくとも1種の触媒ペーストおよび少なくとも1種のベースペーストを含有する、重合性歯科用材料に関する。
本発明の重合性歯科用材料は、齲蝕した自然歯物質の構築および修復のための熱処理で使用することができる。詳細には、顎内での支台の堅固な固定を確保する残根が依然として存在する場合、これらの歯科用材料は、酷く齲蝕した歯の残根を構築するのに使用される。例えば、酷く齲蝕した歯の残根は、歯科用材料を付着させることによって構築することができ、あるいは、機能的な観点から患者が満足のいく結果を得るために、大きな窩洞を自然歯質で塞ぐことができる。その結果、歯科用材料は、十分高いレベルの硬さを有しなければならない。追加の好ましい使用形態は、例えばクラウン、ブリッジ、インレー、アンレー、またはベニアなどの補綴材料のマウンティングである。詳細には、どちらの適用例においても、依然存在している歯牙材に、満足のいく程度まで歯科用材料を接着することが極めて重要であるが、それは付着された歯科用材料が、咀嚼中に強力な力に曝されるからである。一般的な重合性歯科用材料は、それらの計画された使用に応じて様々な要件を満たすことができる。
欠けた歯質を構築するのに使用される重合性歯科用材料は、支台築造材料とも呼ばれる。好ましくは、そのような支台築造材料には疎水性モノマーが使用される。処置を行う歯科医による施用を容易にするために、これらの支台築造材料は、歯科医が患者の口内で歯の支台部を構築しかつそれを少なくとも大まかにモデル化できるように、ペースト状の形で存在することが好ましい。重合性モノマーの高強度および十分な重合を確実にするために、純粋に光硬化するコンポジットを使用した場合、しばしばコンポジット(重合性歯科用材料)の薄層のみ歯の支台部に付着させ、次いでこれを処置用ランプで硬化させ(すなわち重合させ)、その後、別の層を付着させた。詳細には、そのような層の構築は、純粋に光硬化する材料の場合に不可欠であるが、いずれにしても極めて時間がかかり、この理由により、処置をする歯科医にとっても患者にとっても不利である。
重合性歯科用材料のさらなる適用例は、いわゆる重合性コンポジットセメントに関する。詳細には、これらの材料は、歯冠およびその他の歯の置換材料のような、補綴材料を取り付けるのに使用される。最後に、重合性歯科用材料は、歯の窩洞を充填するためのいわゆるバルク充填コンポジットとして考慮に入れることもできる。
重合性歯科用材料が自然歯質に付着される場合、付着されたコンポジット材料と自然歯質との間に堅固な接続を確立しなければならない。接着剤を使用することにより、そのような接着は、濡れ性を改善するために歯質に接着剤を付着させることにより実現することができ、したがって歯質に付着された材料の接着を改善させる。好ましくは、接着剤は、歯質上に容易にかつ均一に分布することができるように、液体形態で使用される。
付着された材料と上述の自然歯質との間の接着の促進を確立するために、本質的には3つのステップが行われる。
最初に、第1のステップとして、自然歯質をエッチングし、歯質、特にエナメル質の表面を粗面化する。内部歯質、特に象牙質に関しては、エッチングは、自然歯質、特に象牙質のコラーゲンコンポジットの無機物を溶解する可能性がある。その後、主に開放された象牙細管と露出したコラーゲン繊維とが、歯の表面に存在したままになる。
付着された歯科用材料と自然歯質との間の十分な接着には、第2のステップでいわゆるプライマーを用いて、エッチングされた歯の表面をコーティングすることが必要である。したがってこのコーティングは、親水性コラーゲン繊維に十分接着し、プライマーは、露出したコラーゲン繊維コンポジット内に侵入することができる親水性モノマー、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を含有する。その後、プライマーは硬化する。
付着される重合性歯科用材料は、典型的には疎水性モノマーを含有するので、親水性プライマーへの重合性歯科用材料の直接付着は、2種の材料間での十分な接着を実現しないと考えられる。この理由で、重合性歯科用材料と自然歯質との間の十分な接着を実現するために、追加の層、いわゆるボンディングを、第3のステップとして最初に付着させなければならない。
記述したステップは、数回の処置ステップで付着される、異なった、別々に包装された物質を使用して行うことができる。
エッチング(第1のステップ)では、35%リン酸を典型的には使用し、これを自然歯質に付着させ、そこで最長20秒間そのままにする。その後、水で濯ぎ落とすことによって酸を除去した。次いで処置された部位を空気で乾燥する。次の物質として、プライマー(第2のステップ)を、エッチングされた歯質に付着させることができる。その重合に続き、ボンディング(第3のステップ)を最終ステップとして付着させ、同様に硬化し、すなわち重合させる。
特に、記述したように3種の物質(リン酸、プライマー、ボンディング)を付着させる長い処置時間は、行わなければならないその処置ステップ、すなわちエッチング、水による濯ぎ、送風乾燥、プライマーの付着、プライマーの重合、ボンディングの付着、およびボンディングの重合により、不利である。さらに、3種の異なる物質を3つの異なる包装に貯えなければならないことは、不利である。
この理由により、1種の物質としてまたは複数の物質の混合物として、上述のステップの1つまたは複数を組み合わせた生成物を開発した。
1つの変形例では、最初にエッチングを行い、引き続き親水性モノマーと疎水性モノマーも含む生成物を付着させ、この理由により、プライマーおよびボンディングの機能が発揮される(いわゆるプライミング+ボンディング系)。
別の変形例では、自然歯質をエッチングするプライマーの親水性モノマーでリン酸基が供されるように、エッチングをプライマーと組み合わせる。リン酸基によるこのプライマーの重合後、ボンディングを付着させる。
両方の変形例は、処置ステップの無駄を無くすのを可能にし、それでも2種の別々に包装された物質のみを必要とする。
上述の接着剤の改良は、いわゆるオールインワン接着剤、ワンステップ接着剤、またはワンステップ接着促進剤によっても表される。これらは、上述の3つのステップを組み合わせて単一の生成物にする。言い換えれば、これらのオールインワン接着剤は、エッチング、プライマー、およびボンディングを組み合わせて単一の処置ステップにする。この理由により、オールインワン接着剤を使用することは、処置する歯科医および患者に対して著しい時間の節約を実現する。
しかし、オールインワン接着剤、および場合によってはプライミング+ボンディング系による処置中に、それが含有するモノマーのリン酸基は、自然歯質をエッチングするだけでなく、付着される重合性歯科用材料とも反応する可能性がありかつそれらの硬化を阻害する可能性があるという問題があることがわかった。
付着される重合性歯科用材料は、患者の口腔内ですぐに、適温で硬化しなければならず、すなわち重合しなければならない。重合を開始するための、重合性歯科用材料の任意の加熱(典型的には80℃に)は、患者にとって極めて不快と考えられ、したがって論じる価値がない。
上記にて言及した理由により、重合性歯科用材料を重合するには、適温で素早く硬化する開始剤が、化学硬化するのに一般に使用され、すなわち約36℃の周囲口内温度である。この理由により、歯科用材料の重合を誘起させる、主としてレドックス開始剤が使用される。典型的には、共開始剤、例えば芳香族アミンと一緒に過酸素化合物を含むレドックス開始剤系が使用される。それにより、過酸素化合物は、重合性歯科用材料のペースト(いわゆる触媒ペースト)の1種において供され、共開始剤は、重合性歯科用材料の他のペースト(いわゆるベースペースト)において供される。ペーストを混合するときに過酸素化合物と共開始剤とが接触するようになる場合、レドックス反応が生じ、歯科用材料に含有される有機モノマーの重合に必要なラジカルを供給する。2種のペーストは、長い貯蔵寿命を確実にするために別々に貯蔵される。
特に良好な光学的および機械的特性を有する歯科用材料の例は、特許文献1に記載されている。これらの歯科用材料は、異なる開始剤系で硬化することができ、バルビツール酸誘導体をベースにした開始剤系が好ましく使用される。これらの好ましい開始剤系は、金属化合物、(偽)ハロゲン化物化合物、およびバルビツール酸誘導体を含む。任意選択で光開始剤および/または共開始剤並びに有機パーエステル化合物を使用することができる。この開始剤系で使用される(偽)ハロゲン化物化合物は、(偽)ハロゲン化物アニオンの他に、とりわけアンモニウムカチオンを含めた任意のカチオンを含有することができる。
この刊行物は、好ましいバルビツレート系に加えてまたは代替として使用することができる、その他の開始剤系も開示する。これらは、アルカリもしくはアルカリ土類トルオールスルフィネートとまたはアルカリもしくはアルカリ土類亜硫酸塩と組み合わせた、無機過酸化物、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウムもしくはカリウムの組合せからなるレドックス開始剤系である。また、少なくともアミンおよび少なくとも有機過酸化物と、任意選択で光開始剤および/または共開始剤とを含む、レドックス開始剤系も開示される。
この従来技術は、有機過酸化物、アミン、粉状還元剤、およびアンモニウム塩の組合せを開示していない。この従来技術は、レドックス開始剤系内で無機過酸化物と組み合わされたアルカリまたはアルカリ土類亜硫酸塩が、粉末の形態で存在することも開示していない。この従来技術は、粉状還元剤と組み合わせた相間移動触媒の使用であって、レドックス開始剤系の残りの成分と一緒になることにより口内条件下でのモノマーの迅速かつ完全な硬化をもたらす使用を開示していない。
露光によって開始される重合を有する、純粋に光硬化する歯科用材料も、歯科医の診療で使用される。それによれば、処置をする歯科医は、これらの材料を薄層で付着しなければならないが、照射された光が歯科用材料のより深い層内に侵入できないため、不利である。その結果、処置には著しく長い時間を要する。
化学硬化の利点と光硬化の利点とを組み合わせるために、両方の開始剤系を含有し、したがって二重硬化特性を有する材料も開発された。そのような2成分歯科用材料の例は、従来技術、例えば特許文献2、3、または4に見出すことができる。
しかし、オールインワン接着剤と、過酸素化合物および共開始剤からなるレドックス開始剤を有する記述された重合性歯科用材料とが、処置に使用される場合、重合は、接着剤と重合性歯科用材料との境界層では一般に不十分である。それによって、このことは、オールインワン接着剤に含有されるカルボン酸、リン酸、またはホスホン酸基が、共開始剤として使用されるアミンをプロトン化し、その結果、これらはアンモニウム化合物に変換されると説明される。それによって、重合反応を開始するための(当初の)アミンと過化合物との実際に望ましいレドックス反応が妨げられ、接着剤と重合性歯科用材料との境界層では、歯科用材料が十分に硬化しない。
この問題は、接着剤に対する境界層が位置付けられている窩洞内の底部にまで、この層の厚さにより処置ランプの光が侵入しない場合に、二重硬化歯科用塊でも生ずる。
そのような場合、オールインワン接着剤と一緒にレドックス開始剤を含んだ十分に確立された重合性歯科用材料の使用は、接着剤に対する歯科用材料の接着の低減をもたらす。この理由により、処置をする歯科医は、そのような接着剤を、自己硬化を行う追加の活性化剤と接続するときにのみ使用することができ、または上述の欠点があり特により長い処置時間を必要とするにも関わらずそのようなその他の歯科用材料(例えば、光硬化するだけの歯科用材料)を用いなければならない。
歯質と、レドックス開始剤を含む重合性歯科用材料との間の接着効果を改善するために、特許文献5は、歯質に侵入しかつ歯質に含有される水分を使用して歯科用材料の加速硬化を実現する組成物について記述している。記述される組成物は、モノマー、無機過酸化物、還元剤、および重合促進剤の混合物を含有する。重合触媒は、歯質表面の水分によって溶解し、その結果、境界接着層でのおよび硬化性組成物内での重合/硬化が改善される。そのような促進剤の例は、共開始剤として適切な水溶性亜硫酸塩であるが、ベンゾールスルホン酸のテトラメチルアンモニウム塩およびテトラエチルアンモニウム塩などのアンモニウム塩もある。特許文献5の例によれば、重合促進剤は、ベースペースト中にある。
特許文献6は、重合促進剤、すなわち水溶性亜硫酸塩が追加の共開始剤として添加される、歯学向け接着剤について記述している。亜硫酸塩は、重合性モノマー中に分散され、自然歯質に対する境界層で、歯内の水分により溶解する。亜硫酸塩のさらなる還元効果により、歯と重合性歯科用材料との間の境界層で、重合性歯科用材料の改善された硬化をもたらし、それがボンディング効果を改善する。相間移動触媒の使用は、この文書では述べられていない。
特許文献7は、接着剤と、歯学用に高度な接着および安定性を有する硬化性組成物とからなるキットについて記述している。親水性モノマー(HEMA)を含有する歯科用接着剤で水溶性還元剤(亜硫酸ナトリウム)のみが使用される特許文献6とは対照的に、特許文献7では、疎水性モノマー混合物が使用される。したがって特許文献7に記載される硬化性コンポジットは、特許文献6の生成物とは対照的に、支台築造材料として使用するのに適切である。上記言及されたキットに関する接着剤は、モノマー混合物、水、およびアミンをベースにした硫黄を含まない還元剤を含む。支台築造材料は、モノマー混合物、水溶性の硫黄含有還元剤、有機過酸化物、およびアミンをベースにした硫黄を含まない還元剤も含む。ここでも、相間移動触媒の使用は開示されていない。
特許文献7に記載される解決策の欠点は、部分中和によって、接着剤中に同様に含有されるリン酸メタクリレート(例えば、MDP)の歯の表面に対するエッチング効果を低減させる還元剤として追加のアミンを含有する、キットでも供給される支台築造材料を付着するのに特殊な接着剤が必要なことである。
国際公開第2014/033280A1号パンフレット 欧州特許出願公開第1790323号明細書 欧州特許第2237763号明細書 欧州特許出願公開第2374445号明細書 欧州特許出願公開第2409997号明細書 欧州特許第1780223号明細書 欧州特許出願公開第2554154号明細書
上記に基づけば、本発明の目的は、上述のいずれの欠点も有しない、全ての一般的な接着剤、特にプライミング+ボンディング系およびオールインワン接着剤と共に使用することができる重合性歯科用材料を提供することである。詳細には、本発明の目的は、全ての接着剤、特にプライミング+ボンディング系およびオールインワン接着剤に対する境界層で、十分な硬化を実現し、したがって改善された接着ボンディングを実現し、同時にペースト塊の長い貯蔵寿命(1年超、好ましくは2年超)を実現する、重合性歯科用材料を提供することである。
この問題は、重合性歯科用材料が触媒ペースト(A)およびベースペースト(B)を含有する請求項1の特徴によって解決される。触媒ペーストは、少なくとも1種の有機過酸素化合物、少なくとも1種の充填剤、および少なくとも1種のラジカル重合性有機(メタ)アクリルモノマーを含む。ベースペーストは、少なくとも1種のラジカル重合性有機(メタ)アクリルモノマー、少なくとも1種の充填剤、ラジカル重合の共開始剤としてのアミン、およびベースペースト(B)中に分散された少なくとも1種の塩状の水溶性粉末状還元剤(以後、還元剤とも呼ぶ)を含有する。さらに、少なくとも1種の触媒ペーストおよび/またはベースペースト中には、無機または有機アニオンを含有するアンモニウム、ホスホニウム、および/またはスルホニウム塩である少なくとも1種の相間移動触媒が供され、但し相間移動触媒は、有機アニオンの場合には1〜4個の炭素原子を有するもののみを有し、かつスルフィン酸のアニオンが除外されることを条件とする。
本発明による相間移動触媒を使用することにより、硬化した歯科用材料と接着剤との間の接着は、間接的に改善される。このことは、過酸素化合物と反応させることにより重合の加速を実現するためにも、塩状の水溶性粉末状還元剤が接着剤に対する境界層で溶解し、次いで有機(メタ)アクリルモノマー塊に組み込まれ得ることで、説明することができる。少なくとも1種の触媒ペーストおよび少なくとも1種のベースペーストへの重合性歯科用材料の分離により、長い貯蔵寿命が実現される。口内の条件下(適当な温度および水分)で素早く硬化する重合性歯科用材料は、これらの個々の構成成分を混合することによって生成される。
好ましくは、触媒ペーストおよび/またはベースペーストの総質量に対する、触媒ペーストおよび/またはベースペースト中の相間移動触媒の割合は、0.01から5.0重量%、好ましくは0.01から2.0重量%、特に好ましくは0.05から1.0重量%、特に非常に好ましくは0.05から0.5重量%である。
触媒ペーストおよび/またはベースペーストの総質量に対する触媒ペーストおよび/またはベースペースト中の相間移動触媒の、言及された重量の割合は、接着剤に対する境界面での重合性歯科用材料の硬化が非常に速く進行して歯科用材料のいかなる仕上げもさらに難しくならないようにまたは不可能にならないように、低くなるよう選択されなければならない。これは、生成物を根管にも付着させることもできる場合にとりわけ重要であるが、それは通常なら、根管の早期の閉塞によって歯根ポストの挿入が不可能になる可能性があるからである。同時に、言及された重量の割合は、その他の硬くなった塊が歯質から剥離するのを回避するために、歯科用塊内の重合とほぼ同じ速度で、接着剤に対する境界層での重合が進行するように、高くなるよう選択されるべきである。
重合性歯科用材料の貯蔵寿命に照らし、相間移動触媒は少なくとも1種の触媒ペーストでのみ供される場合が、有利であることが示された。このことは、ペースト中の水分の残りを排除することができず、特に水分は、貯蔵中にペーストの包装に侵入する可能性があることが説明される。この水分は、ベースペースト内に分散した還元剤を溶解し、それによってレドックス反応を活性化する可能性がある。還元剤と共にベースペースト内に既に相間移動触媒が存在するならば、有機(メタ)アクリルモノマーとの還元剤の高度な一体化が生じかつモノマーが還元剤と反応することは、任意の既存の水分と組み合わせて除外することができない。ベースペースト内に捕えられた大気中の酸素でも、酸化剤として、還元剤と反応する可能性があり、それによって貯蔵中に有機(メタ)アクリルモノマーの重合が誘起される。これはベースペーストを無用にすると考えられる。
相間移動触媒がベースペースト中に供される場合、ベースペーストの貯蔵寿命を延ばすために、還元剤、相間移動触媒、および(メタ)アクリルモノマーの早期の変換を防止するステップを経ることが有利である。このために、侵入するいかなる水にも結合する乾燥剤をベースペーストに添加し、または貯蔵中に乾燥剤をベースペーストに含有させて、還元剤の溶解を防止する場合が有利であることが示されてきた。あるいは、またはさらに、塩基をベースペーストに添加して、大気中の酸素との反応剤のレドックス反応を防止しまたはそのような反応を少なくとも遅くすることができる。
乾燥剤の例には、シリカゲル、ゼオライト、酸化アルミニウム、酸化カルシウムおよび/または硫酸カルシウムならびに酸化マグネシウムおよび/または硫酸マグネシウムが含まれる。
本発明の好ましい実施形態では、相間移動触媒が触媒ペーストに含有される。これは、相間移動触媒と共にベースペースト中に存在する還元剤の活性化の可能性とその後に続く還元剤と大気中の酸素との反応が、上述のように、それによって防止することができるので、貯蔵寿命に照らして特に好ましいことが示された。
本発明によれば、還元剤という用語は、重合性(メタ)アクリルモノマーのラジカル重合を開始するのに適切な過酸素化合物と組み合わせてレドックス系を形成する物質を指す。さらに、還元剤は、還元剤が溶解後に酸素と反応するときに、ラジカル成長ポリマー鎖と、重合反応の中断をもたらす可能性のあるジラジカル酸素との反応を防止することができる。
本発明の範囲内で、水溶性という用語は、25℃の温度で蒸留水中少なくとも10g/l、好ましくは少なくとも15g/l、特に好ましくは少なくとも30g/l、特に非常に好ましくは少なくとも50g/lの溶解度を有する物質を指す。
好ましくは、還元剤は、亜硫酸塩からなる群から、特にアルカリ金属亜硫酸塩、アルカリ土類金属亜硫酸塩、(NH42SO3、または亜硫酸水素塩(重亜硫酸塩)、二亜硫酸塩、チオ亜硫酸塩、チオン酸塩、および亜ジチオン酸塩の群から、特にこれらのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩から選択される。還元剤として亜硫酸ナトリウムが使用される場合が特に好ましい。言及された還元剤は、これらが有機モノマー中で低い溶解度を有しかつベースペーストに分散されるが、本発明により使用される相間移動触媒によって有機モノマーと特に十分一体化することができるので、本発明に特に適切であることが示された。
少なくとも1種のベースペーストの総質量に対する還元剤の重量の割合は、好ましくは10重量パーセント未満、特に好ましくは5重量パーセント未満、特に非常に好ましくは2±1重量パーセントである。還元剤が多過ぎると、重合性塊の溶解度レベルが高過ぎとなり、したがって硬化後に、唾液による洗浄で多孔質生成物が生じる可能性があり、それが機械的強度を著しく低減させる。同時に、言及された重量の割合は、接着剤に対する境界層であっても、歯科用材料の重合が意図される通り生ずるように十分高くなるよう選択されなければならない。
少なくとも1種のベースペーストにおいて、アミンは、反応剤とは無関係に、有機(メタ)アクリルモノマーと過酸素化合物との重合反応を開始するのに適切な共開始剤として供される。
一般に、共開始剤は、第1級、第2級、および/または第3級アミンからなる群から、特に第2級アミンおよび/または第3級アミンから選択される。適切な第2級アミンおよび/または適切な第3級アミンの例には、o−トリルジエタノールアミン、m−トリルジエタノールアミン、p−トリルジエタノールアミン、N−メチルアニリン、N−メチル−o−トルイジン、N−メチル−m−トルイジン、N−メチル−p−トルイジン、メチル−2−アニシジン、メチル−3−アニシジン、メチル−4−アニシジン、N,N,−ジメチル−o−トルイジン、N,N,−ジメチル−m−トルイジン、および/またはN,N,−ジメチル−p−トルイジンが含まれる。
少なくとも1種のベースペーストの総質量に対して使用される共開始剤の重量の割合は、好ましくは5重量パーセント未満、特に好ましくは2重量パーセント未満、特に非常に好ましくは1±0.5重量パーセントである。
好ましくは、過酸素化合物は、過酸化物、過酸化物エステル、特にジアシル過酸化物、ジアルキル過酸化物、ペルオキシケタール、ペルオキシケトン、または過酸化水素である。使用される過酸素化合物の場合、この過酸素化合物が、還元剤と、有機(メタ)アクリルモノマーのラジカル重合を開始するのに適切な共開始剤とを組み合わせてレドックス系を形成することは、極めて重要である。言い換えれば、過酸素化合物および還元剤または共開始剤のレドックス電位は、(メタ)アクリルモノマーの重合を開始する2つの生成ラジカル間でレドックス反応が生ずるように、調整しなければならない。
好ましい実施形態において、有機過酸素化合物は、ジアシル過酸化物であり、特に過酸化ベンゾイルまたはそのハロゲン化誘導体、好ましくは過酸化ジベンゾイルである。
少なくとも1種の触媒ペーストの総重量に対する過酸素化合物の重量の割合は、好ましくは5重量パーセント未満、特に好ましくは2重量パーセント未満、特に好ましくは1重量パーセント未満、特に非常に好ましくは0.8±0.2重量パーセントである。
言及されたレドックス開始剤系は、少なくとも1種のさらなる開始剤系で補うこともできる。したがって、例えば、少なくとも1種の光開始剤および/または熱により活性化することができる少なくとも1種のラジカルスターター、例えばアゾ化合物を、重合性歯科用材料中に提供することができる。
これらの追加の開始剤系は、少なくとも1種の触媒ペーストおよび/または少なくとも1種のベースペースト内に提供することができる。当業者は、このタイプの開始剤の種類に馴染みがある。
好ましく供される光開始剤は、重合ランプの使用によって、いかなる時でもスケジュールに先駆けて施術者が硬化を実現することを可能にする。通例、カンファキノンおよび芳香族アミンからなる光開始剤系は、歯科用材料を光硬化するのに使用される。そのような混合物は、1分未満で完全に材料を硬化する470nmの範囲の波長を有する青色光で照射したときに、ラジカルを発生させる。光開始剤は、触媒ペースト中および/またはベースペースト中に存在させることができる。
例えば、カンファキノンなどのαジケトン、特にDL−カンファキノンと、第2級および第3級アミン、例えばエチル−4−ジメチルアミノベンゾエートまたは(2−エチルヘキシル)−4−ジメチルアミノベンゾエートとの組合せ、適用可能な場合にはモノおよびビスアシルホスフィンオキシド、例えば2,4,6−トリメチル−ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドおよびビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−n−プロピルフェニル−ホスフィンオキシドおよびベンズアルデヒドなどとの組合せが、光開始剤として適切である。
少なくとも1種のベースペーストまたは少なくとも1種の触媒ペーストの総重量に対する光開始剤構成成分の重量の割合は、好ましくは10重量パーセント未満、好ましくは5重量パーセント未満、特に好ましくは2重量パーセント未満、特に非常に好ましくは1重量パーセント未満である。
特に、支台築造材料としておよび重合性コンポジットセメントとして重合性歯科用材料を使用する場合、レドックス開始剤系が光開始剤と同様に供される場合が好ましい。そのような重合性歯科用材料は、二重硬化とも呼ばれる。
本発明の好ましい実施形態において、(メタ)アクリルモノマーは、アクリレートもしくはメタクリレート(まとめて、(メタ)アクリレート)、および/またはアクリルアミドもしくはメタクリルアミド(まとめて、(メタ)アクリルアミド)からなる群から選択される。それによって、二官能性以上のアクリル酸およびメタクリル酸化合物、例えば(メタ)アクリル酸エステル、および一官能性(メタ)アクリル酸化合物、例えば(メタ)アクリル酸エステルも提供することができる。
本発明の範囲内で、(メタ)アクリルモノマーは、(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミド基などの(メタ)アクリル酸から誘導された少なくとも1つの重合性基を含有する、個々の化合物、オリゴマー、および/またはポリマーとすることができる。
本発明の範囲内で、単一化合物は、いかなる反復構造単位も有しない化合物を指す。
本発明の範囲内で、オリゴマーは、2から10個の反復構造単位を有する化合物を指す。
本発明の範囲内で、ポリマーは、10個よりも多い反復構造単位を有する化合物を指す。
好ましく使用されるラジカル重合性有機(メタ)アクリルモノマーには、芳香族基含有アクリレートもしくはメタクリレート、脂肪族基含有アクリレートもしくはメタクリレート、オリゴおよびポリエーテル基含有アクリレートもしくはメタクリレート、オリゴおよびポリエステル基含有アクリレートもしくはメタクリレート、ウレタン基含有アクリレートもしくはメタクリレート、またはこれらのモノマーの2種以上の組合せが含まれる。
適切な(メタ)アクリレートの例には、ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、ビス−GMA(メタクリル酸およびビスフェノール−A−ジグリシジルエーテルからなる付加生成物)、エトキシル化ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、UDMA(ジ−2−メタクリルオキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメートおよびジ−2−(メタ)−アクリル−オキシエチル−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメートからなる異性体混合物)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、および/またはグリセリン−1,3−ジメタクリレート(GDMA)、ならびにエチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル−(メタ)−アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロ−フルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)−アクリレート、2−メトキシエチル−(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)−アクリレート、2−メトキシ−エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)−アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)−アクリルオキシプロパン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール−ジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール−ジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオール−ジ−(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14−テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16−ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)−アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、モノ、オリゴ、またはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、モノ、オリゴ、またはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびモノまたはポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、特にモノまたはポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが含まれ、ポリアルキレングリコール誘導体には、分枝状の構造を有するものならびに直鎖状の構造を有するものが含まれる。
さらに、ウレタン基を有する(メタ)アクリレートも、(メタ)アクリレートに関して言及された混合物の構成成分の例として含まれる。適切な例には、ジ−2−(メタ)アクリルオキシエチル−2,2’,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、ジ−2−(メタ)アクリル−オキシエチル−2,4,4’−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、および1,3,5−トリス[1,3−ビス{(メタ)−アクリロイルオキシ}−2−プロポキシカルボニルアミノ−ヘキサン]−1,3,5−(1H,3H,5H)トリアジン−2,4,6−トリオンが含まれる。さらに、例として、ウレタンオリゴマーの(メタ)アクリレートは、2,2’−ジ(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2−オキセパノン、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから誘導されたものが言及され、1,3−ブタンジオール、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2−ヒドロキシ−エチル(メタ)−アクリレートから誘導されたウレタンオリゴマーの(メタ)アクリレートが含まれる。これらの(メタ)アクリレートは、それのみでまたは2種以上の混合物を組み合わせて、重合性歯科用材料で使用することができる。
特に非常に好ましくは、芳香族残基を有する構造単位を含まない、ラジカル重合性有機(メタ)アクリルモノマーが使用され、特に、ビスフェノールAから誘導されたいかなる構造単位も含有しないラジカル重合性有機(メタ)アクリルモノマーが使用される。
本発明によれば、(メタ)アクリルモノマーは、ベースペースト(B)および触媒ペースト(A)で使用される。
相間移動触媒は、無機または有機アニオンを有する、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、および/またはスルホニウム塩からなる群から選択され、有機アニオンの場合には、相間移動触媒は1〜4個の炭素原子を有するもののみを含有し、スルフィン酸のアニオンは除外される。塩は、含水または無水の形態で使用することができる。
さらに好ましいのは、アンモニウム塩のカチオンがNR1234である場合であり、式中、R1、R2、R3、およびR4は、互いに独立して、C1〜C20を意味し、特にC1〜C10、好ましくはC4アルキルであり、C1〜C20、特にC1〜C10、好ましくはC4アルキルハロゲン化物であり、C1〜C20、特にC1〜C10、好ましくはC4アルキルオキシ、特にベンゼトニウムであり、C2〜C20、特にC2〜C10、好ましくはC4アルケニルであり、C2〜C20、特にC2〜C10まで、好ましくはC4アルケニルオキシであり、C2〜C20まで、特にC2〜C10まで、好ましくはC4アルキニルであり、C2〜C20、特にC2〜C10、好ましくはC4アルキニルオキシであり、C2〜C20、特にC2〜C4アルキルエステル、特に好ましくはメチルエステル、アリール、好ましくはフェニル、アリールオキシ、アラルキル、好ましくはベンジル、アラルキルオキシ、アルキルアリール、アルキルアリールオキシであり、好ましくは、残基R1、R2、R3、またはR4の少なくとも1つが、少なくとも1個のC1残基であり、好ましくは少なくとも1個のC2残基であり、特に好ましくは少なくとも1個のC3残基であり、特に非常に好ましくは少なくとも1個のC4残基である。言及された残基は、可能性のある構成および立体異性体も含む。少なくとも1個のC4残基を有するアンモニウム塩は、疎水性支台築造材料に特に好ましい。
本発明の1つの特定の実施形態では、言及された残基のいくつかを、化学結合の形態で存在させることもできる。それによって、アンモニウム塩の窒素原子は、環系化合物、すなわち複素環に一体化される。ベース本体に適切な複素環の例には、アジリジン、アゼチジン、アゾリジン、アジナン、アゼパン、アジリン、アゼト、アゾール、アジン、アゼピン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、イミダゾリン、インドール、キノリン、イソキノリン、プリン、ピリミジン、またはオキサゾールが含まれる。これらは、アンモニウム塩として、相応に置換された化合物として使用することができる。それによって、対応するレドックス電位で、第1級、第2級、および第3級アミンが過酸素化合物を反応する可能性があることを考慮しなければならない。この理由により、いかなる第1級、第2級、および第3級アミンを含有しない、上記言及された複素環化合物のみを使用することが好ましい。
複素環アンモニウム塩の適切な例には、N−(アリルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド、3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムクロリド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−2,3−ジメチル−イミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジデシル−2−メチルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムエチルスルフェート、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムブロミド、ヘキサシルピリジニウムブロミド、ヘキサデシルピリジニウムクロリド、5−(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルチアゾリウムヨージド、1−メチルイミダゾリウム硫酸水素塩、メチルビオロゲンジクロリド、および1,2,3−トリメチルイミダゾリウム塩が含まれる。
市販の相間移動触媒も、本発明で使用することができる。適切な例には、Aliquat(登録商標)336、第4級アンモニウム塩であって、R1がメチルであり、R2、R3、およびR4がオクチルおよび/またはデシルであり、主にオクチルが存在するもの、またはArquad(登録商標)2HT 75が含まれる。
本発明によれば、アンモニウム塩は、特に好ましい相間移動触媒である。
ホスホニウム塩の好ましいカチオンは、PR1234であり、式中、R1、R2、R3、およびR4は、互いに独立して、C1〜C20を意味し、特にC1〜C10、好ましくはC4−アルキルであり、C1〜C20、特にC1〜C10、好ましくはC4アルキルハロゲン化物であり、C1〜C20、特にC1〜C10、好ましくはC4アルキルオキシ、特にベンゼトニウムであり、C2〜C20、特にC2〜C10、好ましくはC4アルケニルであり、C2〜C20、特にC2〜C10、好ましくはC4アルケニルオキシであり、C2〜C20、特にC2〜C10、好ましくはC4アルキニルであり、C2〜C20、特にC2〜C10、好ましくはC4アルキニルオキシであり、C2〜C20、特にC2〜C4アルキルエステル、特に好ましくはメチルエステル、アリール、好ましくはフェニル、アリールオキシ、アラルキル、好ましくはベンジル、アラルキルオキシ、アルキルアリール、アルキルアリールオキシであり、好ましくは、残基R1、R2、R3、またはR4の少なくとも1つが、少なくとも1個のC1残基であり、好ましくは少なくとも1個のC2残基であり、特に好ましくは少なくとも1個のC3残基であり、特に非常に好ましくは少なくとも1個のC4残基である。
スルホニウム塩の好ましいカチオンは、SR123であり、式中、R1、R2、およびR3は、互いに独立して、C1〜C20を意味し、特にC1〜C10まで、好ましくはC4アルキルであり、C1〜C20、特にC1〜C10、好ましくはC4アルキルハロゲン化物であり、C1〜C20、特にC1〜C10、好ましくはC4アルキルオキシ、特にベンゼトニウムであり、C2〜C20、特にC2〜C10、好ましくはC4アルケニルであり、C2〜C20、特にC2〜C10、好ましくはC4アルケニルオキシであり、C2〜C20、特にC2〜C10、好ましくはC4アルキニルであり、C2〜C20、特にC2〜C10、好ましくはC4アルキニルオキシであり、C2〜C20、特にC2〜C4アルキルエステル、特に好ましくはメチルエステル、アリール、好ましくはフェニル、アリールオキシ、アラルキル、好ましくはベンジル、アラルキルオキシ、アルキルアリール、アルキルアリールオキシであり、好ましくは、残基R1、R2、またはR3の少なくとも1つが、少なくとも1個のC1残基であり、好ましくは少なくとも1個のC2残基であり、特に好ましくは少なくとも1個のC3残基であり、特に非常に好ましくは少なくとも1個のC4残基である。
アンモニウム塩、ホスホニウム塩、および/またはスルホニウム塩のアニオンは、無機アニオン、または選択された有機アニオンであって、1から4個の炭素原子を有し、スルフィン酸のアニオンを除外したものである。後者のアニオンはレドックス活性レベルが高過ぎ、不十分な貯蔵寿命の歯科用塊をもたらす。1〜4個の炭素原子を有する有機アニオンは、相間移動触媒を十分に親水性にし、その結果、溶解した還元剤の、接着剤に対する境界層での親水相への十分に速い移行が可能になり、この相の開始後に、アニオンと親水性還元アニオンとの交換が容易になり、次いでこれを有機相に再び戻さなければならない。
本発明によれば、スルホン酸のいかなるアニオンも含有しない相間移動触媒が、特に好ましい。
本発明によれば、特に非常に好ましい相間移動触媒は、無機アニオンを含有するものである。
好ましいアニオンに関する例は、ハロゲン化物、水酸化物、無機酸のアニオン、偽ハロゲン化物アニオン、またはアルミネート、ボレート、シリケート、もしくはホスフェートのハロゲン錯体、または1から4個の炭素原子を有する短鎖有機酸、例えば1から4個の炭素原子を有するカルボン酸のアニオンであって、スルフィン酸のアニオンを除外したものからなる群から選択されるアニオンである。
特に好ましいアニオンは、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、水酸化物、硫酸、硫酸水素、リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、ホスホン酸、ホウ酸、塩素酸、過塩素酸、亜硝酸、硝酸、炭酸水素、炭酸、テトラフルオロボレート、テトラクロロアルミネート、ヘキサフルオロシリケート、ヘキサクロロホスフェート、リン酸、酢酸、酪酸、フマル酸、マレイン酸、グルタル酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸 ピルビン酸、または酒石酸のアニオンである。
下記のアニオン、すなわち硫酸水素、硫酸、リン酸二水素、塩化物、およびテトラフルオロボレートのアニオンは、特に好ましいことが示されている。
全体として、特に有利な相間移動触媒は、比較的高い親水性の特性を有する。このことは、還元剤を含有する極性の水様相が、疎水性歯科用材料塊に比べ、自然歯質に付着された接着剤に対する境界層で、比較的小さいことにより説明される。言い換えれば、相間移動触媒の非常に小さい部分しか、水様相には存在しない。これに相応して、高レベルの親水性は、著しい割合が水様相内にもあり、したがって疎水性モノマー塊への還元剤の一体化が加速されるという効果を有する。これに相応して、相間移動触媒としての極性物質の使用が好ましく、カチオンおよびアニオンは、HSAB則(「硬いおよび軟らかい酸および塩基(Hard and Soft Acids and Bases)」)により、非常に硬いとして好ましくは特徴付けられる。そのような硬いカチオンは、好ましくは、比較的短鎖(C1〜C4)の残基を有するアンモニウムイオンであり、個々のより長い残基(C20まで)は、問題がないことが示された。同じことが、使用されるアニオン、好ましくは硬い、例えばテトラフルオロボレートのアニオンにも当て嵌まり、一方、軟らかいアニオン、例えばヘキサフルオロホスフェートは、それほど適切ではないことが示された。
特に非常に好ましい実施形態では、相間移動触媒には、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、硫酸水素テトラヘキシルアンモニウム、硫酸水素テトラメチルアンモニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム、塩化テトラブチルホスホニウム、ビス−[テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム]スルフェート、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムメチルスルフェート、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムエチルスルフェート、1−エチル−2,3−ジメチル−イミダゾリウムエチルスルフェート、硫酸水素セチルトリメチルアンモニウム、塩化(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウム、および/またはテトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムが含まれる。
無機または有機材料は、触媒ペーストおよびベースペーストの充填剤として使用することができる。充填剤は、強化充填剤または非強化充填剤またはその混合物とすることができる。
強化充填剤は、少なくとも50m2/gのBET表面を有する高度に分散された活性充填剤に、特に適切である。ナノメートル範囲の個々の粒度を有するものは、特に適切である。これらは、凝集体および/または凝塊として存在することができる。好ましい強化充填剤は、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、二酸化ケイ素、ならびに沈殿および/または発熱性二酸化ケイ素からなる群から選択される物質である。当然ながら、先に言及された化合物は、それのみでまたは任意の組合せで、ならびに親水性および疎水性の形態で使用することができる。
さらに好ましくは、少なくとも1種の強化充填剤が、ナノ粒子の形で、繊維または薄片状充填剤として、例えば繊維状無機充填剤として、または繊維状合成充填剤として存在する。
本発明による歯科用材料中の強化充填剤の割合は、全歯科用材料に対して典型的には0.1から50重量パーセントであり、好ましくは0.2から20重量パーセント、特に好ましくは0.5から10重量パーセントである。
原則として、強化充填剤として使用されるものと同じ物質は、非強化充填剤として適切であり、しかし非強化充填剤は、50m2/g未満のBET表面積を有しなければならない(Journal Series Pigments Degussa Silicon Dioxides, Number 12, Page 5およびNumber 13, Page 3)。好ましい非強化充填剤は、X線不透過成分、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属フッ化物、アルカリ土類金属炭酸塩、カルシウムアパタイト(Ca5[(F,Cl,OH,1/2CO3)|(PO43]、特にカルシウムヒドロキシルアパタイト(Ca5[(OH)|(PO43]、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、二酸化ケイ素(例えば、クリストバライト、溶融石英)、沈殿二酸化ケイ素および炭酸カルシウムを好ましくは含有する歯科用ガラスからなる群から選択される物質である。当然ながら、上記言及された化合物は、個々にまたは任意の組合せで、また親水性ならびに疎水性の形態でも使用することができる。
好ましくは、使用される非強化充填剤は、0.1μmよりも大きい平均粒径を有する(Ullmann Encyclopedia of Technical Chemistry, volume 21, page 523)。
本発明による歯科用材料中の非強化充填剤の割合は、歯科用材料の総量に対して典型的には5から80重量パーセントであり、好ましくは10から70重量パーセント、特に好ましくは20から70重量パーセントである。
さらに、より多量の選択されたX線不透過充填剤が、少なくとも1種のベースペーストおよび/または少なくとも1種の触媒ペースト中に存在することもできる。好ましくは、これは不規則に成形されたまたは球状のYbF3またはYF3粉末であってその1次粒子の平均粒度が40nmから1.5μmであり、特に好ましくは、コア−シェルの組合せ生成物が、YF3またはYbF3コアとSiO2シェルとからなり、特に非常に好ましくは、SiO2シェルの表面がシラン化されている。特に、そのようなコア−シェルの組合せ生成物は、レーザ屈折粒度測定デバイスSALD−2001(Schimadzu)で測定したときに、1.48から1.54の屈折率を有し、凝塊形成した粒子の平均粒径は0.5から5μmの間であり、Micromeritics製Tristar 3000デバイスで測定したときのB.E.T.表面が2から5m2/gである。それによって、YbF3コアとSiO2シェルとからなるコア−シェルの組合せ生成物の屈折率は、1.52から1.54の間である。
本発明によれば、歯科用材料における強化および非強化充填剤の占有率は、歯科用材料の総量に対して一般に30から80重量パーセントであり、好ましくは40から80重量パーセントであり、特に好ましくは50から75重量パーセントである。
好ましくは、少なくとも1種のベース構成成分および/または少なくとも1種の触媒構成成分は、1種または複数の添加剤、例えば、緩衝塩、水収集剤、金属収集剤、金属錯体形成剤、他のペースト形成剤、界面活性剤、活性成分、診断を可能にする物質、歯質エッチングおよび/または接着作用物質など、例えば、MDP(メタクリロイルデシルホスフェート)、フッ素化剤、減感剤、接着剤、着色剤、顔料、蛍光着色剤、さらなる開始剤または開始剤構成成分、安定化剤、重合阻害剤、チキソトロピー添加剤、ならびに抗菌物質などを含有する。
少なくとも1種のベース構成成分および/または少なくとも1種の触媒構成成分の総質量に対する添加剤の重量の割合は、それぞれの構成成分の総質量に対して一般に0から20重量パーセントであり、好ましくは0.0001から15重量パーセント、特に非常に好ましくは0.001から10重量パーセントである。
本発明の多成分系は、好ましくは、例えば欧州特許第2,190,592号明細書に開示されるように、カートリッジ、コンパル、および2成分シリンジなどの適切な1次包装に貯蔵され、その後の使用に鑑みて適応される。
特に好ましい実施形態では、1次包装に充填された触媒ペースト(A)と、1次包装に充填されたベースペースト(B)とを含む本発明の多成分系は、少なくとも15カ月、23℃で貯蔵安定性を示す。
この文脈における貯蔵安定性は、象牙質に対する歯科用接着剤と組み合わせた、貯蔵後の多成分系を使用することにより調製された硬化した歯科用材料のボンディング強度が、象牙質上の同じ歯科用接着剤と組み合わせた、貯蔵開始時の同じ多成分系を使用することにより調製された硬化した歯科用材料のボンディング強度とは著しく異ならないことを意味する。さらに貯蔵安定性は、貯蔵開始時の特性と比べた、結合動態、流動学的特性、および機械的特性に関する歯科用材料の性能の無視できる変化を意味する。
本発明による歯科用塊は、歯科用接着剤と一緒に、特にプライムおよびボンドの組合せまたはオールインワン接着剤と一緒に使用されることが多い。
したがって本発明は、上述の重合性歯科用材料および歯科用接着剤を含む、モジュラーシステム(部品のキット)にも関する。
本発明は、本発明による触媒ペースト(A)とベースペースト(B)とを好ましくは1:20から1:1の比で混合することによって、かつ重合性歯科用材料の重合によって得られる、硬化した歯科用材料にも関する。
本発明は、支台築造物、マウンティング、および/または歯の詰め物用の、支台築造材料、重合性コンポジットセメント、および/またはバルク充填コンポジットを生成するための、上述の触媒ペースト(A)および上述のベースペースト(B)の1種を含有する重合性歯科用材料の使用にも関する。
さらに本発明は、支台築造材料として、重合性コンポジットセメントとして、および/またはバルク充填コンポジットとして、上述の触媒ペースト(A)および上述のベースペースト(B)を含有する重合性歯科用材料の使用に関する。
本発明の適用例の改良、利点、および可能性も、実施例に関する以下の記述から得られる。それによって、記述される全ての特徴は、それのみでまたは任意の組合せで、特許請求の範囲におけるそれらの概要またはそれらの参照とは無関係に、本発明の対象を構成する。
1ステップ1成分光硬化自己エッチングおよび自己接着ボンディングを生成するために、下記の表1および2に列挙した成分を使用する。水およびエタノール以外の全ての成分をビーカー内に計量し、遠心分離ミキサで均質化した(Hauschild DAC 150 FVZ)。その後、これらを3本ロールミル、Exakt 80Eで分散させた。分散後、水およびエタノールを添加し、材料を再び遠心分離ミキサ内で均質化し、黒色の10mlの滴瓶(Transcodent製)に補充した。
二重硬化支台築造コンポジットおよびコンポジットセメントを生成するために、下記の表3から21までに列挙された成分を使用した。
全ての成分をビーカー内に計量し、遠心分離ミキサ(Hauschild DAC 150 FVZ)で均質化する。その後、3本ロールミル(Exakt 80E)を使用して、室温で分散を行う。その後、ペーストを、遠心分離ミキサ内でもう一度均質化する。
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に対応する、ジ−2−メタクリルオキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメートおよびジ−2−(メタ)アクリル−オキシエチル−2,4,4−トリメチル−ヘキサメチレンジカルバメートからなる異性体混合物である。
5)DDDDMAは1,12−ドデカンジオールジメタクリレートである。
6)TMPTMAはトリメチロールプロパントリメタクリレートである。
7)BisGMAはビスフェノール−A−グリシジルメタクリレートである。
8)HEMAは2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。
9)GDMAはグリセリン−1,3−ジメタクリレートである。
10)BPOは過酸化ジベンゾイルである。
11)DHEPTはp−トリル−ジエタノールアミンである。
12)HMBPは2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノンである。
13)BAPOは、光硬化の補助開始剤として機能する、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドである。
14)MDPは10−メタクリロイルオキスデシルリン酸二水素塩である。
特許および比較例を生成するために、触媒ペーストおよびベースペースト配合物を、表22に列挙した組合せに対応させて、型式Mixpac 1:1SDL X05−01−52(Sulzer)の5mlダブルシリンジに充填した。試験のため、歯科用塊を、Mixpac MLT 2.5−10−D型(Sulzer)スタティックミキサを介して、IOR 209−20型の根管チップを通して放出した。
Figure 2016166201
ボンディング強度を試験するために、比較例1から3までおよび特許例1から15までの支台築造材料と、比較材料LuxaCore Smartmix Dual(DMG、LOT 707376)を、ボンディングIおよびIIと組み合わせた。実験は、ISO 29022規格に基づいて、ヒト象牙質を使用して行った。
この目的のため、ヒトの歯を、低温マウンティング材料(VariKwick、Buhler製)に埋め込み、表面を研削することによって象牙質を露出させた。ボンディングを、このように処置した試験片に付着させ、10秒間光硬化した(Superlite 1100、M+W Dental製)。その後、試験片を、取着される支台築造シリンダ用プラグインモールド(Bonding Mold Insert、Ultradent製)を収容するボンディングクランプ(Bonding Clamp、Ultradent製)に挿入した。モールド内の充填窩洞を、コンポジットに適切な部位で、歯の中心に位置決めし、低下させた。次に、支台築造材料をコンポジット表面に付着させ、暗所で7分間、37℃で、自己硬化モードで貯蔵した。この時間が経過したら、試験片をモールドから取り出し、水中にさらに24時間、37℃で置いた。
この時間が経過したら、万能試験機(Zwicki Universal Testing Machine Z0.5 TN)を使用して、該当する設定で剪断試験を行った。そのようにするために、コンポジット試験片を試験クランプ(Test Base Clamp、Ultradent製)にクランプ留めした。クランプでは、コンポジットシリンダの中心において、リセス付きブレードを有するクロスヘッドの下で(Crosshead Assembly、Ultradent製)試験片を歯に接する状態で並べた。試験片に、1.0mm/分の試験速度で破壊するまでストレス試験を行った。結果を表23に示す。

Figure 2016166201

Figure 2016166201
表23は、下記の知見を示す。
− 市販されておりドイツにおいて先進の支台築造材料「LuxaCore Smartmix Dual」は、両方のボンディング変形例(特許文献7、比較例2、19頁によるボンディングI;特許文献7、実施例5、31頁によるボンディングII)で、低いボンディング強度を示す。これにより、ボンディングIIによるボンディング強度は、ボンディングIの場合にもう一度著しく低下するが、これはボンディングIIにおいて、リン酸メタクリレートのエッチング作用の一部が、同様に含有する芳香族アミンDHEPTによって中和されることにより説明することができる。
− 比較例1に記述された重合性歯科用材料(特許文献7の比較例3、28頁と同等の水溶性還元剤を含まない開始剤組成物)は、両方のボンディング変形例で低いボンディング強度を示し、「Luxacore Smartmix Dual」に完全に類似している。ここでも同様に、ボンディングIIによるボンディング強度は、ボンディングIの場合に比べてもう一度著しく低下する。これは、全ての例で使用した、ボンディング強度に対するモノマーおよび充填剤に関する組成が、その他の市販の支台築造材料と同等であることを示す。
− 比較例2に記述される重合性歯科用材料(特許文献7の実施例5、17頁と同等の水溶性還元剤を含む開始剤組成物)は、特に、ボンディングIIと併せると、比較例1の重合性歯科用材料に比べて著しく高いボンディング強度を示す。この場合、ボンディングIによるボンディング強度は、ボンディングIIよりも著しく低い。これは2つの結論をもたらす。a)硬化性歯科用材料での水溶性還元化合物の使用は、特許文献6の親水性ボンディング剤とは対照的に、支台築造材料に適切な疎水性組成物に関して望ましい首尾をもたらさない。b)ボンディングIIが、特許文献7の発明による還元アミンと共に使用される場合、コンポジットの硬化性組成物における水溶性還元化合物の使用は、ボンディング強度を著しく改善する。これは、還元剤としてアミンを含有する特殊な接着剤を含む、特許文献7に開示された発明を確認する。しかしそこに提示された従来技術に勝る利点は、キットに収容された特殊な接着剤を使用することによってのみ明らかに実現される。
− 比較例3に記述される重合性歯科用材料(本発明によるものでない相間移動触媒テトラエチルアンモニウムp−トルエンスルホネートを含有する。)は、相間移動触媒が使用されていない比較例2の組成物を含むボンディングIの場合と同等のボンディング強度を示す。これは、4個よりも多いC原子を有する比較的疎水性のアニオンを含む相間移動触媒が効果的ではないことを確認する。
− 特許例1から15までに記述される重合性歯科用材料は、10MPa超の、ボンディングIによる高度なボンディング強度を示す。これは、本発明による相間移動触媒を使用することによってボンディング強度を著しく改善することができ、種々の置換基を有するアンモニウムカチオン、4個以下のC原子を有する種々のアニオン、および種々の濃度の相間移動触媒が使用できることを確認する。さらに、アンモニウム塩をベースにした相間移動触媒、ならびに複素環アンモニウム誘導体をベースにした相間移動触媒、例えば特許例12で使用したイミダゾリウム誘導体、ホスホニウム塩をベースにした相間移動触媒(特許例13および14)、およびスルホニウム塩をベースにした相間移動触媒(特許例15)も適切である。付着された重合性歯科用材料は、良好な貯蔵寿命を示した。15カ月にわたる貯蔵は、ボンディング強度の低減をもたらさなかった。特許文献7に開示された発明によるボンディングIIによれば、特許例3の支台築造材料で示されるように、ボンディング強度はこれ以上改善することができず、すなわち、還元剤としてアミンを含有する特殊な接着剤の使用は、それ故、本特許明細書による相間移動触媒を使用した場合に硬化性コンポジットに必要とされない。
− 特許例3の重合性歯科用材料も、様々な製造業者からのいくつかの市販の光硬化オールインワン接着剤で試験をした。高度なボンディング強度をそれぞれの場合に実現することが可能であった。
さらに、市販の支台築造材料を様々な市販の接着剤と組み合わせて使用して、微小引張り試験を実行した。
この試験のために、300個の無傷の非齲蝕性無修正ヒト第3大臼歯を、4℃の0.5%クロルアミンTの水溶液中に、最長30日間貯蔵した。歯の残留プラークおよび歯石を清拭し、倍率20×の光学顕微鏡の下で検査して、欠損がないことを確実にした。規格化I級窩洞調製物(幅および長さ4mm、深さ4mm)を実行した。窩洞を、大量の水の冷却の下で、粗いダイヤモンドバーを使用して切削し(80μm、Two−Striper(登録商標)Prep−Set、Premier、St.Paul、USA)、25μmの仕上げ用ダイヤモンドで仕上げた。窩洞の内角を丸め、縁部は面取りしなかった。ボンディングされた界面と、後に切断されるμ−TBSビームの方向との間での、矩形の関係を保証するために、咬頭を2mm平らにし、次いで窩底を、平らになった咬頭と平行に調製した。
窩洞を、高い室温(口内温度のシミュレーションでは30℃)の下、種々の接着剤および支台築造材料で大量に、5mm過充填した。接着剤(製造業者の取扱説明書に従い、別々に硬化した)および築造レジンコンポジットを、製造業者の推奨に従いBluephase光硬化ユニット(Ivoclar Vivadent)で重合した。光の強度を、放射計(Demetron Research Corp、Danbury、CT、USA)で周期的にチェックして、実験中は確実に常に1200mW/cm2を超えるようにした。
37℃での24時間の水中貯蔵および2,500回の熱サイクル(5℃/55℃)の後、再建/充填された歯の周縁領域を除去し、残された試験片を頂点方向にスライス状に切断し、これを再度切断してレジン−象牙質ビームを受けるようにした。断面積700×700μm(0.5mm2)のスティックをもたらす刃の厚さ(300μm)により、鋸歯をステップ1mmに調節した。各グループで得られたスティックから、20個を選択した(n=20)。これら20個のスティックは、歯髄までの、残存する象牙質の厚さが2.0±0.5mmでなければならなかった。正確な残存する象牙質の厚さを有する、20個よりも多いビームを収集した場合、20個のスティックをランダムに選択した。選択されたスティックの1つまたは複数が、切断プロセスにより破損した場合、選択された試験片の総数に対する、早期に破損した試験片のパーセンテージを記録した。20個の最終試験片に関し、最終μ−RBS結果と同じ(または近似の)パーセンテージが0MPaを受けた。μ−TBSスティックを、37℃で24時間蒸留水中に貯蔵し、次いで、フランケンベルガー・アール(Frankenberger R), パシュリー・ディー・エイチ(Pashley DH), ライヒ・エス・エム(Reich SM), ローバウアー・ユー(Lohbauer U), ペチェルト・エー(Petschelt A), テイ・エフ・アール(Tay FR)「圧縮サイクル負荷によるレジン−象牙質界面の特徴付け(Characterisation of resin-dentine interfaces by compressive cyclic loading)」Biomaterials 2005;26:2043-2052に従い、十分適切なプロトコルに準拠して破断した。
下記の表は、接着剤の様々な組合せを使用した、支台築造材料に関するボンディング強度(単位MPa)を示す。
Figure 2016166201

Claims (23)

  1. 触媒ペースト(A)およびベースペースト(B)を含有し、前記触媒ペースト(A)が、少なくとも1種の有機過酸素化合物、少なくとも1種のラジカル重合性有機(メタ)アクリルモノマー、および少なくとも1種の充填剤を含有し、前記ベースペースト(B)が、少なくとも1種のラジカル重合性有機(メタ)アクリルモノマー、ラジカル重合の共開始剤としてのアミン、少なくとも1種の充填剤、および内部に分散された少なくとも1種の塩状の水溶性粉末状還元剤を含有する、重合性歯科用材料であって、
    前記触媒ペースト(A)および/または前記ベースペースト(B)が、無機または有機アニオンを含有するアンモニウム、ホスホニウム、および/またはスルホニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種の相間移動触媒を含有し、但し前記相間移動触媒は、有機アニオンの場合には1〜4個の炭素原子を有するもののみを含有し、かつスルフィン酸のアニオンが除外されることを条件とする、重合性歯科用材料。
  2. 前記相間移動触媒が、前記触媒ペースト(A)中のみに存在する、請求項1に記載の重合性歯科用材料。
  3. 前記少なくとも1種の塩状の水溶性粉末状還元剤が、亜硫酸塩からなる群から、特にアルカリ金属亜硫酸塩の群から選択され、とりわけ亜硫酸ナトリウムである、請求項1または2に記載の重合性歯科用材料。
  4. 前記少なくとも1種の相間移動触媒の割合が、前記触媒ペースト(A)および/または前記ベースペースト(B)の総質量に対して0.01から5重量パーセントである、請求項1から3の1項に記載の重合性歯科用材料。
  5. 前記ラジカル重合の共開始剤が、第1級、第2級、または第3級アミンであり、好ましくは第2級または第3級アミンであり、特に好ましくは第3級アミンである、請求項1から4の1項に記載の重合性歯科用材料。
  6. 二重硬化するものであり、さらに、少なくとも1種の光開始剤が前記触媒ペースト(A)中および/または前記ベースペースト(B)中に供される、請求項1から5の1項に記載の重合性歯科用材料。
  7. 前記少なくとも1種のラジカル重合性有機(メタ)アクリルモノマーが、ジもしくはそれより高級のアクリレート、ジもしくはそれより高級のアクリルアミド、ジもしくはそれより高級のメタクリレート、および/またはジもしくはそれより高級のメタクリルアミドの群から選択される、請求項1から6の1項に記載の重合性歯科用材料。
  8. 前記少なくとも1種のラジカル重合性有機(メタ)アクリルモノマーが、芳香族基含有アクリレートもしくはメタクリレート、脂肪族基含有アクリレートもしくはメタクリレート、ポリエーテル基含有アクリレートもしくはメタクリレート、ポリエステル基含有アクリレートもしくはメタクリレート、ポリウレタン基含有アクリレートもしくはメタクリレート、またはこれらのモノマーの2種以上の組合せからなる群から選択され、これらは好ましくは、少なくとも2個のアクリレートおよび/またはメタクリレート基を有するモノマーである、請求項1から7の1項に記載の重合性歯科用材料。
  9. 前記少なくとも1種のラジカル重合性有機(メタ)アクリルモノマーが、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールグリシジルアクリレート、ビスフェノールグリシジルメタクリレート(Bis−GMA)、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、1,6−ビス(アクリルオキシ−2−エトキシカルボニルアミノ)−2,4,4−トリメチル−ヘキサン、1,6−ビス(メタクリルオキシ−2−エトキシ−カルボニルアミノ)−2,4,4−トリメチル−ヘキサン(UDMA)、トリメチロールプロパントリアクリレートトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、グリセリン−1,3−アクリレート、グリセリン−1,3−ジメタクリレート(GDMA)、ドデカンジオールジアクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレンジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、またはこれらのモノマーの2種以上の組合せからなるモノマーの群から選択される、請求項8に記載の重合性歯科用材料。
  10. 前記ラジカル重合性有機(メタ)アクリルモノマーが、芳香族残基を有するいかなる構造単位も含まず、特に、ビスフェノールAから誘導されたいかなる構造単位も含有しない、請求項1から9の1項に記載の重合性歯科用材料。
  11. 前記有機過酸素化合物が、有機過酸化物、特にジアシル過酸化物またはそのハロゲン化誘導体からなる群から選択される、請求項1から10の1項に記載の重合性歯科用材料。
  12. 前記相間移動触媒の前記アニオンが、ハロゲン化物、水酸化物、無機酸のアニオン、偽ハロゲン化物アニオン、またはアルミネート、シリケート、もしくはホスフェートのハロゲン錯体、または1から4個の炭素原子を有する有機酸のアニオンであって、スルフィン酸のアニオンを除外したものからなる群から選択される、請求項1から11の1項に記載の重合性歯科用材料。
  13. 前記相間移動触媒の前記アニオンが、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、水酸化物、硫酸、硫酸水素、硫酸二水素、リン酸、ホスホン酸、ホウ酸、塩素酸、過塩素酸、亜硝酸、硝酸、炭酸水素、炭酸、テトラフルオロボレート、テトラクロロアルミネート、ヘキサフルオロシリケート、ヘキサクロロホスフェート、ギ酸、酢酸、酪酸、フマル酸、マレイン酸、グルタル酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸、ピルビン酸、または酒石酸のアニオンからなる群から選択される、請求項12に記載の重合性歯科用材料。
  14. 前記相間移動触媒が、カチオンNR1234を有するアンモニウム塩であり、式中、R1、R2、R3、およびR4は、互いに独立して、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルキルハロゲン化物、C1〜C20アルキルオキシ、C1〜C20ヒドロキシアルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニル、C2〜C20アルキニルオキシ、C2〜C20アルキルエステル、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アルキルアリール、および/またはアルキルアリールオキシを意味する、請求項1から13の1項に記載の重合性歯科用材料。
  15. 前記相間移動触媒が、カチオンPR1234を有するホスホニウム塩であり、式中、R1、R2、R3、およびR4は、互いに独立して、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルキルハロゲン化物、C1〜C20アルキルオキシ、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニル、C2〜C20アルキニルオキシ、C2〜C20アルキルエステル、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アルキルアリール、および/またはアルキルアリールオキシを意味する、請求項1から14の1項に記載の重合性歯科用材料。
  16. 前記相間移動触媒が、カチオンSR123を有するスルホニウム塩であり、式中、R1、R2、およびR3は、互いに独立して、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルキルハロゲン化物、C1〜C20アルキルオキシ、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニル、C2〜C20アルキニルオキシ、C2〜C20アルキルエステル、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アルキルアリール、および/またはアルキルアリールオキシを意味する、請求項1から15の1項に記載の重合性歯科用材料。
  17. 前記相間移動触媒が、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、硫酸水素テトラヘキシルアンモニウム、硫酸水素テトラメチルアンモニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム、塩化テトラブチルホスホニウム、ビス−[テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム]スルフェート、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムメチルスルフェート、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムエチルスルフェート、1−エチル−2,3−ジメチル−イミダゾリウムエチルスルフェート、硫酸水素セチルトリメチルアンモニウム、塩化(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウム、および/またはテトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムである、請求項1から16の1項に記載の重合性歯科用材料。
  18. 1次包装に充填された前記触媒ペースト(A)と、1次包装に充填された前記ベースペースト(B)とを含む多成分系が、23℃で少なくとも15カ月の貯蔵安定性を示す、請求項1から17の1項に記載の重合性歯科用材料。
  19. 請求項1から18の1項に記載の構成成分AおよびBを1:20から1:1の比での混合により、かつ前記重合性歯科用材料の重合により得られる、硬化した歯科用材料。
  20. 象牙質、歯科用接着剤、および請求項1から18の1項に記載の重合性歯科用材料を硬化することによって得られた硬化した歯科用材料を含むコンポジットであって、
    37℃での24時間の水中貯蔵の後、かつ5℃から55℃の間の2,500回の熱サイクル後に依然として存在している、コンポジット。
  21. 支台築造材料として、セメントコンポジットとして、および/またはバルク充填コンポジットとしての、請求項19に記載の硬化した歯科用材料の使用。
  22. 残根構造、マウンティング、および/または歯の詰め物を生成するための、支台築造材料、重合性コンポジットセメント、および/またはバルク充填コンポジットを生成するための、請求項1から18の1項に記載の重合性歯科用材料の使用。
  23. 請求項1から18の1項に記載の重合性歯科用材料と、歯科用接着剤とを含む、キットシステム(部品のキット)。


    <NKSC0003>
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