JP2016165764A - 高周波振動援用プラズマ放電研削装置及びその方法 - Google Patents

高周波振動援用プラズマ放電研削装置及びその方法 Download PDF

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Abstract

【課題】パイプ電極の先端の加工点まで加工液を送出して研削加工を行う際に、低圧で加工液を送出し、パイプ電極と工作物の放電間隔をサーボ制御せずに好適に維持して加工することができる装置を提供する。【解決手段】加工液を通じるパイプ状の放電加工電極と、放電加工電極を回転駆動するスピンドルと、スピンドルを軸方向に高周波振動させる加振手段と、加振手段を駆動する高周波振動用高周波パルス電源と、放電加工電極を挿通して加工液を供給する加工液供給手段7と、電極間にプラズマ放電を発生させる高周波パルス電流を印加するプラズマ放電用高周波パルス電源と、を備え、工作物と放電加工電極との間隔を砥粒の突出高さの10μm以下として放電加工電極を軸方向に20kHz以上の高周波振動させることで工作物と放電加工電極の砥粒とが接触する状態で電極間が短絡することなくプラズマ放電を持続させる。【選択図】図1

Description

本発明は、研削砥石に高周波振動を伝搬して工作物を研削する高周波振動援用研削装置に係り、特に高周波振動とプラズマ放電と研削加工を好適に組み合わせることにより、プラズマ放電による難削材の加工表面を快削化させて低加工圧での研削を可能とし、また加工液を小径なパイプ電極内を良好に通水させて好適なプラズマ放電や研削加工を可能とする高周波振動援用プラズマ放電研削装置及びその方法に関する。
従来、研削砥石と工作物の表面との間に電解液を介し電圧を印加して工作物の表面を電解研削する電解研削装置は存在している(特許文献1参照)。
この電解研削装置は、研削砥石と工作物の間に電解液を介し電圧を印加して電解研削するものであり、研削《砥粒の運動エネルギー》と、電解《工作物への電気エネルギー》の2つの要素を組み合わせた加工技術である。
特開平3−251317号公報
しかしながら、上述した従来の電解研削装置は、工作物の孔径が十分に大きいものであって、本願発明が目的とする内径に対して奥行きの大きい、すなわちアスペクト比の高い加工孔や、小径な工作物の加工孔の内周面を、高精度・高能率で研削加工及び放電加工する技術に適用することはできなかった。
また、従来の研削等の機械加工にあっては、図8に示すように、チタン合金等の難削材からなる工作物W、特に肉薄の工作物Wの内周面を機械加工するに際して、砥石51の加工圧が高いことから肉薄の加工面を変形させてしまい、高精度の加工が困難であった。またこの際、小径な工作物Wの止まり穴(盲穴)に加工液供給手段から加工液52を注入する手段としては、穴の外から加工液を注いでも僅かな隙間から穴内部に入らないことから、貫通孔53を有する通液型(クーランススルータイプ)の砥石51を用いて、砥石51の先端から加工液52を注入していた。この場合に、通液型砥石51の先端から送出される加工液52は、止まり穴の底部Wbには達するものの、加工面である内壁面Waには到達しづらかった。
また、加工面に加工液を送出する細いパイプ状の通液型砥石、もしくは放電加工に用いる細いパイプ電極にあっては、パイプを挿通して先端の加工点まで加工液を供給する際に、パイプの内径が小さくなるにつれて、加工液の粘性やパイプ内の気泡の影響により、加工液の送出に高圧力を要することとなり、ときには1MPa(約10気圧)を超えるような高圧ポンプが必要となる場合があった。このような高圧ポンプを用いることは、装置のコスト高に加え、高圧を加えることにより故障しやすくなって装置の信頼性や寿命に多大な問題を生じるものであった。
さらに、アスペクト比の高い加工孔や、小径な工作物の加工孔の内周面を、プラズマ放電を利用して加工する際に、放電電極の加工点と工作物が短絡すると、放電が消滅して加工できなくなることから、短絡したことを電気的に検知すると、電極の加工点を工作物から後退させて短絡を回避し、また一方電極の加工点が工作物から後退しすぎたり放電加工されることにより工作物表面が後退したりすると、放電電極の加工点と工作物の間隔が拡がりすぎて放電が止まってしまうことから、放電電極の加工点を工作物に近づけるように、放電間隔を維持するためにサーボ制御が行われていた。
この短絡・切断を繰り返しながら放電間隔を維持させようとするサーボ制御を用いた放電加工は、間欠的に加工することから時間を要して加工効率が悪いばかりか、電極が前進・後退を細かく繰り返しながら加工の進行に伴って前進送りするという多重の動きをすることにより、高精度な放電加工が望めなかった。
本発明は以上に述べた事情に鑑みて為されたものであって、その目的は、難削材の肉薄の工作物の内周面を加工する際に、肉薄の加工面が変形することない低い砥石加工圧を可能とし、かつ小径な通液型のパイプ電極の先端の加工点まで加工液を送出しながら加工を行うのに際し、高圧ポンプを必要とせずにパイプ電極に加工液を送出することができ、さらに、パイプ電極先端の加工点と工作物の放電間隔を、サーボ制御を用いることなく好適に維持して高精度の加工を行うことができる高周波振動援用プラズマ放電研削装置及びその方法を提供することである。
上記解決課題に鑑みて鋭意研究の結果、本発明者はこれまで研削加工が困難であった難削材の肉薄の小径内周面に対しても、表面粗さ精度に優れかつ形状加工に好適な研削加工が可能となるように高周波振動を援用したプラズマ放電研削装置及びその方法を案出するに至った。
すなわち本発明の高周波振動援用プラズマ放電研削装置は、非導電性の砥粒を導電性結合材により結合固化させた研削砥石の内部に加工液を通じる中心穴を有する放電加工電極と、該放電加工電極を回転駆動するスピンドルと、該スピンドルを軸方向に高周波振動させる加振手段と、該加振手段を駆動する高周波振動用高周波パルス電源と、上記放電加工電極の中心穴を通じて加工液を供給する加工液供給手段と、上記放電加工電極と工作物との間にプラズマ放電を発生させるための高周波パルス電流を印加するプラズマ放電用高周波パルス電源と、を備え、上記放電加工電極を工作物表面に沿って軸方向に振動周波数が20kHz以上でかつ振幅が数μm〜十数μmの高周波振動させることにより上記放電加工電極の中心穴に加工液を通じさせ、かつ工作物と回転する放電加工電極との間隔を上記砥粒の突出高さの10μm以下として工作物と放電加工電極の砥粒とが接触する状態で電極間が電気的に短絡させることなくプラズマ放電を持続させることを特徴とする。
このような構成とすることにより、小径な通液型のパイプ電極の先端の加工点まで加工液を送出しながら加工を行うのに際し、高圧ポンプを必要とせずにパイプ電極に加工液を送出することができ、さらに、パイプ電極先端の加工点と工作物の放電間隔を、サーボ制御を用いることなく好適に維持して高精度の加工を行うことができ、効率よく高精度の加工を行うことができ、またチタン合金等の難削材においても研削加工を局所的に行うことができることから、加工後の形状精度を向上させることができる。
また、プラズマ放電用高周波パルス電源の周波数は高周波振動用高周波パルス電源の周波数よりも高くすることを特徴とする。
これにより、工作物と放電加工電極の砥粒とが接触する状態で電極間を短絡させることなく、パイプ電極先端の加工点と工作物の放電間隔を維持したままプラズマ放電を持続させて高精度の加工を行うことができる。
また、放電加工電極は、中心軸を直交する縦断面で、放電加工電極の中心穴から外周に向けて貫通する放射状のスリットを形成することを特徴とする。
これにより、加工液がスリットから工作物の加工面に向けて直接供給され、加工効率に優れる。
そして、本発明の高周波振動援用プラズマ放電研削方法は、非導電性の砥粒を導電性結合材により結合固化させた研削砥石の内部に加工液を通じるパイプ状の放電加工電極と、該放電加工電極を回転駆動するスピンドルと、該スピンドルを軸方向に高周波振動させる加振手段と、該加振手段を駆動する高周波振動用高周波パルス電源と、上記放電加工電極と工作物との間にプラズマ放電を発生させるための高周波パルス電流を印加するプラズマ放電用高周波パルス電源と、を備えた高周波振動援用プラズマ放電研削装置において、上記放電加工電極を工作物表面に沿って軸方向に振動周波数が20kHz以上でかつ振幅が数μm〜十数μmの高周波振動させることにより上記放電加工電極の中心穴に加工液を通じさせ、かつ工作物と回転する放電加工電極との間隔を上記砥粒の突出高さの10μm以下として工作物と放電加工電極の砥粒とが接触する状態で電極間が電気的に短絡させることなくプラズマ放電を持続させて、該プラズマが工作物をエッチングすることによりその局所的な加工表面に軟化層を生成し、該軟化層を上記放電加工電極の砥粒が研削することを特徴とする。
本発明の高周波振動援用プラズマ放電研削装置を示す説明図である。 本発明の高周波振動援用プラズマ放電研削装置における放電加工電極が工作物を加工する状態を示す説明図である。 本発明の高周波振動援用プラズマ放電研削装置の放電加工電極を示す説明図である。 本発明の高周波振動援用プラズマ放電研削装置におけるパイプ電極に加工液を供給する状態を示す説明図であり、図4(A)は高周波振動を加えない状態、図4(B)は高周波振動を加えた状態を表している。 本発明の高周波振動援用プラズマ放電研削装置における放電加工電極がプラズマ放電する状態を示す説明図であり、図5(A)は高周波振動を加えない状態、図5(B)は高周波振動を加えた状態を表している。 本発明の高周波振動援用プラズマ放電研削装置における工作物と放電加工電極間での加工を示し、高周波振動と放電加工電圧の印加の有無による比較を示す説明図である。 本発明の高周波振動援用プラズマ放電研削装置における工作物と放電加工電極間の加工と、従来の加工方法との比較を示す説明図である。 従来の高周波振動援用プラズマ放電研削装置における砥石が工作物を加工する状態を示す説明図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る高周波振動援用プラズマ放電研削装置を実施するための形態を詳細に説明する。図1〜図7は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
<構成>
本発明の高周波振動援用プラズマ放電研削装置1は、図1に示すように、砥粒を備えた研削砥石である放電加工電極2と、これを回転駆動するスピンドル3と、該スピンドル3の軸方向に高周波振動を加える適宜な加振手段を駆動するための高周波振動用高周波パルス電源4と、放電加工電極2と工作物との間にプラズマ放電を生じさせるためのプラズマ放電用高周波パルス電源5と、加工面に研削加工用及びプラズマ放電用の加工液6を提供する加工液供給手段7と、を備えている。
スピンドル3は、放電加工電極2とともにその軸中心に細孔を設け、そこに適宜な加工液供給手段7からの加工液6を通じて加工域に供給する。放電加工電極2を通液型の構造とすることにより、小径で止まり穴(盲穴)の工作物Wの内周面であっても加工液を好適に供給しながら研削加工することができる。そして、高周波振動用高周波パルス電源4を稼動させることにより、スピンドル3は20kHz以上の周波数で軸方向、すなわち図1のZ軸方向に高周波振動しながら、Z軸方向に往復動(揺動)しつつ、工作物Wの内周面を研削する。そして、加工の進行に伴って工作物(テーブル)を前進送りする。
工作物Wを載置固定するYテーブル8はY軸方向に移動可能で、このYテーブル8を載置するXテーブル9はX軸方向に移動可能である。そして、Xテーブル9、Yテーブル8及び各パルス電源を含む高周波振動援用プラズマ放電研削装置1による研削加工を制御するための制御手段(図示せず)を別途備えている。
図2は、図1とは別の加工例であり、チャッキングされた工作物Wの内周面Waを放電加工電極2が研削している状態をイメージ的に表している。放電加工電極2は、ダイヤモンド砥粒などの非導電性の砥粒を導電性結合材により結合固化している。放電加工電極2表面から突出した砥粒が工作物Wを研削する状態において、砥粒の導電性結合材からの突出高さが、放電加工電極2と工作物Wの電極間距離となる。本実施例の場合は、高精度の研削を行うために、砥粒の突出高さを20μm未満、できれば10μm未満とすることが好ましい。
図中6は、加工液供給手段7からスピンドル3と放電加工電極2の細孔を通じて供給される加工液である。また10は、放電加工電極2が工作物Wの内周面を加工している加工域であり、この個所に後述するプラズマ放電を生じさせている。
そして、高周波振動用高周波パルス電源4は、加振手段を駆動することにより放電加工電極2を備えたスピンドル3を軸方向に20kHz以上、できれば40kHz以上の周波数で、かつ振幅が数μm〜十数μmで高周波振動させる。
プラズマ放電用高周波パルス電源5は、予め設定したプラズマ放電用電圧として、研削砥石2(正確には上記導電性結合材)と工作物Wとの間に、砥粒の突出高さを電極間距離に設定して、1マイクロ秒以下(サブマイクロ秒)レベルのパルス幅の高周波パルス電流を印加する。
図3は、スピンドル3とこれに取り付けられる研削砥石である放電加工電極2を表し、スピンドル3先端に設けた雌ねじ3aに、放電加工電極2に突設された雄ねじ2aを螺合させて着脱可能な状態で一体化する構造としている。
そして、放電加工電極2には、中心軸を直交する縦断面で、放電加工電極2を挿通する細孔2bから外周に向けて貫通する放射状の十文字形状のスリット11が形成され、加工液供給手段7からの加工液6が、スピンドル3の細孔3bを通り、放電加工電極2のスリット11から吐出され、工作物Wの内周面Waに供給される。
この放電加工電極2の中心軸の細孔2bは、貫通孔ではなく止まり穴とし、加工液供給手段7からの加工液6は、上記スリット11から加工面である工作物Wの内周面全周に供給される。
図4は、加工液供給手段7から高圧ポンプではない通常のポンプの圧力にて供給される加工液を、細孔を有するパイプ電極の先端から吐出させる状態を示す写真であり、図4(A)は高周波振動させない状態で、加工液がパイプ電極の先端に水滴となって付着して間欠的に落下する状態を表し(写真中の水滴に反射しているリング状の光は、撮影用の光源の映り込みである)、図4(B)はパイプ電極を軸方向に20kHz以上で、かつ振幅が数μm〜十数μmで高周波振動させることにより、加工液がパイプ電極の先端から連続して噴出する状態を示している。
この試験条件は、小径のパイプ電極が、外径0.38mm、内径0.19mm、長さ10mmの銅製で、供給する加工液は水である。
この試験の比較でわかるように、パイプ電極の細孔を通じて、加工液供給手段から高圧ポンプではない通常の圧力で加工液を供給する際に、パイプの内径が小さいと加工液の粘性やパイプ内の気泡の影響により、加工液が送出されなくなるのに対し、パイプ電極を軸方向に振動周波数が20kHz以上で、かつ振幅が数μm〜十数μmで高周波振動させることにより、加工液の粘性を低下させる作用と、大きな気泡を小径なマイクロバブルに変化させる作用が生じ、これにより加工液が送出されるものである。
図5は、プラズマ放電電極と工作物との間に放電電圧を印加し、プラズマ放電電極と工作物を接触させた状態を示し、図5(A)はプラズマ放電電極と工作物とが短絡して放電が生じていないのに対し、図5(B)はプラズマ放電電極を軸方向に20kHz以上で、かつ振幅が数μm〜十数μmで高周波振動させることにより、図5(A)と同じ条件下であってもプラズマ放電が発生し続ける状態を表している。
図5(B)中、12はプラズマ放電電極と工作物の間で発生しているプラズマ放電である。
<難削材の快削化加工の方法>
このような構成からなる本発明の高周波振動援用プラズマ放電研削方法について、以下に詳述する。
図6(A)は、プラズマ放電加工前の高周波振動用高周波パルス電源4及びプラズマ放電用高周波パルス電源5がオフの状態の加工域の状態を示しており、砥粒13を結合し突出させた導電性を有する結合材、すなわち放電加工電極14と、工作物Wとの間、すなわち砥粒13の突出高さの電極間には、主に水からなる加工液6が供給されている。
次に図6(B)は、図6(A)の状態から高周波振動用高周波パルス電源4を稼動して放電加工電極14が、図の左右方向に20kHz以上の高周波振動している状態を示している。
この状態で、加工液供給手段7から供給される加工液6は、通常の圧力のポンプを使用した場合であっても、放電加工電極14を高周波振動することによりスピンドル3及び放電加工電極2の細孔を挿通して放電加工電極14と工作物Wとの間に供給され、そしてこの加工液6は、導電率が低い純水を用いた場合であっても、電気分解して直径数百μm程度の気泡が発生する。そして、気相は液相に比べて放電による火花が発生しやすいため、加工面が不均一になりやすい。
この気泡は、狭小な電極間における高周波振動によって壊されて直径数μm又はそれ以下の均一な微小な気泡であるマイクロバブル15へと変化していき、これにより電極間を加工液6の水(液相)と、マイクロバブル15の空気(気相)とが均一に密に混じり合った液相・気相混合状態とする。
またマイクロバブル15は、圧壊時のエネルギーにより、高酸化力を有するOHラジカル等の活性酸素を生成するため、加工表面の快削化に効果を発揮する。
そして、放電加工電極14が高周波振動している図6(B)の状態に加えて、プラズマ放電用高周波パルス電源5を稼動することにより、図6(C)に示すように、均一に液相・気相が満ちた極小な電極間の、放電加工電極14と工作物Wとが接触する個所に、火花放電させることなく均一なプラズマ16を連続的に発生させる環境を形成するものである。
上記プラズマ放電用高周波パルス電源5により電極間に電圧を印加すると、電極間には水の電気分解により不均一な大きさの気泡が発生するが、これも狭小な電極間における高周波振動によって壊されてマイクロバブル15へと変化していく。
このプラズマ放電用高周波パルス電源5が放電加工電極14と工作物Wとの間に印加する電圧は、放電加工電極14と工作物Wとの間で短絡することがなく、かつ火花放電、アーク放電しないように高周波パルスを設定する。そして、高周波振動により放電加工電極14と工作物Wとの間の加工液6が霧化し、そしてキャビテーションによるマイクロバブル15が発生し、密に混じり合った液相・気相混合状態で、この電極間に放電加工電極14側を負極、工作物W側を正極にして高周波パルス電圧を印加することにより、図2及び図5に示す均一なプラズマ16を放電加工電極14と工作物Wとが接触する個所に局所的に発生させる。この砥粒の突出高さである10μm未満の狭小な電極間を高周波振動させることにより、電極間が短絡して放電が消滅する事態が生じなくなり、電極間のプラズマ放電を持続させることができるものである。
このように、本実施例によれば電極間が短絡して放電が消滅することが生じないことから、従来のサーボ制御のように、短絡・切断を繰り返して放電間隔を維持させながら、加工の進行に伴って前進送りするという制御を行うことなく、一定の速度で前進送りするだけで加工が完了するものである。
このプラズマ16は、そこに位置する加工液6の水を電離し、これにより高酸化力を有するOHラジカル等の活性酸素をさらに生成するとともに、活性酸素は、放電加工電極14が接触する工作物Wの表面を局所的にエッチングすることにより軟質化させて軟化層17を生成する。そして、この軟化層17を放電加工電極14が低加工圧にて、工具変形を伴うことなく好適に研削することができる。
このプラズマ16の発生部位、及びキャビテーションによるマイクロバブル15の発生部位が局所的であることと、そしてOHラジカル等の活性酸素が短寿命であることから、生成される軟化層17は工作物Wの内周面Waに広く及ぶことがなく、放電加工電極14の接触個所のみに限定されるため電解加工のように加工面以外をエッチングすることがない。
そして、軟化層17を放電加工電極14が研削して除去することにより発生する加工屑18は、電極間に細かく散らばるものの、これらは高周波振動により加工域外へと排出されていくものである。また電極の表面も常に洗浄され活性化した状態を保つ。
図7は、チタン合金等の難削材からなる肉薄の工作物について、従来行われていた、図7(A)機械加工、図7(B)電解加工、及び図7(C)放電加工と、図7(D)本発明の高周波振動援用プラズマ放電研削装置による加工との相違を示している。
図7(A)の機械加工にあっては、下穴が偏心している工作物の内周面を研削砥石が研削する際に、砥石加工圧が高いことから工作物を変形させてしまい、内周面の偏心は取り切れず、かえって偏心が拡大するおそれがあった。
図7(B)の電解加工にあっては、内周面の全周に渡って電解作用が働くことにより、偏心した下穴に倣って内周面が加工されてしまうことから、内周面の偏心を取り除くことができなかった。
図7(C)の放電加工にあっては、仕上げ前の表面粗さの大きい(粗い)下穴に放電加工のみを施しても、表面粗さは小さく(滑らかに)ならず、高精度に内周面に加工することができなかった。
これらに対し、図7(D)では、高周波振動とプラズマ放電を援用して放電加工電極の砥石加工圧を小さくすることにより、工作物が変形することがなく、かつプラズマ放電を工作物の内周面の局所的に発生させて快削化して加工することから、偏心した下穴に倣うこともなく、外周と同心で表面粗さの小さい高精度の内周面に加工できることを表している。
本発明は、高周波振動とプラズマ放電を援用して放電加工電極と工作物との間において局所的な研削加工を行うものであり、材料の除去やその切り屑の排除、そして砥石の目詰まりの防止という物理的効果とともに、超音波振動によるプラズマ放電の持続や、超音波振動による放電加工電極の細孔を挿通する加工液の供給を低圧力で可能とする効果を奏するものである。
本発明の高周波振動援用プラズマ放電研削装置及びその方法は、金属等の各種素材を精密にかつ効率的に研削加工する加工産業において利用することができるものである。
1…高周波振動援用プラズマ放電研削装置
2…放電加工電極
2b…細孔
3…スピンドル
3b…細孔
4…高周波振動用高周波パルス電源
5…プラズマ放電用高周波パルス電源
6…加工液
7…加工液供給手段
8…Yテーブル
9…Xテーブル
10…加工域
11…スリット
12…プラズマ放電
13…砥粒
14…放電加工電極
15…マイクロバブル
16…プラズマ
17…軟化層
18…加工屑
W…工作物

Claims (4)

  1. 非導電性の砥粒を導電性結合材により結合固化させた研削砥石の内部に加工液を通じる中心穴を有する放電加工電極と、
    該放電加工電極を回転駆動するスピンドルと、
    該スピンドルを軸方向に高周波振動させる加振手段と、
    該加振手段を駆動する高周波振動用高周波パルス電源と、
    上記放電加工電極の中心穴を通じて加工液を供給する加工液供給手段と、
    上記放電加工電極と工作物との間にプラズマ放電を発生させるための高周波パルス電流を印加するプラズマ放電用高周波パルス電源と、を備え、
    上記放電加工電極を工作物表面に沿って軸方向に振動周波数が20kHz以上でかつ振幅が数μm〜十数μmの高周波振動させることにより上記放電加工電極の中心穴に加工液を通じさせ、かつ工作物と回転する放電加工電極との間隔を上記砥粒の突出高さの10μm以下として工作物と放電加工電極の砥粒とが接触する状態で電極間が電気的に短絡させることなくプラズマ放電を持続させることを特徴とする高周波振動援用プラズマ放電研削装置。
  2. プラズマ放電用高周波パルス電源の周波数は高周波振動用高周波パルス電源の周波数よりも高くすることを特徴とする請求項1記載の高周波振動援用プラズマ放電研削装置。
  3. 放電加工電極は、中心軸を直交する縦断面で、放電加工電極の中心穴から外周に向けて貫通する放射状のスリットを形成することを特徴とする請求項1又は2記載の高周波振動援用プラズマ放電研削装置。
  4. 非導電性の砥粒を導電性結合材により結合固化させた研削砥石の内部に加工液を通じるパイプ状の放電加工電極と、
    該放電加工電極を回転駆動するスピンドルと、
    該スピンドルを軸方向に高周波振動させる加振手段と、
    該加振手段を駆動する高周波振動用高周波パルス電源と、
    上記放電加工電極と工作物との間にプラズマ放電を発生させるための高周波パルス電流を印加するプラズマ放電用高周波パルス電源と、を備えた高周波振動援用プラズマ放電研削装置において、
    上記放電加工電極を工作物表面に沿って軸方向に振動周波数が20kHz以上でかつ振幅が数μm〜十数μmの高周波振動させることにより上記放電加工電極の中心穴に加工液を通じさせ、かつ工作物と回転する放電加工電極との間隔を上記砥粒の突出高さの10μm以下として工作物と放電加工電極の砥粒とが接触する状態で電極間が電気的に短絡させることなくプラズマ放電を持続させて、該プラズマが工作物をエッチングすることによりその局所的な加工表面に軟化層を生成し、該軟化層を上記放電加工電極の砥粒が研削することを特徴とする高周波振動援用プラズマ放電研削方法。
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