JP2016164579A - 非常用冷却ポンプシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】原子炉の危機的状況においても、確実に炉心冷却でき、高い信頼性、柔軟性、経済性を有する非常用原子炉冷却システムを提供する。
【解決手段】非常用冷却ポンプシステムは、配管と、津波が到達しないと想定される場所に設置される、冷却水貯留設備、非常用ポンプ、非常用電源および制御装置とを備える。後者は、原子炉施設において非常用炉心冷却システムの設計上想定された最大の地震波の1.2倍の地震波に対して耐え得るように設計される。非常用ポンプは、各主軸が直列に接続された、ポンプ本体と、極数が異なる複数の電動機とを備える。制御部は、原子炉内の温度情報を取得し、所定温度より高温の場合に、第1の極数を有する電動機に電力を供給し、所定温度以下の温度の場合に、第1の極数よりも多い第2の極数を有する電動機に電力を供給して、非常用ポンプを運転する。
【選択図】図1

Description

本発明は、非常時に原子炉へ冷却水を供給して、原子炉を冷却する技術に関する。
原子炉施設では、巨大地震などの災害が発生し、原子炉が緊急停止された場合に原子炉を冷却するための冷却手段が確保される。例えば、下記の特許文献1では、高圧炉心冷却系、低圧炉心冷却系、残留熱除去系、および、これらに給電する非常用電源を有する動的安全系と、アイソレーション・コンデンサを備えた静的安全系とを備えた非常用冷却系が提案されている。アイソレーション・コンデンサは、原子炉内の蒸気を直接吸引配管で導出し、それを熱交換器に導き、冷却する。冷却された蒸気は、すべて凝縮水となり、重力で原子炉内に戻り、配管を経て還流する。つまり、アイソレーション・コンデンサは、交流電源を必要としない。
かかる特許文献1の非常用冷却系によれば、災害によって外部電源喪失が生じても、非常用発電機を利用して動的安全系を稼働することで、炉心冷却が可能である。また、非常用発電機が故障等により使用できない全交流電源喪失時には、アイソレーション・コンデンサによって、炉心冷却が可能である。
特開2008−281426号公報 特開平1−98805号公報
原子炉の危機的状況においては、炉心冷却機能が停止すると、大惨事に発展するおそれがある。このため、非常時の炉心冷却機能の確保は、極めて重要であり、高い信頼性が要求される。しかしながら、上記の特許文献1の技術では、全交流電源喪失時において、アイソレーション・コンデンサの熱交換器を冷却する冷却水が熱により蒸発すると、冷却水を補充するためのポンプを運転できないために、アイソレーション・コンデンサによる炉心冷却を行えない状況が発生し得る。また、今後、建設する原子炉には適用可能であっても、アイソレーション・コンデンサが設置されていない現有施設には、設置スペース、施設の稼働スケジュール等の制約から、適用できない場合が多い。また、ポンプ等の動的な設備を持たないアイソレーション・コンデンサのような静的冷却系では、原子炉が高温の場合に冷却水を多量に供給して速やかに冷却し、低温で安定している場合に温度状態を保つに見合った冷却水量を供給するといった、状況に柔軟に対応した冷却制御を行えない。また、非常用冷却システムの基本的な課題として、経済性、省エネ性能が求められる。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
本発明の第1の形態は、非常時に原子炉施設へ冷却水を供給して、原子炉施設の原子炉を冷却するための非常用冷却ポンプシステムとして提供される。この非常用冷却ポンプシステムは、冷却水を貯留する冷却水貯留設備と、冷却水貯留設備に貯留された冷却水を送水する非常用ポンプと、非常用ポンプから原子炉施設まで送水を行うための配管と、非常用冷却ポンプシステムに電源を供給するための非常用電源と、非常用冷却ポンプシステム
の動作を制御する制御装置とを備える。冷却水貯留設備、非常用ポンプ、非常用電源および制御装置は、津波が到達しないと想定される場所に設置される。冷却水貯留設備、非常用ポンプ、非常用電源および制御装置は、原子炉施設において非常用炉心冷却システムの設計上想定された最大の地震波の1.2倍の地震波に対して耐え得るように設計される。非常用ポンプは、ポンプ本体と、相互に極数が異なる複数の電動機とを備え、ポンプ本体の主軸、および、複数の電動機の各々の主軸のそれぞれは、直列に接続される。制御装置は、原子炉内の温度の情報、または、原子炉内の温度と相関を有する情報である温度情報を取得し、温度情報が、予め定めた所定温度よりも高温を表す場合に、複数の電動機のうちの第1の極数を有する電動機に非常用電源から電力を供給して、非常用ポンプを運転し、温度情報が、所定温度以下の所定の温度領域に属する温度を表す場合に、複数の電動機のうちの第1の極数よりも多い第2の極数を有する電動機に電力を供給して、非常用ポンプを運転する。
かかる非常用冷却ポンプシステムによれば、冷却水貯留設備、非常用ポンプ、非常用電源および制御装置が高い耐震強度を有し、また、大規模地震に伴い発生する津波が及ぶ可能性が極めて小さい場所に設置されるので、大規模地震の発生によって、常用冷却システムが作動しない場合、外部電源が供給されない場合、さらに非常用発電機が作動せず、全交流電源喪失の場合など、原子炉施設に危機的状況が生じた場合であっても、原子炉施設に冷却水を確実に供給できる。このため、システムの信頼性が極めて高い。また、どのような現有原子炉施設に対しても、施設内のスペースや稼働スケジュールの制約を受けずに設置できる。また、非常用冷却ポンプシステムを仮設することもでき、柔軟性に優れる。
しかも、原子炉の炉内温度に応じて、電源を供給する電動機を切り替えることで、炉内温度が高温の場合には、高圧・大流量の冷却水を供給でき、炉内温度が低温の場合には、低圧・小流量の冷却水を供給できる。このため、原子炉の状況に柔軟に対応できる。また、高圧・大流量の冷却水が必要となる場合に対応する1つの電動機を設け、低圧・小流量の冷却水が必要な際には、非常用ポンプから吐出される高圧・大流量の冷却水をバルブで流量調整し、多段オリフィスなどの減圧手段で減圧して供給する場合と比べて、エネルギー消費量を大幅に低減でき、経済性にも優れる。
本発明の第2の形態として、第1の形態において、制御装置は、原子炉内の温度に関する警報を取得して、非常用ポンプの運転を開始してもよい。かかる形態によれば、原子炉施設の危機的状況に際し、原子炉の冷却を速やかに開始することができ、信頼性が向上する。
本発明の第3の形態として、第1または第2の形態において、配管は、非常用ポンプから吐出された冷却水の圧力または流量を調節する調節手段を有さずに構成されてもよい。かかる形態によれば、配管途中に設けられた調節手段が損傷することによって、大きな圧力損失を生じ、冷却水の供給が阻害されることがないので、信頼性が向上する。
本発明の第4の形態として、第1ないし第3のいずれかの形態において、非常用冷却ポンプシステムは、原子炉施設に送水された冷却水が、原子炉の冷却後に冷却水貯留設備に戻されることがない開放系システムとして構成されてもよい。かかる形態によれば、冷却水を除染して、冷却水貯留設備に戻すために要する時間によって、冷却水の供給が制約を受けることがないので、原子炉施設に冷却水を速やかに供給するとともに、冷却を安定的に継続できる。したがって、信頼性が向上する。
本発明の実施例としての非常用冷却ポンプシステムの概略構成を示す説明図である。 非常用ポンプの概略構成を示す説明図である。
A.実施例:
図1は、本発明の実施例としての非常用冷却ポンプシステム20(以下、単にポンプシステム20とも呼ぶ)の概略構成を示す。ポンプシステム20は、大規模地震の発生によって、原子炉施設の常用冷却システムが作動しない場合、原子炉施設に外部電源が供給されない場合、さらに非常用発電機が作動せず、全交流電源喪失の場合などの非常時に、原子炉施設の原子炉15に冷却水(冷却用の水)を供給する。
図示するように、ポンプシステム20は、プール30、非常用ポンプ40、非常用電源50、制御装置60、通信装置70、配管81,82を備える。プール30は、冷却水を貯留する冷却水貯留設備であり、本実施例では、強固な強度を有する鉄筋コンクリートによって形成された構造物である。プール30には、常時、豊富な冷却水が貯留される。プール30には、プール30に貯留された冷却水の量を検知するための水位計31が設けられている。プール30に代えて、あるいは、加えて、湖沼を利用することもできる。
非常用ポンプ40は、プール30に貯留された冷却水を原子炉15に送水する。非常用ポンプ40の構成については後述する。プール30と非常用ポンプ40とは、配管81によって接続される。非常用ポンプ40と原子炉15とは、配管82によって接続される。配管81,82は、常設の配管としてもよいが、仮設の配管、例えば、消防用、土木工事用などのフレキシブルホースなどとしてもよい。大規模地震発生後に、仮設の配管82を設置すれば、地震によって損傷等の被害を受けることがないので、ポンプシステム20の信頼性が向上する。特に、フレキシブルホースを使用する場合には、迅速かつ極めて容易に設置可能である。本実施例では、配管82は、非常用ポンプ40から吐出された冷却水の圧力または流量を調節する調節手段を有さずに構成されている。調節手段とは、例えば、流量調整弁、逆止弁などの各種バルブや、オリフィスなどである。バルブを有していないことから、ポンプシステム20では、非常用ポンプ40の起動および停止によって、給水および給水停止の制御が行われる。
非常用電源50は、ポンプシステム20の電源として設けられる。制御装置60は、ポンプシステム20の動作全般を制御する。通信装置70は、原子炉15が設置された原子炉施設の制御設備との間で、温度情報や警報の通信を行うために、制御装置60に接続されている。かかる通信装置70は、本実施例では、無線通信を行う。ただし、通信装置70は、有線通信を行う態様であってもよいし、無線通信と有線通信とを併用可能な態様であってもよい。
温度情報とは、原子炉15内の温度の情報、または、原子炉15内の温度と相関を有する情報である温度情報である。温度の情報とは、原子炉15の炉内温度の温度値そのものである。温度と相関を有する情報とは、例えば、炉内圧力、原子炉15に付属する常用の冷却システムによって原子炉15に供給されている冷却水流量、常用の冷却システムのポンプの故障情報、原子炉15を収納する建屋内の原子炉15外部の温度などである。
警報とは、原子炉15の温度に関係する、原子炉施設での異常発生を報知するための情報であり、原子炉施設の制御設備によって発せられる。この警報には、上述の温度情報を含んでいてもよい。警報が発せられた後は、上述の温度情報は、原子炉施設から定期的に送信される。なお、温度情報は、温度を表す指標値の所定以上の変化があった場合にのみ、送信されてもよい。
また、プール30には、配管132を介してポンプ110が接続されている。ポンプ110は、配管131を介して、水源(ここでは、河川RI)の水を吸い上げ、プール30に送水する。ポンプ110には、ポンプ110の動作を制御する制御装置120が接続されている。制御装置120は、通信装置(図示省略)を備えている。制御装置60は、制御装置60が水位計31を使用して、プール30の所定レベル以下の水位低下を検知すると、通信装置70を使用して、所定の信号を制御装置120に送信する。制御装置120は、これを受けて、ポンプ110を運転する。これによって、プール30の水位は、常に一定レベル以上となるように保たれる。
上述した構成において、原子炉15は、場所A1に設置されている。プール30、非常用ポンプ40、非常用電源50、制御装置60および通信装置70は、場所A1よりも海抜が高い場所A2に設置されている。ポンプ110および制御装置120は、場所A2よりも海抜が低い場所A3に設置されている。
場所A2は、大規模地震に伴い発生する津波が到達しないと想定される場所として選定される。かかる場所は、津波が到達しないと想定される海抜を有する場所や、津波の進入を防止できると想定される高さを有する構造物および地形の少なくとも一方によって、周囲が囲まれた場所などとすることができる。本実施例では、場所A2は、海抜20m以上の場所(地盤)である。海抜とは、ポンプシステム20の設置のために場所A2を造成する場合には、造成後の地盤の海抜をいう。日本国では、海抜は、東京湾の平均海面を0mとして定められている。場所A2の海抜は、30m以上とすることが望ましく、35m以上とすることがより望ましい。場所A2は、例えば、海抜20mに相当する高さを有する構造物(例えば、防潮堤、防潮壁など)および地形の少なくとも一方によって、周囲が囲まれた場所であってもよい。
従来の原子炉施設では、非常用冷却システムは、強固に建設された建屋内や、その近傍に設置するという固定観念が存在したが、本実施例では、ポンプシステム20を構成する各装置は、原子炉施設から離れた、上述の場所A2に設置される。このため、大規模地震に伴い津波が発生しても、ポンプシステム20は、その影響をほとんど受けることなく、原子炉15に冷却水を確実に供給できる。
また、プール30、非常用ポンプ40、非常用電源50、制御装置60および通信装置70は、対象の原子炉施設において非常用炉心冷却システムで設計上想定された最大の地震波の1.2倍の地震波に対して耐え得る、つまり、機能を保持できる耐震性を有するように設計される。換言すれば、対象の原子炉施設における非常用炉心冷却システムで設計上要求される耐震性のさらに1.2倍程度以上の耐震性を有するように設計される。想定される最大の地震波に耐え得る設計方法は、例えば、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」(平成18年9月19日 原子力安全委員会決定)に、Sクラスの施設の耐震設計方針として記載されている。このようにポンプシステム20を構成する各装置を設計することによって、大規模地震が発生しても、その影響をほとんど受けることなく、原子炉15に冷却水を確実に供給できる。
図2は、非常用ポンプ40の概略構成を示す。図示するように、非常用ポンプ40は、ポンプ本体41と、交流式の2つの電動機42,43とを備える。ポンプ本体41は、ポンプ主軸44を中心に回転する羽根車と、羽根車を覆うケーシングとを備えている。電動機42,43は、ポンプ主軸44を回転させる動力を発生させる。電動機42,43は、極数が相互に異なっている。本実施例では、電動機42は、2極であり、電動機43は、4極である。ポンプ主軸44、および、電動機42,43の主軸45,46の各々は、軸継手47,48を介して、それぞれ直列に接続されている。
上述したポンプシステム20において、制御装置60は、通信装置70を介して取得した温度情報に基づいて、2つの電動機42,43のいずれか一方のみに、非常用電源50からの電力を供給して、冷却水の原子炉15への供給を行う。以下、ポンプシステム20の動作について説明する。
まず、ポンプシステム20は、原子炉施設から、通信装置70を介して警報を受信することによって、非常用ポンプ40の運転を開始する。このとき、受信した警報に温度情報が含まれる場合には、後述する温度情報に基づいた制御を行う。一方、温度情報が含まれない場合には、制御装置60は、電動機42,43のうちの、予め定められた一方のみに電力を供給して、非常用ポンプ40を運転する。かかる構成によれば、原子炉施設の危機的状況に際し、原子炉15の冷却を速やかに開始することができ、信頼性が向上する。
そして、その後、制御装置60は、定期的に受信する温度情報に基づいた、電動機42,43の切替制御を行う。具体的には、取得した温度情報が、予め定めた所定温度T1よりも高温を表す場合(以下、高温時とも呼ぶ)には、制御装置60は、相対的に極数が小さい、すなわち、相対的に大きな回転数が得られる2極の電動機42に電力を供給して、非常用ポンプ40を運転する。この際、電動機43には、電力は供給されない。つまり、電動機43は空回り状態となる。これによって、非常用ポンプ40は、相対的に高圧・大流量の冷却水を原子炉15に送水する。
一方、取得した温度情報が、所定温度T1以下、かつ、所定温度T2以上の温度を表す場合(以下、低温時とも呼ぶ)には、制御装置60は、相対的に極数が大きい、すなわち、相対的に小さな回転数が得られる4極の電動機43に電力を供給して、非常用ポンプ40を運転する。この際、電動機42には、電力は供給されない。これによって、非常用ポンプ40は、相対的に低圧・小流量の冷却水を原子炉15に送水する。なお、制御装置60は、取得した温度情報が所定温度T2未満の場合には、非常用ポンプ40の運転を停止し、その後、所定温度T2以上の温度を表す温度情報を取得した場合には、非常用ポンプ40の運転を再開する。所定温度T2は、原子炉15の冷却の必要がない温度として予め設定される。
かかる制御を行うことによって、原子炉15の炉内温度の状況に応じて、柔軟な対応を行うことができる。また、トルクが回転速度の二乗に比例する非常用ポンプ40では、その消費電力は、回転数の3乗に比例する。非常用ポンプ40の回転速度は、低温時には、高温時の約1/2倍になるので、非常用ポンプ40の消費電力は、低温時には、高温時の約1/8になる。このため、高圧・大流量の送水が可能な電動機42のみを設け、低温時には、非常用ポンプ40から吐出される高圧・大流量の冷却水をバルブで流量調整し、多段オリフィスなどの減圧手段で減圧して供給する場合、すなわち、常時、高温時相当の電力を必要とする場合と比べて、エネルギー消費量を大幅に低減でき、経済性にも優れる。特に、非常用電源50では、無制限に電源を供給できるわけではないので、エネルギー消費量を低減することによって、施設の信頼性が向上する。
このように電力消費量を低減する他の方法として、電動機の回転数を制御する方法も考えられる。すなわち、高温時には、回転数を上げ、低温時には、回転数を下げる制御を行う方法である。こうした方法としては、例えば、サイリスタインバータの電源を採用する方法、非常用ポンプ40をエンジン駆動にする方法などがある。しかし、このような方法は、複雑な制御を行うために、相対的に運転の安定性に欠ける場合がある。一方、本実施例の構成は、複雑な制御を行わないので、機器としての信頼性が高く、また、運用上の信頼性も、従来から十分に証明されている。
上述した本実施例の圧力および流量の制御は、通常のポンプでは、好適に行うことがで
きない。ポンプは、吐出量が増加するほど、吐出圧力が低下する特性を有しているからである。一方、本実施例では、上述のように、極数の異なる2つの電動機42,43を用いることによって、小流量・低圧力と、大流量・高圧力との切替制御を実現している。かかる構成は、既存の電動機を用いて実現できるため、地震の発生後に設置する場合であっても、緊急事態に対して迅速に対応可能である。なお、ポンプ本体41は、高温時(2極の電動機42の運転時)に要求される圧力および流量を実現できる運転点に見合った圧力−流量特性を有し、かつ、低温時に要求される運転点が、低温時(4極の電動機43の運転時)に得られる圧力−流量特性曲線の上側に位置しないように、選定される。
本実施例においては、ポンプシステム20は、原子炉15に送水された冷却水が、原子炉15の冷却後にプール30に戻されることがない開放系システムとして構成される。すなわち、冷却後の冷却水は、適正に除染処理がなされた後、放流される。かかる構成によれば、冷却後の冷却水を除染処理した後、再び回収して冷却水として再利用する構成と比較して、除染および回収に要する時間によって、冷却水の供給が制約を受けることがない。したがって、原子炉15に冷却水を速やかに供給するとともに、冷却を安定的に継続でき、信頼性が向上する。
上述したポンプシステム20は、高い信頼性、柔軟性、経済性、省エネ性を兼ね備えており、迅速な対応が求められる原子炉15の緊急事態に対しても迅速かつ確実に炉心冷却を行える。また、配管82は、調節手段を有さずに構成されているので、配管途中に設けられた調節手段が大規模地震で損傷することによって、大きな圧力損失を生じ、冷却水の供給が阻害されることがない。その結果、信頼性がいっそう向上する。
かかるポンプシステム20は、どのような現有原子炉施設に対しても、施設内のスペースや稼働スケジュールの制約を受けずに設置できる。ポンプシステム20は、新規に増設(常設)してもよいし、少なくとも一部の構成要素を、移動可能に仮設してもよい。移動可能に仮設すれば、柔軟性に優れたシステムとすることができる。
B.変形例:
B−1.変形例1:
ポンプシステム20による冷却水の送水先は、原子炉15に限るものではなく、冷却水が最終的に炉心冷却に使用されるものであればよい。例えば、原子炉施設がアイソレーション・コンデンサを備える場合には、送水する冷却水は、熱交換器を冷却するために使用されてもよい。あるいは、原子炉施設において、外部電源を使用可能であり、冷却系統も機能しているものの、何らかの理由により、冷却水が不足した状態において、冷却水を補充するためにポンプシステム20を利用してもよい。
B−2.変形例2:
制御装置60は、原子炉施設から温度情報を受け取る構成に限らず、自ら温度情報を取得してもよい。例えば、制御装置60は、放射温度計などの遠隔温度検知器などで、温度情報を検知してもよい。こうすれば、原子炉施設の通信手段が地震によって損傷を受けた場合などでも、確実に温度情報を取得できる。
B−3.変形例3:
制御装置60は、1つの温度情報、例えば、温度値そのもののみに基づいて、電動機42,43の制御を行う構成に限らず、原子炉に係る複数の温度情報、圧力情報や液位情報を総合的に判断して、制御を行ってもよい。総合的な判断のロジックは、予め定めておけばよく、例えば、常用の冷却システムのポンプが故障し、かつ、炉内圧力が所定値以上である場合に、非常用ポンプ40の運転を開始する、あるいは、電力供給する電動機42,43を切り替えるといった構成としてもよい。かかる構成によれば、原子炉15の状況を
より正確に反映して、精度の高い制御を行える。
B−4.変形例4:
プール30の水位が所定値以上に低下した場合に、2極の電動機42に電力を供給しているときには、制御装置60は、4極の電動機43への電力供給に切り替えてもよい。4極の電動機43への電力供給は、ポンプ110によって冷却水が補充され、水位が予め定められたレベルまで回復するまで、取得した温度情報の内容に関係なく、継続されてもよい。かかる構成によれば、プール30に貯留された冷却水の残量が少なくなった場合に、冷却水の原子炉15への送水量を抑えることで、冷却水が万が一にも枯渇することを抑制できるので、信頼性が向上する。
B−5.変形例5:
非常用ポンプ40の運転を開始する際、あるいは、電動機43から電動機42に切り替える際に、制御装置60は、ポンプシステム20の周辺に存在する運転管理員自身、あるいは、周辺住民に向けて鳴らされる警報の種類に応じて、その警報が発する警報音や警報に係る信号を利用した装置構成としてもよい。
B−6.変形例6:
非常用ポンプ40に連結される電動機は、2つに限らず、3つ以上であってもよい。この場合、3つ以上の電動機のそれぞれが、相互に極数が異なっていればよい。
B−7.変形例7:
上述した、プール30、非常用ポンプ40、非常用電源50、制御装置60および通信装置70の耐震設計に代えて、あるいは、加えて、強固な地盤上に支持される構成としてもよい。強固な地盤とは、例えば、第三期以前の岩盤、あるいは、せん断波速度Vsが500m/s以上の岩盤である。
以上、いくつかの実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、または、省略が可能である。
[形態1]
非常時に原子炉施設へ冷却水を供給して、該原子炉施設の原子炉を冷却するための非常用冷却ポンプシステムであって、
前記冷却水を貯留する冷却水貯留設備と、
前記冷却水貯留設備に貯留された前記冷却水を送水する非常用ポンプと、
前記非常用ポンプから前記原子炉施設まで送水を行うための配管と、
前記非常用冷却ポンプシステムに電源を供給するための非常用電源と、
前記非常用冷却ポンプシステムの動作を制御する制御装置と
を備え、
前記冷却水貯留設備、前記非常用ポンプ、前記非常用電源および前記制御装置は、津波が到達しないと想定される場所に設置され、
前記冷却水貯留設備、前記非常用ポンプ、前記非常用電源および前記制御装置は、前記原子炉施設において非常用炉心冷却システムの設計上想定された最大の地震波の1.2倍の地震波に対して耐え得るように設計され、
前記非常用ポンプは、ポンプ本体と、相互に極数が異なる複数の電動機とを備え、
前記ポンプ本体の主軸、および、前記複数の電動機の各々の主軸のそれぞれは、直列に
接続され、
前記制御装置は、
前記原子炉内の温度の情報、または、該原子炉内の温度と相関を有する情報である温度情報を取得し、
前記温度情報が、予め定めた所定温度よりも高温を表す場合に、前記複数の電動機のうちの第1の極数を有する前記電動機に前記非常用電源から電力を供給して、前記非常用ポンプを運転し、
前記温度情報が、前記所定温度以下の所定の温度領域に属する温度を表す場合に、前記複数の電動機のうちの前記第1の極数よりも多い第2の極数を有する前記電動機に前記電力を供給して、前記非常用ポンプを運転する
非常用冷却ポンプシステム。
[形態2]
前記制御装置は、前記原子炉内の温度に関する警報を取得して、前記非常用ポンプの運転を開始する形態1に記載の非常用冷却ポンプシステム。
[形態3]
前記配管は、前記非常用ポンプから吐出された前記冷却水の圧力または流量を調節する調節手段を有さずに構成された形態1または形態2に記載の非常用冷却ポンプシステム。[形態4]
前記非常用冷却ポンプシステムは、前記原子炉施設に送水された前記冷却水が、前記原子炉の冷却後に前記冷却水貯留設備に戻されることがない開放系システムとして構成された形態1ないし形態3のいずれか一項に記載の非常用冷却ポンプシステム。
15…原子炉
20…非常用冷却ポンプシステム
30…プール
31…水位計
40…非常用ポンプ
41…ポンプ本体
42,43…電動機
44…ポンプ主軸
45,46…主軸
47,48…軸継手
50…非常用電源
60…制御装置
70…通信装置
81,82…配管
110…ポンプ
120…制御装置
131,132132…配管
A1〜A3…場所
RI…河川

Claims (1)

  1. 非常時に原子炉施設へ冷却水を供給して、該原子炉施設の原子炉を冷却するための非常用冷却ポンプシステムであって、
    前記冷却水を貯留する冷却水貯留設備と、
    前記冷却水貯留設備に貯留された前記冷却水を送水する非常用ポンプと、
    前記非常用ポンプから前記原子炉施設まで送水を行うための配管と、
    前記非常用冷却ポンプシステムに電源を供給するための非常用電源と、
    前記非常用冷却ポンプシステムの動作を制御する制御装置と
    を備え、
    前記冷却水貯留設備、前記非常用ポンプ、前記非常用電源および前記制御装置は、津波が到達しないと想定される場所に設置され、
    前記冷却水貯留設備、前記非常用ポンプ、前記非常用電源および前記制御装置は、前記原子炉施設において非常用炉心冷却システムの設計上想定された最大の地震波の1.2倍の地震波に対して耐え得るように設計され、及び/又は、強固な地盤上に支持される構成とし、
    前記非常用ポンプは、ポンプ本体と、相互に極数が異なる複数の電動機とを備え、
    前記ポンプ本体の主軸、および、前記複数の電動機の各々の主軸のそれぞれは、直列に接続されていることを特徴とする
    非常用冷却ポンプシステム。
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