JP2016162969A - 色素増感太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】色素増感太陽電池において、優れた光電変換効率及び耐久性を実現可能な半導体含有層の作成方法、並びに該半導体電極を用いた色素増感太陽電池を提供すること。【解決手段】色素によって増感された半導体含有層を有する第一の導電性支持体、該半導体含有層と対向電極とが所定の間隔で対向する位置に設けられた対向電極を有する第二の導電性支持体、第一及び第二の導電性支持体の間隙に挟持された電荷移動層、並びに電荷移動層をシールするために第一及び第二の導電性支持体の周辺部に設けられたシール剤を有する色素増感太陽電池であって、第一の導電性支持体の半導体含有層が、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を成分の一部として含む染色溶液により色素吸着をさせて作製されているか、もしくは染色溶液により色素吸着をさせた後に、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を成分の一部として含む溶液に浸漬させて作製されている色素増感太陽電池。【選択図】図1

Description

本発明は、優れた光電変換効率及び耐久性を実現可能な、色素増感太陽電池に関するものである。
クリーンなエネルギー源として注目されている太陽電池は、近年、一般の住宅にも利用されるようになってきた。しかし、未だに充分に普及するには至っていない。その理由の一つとして、太陽電池そのものの性能が充分優れているとは言い難いためモジュールを大きくせざるを得ないことがある。また、他の理由としては、モジュール製造における生産性も低いため、太陽電池そのものが高価であることが挙げられる。
太陽電池にはいくつかの種類があるが、実用化されている太陽電池の大部分はシリコン太陽電池である。しかし、最近になって注目されるようになり、その実用化を目指して研究がされているものに色素増感太陽電池がある。現在の色素増感太陽電池の原型は、1991年にグレッツェル(スイス)らによって開発され、グレッツェルセルとも呼ばれる。その構造は、一方の極となる透明導電性基板上に設けられた色素によって増感され、一方の極になる酸化物半導体微粒子からなる半導体含有層と、それと対峙するように白金等を配した対極からなる基板との間に、電荷移動層(レドックス物質を含む電解液)を狭持したものである。 例えば、ルテニウム錯体色素を多孔質酸化チタン電極に吸着させることにより、色素増感型太陽電池はアモルファスシリコン太陽電池並みの性能を有するまでに至っている(非特許文献1)。しかし、色素増感太陽電池の実用化に向けては未だ多くの課題が残されており、特に長期間使用するための耐久性の向上は、克服すべき重要な課題の一つとなっている。コストが高い前記シリコン太陽電池の代替として色素増感太陽電池の実用化を可能にするためにも、色素増感太陽電池の更なる光電変換効率及び耐久性の向上等が望まれている。
色素増感太陽電池の耐久性の向上には、2枚の基板を貼り合せ、更に基板間に満たされている電解液を封止する為に使用される、シール剤の特性が大きく影響する。一般的にシール剤には、基板との高い接着性、電解液耐性、耐熱性、耐光性、耐湿性、ガスバリア性等が求められるが、それらの性能を全て満たす事は非常に困難を伴う(非特許文献2、3)。特許文献1には、熱硬化性のエポキシ樹脂を用いてセルを封止する方法が提案されており、高い耐久性を実現しているが、半導体含有層に色素を吸着させた後に、基板を高温に加熱プロセスを含むため、色素によって増感された半導体含有層が劣化し、光電変換効率が大きく低下してしまう。そのため、色素によって増感された半導体含有層が、セル作成中の加熱プロセスに高い耐性を持ち、光電変換効率を損なうことなく高い耐久性を実現できる色素増感太陽電池を達成する事が、強く求められていた。
日本国特許第5649648号公報
Nature,第353巻,第737〜740頁,1991年 荒川裕則監修、「色素増感太陽電池の最新技術」シーエムシー、2001年5月発行、p72−73 瀬川浩司監修、「色素増感太陽電池のモジュール化・材料開発・評価技術」技術教育出版、2010年4月発行、p199−203 瀬川浩司監修、「色素増感太陽電池のモジュール化・材料開発・評価技術」技術教育出版、2010年4月発行、p131−157
本発明の目的は、優れた光電変換効率及び耐久性を実現可能な色素増感太陽電池を提供することである。
本発明者らは、前記した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、色素によって増感された半導体含有層を作製する際に、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を成分の一部として含む染色溶液により半導体含有層に色素吸着をさせるか、もしくは染色溶液により色素吸着をさせた後に、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を成分の一部として含む溶液に浸漬させると、色素によって増感された半導体含有層の耐熱性が向上し、結果として得られた色素増感太陽電池の光電変換効率及び耐久性が向上することを見出した。
即ち本発明は、
(1)色素によって増感された半導体含有層を有する第一の導電性支持体、該半導体含有層と対向電極とが所定の間隔で対向する位置に設けられた対向電極を有する第二の導電性支持体、第一及び第二の導電性支持体の間隙に挟持された電荷移動層、並びに電荷移動層をシールするために第一及び第二の導電性支持体の周辺部に設けられたシール剤を有する色素増感太陽電池であって、第一の導電性支持体の半導体含有層が、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を成分の一部として含む染色溶液により色素吸着をさせて作製されているか、もしくは染色溶液により色素吸着をさせた後に、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を成分の一部として含む溶液に浸漬させて作製されている色素増感太陽電池、
(2)ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物のアニオン部位が、ヨウ化物イオン、臭化物イオン、塩化物イオンのいずれか一つである前項(1)に記載の色素増感太陽電池、
(3)ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物のカチオン部位が、有機化合物である前項(1)又は(2)に記載の色素増感太陽電池、
(4)ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物のカチオン部位が、アンモニウムイオンもしくはイミダゾリウムイオンのいずれか一方である前項(3)に記載の色素増感太陽電池、
(5)ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を成分の一部として含む染色溶液が、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物と色素と溶媒の他に、共吸着剤として包摂化合物を更に含む前項(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池、
(6)半導体含有層の半導体が、微粒子状の酸化チタン又は微粒子状の複合酸化チタンである前項(1)乃至(5)のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池、
(7)色素が、金属錯体色素である前項(1)乃至(6)のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池、
(8)色素が、ルテニウム錯体色素である前項(7)に記載の色素増感太陽電池、
(9)色素によって増感された半導体含有層を有する第一の導電性支持体を作成後に、該支持体を加熱する工程を経て作成される前項(1)乃至(8)のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池、
(10)シール剤が、熱硬化性の接着剤である前項(1)乃至(9)のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池、
(11)シール剤が、硬化をする際に120℃以上の加熱を必要とする接着剤である前項(10)に記載の色素増感太陽電池、
(12)シール剤が、エポキシ樹脂を含む熱硬化性の接着剤である前項(10)又は(11)に記載の色素増感太陽電池、
に関する。
本発明の色素増感太陽電池は、初期変換効率及び耐久性に優れている。特に、高い耐久性を実現できる熱硬化性のシール剤と組み合わせた際に有効であり、初期変換効率を大きく損なうことなく、高い耐久性を実現する事が可能である。
本発明の色素増感光電変換素子の構造を説明する要部断面模式図
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の色素増感太陽電池は、色素によって増感された半導体含有層を有する第一の導電性支持体、該半導体含有層と対向電極とが所定の間隔で対向する位置に設けられた対向電極を有する第二の導電性支持体、第一及び第二の導電性支持体の間隙に挟持された電荷移動層、並びに電荷移動層をシールするために第一及び第二の導電性支持体の周辺部に設けられたシール剤を有する色素増感太陽電池であって、色素によって増感された半導体含有層を作製する際に、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を成分の一部として含む染色溶液により半導体含有層に色素吸着をさせるか、もしくは染色溶液により色素吸着をさせた後に、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を成分の一部として含む溶液に浸漬させることを特徴とする。
本発明の色素増感太陽電池は、色素によって増感された半導体含有層を有する第一の導電性支持体を有する。
導電性支持体としては、例えばFTO(フッ素ドープ酸化スズ)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ITO(インジウムドープ酸化スズ)に代表される導電性物質を、ガラス、プラスチック、ポリマーフィルム、石英、シリコン等の基板の表面に薄膜化させたものが用いられる。基板の厚みは、通常0.01〜10mmであり、その形状はフィルム状から板状まで様々な態様を取り得るが、第一及び第二の導電性支持体のうち少なくとも一方には、光透過性のある基板が用いられる。導電性支持体の抵抗値は通常1000Ω/cm以下、好ましくは100Ω/cm以下である。
半導体含有層の調製に用いられる酸化物半導体としては、金属カルケニドの微粒子が好ましく、その具体例としてはTi、Zn、Sn、Nb、W、In、Zr、Y、La、Ta等の遷移金属の酸化物、Alの酸化物、Siの酸化物、StTiO、CaTiO、BaTiO等のペロブスカイト型酸化物が挙げられる。これらの中でTiO、ZnO、SnOが特に好ましい。また、これらは混合して用いてもよく、SnO−ZnO混合系が好ましい例として挙げられる。混合系の場合は微粒子の状態で混合したり、以下に述べるスラリーもしくはペースト状態で混合したり、各成分を層状に重ねて用いてもよい。ここで用いる酸化物半導体の一次粒径は通常1〜200nm、好ましくは1〜50nmである。また、色素増感太陽電池の開放電圧や変換効率を向上させる目的で、酸化物半導体として、例えば国際公開特許WO2006/080384号公報に記載されている、チタンとマグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、ストロンチウム等の非チタン金属等とを混合して作製した複合酸化物半導体を用いることも可能である。
増感色素としては、半導体含有層を構成する半導体微粒子と相まって光吸収を増感させる作用を有するものであれば特に限定はなく、ルテニウム等の金属元素を含んだ金属錯体色素や、金属を含まない有機色素を単独で用いてもよく、また数種類の色素を任意の割合で混合して用いてもよい。混合して用いる場合は金属錯体色素同士、有機色素同士及び金属錯体色素と有機色素との組み合わせのいずれであってもよいが、吸収波長領域の異なる色素同士を混合することにより、幅広い吸収波長を用いることが出来るため、変換効率の高い太陽電池が得られる。
使用できる金属錯体色素に特に制限は無いが、例えば、N3やN719、N749、N907、ブラックダイと呼ばれる化合物や、特開2000−026487号公報、特開2000−268889号公報、特開2000−268890号公報、特開2001−006760号公報、特開2001−039995号公報、特開2001−059062号公報、特開2001−060467号公報、特開2001−060468号公報、特開2001−203005号公報、特開2001−226607号公報、特開2001−229983号公報、特開2001−236999号公報、特開2001−237000号公報、特開2001−247546号公報、特開2001−247546号公報、特開2001−253894号公報、特開2001−291534号公報、特開2002−025636号公報、特開2002−093473号公報、特開2002−093474号公報、特開2002−100417号公報、特開2002−105346号公報、特開2002−176188号公報、特開2002−193935号公報、特開2002−512729号公報、特開2002−241634号公報、特開2003−003083号公報、特開2003−051343号公報、特開2003−051344号公報、特開2003−212851号公報、特開2003−261536号公報、特開2003−272721号公報、特開2003−288953号公報、特開2004−176072号公報、特開2005−120042号公報、特開2005−222941号公報、特開2005−222942号公報、特開2005−255992号公報、特開2008−021496公報、特開2010−146864号公報、国際公開特許WO2010/021378号公報、特許第2664194号公報、特許第3731752号公報、特許第3783872号公報、特許第3849005号公報、特許第5306354号公報、特許第5466943号公報、特公平8−15097号公報、米国特許第5350644号公報等に記載のルテニウム錯体系、フタロシアニン系、ポルフィリン系等の色素が挙げられる。また、使用し得る非金属有機色素としては、例えば無金属のフタロシアニン系、ポルフィリン系や、シアニン系、メロシアニン系、オキソノール系、トリフェニルメタン系、キサンテン系、アゾ系、アンスラキノン系、ペリレン系、インジゴ系、アクリジン系、インジゴ系、キノン系、クマリン系、フェニルキサンテン系等の色素、更に国際公開特許WO2002/011213号公報等に記載のアクリル酸系色素、国際公開特許WO2006/126538号公報等に記載のピラゾロン系メチン色素等のメチン系色素等が挙げられる。これらの中でも、日本国特許第3731752号公報、特開2002−334729号公報、特開2002−512729号公報、特開2003−007358号公報、特開2003−017146号公報、特開2003−059547号公報、特開2003−086257号公報、特開2003−115333号公報、特開2003−132965号公報、特開2003−142172号公報、特開2003−151649号公報、特開2003−157915号公報、特開2003−282165号公報、特開2004−014175号公報、特開2004−022222号公報、特開2004−022387号公報、特開2004−227825号公報、特開2005−005026号公報、特開2005−019130公報、特開2005−135656号公報、特開2006−079898号公報、特開2006−134649号公報、特開2007−149570号公報、特開2008−021496号公報、特開2010−146864号公報、国際公開特許WO2002/001667号公報、国際公開特許WO2002/011213号公報、国際公開特許WO2002/071530号公報、国際公開特許WO2004/082061号公報、国際公開特許WO2006/082061号公報、国際公開特許WO2006/126538号公報、国際公開特許WO2007/100033号公報、国際公開特許WO2009/020098号公報、国際公開特許WO2010/021378号公報等に記載の色素が挙げられる。これらの増感色素の中でも、本発明の色素増感太陽電池には、金属錯体色素が好ましく用いられ、ルテニウム錯体系色素であることがより好ましい。
本発明の色素増感太陽電池は、対向電極を有する第二の導電性支持体を有する。
第二の導電性支持体には、前記第一の導電性支持体に用いられるのと同様の導電性支持体の表面に、対向電極として酸化還元系電解質の還元反応に触媒的に作用する白金、カーボン、ロジウム、ルテニウム等を蒸着したものや、前記触媒作用のある原子の微粒子、又は導電性微粒子前駆体等を塗布、焼成したものが用いられる。
本発明の色素増感太陽電池は、電荷移動層を有する。電荷移動層には、酸化還元系電解質対や正孔輸送材料等を、有機溶媒や常温溶融塩(イオン性液体)中に溶解させた溶液(電解液)が用いられる。用いられる酸化還元系電解質としては、ハロゲン化物イオンを有するハロゲン化合物及びハロゲン分子からなるハロゲン酸化還元系電解質、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオン、コバルト錯体等の金属錯体等の金属酸化還元系電解質、アルキルチオール−アルキルジスルフィド、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノン等の有機酸化還元系電解質等を挙げることができるが、ハロゲン酸化還元系電解質が好ましい。
ハロゲン酸化還元系電解質におけるハロゲン分子としては、例えばヨウ素分子や臭素分子等が挙げられ、ヨウ素分子がより好ましい。これらのハロゲン分子の電解液中の濃度は、通常0.01M〜10M、好ましくは0.02〜5M、更に好ましくは0.03〜3M、特に好ましくは0.05〜2Mである。また、ハロゲン酸化還元系電解質におけるハロゲン化合物としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物等が挙げられるが、ヨウ化物が好ましい。ヨウ化としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化セシウム等のハロゲン化金属塩;あるいはテトラプロピルアンモニウムヨーダイド、テトラブチルアンモニウムヨーダイド等のアンモニウムヨーダイド化合物;イミダゾリウムヨーダイド、1,3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヨーダイド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムヨーダイド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヨーダイド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヨーダイド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨーダイド、1,2−ジメチル−3−ブチルイミダゾリウムヨーダイド、1,2−ジメチル−3−ヘキシルイミダゾリウムヨーダイド等のイミダゾリウムヨーダイド化合物;N,N−ジメチルピロリジニウムヨーダイド、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムヨーダイド、N,N−ジブチルピロリジニウムヨーダイド等のピロリジニウムヨーダイド化合物;N−メチルピリジニウムヨーダイド、N−プロピルピリジニウムヨーダイド、N−ブチルピリジニウムヨーダイド等のピリジニウムヨーダイド化合物;1−エチル−1−メチルピロリウムヨーダイド等のピロリウムヨーダイド化合物、1−プロピル−2−メチルピラゾリウムヨーダイド等のピラゾリウムヨーダイド化合物;テトラブチルホスフォニウムヨーダイド等のホスフォニウムヨーダイド化合物等が挙げられる。これらヨウ素イオンを対イオンとする化合物の中でも、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化トリメチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、1,3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヨーダイド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムヨーダイド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヨーダイド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨーダイド等がより好ましい。ヨウ素イオンを対イオンとする化合物は、本発明の色素増感太陽電池が有する電解液に単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらハロゲン化合物の電解液中の濃度は、通常0.01M〜10M、好ましくは0.02〜5M、更に好ましくは0.03〜3M、特に好ましくは0.05〜2Mである。
前記電荷移動層の電解液に用いられる有機溶媒としては、アセトニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ヘキサンニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、3−メトキシプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、1、2−ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、ジエチルエーテル、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1、3−ジオキソラン、メチルフォルメート、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−オキサゾリジン−2−オン、スルホラン、テトラヒドロフラン、スルホラン、メチルイソプロピルスルホン等が好ましい例として挙げられ、これらの中でも、アセトニトリル、バレロニトリル、ヘキサンニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、3−メトキシプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、1、2−ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、メチルイソプロピルスルホン等がより好ましく、アセトニトリル、バレロニトリル、ヘキサンニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、1、2−ジメトキシエタン、スルホラン、メチルイソプロピルスルホン等が特に好ましい。また、用い得る常温溶融塩としては、例えばイミダゾールカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ホスフォニウムカチオン、アンモニウムカチオン等のカチオン類と、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、過塩素酸イオン、水酸化物イオン、メチル硫酸イオン、トルエンスルホナートアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、テトラシアノボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフォネートアニオン、ジシアノイミドアニオン、トリフルオロメタンスルホナートアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン、N−トリフルオロメタンスルホニル−N−ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオン等のアニオン化合物を組み合わせた化合物が好ましい例として挙げられ、イミダゾールヨーダイド類、イミダゾールテトラフルオロボレートボレート化合物、イミダゾールテトラシアノボレート化合物、イミダゾールヘキサフルオロホスフォネート化合物、イミダゾールビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド化合物、ピリジニウムヨーダイド化合物、ピリジニウムテトラシアノボレート化合物、ピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド化合物、ピリジニウムヨーダイド化合物、ピリジニウムテトラシアノボレート化合物、ピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド化合物、ホスフォニウムヨーダイド化合物、ホスフォニウムテトラシアノボレート化合物、ホスフォニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド化合物がより好ましい。これらの有機溶媒や常温溶融塩は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上を組み合わせて用いる場合、その割合は任意に選択することが可能である。
電解液は、含窒素化合物を更に含有しても良い。含窒素化合物を用いることにより、色素増感太陽電池の変換効率、開放電圧、短絡電流、フィルファクター、耐湿信頼性及び耐久性等の電池性能を向上させることができる。
含窒素化合物の具体例としては、例えば、4−t−ブチルピリジン、2−ビニルピリジン、アミノピリジン等のピリジン骨格を有する化合物、1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチルイミダゾリウム等のイミダゾール骨格を有する化合物、ピリミジン、2−アミノピリミジン等のピリミジン骨格を有する化合物、1−メチルピラゾール等のピラゾール骨格を有する化合物、1−メチルトリアゾール等のトリアゾール骨格を有する化合物、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン骨格を有する化合物、N,N,N,N−テトラメチルウレア等のウレア化合物等が挙げられる。これらの中でも、4−t−ブチルピリジン、2−ビニルピリジン、アミノピリジン等のピリジン骨格を有する化合物、1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチルイミダゾリウム等のイミダゾール骨格を有する化合物等が特に好ましく、4−t−ブチルピリジンや1−メチルベンズイミダゾールが最も好ましい。これらの含窒素化合物は、単独又は2種類以上を併用し添加してもよい。これらの含窒素化合物の添加量は、通常0.01〜10M、好ましくは0.02〜5M、より好ましくは0.05〜2.5M、特に好ましくは0.1〜1.5Mである。
電解液は、チオシアネートアニオン有するイオン性化合物を更に含有しても良い。
チオシアネートアニオン含むイオン性化合物の具体例としては、リチウムチオシアネート(LiSCN)、ナトリウムチオシアネート(NaSCN)、カリウムチオシアネート(KSCN)等のアルカリ金属のチオシアネート塩;マグネシウムチオシアネート(Mg(SCN))等のアルカリ土類金属のチオシネナート塩;ホスフォニウムカチオン、スルホニウムカチオン等のオニウムイオンのチオシアネート塩;イミダゾリウムカチオン、アンモニウムカチオン、ピロリウムカチオン、ピロリニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、グアニジニウムイオン等の有機カチオンのチオシアネート塩等が好ましいものとして例示でき、リチウムチオシアネート、ナトリウムチオシアネート、カリウムチオシアネート、グアニジンチオシアネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムチオシアネート、テトラプロピルチオシアネート等がより好ましい。これらチオシアネートアニオン有する含むイオン性化合物の添加量は、通常0.01〜10M、好ましくは0.02〜5M、より好ましくは0.03〜3M、特に好ましくは0.05〜1.5Mである。
更に、本発明の色素増感太陽電池に用いられる電荷移動層の電解液は、必要に応じて更なる添加剤等を含有してもよい。用いられる添加剤等は特に限定されるものではなく、その添加量も目的に応じて適宣選択すればよいが、電解液中のレドックス対の輸送効率向上効果、色素から酸化物半導体への電価注入の促進効果、酸化物半導体からの逆電子移動防止効果等を有するもので、色素増感太陽電池の効率を高めるものや、電解液の安定性を向上させて色素増感太陽電池の耐久性を高めるものを添加することが好ましい。
本発明の色素増感太陽電池は、上下の基板を貼り合せる為のシール剤を有する。
シール剤としては、有機系及び無機系のいずれでも良いが、有機系であることが好ましい。また、硬化の方式も熱硬化型、光硬化型、光熱併用型、熱溶融型、常温硬化型、二液混合型等いずれのタイプのシール剤も適用可能である。
使用できるシール剤に特に制限は無いが、例えば特開2002−368233号公報、特開2002−368236号公報、特開2004−095248号公報、国際公開特許2004/075333号公報、特開2006−286413号公報、特開2007−294377号公報、国際公開特許WO2006/095639号公報、国際公開特許2007/046499公報、国際公開特許2007/007671公報、特開2009−117308号公報、特開2011−144306号公報、日本国特許第4816864号公報、特開2012−193360号公報、国際公開特許WO2012/117727号公報、日本国特許第4862315号公報、日本国特許第5261034号公報、日本国特許第5649648号公報等に記載の熱硬化型シール剤、特開2004−027273号公報、特開2004−311036号公報、特開2005−302564号公報、特開2009−146604号公報、国際公開特許WO2009/133800号公報、特開2010−180258号公報、特開2010−180324公報、国際公開特許WO2010/090145号公報、特開2011−026512号公報、特開2011−153237号公報、特開2011−171294号公報、日本国特許第4777739号公報、日本国特許第4783147号公報、特開2012−054060号公報、特開2012−136614号公報、特開2012−226855号公報、国際公開特許WO2012/090932号公報、日本国特許第4918975号公報、日本国特許第4937410号公報、特開2013−047308号公報、特開2013−089578号公報、特開2013−112723号公報、特開2013−216782号公報、日本国特許第5139713号公報、日本国特許第5160951号公報、日本国特許第5290047号公報、特開2014−080567号公報、日本国特許第5454285号公報、日本国特許第5461378号公報、日本国特許第5526398号公報等に記載の光硬化型シール剤、日本国特許第5007227号公報、日本国特許第5091681号公報、特開2014−120431号公報、等に記載の光熱併用型シール剤、特開2007−157397号公報、特開2007−214075号公報、特開2007−294387号公報、特開2008−059854号公報、特開2008−117608号公報、特開2009−231205号公報、特開2009−231203号公報、特開2009−231204号公報、特開2009−231205号公報、特開2009−289549号公報等に記載の常温硬化型シール剤等が挙げられる。
これらのシール剤の中でも、本発明の色素増感太陽電池には、熱硬化型シール剤及び光熱併用型シール剤が好ましく、熱硬化型シール剤がより好ましい。また、熱硬化型シール剤の中でも120℃以上の加熱により硬化するシール剤が更に好ましく、エポキシ樹脂を含む熱硬化性のシール剤が特に好ましい。
エポキシ樹脂を含む熱硬化性のシール剤が含有するエポキシ樹脂としては、一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を持つエポキシ樹脂であれば特に限定されず、例えばノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、その他のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、及びそれらのハロゲン化物、水素添加物等が挙げられる。その中でも、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールA型ノボラック、トリスフェノールメタンノボラック、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テトラブロモビスフェノールA、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンや、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物から誘導されるグリシジルエーテル化エポキシ樹脂、グリシジルアミン化エポキシ樹脂、グリシジルエステル化エポキシ樹脂、及びそれらのハロゲン化物、水素添加物等の、固形又は液状エポキシ樹脂が好ましく、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、トリスフェノールメタンノボラック、ビスフェノールA型ノボラック、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシン、フルオレンビスフェノールのグリシジルエーテル化エポキシ樹脂、及びそれらのハロゲン化物、水素添加物であるエポキシ樹脂がより好ましく、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタンノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、レゾルシングリシジルエーテル、及びそれらのハロゲン化物、水素添加物であるエポキシ樹脂が特に好ましく、トリスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が最も好ましい。
熱硬化性のエポキシ樹脂系シール剤の組成は、特に限定されないが、例えば熱硬化型シール剤であれば、エポキシ樹脂及び熱硬化剤を含むもの、紫外線硬化型シール剤としては、エポキシ樹脂及び光重合開始剤を含むもの、光熱併用硬化型シール剤としては、エポキシ樹脂と熱硬化剤及び光反応開始剤を含むものが一般的である。いずれの組成も更なる添加剤を含んでも良く、例えば熱硬化剤型シール剤であれば、その他の熱硬化性樹脂、反応促進剤、充填剤、カップリング剤、溶媒、応力緩和剤、粘度調整剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、スペーサー等を、紫外線硬化型シール剤であれば、その他の紫外線硬化性樹脂、光増感剤、イオンキャッチャー、充填剤、カップリング剤、溶媒、応力緩和剤、粘度調整剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、スペーサー等を、光熱併用硬化型シール剤であれば、その他の熱硬化性樹脂、その他の紫外線硬化性樹脂、反応促進剤、光増感剤、イオンキャッチャー、充填剤、カップリング剤、溶媒、応力緩和剤、粘度調整剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、スペーサー等を、それぞれ必要に応じて含有してよい。
好ましいシール剤としての具体例としては、前記の熱硬化型シール剤がより好ましく、特開2002−368233号公報、特開2002−368236号公報、国際公開特許2004/075333号公報、国際公開特許2007/046499公報、国際公開特許2007/007671公報、日本国特許第5649648号公報に記載のシール剤が特に好ましく、日本国特許第5649648号公報に記載のシール剤が最も好ましい。
次に、本発明に用いられる色素増感太陽電池の一般的な作製法を説明する。まず、前記した導電性支持体上に酸化物半導体微粒子の薄膜を作成する。酸化物半導体微粒子の薄膜は、酸化物半導体微粒子をスプレイ噴霧等で直接前記基板上に塗布して半導体微粒子の薄膜を形成する方法、基板を電極として電気的に半導体微粒子を薄膜状に析出させる方法、半導体微粒子のスラリー又は半導体アルコキサイド等の半導体微粒子の前駆体を加水分解することにより得られた微粒子を含有するペーストを基板上に塗布した後、乾燥、硬化もしくは焼成する方法等によって製造することが出来る。酸化物半導体を用いる電極の性能上、スラリーを用いる方法が好ましい。この方法の場合、スラリーは二次凝集している酸化物半導体微粒子を常法により分散媒中に平均1次粒子径が1〜200nmになるように分散させることにより得られる。
スラリーを分散させる分散媒としては、半導体微粒子を分散できるものであれば特に限定されず、例えば水、エタノール等のアルコール、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン等の炭化水素等が用いられる。これらは混合して用いても良く、また水を用いることはスラリーの粘度変化を少なくするという点で好ましい。また酸化物半導体微粒子の分散状態を安定化させる目的で、分散安定剤を併用することも出来る。用いられる分散安定剤としては、例えば酢酸、塩酸及び硝酸等の酸、アセチルアセトン、アクリル酸、ポリエチレングリコール及びポリビニルアルコール等の有機溶媒等が挙げられる。
スラリーを塗布した基板は焼成してもよく、その焼成温度は通常100℃以上、好ましくは200℃以上で、かつ上限は概ね基材の融点(軟化点)以下であり、通常900℃以下、好ましくは600℃以下である。また焼成時間には特に限定はないが、概ね4時間以内が好ましい。基板上の薄膜の厚みは通常1〜200μm、好ましくは1〜50μmである。
酸化物半導体微粒子の薄膜に2次処理を施してもよい。例えば、半導体と同一の金属のアルコキサイド、塩化物、硝化物、硫化物等の溶液に直接、基板ごと薄膜を浸積させて乾燥もしくは再焼成することにより半導体微粒子の薄膜の性能を向上させることもできる。金属アルコキサイドとしてはチタンエトキサイド、チタンイソプロポキサイド、チタンt−ブトキサイド、n−ジブチル−ジアセチルスズ等が挙げられ、それらのアルコール溶液が用いられる。塩化物としては例えば四塩化チタン、四塩化スズ、塩化亜鉛等が挙げられ、その水溶液が用いられる。このようにして得られた酸化物半導体薄膜は酸化物半導体の微粒子から成っている。
次に、酸化物半導体薄膜に、前記増感色素を吸着させる。本発明で増感色素を吸着させる方法としては、
(i)色素を溶媒に溶解した溶液又は色素を溶媒に分散した分散液に、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を成分の一部として加え、その中に上記半導体含有層の設けられた導電性支持体を浸漬する方法、
(ii)もしくは色素を溶媒に溶解した溶液又は色素を溶媒に分散した分散液に、上記半導体含有層の設けられた導電性支持体を浸漬して色素吸着をさせた後に、得られた色素で増感された半導体含有層を、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を成分の一部として含む溶液に浸漬する方法、
の2種類が挙げられる。
色素溶液又は色素分散液中における色素の濃度は、色素の種類や溶解度によって適宜決めればよい。浸漬温度は概ね常温から溶媒の沸点迄であり、また浸漬時間は1時間から72時間程度である。増感色素を溶解させるのに使用できる溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、n−プロパノール、i−プロパノール、t−ブタノール、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。溶液中の増感色素の濃度は通常1×10−6〜1M、好ましくは1×10−5〜1×10−1Mである。この様に増感色素を半導体含有層の設けられた導電性支持体を浸漬させることにより、色素で増感された半導体含有層を有する導電性支持体が得られる。
色素を混合して用いる場合の各色素の比率は特に限定されないが、一般的にはそれぞれの色素を少なくとも10モル%程度以上使用することが好ましい。2種類以上の色素を溶解もしくは分散した溶液を用いて半導体含有層に色素を担持させる場合、溶液中の色素の合計濃度は1種類のみ担持させる場合と同様でよく、また、各色素に用いる溶媒は同一であっても異なっていてもよい。
色素を溶媒に溶解した溶液又は色素を溶媒に分散した分散液に、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を成分の一部として加えて、その中に半導体含有層が設けられた導電性支持体を浸漬する場合((i)の場合)に、用いられるハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物としては、半導体含有層を汚染しない化合物であれば特に制限は無く、有機塩、又は無機塩のどちらを用いても良い。
イオン結合性の化合物が有するハロゲン化物は、塩化物、臭化物、ヨウ化物が好ましく、臭化物又はヨウ化物がより好ましく、ヨウ化物が特に好ましい。
また、有しているカチオン部位は、正に帯電している化合物であれば特に制約は無く、例えばリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の無機イオン;あるいは、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラアルキルアンモニウム等のアンモニウムカチオン;イミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−ブチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−ヘキシルイミダゾリウム等のイミダゾリウムカチオン;N,N−ジメチルピロリジニウム、N,N−ジブチルピロリジニウム等のピロリジニウカチオン、N−メチルピリジニウム、N−プロピルピリジニウム、N−ブチルピリジニウム等のピリジニウムカチオン;トリメチルスルホニウム、トリエチルスルホニウム、トリアルキルスルホニウム等のスルホニウムカチオン、トリメチルスルホキソニウム、トリエチルスルホキソニウム、トリアルキルスルホキソニウム等のスルホキソニウムカチオン;テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラアルキルホスホニウム等のホスフォニウムカチオン等の有機イオンが挙げられ、有機イオンが好ましく、アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピロリジニウカチオン、ピリジニウムカチオン等の含窒素系カチオンがより好ましく、アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンが更に好ましい。
これらの化合物は、単独で用いても良く、2種類以上の化合物を混合して用いても良い。また、前項に記載の色素溶液又は色素分散液中に加えて用いる場合の濃度は、用いる化合物によって異なるが、通常1×10−5〜10M、好ましくは1×10−4〜1M、より好ましくは1×10−3〜1×10−1Mである。
色素溶液又は色素分散液中に加えるハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物の特に好ましい具体例としては、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、1,3−ジメチルイミダゾリウムヨージド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヨージド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージド、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムヨージド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム、N,N−ジメチルピロリジニウムヨージド、N−メチルピリジニウムヨージド、N−ブチルピリジニウムヨージド等が挙げられる。
また、色素を溶媒に溶解した溶液又は色素を溶媒に分散した分散液に、上記半導体含有層の設けられた導電性支持体を浸漬して色素吸着をさせた後に、得られた色素で増感された半導体含有層を、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を成分の一部として含む溶液に浸漬する場合((ii)の場合)にも、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物は、前項までの記載と同様の化合物が用いられ、好ましく用いられる化合物も同じである。溶媒に溶解させる濃度は、用いる化合物によって異なるが、通常1×10−5〜10M、好ましくは1×10−4〜1M、より好ましくは1×10−3〜1×10−1Mである。
ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を溶解させるのに使用できる溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、n−プロパノール、i−プロパノール、t−ブタノール、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン等が挙げられ、これらは単独又は2種類以上を任意の割合で混合して用いても良い。その際に、使用する溶媒は、色素溶液又は色素分散液と同一であっても異なっていてもよい。
更に、この場合の色素を吸着させる際の色素溶液又は色素分散液中には、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物は入っていても、入っていなくても良い。
半導体含有層に色素を担持する際、色素同士の会合を防ぐために、更に共吸着剤として包接化合物の共存下で色素を担持することが効果的である。ここで用いる包接化合物としてはコール酸化合物等のステロイド系化合物、クラウンエーテル、シクロデキストリン、カリックスアレン、ポリエチレンオキサイド等が挙げられるが、コール酸化合物又はシクロデキストリンを用いることが好ましく、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸メチルエステル、コール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸、リトコール酸、ヒオコール酸等を用いることがより好ましく、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、リトコール酸、ヒオコール酸を用いることが特に好ましい。これらの包摂化合物の使用形態としては、色素溶液に添加してもよく、予め包摂化合物を溶媒に溶解させた後に色素を溶解又は分散させてもよい。これらの包摂化合物は2種類以上を組み合わせて用いることも可能であり、その割合は任意に選択することができる。
次に、前記のようにして得られた色素で増感された半導体含有層を有する導電性支持体(酸化物半導体電極)と対向電極を有する導電性支持体とを、シール剤を用いて貼り合わせる方法について説明する。まず、スペーサー(間隙制御材)を添加したシール剤を、いずれか一方の導電性支持体の導電面の周辺部に、電荷移動層の注入口を残してディスペンサー、スクリーン印刷機、インクジェット印刷機等により堰状に塗布した後、該シール剤が溶剤を含有する場合には、例えば温風乾燥機等で加熱して溶剤を蒸発させ、次いで第一と第二の導電性支持体の導電面が対面するように他方の導電性支持体を重ね合わせ、加熱及び/又は紫外線照射によりシール剤を硬化させる。ここで用いるスペーサーとしては、例えばグラスファイバー、シリカビーズ、ポリマービーズ等、更には金パール、銀パール等の金属コーティングした微粒子等が用いられる。その直径は、目的に応じて異なるが、通常1〜100μm、好ましくは10〜40μmである。その使用量は、シール剤100質量部に対し通常0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部、更に好ましくは1〜2.5質量部である。シール剤の加熱硬化の条件は、通常90〜180℃で1〜3時間である。尚、加熱硬化の方法としては、熱盤を2枚有する熱プレス機でサンドイッチ状に挟んで行う方法、冶具で固定した後オーブン中で行なう方法等が採用出来る。また、紫外線硬化型及び光熱併用硬化型のシール剤を用いる場合の紫外線の照射条件は、シール剤の硬化速度に併せて選択すればよい。第一と第二の導電性支持体の間隙は通常1〜100μm、好ましくは4〜50μmである。
本発明の色素増感太陽電池は、上記のようにして貼り合わせた一対の導電性支持体の間隙に電荷移動層を注入した後、電荷移動層の注入口を封止することにより得ることができる。電荷移動層の注入口を封止する封止剤(封口剤)としてはイソブチレン樹脂、エポキシ樹脂、UV硬化性のアクリル樹脂等が使用できるが、電荷移動層が注入口から漏洩するのを防ぐ効果を持つものであれば前述に限らず用いることが可能である。封止剤としては、市販の封止剤を用いることが可能であり、UV硬化性アクリル系樹脂であることが好ましい。
一方、色素増感太陽電池の別の作製法として、国際公開特許WO2007/046499号公報に記載のように、いずれか一方の導電性支持体の導電面の周辺部に、電荷移動層注入口を設けることなくシール剤の堰を設け、次いで前記と同様の電荷移動層をシール剤の堰の内側に配し、減圧下において第一と第二の導電性支持体の導電面が対面するように他方の導電性支持体を載置し貼り合わせると同時にギャップ形成を行い、その後シール剤を硬化させることにより色素増感太陽電池を得るという方法も採用出来る。
図1は本発明の色素増感太陽電池の構造を説明する要部断面模式図であって、1は内側が導電性を有する導電性支持体、2は色素によって増感された半導体含有層、1と2を併せて酸化物半導体電極という。3は導電性支持体の内側の導電面の上に白金等を配した対向電極、4は一対の導電性支持体の間隙に配されている電荷移動層、5は本発明の色素増感太陽電池に用いられるシール剤、6はガラス基板である。
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
導電性支持体であるFTO導電性ガラス支持体の導電面上に、TiO微粒子(平均粒子径20nm)をターピネオールでペースト状にしたものをスクリーン印刷機で塗布して、450℃で30分間焼成し、半導体含有層(膜厚10μm 短軸幅5mm)を有する導電性支持体を得た。次に、下記式(1)で表される色素を3.2×10−4Mと、1-メチル-3-プロピルイミダゾリウムヨージドを100mMの濃度になるように、アセトニトリルとt−ブチルアルコールの1:1混合溶媒に溶解し(表1の実験番号1)、先に作製した半導体含有層の設けられた導電性支持体を、室温で24時間浸漬して酸化物半導体電極を作製した。また、FTO導電性ガラス支持体の導電面上にPtを50Å蒸着させて対向電極を作製した。日本国特許第5649648号公報のシール剤作成例3に記載のエポキシ系シール剤に、スペーサー粒子(粒子径20μm)を1質量%添加して、作成した対向電極の周縁部に電荷移動層の注入口を残すようにスクリーン印刷機を用いて塗布した後、温風乾燥機で90℃、18分間加熱し溶剤を除去した。その後、酸化物半導体電極を、対向電極の導電面と半導体含有層とが対面するように、シール剤を介して2枚の基板を重ね合わせ、熱プレス機を用いて2.5kg/cmの圧力で、150℃で60分間硬化させることにより、両導電性支持体を貼り合わせたセルを得た。得られたセルの注入口から電解液(3−メトキシプロピオニトリルにヨウ素/ヨウ化リチウム/1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリウムアイオダイド/t−ブチルピリジンをそれぞれ0.1M/0.1M/0.6M/0.5Mになるように溶解したもの)を注入してセル内に充填した後、注入口をUV硬化性アクリル系樹脂で封止することにより本発明の電池1を得た。
Figure 2016162969
実施例2〜7
実施例1において、色素溶液に1-メチル-3-プロピルイミダゾリウムヨージドを100mM添加したのに替えて、表1に記載の添加剤を表1に記載の濃度で添加した以外は実施例1に準じて、本発明の電池2〜7を得た(表1の実験番号2〜7)。
比較例1
実施例1において、色素溶液に1-メチル-3-プロピルイミダゾリウムヨージドを添加しなかった以外は実施例1に準じて、比較用の電池8を得た(表1の実験番号8)。
比較例2
実施例1において、色素溶液に1-メチル-3-プロピルイミダゾリウムヨージドに替えて、テトラプロピルアンモニウムチオシアネートを添加した以外は実施例1に準じて、比較用の電池9を得た(表1の実験番号9)。
実施例8
実施例1において、下記式(1)で表される色素を日本国特許第5306354号公報の化合物番号(6)に記載の色素(下記式(2))に替え、更に色素溶液に下記式(3)で表されるコール酸10mMを添加した以外は実施例1に準じて、本発明の電池10を得た(表1の実験番号10)。
Figure 2016162969
Figure 2016162969
実施例9
実施例8において、色素溶液に1-メチル-3-プロピルイミダゾリウムヨージドの添加濃度を100mMから10mMに替えた以外は実施例8に準じて、本発明の電池11を得た(表1の実験番号11)。
比較例3
実施例8において、色素溶液に1-メチル-3-プロピルイミダゾリウムヨージドを添加しなかった以外は実施例8に準じて、比較用の電池12を得た(表1の実験番号12)。
Figure 2016162969
Figure 2016162969
実施例10
導電性支持体であるFTO導電性ガラス支持体の導電面上に、TiO微粒子(平均粒子径20nm)をターピネオールでペースト状にしたものをスクリーン印刷機で塗布して、450℃で30分間焼成し、半導体含有層(膜厚10μm 短軸幅5mm)を有する導電性支持体を得た。次に、式(1)で表される色素を3.2×10−4Mの濃度になるようにアセトニトリルとt−ブチルアルコールの1:1混合溶媒に溶解し、先に作製した半導体含有層の設けられた導電性支持体を室温で24時間浸漬して、その後1-メチル-3-プロピルイミダゾリウムヨージドを100mMになるようにアセトニトリルに溶解した溶液に、色素を担持した半導体含有層が設けられた導電性支持体を室温で24時間浸漬して、酸化物半導体電極を作製した。また、FTO導電性ガラス支持体の導電面上にPtを50Å蒸着させて対向電極を作製した。日本国特許第5649648号公報のシール剤作成例3に記載のエポキシ系シール剤に、スペーサー粒子(粒子径20μm)を1質量%添加して、作成した対向電極の周縁部に電荷移動層の注入口を残すようにスクリーン印刷機を用いて塗布した後、温風乾燥機で90℃、18分間加熱し、溶剤を除去した。その後、酸化物半導体電極を、対向電極の導電面と半導体含有層とが対面するように、シール剤を介して2枚の基板を重ね合わせ、熱プレス機を用いて2.5kg/cmの圧力で、150℃で60分間硬化させることにより、両導電性支持体を貼り合わせたセルを得た。得られたセルの注入口から電解液(3−メトキシプロピオニトリルにヨウ素/ヨウ化リチウム/1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリウムアイオダイド/t−ブチルピリジンをそれぞれ0.1M/0.1M/0.6M/0.5Mになるように溶解したもの)を注入してセル内に充填した後、注入口をUV硬化性アクリル系樹脂で封止することにより本発明の電池13を得た。
実施例11
実施例10において、1-メチル-3-プロピルイミダゾリウムヨージドに替えて、テトラブチルアンモニウムヨージドを用いた以外は実施例10に準じて、本発明の電池14を得た。
評価試験
実施例1〜11及び比較例1〜3で得られた電池1〜14について、光電変換能の測定を行った。光源は1kWキセノンランプ(WACOM製)を用いて、AM1.5フィルターを通して100mW/cmとし、開放電圧、短絡電流、形状因子をソーラシミュレータ(WXS−155S−10、WACOM製)を用いて測定し、それらの値から変換効率を算出した。結果を表2に示した。
Figure 2016162969
半導体含有層に色素を担持するための染色溶液に、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物として1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージドを加えて作製した電池1(実施例1)は、染色溶液にハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を添加しなかった電池8、9(比較例1、2)に比べて、高い短絡電流、開放電圧、変換効率が得られた。また、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージドの含有量を減らした電池2、3(実施例2、3)でも同様の効果が得られ、別のハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物であるテトラプロピルアンモニウムヨージドやテトラブチルアンモニウムヨージドを用いて作成した電池4、5(実施例4、5)でも、良好な結果が得られた。更に、ヨウ化物以外のハロゲン化物であるテトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライドを添加して作製した電池6、7(実施例6、7)でも、電池8、9(比較例1、2)に比べて、高い短絡電流、開放電圧、変換効率が得られており、本発明の効果が得られていることが分かる。加えて、電池1〜9と異なる増感色素を用いた電池10〜12場合でも、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物である1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージドを色素溶液に加えて作製した電池10、11(実施例8、9)は、何も添加せずに作製した電池12(比較例3)に比べて、優れた短絡電流、開放電圧、変換効率が得られた。
また、色素を担持するための染色溶液に、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を添加せずに半導体含有層に色素を担持した後、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージド溶液及びやテトラブチルアンモニウムヨージド溶液に半導体含有層を浸漬して作製した電池13、14(実施例10、11)からも、何もしなかった電池8(比較例1)に比べて、高い短絡電流、開放電圧、変換効率が得られ、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を含む溶液に浸漬させる工程の有効性が証明されている。
これらの結果から、半導体含有層が、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を成分の一部として含む染色溶液により色素吸着をさせて作製されているか、もしくは染色溶液により色素吸着をさせた後に、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を成分の一部として含む溶液に浸漬させて作製されている色素増感太陽電池は、短絡電流、開放電圧、変換効率のいずれも高く、優れた電池となることが明らかになった。
本発明の色素増感太陽電池は、変換効率が高い状態で、優れたシール剤が適用可能であるため、変換効率及び耐久性の双方に優れた色素増感太陽電池が提供可能となる。また、光電変換の際に重要な役割を果たす色素によって増感された酸化物半導体電極の耐熱性が向上しているため、柔軟な作製プロセスが設計可能となる。
1.導電性支持体
2.色素によって増感された半導体含有層
3.対向電極
4.電荷移動層
5.シール剤
6.ガラス基板

Claims (12)

  1. 色素によって増感された半導体含有層を有する第一の導電性支持体、該半導体含有層と対向電極とが所定の間隔で対向する位置に設けられた対向電極を有する第二の導電性支持体、第一及び第二の導電性支持体の間隙に挟持された電荷移動層、並びに電荷移動層をシールするために第一及び第二の導電性支持体の周辺部に設けられたシール剤を有する色素増感太陽電池であって、第一の導電性支持体の半導体含有層が、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を成分の一部として含む染色溶液により色素吸着をさせて作製されているか、もしくは染色溶液により色素吸着をさせた後に、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を成分の一部として含む溶液に浸漬させて作製されている色素増感太陽電池。
  2. ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物のアニオン部位が、ヨウ化物イオン、臭化物イオン、塩化物イオンのいずれか一つである請求項1に記載の色素増感太陽電池。
  3. ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物のカチオン部位が、有機化合物である請求項1又は2に記載の色素増感太陽電池。
  4. ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物のカチオン部位が、アンモニウムイオンもしくはイミダゾリウムイオンのいずれか一方である請求項3に記載の色素増感太陽電池。
  5. ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物を成分の一部として含む染色溶液が、ハロゲン化物イオンを有するイオン結合性の化合物と色素と溶媒の他に、共吸着剤として包接化合物を更に含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池。
  6. 半導体含有層の半導体が、微粒子状の酸化チタン又は微粒子状の複合酸化チタンである請求項1乃至5のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池。
  7. 色素が、金属錯体色素である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池。
  8. 色素が、ルテニウム錯体色素である請求項7に記載の色素増感太陽電池。
  9. 色素によって増感された半導体含有層を有する第一の導電性支持体を作成後に、該支持体を加熱する工程を経て作成される請求項1乃至8のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池。
  10. シール剤が、熱硬化性の接着剤である請求項1乃至9のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池。
  11. シール剤が、硬化をする際に120℃以上の加熱を必要とする接着剤である請求項10に記載の色素増感太陽電池。
  12. シール剤が、エポキシ樹脂を含む熱硬化性の接着剤である請求項10又は11に記載の色素増感太陽電池。
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