JP2016162719A - 非水系電解液二次電池用正極活物質及びそれを用いた非水系電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 Li、Mn、Ni、及びMg、Al、Si、Ti、Cr、Fe、Co、Cu、Znから選択される少なくとも1種の元素Mを含む非水系電解液二次電池用正極活物質であって、そのモル比がLi:Mn:Ni:M=t:2−x−y:x:yであるスピネル型酸化物で、透過電子顕微鏡(TEM)に付属した電子エネルギー損失分光(EELS)測定装置によって、酸化物の表面から50nm以上内部の部位において得られるスペクトルにおいて、Mn−L3端に帰属するスペクトルピークのエネルギー損失値が643eV以上、Mn−L2端に帰属するスペクトルピークのエネルギー損失値が654eV以上に検出されること特徴とする。
【選択図】 なし
Description
このようなリチウムイオン二次電池については、現在、研究開発が盛んに行われている。その中でも、リチウム金属複合酸化物を正極材料に用いたリチウムイオン二次電池は、4V級の電圧が得られるため、高エネルギー密度を有する電池として実用化が進んでいる。
しかしながら、これらのスピネル型の正極活物質は、充放電を繰り返すに従い、電池容量が減少していくという問題、すなわち、サイクル特性に劣るという問題がある。
特に、負極としてカーボン系材料を用いた場合、正極から溶出したマンガンが負極に析出し、負極での電池反応を阻害するため、電池容量が減少すると考えられる。
その対策として、たとえば特許文献1には正極活物質の表面を異種の酸化物で被覆して、マンガンの溶出を防止することが提案されている。しかし実際にマンガンの溶出を防止できるほど、均一で緻密な被覆を行うことは困難であり、またそのように被覆を行った場合正極活物質からのリチウムの脱離/挿入反応を阻害するため、入出力特性の面から好ましくない。
この方法を本発明者が検討した結果、実際に異種元素を添加することでサイクル特性は向上するが、産業用途に使用するには不十分である知見を得ている。
さらに、本発明によれば、このリチウムマンガンニッケル複合酸化物粒子を正極活物質として用いた、非水系電解液二次電池を提供することができ、本発明の工業的意義はきわめて大きい。
本発明の非水系電解液二次電池用正極活物質は、リチウム(Li)、マンガン(Mn)及びニッケル(Ni)の他に元素M(Mはマグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)から選択される少なくとも1種の元素)を含み、各々の元素のモル比(Li:Mn:Ni:M)がLi:Mn:Ni:M=t:2−x−y:x:y(ただし、0.96<t≦1.25、0.40≦x≦0.60、0≦y≦0.20)であるスピネル型酸化物で、さらにTEMに付属したEELS測定より得られたスペクトルのMn−L3端に帰属する損失分光スペクトルのピークのエネルギー損失値が643eV以上、且つMn−L2端に帰属するピークのエネルギー損失値が654eV以上の位置に検出されることを特徴とするリチウムマンガンニッケル複合酸化物である。
リチウムマンガンニッケル酸化物の表層から20nm以内には一般的に結晶欠陥が多い異相が存在しており、その部位のMn価数が低下し、該当のピークが低エネルギー側へシフトする可能性があるためである。つまりこの場合の50nm以上とは、ある一定方向ではなく粒子のあらゆる表面部位から50nm以上という意味である。例えば半径50nm未満の円形の粒子断面は、粒子内部のどの点もEELS測定に好適ではないため、測定対象にならない。
理想的なリチウムマンガンニッケル複合酸化物では、全てのマンガンがMn4+として存在しMn3+は含まれないが、実際の材料ではサイクル特性の低下から鑑み、不純物や結晶欠陥のため、Mn3+が含まれていることが推測される。
本発明の正極活物質中のマンガン価数は、溶出しにくい4価に近いため、サイクル特性が高いと考えられる。
本発明の非水系電解液二次電池用正極活物質は、リチウム(Li)、マンガン(Mn)及びニッケル(Ni)の他に、元素M(元素Mはマグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)から選択される少なくとも1種の元素)を含み、各々の元素のモル比がLi:Mn:Ni:M=t:2−x−y:x:y(ただし、0.96≦t≦1.25、0.40≦x≦0.60、0≦y≦0.20)のスピネル型酸化物である。
このtの値を上記範囲に規制することにより、この正極活物質を正極に用いて構成される二次電池の出力特性および容量特性を向上させることができる。これに対して、tの値が0.96未満、または1.25を超えると、初期放電容量が低下する。
ニッケルの添加量を示すxの値は、0.40以上、0.60以下、好ましくは0.40以上、0.56以下、より好ましくは0.40以上、0.53以下とする。
xの値が0.40未満では、この複合水酸化物粒子を前駆体とする正極活物質を正極に用いて構成した二次電池において、5V級の電圧における電池容量が減少してしまう。一方、xの値が0.60を超えると、スピネル構造単相からなる正極活物質を得ることができなくなる。
このような添加元素Mとしては、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)から選択される少なくとも1種の元素を用いることができる。
Mはそれ自身酸化還元反応に寄与しないものがあるので、Mの添加量を示すyの値は0.20以下、好ましくは0.15以下、より好ましくは0.10以下とする。
粒子の比表面積は窒素吸着を利用したBET法で計測した場合、0.30〜1.50m2/g、より好ましくは0.50〜1.50m2/gであることが好ましい。
電池の充放電中に正極活物質に起こるリチウムイオンの脱離/挿入は、正極活物質の表面で起こるため、比表面積が0.30m2/g未満では、充放電容量が低下する。一方1.50m2/gを超える場合は、Mn溶出が起こりやすくなりサイクル特性が低下する。
粒子の粒度分布は、レーザー光回折散乱式の粒度分布計で計測した場合、体積平均粒径が2〜8μm、好ましくは3〜8μm、より好ましくは3〜6μmとなるように調整すれば、この正極活物質を正極に用いた電池では、容積あたりの電池容量を大きくすることができるとともに、高安全性、高出力等の優れた電池特性が得られる。
本発明の正極活物質の製造工程は以下の3工程からなる。
第一段階:[前駆体晶析工程]
第二段階:[酸化焙焼工程]
第三段階:[リチウム合成工程]
この工程は、各元素のモル比が、「Mn:Ni:M=(2−x−y):x:y」となるように、水溶性の原料を用いて混合水溶液を作製し、アルカリ金属水溶液等と共に反応槽で反応させて、マンガンニッケル複合水酸化物前駆体を得る工程である。
この工程は、前工程で得られた水酸化物前駆体を、空気雰囲気下において、800〜1000℃の温度で焼成することによって、マンガンニッケル複合酸化物を得る工程である。
この工程は、前工程で得た複合酸化物を、リチウム化合物と混合し、酸素雰囲気下において、600〜850℃の温度で焼成する工程である。
[前駆体晶析工程]
始めに、マンガンを含有する複数の金属化合物を所定の割合で水に溶解させ、混合水溶液を作製する。この時の各金属の組成比が最終的に得られる複合水酸化物粒子の組成比と同様となる。そのため、混合水溶液中における各金属の組成比が、本発明の複合水酸化物粒子中における各金属の組成比と同じ組成比となるように、水に溶解させる金属化合物の割合を調節して、この混合水溶液を作製する。金属化合物は水溶性であればよく、コストの観点から硫酸塩が好ましい。なお添加元素Mなどで水溶性の好適な原料が見出されない場合は、混合水溶液には加えない。
その時のpH範囲が、pH11.2未満では複合水酸化物粒子中に原料の金属化合物を構成するアニオンに起因する不純物が多く混入するため好ましくない。またpH12.2を超えると、複合水酸化物粒子が微粒子化するので好ましくない。
反応槽は反応熱や撹拌のエネルギーにより、自然に温度が上がるため、40℃未満の温度に維持しようとすると、冷却で余分にエネルギーを消費するため好ましくない。60℃を超えるとアンモニアの蒸発量が多くなり、目標のアンモニア濃度を維持しにくくなるので好ましくない。
この際、25質量%アンモニア水および25質量%水酸化ナトリウム水溶液も一定速度で滴下し、反応水溶液のpH値が、液温25℃基準で11.2〜12.2に、アンモニア濃度が2〜15g/Lに維持されるように制御し、マンガンニッケル複合水酸化物粒子(以下、「複合水酸化物粒子」という)を晶析させた。
この工程は、前工程で作製した複合水酸化物を、空気雰囲気中、800〜1000℃の温度で、5〜24時間焼成したのち、室温まで冷却し、マンガンニッケル複合酸化物を得る工程である。
この時、前工程の前駆体晶析工程で共沈できなかった添加元素Mを含む化合物を、目的とした組成比と同じになるように複合水酸化物に加えて焼成してもよい。加える添加元素Mを含む化合物としては特に限定されず、例えば、酸化物、水酸化物、炭酸化物、もしくはその混合物等を用いることができる。
焼成時間が5時間未満では焼成容器内の温度が不均一な部分があり、好ましくない。一方、24時間を超える焼成では、得られるマンガンニッケル複合酸化物粒子が24時間焼成した場合と同じであるため、エネルギー効率の観点から好ましくない。
なお、マンガンニッケル複合酸化物粒子に軽度の焼結が見られる場合には、解砕処理を加えてもよい。
以上のようにして作製したマンガンニッケル複合酸化物の結晶構造をXRDで測定すると、スピネル型の結晶構造であることが確認できる。
前記マンガンニッケル複合酸化物粒子に、この粒子に含まれる金属の原子数の総和に対して、リチウムの含有量が46〜62.5原子%となるようにリチウム化合物を加えて混合することにより、リチウム混合物を得る。
加えるリチウム化合物としては、特に限定されず、例えば、水酸化リチウム、硝酸リチウム又は炭酸リチウム、もしくはその混合物等を用いることができる。特に融点が低く反応性が高い水酸化リチウムを用いることが好ましい。
雰囲気の酸素濃度が80%未満であると、酸素欠陥が生じやすくなり好ましくない。また、焼成温度600℃未満ではリチウムマンガンニッケル複合酸化物の結晶構造が十分に成長せず、好ましくない。850℃を超えると酸素欠損が生じるため好ましくない。
焼成時間が5時間未満では焼成容器内の温度が不均一な部分があり、好ましくない。一方、36時間を超える焼成では、得られるリチウムマンガンニッケル複合酸化物粒子が36時間焼成した場合と同じであるため、エネルギー効率の観点から好ましくない。
なお、リチウムマンガンニッケル複合酸化物には軽度の焼結が見られる場合には、解砕処理を加えてもよい。
本発明の非水系電解液二次電池は、正極、負極、セパレータおよび非水系電解液などからなり、一般の非水系電解液二次電池と同様の構成要素により構成される。なお、以下に説明する実施形態は例示に過ぎず、本発明の非水系電解液二次電池は、本明細書に記載されている実施形態をもとに、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。また、本発明の非水系電解液二次電池は、その用途を特に限定するものではない。
本発明の非水系電解液二次電池用正極活物質を用いて、たとえば、以下のようにして、非水系電解液二次電池の正極を作製する。
まず、粉末状の正極活物質、導電材および結着剤を混合し、さらに必要に応じて活性炭や、粘度調整などの目的の溶剤を添加し、これを混練して正極合材ペーストを作製する。この正極合材ペースト中のそれぞれの混合比は、二次電池の用途や要求される性能に応じて適宜選択されるものであり、特に限定されるものではないが、溶剤を除いた正極合材の固形分を100質量部とした場合、一般の非水系電解液二次電池の正極と同様、正極活物質の含有量を60質量部〜95質量部とし、導電材の含有量を1質量部〜20質量部とし、結着剤の含有量を1質量部〜20質量部とすることが望ましい。
結着剤は、活物質粒子をつなぎ止める役割を果たすもので、たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエン、セルロース系樹脂およびポリアクリル酸を用いることができる。
溶剤としては、具体的には、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤を用いることができる。また、正極合材には、電気二重層容量を増加させるために、活性炭を添加することができる。
負極には、金属リチウムやリチウム合金など、あるいは、リチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅などの金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
正極と負極との間には、セパレータを挟み込んで配置する。
セパレータは、正極と負極とを分離し、電解質を保持するものであり、ポリエチレンやポリプロピレンなどの薄い膜で、微少な孔を多数有する膜を用いることができる。
非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。
有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネートなどの環状カーボネート、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート、さらに、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトンなどの硫黄化合物、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチルなどのリン化合物等から選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
さらに、非水系電解液は、電池特性を改善するために、ラジカル捕捉剤、界面活性剤および難燃剤などを含んでいてもよい。
以上のように説明してきた正極、負極、セパレータおよび非水系電解液で構成される本発明の非水系電解液二次電池は、円筒形や積層形など、種々の形状にすることができる。いずれの形状をとる場合であっても、正極および負極を、セパレータを介して積層させて電極体とし、得られた電極体に非水系電解液を含浸させ、正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、および、負極集電体と外部に通じる負極端子との間を、集電用リードなどを用いて接続し、電池ケースに密閉して、非水系電解液二次電池を完成させる。
本発明の正極活物質を用いた非水系電解液二次電池は、高い作動電位を有しながらも、高容量で、サイクル特性に優れるものである。
具体的には、本発明の正極活物質を正極に用いて、2032型コイン電池を構成し、電流密度を0.1mA/cm2として、カットオフ電圧5.0Vまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧3.0Vまで放電した場合に、125mAh/g以上、好ましくは130mAh/g以上の初期放電容量が得られる。
本発明の非水系電解液二次電池は、上記特性を有するため、常に高容量を要求される小型携帯電子機器(ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話端末など)の電源に好適である。また、本発明の非水系電解液二次電池は小型化、高出力化が可能であることから、搭載スペースに制約を受ける電気自動車用電源としても好適である。
なお、本発明の非水系電解液二次電池は、純粋に電気エネルギーのみで駆動する電気自動車用の電源のみならず、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃焼機関と併用する、いわゆるハイブリッド車用の電源としても用いることができる。
(a)前駆体晶析工程
はじめに、反応槽(5L)内に、水を半分の量まで入れて撹拌しながら、槽内温度を40℃に設定した。このときの反応槽内は、窒素雰囲気(酸素濃度:1容量%以下)とした。
雰囲気焼成炉(株式会社シリコニット製、BM−50100M)を用いて、作製した複合水酸化物粒子を空気雰囲気下、900℃、12時間焼成した後、室温まで冷却し、マンガンニッケル複合酸化物粒子を得た。なお、このマンガンニッケル複合酸化物には軽度の焼結が見られたため、ハンマーミル(IKAジャパン株式会社製、MF10)を用いて解砕した。
そのマンガンニッケル複合酸化物粒子に、この複合酸化物粒子に含まれるマンガン、ニッケルの原子数の総和に対して、リチウムの含有量が50原子%となるように秤量した水酸化リチウム一水和物を加えて、ターブラーシェーカーミキサ(株式会社ダルトン製、T2F)を用いて混合することにより、リチウム混合物を得た。
雰囲気焼成炉(株式会社シリコニット製、BM−50100M)を用いて、得られたリチウム混合物を、酸素90%以上の雰囲気中、700℃で、20時間焼成した後、室温まで冷却し、リチウムマンガンニッケル複合酸化物粒子を得た。
このようにして得られたリチウムマンガンニッケル複合酸化物に対して、以下の評価を行った。
ICP発光分光分析器(VARIAN社製、725ES)を用いた分析により、この正極活物質は、Li、Mn、Niのモル比が、Li:Mn:Ni=1.00:1.50:0.50で表されるものであることを確認した。
このリチウムマンガンニッケル複合酸化物粒子を、FIB(日立ハイテクノロジー社製、FB−2000A)を用いて100nm以下に薄膜化し、粒子断面のTEM(日本電子社製、JEM−ARM200F)で観察し、全表面から50nm以上離れた深さのポイントを、「EELS(Gatan社製GIF−Quantum ER)でEELSの測定を行い、図1に示すEELSスペクトルを得た。
試料に含まれるマンガンの平均価数を評価したところ、Mn−L3、及びMn−L2端に帰属するピークの位置は、図1の横軸のエネルギー損失値において、それぞれ646eV、657eVであった。
その測定結果を表1に示す。
このリチウムマンガンニッケル複合酸化物粒子のBET比表面積を、全自動BET比表面積測定装置(株式会社マウンテック製、マックソーブ)を用いて測定した。その結果から1.08m2/gであることを確認した。この結果を表1に示す。
また、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラックHRA)を用いて体積基準平均粒径を求めたところ、5.55μmであることを確認した。その測定結果を表1に示す。
得られた正極活物質の評価には、図2に示す2032型コイン電池1(以下、「コイン型電池」という)を使用した。
コイン型電池1は、ケース2と、ケース2内に収容された電極3とから構成されている。
ケース2は、中空かつ一端が開口された正極缶2aと、この正極缶2aの開口部に配置される負極缶2bとを有しており、負極缶2bを正極缶2aの開口部に配置すると、負極缶2bと正極缶2aとの間に電極3を収容する空間が形成されるように構成されている。
また、ガスケット2cは、正極缶2aと負極缶2bとの隙間を密封してケース2内と外部との間を気密液密に遮断する機能も有している。
初めに、得られた正極活物質52.5mgと、アセチレンブラック15mgと、ポリテトラフッ化エチレン樹脂(PTFE)7.5mgとを混合し、直径10mmで10mg程度の重量になるまで薄膜化して、正極3aを作製し、これを真空乾燥機中120℃で12時間乾燥した。
次に、正極3aを用いて、コイン型電池1を、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス内で作製した。この際、負極3bには、直径14mmの円盤状に打ち抜かれたリチウム箔、または平均粒径20μm程度の黒鉛粉末とポリフッ化ビニリデンが銅箔に塗布された負極シートを用いた。
また、セパレータ3cには、膜厚25μmのポリエチレン多孔膜を、電解液には、1MのLiPF6を支持電解質とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の3:7混合液(富山薬品工業株式会社製)を用いた。
コイン型電池1の性能を示す初期放電容量および正極抵抗は、以下のように評価した。
初期放電容量は、負極にリチウム箔を用いたコイン型電池1を製作してから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cm2としてカットオフ電圧5.0Vまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧3.0Vまで放電したときの容量(初期放電容量)を測定することにより評価した。測定結果は141mAh/gであった。
この結果を表2に示す。
各種評価結果を表1、表2に示す。
各種評価結果を表1、表2に示す。
各種評価結果を表1、表2に示す。
各種評価結果を表1、表2に示す。
各種評価結果を表1、表2に示す。
リチウム合成工程での焼成雰囲気を空気とした以外には実施例1と同様の作製方法で、リチウムマンガンニッケル複合酸化物粒子を得た。
各種評価結果を表1、表2に示す。
2 ケース
2a 正極缶
2b 負極缶
2c ガスケット
3 電極
3a 正極
3b 負極
3c セパレータ
Claims (3)
- リチウム(Li)と、マンガン(Mn)と、ニッケル(Ni)と、
マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)の群から選択される少なくとも1種の元素Mを含む非水系電解液二次電池用正極活物質であって、
前記各々の元素のモル比(Li:Mn:Ni:M)が、Li:Mn:Ni:M=t:2−x−y:x:y(ただし、0.96≦t≦1.25、0.40≦x≦0.60、0≦y≦0.20)であるスピネル型酸化物であり、
透過電子顕微鏡(TEM)に付属した電子エネルギー損失分光(EELS)測定装置によって、前記酸化物の表面から50nm以上内部の部位において得られるスペクトルにおいて、
Mn−L3端に帰属するスペクトルピークのエネルギー損失値が643eV以上、且つ、
Mn−L2端に帰属するスペクトルピークのエネルギー損失値が654eV以上に検出される
ことを特徴とした非水系電解液二次電池用正極活物質。 - 前記非水系電解液二次電池用正極活物質の比表面積が、0.30〜1.50m2/gであることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解液二次電池用正極活物質。
- 前記非水系電解液二次電池用正極活物質を用いた正極と、負極と、セパレータと、非水系電解液とを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の非水系電解液二次電池。
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