JP2016155767A - フォトクロミック光輝性顔料を含む化粧料 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、高いフォトクロミック性を有していながらも、従来の光輝性顔料を含む化粧料と、実質的に変わらない色彩を与える化粧料を与える。【解決手段】フォトクロミック光輝性顔料及びバインダーを含有する化粧料であって、前記フォトクロミック光輝性顔料が、雲母及び前記雲母を被覆している酸化チタン含有層を含む雲母チタンと、前記雲母の表面及び/又は前記酸化チタン含有層の内部若しくは表面に担持されているフォトクロミック性賦活剤とを含み、前記フォトクロミック性賦活剤の平均粒径が0.7μm未満である、化粧料。【選択図】なし
Description
本発明は、フォトクロミック性を有する光輝性顔料を含む化粧料に関する。より詳しくは、本発明は、調色が容易であり、かつ光応答速度が速い、フォトクロミック性を有する光輝性顔料を含む化粧料に関する。
光輝性顔料、いわゆるパール顔料は、真珠光沢を人工的に発現させた顔料である。このような顔料は、見る方向によって明度に差が出るフリップフロップ効果(光輝性)を有しており、それがパール光沢を与えている。通常は鱗片状の雲母に酸化チタン等をコーティングした顔料(雲母チタン顔料)が用いられており、屈折率の高い酸化チタン等の層と、屈折率の低い雲母及び周りの媒体との境界で反射した光が光輝性をもたらしている。
光輝性顔料は、ファンデーション、アイメイク等の化粧料に幅広く用いられている。例えば、光輝性顔料をファンデーションに用いることで、顔の正面部分は比較的明るく見え、顔の側面部分は比較的暗く見えるため、顔に立体感を出すことができる。
さらに、通常の化粧料用の光輝性顔料は赤い光を透過させるため、肌に塗った後に、肌に赤い光が達する。そのため、通常の化粧料用の光輝性顔料では、肌のシミ、ソバカス等が目立ちにくいという効果も有している。
しかし、光輝性顔料を含む化粧料は、化粧時の空間より明るい空間に移動した際に、肌が白くなりすぎる、いわゆる「白浮き」を発生させることがある。それに対して、特許文献1に記載の発明では、このような光輝性顔料に、フォトクロミック性を付与することによって、光強度に応じた色相及び明度を与えている。
特許文献1では、光輝性とフォトクロミック性とを同時に付与するために、通常の光輝性顔料である雲母チタン顔料に、酸化鉄を加えて焼成することでフォトクロミック性を有する光輝性顔料を得ている。そして、酸化鉄を含むフォトクロミック光輝性顔料は、物体色としては光強度の弱いところでは酸化鉄由来の黄燈色を呈するとしている。
しかし、このように光輝性顔料が着色されていると、化粧料に添加できる顔料の総量には上限があるため、他の顔料を配合して調色する際に、望みの色を得ることが困難になることがある。
また、特許文献1の光輝性顔料は黄燈色〜赤の光を反射して、肌にこれらの光を到達させないために、通常の化粧料用の光輝性顔料では目立ちにくかった肌のシミ、ソバカス等が、比較的目立ちやすくなるという課題もあった。
そこで、本発明は、高いフォトクロミック性を有していながらも、従来の光輝性顔料を含む化粧料と、実質的に変わらない色彩を与える化粧料を与えることを目的とする。
本発明者らは、以下の手段により、上記課題を解決できることを見出した。
《態様1》
フォトクロミック光輝性顔料及びバインダーを含有する化粧料であって、
前記フォトクロミック光輝性顔料が、雲母及び前記雲母を被覆している酸化チタン含有層を含む雲母チタンと、前記雲母の表面及び/又は前記酸化チタン含有層の内部若しくは表面に担持されているフォトクロミック性賦活剤とを含み、
前記フォトクロミック性賦活剤の平均粒径が0.7μm未満である、化粧料。
《態様2》
前記フォトクロミック性賦活剤の平均粒径が0.2μm以下である、態様1に記載の化粧料。
《態様3》
前記フォトクロミック性賦活剤が酸化鉄である、態様2に記載の化粧料。
《態様4》
前記酸化鉄が、前記フォトクロミック性光輝性顔料中に、10重量%以下で含まれる、態様3に記載の化粧料。
《態様5》
前記顔料が、50重量%の前記顔料及び50重量%の乾燥ニトロセルロースラッカーを含む、黒地上の厚さ10μmの塗膜を、室温で暗所に12時間置いた後の、400nm〜500nmの間の平均反射率が50%以上であり、かつ600nm〜650nmの間の平均反射率が45%以下である、態様4に記載の化粧料。
《態様6》
前記顔料が、50重量%の前記顔料及び50重量%の乾燥クリアラッカーを含む、ケント紙上の厚さ10μmの塗膜を、暗所に12時間置いて測定したE値と、暗所に12時間置いた後に取り出して強度5mW/cm2で波長365nmの紫外線を至近距離から10秒間照射した後のE値との差であるΔEが、15以上を示す、態様1〜5のいずれか一項に記載の化粧料。
《態様7》
ファンデーション、おしろい、口紅、眉目頬化粧料、まつげ化粧料、頬紅、爪化粧品、又はボディパウダーである、態様1〜6のいずれか一項に記載の化粧料。
《態様1》
フォトクロミック光輝性顔料及びバインダーを含有する化粧料であって、
前記フォトクロミック光輝性顔料が、雲母及び前記雲母を被覆している酸化チタン含有層を含む雲母チタンと、前記雲母の表面及び/又は前記酸化チタン含有層の内部若しくは表面に担持されているフォトクロミック性賦活剤とを含み、
前記フォトクロミック性賦活剤の平均粒径が0.7μm未満である、化粧料。
《態様2》
前記フォトクロミック性賦活剤の平均粒径が0.2μm以下である、態様1に記載の化粧料。
《態様3》
前記フォトクロミック性賦活剤が酸化鉄である、態様2に記載の化粧料。
《態様4》
前記酸化鉄が、前記フォトクロミック性光輝性顔料中に、10重量%以下で含まれる、態様3に記載の化粧料。
《態様5》
前記顔料が、50重量%の前記顔料及び50重量%の乾燥ニトロセルロースラッカーを含む、黒地上の厚さ10μmの塗膜を、室温で暗所に12時間置いた後の、400nm〜500nmの間の平均反射率が50%以上であり、かつ600nm〜650nmの間の平均反射率が45%以下である、態様4に記載の化粧料。
《態様6》
前記顔料が、50重量%の前記顔料及び50重量%の乾燥クリアラッカーを含む、ケント紙上の厚さ10μmの塗膜を、暗所に12時間置いて測定したE値と、暗所に12時間置いた後に取り出して強度5mW/cm2で波長365nmの紫外線を至近距離から10秒間照射した後のE値との差であるΔEが、15以上を示す、態様1〜5のいずれか一項に記載の化粧料。
《態様7》
ファンデーション、おしろい、口紅、眉目頬化粧料、まつげ化粧料、頬紅、爪化粧品、又はボディパウダーである、態様1〜6のいずれか一項に記載の化粧料。
本発明の化粧料によれば、従来の光輝性顔料を含む化粧料と同様にして調色することができる。
また、本発明の化粧料によれば、従来の光輝性顔料を含む化粧料と同様に、シミ、ソバカス等を目立たなくすることができる。
さらに、本発明者らは、本発明の化粧料が、予想外にも高い光応答速度及び高いフォトクロミック効果を有することを発見した。すなわち、本発明の化粧料によれば、明るさの異なる空間に移動した際に、比較的早く変色し、かつ変色の度合いも大きいため、非常に有用である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
≪フォトクロミック光輝性顔料を含む化粧料≫
本発明の化粧料は、フォトクロミック光輝性顔料及びバインダーを含む。この化粧料は、例えばメイクアップ化粧料であってよく、具体的にはファンデーション(固形ファンデーション、クリーム状ファンデーション、液状ファンデーション)、おしろい、口紅(口紅、リップクリーム、練紅、リップグロス)、眉目頬化粧料(アイシャドウ、アイライナー、眉墨)、まつげ化粧料(マスカラ)、頬紅、爪化粧品(ネイルエナメル、リムーバー)、ボディパウダー(タルカムパウダー、ボディパウダー、バスパウダー、パヒュームパウダー)を挙げることができる。
本発明の化粧料は、フォトクロミック光輝性顔料及びバインダーを含む。この化粧料は、例えばメイクアップ化粧料であってよく、具体的にはファンデーション(固形ファンデーション、クリーム状ファンデーション、液状ファンデーション)、おしろい、口紅(口紅、リップクリーム、練紅、リップグロス)、眉目頬化粧料(アイシャドウ、アイライナー、眉墨)、まつげ化粧料(マスカラ)、頬紅、爪化粧品(ネイルエナメル、リムーバー)、ボディパウダー(タルカムパウダー、ボディパウダー、バスパウダー、パヒュームパウダー)を挙げることができる。
本発明の化粧料は、固形状、クリーム状、液状等の様々な形態であってよく、その形態及び用途に応じて、バインダーの成分及び量が選択され、かつ他の成分及び量が選択される。各化粧料に含まれる成分及びその量、並びに各化粧料の製造方法については、公知技術を参照することができる(参考資料:「化粧料分野における公知技術集 2012年版」、日本化粧品工業連合会 特許委員会、平成24年3月16日)。
本発明の化粧料に含まれるフォトクロミック光輝性顔料及びバインダーの他、随意の他の成分について以下に説明する。
<フォトクロミック光輝性顔料>
本発明の化粧料中に含まれるフォトクロミック光輝性顔料は、雲母及び雲母を被覆している酸化チタン含有層を含む雲母チタンと、雲母の表面及び/又は酸化チタン含有層の内部若しくは表面に担持されているフォトクロミック性賦活剤を含む。好ましくは、本発明で用いられるフォトクロミック光輝性顔料は、雲母チタンとフォトクロミック性賦活剤とから本質的になる。本発明で用いられるフォトクロミック光輝性顔料は、例えば、雲母チタンによって光輝性が与えられており、フォトクロミック性は、フォトクロミック性賦活剤によって与えられている。
本発明の化粧料中に含まれるフォトクロミック光輝性顔料は、雲母及び雲母を被覆している酸化チタン含有層を含む雲母チタンと、雲母の表面及び/又は酸化チタン含有層の内部若しくは表面に担持されているフォトクロミック性賦活剤を含む。好ましくは、本発明で用いられるフォトクロミック光輝性顔料は、雲母チタンとフォトクロミック性賦活剤とから本質的になる。本発明で用いられるフォトクロミック光輝性顔料は、例えば、雲母チタンによって光輝性が与えられており、フォトクロミック性は、フォトクロミック性賦活剤によって与えられている。
無機系フォトクロミック顔料は、有機系フォトクロミック顔料と比べて耐候性が高い一方で、光応答速度が低く、光を照射してもゆっくりと色彩が変わり、かつフォトクロミック効果、すなわち色彩の変化も小さい傾向にある。しかし、驚くべきことに、本発明者らは、雲母チタン系の光輝性顔料が、小粒径のフォトクロミック性賦活剤を含むことによって、高い応答速度とフォトクロミック効果とを達成することを見出した。理論に拘束されないが、この原因としては以下の推論をすることができる。すなわち、酸化チタン結晶中に格子欠陥が通常存在し、紫外線〜低波長可視光線の照射によって、この格子欠陥と結晶中にドープされた金属イオンとの間に、酸化還元反応が起こるものと考えられる。例えば、金属イオンとして鉄イオンを用いる場合、着色の機構としては酸化鉄内のFe3+がFe2+へと還元されることで暗色化すると考えられ、このときに酸化鉄の微粒子が細かい方が、表面積が大きくなるために酸化還元反応が起こりやすいものと考えられる。
また、フォトクロミック性賦活剤の粒径が小さい場合には、フォトクロミック性賦活剤の由来の色は強くは現れないことが分かった。例えばフォトクロミック性賦活剤として酸化鉄微粒子を用いた場合、酸化鉄由来の黄燈色は強く現れないことがわかった。
また、本発明の好ましい実施態様で用いる顔料は光輝性が高いため、化粧料に用いる際に、顔に立体感を与えることができて好ましい。
本発明で用いるフォトクロミック光輝性顔料とビニル系クリアラッカー(固形分25重量%)を2:8の重量比で混合し、乾燥膜厚が10μmとなるようにアプリケーターを用いてケント紙(隠ぺい率測定紙、モトフジ)の黒地上に塗工し、それを室温で暗所に12時間置いた後に、分光計(U−4000形分光光度計、株式会社日立ハイテクノロジーズ)で計測した場合、その塗膜部分の400nm〜500nmの間又は400nm〜450nmの間の平均反射率は、好ましくは45%以上、50%以上、55%以上、又は60%以上である。また、600nm〜650nmの間の平均反射率は、好ましくは45%以下、40%以下、又は38%以下である。したがって、本発明で用いるフォトクロミック光輝性顔料は青みが比較的強く、かつ赤みが比較的弱いため、特許第3507230号公報に記載の顔料が、色としては光強度の弱いところでは酸化鉄由来の黄燈色を呈するとしている点で異なっている。
本発明で用いるフォトクロミック光輝性顔料は、高い応答速度とフォトクロミック効果とを示し、実施例に記載の方法で測定した場合に、10秒間のUV照射で、好ましくは3以上、5以上、10以上、15以上、又は20以上のΔEを示す。また、さらに好ましくは5秒間のUV照射で、5以上、10以上又は15以上のΔEを示す。また、同様に、本発明で用いるフォトクロミック光輝性顔料は、10秒間のUV照射で、5以上、8以上、10以上又は14以上のΔLを好ましくは示し、さらに好ましくは5秒間のUV照射で、4以上、6以上又は8以上のΔLを示す。
本発明で用いるフォトクロミック光輝性顔料は、その個数平均粒径が1μm以上、3μm以上、又は5μm以上であってもよく、50μm以下、30μm以下、又は20μm以下であってもよい。ここで、平均粒径は、SEM画像から無作為に100個の粒子を選んで、これらの粒子の外周から求められる等価直径を粒径として測定した値である。ここで、ある粒子の等価直径とは、その粒子の外周長さと等しい外周長さを有する正円の直径をいう。
〈フォトクロミック光輝性顔料−雲母チタン〉
本発明で用いるフォトクロミック光輝性顔料は、雲母と雲母を被覆している酸化チタン含有層とを含む光輝性顔料である。この顔料は、微細な薄片状雲母の表面に二酸化チタン層を形成させた構造であり、真珠光沢及び種々の干渉色を有する。その製法としては、特公昭43−25644号公報に記載のように、チタンの無機塩類(例えば硫酸チタニル)の水溶液を雲母の存在下で加水分解し、雲母表面に含水二酸化チタンを析出させた後、加水分解する方法が挙げられる。この場合、生成した雲母チタン系顔料は、雲母表面上の二酸化チタン被覆層の厚さによって様々な干渉色を呈する。
本発明で用いるフォトクロミック光輝性顔料は、雲母と雲母を被覆している酸化チタン含有層とを含む光輝性顔料である。この顔料は、微細な薄片状雲母の表面に二酸化チタン層を形成させた構造であり、真珠光沢及び種々の干渉色を有する。その製法としては、特公昭43−25644号公報に記載のように、チタンの無機塩類(例えば硫酸チタニル)の水溶液を雲母の存在下で加水分解し、雲母表面に含水二酸化チタンを析出させた後、加水分解する方法が挙げられる。この場合、生成した雲母チタン系顔料は、雲母表面上の二酸化チタン被覆層の厚さによって様々な干渉色を呈する。
雲母チタンの発する干渉色は、雲母上に積層された酸化チタン含有層の厚さにより決定される。すなわち、通常、雲母チタンは酸化チタン含有層表面と、雲母と酸化チタン含有層の境界である雲母表面で反射光が生ずるので、酸化チタン含有層の比率を調整して雲母と酸化チタン含有層とのそれぞれの表面での反射光の光路差を調整することにより、各反射光の間に生ずる干渉作用による干渉光を様々な色に調整することが可能である。
雲母チタン中の酸化チタン含有層の比率は、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、又は45重量%以上であることが好ましく、また70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、又は55重量%以下であることが好ましい。
酸化チタンの結晶構造としては、ルチル構造、ブルカイト構造とアナターゼ構造があるが、比較的安定であり、かつ表面積及び光活性が高いことから、本発明で用いられる雲母チタン中の酸化チタンは、アナターゼ型である事が好ましい。
干渉色を有しているアナターゼ型酸化チタンを含有する光輝性顔料としては、フラメンコゴールド、フラメンコオレンジ、フラメンコレッド、フラメンコバイオレット、フラメンコブルー、フラメンコグリーン、フラメンコスパークルゴールド、フラメンコスパークルレッド、フラメンコスパークルブルー、フラメンコスパークルグリーン(BASF社)等が挙げられる。
本発明で用いるフォトクロミック光輝性顔料は、雲母チタンを、好ましくは80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、又は97重量%以上で含み、好ましくは99.95重量%以下、99.90重量%以下、又は99.70重量%以下で含む。
〈フォトクロミック光輝性顔料−フォトクロミック性賦活剤〉
上記の通り、本発明で用いるフォトクロミック光輝性顔料においては、フォトクロミック性を発現させるために、フォトミック性賦活剤を含有する。
上記の通り、本発明で用いるフォトクロミック光輝性顔料においては、フォトクロミック性を発現させるために、フォトミック性賦活剤を含有する。
フォトクロミック性賦活剤としては、鉄、クロム、銅、ニッケル、マンガン、コバルト、及びモリブデン、並びにこれらの酸化物、窒化物、ハロゲン化物及び塩からなる群より選択される金属又は金属化合物の微粒子が挙げられる。塩としては、硫酸塩、硝酸塩、及び酢酸塩を挙げることができる。この中でも特に、酸化鉄微粒子を用いることが好ましい。
このような微粒子による光の散乱は、レイリー散乱が主体であり、その散乱強度は、粒径の6乗に比例する。したがって、粒径が小さくなると急激に散乱が小さくなり透明性を増し、その微粒子由来の色は現れなくなったものと考えられる。特に、可視光の波長の1/3〜1/4以下の粒径、例えば可視光の中心波長である0.550μmの波長の1/3〜1/4以下(すなわち、0.20μm以下又は0.15μm以下)では、透明性が非常に高くなる。
特許第3507230号公報に記載の顔料は、フォトクロミック性賦活剤の金属を雲母チタン系顔料に加えており、その物体色としては賦活剤の金属の色が現れるとしている。そして、賦活剤として酸化鉄を用いた場合、光強度の弱いところでは酸化鉄由来の黄燈色を呈するとしている。これは、フォトミック性賦活剤の微粒子による光の散乱が強く起きていることを意味しているため、特許第3507230号公報に記載の顔料では、比較的大きな粒径のフォトクロミック性賦活剤が用いられることを意味しており、具体的には平均粒径が0.7μm以上の金属微粒子が用いられていると考えられる。
また、特許第3507230号公報に記載の顔料は、黄燈色〜赤色の光を反射することから、ミー散乱または幾何的散乱が支配的となっていると考えられ、赤色の波長と同等の粒子径である0.7μm以上の賦活剤粒子が用いられていると考えられる。
それに対して、本発明で用いるフォトクロミック光輝性顔料に添加するフォトクロミック性賦活剤の平均粒径は、好ましくは0.7μm未満であり、さらに好ましくは0.69μm以下、0.6μm以下、0.5μm以下、0.4μm以下、0.39μm以下、0.3μm以下、0.2μm以下、0.19μm以下、又は0.15μm以下である。ここで、フォトクロミック性賦活剤の平均粒径とは、一次粒子の個数平均粒径であり、次のようにして求める:まず、SEMでフォトクロミック光輝性顔料表面に析出しているフォトクロミック性賦活剤を探索し;次に、SEM画像から無作為に100個の一次粒子のフォトクロミック性賦活剤を選んで、これらのフォトクロミック性賦活剤の外周から求められる等価直径を粒径として測定する。
フォトクロミック性賦活剤の平均粒径が0.7μmより小さい場合、紫外線に対するフォトクロミック効果の応答速度が速く、フォトクロミック効果による色の変化ΔEも大きくなる。また、フォトクロミック性賦活剤由来の色が薄くなるため、透過光の減少が少なく、フリップフロップ効果についてもほとんど低下しない。これに対して、フォトクロミック性賦活剤の平均粒径が0.7μmより大きい場合、紫外線に対するフォトクロミック効果の応答速度が遅く、フォトクロミック効果による色の変化ΔEも小さい。また、顔料色に対してフォトクロミック性賦活剤由来の色が濃く出て、透明感が低下し、干渉透過光による光輝性顔料のフリップフロップ効果も低下する。
フォトクロミック性賦活剤の量が多すぎると、フォトクロミック効果による色調変化が弱くなるため、本発明で用いる顔料は、フォトクロミック性賦活剤を、好ましくは10重量%以下、又は5重量%以下で含む。また、有効にフォトクロミック効果を発現させるために、本発明で用いる顔料は、フォトクロミック性賦活剤を、好ましくは0.05重量%以上、0.1重量%以上、又は0.3重量%以上で含む。
また、本発明で用いるフォトクロミック光輝性顔料は、粒径が0.7μm未満のフォトクロミック性賦活剤を0.05重量%以上含み、好ましくは0.10重量%以上、0.30重量%以上、0.50重量%以上、0.80重量%以上、1.0重量%以上、1.20重量%以上、1.50重量%以上、又は2.0重量%以上含むことが好ましい。
さらに、本発明で用いるフォトクロミック光輝性顔料は、粒径が0.4μm以下のフォトクロミック性賦活剤を0.05重量%以上、0.10重量%以上、0.30重量%以上、0.50重量%以上、0.80重量%以上、1.0重量%以上、1.20重量%以上、1.50重量%以上、又は2.0重量%以上含むことが好ましい。本発明で用いるフォトクロミック光輝性顔料は、0.2μm以下のフォトクロミック性賦活剤を0.05重量%以上含み、好ましくは0.10重量%以上、0.30重量%以上、0.50重量%以上、0.80重量%以上、1.0重量%以上、1.20重量%以上、1.50重量%以上、又は2.0重量%以上含むことが好ましい。
なお、本発明で用いるフォトクロミック光輝性顔料がフォトクロミック効果及び/又はフリップフロップ効果を著しく損なわない範囲で、他の金属又は金属化合物の粒子を含んでもよく、その平均粒径は0.7μm以上であってもよい。
フォトクロミック性賦活剤としては、具体的には、平均粒径が0.07μmであるIPJ‐226G、平均粒径が0.10μmのIPK‐409G、平均粒径が0.11μmのIPK‐426G、平均粒径が0.07μmのIPJ‐218H、平均粒径が0.08μmのIPF‐249H、平均粒径が0.10μmのIPK‐409H、平均粒径が0.11μmのIPK‐428H(全て戸田工業株式会社)、平均粒径が0.10μmのTRY‐100P(チタン工業株式会社)等の酸化鉄微粒子を挙げることができる。
〈フォトクロミック光輝性顔料−製造方法〉
本発明で用いるフォトクロミック光輝性顔料は、上記の雲母チタン及びフォトクロミック性賦活剤を混合して、そしてその混合物を焼成することによって製造することができる。なお、この混合物には、好ましくは平均粒径が0.7μm未満のフォトクロミック性賦活剤を混合するが、この混合物に含まれるフォトクロミック性賦活剤の全ての粒径が0.7μm未満である必要はない。
本発明で用いるフォトクロミック光輝性顔料は、上記の雲母チタン及びフォトクロミック性賦活剤を混合して、そしてその混合物を焼成することによって製造することができる。なお、この混合物には、好ましくは平均粒径が0.7μm未満のフォトクロミック性賦活剤を混合するが、この混合物に含まれるフォトクロミック性賦活剤の全ての粒径が0.7μm未満である必要はない。
また、焼成は、750℃〜950℃で行う。このような温度範囲の場合、得られる顔料が好適なフォトクロミック性を発現する。理論に拘束されないが、このような温度範囲であれば、フォトクロミック性賦活剤粒子の凝集を防止することができ、また酸化チタンの結晶構造がアナターゼ型からルチル型に変化するのを防止することができるためであると考えられる。
<他の顔料>
本発明の化粧料は、フォトクロミック光輝性顔料の他に、着色顔料、体質顔料及びその他の顔料を含むことができる。フォトクロミック光輝性顔料及びこれらの顔料は、分散性等を向上させるために、シリコーン処理されていてもよい。
本発明の化粧料は、フォトクロミック光輝性顔料の他に、着色顔料、体質顔料及びその他の顔料を含むことができる。フォトクロミック光輝性顔料及びこれらの顔料は、分散性等を向上させるために、シリコーン処理されていてもよい。
着色顔料は、隠ぺい力が大きいため、塗布する基質の色を覆い、色を調整する目的等で配合する。着色顔料としては、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、雲母チタン、酸化クロム、水酸化クロム、オキシ塩化ビスマス、群青、紺青、酸化チタン被覆処理雲母、コチニール被覆処理雲母、カラミン被覆処理雲母、酸化クロム被覆処理雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化クロム、カラミン、タール系色素等を挙げることができる。
体質顔料は、増量、展色性を目的に配合される。体質顔料としては、タルク、マイカ、カオリン、ゼオライト、ベントナイト、セリサイト、無水珪酸(シリカ)、酸化珪素、珪酸マグネシウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、珪酸アルミニウムマグネシウム、炭酸カルシウム、合成珪酸アルミニウム、合成珪酸ナトリウム・マグネシウム等を挙げることができる。
延展性など使用感、化粧崩れの防止など性能改善を目的にその他の粉体を配合することもでき、例えばナイロンパウダー、ポリエチレン末、結晶セルロース、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等を配合できる。
全顔料中、フォトクロミック光輝性顔料は、10〜100重量%、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%で含まれていてよい。
<バインダー>
バインダーは、化粧料の形態及び用途に応じて、種類及びその量が適宜選択される。バインダーの種類としては、例えば水、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセリン、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、プリスタン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、セレシン、カルナウバロウ、ミツロウ、ラノリン、ラノリンアルコール、液状ラノリン、硬質ラノリン、ポリブテン、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール,オクチルドデカノール、セタノール、ステリルアルコール、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、オレイン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリン、トリイソステアリン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、オリーブ油、サフラワー油、アボカド油、マカデミアナッツ油、ホホバ油、小麦胚芽油、茶実油、卵黄油、ミンク油、及びこれらの誘導体等を挙げることができる。
バインダーは、化粧料の形態及び用途に応じて、種類及びその量が適宜選択される。バインダーの種類としては、例えば水、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセリン、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、プリスタン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、セレシン、カルナウバロウ、ミツロウ、ラノリン、ラノリンアルコール、液状ラノリン、硬質ラノリン、ポリブテン、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール,オクチルドデカノール、セタノール、ステリルアルコール、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、オレイン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリン、トリイソステアリン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、オリーブ油、サフラワー油、アボカド油、マカデミアナッツ油、ホホバ油、小麦胚芽油、茶実油、卵黄油、ミンク油、及びこれらの誘導体等を挙げることができる。
<他の成分>
本発明の化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分の他、通常化粧品に配合される、界面活性剤、油分、保湿剤、アルコール類、増粘剤、可塑剤、エモリエント剤、乳化剤、皮膜剤、pH調整剤、防腐剤、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、香料、薬剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
本発明の化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分の他、通常化粧品に配合される、界面活性剤、油分、保湿剤、アルコール類、増粘剤、可塑剤、エモリエント剤、乳化剤、皮膜剤、pH調整剤、防腐剤、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、香料、薬剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
<化粧料の具体例−液状又はクリーム状化粧料>
例えば、本発明の化粧料が、液状又はクリーム状の化粧料、例えば液状又はクリーム状のファンデーションである場合、5〜30重量%(好ましくは、10〜20重量%)の顔料、5〜50重量%(好ましくは、10〜40重量%)の油系バインダー(例えば、スクワラン、ジメチコン等)、及び1.0〜20重量%(好ましくは、5.0〜10重量%)の他の添加剤(例えば、エモリエント剤、乳化剤等)を混合し、加熱して溶解する。そして、15〜80重量%(好ましくは、20〜60重量%)の水系バインダーをさらに混合して、ホモミキサーでこれらを乳化し、冷却することによって、液状又はクリーム状のファンデーションを得ることができる。
例えば、本発明の化粧料が、液状又はクリーム状の化粧料、例えば液状又はクリーム状のファンデーションである場合、5〜30重量%(好ましくは、10〜20重量%)の顔料、5〜50重量%(好ましくは、10〜40重量%)の油系バインダー(例えば、スクワラン、ジメチコン等)、及び1.0〜20重量%(好ましくは、5.0〜10重量%)の他の添加剤(例えば、エモリエント剤、乳化剤等)を混合し、加熱して溶解する。そして、15〜80重量%(好ましくは、20〜60重量%)の水系バインダーをさらに混合して、ホモミキサーでこれらを乳化し、冷却することによって、液状又はクリーム状のファンデーションを得ることができる。
<化粧料の具体例−固形状の化粧料>
例えば、本発明の化粧料が、固形状の化粧料、例えば固形状ファンデーション、アイシャドウ等である場合、50〜98重量%(好ましくは、85〜95重量%)の顔料、2〜40重量%(好ましくは、10〜40重量%)の油系バインダー(例えば、スクワラン、ジメチコン等)、及び0〜10重量%(好ましくは、1.0〜5.0重量%)の他の添加剤(例えば、エモリエント剤等)を混合する。この混合物を容器に圧縮成型することにより固形状の化粧料が得られる。
例えば、本発明の化粧料が、固形状の化粧料、例えば固形状ファンデーション、アイシャドウ等である場合、50〜98重量%(好ましくは、85〜95重量%)の顔料、2〜40重量%(好ましくは、10〜40重量%)の油系バインダー(例えば、スクワラン、ジメチコン等)、及び0〜10重量%(好ましくは、1.0〜5.0重量%)の他の添加剤(例えば、エモリエント剤等)を混合する。この混合物を容器に圧縮成型することにより固形状の化粧料が得られる。
また、本発明の化粧料が、リップグロス等である場合、油系バインダー及び他の添加剤(例えば、乳化剤、エモリエント剤等)を混合して加熱し、溶解する。この溶解混合物80〜99重量%(好ましくは、90〜97重量%)のに、1〜20重量%(好ましくは、3〜10重量%)の顔料を分散させて、これを冷却し、固形状の化粧料を得る。
本発明を以下の実施例でさらに具体的に説明をするが、これによって限定されるものではない。
実験1:フォトクロミック性及び色彩の評価
<各顔料の製造例>
実施例1:
青色干渉色のある光輝性顔料(雲母チタン)Flamenco(商標)Blue 620C(雲母/アナターゼ型酸化チタン=45/55wt%)(BASF社)98.0gと、酸化鉄微粒子IPJ−226G(平均粒径0.07μm)(戸田工業株式会社)2.0gとを攪拌混合した後、電気炉を用いて850℃で2時間焼成し、実施例1の顔料を得た。
<各顔料の製造例>
実施例1:
青色干渉色のある光輝性顔料(雲母チタン)Flamenco(商標)Blue 620C(雲母/アナターゼ型酸化チタン=45/55wt%)(BASF社)98.0gと、酸化鉄微粒子IPJ−226G(平均粒径0.07μm)(戸田工業株式会社)2.0gとを攪拌混合した後、電気炉を用いて850℃で2時間焼成し、実施例1の顔料を得た。
実施例2:
実施例1での酸化鉄微粒子を、IPF‐409H(平均粒径0.10μm)(戸田工業株式会社)に変えて、実施例2の顔料を得た。
実施例1での酸化鉄微粒子を、IPF‐409H(平均粒径0.10μm)(戸田工業株式会社)に変えて、実施例2の顔料を得た。
実施例3:
実施例1での酸化鉄微粒子を、IPK‐426G(平均粒径0.11μm)(戸田工業株式会社)に変えて、実施例3の顔料を得た。
実施例1での酸化鉄微粒子を、IPK‐426G(平均粒径0.11μm)(戸田工業株式会社)に変えて、実施例3の顔料を得た。
比較例1:
実施例1での酸化鉄微粒子を、LL−100P(平均粒径0.7μm)(チタン工業社株式会社)に変えて、比較例1の顔料を得た。
実施例1での酸化鉄微粒子を、LL−100P(平均粒径0.7μm)(チタン工業社株式会社)に変えて、比較例1の顔料を得た。
比較例2:
実施例1での酸化鉄微粒子を、TAROX LEMON(平均粒径0.9μm)(チタン工業社株式会社)に変えて、比較例2の顔料を得た。
実施例1での酸化鉄微粒子を、TAROX LEMON(平均粒径0.9μm)(チタン工業社株式会社)に変えて、比較例2の顔料を得た。
比較例3:
実施例1での酸化鉄微粒子を、平均粒径1.5μmの酸化鉄微粒子(株式会社高純度化学研究所)に変えて、比較例3の顔料を得た。
実施例1での酸化鉄微粒子を、平均粒径1.5μmの酸化鉄微粒子(株式会社高純度化学研究所)に変えて、比較例3の顔料を得た。
参考例1:
酸化鉄微粒子を含まない実施例1で用いた雲母チタンのみを、参考例1の顔料として使用した。
酸化鉄微粒子を含まない実施例1で用いた雲母チタンのみを、参考例1の顔料として使用した。
<フォトクロミック効果の評価方法>
実施例1〜3、比較例1〜3及び参考例1の各顔料2gとクリアラッカービニクラーCH(固形分25重量%、藤倉応用化工株式会社)8gとをそれぞれ混合し、乾燥膜厚が10μmとなるようにアプリケーターIMC−702D型(株式会社井元製作所)を用いてケント紙(隠ぺい率測定紙、モトフジ)に塗膜した。これを、室温で乾燥させた後、暗所に12時間置いて、各サンプルを得た。暗所から取り出してすぐに分光測色計Spectroeye(GretagMacbeth)を用いて、各サンプルのLab値を測定し、紫外線照射前のE値を得た。そして、同様に暗所から取り出した別の各サンプルに、強度5mW/cm2の紫外線を至近距離から0〜90秒間照射し、分光測色計Spectroeye(GretagMacbeth)を用いて、各サンプルのLab値を測定し、各照射時間でのE値を得た。紫外線照射前の各サンプルのE値を基準のE値とし、紫外線照射後のE値との差をΔEとした。なお、光源として、波長365nmの紫外線ランプUVGL−25(フナコシ株式会社)を用いて、その強度を測定するのに、紫外線強度計YK−35UV(LUTRON ELECTRONIC ENTERPRISE)を用いた。
実施例1〜3、比較例1〜3及び参考例1の各顔料2gとクリアラッカービニクラーCH(固形分25重量%、藤倉応用化工株式会社)8gとをそれぞれ混合し、乾燥膜厚が10μmとなるようにアプリケーターIMC−702D型(株式会社井元製作所)を用いてケント紙(隠ぺい率測定紙、モトフジ)に塗膜した。これを、室温で乾燥させた後、暗所に12時間置いて、各サンプルを得た。暗所から取り出してすぐに分光測色計Spectroeye(GretagMacbeth)を用いて、各サンプルのLab値を測定し、紫外線照射前のE値を得た。そして、同様に暗所から取り出した別の各サンプルに、強度5mW/cm2の紫外線を至近距離から0〜90秒間照射し、分光測色計Spectroeye(GretagMacbeth)を用いて、各サンプルのLab値を測定し、各照射時間でのE値を得た。紫外線照射前の各サンプルのE値を基準のE値とし、紫外線照射後のE値との差をΔEとした。なお、光源として、波長365nmの紫外線ランプUVGL−25(フナコシ株式会社)を用いて、その強度を測定するのに、紫外線強度計YK−35UV(LUTRON ELECTRONIC ENTERPRISE)を用いた。
<フォトクロミック効果の測定結果>
実施例1〜3、比較例1〜3及び参考例1の顔料の紫外線照射90秒後の測定値を表1に示す。また、紫外線照射時間に対するΔEの推移を図1、紫外線照射時間に対するΔLの推移を図1に示す。
実施例1〜3、比較例1〜3及び参考例1の顔料の紫外線照射90秒後の測定値を表1に示す。また、紫外線照射時間に対するΔEの推移を図1、紫外線照射時間に対するΔLの推移を図1に示す。
実施例1〜3は、比較例1〜2に比べて、紫外線を照射した際にフォトクロミック効果ΔEは向上した。さらに図1から、応答速度に注目した場合、例えばΔEが15となるために必要な紫外線照射時間は、酸化鉄微粒子の粒径により大きく異なることが分かった。光(紫外線)応答速度が高いことで、化粧料を使用した部分の色が周囲の明るさに応じてすぐに変化するため、本発明の化粧料で用いる顔料が、その用途において好適であることがわかる。
<外観(光輝性)の評価方法>
参考例1(酸化鉄微粒子なし)、実施例1(酸化鉄の平均粒径0.07μm)、比較例1(酸化鉄の平均粒径0.7μm)、及び比較例3(酸化鉄の平均粒径1.5μm)の各顔料について、以下の方法にて400nm〜700nmの間の反射率を測定することで、どのような光輝性を有するか評価を行った。
参考例1(酸化鉄微粒子なし)、実施例1(酸化鉄の平均粒径0.07μm)、比較例1(酸化鉄の平均粒径0.7μm)、及び比較例3(酸化鉄の平均粒径1.5μm)の各顔料について、以下の方法にて400nm〜700nmの間の反射率を測定することで、どのような光輝性を有するか評価を行った。
実施例1〜3及び比較例1〜2の各顔料2gとクリアラッカービニクラーCH(藤倉応用化工株式会社)8gとをそれぞれ混合し、乾燥膜厚が10μmとなるようにアプリケーターを用いてケント紙(隠ぺい率測定紙、モトフジ)に塗工した。それを室温で暗所に12時間置いた後に、分光計(U−4000形分光光度計、株式会社日立ハイテクノロジーズ)を用いて測定した。
<外観(光輝性)の評価結果>
参考例1(酸化鉄微粒子なし)、実施例1(酸化鉄の平均粒径0.07μm)、比較例1(酸化鉄の平均粒径0.7μm)、及び比較例3の各顔料について、白地に印刷して測定した400nm〜700nmの間の反射率の結果を図3に示す。また、同様にケント紙の黒地部分に塗工して測定した場合の結果を図4に示す。なお、これらの全ての例で、光輝性自体は存在していた。
参考例1(酸化鉄微粒子なし)、実施例1(酸化鉄の平均粒径0.07μm)、比較例1(酸化鉄の平均粒径0.7μm)、及び比較例3の各顔料について、白地に印刷して測定した400nm〜700nmの間の反射率の結果を図3に示す。また、同様にケント紙の黒地部分に塗工して測定した場合の結果を図4に示す。なお、これらの全ての例で、光輝性自体は存在していた。
これらの結果から明らかなように、酸化鉄微粒子の平均粒径が大きいほど、400nm〜500nmでの反射率が低くなっている。また、図4において、実施例1と参考例1では、400nm〜500nmでの平均反射率50%以上又は55%を超えている。さらに、実施例1と参考例1では、600nm〜650nmでの平均反射率45%以下又は40%以下である。これは、実際に試験体を目視すると、平均粒径が大きいほど赤みが強い光輝性を有していた。
また、平均粒径が小さいほど、酸化鉄微粒子を含まない雲母チタンと同等の反射率を示していた。さらに、実施例1の顔料と参考例1の顔料とでは、反射率の波形が非常に類似している。このような顔料は、外観上で見分けが付かないため、本発明で用いる顔料とその顔料を製造する際に用いた雲母チタン顔料とすぐに置き換えて使用することが可能である。
実験2:色味の追加評価
<サンプルの作成>
賦活剤として1重量%の酸化鉄微粒子IPJ−226G(平均粒径:0.07μm)又は1重量%の酸化鉄微粒子LL−100P(平均粒径:0.7μm)を、青色干渉色のある光輝性顔料(雲母チタン)Flamenco(商標)Blue 620C(雲母/アナターゼ型酸化チタン=45/55wt%)(BASF社)99重量%に混合し、900℃で焼成し、フォトクロミック光輝性顔料を得た。
<サンプルの作成>
賦活剤として1重量%の酸化鉄微粒子IPJ−226G(平均粒径:0.07μm)又は1重量%の酸化鉄微粒子LL−100P(平均粒径:0.7μm)を、青色干渉色のある光輝性顔料(雲母チタン)Flamenco(商標)Blue 620C(雲母/アナターゼ型酸化チタン=45/55wt%)(BASF社)99重量%に混合し、900℃で焼成し、フォトクロミック光輝性顔料を得た。
これらのフォトクロミック光輝性顔料2gとニトロセルロースラッカー(固形分30重量%)8gとを混合し、白色ケント紙に乾燥膜厚が10μmとなるようにアプリケーターで塗布した。これらを、室温で乾燥させた後、暗所に12時間置いて、塗布膜の色調を測色計CM−512m3A(コニカミノルタ)を用いて各サンプルのLab値を測定した。なお、ここでは試料に対して白色光の入射角度25°を用いた。
図5に、各サンプルのa*とb*とのプロットを示す。原点が無彩色(白又は黒色)であり、原点からの距離が色調を示している。原料の雲母チタンがわずかな青色を示していた。平均粒径0.07μmの賦活剤を用いたサンプルは、僅かに燈色を示しているが、原点に近く無彩色に近い。一方で、平均粒径0.7μmの賦活剤を用いたサンプルは、赤味が強く酸化鉄の外観色が強く出ていた。
Claims (7)
- フォトクロミック光輝性顔料及びバインダーを含有する化粧料であって、
前記フォトクロミック光輝性顔料が、雲母及び前記雲母を被覆している酸化チタン含有層を含む雲母チタンと、前記雲母の表面及び/又は前記酸化チタン含有層の内部若しくは表面に担持されているフォトクロミック性賦活剤とを含み、
前記フォトクロミック性賦活剤の平均粒径が0.7μm未満である、化粧料。 - 前記フォトクロミック性賦活剤の平均粒径が0.2μm以下である、請求項1に記載の化粧料。
- 前記フォトクロミック性賦活剤が酸化鉄である、請求項2に記載の化粧料。
- 前記酸化鉄が、前記フォトクロミック性光輝性顔料中に、10重量%以下で含まれる、請求項3に記載の化粧料。
- 前記顔料が、50重量%の前記顔料及び50重量%の乾燥ビニル系クリアラッカーを含む、黒地上の厚さ10μmの塗膜を、室温で暗所に12時間置いた後の、400nm〜500nmの間の平均反射率が50%以上であり、かつ600nm〜650nmの間の平均反射率が45%以下である、請求項4に記載の化粧料。
- 前記顔料が、50重量%の前記顔料及び50重量%の乾燥ビニル系クリアラッカーを含む、ケント紙上の厚さ10μmの塗膜を、暗所に12時間置いて測定したE値と、暗所に12時間置いた後に取り出して強度5mW/cm2で波長365nmの紫外線を至近距離から10秒間照射した後のE値との差であるΔEが、15以上を示す、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化粧料。
- ファンデーション、おしろい、口紅、眉目頬化粧料、まつげ化粧料、頬紅、爪化粧品、又はボディパウダーである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化粧料。
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JP2015033421A JP2016155767A (ja) | 2015-02-23 | 2015-02-23 | フォトクロミック光輝性顔料を含む化粧料 |
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