JP2016155287A - フィルム一体型樹脂ガラスの製造方法 - Google Patents

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信孝 本間
毅彦 中島
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毅彦 中島
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Kazuhiro Kato
和広 加藤
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【課題】低明度印刷部と透明の一般部とを有する平板フィルムを賦形処理して所定形状のフィルムを加工し、加工された所定形状のフィルムに対して透明樹脂を射出成形してフィルム一体型樹脂ガラスを製造する方法において、低明度印刷部と透明な一般部の間の加熱速度の相違に起因したフィルムに生じ得る温度分布を解消することのできる、フィルム一体型樹脂ガラスの製造方法を提供する。
【解決手段】低明度印刷部2と透明の一般部1とを有する平板フィルム10を加熱し、軟化させた後、成形型20に軟化した平板フィルム10を収容し、賦形処理して所定形状のフィルム10’を加工し、加工された所定形状のフィルム10’に対して透明樹脂を射出成形してフィルム一体型樹脂ガラス100を製造する製造方法において、透明の一般部1に熱線吸収剤を含ませておく。
【選択図】図1

Description

本発明は低明度印刷部と透明の一般部とを有する平板フィルムを賦形処理して所定形状のフィルムを加工し、加工された所定形状のフィルムに対して透明樹脂を射出成形してフィルム一体型樹脂ガラスを製造する、フィルム一体型樹脂ガラスの製造方法に関するものである。
車両のリアガラスなどの窓ガラスは車室内側にあるピラー等の車両構成部材が外部から視認されるのを抑止するために、ガラスの周囲に黒色の枠で塗装しているのが一般的である。
たとえば、従来のフィルム一体型樹脂ガラスでは、工程短縮の観点からフィルムに黒色枠を予め印刷しておき、一体成形する方法で所望形状のフィルムを製造している。
ここで、車両用窓ガラスが平面であることは稀で、一般には三次元形状を呈することから、透明樹脂の射出成形前にフィルムを製品形状に賦形しておくのが好ましい。
フィルムの事前賦形方法としては、プレス成形による方法、真空成形による方法など、多様な方法が存在するが、いずれの方法にせよ、フィルムを事前に加熱し、軟化させた状態で賦形処理がおこなわれている。
フィルムの加熱・軟化後はその硬化が開始されないうちに速やかに成形型内に収容し、プレス成形等の賦形処理をおこなうべきであることより、フィルムの加熱は成形型収容位置の近傍にておこなわれるのがよい。
たとえば、黒枠、電極等が印刷された箇所(低明度印刷部)を備え、中央には透明な一般部を有する平面フィルムを成形型の近傍にセットし、赤外線ヒータ等でフィルムの軟化温度まで加熱した後、軟化したフィルムを成形型に収容し、賦形処理するに際し、フィルム周囲にある黒枠は中央の透明な一般部に比して早期に加熱されてしまう。その結果、フィルムの温度に分布が生じ、所望形状に賦形処理するのが極めて困難であるといった課題がある。
ここで、特許文献1には、電極を設けた樹脂フィルムに透明樹脂を射出成形することでフィルムと基材を一体化する、窓用樹脂製板状体の製造方法が開示されている。特許文献1に開示される製造方法によれば、内部に封入された給電部に耐久性を確保しつつ容易に給電できるとしているが、この製造方法によっても、上記する課題、すなわち、フィルムを加熱軟化させて賦形処理する際に、低明度印刷部と透明な一般部の間の加熱速度の相違に起因してフィルムに温度分布が生じ、所望形状に賦形処理するのが困難であるといった課題を解消することはできない。
特開2014−116298号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、低明度印刷部と透明の一般部とを有する平板フィルムを賦形処理して所定形状のフィルムを加工し、加工された所定形状のフィルムに対して透明樹脂を射出成形してフィルム一体型樹脂ガラスを製造する方法において、低明度印刷部と透明な一般部の間の加熱速度の相違に起因したフィルムに生じ得る温度分布を解消することのできる、フィルム一体型樹脂ガラスの製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明によるフィルム一体型樹脂ガラスの製造方法は、低明度印刷部と透明の一般部とを有する平板フィルムを加熱し、軟化させた後、成形型に軟化した平板フィルムを収容し、賦形処理して所定形状のフィルムを加工し、加工された所定形状のフィルムに対して透明樹脂を射出成形してフィルム一体型樹脂ガラスを製造する製造方法において、前記透明の一般部に熱線吸収剤を含ませておくものである。
本発明のフィルム一体型樹脂ガラスの製造方法は、低明度印刷部と透明の一般部とを有する平板フィルム(平板状の機能性フィルム)を加熱し、軟化させて成形型内にて賦形処理するに際し、透明の一般部に熱線吸収剤を予め含ませておくことにより、加熱時における低明度印刷部と透明の一般部を同程度に熱吸収させることができ、もって双方の温度差を少なくすることができ、容易かつ精度よく所定形状のフィルムに賦形処理することを可能としたものである。
低明度印刷部は、黒色の印刷部や熱線(デフォッガー)の電極が印刷された印刷部である。
熱線吸収剤には多様な素材が適用できるが、外観意匠性の観点から若干の着色は認められてもフィルムの透明性を維持できるものが好ましく、このような熱線吸収剤として、近赤外線吸収色素である、インモニウム塩系化合物やジインモニウム塩系化合物、ポリメチレン系色素、ジルコニア系化合物等を挙げることができる。
本発明の製造方法における平板フィルムの賦形処理は、成形型を使用したプレス成形による方法、真空成形による方法などによっておこなわれる。
上記製造方法により、透明樹脂ガラスと、該透明樹脂ガラスに一体成形された機能性フィルムからなる車両窓用樹脂ガラスが製造されるが、この車両窓用樹脂ガラスは、周縁の低明度印刷部と中央の透明の一般部とからなる機能性フィルムを備えており、透明の一般部には熱線吸収剤が含まれているフィルム一体型樹脂ガラスである。
以上の説明から理解できるように、本発明のフィルム一体型樹脂ガラスの製造方法によれば、低明度印刷部と透明の一般部とを有する平板フィルムを加熱し、軟化させて成形型内にて賦形処理するに際し、透明の一般部に熱線吸収剤を予め含ませておくことにより、加熱時における低明度印刷部と透明の一般部を同程度に熱吸収させることができ、双方の間の加熱速度の相違を抑制でき、もってフィルムに生じ得る温度分布を解消しながら、容易かつ精度よく所定形状のフィルムに賦形処理し、この所定形状のフィルムを備えたフィルム一体型樹脂ガラスを製造することができる。
本発明の製造方法で使用する平板フィルムの斜視図である。 本発明の製造方法を説明した模式図であって、平板フィルムを加熱し、軟化させている状態を説明した図である。 図2に続いて、成形型で平板フィルムを賦形処理している状態を説明した模式図である。 賦形処理して製作された所定形状のフィルムを示した斜視図である。 本発明の製造方法で製造されたフィルム一体型樹脂ガラスを示した斜視図である。
以下、図面を参照して本発明のフィルム一体型樹脂ガラスの製造方法の実施の形態を説明する。
(フィルム一体型樹脂ガラスの製造方法の実施の形態)
図1は本発明の製造方法で使用する平板フィルムの斜視図であり、図2は本発明の製造方法を説明した模式図であって、平板フィルムを加熱し、軟化させている状態を説明した図であり、図3は図2に続いて、成形型で平板フィルムを賦形処理している状態を説明した模式図である。
図1で示す平板フィルム10は、中央にある透明の一般部1と、周縁にある枠状の低明度印刷部2とから構成されている。
ここで、低明度印刷部2は、黒色の印刷部、もしくは熱線(デフォッガー)の電極が印刷された印刷部である。
一方、透明の一般部1は、ポリカーボネート(PC)やウレタン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリルなどから製作されており、上記電極間を導通する熱線(デフォッガー)が印刷されている。
平板フィルム10の構造としては、単層形態のほかにも、表面の耐傷付性を保証するべく、高硬度のフィルム層が積層された形態などであってもよい。さらには、射出成形される透明樹脂との密着性を良好ならしめるべく、接着層を表面に備えた形態であってもよい。
平板フィルム10は、後述するように加熱軟化され、所定形状のフィルムに加工されるが、平板フィルム10の有する透明の一般部1と低明度印刷部2の間の熱吸収性に大きな乖離があることに起因して、所定形状のフィルム加工が困難となっている。
そこで、本発明の製造方法では、使用する透明の一般部1を、ポリカーボネート等の原料内に熱線吸収剤が含有された素材から製作されたものとする。
ここで、熱線吸収剤としては、外観意匠性の観点から若干の着色は認められてもフィルムの透明性を維持できるものが好ましく、このような熱線吸収剤として、近赤外線吸収色素を挙げることができる。この近赤外線吸収色素として、インモニウム塩系化合物、ジインモニウム塩系化合物、アミニウム塩系化合物、ニトロソ化合物及びその金属錯塩、シアニン系化合物、スクワリリウム系化合物、チオールニッケル錯塩系化合物、アミノチオールニッケル錯塩系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、トリアリールメタン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アミノ化合物、カーボンブラック、酸化アンチモン、酸化インジウムをドープした酸化錫、ポリメチン系色素、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、ジチオール金属錯塩系、トリフェニルメタン系、アミニウム系、ジルコニア系化合物等を挙げることができる。
図2で示すように、成形型20を構成する上型21と下型22を型開きし、その内側に平板フィルム10を位置決めし、赤外線ヒータ30で平板フィルム10を加熱し、軟化させる。
平板フィルム10の加熱・軟化は成形型20の内側(近傍)にておこなうことから、図3で示すように、加熱され、軟化した平板フィルム10を成形型20に速やかに収容し、上型21、下型22の型閉めをおこなってプレス成形にて賦形処理することにより、図4で示すように所定形状を呈した賦形処理後のフィルム10’が製作される。
次に、賦形処理後のフィルム10’を不図示の成形型に収容し、透明樹脂を成形型内に射出成形することにより、図5で示すような賦形処理後のフィルム10’と透明樹脂ガラス40とから構成された、フィルム一体型樹脂ガラス100が製造される。
図示する一連の製造方法では、低明度印刷部2と透明の一般部1とを有する平板フィルム10を加熱し、軟化させて成形型20内にて賦形処理するに際し、透明の一般部1に熱線吸収剤を予め含ませておくことにより、加熱時における低明度印刷部2と透明の一般部1を同程度に熱吸収させることができる。このことによって、双方の間の加熱速度の相違を抑制でき、もってフィルムに生じ得る温度分布を解消しながら、容易かつ精度よく所定形状の賦形処理後のフィルム10’を製作することができ、この所定形状の賦形処理後のフィルム10’を備えたフィルム一体型樹脂ガラス100を製造することができる。
(本発明の製造方法の効果を検証した実験)
本発明者等は、本発明の製造方法による効果を検証するべく、以下の実験をおこなった。まず、ポリカーボネート製(無色、帝人製のL-1250Z、300μm厚)の一般フィルムと、熱線吸収剤入りのポリカーボネートフィルム(極薄い青色、帝人製のAM-1107ZV 300μm厚)を用意し、各フィルムともにその裏面の一部に黒色塗装をおこない、平面が150mm×70mmの長方形の平板フィルムを製作した。一般フィルムの一部に黒色塗装を施したものは比較例、熱線吸収剤入りのポリカーボネートフィルムの一部に黒色塗装を施したものは実施例である。
各フィルムとも赤外線ヒータ(500W)を照射し、フィルム予成形温度範囲である120〜150℃になる温度を測定した。測定結果を以下の表1に示す。
[表1]
Figure 2016155287
表1において、比較例に関しては、黒色部が120℃の際に一般部は66.6℃であり、一般部は予成形温度には全く到達しておらず、双方の温度差は極めて大きい。
さらに温度を上昇させて黒色部が150℃となった際に、一般部は86.1℃であり、依然として一般部は予成形温度に到達しておらず、双方の温度差は大きいままである。
比較例に対して、実施例では、黒色部が120℃の際に一般部は95.2℃であり、一般部は予成形温度に到達していないものの、双方の温度差は比較例に比して格段に少なくなっている。
さらに温度を上昇させて黒色部が147.9℃となった際に、一般部は120℃となり、一般部は予成形温度に到達することが分かる。
最終的に黒色部が150℃となった際に、一般部は122.5℃まで上昇し、一般部は予成形温度を超えながら黒色部との温度差は僅かになる結果が得られている。
本実験より、本発明によるフィルム一体型樹脂ガラスの製造方法を適用することで、フィルムに生じ得る温度分布を可及的に低減することができ、精度よく所定形状の賦形処理後のフィルムを製作できることが実証されている。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…透明の一般部、2…低明度印刷部、10…平板フィルム、10’… 賦形処理後のフィルム、20…成形型、21…上型、22…下型、30…赤外線ヒータ、40…透明樹脂ガラス、100…フィルム一体型樹脂ガラス

Claims (1)

  1. 低明度印刷部と透明の一般部とを有する平板フィルムを加熱し、軟化させた後、成形型に軟化した平板フィルムを収容し、賦形処理して所定形状のフィルムを加工し、加工された所定形状のフィルムに対して透明樹脂を射出成形してフィルム一体型樹脂ガラスを製造する製造方法において、
    前記透明の一般部に熱線吸収剤を含ませておくフィルム一体型樹脂ガラスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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