(第1実施例)
(通信システム2の構成)
図1に示されるように、通信システム2は、多機能機(以下では「MFP(Multi-Function Peripheralの略)と呼ぶ)10と、携帯端末50と、アクセスポイント(以下では「AP(Access Pointの略)」と呼ぶ)100と、PC(Personal Computerの略)110と、メールサーバ120と、確認サーバ130と、印刷CLサーバ140と、スキャンCLサーバ150と、データ保存CLサーバ160と、を備える。
(MFP10の構成)
MFP10は、印刷機能及びスキャン機能を含む多機能を実行可能な周辺機器(例えばPC110の周辺機器)である。MFP10は、操作パネル12と、表示機構14と、印刷機構16と、スキャン機構18と、無線LAN(LocalArea Networkの略)インターフェース20と、NFC(Near Field Communicationの略)インターフェース22と、BT(Blue Tooth(登録商標)の略)インターフェース24と、制御部30と、を備える。各部12〜30は、バス線(符号省略)に接続されている。以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する。
操作パネル12は、複数のキーを備える。ユーザは、操作パネル12を操作することによって、様々な指示をMFP10に与えることができる。表示機構14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。印刷機構16は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構である。スキャン機構18は、CCD、CIS等のスキャン機構である。
無線LANI/F20は、無線通信を実行するためのインターフェースであり、物理的には1個のインターフェース(即ち1個のICチップ)である。ただし、無線LANI/F20には、WFD(Wi-Fi Directの略)方式に従った無線通信(以下では「WFD通信」と呼ぶ)で利用されるMACアドレス(以下では「WFDMAC」と呼ぶ)と、通常Wi−Fi方式に従った無線通信(以下では「通常Wi−Fi通信」と呼ぶ)で利用されるMACアドレス(以下では「通常Wi−FiMAC」と呼ぶ)と、の両方が割り当てられる。
具体的に言うと、無線LANI/F20には、通常Wi−FiMACが予め割り当てられている。制御部30は、通常Wi−FiMACを利用して、通常Wi−FiMACとは異なるWFDMACを生成して、WFDMACを無線LANI/F20に割り当てる。従って、制御部30は、通常Wi−FiMACを利用した通常Wi−Fi通信と、WFDMACを利用したWFD通信と、の両方を同時的に実行し得る。WFD通信と通常Wi−Fi通信については、後で詳しく説明する。
NFCI/F22は、NFC通信を実行するためのインターフェースである。NFC通信は、いわゆる近距離無線通信のためのNFC方式に従った無線通信である。NFC方式は、例えば、ISO/IEC21481又は18092の国際標準規格に基づく無線通信方式である。
BTI/24は、BT通信を実行するためのインターフェースである。BT通信は、BT方式は、いわゆる近距離無線通信のためのBT方式に従った無線通信である。BT方式は、例えば、IEEE802.15.1の規格に基づく無線通信方式である。無線LANI/F20を構成するチップと、NFCI/F22を構成するチップと、BTI/F24を構成するチップと、は物理的に異なる。なお、本実施例では、上記3つのI/Fがそれぞれ異なるチップとして構成されているが、変形例では、無線LANI/F20とNFCI/F22とBTI/F24とが1つのチップとして構成されていてもよいし、上記3つのI/Fのうちの2つのI/Fが1つのチップとして構成されていてもよい。
無線LANI/F20を利用した無線通信(即ち通常Wi−Fi通信及びWFD通信)の通信速度(例えば、最大の通信速度が11〜600Mbps)は、BTI/F24を介した無線通信(即ちBT通信)の通信速度(例えば最大の通信速度が24Mbps)よりも速い。BTI/F24を介した無線通信(即ちBT通信)の通信速度は、NFCI/F22を利用した無線通信の通信速度(例えば、最大の通信速度が100〜424Kbps)よりも速い。即ち、無線通信の通信速度については、無線LANI/F20が最も速く、BTI/F24が2番目に速く、NFCI/F22が最も遅い。
無線LANI/F20を介した無線通信における搬送波の周波数は、例えば2.4GHz帯又は5.0GHz帯である。NFCI/F22を介した無線通信における搬送波の周波数は、例えば13.56MHz帯である。BTI/F24を介した無線通信における搬送波の周波数は、例えば2.4GHz帯である。即ち、搬送波の周波数は、無線LANI/F20とNFCI/F22とで異なり、NFCI/F22とBTI/F24とで異なる。また、無線LANI/F20の搬送波の周波数が5.0GHz帯である場合には、搬送波の周波数は、無線LANI/F20とBTI/F24とで異なる。
MFP10が無線LANI/F20を介して通信先の機器(例えば携帯端末50)と無線通信を実行可能な最大の距離(例えば約100m)は、MFP10がBTI/F24を介して通信先の機器(例えば携帯端末50)と無線通信を実行可能な最大の距離(例えば約数十m)よりも大きい。また、MFP10がBTI/F24を介して通信先の機器(例えば携帯端末50)と無線通信を実行可能な最大の距離(例えば約数十m)は、MFP10がNFCI/F22を介して通信先の機器と無線通信を実行可能な最大の距離(例えば約10cm)よりも大きい。即ち、無線通信の通信可能範囲については、無線LANI/F20が最も大きく、BTI/F24が2番目に大きく、NFCI/F22が最も小さい。
制御部30は、CPU32とメモリ34とを備える。CPU32は、メモリ34に記憶されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。また、メモリ34は、MFP10が各種の通信(即ち、WFD通信、通常Wi−Fi通信、BT通信)を実行するための無線設定情報(以下では「WSI(Wireless Setting Informationの略)」と呼ぶ)と、MFP10がEメール(Electronic Mailの略)通信を実行するためのEメール設定情報(以下では「ESI(E-mail Setting Informationの略)」と呼ぶ)と、MFP10がクラウドサーバとの通信(以下では「クラウド通信」と呼ぶ)を実行するためのクラウド設定情報(以下では「CSI(Cloud Setting Informationの略)」と呼ぶ)と、を記憶することができる。なお、Eメール通信又はクラウド通信は、無線LANI/F20を介して実行されてもよいし、図示省略の他のI/F(例えば有線LANI/F等)を介して実行されてもよい。
(携帯端末50の構成)
携帯端末50は、携帯電話(例えばスマートフォン)、PDA、ノートPC、タブレットPC、携帯型音楽再生装置、携帯型動画再生装置等の可搬型の端末装置である。携帯端末50は、操作キー52と、表示機構54と、無線LANI/F60と、NFCI/F62と、BTI/F64と、セルラーNW(Networkの略)I/F66と、制御部70と、を備える。各部52〜70は、バス線(符号省略)に接続されている。
ユーザは、操作キー52を操作することによって、様々な指示を携帯端末50に与えることができる。表示機構54は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。各I/F60,62,64は、MFP10の各I/F20,22,24と同様である。従って、各I/F60,62,64の相違点は、各I/F20,22,24の相違点と同様である。
セルラーNWI/F66は、セルラー通信を実行するためのインターフェースである。セルラー通信は、セルラー方式に従った無線通信である。セルラー方式は、例えば、IMT(International Mobile Telecommunicationの略)2000の国際標準規格に基づく無線通信方式であり、いわゆる3G、4G等の無線通信方式である。
制御部70は、CPU72とメモリ74とを備える。CPU72は、メモリ74に記憶されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。メモリ74は、MFP10に機能(例えば、印刷機能、スキャン機能等)を実行させるためのアプリケーション(以下では「MFP用アプリケーション」と呼ぶ)を記憶する。MFP用アプリケーションは、例えば、MFP10のベンダによって提供されるサーバから携帯端末50にインストールされてもよいし、MFP10と共に出荷されるメディアから携帯端末50にインストールされてもよい。
また、メモリ74は、携帯端末50が各種の通信(WFD通信、通常Wi−Fi通信、BT通信)を実行するためのWSIと、携帯端末50がEメール通信を実行するためのESIと、携帯端末50がクラウド通信を実行するためのCSIと、を記憶することができる。なお、Eメール通信又はクラウド通信は、無線LANI/F60を介して実行されてもよいし、セルラーNWI/F66を介して実行されてもよい。
(他の機器100〜160の構成)
AP100は、無線アクセスポイント、無線LANルータ等と呼ばれる通常のAPであり、後述のWFD方式のG/O機器とは異なる。AP100は、後述の通常Wi−Fiネットワークを形成することができる。AP100は、インターネットに接続されており、AP100自身によって形成される通常Wi−Fiネットワークと、インターネットと、の間の通信を中継するルータ機能を備える。なお、以下では、ネットワークのことを「NW」を記載することがある。
PC110は、OSプログラムに従って動作する公知のコンピュータである。PC110は、WFD方式に従ったWFD通信を実行することができる。
各サーバ120〜160は、インターネットに接続されている。メールサーバ120は、SMTP(Simple Mail Transfer Protocolの略)サーバと、POP(Post Office Protocolの略)サーバと、を含む。メールサーバ120は、一方の通信機器(例えば携帯端末50)から他方の通信機器(例えばMFP10)への電子メールの送信が実行されるべき場合に、当該電子メールの通信を中継する。
確認サーバ130、印刷CL(Cloudの略)サーバ140、スキャンCLサーバ150は、それぞれ、例えば、MFP10のベンダによって提供されるサーバである。確認サーバ130は、MFP10から信号を受信する場合に、応答信号をMFP10に送信する。また、確認サーバ130は、携帯端末50から信号を受信する場合に、応答信号を携帯端末50に送信する。印刷CLサーバ140は、通信機器(例えば携帯端末50)からMFP10への印刷データの送信が実行されるべき場合に、当該印刷データの通信を中継する。スキャンCLサーバ150は、MFP10から通信機器(例えば携帯端末50)へのスキャンデータの送信が実行されるべき場合に、当該スキャンデータの通信を中継する。
データ保存CLサーバ160は、例えば、FACEBOOK(登録商標)、GOOGLE DOCS(登録商標)、PICASA(登録商標)等の公知のサーバである。データ保存CLサーバ160は、MFP10からスキャンデータを受信して、当該スキャンデータを保存する。
(MFP10が実行し得る印刷機能;図2)
次いで、図2を参照して、MFP10が実行し得る印刷機能について説明する。印刷機能は、ダイレクト印刷(以下では「DP」と呼ぶ)と、Eメール印刷(以下では「EP」と呼ぶ)と、クラウド印刷(以下では「CP」と呼ぶ)と、に分類される。
(DP)
DPでは、インターネットを介さずに、携帯端末50からMFP10への印刷データの送信が実行される。DPは、通常Wi−Fi印刷と、WFD印刷と、BT印刷と、に分類される。
(通常Wi−Fi印刷)
通常Wi−Fi印刷では、通常Wi−Fi方式に従って形成される通常Wi−FiNWを利用して、印刷データの通信が実行される。通常Wi−Fi方式は、Wi−Fi Allianceによって定められた無線通信方式であり、AP100を介して無線通信を実行するための無線通信方式である。
図2は、MFP10、携帯端末50、及び、AP100を含む通常Wi−FiNWを示す。このような通常Wi−FiNWが形成されている状態では、MFP10の無線LANI/F20は、通常Wi−FiNWを利用して、携帯端末50の無線LANI/F60から、AP100を介して、印刷データを受信することができる。
MFP10及び携帯端末50のそれぞれは、通常Wi−FiNWに所属するためのWSI(即ち、通常Wi−Fi通信を実行するためのWSI(以下では「通常Wi−FiWSI」と呼ぶ))を記憶する。通常Wi−FiWSIは、SSID、BSSID、認証方式、暗号化方式、パスワード等を含む。SSIDは、通常Wi−FiNWを識別するための識別情報であり、AP100によって生成される。BSSIDは、AP100を識別するための識別情報(即ちAP100のMACアドレス)である。MFP10の通常Wi−FiWSIは、さらに、MFP10のIPアドレスを含み、携帯端末50の通常Wi−FiWSIは、さらに、携帯端末50のIPアドレスを含む。なお、通常Wi−Fi印刷では、MFP10及び携帯端末50は、例えば、LPR(Line PRinter daemon protocolの略)の通信プロトコルを利用して、印刷データの通信を実行する。
(WFD印刷)
WFD印刷では、WFD方式に従って形成されるWFDNWを利用して、印刷データの通信が実行される。WFD方式は、Wi−Fi Allianceによって作成された規格書「Wi−Fi Peer−to−Peer(P2P) Technical Specification Version1.1」に記述されている無線通信方式である。
以下では、MFP10、携帯端末50等のように、WFD方式に従って動作可能な機器のことを、「WFD対応機器」と呼ぶ。上記のWFDの規格書では、WFD対応機器の状態として、Group Owner状態(以下では「G/O状態」と呼ぶ)、クライアント状態(以下では「CL状態」と呼ぶ)、及び、デバイス状態の3つの状態が定義されている。WFD対応機器は、上記の3つの状態のうちの1つの状態で選択的に動作可能である。
デバイス状態の一対のWFD対応機器が無線ネットワークを新たに形成すべき際に、当該一対のWFD対応機器は、通常、G/Oネゴシエーションと呼ばれる無線通信を実行する。G/Oネゴシエーションでは、当該一対のWFD対応機器のうちの一方は、G/O状態(即ちG/O機器)になることを決定し、他方は、CL状態(即ちCL機器)になることを決定する。その後、当該一対のWFD対応機器は、接続を確立して、無線ネットワークを形成する。
以下では、WFD方式の手順(例えばG/Oネゴシエーション)に従って形成される無線ネットワークのことを、「WFDNW」と呼ぶ。G/OネゴシエーションによってWFDNWが新たに形成された段階では、1個のG/O機器及び1個のCL機器のみがWFDNWに所属している。ただし、G/O機器は、他の機器と接続を確立して、当該他の機器をCL機器としてWFDNWに新たに参加させることができる。この場合、2個以上のCL機器がWFDNWに所属している状態になる。即ち、WFDNWでは、1個のG/O機器と1個以上のCL機器とが存在し得る。G/O機器は、1個以上のCL機器を管理する。具体的に言うと、G/O機器は、1個以上のCL機器のMACアドレスを、G/O機器のメモリ内の管理リストに登録する。G/O機器は、他機器を介さずに、管理リストに登録されているCL機器と対象データの無線通信を実行可能である。また、G/O機器は、複数個のCL機器の間の対象データ(例えば、印刷データ、スキャンデータ等)の無線通信を中継可能である。換言すると、一対のCL機器は、G/O機器を介して、対象データの無線通信を実行可能である。
図2は、PC110がG/O機器であると共に、携帯端末50及びMFP100がCL機器であるWFDNWの一例を示す。このようなWFDNWが形成されている状態では、CL機器であるMFP10の無線LANI/F20は、WFDNWを利用して、CL機器である携帯端末50の無線LANI/F60から、G/O機器であるPC110を介して、印刷データを受信することができる。
図2は、さらに、MFP10がG/O機器であると共に、携帯端末50がCL機器であるWFDNWの一例を示す。このようなWFDNWが形成されている状態では、G/O機器であるMFP10の無線LANI/F20は、WFDNWを利用して、CL機器である携帯端末50の無線LANI/F60から、他機器を介さずに、印刷データを受信することができる。
MFP10及び携帯端末50のそれぞれは、WFDNWに所属するためのWSI(即ち、WFD通信を実行するためのWSI(以下では「WFDWSI」と呼ぶ))を記憶する。WFDWSIは、SSID、BSSID、認証方式、暗号化方式、パスワード等を含む。SSIDは、WFDNWを識別するための識別情報であり、G/O機器によって生成される。BSSIDは、G/O機器を識別するための識別情報(即ちG/O機器のMACアドレス)である。MFP10のWFDWSIは、さらに、MFP10のIPアドレスを含み、携帯端末50のWFDWSIは、さらに、携帯端末50のIPアドレスを含む。なお、WFD印刷では、MFP10及び携帯端末50は、例えば、LPRの通信プロトコルを利用して、印刷データの通信を実行する。
(BT印刷)
BT印刷では、BT方式に従って形成されるBTNWを利用して、印刷データの通信が実行される。図2は、MFP10及び携帯端末50を含むBTNWを示す。このようなBTNWが形成されている状態では、MFP10のBTI/F24は、BTNWを利用して、携帯端末50のBTI/F64から、他機器を介さずに、印刷データを受信することができる。
MFP10及び携帯端末50のそれぞれは、BTNWに所属するためのWSI(即ち、BT通信を実行するためのWSI(以下では「BTWSI」と呼ぶ))を記憶する。BTWSIは、PINコード(即ちペアリングコード)を含む。なお、BT印刷では、MFP10及び携帯端末50は、例えば、BPP(Basic Printing Profileの略)、BIP(Basic Imaging Profileの略)、OPP(Object Push Profileの略)等の通信プロトコルを利用して、印刷データの通信を実行する。
(EP)
EPでは、インターネットを介して、携帯端末50からMFP10への印刷データの送信(即ちEメール通信)が実行される。図2に示されるように、MFP10の無線LANI/F20は、携帯端末50の無線LANI/F60から、メールサーバ120を介して、印刷データを受信することができる。
印刷データのEメール通信を実行するためには、MFP10及び携帯端末50のそれぞれは、ESIを記憶する。即ち、携帯端末50は、少なくともEメールを送信するための送信用ESI(即ちSMTP設定情報)を記憶する。また、MFP10は、少なくともEメールを受信するための受信用ESI(即ちPOP設定情報)を記憶する。
SMTP設定情報は、SMTPサーバのURL(Uniform Resource Locatorの略)、ユーザ名、パスワード等を含む。POP設定情報は、POPサーバのURL、ユーザ名、パスワード等を含む。本実施例では、SMTPサーバ及びPOPサーバは、1個のメールサーバ120として示されているが、変形例では、別体に構成されていてもよい。EPでは、MFP10及び携帯端末50は、SMTP及びPOPの通信プロトコルを利用して、印刷データの通信を実行する。
(CP)
CPでは、インターネットを介して、携帯端末50からMFP10への印刷データの送信(即ちクラウド通信)が実行される。図2に示されるように、MFP10の無線LANI/F20は、携帯端末50の無線LANI/F60から、印刷CLサーバ140を介して、印刷データを受信することができる。
印刷データのクラウド通信を実行するためには、MFP10及び携帯端末50のそれぞれは、印刷用CSIを記憶する。印刷用CSIは、印刷CLサーバ140のURL(Uniform Resource Locatorの略)、アカウント情報、認証情報(例えばアクセストークン)等を含む。CPでは、MFP10及び携帯端末50は、例えば、HTTP(Hyper Text Transfer Protocolの略)の通信プロトコルを利用して、印刷データの通信を実行する。
上記のDP、EP、CPは、それぞれ、MFP10が実行し得る印刷機能であるが、換言すると、MFP10が印刷データを受信するための通信方式を意味する。即ち、DPは、ダイレクト方式(即ち、通常Wi−Fi方式、WFD方式、及び、BT方式)という通信方式を意味する。EP、CPは、それぞれ、Eメール方式、クラウド方式という通信方式を意味する。即ち、MFP10は、ダイレクト方式、Eメール方式、及び、クラウド方式という3個の通信方式のうちのいずれかを利用して、印刷データを受信し得る。
(携帯端末50のアプリケーション処理;図3)
続いて、図3を参照して、携帯端末50にインストールされているMFP用アプリケーションによって実現される処理の内容を説明する。携帯端末50のユーザは、MFP10に印刷を実行させることを望む場合に、操作キー52を操作して、MFP用アプリケーションを起動させる。次いで、ユーザは、MFP10と携帯端末50との間でNFC接続を確立させるために、携帯端末50をMFP10に近づける。
携帯端末50とMFP10との間の距離が、NFC通信を実行可能な距離(例えば10cm)よりも小さくなると、MFP10と携帯端末50との間でNFC接続が確立される。この場合、S10では、CPU72は、上記のNFC接続を利用して、NFCI/F62を介して、機能要求をMFP10に送信する。機能要求は、後述の応答データ(図7のS100,S102参照)をMFP10に送信させるための要求である。
S12では、CPU72は、上記のNFC接続を利用して、MFP10から、NFCI/F62を介して、応答データを受信する。応答データは、MFP10がDPを実行可能である場合に、DPOKを示す情報を含み、MFP10がDPを実行不可能である場合に、DPNGを示す情報を含む。応答データは、MFP10がEPを実行可能である場合に、EPOKを示す情報を含み、MFP10がEPを実行不可能である場合に、EPNGを示す情報を含む。応答データは、MFP10がCPを実行可能である場合に、CPOKを示す情報を含み、MFP10がCPを実行不可能である場合に、CPNGを示す情報を含む。MFP10が無線LAN(通常WI−FiNW又はWFDNW)に所属している場合には、応答データは、さらに、当該無線LANのSSID及びBSSIDを含む。
S30では、CPU72は、機能選択処理を実行する。詳しくは後述するが、機能選択処理(図4〜図6)では、CPU72は、MFP10が実行可能な1個以上の通信方式(DP、EP、CP)の中から、1個の通信方式を選択する。
次いで、S50では、CPU72は、上記のNFC接続を利用して、NFCI/F62を介して、S30の機能選択処理の選択結果(即ち、DP、EP、又は、CP)をMFP10に送信する。
続いて、S52では、CPU72は、上記のNFC接続を利用して、MFP10から、NFCI/F62を介して、送信先情報を受信する。送信先情報は、S30の機能選択処理の選択結果に対応する通信方式に従って、携帯端末50からMFP10への印刷データの送信を実行するための送信先を示す。詳しくは後述するが、選択結果がEPである場合には、送信先情報は、MFP10のEメールアドレスを含む(図11のS119参照)。また、選択結果がCPである場合には、送信先情報は、MFP10のメモリ34に記憶されている印刷用CSI(即ち、印刷CLサーバ140のURL等)を含む(図11のS120参照)。
また、選択結果がDPである場合には、送信先情報は、MFP10のメモリ34に記憶されている各WSI(即ち、通常Wi−FiWSI、WFDWSI、及び、BTWSI)のうちの少なくとも1個のWSIに関連する情報を含む(図11のS113、S115、S117参照)。より具体的に言うと、MFP10が通常Wi−Fi印刷を実行可能である場合には、送信先情報は、MFP10の通常Wi−FiWSIに含まれる各情報(通常Wi−Fi用SSID、通常Wi−Fi用BSSID、及び、MFP10の通常Wi−Fi用IPアドレス)を含む(図11のS113参照)。また、MFP10がWFD印刷を実行可能である場合には、送信先情報は、MFP10のWFDWSIに含まれる各情報(WFD用SSID、WFD用BSSID、及び、MFP10のWFD用IPアドレス)を含む(図11のS115参照)。なお、MFP10がG/O機器である場合には、送信先情報は、さらに、MFP10のWFDWSIに含まれるパスワードを含む。ただし、MFP10がCL機器である場合には、送信先情報は、MFP10のWFDWSIに含まれるパスワードを含まない。MFP10がBT印刷を実行可能である場合には、送信先情報は、MFP10のBTWSI(即ちPINコード)を含む(図11のS117参照)。
このように、本実施例においては、CPU72は、機能要求の送信(S10)及びDPOK等の応答データの受信(S12)という一往復の通信と、選択結果の送信(S50)及び送信先情報の受信(S52)という一往復の通信と、を含む二往復の通信を実行する。即ち、CPU72は、1回のNFC接続において、二往復の通信を実行する。S52を終えると、NFC接続が切断される。
次いで、S54では、CPU72は、S52で受信される送信先情報を利用して、S30の機能選択処理の選択結果に対応する通信方式に従って、印刷データをMFP10に送信する。
具体的に言うと、例えば、選択結果がEPである場合には、CPU72は、送信先情報に含まれるMFP10のメールアドレスが送信先アドレスとして指定されているEメールを生成し、当該Eメールに印刷データ(即ちユーザによって指定される印刷対象のデータ)を添付する。そして、CPU72は、無線LANI/F60又はセルラーNWI/F66を介して、Eメールを送信する。
CPU72は、携帯端末50が無線LAN(即ち通常Wi−FiNW又はWFDNW)に所属している場合には、無線LANI/F60を介して、Eメールを送信する。これにより、携帯端末50は、無線LANと、インターネット(即ちメールサーバ120)と、を介して、印刷データをMFP10に送信することができる(図2のEP参照)。また、CPU72は、携帯端末50がセルラーNWに所属している場合には、セルラーNWI/F66を介して、Eメールを送信する。これにより、携帯端末50は、セルラーNWと、インターネット(即ちメールサーバ120)と、を介して、印刷データをMFP10に送信することができる(図2のEP参照)。
また、CPU72は、携帯端末50が無線LAN及びセルラーNWの両方に所属している場合には、無線LANI/F60を介して、Eメールを送信する。即ち、CPU72は、無線LANを優先的に利用して、Eメールを送信する。この理由は、以下の通りである。即ち、セルラーNWを利用するセルラー通信は、通信データのデータサイズに応じた従量制の課金対象になる可能性があるが、無線LANを利用する通常Wi−Fi通信(もしくはWFD通信)は、通常、従量制の課金対象にならない。このために、CPU72は、無線LANを優先的に利用して、Eメールを送信する。
また、例えば、選択結果がCPである場合には、CPU72は、送信先情報に含まれる印刷用CSIを利用して、無線LANI/F60又はセルラーNWI/F66を介して、印刷CLサーバ140に接続する。次いで、CPU72は、印刷用CSIに含まれる印刷CLサーバ140のURLが送信先として指定されているコマンドを生成し、当該コマンドに印刷データを添付する。そして、CPU72は、無線LANI/F60又はセルラーNWI/F66を介して、印刷データを含むコマンドを送信する。なお、無線LANI/F60及びセルラーNWI/F66のどちらのI/Fを利用するのかについては、EPの場合と同様である。携帯端末50は、無線LAN又はセルラーNWと、インターネット(即ち印刷CLサーバ140)と、を介して、印刷データをMFP10に送信することができる(図2のCP参照)。
また、例えば、選択結果がDPである場合には、CPU72は、まず、送信先情報を利用して、MFP10及び携帯端末50が同一のNWに所属しているのか否かを判断する。例えば、MFP10の通常Wi−Fi用SSID及び通常Wi−Fi用BSSIDのセットと、携帯端末50の通常Wi−Fi用SSID及び通常Wi−Fi用BSSIDのセットと、が一致する場合には、CPU72は、MFP10及び携帯端末50が同一の通常Wi−FiNWに所属していると判断する。また、例えば、MFP10のWFD用SSID及びWFD用BSSIDのセットと、携帯端末50のWFD用SSID及びWFD用BSSIDのセットと、が一致する場合には、CPU72は、MFP10及び携帯端末50が同一のWFDNWに所属していると判断する。また、例えば、MFP10のBTWSIに含まれるPINコードと、携帯端末50のBTWSIに含まれるPINコードと、が一致する場合には、CPU72は、MFP10及び携帯端末50が同一のBTNWに所属していると判断する。
なお、本実施例では、CPU72は、SSID及びBSSIDのセットの一致判断を実行することによって、MFP10及び携帯端末50が同一のNW(通常Wi−FiNW又はWFDNW)に所属しているのか否かを判断する。これに対し、変形例では、CPU72は、SSIDの一致判断のみを実行することによって、MFP10及び携帯端末50が同一のNWに所属しているのか否かを判断してもよいし、BSSIDの一致判断のみを実行することによって、MFP10及び携帯端末50が同一のNWに所属しているのか否かを判断してもよい。
CPU72は、MFP10及び携帯端末50が同一のNWに所属していると判断する場合には、当該同一のNWを利用して、印刷データをMFP10に送信する。例えば、上記の同一のNWが通常Wi−FiNWである場合には、CPU72は、送信先情報に含まれるMFP10の通常Wi−Fi用IPアドレスを送信先として、無線LANI/F60を介して、印刷データを送信する。これにより、携帯端末50は、AP100を介して、印刷データをMFP10に送信することができる(図2の通常Wi−Fi印刷参照)。
また、例えば、上記の同一のNWがWFDNWである場合には、CPU72は、送信先情報に含まれるMFP10のWFD用IPアドレスを送信先として、無線LANI/F60を介して、印刷データを送信する。これにより、携帯端末50は、G/O機器であるPC110を介して、又は、他機器を介さずに、印刷データをMFP10に送信することができる(図2のWFD印刷参照)。
また、例えば、上記の同一のNWがBTNWである場合には、CPU72は、MFP10のBTWSI(即ち携帯端末50のBTWSI)に含まれるPINコードを利用して、BTI/F64を介して、印刷データを送信する。これにより、携帯端末50は、他機器を介さずに、印刷データをMFP10に送信することができる(図2のBT印刷参照)。
上述したように、S54では、選択結果がDPであり、かつ、MFP10及び携帯端末50が同一のNWに所属している場合には、携帯端末50は、当該同一のNWを優先的に利用して、印刷データをMFP10に送信する。これにより、携帯端末50は、MFP10と無線接続を確立せずに済むので、印刷データをMFP10に迅速に送信することができる。
なお、MFP10及び携帯端末50が2個以上の同一のNWに所属している場合には、CPU72は、通信速度が速いNWを優先的に利用する。例えば、MFP10及び携帯端末50が同一のWFDNWと同一のBTNWとに所属している場合には、CPU72は、WFDNWを利用して、印刷データをMFP10に送信する。
また、CPU72は、MFP10及び携帯端末50が同一のNWに所属していないと判断する場合には、以下の処理を実行する。上述したように、送信先情報は、MFP10が所属している通常Wi−FiNWで利用されているパスワードを含まない(図11のS113参照)。従って、CPU72は、当該通常Wi−FiNWに携帯端末50を参加させることができない。
送信先情報は、MFP10がG/O機器であるWFDNWで利用されている各情報(WFD用SSID、WFD用BSSID、パスワード、及び、MFP10のWFD用IPアドレス)を含み得る(図11のS115参照)。この場合、CPU72は、それらの情報を利用して、G/O機器であるMFP10と無線接続を確立する。これにより、CPU72は、MFP10がG/O機器であるWFDNWに、CL機器として携帯端末50を参加させることができる。そして、CPU72は、送信先情報に含まれるMFP10のWFD用IPアドレスを送信先として、無線LANI/F60を介して、印刷データを送信する。これにより、CL機器である携帯端末50は、WFDNWを利用して、他機器を介さずに、G/O機器であるMFP10に印刷データを送信することができる。
また、送信先情報は、MFP10のBTWSI(即ちPINコード)を含み得る(図11のS117参照)。この場合、CPU72は、BTWSIを利用して、MFP10と無線接続を確立する。そして、CPU72は、PINコードを利用して、BTI/F64を介して、印刷データを送信する。これにより、携帯端末50は、BTNWを利用して、他機器を介さずに、印刷データをMFP10に送信することができる。
なお、送信先情報が、MFP10がG/O機器であるWFDNWで利用されている各情報と、MFP10のBTWSIと、の両方を含む場合には、CPU72は、通信速度が速いWFDNWを優先的に利用することを決定して、MFP10がG/O機器であるWFDNWに、CL機器として携帯端末50を参加させる。
(機能選択処理;図4)
続いて、図4を参照して、図3のS30の機能選択処理を説明する。S31では、CPU72は、MFP10及び携帯端末50が同一の通常Wi−FiNW又は同一のWFDNWに所属しているのか否かを判断する。CPU72は、携帯端末50の通常Wi−FiWSI及びWFDWSIのいずれもメモリ74に記憶されていない場合には、S31でNOと判断し、S33に進む。
CPU72は、携帯端末50の通常Wi−FiWSIがメモリ74に記憶されている場合には、当該通常Wi−FiWSIに含まれる通常Wi−Fi用SSID及び通常Wi−Fi用BSSIDのセットに一致するSSID及びBSSIDのセット(以下では「第1のセット」と呼ぶ)が応答データに含まれているのか否を判断する。CPU72は、第1のセットが応答データに含まれている場合には、S31でYESと判断し、S32に進み、第1のセットが応答データに含まれていない場合には、S31でNOと判断し、S33に進む。
また、CPU72は、携帯端末50のWFDWSIがメモリ74に記憶されている場合には、当該WFDWSIのWFD用SSID及びWFD用BSSIDのセットに一致するSSID及びBSSIDのセット(以下では「第2のセット」と呼ぶ)が応答データに含まれているのか否かを判断する。CPU72は、第2のセットが応答データに含まれている場合には、S31でYESと判断し、S32に進み、第2のセットが応答データに含まれていない場合には、S31でNOと判断し、S33に進む。
上述したように、S31でYESと判断される場合には、応答データは、第1のセット及び第2のセットのうちの少なくとも一方を含む。このような状況では、MFP10は、通常Wi−Fi印刷及びWFD印刷のうちの少なくとも一方を実行可能であるので(後述の図8のS72、S75参照)、DPOKを含む応答データを携帯端末50に送信する。なお、この場合、応答データは、EP及びCPのそれぞれについては、OK又はNGを含む。S32では、CPU72は、応答データに含まれるOKを示す1個以上の通信方式(少なくともDP)の中からDPを選択して、機能選択処理を終了する。この場合、MFP10及び携帯端末50が同一の通常Wi−FiNW又は同一のWFDNWに所属しているので、図3のS54において、CPU72は、当該同一のNWを利用して(即ちDPに従って)、印刷データをMFP10に送信することができる。
S33では、CPU72は、携帯端末50が無線LAN(即ち、通常Wi−FiNW、WFDNW)に所属しているか否かを判断する。CPU72は、通常Wi−FiWSI及びWFDWSIのうちの少なくとも1個がメモリ74に記憶されている場合には、S33でYESと判断し、S34に進み、通常Wi−FiWSI及びWFDWSIのいずれもメモリ74に記憶されていない場合には、S33でNOと判断し、S38に進む。
S34では、CPU72は、携帯端末50が無線LANを介してインターネット通信を実行可能であるのか否かを判断する。具体的に言うと、CPU72は、携帯端末50がインターネット上の確認サーバ130と通信可能であるのか否かを判断する。即ち、CPU72は、メモリ34に予め記憶されている確認サーバ130のURLを送信先として、無線LANI/F60を介して信号を送信し、確認サーバ130から応答信号を受信することを監視する。確認サーバ130から応答信号が受信される場合には、CPU72は、S34でYESと判断し、S150に進む。この場合、携帯端末50は、無線LANを介して、インターネット通信を実行可能である。一方において、確認サーバ130から応答信号が受信されない場合には、CPU72は、S34でNOと判断し、S35に進む。
(第1の選択処理;図5)
S150では、CPU72は、第1の選択処理(図5参照)が実行される。S151では、CPU72は、CPOKを示す情報が応答データに含まれるのか否かを判断する。CPU72は、CPOKを示す情報が応答データに含まれる場合には、S151でYESと判断し、S152において、CPを選択して、第1の選択処理を終了する。
CPU72は、CPNGを示す情報が応答データに含まれる場合には、S151でNOと判断し、S153において、EPOKを示す情報が応答データに含まれるのか否かを判断する。CPU72は、EPOKを示す情報が応答データに含まれる場合には、S153でYESと判断し、S154において、EPを選択して、第1の選択処理を終了する。
CPU72は、EPNGを示す情報が応答データに含まれる場合には、S153でNOと判断し、S155において、DPOKを示す情報が応答データに含まれるのか否かを判断する。CPU72は、DPOKを示す情報が応答データに含まれる場合には、S155でYESと判断し、S156において、DPを選択して、第1の選択処理を終了する。
一方において、CPU72は、DPNGを示す情報が応答データに含まれる場合には、S155でNOと判断し、S157において、MFP10に印刷を実行させることができないことを示すエラー画面を表示機構54に表示させ、第1の選択処理を終了する。なお、S157が実行される場合には、図3のS50以降の処理が実行されない。
第1の選択処理は、携帯端末50が無線LAN(即ち、通常Wi−FiNW、WFDNW)に所属している状況で実行される(図4のS33でYES)。そして、通信方式の選択の優先順序は、CP、EP、DPの順序である(図5参照)。インターネットが利用されないDPに比べて、インターネットが利用されるCP及びEPが優先される理由は、以下の通りである。
即ち、携帯端末50及びMFP10が同一のNWに所属していないので(S31でNO)、携帯端末50は、ダイレクト通信を利用するために、携帯端末50とMFP10との間に無線接続を確立する処理を実行しなければならない。これに対し、携帯端末50は、クラウド通信又はEメール通信を利用するために、上記の無線接続を確立せずに済む。このように、処理負荷の軽減の観点から、CP及びEPが優先される。しかも、携帯端末50が無線LANに所属しているので、CP又はEPが選択される場合には、図3のS54において、携帯端末50は、セルラーNWではなく、無線LANを利用して、印刷データをMFP10に送信する。このために、CP又はEPが選択されても、印刷データの通信が従量制の課金の対象にならない。このように、課金の観点においても、CP及びEPが優先されても問題ない。
なお、EPに比べてCPが優先されるのは、例えば、クラウド通信は、通常、Eメール通信と比べて、セキュリティの面で優れている可能性があるからである。CPU72は、第1の選択処理を終了すると、機能選択処理を終了する。
図4のS35では、CPU72は、DPOKを示す情報が応答データに含まれるのか否かを判断する。DPOKを示す情報が応答データに含まれる場合には、CPU72は、S35でYESと判断し、S36において、DPを選択して、機能選択処理を終了する。携帯端末50は、無線LANに所属しているが、当該無線LANを介してインターネット通信を実行不可能である場合(S34でNO)には、当該無線LANを介してクラウド通信及びEメール通信を実行不可能である。従って、S35及びS36では、CPU72は、CP及びEPを選択することなく、DPOKを示す情報が応答データに含まれる場合には、DPを選択する。一方において、DPNGを示す情報が応答データに含まれる場合には、CPU72は、S35でNOと判断し、S38に進む。ただし、変形例では、S34でNOと判断した場合に、S35をスキップして、S38に進んでもよい。
S38では、CPU72は、携帯端末50がセルラーNWに所属しているか否かを判断する。CPU72は、携帯端末50がセルラーNWに所属している場合には、S38でYESと判断し、S160に進む。一方において、携帯端末50がセルラーNWに所属していない場合には、S38でNOと判断し、S39に進む。
(第2の選択処理;図6)
S160では、CPU72は、第2の選択処理(図6参照)を実行する。第2の選択処理では、各処理の順序が第1の選択処理(図5)とは異なる。即ち、第1の選択処理では、優先順序がCP、EP、DPの順序であるが、第2の選択処理では、優先順序がDP、CP、EPの順序である。S161、162は、図5のS155、156と同様である。S163、164は、図5のS151、152と同様であり、S165、166は、図5のS153,154と同様である。S167は、図5のS157と同様である。
第2の選択処理は、携帯端末50が、無線LAN(即ち、通常Wi−FiNW、WFDNW)に所属していない(図4のS33でNO)、又は、携帯端末50が、無線LANを介してインターネット通信を実行可能でない(図4のS34でNO)、のいずれか一方の状態で、セルラーNWに所属している状況で実行される(図4のS38でYES)。そして、通信方式の選択の優先順序は、DP、CP、EPの順序である(図6参照)。インターネットが利用されるCP及びEPに比べて、インターネットが利用されないDPが優先される理由は、以下の通りである。
即ち、携帯端末50が、無線LANを介してインターネット通信を実行不可能であり、セルラーNWに所属しているので、CP又はEPが選択される場合には、図3のS54において、携帯端末50は、セルラーNWを利用して、印刷データをMFP10に送信する。このために、CP又はEPが選択される場合には、印刷データの通信が従量制の課金の対象になり得る。これに対し、DPが選択される場合には、図3のS54において、携帯端末50は、MFP10と無線接続を新たに確立して、無線LANを利用して、印刷データをMFP10に送信する。この場合、セルラーNWが利用されないために、印刷データの通信が従量制の課金の対象にならない。このように、課金の観点から、DPが優先される。
S39、S40は、それぞれ、S35、36と同様である。即ち、携帯端末50が無線LAN又はセルラーNWを介してインターネット通信を実行不可能であるので、CPU72は、CP及びEPを選択することなく、DPOKを示す情報が応答データに含まれる場合には、DPを選択する。ただし、DPNGを示す情報が応答データに含まれる場合には、CPU72は、S39でNOと判断し、S41において、MFP10に印刷を実行させることができないことを示すエラー画面を表示機構54に表示させる。なお、S41が実行される場合には、図3のS50以降の処理が実行されない。
(MFP10の処理;図7)
続いて、図7を参照して、MFP10が実行する処理の内容を説明する。MFP10と携帯端末50との間でNFC接続が確立されることをトリガとして、図7の処理が開始される。
S60では、CPU32は、携帯端末50から、NFCI/F22を介して、機能要求(図3のS10参照)を受信する。次いで、S70、S80、S90において、CPU32は、DP機能確認処理(図8参照)、EP機能確認処理(図9参照)、CP機能確認処理(図10参照)を実行する。これらの処理では、CPU32は、MFP10が、DP、EP、及び、CPのうちのどの印刷機能を実行可能であるのかを特定する。これらの処理の詳細については後述する。
次いで、S100では、CPU32は、S70〜S90の確認結果を利用して、応答データを生成する。詳しくは後述するが、S70では、通常Wi−Fi印刷、WFD印刷、及び、BT印刷のそれぞれについて、OK又はNGを示す情報がメモリ34に記憶される。S100では、CPU32は、通常Wi−Fi印刷、WFD印刷、及び、BT印刷のうちの少なくとも1個について、OKを示す情報がメモリ34に記憶されている場合には、DPOKを示す情報を含む応答データを生成する。また、CPU32は、通常Wi−Fi印刷、WFD印刷、及び、BT印刷のうちの全てについて、NGを示す情報がメモリ34に記憶されている場合には、DPNGを示す情報を含む応答データを生成する。
また、詳しくは後述するが、S80では、EPOK又はEPNGを示す情報がメモリ34に記憶され、S90では、CPOK又はCPNGを示す情報がメモリ34に記憶される。S100では、CPU32は、EPOK(又はCPOK)を示す情報がメモリ34に記憶されている場合には、EPOK(又はCPOK)を示す情報を含む応答データを生成し、EPNG(又はCPNG)を示す情報がメモリ34に記憶されている場合には、EPNG(又はCPNG)を示す情報を含む応答データを生成する。
また、MFP10が通常Wi−FiNWに所属している場合(即ち、通常Wi−Fi印刷OKである場合)には、S100において、CPU32は、メモリ34内の通常Wi−FiWSIに含まれる通常Wi−Fi用SSID及び通常Wi−Fi用BSSIDのセットを含む応答データを生成する。また、MFP10がWFDNWに所属している場合(即ち、WFD印刷OKである場合)には、S100において、CPU32は、メモリ34内のWFDWSIに含まれるWFD用SSID及びWFD用BSSIDのセットを含む応答データを生成する。
S102では、CPU32は、NFCI/F22を介して、応答データを携帯端末50に送信する。これにより、携帯端末50は、応答データを利用して、携帯端末50からMFP10への印刷データの送信を実行するための通信方式を選択することができる(図3のS12、S30)。
(DP機能確認処理;図8)
図8を参照して、図7のS70のDP機能確認処理を説明する。S71では、CPU32は、MFP10が通常Wi−Fi機能を有するか否か(即ち、MFP10が無線LANI/F20を備えているのか否か)を判断する。MFP10が通常Wi−Fi機能を有する場合には、CPU32は、S71でYESと判断し、S72において、通常Wi―Fi印刷OKを示す情報をメモリ34に記憶させる。S72を終えると、S74に進む。
一方において、MFP10が通常Wi−Fi機能を有さない場合には、CPU32は、S71でNOと判断し、S73において、通常Wi―Fi印刷NGを示す情報と、WFD印刷NGを示す情報と、をメモリ34に記憶させる。WFD方式の無線通信は、通常Wi−Fi方式の無線通信を前提とする無線通信である。従って、MFP10は、通常Wi−Fi機能を有さない場合(S71でNOの場合)には、WFD機能も有さない(即ち、WFD通信を実行するためのプログラムがメモリ34に記憶されていない)。従って、S73では、通常Wi―Fi印刷NGを示す情報のみならず、WFD印刷NGを示す情報も、メモリ34に記憶される。S73を終えると、S77に進む。
S74では、CPU32は、MFP10がWFD機能を有するか否か(即ち、WFD通信を実行するためのプログラムがメモリ34に記憶されているのか否か)を判断する。MFP10がWFD機能を有する場合には、CPU32は、S74でYESと判断し、S75において、WFD印刷OKを示す情報をメモリ34に記憶させる。一方において、MFP10がWFD機能を有さない場合には、CPU32は、S74でNOと判断し、S76において、WFD印刷NGを示す情報をメモリ34に記憶させる。S75又はS76を終えると、S77に進む。
S77では、CPU32は、MFP10がBT機能を有するか否か(即ち、MFP10がBTI/F24を備えているのか否か)を判断する。MFP10がBT機能を有する場合には、CPU32は、S77でYESと判断し、S78において、BT印刷OKを示す情報をメモリ34に記憶させる。一方において、MFP10がBT機能を有さない場合には、CPU32は、S77でNOと判断し、S79において、BT印刷NGを示す情報をメモリ34に記憶させる。
(EP機能確認処理;図9)
図9を参照して、図7のS80のEP機能確認処理を説明する。S81では、CPU32は、MFP10がEP機能を有するか否か(即ち、Eメールを受信して、Eメールに含まれる印刷データに従って印刷を実行するためのプログラムがメモリ34に記憶されているのか否か)を判断する。MFP10がEP機能を有する場合には、CPU32は、S81でYESと判断し、S82に進む。一方において、MFP10がEP機能を有さない場合には、CPU32は、S81でNOと判断し、S84において、EPNGを示す情報をメモリ34に記憶させる。
S82では、CPU32は、MFP10がEメールを受信するためのESIである受信用ESI(即ちPOP設定情報)が、メモリ34に記憶されているのか否か判断する。受信用ESIがメモリ34に記憶されている場合には、CPU32は、S82でYESと判断し、S83において、EPOKを示す情報をメモリ34に記憶させる。一方において、受信用ESIがメモリ34に記憶されていない場合には、CPU32は、S82でNOと判断し、S84において、EPNGを示す情報をメモリ34に記憶させる。
(CP機能確認処理;図10)
図10を参照して、図7のS90のCP機能確認処理を説明する。S91では、CPU32は、MFP10がCP機能を有するか否か(即ち、印刷CLサーバ140とクラウド通信を実行するためのプログラムがメモリ34に記憶されているのか否か)を判断する。MFP10がCP機能を有する場合には、CPU32は、S91でYESと判断し、S92に進む。一方において、MFP10がCP機能を有さない場合には、CPU32は、S91でNOと判断し、S95において、CPNGを示す情報をメモリ34に記憶させる。
S92では、CPU32は、MFP10が印刷CLサーバ140を利用するためのCSIである印刷用CSI(即ち、印刷CLサーバ140のURL、アカウント情報、認証情報等)が、メモリ34に記憶されているのか否かを判断する。印刷用CSIがメモリ34に記憶されている場合には、CPU32は、S92でYESと判断し、S93に進む。一方において、印刷用CSIがメモリ34に記憶されていない場合には、CPU32は、S92でNOと判断し、S95において、CPNGを示す情報をメモリ34に記憶させる。
S93では、CPU32は、MFP10がインターネット上の確認サーバ130と通信可能であるのか否かを判断する。具体的に言うと、CPU32は、メモリ34に予め記憶されている確認サーバ130のURLを送信先として信号を送信し、確認サーバ130から応答信号を受信することを監視する。確認サーバ130から応答信号が受信される場合には、CPU32は、S93でYESと判断し、S94において、CPOKを示す情報をメモリ34に記憶させる。一方において、確認サーバ130から応答信号が受信されない場合には、CPU32は、S93でNOと判断し、S95において、CPNGを示す情報をメモリ34に記憶させる。なお、例えば、インターネット通信のためのプロバイダとの契約がなされていない場合、インターネット通信のためのゲートウェイが機能していない場合等には、S93でNOと判断され得る。
図7のS102を終えると、S104において、CPU32は、携帯端末50から、NFCI/F22を介して、選択結果(即ち、DP、EP、又は、CP)を受信する。次いで、S110において、CPU32は、送信先情報準備処理を実行する。
(送信先情報準備処理;図11)
図11を参照して、図7のS110の送信先情報準備処理の内容を説明する。S111では、CPU32は、選択結果がDPであるのか否かを判断し、選択結果がDPである場合には、S111でYESと判断し、S112に進む。一方において、選択結果がEP又はCPである場合には、S111でNOと判断し、S118に進む。
S112では、CPU32は、図7のS70(図8参照)で通常Wi−Fi印刷OKを示す情報がメモリ34に記憶されたのか否かを判断する。CPU32は、通常Wi−Fi印刷OKを示す情報がメモリ34に記憶されている場合には、S112でYESと判断し、S113に進む。一方において、CPU32は、通常Wi−Fi印刷NGを示す情報がメモリ34に記憶されている場合には、S112でNOと判断し、S116に進む。
S113では、CPU32は、MFP10の通常Wi−FiWSIに含まれる各情報(通常Wi−Fi用SSID、通常Wi−Fi用BSSID、及び、MFP10の通常Wi−Fi用IPアドレス)を、メモリ34から特定することによって、それらの情報を送信先情報として準備する。本実施例では、通常Wi−FiNWにおいて、AP100は、当該通常Wi−FiNWに他機器を参加させる権限を有するが、AP100とは異なる機器(例えばMFP10)は、当該通常Wi−FiNWに他機器を参加させる権限を有さない、というセキュリティポリシーを採用している。従って、S113では、CPU32は、MFP10の通常Wi−FiWSIに含まれるパスワードを準備しない(即ち、送信先情報としてパスワードを送信しない)。ただし、変形例では、CPU32は、パスワードを準備してもよい(即ち、送信先情報としてパスワードを送信してもよい)。
次いで、S114では、CPU32は、図7のS70(図8参照)でWFD印刷OKを示す情報がメモリ34に記憶されたのか否かを判断する。CPU32は、WFD印刷OKを示す情報がメモリ34に記憶されている場合には、S114でYESと判断し、S115に進む。一方において、CPU32は、WFD印刷NGを示す情報がメモリ34に記憶されている場合には、S114でNOと判断し、S116に進む。
S115では、CPU32は、MFP10の現在の状態(G/O状態、CL状態、又は、デバイス状態)に応じて、以下の各処理を実行する。MFP10の現在の状態がG/O状態である場合には、CPU32は、MFP10のWFDWSIに含まれる各情報(WFD用SSID、WFD用BSSID、MFP10のWFD用IPアドレス、及び、パスワード)を、メモリ34から特定することによって、それらの情報を送信先情報として準備する。また、MFP10の現在の状態がCL状態である場合には、CPU32は、MFP10のWFDWSIに含まれる各情報(WFD用SSID、WFD用BSSID、及び、MFP10のWFD用IPアドレス)を、メモリ34から特定することによって、それらの情報を送信先情報として準備する。
本実施例では、WFDNWにおいて、G/O機器は、当該WFDNWに他機器を参加させる権限を有するが、CL機器は、当該WFDNWに他機器を参加させる権限を有さない、というセキュリティポリシーを採用している。従って、CPU32は、MFP10の現在の状態がG/O状態である場合には、パスワードを準備するが、MFP10の現在の状態がCL状態である場合には、パスワードを準備しない(即ち、送信先情報としてパスワードを送信しない)。ただし、変形例では、CPU32は、MFP10の現在の状態がCL状態である場合に、パスワードを準備してもよい(即ち、送信先情報としてパスワードを送信してもよい)。
また、MFP10の現在の状態がデバイス状態である場合には、CPU32は、MFP10の状態をG/O状態に移行させる。ここでは、CPU32は、G/Oネゴシエーションを実行せずに自発的に、MFP10の状態をG/O状態に移行させる。次いで、CPU32は、さらに、MFP10のWFDWSI(即ち、WFD用SSID、WFD用BSSID、認証方式、暗号化方式、パスワード、及び、WFD用IPアドレス)をメモリ34内に生成する。CPU32は、さらに、CL機器のMACアドレスが記述されるべき管理リストをメモリ34内に生成する。この段階では、管理リストにはいずれのMACアドレスも記述されていない。即ち、CPU32は、G/O機器であるMFP10のみが所属しているWFDNWを形成する。そして、CPU32は、MFP10のWFDWSIに含まれる各情報(WFD用SSID、WFD用BSSID、MFP10のWFD用IPアドレス、及び、パスワード)を、メモリ34から特定することによって、それらの情報を送信先情報として準備する。
S116では、MFP10は、図7のS70(図8参照)でBT印刷OKを示す情報がメモリ34に記憶されたのか否かを判断する。CPU32は、BT印刷OKを示す情報がメモリ34に記憶されている場合には、S116でYESと判断し、S117に進む。一方において、CPU32は、BT印刷NGを示す情報がメモリ34に記憶されている場合には、S116でNOと判断し、送信先情報準備処理を終了する。
S117では、CPU32は、MFP10がBTNWに現在所属している場合(即ちMFP10が他機器とBT接続を確立している場合)には、MFP10のBTWSIをメモリ34から特定することによって、MFP10のBTWSIを送信先情報として準備する。また、CPU32は、MFP10がBTNWに現在所属していない場合には、新たなBTWSIをメモリ34内に生成する。そして、CPU32は、MFP10のBTWSIをメモリ34から特定することによって、MFP10のBTWSIを送信先情報として準備する。
S118では、CPU32は、選択結果がEPであるのか否かを判断し、選択結果がEPである場合には、S118でYESと判断し、S119に進む。一方において、CPU32は、選択結果がCPである場合には、S118でNOと判断し、S120に進む。
S119では、CPU32は、予め決められているMFP10のEメールアドレスをメモリ34から特定することによって、MFP10のEメールアドレスを送信先情報として準備する。S119が終了すると、送信先情報準備処理が終了する。
S120では、CPU32は、印刷用CSIをメモリ34から特定することによって、印刷用CSIを送信先情報として準備する。S120が終了すると、送信先情報準備処理が終了する。
図7のS110を終えると、S130において、CPU32は、NFCI/F22を介して、送信先情報を携帯端末50に送信する。これにより、携帯端末50は、送信先情報を利用して、印刷データをMFP10に送信することができる(図3のS54)。
S132において、CPU32は、S104で受信される選択結果が示す通信方式(即ち、ダイレクト方式、Eメール方式、又は、クラウド方式)に従って、携帯端末50から印刷データを受信する。例えば、選択結果がEPである場合には、CPU32は、メールサーバ120から、無線LANI/F20又は他のI/F(例えば有線通信I/F(図示省略))を介して、印刷データを含むEメールを受信する。この結果、MFP10は、携帯端末50から、メールサーバ120を介して(即ちインターネットを介して)、印刷データを受信することができる。また、例えば、選択結果がCPである場合には、CPU32は、印刷CLサーバ140から、無線LANI/F20又は他のI/Fを介して、印刷データを受信する。この結果、MFP10は、携帯端末50から、印刷CLサーバ140を介して(即ちインターネットを介して)、印刷データを受信することができる。
また、例えば、選択結果がDPである場合には、CPU32は、通常Wi−FiNW、WFDNW、又は、BTNWを利用して、無線LANI/F20又はBTI/F24を介して、印刷データを受信する。この結果、携帯端末50は、MFP10から、LANを介して(即ちインターネットを介さずに)、印刷データを受信することができる。
次いで、S134において、CPU32は、印刷データを印刷機構16に供給する。これにより、印刷機構16は、印刷データによって表される画像を印刷媒体に印刷する。印刷データは、画像ファイル等であるので、比較的に大きいデータサイズを有する。そして、NFCI/F22,62を介したNFC通信の通信速度は、他のI/F(例えば無線LANI/F20,60)を介した通信の通信速度よりも遅い。従って、仮に、MFP10及び携帯端末50の間で、NFC通信を利用して、印刷データの通信が実行される構成を採用すると、印刷データの通信のために長時間を要する。これに対し、本実施例では、MFP10及び携帯端末50は、NFC通信とは異なる通信を利用して、印刷データの通信を実行するので、印刷データの通信を迅速に実行することができる。
(具体的なケース;図12〜図14)
図12〜図14を参照して、本実施例の具体的なケースについて説明する。なお、図12〜図14では、MFP10A,10Bのように、図1のMFP10とは異なる符号が付されている。各ケースのMFP(MFP10A等)と図1のMFP10との間に相違点があれば、各ケースの内容を説明する前に、当該相違点を説明する。
(ケースA;図12)
ケースAでは、MFP10Aは、通常Wi−Fi印刷、BT印刷、EP、及び、CPを実行可能であるが、WFD印刷を実行不可能である。MFP10A及び携帯端末50は、AP100によって形成されている通常Wi−FiNWに所属している。通常Wi−FiNWでは、SSIDとして「X1」が利用されており、BSSIDとして「Y1」が利用されている。携帯端末50のユーザは、MFP用アプリケーションを起動した後に、携帯端末50をMFP10Aに近づける。この結果、携帯端末50及びMFP10Aの間にNFC接続が確立される。携帯端末50は、NFC接続を利用して、MFP10Aに機能要求を送信する(図3のS10)。
MFP10Aは、携帯端末50から機能要求を受信すると(図7のS60)、各確認処理を実行し(図7のS70、S80、S90)、次いで、DPOKを示す情報と、EPOKを示す情報と、CPOKを示す情報と、SSID「X1」及びBSSID「Y1」と、を含む応答データを生成する(図7のS100)。なお、MFP10Aは、WFD印刷を実行不可能であるが、通常Wi−Fi印刷及びBT印刷を実行可能であるので、応答データは、DPOKを示す情報を含む。MFP10Aは、NFC接続を利用して、応答データを携帯端末50に送信する(図7のS102)。
携帯端末50は、NFC接続を利用して、MFP10Aから応答データを受信する。本ケースでは、応答データに含まれるSSID「X1」及びBSSID「Y1」のセットと、携帯端末50の通常Wi−FiWSIに含まれるSSID「X1」及びBSSID「Y1」のセットと、が同一であるために(図4のS31でYES)、携帯端末50はDPを選択する(図4のS32)。携帯端末50は、NFC接続を利用して、DPを示す選択結果をMFP10Aに送信する(図3のS50)。
MFP10Aは、DPを示す選択結果を受信すると(図7のS104)、送信先情報を準備する(図7のS110)。具体的に言うと、通常Wi−Fi印刷OKを示す情報がメモリ34に記憶されているために(図11のS112でYES)、MFP10Aは、MFP10Aの通常Wi−FiWSIに含まれる各情報(SSID「X1」、BSSID「Y1」、及び、MFP10AのIPアドレス「IP1」)を、送信先情報として準備する(S113)。また、BT印刷OKを示す情報がメモリ34に記憶されているために(図11のS116でYES)、MFP10Aは、MFP10AのBTWSIを、送信先情報として準備する(図11のS117)。MFP10Aは、送信先情報を携帯端末50に送信する(図7のS130)。
携帯端末50は、MFP10Aから送信先情報を受信すると(図3のS52)、送信先情報に含まれるSSID「X1」及びBSSID「Y1」のセットと、携帯端末50の通常Wi−FiWSIに含まれるSSID「X1」及びBSSID「Y1」のセットと、が同一である(即ちMFP10A及び携帯端末50が同一の通常Wi−FiNWに所属している)と判断する。従って、携帯端末50は、通常Wi−FiNWを優先的に利用して、AP100を介して、印刷データをMFP10Aに送信する(図3のS54)。これにより、MFP10Aにおいて、印刷処理が実行される(図7のS134)。
上述したように、携帯端末50は、MFP10A及び携帯端末50が同一の通常Wi−FiNWに所属している場合に、MFP10Aが実行可能な3個の印刷機能(即ち、DP、EP、CP)の中から、適切な印刷機能(即ちDP)を自動的に選択することができる。即ち、携帯端末50は、MFP10Aが利用可能な3個の通信方式(即ち、ダイレクト方式、Eメール方式、クラウド方式)の中から、適切な通信方式(即ちダイレクト方式)を自動的に選択することができる。従って、携帯端末50は、選択済みの通信方式を利用して、印刷データをMFP10Aに適切に送信することができる。
(ケースB;図13)
ケースBでは、MFP10Bは、通常Wi−Fi印刷、WFD印刷、BT印刷、及び、CPを実行可能であるが、EPを実行不可能である。MFP10Bは、AP100Aによって形成されている通常Wi−FiNW(SSID「X1」、BSSID「Y1」)に所属している。MFP10Bは、さらに、PC110がG/O機器であるWFDNW(SSID「X3」、BSSID「Y3」)にCL機器として所属している。携帯端末50は、AP100Aとは異なるAP100Bによって形成されている通常Wi−FiNW(SSID「X2」、BSSID「Y2」)に所属している。
MFP10Bが機能要求を受信するまでの各処理は、ケースAと同様である。MFP10Bは、DPOKを示す情報と、EPNGを示す情報と、CPOKを示す情報と、SSID「X1」及びBSSID「Y1」のセットと、SSID「X3」及びBSSID「Y3」のセットと、を含む応答データを生成し(図7のS100)、NFC接続を利用して、応答データを携帯端末50に送信する(図7のS102)。
本ケースでは、応答データに含まれるSSID「X1」及びBSSID「Y1」のセットと、携帯端末50の通常Wi−FiWSIに含まれるSSID「X2」及びBSSID「Y2」のセットと、が同一でない。さらに、応答データに含まれるSSID「X3」及びBSSID「Y3」のセットと、携帯端末50の通常Wi−FiWSIに含まれるSSID「X2」及びBSSID「Y2」のセットと、が同一でない(図4のS31でNO)。また、携帯端末50は、通常Wi−FiNWに所属している(S33でYES)。携帯端末50は、確認サーバ130に信号を送信して、確認サーバ130から応答信号を受信することができる(S34でYES)。このために、携帯端末50は、第1の選択処理を実行する(S150)。
第1の選択処理(図5)では、DPに比べて、CP及びEPが優先される。応答データがDPOK及びCPOKを示す情報を含むために、携帯端末50は、MFP10Bが実行可能な2個の印刷機能(即ち、DP、CP)の中から、CPを選択する(図5のS152)。携帯端末50は、NFC接続を利用して、CPを示す選択結果をMFP10Bに送信する(図3のS50)。
MFP10Bは、CPを示す選択結果を受信すると(図7のS104)、送信先情報を準備する(図7のS110)。具体的に言うと、MFP10Bは、MFP10Bの印刷用CSIに含まれる各情報(印刷CLサーバ140のURL等)を、送信先情報として準備する(図11のS120)。MFP10Bは、送信先情報を携帯端末50に送信する(図7のS130)。
携帯端末50は、MFP10Bから送信先情報を受信すると(図3のS52)、送信先情報に含まれる印刷用CSIを利用して、印刷データを印刷CLサーバ140に送信する(S54)。携帯端末50が通常Wi−FiNWに所属しているので、携帯端末50は、セルラーNWI/F66ではなく、無線LANI/F60を介して(即ち通常Wi−FiNWを利用して)、印刷データを印刷CLサーバ140に送信する。即ち、印刷データは、AP100B及び印刷CLサーバ140を介して、MFP10Bに送信される。
上述したように、携帯端末50は、通常Wi−FiNWに所属している場合に、MFP10Bが実行可能な2個の印刷機能(即ち、DP、CP)の中から、CPを適切に選択することができる。これにより、携帯端末50がMFP10Bと無線接続を新たに確立せずに済み、携帯端末50の処理負荷を低減させることができる。さらに、携帯端末50がセルラーNWではなく通常Wi−FiNWを利用するので、印刷データの通信が課金の対象にならない。
(ケースC;図14)
ケースCでは、MFP10Bは、ケースBのMFP10Bと同一の機器であり、通常Wi−Fi印刷、WFD印刷、BT印刷、及び、CPを実行可能であるが、EPを実行不可能である。MFP10Bは、AP100によって形成されている通常Wi−FiNW(SSID「X1」、BSSID「Y1」)に所属しているが、WFDNWに所属していない。携帯端末50は、無線LAN(即ち、通常Wi−FiNW、WFDNW)に所属しておらず、セルラーNWに所属している。
MFP10Bが機能要求を受信するまでの各処理は、ケースAと同様である。MFP10Bは、DPOKを示す情報と、EPNGを示す情報と、CPOKを示す情報と、SSID「X1」及びBSSID「Y1」と、を含む応答データを生成し(図7のS100)、NFC接続を利用して、応答データを携帯端末50に送信する(図7のS102)。
本ケースでは、携帯端末50の通常Wi−FiWSI及びWFDWSIのいずれもメモリ74に記憶されていない(図4のS31でNO)。また、携帯端末50は、無線LANに所属しておらず(図4のS33でNO)、セルラーNWに所属している(図4のS38でYES)。このために、携帯端末50は、第2の選択処理を実行する(S160)。
第2の選択処理(図6)では、CP及びEPに比べて、DPが優先される。応答データがDPOK及びCPOKを示す情報を含むために、携帯端末50は、MFP10Bが実行可能な2個の印刷機能(即ち、DP、CP)の中から、DPを選択する(図6のS162)。携帯端末50は、NFC接続を利用して、DPを示す選択結果をMFP10Bに送信する(図3のS50)。
MFP10Bは、DPを示す選択結果を受信すると(図7のS104)、送信先情報を準備する(図7のS110)。具体的に言うと、通常Wi−Fi印刷OKを示す情報がメモリ34に記憶されているために(図11のS112でYES)、MFP10Bは、MFP10Bの通常Wi−FiWSIに含まれる各情報(SSID「X1」、BSSID「Y1」、及び、MFP10AのIPアドレス「IP1」)を、送信先情報として準備する(S113)。また、WFD印刷OKを示す情報がメモリ34に記憶されているために(S114でYES)、MFP10Bは、自発的にG/O状態に移行して、WFDWSIを生成し、当該WFDWSIに含まれる各情報(SSID「X3」、BSSID「Y3」、MFP10AのIPアドレス「IP3」、パスワード「PW」)を、送信先情報として準備する(S115)。なお、MFP10BがG/O機器であるために、WFDWSIは、パスワードを含む。さらに、BT印刷OKを示す情報がメモリ34に記憶されているために(S116でYES)、MFP10Bは、MFP10BのBTWSIを、送信先情報として準備する(S117)。MFP10Bは、送信先情報を携帯端末50に送信する(図7のS130)。
携帯端末50は、MFP10Bから送信先情報を受信すると(図3のS52)、MFP10A及び携帯端末50が同一のNWに所属していないので、通常Wi−FiNWを利用して印刷データを送信することができないと判断する(S54)。携帯端末50は、送信先情報に含まれるWFDWSI及びBTWSIのうち、通信速度が速いWFD通信に対応するWFDWSIを優先的に利用すること(即ちWFDNWを利用して印刷データを送信すること)を決定する。即ち、携帯端末50は、MFP10BがG/O機器であるWFDNWに参加するための接続要求を、無線LANI/F60を介して、MFP10Bに送信する(S54)。これにより、MFP10B及び携帯端末50の間に無線接続が確立され、携帯端末50は、CL機器としてWFDNWに参加することができる。携帯端末50は、無線LANI/F60を介して、印刷データをMFP10Bに送信する。これにより、携帯端末50は、WFDNWを利用して、他機器を介さずに、印刷データをMFP10Bに送信することができる。
上述したように、携帯端末50は、無線LANに所属しておらず、セルラーNWに所属している場合に、MFP10Aが実行可能な2個の印刷機能(即ち、DP、CP)の中から、DPを適切に選択することができる。これにより、携帯端末50がセルラーNWではなくWFDNWを利用するので、印刷データの通信が課金の対象にならない。
(対応関係)
携帯端末50、MFP10が、それぞれ、「端末装置」、「第1の機能実行装置」の一例である。図12のケースAでは、DP、EP、及び、CPの3個の通信方式が、「M1個の通信方式」の一例であり、DPが、「特定の通信方式」の一例である。図13のケースBでは、DP及びCPの2個の通信方式が、「M1個の通信方式」の一例であり、CPが、「特定の通信方式と」の一例である。図14のケースCでは、DP及びCPの2個の通信方式が、「M1個の通信方式」の一例であり、DPが、「特定の通信方式」の一例である。
なお、図12のケースAのMFP10A、図13のケースBのMFP10Bが、「第1の機能実行装置」、「第2の機能実行装置」の一例であると考えることもできる。この場合、ケースBでは、DP及びCPの2個の通信方式が、「M2個の通信方式」の一例であり、CPが、「特定の通信方式とは異なる通信方式」の一例である。
NFCI/F62、無線LANI/F60が、それぞれ、「第1のインターフェース」、「第2のインターフェース」の一例である。図12のケースAの応答データ、ケースBの応答データが、それぞれ、「第1の情報」、「第2の情報」の一例である。CP、DP、印刷用CSI、確認サーバ130が、それぞれ、「第1の通信方式」、「第2の通信方式」、「第1の通信設定情報」、「サーバ」の一例である。ケースAの通常Wi−FiNWが、「特定のローカルエリアネットワーク」の一例である。ケースAの応答データに含まれる情報(即ち、DPOK、EPOK、CPOK)が、「第1のデータ」の一例である。また、ケースAにおいて、仮に、印刷用CSIがMFP10Aに記憶されていないと(図10のS92でNO)、応答データは、DPOK、EPOK、及び、CPNGを示す。また、ケースAにおいて、仮に、MFP10Aが確認サーバ130と通信不可能であると(図10のS93でNO)、応答データは、DPOK、EPOK、及び、CPNGを示す。これらのケースの応答データに含まれる情報(即ち、DPOK、EPOK、CPNG)が、「第2のデータ」の一例である。
図3のS12の処理、S30の処理、S50の処理、S52の処理が、S54の処理が、それぞれ、「端末装置」の「第1の受信部」、「選択部」、「第2の送信部」、「第2の受信部」、「第1の送信部」によって実行される処理の一例である。
(第2実施例)
第1実施例と異なる点を説明する。本実施例でも、携帯端末50は、携帯端末50によって選択される通信方式に従って、印刷データをMFP10に送信する。第1実施例では、MFP10は、選択結果を受信した後に、送信先情報を携帯端末50に送信するが、本実施例では、MFP10は、送信先情報を含む応答データを携帯端末50に送信する。
(携帯端末50のアプリケーション処理;図15)
図15を参照して、本実施例のMFP用アプリケーションによって実現される処理の内容を説明する。S10は、図3のS10と同様である。S12−2では、CPU72は、MFP10から、NFCI/F62を介して、送信先情報を含む応答データを受信する。
上述したように、第1実施例では、図3のS52において、選択結果が示す印刷機能(即ち、DP、EP、又は、CP)に対応する1個の送信先情報のみが受信される。例えば、選択結果がEPである場合には、EPに対応する送信先情報(即ちEメールアドレス)のみが受信され、DPに対応する送信先情報(即ち通常Wi−FiWSI等)と、CPに対応する送信先情報(即ち印刷用CSI)と、が受信されない。
これに対し、本実施例では、S12−2で受信される応答データは、MFP10が実行可能な1個以上の印刷機能(DP、EP、CP)に対応する1個以上の送信先情報の全てを含む。例えば、MFP10が、DPOK、EPOK、及び、CPOKである場合には、DPに対応する送信先情報(即ち通常Wi−FiWSI等)と、EPに対応する送信先情報(即ちEメールアドレス)と、CPに対応する送信先情報(即ち印刷用CSI)と、の3個の送信先情報が受信される。
このように、本実施例においては、CPU72は、機能要求の送信(S10)及びDPOK等の応答データの受信(S12−2)という一往復の通信を実行する。即ち、CPU72は、1回のNFC接続において、一往復の通信を実行する。S12−2を終えると、NFC接続が切断される。
S30は、図3のS30と同様である。次いで、S54では、CPU72は、S12−2で受信される1個以上の送信先情報のうち、S30の機能選択処理の選択結果に対応する送信先情報を利用して、印刷データをMFP10に送信する。
例えば、S12−2において、3個の送信先情報の全てが受信される状況を想定する。選択結果がEPである場合には、CPU72は、3個の送信先情報のうち、EPに対応する送信先情報(即ちEメールアドレス)を利用して、印刷データを含むEメールを送信する。また、選択結果がCPである場合には、CPU72は、3個の送信先情報のうち、CPに対応する送信先情報(即ち印刷用CSI)を利用して、印刷データを印刷CLサーバ140に送信する。また、選択結果がDPである場合には、CPU72は、3個の送信先情報のうち、DPに対応する送信先情報(即ち通常Wi−FiWSI等)を利用して、印刷データをMFP10に送信する。なお、選択結果がDPである場合に、MFP10及び携帯端末50の両方が所属しているNWが優先的に利用される点は、第1実施例と同様である。
上述したように、本実施例では、携帯端末50は、MFP10から送信先情報を含む応答データを受信することができるために、当該送信先情報を利用して、印刷データをMFP10に送信することができる。従って、第1実施例のように、携帯端末50は、選択結果をMFP10に送信せずに済み、MFP10は、選択結果に対応する送信先情報を携帯端末50に送信せずに済む。このために、携帯端末50からMFP10への印刷データの送信を迅速に実行することができる。
(MFP10の処理;図16)
図16を参照して、本実施例のMFP10が実行する処理の内容を説明する。S60〜S90は、図7のS60〜S90と同様である。S210では、CPU32は、送信先情報準備処理を実行する。送信先情報準備処理の内容については、後で詳しく説明する。次いで、S100−2では、CPU32は、S210で準備された送信先情報を含む応答データを生成する。S102、S132、S134は、図7のS102、S132、S134と同様である。
(送信先情報準備処理;図17)
図17を参照して、図16のS210の送信先情報準備処理の内容を説明する。S302〜S307は、図11のS112〜S117と同様である。S308では、CPU32は、図16のS80(図9参照)でEPOKを示す情報がメモリ34に記憶されたのか否かを判断する。CPU32は、EPOKを示す情報がメモリ34に記憶されている場合には、S308でYESと判断し、S309に進み、EPNGを示す情報がメモリ34に記憶されている場合には、S308でNOと判断し、S310に進む。S309は、図11のS119と同様である。
S310では、CPU32は、図16のS90(図10参照)でCPOKを示す情報がメモリ34に記憶されたのか否かを判断する。CPU32は、CPOKを示す情報がメモリ34に記憶されている場合には、S310でYESと判断し、S311に進み、CPNGを示す情報がメモリ34に記憶されている場合には、S310でNOと判断し、送信先情報準備処理を終了する。S311は、図11のS120と同様である。
図17の送信先情報準備処理では、MFP10が実行可能な1個以上の印刷機能(DP、EP、CP)に対応する1個以上の送信先情報の全てが準備される。例えば、MFP10が、DPOK、EPOK、及び、CPOKである場合には、DPに対応する送信先情報(S303、S305、S307)と、EPに対応する送信先情報(S309)と、CPに対応する送信先情報(S311)と、の3個の送信先情報が準備される。
(具体的なケース;図18)
図18を参照して、図15及び図16の各処理によって実現される具体的なケースを説明する。MFP10Cは、通常Wi−Fi印刷、BT印刷、EP、及び、CPを実行可能であるが、WFD印刷を実行不可能である。また、MFP10C及び携帯端末50は、AP100によって形成されている通常Wi−FiNW(SSID「X1」、BSSID「Y1」)に所属している。
本ケースでは、MFP10Cから携帯端末50に送信される応答データは、DPOKを示す情報、EPOKを示す情報、及び、CPNGを示す情報のみならず、DPに対応する送信先情報(即ち、「X1、Y1、IP1」、「BTWSI」)と、EPに対応する送信先情報(即ち、MFP10のメールアドレス「E1」)と、CPに対応する送信先情報(即ち、「印刷用CSI」)と、を含む(図16のS210)。即ち、応答データは、3個の送信先情報を含む。
その後、図12のケースAと同様に、携帯端末50は、MFP10Cが実行可能な3個の印刷機能(即ち、DP、EP、CP)の中から、DPを選択する(図15のS30)。そして、携帯端末50は、応答データに含まれる3個の送信先情報のうち、DPに対応する送信先情報を利用して、印刷データをMFP10Cに送信する(図15のS54)。より具体的に言うと、携帯端末50は、MFP10C及び携帯端末50の両方が所属している通常Wi−FiNWを優先的に利用することを決定する(即ち、通常Wi−FiWSIを優先的に利用することを決定する)この結果、携帯端末50は、AP100を介して、印刷データをMFP10Cに送信することができる。なお、図18のケースでは、応答データに含まれる上記の3個の送信先情報が、「M1個の送信先情報」の一例である。
(第3実施例)
第2実施例と異なる点を説明する。本実施例では、携帯端末50は、後述の機能確認処理(図15のS400)を実行して、携帯端末50が選択可能な印刷機能の種類を限定することができる。
(携帯端末50のアプリケーション処理;図15)
本実施例では、S12−2で受信される応答データは、さらに、MFP10の機器IDを含む(図16のS100−2参照)。機器IDは、MFP10のベンダによってMFP10に割り当てられているユニークなIDである。次いで、CPU72は、S400の機能確認処理を実行する。詳しくは後述するが、機能確認処理では、応答データに記述されている情報(DPOK、EPOK、CPOK)が変更され得る(図19参照)。このために、S30の機能選択処理で選択される印刷機能の種類、即ち、携帯端末50が選択可能な印刷機能の種類が限定され得る。他の処理は、第2実施例と同様である。
(携帯端末50の機能確認処理;図19)
図19を参照して、図15のS400の機能確認処理を説明する。S402では、CPU72は、DPOKを示す情報が応答データに含まれるのか否かを判断する。CPU72は、DPOKを示す情報が応答データに含まれる場合には、S402でYESと判断し、S404に進む。一方において、CPU72は、DPNGを示す情報が応答データに含まれる場合には、S402でNOと判断し、S412に進む。
S404では、CPU72は、MFP10及び携帯端末50が同一の通常Wi−FiNW又は同一のWFDNWに所属しているのか否かを判断する。CPU72は、携帯端末50の通常Wi−FiWSI及びWFDWSIのいずれもメモリ74に記憶されていない場合には、S404でNOと判断し、S406に進む。
CPU72は、携帯端末50の通常Wi−FiWSIがメモリ74に記憶されている場合には、当該通常Wi−FiWSIに含まれる通常Wi−Fi用SSID及び通常Wi−Fi用BSSIDのセットに一致するSSID及びBSSIDのセット(以下では「第1のセット」と呼ぶ)が応答データに含まれているのか否を判断する。CPU72は、第1のセットが応答データに含まれている場合には、S404でYESと判断し、S412に進み、第1のセットが応答データに含まれていない場合には、S404でNOと判断し、S406に進む。
また、CPU72は、携帯端末50のWFDWSIがメモリ74に記憶されている場合には、当該WFDWSIのWFD用SSID及びWFD用BSSIDのセットに一致するSSID及びBSSIDのセット(以下では「第2のセット」と呼ぶ)が応答データに含まれているのか否かを判断する。CPU72は、第2のセットが応答データに含まれている場合には、S404でYESと判断し、S412に進み、第2のセットが応答データに含まれていない場合には、S404でNOと判断し、S406に進む。
S406では、CPU72は、MFP10のWFDWSIのパスワードが応答データに含まれているのか否かを判断する。上述したように、MFP10がG/O状態である場合には、応答データは、MFP10のWFDWSIのパスワードを含む(図17のS305参照)。CPU72は、当該パスワードが応答データに含まれている場合には、S406でYESと判断し、S412に進み、当該パスワードが応答データに含まれていない場合には、S406でNOと判断し、S408に進む。
S408では、CPU72は、MFP10のBTWSIが応答データに含まれているのか否かを判断する。CPU72は、当該BTWSIが応答データに含まれている場合には、S408でYESと判断し、S412に進み、当該BTWSIが応答データに含まれていない場合には、S408でNOと判断し、S410に進む。
S404、S406、及び、S408のいずれもNOと判断される場合には、MFP10及び携帯端末50の両方が所属しているLANが実現されないために、MFP10及び携帯端末50は、ダイレクト方式の通信方式を利用して、印刷データを通信することができない。このために、S410では、CPU72は、図15のS12−1で受信された応答データに含まれるDPOKを示す情報を、DPNGを示す情報に変更する。これにより、図15のS30において、CPU72は、DPを選択することができない。S410が終了すると、S412に進む。
S412では、CPU72は、EPOKを示す情報が応答データに含まれるのか否かを判断する。CPU72は、EPOKを示す情報が応答データに含まれる場合には、S412でYESと判断し、S414に進む。一方において、CPU72は、EPNGを示す情報が応答データに含まれる場合には、S412でNOと判断し、S418に進む。
S414では、CPU72は、Eメールを送信するためのESIである送信用ESIがメモリ74に記憶されているのか否かを判断する。CPU72は、送信用ESIがメモリ74に記憶されている場合には、S414でYESと判断し、S418に進み、送信用ESIがメモリ74に記憶されていない場合には、S414でNOと判断し、S416に進む。
S416でNOと判断される場合には、携帯端末50がEメールを送信することができないために、MFP10及び携帯端末50は、Eメール方式の通信方式を利用して、印刷データを通信することができない。このために、S416では、CPU72は、図15のS12−1で受信された応答データに含まれるEPOKを示す情報を、EPNGを示す情報に変更する。これにより、図15のS30において、CPU72は、EPを選択することができない。S416が終了すると、S418に進む。
S418では、CPU72は、CPOKを示す情報が応答データに含まれるのか否かを判断する。CPU72は、CPOKを示す情報が応答データに含まれる場合には、S418でYESと判断し、S420に進む。一方において、CPU72は、CPNGを示す情報が応答データに含まれる場合には、S418でNOと判断し、機能確認処理を終了する。
上述したように、図15のS12−2で受信される応答データは、MFP10の機器IDを含む。S420では、CPU72は、無線LANI/F60又は他のI/F(例えばセルラーNWI/F66)を介して、MFP10の機器IDを含む問い合わせ信号を確認サーバ130に送信する。
確認サーバ130は、MFP10の機器IDを含む問い合わせ信号を受信すると、MFP10と印刷CLサーバ140との間に接続が確立されているのか否かを判断する。例えば、確認サーバ130は、MFP10の機器IDを印刷CLサーバ140に供給して、印刷CLサーバ140から上記の接続の有無を示す情報を取得する。そして、確認サーバ130は、取得済みの情報に応じて、接続又は非接続を示す問い合わせ結果をMFP10に送信する。
S422では、CPU72は、確認サーバ130から受信される問い合わせ結果が接続を示すのか否かを判断する。CPU72は、問い合わせ結果が接続を示す場合には、S422でYESと判断し、機能確認処理を終了し、問い合わせ結果が非接続を示す場合には、S422でNOと判断し、S424に進む。
本実施例では、MFP10は、印刷CLサーバ140から印刷データを受信するためには、印刷CLサーバ140に常時接続されていなければならない。従って、S422でNOと判断される場合には、MFP10が印刷CLサーバ140から印刷データを受信することができないために、MFP10及び携帯端末50は、クラウド方式の通信方式を利用して、印刷データを通信することができない。このために、S424では、CPU72は図15のS12−1で受信された応答データに含まれるCPOKを示す情報を、CPNGを示す情報に変更する。これにより、図15のS30において、CPU72は、CPを選択することができない。S424が終了すると、機能確認処理が終了する。
(具体的なケース;図20)
図20を参照して、図15(特にS400)及び図16の各処理によって実現される具体的なケースを説明する。MFP10Dは、通常Wi−Fi印刷、BT印刷、EP、及び、CPを実行可能であり、WFD印刷を実行不可能である。MFP10D及び携帯端末50は、AP100によって形成されている通常Wi−FiNW(SSID「X1」、BSSID「Y1」)に所属している。
本ケースでは、MFP10Dから携帯端末50に送信される応答データは、MFP10Dの機器IDと、DPOKを示す情報と、EPOKを示す情報と、CPOKを示す情報と、DPに対応する送信先情報(即ち、「X1、Y1、IP1」、「BTWSI」)と、EPに対応する送信先情報(即ち、MFP10Dのメールアドレス「E1」)と、CPに対応する送信先情報(即ち、印刷用CSI)と、を含む(図16のS210、S100−2)。
次いで、携帯端末50は、機能確認処理(図15のS400)を実行する。携帯端末50が所属している通常Wi−FiNWの「X1」及び「Y1」のセットに一致するSSID及びBSSIDのセットが応答データに含まれているために(図19のS404でYES)、携帯端末50は、DPOKを示す情報を、DPNGを示す情報に変更しない。
本ケースでは、Eメールの送信を実行するための送信用ESIが、携帯端末50のメモリ74に記憶されていないために(図19のS414でNO)、携帯端末50は、EPOKを示す情報を、EPNGを示す情報に変更する(S416)。
携帯端末50は、MFP10Dの機器IDを含む問い合わせ信号を確認サーバ130に送信して、確認サーバ130から問い合わせ結果を取得する(図19のS422)。本ケースでは、印刷用CSIがMFP10Dのメモリ34に記憶されているが、MFP10Dは、印刷CLサーバ140に接続されていない。例えば、印刷用CSIに含まれる認証情報の有効期限が切れている場合には、MFP10Dが印刷CLサーバ140に接続不可能な事象が発生し得る。この場合、携帯端末50は、図19のS422でNOと判断し、CPOKを示す情報を、CPNGを示す情報に変更する(S424)。
上述したように、MFP10Dから受信される応答データは、DPOK、EPOK、及び、CPOKを示す情報を含む。しかしながら、機能確認処理(図15のS400)において、応答データは、DPOKを示す情報と、EPNG及びCPNGを示す情報と、に変更される。この結果、携帯端末50は、MFP10Dが実行可能な3個の印刷機能(即ち、DP、EP、CP)の中から、DPを選択する。そして、携帯端末50は、通常Wi−FiNWを優先的に利用して、AP100を介して、印刷データをMFP10Dに送信する(図15のS54)。
本実施例によると、携帯端末50からMFP10Dへの印刷データの送信に利用不可能な通信方式(図20のケースではEP及びCP)が、携帯端末50によって選択されるのを抑制することができる。本実施例では、MFP10D及び携帯端末50は、携帯端末50によって選択される通信方式(図20のケースではDP)を利用して、印刷データの通信を適切に実行することができる。
(対応関係)
図20のケースでは、応答データに含まれるSSID「X1」及びBSSID「Y1」が、「識別情報」の一例である。CP、DP、EPが、それぞれ、「第1の通信方式」、「第2の通信方式」、「第3の通信方式」の一例である。応答データに含まれる情報(即ち、DPOK、EPOK、CPOK)が、「第3のデータ」及び「第4のデータ」の一例である。図19のS404の処理、S414の処理が、それぞれ、「端末装置」の「第1の判断部」、「第2の判断部」によって実行される処理の一例である。S414の判断対象である送信用ESIが、「第2の無線設定情報」の一例である。
(第4実施例)
第1実施例とは異なる点を説明する。本実施例では、携帯端末50が機能選択処理を実行せず、MFP10が機能選択処理を実行する。
(携帯端末50のアプリケーション処理;図21)
図21を参照して、本実施例のMFP用アプリケーションによって実現される処理の内容を説明する。S10−4で送信される機能要求は、携帯端末50が無線LANに所属しているか否かを示す情報と、携帯端末50がセルラーNWに所属しているか否かを示す情報と、を含む。携帯端末50が無線LANに所属している場合(即ち、通常Wi−FiWSI又はWFDWSIがメモリ74に記憶されている場合)には、機能要求は、さらに、当該無線LANのSSID及びBSSIDのセットを含む。MFP10は、これらの情報を利用して、後述の機能選択処理(図22のS30)を実行することができる。
S12−4で受信される応答データは、MFP10によって実行される機能選択処理の選択結果(即ち、DP、EP、又は、CP)と、選択結果に対応する送信先情報と、を含む。次いで、S54において、CPU72は、選択結果に対応する送信先情報を利用して、選択結果に対応する通信方式に従って、印刷データをMFP10に送信する。
(MFPの処理;図22)
図22を参照して、本実施例のMFP10が実行する処理の内容を説明する。S60〜90は、図7のS60〜90と略同様である。ただし、上述したように、S60で受信される機能要求は、携帯端末50が無線LANに所属しているか否かを示す情報と、携帯端末50がセルラーNWに所属しているか否かを示す情報と、を含む。また、機能要求は、携帯端末50が所属している無線LANのSSID及びBSSIDのセットを含み得る。また、S70では、CPU32は、通常Wi−Fi印刷、WFD印刷、及び、BT印刷のうちの少なくとも1つがOKである場合には、DPOKを示す情報をメモリ34に記憶させ、それらの全てがNGである場合には、DPNGを示す情報をメモリ34に記憶させる。
S30では、CPU32は、機能選択処理を実行する。本実施例の機能実行処理は、実行主体がCPU32である点を除いて、第1実施例の機能実行処理と同様である(図3のS30、図4〜図6参照)。なお、CPU32は、SSID及びBSSIDのセットが機能要求に含まれる場合には、当該セットを利用して、図4のS31の処理を実行する。また、CPU32は、機能要求に含まれる各情報(即ち、携帯端末50が無線LANに所属しているか否かを示す情報、携帯端末50がセルラーNWに所属しているか否かを示す情報)を利用して、図4のS33及びS38の処理を実行する。
図22のS110は、図7のS110(即ち図11)と同様である。S100−4で送信される応答データは、S30の機能選択処理の選択結果と、S110で準備された送信先情報と、を含む。S102、S132、S134は、それぞれ、図7のS102、S132、S134と同様である。
(具体的なケース;図23)
図23を参照して、図21及び図22の各処理によって実現される具体的なケースを説明する。MFP10Eは、通常Wi−Fi印刷、BT印刷、EP、及び、CPを実行可能であるが、WFD印刷を実行不可能である。MFP10D及び携帯端末50は、AP100によって形成されている通常Wi−FiNW(SSID「X1」、BSSID「Y1」)に所属している。なお、携帯端末50は、セルラーNWに所属していない。
本ケースでは、携帯端末50からMFP10Eに送信される機能要求は、携帯端末50が無線LANに所属していることを示す情報と、携帯端末50がセルラーNWに所属していないことを示す情報と、携帯端末50が所属している通常Wi−FiNWのSSID「X1」及びBSSID「Y1」のセットと、を含む(図21のS10−4)。
MFP10Eは、携帯端末50から機能要求を受信すると(図22のS60)、各機能確認処理を実行して(図22のS70〜90)、DPOKを示す情報と、EPOKを示す情報と、CPOKを示す情報と、をメモリ34に記憶させる。
本ケースでは、MFP10Eの通常Wi−FiWSIに含まれるSSID「X1」及びBSSID「Y1」のセットに一致するSSID及びBSSIDのセットが機能要求に含まれるために(図4のS31でYES)、MFP10Eは、MFP10Eが実行可能な3個の印刷機能(即ち、DP、EP、CP)の中から、DPを選択する(図4のS32)。
MFP10Eから携帯端末50に送信される応答データは、DPを示す選択結果のみならず、通常Wi−FiWSI(即ち、「X1、Y1、IP1」)と、BTWSIと、を含む(図22のS102)。携帯端末50は、通常Wi−FiNWを優先的に利用して、AP100を介して、印刷データをMFP10Dに送信する(図21のS54)。
(対応関係)
図23のケースでは、DP、EP、及び、CPが、「M1個の通信方式」の一例であり、DPが、「特定の通信方式」の一例である。図22のS30の処理、S102の処理、S132の処理が、それぞれ、「機能実行装置」の「選択部」、「送信部」、「第1の受信部」によって実行される処理の一例である。
(第5実施例)
第4実施例と異なる点を説明する。本実施例では、MFP10は、図8とは異なるフローチャートに従って、図22のS70のDP機能確認処理を実行する。
(DP機能確認処理;図24)
図24を参照して、図22のS70のDP機能確認処理について説明する。S700、S702は、図8のS71、S73と同様である。なお、S700の判断でYESの場合には、S704に進み、S700の判断でNOの場合には、S702に進む。また、S702を終えると、S720に進む。S704では、CPU32は、MFP10及び携帯端末50が同一の通常Wi−FiNWに所属しているのか否かを判断する。CPU32は、MFP10の通常Wi−FiWSIがメモリ34に記憶されていない場合には、S704でNOと判断し、S708に進む。
CPU32は、MFP10の通常Wi−FiWSIがメモリ34に記憶されている場合には、当該通常Wi−FiWSIに含まれる通常Wi−Fi用SSID及び通常Wi−Fi用BSSIDのセットに一致するSSID及びBSSIDのセット(以下では「第3のセット」と呼ぶ)が機能要求に含まれているのか否かを判断する。CPU32は、第3のセットが機能要求に含まれている場合には、S704でYESと判断し、S706に進み、第3のセットが機能要求に含まれていない場合には、S704でNOと判断し、S708に進む。
S706では、CPU32は、通常Wi−Fi印刷OKを示す情報をメモリ34に記憶させる。また、S708では、CPU32は、通常Wi−Fi印刷NGを示す情報をメモリ34に記憶させる。S706又はS708が終了すると、S710に進む。
S710、S718は、図8のS74、S76と同様である。なお、S710の判断でYESの場合には、S712に進み、S710の判断でNOの場合には、S718に進む。また、S718を終えると、S720に進む。S712では、CPU32は、MFP10の現在の状態がCL状態であるのか否かを判断する。CPU32は、MFP10の現在の状態がCL状態である場合には、S712でYESと判断し、S714に進み、MFP10の現在の状態がG/O状態又はデバイス状態である場合には、S712でNOと判断し、S716に進む。
S714では、CPU32は、MFP10及び携帯端末50が同一のWFDNWに所属しているのか否かを判断する。CPU32は、MFP10のWFDWSIがメモリ34に記憶されている場合には、当該WFDWSIに含まれるWFD用SSID及びWFD用BSSIDのセットに一致するSSID及びBSSIDのセット(以下では「第4のセット」と呼ぶ)が機能要求に含まれているのか否かを判断する。CPU32は、第4のセットが機能要求に含まれている場合には、S714でYESと判断し、S716に進み、第4のセットが機能要求に含まれていない場合には、S714でNOと判断し、S718に進む。S716〜S724は、図8のS75〜S79と同様である。
MFP10及び携帯端末50が同一の通常Wi−FiNWに所属していない場合には、MFP10及び携帯端末50は、通常Wi−Fi方式を利用して、印刷データの通信を実行することができない。何故なら、MFP10の通常Wi−FiWSIに含まれるパスワードがMFP10から携帯端末50に送信されないので(図17のS303)、携帯端末50が、MFP10が所属している通常Wi−FiNWに参加することができないからである。従って、本実施例では、MFP10は、MFP10が通常Wi−Fi印刷機能を有していても、MFP10及び携帯端末50が同一の通常Wi−FiNWに所属していない場合(S704でNO)には、通常Wi−Fi印刷NGをメモリ34に記憶させる(S708)。
MFP10がCL状態であり、かつ、MFP10及び携帯端末50が同一のWFDNWに所属していない場合には、MFP10及び携帯端末50は、WFD方式を利用して、印刷データの通信を実行することができない。何故なら、MFP10のWFDWSIに含まれるパスワードがMFP10から携帯端末50に送信されないので(図17のS305の「MFP=CL」の場合参照)、携帯端末50が、MFP10が所属しているWFDNWに参加することができないからである。従って、本実施例では、MFP10は、MFP10がWFD印刷機能を有していても、MFP10がCL状態であり、かつ、MFP10及び携帯端末50が同一のWFDNWに所属していない場合(S714でNO)には、WFD印刷NGをメモリ34に記憶させる(S718)。
このように、本実施例では、MFP10は、MFP10及び携帯端末50の状況に応じて、通常Wi−Fi印刷に関する情報(OK又はNG)、及び、WFD印刷に関する情報(OK又はNG)を、メモリ34に適切に記憶させることができる。この結果、図22のS30において、MFP10は、DPに関する選択を適切に実行することができる。
(具体的なケース;図25)
図25を参照して、図21及び図22(特にS70(図24))の各処理によって実現される具体的なケースを説明する。MFP10Fは、AP100によって形成されている通常Wi−FiNW(SSID「X1」、BSSID「Y1」)に所属している。また、MFP10Fは、PC110によって形成されているWFDNW(SSID「X3」、BSSID「Y3」)に、CL機器として所属している。MFP10Fは、EPを実行可能であるが、BT印刷及びCPを実行不可能である。携帯端末50は、無線LANに所属していないが、セルラーNWに所属している。
本ケースでは、携帯端末50からMFP10Fに送信される機能要求は、携帯端末50が無線LANに所属していないことを示す情報と、携帯端末50がセルラーNWに所属していることを示す情報と、を含む。
MFP10Fの通常Wi−FiWSIに含まれる通常Wi−Fi用SSID「X1」及び通常Wi−Fi用BSSID「Y1」のセットに一致するセットが、機能要求に含まれていないために(図24のS704でNO)、MFP10Fは、通常Wi−Fi印刷NGを示す情報をメモリ34に記憶させる(S708)。また、MFP10FがCL状態であり(S712でYES)、さらに、MFP10FのWFDWSIに含まれるWFD用SSID「X3」及びWFD用BSSID「Y3」のセットに一致するセットが、機能要求に含まれていないために(S714でNO)、MFP10Fは、WFD印刷NGを示す情報をメモリ34に記憶させる(S718)。また、MFP10FがBT印刷を実行不可能であるために(S720でNO)、MFP10Fは、BT印刷NGを示す情報をメモリ34に記憶させる(S724)。
通常Wi−Fi印刷、WFD印刷、及び、BT印刷のいずれもNGになるので、MFP10Fは、DPNGを示す情報をメモリ34に記憶させる。このように、MFP10Fは、通常Wi−Fi印刷及びWFD印刷を実行可能であるにも関わらず、DPNGを示す情報をメモリ34に記憶させる。従って、MFP10Fは、後述の第2の選択処理(図6参照)において、印刷データの通信を実行不可能であるDPを選択しない。
MFP10Fは、EPを実行可能であるために、EPOKを示す情報をメモリ34に記憶させる(図9のS83)。また、MFP10Fは、CPを実行可能であるために、CPOKを示す情報をメモリ34に記憶させる(図10のS94)。
上述したように、機能要求は、セルラーNWに所属していることを示す情報を含む。このために、MFP10Fは、図4のS38でYESと判断して、第2の選択処理を実行する(S160)。そして、MFP10Fは、MFP10Fが実行可能な2個の印刷機能(EP、CP)の中から、CPを選択する(図6のS163でYES)。MFP10Fは、CPを示す選択結果と、CPに対応する送信先情報である印刷用CSIと、を含む応答データを携帯端末50に送信する(図22のS102)。
携帯端末50は、MFP10から応答データを受信すると(図21のS12−4)、応答データに含まれる印刷用CSIを利用して、セルラーNWI/F66を介して、印刷データを印刷CLサーバ140に送信する。これにより、印刷データが、印刷CLサーバ140を介して、MFP10Fに送信される。
(対応関係)
図25のケースでは、DPが、「第2の通信方式」の一例である。そして、EP及びCPが、「第2の通信方式を含まないM1個の通信方式」の一例である。図22のS60の処理が、「機能実行装置」の「第2の受信部」によって実行される処理の一例であり、図24のS704及び714の処理が、「機能実行装置」の「判断部」によって実行される処理の一例である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
(変形例1)
図10のS93では、MFP10のCPU32は、MFP10がインターネット上の確認サーバ130と通信可能であるか否かを判断することによって、CPOKを示す情報又はCPNGを示す情報をメモリ34に記憶させる。これに代えて、CPU32は、MFP10がAP100と接続されている場合(即ち通常Wi−FiWSIがメモリ34に記憶されている場合)には、S93でYESと判断し、MFP10がAP100と接続されていない場合(即ち通常Wi−FiWSIがメモリ34に記憶されていない場合)には、S93でNOと判断してもよい。AP100は、通常、無線LANとインターネットとの間の通信を中継する機能を備える。このために、MFP10がAP100と接続されている場合には、MFP10は、通常、インターネット通信を実行可能である。従って、CPU32は、MFP10がAP100と接続されている否かを判断することによって、MFP10がインターネット通信を実行可能であるか(即ち印刷CLサーバ140と通信可能であるのか否か)を適切に判断することができる。
(変形例2)
図3のS12において、携帯端末50のCPU72は、DPOK等を示す情報を含む応答データを受信する代わりに、MFP10の機器ID又はモデル名を含む応答データを受信してもよい。この場合、CPU72は、MFP10の機器ID又はモデル名を含む問い合わせ信号を確認サーバ130に送信して、確認サーバ130から問い合わせ結果を受信する。確認サーバ130は、MFP10の機器ID又はモデル名に対応付けて、MFP10がいずれの印刷機能(DP、EP、CP)を実行可能であるのかを示す情報を記憶している。当該情報は、MFP10のベンダによって確認サーバ130に予め記憶されている。例えば、ベンダは、MFP10がEP機能及びCP機能を有していない場合には、MFP10の機器ID又はモデル名に対応付けて、DPOK、EPNG、及び、CPNGを示す情報を確認サーバ130に記憶させる。確認サーバ130は、携帯端末50から、MFP10の機器ID又はモデル名を含む問い合わせ信号を受信する場合に、MFP10がいずれの印刷機能(DP、EP、CP)を実行可能であるのかを示す情報を含む問い合わせ結果を、携帯端末50に送信する。携帯端末50のCPU72は、問い合わせ結果に応じて、図3のS30で印刷機能を選択する。本変形例でも、CPU72は、MFP10が実行可能な印刷機能を選択することができる。本変形例では、MFP10の機器ID又はモデル名が、「第1の情報」の一例である。
(変形例3)
変形例2において、確認サーバ130は、さらに、MFP10の機器ID又はモデル名に対応付けて、MFP10が実行可能な印刷条件(例えば、MFP10が利用可能な用紙サイズ、MFP10が利用可能な印刷解像度の範囲等)を記憶していてもよい。そして、確認サーバ130は、携帯端末50から、MFP10の機器ID又はモデル名を含む問い合わせ信号を受信する場合に、MFP10がいずれの印刷機能(DP、EP、CP)を実行可能であるのかを示す情報と、MFP10が実行可能な印刷条件を示す情報と、を含む問い合わせ結果を、携帯端末50に送信する。携帯端末50のCPU72は、問い合わせ結果に応じて、問い合わせ結果に含まれる印刷条件を示す表示用データを生成して、表示用データを表示機構54に供給する。これにより、ユーザは、印刷条件を選択することができる。
そして、図3のS50では、CPU72は、CPU72によって選択される印刷機能(例えば「DP」)のみならず、ユーザによって選択される印刷条件(例えば、用紙サイズ「A4」、印刷解像度「200Dpi」)を示す選択結果を、MFP10に送信してもよい。そして、図7のS134では、MFP10のCPU32は、携帯端末50による選択結果が示す印刷条件に従って、印刷処理を実行してもよい。
(変形例4)
「第1のインターフェース」は、NFCI/F62に限られず、例えば、Transfer Jetの無線通信を実行するためのTJI/Fであってもよい。なお、Transfer Jetの無線通信の通信速度の高速化が図れられた場合には、無線LANI/F60を介した無線通信の通信速度は、TJI/Fを介した無線通信の通信速度よりも遅くてもよい。即ち、「第2のインターフェース」を介した無線通信の通信速度は、「第1のインターフェース」を介した無線通信の通信速度よりも速くてもよいし遅くてもよい。一般的に言うと、「第2のインターフェース」を介した無線通信の通信可能範囲が、「第1のインターフェース」を介した無線通信の通信可能範囲よりも大きければよい。
(変形例5)
「機能実行装置」は、MFP10に限られず、印刷機能を実行可能な他の通信装置(プリンタ、FAX装置、コピー機等)であってもよい。
(変形例6)
上記の各実施例では、MFP10と携帯端末50とがWFD通信を行うことで、無線ネットワークを形成する。これに代えて、MFP10のCPU32は、いわゆるSoftAPを起動させることによって、MFP10がAPとして動作する無線ネットワークを形成してもよい。
(変形例7)
上記の各実施例では、新たにWFDNWが形成される際に、MFP10がG/O機器になる。これに代えて、携帯端末50がG/O機器になってもよい。また、携帯端末50のCPU72は、いわゆるSoftAPを起動させることによって、携帯端末50がAPとして動作する無線ネットワークを形成してもよい。
(変形例8)
携帯端末50のCPU72は、図3の各処理のうちのどのようなタイミングで印刷データの指定を受け付けてもよい。例えば、CPU72は、NFCI/F62を介して、機能要求をMFP10に送信する前(即ち図3のS10の前)に、印刷データの指定を受け付けてもよいし、MFP10に印刷データを送信する直前(即ちS54の直前)に、印刷データの指定を受け付けてもよい。
(変形例9)
上記の各実施例では、第1の選択処理(図5)及び第2の選択処理(図6)において、EPに比べてCPが優先される(図5のS151、S153、図6のS163、S165)。これに代えて、CPに比べてEPが優先されてもよい。
(変形例10)
上記の各実施例では、携帯端末50が無線LANに所属しており(図4のS33でYES)、かつ、CP又はEPが選択された場合に(図5のS152、S154)、CPU72は、無線LANI/F60を介して、インターネット通信を実行する(図3のS54)。一方において、携帯端末50が無線LANに所属しておらず(図4のS33でNO)、セルラーNWに所属しており(S38でYES)、かつ、CP又はEPが選択された場合に(図6のS164、S166)、CPU72は、セルラーNWI/F66を介して、インターネット通信を実行する(図3のS54)。即ち、上記の各実施例では、セルラーNWを用いたインターネット通信に比べて、従量制の課金対象にならない無線LANを用いたインターネット通信が優先される。これに代えて、無線LANを用いたインターネット通信に比べて、セルラーNWを用いたインターネット通信が優先されてもよい。
(変形例11)
上記の実施例では、MFP10及び携帯端末50のCPU32,72がメモリ34,74内のプログラム(即ちソフトウェア)を実行することによって、図3、図7等の各処理が実現される。これに代えて、各処理のうちの少なくとも1つは、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。